JP2013005680A - 充電制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】バッテリの充電をより効率よく行なう。
【解決手段】1サイクル当たりの損失減少量Elossがエンジンの始動エネルギEesよりも大きくなるよう充電時間Tonを設定しその充電時間Tonと中断時間Toffとの和を充電サイクルTに設定して(S130〜150)、中断時間Toff中のエンジンの運転の停止を伴って充電サイクルTの繰り返しによりバッテリを間欠充電する。これにより、バッテリを間欠充電する際に、中断時間Toff中はエンジンの運転を停止して無駄な燃料消費を抑制することができ、また、1サイクル当たりの損失減少量Elossを超えるエネルギがエンジン22の始動によって消費されるのを防止することができる。この結果、バッテリの充電をより効率よく行なうことができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、充電制御装置に関する。
従来より、エンジンと、エンジンを始動させると共にエンジンからの動力を用いて発電する発電用モータと、発電用モータと電力をやり取りするバッテリと、を備える車両において、バッテリを充電する際には、バッテリに間欠的に電流を流して間欠充電するようエンジンと発電用モータとを制御する充電制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この充電制御装置では、間欠充電によりバッテリ流れる電流を一時的に中断することで、バッテリの内部抵抗を低下させて、発熱ロスを減少させている。これにより、バッテリを効率よく充電できるものとしている。
特開平9−74611号公報
上述した充電制御装置のようにバッテリを間欠充電するものにおいて、充電の中断中にもエンジンを運転していると、その間に消費される燃料はバッテリの充電に何ら寄与しないため、燃料が無駄に消費されることになる。このため、充電の中断中にはエンジンの運転を停止して燃料消費を抑制することが考えられる。しかし、エンジンの運転を停止すると、充電の再開に合わせてエンジンを再始動しなければならず、その際のエンジンを始動するための始動エネルギは、バッテリの電気エネルギで賄われることになる。このため、始動エネルギの大きさやその頻度によっては、充電によりバッテリに蓄えられた電気エネルギの多くがエンジンの始動に用いられ、バッテリの効率的な充電が阻害されてしまう。
本発明の充電制御装置は、バッテリの充電をより効率よく行なうことを主目的とする。
本発明の充電制御装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の充電制御装置は、
バッテリと、該バッテリの電力を用いて始動されるエンジンと、該エンジンの動力を用いて発電し前記バッテリを充電する発電機と、を備える車両において、前記バッテリの充電と充電中断との間欠充電用のサイクルを定め、該サイクル当たりの充電電力量を前記バッテリを連続充電するとした場合に揃えて該サイクルの繰り返しにより該バッテリを間欠充電するよう前記エンジンと前記発電機とを制御する充電制御装置であって、
前記間欠充電の充電中断中に前記バッテリの内部抵抗が低下することに基づいて該間欠充電中のエネルギ損失が前記連続充電するとした場合のエネルギ損失よりも減少する分のエネルギが、前記エンジンの始動に要するエネルギよりも大きくなるよう前記サイクルを定め、前記間欠充電の充電中断中は前記エンジンの運転を停止するよう前記エンジンと前記発電機とを制御する
ことを要旨とする。
この本発明の充電制御装置では、間欠充電の充電中断中にバッテリの内部抵抗が低下することに基づいて間欠充電中のエネルギ損失がバッテリを連続充電するとした場合のエネルギ損失よりも減少する分のエネルギが、エンジンの始動に要するエネルギよりも大きくなるようサイクルを定め、間欠充電の充電中断中はエンジンの運転を停止するようエンジンと発電機とを制御する。これにより、バッテリを間欠充電する際に、中断時間中にエンジンの運転を停止して無駄な燃料消費を抑制することができる。また、エンジンの始動に要するエネルギよりも間欠充電によってエネルギ損失が減少する分のエネルギを大きくするようサイクルを定めるから、エンジンの運転の停止により却ってエネルギ収支が悪化するのを防止することができる。この結果、バッテリの充電をより効率よく行なうことができる。
本発明の車両は、上述した本発明の充電制御装置と、車軸に連結された駆動軸と前記エンジンの出力軸と前記発電機の回転軸とが共線図上で前記駆動軸,前記出力軸,前記回転軸の順に並ぶよう3つの回転要素が前記駆動軸と前記出力軸と前記回転軸とにそれぞれ接続されたプラネタリギヤと、前記バッテリの電力を用いて前記駆動軸に動力を出力する電動機とを備え、前記エンジンは、前記発電機からのトルクにより始動され、前記充電制御装置は、車速に基づいて前記エンジンの始動に必要なエネルギを設定し、該設定したエネルギよりも前記エネルギ損失の減少分が大きくなるよう前記サイクルを定めるものであるものとすることもできる。ここで、エンジンの運転を停止して走行している場合には、エンジンの回転数は値0であるから、車速が高くなるほど共線図上では駆動軸の回転数が正側に大きくなって発電機の回転数は負側に大きくなる。また、エンジンを始動する場合には、エンジンの回転数を正側に上げるためのトルクが発電機から出力され、発電機の回転数は負側から正側に向かって変化する。このため、発電機の回転数が負側に大きくなるほど、エンジンの始動に利用できる発電機の回転エネルギが大きなものとなる。したがって、エンジンの始動によって消費されるバッテリのエネルギは、車速が高くなるほど小さくなる傾向にある。車速に基づいてエンジンの始動に必要なエネルギを設定することで、そのような傾向を踏まえて間欠充電用のサイクルを定めることができるから、車速に応じた適切なサイクルを設定してバッテリの充電を効率よく行なうことができる。
また、こうした本発明の車両において、前記充電制御装置は、車速が所定車速未満であることを条件として、前記間欠充電の充電中断中に前記エンジンの運転を中断するよう前記エンジンと前記発電機とを制御するものであるものとすることもできる。
本発明の一実施例の充電制御装置を搭載するハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 充電電流を連続的に流したときのバッテリ50の内部抵抗Rの時間変化の様子を示す説明図である。 間欠充電時のバッテリ50の内部抵抗Rの時間変化の様子を示す説明図である。 充電サイクル設定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。 エンジン始動エネルギ設定用マップの一例を示す説明図である。 充電時間Tonの設定の考え方を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。 変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。 変形例のハイブリッド自動車320の構成の概略を示す構成図である。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例の充電制御装置を搭載するハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、ガソリンや軽油などを燃料とするエンジン22と、エンジン22を駆動制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24と、エンジン22のクランクシャフト26にキャリアが接続されると共に駆動輪38a,38bにデファレンシャルギヤ37を介して連結された駆動軸36にリングギヤが接続されたプラネタリギヤ30と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されたモータMG1と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子が駆動軸36に接続されたモータMG2と、モータMG1,MG2を駆動するためのインバータ41,42と、モータMG1,MG2を駆動制御するモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40と、インバータ41,42を介してモータMG1,MG2と電力をやりとりするバッテリであるバッテリ50と、バッテリ50を管理するバッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52と、車両全体を制御するハイブリッド用電子制御ユニット(以下、HVECUという)70と、を備える。なお、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU50,HVECU70は、図示しないが、それぞれ、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMと、データを一時的に記憶するRAMと、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。なお、本発明の充電制御装置は、主として、エンジンECU24と、モータECU40と、HVECU70とにより構成されている。また、図示は省略するが、プラネタリギヤ30には、リングギヤに駆動軸36が接続されキャリアにエンジン22のクランクシャフト26が接続されサンギヤにモータMG1の回転軸が接続されるため、共線図上では駆動軸36(リングギヤ),エンジン22のクランクシャフト26(キャリア),モータMG1の回転軸(サンギヤ)の順に並ぶものとなる。
エンジンECU24には、エンジン22の運転状態を検出する各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されており、エンジンECU24からは、エンジン22を駆動するための種々の制御信号、例えば、図示しないスロットルバルブや燃料噴射弁,点火プラグなどへの駆動制御信号が出力ポートを介して出力されている。また、エンジンECU24は、HVECU70と通信しており、HVECU70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをHVECU70に出力する。なお、エンジンECU24は、クランクポジションセンサ140からのクランクポジションに基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算する。
モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力ポートを介して入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42の図示しないスイッチング素子をスイッチングするためのスイッチング制御信号が出力ポートを介して出力されている。また、モータECU40は、HVECU70と通信しており、HVECU70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをHVECU70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算する。
バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧やバッテリ50の出力端子に接続された電力ラインに取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた図示しない温度センサからの電池温度などが入力ポートを介して入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりHVECU70に送信する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいてそのときのバッテリ50から放電可能な電力の容量の全容量に対する割合である蓄電割合SOCを演算したり、演算した蓄電割合SOCと電池温度とに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算したりする。
HVECU70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。HVECU70は、上述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸36に出力すべき要求トルクTr*を計算し、この要求トルクTr*に対応する要求動力が駆動軸36に出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてがプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されて駆動軸36に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部がプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力が駆動軸36に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力を駆動軸36に出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。なお、トルク変換運転モードと充放電運転モードとは、いずれもエンジン22の運転を伴って要求動力が駆動力36に出力されるようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するモードであり、実質的な制御における差異はないため、以下、両者を合わせてエンジン運転モードという。
エンジン運転モードでは、HVECU70は、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accと車速センサ88からの車速Vとに基づいて駆動軸36に出力すべき要求トルクTr*を設定し、設定した要求トルクTr*に駆動軸36の回転数Nr(例えば、モータMG2の回転数Nm2や車速Vに換算係数を乗じて得られる回転数)を乗じて走行に要求される走行用パワーPdrvを計算すると共に計算した走行用パワーPdrvからバッテリ50の蓄電割合SOCに基づいて得られるバッテリ50の充放電要求パワーPb*(バッテリ50から放電するときを正の値とする)を減じてエンジン22から出力すべきパワーとしての要求パワーPe*を設定する。次に、要求パワーPe*を効率よくエンジン22から出力することができるエンジン22の回転数NeとトルクTeとの関係としての動作ライン(例えば燃費最適動作ライン)を用いてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定し、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で、エンジン22の回転数Neが目標回転数Ne*となるようにするための回転数フィードバック制御によりモータMG1から出力すべきトルクとしてのトルク指令Tm1*を設定すると共にモータMG1をトルク指令Tm1*で駆動したときにプラネタリギヤ30を介して駆動軸36に作用するトルクを要求トルクTr*から減じてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し、設定した目標回転数Ne*と目標トルクTe*とについてはエンジンECU24に送信し、トルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40に送信する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによってエンジン22が運転されるようエンジン22の吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などを行ない、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
モータ運転モードでは、HVECU70は、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定すると共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸36に出力されるようモータMG2のトルク指令Tm2*を設定してモータECU40に送信する。そして、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
実施例のハイブリッド自動車20は、モータ運転モードで運転している最中に、運転者のアクセルペダル83の踏み込みが大きくなりバッテリ50の電力で出力可能なパワーを超える走行用パワーPdrvが要求されたときやバッテリ50の蓄電割合SOCが低下して所定の閾値以下になってバッテリ50の充電が要求されたときに、エンジン22を始動してエンジン運転モードに移行する。エンジン22の始動は、モータMG1からトルクを出力してエンジン22をモータリングし、エンジン22の回転数Neが予め定められた制御開始回転数に至ったときに燃料噴射制御や点火制御などを開始することにより行なわれる。また、エンジン運転モードで運転している最中に、走行用パワーPdrvがバッテリ50の電力で賄うことができるものになったときやバッテリ50の蓄電割合SOCが回復したとき,運転者により図示しないモータ走行スイッチが押されたときに、エンジン22の運転を停止してモータ運転モードに移行する。エンジン22の運転の停止は、燃料噴射制御や点火制御などを終了して、次回の始動時に始動性が良好となるクランク角位置でクランクシャフト26が停止するようモータMG1からトルクを出力して停止位置を調整することにより行なわれる。
また、実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン運転モードにおけるバッテリ50の充電は、充放電要求パワーPb*に応じた充電電流を流す充電時間Tonと、充電電流を流さない中断時間Toffとを充電サイクルTとして、その充電サイクルTを繰り返す間欠充電により行なわれる。なお、充放電要求パワーPb*は、充電時間Ton中はバッテリ50の蓄電割合SOCに基づいて充放電要求パワー設定用マップから導出した仮の充放電要求パワーPbtmpを補正したパワーが設定され、中断時間Toff中は値0が設定される。充放電要求パワー設定用マップは、図示は省略するが、バッテリ50の蓄電割合SOCが目標の蓄電割合となるよう、に蓄電割合SOCと、バッテリ50に連続的に充電電流を流したときの充放電要求パワーである仮の充放電要求パワーPbtmpとの関係が予め定められてHVECU70のROMに記憶されている。そして、次式(1),(2)に示すように、充電時間Tonと中断時間Toffとの和(充電サイクルT)を充電時間Tonで除した値を補正係数αとして、仮の充放電要求パワーPbtmpに補正係数αを乗じることにより仮の充放電要求パワーPbtmpに対する補正を行なう。このように補正する理由は、中断時間Toff中も含めた間欠充電中の1サイクル当たりの充電電力量を、仮の充放電要求パワーPbtmpと同じものとして、バッテリ50に連続的に充電電流を流したときと充電ペースを合わせるためである。
Pb*=α・Pbtmp (1)
α=(Ton+Toff)/Ton (2)
ここで、連続的に充電電流を流したときのバッテリ50の内部抵抗Rの時間変化の様子を図2に示し、間欠充電時のバッテリ50の内部抵抗Rの時間変化の様子を図3に示す。なお、図2,3では、ある一定の充電電流でバッテリ50を充電する場合を示す。図2に示すように、内部抵抗Rは、充電の開始と共に立ち上がり、時間の経過と共に増加して略一定の値(抵抗R0とする)で推移する。また、図3に示すように、内部抵抗Rは、充電時間Tonの開始と共に立ち上がり、時間の経過と共に増加して中断時間Toffで減少するため、抵抗R0よりも小さな値で増減を繰り返しながら推移する。なお、連続的に充電電流を流したときの内部抵抗Rの推移や間欠充電時の充電時間Ton中の内部抵抗Rの推移は、一次遅れで近似することができる。実施例では、充電時間Tonを可変とし中断時間Toffを固定として、いずれも数秒程度の時間とした。また、充電時間Tonの設定は後述するが、中断時間Toffは充電時間Ton中に増加した内部抵抗Rが十分に減少するのに必要な時間として固定されている。ここで、中断時間Toff中は、バッテリ50の充電のためにエンジン22を運転させる必要はないため、エンジン22の停止許可条件が成立していれば、中断時間Toffの開始時にエンジン22を停止して中断時間Toffの終了時(次の充電時間Tonが始まるまで)にエンジン22を再始動する。実施例では、走行用パワーPdrvが所定パワー未満となる条件や車速Vが高車速ではない条件(例えば60km/h未満),図示しない暖房装置に対する暖房要求がなされていない条件などのいずれもが成立する場合に、停止許可条件が成立するものとした。なお、車速Vに着目すると、車速Vが高車速以上(60km/h以上)のときにはエンジン22を停止させることなく間欠充電を行ない、車速Vが高車速未満(60km/h未満)のときにはエンジン22の停止を伴って間欠充電を行なうから、車速Vが高車速未満(60km/h未満)であることを条件としてエンジン22の運転の停止を伴う間欠充電を行なうものとなる。
次に、実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に充電サイクルTを設定する際の動作について説明する。図4は、HVECU70により実行される充電サイクル設定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、バッテリ50の蓄電割合SOCが所定の閾値以下になってバッテリ50の充電が要求されたときや充電を開始してからは充電が完了するまで充電時間Tonが終了する度に実行される。
この充電サイクル設定処理ルーチンが実行されると、HVECU70は、まず、車速センサ88からの車速Vや仮の充電電流Ibtmpなどの処理に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、仮の充電電流Ibtmpは、充放電要求パワー設定用マップを用いて導出した仮の充放電要求パワーPbtmpをバッテリECU52から入力したバッテリ50の端子間電圧で除したものを入力するものとした。こうしてデータを入力すると、エンジン22の上述した停止許可条件が成立しているか否かを判定する(ステップS110)。エンジン22の停止許可条件が成立していないときには、デフォルトの充電時間Ton(df)とデフォルトの中断時間Toff(df)との和を充電サイクルTに設定して(ステップS120)、本ルーチンを終了する。なお、例えば、デフォルトの充電時間Ton(df)が4秒でデフォルトの中断時間Toff(df)が1秒などに定められている。これにより、中断時間Toff中もエンジン22の運転を継続しながら充電サイクルTに基づいてバッテリ50が間欠充電される。なお、エンジン22からパワーの出力が要求されていないときには、エンジン22はアイドル運転(自立運転)される。また、上述した式(1),(2)により、仮の充放電要求パワーPbtmpを補正係数αで補正した充放電要求パワーPb*に基づいて間欠充電が行なわれる。
一方、ステップS110でエンジン22の停止許可条件が成立しているときには、入力した車速Vに基づいてエンジン22の始動に要するエネルギである始動エネルギEesを設定する(ステップS130)。ここで、始動エネルギEesは、実施例では、車速Vと始動エネルギEesとの関係を予め定めて始動エネルギ設定用マップとしてHVECU70のROMに記憶しておき、車速Vが与えられると、マップから対応する始動エネルギEesを導出することにより設定するものとした。この始動エネルギ設定用マップの一例を図5に示す。図示するように、始動エネルギEesは、車速Vが値0で最も大きく車速Vが高くなるほど小さくなるように定められている。ここで、上述したように、共線図上では駆動軸36(リングギヤ),エンジン22のクランクシャフト26(キャリア),モータMG1の回転軸(サンギヤ)の順に並んでいる。そして、エンジン22の運転を停止して走行している場合には、エンジン22(キャリア)の回転数は値0であるから、共線図上では車速Vが高くなるほど即ち駆動軸36(リングギヤ)の回転数が大きくなるほどモータMG1(サンギヤ)の回転数が負側に大きくなる。また、エンジン22を始動する場合には、エンジン22の回転数を正側に上げるためのトルクがモータMG1から出力され、モータMG1の回転数は負側から正側に向かって変化する。このため、モータMG1の回転数が負側に大きくなるほど、エンジン22の始動に利用できるモータMG1の回転エネルギが大きなものとなる。したがって、車速Vが高くなるほどモータMG1の回転エネルギをより多く利用してエンジン22を始動することができ、エンジン22の始動によって消費されるバッテリ50のエネルギを小さなものとすることができる。これらのことから、車速Vが高くなるほどエンジン22の始動エネルギEesが小さくなる傾向に始動エネルギ設定用マップが定められているのである。
次に、充電時間Tonを設定する(ステップS140)。この充電時間Tonの設定について説明する。図6は、充電時間Tonの設定の考え方を示す説明図である。ここで、1サイクル当たりのエネルギ損失の減少量を損失減少量Elossとし、単位時間当たりの熱損失の減少量を損失減少量Plossとする。この損失減少量Plossは、連続的に充電電流を流したときの充電電流の2乗に内部抵抗を乗じた単位時間当たりの熱損失と、間欠充電したときの充電電流の2乗に内部抵抗を乗じた単位時間当たりの熱損失との差分として求めることができる。ここで、間欠充電時の内部抵抗Rは、上述したように、中断時間Toff中には十分に減少し、充電時間Ton中の増加は一次遅れで近似することができる。このため、充電時間Ton中のある時刻における内部抵抗Rを抵抗R1とすると、抵抗R1は、充電時間Tonの開始時の抵抗値(中断時間Toff中の減少による到達値)と、充電時間Ton中の経過時間とにより求めることができる。また、上述したように、充電時間Ton中は仮の充放電要求パワーPbtmpに補正係数αを乗じた充放電要求パワーPb*が設定されるから、理論上は、仮の充放電要求パワーPbtmpに基づいて算出した充電電流Ibtmpに補正係数αを乗じた電流が充電時間Ton中に流れることになる。このため、間欠充電時の熱損失は、充電電流Ibtmpに補正係数αを乗じた電流を2乗して抵抗R1を乗じたものとなる。一方、連続的に充電電流を流したときの熱損失は、充電電流Ibtmpの2乗に内部抵抗R0を乗じたものとなる。このため、次式(3)に示すように、単位時間当たりの損失減少量Plossを算出することができる。また、1サイクル当たりの損失減少量Elossは、次式(4)に示すように、単位時間当たりの損失減少量Plossを充電時間Tonに亘って即ち区間[0,Ton]で積分したものとなる。
Ploss=Ibtmp2・R0-(α・Ibtmp)2・R1 (3)
Eloss=∫Plossdt ([0,Ton]) (4)
実施例のように、エンジン22の停止を伴ってバッテリ50の間欠充電を行なう場合、エネルギ効率を向上させるためには、1サイクル当たりの損失減少量Elossからエンジン22の始動エネルギEesを減じたエネルギに充電サイクルTの繰り返しの回数であるサイクル数を乗じた値が最も大きくなるようにすることが望ましい。ここで、式(4)に示すように、1サイクル当たりの損失減少量Elossは、単位時間当たりの損失減少量Plossを充電時間Tonで積算したものであるから、充電時間Tonが長くなるほど大きなものとなる。一方で、連続的に充電電流を流したときの抵抗R0と間欠充電時の抵抗R1との差分は、時間の経過と共に小さくなるから、充電時間Tonが長くなるほど小さくなって値0に近付く。このため、単位時間当たりの損失減少量Plossは、充電時間Tonが長くなると頭打ちとなる。また、サイクル数は、充電時間Tonが短いほど多いものとなる。以上のことから、充電時間Tonを短く設定すると、サイクル数は多くなるものの1サイクル当たりの損失減少量Elossが小さくなるため、エネルギ効率が低下する可能性がある。一方、充電時間Tonを長く設定すると、サイクル数は減少するものの1サイクル当たりの損失減少量Elossが大きくなるためエネルギ効率が向上する可能性があるが、充電時間Tonを長くしすぎると単位時間当たりの損失減少量Plossが頭打ちとなりサイクル数も大きく減少するから却ってエネルギ効率が低下する可能性がある。これらのことを踏まえて、実施例では、1サイクル当たりの損失減少量Elossが始動エネルギEesよりも大きくなるような充電時間Tonのうち、エネルギ効率が最もよくなるように充電時間Tonを設定するものとした。なお、1サイクル当たりの損失減少量Elossが始動エネルギEesよりも大きくなるような充電時間の範囲内であれば、少なくともエネルギ効率を向上させることができるから、そのような範囲内で任意の充電時間Tonを設定するものとしてもよい。
こうして充電時間Tonを設定すると、設定した充電時間Tonとデフォルトの中断時間Toff(df)との和を充電サイクルTに設定して(ステップS150)、本ルーチンを終了する。これにより、充電サイクルTに基づいてバッテリ50が間欠充電されると共に中断時間Toffの開始に伴ってエンジン22の運転を停止し中断時間Toffの終了に伴ってエンジン22が再始動される。また、上述した式(1),(2)により、仮の充放電要求パワーPbtmpを補正係数αで補正した充放電要求パワーPb*に基づいて間欠充電が行なわれる。これらのことから、バッテリ50を間欠充電する際に、中断時間Toff中にエンジン22の運転を停止して無駄な燃料消費を抑制することができる。また、始動エネルギEesよりも1サイクル当たりの損失減少量Elossが大きくなるように充電時間Tonを設定するから、1サイクル当たりの損失減少量Elossを超えるエネルギがエンジン22の始動によって消費されるのを防止することができる。したがって、バッテリ50の充電をより効率よく行なうことができる。また、車速Vが高くなるほど始動エネルギEesが小さくなる傾向を踏まえて充電時間Tonを設定するから、充電時間Tonが必要以上に長くなったりするのを防止して、車速Vに応じた適切な充電時間Tonを設定してバッテリ50の充電を効率よく行なうことができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、1サイクル当たりの損失減少量Elossがエンジン22の始動エネルギEesよりも大きくなるよう充電時間Tonを定め、充電時間Tonと中断時間Toffとの和である充電サイクルTの繰り返しによりバッテリ50を間欠充電すると共に中断時間Toff中にエンジン22の運転を停止するから、中断時間Toff中のエンジン22の無駄な燃料消費を抑制することができ、また、1サイクル当たりの損失減少量Elossを超えるエネルギがエンジン22の始動によって消費されるのを防止することができる。この結果、バッテリ50の充電をより効率よく行なうことができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、中断時間Toffを固定としたが、これに限られず、中断時間Toffを可変としてもよい。この場合、例えば、充電時間Tonの終了時の内部抵抗Rの到達値を求め、求めた到達値と単位時間当たりの内部抵抗Rの減少の度合いとから内部抵抗Rが充電開始前の初期値近傍まで減少するのに必要な時間を算出し、算出した時間を中断時間Toffに設定するものとしてもよい。あるいは、設定した充電時間Tonに対して所定値(例えば、4分の1や8分の1など)を乗じた時間を中断時間Toffに設定するものなどとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の始動エネルギEesに車速Vに応じて変化する値を設定するものとしたが、これに限られず、一定の値を設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、車速Vが高車速以上のときにはエンジン22を停止させることなく間欠充電を行ない車速Vが高車速未満のときにはエンジン22の停止を伴って間欠充電を行なうものとしたが、これに限られず、車速Vに拘わらずエンジン22の停止を伴って間欠充電を行なうものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、単位時間当たりの損失減少量Plossを区間[0,Ton]で積分したものを1サイクル当たりの損失減少量Elossとしたが、これに限られず、単位時間当たりの損失減少量Plossを区間[0,T(=Ton+Toff)]で積分したものを1サイクル当たりの損失減少量Elossとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を駆動軸36に出力するものとしたが、図7の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力を駆動軸36が接続された車軸(駆動輪38a,38bが接続された車軸)とは異なる車軸(図7における車輪39a,39bに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力をプラネタリギヤ30を介して駆動輪38a,38bに接続された駆動軸36に出力するものとしたが、図8の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフトに接続されたインナーロータ232と駆動輪38a,38bに動力を出力する駆動軸36に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸36に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、駆動軸36にプラネタリギヤ30を介して接続されたエンジン22およびモータMG1と、駆動軸36に動力を入出力するモータMG2と、を備えるものとしたが、図9の変形例のハイブリッド自動車320に例示するように、エンジン22に発電用のモータMG1が取り付けられると共に走行用のモータMG2を備えるものとしてもよい。なお、このハイブリッド自動車320では、エンジン22の始動エネルギEesは車速Vによらず一定となるから、始動エネルギEesに一定の値を設定して充電サイクルT(充電時間Ton)を設定するものとすればよい。
実施例では、充電制御装置をハイブリッド自動車20に搭載するものとしたが、これに限られず、充電制御装置をハイブリッド自動車以外の車両に搭載するものとしてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、バッテリ50が「バッテリ」に相当し、エンジン22が「エンジン」に相当し、モータMG1が「発電機」に相当し、図4の充電サイクル設定処理ルーチンを実行し設定した充電サイクルTの繰り返しによりバッテリ50を間欠充電するようエンジン22とモータMG1とを制御するエンジンECU24とモータECU40とHVECU70とが「充電制御装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、充電制御装置や車両の製造産業などに利用可能である。
20,120,220,320 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、30 プラネタリギヤ、36 駆動軸、37 デファレンシャルギヤ、38a,38b 駆動輪、39a,39b 車輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、70 ハイブリッド用電子制御ユニット(HVECU)、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ、234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ。

Claims (1)

  1. バッテリと、該バッテリの電力を用いて始動されるエンジンと、該エンジンの動力を用いて発電し前記バッテリを充電する発電機と、を備える車両において、前記バッテリの充電と充電中断との間欠充電用のサイクルを定め、該サイクル当たりの充電電力量を前記バッテリを連続充電するとした場合に揃えて該サイクルの繰り返しにより該バッテリを間欠充電するよう前記エンジンと前記発電機とを制御する充電制御装置であって、
    前記間欠充電の充電中断中に前記バッテリの内部抵抗が低下することに基づいて該間欠充電中のエネルギ損失が前記連続充電するとした場合のエネルギ損失よりも減少する分のエネルギが、前記エンジンの始動に要するエネルギよりも大きくなるよう前記サイクルを定め、前記間欠充電の充電中断中は前記エンジンの運転を停止するよう前記エンジンと前記発電機とを制御する
    充電制御装置。
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