JP2013001813A - シリコーン樹脂組成物、封止層、リフレクタおよび光半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明性および耐熱性に優れながら、熱可塑性および熱硬化性を併有し、かつ、熱硬化温度を低減でき、さらに、柔軟性にも優れるシリコーン樹脂組成物、そのシリコーン樹脂組成物からなる封止層、シリコーン樹脂組成物を含有するリフレクタ、および、それらを備える光半導体装置を提供すること。
【解決手段】式(1)で表される基を有するかご型オクタシルセスキオキサンと、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数より少ないモル数のアルケニル基を含有するアルケニル基含有ポリシロキサンと、ヒドロシリル化触媒と、水酸基含有ポリシロキサンとを含有するシリコーン樹脂組成物からなる封止層7を、光半導体装置11に設ける。
【選択図】図1
【解決手段】式(1)で表される基を有するかご型オクタシルセスキオキサンと、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数より少ないモル数のアルケニル基を含有するアルケニル基含有ポリシロキサンと、ヒドロシリル化触媒と、水酸基含有ポリシロキサンとを含有するシリコーン樹脂組成物からなる封止層7を、光半導体装置11に設ける。
【選択図】図1
Description
本発明は、シリコーン樹脂組成物、封止層、リフレクタおよび光半導体装置、詳しくは、シリコーン樹脂組成物、そのシリコーン樹脂組成物からなる封止層、シリコーン樹脂組成物を含有するリフレクタ、および、それらを備える光半導体装置に関する。
従来、発光ダイオード(LED)などの光半導体素子を封止するための封止材料として、透明性に優れるシリコーン樹脂が用いられている。そのようなシリコーン樹脂は、室温で液体状であり、光半導体素子に塗布された後、加熱により硬化することによって、光半導体素子を封止している。
また、保存性および取扱性の観点から、室温で固体状のシリコーン樹脂も用いられている。そのような固体状のシリコーン樹脂として、例えば、ペンタシクロ[9.5.1.13.9.15.15.17.13]オクタシロキサンと1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンとを反応させることにより得られる含シルセスキオキサンポリマーが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、水素化オクタシルセスキオキサンとジシラノールとを反応して得られるポリシロキサンが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特許文献1および2で提案される封止材料は、加熱によって可塑化され、光半導体素子を封止する。
しかるに、耐熱性および耐久性を向上させる観点から、固体状のシリコーン樹脂を、加熱により可塑化した後、硬化させたい要求がある。しかし、特許文献1および2の封止材料は、硬化させることができないという不具合がある。
また、シリコーン樹脂を比較的低温で硬化させたい要求もある。
その一方、封止材料には、光半導体素子の損傷を防止すべく、柔軟性の向上が望まれる。
本発明の目的は、透明性および耐熱性に優れながら、熱可塑性および熱硬化性を併有し、かつ、熱硬化温度を低減でき、さらに、柔軟性にも優れるシリコーン樹脂組成物、そのシリコーン樹脂組成物からなる封止層、シリコーン樹脂組成物を含有するリフレクタ、および、それらを備える光半導体装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のシリコーン樹脂組成物は、下記式(1)で表される基を有するかご型オクタシルセスキオキサンと、前記かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数より少ないモル数のアルケニル基を含有するアルケニル基含有ポリシロキサンと、ヒドロシリル化触媒と、水酸基含有ポリシロキサンとを含有することを特徴としている。
(式中、R1は、1価の炭化水素基を示し、R2は、水素または1価の炭化水素基を示す。但し、前記かご型オクタシルセスキオキサン全体の平均値として、R2の1価の炭化水素基:水素のモル比が、6.5:1.5〜5.5:2.5の範囲である。)
(式中、R1は、1価の炭化水素基を示し、R2は、水素または1価の炭化水素基を示す。但し、前記かご型オクタシルセスキオキサン全体の平均値として、R2の1価の炭化水素基:水素のモル比が、6.5:1.5〜5.5:2.5の範囲である。)
また、本発明のシリコーン樹脂組成物では、前記かご型オクタシルセスキオキサンが、下記式(2)で表されることが好適である。
(式中、R1およびR2は、前記と同意義を示す。また、R2の1価の炭化水素基:水素のモル比は、前記と同一である。)
また、本発明のシリコーン樹脂組成物では、前記アルケニル基含有ポリシロキサンが、下記式(3)で表されることが好適である。
また、本発明のシリコーン樹脂組成物では、前記アルケニル基含有ポリシロキサンが、下記式(3)で表されることが好適である。
(式中、R3は、1価の炭化水素基を示し、R4は、アルケニル基を示す。また、aは、1以上の整数を示す。)
また、本発明のシリコーン樹脂組成物では、前記水酸基含有ポリシロキサンが、下記式(4)で表されることが好適である。
また、本発明のシリコーン樹脂組成物では、前記水酸基含有ポリシロキサンが、下記式(4)で表されることが好適である。
(式中、R5は、1価の炭化水素基を示す。また、bは、1以上の整数を示す。)
また、本発明のシリコーン樹脂組成物は、前記かご型オクタシルセスキオキサンと、前記アルケニル基含有ポリシロキサンとを、前記ヒドロシリル化触媒の存在下で反応して得られるシリコーン樹脂前駆体と、前記水酸基含有ポリシロキサンとを含有することが好適である。
また、本発明のシリコーン樹脂組成物は、前記かご型オクタシルセスキオキサンと、前記アルケニル基含有ポリシロキサンとを、前記ヒドロシリル化触媒の存在下で反応して得られるシリコーン樹脂前駆体と、前記水酸基含有ポリシロキサンとを含有することが好適である。
また、本発明の封止層は、光半導体素子を封止するために用いられ、上記したシリコーン樹脂組成物からなることを特徴としている。
また、本発明の光半導体装置は、光半導体素子と、前記光半導体素子を封止する上記した封止層とを備えていることを特徴としている。
また、本発明のリフレクタは、光半導体素子から発光される光を反射するために用いられ、上記したシリコーン樹脂組成物と、光反射成分とを含有することを特徴としている。
また、本発明の光半導体装置は、光半導体素子と、前記光半導体素子から発光される光を反射する上記したリフレクタとを備えていることを特徴としている。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、R2の1価の炭化水素基:水素のモル比が特定範囲であるので、かご型オクタシルセスキオキサンにおいて、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基と反応するヒドロシリル基の割合が調整されている。しかも、アルケニル基含有ポリシロキサンが、そのアルケニル基のモル比が、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数よりも少なくなるように、かご型オクタシルセスキオキサンと反応する。そのため、得られるシリコーン樹脂組成物は、透明性および耐熱性に優れるとともに、熱可塑性および熱硬化性を併有することができる。
さらに、シリコーン樹脂組成物は、水酸基含有ポリシロキサンを含有するので、水酸基含有ポリシロキサンの水酸基が、かご型オクタシルセスキオキサンの残余のヒドロシリル基と反応して、シリコーン樹脂組成物の柔軟性を向上させることができる。
さらにまた、シリコーン樹脂組成物は、その熱硬化温度を低減することができる。
よって、上記したシリコーン樹脂組成物からなる本発明の封止層は、封止時の加熱によって可塑化した後、低温で硬化することにより、光半導体素子を、損傷を有効に防止しながら、封止することができる。
また、本発明の光半導体装置は、光半導体素子が上記した封止層によって封止されているので、光学特性および耐熱性に優れながら、信頼性、機械強度および耐久性に優れている。
また、上記したシリコーン樹脂組成物を含有する本発明のリフレクタは、耐熱性、柔軟性、熱可塑性および熱硬化性に優れている。
そのため、上記したリフレクタを備える本発明の光半導体装置は、光学特性および耐熱性に優れながら、柔軟性、機械強度および耐久性に優れている。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、かご型オクタシルセスキオキサンと、アルケニル基含有ポリシロキサンと、ヒドロシリル化触媒と、水酸基含有ポリシロキサンとを含有する。
かご型オクタシルセスキオキサンは、3官能シリコーンモノマーの8量体であって、具体的には、下記式(1)で表される基を8つ有し、
(式中、R1は、1価の炭化水素基を示し、R2は、水素または1価の炭化水素基を示す。但し、かご型オクタシルセスキオキサン全体の平均値として、R2の1価の炭化水素基:水素のモル比が、6.5:1.5〜5.5:2.5の範囲である。)
より具体的には、下記式(2)で表される。
より具体的には、下記式(2)で表される。
(式中、R1およびR2は、上記と同意義を示す。また、R2の1価の炭化水素基:水素のモル比は、上記と同一である。)
上記式(1)および(2)において、R1にて示される1価の炭化水素基は、例えば、飽和炭化水素基または芳香族炭化水素基である。
上記式(1)および(2)において、R1にて示される1価の炭化水素基は、例えば、飽和炭化水素基または芳香族炭化水素基である。
飽和炭化水素基としては、例えば、直鎖状飽和炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルなどの炭素数1〜6のアルキル基)、分岐状飽和炭化水素基(例えば、イソプロピル、イソブチルなどの炭素数3〜6のアルキル基)、環状飽和炭化水素基(例えば、シクロヘキシルなどの炭素数3〜6のシクロアルキル基)などが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル、ベンジル、トルイルなどの炭素数6〜8のアリール基などが挙げられる。
1価の炭化水素基の炭素数は、例えば、1〜8、好ましくは、1〜6である。
R1は、同一または相異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
1価の炭化水素基として、好ましくは、調製の容易性および熱安定性の観点から、直鎖状飽和炭化水素基、さらに好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、とりわけ好ましくは、メチルが挙げられる。
上記した(1)および(2)において、R2にて示される1価の炭化水素基としては、上記したR1にて示される1価の炭化水素基と同様のものが挙げられる。好ましくは、メチルが挙げられる。
式(2)におけるR2の1価の炭化水素基:水素のモル比は、かご型オクタシルセスキオキサン全体の平均値として、6.5:1.5〜5.5:2.5の範囲であり、好ましくは、6.0:2.0〜5.5:2.5の範囲である。
つまり、かご型オクタシルセスキオキサン1分子において、上記式(1)で示される基が、1.5〜2.5個(具体的には、2つ)、好ましくは、2〜2.5個(具体的には2つ)のヒドロシリル基(−SiH)を形成する。
上記したR2の1価の炭化水素基:水素のモル比が、6.5/1.5(=6.5:1.5)を超える場合(例えば、7/1(=7:1))には、ヒドロシリル基のモル数が過度に少ないため、アルケニル基含有ポリシロキサンおよび/または水酸基含有ポリシロキサンに対するかご型オクタシルセスキオキサンの反応度合が過度に低下して、得られるシリコーン樹脂組成物の分子量が低くなり、固体状のシリコーン樹脂組成物が得られない。
一方、上記したR2の1価の炭化水素基:水素のモル比が、5.5/2.5(=5.5:2.5)に満たない場合(例えば、5/3(=5:3))には、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数が過度に多いため、アルケニル基含有ポリシロキサンおよび/または水酸基含有ポリシロキサンに対するかご型オクタシルセスキオキサンの反応度合が過度に増大するため、シリコーン樹脂組成物が熱可塑性を示さない。
上記したかご型オクタシルセスキオキサンとしては、具体的には、例えば、上記式(1)および(2)において、R1がメチル、R2がメチルまたは水素であり、かご型オクタシルセスキオキサン全体の平均値として、R2のメチル:水素のモル比が、5.5:2.5、6:2、または、6.5:1.5であるかご型オクタシルセスキオキサンなどが挙げられる。
上記式(2)で示されるかご型オクタシルセスキオキサンは、例えば、公知の方法(例えば、特開2007−246880号公報などの記載に準拠)に従って合成される。
具体的には、テトラアルコキシシラン(テトラエトキシシランなど)を、メタノールなどのアルコールおよび/または水と、触媒との存在下で反応させて、オクタ(シルセスキオキサン)骨格(式(2)において式(1)の基を除く部分)を合成し、その後、ジアルキルクロロシラン(ジメチルクロロシランなど)およびトリアルキルクロロシラン(トリメチルクロロシランなど)を、上記したR2の1価の炭化水素基:水素のモル比に対応する配合割合で配合して、オクタ(シルセスキオキサン)骨格のケイ素原子に結合するアルコキシル基(エトキシなど)と、ジアルキルクロロシランおよびトリアルキルクロロシランとを反応させる。反応後、必要により、反応物を精製する。これにより、かご型オクタシルセスキオキサンを得ることができる。
なお、かご型オクタシルセスキオキサンは、市販品を用いることもできる。
アルケニル基含有ポリシロキサンは、アルケニル基を含有するポリシロキサンであり、具体的には、下記式(3)で表される。
(式中、R3は、1価の炭化水素基を示し、R4は、アルケニル基を示す。また、aは、1以上の整数を示す。)
式(3)においてR3で示される1価の炭化水素基は、同一または相異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
式(3)においてR3で示される1価の炭化水素基は、同一または相異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
R3で示される1価の炭化水素基としては、上記した(1)および(2)においてR1にて示される1価の炭化水素基と同様のものが挙げられ、好ましくは、メチル、フェニル、さらに好ましくは、メチルが挙げられる。
式(3)においてR4で示されるアルケニル基としては、例えば、置換または非置換のアルケニル基が挙げられ、好ましくは、非置換のアルケニル基が挙げられる。
そのようなアルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、ペンテニルなどの炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。
アルケニル基の炭素数は、例えば、2〜10、好ましくは、2〜5である。
R4は、同一または相異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
アルケニル基として、好ましくは、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基との反応性の観点から、炭素数2〜5のアルケニル基、さらに好ましくは、ビニルが挙げられる。
aは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、1〜5000の整数、さらに好ましくは、1〜1000の整数を示す。
上記式(3)で示されるアルケニル基含有ポリシロキサンの数平均分子量は、安全性および取扱性の観点から、例えば、100〜10000、好ましくは、300〜5000である。数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC:標準ポリスチレン換算値)にて測定される。
上記式(3)で示されるアルケニル基含有ポリシロキサンは、例えば、公知の方法に従って合成され、または、市販品(例えば、Gelest社製)を用いることもできる。
ヒドロシリル化触媒としては、例えば、白金黒、塩化白金、塩化白金酸、白金オレフィン錯体、白金カルボニル錯体、白金アセチルアセテートなどの白金触媒、例えば、パラジウム触媒、例えば、ロジウム触媒などが挙げられる。
これらヒドロシリル化触媒のうち、好ましくは、相溶性および透明性の観点から、白金触媒、さらに好ましくは、白金オレフィン錯体が挙げられ、具体的には、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体、白金−ジビニルシロキサン錯体などが挙げられる。
なお、ヒドロシリル化触媒は、公知の溶媒(トルエンなど)溶液として調製されていてもよい。
水酸基含有ポリシロキサンは、例えば、水酸基を複数(例えば、2つ)含有するポリシロキサンであって、より具体的には、分子の両末端に水酸基を含有する両末端型ポリシロキサンである。詳しくは、水酸基含有ポリシロキサンは、下記式(4)で表される。
(式中、R5は、1価の炭化水素基を示す。また、bは、1以上の整数を示す。)
式(4)においてR5で示される1価の炭化水素基は、同一または相異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
式(4)においてR5で示される1価の炭化水素基は、同一または相異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
R5で示される1価の炭化水素基としては、上記した(1)および(2)においてR1にて示される1価の炭化水素基と同様のものが挙げられ、好ましくは、メチル、フェニル、さらに好ましくは、メチルが挙げられる。
bは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、1〜10000の整数、さらに好ましくは、1〜5000の整数を示し、シリコーン樹脂組成物を室温で固体状で得つつ、柔軟性を付与する観点から、とりわけ好ましくは、aよりも大きい整数を示し、最も好ましくは、100〜3000の整数を示す。
上記式(4)で示される水酸基含有ポリシロキサンの数平均分子量は、安全性および取扱性の観点から、例えば、100〜100000、好ましくは、500〜50000である。数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC:標準ポリスチレン換算値)にて測定される。
上記式(4)で示される水酸基含有ポリシロキサンは、例えば、公知の方法に従って合成され、または、市販品(例えば、Gelest社製)を用いることもできる。
そして、本発明のシリコーン樹脂組成物は、かご型オクタシルセスキオキサンと、アルケニル基含有ポリシロキサンと、ヒドロシリル化触媒と、水酸基含有ポリシロキサンとを配合することによって、調製される。
かご型オクタシルセスキオキサンの配合割合は、シリコーン樹脂組成物に対して、例えば、10〜80質量%、好ましくは、10〜70質量%である。
アルケニル基含有ポリシロキサンの配合割合は、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基のモル数がかご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数より少なくなるように、調整される。
つまり、アルケニル基のヒドロシリル基に対するモル比(アルケニル基のモル数/ヒドロシリル基のモル数)は、1未満、例えば、0.10〜0.99、好ましくは、0.20〜0.99、さらに好ましくは、0.50〜0.99である。
上記したモル比が上記範囲を超える場合には、ヒドロシリル基がアルケニル基より少なくなり、その場合には、反応後に、過剰分のヒドロシリル基が十分に残存せず、シリコーン樹脂組成物に熱硬化性が付与されない。
一方、上記したモル比が上記範囲に満たない場合には、ヒドロシリル基が過剰に残存し、かご型オクタシルセスキオキサン同士が、空気中の水分による加水分解および自己縮合によって硬化し、柔軟性が得られない場合がある。
ヒドロシリル化触媒(固形分)の配合割合は、かご型オクタシルセスキオキサンおよびアルケニル基含有ポリシロキサンの総量100質量部に対して、例えば、1.0×10−10〜3質量部、好ましくは、1.0×10−8〜1質量部である。
水酸基含有ポリシロキサンの配合割合は、その水酸基のモル数(X)が、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数からアルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基のモル数を差し引いたモル数(Y)に対して、モル比(X/Y)として、例えば、0.001〜1000、好ましくは、0.01〜100となるように、調整される。換言すれば、水酸基含有ポリシロキサンの配合割合は、かご型オクタシルセスキオキサンおよびアルケニル基含有ポリシロキサンの総量100質量部に対して、例えば、0.1〜50質量部、好ましくは、1〜30質量部である。
シリコーン樹脂組成物を調製するには、好ましくは、かご型オクタシルセスキオキサンと、アルケニル基含有ポリシロキサンとを、ヒドロシリル化触媒の存在下で反応することにより得られるシリコーン樹脂前駆体と、水酸基含有ポリシロキサンとを配合する。
すなわち、まず、かご型オクタシルセスキオキサンとアルケニル基含有ポリシロキサンとを、ヒドロシリル化触媒の存在下で、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数が、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基のモル数より多く(過剰と)なるように、反応させることにより、シリコーン樹脂前駆体を得る。
シリコーン樹脂前駆体を得るには、より具体的には、上記したかご型オクタシルセスキオキサンとアルケニル基含有ポリシロキサンとを上記した配合割合で、ヒドロシリル化触媒、および必要により、溶媒とともに配合し、その後、必要により、それらを加熱する。
溶媒としては、例えば、トルエンなどの芳香族炭化水素、例えば、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、例えば、酢酸エチルなどのエステルなどが挙げられる。好ましくは、各成分の相溶性を向上させる観点から、芳香族炭化水素、さらに好ましくは、トルエンが挙げられる。
反応温度は、例えば、0〜100℃、好ましくは、20〜80℃であり、反応時間は、例えば、0.5〜96時間である。
これによって、かご型オクタシルセスキオキサンとアルケニル基含有ポリシロキサンが反応する。つまり、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基と、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基とが、ヒドロシリル化反応する。
なお、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基と、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基とのヒドロシリル化反応の度合は、1H−NMR測定によって、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基に由来するシグナルの強度によって確認することができ、そのシグナルが消失したときが、ヒドロシリル化反応が終了したとされる。
上記のヒドロシリル化反応では、ヒドロシリル基のモル数が、アルケニル基のモル数に比べて、過剰となるように、かご型オクタシルセスキオキサンとアルケニル基含有ポリシロキサンとが反応し、その反応後には、ヒドロシリル基の過剰分が残存する。
これにより、シリコーン樹脂前駆体を得る。
なお、シリコーン樹脂前駆体は、液体状または半固体状である。
次いで、得られたシリコーン樹脂前駆体と、水酸基含有ポリシロキサンとを上記した割合で配合する。その後の加熱(後述)により、シリコーン樹脂前駆体と、水酸基含有ポリシロキサンとが反応する。なお、必要により、溶媒を留去する。
これにより、本発明のシリコーン樹脂組成物を得ることができる。
なお、シリコーン樹脂組成物には、本発明の優れた効果を損なわない範囲で、例えば、老化防止剤、変性剤、界面活性剤、染料、顔料、変色防止剤、紫外線吸収剤、充填材、蛍光体などの添加物を適宜の割合で添加することができる。
得られたシリコーン樹脂組成物は、固体状である。かご型オクタシルセスキオキサンの立体障害に起因して、アルケニル基含有ポリシロキサンの運動性が低下するため、シリコーン樹脂組成物が固体状として得られる。
そして、本発明のシリコーン樹脂組成物は、R2の1価の炭化水素基:水素のモル比が特定範囲であるので、かご型オクタシルセスキオキサンにおいて、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基と反応するヒドロシリル基の割合が調整されている。しかも、アルケニル基含有ポリシロキサンは、そのアルケニル基が、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数よりも少ないモル数となるようにかご型オクタシルセスキオキサンと反応する。そのため、得られるシリコーン樹脂組成物は、透明性および耐熱性に優れるとともに、熱可塑性および熱硬化性を併有することができる。
つまり、シリコーン樹脂組成物は、上記した加熱により、一旦可塑化(あるいは液状化)し、その後、熱硬化する。
シリコーン樹脂組成物の熱可塑性は、加熱によりかご型オクタシルセスキオキサンおよびアルケニル基含有ポリシロキサンの運動性が上昇することにより発現される。
なお、シリコーン樹脂組成物の熱可塑温度は、例えば、40〜150℃、好ましくは、50〜100℃である。なお、熱可塑温度は、シリコーン樹脂組成物が熱可塑性を示す温度であり、具体的には、固体状のシリコーン樹脂組成物が加熱によって軟化して完全に液体状になる温度であって、軟化温度と実質的に同一である。
一旦可塑化したシリコーン樹脂組成物の熱硬化性は、具体的には、シリコーン樹脂前駆体に残存するヒドロシリル基と、水酸基含有ポリシロキサンの水酸基とが反応することにより発現される。
より具体的には、シリコーン樹脂前駆体におけるかご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基は、水酸基含有ポリシロキサンの水酸基と縮合反応する。
また、シリコーン樹脂組成物の熱硬化温度は、比較的低く、例えば、100〜250℃、好ましくは、120〜250℃である。熱硬化温度は、シリコーン樹脂組成物が熱硬化性を示す温度であり、具体的には、可塑化したシリコーン樹脂組成物が加熱によって硬化して、完全に固体状となる温度である。
このシリコーン樹脂組成物は、水酸基含有ポリシロキサンを含有するので、水酸基含有ポリシロキサンの水酸基がかご型オクタシルセスキオキサンの残余のヒドロシリル基と反応して、それによってかご型オクタシルセスキオキサンを架橋することができる。そのため、シリコーン樹脂組成物の柔軟性を向上させることができる。
また、シリコーン樹脂組成物は、その熱硬化温度(例えば、100〜250℃)を低減することができる。
なお、上記した実施形態では、まず、シリコーン樹脂前駆体を得、その後、シリコーン樹脂前駆体と水酸基含有ポリシロキサンとを配合して、シリコーン樹脂組成物を調製しているが、シリコーン樹脂組成物の調製方法は、これに限定されない。例えば、かご型オクタシルセスキオキサンと、アルケニル基含有ポリシロキサンと、ヒドロシリル化触媒と、水酸基含有ポリシロキサンとを一度に配合し、必要により、加熱することにより、シリコーン樹脂組成物を調製することもできる。
そして、このシリコーン樹脂組成物は、特に制限されないが、例えば、各種産業製品の封止材料や充填材料として用いることができる。シリコーン樹脂組成物を、好ましくは、各種産業製品の封止層として形成することができ、具体的には、光半導体素子を封止するための封止層として形成することができる。
光半導体素子としては、光半導体装置に備えられる素子であれば特に限定されず、例えば、発光ダイオード(LED)、フォトダイオード、フォトトランジスタ、レーザーダイオードなどが挙げられる。好ましくは、LEDが挙げられ、さらに好ましくは、照明用LEDなどが挙げられる。
図1は、本発明の発光ダイオード装置の一実施形態を説明するための断面図を示す。
次に、本発明の光半導体装置の一実施形態について、図1を参照して説明する。
図1において、光半導体装置11は、基板3と、基板3に実装される光半導体素子1と、基板3の上に形成されるハウジング2と、光半導体素子1を封止する封止層7と、封止層7の上に形成される蛍光体層8とを備えている。
基板3は、平板状に形成されており、例えば、ポリイミド樹脂などの公知の絶縁樹脂から形成されている。
基板3の上面には、図1において図示しないが、光半導体素子1の素子側端子と電気的に接続するための基板側端子が形成されている。
光半導体素子1は、基板3の上に実装されており、公知の半導体材料から形成されている。
光半導体素子1は、その素子側端子と、基板3の素子側端子とを電気的に接続することにより、基板3にフリップチップ実装またはワイヤボンディング接続されている。
ハウジング2は、平面視略枠形状をなし、上方に向かって次第に幅狭となる略台形筒状に形成されている。また、ハウジング2は、光半導体素子1を囲むように、光半導体素子1と間隔を隔てて、配置されている。
ハウジング2は、光反射成分を含有するセラミックス材料の焼結体などから形成され、光半導体素子1から発光される光を反射するリフレクタとされている。
封止層7は、ハウジング2内に充填されており、具体的には、ハウジング2の内側において、光半導体素子1から露出する基板3の上面と、光半導体素子1の上面および側面とを被覆している。
また、封止層7は、その上面が、ハウジング2の上面と厚み方向において面一となるように形成されている。
蛍光体層8は、封止層7の上面全面に形成されている。また、蛍光体層8は、ハウジング2の上面の内側端部にも形成されている。
蛍光体層8は、例えば、蛍光体粒子(例えば、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット):Ceなど)を含有する樹脂組成物などから形成されている。なお、蛍光体層8は、蛍光体をセラミックス材料とし、かかるセラミックス材料を焼結することにより形成することもできる。
そして、この光半導体装置11を得るには、まず、基板3を用意し、次いで、光半導体素子1を基板3に実装し、別途、ハウジング2を基板3の上に形成する。
次いで、封止層7をハウジング2内に充填する。具体的には、上記したシリコーン樹脂組成物をハウジング2内に充填し、その後、必要により溶媒を留去させた後、充填したシリコーン樹脂組成物を上記した温度で加熱する。
すると、シリコーン樹脂組成物は、上記した加熱により、一旦可塑化(あるいは液状化)して光半導体素子1を封止し、その後、熱硬化する。
その後、蛍光体層8を封止層7の上に形成する。
これにより、光半導体装置11を得る。
そして、封止層7は、上記したシリコーン樹脂組成物からなるので、封止時の加熱によって可塑化した後、低温で硬化することにより、光半導体素子を、衝撃または過熱による損傷を有効に防止しながら、封止することができる。
上記した光半導体装置11では、光半導体素子1が上記した封止層7によって封止されているので、光学特性および耐熱性に優れながら、信頼性、機械強度および耐久性に優れている。
また、図1の実施形態において、本発明のシリコーン樹脂組成物から、封止層7を形成しているが、例えば、ハウジング2を形成することもできる。
図1において、リフレクタとしてのハウジング2は、シリコーン樹脂組成物と、光反射成分とを含有する光反射組成物から形成されている。
光反射成分としては、例えば、白色の化合物であって、そのような白色の化合物としては、具体的には、白色顔料が挙げられる。
白色顔料としては、例えば、白色無機顔料が挙げられ、そのような白色無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなどの酸化物、例えば、鉛白(炭酸亜鉛)、炭酸カルシウムなどの炭酸塩、例えば、カオリン(カオリナイト)などの粘土鉱物などが挙げられる。
白色無機顔料として、好ましくは、酸化物、さらに好ましくは、酸化チタンが挙げられる。
酸化チタンであれば、高い白色度、高い光反射性、優れた隠蔽性(隠蔽力)、優れた着色性(着色力)、高い分散性、優れた耐候性、高い化学的安定性などの特性を得ることができる。
そのような酸化チタンは、具体的には、TiO2、(酸化チタン(IV)、二酸化チタン)である。
酸化チタンの結晶構造は、特に限定されず、例えば、ルチル、ブルッカイト(板チタン石)、アナターゼ(鋭錐石)などであり、好ましくは、ルチルである。
また、酸化チタンの結晶系は、特に限定されず、例えば、正方晶系、斜方晶系などであり、好ましくは、正方晶系である。
酸化チタンの結晶構造および結晶系が、ルチルおよび正方晶系であれば、反射樹脂層4が長期間高温に曝される場合でも、光(具体的には、可視光、とりわけ、波長450nm付近の光)に対する反射率が低下することを有効に防止することができる。
光反射成分は、粒子状であり、その形状は限定されず、例えば、球状、板状、針状などが挙げられる。光反射成分の最大長さの平均値(球状である場合には、その平均粒子径)は、例えば、1〜1000nmである。最大長さの平均値は、レーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定される。
光反射成分の配合割合は、シリコーン樹脂組成物100質量部に対して、例えば、0.5〜90質量部、好ましくは、着色性、光反射性および光反射組成物のハンドリング性の観点から、1.5〜70質量部である。
上記した光反射成分は、シリコーン樹脂組成物中に均一に分散混合される。
光反射組成物は、上記したシリコーン樹脂組成物と、光反射成分とを配合して、均一混合することにより調製される。
ハウジング2は、上記した光反射組成物から、上記した形状に成形し、加熱することにより、形成される。そして、上記したシリコーン樹脂組成物を含有する。ハウジング2は、耐熱性、柔軟性、熱可塑性および熱硬化性に優れている。
そのため、上記したハウジング2を備える光半導体装置11は、光学特性および耐熱性に優れながら、柔軟性、機械強度および耐久性に優れている。
さらに、図1に示す光半導体装置11において、シリコーン樹脂組成物から封止層7を形成するとともに、シリコーン樹脂組成物を含有する光反射組成物から、ハウジング2を形成することもできる。
この実施形態では、上記と同様の作用効果を奏することができる。
以下に、合成例、比較合成例、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、何らそれらに限定されない。
合成例1
(かご型オクタシルセスキオキサンの合成)
テトラメチルアンモニウムハイドライド(25%メタノール溶液)66.8mL(158.6mol)、メタノール32.8mLおよび蒸留水24.6m1の混合液に、テトラエトキシシラン35.8mL(160.6mol)を徐々に滴下して一昼夜攪拌することにより、それらを反応させた。
(かご型オクタシルセスキオキサンの合成)
テトラメチルアンモニウムハイドライド(25%メタノール溶液)66.8mL(158.6mol)、メタノール32.8mLおよび蒸留水24.6m1の混合液に、テトラエトキシシラン35.8mL(160.6mol)を徐々に滴下して一昼夜攪拌することにより、それらを反応させた。
次いで、反応液を濾過し、濾液を、ヘキサン428mL、ジメチルクロロシラン7.1g(75mmol)およびトリメチルクロロシラン24.4g(225mmol)の混合液に滴下し、一昼夜攪拌した。その後、ヘキサンで反応物を抽出し、抽出液に硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。その後、一旦ヘキサンを除去した後、さらにヘキサンを加えて再結晶させることにより、白色固体のかご型オクタシルセスキオキサンを得た。
得られたかご型オクタシルセスキオキサンは、1H−NMRにて式(2)の構造であることを確認するとともに、式(2)におけるR1がメチル基、R2が水素およびメチル基であることを確認し、R2のメチル基と水素とのモル比(かご型オクタシルセスキオキサン全体の平均値)を算出したところ、メチル基:水素=6:2であった。
合成例2および比較合成例1、2
表1に準拠して、ジメチルクロロシランおよびトリメチルクロロシランの配合割合を変更した以外は、合成例1と同様に処理して、合成例2および比較合成例1、2のかご型オクタシルセスキオキサンをそれぞれ得た。
表1に準拠して、ジメチルクロロシランおよびトリメチルクロロシランの配合割合を変更した以外は、合成例1と同様に処理して、合成例2および比較合成例1、2のかご型オクタシルセスキオキサンをそれぞれ得た。
得られたかご型オクタシルセスキオキサンは、1H−NMRにて式(2)の構造であることを確認するとともに、式(2)におけるR1およびR2の基を同定し、R2のメチル基と水素とのモル比(かご型オクタシルセスキオキサン全体の平均値)を算出した。その結果を表1に示す。
合成例1のかご型オクタシルセスキオキサン(式(2)中、R2比=メチル基:水素(モル比)=6:2)0.36gと、アルケニル基含有ポリシロキサン(式(3)中、R3がメチル基、R4がビニル基、aが8、数平均分子量800、Gelest社製)0.24gと、トルエン1gと、白金−ジビニルシロキサン錯体溶液(ヒドロシリル化触媒、トルエン溶液、白金濃度2質量%)0.5μLとを配合して、50℃で、15時間攪拌した。これにより、シリコーン樹脂前駆体を得た。なお、アルケニル基含有ポリシロキサンのビニル基と、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基とのモル比(=ビニル基/ヒドロシリル基)は、0.91であった。
その後、得られたシリコーン樹脂前駆体に、水酸基含有ポリシロキサン(式(4)中、R5がメチル基、bが38、数平均分子量3000、Gelest社製)0.06gを配合してそれらを混合した。なお、シリコーン樹脂前駆体中の残余のヒドロシリル基に対する、水酸基含有ポリシロキサンの水酸基の割合は、モル比で、0.67であった。
その後、トルエンを留去することにより、透明固体状のシリコーン樹脂組成物を得た。
実施例2
水酸基含有ポリシロキサン(式(3)中、R5がメチル基、bが38、数平均分子量3000、Gelest社製)0.06gに代えて、水酸基含有ポリシロキサン(式(3)中、R5がメチル基、bが1615、数平均分子量12000、Gelest社製)0.06gを配合した以外は、実施例1と同様に処理して、シリコーン樹脂前駆体を得、続いて、透明固体状のシリコーン樹脂組成物を得た。
水酸基含有ポリシロキサン(式(3)中、R5がメチル基、bが38、数平均分子量3000、Gelest社製)0.06gに代えて、水酸基含有ポリシロキサン(式(3)中、R5がメチル基、bが1615、数平均分子量12000、Gelest社製)0.06gを配合した以外は、実施例1と同様に処理して、シリコーン樹脂前駆体を得、続いて、透明固体状のシリコーン樹脂組成物を得た。
なお、シリコーン樹脂前駆体中の残余のヒドロシリル基に対する、水酸基含有ポリシロキサンの水酸基の割合は、モル比で、0.67であった。
実施例3
合成例1のかご型オクタシルセスキオキサン(式(2)中、R2比=メチル基:水素(モル比)=6:2)0.36gに代えて、合成例2のかご型オクタシルセスキオキサン(式(2)中、R2比=メチル基:水素(モル比)=5.5:2.5)0.29gを配合した以外は、実施例1と同様に処理して、シリコーン樹脂前駆体を得、続いて、透明固体状のシリコーン樹脂組成物を得た。
合成例1のかご型オクタシルセスキオキサン(式(2)中、R2比=メチル基:水素(モル比)=6:2)0.36gに代えて、合成例2のかご型オクタシルセスキオキサン(式(2)中、R2比=メチル基:水素(モル比)=5.5:2.5)0.29gを配合した以外は、実施例1と同様に処理して、シリコーン樹脂前駆体を得、続いて、透明固体状のシリコーン樹脂組成物を得た。
なお、シリコーン樹脂前駆体中の残余のヒドロシリル基に対する、水酸基含有ポリシロキサンの水酸基の割合は、モル比で、0.67であった。
実施例4
アルケニル基含有ポリシロキサン(式(3)中、R3がメチル基、R4がビニル基、aが8、数平均分子量800、Gelest社製)0.24gに代えて、アルケニル基含有ポリシロキサン(式(3)中、R3がメチル基、R4がビニル基、aが25、数平均分子量2000、Gelest社製)0.6gを配合した以外は、実施例1と同様に処理して、シリコーン樹脂前駆体を得、続いて、透明固体状のシリコーン樹脂組成物を得た。
アルケニル基含有ポリシロキサン(式(3)中、R3がメチル基、R4がビニル基、aが8、数平均分子量800、Gelest社製)0.24gに代えて、アルケニル基含有ポリシロキサン(式(3)中、R3がメチル基、R4がビニル基、aが25、数平均分子量2000、Gelest社製)0.6gを配合した以外は、実施例1と同様に処理して、シリコーン樹脂前駆体を得、続いて、透明固体状のシリコーン樹脂組成物を得た。
なお、シリコーン樹脂前駆体中の残余のヒドロシリル基に対する、水酸基含有ポリシロキサンの水酸基の割合は、モル比で、0.67であった。
比較例1
アルケニル基含有ポリシロキサン(式(3)中、R3がメチル基、R4がビニル基、aが8、数平均分子量800、Gelest社製)0.24gに代えて、アルケニル基を含有しないポリシロキサン(式(3)中、R3およびR4がともにメチル基、aが25、数平均分子量800、Gelest社製)0.24gを配合した以外は、実施例1と同様に処理して、シリコーン樹脂前駆体を得、続いて、白濁オイル状のシリコーン樹脂組成物を得た。なお、シリコーン樹脂前駆体中の残余のヒドロシリル基に対する、水酸基含有ポリシロキサンの水酸基の割合は、モル比で、0.12であった。
アルケニル基含有ポリシロキサン(式(3)中、R3がメチル基、R4がビニル基、aが8、数平均分子量800、Gelest社製)0.24gに代えて、アルケニル基を含有しないポリシロキサン(式(3)中、R3およびR4がともにメチル基、aが25、数平均分子量800、Gelest社製)0.24gを配合した以外は、実施例1と同様に処理して、シリコーン樹脂前駆体を得、続いて、白濁オイル状のシリコーン樹脂組成物を得た。なお、シリコーン樹脂前駆体中の残余のヒドロシリル基に対する、水酸基含有ポリシロキサンの水酸基の割合は、モル比で、0.12であった。
比較例2
合成例1のかご型オクタシルセスキオキサン(式(2)中、R2比=メチル基:水素(モル比)=6:2)0.36gに代えて、比較合成例1のかご型オクタシルセスキオキサン(式(2)中、R2比=メチル基:水素(モル比)=7:1)0.72gを配合した以外は、実施例1と同様に処理して、シリコーン樹脂前駆体を得、続いて、透明オイル状のシリコーン樹脂組成物を得た。なお、シリコーン樹脂前駆体中の残余のヒドロシリル基に対する、水酸基含有ポリシロキサンの水酸基の割合は、モル比で、0.67であった。
合成例1のかご型オクタシルセスキオキサン(式(2)中、R2比=メチル基:水素(モル比)=6:2)0.36gに代えて、比較合成例1のかご型オクタシルセスキオキサン(式(2)中、R2比=メチル基:水素(モル比)=7:1)0.72gを配合した以外は、実施例1と同様に処理して、シリコーン樹脂前駆体を得、続いて、透明オイル状のシリコーン樹脂組成物を得た。なお、シリコーン樹脂前駆体中の残余のヒドロシリル基に対する、水酸基含有ポリシロキサンの水酸基の割合は、モル比で、0.67であった。
比較例3
合成例1のかご型オクタシルセスキオキサン(式(2)中、R2比=メチル基:水素(モル比)=6:2)0.36gに代えて、比較合成例2のかご型オクタシルセスキオキサン(式(2)中、R2比=メチル基:水素(モル比)=5:3)0.24gを配合した以外は、実施例1と同様に処理して、シリコーン樹脂前駆体を得、続いて、透明固体(ゲル)状のシリコーン樹脂組成物を得た。なお、シリコーン樹脂前駆体中の残余のヒドロシリル基に対する、水酸基含有ポリシロキサンの水酸基の割合は、モル比で、0.67であった。
合成例1のかご型オクタシルセスキオキサン(式(2)中、R2比=メチル基:水素(モル比)=6:2)0.36gに代えて、比較合成例2のかご型オクタシルセスキオキサン(式(2)中、R2比=メチル基:水素(モル比)=5:3)0.24gを配合した以外は、実施例1と同様に処理して、シリコーン樹脂前駆体を得、続いて、透明固体(ゲル)状のシリコーン樹脂組成物を得た。なお、シリコーン樹脂前駆体中の残余のヒドロシリル基に対する、水酸基含有ポリシロキサンの水酸基の割合は、モル比で、0.67であった。
比較例4
白金−ジビニルシロキサン錯体溶液(ヒドロシリル化触媒、トルエン溶液、白金濃度2質量%)を配合しなかった以外は、実施例1と同様に処理したが、シリコーン樹脂前駆体を得ることなく、シリコーン樹脂組成物を得た。つまり、かご型オクタシルセスキオキサンおよびアルケニル基含有ポリシロキサンに、水酸基含有ポリシロキサンを配合して、白濁オイル状のシリコーン樹脂組成物を得た。
白金−ジビニルシロキサン錯体溶液(ヒドロシリル化触媒、トルエン溶液、白金濃度2質量%)を配合しなかった以外は、実施例1と同様に処理したが、シリコーン樹脂前駆体を得ることなく、シリコーン樹脂組成物を得た。つまり、かご型オクタシルセスキオキサンおよびアルケニル基含有ポリシロキサンに、水酸基含有ポリシロキサンを配合して、白濁オイル状のシリコーン樹脂組成物を得た。
比較例5
水酸基含有ポリシロキサン(式(4)中、R5がメチル基、bが38、数平均分子量3000、Gelest社製)を配合しなかった以外は、実施例1と同様に処理して、シリコーン樹脂前駆体を得、これをシリコーン樹脂組成物として得た。なお、シリコーン樹脂組成物は、白濁オイル状であった。
水酸基含有ポリシロキサン(式(4)中、R5がメチル基、bが38、数平均分子量3000、Gelest社製)を配合しなかった以外は、実施例1と同様に処理して、シリコーン樹脂前駆体を得、これをシリコーン樹脂組成物として得た。なお、シリコーン樹脂組成物は、白濁オイル状であった。
(評価)
1. 熱可塑性および熱硬化性
各実施例および各比較例のシリコーン樹脂組成物の加熱時の挙動を評価した。
1. 熱可塑性および熱硬化性
各実施例および各比較例のシリコーン樹脂組成物の加熱時の挙動を評価した。
具体的には、実施例1〜4、および比較例3、5のシリコーン樹脂組成物から大きさ1cm角のサンプルを作製し、そのサンプルをホットプレートの上に置き、30〜200℃に加熱することにより熱可塑温度と熱硬化温度とを目視により観察した。その結果を表2に示す
なお、比較例3は、固体状であるが、加熱によって軟化しなかったため、熱可塑温度を評価できなかった。また、比較例3は、固体状であったため、熱硬化温度を評価できなかった。
なお、比較例3は、固体状であるが、加熱によって軟化しなかったため、熱可塑温度を評価できなかった。また、比較例3は、固体状であったため、熱硬化温度を評価できなかった。
一方、比較例1、2および4については、液体状であったため、熱可塑温度を評価できなかった。また、比較例1、2および4について、所定量(約1mL)をホットプレートの上に塗布して、30〜200℃に加熱して、これを観察したが、加熱によって硬化しなかったため、熱硬化温度を評価できなかった。
2. 耐熱性(光透過率の減少率)
上記と同様に作製した実施例1〜4のサンプルについて、波長450nmの光に対する光透過率を分光光度計(U4100、目立ハイテック社製)にて測定した。
2. 耐熱性(光透過率の減少率)
上記と同様に作製した実施例1〜4のサンプルについて、波長450nmの光に対する光透過率を分光光度計(U4100、目立ハイテック社製)にて測定した。
その後、サンプルを200℃の温風型乾燥機内に所定時間投入した。そして、24時間および168時間経過後に、サンプルを温風型乾燥機から取り出し、取り出したサンプルの波長450nmの光に対する光透過率を測定した。
そして、サンプルの光透過率の減少率(=(投入後の光透過率/投入前の光透過率)×100)をそれぞれ算出した。その結果を表2に示す。
3. 柔軟性(引張弾性率および伸び率)
厚み600μmのサンプルを作製し、次いで、200℃の温風型乾燥機内に設置し、24時間経過後にサンプルを取り出し、25℃における引っ張り弾性率、および、25℃における伸び率を万能試験機(オートグラフ、島津製作所社製)を用いて測定した。その結果を表2に示す。
3. 柔軟性(引張弾性率および伸び率)
厚み600μmのサンプルを作製し、次いで、200℃の温風型乾燥機内に設置し、24時間経過後にサンプルを取り出し、25℃における引っ張り弾性率、および、25℃における伸び率を万能試験機(オートグラフ、島津製作所社製)を用いて測定した。その結果を表2に示す。
一方、比較例1〜4のシリコーン樹脂組成物は、熱可塑性および熱硬化性の両方を有していない。
具体的には、比較例1のシリコーン樹脂組成物は、アルケニル基含有ポリシロキサンを含有していないため、ヒドロシリル化反応が生じず、得られたシリコーン樹脂組成物が室温で固体状とならず、室温で液体状となった。つまり、熱可塑性を有していない。
比較例2のシリコーン樹脂組成物は、かご型オクタシルセスキオキサン全体の平均値として、R2の1価の炭化水素基:水素のモル比が、7:1であり、ヒドロシリル基のモル数が少ないため、かご型オクタシルセスキオキサンおよびアルケニル基含有ポリシロキサンの反応度合が低下して、シリコーン樹脂組成物の分子量が低くなり、得られたシリコーン樹脂組成物が室温で固体状とならず、室温で液体状となった。つまり、熱可塑性を有していない。
比較例3のシリコーン樹脂組成物は、かご型オクタシルセスキオキサン全体の平均値として、R2の1価の炭化水素基:水素のモル比が、5:3であり、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数が多いため、得られたシリコーン樹脂組成物が熱可塑性を示さなかった。
比較例4のシリコーン樹脂組成物は、ヒドロシリル化触媒を配合していなかったため、ヒドロシリル化反応が生じず、シリコーン樹脂前駆体が得られなかった。また、シリコーン樹脂組成物が室温で固体状とならず、室温で液体状となった。つまり、熱可塑性を有していない。
比較例5は、熱可塑性および熱硬化性を併有するが、実施例1〜4に比べると、熱硬化温度が200℃と高く、弾性率が高く、伸び率が低かった。
これは、水酸基含有ポリシロキサンを配合していなかったため、かご型オクタシルセスキオキサン同士が空気中の水分と加水分解および自己縮合によって硬化し、そのため架橋点間距離が短いためと推測される。
1 光半導体素子
2 ハウジング(リフレクタ)
7 封止層
11 光半導体装置
2 ハウジング(リフレクタ)
7 封止層
11 光半導体装置
Claims (9)
- 前記かご型オクタシルセスキオキサンと、前記アルケニル基含有ポリシロキサンとを、前記ヒドロシリル化触媒の存在下で反応して得られるシリコーン樹脂前駆体と、
前記水酸基含有ポリシロキサンと
を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシリコーン樹脂組成物。 - 光半導体素子を封止するために用いられ、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリコーン樹脂組成物から形成されることを特徴とする、封止層。
- 光半導体素子と、
前記光半導体素子を封止する請求項6に記載の封止層と
を備えていることを特徴とする、光半導体装置。 - 光半導体素子から発光される光を反射するために用いられるリフレクタであり、
請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリコーン樹脂組成物と、
光反射成分と
を含有する光反射組成物から形成されることを特徴とする、リフレクタ。 - 光半導体素子と、
前記光半導体素子から発光される光を反射する請求項8に記載のリフレクタと
を備えていることを特徴とする、光半導体装置。
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