JP2002323045A - 摺動部材及びその製造方法 - Google Patents

摺動部材及びその製造方法

Info

Publication number
JP2002323045A
JP2002323045A JP2001124077A JP2001124077A JP2002323045A JP 2002323045 A JP2002323045 A JP 2002323045A JP 2001124077 A JP2001124077 A JP 2001124077A JP 2001124077 A JP2001124077 A JP 2001124077A JP 2002323045 A JP2002323045 A JP 2002323045A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sliding
sliding member
sliding surface
irregularities
dlc film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001124077A
Other languages
English (en)
Inventor
Masayuki Mori
誠之 森
Kazuhiro Umeki
和博 梅木
Daisuke Sasaki
大輔 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Optical Industries Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Optical Industries Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Optical Industries Co Ltd filed Critical Ricoh Optical Industries Co Ltd
Priority to JP2001124077A priority Critical patent/JP2002323045A/ja
Publication of JP2002323045A publication Critical patent/JP2002323045A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 摺動部材の摺動特性をより改善する。 【解決手段】 平面研削用X−Yステージの平板状摺動
部材2の摺動面には表面上の寸法が0.5〜500μ
m、高さが0.5〜3μmの凸部又は凹部6が形成され
ており、摺動面がDLC皮膜で被われている。これらの
微小な凸部6が潤滑剤を摺動部に供給して対摩耗性、対
焼付性を向上させ、さらにDLC皮膜が摩擦係数を低下
させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摺動部に潤滑剤を
介在させた平面又は曲面を有する摺動部材及びその製造
方法に関し、特に往復動したり高い面圧が発生するため
摺動部に潤滑剤を保持しておくのが容易でない摺動部材
とその摺動面の製造工程に特徴をもつ製造方法に関する
ものである。
【0002】そのような摺動部材としては、平面研削用
X−Yステージ、自動車用エンジンの主軸受、クランク
ピン軸受、カムシャフトの回転運動を吸排気弁に伝達す
るロッカーアーム、その他、往復摺動が発生する種々の
機構を挙げることができる。
【0003】
【従来の技術】相手材料への攻撃による摩耗を考慮し
て、一般には互いに摺動する金属表面を超平滑に仕上げ
ることが行なわれている。しかし、摺動面を平滑にする
ほど、潤滑剤に対する保持力が低下し、耐焼付性が十分
でない結果になる。
【0004】摺動面を同種金属の組合わせにすると、す
ぐに焼付が発生してしまうことが多いため、異種金属同
士を組み合わせて使用することが多く、また摺動部材の
摺動面に表面処理を施し、摺動特性のより一層の向上を
図っている。また、すべり軸受の周方向に溝をもうける
ことにより耐焼付性、耐久性の向上を図ることもなされ
ている。
【0005】そこで、摺動特性を改善するために、摺動
面に潤滑剤を保持する凹部を設けることが行なわれてい
る。その1つとして、その凹部を深さが0.03〜0.3
mm、直径が0.5〜3.5mmになるように形成するこ
とが提案されている(特表2000−504089号公
報参照)。摺動面に設けられる凹部は、エンボス加工な
ど、機械的加工方法により形成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】摺動面に凹部を設けて
潤滑剤の保持力を増すことによって摺動特性を向上させ
る試みにおいて、その凹部はエンボス加工のような機械
的加工方法により形成されているため、加工できる大き
さや摺動面の材質に制約がある。そのため、摺動特性を
より向上させるには限界がある。本発明は、耐摩耗性、
摩擦係数や耐焼付性といった摺動特性をより改善した摺
動部材とその製造方法を提供することを目的とするもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は摺動部に潤滑剤
を介在させた平面又は曲面を有する摺動部材であって、
その摺動面の少なくとも一部には表面上の寸法が0.5
〜500μmの凹凸が形成されており、かつ少なくとも
その凹凸が形成されている摺動面の表面にはDLC(ダ
イヤモンド状カーボン)皮膜が形成されている。
【0008】摺動面に0.5〜500μmの微小な凹凸
形状を人工的に作り出していることにより、凹凸形状に
よる潤滑剤溜りが生じやすくなり、摺動面における潤滑
剤の保持と供給を容易になって耐摩耗性、耐焼付性が向
上する。
【0009】少なくともその凹凸が形成されている摺動
面の表面をDLC表面処理することにより、摩擦係数が
小さくなり、摩耗量が減少する。さらに、凹凸のある表
面の硬度が向上し、摺動面の耐摩耗性が向上し、寿命が
長くなる。凹凸形状は、凹部と凸部のいずれであっても
よい。
【0010】このような微小な凹凸形状は、従来のよう
な機械加工で形成することは困難であるが、本発明によ
れば、以下の工程(A)から(D)を含むことによって
その摺動部材を製造することができるようになる。 (A)摺動部材の母材料で摺動面となる部分の少なくと
も一部に感光性材料を塗布する工程、(B)目的の凹凸
構造を製作する為のマスクを用いて前記感光性材料を三
次元形状にパターン化するフォトリソグラフィー工程、
(C)形成された感光性材料パターンを硬化させる工
程、及び(D)硬化した感光性材料パターンをドライエ
ッチングにより前記摺動面に転写する工程。 その後、凹凸が形成された摺動面の表面にDLC皮膜を
形成する。本発明の製造方法は、ドライエッチング又は
ウエットエッチングが可能な金属材料すべてに適用する
ことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】摺動面に形成する凹凸は大きさを
均一にすることができ、また、凹凸が形成されている摺
動面では、凹凸は摺動面に均等に配置することができ
る。また、凹凸が形成されている摺動面では、摺動面に
占める凹凸の割合は10〜95%が適当である。潤滑剤
として潤滑油、固体潤滑材添加潤滑油又はグリースを使
用することができる。
【0012】凹凸形状のうち、凸形状が好ましい。そし
て、凸形状の表面にはさらに微細な凹凸が形成されてい
ることがより好ましい。すなわち、潤滑剤が摺動部に流
れ込むことによって摩擦、摩耗の改善、つまり摩擦係数
や摩耗量の低減が図られる。この潤滑剤の流れ込みは、
摺動部端面に楔状の隙間が形成されていることによる楔
効果により促進される。摺動面に微小凸形状を形成する
ことにより多くの楔状隙間が形成され、さらに凸形状の
表面に微細な凹凸を形成することにより一層多くの楔状
隙間が形成されるため、高荷重条件下でも潤滑剤が流れ
込んで流体膜を形成することが容易になり、摩擦、摩耗
が改善される。
【0013】一方、研削などで製作される突起は、鋭
く、接触面圧が高すぎるため、潤滑剤による流体膜の形
成が困難である。これに対し、本発明では滑らかな曲面
を有する凹凸を製作することができるので、潤滑剤によ
る流体膜の形成が可能で、かつ楔形状の制御と潤滑剤の
供給が可能である。DLC皮膜の膜厚は、0.05μm
〜5μmが適当である。
【0014】さらに、DLC皮膜は下地層を備えている
ことがこのましい。その下地層は積層膜であることが好
ましい。その下地層の最下層は、下地基板材料に含まれ
る材料で構成されることが望ましく、その場合には下地
基板との密着性が高く、応力が小さく、格子欠陥が小さ
くなるからである。そのような最下層としては、Cr、
W、Fe、Co、Ti、Moなどを挙げることができ
る。
【0015】また、DLCは、炭素材料から構成される
ため,酸化反応に対して比較的弱い性質を有している。
このため、下地層の最上層には,酸化物形成の自由エネ
ルギーの大きな(酸化され難い)材料で構成されること
が望ましい。そのような最上層としては、Si、Mo−
Si、Mo−Si−Cu、Cu、Zn、Pb、Niなど
を挙げることができる。下地層の最下層と最上層の間に
は中間層を介在させてもよい。中間層は最下層と最上層
の中間に位置するので、クッション層の働きをする材料
であればよい。
【0016】本発明の製造方法では、感光性材料パター
ンをドライエッチングにより摺動面に転写する工程
(D)において、エッチング中にエッチング条件を変化
させて感光性材料と摺動面の金属部材とのエッチング選
択比を調節することにより、目的とする凹凸の形状を所
望の形状になるように調整することができる。
【0017】凹凸が形成された摺動面の表面にDLC皮
膜を形成する工程では、そのDLC皮膜形成に先立って
Cr,W,Fe,Co,Ti及びMoからなる群から選
ばれた最下層と、Si,Mo−Si,Mo−Si−C
u,Cu,Zn,Pb及びNiからなる群から選ばれた
最上層を少なくとも備えた積層膜の下地層を形成するこ
とが好ましい。本発明により凹凸を形成する摺動面の材
質は、摺動部材に使用することができ、ドライエッチン
グを施すことのできるものであれば特に制約を受けな
い。
【0018】凹凸が形成されている摺動面の表面にDL
C皮膜を形成する方法の一例として、プラズマCVD
(Chemical Vapor Deposition)法を挙げることができ
る。また、DLC皮膜の下地層は、スパッタリング法、
真空蒸着法、イオンアシスト蒸着法、レーザーアブレー
ション法などにより成膜することができる。
【0019】
【実施例】図1は第1の実施の形態による平面研削用X
−Yステージの平板状摺動部材2を表わし、図2は第2
の実施の形態による摺動部材である湾曲したブシュ4を
表わしている。これらの摺動部材2,4はSUJ2(軸
受鋼)からなり、それらの摺動面には表面上の寸法が
0.5〜500μm、高さ又は深さが0.5〜300μm
の凸部又は凹部6が形成されている。凸部又は凹部6
は、図3に示されるように、曲面状の凸部6a又は曲面
状の凹部6bである。それらの凸部6a又は凹部6b
は、表面上の寸法、及び高さ又は深さが均一になるよう
に形成されており、摺動面に均等に配置されている。摺
動面に占めるそれらの凸部6a又は凹部6bの表面上で
の面積の割合は10〜95%である。摺動面にはDLC
皮膜が形成されている。DLC皮膜はCVD法により堆
積することができる。
【0020】図1の平面研削用X−Yステージでは、そ
の平板状摺動部材2の凸部又は凹部6が形成されている
摺動面にグリースその他の潤滑剤を塗布して使用する。
図2のブシュ4は軸受の軸受面に嵌め込み、摺動面にグ
リースその他の潤滑剤を介在させて使用する。これらの
摺動部材では、微小な凸部又は凹部6が潤滑剤を保持す
る作用を果たし、対摩耗性、対焼付性に寄与する。
【0021】次に、これらの実施例の製造方法について
説明する。 (濃度分布マスクレチクルの製作)図3に示すような凸
部6a又は凹部6bを形成するように設計したCADデ
ータに基づき、図4に示すレーザー光照射装置(リコー
光学株式会社製)を用いてレーザー光を照射しマスクブ
ランクス上のレジスト材料に描画を行なった。マスクブ
ランクスは透明ガラス基板上に遮光膜となるCr(クロ
ム)膜を形成し、その上にレジスト材料層を形成したも
のである。このレーザー光照射では、所望の形状に応じ
て最適のビーム形状を決定し、多角形形状や円形状など
をアパチャーで整形することができる。また、レーザー
パワーは、レーザーに供給する電流値を変更するか、ま
たは光出射側に減光フィルターを挿入して変更してもよ
い。
【0022】図に示すレーザー光照射装置は、レーザー
光発振装置1、レーザー光発振装置1からのレーザー光
を複数のレーザー光に分割するビームスプリッター2、
レーザー光の光路を折り曲げるミラー3、ミラー3で折
り曲げられたレーザー光を変調する光変調器4、データ
バスからの信号により光変調器4を制御して個々のレー
ザー光のON・OFFを制御する光変調制御装置5、光
変調器4からのレーザー光を偏向する光偏向器6、レー
ザー光をレジスト材料層に集光するための対物レンズ
7、載置されたマスクブランクスをX方向及びY方向に
移動するX−Yステージ8、並びに光偏向器6の動作と
X−Yステージ8の動作を制御する制御装置9などの主
要構成部品から構成されている。
【0023】このレーザー光照射装置は、設計データに
応じてX−Yステージ8の動作と、個々のレーザー光の
ON・OFF及び偏向を制御することにより、マスクブ
ランクスのレジスト材料層に所望のマスクパターンを描
画する。すなわち、このレーザー光照射装置によりレジ
スト材料層にレーザー光を照射して各単位セル(レジス
ト材料層の表面領域を隙間なく分割した微小領域)毎に
光透過領域又は遮光領域を所望の透過率分布になるよう
に2次元的にパターン形成を行なう。また基板表面高さ
検出器(AF(自動焦点合わせ)機能)が付属してお
り、AF面から僅かにずらすことによって焦点位置を変
更している。レーザービーム径は本実施例では直径0.
2μm、位置あわせ精度0.05μm、焦点位置精度0.
1μmで行なった。尚、単位セル形状とドット形状は目
的とする製品により適当なものを選択すればよい。
【0024】上記のようにして作成したCADデータを
図に示したレーザー光照射装置にインストールして、X
−Yステージとレーザー光のON,OFF及びビーム描
画位置と描画回数を制御しながら、所定の方法でマスク
ブランクスに露光した。そして、所定の方法で現像、リ
ンスを行なってレジスト材料層をパターニングした。そ
の後、そのレジスト材料層パターンをマスクとしてドラ
イエッチングにてCr膜のパターニングを行なった。こ
のようにして、目的とする開口寸法を有し、かつ濃度分
布を有する濃度分布マスクレチクルを製作した。
【0025】(マイクロ凸構造による摩擦係数低下の平
面研削用X−Yステージの摺動面の製作)製作した濃度
分布マスクは、具体的には,直径50μmの凸形状のマ
イクロレンズアレイ状のものを表面に製作するためのも
のであり、かつこのマイクロレンズ構造の総合面積が全
体面積の30%以下になるように製作するためのもので
ある。このとき、濃度分布マスク製作の要領は、中央部
の4×4=16単位セル(濃度分布マスクレチクル上で
は2μm×2μmの正方形、実際のパターンでは0.8
μm×0.8μmの正方形)にはセルNo.80番(クロ
ム残りなし)を配置する。また、レンズ四隅部分はセル
No.1番(クロム全部残り)を配置する。この間のN
o.1〜No.80のセルには、各「階調」に対応する
「開口面積」を対応させる。単位セルの階調はセルN
o.が増加していくほど開口面積が増加していくように
設定されている。この関係は、露光プロセスとレジスト
感度曲線から得られる関係である。勿論、レジスト材料
やプロセスが異なればその都度感度曲線を把握する必要
がある。具体的には,2μm×2μmの単位セルを0.
2μm×0.2μmの小さな領域に分割し、10×10
=100の領域に分割した。この領域に所定の光透過量
を与えながら,かつ微細な凸が形成できるように各単位
セルの光透過領域を配置する。
【0026】凸形状表面にさらに微細な凹凸形状を形成
する場合には、所望の単位セル部分に曲面形状を形成す
るための単位セルNo.よりも大きいNo.の単位セルを
配置する。例えば、凹凸曲面の設計において、No.3
0の単位セルが配置される箇所にNo.36の単位セル
を配置する。これによって、形成されるレジスト形状は
曲面凸形状の中にさらに微細な凹凸を有する形状が形成
できる。
【0027】摺動部材の母材料として両面研磨した超硬
合金を用意した。この表面上にレジストとして高感度感
光性材料(東京応化社製:OFPR−5000−80
0)をスピンナーにて塗布した。その後,ホットプレー
ト上で90℃、120秒間プリベークした。この時のレ
ジスト厚さは9.2μmであった。
【0028】次いで,上記マスクを用いて縮小率1/
2.5のステッパーで縮小露光した。露光条件は,デフ
ォーカス:+0μm、照射量:390mW×0.69秒
(照度:269mJ)である。デフォーカスは焦点位置
をレジスト表面からずらすことであるが、デフォーカス
量0は焦点位置をレジスト表面に合わせたジャストフォ
ーカスを意味している。
【0029】露光後、PEB(ポスト・エキスポージャ
ー・ベーク)を60℃にて180秒実施した。次いで、
レジストの現像、リンスを行なった。このときのレジス
ト高さは8.0μmであった。ジャストフォーカスの効
果によって、レジスト表面には狙いどおりの凹凸微細形
状を製作することができた。
【0030】その後、紫外線硬化装置にて180秒間紫
外線を照射しながら真空引きを実施して、レジストのハ
ードニングを行なった。紫外線硬化装置は、レジストの
露光に使用する波長よりも短波長でレジストを硬化させ
ることのできる波長を照射する。この操作によって、レ
ジストの耐プラズマ性は向上し、次工程での加工に耐え
られるようになる。このときのレジスト高さは7.5μ
mであった。
【0031】ついで、ホットプレート上で、95℃で5
分間、後ポストベーク(ハードニング後のポストベー
ク)を行った。この時、温度上昇は25℃から95℃ま
で70℃/4分(17.5℃/分)の勾配で上昇させ
た。その後,95℃で1分間保持した。この加熱によっ
て、レジスト中の溶剤を徐々に蒸発させながら、かつ加
熱の後半ではレジストの表面凹凸を僅かに流動させて目
的形状を得ることができた。
【0032】次に、上記の感光性レジスト材料形状をド
ライエッチング法によって超硬合金に転写した。ドライ
エッチングは、TCP(誘導結合型プラズマ)ドライエ
ッチング装置を用い、Cl2:10.0sccm、C
4:5.5sccmのガスを導入しながら、基板バイア
ス電圧:1200W、上部電極パワー:1250W、真
空度1.5×10-3Torr、(すなわち1.5mTo
rr)で40分間エッチングを行った。この時の超硬合
金のエッチング速度は、0.02μm/分であった。エ
ッチングの選択比(超硬合金のエッチング速度/レジス
トのエッチング速度)は0.2でエッチング後の形状高
さは、1.6μmであった。表面粗さは、Ra=0.00
1μm以下で良好であった。
【0033】上記超硬合金のマイクロ凸形状の表面に
は,更に小さな直径0.02〜0.1μm程度の凹凸があ
った。この合金表面に潤滑材料を滴下し摩擦係数を測定
すると、マイクロ凸形状がない場合に比較して1/10
に低下した。
【0034】そのマイクロ凸形状が形成された摺動面に
プラズマCVD法によりDLC皮膜を形成した。そのた
めに、この摺動部材をDLC成膜装置のチャンバー内に
設置し、その摺動部材を250℃に加熱した。その温度
が安定したところで、チャンバー内にエチレンガスを流
しながら、アンテナRF(高周波)を与えてエチレンを
プラズマ化し、材料表面に厚さが100〜1000nm
のDLC膜を成膜した。アンテナRFパワーは600〜
1000Wが適当であり、エチレンガス流量は7.5〜
22.5sccmが適当である。アンテナRFパワーを
大きくすると成膜速度が大きくなる。
【0035】ここでは、DLC皮膜の密着性と耐久性を
向上させるために、Si(膜厚50〜500nm)とC
r(膜厚50〜200nm)を下地層として形成したD
LC/Si/Cr/摺動面表面となる積層構造とした。
【0036】他の実施例として、DLC皮膜の密着性と
耐久性を向上させるための下地層として、最下層が下地
基板材料に含まれる材料であるCr層(膜厚100n
m)、その上に中間層としてMo−Si層(膜厚300
nm)、さらにその上に最上層としてSi層(膜厚15
0nm)からなる積層膜を形成した。その結果、上の実
施例と同様に密着性良好、耐久性良好なDLC皮膜が得
られた。
【0037】往復運動式摩擦試験装置を用いて摩擦試験
を行なった結果を表1、表2に示す。
【表1】
【0038】表1は試料基板(SUJ2)表面がフラッ
ト面のものと表面に凹形状をもつもののそれぞれで、表
面にDLC膜のあるものとないものについて、SUJ2
ボールと、表面にDLC膜のあるSUJ2ボールの2種
類のボールを用いて荷重50Nで摩擦係数と比摩擦量を
評価した結果である。潤滑剤としては添加剤を含まない
中粘度合成炭化水素油を用いた。摩擦試験の移動距離は
片側2.5mmで、往復移動の周波数を1Hzとした。
すなわち、移動速度は5.0mm/秒である。「凹面
(ピッチ55μm)」は、凹部の直径が50μm、凹部
間の平坦部の長さが5μmであることを示している。
「摩擦係数」は摩擦特性を数量化するために、試験中の
摩擦力を摩擦係数で表現したものであり、摩擦力は摩擦
の式から計算で変換して求めた。「比摩耗量」は摩擦試
験後に摩擦により擦り減ったSUJ2ボールの[体積減
少量]を求め、摩擦試験時の移動距離[摩擦試験移動距
離]と[試験荷重]とから次の式により求めたものであ
る。 比摩耗量=[体積減少量]/[摩擦試験移動距離]×[試験
荷重] 単位はmm2/Nである。
【0039】この試験結果から次のことがいえる。 凹面構造があることにより、摩擦係数を下げることが
できる。 DLC膜をフラット面及び凹面構造上に形成すること
によって、比摩耗量を低下させることができる。 凹面構造上にDLC膜を形成したものは、摩擦係数、
比摩耗量についてDLC膜を形成していないフラット面
のものに対して改善が見られる。
【0040】DLC表面処理した効果を表2により説明
する。表2はDLC膜の有無による違いを摩擦特性の違
いで評価した結果である。
【表2】 表2の測定条件で、移動距離及び移動速度は表1の測定
条件と同じである。荷重は10Nで測定を行なった。
「凸面pitch55」は、凸部の直径が50μm、凸部間
の平坦部の長さが5μmであることを示している。「オ
イル(添加剤なし)」は、添加剤を含まない中粘度合成
炭化水素油を示している。「摩擦係数」は摩擦特性を数
量化するために、試験中の摩擦力を摩擦係数で表現した
ものであり、摩擦力は摩擦の式から計算で変換して求め
た。「摩擦特性」は求められた摩擦係数により評価し
た。「耐摩耗」は、試験後の紙片表面を計測し、摩耗し
て削れた量で評価した。評価結果の◎は最もよく、○は
良、△は問題あり、×は不良を示す。表2の結果によれ
ば、フラット面、凸面ともに「DLC膜がある場合」に
摩擦係数、耐摩耗性共に良い結果を示している。特に,
「凸面にDLC膜形成した場合」が最も摩擦係数が低
く,耐摩耗性も向上している。DLCを形成した「フラ
ット面」と「凸面(ピッチ55)」では、60分以上の
長時間試験を実施すると、「フラット面」は次第に摩擦
係数が上昇したが,「凸面」は変化がなかった。これよ
り、凸形状の上にDLC膜を成膜することにより摩擦係
数と摩耗量を低減することができる
【0041】これらの試験結果から、表面に微細な凹凸
を形成しない摺動面では、摩擦試験直後に摩擦係数が急
上昇し焼付きを起こすのに対し、本発明による大きさの
凹凸形状をつけ、DLC皮膜で被うことにより、焼付き
をおこすことなく低摩擦係数を示した。また、高負荷条
件下においても摩擦係数の上昇が見られず、耐久性の向
上が図られた。
【0042】
【発明の効果】本発明により、摺動部材の表面に表面上
の寸法が0.5〜500μmの微細な凹凸形状を製作す
るとともに摺動面をDLC皮膜で被うことにより、摺動
面におけるオイル保持、供給をしやすくし耐摩耗性、耐
焼付性の向上を図ることができるとともに、摩擦係数を
下げることにより、エネルギーの有効利用を図ることが
できる。また、このような微小な凹凸形状は、従来のよ
うにエンボス加工のような機械的な加工では製作は困難
であるが、本発明の製造方法によるフォトリソグラフィ
とドライエッチングの組合わせにより機械加工の寸法、
精度にとらわれず、設計の自由度が高く、高精度でかつ
再現性よく実現することができるようになる。また、表
面の耐久性が向上し、製品寿命の向上を図ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を平面研削用X−Yステージに適用し
た実施例の摺動面を示す斜視図である。
【図2】 本発明をブシュに適用した実施例の摺動面を
示す斜視図である。
【図3】 図1又は図2の実施例の鎖線で示した切断位
置における拡大断面図である。
【図4】 本発明の製造方法の一実施例で使用するレー
ザー光照射装置を示す概略構成斜視図である。
【符号の説明】
2,4 摺動部材 6a 凸部 6b 凹部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16C 33/14 F16C 33/14 Z Fターム(参考) 3J011 CA05 CA06 DA02 QA03 QA04 SB02 SB03 SB05 SB12 SB14 SB15 SE02 4K030 AA09 BA28 JA01 LA23 4K044 AA02 AB05 BA02 BA06 BA10 BA18 BA19 BB01 BB04 BB14 BC01 CA04 CA13 CA14 4K057 DA05 DB02 DB03 DB17 DD02 DD03 DG20 DK10 DN10

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 摺動部に潤滑剤を介在させた平面又は曲
    面を有する摺動部材において、 摺動面の少なくとも一部には表面上の寸法が0.5〜5
    00μmの凹凸が形成されており、かつ少なくとも前記
    凹凸が形成されている摺動面の表面にはDLC皮膜が形
    成されていることを特徴とする摺動部材。
  2. 【請求項2】 前記凹凸は大きさが均一である請求項1
    に記載の摺動部材。
  3. 【請求項3】 前記凹凸が形成されている摺動面では、
    前記凹凸は摺動面に均等に配置されている請求項1又は
    2に記載の摺動部材。
  4. 【請求項4】 前記凹凸が形成されている摺動面では、
    前記摺動面に占める前記凹凸の割合は10〜95%であ
    る請求項1から3のいずれかに記載の摺動部材。
  5. 【請求項5】 前記凹凸は凸形状である請求項1から4
    のいずれかに記載の摺動部材。
  6. 【請求項6】 前記DLC皮膜の膜厚が0.05μm〜
    5μmである請求項1から5のいずれかに記載の摺動部
    材。
  7. 【請求項7】 前記DLC皮膜は下地層を備えており、
    その下地層はCr,W,Fe,Co,Ti及びMoから
    なる群から選ばれた最下層と、Si,Mo−Si,Mo
    −Si−Cu,Cu,Zn,Pb及びNiからなる群か
    ら選ばれた最上層を少なくとも備えた積層膜である請求
    項1から6のいずれかに記載の摺動部材。
  8. 【請求項8】 以下の工程(A)から(E)を含むこと
    を特徴とする摺動部材の製造方法。 (A)摺動部材の母材料で摺動面となる部分の少なくと
    も一部に感光性材料を塗布する工程、 (B)目的の凹凸構造を製作する為のマスクを用いて前
    記感光性材料を三次元形状にパターン化するフォトリソ
    グラフィー工程、 (C)形成された感光性材料パターンを硬化させる工
    程、 (D)硬化した感光性材料パターンをドライエッチング
    により前記摺動面に転写する工程、及び (E)前記凹凸が形成された摺動面の表面にDLC皮膜
    を形成する工程。
  9. 【請求項9】 前記工程(D)のドライエッチング工程
    において、エッチング中にエッチング条件を変化させて
    目的とする凹凸の形状を調整する請求項8に記載の摺動
    部材の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記工程(E)のDLC皮膜形成工程
    では、そのDLC皮膜形成に先立ってCr,W,Fe,
    Co,Ti及びMoからなる群から選ばれた最下層と、
    Si,Mo−Si,Mo−Si−Cu,Cu,Zn,P
    b及びNiからなる群から選ばれた最上層を少なくとも
    備えた積層膜の下地層を形成する請求項8又は9に記載
    の摺動部材の製造方法。
JP2001124077A 2001-04-23 2001-04-23 摺動部材及びその製造方法 Pending JP2002323045A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001124077A JP2002323045A (ja) 2001-04-23 2001-04-23 摺動部材及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001124077A JP2002323045A (ja) 2001-04-23 2001-04-23 摺動部材及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002323045A true JP2002323045A (ja) 2002-11-08

Family

ID=18973526

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001124077A Pending JP2002323045A (ja) 2001-04-23 2001-04-23 摺動部材及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002323045A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007285418A (ja) * 2006-04-17 2007-11-01 Denso Corp 動力伝達装置
JP2010031351A (ja) * 2008-06-25 2010-02-12 Panasonic Electric Works Co Ltd 摺動部材及びその製造方法
WO2011072664A1 (de) * 2009-12-18 2011-06-23 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Struktur enthaltend einen festschmierstoff (festschmierstoffstruktur), insbesondere für eine vakuumtribologische anwendung ausgebildete festschmierstoffstruktur, und herstellungsverfahren derselben
JP2013001939A (ja) * 2011-06-15 2013-01-07 Sanyo Electric Co Ltd 摺動部材及び圧縮機
JP2013002525A (ja) * 2011-06-15 2013-01-07 Sanyo Electric Co Ltd 摺動部材及び圧縮機
JP2014016032A (ja) * 2012-07-06 2014-01-30 Mahle Internatl Gmbh カムを製造又は仕上げ加工する方法、及び、該方法によって製造又は仕上げ加工されたカム
CN107532295A (zh) * 2015-05-15 2018-01-02 伊格尔工业股份有限公司 滑动膜及其制造方法以及滑动部件及其制造方法
WO2019130553A1 (ja) * 2017-12-28 2019-07-04 日産自動車株式会社 低摩擦摺動機構

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007285418A (ja) * 2006-04-17 2007-11-01 Denso Corp 動力伝達装置
JP2010031351A (ja) * 2008-06-25 2010-02-12 Panasonic Electric Works Co Ltd 摺動部材及びその製造方法
WO2011072664A1 (de) * 2009-12-18 2011-06-23 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Struktur enthaltend einen festschmierstoff (festschmierstoffstruktur), insbesondere für eine vakuumtribologische anwendung ausgebildete festschmierstoffstruktur, und herstellungsverfahren derselben
JP2013001939A (ja) * 2011-06-15 2013-01-07 Sanyo Electric Co Ltd 摺動部材及び圧縮機
JP2013002525A (ja) * 2011-06-15 2013-01-07 Sanyo Electric Co Ltd 摺動部材及び圧縮機
JP2014016032A (ja) * 2012-07-06 2014-01-30 Mahle Internatl Gmbh カムを製造又は仕上げ加工する方法、及び、該方法によって製造又は仕上げ加工されたカム
CN107532295A (zh) * 2015-05-15 2018-01-02 伊格尔工业股份有限公司 滑动膜及其制造方法以及滑动部件及其制造方法
WO2019130553A1 (ja) * 2017-12-28 2019-07-04 日産自動車株式会社 低摩擦摺動機構
US11186795B2 (en) 2017-12-28 2021-11-30 Nissan Motor Co., Ltd. Low friction sliding mechanism

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4609562B2 (ja) 微細構造転写用スタンパ及びその製造方法
US7282305B2 (en) Reflective mask blank having a programmed defect and method of producing the same, reflective mask having a programmed defect and method of producing the same, and substrate for use in producing the reflective mask blank or the reflective mask having a programmed defect
US7195732B2 (en) Method and mold for fabricating article having fine surface structure
US7265057B2 (en) 3D lithography with laser beam writer for making hybrid surfaces
EP1588989A2 (de) Verfahren zur Herstellung eines Masters, Master und Verfahren zur Herstellung von optischen Elementen sowie optisches Element
US20080187719A1 (en) Nano-imprinting mold, method of manufacture of nano-imprinting mold, and recording medium manufactured with nano-imprinting mold
WO1999064929A1 (en) Methods of making optical microstructures which can have profile heights exceeding fifteen microns
JP2002323045A (ja) 摺動部材及びその製造方法
JP5558466B2 (ja) 金属製光グレイスケールマスクおよびその製造方法
US20070082279A1 (en) Near-field exposure method and device manufacturing method using the same
TWI258142B (en) Manufacturing method of stamper for manufacturing data medium, the stamper, and the stamper spacer with template
JP2008070556A (ja) 光学部材の製造方法および光学部材成形用型の製造方法
JP5408649B2 (ja) 無端状パターンの作製方法
JP2002310157A (ja) 摺動部材
US20110299164A1 (en) Method and device for the production of a structured object, and structured object
JP4835818B2 (ja) 光学素子成形金型用成形金型及び光学素子成型金型の製造方法
EP1400608A1 (en) Film forming method, multilayer film reflector manufacturing method, and film forming device
JP2002244273A (ja) 濃度分布マスクとその製造方法
DE102021210093A1 (de) Optisches Element mit Kühlkanälen und optische Anordnung
US6870707B1 (en) Disc head slider having vertically contoured features and method of fabricating vertically contoured features on a slider
JP4968999B2 (ja) 三次元構造体の製造方法
JP2001296649A (ja) 濃度分布マスクとその製造方法及び表面形状の形成方法
US7374844B2 (en) Photomask for uniform intensity exposure to an optical near-field
JPH0915410A (ja) 光学素子の製造方法および光学素子用金型の製造方法
JP2003035809A (ja) バイナリーレンズおよびその製造方法