JP2012529019A - 干渉信号補正を行うレーダセンサ - Google Patents

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Abstract

本発明は、受信信号と基準信号とを混合する混合器(12)と、当該混合器を過励振しうる干渉信号(SE)を補正する素子と、を備えたレーダセンサであって、干渉信号を補正する素子は、混合器(12)の基準入力口(18)に、調整可能な反射点(22)を有することを特徴とする、上記レーダセンサに関する。
【選択図】図3

Description

本発明は、受信信号と基準信号とを混合する混合器と、当該混合器を過励振しうる干渉信号を補正する素子と、を備えたレーダセンサに関する。
レーダセンサは、例えば間隔センサとして車両内で使用される。最初の実現では、77GHzの高周波を生成し、又は評価可能な信号へと変換するために、個別半導体モジュールを使用した。数年来、いわゆるMMIC(Microwave Monolithic Integrated Circuit、モノリシックマイクロ波集積回路)が登場した。このMMICは、HF(高周波)回路がチップ上にコンパクトに集積している点で傑出している。
その間に自動車での利用に適切であると認められ、HS回路技術による大規模集積回路の潜在能力を提供する、HF半導体物質としてのSiGe(シリコンゲルマニウム)が、新種の技術プラットフォームとして提供されている。ここでは特に、従来では一般的な、個別ダイオード又はMMICに組み込まれたダイオードの形態での受動型混合器を実現する代わりに、能動型混合器を利用することが初めて有効である。
受動型混合器が変換損失を有する一方で、能動型混合器は、その増幅により変換利得を有する。これにより、能動型混合器は、入力信号が大きい場合に、より過励振状態になりやすく、混合器の効率が著しく損なわれることになる。このことは、特別な回路技術により、混合器セルを大信号に対してより強くすることにより防止されるが、電力消費量が上がる。しかしながら、近距離での強い反射の際には、送信電力が少しだけ減衰した状態で受信経路内へと折り返し反射され、絶対出力が高いために受信機が飽和状態に置かれるというケースが生じる。
この作用は、典型的に距離が短い場合に固定の反射点で生じるため、送信信号と受信信号とは実際には周波数偏移を有さず、従って、混合物として、以下で「DCオフセット」(DC−Offset)と呼ばれる直流が生成する。この直流は、交流結合により混合器出力口で除去できるが、混合器セル自体の内部での過励振や効率損失に繋がる。
送信及び受信の際に共通のアンテナを使用し共通の送信及び受信経路を有する、特に小型のレーダシステム(モノスタティックレーダ)では、このような反射が特に際立っており、最適な構成でない場合には性能が非常に制限される。
従って、今日の車両レーダは、ますますバイスタティック・レーダアーキテクチャに変わってきており、共通の送信及び受信経路内での直接的な後方反射が防止される。ただし、ここでも近距離での強い反射の際には、例えば反射するバンパーの後ろにレーダを設置することによっては、問題が完全には解消されない。さらに、大きな開口部を有する強く集束されたアンテナの場合は、バイスタティックな構成によりアンテナ面積を二倍にすることが有利である。
さらに、送信電力をより小さくすることにより問題が減ずることが公知である。しかしながら、より小さな送信電力はより小さな射程に繋がり、同様に望ましくない。
通信システムでは、フィードバックによる能動的なオフセット調整が過励振を防止することが公知である。しかしながら、従来、基本的により低い周波数の場合にのみ実現され、現在では、77GHzの場合は、コスト良く変換できない。
同様に、アンテナの前に送信/受信切替器を配置することが公知である。ただし、この技術も従来、はるかに低い周波数のためのものであり、さらに、コストが良く製造された車両のためのレーダセンサには耐え難い複雑さが増すことになる。
本発明の課題は、特に車両のためのレーダセンサであって、混合器の飽和状態を引き起こす干渉信号が容易かつ効果的に抑制される上記レーダセンサを創出することにある。
本課題は、本発明に基づいて、干渉信号を補正する素子が混合器の基準入力口に調整可能な反射点を有することにより解決される。
本発明は、レーダセンサの混合器内及び当該レーダセンサの環境において様々な形態の反射が行われ、この様々な形態の反射に起因する信号が、混合器において互いに干渉し合うという事実を利用する。上記信号の少なくとも1つの位相及び振幅は、弱め合う干渉が発生し結果的に生じる干渉信号が抑制されるように、調整可能な反射点を用いて調整される。
本発明の好適な構成及び発展形態が従属請求項に示される。
レーダセンサの混合器モジュールの概略図を示す。 図1の混合器モジュール内で発生する様々な形態の反射の概略図を示す。 本発明にかかる調整可能な反射点を備えた混合器モジュールを示す。 図3の反射点の詳細な図を示す。
図1には、車両のためのモノスタティック・レーダセンサ、例えば77GHzレーダの混合器モジュールが、概略図として示されている。混合器モジュールの基本的な機能構成要素は、結合器10と、本来の混合器セル12である。これら2つの構成要素の機能は、例えば転送混合器の場合には、1つの構成要素内で統合されうるが、ここで解説する原則に関しては重要なことではない。結合器10は、図示されない局部発振器から同様に図示されないレーダセンサのアンテナへと導く高周波線14内へと接続されている。
局部発振器により生成される送信信号LO(77GHzの高周波信号)は、高周波線14を介してアンテナへと伝達され、当該アンテナにより発信される。測定物体で反射した信号は、上記アンテナによって再び受信され、受信信号Eとして高周波線14を介して結合器10へと送り戻される。この受信信号Eは、結合器10によって、高周波線14から分離され、混合器セル12のHF(高周波)入力口16へと転送される。さらに、結合器10によって、送信信号LOの一部が分離され、基準信号Rとして、混合器セル12の基準入力口18へと転送される。混合器セル12内では、受信信号Eと基準信号Rとが互いに混合され、その周波数が受信信号Eと基準信号Rとの間の周波数差に相当する中間周波数信号が獲得される。この中間周波数信号は、混合器のHF(高周波)出力口20で獲得され、更なる評価へと案内される。
図2は、図1と同じ混合器モジュールの概略図であるが、上記の信号LO、E、及びRの代わりに、様々な形態の反射により混合器モジュール自体の内部で、及び/又は、その環境において生じる様々な干渉信号を示している。例として、混合器モジュールはMMICにより形成されると想定することが可能である。この場合、MMIC内の内部反射と、MMICの自身の環境への組み込みに起因する反射と、を区別することできる。
この後者の形態において、特に、組み込みに起因する干渉信号SEであって、高周波線14のアンテナ側の分岐線内又は分岐線上の、反射する接合点に起因する、及び/又は、高周波線の当該分岐線とMMICとの間のHF(高周波)接合に起因する上記干渉信号SEが発生する。HF接合は、ボンド接合として、またはフリップチップ(Flip−Chip)として構成されうる。受信に起因する干渉信号SEは、結合器10を介して、混合器セルのHF入力口16に到達する。
内部の干渉信号SRは、混合器セル12の基準入力口18での反射により生成し、結合器10を介して、同様に、混合器セルのHF入力口16に到達する。
実際には重要度が低い更なる別の干渉信号SIC及びSIMは、結合器10の不完全な絶縁によって、又は、混合器セル12の基準入力口とHF入力口との間の不完全な絶縁によって生じる。
これら干渉信号は全て、混合器セル12のHF入力口で互いにベクトル重畳し、従って干渉が生じる。
内部の干渉信号SR、SIC、SIMは原則的に、混合器モジュールを形成するMMICの適切な構成によって調整可能である。しかしながら、このことは、レーダセンサの全体システム内での混合器モジュールの特別な組み込み条件に依存する外部の干渉信号SEの場合には該当しない。
従ってケースごとにレーダセンサへのMMICの組み込みに応じて、混合器セル12のHF入力口16での干渉信号が、主に強め合って干渉し、混合器セルを飽和状態に置き混合器の効率を著しく損なう振幅に達するということが観察される。
図3は、再び概略図として混合器モジュールを示し、当該混合器モジュールでは、干渉信号に起因する機能的減損が後に、レーダセンサへのMMICの組み込みの後で補正される。
この目的のために、混合器セル12の基準入力口18には、調整可能な反射点22が設けられ、この反射点22によって、干渉信号SRの位相及び振幅が変更される。この位相及び振幅は、HF入力口16において弱め合う干渉が、結果的に生じる残りの干渉信号と共に生じるように調整される。より重要度が低い干渉信号SIC及びSIMは、図3では、分かり易さを優先して省略される。
調整可能な反射点22の実際の実現が図4に示される。図4によれば、この反射点は、複数の並行する迂回線24を有し、当該迂回線24は全て、結合器10と混合器セル12の基準入力口18とを接続するが、様々な、更なる別の迂回を表している。さらに、反射点22は、複数の分岐28を備えたスタブ線26を含み、当該スタブ線26は、異なる長さの区間を介して、基準入力口18をアースに接続する。
各迂回線24、及び、スタブ線26の各分岐28は、例えば所謂レーザヒューズの形態の遮断点30を含み、当該遮断点30は、レーダセンサへの混合器モジュールの組み込みの後にレーザで焼き切られて、該当する分岐が遮断される。
従って、1つ又は複数の遮断点30の開放によって、迂回線24又はスタブ線26の効果的な長さが調整される。迂回線24の効果的な長さは干渉信号SRの位相を決定し、スタブ線26の効果的な長さは、当該干渉信号の振幅に影響を与える。
レーダセンサへの混合器モジュールへの組み込みの後に送信信号LOが供給されると、混合器モジュールの出力が、特に過励振への傾向が(例えば、HF出力口20でDCオフセットを用いて)評価され、迂回線24内及びスタブ線26内の遮断点30が順々に開放されることにより、干渉信号の抑制が最適化される。例えば、最初に、迂回線24の遮断点30が順々に開放され、従って、当該迂回線の効果的な長さが次第に大きく(小さく)なり、干渉信号SRの位相の向きが徐々に変えられる。この工程は、過励振が最小値に達するまで、即ち、干渉信号SRの位相が、残りの干渉信号、特に干渉信号SEの位相に対して180°ずらされるまで続けられる。
引き続いて、順番に、スタブ線26内の遮断点30が切断され、干渉信号SRの振幅が、当該振幅も補正されるまで徐々に大きく(又は小さく)なり、従って、最終的な最善の状態、理想的には、完全な弱め合う干渉が達成される。
この原則は、転送混合器を備えたモノスタティックシステムに限定されず、例えば、受信信号と送信信号とのクロストークが行われるバイスタティックシステムの場合にも利用されうる。このことは、受信機が、LNA(Low Noise Amplifier、低雑音増幅器)の使用により、受信経路内において感度が非常に良く、及び/又は、混合器が大信号に対してさほど強く構成されていない場合に特に、例えば送信アンテナから受信アンテナへの密結合が行われるバイスタティックセンサの場合に該当する。

Claims (10)

  1. 受信信号(E)と基準信号(R)とを混合する混合器(12)と、当該混合器を過励振しうる干渉信号(SE)を補正する素子と、を備えたレーダセンサであって、前記干渉信号を補正する素子は、前記混合器(12)の基準入力口(18)に、調整可能な反射点(22)を有することを特徴とする、レーダセンサ。
  2. 前記調整可能な反射点(22)は、調整可能な迂回線(24)を有する、請求項1に記載のレーダセンサ。
  3. 前記調整可能な迂回線(24)は、異なる長さの複数の並行した経路を有し、各前記経路は、前記レーダセンサの動作中に開放される遮断点(30)を有する、請求項2に記載のレーダセンサ。
  4. 前記調整可能な反射点(22)は、調整可能なスタブ線(26)を有し、前記スタブ線(26)は、前記混合器(12)の基準人力口(12)をアースに接続する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーダセンサ。
  5. 前記スタブ線(26)は、異なる長さの複数の経路を有し、各前記経路は、レーダダセンサの動作中に開放される遮断点(30)を有する、請求項4に記載のレーダセンサ。
  6. 前記遮断点(30)は、レーザヒューズである、請求項4〜6に記載のレーダセンサ。
  7. 前記混合器(12)は、MMICの構成要素である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のレーダセンサ。
  8. 前記混合器(12)は、転送混合器である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のレーダセンサ。
  9. 前記混合器(12)は、能動型混合器である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のレーダセンサ。
  10. モノスタティック型の、請求項1〜9のいずれか1項に記載のレーダセンサ。
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