JP2013001939A - 摺動部材及び圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】クランクシャフト3またはベーン46は、基材上にダイヤモンドライクカーボン皮膜層54を備え、このダイヤモンドライクカーボン皮膜層54と相手方の部材との間にオイルが供給された状態で摺動する構成とし、ダイヤモンドライクカーボン皮膜層54の摺動面54Aに、孔径の異なる第1の空孔61及び第2の空孔62を形成し、孔径の大きな第1の空孔61と孔径の小さな第2の空孔62とが、摺動方向Xに沿って、交互に配列されている。
【選択図】図4
Description
更に、近年、ダイヤモンドライクカーボン皮膜層に凹部(空孔)を複数形成し、この凹部を潤滑油溜まりとすることにより、潤滑油切れによる焼き付きを防止する技術が提案されている(特許文献2参照)。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、摺動面に潤滑油を確実に供給し、潤滑性能を高めた摺動部材及び圧縮機を提供することを目的とする。
図1は、本実施の形態に係るロータリ圧縮機100の一態様を示す縦断面図である。このロータリ圧縮機100は、冷媒の凝縮器と蒸発器との間に配管接続されて冷凍機ユニットを構成するものであり、図1に示すように、密閉容器1を有し、この密閉容器1の上側に電動要素(駆動要素)2が、下側にこの電動要素2のクランクシャフト3(回転軸)によって駆動されて冷媒を圧縮する回転圧縮要素4が収納されている。
したがって、密閉型ロータリ圧縮機100にあっては、電動要素2がクランクシャフト3を回転駆動することによってローラ45を圧縮室43内において偏心回転させることにより、アキュムレータを介して機外から供給された冷媒が吸込管6を介して圧縮室43の低圧室側43Aに吸入され、その冷媒を高圧室側43Bに移動させながら圧縮して吐出口40から密閉容器1内に吐出し、吐出管13から機外に吐出することになる。
また、密閉容器1に貯留されるオイルは、動粘度が20〜120mm2/s程度のものが望ましく、例えば、ポリビニルエーテル、ポリオールエステル、アルキルベンゼン、ポリアルファオレンまたはポリアルキレングリコールのいずれかが用いられている。
本実施形態のクランクシャフト3及びベーン46は、基材としてCr(クロム)を含有する鋼、鋳鉄材、球状黒鉛鋳鉄材、共晶黒鉛鋳鉄材、もしくは鉄系焼結材のいずれかが用いられており、図3に示すように、これら基材上にクロム(Cr)層55、クロム(Cr)/炭化タングステン(WC)混合層56、炭化タングステン(WC)/ダイヤモンドライクカーボン(DLC)混合層57を積層した中間層53を備え、この中間層53の上に、純度の高いダイヤモンドライクカーボン皮膜層54が形成されている。
中間層53は、基材とダイヤモンドライクカーボン皮膜層54との密着性を高めるものであり、基材からダイヤモンドライクカーボン皮膜層54へかけて順次硬度を高めるように積層されている。これによれば、ダイヤモンドライクカーボン皮膜層54の剥離を防止することができ、強度の強い皮膜層を形成することができる。この中間層53は、PVD(Physical Vapor Deposition)処理法により形成される。
このため、本構成では、図4に示すように、第1の空孔61と第2の空孔62とは、摺動方向Xに沿って交互に配列されている。この構成によれば、孔径の大きな第1の空孔61に溜まったオイルから先に排出される。このオイルは摺動方向Xの下流側にある孔径の小さな第2の空孔62に流入し、この第2の空孔62内のオイルが遅れて排出されることにより、長期間に亘って、摺動面54Aにオイルを確実に供給することができ、潤滑性能を高めることができる。
図5は、第1の空孔61及び第2の空孔62を形成したダイヤモンドライクカーボン皮膜層54と、従来のダイヤモンドライクカーボン皮膜層との摩耗量を比較したグラフであり、図6は、第1の空孔61及び第2の空孔62を形成したダイヤモンドライクカーボン皮膜層54と、従来のダイヤモンドライクカーボン皮膜層との摩擦係数を比較したグラフである。
この実験は、オイルと冷媒(溶剤)とを1:9で加えて希釈したものを供給した状態で、各試験片に施されたダイヤモンドライクカーボン皮膜層の摩耗量と、摩擦係数とをそれぞれ計測したものである。摩耗量は、同一の条件下で所定時間運転を継続した後に、各試験片の重量を測定することにより行った。また、摩擦係数は、ロードセルを用いて安定状態に入った摩擦係数の平均値を算出することにより行った。
この実験によれば、図5に示すように、摩耗量が約35%低減することが判明した。また、摩擦抵抗は、図6に示すように、約16%低減することが判明した。
また、ロータリ圧縮機100を縦型で説明したが、ロータリ圧縮機100は縦型に限られず、横置き型であってもよい。
さらに、本実施形態では、第1の空孔61と第2の空孔62の2種類を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、3種類以上の孔径の異なる空孔を用いても本発明を適用できる。
2 電動要素(駆動要素)
3 クランクシャフト(回転軸、摺動部材)
3B 摺動面
4 回転圧縮要素
6 吸込管
8 オイル
41 シリンダ
43 圧縮室
43A 低圧室
43B 高圧室
44 偏心部
45 ローラ
46 ベーン(摺動部材)
46A 摺動面
47 ベーン溝(ベーンスロット)
50 オイルピックアップ
50A 下端
51 パドル
52 給油孔
53 中間層
54 ダイヤモンドライクカーボン皮膜層(硬質炭素皮膜層)
54A 摺動面
60 空孔(有底の空孔)
61 第1の空孔
62 第2の空孔
100 圧縮機
X 摺動方向
Claims (6)
- 基材上に硬質炭素皮膜層を備え、この皮膜層と相手方の部材との間に潤滑油が供給された状態で摺動する摺動部材において、
前記硬質炭素皮膜層の摺動面には、孔径の異なる複数の有底の空孔が形成され、孔径の大きな空孔と小さな空孔とが、摺動方向に沿って、交互に配列されていることを特徴とする摺動部材。 - 前記有底の空孔は、略等間隔に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の摺動部材。
- 前記有底の空孔は、前記基材の表面に達しない深さに形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の摺動部材。
- 前記基材と前記硬質炭素皮膜層との間に複数の中間層を形成し、これら中間層は、前記基材から前記硬質炭素皮膜層へかけて順次硬度を高めるように積層されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の摺動部材。
- 前記硬質炭素皮膜層をダイヤモンドライクカーボン皮膜層としたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の摺動部材。
- 密閉容器内に駆動要素と、該駆動要素の回転軸にて駆動される回転圧縮要素とを備え、前記回転圧縮要素が、前記回転軸を軸支する軸受と、シリンダと、前記回転軸に形成された偏心部と、前記偏心部に嵌合されてシリンダ内で偏心回転するローラと、前記ローラに当接してシリンダ内を高圧室と低圧室とに区画するベーンと、前記シリンダに形成され、前記ベーンを移動自在に収納するベーンスロットとを備えた圧縮機において、
前記回転軸または前記ベーンは、基材上に硬質炭素皮膜層を備え、この硬質炭素皮膜層と相手方の軸受またはベーンスロットとの間に潤滑油が供給された状態で摺動する構成とし、前記硬質炭素皮膜層の摺動面には、孔径の異なる複数の有底の空孔が形成され、孔径の大きな空孔と小さな空孔とが、摺動方向に沿って、交互に配列されていることを特徴とする圧縮機。
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WO2022138849A1 (ja) * | 2020-12-24 | 2022-06-30 | 日本アイ・ティ・エフ株式会社 | 硬質炭素膜とその成膜方法 |
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2011
- 2011-06-15 JP JP2011133084A patent/JP5842169B2/ja active Active
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