JP2013006272A - 可逆性感熱記録材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性及び滑性に優れ、発熱体によって画像形成及び消去を何回繰り返しても、また熱及び圧力が高くても表面のキズ及びヘッド滓付着がない滑性保護層を有する可逆性感熱記録材料でありながら、二酸化炭素を原料とし得、地球環境保護の観点からも有用な環境対応製品とし得る技術の提供。
【解決手段】基材及び該基材の少なくとも一方の面に設けられた、感熱記録層と、任意の中間層と、滑性保護層とをこの順に有し、感熱記録層が、高分子樹脂及び該高分子樹脂中に分散された有機低分子物質を主成分としてなる、透明度が温度によって可逆的に変化し得る感熱記録層であり、かつ滑性保護層が、5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物とアミン化合物との反応から誘導されてなるポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分として含む樹脂組成物によって形成されている可逆性感熱記録材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、感熱記録層の温度による可逆的な透明度変化を利用して、画像の記録及び消去を何度も繰り返すことを可能にした、記録の書き換えができる可逆性感熱記録材料に関する。
交通機関の定期券、催し会場や建物への入場許可証、各種プリペイドカード等において、種々の情報を記録して格納しておくことができる磁気カードやICカードが使用されている。しかし、これらのカードでは、格納されている記録内容を直接目視することができないため、支払い金額や残高を簡単にチェックすることができず、使用者に対する格納された情報の内容保証を明確にするといった観点からは、問題があった。このような問題に対し、従来、これらのカードを記録媒体とし、該カード類に目視可能な記録を行い、また記録を消去し、さらには格納される情報の変更に伴って当該記録を書き換えることができる方法の提案がされている(特許文献1〜4参照)。例えば、感熱記録材料において、その感熱記録層を可逆性感熱記録塗料で構成することで、該感熱記録層を、サーマルヘッド等の外部からの熱を加えた時に、その温度に応じて透明な状態から白濁状態までの範囲でその光透過性を変え、一方、冷却後にはその状態を保持する性質を持つものにする方法がある。このような感熱記録層を利用することで、文字や画像を書き換え可能に書き込むことができるようになる。この技術は、上記したような格納される情報の内容が変更されることを前提としたカード類に目視可能な記録を行い、その変更される内容を随時表示していく方法として極めて有用である。
しかしながら、このような感熱記録層を構成する可逆性感熱記録材料は、画像の形成及び消去を繰り返し行うと、サーマルヘッドなどによる度重なる圧力や加熱によって生じた可逆性感熱記録材料表面のキズや摩耗により、画像の形成ができなくなるという問題がある。そこで、感熱記録層の耐久性を向上させるために耐熱性の保護層を設けることの検討が行われている。例えば、感熱記録層の上に、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂よりなる保護層を設けたり、紫外線硬化樹脂や電子線硬化樹脂よりなる保護層を設けることが提案されている(特許文献5〜7参照)。しかし、保護層を形成しても、サーマルヘッドで削られた滓がサーマルヘッドに付着し、このことが原因して画像の形成や消去が不十分となるといった問題もある。そのため、形成した保護層に滑性を付与してヘッド滓の発生を防止するため、保護層の形成材料に、硬化性樹脂にシリコーンオイルを添加することや、硬化性シリコーン樹脂やシリコーン変性樹脂を使用することなどが検討されている(特許文献8〜10参照)。
さらに最近では、環境問題の高まりから環境対策に積極的に取り組むメーカーが多くなり、環境保全性に優れた材料を用いて製品を構成する動きがある。上記した可逆性感熱記録材料も例外ではなく、特にゴミ問題や森林破壊問題を背景に、今まで使い捨てられていた物を何度でも書き換え可能にできることから、可逆性感熱記録材料に代替えすることで環境問題(エコ)の解決の一助となることが注目され、盛んに検討され一部実用化されている。しかしながら、従来の可逆性感熱記録材料の原料は、そのほとんどが石油由来のものであり、本来の趣旨からすると現在の地球規模での環境保全性という面では未だ不十分である。
非特許文献1、2に見られるように、二酸化炭素を原料とするポリヒドロキシポリウレタン樹脂については以前から知られているが、その応用展開は進んでいないのが実情である。それは、従来から知られている上記の樹脂は、従来の同種系の高分子化合物(石化プラスチック)であるポリウレタン系樹脂に比べて特性面で明らかに劣るからである(特許文献11、12)。
一方、増加の一途をたどる二酸化炭素の排出に起因すると考えられる地球の温暖化現象は、近年、世界的な問題となっており、二酸化炭素の排出量低減は、全世界的に重要な課題であり、二酸化炭素を製造原料とできる技術が待望されている。さらに枯渇性石化資源(石油)問題の観点からも、バイオマス、メタンなどの再生可能資源への転換が世界的潮流となっている。
上記のような背景下、再び、ポリヒドロキシポリウレタン樹脂が見直されている。すなわち、この樹脂の原料である二酸化炭素は、容易に入手可能で、かつ、持続可能な炭素資源であり、さらに、二酸化炭素を原料とするプラスチックは、温暖化、資源枯渇などの問題を解決する有効な手段になると言えるからである。
特開昭63−139784号公報 特公平01−30638号公報 特開平05−85047号公報 特開平07−25146号公報 特開平06−8626号公報 特開平06−344672号公報 特開平08−11433号公報 特開2005−212362号公報 特開2005−53124号公報 特開平05−38881号公報 米国特許第3,072,613号公報 特開2000−319504号公報
N.Kihara,T.Endo,J.Org.Chem.,1993,58,6198 N.Kihara,T.Endo,J.Polymer Sci.,PartA Polmer Chem.,1993,31(12),2765
このような状況下、感熱記録層を有する可逆性感熱記録材料表面に、良好な耐熱性及び滑性が付与されて、サーマルヘッドなどの発熱体によって画像形成及び消去を何回繰り返しても、また、サーマルヘッドの熱及び圧力が高くても表面のキズ及びヘッド滓付着がなく、さらに、表面に印刷する際の印刷適性が良好であると共に、地球規模での環境保全性を持った環境対応製品の可逆性感熱記録材料の開発が要望されている。
したがって、本発明の目的は、耐熱性及び滑性に優れ、サーマルヘッドなどの発熱体によって画像形成及び消去を何回繰り返しても、また、熱及び圧力が高くても表面のキズ及びヘッド滓付着がない滑性保護層を有する可逆性感熱記録材料でありながら、二酸化炭素を原料とし得、地球環境保護の観点からも有用な、環境対応製品を提供し得る技術を開発することにある。
上記目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、基材及び該基材の少なくとも一方の面に設けられた、感熱記録層と、必要に応じて設ける中間層と、滑性保護層とをこの順に有する感熱記録材料において、上記感熱記録層が、高分子樹脂及び該高分子樹脂中に分散された有機低分子物質を主成分としてなる、透明度が温度によって可逆的に変化し得る可逆性感熱記録層であり、かつ、上記滑性保護層が、下記一般式(1)で表せる5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物とアミン化合物との反応から誘導されてなるポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分として含む樹脂組成物によって形成されていることを特徴とする可逆性感熱記録材料を提供する。
Figure 2013006272
該式中のR1は、炭素数1〜12のアルキレン基(該基中にO、S、又はNの各元素による連結及び/又は−(C24O)b−による連結を有していてもよい)を表す。上記式(1)中のR2は、ないか、又は、炭素数2〜20のアルキレン基を表し、R2は、脂環族基又は芳香族基に連結していてもよい。bは1〜300の数を表わし、aは1〜300の数を表す。]
本発明の可逆性感熱記録材料の好ましい形態としては、下記のものが挙げられる。前記5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物が、エポキシ変性ポリシロキサン化合物と二酸化炭素とを反応させて得られる可逆性感熱記録材料。前記ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂が、原料由来の二酸化炭素を1〜25質量%含有するものである可逆性感熱記録材料。前記ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂が、その分子中に占めるポリシロキサンセグメントの含有量が1〜75質量%のものである可逆性感熱記録材料。前記滑性保護層が、前記ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂構造中の水酸基と、該水酸基と反応する架橋剤で架橋して形成されている可逆性感熱記録材料。前記中間層が、印刷層、着色層、耐熱保護層からなる一層又は多層の組み合わせからなる可逆性感熱記録材料。
上記本発明によれば、滑性保護層を、ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を用いて形成することで、滑性及び耐熱性に優れ、サーマルヘッド又は熱ロールなどの加熱及び圧力に強く、更にはサーマルヘッドによる表面のキズ及びヘッド滓付着防止、及び印刷適性が良好な可逆性感熱記録材料が提供される。上記樹脂は、このように優れた可逆性感熱記録材料を提供できるものであると同時に、二酸化炭素を原料とし得、樹脂中に二酸化炭素を取り入れることができるので、地球温暖化ガス削減に寄与し得る環境対応製品としての可逆性感熱記録材料の提供が可能となる。
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
<滑性保護層>
本発明の可逆性感熱記録材料は、基材の少なくとも一方の面に、透明度が温度によって可逆的に変化し得る感熱記録層と、必要に応じてその上に中間層を積層し、さらに最上層に滑性保護層を設けたものであり、該滑性保護層を下記の構成としたことを特徴とする。すなわち、該滑性保護層を構成する高分子化合物が、下記一般式(1)で表せる5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物とアミン化合物との反応から誘導されたポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分としたことを特徴とする。
Figure 2013006272
該式中のR1は、炭素数1〜12のアルキレン基(該基中にO、S、又はNの各元素による連結及び/又は−(C24O)b−による連結を有していてもよい)を表す。上記式(1)中のR2は、ないか、又は、炭素数2〜20のアルキレン基を表し、R2は、脂環族基又は芳香族基に連結していてもよい。bは1〜300の数を表わし、aは1〜300の数を表す。]
本発明で使用する前記一般式(1)で表せる5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物は、下記[式−A]で示されるように、エポキシ変性ポリシロキサン化合物と二酸化炭素とを反応させて製造することができる。更に詳しくは、エポキシ変性ポリシロキサン化合物を、有機溶媒の存在下又は不存在下、触媒の存在下、40℃〜150℃の温度で、常圧又は僅かに高められた圧力下、10〜20時間、二酸化炭素と反応させることによって得られる。
Figure 2013006272
本発明で使用するエポキシ変性ポリシロキサン化合物としては、例えば、次の化合物が挙げられる。
Figure 2013006272
Figure 2013006272
Figure 2013006272
Figure 2013006272
Figure 2013006272
以上に列記したエポキシ変性ポリシロキサン化合物は、本発明において使用する好ましい化合物であって、本発明はこれらの例示の化合物に限定されるものではない。従って、上述の例示の化合物のみならず、その他、現在市販されており、市場から容易に入手し得る化合物は、いずれも本発明において使用することができる。
本発明で用いる5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物は、前記したように、エポキシ変性ポリシロキサン化合物と二酸化炭素の反応によって得られる。この反応において使用される触媒としては、下記のような塩基触媒及びルイス酸触媒が挙げられる。塩基触媒としては、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどの第三級アミン類、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロオクタン、ピリジンなどの環状アミン類、リチウムクロライド、リチウムブロマイド、フッ化リチウム、塩化ナトリウムなどのアルカリ金属塩類、塩化カルシウムなどのアルカリ土類金属塩類、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライドなどの四級アンモニウム塩類、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩類、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酢酸銅、酢酸鉄などの金属酢酸塩類、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などの金属酸化物、テトラブチルホスホニウムクロリドなどのホスホニウム塩類が挙げられる。
また、ルイス酸触媒としては、テトラブチル錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫オクトエートなどの錫化合物が挙げられる。
これらの触媒の使用量は、エポキシ変性ポリシロキサン化合物50質量部当たり、0.1〜100質量部、好ましくは0.3〜20質量部とすればよい。上記の使用量が0.1質量部未満では、触媒としての効果が小さく、多過ぎると最終樹脂の諸性能を低下させるおそれがあるので好ましくない。従って、残留触媒が重大な性能低下を引き起こすような場合は、純水で洗浄して残留触媒を除去してもよい。
エポキシ変性ポリシロキサン化合物と二酸化炭素との反応において、使用できる有機溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホオキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。また、これら有機溶剤は、他の貧溶剤、例えば、メチルエチルケトン、キシレン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、シクロヘキサノンなどの混合系で使用してもよい。
本発明で使用する樹脂は、下記[式−B]で示されるように、例えば、上記反応で得た5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物と、アミン化合物とを、有機溶媒の存在下、20℃〜150℃の温度下で反応させることで得ることができる。
Figure 2013006272
上記反応に使用するアミン化合物としては、例えば、ジアミンが好ましく、従来ポリウレタン樹脂の製造に使用されているものがいずれも使用でき、特に限定されない。例えば、メチレンジアミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン;フェニレンジアミン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−メチレンビス(フェニルアミン)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン;1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−ジアミノシクロヘキシルメタン、1,4’−ジアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミンなどの脂環族ジアミン;モノエタノールジアミン、エチルアミノエタノールアミン、ヒドロキシエチルアミノプロピルアミンなどのアルカノールジアミンが挙げられる。更に、その他現在市販されており、市場から容易に入手し得る化合物は、いずれも本発明において使用することができる。
上記のようにして得られたポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、樹脂中におけるポリシロキサンセグメントの占める割合が、樹脂分子中に占める該セグメントの含有量で、1〜75質量%となるものであることが好ましい。すなわち、1質量%未満ではポリシロキサンセグメントに基づく表面エネルギーに伴う機能の発現が不十分となるので好ましくない。また、75質量%を超えると、ポリヒドロキシウレタン樹脂の機械強度、耐摩耗性などの性能が不十分となるので好ましくない。より好ましくは、2〜65質量%であり、さらには5〜30質量%であることがより好ましい。
また、本発明のポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の数平均分子量(GPCで測定した標準ポリスチレン換算値)は、2,000〜100,000程度であることが好ましい。さらには、5,000〜70,000程度のものであることがより好ましい。
本発明で使用するポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、前記した一般式(1)で表わされる5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物と、アミン化合物の反応から誘導される。このため、該樹脂の構造中の5員環環状カーボネート基がアミン化合物と反応して生成する水酸基が、本発明の可逆性感熱記録材料に対して更なる性能の向上をもたらすことになる。すなわち、水酸基は親水性を有しているため、該樹脂を用いて形成された耐熱保護層の基材に対しての接着性を格段に向上させることができる。また、樹脂の構造中の水酸基と、該樹脂に添加した架橋剤などとの反応を利用すれば、更なる耐熱性、耐摩耗性、耐擦傷性といった耐久性の向上を図ることができ、より優れた耐熱保護層の形成が可能になる。
本発明の可逆性感熱記録材料を構成する滑性保護層は、上記したポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂からなる被膜として形成できるが、架橋剤を用いて架橋被膜とすることもできる。この際、使用可能な架橋剤としては、水酸基と反応するような架橋剤はすべて使用できる。例えば、アルキルチタネート化合物やポリイソシアネート化合物が挙げられる。従来、ポリウレタン樹脂の架橋に使用されている公知のポリイソシアネート化合物であれば、特に限定されない。例えば、下記のような構造式のポリイソシアネートと他の化合物との付加体などが挙げられる。
Figure 2013006272
Figure 2013006272
Figure 2013006272
Figure 2013006272
また、本発明を特徴づける滑性保護層の形成に際しては、後述する各種中間層に対するコーティング適正や、成膜性の向上及びポリシロキサンセグメントの含有量を調整するなどのために、上記したポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂に加えて従来公知の各種バインダー樹脂を混合して使用することができる。この際に使用するバインダー樹脂としては、例えば、上記したポリイソシアネート付加物などの架橋剤と化学的に反応し得るものが好ましいが、反応性を有していないものでも本発明では使用することができる。
これらのバインダー樹脂としては、従来から一般に用いられているバインダー樹脂が使用でき、特に限定されない。例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリブタジエン樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、アルキッド樹脂、変性セルロース樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂などを使用することができる。また、各種樹脂をシリコーンやフッ素で変性した樹脂なども使用することができる。これらのバインター樹脂を併用する場合、その使用量は、ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂100質量部に対して5〜90質量部、より好ましくは、10〜60質量部程度の範囲で用いるとよい。
さらに、滑性保護層の耐熱性や滑性を向上させるため、従来公知の有機滑剤、シリカ、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、各種樹脂架橋粒子などの微粒子を含有させることができる。
本発明を特徴づける滑性保護層の形成方法は特に限定されない。例えば、上記したポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を適当な有機溶剤に溶解又は分散させ、これを、例えば、ワイヤーバー方式、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法などの形成手段により塗工し、乾燥して形成することができる。乾燥温度としては50〜140℃の範囲が好ましい。また、滑性保護層を架橋皮膜とする場合は、架橋剤を含有させた樹脂組成物を同様に塗工し、50〜100℃の乾燥温度で数時間から数日間処理することによって、十分な架橋皮膜を形成することができる。このようにして形成される滑性保護層の厚さは、0.01〜3.00μmが好ましく、特に0.1〜2.0μmが好ましい。
<基材>
本発明の可逆性感熱記録材料は、上記した本発明を特徴づける滑性保護層を、基材の少なくとも一方の面に、後述する感熱記録層と必要に応じて設ける中間層を介して形成することによって得られる。本発明に使用される基材としては、例えば、プラスチックフィルム、ガラス板、金属板、紙のようなものが使用でき、様々な厚さのものの使用が可能である。また、それらの表面または裏面に着色被覆層を設けたもの、着色顔料を混練したプラスチックフィルムなどが使用できる。さらに、プラスチックフィルムに金属蒸着などの反射層を設けたものも使用可能である。
<感熱記録層>
本発明の可逆性感熱記録材料を構成する感熱記録層は、高分子樹脂及び該高分子樹脂中に分散された有機低分子物質を主成分とし、透明度が温度によって可逆的に変化し得る可逆性感熱記録層である。本発明の可逆性感熱記録材料は、このような可逆性感熱記録層を有することにより、加熱によって繰り返し記録、消去を行うことができる。以下、可逆性感熱記録層を形成するための各成分について説明する。
(高分子樹脂)
可逆性感熱記録層を構成する高分子樹脂は、後述する有機低分子物質を均一に分散保持した層を形成し得るものであって、透明性が高く、機械的に安定な樹脂であることが好ましい。このような樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−アクリレート共重合体などの塩化ビニル系共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体などの塩化ビニリデン系共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリレート又はポリメタクリレート或いはアクリレート−メタクリレート共重合体などが挙げられる。これらは単独で或いは2種以上混合して使用される。
(有機低分子物質)
可逆性感熱記録層を構成する有機低分子物質は、上記の高分子樹脂中に粒子状に分散された状態で存在し、その粒径がおよそ0.1〜2μmの範囲に分布するものが好ましい。一般的には、ワックス、あるいはロウと呼ばれ、室温においては固体状であり、炭素数10〜60程度の長鎖アルキル基を含む化合物、長鎖アルキル基からなる脂肪酸、アルコール、エステル、アミド、ケトン、エーテル、チオエーテル、或いはアミンなどが好ましい。
具体的には、以下のものが挙げられる。例えば、ラウリン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデカン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、ヘンエイコサン酸、トリコサン酸、グリノセリン酸、ペンタコサン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ノナデカン酸、オレイン酸のような高級脂肪酸化合物;ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、C30アルコールのような高級アルコール化合物;ラウリン酸オクタデシル、パルチミン酸テトラデシル、ベヘン酸ドデシル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸テトラデシル、ステアリン酸オクタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸ベヘニル、ベヘニン酸ベヘニル、モンタン酸ベヘニル、ステアリン酸C30アルコールエステル、ベヘニン酸C30アルコールエステルのような高級脂肪酸エステル化合物;パルチミン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−オレイルパルチミン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミドのようなアミド化合物;ジステアリルケトン、ジベヘニルケトンのようなケトン化合物が挙げられる。
更には、下記式で示されるような高級脂肪族エーテル、高級脂肪族チオエーテル、或いは高級脂肪族アミンなどが挙げられるが、これらに限定されることはない。例えば、C1633−O−C1633、C1633−S−C1633、C1837−S−C1837、C1225−S−C1225、C1939−S−C1939、C1225−S−S−C1225、C1123−OCO−CH2CH2−O−CH2CH2−OCO−C1123、C1735−OCO−CH2CH2−O−CH2CH2−OCO−1735、C1225−OCO−CH2CH2−S−CH2CH2−OCO−C1225、C1837−OCO−CH2CH2−S−CH2CH2−OCO−C1837、C1837−OCO−CH2CH2−NH−CH2CH2−OCO−C1837などが挙げられる。これら長鎖アルキル基含有化合物は、単独で使用してもよいが、2種以上を混合して使用することもできる。
また、可逆的感熱記録層は、前記有機低分子物質(以下、これを低融点有機低分子物質という場合がある)に加えて、更にそれよりも融点の高い有機低分子物質(以下、これを高融点有機低分子物質という場合がある)を添加することで、透明化する温度の幅を広げることもできる。この高融点有機低分子物質としては、融点が80℃〜180℃の物質が好ましく、特に90℃〜160℃の範囲の融点を有する飽和脂肪族ビスアミドや飽和脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
本発明で使用し得る具体的な高融点有機低分子物質としては、以下のものが挙げられる。例えば、飽和脂肪族ビスアミドとしては、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、N,N−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N−ジステアリルエイコサンジ酸アミド、N,N−ジステアリルセバシンジ酸アミド、N,N−ジラウリルドデカンジ酸アミド、N,N−ジステアリルドデカンジ酸アミドなどが使用できる。
飽和脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、ピロリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジ酸、ドデカンジ酸、トリデカンジ酸、テトラデカンジ酸、ペンタデカンジ酸、ヘキサデカンジ酸、ペプタデカンジ酸、オクタデカンジ酸、ノナデカンジ酸、エイコサンジ酸などが挙げられる。
しかしながら、これらに限定されるものではなく、前記以外のビスアミド、ジカルボン酸、飽和脂肪酸モノアミド、メチロール酸アミド、不飽和脂肪酸ビスアミド、芳香族系ビスアミドなどの高融点有機低分子物質が使用できる。これら高融点有機低分子物質は、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
有機低分子物質として、上記低融点有機低分子物質と高融点有機低分子物質とを用いる場合の配合割合は、質量比で99:1〜45:55の範囲であることが好ましい。この範囲外では透明化温度幅の拡大効果が得られないだけでなく、透明化状態と白濁化状態のコントラスト不足となる場合があるので好ましくない。
さらに、上記した可逆的感熱記録層には、必要に応じて、滑剤、帯電防止剤、可塑剤、分散剤、安定剤、界面活性剤、無機あるいは有機の充填剤などを配合してもよい。
上記した可逆的感熱記録層の膜厚は通常1〜40μmであり、好ましくは2〜20μmである。感熱記録層が厚すぎると層内での熱の分布が発生し好ましくない。一方、感熱記録層がこれより薄いと白濁度が低下してしまい、コントラストが低下してしまうため好ましくない。
<中間層>
また、本発明の可逆性感熱記録材料には、必要に応じて各種中間層を設けることができる。該中間層は、一層であっても多層の組み合わせからなるものであってもよく、本発明の効果の範囲内であれば、必要に応じて、適宜設けることができ、例えば、意匠性を目的とした印刷層や着色層さらには耐熱保護層などを設けることができる。印刷層や着色層は従来公知の材料が使用でき、また耐熱保護層に使用する材料としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂や、UV硬化型樹脂、EB硬化型樹脂が用いられる。
<その他の層>
さらに、本発明の効果の範囲内であれば、基材と感熱記録層の間に、情報を記録する磁気記録層や、感熱記録層の透明化状態と白濁化状態とのコントラストを向上させるため、基材上に金属蒸着などの反射層を設けることもできる。さらには基材及び感熱記録層や各種中間層の接着性を高める接着層を設けることもできる。
本発明の可逆性感熱記録材料は、基材の少なくとも一方の面に設けられた滑性保護層を形成する樹脂組成物に、特有のポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を用いているため、該樹脂のポリシロキサンセグメントが保護層表面に配向することとなる。このため、形成された滑性保護層には、該ポリシロキサンセグメントの持つ耐熱性、滑り性、サーマルヘッドへの非粘着性が付与される。また、本発明で使用する樹脂を構成する5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物は、二酸化炭素を製造原料とすることで、樹脂中に二酸化炭素を取り入れることができる。このため、本発明によって、地球温暖化の原因とされている二酸化炭素の削減の観点からも有用な、従来品では到達できなかった環境対応材料製品としての可逆性感熱記録材料の提供が可能になる。
次に、具体的な製造例、重合例、実施例及び比較例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。又、以下の各例における「部」及び「%」は特に断りのない限り質量基準である。
<製造例1>(5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物の製造)
撹拌機、温度計、ガス導入管及び還流冷却器を備えた反応容器中に、下記式Aで表される2価エポキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業(株)、X−22−163;エポキシ当量198g/mol)100部、N−メチルピロリドン100部、ヨウ化ナトリウム1.2部を加え均一に溶解させた。その後、これに炭酸ガスを0.5リッター/分の速度でバブリングしながら、80℃で30時間加熱撹拌させた。
Figure 2013006272
反応終了後、得られた溶液に100部のn−ヘキサンを加えて希釈した後、分液ロートにて80部の純水で3回洗浄し、N−メチルピロリドン及びヨウ化ナトリウムを除去した。その後、n−ヘキサン液を硫酸マグネシウムで脱水後、濃縮し、無色透明の液状5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物(1−A)92部(収率89.7%)を得た。
得られた生成物(1−A)の赤外吸収スペクトル(堀場製作所 FT−720)は、1,800cm-1付近に原料には存在しない環状カーボネート基のカルボニル基の吸収が確認された。また、生成物の数平均分子量は2,450(ポリスチレン換算、東ソー;GPC−8220)であった。得られた5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物(1−A)中には、18.1%の二酸化炭素が固定化されていた。
<製造例2>(5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物の製造)
本製造例では、先の製造例1で用いた2価エポキシ変性ポリシロキサンAの代わりに、下記式Bで示される2価エポキシ変性ポリシロキサンB(信越化学工業(株)、KF−105;エポキシ当量485g/mol)を用いた。そして、これ以外は、製造例1と同様に反応させて、無色透明の液状5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物(1−B)99部(収率91%)を得た。得られた生成物(1−B)を製造例1の場合と同様に、赤外吸収スペクトル、GPC、NMRで確認した。得られた5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物(1−B)中には、8.3%の二酸化炭素が固定化されていた。
Figure 2013006272
<製造例3>(5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物の製造)
本製造例では、先の製造例1で用いた2価エポキシ変性ポリシロキサンAの代わりに、下記式Cで示される2価エポキシ変性ポリシロキサンC(信越化学工業(株)、X−22−169AS;エポキシ当量533g/mol)を用いた。そして、これ以外は、製造例1と同様に反応させて、無色透明の液状5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物(1−C)71部(収率68%)を得た。得られた生成物の特性は、製造例1の場合と同様に、赤外吸収スペクトル、GPC、NMRで確認した。得られた5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物(1−C)中には、7.6%の二酸化炭素が固定化されていた。
Figure 2013006272
<比較製造例1>(5員環環状カーボネート化合物の製造)
本比較製造例では、先の製造例1で用いた2価エポキシ変性ポリシロキサンAの代わりに、下記式Dで表される2価エポキシ化合物D(ジャパンエポキシレジン(株)、エピコート828;エポキシ当量187g/mol)を用いた。そして、これ以外は、製造例1と同様に反応させ、白色粉末の5員環環状カーボネート化合物(1−D)118部(収率95%)を得た。生成物の特性は、赤外吸収スペクトル、GPC、NMRで確認した。得られた5員環環状カーボネート化合物(1−D)中には、19%の二酸化炭素が固定化されていた。
Figure 2013006272
<重合例1〜3>(ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の製造)
先の製造例1〜3で得られた5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物をそれぞれに用い、下記の手順で、実施例で用いるポリシロキサン変性ポリヒドロキシウレタン樹脂を合成した。撹拌機、温度計、ガス導入管及び還流冷却器を備えた反応容器を窒素置換し、これに製造例1〜3で得られた5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物を加え、更に固形分が35%になるようにN−メチルピロリドンを加え均一に溶解した。次に、表1に記載のアミン化合物を所定当量加え、90℃の温度で10時間撹拌し、アミン化合物が確認できなくなるまで反応させた。得られた3種類のポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の性状は、表1に記載の通りである。
<比較重合例1>(ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の製造)
下記のようにして、比較例で用いるポリヒドロキシポリウレタン樹脂を合成した。撹拌機、温度計、ガス導入管及び還流冷却器を備えた反応容器を窒素置換し、これに比較例1で得られた5員環環状カーボネート化合物を加え、更に固形分が35%になるようにN−メチルピロリドンを加え均一に溶解した。次に、ヘキサメチレンジアミンを所定当量加え、90℃の温度で10時間撹拌し、アミン化合物が確認できなくなるまで反応させた。得られたポリヒドロキシポリウレタン樹脂の性状は、表1に記載の通りである。
Figure 2013006272
<比較重合例2>(ポリウレタン樹脂)
下記のようにして、比較重合例2として、ポリエステルとジオールとアミンとから従来のポリウレタン樹脂を合成した。まず、撹拌機、温度計、ガス導入管及び還流冷却器を備えた反応容器を窒素置換し、平均分子量約2,000のポリブチレンアジペート150部と、1,4−ブタンジオール15部とを、200部のメチルエチルケトンと50部のジメチルホルムアミドからなる混合有機溶剤中に溶解した。その後、60℃でよく撹拌しながら62部の水添加MDI(メチレンビス(1,4−シクロヘキサン)−ジイソシアネート)を171部のジメチルホルムアミドに溶解したものを徐々に滴下し、滴下終了後80℃で6時間反応させた。
この溶液は固形分35%で3.2MPa・s(25℃)の粘度を有していた。この溶液から得られたフィルムは破断強度45MPaで、破断伸度480%を有し、熱軟化温度は110℃であった。
<比較重合例3>(ポリシロキサン変性ポリウレタン樹脂)
下記のようにして、比較例で用いるポリシロキサン変性ポリウレタン樹脂をジオールとアミンから合成した。具体的には、下記式(E)で表され、且つ平均分子量が約3,200であるポリジメチルシロキサンジオール150部及び1,4−ブタンジオール10部を、200部のメチルエチルケトンと50部のジメチルホルムアミドからなる混合有機溶媒を加え、また、40部の水添加MDIを、120部のジメチルホルムアミドに溶解したものを徐々に滴下し、滴下終了後、80℃で6時間反応させた。この溶液は固形分35%で1.6MPa・s(25℃)の粘度を有し、この溶液から得られたフィルムは破断強度21MPaで破断伸度250%を有し、熱軟化温度は135℃であった。
Figure 2013006272
<実施例1〜3及び比較例1〜3>
上記重合例で得た樹脂をそれぞれに用いて、下記の方法で、基材上に、感熱記録層、耐熱保護層(中間層)、滑性保護層をこの順で形成し、実施例及び比較例の可逆性感熱記録材料を作製した。基材として、188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に0.1μm厚のアルミ層を真空蒸着法により形成した金属反射基材を用いた。
(感熱記録層の形成)
下記配合の溶液を調製し、上記した基材上にワイヤーバーを用いて塗布した後、140℃にて4分間加熱乾燥することによって、厚みが12μmの、透明度が温度によって可逆的に変化し得る可逆性感熱記録層を形成した。
(感熱記録層塗料組成;透明化温度範囲 75〜108℃)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(日信化学製) 30部
ベヘン酸 7部
セバシン酸 6部
フタル酸ジ−2エチルヘキシル 3部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン、コロネートHL) 2部
テトラヒドロフラン 100部
エチレングリコールモノエチルエーテル 70部
(耐熱保護層の形成)
上記で形成した感熱記録層の上に、下記のようにして中間層である耐熱保護層を形成した。具体的には、アクリル系紫外線硬化樹脂(大日精化工業製)を、感熱記録層の上に乾燥後の厚みが5μmとなるように塗布した後、紫外線を500mJ/cm2で照射して、耐熱保護層を形成した。
(滑性保護層の形成)
先に重合例1〜3及び比較重合例1〜3で調製した樹脂(固形分35%)をそれぞれに用い、金属反射基材上に形成した感熱記録層及び耐熱保護層の上に、下記のようにして最上層として滑性保護層を形成した。具体的には、まず、上記各樹脂溶液を溶剤(テトラヒドロフラン)で希釈して、これに表2に示したように架橋剤を添加して樹脂組成物をそれぞれ得た。調製した樹脂組成物を、乾燥後の厚みが1.0μmになるようにワイヤーバーにより塗布し、乾燥機中で乾燥して基材の最上層に滑性保護層を形成し、実施例1〜3及び比較例1〜3の可逆性感熱記録材料を得た。
Figure 2013006272
<評価>
上記で得た実施例1〜3及び比較例1〜3の各可逆性感熱記録材料について、ライン型サーマルヘッド(8dot/mm)を用いて画像形成を行い、熱板圧着方式(熱板温度;100〜105℃)にて画像消去する操作を100回繰り返し、以下の各特性を評価した。
(スティッキング性)
上記の条件にて印字試験を行った際の、サーマルヘッドとの間の押圧操作時における、可逆性感熱記録材料のサーマルヘッドからの離脱性を目視で評価した。なお、最も離脱性の良いものを5とし、最も離脱性の悪いものを1とし、5段階にて評価を行った。
(ヘッド汚染)
上記条件での実装試験に供したサーマルヘッドの汚れの状態を、光学顕微鏡で観測し、評価した。その際、最も汚れの少ないものを5とし、最も汚れのひどいものを1とし、5段階で相対的に評価を行った。
(表面キズ)
上記試験後の各可逆性感熱記録材料表面のキズを目視にて、下記の基準で判定した。
○;キズなし
△;ややキズあり
×;キズあり
(静止摩擦係数)
実施例及び比較例の可逆性感熱記録材料の表面の静止摩擦係数をそれぞれ、表面性試験機(新東科学製)で評価した。
(画像劣化)
初期の白濁濃度と、上記で行った100回の操作後に画像消去した際における白濁濃度との差を、マクベス反射濃度計(RD−914)で測定し、その差を表3に示した。
(環境対応度)
実施例及び比較例の可逆性感熱記録材料の「滑性保護層」の形成材料の各樹脂中における二酸化炭素の固定化の有無で、○×判断した。
Figure 2013006272
以上の本発明によれば、基材の一方の面の最上層にポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分とする滑性保護層を形成することで、滑性と耐熱性を付与し、サーマルヘッド又は熱ロールなどの加熱及び圧力に強く、更には、サーマルヘッドによる表面のキズ及びヘッド滓付着防止、及び印刷適性が良好な可逆性感熱記録材料が提供されるので、これを利用することで、文字や画像の書き換えが良好に行えるようになる。当該材料を、格納された情報が変更されるICカード類などに適用することで、随時、内容保証のための表示を良好な状態で行うことができるようになるため、活用が期待される。また、本発明で使用するポリシロキサン変性ポリヒドロキシウレタン樹脂は、二酸化炭素を製造原料に利用することができるため、本発明によれば、地球温暖化ガスとされている二酸化炭素削減に寄与し得る地球環境対応製品としての可逆性感熱記録材料の提供が可能になる。

Claims (6)

  1. 基材及び該基材の少なくとも一方の面に設けられた、感熱記録層と、必要に応じて設ける中間層と、滑性保護層とをこの順に有する感熱記録材料において、
    上記感熱記録層が、高分子樹脂及び該高分子樹脂中に分散された有機低分子物質を主成分としてなる、透明度が温度によって可逆的に変化し得る可逆性感熱記録層であり、かつ、上記滑性保護層が、下記一般式(1)で表せる5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物とアミン化合物との反応から誘導されてなるポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分として含む樹脂組成物によって形成されていることを特徴とする可逆性感熱記録材料。
    Figure 2013006272
    該式中のR1は、炭素数1〜12のアルキレン基(該基中にO、S、又はNの各元素による連結及び/又は−(C24O)b−による連結を有していてもよい)を表す。上記式(1)中のR2は、ないか、又は、炭素数2〜20のアルキレン基を表し、R2は、脂環族基又は芳香族基に連結していてもよい。bは1〜300の数を表わし、aは1〜300の数を表す。]
  2. 前記5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物が、エポキシ変性ポリシロキサン化合物と二酸化炭素とを反応させて得られる請求項1に記載の可逆性感熱記録材料。
  3. 前記ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂が、原料由来の二酸化炭素を1〜25質量%含有するものである請求項1又は2に記載の可逆性感熱記録材料。
  4. 前記ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂が、その分子中に占めるポリシロキサンセグメントの含有量が1〜75質量%のものである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の可逆性感熱記録材料。
  5. 前記滑性保護層が、前記ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂構造中の水酸基と、該水酸基と反応する架橋剤で架橋して形成されている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の可逆性感熱記録材料。
  6. 前記中間層が、印刷層、着色層、耐熱保護層からなる一層又は多層の組み合わせからなる請求項1乃至5のいずれか1項に記載の可逆性感熱記録材料。
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