JP2012528432A - 荷電粒子分析器および荷電粒子を分離する方法 - Google Patents

荷電粒子分析器および荷電粒子を分離する方法 Download PDF

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Abstract

飛行時間質量分光分析に有用な方法および分析器が提供される。荷電粒子を分離する方法が、2つの対向するミラーを備える分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、電場のz軸に沿った強度が平面z=0で最小であり、方法がさらに、分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器体積内部でz軸の周りを周回し、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射し、それによりミラー内部に最大変向点を定義するステップを含み、最大変向点での電場のz軸に沿った強度がXであり、電場のz軸に沿った絶対強度が、平面z=0と各ミラーでの最大変向点の間でz軸に沿った方向の2/3以下にわたって|X|/2未満であり、方法がさらに、荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと、複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを分析器から出射する、または複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを検出するステップとを含み、出射または検出するステップが、粒子がz軸の周りで同じ回数の周回を経た後に行われる。
【選択図】図3a

Description

本発明は、荷電粒子分析器、および例えば飛行時間質量分光分析を使用して荷電粒子を分離および分析する方法に関する。
飛行時間(TOF)質量分光計は、経路に沿った荷電粒子の飛行時間に基づいて荷電粒子の質量電荷比を求めるために広く使用されている。荷電粒子、通常はイオンが、パケットの形態でパルス源から放出され、所定の飛行経路に沿って、排気された空間を通して進められて、検出器に衝突する、または検出器を通過する。その最も単純な形態では、経路は直線状であり、この場合、イオン源から出る一定の運動エネルギーを有するイオンは、それらの質量に依存する時間後に検出器に到達し、より質量の大きいイオンはより遅い。異なる質量対電荷比のイオン間の飛行時間の差は、とりわけ飛行経路の長さに依存する。より長い飛行経路が時間差を増加し、これが質量分解能の増加をもたらす。したがって、高い質量分解能が必要とされるとき、飛行経路長を伸ばすことが望ましい。しかし、単純な直線経路長の増加は、機器サイズの増大をもたらし、製造コストが高くなり、機器を収容するためにより大きな実験室空間が必要となる。
より複雑な飛行経路を利用することによって、実用上の機器サイズを維持しながら経路長を伸ばすための様々な解決策が提案されている。荷電粒子ミラーまたは反射器の多くの例が、電気および磁気セクタを有するものとして記載されており、それらのいくつかの例は、the Journal of Mass Spectrometry and Ion Processes, 96 (1990) 267−274でH.WollnikおよびM.Przewlokaが、また米国特許第6828553号明細書でG.Weissが提示している。いくつかの場合には、2つの対向する反射器またはミラーが、反射器またはミラー間で荷電粒子を繰り返し往復させる。オフセットされた反射器またはミラーにより、イオンは折返し経路を辿る。セクタは、リングまたは「八の字」の経路をイオンが巡るようにする。ここで、用語「反射器」と「ミラー」は交換可能に使用される。多くのそのような構成が研究されており、当業者に知られている。
本質的に2つの可能なタイプの飛行経路が存在する。すなわち開いた飛行経路と閉じた飛行経路である。開いた飛行経路では、イオンは反復経路を辿らず、そのため、開いた飛行経路では、異なる質量電荷比のイオンが同じ飛行経路上で同じ方向に進みながら重なり合うことはありえない。しかし、閉じた飛行経路では、イオンは、反復経路を辿り、所与の時間後に飛行経路内の同じ点に戻り、飛行経路上を再び進み、その際、異なる質量電荷比のイオンが同じ経路を辿りながら重なり合うことがある。開いた飛行経路、例えば単純な直線飛行経路を有する特定の利点は、パルス源から放出される各イオンパケットから、理論上は無制限の質量範囲を分析することができることである。閉じた飛行経路の場合、例えば直に対向するミラーを備える飛行時間計器、および所要の飛行経路をイオンが繰り返し辿るすべての設計の場合、この利点は失われる。なぜなら、飛行中に、パケットが、異なる質量電荷比を有する粒子のパケットの列となり、その列の長さが飛行時間中に増加するからである。飛行時間が増加するにつれて、このパケット列の前端は、最終的に折り返し、反復経路上で末端に追い付くことがあり、その後、異なる質量電荷比を有する粒子のパケットが検出器に同時に到達する。そのような場合の検出は、重なり合った質量スペクトルを生み出すことになり、これは、何らかの形のデコンボリューションを必要とする。これは、実用上、このタイプの分析器において、質量範囲の縮小、または利用することができる飛行経路の長さに対する制限、またはそれらの両方をもたらしている。これを回避するために、開いた経路または反復しない経路を利用する飛行時間計器で利用可能な無制限の質量範囲を保つことが望ましい。しかし、折返し経路および複数セクタ設計を形成する反射型の飛行時間幾何形状は、多数の厳しい公差のイオン光学構成要素、追加のコストおよび複雑さ、ならびに一般的にサイズの増大を必要とするという欠点を有する。
これらの考慮事項に加えて、高い質量分解能のためには、パルス源内部の有限体積から放出され、同じ質量電荷比を有し、しかも異なる角度発散を有する軌道を有する粒子がすべて同時に検出器に到達することが重要である。これは、初期角度および位置に関する時間的集束と呼ばれることがある。飛行時間分析器によって、比較的広い範囲の角度発散(数度まで)と空間的広がり(ミリメートル未満〜数十mm)が受け入れられ、受け入れられたすべての粒子が検出器で時間焦点に向けられるべきであり、すなわち、同じ質量電荷比のイオンは、イオン源でのそれらの初期角度発散または空間的位置に関係なく同時に検出器に到達する。高い分解能のために、飛行経路長を伸ばすために利用される反射器およびセクタは、この時間的集束が1次よりも高いように設計しなければならず、好ましくは集束は3次以上にすべきである。
これらの考察事項にさらに加え、高い質量分解能のために、異なるエネルギーを有する粒子の時間集束も実現しなければならない。いくつかのタイプのパルスイオン源によって放出される粒子に関して、公称ビームエネルギーの数十%までのエネルギー幅に収めなければならず、飛行時間が高次までエネルギーに依存するTOF分析器を必要とする。異なるエネルギーの粒子に関する時間集束が改良された反射器とセクタの両方に関して、様々な設計が提案されている。異なるエネルギーの粒子に関する時間集束が改良されたいくつかの反射器は、反射器内部での電場をより良く制御するためにグリッドを含むが、そのような反射器は、多重反射システムにはあまり適していない。なぜなら、イオンが各反射時にグリッドとの衝突によって失われ、複数回の反射後のシステムの全体の伝送が損なわれるからである。
反射器に関して、荷電粒子調和運動を生み出す線形反射電場の印加が、異なるエネルギーの粒子に関する完璧な時間集束を生み出すことが注目されている。いくつかの例は、例えばRev. Sci. Instrum. 56(9), 1723−1726 (1985)でW.S.CraneおよびA.P.Millsが、米国特許第4625112号明細書でY.Yoshidaが、またRev. Sci. Instrum. 69(4) 1650−1660 (1998)でU.Andersen他が提案している。線形電磁場は、反射器への距離の増加と共に線形的に増加する力を荷電粒子に対して生み出す。より高いエネルギーの粒子はより速く進むが、また、反射電磁場内にさらに進み、より低いエネルギーの粒子と同じ時間をその中で費やす。そのような線形電磁場は、放物型ポテンシャルで生成される。紛らわしいことに、多くの従来技術の刊行物は、ポテンシャルではなく電磁場のほうを放物型と呼んでいる。放物型電磁場は調和運動をもたらさないものである。しかし、そのような放物型ポテンシャル反射器の使用には難点がある。なぜなら、それらは、反射軸に直交する方向でイオンビームの強い発散を生み出す傾向があるからである。これにより、そのようなミラーでの2回以上の反射がすぐに実用的でないものとなる。また、そのような電磁場での集束の質は、イオン源とそのようなミラーへの入口との間に、電磁場のない領域がより長く導入されるときにも劣化する。
複数回反射システムに関して、高い伝送を保つために、荷電粒子ビームの角度発散を制約しなければならない。飛行時間分離の方向に垂直な平面内での空間的集束には、ミラーへの入口に強い(通常は加速)レンズが必要であり、かつミラーへの入口の前に電磁場のないドリフト空間が必要である(これは例えば英国特許第2080021号明細書で企図されている)。複数の反射器または複数のセクタの使用は、複数の反射器またはセクタそれぞれに関する洗練された設計と厳しい公差の製造を必要とし、複雑さおよびコストの増加、ならびに典型的には機器サイズの増大をもたらす。旧ソ連特許第1725289号明細書に提案されているように、この構成は、ミラーが平坦である場合に単純かつ容易に制御できるようになる。米国特許第7385187号明細書でA.Verentchikovが提案しているように、ミラーの広がりに平行なシフト方向での発散は、周期的なレンズを使用することによって制限することができる。しかし、そのようなレンズ自体が、それらがかなり弱くないかぎりはビーム収差を引き起こし、最終的な時間焦点の品質を制限し、したがって質量分解能を制限することがある。
すべてのそのようなシステムに関して、高品質の空間的集束および時間的集束を得るために高い集束電圧が必要とされる。実用面でより重要なことには、国際公開第06129109号パンフレットに記載されるように、このタイプのすべてのミラーにおいて、変向点付近でさえ反射電磁場の大きな非線形性があることにより、空間電荷に対する公差が著しく狭くなる。
旧ソ連特許第12479973号明細書でL.N.Gall他が代替の放物型ポテンシャル構成を提案しており、そこでは、2つの同軸電極を有する構造で荷電粒子が反射され、粒子が2つの同軸電極間を進み、内側電極を周回する。電極間の電場は、長手方向(Z)軸の方向と半径方向(r)軸の方向で独立成分を有し、すなわち長手方向での荷電粒子に対する力が粒子の半径方向位置に依存しない。同心電極の存在が、対数ポテンシャル項rを生成し、寄生電位項はZで表される。しかし、Gall他が説明する1回反射実施形態は、飛行経路長が限られている。Gall他は、複数回反射構造でそのような電磁場を利用することができる方法について教示していない。また、このタイプの電磁場を利用するが、リング構造に印加される個別の電位を使用するさらなる1回反射の例を、Proc. 4th Int. Seminar on the Manufacturing of Scientific Space Instruments, Frunze, 1990, IKI AN, Moscow, 1990, vol. 2, 65−69でV.P.Ivanov他が提示した。これらの1回反射TOF計器はどちらも、質量分解能が制限されており、後者のものでは分解能がわずか40である。これらのシステムに関する主要な問題は、特にイオン入射および出射の点での電磁場の正確な定義に関する。この問題は、イオン経路全体に沿って軸方向電磁場を厳密に線形にするために、そのようなシステム内部で、電磁場のないドリフト空間を回避する必要があることに起因する。
厳しい公差の構成要素をできるだけ少数だけ用いて完璧またはほぼ完璧な角度および時間集束特性を実現する、コンパクトで、高分解能で、無制限の質量範囲のTOFが求められている。
便宜上、本発明に関して本明細書で使用する用語の簡単な解説を以下に記す。用語のより完全な説明は、本明細書における関連箇所で述べる。
分析器電場(本明細書では分析器場とも呼ぶ):ミラーの内側と外側の電場定義電極システム間の分析器体積内部の電場。これは、電場定義電極システムへの電位の印加によって生成される。主分析器場は、荷電粒子が主飛行経路に沿って移動する分析器場である。
分析器体積:2つのミラーの内側と外側の電場定義電極システム間の体積。分析器体積は、内側電場定義電極システム内部の体積までは広がらず、また、外側電場定義電極システムの内面よりも外の体積までは広がらない。
周回運動の角度:周回が進行するときに円弧方向で成される角度。
円弧方向:長手方向分析器軸zの周りでの角度方向図1は、分析器軸z、半径方向r、および円弧方向φのそれぞれの方向を示す。すなわちこれらは円筒座標と見ることができる。
円弧集束:荷電粒子の発散を円弧方向で制約するための円弧方向での荷電粒子の集束。
非対称ミラー:非対称の対向する電場を生成するために、物理的特性(例えばサイズおよび/または形状)または電気的特性またはその両方が異なる対向するミラー。
ビーム:いくつかまたはすべてを分離することができる荷電粒子の列または荷電粒子のパケット。
ベルト電極アセンブリ:少なくとも部分的に分析器軸zの周りに延在するベルト形状の電極アセンブリ。
荷電粒子加速器:荷電粒子の速度を変える、または速度を増減する合計の運動エネルギーを変える任意のデバイス。
荷電粒子偏向器:ビームを偏向する任意のデバイス。
検出器:入射する荷電粒子ビームから測定可能な信号を生成するのに必要なすべての構成要素。
出射器:主飛行経路から、任意選択で分析器体積の外部に荷電粒子を出射するための1つまたは複数の構成要素。
分析器の赤道または赤道位置:分析器体積内の分析器軸zに沿った2つのミラー間の中点、すなわち分析器軸zの方向での最小絶対電場強度の点。
外部出射軌道:分析器からの出射時にビームが取る分析器体積の外部での軌道。
外部入射軌道:分析器への入射時にビームが取る分析器体積の外部での軌道。
電場定義電極システム:電気的にバイアスをかけられるときに、分析器体積内部の分析器場の歪を発生させる、または歪の発生に寄与する、または歪を抑える電極。
入射器:分析器を通る主飛行経路上に荷電粒子を入射するための1つまたは複数の構成要素。
内部出射軌道:主飛行経路からの出射時にビームが取る分析器体積の内部での軌道。
内部入射軌道:主飛行経路につながる前の、入射時にビームが取る分析器体積の内部の軌道。
主飛行経路:粒子が分離される時間の大半にわたって荷電粒子が辿る安定な軌道。主飛行経路は、主に主分析器場の影響下で辿られる。
m/z:質量電荷比。
オフセットレンズ実施形態:円弧集束レンズが分析器の赤道位置から変位された実施形態。
主ビーム:公称ビームエネルギーを有し、ビーム発散を有さないイオンが取るビーム経路。
レシーバ:検出器の全体または一部を形成する任意の荷電粒子デバイス、または荷電粒子のさらなる処理のためのデバイス。
本発明の一態様によれば、荷電粒子を分離する方法であって、
2つの対向するミラーを備える分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、電場のz軸に沿った絶対強度が平面z=0で最小であり、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器体積内部でz軸の周りを周回し、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射し、それによりミラー内部に最大変向点を定義するステップを含み、最大変向点での電場のz軸に沿った強度が|X|であり、電場のz軸に沿った絶対強度が、平面z=0と各ミラーでの最大変向点の間でz軸に沿った方向の2/3以下にわたって|X|/2未満であり、方法がさらに、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと、
複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを分析器から出射する、または複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを検出するステップとを含み、出射または検出するステップが、粒子がz軸の周りで同じ回数の周回を経た後に行われる方法が提供される。
本発明の別の態様によれば、
2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器であって、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、使用時、分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器体積内部でz軸の周りを周回するとともに一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射し、それによりミラー内部に最大変向点を定義し、電極システムが電気的にバイアスをかけられるとき、ミラーが、z軸に沿った対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、電場のz軸に沿った強度が平面z=0で最小であり、最大変向点での電場のz軸に沿った強度がXであり、電場のz軸に沿った絶対絶対強度が、平面z=0と各ミラーでの最大変向点の間でz軸に沿った距離の2/3以下にわたって|x|/2未満であり、荷電粒子分析器がさらに、
出射器、または検出器の少なくとも一部を備え、出射器、または検出器の少なくとも一部が、分析器体積内部に位置されて、それぞれビームからの少なくともいくつかの荷電粒子を分析器体積から出射し、または分析器体積内部で検出し、上記少なくともいくつかの粒子が複数のm/zを有し、出射または検出が、少なくともいくつかの粒子が軸zの周りで同じ回数の周回を経た後に行われる荷電粒子分析器が提供される。
好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と各ミラーでの最大変向点との間でz軸に沿った距離の1/2以下にわたって|X|/2未満である。
好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と各ミラーでの最大変向点との間でz軸に沿った距離の1/3以上にわたって|X|/2未満である。
好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と各ミラーでの最大変向点との間でz軸に沿った距離の2/3と1/3の間(すなわち2/3〜1/3)にわたって|X|/2未満である。より好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と各ミラーでの最大変向点との間でz軸に沿った距離の0.6〜0.4の間、より好ましくは0.55〜0.45の間、さらに好ましくは0.52〜0.42の間にわたって|X|/2未満である。最も好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と各ミラーでの最大変向点との間でz軸に沿った距離の約1/2にわたって|X|/2未満である。
従って、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と各ミラーでの最大変向点との間でz軸に沿った距離の(i)2/3〜0.6の間、(ii)0.6〜0.55の間、(iii)0.55〜0.5の間、(iv)0.5〜0.45の間、(v)0.45〜0.4の間、または(vi)0.4〜1/3の間にわたって|X|/2未満であり得る。
好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と最大変向点との間でz軸に沿った距離の1/3以下にわたって|X|/3未満である。
より好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と各ミラーでの最大変向点との間でz軸に沿った距離の2/3以下(好ましくは1/2以下)にわたって|X|/2よりも大きい。
より好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と各ミラーでの最大変向点との間でz軸に沿った距離の2/3以下(好ましくは1/2以下)かつ1/3以上にわたって|X|/2よりも大きい。
好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と各ミラーでの最大変向点との間でz軸に沿った距離の2/3と1/3の間(すなわち2/3〜1/3)にわたって|X|/2よりも大きい。より好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と各ミラーでの最大変向点との間でz軸に沿った距離の0.6〜0.4の間、より好ましくは0.55〜0.45の間、さらに好ましくは0.52〜0.42の間にわたって|X|/2よりも大きい。最も好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と各ミラーでの最大変向点との間でz軸に沿った距離の約1/2にわたって|X|/2よりも大きい。
最も好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と各ミラーでの最大変向点との間でz軸に沿った距離の約1/2にわたって|X|/2よりも大きい。
好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と最大変向点との間でz軸に沿った距離の1/3以下にわたって2|X|/3よりも大きい。
好ましくは、ビームは、一方のミラーから他方のミラーに反射するときに、z軸の方向で実質的に単調和運動の少なくとも1回の振動を受ける。
好ましくは、荷電粒子の少なくともいくつかは、分析器内部で実質的に同じ経路を複数回辿らず、すなわち閉じた経路を辿らない。
好ましくは、z軸の方向での実質的に単調和運動の振動が振動周波数であり、z軸の周りでの周回運動が周回周波数であり、周回周波数と振動周波数の比は0.71〜5.0の間である。
好ましくは、電場は、z軸に沿った分析器体積の長さの少なくとも一部分に沿って実質的に線形である。好ましくは、電場は、各ミラーでの最大変向点間でz軸に沿った長さの少なくとも半分にわたって実質的に線形である。より好ましくは、電場は、各ミラーでの最大変向点間でz軸に沿った長さの少なくとも3分の2にわたって実質的に線形である。
好ましくは、複数のm/zの中には、最大m/z値(m/zmax)および最小m/z値(m/zmin)があり、m/zmax/m/zminは好ましくは少なくとも3である。他の好ましい実施形態では、m/zmax/m/zminの比は、少なくとも5、少なくとも10、または少なくとも20でよい。
好ましくは、粒子は、分析器体積内部でz軸の周りを周回して分析器を通って飛行するとき、一方のミラーから他方のミラーに1回よりも多く(すなわち複数回)反射する。
好ましくは、荷電粒子は、z軸の方向での振動の全時間の半分未満、より好ましくは3分の1未満だけ、z軸に沿って実質的に一定の速度で飛行する。
いくつかの好ましい実施形態では、方法が、粒子が軸zの周りで同じ回数の周回を経た後に、分析器を通る荷電粒子の少なくともいくつかの飛行時間を測定するステップを含む。好ましくは、荷電粒子分析器は、分析器を通る荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するためのものである。本明細書で使用するとき、用語「飛行時間」は、飛行時間(すなわち時間の単位、例えば秒)、または飛行時間を表す値(例えば時間の単位以外の単位、または無次元の値)を意味する。さらに好ましくは、この方法は、例えば飛行時間をm/z値に変換することによって、測定される飛行時間から質量スペクトルを構成するステップを含む。ここで、用語「質量スペクトル」は、質量に関係する領域内の任意のスペクトル、例えば質量、質量電荷比(m/z)、時間などを意味する。質量スペクトルは、好ましくはコンピュータを使用して構成され、例えば軸zの周りで同じ回数の周回を経た少なくともいくつかの粒子を検出したときに検出器によって生成される検出信号を受信するコンピュータを使用して構成される。検出信号から、例えばコンピュータによって飛行時間を導出することができる。
いくつかの実施形態では、この方法は、選択された粒子以外のビーム内のすべての粒子を分析器から出射することによって、分析器体積内の1つまたは複数のm/zを有する選択された粒子を隔離するステップを含むことがある。
好ましくは、分析器は、一方または両方のミラーの内側電場定義電極システムを少なくとも部分的に取り囲む、分析器体積内部に位置された少なくとも1つのベルト電極アセンブリを備える。
好ましくは、少なくとも1つのベルト電極アセンブリは、z軸と実質的に同心である。
好ましくは、少なくとも1つのベルト電極アセンブリは、一方または両方のミラーの内側および外側電場定義電極システムと実質的に同心である。
好ましくは、少なくとも1つのベルト電極アセンブリは、z=0平面からオフセットされたz軸に沿った位置に位置され、すなわちベルト電極アセンブリの中心はz=0平面からオフセットされる。
好ましくは、少なくとも1つのベルト電極アセンブリは、1つまたは複数の偏向器電極および/または1つまたは複数の円弧集束レンズを支持する。
好ましくは、偏向器電極は、荷電粒子入射器および/または出射器の少なくとも一部である。
好ましくは、本発明は、ビームが分析器体積を通って飛行し、z軸の周りを周回し、一方のミラーから他方のミラーに反射するときに、荷電粒子のビームを少なくとも1つの円弧集束レンズに通すステップをさらに含む。好ましくは、少なくとも1つの円弧集束レンズが、少なくとも円弧方向で電場への擾乱をもたらす。
好ましくは、本発明は、ビームが分析器を通って飛行するときにビームの円弧発散を制約するステップを含む。好ましくは、円弧発散の制約は、少なくとも円弧方向で電場擾乱をもたらすことによるものである。このために、少なくとも1つの円弧集束レンズを使用することができる。したがって、好ましくは、分析器は、ビームがz軸の周りを周回する間、すなわちビームが分析器軸(z)の方向で少なくとも1回の全振動を受ける間、分析器内部での荷電粒子のビームの円弧発散を制約するための少なくとも1つの円弧集束レンズを備える。
好ましくは、この方法は、ビームが分析器を通って飛行するときに、ビームの円弧発散を複数回制約するステップを含む。例えば、この方法は、好ましくは、ビームを少なくとも1つの円弧集束レンズに複数回通すステップを含む(例えば、円弧集束レンズが1つだけの場合にはその円弧集束レンズに複数回通す。または複数の円弧集束レンズが存在する場合には各レンズに1回または複数回通す)。好ましくは、装置は、複数の円弧集束レンズを備える。
好ましくは、ビームの円弧発散の制約、および/または少なくとも1つの円弧集束レンズを通るビームの通過は、ビームが円弧方向で集束レンズの寸法よりも大きくなる前に行われる。
好ましくは、ビームは、その円弧発散を制約され、および/または実質的にミラー間での各振動後に、より好ましくは実質的にミラーからの各反射後に円弧集束レンズを通過する。
好ましくは、複数の円弧集束レンズが、実質的に同じz座標に位置された円弧集束レンズのアレイを形成する。ここで、アレイとは、2つ以上であることを意味する。より好ましくは、円弧集束レンズのアレイは、実質的に同じz座標に位置され、この位置は、z=0またはその近くにあるが、最も好ましくはz=0の近くであり、しかしz=0からオフセットされている。好ましくは、円弧集束レンズのアレイは、円弧方向でz軸の周りに少なくとも部分的に延在し、より好ましくは円弧方向でz軸の周りを実質的に一周する。
円弧集束レンズは円弧方向で離隔配置される。円弧方向での複数の円弧集束レンズの離隔は、規則的でも不規則でもよいが、好ましくは規則的、すなわち周期的である。
好ましくは、少なくとも円弧の集束レンズはそれぞれ、ある電位で保たれる電極から形成され、例えば、少なくとも円弧方向での電場の擾乱、例えば3次元(3D)での電場の擾乱をもたらす。
いくつかの好ましい実施形態では、電極システムが電気的にバイアスをかけられるときに、ミラーは、z軸に沿って対向する電場を備える電場を生成し、対向する電場は互いに異なる。
いくつかの好ましい実施形態では、ビームは、z軸の周りで第1の角度の周回を経ると同時に第1のミラーを通って進み、第2の角度の周回を経ると同時に第2のミラーを通って進み、周回の第1の角度は周回の第2の角度とは異なる。好ましくは、周回運動の角度の1つは、a1=πnラジアンであり、ここでnは整数である。好ましくは、周回運動の角度の一方がa1=πnラジアンであり、他方の角度はa2=a1+/−δであり、ここで|δ|<<πである。好ましくは、一方のミラーの内側および外側電場定義電極システムの一方または両方は、他方のミラーの内側および外側電場定義電極システムの対応する一方または両方とは異なる寸法である。好ましくは、一方のミラーの内側および外側電場定義電極システムの一方または両方は、他方のミラーの内側および外側電場定義電極システムの対応する一方または両方とは異なる組の1つまたは複数の電位で保持される。分析器を通して、好ましくは主飛行経路に沿って荷電粒子のビームを飛行させるのに加えて、本発明は、好ましくは、
外部入射軌道、
内部入射軌道、
内部出射軌道、
外部出射軌道
の少なくとも1つに沿って荷電粒子のビームを向けるステップをさらに含む。
本明細書において、内部入射軌道および内部出射軌道に関連する用語「内部」は、分析器体積の内部に位置することを意味する。本明細書において、外部入射軌道および外部出射軌道に関連する用語「外部」は、分析器体積の外部に位置することを意味する。
本発明は、好ましくは、あらゆる軌道間、または1つまたは複数の軌道と主飛行経路の間での移行時または移行前に、ビーム方向および/またはビーム内の粒子の運動エネルギーを変えるステップをさらに含む。
本発明は、好ましくは、
ビーム偏向器、
静電セクタ、
荷電粒子ミラー、
1つまたは複数の円弧集束レンズの任意の部分
の1つまたは複数を使用して、前述したようにビーム方向および/または運動エネルギーを変えるステップと、
分析器の一部またはすべてにおいて、分析器電場を異なる電位に切り換えるステップと
を含む。
本発明は、外部入射軌道および/または内部入射軌道に沿って荷電粒子のビームを入射するステップを含むことができる。
以下でより詳細に説明するいくつかの好ましい実施形態では、ビームは、任意の実質的な長さの内部入射軌道に沿っては入射されないことがある。そのような場合、ビームは、分析器体積に入った後に、主飛行経路に実質的に直接つながることができる。実施形態のより好ましいタイプでは、ビームは、例えば外部入射軌道から分析器体積内に入射偏向器を通して入射され、この入射偏向器は、好ましくは電気セクタまたはミラー(すなわちイオンミラー)であり、偏向器(好ましくは電気セクタまたはミラー)の出口アパーチャは主飛行経路の開始点に位置する。そのような実施形態では、偏向器(好ましくは電気セクタまたはミラー)の入口アパーチャは、分析器体積の外部にある。入射偏向器は、好ましくは、少なくとも半径方向rでの入射時にビームを偏向し、より好ましくはビームの半径方向内側への速度を減少させる。
ビームは、好ましくは、z=0平面またはその近くで主飛行経路を進行し始め、例えば、ビームは、分析器体積の外部から、z=0平面またはその近くに入射され、そこで主飛行経路を進行し始める。
ビームは、好ましくは、ビームが主飛行経路に入る点で少なくとも半径方向rで偏向され、より好ましくはビームの半径方向内側への速度を減少させる。
他の実施形態では(そのうちのいくつかがやはり好ましい)、ビームは、内部入射軌道に沿って、次いで主飛行経路上に入射される。
いくつかの好ましいタイプの実施形態では、主分析器電場の影響がない状態で荷電粒子が内部入射軌道の少なくとも一部分(いくつかの場合にはすべて)を渡って進む。そのような実施形態では、例えば、内部入射軌道の少なくとも一部分(いくつかの場合にはすべて)を主分析器場の影響から遮蔽することができ、または内部入射軌道を粒子が渡って進む間に主分析器場をオフにすることができ、内部入射軌道の遮蔽は、大きな電圧の急速な切換えに伴う問題を回避するのに好ましい方法である。
他の好ましいタイプの実施形態では、主分析器電場の影響下で荷電粒子が内部入射軌道を渡って進む。これは、主分析器場から内部入射軌道を遮蔽する必要がない、またはビームが主飛行経路に到達したときに主分析器場を生成するために電位を切り換える必要がないという利点を有する。そのような場合、内部入射軌道の長さは、好ましくはできるだけ短く保たれる。例えば、ビームが主飛行経路につながる点(点P)の近傍に狭窄(すなわち直径が減少された)部分を有する一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムを有し、狭窄部分を通して(例えばそこにあるアパーチャを通して)分析器体積内にビームを入射することによってこれを実現することができる。これは、点Pの近傍で分析器体積の直径が減少し、またそれ対応して、主飛行経路に対して外側電場定義電極がより近位にあることにより、内部入射軌道の長さを短く保つ。
好ましくは、内部入射軌道が主飛行経路と交わる点Pは、z=0平面またはその近くに位置される。したがって、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分は、好ましくはz=0平面またはその近くに位置される。好ましくは、z=0平面は狭窄部分の内部にある。
ビームは、点Pで偏向されても偏向されなくてもよいが、好ましくは偏向され、この偏向は、z方向、半径r方向、および円弧方向の1つまたは複数でよい。ビームは、好ましくは、点Pで少なくとも半径方向rで偏向され、例えば内部入射軌道は、主飛行経路とは異なるz方向からの半径方向距離(半径)にある。いくつかの好ましい実施形態では、ビームは、好ましくは、点Pで少なくともz方向で偏向される。いくつかのより好ましい実施形態では、ビームは、好ましくは、点Pで少なくとも半径方向rおよびz方向、または少なくとも半径方向rおよび円弧方向に偏向される。
ビームは、好ましくは、主飛行経路上に入射されるときに偏向器によって、より好ましくは電気セクタによって偏向され、偏向器(好ましくはセクタ)の出口アパーチャは、主飛行経路の開始点にある。
内部入射軌道は、直線でも直線でなくても(例えば曲線でも)よく、または少なくとも1つの直線部分と少なくとも1つの非直線部分を備えていてもよい。
内部入射軌道は、好ましくは少なくとも1つのベルト電極アセンブリ、より好ましくは外側ベルト電極アセンブリを通過する。
好ましくは、内部入射軌道は、z=0平面またはその付近に位置され、より好ましくは、そのような場合、内部入射軌道は主飛行経路に向けて半径方向内向きにされる。しかし、いくつかの実施形態では、内部入射軌道は、z=0平面から実質的にオフセットされてよい。いくつかのタイプのそのような実施形態では、内部入射軌道は、一方のミラーでのビームの最大変向点が位置するz=0平面からのz方向での距離(z距離)よりも大きい前記平面からのz距離で、そのミラー内を進行し始めることがある。そのような実施形態では、内部入射軌道は、主飛行経路と、z軸からの半径方向距離(半径)が実質的に同じであってもそうでなくてもよいが、好ましくは実質的に同じ半径である。
いくつかの好ましいタイプの実施形態では、内部入射軌道は、主飛行経路とは異なるz軸からの半径方向距離(半径)にある。そのような実施形態では、ビームは、好ましくは、内部入射軌道が主飛行経路と交わる点Pで、少なくとも半径方向rで偏向される。好ましい実施形態では、内部入射軌道は、主飛行経路に向けて半径方向内向きにされ、点Pまたはその近くでの偏向が、荷電粒子の半径方向内側への速度を減少させる。
内部入射軌道が主飛行経路とは異なるz軸からの半径方向距離(半径)にあるいくつかの好ましい実施形態では、内部入射軌道が、螺旋または円形経路を備える。好ましくは、螺旋経路は、主飛行経路に向かって半径が減少するものであり、すなわちこの場合、内部入射軌道は、主飛行経路よりもz軸からの半径方向距離が大きい。しかし、螺旋経路は、主飛行経路に向かって半径が増加するものでもよく、すなわちこの場合、内部入射軌道は、主飛行経路よりもz軸からの半径方向距離が小さい。そのような場合には、螺旋経路を備えることに加えて、内部入射軌道は、例えば螺旋経路につながる非螺旋経路を備えることもあり、螺旋経路は主飛行経路につながる。好ましくは、分析器場の影響下でビームが内部入射軌道の螺旋または非円形経路を渡って進み、この分析器場は、より好ましくは主分析器場である。
いくつかの好ましい実施形態では、分析器体積内に荷電粒子を入射するための入射器の少なくとも一部分が、上述した狭窄部分に隣接して分析器体積の外部に位置されるが、好ましくは、少なくとも一方のミラーの外側電場定義電極システム(すなわち非狭窄部分)が取る軸zからの最大半径方向距離以内に位置される。いくつかの好ましい実施形態では、入射器はパルスイオン源を備え、パルスイオン源は、狭窄部分に隣接して分析器体積の外部に位置されるが、好ましくは、少なくとも一方のミラーの外側電場定義電極システムが取るz軸からの最大半径方向距離以内に位置される。
いくつかの好ましい実施形態では、荷電粒子が点Pまたはその近くにあるとき、入射方法が、荷電粒子の運動エネルギーを変えるステップを含む。より好ましくは、そのような場合には、入射方法は、点Pまたはその近くで荷電粒子の運動エネルギーを減少させるステップを含む。
1つの好ましい方法では、本発明は、荷電粒子分析器内で、内部入射軌道に沿って点Pで主飛行経路上に荷電粒子を入射するステップを含み、この方法は、内部入射軌道に沿って点Pに荷電粒子を入射するステップを含み、主分析器電場の影響がない状態で荷電粒子が内部入射軌道の少なくとも一部分を渡って進む。この好ましい方法には、好ましくは以下のことが当てはまる。すなわち、好ましくは、方法が、z軸の方向で速度を変えるために点Pで荷電粒子を偏向するステップを含む;好ましくは、荷電粒子を入射する方法が、半径方向で荷電粒子を偏向するステップを含まない;好ましくは、主分析器電場が、荷電粒子が点Pに到達するまでオフにされる;好ましくは、内部入射軌道の少なくとも一部分が、例えば一方または両方のミラーの内側および外側電場定義電極システムの間に位置された1つまたは複数のベルト電極アセンブリによって主分析器電場から遮蔽される;好ましくは、内部入射軌道が実質的に直線である;好ましくは、内部入射軌道が、一方または両方のミラーの内側および外側電場定義電極システムの間に位置された少なくとも1つのベルト電極アセンブリを通過する;いくつかの実施形態では、内部入射軌道が、z=0平面から実質的にオフセットされ、内部入射軌道が、好ましくは、ミラーでのビームの最大変向点よりも大きいzでの分析器の点で進行し始める。
分析器内部で主飛行経路上に荷電粒子を入射する別の好ましい方法では、方法が、主飛行経路とは異なるz軸からの半径方向距離にある内部入射軌道から、主飛行経路上に荷電粒子を入射するステップを含む。この好ましい方法には、好ましくは以下のことが当てはまる。すなわち、好ましくは、主飛行経路とは異なるz軸からの距離にある内部入射軌道が、主飛行経路上につながる螺旋または非円形経路を備える;好ましくは、内部入射軌道の螺旋経路が、主飛行経路に向けて半径が減少するものである;螺旋経路に加えて、内部入射軌道が、螺旋経路につながる非螺旋経路を備えることがある;好ましくは、荷電粒子が、主分析器場と同じまたは異なる分析器場、しかしより好ましくは主分析器場の存在下で、主飛行経路、より好ましくは螺旋経路とは異なるz軸からの距離で内部入射軌道に沿って進む;好ましくは、方法が、螺旋または非円形内部入射軌道を進行し始める点またはその近くでz軸の方向で荷電粒子の速度を変えるためにビームを偏向するステップを含む;好ましくは、この方法が、螺旋または非円形の内部入射軌道を進行し始める点またはその近くで、半径方向で荷電粒子の速度を変えるためにビームを偏向するステップを含む;好ましくは、この方法が、主飛行経路とは異なるz軸からの距離にある内部入射軌道から、主飛行経路を進行し始める点またはその近くで半径方向で荷電粒子の速度を変えるようにビームを偏向するステップを含む;好ましくは、この方法は、外部電極システムを通して内部入射軌道に向けて荷電粒子を入射するステップを含む。
荷電粒子分析器内で内部入射軌道に沿って点Pで主飛行経路上に荷電粒子を入射するさらに別の好ましい方法では、この方法は、内部入射軌道に沿って入射し、荷電粒子が点Pまたはその近くにあるときに荷電粒子の運動エネルギーを変えるステップを含む。この好ましい方法には、好ましくは以下のことが当てはまる。すなわち、粒子は、主分析器場と同じまたは異なる分析器場(入射分析器場)の存在下で内部入射軌道を進むことができる;好ましくは、入射方法が、点Pまたはその近くで荷電粒子の運動エネルギーを減少させるステップを含む。
内部入射軌道に沿って点Pで主飛行経路上に荷電粒子を入射するさらに別の好ましい方法では、この方法は、主分析器場の存在下で、半径方向(r)で速度を変えるために荷電粒子を偏向する点Pまたはその近くに荷電粒子があるときに、内部入射軌道に沿って入射するステップを含む。この好ましい方法には、好ましくは以下のことが当てはまる。すなわち、好ましくは、内部入射軌道が半径方向内側へ主飛行経路に向けて延び、点Pまたはその近くでの偏向が、荷電粒子の半径方向内側への速度を減少させる;好ましくは、内部入射軌道が、一方または両方のミラーの内側および外側電場定義電極システムの間に位置された少なくとも1つのベルト電極アセンブリを通過する;好ましくは、内部入射軌道が、z=0平面またはその近くに位置される;好ましくは、点Pがz=0平面またはその近くに位置される;好ましくは、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムが狭窄部分を備え、狭窄部分が、より好ましくは、z=0平面またはその近くに位置される;好ましくは、狭窄部分の内側限界が、外側ベルト電極アセンブリの近位に位置する;いくつかの好ましい実施形態では、分析器体積内に荷電粒子を入射するための入射器の少なくとも一部分が、狭窄部分に隣接して分析器体積の外部に位置され、かつ少なくとも一方のミラーの外側電場定義電極システムが取る軸zからの最大距離以内に位置される;いくつかの好ましい実施形態では、入射器はパルスイオン源を備え、パルスイオン源は、狭窄部分に隣接して分析器体積の外部に位置され、かつ少なくとも一方のミラーの外側電場定義電極システムが取る軸zからの最大距離以内に位置される;いくつかの好ましい実施形態では、内部入射軌道の少なくとも一部分が、一方または両方のミラーの内側および外側電場定義電極システムの間に位置された1つまたは複数のベルト電極アセンブリによって主分析器電場から遮蔽される。
いくつかの好ましい実施形態では、本発明は、分析器体積内に荷電粒子のビームを入射するための入射器を備える。ここで、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムが狭窄部分を備え、入射器の少なくとも一部分が、狭窄部分に隣接して分析器体積の外部に位置される。好ましくは、入射器の少なくとも一部分は、狭窄部分に隣接して分析器体積の外部に位置され、かつ少なくとも一方のミラーの外側電場定義電極システムが取る軸zからの最大距離以内に位置される。好ましくは、狭窄部分は、z=0平面またはその近くに位置される。好ましくは、狭窄部分の内側限界は、外側ベルト電極アセンブリの近位に位置する。より好ましくは、狭窄部分の内側限界は、外側ベルト電極アセンブリを支持する。より好ましくは、その実施形態における外側ベルト電極アセンブリが、少なくとも1つの円弧集束レンズを支持する。好ましくは、狭窄部分が、zの方向で各側に、より大きな直径の外側電場定義電極システムの部分を有する。好ましくは、入射器の少なくとも一部分は荷電粒子偏向器を備え、荷電粒子偏向器は、狭窄部分に隣接して分析器体積の外部に位置され、かつ少なくとも一方のミラーの外側電場定義電極システムが取る軸zからの最大距離以内に位置される。いくつかの好ましい実施形態では、入射器はパルスイオン源を備え、パルスイオン源は、狭窄部分に隣接して分析器体積の外部に位置され、かつ少なくとも一方のミラーの外側電場定義電極システムが取るz軸からの最大距離以内に位置される。好ましくは、分析器は、狭窄部分に隣接する、一方または両方のミラーの内側および外側電場定義電極システムの間に位置された1つまたは複数のベルト電極アセンブリを備える。
分析器は、最も好ましくは、ビームが偏向器から主飛行経路上に直接出るようにビームを主飛行経路上に偏向するために位置された偏向器、より好ましくは電気セクタを備える。好ましくは、偏向器(好ましくはセクタ)は、偏向器(好ましくはセクタ)の出口アパーチャが、主飛行経路と同じz軸からの半径に位置するように位置され、すなわち偏向器(好ましくはセクタ)の出口アパーチャは、主飛行経路の進行開始点にある。偏向器(好ましくはセクタ)は、好ましくは、z=0平面またはその近くに位置される。動作時、ビームの少なくとも一部分は、好ましくは、主飛行経路から進み、任意選択で内部出射軌道および外部出射軌道の一方または両方に沿って、荷電粒子処理デバイスに進む。荷電粒子処理デバイスは、好ましくは、
検出器、
後段加速デバイス、
イオン貯蔵デバイス、
衝突または反応セル、
フラグメンテーションデバイス、および
質量分析デバイス
の1つまたは複数を備える。
本明細書において用語質量分析デバイスは本発明の分析器(例えば、ビームの少なくとも一部分が分析器内に残り、または分析器から出射され、次いで分析器に戻り、さらなる処理、例えばもう1回の質量分離のために再び分析器を通って進む)も含む。
本発明は、外部出射軌道および/または内部出射軌道に沿って荷電粒子のビームを出射するステップを含むことができる。
以下でより詳細に説明するいくつかの好ましい実施形態では、ビーム(すなわちビームの荷電粒子の少なくともいくつか)は、実質的な長さの内部出射軌道に沿っては出射されないことがある。そのような場合、ビームは、分析器体積から出るとき、実質的に直接、主飛行経路から出ることができる。より好ましいタイプのそのような実施形態では、ビームは、例えば外部出射軌道に向けて、分析器体積から出射偏向器を通して出射され、出射偏向器は好ましくは電気セクタまたはミラー(すなわちイオンミラー)であり、偏向器(好ましくはセクタまたはミラー)の入口アパーチャは主飛行経路上に位置する。そのような実施形態では、偏向器(好ましくは電気セクタまたはミラー)の出口アパーチャは、分析器体積の外部にある。出射偏向器は、好ましくは、少なくとも半径方向rでの出射時にビームを偏向し、より好ましくはビームの半径方向外側への速度を増加させる。
ビームは、好ましくは、z=0平面またはその近くで主飛行経路から出て、例えば、ビームは、z=0平面またはその近くの点で主飛行経路から分析器体積を出て出射される。
ビームは、好ましくは、ビームが主飛行経路から出る点で、少なくとも半径方向rで偏向されて、より好ましくはビームの半径方向外側への速度を増加させる。
他の実施形態では(そのうちのいくつかがやはり好ましい)、ビームは、内部出射軌道に沿って主飛行経路から出射される。
いくつかの好ましいタイプの実施形態では、主分析器電場の影響がない状態で荷電粒子が内部出射軌道の少なくとも一部分(いくつかの場合にはすべて)を渡って進む。そのような実施形態では、例えば、内部出射軌道の少なくとも一部分(いくつかの場合にはすべて)を主分析器場の影響から遮蔽することができ、または内部出射軌道を粒子が渡って進む間に主分析器場をオフにすることができ、内部出射軌道の遮蔽は、大きな電圧の急速な切換えに伴う問題を回避するのに好ましい方法である。
他の好ましいタイプの実施形態では、主分析器電場の影響下で荷電粒子が内部出射軌道を渡って進む。これは、主分析器場から内部出射軌道を遮蔽する必要がない、またはビームが主飛行経路に到達したときに主分析器場をなくすために電位を切り換える必要がないという利点を有する。そのような場合、内部出射軌道の長さは、好ましくはできるだけ短く保たれる。例えば、ビームが主飛行経路から出る点(点E)の近傍に狭窄(すなわち直径が減少された)部分を有する一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムを有し、狭窄部分を通して(例えばそこにあるアパーチャを通して)分析器体積の外にビームを出射することによってこれを実現することができる。これは、点Eの近傍で分析器体積の直径が減少し、またそれ対応して、主飛行経路に対して外側電場定義電極がより近位にあることにより、内部出射軌道の長さを短く保つ。
いくつかの場合には、点Eは、上述した点Pと実質的に同じ点でよく、例えばこのときビームは、主飛行経路上の、後で出射されるのと同じ点に入射される。好ましくは、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムが、ビームが分析器体積内に入射される点および/または分析器体積から出射される点の近傍に狭窄部分を有し、ビームは、狭窄部分の1つまたは複数のアパーチャを通して分析器体積内に入射される、および/または分析器体積から出射される。
好ましくは、内部出射軌道が主飛行経路と交わる点Eは、z=0平面またはその近くに位置される。したがって、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分は、好ましくはz=0平面またはその近くに位置される。
ビームは、点Eで偏向されても偏向されなくてもよいが、好ましくは偏向され、この偏向は、z方向、半径r方向、および円弧方向の1つまたは複数でよい。ビームは、好ましくは、点Eで少なくとも半径方向rで偏向され、例えば内部出射軌道は、主飛行経路とは異なるz方向からの半径方向距離(半径)にある。いくつかの好ましい実施形態では、ビームは、好ましくは、点Eで少なくともz方向で偏向される。いくつかのより好ましい実施形態では、ビームは、好ましくは、点Eで少なくとも半径方向rおよびz方向、または少なくとも半径方向rおよび円弧方向に偏向される。
ビームは、好ましくは、主飛行経路から出射されるときに偏向器によって、より好ましくは電気セクタによって偏向され、偏向器(好ましくはセクタ)の入口アパーチャは主飛行経路上にある。
内部出射軌道は、直線でも曲線でもよく、または少なくとも1つの直線部分と少なくとも1つの曲線部分を備えていてもよい。
内部出射軌道は、好ましくは少なくとも1つのベルト電極アセンブリ、より好ましくは外側ベルト電極アセンブリを通過する。
好ましくは、内部出射軌道は、z=0平面またはその付近に位置され、より好ましくは、そのような場合、内部出射軌道は主飛行経路から半径方向外向きにされる。しかし、いくつかの実施形態では、内部出射軌道は、z=0平面から実質的にオフセットされてよい。いくつかのタイプのそのような実施形態では、内部出射軌道は、一方のミラーでのビームの最大変向点が位置するz=0平面からのz方向での距離(z距離)よりも大きい前記平面からのz距離で、そのミラー内で終端する。そのような実施形態では、内部出射軌道は、主飛行経路と、z軸からの半径方向距離(半径)が実質的に同じであってもそうでなくてもよいが、好ましくは実質的に同じ半径である。
いくつかの好ましいタイプの実施形態では、内部出射軌道は、主飛行経路とは異なるz軸からの半径方向距離(半径)にある。そのような実施形態では、ビームは、好ましくは、内部出射軌道が主飛行経路と交わる点Eで、少なくとも半径方向rで偏向される。好ましい実施形態では、内部出射軌道は、主飛行経路から半径方向外向きにされ、点Eまたはその近くでの偏向が、荷電粒子の半径方向外側への速度を増加させる。
内部出射軌道が主飛行経路とは異なるz軸からの半径方向距離(半径)にあるいくつかの好ましい実施形態では、内部出射軌道が、螺旋または円形経路を備える。好ましくは、螺旋経路は、主飛行経路から半径が増加するものであり、すなわちこの場合、内部出射軌道は、主飛行経路よりもz軸からの半径方向距離が大きい。しかし、螺旋経路は、主飛行経路から半径が減少するものでもよく、すなわちこの場合、内部出射軌道は、主飛行経路よりもz軸からの半径方向距離が小さい。そのような場合には、螺旋経路を備えることに加えて、内部出射軌道は、例えば螺旋経路からつながる非螺旋経路を備えることもあり、螺旋経路は主飛行経路からつながる。好ましくは、分析器場の影響下でビームが内部出射軌道の螺旋または非円形経路を渡って進み、この分析器場は、より好ましくは主分析器場である。
いくつかの好ましい実施形態では、荷電粒子が点Eまたはその近くにあるとき、出射方法が、荷電粒子の運動エネルギーを変えるステップを含む。より好ましくは、そのような場合、出射する方法は、点Eまたはその近くで荷電粒子の運動エネルギーを増加させるステップを含む。
分析器体積の外部で、ビームは、外部出射軌道上で処理デバイスに向かって引き続き進むことができる。
1つの好ましい方法では、本発明は、荷電粒子分析器内で内部出射軌道に沿って点Eで主飛行経路から荷電粒子を出射するステップを含み、主分析器電場の影響がない状態で荷電粒子が内部出射軌道の少なくとも一部分を渡って進む。この好ましい方法に関して、好ましくは以下のことが当てはまる。すなわち、好ましくは、この出射方法が、ある範囲のm/zの荷電粒子を選択するステップと、選択された粒子をさらなる処理のために出射するステップとを含む;好ましくは、この出射方法が、z軸の方向で速度を変えるため(速度を増減するために)に点Eで荷電粒子を偏向するステップを含む;好ましくは、この出射方法が、半径方向で荷電粒子を偏向するステップを含まない;好ましくは、この出射方法では、主分析器電場が、荷電粒子が点Eに到達した後にオフにされる;好ましくは、内部出射軌道の少なくとも一部分が、内側および外側電場定義電極システムの間に位置された1つまたは複数のベルト電極によって主分析器電場から遮蔽される;好ましくは、内部出射軌道が実質的に直線状である。
分析器から荷電粒子を出射する別の好ましい方法では、方法が、主飛行経路とは異なるz軸からの距離で、内部出射軌道から荷電粒子を出射するステップを含む。この好ましい方法には、好ましくは以下のことが当てはまる。すなわち、好ましくは、この出射方法では、主分析器電場が、z軸に沿った分析器体積の長さの少なくとも一部分に沿って実質的に線形である;好ましくは、この出射方法では、内部出射軌道が、主飛行経路から延びる螺旋または非円形経路を備える;好ましくは、螺旋内部出射軌道が、主飛行経路から延びて半径を増加する;好ましくは、荷電粒子が、分析器場の存在下で、内部出射軌道に沿って進む;好ましくは、荷電粒子が、主分析器場である分析器場の存在下で内部出射軌道に沿って進む;好ましくは、内部出射軌道を進行し始める点またはその近くで、z軸の方向で荷電粒子の速度を変えるために偏向がある;好ましくは、内部出射軌道を進行し始める点またはその近くで、半径方向で荷電粒子の速度を変えるために偏向がある;好ましくは、内部出射軌道を進行し始める点またはその近くで、半径方向で荷電粒子の速度を変えるために偏向がある;好ましくは、出射が、分析器から粒子を外に出して、外部電極システムを通して、例えば外部出射軌道に進める。
主飛行経路から内部出射軌道に沿って荷電粒子を出射するさらに別の好ましい方法では、この方法は、荷電粒子が点Eまたはその近くにあるときに荷電粒子の運動エネルギーを変え、内部出射軌道に沿って出射するステップを含む。この好ましい方法には、好ましくは以下のことが当てはまる。すなわち、荷電粒子を、主分析器場と同じまたは異なる出射分析器場の存在下で、内部出射軌道に沿って出射することができる;好ましくは、この出射方法では、主分析器場が、z軸に沿って分析器体積の長さの少なくとも一部分に沿って実質的に線形である;好ましくは、出射分析電磁場が主分析器場と同じである;好ましくは、この出射方法が、点Eまたはその近くで荷電粒子の運動エネルギーを増加させるステップを含む。
主飛行経路から荷電粒子を出射するさらに別の好ましい方法では、方法が、荷電粒子が点Eまたはその近くにあるときに、半径方向(r)で速度を変えるために荷電粒子を偏向するステップと、主分析器場の存在下で(すなわちその影響下で)内部出射軌道に沿って荷電粒子を出射するステップとを含む。この好ましい方法には、好ましくは以下のことが当てはまる。すなわち、好ましい実施形態では、内部出射軌道は、主飛行経路から半径方向外側に延び、点Eまたはその近くでの偏向が、荷電粒子の半径方向外側への速度を増加させる;好ましくは、内部出射軌道が、z=0平面またはその近くに位置される;好ましくは、点Eが、z=0平面またはその近くに位置される;好ましくは、内部出射軌道が、一方または両方のミラーの内側および外側電場定義電極システムの間に位置された少なくとも1つのベルト電極アセンブリを通過する;好ましくは、この出射方法では、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムが、狭窄部分を備え、荷電粒子が、狭窄部分を通って分析器体積の外に出射される;より好ましくは、狭窄部分は、z=0平面またはその近くに位置される;好ましくは、この出射方法では、狭窄部分の内側限界が、外側ベルト電極アセンブリの近位に位置する;より好ましくは、狭窄部分の内側限界が、外側ベルト電極アセンブリを支持する。より好ましくは、その実施形態における外側ベルト電極アセンブリが、少なくとも1つの円弧集束レンズを支持する。好ましくは、内部出射軌道の少なくとも一部分が、一方または両方のミラーの内側と外側の電場定義電極システムの間に位置された1つまたは複数のベルト電極アセンブリによって主分析器電場から遮蔽される。
いくつかの好ましい実施形態では、本発明は、分析器体積から荷電粒子のビームを出射するための出射器を備え、
一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムが狭窄部分を備え、出射器が、狭窄部分のアパーチャを通してビームを出射するように動作可能である。
分析器は、最も好ましくは、ビームが主飛行経路から偏向器に直接入るように、主飛行経路から出射するようにビームを偏向するために位置された(例えば出射器の一部としての)偏向器、より好ましくは電気セクタを備える。好ましくは、偏向器(好ましくはセクタ)は、偏向器(好ましくはセクタ)の入口アパーチャが、主飛行経路と同じz軸からの半径に位置するように位置され、すなわち偏向器(好ましくはセクタ)の入口アパーチャは、主飛行経路の進行開始点にある。好ましくは、偏向器(好ましくはセクタ)は、ビームを少なくとも半径方向外側に偏向するためのものである。偏向器(好ましくはセクタ)は、好ましくは、z=0平面またはその近くに位置される。
いくつかの実施形態では、本発明は、主飛行経路上の点で、すなわち主飛行経路上に位置された検出器で粒子を検出するステップを含む。いくつかの他のタイプの実施形態では、方法が、主飛行経路上にない点で粒子を検出するステップを含む。
いくつかの好ましい実施形態では、方法は、検出器表面に粒子を衝突させることによって粒子を検出するステップを含む(破壊検出)。
いくつかの好ましい実施形態では、方法は、検出器内部に粒子を通すことによって粒子を検出するステップ(非破壊検出)を含む。非破壊検出の好ましい方法は、イメージ電流検出によるものである。
いくつかの実施形態では、検出されるときの荷電粒子の時間的焦点面は、実質的に平坦である。いくつかの実施形態では、検出されるときの荷電粒子の時間的焦点面は、実質的に湾曲している。
いくつかの実施形態では、検出されるときの荷電粒子の時間的焦点面は、実質的にz軸に垂直である。
いくつかの実施形態では、検出されるときの荷電粒子の時間的焦点面は、実質的にz軸に垂直でない角度である。
いくつかの好ましい実施形態では、検出器平面は、荷電粒子の時間的焦点面と実質的に同じ位置にされる。好ましくは、検出器平面は、zが一定の平面(すなわちz軸に垂直な面)に対してある角度で位置決めされる。好ましくは、こ角度は、検出器平面が、例えば後段加速デバイスによって回転されているビームの時間的焦点面と実質的に同じ位置にされるようなものである。
いくつかの好ましい実施形態では、検出器の前に、荷電粒子の運動エネルギーを増加するステップが行われ、例えば後段加速のステップを備える。好ましくは、検出前に荷電粒子の運動エネルギーを増加させるステップは、荷電粒子の時間的焦点面の回転を引き起こす。
好ましくは、本発明は、軸zの周りで同じ回数の周回を経た後に、複数のm/zを有する粒子の少なくともいくつかを分析器体積外部の検出器で検出するステップを含み、検出器の少なくとも一部分が、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムが取る分析器軸からの最大距離以内に、例えば一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分に隣接して位置決めされる。したがって好ましくは、本発明は、軸zの周りで同じ数の周回を経た後に複数のm/zを有する粒子の少なくともいくつかを検出するための、分析器体積外部に位置された検出器を備え、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムが狭窄部分を備え、検出器の少なくとも一部分が狭窄部分に隣接して位置される。
好ましくは、検出器の少なくとも一部分は、狭窄部分に隣接して位置され、かつ少なくとも一方のミラーの外側電場定義電極システムが取る軸zからの最大距離以内に位置される。
好ましくは、狭窄部分は、z=0平面またはその近くに位置される。
好ましくは、狭窄部分の内側限界は、外側ベルト電極アセンブリの近位に位置する。
好ましくは、検出器の少なくとも一部分は変換ダイノードを備え、変換ダイノードは、狭窄部分に隣接して分析器体積の外部に位置され、より好ましくは少なくとも一方のミラーの外側電場定義電極システムが取る軸zからの最大距離以内に位置される。
いくつかの好ましい実施形態では、検出器は電子増倍管を備える。
別の独立した実施態様において本発明は、荷電粒子を分離する方法を提供し、方法は、
2つの対向するミラーを備える分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿った分析器体積の長さの少なくとも一部分に沿って実質的に線形の対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器体積内部で軸zの周りを周回しながら一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するステップと、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと、
複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを分析器から出射する、または複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを検出するステップとを含み、出射または検出するステップが、粒子がz軸の周りで同じ回数の周回を経た後に行われる。
別の独立した実施態様において本発明は荷電粒子分析器を提供し、荷電粒子分析器は、2つの対向するミラーを備え、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスをかけられるとき、ミラーが、z軸に沿った分析器体積の長さの少なくとも一部分に沿って実質的に線形の対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、使用時、分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともに分析器体積内部でz軸の周りを周回し、荷電粒子分析器がさらに、
出射器、または検出器の少なくとも一部を備え、出射器、または検出器の少なくとも一部が、分析器体積内部に位置されて、それぞれビームからの少なくともいくつかの荷電粒子を分析器体積から出射し、または分析器体積内部で検出し、上記少なくともいくつかの粒子が複数のm/zを有し、出射または検出が、少なくともいくつかの粒子が軸zの周りで同じ回数の周回を経た後に行われる。
別の独立した実施態様において、本発明は、分析器を使用して荷電粒子を分離する方法を提供し、方法は、
荷電粒子のビームを分析器を通して飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器内部で分析器の長手方向(z)軸の方向で少なくとも1回の全振動を受けるとともに長手方向(z)軸の周りを周回するステップを含み、
荷電粒子が、振動の全時間の半分未満、z軸に沿って実質的に一定の速度で飛行し、方法がさらに、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと、
複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを分析器から出射する、または複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを検出するステップとを含み、出射または検出するステップが、粒子がz軸の周りで同じ回数の周回を経た後に行われる。
別の独立した実施態様において本発明は、荷電粒子分析器を提供し、荷電粒子分析器は、2つの対向するミラーを備え、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスをかけられるとき、ミラーが、z軸に沿った対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、使用時、分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器体積内部でz軸の周りを周回するとともに分析器のz軸の方向でミラー間で少なくとも1回の全振動を受け、荷電粒子が、振動の全時間の半分未満、z軸に沿って一定の速度で飛行し、荷電粒子分析器がさらに、
出射器、または検出器の少なくとも一部を備え、出射器、または検出器の少なくとも一部が、分析器体積内部に位置されて、それぞれビームからの少なくともいくつかの荷電粒子を分析器体積から出射し、または分析器体積内部で検出し、上記少なくともいくつかの粒子が複数のm/zを有し、出射または検出が、少なくともいくつかの粒子が軸zの周りで同じ回数の周回を経た後に行われる。
別の独立した実施態様において本発明は、荷電粒子の飛行時間分析の方法を提供し、方法は、
2つの対向するミラーを備える分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿った分析器体積の長さの少なくとも一部分に沿って実質的に線形の対向する電場を生成し、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、内側と外側の電極システムの間で軸zの周りを周回しながら一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するステップと、
粒子が軸zの周りで同じ回数の周回を経た後に、荷電粒子の飛行時間を測定するステップと
を含む。
別の独立した実施態様において本発明はまた、選択された荷電粒子を荷電粒子のビームから隔離する方法を提供し、方法は、
2つの対向するミラーを備える分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、電場のz軸に沿った強度が平面z=0で最小であり、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器体積内部でz軸の周りを周回し、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射し、それによりミラー内部に最大変向点を定義するステップを含み、最大変向点での電場のz軸に沿った強度がXであり、電場のz軸に沿った絶対強度が、平面z=0と各ミラーでの最大変向点の間でz軸に沿った方向の2/3以下にわたって|X|/2未満であり、荷電粒子のビームが、1つまたは複数のm/zの選択された荷電粒子、およびさらなる荷電粒子を含み、方法がさらに、
さらなる粒子が、軸zの周りで同じ回数の周回を経た後に、分析器からさらなる荷電粒子を出射することによって、選択された荷電粒子を分析器体積内で隔離するステップを含む。
また、本発明は、他の独立態様において、以下の発明(1)〜(22)を提供する。
(1)2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器であって、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、荷電粒子分析器がさらに、
一方または両方のミラーの内側電場定義電極システムを少なくとも部分的に取り囲む分析器体積内部に位置された少なくとも1つのベルト電極アセンブリを備える荷電粒子分析器。
(2)荷電粒子を分離する方法であって、
2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、荷電粒子分析器がさらに、
一方または両方のミラーの内側電場定義電極システムを少なくとも部分的に取り囲む分析器体積内部に位置された少なくとも1つのベルト形状の電極アセンブリを備え、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、軸zの周りを周回しながら一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するステップと、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと
を含む方法。
(3)荷電粒子を分離する方法であって、
2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える電場を生成し、荷電粒子分析器がさらに、分析器内部での荷電粒子のビームの円弧発散を制約するための少なくとも1つの円弧集束レンズを備え、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、軸zの周りを周回しながら一方の対向するミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射し、少なくとも1つの円弧集束レンズを通過するステップと、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと
を含む方法。
(4)分析器を使用して荷電粒子を分離する方法であって、
荷電粒子のビームを分析器を通して飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器内部で分析器の分析器軸(z)の方向で少なくとも1回の全振動を受けるとともに主飛行経路に沿って軸(z)の周りを周回するステップと、
ビームが分析器を通って飛行するときにビームの円弧発散を制約するステップと、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと
を含む方法。
(5)2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器であって、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える電場を生成し、荷電粒子分析器がさらに、ビームが内側電場定義電極システムの周りを周回する一方で分析器内部での荷電粒子のビームの円弧発散を制約するための少なくとも1つの円弧集束レンズを備える荷電粒子分析器。
(6)荷電粒子を分離する方法であって、
2つの対向するミラーを備える分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える電場を生成し、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、一方の対向するミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射し、分析器のz軸に沿った方向に進むとともにz軸の周りを周回し、z軸の周りでの第1の角度の周回を経るとともに第1のミラーを通って進み、第2の角度の周回を経るとともに第2のミラーを通って進み、周回の第1の角度が周回の第2の角度とは異なるステップと、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと
を含む方法。
(7)荷電粒子を分離する方法であって、
2つの対向するミラーを備える分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える電場を生成し、対向する電場が互いに異なり、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するステップと、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと
を含む方法。
(8)2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器であって、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える電場を生成し、対向する電場が互いに異なる荷電粒子分析器。
(9)荷電粒子分析器内で、内部入射軌道に沿って点Pで主飛行経路上に荷電粒子を入射する方法であって、分析器が2つの対向するミラーを備え、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが第1の組の1つまたは複数の電位を与えられたときに、ミラーが、z軸に沿った分析器体積の長さの少なくとも一部分に沿って実質的に線形の対向する電場を備える主分析器電場を生成し、主飛行経路が分析器体積内に位置され、荷電粒子が、主分析器電場の影響下で主飛行経路を辿り、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともにz軸の周りを周回し、方法が、内部入射軌道に沿って点Pに荷電粒子を入射するステップを含み、主分析器電場の影響がない状態で荷電粒子が内部入射軌道の少なくとも一部分を渡って進む方法。
(10)分析器内部で主飛行経路上に荷電粒子を入射する方法であって、分析器が2つの対向するミラーを備え、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが第1の組の1つまたは複数の電位を与えられたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える主分析器電場を生成し、主飛行経路が分析器体積内に位置され、荷電粒子が、主分析器電場の影響下で主飛行経路を辿り、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともにz軸の周りを周回し、方法が、主飛行経路とは異なるz軸からの半径方向距離にある内部入射軌道から主飛行経路上に荷電粒子を入射するステップを含む方法。
(11)荷電粒子分析器内で、内部入射軌道に沿って点Pで主飛行経路上に荷電粒子を入射する方法であって、分析器が2つの対向するミラーを備え、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える分析器電場を生成し、主飛行経路が分析器体積内に位置され、荷電粒子が、第1の組の1つまたは複数の電位を電極システムに印加することによって発生される主分析器電場の影響下で主飛行経路を辿り、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともにz軸の周りを周回し、方法が、内部入射軌道に沿って入射し、荷電粒子が点Pまたはその近くにあるときに荷電粒子の運動エネルギーを変えるステップを含む方法。
(12)内部入射軌道に沿って点Pで主飛行経路上に荷電粒子を入射する方法であって、分析器が2つの対向するミラーを備え、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える分析器電場を生成し、主飛行経路が分析器体積内に位置され、荷電粒子が、第1の組の1つまたは複数の電位を電極システムに印加することによって発生される主分析器電場の影響下で主飛行経路を辿り、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともにz軸の周りを周回し、方法が、主分析器場の存在下で内部入射軌道に沿って入射し、荷電粒子が点Pまたはその近くにあるときに荷電粒子を偏向させて、半径(r)方向での速度を変えるステップを含む方法。
(13)2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器であって、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスをかけられるとき、ミラーが、対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、使用時、分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともに分析器体積内部でz軸の周りを周回し、荷電粒子分析器がさらに、
分析器体積内に荷電粒子のビームを入射するための入射器を備え、
一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムが狭窄部分を備え、入射器の少なくとも一部分が、狭窄部分に隣接して分析器体積の外部に位置される荷電粒子分析器。
(14)荷電粒子分析器内で、内部出射軌道に沿って点Eで主飛行経路から荷電粒子を出射する方法であって、分析器が2つの対向するミラーを備え、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが第1の組の1つまたは複数の電位を与えられたときに、ミラーが、z軸に沿って実質的に線形の対向する電場を備える主分析器電場を生成し、主飛行経路が分析器体積内に位置され、荷電粒子が、主分析器電場の影響下で主飛行経路を辿り、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともにz軸の周りを周回し、方法が、内部出射軌道に沿って点Eから荷電粒子を出射するステップを含み、主分析器電場がない状態で荷電粒子が内部出射軌道の少なくとも一部分を渡って進む方法。
(15)分析器から荷電粒子を出射する方法であって、分析器が2つの対向するミラーを備え、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが第1の組の1つまたは複数の電位を与えられたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える主分析器電場を生成し、主飛行経路が分析器体積内に位置され、荷電粒子が、主分析器電場の影響下で主飛行経路を辿り、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともにz軸の周りを周回し、方法が、主飛行経路とは異なるz軸からの距離にある内部出射軌道から荷電粒子を出射するステップを含む方法。
(16)荷電粒子分析器内で、内部出射軌道に沿って点Eで主飛行経路から荷電粒子を出射する方法であって、分析器が2つの対向するミラーを備え、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える分析器電場を生成し、主飛行経路が分析器体積内に位置され、荷電粒子が、第1の組の1つまたは複数の電位を電極システムに印加することによって発生される主分析器電場の影響下で主飛行経路を辿り、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともにz軸の周りを周回し、方法が、荷電粒子が点Eまたはその近くにあるときに荷電粒子の運動エネルギーを変え、内部出射軌道に沿って出射するステップを含む方法。
(17)内部出射軌道に沿って点Eで主飛行経路から荷電粒子を出射する方法であって、分析器が2つの対向するミラーを備え、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える分析器電場を生成し、主飛行経路が分析器体積内に位置され、荷電粒子が、第1の組の1つまたは複数の電位を電極システムに印加することによって発生される主分析器電場の影響下で主飛行経路を辿り、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともにz軸の周りを周回し、方法が、荷電粒子が点Eまたはその近くにあるときに荷電粒子を偏向させて、半径(r)方向での速度を変え、主分析器場の存在下で内部出射軌道に沿って荷電粒子を出射するステップを含む方法。
(18)2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器であって、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスをかけられるとき、ミラーが、対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、使用時、分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともに分析器体積内部でz軸の周りを周回し、荷電粒子分析器がさらに、
分析器体積から荷電粒子のビームを出射するための出射器を備え、
一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムが狭窄部分を備え、出射器が、狭窄部分のアパーチャを通してビームを出射するように動作可能である荷電粒子分析器。
(19)荷電粒子を分析する方法であって、
2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える分析器電場を生成し、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、内側と外側の電極システムの間で軸zの周りを周回しながら一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するステップと、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと、
粒子が軸zの周りで同じ回数の周回を経た後に分析器体積内部で複数のm/zを有する粒子の少なくともいくつかを検出するステップと
を含む方法。
(20)2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器であって、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスをかけられるとき、ミラーが、対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、使用時、分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともに分析器体積内部でz軸の周りを周回し、荷電粒子分析器がさらに、
粒子が軸zの周りで同じ回数の周回を経た後に複数のm/zを有する粒子の少なくともいくつかを検出するための、分析器体積内部に位置された検出器を備える荷電粒子分析器。
(21)荷電粒子を分析する方法であって、
2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える分析器電場を生成し、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、内側と外側の電極システムの間で軸zの周りを周回しながら一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するステップと、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと、
軸zの周りで同じ回数の周回を経た後に複数のm/zを有する粒子の少なくともいくつかを分析器体積外部の検出器で検出するステップを含み、検出器の少なくとも一部分が、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムが取る分析器軸からの最大距離以内に位置決めされる方法。
(22)2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器であって、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスをかけられるとき、ミラーが、対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、使用時、分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともに分析器体積内部でz軸の周りを周回し、荷電粒子分析器がさらに、
軸zの周りで同じ数の周回を経た後に複数のm/zを有する粒子の少なくともいくつかを検出するための、分析器体積外部に位置された検出器を備え、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムが狭窄部分を備え、検出器の少なくとも一部分が狭窄部分に隣接して位置される荷電粒子検出器。
他の態様では、本発明は、
本発明の荷電粒子分析器を備える飛行時間質量分光計と、
本発明の分析器を使用して荷電粒子を分離する方法を含む飛行時間質量分光分析の方法と、
本発明の荷電粒子を出射する方法を含む飛行時間質量分光分析の方法と、
本発明の荷電粒子を入射する方法を含む飛行時間質量分光分析の方法と、
本発明の荷電粒子を検出する方法を含む時間質量分光分析の方法と
を提供する。
本発明は、いくつかの実施形態では、コンパクトで、高分解能で、無制限の質量範囲のTOF質量分光計を実現する荷電粒子分析器および荷電粒子を分離する方法を提供し、この分光計は、厳しい公差の構成要素をできるだけ少数だけ用いてほぼ完璧な角度および時間集束を具現化する。いくつかの他の実施形態では、質量分解能をさらに高めるために質量範囲を制限することができる。
分析器の構成は、厳しい公差の構成要素を少数だけ用いて構成することができる。特に、本発明による分析器は、2つの電極システムをそれぞれ備える2つの対向するミラーのみを必要とする。さらに、いくつかの実施形態では、本明細書で説明するように、両方のミラーを提供するために、2つの電場定義電極システムのみを備える単純な構成を採用することができる。したがって、分析器は、好ましくは2つの対向するミラーのみを有する。
典型的には、飛行時間に従って分離することができる荷電粒子はイオンである。
荷電粒子に関連する本明細書での用語「ビーム」は、荷電粒子の列または荷電粒子のパケットを表し、それらの荷電粒子のいくつかまたはすべてを、それらのm/z値に従って分離することができる。
荷電粒子分析器は、ここでは、荷電粒子の分離のためにのみ使用することができる。分離される荷電粒子は、任意選択で、それらの飛行時間を測定される。飛行時間の測定は、検出器に粒子を衝突させることによって行うことができ、その場合、粒子をさらに使用することはできない(破壊検出)。または、粒子を検出器の内部に通すことによって行うことができ、その場合、粒子をさらなる処理ステップで使用することができる(非破壊分析)。非破壊検出の例は、イメージ電流検出の既知の方法である。本明細書で使用するとき、用語「検出器の内部に通す」は、検出すべき荷電粒子が検出器を通過するか、または検出器の近くを通る場合を含む。あるいは、またはさらに、分離された荷電粒子をさらなる処理のための1つまたは複数のデバイス、例えばイオントラップ、衝突セル、または蓄積貯蔵部などに向けることができる。
2つの対向するミラーへの言及で、用語「対向する電場」(任意選択で、z軸に沿って実質的に線形)は、電場を利用することによって荷電粒子をそれぞれ他方に向かって反射させる一対の荷電粒子ミラーを意味し、その電場は、好ましくは、分析器の少なくとも長手方向(z)で実質的に線形であり、すなわち少なくとも長手方向(z)での距離に線形依存し、各ミラーへの距離と共に実質的に線形に増加する。第1のミラーが、z軸の正の方向に沿って細長く、第2のミラーがz軸の負の方向に沿って細長い場合、ミラーは、好ましくは平面z=0またはその近くに当接し、第1のミラーの内部の電場は、好ましくは、正のz方向での第1のミラーへの距離と共に線形に増加し、第2のミラーの内部の電場は、好ましくは、負のz方向での第2のミラーへの距離と共に線形に増加する。これらの電磁場は、ミラーの電場定義電極システムに電位(電気的バイアス)を印加することによって生成され、これは好ましくは、各ミラー内部に放物型ポテンシャル分布を生成する。対向する電場は、協働して分析器場を形成する。したがって、分析器場は、内側と外側の電場定義電極システム間の分析器体積内部の電場であり、これは、ミラーの電場定義電極システムへの電位の印加によって生成される。以下、分析器場をより詳細に説明する。各ミラー内部の電場は、各ミラーの一部分のみにおいてz軸に沿って実質的に線形でよい。好ましくは、各ミラーの内部の電場は、各ミラー全体においてz軸に沿って実質的に線形である。対向するミラーは、電場がz軸に沿って線形でない領域によって互いから離隔することができる。いくつかの好ましい実施形態では、この領域内に、すなわち電場がz軸に沿って線形でない場所に、本明細書で説明する1つまたは複数のベルト電極アセンブリを位置させることができる。好ましくは、任意のそのような領域は、z軸に沿った長さが、2つのミラーの内部にある荷電粒子ビームの最大変向点間の距離の1/3よりも短い。好ましくは、荷電粒子は、それらの振動の全時間の半分未満にわたって、z軸に沿って一定の速度で分析器体積内を飛行し、ここで振動の時間とは、粒子が、各ミラーから1回反射された後にz軸に沿って同じ点に到達するのにかかる時間である。荷電粒子のビームが一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとき、それにより、ミラー内部に変向点を定義する。ミラー内部の荷電粒子ビームの変向点は、ミラー内へのz軸に沿った進行の最大限界にビームが到達する点であり、すなわちその点に至った後、ビームは向きを変え、対向するミラーに向けてz軸に沿って逆方向に進み始め、最大変向点は、任意の粒子が到達するミラー内への最も遠い点である。最大変向点での電場のz軸に沿った強度がXである場合、好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と最大変向点との間でz軸に沿った距離の2/3以下にわたって|X|/2未満である。一方のミラー内部のz軸に沿った線形電場は、図1bの電場強度と軸方向距離のプロットで示され、ここで|Ez|は、z軸に沿った電場強度の絶対値、すなわち電場のz成分の大きさであり、ztpは、ミラー内部の荷電粒子の変向点である。既に説明したように、本発明の分析器のいくつかの実施形態は、対向させて2つのそのようなミラーを結合する。図1bは、少なくとも、z=0平面でのz軸に沿った電場の最小値と、変向点ztpとの間に延びる完璧に線形の電磁場を示す。この図が示すように、|Ez|は、平面z=0と最大変向点の間でz軸に沿った距離の1/2以下にわたってX/2未満である。また、|Ez|は、平面z=0と最大変向点の間でz軸に沿った距離の1/2以下にわたってX/2以上である。また、本発明は、z軸に沿って完璧には線形でない電場を使用して実施することもできる。図1cは、歪んだ線形電磁場を示し、|Ez|は、平面z=0と最大変向点の間でz軸に沿った距離の2/3以下にわたってX/2未満であり、平面z=0と最大変向点の間でz軸に沿った距離の1/3以上にわたってX/2以上である。図1dは、さらなる歪んだ線形電磁場を示し、|Ez|は、平面z=0と最大変向点の間でz軸に沿った距離の1/3以上にわたってX/2未満であり、平面z=0と最大変向点の間でz軸に沿った距離の2/3以下にわたってX/2以上である。
より好ましくは、電場のz軸に沿った絶対電場強度は、平面z=0と最大変向点との間でz軸に沿った距離の1/3以下にわたって|X|/3未満である。好ましくは、電磁場が線形であるz軸に沿った電磁場の広がりは、電磁場が非線形であるz軸に沿った電磁場の広がり、または任意の電磁場のない領域に沿った広がりよりも大きい。
2つの対向するミラーが同じ場合、好ましくは線形の電場のセグメント(例えば図1b〜1eに示される)は、各ミラーの内部で同じである。2つの対向するミラーが異なる場合、各ミラーに1つずつ、好ましくは線形の電場の2つの異なるセグメントが存在することがある。
好ましくは、対向するミラーは、平面z=0またはその近くで接合されるように直接当接する。分析器の内部に、さらなる機能(その例は以下で説明する)を果たす追加の電極、例えばベルト電極アセンブリが存在することもある。そのような追加の電極は、対向するミラーの一方または両方の内部にあることがある。そのような電極の存在がミラー内部の電場を歪ませることがあり、それにより電場は、z軸に沿って完全には線形でなく、および/またはミラーのz軸長の一部に沿ってのみz軸に沿って線形である。好ましくは、そのような電極の存在は、2つのミラー内部の荷電粒子ビームの変向点間の距離の1/3未満でのみ、z軸長に沿った1つまたは複数のミラー内部の電場を歪ませる。
好ましい実施形態では、対向するミラーは、z=0平面の周りで実質的に対称である。他の実施形態では、対向するミラーは、z=0平面の周りで対称でないこともある。各ミラーは、それぞれのミラー軸に沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲む。動作時、ビーム内の荷電粒子は、内側および外側電場定義電極システムの間でそれぞれのミラー軸の周りを周回するとともに各それぞれのミラーの内部に進む。ビームの周回運動は、分析器軸zの周りを周回するとともに一方のミラーから他方のミラーへz軸に平行な方向に進む螺旋運動である。分析器軸zの周りでの周回運動は、いくつかの実施形態では実質的に円形であり、他の実施形態では楕円形または異なる形状である。分析器軸zの周りでの周回運動は、z=0平面からの距離に従って変わることがある。ミラー軸は、一般に分析器軸zと位置合わせされる。ミラー軸は、互いに位置合わせすることができ、ある程度の位置合わせ誤差を導入することができる。位置合わせ誤差は、ミラーの平行な軸どうしの変位の形を取ることができ、または一方のミラー軸に対する他方のミラー軸の角度回転の形を取ることができ、または変位と回転の両方の形を取ることもできる。好ましくは、ミラー軸は、同じ長手方向軸に沿って実質的に位置合わせされ、好ましくは、この長手方向軸は実質的に分析器軸と同軸である。好ましくは、ミラー軸は分析器軸zと同軸である。
以下にさらに説明するように、電場定義電極システムは様々な形状でよい。好ましくは、電場定義電極システムは、ミラー内部での四重極対数ポテンシャル分布を生成する形状である。しかし、他の電位分布も企図され、さらに説明する。
ミラーの内側と外側の電場定義電極システムは異なる形状でよい。好ましくは、さらに説明するように、内側と外側の電場定義電極システムは、関連する形状である。より好ましくは、各ミラーの内側と外側の電場定義電極システムがどちらも、それぞれ円形の横断面(すなわち分析器軸zに対して横方向の断面)を有する。しかし、内側および外側電場定義電極システムは、楕円や双曲線など円以外の断面を有することもある。内側と外側の電場定義電極システムは、同心でも同心でなくてもよい。好ましくは、内側と外側の電場定義電極システムは同心である。両方のミラーの内側および外側電場定義電極システムは、好ましくは、分析器軸の周りで実質的に回転対称である。
以下の1つまたは複数について、一方のミラーが他方のミラーと異なる形態でよい。その構成形態、形状、寸法、内側と外側の電極システム間の形状の合致、内側と外側の電極システム間の同心性、内側および/または外側電場定義電極システムに印加される電位、または他の様式。ミラーは、互いに異なる形態である場合、互いに異なる対向する電場を生成することがある。いくつかの実施形態では、ミラーは異なる構成であり、および/または電場定義電極システムに印加される異なる電位を有するが、2つのミラー内部に生成される電場は実質的に同じである。いくつかの実施形態では、ミラーは実質的に同一であり、両方のミラーの内側電場定義電極システムに印加される第1の組の1つまたは複数の電位と、両方のミラーの外側電場定義電極システムに印加される第2の組の1つまたは複数の電位とを有する。他の実施形態では、ミラーは、規定の様式で異なっており、または印加される電位が異なっており非対称を生成し(すなわち異なる対向する電場)、これは、本明細書で以下に述べるように追加の利点を提供する。
例えば米国特許第5886346号明細書に記載されているように、ミラーの電場定義電極システムは単一の電極からなることがあり、または例えば国際公開第2007/000587号パンフレットに記載されているように、複数の電極(例えば数個または多数の電極)からなることがある。一方または両方のミラーの内側電極システムが例えば単一電極でよく、外側電極システムも同様に単一電極でよい。あるいは、複数の電極を使用して、一方または両方のミラーの内側および/または外側電極システムを形成することもできる。好ましくは、ミラーの電場定義電極システムは、内側および外側電極システムそれぞれに関して単一の電極からなる。単一の電極の表面が、電場の等電位面を構成する。
各ミラーの外側電場定義電極システムは、内側電場定義電極システムよりもサイズが大きく、内側電場定義電極システムの周りに位置される。Orbitrap(商標)静電トラップと同様に、内側電場定義電極システムは、好ましくは、スピンドル形状であり、より好ましくは、ミラー間の中点に向かって(すなわち分析器の赤道(またはz=0平面)に向かって)直径が増加し、外側電場定義電極システムは、好ましくはバレル形状であり、より好ましくは、ミラー間の中点に向かって直径が増加する。分析器構成のこの好ましい形態は、有利には、使用する電極がより少数であり、構成の多くの他の形態よりも高い度合いの線形性を有する電場を生成する。特に、軸方向極値付近で放物型ポテンシャルに合致するように形作られた電極を使用して、ミラー内部でミラー軸の方向で放物型ポテンシャル分布を生成することにより、荷電粒子がそれらの変向点に到達して最もゆっくりと進んでいる位置の近くで、所望の線形電場をより高い精度で生成する。これらの領域でのより大きな電磁場精度が、より高い度合いの時間集束を提供し、より高いm/z分解能を得られるようにする。ここで、用語「m/z」は、質量電荷比を表す。ミラーの内側電場定義電極システムが複数の電極を備える場合、複数の電極は、好ましくは、スピンドル形状の単一の電極に類似するように動作可能である。同様に、ミラーの外側電場定義電極システムが複数の電極を備える場合、複数の電極は、好ましくは、バレル形状の単一の電極に類似するように動作可能である。
各ミラーの内側電場定義電極システムは、好ましくは、ミラー間の中点に向かって(すなわち分析器の赤道(またはz=0平面)に向かって)直径が増加する。各ミラーの内側電場定義電極システムは、電気絶縁ギャップによって分離された互いに別個の電極システムでよく、あるいは、単一の内側電場定義電極システムが両方のミラーの内側電場定義電極システムを構成する(例えば、Orbitrap(商標)静電トラップの場合と同様)。単一の内側電場定義電極システムは、一部片の内側電場定義電極システム、または電気接触する2つの内側電場定義電極システムでよい。単一の内側電場定義電極システムは、好ましくはスピンドル形状であり、より好ましくはミラー間の中点に向かって直径が増加する。同様に、各ミラーの外側電場定義システムは、好ましくは、ミラー間の中点に向かって直径が増加する。各ミラーの外側電場定義電極システムは、電気絶縁ギャップによって分離された互いに別個の電極システムでよく、あるいは、単一の外側電場定義電極システムが両方のミラーの外側電場定義電極システムを構成する。単一の外側電場定義電極システムは、一部片の外側電極システム、または電気接触する2つの外側電極でよい。単一の外側電場定義電極システムは、好ましくはバレル形状であり、より好ましくはミラー間の中点に向かって直径が増加する。
好ましくは、2つのミラーは、z=0平面の近くで、より好ましくはz=0平面で当接して、連続する等電位面を定義する。この文脈での用語「当接」は、ミラーが物理的に触れ合うことは必ずしも意味せず、ミラーが触れ合うか、または互いに隣接して近くに位置することを意味する。それに従って、好ましくは、荷電粒子は、完璧またはほぼ完璧な、分析器の長手方向での単調和運動をさせられる。
一実施形態では、四重極対数ポテンシャル分布は、分析器内部に生成される。四重極対数ポテンシャルは、好ましくは、2つの電場定義電極システムに電気的にバイアスをかけることによって生成される。内側および外側電場定義電極システムは、好ましくは、電気的にバイアスをかけられるときにそれらの間に四重極対数ポテンシャルが生成されるように形作られる。各ミラー内部での全体の電位分布が好ましくは四重極対数ポテンシャルであり、この電位は、(長手方向軸である)分析器軸zの方向での距離に依存して四重極(すなわち放物型)でよく、半径方向(r)での距離に対して対数依存する。他の実施形態では、電場定義電極システムの形状は、対数ポテンシャルの項が半径方向で生成されず、かつ他の数学的形式が半径方向電位分布を記述するようなものである。
本明細書で使用するとき、用語「半径方向の」や「半径方向で」は、円筒座標rを表す。いくつかの実施形態では、例えばzが一定の平面内の断面プロファイルが楕円であるときなどは、分析器の電場定義電極システム、および/または分析器内部の主飛行経路は円筒対称性を有さず、そのような実施形態に関連付けて使用するときの用語「半径方向の」や「半径方向で」は、円筒対称幾何形状のみへの限定を示唆するものではない。
いくつかの実施形態では、分析器電場は、分析器軸zの方向で必ずしも線形でなく、好ましい実施形態では、分析器体積のz軸に沿った長さの少なくとも一部分に沿って線形である。
本発明のすべての実施形態が、多くの従来技術の多重反射システムに勝るいくつかの利点を有する。内側電場定義電極システムの存在は、システムの片側にある荷電粒子を、他方の側にある粒子に存在する電荷から遮蔽する働きをし、パケットの列に対する空間電荷の影響を低減する。さらに、任意の残りの空間電荷の影響によるビームの軸方向拡散(すなわち分析器軸zの方向での拡散)は、軸方向、すなわち飛行時間分離の方向での粒子の飛行時間を大幅には変化させない。
分析器軸の方向での対向する線形電場を利用する好ましい実施形態では、荷電粒子は、主飛行経路上にある間は常に、ゼロに近くなく、かつ最高速度のかなりの割合である速度で進む。そのような実施形態では、荷電粒子が主飛行経路を進行し始めるときのみに集束されるいくつかの実施形態を除いて、荷電粒子が鋭く集束されることは決してない。それにより、これらの特徴はどちらも、ビームに対する空間電荷の影響をさらに減少させる。荷電粒子の自己バンチングの望ましくない影響は、国際公開第06129109号パンフレットに記載されるように、非常に小さな電磁場非線形性の導入によっても回避することができる。
好ましい実施形態では、本発明は、TOF分離器の形態で、Orbitrap(商標)静電トラップで使用されるのと同様に、四重極対数ポテンシャル同心電極構造を利用する。Orbitrap(商標)は、例えば米国特許第5886346号明細書に記載されている。原理的に、完璧な角度とエネルギーの時間集束がどちらもそのような構造によって実現される。
放物型ポテンシャル反射器を利用する従来の折返し経路反射構成に伴うさらなる根本的な問題は、反射器の線形電磁場をある程度歪ませずには放物型ポテンシャル反射器を互いに直接当接させることができないことであり、これは一般に、反射器間に、比較的電磁場のないドリフト空間を比較的長い部分にわたって導入する。さらに、従来技術では、反射器での線形電磁場(放物型ポテンシャル)の使用は、それらの進行に垂直な方向で荷電粒子を不安定にする。この従来技術を補償するために、電磁場のない領域、強いレンズ、および均一な電磁場の組合せが使用されている。
電磁場のない領域の歪および/または存在は、そのような従来技術の放物型ポテンシャル反射器により、完璧な調和運動を不可能にする。検出器での高い度合いの時間集束を得るために、1つまたは複数の反射器の内部の電磁場を変えて、試行してこれを補償しなければならず、またはいくつかの追加のイオン光学構成要素を飛行経路内に導入しなければならない。本発明のいくつかの実施形態のミラーとは対照的に、これらの多重反射構成によっては、完璧な角度およびエネルギー集束を実現することはできない。
各ミラーに形成される好ましい四重極対数ポテンシャル分布U(r,z)は、式(1)で記述される。
Figure 2012528432
ここで、r,zは、円筒座標(r=半径方向座標;z=長手方向または軸方向座標)であり、Cは定数であり、kは電磁場線形性係数であり、Rmは特徴的な半径である。Rmは物理的な意味も有する。すなわち、半径方向の力は、r<Rmに関しては分析器軸に向かう方向であり、r>Rmに関しては分析器軸から離れる方向であり、r=Rmでは0である。半径方向の力は、r<Rmで軸に向けられる。好ましい実施形態では、Rmは、ミラーの外側電場定義電極システムよりも大きい半径位置にあり、それにより、内側と外側の電場定義電極システム間の空間内を進む荷電粒子は常に、内側電場定義電極システムに向けて半径方向内側の力を受ける。この内方向への力が、周回する粒子の求心力を平衡させる。
イオンが、そのような電位分布で半径Rの円形螺旋上を移動しているとき、それらの運動は式(1)の電位での荷電粒子の振動の3つの特徴的な周波数によって記述することができる。すなわち、式(2)でωによって与えられるz方向での軸方向振動と、式(2)でωφによって与えられる、本明細書では円弧方向(φ)と呼ぶ、内側電場定義電極システムの周りでの振動の周回周波数(本明細書では以後、角振動と呼ぶ)と、式(2)でωrによって与えられるr方向での半径方向振動とである。
Figure 2012528432
ここで、eは電気素量であり、mは質量であり、zは荷電粒子の電荷であり、Rは荷電粒子の初期半径である。半径方向運動は、R<Rm/21/2、したがってωφ>ω/21/2である場合に安定であり、各反射(すなわちπだけの軸方向振動位相の変化)ごとに、軌道が、π/(2)1/2ラジアンよりも大きく回転しなければならない。同様の制限が、式(1)から逸脱する電位分布に関して存在し、すべての他のタイプの既知のイオンミラーとは大きな相違がある。
式(2)は、軸方向振動周波数が初期位置およびエネルギーに依存しないこと、および回転振動周波数と半径方向振動周波数がどちらも初期半径Rに依存することを示す。このタイプの四重極対数ポテンシャルの特徴のさらなる説明は、例えばA.Makarov, Anal. Chem. 2000, 72, 1156−1162に与えられている。
好ましい実施形態は、式(1)によって定義される電位分布を利用するが、本発明の他の実施形態はそれを必要としない。分析器(長手方向)軸の方向での対向する線形電場を利用する実施形態は、(x,y)座標で式(3a)および式(3b)によって記述される任意の一般的な形態を使用することができ、これらの式は国際公開第06129109号パンフレットにも与えられている。
Figure 2012528432
ここで、
Figure 2012528432
、α、β、γ、a、A、B、D、E、F、G、Hは、任意の定数(D>0)であり、jは整数である。式(3a)および式(3b)は、rに依存する式(1)でのあらゆる項を完全に除去するのに十分に一般的なものであり、rを他の項で置き換え、他の座標系(例えば楕円、双曲線など)での表現を含む。z=0でその経路を進行し始める、および終了する粒子に関して、式(3a)および式(3b)によって記述される電位での飛行時間は、軸方向振動の半分に対応する。
Figure 2012528432
変向点の座標はztp=vz/ωであり、ここでvzは、z=0での速度の軸方向成分であり、軸方向振動の半分(すなわち一回の反射)にわたる等価経路長は、vzT=πztpである。したがって、等価経路長または実効経路長は、実際の軸方向経路長よりも係数πだけ長く、飛行時間分離が生じる経路長を表す尺度となる。このように係数πだけ増加するのは、荷電粒子が各ミラーにさらに侵入するときに軸方向で荷電粒子が減速するからである。本発明では、好ましいことに軸方向で電磁場のない領域が有意な長さでは存在しないことがこの大きな増加を生み出し、より長い電磁場のない領域を利用する反射型TOF分析器に勝る追加の利点である。
荷電粒子のビームは、主飛行経路に沿って分析器を通って飛行する。主飛行経路は、好ましくは、2つの対向するミラーの間に反射型の飛行経路を備える。2つの対向するミラーの間のビームの主飛行経路は、分析器体積内、すなわち半径方向で内側と外側の電場定義電極システムの間にある。2つの直接対向するミラーは、使用時、荷電粒子が取る主飛行経路を定義する。これは、いくつかの実施形態では、荷電粒子が、ミラー間の分析器(z)軸の方向で少なくとも1回の全振動運動を受けるからである。2つの直接対向するミラーは、使用時、荷電粒子が取る主飛行経路を定義する。これは、いくつかの実施形態では、好ましくは、荷電粒子が、ミラー間の分析器(z)軸の方向で実質的に単調和運動の少なくとも1回の全振動を受けるからである。荷電粒子のビームは、主飛行経路に沿って分析器を通って飛行するので、好ましくは、分析器軸の周りを周回しながら(すなわち円弧方向での回転)、分析器の長手方向(z)軸に沿った実質的に単調和運動の少なくとも1回の全振動を受ける。本明細書で使用するとき、用語「周回運動の角度」は、周回が進行するときに円弧方向で成される角度を表す。したがって、分析器内部でのその飛行経路に沿ったビームの好ましい運動は、内側電場定義電極システムの周りでの螺旋運動である。好ましくは、ミラー間の中点(z=0平面の近く)で、ビーム位置は、ミラーからの所与の回数の反射(例えば1回または2回の反射)後に円弧方向で、ある距離だけ前進する。このようにして、ビームは、分析器を通る主飛行経路に沿って、分析器軸に沿って螺旋経路で前後に飛行し、この螺旋経路は、z=0平面内で分析器軸の周り(すなわち円弧方向)に延びる。周回螺旋運動は、円形、楕円形、または他の形の断面形状を有することがある。好ましい実施形態では、ビームは、1回の反射につきほぼ1周、各ミラーの内側電場定義電極システムの周り、それにより分析器軸zの周りを周回する。好ましくは、ビームは、一方または両方のミラーで1回の反射につき1周よりもわずかに多く、または1周よりもわずかに少なく分析器軸の周りを周回し、z=0平面でのビームの位置は、一方向で分析器軸の周りで前進する。このようにして、ビームが分析器内部で実質的に同じ経路を辿り始めるまで、両方のミラーでの複数回の反射を行うことができ、ビームが主飛行経路を開始したz=0平面上の点に到達する前にビームの多数回の周回が行われる。必要であれば、π/21/2ラジアンを超えると仮定して、z=0平面内で円弧方向でのビームの全回転の分数または倍数を1回の反射ごとに利用することができる。z=0平面内で円弧方向での1回の完全な回転をビームが完了する前に、分析器内部で実質的に同じ経路を複数回辿らないようにビームを出射することができる。あるいは、ビームは、z=0平面内で円弧方向での1回の完全な回転を完了し、分析器内部の実質的に同じ経路に沿って再び始まるようにすることもできる(すなわち、ビームは、もう1回または複数回、分析器内部で実質的に同じ経路を繰り返す)。したがって、本発明の1タイプの実施形態では、荷電粒子のビームは、分析器内部で実質的に同じ経路を複数回辿らない(すなわち飛行経路は、開いた飛行経路である)。あるいは、本発明の別のタイプの実施形態では、荷電粒子のビームは、分析器内部で実質的に同じ経路を複数回辿り(すなわち飛行経路は、閉じた飛行経路またはループした飛行経路である)、分解能を高めることができるが、質量範囲は犠牲にする。
いくつかの好ましい実施形態の特徴的な機能は、主飛行経路が、ほぼ1回または複数回、内側電場定義電極システムの周りを周回するとともに分析器軸の方向でただ1回の振動を行うことである。これは、前述したように、内側電場定義電極システムの周りで荷電粒子ビームを分離し、ビームの一部分と別の部分との空間電荷効果を減少させるという有利な効果を有する。別の利点は、強い実効半径方向電位がビームの強い半径方向集束を引き起こし、したがってビームの小さい半径方向サイズを提供することである。これはさらに、ビームのより小さな相対サイズ、およびビームにわたる擾乱電位のより小さな変化により、装置の分解能を高める。好ましくは、周回運動の周波数と、分析器の長手方向軸zの方向での振動周波数との比は、0.71〜5である。より好ましくは、好ましくは、周回運動の周波数と、分析器の長手方向軸の方向での振動周波数との比は、0.8〜4.5、1.2〜3.5、1.8〜2.5の間である(記載順に、より好ましくなる)。したがって、いくつかの好ましい範囲は、0.8〜1.2、1.8〜2.2、2.5〜3.5、および3.5〜4.5を含む。
荷電粒子が分析器の主飛行経路に沿って進むとき、それらの質量電荷比(m/z)に従って分離される。分離の度合いは、とりわけ、分析器軸zの方向での飛行経路長に依存する。分離されると、分析器内部で荷電粒子を検出することによって荷電粒子の飛行時間を測定することができ、あるいは、1つまたは複数のm/z範囲を選択して検出することができ、または分析器から任意選択で検出器または粒子のさらなる処理用の別のデバイスに出射することができる。用語「m/z範囲」は、本明細書では、m/zの分解された種を1つだけ含む程度に狭い範囲を含む。同じ検出時間にわたって、しかし非常に異なる回数の周回でイオンのイメージ検出を行うイオントラップであるOrbitrap(商標)質量分析器とは異なり、本発明のいくつかの実施形態では、荷電粒子は、出射または検出の前に、分析器軸zの周りで同じ回数の周回を経て、それらの飛行時間に基づいて順次に粒子を出射または検出できるようにする。しかし、好ましくは、m/zの範囲は、複数のm/zを含み、その中には、最大m/z値(m/zmax)および最小m/z値(m/zmin)があり、m/zmax/m/zminは好ましくは少なくとも3である。他の好ましい実施形態では、m/zmax/m/zminの比は、少なくとも5、少なくとも10、または少なくとも20でよい。
式(3)によって記述される電位分布を有する分析器、および他のタイプの分析器、例えば四重極対数ポテンシャル分布では、rの発散は制約され、円弧発散は全く制約されない。イオンが円形螺旋に近い軌道上で移動しているとき、四重極対数ポテンシャルで強い半径方向集束が自動的に実現されるが、ビームの無制約の円弧発散により、検査しない場合には、同じm/zであるが異なる初期パラメータのイオンに関して軌道が完全に重なり合うという問題が生じる。入射された荷電粒子は、Orbitrap(商標)分析器と同様に、内側電場定義電極システムの周りにリングを形成し、このリングは、同じm/zのイオンを備え、長手方向分析器軸方向で振動する。Orbitrap(商標)分析器では、トラップ内部のイオンのイメージ電流検出には影響が及ぼされない。しかし、荷電粒子の飛行時間分離に関してそのような電磁場を使用するためには、ビームは、分析領域内の検出器に当たらなければならず、または検出もしくはさらなる処理のためにデバイスから出射されなければならない。後者の場合、何らかの形態の出射メカニズムをビーム経路内に導入して、その領域から検出器にビームを出射しなければならない。分析領域内の任意の出射メカニズムまたは任意の検出器は、分析器内部に存在する同じm/zのすべての荷電粒子を出射または検出するのであれば、リング内のすべてのイオンに作用しなければならない。この課題は、異なるm/zを有する荷電粒子の様々なリングが分析器の長手方向で異なる周波数で振動し、異なるm/zのリングが任意の所与の時間に重なり合うことがあるので、実用的でない。既に述べたように、ビームが、異なるm/z粒子の完全なリングの組を形成する前に出射または検出されるとしても、飛行経路中に、荷電粒子の初期パケットがパケット列となり、より低いm/zの粒子がより高いm/zの粒子に先行する。円弧状に発散し、内側電場定義電極システムの周りに広がっているパケット列の前部にある荷電粒子のパケットは、列内のさらに後方のパケットに重なり合うことができる。そのような重なり合ったパケットに作用する電磁場の影響を受けないパケット列を出射することを試みる任意の出射メカニズムは、すべてのそのようなパケットを壊し、パケットの列全体が検出用の領域から順次にうまく出射されない。あるいは、分析領域内に配置された任意の検出器が、パケット列の前部での荷電粒子と、列内でさらに後方の荷電粒子とを同時に検出する。ここで、それらのイオンは、円弧発散により空間内で重なり合う。同様に、荷電粒子をそれらの飛行時間によって分離すべきであり、分析器からレシーバへ荷電粒子を出射することによって部分集合が選択される場合、この選択プロセスは、望ましくないことに、広く異なる飛行時間をもつイオンを選択する。なぜなら、パケット列の異なる区域からの重なり合った荷電粒子が出射されるからである。
本発明は、好ましくは円弧集束、すなわち円弧方向での荷電粒子パケットの集束を導入して、その方向でのそれらの発散を制約することによってこの問題に対処する。用語「円弧」は、本明細書では、長手方向分析器軸zの周りでの角度方向を意味するものとして使用される。図1は、分析器軸z、半径方向r、および円弧方向φのそれぞれの方向を示す。すなわちこれらは円筒座標と見ることができる。円弧集束がビームを閉じ込め、それにより、パケットの列は、分析器軸z(すなわち円弧方向)の周りでのそれらの広がり内で十分に局所化されて、列内のさらに後方のパケットが取る飛行経路を乱すことなく出射することができ、分析器を通るパケットの後続の通行は前のものと重なり合わない。そのような円弧集束により、本発明の好ましい四重極対数ポテンシャルは、任意選択で無制限の質量範囲を有する高い質量分解能のTOF分析器を提供するために、多数の多重反射と共に正常に利用することができる。また、円弧集束は、他の形態の電位分布を有する軌道分析器で採用することもできる。
用語「円弧集束レンズ」(または単に「円弧レンズ」)は、本明細書では、円弧方向で荷電粒子に作用する電磁場を提供する任意のデバイスを表すために使用され、電磁場は、円弧方向でのビーム発散を減少させる作用をする。この文脈での用語「集束」は、任意の形態のビーム交差が必須で生成されることを示唆するものではなく、ビームウエストが必然的に生成されることを示唆するものでもない。レンズは、円弧方向と同様に他の方向で荷電粒子に作用することもできる。好ましくは、レンズは、実質的に円弧方向でのみ荷電粒子に作用する。好ましくは、円弧レンズによって提供される場は電場である。したがって、円弧レンズは、レンズがない状態において通常存在する分析器場に対する擾乱を生成する任意のデバイスでよいことが分かる。レンズは、分析器に追加された追加の電極を含むことができ、または内側および外側電場定義電極システムの形状に対する変化を含むことができる。一実施形態では、レンズは、一方または両方のミラーの局所的に変更された内側電場定義電極システム、例えば局所的に変更された表面形状を有する内側電場定義電極システムを備える。好ましい実施形態では、レンズは、分析器軸zから異なる距離で主飛行経路の各側に1つずつ、一対の対向した電極を備える。一対の対向した電極は、様々な形状、例えば実質的に円形状を有するように構成することができる。いくつかの実施形態では、隣接する電極が一部片レンズ電極アセンブリに合併することができ、このアセンブリは、ビームの他方の側で分析器軸から異なる距離に位置された別の一部片レンズ電極アセンブリによって対向される。すなわち、複数のレンズを提供するように形作られた一対の一部片レンズ電極アセンブリを利用することができる。複数のレンズは、したがって一部片レンズ電極アセンブリによって提供され、これは、分析器軸から異なる距離にある別の一部片レンズ電極アセンブリによって対向され、一部片レンズ電極アセンブリは、複数の円弧集束レンズを提供するように形作られる。一部片レンズ電極アセンブリは、好ましくは、複数の滑らかな円弧形状を備える縁部を有する。一部片レンズ電極アセンブリは、好ましくは、少なくとも部分的に、より好ましくは実質的に、円弧方向でz軸の周りに延在する。
1つまたは複数の円弧レンズが分析器体積内に位置される。動作時、荷電粒子が通過するときに1つまたは複数のレンズが荷電粒子に作用するように、1つまたは複数の円弧レンズを主飛行経路またはその近くで分析器の内部の任意の場所に位置することができる。好ましい実施形態では、1つまたは複数の円弧レンズは、2つのミラーの間のほぼ中点に位置される(すなわち分析器軸zに沿った中点)。分析器のz軸に沿った2つのミラー間の中点、すなわちz軸の方向での最小の絶対電磁場強度の点を、ここでは分析器の赤道または赤道位置と呼ぶ。このとき、赤道は、z=0平面の位置でもある。別の実施形態では、1つまたは複数の円弧レンズが、ミラーの最大変向点(すなわちz軸に沿った最大進行の点)の一方または両方に隣接して配置される。より好ましい実施形態では、以下でより詳細に説明するように、1つまたは複数の円弧レンズが、2つのミラー間の中点(すなわち分析器軸zに沿った中点)からオフセットされて位置されるが、依然として中点の近くにある。
1つまたは複数の円弧レンズは、荷電粒子が内側と外側の電場定義電極システムの半径の間で主飛行経路に沿って進むときに荷電粒子に作用する。
1つまたは複数の円弧レンズは、内側および/または外側電場定義電極システムに、追加の支持体に、またはそれら2つの組合せに支持されることがある。
円弧集束は、好ましくは、飛行経路に沿ってある間隔でビーム上で行われる。この間隔は、規則的(すなわち周期的)でも不規則でもよい。
円弧集束は、より好ましくは、周期的な円弧集束である。すなわち、円弧集束は、より好ましくは、飛行経路に沿って規則的な円弧位置でビーム上で行われる。
円弧集束は、好ましくは一連のレンズ(すなわち複数のレンズ)によって実現され、これらは好ましくは内側と外側の電場定義電極システムの半径の間に配置され、すなわち例えば四重極対数変位を生成し、すなわちz=0平面上またはその近くに中心合わせされる。複数のレンズが、分析器軸zの周りに完全に延在することができ、または分析器軸の周りに部分的に延在することができる。ミラーが分析器軸と実質的に同心である実施形態では、好ましくは複数のレンズも分析器軸と実質的に同心である。より好ましくは、レンズはそれぞれ、z=0平面上またはその近くに中心を合わされる。これは、この平面で粒子に対する軸方向の力がゼロであるからであり、電場のz成分はゼロであり、レンズがあっても、分析器内の他の場所でz方向での放物型ポテンシャルをほとんど乱さず、時間集束への収差を最小にする。
別の実施形態では、複数のレンズを、分析器内部の変向点の一方または両方に近接して位置させることができる。この場合、電場のz成分が飛行経路上で最高であるが、荷電粒子は、飛行経路上で最小の運動エネルギーで進行しており、円弧発散の所望の制約を実現するために円弧レンズに印加する必要がある集束電位はより低い。
好ましくは、円弧集束レンズは、分析器軸の周りに周期的に配置され、すなわち円弧方向で、分析器軸の周りに規則的に離隔配置され、すなわち円弧集束レンズのアレイとして配置される。好ましくは、アレイ内の円弧集束レンズは、実質的に同じz座標に位置される。好ましくは、円弧集束レンズのアレイは、円弧方向でz方向の周りに延在する。上述したように、赤道の近く(またはz=0平面の近く)で、ビーム位置は、好ましくは、ミラーからの所与の回数の反射(例えば1回または2回の反射。z軸に沿った1回の全振動が2回の反射を含む)後に、円弧方向である角度または距離だけ前進する。好ましくは、円弧集束レンズは、分析器の分析器軸の周りに周期的に配置され、放物面鏡からの所与の回数の反射後にビームが前進する円弧方向での距離に実質的に等しい距離だけ、円弧方向で離隔される。さらに、円弧集束レンズは、好ましくは、ビームが分析器を通って飛行するときにビームが赤道に交差する位置またはその近くで分析器の分析器軸の周りに周期的に配置される。いくつかの好ましいタイプの実施形態では、複数の円弧集束レンズが、実質的に同じz座標に位置された円弧集束レンズのアレイを形成し、このz座標は、より好ましくはz=0またはその近くにあるが、最も好ましくはz=0からオフセットされる(が、その近くにある)。オフセットされたz座標は、好ましくは、主飛行経路が振動中にそれ自体に交差する場所であり、このオフセットz座標は、z=0平面の近くである。この構成は、各円弧集束レンズを使用してビームを2回集束させることができるという利点を有し、すなわち、以下でより詳細に説明するように、1つのミラーからの反射後、次いで他方のミラーからの次の反射後の2回である。したがって、各レンズを2回利用することは、円弧集束レンズの位置をz=0平面から、主飛行経路が振動中にそれ自体に交差するz座標にオフセットすることによって、同一のミラーを使用して実現することができる。したがって、好ましくは、z軸に沿った各振動後に、レンズが配置されるz座標において円弧方向でビームが進む距離だけ、レンズが円弧方向で離隔される。
他の多重反射または多重偏向TOFとは異なり、円弧レンズが、対向するミラーによって生成される分析器場の内部に組み込まれるので、電磁場のないドリフト空間が実質的に存在せず(最も好ましくは電磁場のないドリフト空間が全くなく)、電気分析器場がゼロに近付く点はない。軸方向電磁場がない場合でさえ、半径方向での電磁場が存在する。さらに、荷電粒子は、各反射ごとに、円弧レンズの周期性よりも典型的にははるかに大きい(最高で10倍の)角度だけ向きを変える。本発明の分析器では、分析器の軸方向長さの大半(好ましくは3分の2以上)にわたって相当の軸方向電磁場(すなわちz方向での電磁場)が存在する。より好ましくは、分析器の軸方向長さの80%以上、より好ましくは90%以上にわたって相当の軸方向電磁場が存在する。本明細書における用語「相当の軸方向電磁場」は、分析器内の最大変向点での軸方向電磁場の強度の1%超、好ましくは5%超、より好ましくは10%超を意味する。
z=0平面で式(1)によって記述される四重極対数ポテンシャルを利用する好ましい実施形態では、半径方向(r)での電位を、1対の同心シリンダの間での電位によって近似することができる。この理由から、1つのタイプの好ましい実施形態では、例えば円弧集束レンズを支持するため、または内側と外側の電場定義電極システム間の分析器内部に位置されることがある他の電子構成要素(例えばレンズ、電極、加速器、偏向器、検出器など)に印加される電圧から主飛行経路を遮蔽するのを助けるため、または他の目的のために、1つまたは複数のベルト電極アセンブリが使用される。本明細書でのベルト電極アセンブリは、好ましくは、分析器体積内に位置されるベルト形状の電極アセンブリであるが、一方または両方のミラーの内側電場定義電極システムの周りに完全に延在する必要はなく、すなわちz軸の周りに完全に延在する必要はない。したがって、ベルト電極アセンブリは、一方または両方のミラーの内側電場定義電極システムの周りに少なくとも部分的に、すなわちz軸の周りに少なくとも部分的に、より好ましくはz軸の周りに実質的に延在する。ベルト電極アセンブリは、好ましくはz軸の周りに円弧方向で延在する。1つまたは複数のベルト電極アセンブリは、分析器軸と同心でよい。1つまたは複数のベルト電極アセンブリは、一方または両方のミラーの内側および外側電場定義電極システムの間と同心でよい。1つの好ましい実施形態では、1つまたは複数のベルト電極アセンブリは、分析器軸、ならびに両方のミラーの内側および外側電場定義電極システムのどちらとも同心である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のベルト電極アセンブリは、z=0平面またはその近くで、一方または両方のミラーの内側と外側の電場定義電極システムの間に位置された環状ベルトを備える。他の実施形態では、ベルト電極アセンブリは、一方のミラーの内部の荷電粒子ビームの最大変向点の近くに位置されたリングの形態を取ることができる。いくつかの実施形態では、例えば円弧集束レンズが少数である場合には、ベルト電極アセンブリが、一方または両方のミラーの内側電場定義電極システムの周りに完全に延在する必要はないことがある。使用時、ベルト電極アセンブリは電極として機能して、好ましくはz=0平面の近傍で分析器場(例えば四重極対数電磁場)を近似し、適切な電位がそれらに印加されている。図1eは、本発明の一実施形態での、一方のミラー内部のz軸に沿った電場の形状を示し、ここでは、1対の円筒形ベルト電極アセンブリが、平面z=0の近くまたは平面z=0に組み込まれている。前述した図1bと比べると、図1bの完璧に線形の電磁場が、円筒形ベルト電極アセンブリの存在によって平面z=0の近くで切頭されている様子が分かる。分析器内部で等電位力線に従うような形状(例えば、四重極対数ポテンシャル分布を有する分析器内での四重極対数形状)を有するベルト電極アセンブリを使用することにより、z=0平面の近くのこの電磁場歪が除去される。しかしまた、通電されたレンズまたは偏向電極がベルト電極アセンブリにあると、ベルト電極アセンブリの領域内でz軸に沿って電場がいくぶん歪められる。
1つまたは複数のベルト電極アセンブリは、例えば電気絶縁支持体によって支持して、内側および/または外側電場定義電極システムから離隔することができる(すなわちそれにより、ベルト電極アセンブリは、内側および/または外側電場定義電極システムから電気絶縁される)。電気絶縁支持体は、それらの周囲の領域内の電位を近似するように適切に電気的にバイアスをかけられた追加の導電性要素を備えることがある。一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムは、外側ベルト電極アセンブリを支持するためにz=0平面で、および/またはz=0平面の近くで狭窄することができる。
ベルト電極アセンブリは、それらが支持することができる円弧集束レンズから電気絶縁される。好ましくは、ベルト電極アセンブリは、z方向で円弧集束レンズの縁部を越えて延在して、分析器の残りの部分を、レンズに印加される電位から遮蔽する。
1つまたは複数のベルト電極アセンブリは任意の適切な形状でよく、例えばベルトは、円筒形、好ましくは同心円筒形の形状でよい。好ましくは、ベルト電極アセンブリは、同心円筒形電極の形態である。より好ましくは、1つまたは複数のベルト電極アセンブリは、ベルト電極アセンブリが位置される場所での分析器場の等電位面に実質的に従う、またはその等電位面を近似する形状を有する区域の形態でよい。より好ましい例として、ベルト電極アセンブリは、四重極対数区域の形態でよく、すなわちそれらの形状は、ベルト電極アセンブリが位置される場所で、四重極対数電磁場(すなわち歪のない四重極対数電磁場)の等電位面に従う、またはその等電位面を近似することがある。ベルト電極アセンブリは、長手方向(z)で任意の長さでよいが、好ましくは、例えば円筒形状である場合など、それらが配置される領域内での四重極対数ポテンシャルのみを近似する場合、2つの対向するミラーでの主飛行経路の変向点間の距離の1/3未満の長さである。より好ましくは、ベルト電極アセンブリは、円筒形状である場合、長手方向(z)での2つの対向するミラーでの主飛行経路の変向点間の距離の1/6未満の長さである。
いくつかの実施形態では、例えば円弧レンズの一方の部分集合(すなわち主飛行経路の片側にある)を1つのベルト電極アセンブリによって支持することができ、またレンズの他方の部分集合が内側または外側電場定義電極システムによって支持される場合、1つのベルト電極アセンブリのみを使用することができる。他の実施形態では、例えば円弧レンズが2つのベルト電極アセンブリによる支持を必要とする場合、2つ以上のベルト電極アセンブリを使用することができる。2つ以上のベルト電極アセンブリを使用する場合、ベルト電極アセンブリは、少なくとも内側ベルト電極アセンブリと外側ベルト電極アセンブリを備えることができ、内側ベルト電極アセンブリは、内側電場定義電極システムに最近接して位置し、外側ベルト電極アセンブリは、内側ベルト電極アセンブリよりも大きい直径を有し、内側ベルト電極アセンブリの外側に位置する。少なくとも1つのベルト電極アセンブリ(外側ベルト電極アセンブリ)を、ビームの飛行経路の外側(すなわち、より大きい分析器軸からの距離)に位置させることができ、および/または少なくとも1つのベルト電極アセンブリ(内側ベルト電極アセンブリ)を、ビームの飛行経路の内側(すなわち、より小さい分析器軸から距離)に位置させることができる。好ましくは、外側と内側の電場定義電極システム間の分析器内部に好ましくは配置された少なくとも2つのベルト電極アセンブリが存在し、ベルト電極アセンブリは飛行経路の各側にある。いくつかの実施形態では、内側および外側電場定義電極システムは、平面z=一定で、円形断面を有さない。これらの場合には、好ましくは、1つまたは複数のベルト電極アセンブリも、平面z=一定では円形断面を有さず、内側および外側電場定義電極システムの断面形状に合致するような断面形状を有する。
ベルト電極アセンブリは、例えば導電性材料からなることがあり、または導電性ラインを有するプリント回路板を備えることがある。他の設計も想定することができる。分析器の構成で使用されるプリント回路板材料など任意の絶縁材料に、静電気防止コーティングを施して、電荷の蓄積を妨げることができる。
いくつかの好ましい実施形態では、1つまたは複数の円弧集束レンズは、内側および外側電場定義電極システムの一方、またはより好ましくは両方の表面によって支持することができ、すなわちベルト電極アセンブリを必要としない。そのような場合には、円弧集束レンズは、当然、電場定義電極システムから電気絶縁される。そのような場合、ビームに面する円弧集束レンズの表面は、それらを支持する電場定義電極システムの表面と面一でよい。
適切なサイズの、好ましくはベルト電極アセンブリによって支持される円弧集束レンズは、好ましくは、ビームがz=0平面を通るたびにビームがレンズ(すなわち少なくとも1つのレンズ)を通過するように位置決めされる。これは、ここでは、z=0平面からオフセットされた、しかしz=0平面の近くの平面上にレンズが位置される場合を含む。しかし、他の実施形態では、ビームは、z=0平面を通過するときに毎回ではなく、ある間隔でレンズを通過する。これらの間隔は、規則的でも不規則でもよい。円弧集束レンズは、主に円弧方向で、または円弧方向のみで集束する非点収差レンズでよく、または無収差レンズでもよい。無収差集束は、いくつかの好ましい実施形態では必要ない。なぜなら、電位、例えば四重極対数ポテンシャルの性質により、ビームがr方向で閉じ込められるからであり、半径方向での強い閉じ込めは、ビーム周回が円形であるときに得られる。しかし、無収差レンズは、ビーム周回が実質的に円形でない実施形態に関して使用することができ、かつ望ましいことがある。レンズは、好ましくは、円弧方向での集束をもたらす非点収差レンズであり、そのような非点収差集束を生成する任意の形態のものでよい。本明細書において、以下、好ましい形態のレンズを説明する。
荷電粒子が分析器を通って飛行するときに荷電粒子の多重反射、特に多数回の多重反射を行うために、円弧集束レンズの使用によって本発明の分析器をより効率的に使用できるようになる。電磁場の主パラメータを選択することによって、荷電粒子のビームが所定の位置でz=0平面を通過するように角度(円弧)および軸方向振動周波数を選択することができ、レンズは、これらの位置でビームに対する集束作用を生み出すように配置される。本発明の多重反射分析器は、無制限の質量範囲を有する長い飛行経路を可能にする。しかし、他の実施形態において、より高い質量分解能が必要とされる場合、同じ飛行経路の複数回の通行を行うことができ、しかし質量範囲は制限される。
ビームは、z=0平面を交差するたびに、円弧集束レンズを通過して、円弧方向でのビーム拡がりの最適な減少を実現することが好ましく、このとき円弧集束レンズは、ビームがz=0に交差する場所またはその近くに位置されることが好ましい(すなわち、円弧集束レンズは、本明細書で説明したいくつかの好ましい実施形態と同様に、z=0平面からわずかにオフセットさせることができる)。したがって、これは、ビームが、z=0平面を通るたびに実際にz=0平面上で円弧レンズを通過することは必ずしも意味せず、レンズをz=0からオフセットさせることができ、しかしz=0を通る各通行ごとにビームがレンズを通過する。この文脈で、「ビームがz=0平面に交差するたびに」とは、ビームがz=0平面(すなわち入射点の近く)に初めて交差するときを除外することがあり、また、ビームがz=0平面(すなわち出射または検出点の近く)に最後に交差するときも除外することがある。しかし、ビームが、z=0平面に交差するたびに円弧集束レンズを通過するのでなく、z=0平面に交差する回数よりも少ない回数(例えばビームがz=0平面に交差したときに1回おきに)だけ円弧集束レンズを通過することも可能である。したがって、任意の数の円弧集束レンズが想定される。
円弧方向で集束を行うことができる任意の適切なタイプのレンズを、円弧集束レンズに関して利用することができる。以下、様々なタイプの円弧集束レンズをさらに説明する。
円弧集束レンズの1つの好ましい実施形態は、1対の対向するレンズ電極(好ましくは円形または滑らかな弧状のレンズ電極、すなわち滑らかな弧状の縁部を有する電極)を備える。対向するレンズ電極は、実質的に同じサイズでも異なるサイズでもよく、例えば、各レンズ電極が位置される分析器軸からの距離に応じて縮尺を合わされたサイズでもよい。対向するレンズ電極は、通常の場合(すなわちレンズ電極がそこにない場合)のレンズ電極近傍の電位とは異なる電位を印加される。好ましい実施形態では、対向するレンズ電極に異なる電位が印加され、荷電粒子のビームが1対の対向するレンズ電極の間を通り、これらの電極は、バイアスされたときに、ビームを横切る円弧方向でビームを集束させ、ここでレンズ電極は、ビームを挟んで半径方向で互いに対向している。上述したようにレンズがベルト電極アセンブリ内に支持される場合、好ましくは、対向するレンズ電極は、それらを支持するベルト電極アセンブリの輪郭に従う。
分析器軸の周りでの周回粒子運動を採用する様々なタイプの対向するミラー分析器に円弧集束を適用することができ、分析器軸の方向に向けられた対向する線形の電場に限定されない。好ましくは、円弧集束は、分析器軸の方向に向けられた対向する線形電場を有する分析器で行われる。好ましい実施形態では、円弧集束は、四重極対数ポテンシャルを利用する分析器で採用される。
いくつかの実施形態では、本発明は、分析器内部の飛行経路を倍増させることができ、飛行経路が、実質的に同じ経路を複数回辿らず、それにより質量範囲に対する制限がなんら課されない。これは、ビームが各円弧集束レンズを2回通過し、しかしその際に異なる経路を辿るように、分析器の2つのミラーでの飛行経路を違えることによって実現される。ビームは、z軸の周りで第1の角度の周回を経るとともに第1のミラーを通って進み、また、第2の角度の周回運動を受けるとともに第2のミラーを通って進み、第1の角度の周回運動は第2の角度の周回運動とは異なる。第1の角度の周回運動は、πラジアンの整数倍(a1=π*n;ここで、n=1、2、3、・・・)とオフセットδの和または差でよく、δは、典型的には0よりも大きくπラジアン未満であり、一方、第2の角度の周回運動はπラジアンの整数倍である。ビームがあらゆる反射の後に円弧レンズを通過する場合、オフセットδは、円弧方向でのレンズの間隔の整数倍となるように設定され、例えばビームがその開始点に到達するまでにビームの36回の全振動がある場合には、円弧レンズ間隔は10°でよい。あるいは、ビームがあらゆる反射後に円弧レンズを通過するわけではない場合、オフセットδは、円弧方向でのレンズの間隔の分数になるように選択される。円弧レンズを含まない実施形態では、オフセットδは、典型的には0よりも大きくπ未満の任意の値でよい。ビームの重なり合いを防止するために、δを円弧方向でのビーム幅よりも大きくすべきである。
例えば、第1のミラーで反射した後、荷電粒子は、2.05πラジアンだけ分析器軸の周りを周回して分析器の赤道(z=0)に到達し、したがって反射前のそれらの位置に対して0.05πだけシフトする。第2のミラーで反射した後、荷電粒子は、2πラジアンだけ、分析器軸の周りを周回して分析器の赤道に到達し、これにより、荷電粒子は反射前の元の位置に来るが、異なる方向の円弧速度である。したがって、荷電粒子を、前の位置に戻して、同じ円弧集束レンズ内に返すことができ、それによりレンズを2回利用する。それに続く第1のミラーでの反射により、荷電粒子は、分析器軸の周りで再び2.05πラジアンだけ周回し、例えば次の円弧集束レンズに導かれる。これにより、各ミラーを、ビームを反射する回数の2倍の回数利用できるようになる。さらに、各円弧集束レンズを、ビームを集束する回数の2倍の回数利用できるようになる。これは、同じ厳しい公差の構成要素が複数回使用され、同数の構成要素、同じコスト、同じ構成の単純性、およびほぼ同じサイズの分析器に関して飛行経路がより長くなるという利点をもたらす。
いくつかの実施形態では、分析器の2つのミラーは、それらの物理的特性(例えばサイズおよび/または形状)、またはそれらの電気的特性、またはそれら両方の点で異なるが、好ましくはz=0平面の近くで、好ましくはz=0平面で当接し、そこでは、既に述べたように軸方向電場が最小であり、時間集束を乱す収差が最小限である。好ましくは、分析器の2つのミラーは、それらの物理的特性(例えばサイズおよび/または形状)が異なる。一実施形態では、2つのミラーの対応する内側および/または外側電場定義電極システムの形状は、それらがz=0平面で対称でないように異なっている。そのような実施形態では、電極システムは、z=0平面にわたって連続的でよく、または不連続でもよい。この文脈での用語「当接」は、ミラーが物理的に触れ合うことは必ずしも意味せず、互いに隣接して近くに位置していてもよい。
あるいは、またはさらに、他の実施形態では、好ましくは円弧集束レンズを支持する1つまたは複数のベルト電極アセンブリは、z=0平面上に中心を合わされていない位置、すなわち赤道上ではなく、そこからオフセットされた位置に位置させることができる。これらの実施形態では、一方のミラー内部の飛行経路が他方のミラー内部の飛行経路とは異なり、それによりビームが各円弧集束レンズを2回通過する。同一のミラーが対向されている実施形態では、円弧集束レンズがz=0平面から一方のミラーの変向点に向けてずらされているので、一方のミラーでの変向点と円弧集束レンズとの間の距離が、他方のミラーでの変向点と円弧集束レンズの間の距離とは異なる。今述べたように円弧レンズが変位されている実施形態を、オフセットレンズ実施形態と呼ぶ。
さらなる実施形態では、一方のミラーの長手方向(z)長さが他方のミラーよりも短くてよく、一方のミラーでの変向点から、円弧レンズが位置される平面z=0まで距離を、他方のミラーでの対応する距離よりも短くし、またビームに各円弧集束レンズを2回通過させる。
さらなる実施形態では、各ミラーの対応する内側および/または外側電場定義電極システムに異なる電位を印加することができ、ミラー自体は構造上、対称である。あるいは、対向するミラーの構造は対称でないこともある。例えば、第1のミラーは、ただ1つの内側電極とただ1つの外側電極を備えることがあり、それぞれ1つのミラーの内側および外側電場定義電極システムを形成し、一方、第2のミラーは、内側電場定義電極システムを形成する1組のディスク電極と、第2のミラーの外側電場定義電極システムを形成する1組のリング電極とを備えることができる。第1の主飛行経路長を与える1つの動作モードで、1つまたは複数の電圧の適切な組が2つのミラーの電極に印加され、それによりビームは、2つのミラーそれぞれで同じ角度の周回を経て、各反射後に異なる円弧レンズを通過する。第1の飛行経路長の距離のほぼ2倍の第2の飛行経路長を与える本発明を採用する第2の動作モードでは、第2の異なる組の電位が一方のミラーの電極に印加され、それにより一方のミラーでの周回の角度は、他方のミラーでの周回の角度とは異なり、それによりビームに同じ円弧レンズを2回通過させる。したがって、ミラーの構造と印加される電位とがどちらも非対称でよい。
非対称ミラー領域を生成するために物理的特性(例えばサイズおよび/または形状)、電気特性、またはそれら両方が異なる対向するミラーを採用する分析器を、ここでは「非対称ミラーを有する」と表す。上述したことから、これらの実施形態で共通なのは、分析器内部での対向する電場の非対称性であることが理解されよう。
非対称ミラーとオフセットレンズ機能との組合せを備える分析器も、本発明を実施するために使用することができる。
(本発明の)非対称ミラーおよび/またはオフセットレンズ実施形態は、分析器軸の周りでの周回粒子運動を採用する様々なタイプの対向ミラー分析器に適用することができ、分析器軸の方向に向けられた対向する線形電場に限定されない。好ましくは、非対称ミラーおよび/またはオフセットレンズ実施形態は、分析器軸の方向に向けられた対向する線形電場を有する分析器で利用される。好ましい実施形態では、(本発明の)非対称ミラーおよび/またはオフセットレンズ実施形態は、四重極対数ポテンシャルを利用する分析器で採用される。
本発明では、分析器へのイオンの入射は、好ましくは、デバイス内部で最小の軸方向電場の平面(すなわちz=0平面)の近くに入射器を位置させることによって実現され、そこでは、既に述べたように軸方向電場は最小であり、時間集束を乱す収差が最小限である。しかし、他の入射位置も想定され、説明される。本明細書における用語「入射器」は、本明細書で説明するように、任意選択で外部および/または内部入射軌道を通して、分析器(例えば、1つまたは複数のパルスイオン源、直交加速器、イオントラップなどと、任意の関連するビーム偏向器や電気セクタなど)を通る主飛行経路上に荷電粒子を入射するための1つまたは複数の構成要素を意味する。いくつかの実施形態では、荷電粒子のパルス源を使用して、粒子が外部および/または内部入射軌道に沿って主飛行経路に進むときに、ある度合のTOF分離を使用することによってイオンの初期パケット内部の質量範囲を選択することができる。
本明細書で使用される用語「内部入射軌道」は、分析器体積内部、および分析器を通る主飛行経路の前での入射時の軌道を表す。したがって、入射軌道は、ビームが分析器体積に入る場所から始まる。いくつかの実施形態では、例えば粒子が分析器体積外部から主飛行経路上に直接入射される場合に、粒子に関する内部入射軌道が実質的にないことがある。前述したように、主飛行経路は、好ましくは、2つの対向するミラーの間に反射型の飛行経路を備える。2つの対向するミラー間のビームの主飛行経路は、半径方向で、内側と外側の電場定義電極システムの間、すなわち分析器体積内に位置する。また、追加の電極が、1つまたは複数の内側および外側電場定義電極システムを形成することもあり、ここでそれらの機能は、主分析器場を生成すること、または主分析器場の歪を抑えることである。例えば、電極トラックのアレイ、抵抗性コーティング、または主分析器場の歪を抑えるための他の電極を、外側電場定義電極システムの構造の一部として使用することができ、これは例えば、さらに説明するように、外側ベルト電極アセンブリを支持することができるように電極システムが赤道の近くで狭窄している場合である。そのような場合、電極トラックのアレイ、抵抗性コーティング、または他の電極手段は、それらが関係するミラーの外側または内側電場定義電極システムの一部を成す。
使用時、2つの対向するミラーが、荷電粒子が取る主飛行経路を定義する。分析器内部でのその飛行経路に沿ったビームの好ましい運動は、内側電場定義電極システムの周りでの螺旋運動である。ビームは、分析器を通る主飛行経路に沿って、長手方向軸の方向で螺旋経路で前後に飛行し、この螺旋経路は、z=0平面内で長手方向軸の周り(すなわち円弧方向)を移動する。主飛行経路は、主に主分析器場の影響下にあるときに荷電粒子が辿る安定な軌道である。この文脈で、「安定な軌道」とは、衝突または焦点ずれによるエネルギー消散に起因するビームの損失がないと仮定して、(例えば偏向による)妨害がない場合に粒子が無限に辿る軌道を意味する。好ましくは、安定な軌道は、イオンの初期パラメータの小さな偏差により、軌道の全長にわたって分析器サイズに対するビーム拡がりが小さいままになるようにイオンビームが辿る軌道である。対照的に、不安定な軌道とは、衝突または焦点ずれによるエネルギー消散に起因するビームの損失がないと仮定して、妨害されない場合に無制限には粒子が辿らない軌道である。したがって、主飛行経路は、半径が徐々に減少または増加する飛行経路を備えない。しかし、主飛行経路は、半径方向で振動する経路、例えば分析器軸に沿って見たときに楕円形の軌道を備えることができる。主分析器場は、各ミラーの内側および外側電場定義電極システムが第1の組の1つまたは複数の電圧を与えられるときに生成される。本明細書での用語「第1の組の1つまたは複数の電圧」は、電圧の組が時間的に最初に印加されることは意味せず(時間的に最初でも、最初でなくてもよい)、単に、荷電粒子が主飛行経路を辿るように内側および外側電場定義電極システムに与えられる電圧の組を表す。主飛行経路は、分析器を通る粒子の飛行中に、粒子が大半の時間を費やす経路である。
本明細書で説明するように、いくつかの好ましい実施形態では、内部入射軌道と主飛行経路の間の移行時に、z方向でのイオンの速度成分を変化させるために、イオンを半径方向rで偏向する必要がある。この偏向は、典型的には、ビーム中の粒子の時間的焦点面を傾ける。この収差は、分析器からのビームの出口で、および/または検出器で、簡単には修正することができない。そうではなく、この傾きは即座に修正されることが好ましい。したがって、いくつかの好ましい実施形態では、イオン源および/または入射器が、z=0平面などzが一定の平面(すなわちz軸に垂直な平面)に対して傾けられ、それにより、内部入射軌道から主飛行経路を進行し始めたときの偏向後、時間的焦点面はz軸に垂直に、すなわちz=0平面に平行になる。入射中、ビームの半径が比較的小さいので、この傾きの影響は典型的にはそれほど大きくなく、いくつかの実施形態では修正が必要ないこともある。同様に、主飛行経路から内部出射軌道への出射中、時間的焦点面は、典型的には、主飛行経路上の偏向器によって、zが一定の平面に対して傾けられる。この場合、例えば、検出器が次いで、好ましくは、傾けられた時間的焦点面の傾きに合致するように適切な角度に傾けられ、すなわちそれにより検出器面と時間的焦点面が実質的に同じ位置にされる。
好ましい実施形態では、イオン源から分析器体積までビームが取る経路は、典型的にはより高圧のイオン源から分析器体積への望ましくないガス装填を回避するために、直線の視線を含まない。その代わりに、イオン源から分析器体積までビームが取る経路は、分析器体積内へのガス装填を減少するために、(例えばねじれや曲げなどを提供するために)少なくとも1回の偏向を含む。したがって、外部入射軌道は、好ましくは、ビームの少なくとも1回の偏向を含む。本発明に適用可能な1つの入射方法では、荷電粒子は、分析器体積の外部から内部入射軌道上に入射され、内部入射軌道は分析器体積の内部にあり、そこから主飛行経路上の点まで延びる。いくつかの実施形態では、主分析器場がない状態でビームが内部入射軌道の少なくとも一部分を渡って進む。主分析器場は以下のことによってなくすことができる。(i)主分析器場から内部入射軌道を遮蔽すること、(ii)イオンが内部入射軌道上にあるときに、主分析器場とは異なる分析器内部での分析器電場(ゼロ強度の電磁場でもよい)を生成するために、主分析器場を生成する第1の組の1つまたは複数の電圧とは異なる組の1つまたは複数の電圧(この異なる組の1つまたは複数の電圧はゼロ電位の電圧を含むことがある)を電場定義電極システムに与えること、または(iii)(i)と(ii)の両方の組合せ。本明細書で使用される用語「主分析器場」は、内部で主飛行経路に沿って荷電粒子が移動する、または移動することになる電場定義電極システムに印加される1つまたは複数の電圧の組によって、分析器内部で生成される電磁場を表す。このタイプの入射方法では、好ましくはすべての内部入射軌道が、主分析器場がない状態にされる。
分析器内部に存在する他の電磁場、例えば1つまたは複数の円弧集束レンズによって生成される電磁場は、入射プロセス中に残っていてよく、またはオフにされることもある。
内部入射軌道に沿った主分析器場がないいくつかの実施形態では、荷電粒子は、主分析器場がない状態にされた内部入射軌道の部分に沿って実質的に直線状に移動できるようになる。そのようなタイプの入射の他の実施形態では、分析器内に存在する残留電磁場により、内部入射軌道が直線経路から逸脱することがあるが、好ましくは内部入射軌道は実質的に直線状である。残留電磁場は、1つまたは複数の円弧レンズ、追加のビーム偏向器、または他のイオン光学デバイスによって生成された電磁場、および主分析器場を生成するようには設定されていないミラー内側および外側電場定義電極システムに印加された電位による任意の電磁場を含むことがある。1つの好ましい実施形態では、内部入射軌道は、外側ベルト電極アセンブリの存在によって主分析器場から完全に遮蔽され、ミラーの内側および外側電場定義電極システムに印加される電位は、好ましくは分析器内部の他の場所で分析器場を生成するようなものであり、内部入射軌道は実質的に直線状である。
内部入射軌道が主飛行経路に到達する点Pに到達するまたは近付くと、荷電粒子は、主分析器場を受ける。例えば、主分析器が内部入射軌道に関してオフにされているいくつかの実施形態では、主分析器場は、荷電粒子が点Pに到達したときにオンにすることができる。
荷電粒子は、点Pまたはその近くで荷電粒子デバイスによって偏向および/または加速させることができる。いくつかの実施形態では、荷電粒子は点Pに到達し、偏向または加速を必要とせずに主飛行経路上を進行し始めるような方向に進む。他の実施形態では、荷電粒子偏向器は、ビームが主飛行経路を進行し始めるようにビーム方向を変えるために使用される。本明細書で使用するとき、用語「荷電粒子偏向器」は、ビームを偏向し、例えばプレート電極、電気セクタ、ロッドおよびワイヤ電極、メッシュ電極、ならびに磁気偏向器の対を含む任意のデバイスを表す。電気偏向器が使用されることが好ましい。最も好ましくは、好ましいビーム光学特性およびコンパクトなサイズにより、ビームの各側に1つずつ1対の電気偏向プレート、または電気セクタが使用される。ビームは、好ましくは、主飛行経路上に入射されるときに偏向器によって偏向され、より好ましくは、電気セクタまたはミラーによって偏向され、ここで、偏向器(好ましくはセクタまたはミラー)の出口アパーチャは主飛行経路上にある。
ビームは、偏向されても偏向されなくてもよいが、好ましくは偏向され、この偏向は、z方向、半径r方向、および円弧方向の1つまたは複数でよい。荷電粒子の偏向は、z軸方向での速度を変えて、その方向で速度を増加または減少するようなものでよい。「z軸方向での速度」とは、z軸方向での粒子の速度成分を意味する。z軸方向での速度の増加は、荷電粒子が主飛行経路に入る最初のミラーに向かうz軸方向での速度の増加を意味する。z軸方向での速度の減少は、荷電粒子が主飛行経路に入る最初のミラーに向かうz軸方向での速度の減少を意味する。いくつかの好ましい実施形態では、ビームは、好ましくは点Pで少なくともz方向で偏向される。いくつかの実施形態では、荷電粒子は、さらなる半径方向偏向なしで、主飛行経路上を進行し始めるのに適切な半径方向速度で点Pに到達する。しかし、いくつかの好ましい実施形態では、荷電粒子が主飛行経路を進行し始めるように、荷電粒子を半径方向rで偏向させることができる。ビームは、好ましくは、少なくとも半径方向rで偏向され、そこで主飛行経路を進行し始め、例えば内部入射軌道は、主飛行経路とは異なるz方向からの半径方向距離(半径)で始まる。いくつかのより好ましい実施形態では、ビームは、好ましくは点Pで少なくとも半径方向rおよびz方向で偏向され、すなわち任意選択で、点Pで円弧方向でも偏向される。荷電粒子の偏向は、好ましくは、それらの円弧方向での速度を変えるようなものである。「円弧方向での速度」とは、円弧方向での粒子の速度成分を意味する。本明細書で使用されるとき、用語「荷電粒子加速器」は、荷電粒子の速度を変える、または速度を増減する合計の運動エネルギーを変える任意のデバイスを表す。荷電粒子加速器は、任意の方向で粒子の速度を変えるために使用することができる。偏向器または加速電極は、荷電粒子のビームが到達した時点で通電され、次いでビームが主飛行経路上に入射された後に通電停止することができ、または異なる電圧を印加される。
点Pは、主飛行経路上で分析器内部の任意の場所でよい。1つの好ましい実施形態では、点Pは、z=0平面またはその近くに位置する。別の好ましい実施形態では、点Pは、長手方向z軸に沿った飛行経路の最大軸方向限界またはその近くにある。
荷電粒子は、ミラーの外側電場定義電極システムの一方または両方のアパーチャを通って、またはミラーの内側電場定義電極システムの一方または両方のアパーチャを通って内部流入軌道上へと分析器に入ることができる。入射器は、好ましくは、分析器体積の外部に位置される。したがって、入射器は、ミラーの外側電場定義電極システムの外側(すなわち分析器体積の外部)、またはミラーの内側電場定義電極システムの内側(すなわち分析器体積の外部)に位置させることができる。いくつかの実施形態では、荷電粒子は、内側または外側ベルト電極アセンブリのアパーチャを通過する内部入射軌道上を進むことによって点Pに到達する。ミラーの内側電場定義電極システムの内側に入射器を位置させることで、よりコンパクトな機器となり、しかし整備時に入射器に手が届きにくいという欠点がある。好ましくは、入射器は、ミラーの外側電場定義電極システムの外側に位置される。より好ましくは、さらに説明するように、ビーム偏向器や電気セクタなどを含むことがある入射器または入射器の一部分が、ミラーの外側電場定義電極システムの外側であるが、ミラーの外側電場定義電極システムが取る分析器軸からの最大半径方向限界(すなわち最も広い部分)の距離以内に位置され、これは、好ましくは、ミラーの外側電場定義電極システムの少なくとも一方、好ましくは両方の狭窄部分の外側に隣接して位置させることによって行われる。
荷電粒子を入射するとき、分析器を通る飛行経路の進行開始時に荷電粒子のパケットを好ましくはできるだけ短くすべきであり、このために、好ましくは荷電粒子源を分析器のできるだけ近くに、理想的には分析器内部に位置させる必要がある。分析器に入る前の飛行経路と分析器から出た後の飛行経路の和(分析器の外部の飛行経路)は、理想的にはできるだけ短くすべきであり、またはより重要なことには、異なる質量電荷比の粒子の飛行時間の差ができるだけ小さくなるように、これらの経路を進む荷電粒子の飛行時間をできるだけ短くすべきである。一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分(すなわち直径が減少された部分)の利用により、主飛行経路上での入射器と点Pの間の飛行時間を減少できるようになる。これは、狭窄部分により、外側電場定義電極システムが主飛行経路により近づき、それにより入射器と点Pの間の飛行時間が減少されるからであり、またそれに対応して、入射器を、分析器体積の外部に保ちながら主飛行経路により近付けて位置させることができるからである。さらに、狭窄部分の内側限界を使用して、外側ベルト電極アセンブリを支持することができる。さらに好ましくは、その実施形態における外側ベルト電極アセンブリを使用して、少なくとも1つの円弧集束レンズを支持することができる。したがって、本発明によるすべての入射タイプの好ましい実施形態では、ミラーの少なくとも一方、より好ましくは両方の外側電場定義電極システムが狭窄部分を備える。いくつかの実施形態では、狭窄部分は、z軸の全周に延在する必要はなく、z軸の周りに一部のみ延在することができる。いくつかの好ましい実施形態では、狭窄部分は、z軸の周りに実質的に完全に延在する。好ましくは、狭窄部分は、z=0平面またはその近くに位置される。
入射のいくつかの好ましい実施形態では、内部入射軌道が、主飛行経路とは異なるz軸からの距離(すなわち半径方向距離)にある。主飛行経路とは異なる半径方向距離にある内部入射軌道は、主飛行経路に向かって半径方向内側または半径方向外側に延びることがあるが、好ましくは、主飛行経路に向かって(例えば外側電場定義電極から主飛行経路に向かって)半径方向内側に延びる。内部入射軌道は、実質的に直線状の少なくとも一部分を有することができ、例えば主分析器場の影響がない状態でビームがこの直線部分を渡って進む。いくつかの実施形態では、入射軌道の少なくとも一部分が直線経路から逸脱することがあり、すなわち湾曲しており、例えば主分析器場の影響下で粒子がこの湾曲部分を渡って進む。例えば内部入射軌道の直線状の遮蔽部分が内部入射軌道の曲線部分に移る点は、分析器内部の任意の場所でよい。1つの好ましい実施形態では、その点は、z=0平面またはその近くに位置する。別の好ましい実施形態では、この点は、長手方向z軸に沿って、飛行経路の最大軸方向限界またはその近くにある。
分析器場の影響下で粒子が湾曲した内部入射軌道を渡って進み、この分析器場は、主分析器場でも、異なる分析器場でもよいが、分析器内部での安定な進行のために分析器軸から適切な距離にはない。
いくつかの好ましい実施形態では、主飛行経路とは異なるz軸からの半径方向距離にある内部入射軌道はz軸の周りで螺旋経路を辿り、この螺旋経路は、主飛行経路よりも分析器軸から離れた距離からビームが入射される場合には、分析器軸からの距離が徐々に減少し、または、主飛行経路よりも分析器軸に近い距離からビームが入射される場合には距離が徐々に増加する。螺旋経路は、内側および/または外側電場定義電極システムでの電圧を変えることによって生成することができる。内側および/または外側電場定義電極システムでの電圧が一定に保たれる場合、内部入射軌道は非円形経路を辿る。内部入射軌道の螺旋または非円形経路が、点Pで荷電粒子を主飛行経路に導く。入射時の螺旋または非円形経路は、一方のミラーでの変向点を通過することができる。
点Sで内部入射軌道の螺旋または非円形経路を進行し始めると、荷電粒子は分析器場を受け、これは主分析器場でもそうでなくてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、分析器場は、荷電粒子が点Sに到達するときにオンにされる。荷電粒子は、点Sまたはその近くで荷電粒子デバイスによって偏向および/または加速されることも、そうされないこともある。好ましい実施形態では、荷電粒子は点Sに到達し、偏向または加速を必要とせずに螺旋または非円形経路上を進行し始めるような方向に進む。他の実施形態では、荷電粒子偏向器は、ビームが螺旋または非円形経路を進行し始めるようにビーム方向を変えるために使用される。螺旋または非円形経路の開始時の荷電粒子の偏向は、それらのz軸方向での速度を変えて、その方向での速度を増加または減少するようなものでよい。好ましくは、荷電粒子は、主分析器場がオンにされた状態で点Sに進む。なぜなら、これにより、高い安定性の電源の高速の電気的なスイッチングが必要なくなるからである。好ましくは、荷電粒子は、さらなる半径方向偏向なしで、螺旋または非円形経路上を進行し始めるのに適切な半径方向速度で点Sに到達する。しかし、いくつかの実施形態では、荷電粒子が螺旋または非円形経路を進行し始めるように、荷電粒子を半径方向rで偏向させることができる。点Sでの荷電粒子の偏向は、好ましくは、それらの円弧方向で速度を変えるようなものである。偏向器または加速電極は、荷電粒子のビームが点Sに到達した時点で通電され、次いでビームが螺旋または非円形経路上に入射された後に通電停止することができる。
点Sは、分析器内部の任意の場所でよい。1つの好ましい実施形態では、点Sは、z=0平面またはその近くに位置する。別の好ましい実施形態では、点Sは、長手方向z軸に沿った飛行経路の最大軸方向限界またはその近くにある。
内部入射軌道のすべてまたは一部分に関して螺旋または非円形経路を採用する実施形態では、少なくとも主飛行経路上の点Pに達した後、荷電粒子は主分析器場を受ける。上述したように、荷電粒子は、点Pまたはその近くで荷電粒子デバイスによって偏向および/または加速されることも、そうされないこともある。
いくつかのタイプの好ましい実施形態では、点Pまたはその近くにあるとき、粒子の運動エネルギーが変えられる。これは、例えば主分析器場の影響下で粒子が内部入射軌道を渡って進む場合に使用することができる。運動エネルギーがそのように変えられる実施形態では、荷電粒子は、入射分析器場の存在下で内部入射軌道を渡って進むことができ、この電磁場は、主分析器場と同じでも異なっていてもよい。
荷電粒子は、点Pまたはその近くで荷電粒子偏向器によって偏向されることも、そうされないこともある。1つの好ましい実施形態では、荷電粒子は点Pに到達し、その点で運動エネルギーの変化を受けたときに、偏向を必要とせずに主飛行経路上を進行し始めるような方向に進む。粒子の運動エネルギーの変化は、好ましくは、入射分析器場が主分析器場と同じであるときに採用される。しかしまた、粒子の運動エネルギーの変化は、入射分析器場が主分析器場と異なるときにも採用することができる。他の実施形態では、荷電粒子偏向器は、ビームが主飛行経路を進行し始めるようにビーム方向を変えるために使用される。
好ましくは、荷電粒子は、分析器体積の外部から分析器体積内に入射され、主分析器場の存在下で内部入射軌道に沿って主飛行経路上の点Pに進み(すなわち、主分析器場の影響下で荷電粒子が内部入射軌道を渡って進み)、および/または主分析器場がオンである。この方法では、内部入射軌道が、好ましくは分析器のサイズに比べて非常に短くなる。一実施形態では、この入射方法は、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分を利用して、点Pに到達する前の分析器内部の飛行経路(すなわち内部入射軌道)の長さを短縮することができる。好ましくは、荷電粒子は、狭窄部分のアパーチャを通して分析器体積内に向けられる。いくつかの実施形態では、入射器を分析器体積の外部に位置させることができ、分析器用の荷電粒子は、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分のアパーチャに通すことができ、好ましくは外側ベルト電極アセンブリに隣接して分析器に入る。その場合、ビームは、外側ベルト電極アセンブリのアパーチャを通って内部入射軌道に沿って進行し、主飛行経路上の点Pに向けて短い距離を進む。一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分と外側ベルト電極アセンブリの間の距離は、分析器のサイズに比べて非常に短いことがあり、例えば、真空下で保たれるときに、1つまたは複数の外側電場定義電極システムと外側ベルト電極アセンブリとの電位差を維持するのにちょうど十分な長さである。したがって、好ましくは、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分の内側限界は、外側ベルト電極アセンブリの近位に位置する。また、外側ベルト電極アセンブリと主飛行経路の間の距離は、分析器のサイズに比べて非常に短いことがあり、例えば分析器のz軸長の数パーセント未満である。点Pまたはその近くで、ビームは、主飛行経路上を進行し始めるように偏向される。1つの好ましい実施形態では、前記偏向を行うための偏向器が、外側ベルト電極アセンブリと内側ベルト電極アセンブリの一方または両方に位置されるか、またはそれらの間に位置される。ビームは、ビームの半径方向内側への速度を減少させるように偏向される。好ましい偏向器は、本明細書の他の箇所で説明する。
荷電粒子ビームは、ミラーの外側電場定義電極システムの一方または両方のアパーチャを通して、またはミラーの内側電場定義電極システムの一方または両方のアパーチャを通して分析器体積に入ることができる。入射器は、好ましくは、実質的に分析器体積の外部に位置される。したがって、入射器は、ミラーの外側電場定義電極システムの外側、またはミラーの内側電場定義電極システムの内側に位置させることができる。いくつかの実施形態では、荷電粒子は、内側または外側ベルト電極アセンブリのアパーチャを通過することによって点Pに到達する。好ましくは、入射器は、ミラーの外側電場定義電極システムの外側に位置される。より好ましくは、さらに説明するように、入射器の少なくとも一部分は、外側電場定義電極システムの外側に位置されるが、ミラーの外側電場定義電極システムが取る分析器軸からの最大半径方向限界以内に位置され、これは、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分の外側に隣接して位置させることによって行われる。
別の実施形態では、入射器は、一方または両方のミラーの内側電場定義電極システムの内側で、分析器のz軸上に位置されるか、またはz軸に隣接する。その実施形態では、荷電粒子は、一方または両方のミラーの内側電場定義電極システムのアパーチャを通して入射されて、好ましくは内側ベルト電極アセンブリに隣接して分析器に入る。ビームは、内側ベルト電極アセンブリ(存在するなら)のアパーチャを通って入射軌道に沿って進行し、主飛行経路上の点Pに向けて短い距離を進む。一方または両方のミラーの内側電場定義電極システムと内側ベルト電極アセンブリの間の距離は、分析器のサイズに比べて非常に短いことがあり、例えば、真空下で保たれるときに、1つまたは複数の内側電場定義電極システムと内側ベルト電極アセンブリの間の電位差を維持するのにちょうど十分な長さである。また、内側ベルト電極アセンブリと主飛行経路の間の距離は、分析器のサイズに比べて非常に短いことがあり、例えば分析器のz軸長の数パーセント未満である。点Pまたはその近くで、ビームは、主飛行経路上を進行し始めるように偏向される。1つの好ましい実施形態では、前記偏向を行うための偏向器が、外側ベルト電極アセンブリと内側ベルト電極アセンブリの一方または両方に位置される。ビームは、ビームの半径方向速度の振幅を減少させるように偏向される。
主分析器場の影響下で内部入射軌道に沿ってビームを入射することは、主分析器場を生成する電位のスイッチングが入射時に必要ないという利点を有する。そのようなスイッチングは、その後非常に安定な電力供給となるような高速制御を要求する。なぜなら、高い質量分解能のために、主分析器場は、検出前に荷電粒子が主飛行経路上で費やす期間にわたって高い度合いで安定していなければならないからである。高速スイッチングと、それに続く非常に安定な出力とは、電源によって実現するには技術的に難しい。荷電粒子は、主分析器場の存在下で(分析器のサイズに比べて)短い入射軌道を辿って主飛行経路上の点Pに到達することができ、内部入射軌道が短いので、荷電粒子は主分析器場の作用下で実質的なずれを受けない。例えば、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分によって、および/またはベルト電極アセンブリの存在によって、比較的短い入射軌道が可能にされる。ベルト電極アセンブリは、点Pの領域内で主分析器場を維持し、一方または両方のミラーの外側および/または内側電場定義電極システムが点Pの近傍で主飛行経路に非常に近付くことができるようにし、内部入射軌道の長さを短縮させる。
パルスレーザ脱着、軸方向出射または直交出射を用いたパルス多重極RFトラップ、パルスポールトラップ(pulsed Paul trap)、静電トラップ、および直交加速を含めた、しかしそれらに限定されない様々なタイプの入射器を本発明と共に使用することができる。好ましくは、入射器は、パルス荷電粒子源、典型的にはパルスイオン源、例えば前述したようなパルスイオン源を備える。好ましくは、入射器は、5〜20ns未満の幅のイオンのパケットを提供する。最も好ましくは、入射器は、例えば国際公開第2008/081334号パンフレットに記載されているようなCトラップなどの湾曲トラップである。好ましくは、検出器表面または他の所望の表面で飛行時間焦点が存在する。これを実現する助けとなるように、好ましくは、入射器は、入射器の出口で時間焦点を有する。より好ましくは、入射器は、分析器の主飛行経路の開始時に時間焦点を有する。これは、例えばミラーや電気セクタなど追加の時間集束光学系を使用することによって実現することができる。好ましくは、1つまたは複数のベルト電極アセンブリでの電圧が、時間集束の位置を微調整するために使用される。好ましくは、ベルトでの電圧が、時間集束の位置を微調整するために使用される。
本発明は、ビームからの粒子をTOF分析器から出射する、および/またはそれらの粒子を検出するために提供され、いくつかの好ましい実施形態は、z=0平面内で対称またはほぼ対称でよい四重極対数ポテンシャル分布を分析器内で有し、このタイプの分析器を多重反射デバイスとして使用できるようにし、従来技術設計よりも飛行経路長を増加させる。理想的な状況では、荷電粒子検出器は、好ましくは分析器内部で主飛行経路上に配置される。しかし、多くの今日の検出器は嵩張り、検出器の少なくともいくつかは、主飛行経路の外部(すなわち、主飛行経路よりも遠いまたは近い分析器軸からの距離で)に、さらには以下に説明する理由から電場定義電極システムの外部(すなわち分析器体積の外部)に配置する必要があることがあり、検出器への荷電粒子の出射は、好ましくは出射器、例えば出射電極を、デバイスの内部で最小軸方向(すなわちz方向)電場の平面の近くに、すなわちz=0平面の近くに位置させることによって実現され、そこでは、既に説明したように軸方向電場が最低であり、時間集束を乱す収差が最小限である。ここで、用語「z=0平面の近く」は、z=0平面上も含む。好ましくは、出射器、例えば出射器電極の少なくともいくつかが、内側と外側の電場定義電極システムの間に位置され、より好ましくは、すべての出射器が、内側と外側の電場定義電極システムの間に位置される。好ましくは、出射器の少なくともいくつか、特定の実施形態ではすべての出射器が、主飛行経路に、またはそこに隣接して位置され、より好ましくはz=0平面の近くに位置される。本明細書で使用するとき、用語「出射器」は、主飛行経路から、任意選択で分析器体積の外部に荷電粒子を出射するための任意の1つまたは複数の構成要素であり、例えば出射電極や偏向器などの1つまたは複数である。
好ましくは、検出器の少なくとも一部、より好ましくは検出器全体が、外側電場定義電極システムが取る分析器軸からの最大半径方向距離以内で、主飛行経路よりも分析器軸から離れた距離で、z=0平面の近くに位置される。より好ましくは、検出器の少なくとも一部、より好ましくは検出器全体が、外側電場定義電極システムが取る分析器軸からの最大半径方向距離以内で、しかし分析器軸からのベルト電極アセンブリの半径方向距離(これは主飛行経路よりも分析器軸から離れた半径方向距離にある)よりも外に、さらに好ましくはz=0平面の近くに位置される。ベルト電極アセンブリは、検出器に印加される電位から主飛行経路を遮蔽する助けとなることがある。検出器の少なくとも一部、より好ましくは検出器全体が、外側電場定義電極システムが取る分析器軸からの最大半径方向距離以内に位置される実施形態では、本明細書で説明するように、検出器の少なくとも一部、より好ましくは検出器全体を、分析器体積の外部に、好ましくは一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分の外側に隣接して位置させることができる。検出器の前に、好ましくは後段加速電極があり、荷電粒子のエネルギーを高め、それにより2次電子放出の効率を高める。
式(3)によって記述した電位分布を有するもの、特に四重極対数ポテンシャルを有するものなど、本発明のいくつかの実施形態の分析器の特徴は、分析器に導入され、平面z=a上に飛行時間集束される荷電粒子のパケットが、z軸に沿ったn回の振動後に時間焦点に来ることであり、z=a(−1)nである。イオンがz=0平面またはその近くで本発明の分析器に入射される場合、時間焦点もz=0またはその近くにあり、したがって、最良の時間焦点で検出器上にイオンを向けるためにこの平面の近くで出射を行うべきである。したがって、そのような実施形態では、任意の出射器、例えば出射器電極は、好ましくはz=0平面の近くに位置すべきである。
分析器体積内でz方向での放物型ポテンシャル分布(すなわち線形電磁場)を有する実施形態では、平面z=a(−1)nは、理想的な検出器位置を形成するだけでなく、理想的な検出面も形成する。なぜなら、これは、エネルギーのみに依存するz軸方向での調和運動だからである。しかし、高感度であり、好ましくは単一イオン計数検出機能を備える荷電粒子検出器は電場を利用する。さらに、いくつかの好ましい検出器は、変換ダイノードを使用して、検出プロセスの初期段階としてイオンを電子に変換する。当技術分野でよく知られているように、検出用のイオンビームは、典型的には、変換プロセスの効率を高めるためにこの変換段階の直前に高いエネルギーに加速される。これは高質量イオンの検出に特に重要である。これらの高エネルギーへの後段加速も、好ましくは電場を使用して達成される。後段加速および検出プロセスで使用されるそのような電場の存在は、遮蔽されていない分析器体積内部に検出器システムが配置された場合、分析器内部の例えば四重極対数の電位分布を著しく擾乱する。1つの好ましい実施形態では、検出器を分析器体積の外部に位置し、イオンを検出用の分析器体積の外に出射することが好ましい。そのような実施形態では、検出器は、外側電場定義電極システムの外側またはミラーの内側電場定義電極システムの内側に位置させることができ、より好ましくは外側電場定義電極システムの外側に位置させることができる。一実施形態では、本発明の解決策は、検出器用の後段加速電極、および検出器を、電場定義電極システムの内部ではなく外部に隣接して(すなわち、外側電場定義電極システムの外側、したがって分析器体積の外部に)位置させて、検出用の分析器体積の外にイオンを出射することである。別の実施形態では、後段加速電極および/または検出器からの電磁場侵入を減少させるために遮蔽を使用して、ミラー内部の電磁場を過度に歪ませないようにし、検出システムの少なくとも一部が分析器内部のイオンの主飛行経路からずらして位置される。検出器および/または後段加速電極は、好ましくは、それらの電磁場侵入、および主飛行経路に対する影響を低減するために、主飛行経路からずらして位置されて、より好ましくは分析器体積の外部に位置される。
この手法のさらなる利点は、後段加速電極および検出システムが有限サイズであることを考慮することで得られる。本発明の分析器を通過するビーム内のパケットの列は、分析器内部を通り、その主飛行経路中に妨げられることなく検出器に到達しなければならない。例えば、出射電極は、分析器を通る最後の通行でのみパケット列に作用し、より前の通行では列の各部を擾乱しないように分析器内部に組み込まれるように、より容易に設計することができる。これは、後段加速電極および検出器が主飛行経路上で分析器内に組み込まれた場合には、実現するのがより難しくなる。
しかし、理想的な検出面は分析器の内部にあるので、分析器体積の外部に検出器を位置させることは、分析器体積内部の電磁場擾乱を防止するという利点を有するものの、検出器があまりに遠くに位置された場合にはシステムの時間集束特性を悪化させる傾向があるという潜在的な問題を有する。同様の潜在的な問題は、荷電粒子を入射するときにある。なぜなら、イオンのパケットは、分析器を通る飛行経路を進行し始める際にできるだけ短くすべきであり、このために、分析器のできるだけ近くにパルス源を位置させる必要があるからである。分析器体積に入る前の飛行経路と分析器体積から出た後の飛行経路との組合せ(分析器体積の外部の飛行経路)は、理想的にはできるだけ短くすべきであり、またはより重要なことには、異なる質量電荷比の粒子の飛行時間の差ができるだけ小さくなるように、これらの経路を進む荷電粒子の飛行時間をできるだけ短くすべきである。また、分析器体積から粒子を出射する作用が、時間焦点面の角度、場合によってはその平坦性を変えることもあり、検出器を設計して位置決めするときにその効果を考慮しなければならない。
分析器の外部での飛行時間に伴う潜在的な問題を緩和するために、荷電粒子入射器、任意選択の後段加速電極、および検出器の1つまたは複数(好ましくはこれらすべて)を、分析器体積内部の主飛行経路が取る分析器軸からの半径方向距離のすぐ外側に位置させることができ、これらの構成要素の1つまたは複数(好ましくはすべて)が、分析器の外側電場定義電極システムが取る分析器軸からの最大半径方向距離以内にある。これは、入射器と主飛行経路の間、および主飛行経路と検出器の間の飛行経路を短縮させる。これは、さらに説明するように、ビームが分析器体積内に入射され、かつ分析器体積から出射される点の近傍で、一方のミラーまたは好ましくは両方のミラーの外側電場定義電極システムの一部分を狭窄し、入射器、任意選択の後段加速電極、および/または検出器を、外側電場定義電極システムのすぐ外側で(すなわち分析器体積の外部で)狭窄部分に隣接して位置させることによって実現される。次いで、ビームは、外側電場定義電極システムの狭窄部分のアパーチャを通して入射および/または出射される。一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分の存在は、分析器体積のすぐ外部の位置から主飛行経路までの距離を短縮し、入射器、後段加速電極、および/または検出器構成要素を、主飛行経路に非常に近接して位置決めできるようにし、好ましくは外側電場定義電極システムが取る分析器軸からの最大半径方向距離以内に位置決めできるようにする。また、本明細書で説明するように、円弧集束レンズを支持するためにベルト電極アセンブリを組み込むこともできる(これが好ましい)。したがって、好ましくは、荷電粒子入射器、後段加速電極、および検出器の1つまたは複数(好ましくはすべて)が、外側電場定義電極システムが取る分析器軸からの最大半径方向距離以内に、かつ飛行経路よりも分析器軸から離れた距離にあるベルト電極アセンブリが取る分析器軸からの距離の外に位置決めされる。さらに好ましくは、荷電粒子入射器、後段加速電極、および検出器の1つまたは複数(好ましくはすべて)が、|z|<<|zs|平面に位置決めされ、ここでzsは、z軸に沿ったイオンの変向点である。より好ましくは、荷電粒子入射器、後段加速電極、および検出器の1つまたは複数(好ましくはすべて)が、z=0平面またはその近くに位置決めされる。
固定構造および/または時間依存電磁場を出射のために使用することができる。例えば、偏向システムを内部に有することがある固定構造にビームが入ることができるようにすることによって、荷電粒子を主飛行経路から向ける(出射する)ことができる。一般に、この構造は、内部および/または外部出射軌道に沿って延在し、好ましくは、外側に電磁場維持電極を含み、内側に等電位面を含む。別の実施形態では、ビームは、後段加速電極(すなわち、出射器(例えば偏向器)が後段加速電極を備える)を使用して主飛行経路からずれるように加速され、例えばそれによりビームは、加速の直前に取っていた経路に対して実質的に接線方向の経路を辿る。さらなる実施形態では、非加速出射(例えば偏向)と加速の組合せを使用することもできる。すべてのこれらの場合において、次いで、ビームは、好ましくはz=0平面の近くに配置された、より好ましくはz=0平面上に配置された変換ダイノードに当たることができる。有利には、これらの構成において、主飛行経路から変換ダイノードへの飛行経路長は非常に短く、ビーム加速を利用するより好ましい実施形態では、この経路に沿った飛行時間は特に短く、時間焦点を改良する。あるいは、他の実施形態では、偏向および/または加速により、ビームは外側ビーム電極アセンブリのアパーチャを通過し(すなわち、飛行経路よりも分析器軸から離れた距離に位置されたベルト電極アセンブリ)、かつ一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムのさらなるアパーチャを通過し、外側電場定義電極システムの外側に検出システムが位置されており、検出システムは変換ダイノードおよび電子増倍管を備えることがある。これは、主飛行経路の領域内で空間があまり占有されないという利点があるが、主飛行経路と検出器システムの間の飛行経路がより長いという欠点もある。主飛行経路と検出器システムの間のこの飛行経路は、本明細書の他の箇所で説明するように、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分を使用することによって実質的に減少させることができる。
出射器(例えば偏向器)または後段加速電極が通電されない場合、ビームはもう一度、主飛行経路を辿り始めて、高い質量分解能を有する閉経路TOFを提供する。閉じた経路上でのパケットの列の重なり合いを防止するために、出射器(例えば偏向器)または後段加速電極は、質量範囲の一部分を分析器の外に出射するように、ある期間にわたって通電することができる。任意選択で、出射される部分は、第1の質量分解能で検出することができ、またはさらに処理することができ、一方、質量範囲の残りの部分は引き続き主飛行経路上にあり、後で、第2のより高い質量分解能で検出器に出射されるか、またはさらに処理される。あるいは、最初の出射部分を廃棄することもできる。必要に応じて、任意の数のそのような部分に、すなわち2つ以上の部分にビームを分割することができることを理解されたい。
さらなる出射構成では、荷電粒子は、はじめに、この文脈では第1の主飛行経路と呼ぶ主飛行経路から(例えば偏向器によって、または加速電極によって)出射(例えば偏向)され、それによりビームは、より大きなまたはより小さな分析器軸zからの半径距離での第2の主飛行経路に移動する。この第2の飛行経路は、好ましくはまた、分析器内部の安定な経路である。この第2の主飛行経路上のある点で、ビームは好ましくは検出器に当たり、または任意選択でさらなる出射器(例えば偏向器)、およびそれに続く検出器に当たり、これは後段加速電極を含むことがある。
第2の主飛行経路が安定である場合、ビームは、第2の主飛行経路上でもう一度分析器を渡って進むことがあり、それにより、合計の飛行経路を実質的に増加し、いくつかの実施形態では、分析器を通る飛行経路長を少なくとも倍増できるようにし、それにより、閉経路TOFに伴う質量範囲の損失なく、TOF分離の分解能を高める。例えば第2の主飛行経路上にビームを集束するために追加の円弧レンズを支持するために、1つまたは複数の追加のベルト電極アセンブリを提供することができる。追加のベルト電極アセンブリは、例えば機械的な構造を介して、第1の主飛行経路用に存在するベルト電極アセンブリを支持することがあり、またはそれによって支持されることがある。任意選択で、そのような追加のベルト電極アセンブリには、それらが分析器内の他の点での電磁場を歪めるのを防止する電場定義要素を設けることができる。そのような要素は、抵抗性コーティング、抵抗性分周器を備えるプリント回路板、および当技術分野で知られている他の手段でよい。任意選択で、望みであれば、例えば第2の主飛行経路から第3の主飛行経路に出射するなどして、第2の主飛行経路に加えて同じ原理を適用して第3以下の主飛行経路を提供することができる。任意選択で、第2の主飛行経路を渡って進んだ後、第1の主飛行経路に戻るようにビームを出射することができ、例えば閉経路TOFを始める。
荷電粒子を、主飛行経路上の点Eから内部出射軌道上に出射することができ、内部出射軌道は分析器体積の内部にある。
いくつかの実施形態では、主分析器場の影響がない状態でビームが内部出射軌道の少なくとも一部分を渡って進む。主分析器場は以下のことによってなくすことができる。(i)主分析器場から内部出射軌道を取り囲む体積を遮蔽し、遮蔽された体積の内部の電磁場を局所的に変えること、または(ii)イオンが内部出射軌道上にあるときに、主分析器場を発生するために印加されるのとは異なる組の1つまたは複数の電位を、1つまたは複数の内側および外側電場定義電極システムに印加する(いくつかまたはすべての電極にゼロ電位を印加することを含む)こと、または(i)と(ii)の両方の組合せ。そのような実施形態では、好ましくはすべての内部出射軌道が、主分析器場がない状態で提供される。
分析器内部に存在する他の電磁場、例えば1つまたは複数の円弧集束レンズによって生成される電磁場は、出射プロセス中に残っていてよく、またはオフにされることもある。
内部出射軌道に沿った主分析器場がないいくつかの実施形態では、荷電粒子は、主分析器場がない状態にされた内部出射軌道の部分に沿って実質的に直線状に移動できるようになり、そのような実施形態では、内部出射軌道は実質的に直線状であることが好ましい。いくつかの実施形態では、分析器内に存在する任意の残留電磁場により、出射軌道が直線経路から逸れることがある。残留電磁場は、1つまたは複数の円弧レンズ、追加のビーム偏向器、または他のイオン光学デバイスによって生成された電磁場、および主分析器場を生成するようには設定されていないミラー内側および外側電場定義電極システムに印加された電位による任意の電磁場を含むことがある。このタイプの1つの好ましい実施形態では、内部出射軌道は、外側ベルト電極アセンブリの存在によって主分析器場から完全に遮蔽され、ミラーの内側および外側電場定義電極システムに印加される電位の組は、好ましくは分析器内部の他の場所で主分析器場を生成するようなものであり、内部出射軌道は実質的に直線状である。このタイプの別の実施形態では、内部出射軌道は、内側ベルト電極アセンブリの存在によって主分析器場から完全に遮蔽され、ミラーの内側および外側電場定義電極システムに印加される電位の組は、好ましくは分析器内部の他の場所で主分析器場を生成するようなものであり、出射軌道は実質的に直線状である。このタイプのさらに別の実施形態では、出射軌道は、内側および外側ベルト電極アセンブリの存在によって主分析器場から完全に遮蔽され、ミラーの内側および外側電場定義電極システムに印加される電位の組は、好ましくは分析器内部の他の場所で主分析器場を生成するようなものであり、内部出射軌道は実質的に直線状である。
荷電粒子は、点Eまたはその近くで、例えば偏向器や加速器などの荷電粒子デバイスによって偏向および/または加速されることも、そうされないこともある。好ましい実施形態タイプでは、荷電粒子は、点Eまたはその近くで偏向され、任意選択で加速される。いくつかの実施形態では、荷電粒子は点Eに到達し、例えば主分析器電場がない状態になったときに、偏向または加速を必要とせずに、内部出射軌道上を進行し始めるような方向に進む。他の好ましい実施形態では、荷電粒子偏向器は、ビームが内部出射軌道を進行し始めるようにビーム方向を変えるために使用される。最も好ましくは、好ましいビーム光学特性およびコンパクトなサイズにより、ビームの各側に1つずつ1対の電気偏向プレート、または電気セクタが使用される。ビームは、好ましくは、主飛行経路から出射されるときに偏向器によって偏向され、より好ましくは、電気セクタによって偏向され、ここで、偏向器(好ましくはセクタ)の入口アパーチャは主飛行経路上にある。
ビームは、主飛行経路から出るときに偏向されても偏向されなくてもよいが、好ましくは偏向され、この偏向は、z方向、半径r方向、および円弧方向の1つまたは複数でよい。出射すべき荷電粒子の点Eまたはその近くでの偏向は、z軸方向での速度を変えて、その方向で速度を増加または減少するようなものでよい。z軸方向での速度の増加は、出射されない場合に荷電粒子が主飛行経路に入る、次のミラーに向かうz軸方向での速度の増加を意味する。z軸方向での速度の減少は、出射されない場合に荷電粒子が主飛行経路に入る、次のミラーに向かうz軸方向での速度の減少を意味する。いくつかの好ましい実施形態では、ビームは、好ましくは点Eで少なくともz方向で偏向される。いくつかの実施形態では、荷電粒子は、さらなる半径方向偏向なしで、内部出射軌道上を進行し始めるのに適切な半径方向速度で点Eに到達する。しかし、いくつかの好ましい実施形態では、荷電粒子が出射軌道を進行し始めるように、点Eまたはその近くで荷電粒子を半径方向rで偏向させることができる。ビームは、好ましくは、点Eで少なくとも半径方向rで偏向され、例えば内部出射軌道は、主飛行経路とは異なるz方向からの半径方向距離(半径)にある。いくつかのより好ましい実施形態では、ビームは、好ましくは、点Eで少なくとも半径方向rおよびz方向で偏向され、または少なくとも半径方向rおよび円弧方向で偏向される。点Eまたはその近くでの荷電粒子の偏向は、好ましくは、それらの円弧方向での速度を変えるようなものである。偏向器または加速電極は、荷電粒子のビームが到達した時点で通電され、次いでビームが内部出射軌道上に向けられた後に通電停止することができる。点Eは、主飛行経路上で分析器内部の任意の場所でよい。1つの好ましい実施形態では、点Eは、z=0平面またはその近くに位置する。別の好ましい実施形態では、点Eは、長手方向z軸に沿った飛行経路の最大軸方向限界またはその近くにある。
内部出射軌道は、ミラーの外側電場定義電極システムの一方または両方のアパーチャを通して、またはミラーの内側電場定義電極システムの一方または両方のアパーチャを通して分析器体積から出ることができる。出射軌道を辿る荷電粒子は、レシーバに入ることができる。本明細書で使用するとき、レシーバは、検出器の全体または一部を形成する任意の荷電粒子デバイス、または荷電粒子のさらなる処理のためのデバイスである。したがって、レシーバは、例えば、後段加速器、変換ダイノード、電子増倍管などの検出器、衝突セル、イオントラップ、質量フィルタ、イオンガイド、多重極デバイス、または荷電粒子ストアを備えることができる。レシーバは、分析器軸zからある距離に位置することができ、ミラーの外側電場定義電極システムの外側にある、またはミラーの内部電場定義電極システムの内側にある。ミラーの内側電場定義電極システムの内側にレシーバを位置させることで、よりコンパクトな機器となり、しかし整備時にレシーバに手が届きにくいという欠点がある。好ましくは、レシーバは、例えば荷電粒子のさらなる処理のためのデバイスである場合、ミラーの外側電場定義電極システムの外部に位置される。より好ましくは、レシーバは、例えば荷電粒子のための検出器のすべてまたは一部を形成するデバイスである場合、ミラーの外側電場定義電極システムの外側に位置されるが、好ましくは、ミラーの外側電場定義電極システムが取る分析器軸からの最大距離以内に(例えば狭窄部分の外側で隣接して)位置される。
いくつかの好ましい実施形態では、荷電粒子は、主飛行経路とは異なるz軸からの半径方向距離にある内部出射軌道上に主飛行経路から出射される。主飛行経路とは異なる半径方向距離にある内部出射軌道は、主飛行経路から半径方向外側または半径方向内側に延びることがあるが、好ましくは、主飛行経路から(例えば主飛行経路から外側電場定義電極に向かって)半径方向外側に延びる。
内部出射軌道は、実質的に直線状の少なくとも一部分を有することができ、例えば主分析器場がない状態でビームがこの直線部分を渡って進む。いくつかの実施形態では、内部出射軌道の少なくとも一部分、特に主飛行経路と異なるz軸からの半径方向距離にある内部出射軌道は、直線経路から逸脱することがあり、すなわち湾曲されていることがあり、例えば主分析器場の影響下でビームがこの湾曲部分を渡って進む。好ましくは、分析器場の影響下でビームが内部出射軌道の湾曲経路部分を渡って進み、この分析器場は、主分析器場でも、異なる分析器場でもよいが、分析器内部での安定な進行のために分析器軸から適切な距離にはない。
いくつかの好ましい実施形態では、主飛行経路とは異なるz軸からの半径方向距離にある内部出射軌道はz軸の周りで螺旋経路を辿り、この螺旋経路は、主飛行経路よりも分析器軸から離れた距離にある出射軌道にビームが出射される場合には、分析器軸からの半径方向距離が徐々に増加し、または、主飛行経路よりも分析器軸に近い半径方向距離にある出射軌道にビームが出射される場合には、分析器軸からの距離が徐々に減少する。螺旋経路は、内側および/または外側電場定義電極システムでの電圧を変えることによって生成することができる。内側および/または外側電場定義電極システムでの電圧が一定に保たれる場合、内部出射軌道は非円形経路を辿る。内部出射軌道の螺旋または非円形経路が、点Eで荷電粒子を主飛行経路から導く。出射時の螺旋または非円形経路は、一方のミラーでの変向点を通過することができる。
ビームの荷電粒子は、点Wで螺旋または非円形経路から出ることがある。内部出射軌道の螺旋または非円形経路は、例えば点Wで内部出射軌道の非螺旋または非円形部分につながることがあり、荷電粒子は、点Wまたはその近くにある荷電粒子デバイスによって偏向および/または加速されることがあり、またはそうされないこともある。いくつかの実施形態では、荷電粒子は点Wに到達して、偏向または加速を必要としないような方向に進む。他の好ましい実施形態では、荷電粒子偏向器が、点Wでビーム方向を変えるために使用される。最も好ましくは、好ましいビーム光学特性およびコンパクトなサイズにより、ビームまたはセクタの各側に1つずつ1対の電気偏向プレートが使用される。点Wまたはその近くでの荷電粒子の偏向は、それらのz軸方向での速度を変えて、その方向での速度を増加または減少するようなものでよい。いくつかの実施形態では、荷電粒子は、さらなる半径方向偏向なしで、それらの内部出射軌道の残部を進行し始めるのに適切な半径方向速度で点Wに到達する。しかし、いくつかの実施形態では、荷電粒子が内部出射軌道を進行し始めるように、点Wまたはその近くで荷電粒子を半径方向rで偏向させることができる。荷電粒子は、好ましくは、荷電粒子が内部出射軌道の残りの部分を進行し始めるように、点Wまたはその近くで円弧方向で偏向される。偏向器または加速電極は、荷電粒子のビームが点Wに到達した時点で通電され、次いでビームが内部出射軌道の残りの部分に出射された後に通電停止することができる。
点Wは、軌道上で分析器体積内部の任意の場所でよい。1つの好ましい実施形態では、点Wは、z=0平面またはその近くに位置する。別の好ましい実施形態では、点Wは、長手方向z軸に沿った飛行経路の最大軸方向限界またはその近くにある。
いくつかのタイプの好ましい実施形態では、粒子の運動エネルギーは、ビームが主飛行経路から出射される点で、すなわち点Eまたはその近くにあるときに変えられる。これは、例えば、主分析器場の影響下でビームが内部出射軌道を渡って進む場合に使用することができる。運動エネルギーがそのように変えられる実施形態では、荷電粒子は、出射分析器場の存在下で内部出射軌道を渡って進むことができ、この電磁場は、主分析器場と同じでも異なっていてもよい。
荷電粒子は、点Eまたはその近くで荷電粒子偏向器によって偏向されることも、そうされないこともある。1つの好ましい実施形態では、荷電粒子は点Eに到達し、運動エネルギーの変化を受けたときに、偏向を必要とせずに内部出射軌道上を進行し始めるような方向に進む。他の実施形態では、荷電粒子偏向器は、ビームが内部出射軌道を進行し始めるようにビーム方向を変えるために使用される。
好ましくは、荷電粒子が、主飛行経路上の点Eから出射され、主分析器場の存在下で内部出射軌道に沿って進み(すなわち、主分析器場の影響下で荷電粒子が内部出射軌道を渡って進み)、および/または主分析器場がオンのままである。この方法では、内部出射軌道が、好ましくは分析器のサイズに比べて非常に短くなる。一実施形態では、この出射方法は、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分を利用して、点Eから出た後の分析器内部の飛行経路(すなわち内部入射軌道)の長さを短縮することができる。好ましくは、荷電粒子は、狭窄部分のアパーチャを通して分析器体積から外に向けられる。いくつかの実施形態では、荷電粒子のレシーバ(例えば検出器)を分析器体積の外部に位置させることができ、分析器用の荷電粒子は、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分のアパーチャに通すことができ、好ましくは外側ベルト電極アセンブリに隣接して分析器から出る。その場合、ビームは、外側ベルト電極アセンブリのアパーチャを通って内部出射軌道に沿って進行し、点Eから主飛行経路上に短い距離を進む。一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分と外側ベルト電極アセンブリの間の距離は、分析器のサイズに比べて非常に短いことがあり、例えば、真空下で保たれるときに、1つまたは複数の外側電場定義電極システムと外側ベルト電極アセンブリとの電位差を維持するのにちょうど十分な長さである。したがって、好ましくは、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分の内側限界は、外側ベルト電極アセンブリの近位に位置する。また、外側ベルト電極アセンブリと主飛行経路の間の距離は、分析器のサイズに比べて非常に短いことがあり、例えば分析器のz軸長の数パーセント未満である。点Eまたはその近くで、ビームは、好ましくは内部出射軌道上を進行し始めるように偏向される。1つの好ましい実施形態では、前記偏向を行うための偏向器が、外側ベルト電極アセンブリと内側ベルト電極アセンブリの一方または両方に位置されるか、またはそれらの間に位置される。ビームは、ビームの半径方向外側への速度を増加させるように偏向される。好ましい偏向器は、本明細書の他の箇所で説明する。
荷電粒子ビームは、ミラーの外側電場定義電極システムの一方または両方のアパーチャを通して、またはミラーの内側電場定義電極システムの一方または両方のアパーチャを通して分析器体積から出ることができる。荷電粒子のレシーバ(例えば検出器)は、好ましくは、実質的に分析器体積の外部に位置される。したがって、レシーバは、ミラーの外側電場定義電極システムの外側、またはミラーの内側電場定義電極システムの内側に位置させることができる。いくつかの実施形態では、荷電粒子は、内側または外側ベルト電極アセンブリのアパーチャを通過することによって点Eから出る。好ましくは、レシーバは、ミラーの外側電場定義電極システムの外側に位置される。より好ましくは、さらに説明するように、レシーバの少なくとも一部分は、外側電場定義電極システムの外側に位置されるが、ミラーの外側電場定義電極システムが取る分析器軸からの最大半径方向限界以内に位置され、これは、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分の外側に隣接して位置させることによって行われる。
別の実施形態では、レシーバは、一方または両方のミラーの内側電場定義電極システムの内側で、分析器のz軸上に位置されるか、またはz軸に隣接する。その実施形態では、荷電粒子は、一方または両方のミラーの内側電場定義電極システムのアパーチャを通して出射されて、好ましくは内側ベルト電極アセンブリに隣接して分析器から出る。ビームは、内側ベルト電極アセンブリのアパーチャを通って出射軌道に沿って進行し、点Eから主飛行経路上に向けて短い距離を進む。一方または両方のミラーの内側電場定義電極システムと内側ベルト電極アセンブリの間の距離は、分析器のサイズに比べて非常に短いことがあり、例えば、真空下で保たれるときに、1つまたは複数の内側電場定義電極システムと内側ベルト電極アセンブリの間の電位差を維持するのにちょうど十分な長さである。また、内側ベルト電極アセンブリと主飛行経路の間の距離は、分析器のサイズに比べて非常に短いことがあり、例えば分析器のz軸長の数パーセント未満である。点Eまたはその近くで、ビームは、好ましくは内部出射軌道上を進行し始めるように偏向される。1つの好ましい実施形態では、前記偏向を行うための偏向器が、外側ベルト電極アセンブリと内側ベルト電極アセンブリの一方または両方に位置される。ビームは、ビームの半径方向内側への速度を増加させるように偏向される。
主分析器場の存在下で内部出射軌道に沿ってビームを出射することは、主分析器場を生成する電位のスイッチングが出射時に必要ないという利点を有する。荷電粒子は、主分析器場の存在下で点Eから主飛行経路上に(分析器のサイズに比べて)短い出射軌道を辿ることができ、内部出射軌道が短いので、荷電粒子は主分析器場の作用下で実質的なずれを受けない。例えば、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分によって、および/またはベルト電極アセンブリの存在によって、比較的短い出射軌道が可能にされる。ベルト電極アセンブリは、点Eの領域内で主分析器場を維持し、一方または両方のミラーの外側および/または内側電場定義電極システムが点Eの近傍で主飛行経路に非常に近付くことができるようにし、内部出射軌道の長さを短縮させる。
電子増倍管およびマイクロチャネルプレートを含めた様々なタイプの検出器を使用することができる。好ましくは、検出器は、単一のイオンを検出することができる。好ましくは、検出器は、最大1000以上のイオン/質量ピーク/入射での単一イオンの検出を含む動的範囲を有する。好ましくは、検出器は、さらなる増幅のためにイオンを電子に変換するための変換ダイノードを含む。最も好ましくは、検出器は、浮動または光結合収集器を有するマイクロチャネルプレートアセンブリまたは2次電子増倍管を備える。マルチチャネル検出システムを使用することもできる。本明細書で使用するとき、用語「検出器」、「検出システム」、または「検出器システム」は、入射する荷電粒子ビームから測定可能な信号を生成するのに必要なすべての構成要素を表し、例えば変換ダイノードおよび電子多重手段を備えることがある。入射する荷電粒子ビームによって検出器から生成される信号は、好ましくは、分析器を通る粒子の飛行時間を測定するために使用される。追加の検出器は、主飛行経路の特定の点で診断目的で使用することもできる。例えば、強いイオンパケットの動力学を非破壊で監視するためにイメージ電流検出を使用することができる。電荷増幅器を使用して、直接測定によって、またはイオンによって生成される2次電子を測定することによって、イオン損失を診断することができる。
既に説明したように、本発明によれば、荷電粒子は、出射または検出前に分析器軸zの周りで同じ回数の周回を経る。荷電粒子は、分析器の主飛行経路に沿って進むとき、それらの飛行時間に従って分離され、分析器軸z周りの同じ回数の周回を経た後、検出のために出射される。いくつかの実施形態では、それらは分析器体積の内部で検出される。あるいは、好ましい実施形態では、分析器体積の外部で、より好ましくは、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムが取る分析器の軸からの最大半径方向距離以内で(例えば、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分の外側で隣接して)検出される。
時間的焦点面である検出の焦点面は、z=0平面に平衡でよく、またはz=0平面に対して傾けることができる。焦点面は、湾曲していても平坦でもよい。1つの好ましい実施形態では、時間的焦点面は実質的に平坦である。好ましくは、検出前に荷電粒子ビームの運動エネルギーを増加するために後段加速が使用される。そのような後段加速の使用は、時間的焦点面の角度を変え、z=0平面に対する傾きを導入または修正することができる。
上述したように、いくつかの実施形態では、荷電粒子は分析器体積の内部で検出される。本発明のさらなる態様によれば、荷電粒子のビームを監視する方法であって、
2つの対向するミラーを備える分析器を提供するステップであって、各ミラーが、軸に沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、各システムが、1つまたは複数の電極を備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定するステップと、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器内部で主飛行経路に沿って、内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りを周回し、または電極間で振動し、一方のミラーから他方のミラーに反射するステップと、
分析器体積内部の検出器に衝突するように、荷電粒子のビームの少なくとも一部を偏向させて主飛行経路からずらすステップと
を含む方法が提供される。
本発明の別の態様によれば、
2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器であって、各ミラーが、軸に沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、各システムが1つまたは複数の電極を備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、それにより、使用時、分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器体積内部で内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りを周回し、または電極間で振動するとともに一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射し、さらに、使用時、分析器体積内部に位置された検出器に衝突するように、荷電粒子のビームの少なくとも一部を偏向させて主飛行経路からずらすように構成された偏向器を備える荷電粒子分析器が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、
2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器であって、各ミラーが、軸に沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、各システムが1つまたは複数の電極を備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、荷電粒子分析器がさらに、分析器体積の内部に位置された偏向器、および分析器体積の内部に位置された検出器とを備える荷電粒子分析器が提供される。
いくつかの実施形態では、偏向器が、検出器の少なくとも一部を備えることもでき、例えば偏向器は、検出のプロセス中にイオンが衝突する電極面を備えることができる。
パルスイオン源に関連する時間的焦点面および/またはレシーバに関連する時間的焦点面が分析器体積の外部に位置する実施形態では、レシーバと関連付けられた時間的焦点面上で時間的集束が正確に実現されるように、時間的焦点面と分析器体積の距離を補償することが必要となることがある。1つの補償方法は、各振動で時間的焦点面を分析器内部で徐々に変位させる効果を有する、分析器の対向するミラー間の距離をシフトするステップを含む。時間的焦点面の正味のシフトにより、レシーバに関連する時間的焦点面上に荷電粒子が集束するように、ミラーの変位を設定することができる。あるいは、またはさらに、1つのさらなる方法は、分析器を通る飛行経路の一部分中に荷電粒子を加速するステップを含む。有利には、これは、ベルト電極アセンブリ間を荷電粒子が通過するときに、z=0平面の近くの領域内で実現することができる。ベルト電極アセンブリは、適切にバイアスすることができ、それにより荷電粒子がそれらのz方向での速度を変え、加速または減速し、これによりまた、ベルト領域を通る各通行で、分析器内部での時間的焦点面の位置のシフトが生じる。
入射されるイオンパケットの位相空間を制限することによって、本明細書で説明する本発明の分析器によって、より高い質量分解能を実現することができる。これは、簡便には、ビームの中央部分のみを伝送できるようにする質量分析器にアパーチャを導入することによって実現することができ、またはビームの外側部分を拡張するために非集束レンズを利用することによって実現することができ、それによりビームは既存のビーム制限器に衝突し、これは分析器構造の任意の部分でよい。1つまたは複数の円弧レンズを非集束レンズとして使用することができる。前者の場合、アパーチャが存在するときは常に伝送損失が生じる。後者の場合、質量分解能および関連の伝送をスペクトルごとに調整可能および切換え可能である。
伝送されるビームをこのように分析器内部で制限することにより、トリミングされたビームの部分は、余剰のエネルギー幅、高い角度発散、または最適でない初期源位置のどれが原因であるかにかかわらず、質量分解能を劣化させる部分となる。
本発明の分析器は、任意選択でイオン発生手段から本発明の分析器にイオンを伝送するための1つまたは複数のイオン光学構成要素を介して、イオンを発生するためのイオン発生手段に結合することができる。イオンを伝送するための典型的なイオン光学構成要素は、レンズと、レンズガイドと、質量フィルタと、イオントラップと、任意の既知のタイプの質量分析器と、他の同様の構成要素とを含む。イオン発生手段は、EI、CI、ESI、MALDIなど任意の既知の手段を含むことができる。イオン光学構成要素は、イオンガイドなどを含むことができる。本発明の分析器およびそれを備える質量分光計は、荷電粒子を質量分析するための独立型機器として、または例えばタンデムMSまたはMSn分光計において1つまたは複数の他の質量分析器との組合せとして使用することができる。本発明の分析器は、衝突セル、質量フィルタ、イオン移動度または差分イオン移動度分光計、任意の種類の質量分析器など、質量分光計の他の構成要素と結合させることができる。例えば、イオン発生手段からのイオンは、質量フィルタ処理され(例えば四重極質量フィルタ)、イオンガイドによって案内され(例えばフラタポール(flatapole)などの多重極ガイド)、イオントラップに貯蔵される(例えば湾曲線形トラップまたはC−Trap)ことがあり、この貯蔵は、任意選択で衝突または反応セルでの処理後でよく、最後に、イオントラップから本発明の分析器内に入射されることがある。多くの異なる構成の構成要素を本発明の分析器と組み合わせることができることを理解されたい。本発明は、単独で、または他の質量分析器と共に、例えば液体またはガスクロマトグラフ(LCもしくはGC)またはイオン移動度分光計など1つまたは複数の別の分析または分離機器と結合させることができる。
本発明のさらなる態様によれば、2つの対向するミラーを備える飛行時間質量分析器飛行時間質量分析器であって、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、各内側電場定義電極システムが、複数のスピンドル状の電極を備え、外側システムが内側システムを取り囲んで、それらの間に分析器体積を画定する飛行時間質量分析器が提供される。
さらに、本発明のこの態様に対して、今述べた飛行時間質量分析器であって、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿った分析器体積の長さの少なくとも一部分に沿って実質的に線形の対向する電場を生成する飛行時間質量分析器が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、荷電粒子を分離する方法であって、
2つの対向するミラーを備える分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、各システムが1つまたは複数の電極を備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、電場のz軸に沿った絶対強度が平面z=0で最小であり、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器体積内部で、内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りを周回し、またはそれらの間で振動し、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射し、それによりミラー内部に最大変向点を定義するステップを含み、最大変向点での電場のz軸に沿った強度が|X|であり、電場のz軸に沿った絶対強度が、平面z=0と各ミラーでの最大変向点の間でz軸に沿った方向の2/3以下にわたって|X|/2未満であり、方法がさらに、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと、
複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを分析器から出射する、または複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを検出するステップとを含み、出射または検出するステップが、粒子が内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りでの周回またはそれらの間での振動を同じ回数だけ受けた後に行われる方法が提供される。
本発明の別の態様によれば、
2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器であって、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、各システムが1つまたは複数の電極を備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、使用時、分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器体積内部で内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りを周回する、またはそれらの間で振動するとともに一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射し、それによりミラー内部に最大変向点を定義し、電極システムが電気的にバイアスをかけられるとき、ミラーが、z軸に沿った対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、電場のz軸に沿った絶対強度が平面z=0で最小であり、最大変向点での電場のz軸に沿った強度がXであり、電場のz軸に沿った絶対強度が、平面z=0と各ミラーでの最大変向点の間でz軸に沿った距離の2/3以下にわたって|x|/2未満であり、荷電粒子分析器がさらに、
出射器、または検出器の少なくとも一部を備え、出射器、または検出器の少なくとも一部が、分析器体積内部に位置されて、それぞれビームからの少なくともいくつかの荷電粒子を分析器体積から出射し、または分析器体積内部で検出し、上記少なくともいくつかの粒子が複数のm/zを有し、出射または検出が、少なくともいくつかの粒子が内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りでの周回またはそれらの間での振動を同じ回数だけ受けた後に行われる荷電粒子分析器が提供される。
別の独立態様では、本発明は、荷電粒子を分離する方法であって、
2つの対向するミラーを備える分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、各システムが1つまたは複数の電極を備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿った分析器体積の長さの少なくとも一部分に沿って実質的に線形の対向する電場を備える電場を分析器体積内に生成し、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともに、分析器体積内部で、内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りを周回する、またはそれらの間で振動するステップと、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと、
複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを分析器から出射する、または複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを検出するステップとを含み、出射または検出するステップが、粒子が内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りでの周回またはそれらの間での振動を同じ回数だけ受けた後に行われる方法を提供する。
本発明は、別の独立態様では、
2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器であって、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、各システムが1つまたは複数の電極を備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスをかけられるとき、ミラーが、z軸に沿った分析器体積の長さの少なくとも一部分に沿って実質的に線形の対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、使用時、分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともに、分析器体積内部で、内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りを周回する、またはそれらの間で振動し、荷電粒子分析器がさらに、
出射器、または検出器の少なくとも一部を備え、出射器、または検出器の少なくとも一部が、分析器体積内部に位置されて、それぞれビームからの少なくともいくつかの荷電粒子を分析器体積から出射し、または分析器体積内部で検出し、上記少なくともいくつかの粒子が複数のm/zを有し、出射または検出が、少なくともいくつかの粒子が内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りでの周回またはそれらの間での振動を同じ回数だけ受けた後に行われる荷電粒子分析器を提供する。
別の独立態様では、本発明は、1つまたは複数の内側電場定義電極システムを備える分析器を使用して荷電粒子を分離する方法であって、各システムが1つまたは複数の電極を備え、方法が、
荷電粒子のビームを分析器を通して飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器内部で分析器の長手方向(z)軸の方向で少なくとも1回の全振動を受けるとともに、内側電場定義電極システムの1つまたは複数の周りを周回する、またはそれらの間で振動するステップを含み、
荷電粒子が、振動の全時間の半分未満、z軸に沿って実質的に一定の速度で飛行し、方法がさらに、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと、
複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを分析器から出射する、または複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを検出するステップとを含み、出射または検出するステップが、粒子が内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りでの周回またはそれらの間での振動を同じ回数だけ受けた後に行われる方法を提供する。
本発明は、別の独立態様では、
2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器であって、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、各システムが1つまたは複数の電極を備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスをかけられるとき、ミラーが、z軸に沿った対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、使用時、分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器体積内部で、内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りを周回する、またはそれらの間で振動するとともに分析器のz軸の方向でミラー間で少なくとも1回の全振動を受け、荷電粒子が、振動の全時間の半分未満、z軸に沿って一定の速度で飛行し、荷電粒子分析器がさらに、
出射器、または検出器の少なくとも一部を備え、出射器、または検出器の少なくとも一部が、分析器体積内部に位置されて、それぞれビームからの少なくともいくつかの荷電粒子を分析器体積から出射し、または分析器体積内部で検出し、上記少なくともいくつかの粒子が複数のm/zを有し、出射または検出が、少なくともいくつかの粒子が内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りでの周回またはそれらの間での振動を同じ回数だけ受けた後に行われる荷電粒子分析器を提供する。
別の独立態様では、本発明は、荷電粒子の飛行時間分析の方法であって、
2つの対向するミラーを備える分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、各システムが1つまたは複数の電極を備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿った分析器体積の長さの少なくとも一部分に沿って実質的に線形の対向する電場を生成し、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともに、内側と外側の電極システムの間で、内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りを周回する、またはそれらの間で振動するステップと、
粒子が内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りでの周回またはそれらの間の振動を同じ回数だけ受けた後に、荷電粒子の飛行時間を測定するステップとを含む方法を提供する。
また、別の独立態様では、本発明は、荷電粒子のビームから、選択された荷電粒子を分離する方法であって、
2つの対向するミラーを備える分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、各システムが1つまたは複数の電極を備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、電場のz軸に沿った強度が平面z=0で最小であり、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器体積内部で、内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りを周回し、またはそれらの間で振動し、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射し、それによりミラー内部に最大変向点を定義するステップを含み、最大変向点での電場のz軸に沿った強度がXであり、電場のz軸に沿った絶対強度が、平面z=0と各ミラーでの最大変向点の間でz軸に沿った方向の2/3以下にわたって|X|/2未満であり、荷電粒子のビームが、1つまたは複数のm/zの選択された荷電粒子、およびさらなる荷電粒子を含み、方法がさらに、
さらなる粒子が、内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りでの周回またはそれらの間での振動を同じ回数だけ受けた後に、分析器からさらなる荷電粒子を出射することによって、選択された荷電粒子を分析器体積内で隔離するステップを含む方法を提供する。
本発明の追加の実施形態は、2つの対向するミラーを利用し、2つの対向する外側電場定義電極システムと2つの対向する内部電場定義電極システムとを備える電極構造に電位を印加することによって、分析器体積内部で分析器場が発生され、内側電場定義電極システムが、外側電場定義電極システムの内部に延在する複数のスピンドル状の電極構造を備える。複数のスピンドル状構造それぞれが、実質的にz軸に平行に延在する。前述した実施形態と同様に、z方向での電磁場は実質的に線形であり、z方向での主飛行経路に沿ったイオン運動は実質的に単調和運動である。z方向に直交するイオン運動は様々な形態を取ることができる。すなわち、1つまたは複数の内側電場定義電極スピンドル構造の周りを周回する形態と、1対または複数対の内側電場定義電極スピンドル構造の間で振動する形態である。用語「周りを周回する」は、複数の内側電場定義電極スピンドル構造それぞれの周りで連続的に1回または複数回、周回するステップを含み、これはまた、各周回において複数の内側電場定義電極スピンドル構造の周りを周回することを含み、すなわち各周回が、複数の内側電場定義電極スピンドル構造を取り囲むものである。用語「間で振動する」は、(z軸に実質的に平行な方向で実質的に調和運動を行う一方で)z軸に垂直な平面内での実質的に線形の運動を含み、また、そのような実質的に線形の運動がz軸の周りで回転し、さらに説明する星形ビームエンベロープを生成するような運動も含む。また、用語「間で振動する」は、イオンが2つの内側電場定義電極スピンドル構造それぞれからほぼ同じ距離にあるような運動も含む。
上述の実施形態は、下記の一般的な式に対する特定の解決策である。
Figure 2012528432
ここで、kは、イオン電荷と同じ符号を有し(例えばkは正イオンに関して正)、
Figure 2012528432
である。具体的には、解は、
Figure 2012528432
を含む。ここで、
Figure 2012528432
であり、ここでAi、B、C、D、E、F、G、Hは実数定数であり、各fi(x,y)が以下の式を満足する。
Figure 2012528432
特定の解は、
Figure 2012528432
であり、ここで、bは定数である(C.Koester, Int. J. Mass Spectrom Volume 287, Issues 1−3, pages 114−118 (2009))。
特定の解(6d)を有する式(6a〜c)は、2つの対向するミラーによって満足され、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、各システムが1つまたは複数の電極を備え、外側システムが内側システムを取り囲む。内側電場定義電極システムは、それぞれ1つまたは複数の構成要素を備える。1つまたは複数の電極が、z軸に実質的に平行に延在するスピンドル状構造を含む。各スピンドル状構造自体が1つまたは複数の電極を備える。スピンドル状構造の1つがz軸上にあることがある。さらに、またはあるいは、2つ以上のスピンドル状構造を、z軸からずらし、典型的にはz軸に対して対称に配設することができる。
円弧集束は、上述したように達成することができる。あるいは、複数の内側スピンドル状構造が存在するいくつかの実施形態に関して、円弧集束を誘発するための追加の構造は必要ないことがある。この効果を提供する実施形態は、式(6a〜c)においてfi(x,y)のN個の項が存在し、bがbiであり、0と1の間の様々な値を取る場合を含み、ただ1つの外側電場定義電極システム内部に、内側電場定義電極システムとして2N個のスピンドル状構造を提供する。したがって、内側電場定義電極システムの2つの電極間、すなわちスピンドル状構造の2つの電極間で振動し、z軸を通り、またはz軸に近接して通り、さらなる2つのスピンドル状構造の間に到達するように向けられた荷電粒子は、小さな角度オフセットを有して到達することができる。角度オフセットは、徐々にさらなる振動を加え、(z軸に垂直な運動の)振動の平面をz軸の周りでシフトさせ、星形ビームエンベロープを生成する。同時に、この運動形態は、円弧方向でビームが拡大するのを防止する。
2つの対応するミラーは、上述したように非対称にすることができる。荷電粒子の入射、出射、および検出は、上述した方法を含むことができる。
本発明のいくつかの実施形態は、荷電粒子がTOF分析器を通ってコヒーレントに輸送されるというさらなる利点からの利益を得て、TOFイメージングを行うことができるようにし、または異なる開始位置からの複数のビームを備える荷電粒子のビームを分析器を通して送ることができるようにし、それら複数のビームは、時間的に重なり合うが、異なる経路に従って、検出器平面での異なる位置に到達し、それにより分析器のスループットを高める。検出器平面は、平坦でも湾曲していてもよい。検出器システムは、荷電粒子を撮像するため、または荷電粒子の異なる複数のビームが到着する位置で検出機能を提供するために採用することができる。どちらの場合にも、検出システムは、異なる位置から始まった荷電粒子を見分ける。この特性は、MALDI源に関しては即時に適用されるものであるが、それに限定されない。
集束が一平面のみで行われるほとんどの従来技術TOF分析器のものとは対照的に、主飛行経路に垂直な両面で集束が行われる。本発明の分析器では、既に説明した手段によって、両平面内での集束が、円弧集束と共に電磁場の固有の半径方向集束特性によって生成される。このようにして動作するときのさらなる利点は、本発明の分析器にグリッドがないことである。
本発明のさらなる態様によれば、荷電粒子を分離する方法であって、
2つの対向するミラーを備える分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、各システムが1つまたは複数の電極を備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、電場のz軸に沿った絶対強度が平面z=0で最小であり、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器体積内部で、内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りを周回し、またはそれらの間で振動し、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射し、それによりミラー内部に最大変向点を定義するステップを含み、最大変向点での電場のz軸に沿った強度が|X|であり、電場のz軸に沿った絶対強度が、平面z=0と各ミラーでの最大変向点の間でz軸に沿った方向の2/3以下にわたって|X|/2未満であり、方法がさらに、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと、
複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを分析器から出射する、または複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを検出するステップとを含み、出射または検出するステップが、粒子が内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りでの周回またはそれらの間での振動を同じ回数だけ受けた後に行われ、
荷電粒子のビームが、異なる開始位置から出た荷電粒子を備え、位置検出システムが荷電粒子の少なくともいくつかを受け取り、異なる位置から始まった荷電粒子を見分ける方法が提供される。
本発明のさらなる独立態様では、近くの荷電物体の存在により、質量分析器の空間の第1の体積内部の静電場の歪を抑える方法であって、荷電物体が、質量分析器内部の空間の第2の体積内部の静電場を歪め、
a)質量分析器内部に位置された1つまたは複数の表面によって空間の第2の体積を実質的に取り囲むステップであって、前記表面の少なくとも1つが、第2の空間体積と第1の空間体積の間に配設されるステップと、
b)1つまたは複数の表面上に複数の電気トラックを提供するステップであって、トラックが、1つまたは複数の表面、トラック、および荷電物体がない状態で、静電場によって生成される等電位線に実質的に従うステップと、
c)等電位線の電位に実質的に等しい電位をトラックに印加するステップと
を含む。
上述した印加された電位を有する表面およびトラックがない状態では、第2の空間体積内部の静電場の歪が第1の空間体積内に延在し、望ましくないことに、第1の空間体積内部の分析器内部の静電場を歪ませる。
いくつかの実施形態では、荷電物体は、質量分析器の内部に位置される。いくつかの実施形態では、第2の空間体積は、質量分析器の境界に当接する。好ましくは、静電場は、分析器内部の四重極対数ポテンシャル分布によるものである。好ましくは、質量分析器は、TOF質量分析器または静電トラップである。より好ましくは、質量分析器は、対向する静電ミラーを備える。1つまたは複数の表面は実質的に平坦でよい。別法として、1つまたは複数の表面は、湾曲されていても、または折り返されていてもよく、あるいはその組合せでもよい。好ましくは、1つまたは複数の表面が、2つ以上の直交面にわたって延在する。好ましくは、1つまたは複数の表面が、4つ以上の表面を備える。好ましくは、1つまたは複数の表面が、第1の空間体積に面する。1つまたは複数の表面は、荷電粒子またはガスを通して伝送させることができるように1つまたは複数のアパーチャを含むことができる。1つまたは複数の表面は、絶縁性または半導電性でよい。電気トラックは、表面の局所領域に塗布された金属化堆積物から形成することができる。好ましくは、電気トラックの少なくともいくつかの間の表面が、抵抗性コーティングによって覆われる。好ましくは、荷電物体は、イオン光学デバイスを備える。より好ましくは、荷電物体は、検出器または荷電粒子源を備える。
本発明をより完全に理解できるように、次に本発明の様々な実施形態を単に例として、図面を参照して説明する。説明する実施形態は、本発明の範囲を限定するものではない。
本発明の機構および電場強度のz方向依存性を説明するために使用される座標系を示す図である。 本発明の様々な実施形態に関する電極構造の概略図である。 本発明の実施形態でのビームの主飛行経路およびビームのエンベロープの例の概略図である。 円弧集束レンズを備える(図4b、c)および備えない(図4a)、本発明による分析器内で振動を受けるイオンのビームの概略図と、円弧集束レンズの一例とを示す図である。 本発明の円弧集束レンズの様々な実施形態と、円弧レンズまたは他の構成要素を支持する手段の概略実施形態とを示す概略図である。 本発明の様々なさらなる実施形態に関する電極構造の概略図である。 円弧集束レンズの様々な構成を備える本発明の様々な実施形態に関する電極構造の概略図である。 本発明のオフセット円弧レンズ実施形態の概略図である。 本発明の分析器へのビームの入射の様々な実施形態の概略図である。 本発明の分析器へのビームの入射の様々な実施形態の概略図である。 本発明の分析器へのビームの入射の様々な実施形態の概略図である。 本発明の分析器へのビームの入射の様々な実施形態の概略図である。 本発明の分析器へのビームの入射の様々な実施形態の概略図である。 本発明の分析器へのビームの入射の様々な実施形態の概略図である。 本発明の分析器へのビームの入射の様々な実施形態の概略図である。 本発明の分析器へのビームの入射の様々な実施形態の概略図である。なお、図16c及び図16dは、本発明の分析器からのビームの出射の実施形態の概略図である。 本発明の分析器へのビームの入射の様々な実施形態の概略図である。 本発明の分析器からのビームの出射の様々な実施形態の概略図である。 本発明の分析器からのビームの出射の様々な実施形態の概略図である。 本発明の分析器からのビームの出射の様々な実施形態の概略図である。 本発明の分析器からのビームの出射の様々な実施形態の概略図である。 本発明の分析器からのビームの出射の様々な実施形態の概略図である。 本発明の分析器からのビームの出射の様々な実施形態の概略図である。 本発明の分析器からのビームの出射の様々な実施形態の概略図である。なお、図24cは、異なる主飛行経路間でのビームの移行部分を備える本発明の実施形態の概略図である。 イオンミラーを使用するイオン源の時間的焦点を移行する方法の概略図である。 本発明でのビームの検出の様々な実施形態の概略図である。 本発明によるビームの後段加速および検出のための実施形態の概略図である。 本発明による分析器を組み込む分析システムの2つの概略図である。 追加の検出器を使用してイオンビームを位置合わせするための様々な実施形態の概略図である。 本発明の分析器の温度補償のための好ましいシステムを示す概略図である。 本発明の様々なさらなる実施形態に関する電極構造の概略図である。
本発明の1つの好ましい実施形態は、主分析器場として、式(1)によって記述される四重極対数ポテンシャル分布を利用する。図2aは、そのような好ましい実施形態に関する電極構造の概略側断面図である。分析器10は、2つの対向するミラー40、50のそれぞれ内側および外側の電場定義電極システム20、30を備える。この実施形態での内側および外側電場定義電極システムは、金被覆ガラスから構成される。しかし、これらの電極システムを構成するために様々な材料を使用することができる。例えば、インバー、金属で被覆されたガラス(ゼロデュアやホウケイ酸ガラスなど)、モリブデン、ステンレス鋼などである。内側電場定義電極システム20はスピンドル形状であり、外側電場定義電極システム30はバレル形状であり、外側電場定義電極システム30は内側電場定義電極システム20を環状に取り囲む。この例では、両方のミラーの内側電場定義電極システム20と外側電場定義電極システム30が一部片電極であり、2つのミラーに関する内側電極20の対がz=0平面で当接して電気的に接続され、2つのミラーに関する外側電極の対もz=0平面(90)で当接して電気的に接続される。この例では、両方のミラーの内側電場定義電極システム20が、ただ1つの電極(本明細書においてやはり参照番号20で表す)から形成され、両方のミラーの外側電場定義電極システム30も、ただ1つの電極(本明細書においてやはり参照番号30で表す)から形成される。両方のミラーの内側および外側電場定義電極システム20、30は、1組の電位が電極システムに印加されるときに、内側および外側電場定義電極システムの間に位置される分析器体積の内部、すなわち領域60の内部に四重極対数ポテンシャル分布が生成されるように形作られる。生成された四重極対数ポテンシャル分布により、各ミラー40、50は、z軸に沿った実質的に線形の電場を有し、ミラーの電磁場はz軸に沿って互いに逆である。電極システム20および30の形状は、電極表面自体が四重極対数形状の等電位面を成すという知識の下で、式(1)を使用して計算される。定数k、C、およびRmに関する値が選択され、一方の変数rまたはzに関して、他方の変数zまたはrの関数として式が解かれる。一方の変数rまたはzに関する値は、内側および外側電極それぞれに関して、他方の変数zまたはrの所与の値で選択され、解かれた式を使用して、rおよびzの他の値での内側および外側電極20および30の寸法を生成し、内側および外側電場定義電極システムの形状を定義する。
例として、図2aに概略的に示される分析器の一例では、分析器は以下のパラメータを有する。電極20、30のz軸長(すなわちz方向での長さ)は380mmであり、すなわちz=0平面を中心に+/−190mmである。外側電極30の内面の最大半径はz=0にあり、150.0mmである。内側電極20の外面の最大半径もz=0にあり、95.0mmである。外側電極30は0Vの電位を有し、内側電極20は−2587Vの電位を有して、分析器体積内で主分析器電場を発生し、その影響下で、本明細書で説明するように、分析器体積を通って荷電粒子が飛行する。本明細書で与える電圧は、正イオンを分析する場合に関するものである。負イオンを分析する場合には逆の電圧が必要とされることを理解されたい。式(1)の定数の値は、k=1.42*105V/m2、Rm=307.4mm、C=0.0である。
両方のミラーの内側および外側電場定義電極システム20、30は、図2aに示される例では同心であり、また分析器軸z(100)とも同心である。2つのミラー40、50が、分析器10の2つの片割れを構成する。半径方向軸はz=0平面(90)で示される。分析器はz=0平面に対して対称である。50000など高い質量分解能を実現することができるこのサイズのTOF分析器に関して、ミラー軸の相互の位置合わせは、数百ミクロンのずれの範囲内、および0.1°〜0.2°の角度の間にあるべきである。この例では、電極の形状の精度は、10ミクロン以内である。イオンは、はるかに高い位置合わせ不良でさえ分析器を通って安定な飛行経路上を進むが、質量分解能は減少する。
図2bは、本発明の別の実施形態を示し、この実施形態も、主分析器場として、式(1)によって記述される四重極対数ポテンシャル分布を利用する。図2bは、そのような実施形態に関する電極構造の概略側断面図であり、同様の機能には図2aと同じ識別符号が付されている。分析器10bは、2つの対向するミラー40b、50bのそれぞれ内側および外側の電場定義電極システム20b、30bを備える。
ここで、機構が同一または同様の機能を有する場合、それらは、同じ識別番号で識別されることがあるが、それらの形状が異なる場合には、識別符号が追加の文字を含む。すなわち、例えば図2bの分析器10bは、図2aの分析器10と同様の機能を有するが、形状は異なる。
図2bの内側および外側電場定義電極システムは、1組の金属電極から構成される。内側電場定義電極システムは、軸方向に延在するディスク列25bを備え、外側電場定義電極システムは、ディスク20bと同軸に、かつ分析器軸100と同軸に、軸方向に延在する列として組み立てられた1組のリング35bを備え、外側リング電極35bが内側ディスク25bを取り囲む。ディスク25bの外径は等しいサイズではなく、図2aに示されるスピンドル形状の一部片の内側電場定義電極システム20の外径の形状にほぼ従う。同様に、リング電極35bの内径は、図2aのバレル形状の一部片の外側電場定義電極システム30の内径のプロファイルにほぼ従う。両方のミラーの内側および外側電場定義電極システム20b、30bは、電位が電極システムに印加されるときに、内側および外側電場定義電極システムの間での分析器の内部、すなわち領域60の内部に四重極対数ポテンシャル分布が生成されるように形作られる。生成された四重極対数ポテンシャル分布により、各ミラー40b、50bは、z軸に沿った実質的に線形の電場を有し、ミラーの電磁場はz軸に沿って互いに逆である。それぞれ電極システム20bおよび30bのディスクおよびリングの形状は、すべてのディスク25bに印加されるただ1つの電位と、すべてのリング35bに印加される別のただ1つの電位とのみを備える1組の電位が、体積60bの内部で四重極対数ポテンシャル分布を生成できるようにする。電極システムを形成するディスク25bおよびリング35bの離散的な性質により、体積60bの内部の四重極対数ポテンシャル分布は完璧ではない。内側電場定義電極システム20bを備えるディスクおよび外側電場定義電極システム30bを備えるリングが多ければ多いほど、体積60b内部の四重極対数ポテンシャル分布が良くなる。一般に、体積60b内部の電位分布の不完全性が小さければ小さいほど、分析器によって実現可能な最大質量分解能が高くなる。各リング電極35bの間および各ディスク電極25bの間に、小さなギャップ31bおよび21bがそれぞれ残される。これらのギャップは、大きくても、主飛行経路上での最も近い点までの距離の1/3〜1/2倍であることが好ましい。図2bでの分析器10bの構成は、単純な機械加工法を使用して内側および外側電場定義電極システムを形成することができるという利点を有する。
図2cは、本発明のさらなる実施形態を概略側断面図として示す。図2dは、図2cの実施形態のz=0平面を中心とする中央部分を概略切欠斜視図として示す。同様の機能には図2aと同じ符号が付されている。ディスク電極25cおよびリング電極35cは、それぞれ内側および外側の電場定義電極システム20cおよび30cを備え、対向するミラー40cおよび50cを形成する。ミラー40cおよび50cは、平面z=0に対して対称であり、分析器10cを形成する。ディスク電極25cの外径はすべて同じサイズである。リング電極35cの内径はすべて同じサイズである。この実施形態もやはり、体積60c内部で式(1)によって記述される四重極対数ポテンシャル分布を利用する。なぜなら、この実施形態では、各ミラーごとに、電場定義電極に印加される電位の組が異なる電位を備えるからである。すなわち、各ディスクに異なる電位が印加され、各リングに異なる電位が印加され、電位の組は、四重極対数ポテンシャル分布を生成するように選択される。理想的な四重極対数ポテンシャル分布の概念上の等電位面は、電極20cおよび30cの長さに沿った一連の点で、それぞれ内側および外側の電場定義電極システム20cおよび30cに合わさる。所要の四重極対数ポテンシャル分布を生成するために、内側電場定義電極システム20cを備える個々のディスク電極25cと、外側電場定義電極システム30を備える個々のリング電極35cが、それらが交差する様々な等電位面に合致する電位を有するように操作される。ギャップ21cおよび31cが、それぞれディスク25cおよびリング35cを分離し、大きくても、主飛行経路上での最も近い点までの距離の1/3〜1/2倍であることが好ましい。捕捉体積60cの端部は、図2aおよび図2bのように開いてはおらず、端部電極62c(図2cにのみ示される)によって閉じられる。電極62cは、z=0平面から最も遠い領域内での電磁場を定義し、一連の半径方向に延在する同心リング電極を備え、それらの電極は、内側電場定義電極システム20cの端部と外側電場定義電極システム30の端部の間に位置する。理想的な四重極対数ポテンシャル分布の概念上の等電位面は、z軸から半径方向に離隔された一連の点にある電極62cに合う。z=0平面から最も遠い領域内での電磁場をさらに定義するために、個々の電極62cは、それらが交差する様々な等電位面に合致する電位を有するように操作される。体積60c内部での四重極対数ポテンシャル分布が同じ精度であるとすると、電極62cがあることで、電極62cがない場合に可能なよりも分析器10cのz軸長を短くすることができる。
2つのさらなる実施形態が、図2eおよび図2fに概略側断面図として示される。どちらの実施形態も、式(1)によって記述される四重極対数ポテンシャル分布を利用し、どちらも、離散的な電極の組を備える内側および外側電場定義電極システムを1つまたは複数有する。同様の機能には図2a、2b、および2cと同様に符号が付されている。図2eは、すべて同じ外径の1組のディスク電極25eを利用して、2つの対向するミラー40eおよび50eの内側電場定義電極システム20eを構成する。図2eは、2つの対向するミラー40eおよび50eの外側電場定義電極システム30eを構成するために、すべて同じ内径の1組のリング電極35eを利用し、外側電場定義電極システム30eは、形作られたリング電極36eをさらに備える。リング電極36eは、z=0から最も遠い領域内での電場を定義する助けとなるように形作られ、それにより、図2cで参照符号62cを付されたものなど1組のリング電極を使用せずに、それらの領域内で分析器10eが所望の電磁場精度を実現できるようになる。図2fの実施形態は、対向するミラー40fおよび50fの内側電場定義電極システムを形成するために、ただ1つの形作られた内側電場定義電極システム20fを利用する。ミラー40fおよび50fの外側電場定義電極システム30fは、すべて同じ内径の1組のリング電極35fを備える。図2cでの電極62cと同様の電極62fが、z=0平面から最も遠い領域内での電磁場をより良く定義するために同様の役割を果たす。図2eおよび図2fは、本発明の分析器の内側および外側電場定義電極システムを構成するために様々な構造を組み合わせて使用することができることを示す。当業者は他の組合せも想定することができる。
図2に示されるものなど電極システムを利用して、2つの対向するミラーはそれぞれ、異なる形にされた電極システム、および平面z=0内で対称でない電極システムから形成することができ、それでも依然として平面z=0内で対称な対向する電磁場を生成することができる。あるいは、さらなる利点を得るために、2つの対向するミラーは、以下でさらに説明するように、電極システムが対称であるか否かに関わらず、平面z=0で対称な対向する電磁場を生成しないことがある。電極システムが平面z=0で対称でない場合、平面z=0は、2つの対向するミラー内でイオンの変向点から等距離にはないことがある。
図2aに示される分析器内部の主飛行経路は、半径が約100mmであり、z=0平面からの最大距離が138mmである円筒形エンベロープ110の内部にある。主飛行経路は、図3の概略図に示されるように2つのミラーの間に(すなわち内側電極20と外側電極30の間で内側電極20の周りに)反射螺旋軌道120を備える。図3で、同様の構成要素には図2aと同じ参照符号が与えられている。本発明では、z軸からのビームの主飛行経路の半径方向距離は、軸方向振動ごとには変化しない。図示される実施形態では、主飛行経路は、その開始点に再び到達するまでに、z軸に沿って18回の全振動を受ける。z軸に沿った各振動は、単調和運動である。図3aの螺旋軌道120は、ミラーの内側電場定義電極システムが存在しないかのような主飛行経路を示す。すなわち、主飛行経路は、内側電場定義電極システムによって不明瞭にされず、(rの極値での別個の点を図中で見るのは困難であるが)主飛行経路がz=0平面に交差する36個の別個の点がある。電磁場の主パラメータは、周回(すなわち円弧)周波数および軸方向(z方向)振動周波数が、参照番号22で示すように所定の位置でイオンのビームがz=0平面を通過するようなものとなるように選択されている。主飛行経路は、z=0平面でz軸に対して55.96°傾けられ、5°間隔で、平面z=0上でz軸の周りを進行し(すなわち各場合にz=0平面を通る)、それにより72回の半振動または反射後にその開始点に到達する。使用時、主飛行経路を辿るイオンのビームは、平面z=0にあるとき、3000eVの運動エネルギーに対応する円弧速度、および1217.5eVの運動エネルギーに対応する軸方向速度を有する。合計のビームエネルギーは4217.5eVである。この特定の実施形態では、z軸に沿った36回の全振動(z=0平面を横切る72回の通過に等しい)の後、ビームは、分析器軸方向で約9.94m進み、この方向は、開始点に再び到達する前の、イオンの飛行時間分離の方向である。これは、z軸に沿った各全振動ごとに、粒子が円筒形エンベロープ110のz軸長の2倍(すなわち往復)進むことによる(すなわち、1振動当たりの距離が138mm×2=276mm。しかし実効距離は138mm×2π=867mm)。したがって、36回の全振動に関して進む合計の実効距離は867mm×36=31.2mである。ビームは、一方のミラーからの反射ごとに1回、z軸の周りを、1周をわずかに越えて(すなわち5°越えて)周回し、すなわちz軸に沿った全振動ごとに2回(すなわち10°越えて)周回する。
図2aの実施形態と同様に、図2b、図2c、図2e、および図2fに示される実施形態の分析器内部の飛行経路も、図2aでの参照番号110のような円筒形エンベロープを辿る。しかし、異なる飛行経路エンベロープ形状を生成する、本発明を利用する他の分析器も可能である。主飛行経路エンベロープの形状のいくつかの非限定的な例が、図3bに、参照番号110、111、112、113、114で概略的に示されている。また、これらの各エンベロープ形状は、例えば参照符号110a、110b、110c、および110dで示される断面形状の任意のものを有してもよい。
前述したように、主飛行経路上を進む一方で、ビームは半径方向で閉じ込められるが、分析器内部でのビームの円弧発散は閉じ込められない。図4aは、図2および図3のものと同様の四重極対数ポテンシャル分析器において2回未満の軸方向振動を受けるイオンのビーム410の概略図を示し、1回未満の軸方向振動後の円弧方向でのビーム広がり420を示す。図4bは、同様の分析器での同様のビーム460を示すが、ここでは複数の円弧集束レンズアセンブリが組み込まれている。円弧レンズアセンブリは、図4cに示されるプレート432、434の形態での2つの対向する円形レンズ電極を備える。見やすくするために、図4bには内側プレート434のみが示されている。図4bは、その結果得られた縮小された円弧ビーム広がり440も示す。ビームは、どちらの場合にも位置450から同じビーム発散で始まる。図4aから、円弧集束を行わないと、ビーム経路の重なり合いのない分析器内部の経路は非常に限定された長さでしか得られず、既に述べたような出射および検出の付随する問題を引き起こす。図4bは、円弧方向でのビーム発散を制御することができ、はるかに多い反射回数を可能にすることを示す。十分な円弧集束が行われる場合、重なり合いのないビーム経路は原理的には無制限の長さである。
図4bに概略的に示される例では、円弧レンズ430はそれぞれ、円弧角度で10°の離隔距離でz=0平面の周りに位置決めされた1対の対向する円形レンズ電極を備え、ビームがz=0平面に交差するときにビームを捕える。各レンズ430の1つの電極434が、ビームよりも小さいz軸からの半径位置にあり、同じレンズ430の対向する電極432が、ビームよりも大きいz軸からの半径位置にあり、ビームは、図4cに示されるように2つの対向する電極432、434の間を通る。見やすくするために、図4bには、より小さな半径位置にある各対の円形電極434のみが示される。対向するレンズ電極434および432は、それぞれr=97mmおよび103mmで円筒形環状ベルト電極アセンブリ(図示せず)内に位置され、そこから電気的に絶縁される(ここでr=z軸からの半径)。より小さい半径位置にあるベルト電極アセンブリを本明細書では内側ベルト電極アセンブリと呼び、大きい半径位置にあるベルト電極アセンブリを本明細書では外側ベルト電極アセンブリと呼ぶ。したがって、ベルト電極アセンブリは、r=100mmにある主飛行経路に半径方向で近接して各側に位置する。ベルト電極アセンブリの様々な実施形態のさらなる詳細を以下に説明する。ベルト電極アセンブリは、z=0平面上に中心を合わされ、z軸長が44mmである。内側ベルト電極アセンブリは電位U1=−2426.0Vで電気的にバイアスをかけられ、外側ベルト電極アセンブリは電位U2=−2065.8Vでバイアスされ、これらの電位は、それぞれのベルト半径での分析器内の四重極対数ポテンシャルの電位に近い。理想的には、ベルト電極アセンブリは、厳密な円筒形ではなく、それらが配置される領域内での四重極対数ポテンシャルの輪郭(等電位線)に従うが、この例では、その領域内の四重極対数ポテンシャルへの妥当な近似である円筒形電極を使用する。内側ベルトが内側電極につながる点での電磁場の不連続を回避するために、内側ベルトは、z=0での内側電極の公称直径よりもわずかに小さくされる。内側ベルト電極アセンブリは、それぞれ直径14.9mmの36個の均等に離隔されたアパーチャを有し、ここに内側円弧レンズ電極434が取り付けられ、外側ベルト電極アセンブリは、それぞれ直径16.0mmの36個の均等に離隔されたアパーチャを有し、そこに外側円弧レンズ電極432が取り付けられる。代替実施形態では、円弧レンズ電極は、分析器軸zの周りの位置にはないことがあり、そこには、入射および出射を行うために偏向器が配置される。いくつかの好ましい実施形態では、円弧レンズ自体が、偏向電位で通電されたときに偏向器として作用することができる。この例では、内側レンズ電極434は直径13.0mmであり、外側レンズ電極432は直径13.8mmである。レンズ電極は、絶縁体上でベルト電極アセンブリの内部に取り付けられ、それにより絶縁体がベルト電極アセンブリからレンズ電極を絶縁する。他の実施形態では、レンズ電極がベルト電極アセンブリの一部でよい。
ベルト電極アセンブリに印加される電位は、内側および外側電場定義電極システムまたはレンズ電極上の電位とは無関係に変化させることができ、したがってビームは以下の条件を満たす。(i)z軸からのビームの半径方向距離は、軸方向振動ごとには変化しない。(ii)軸方向振動の半期間が、z=0平面での10°の円弧回転角度に対応し、したがってビームは、z=0平面を通過するときに各円弧集束レンズ430上に中心を合わされる。
円弧方向φでのビームの空間的な広がりは、大きな高次収差が誘発されないように、円弧レンズ430のレンズ電極434、432の直径を超えるべきでない。これは、レンズ電極に印加される電位の限度をより低くする。また、主分析器場の歪が生成されないように、レンズ電極に印加される大きな電位も回避すべきである。この例では、イオンビームは、円弧方向で最大+/−5mmのビーム広がりで安定している。広がりがより大きいと、円弧レンズの2次収差が大きくなり、ミラーでの複数回の反射後、いくつかのイオンが円形レンズ電極432、434の外部に広がることがある。また、円弧レンズ430は、半径方向でイオンビーム軌道にいくぶん影響を及ぼし、半径方向でビームをいくらか拡げ、このより大きなビームの拡がりは、軌道を進み始めるイオンに、半径方向でより大きな初期変位を与える。例えば、r=100.5mmで軌道を進み始めるイオンは、半径方向で約+/−1mm以内に保持されるが、r=101.0mmで軌道を進み始める粒子は、半径方向で約+/−3.5mm以内に保持される。半径方向でのビームの拡がりにより、分析器ミラーでの複数回の反射後にイオンの損失が生じることがあり、半径方向でのイオンビームの初期の空間的広がりが十分に大きい場合には、円弧レンズ設計はこれを考慮に入れなければならない。また、初期イオンエネルギー幅が、円弧レンズの集束に影響を及ぼす。この例では、+/−1%までの相対エネルギー幅ΔE/E、+/−0.3mmまでの半径方向広がり、および+/−5mmまでの円弧広がりに、z方向での27回の全振動後にわずか約20%の伝送損失で、かつ80000超の分解能で対処することができる(無視できる時間的な広がりを有するイオンの初期パケットに関して)。
本発明のさらなる例(例B)は、上述したもの(例A)と同様の分析器を利用するが、いくつかの定数、寸法、および電位に関する代替の値が使用される。表1は、2つの例の間で異なる定数、寸法、および電位を示し、すべての他の値は両方の例に関して同じであり、上で詳述したようなものである。
Figure 2012528432
様々な円弧レンズ形状を利用することができる。前述の例の円形円弧レンズ電極432、434を用いると、円弧レンズの1つを通過する直前および直後に、イオンが、2つの隣接する円弧レンズ電極の近くを通り、それらの隣接するレンズから非対称電場を受ける。これは、図5aで概略的に示される。主イオンビーム経路200は、z方向での3回の全振動の過程中にz=0平面210を横切って通る。円弧レンズ220、230、および240は、z=0平面に中心を合わされる。幅+/−3mmのビームが参照番号250で示され、レンズ230に中心を合わされるが、レンズ220および240の近くを通る様子を見ることができる。
2つのより好ましい円弧レンズ設計が、図5bおよび図5cに示される。図5bは、円弧方向よりもz方向で狭い円弧レンズ電極260、270、280を示す。ここでは、参照番号250で示される+/−3mmのビームは、円弧ビーム270を通過する前および後に、隣接する円弧レンズ260および280の近くを通らない。図5cは、合併された円弧レンズ電極を示し、1つのベルト電極アセンブリ内の複数のレンズ電極自体が、1つの形作られたレンズ電極アセンブリ290になる。それにより、形作られたレンズ電極アセンブリ290はそれぞれ、z方向で各縁部に沿って複数の対向する湾曲部293を備え、これらがビームの円弧集束を提供する。ビームは、各通行で、2つの円弧レンズ電極291および292を通過する。所与の円弧集束を得るために印加する必要がある電位が減少され、すべての円弧レンズ電極に印加されるこのより低い電位により、隣接する円弧レンズ電極がビームにあまり影響を及ぼさなくなる。また、この設計は、1次収差が、図5bでの例に関する場合よりも低いという利点も有する。図5bおよび図5cのレンズのmm単位での典型的な寸法が図5dおよび図5eに示され、これは図1および図2の分析器への組込みに適している。図5fは、円弧集束レンズのさらなる実施形態を示し、ここでは、レンズ電極の湾曲部を主飛行経路と位置合わせして位置決めするために、形作られたレンズ電極アセンブリ300としての集束レンズの概念がオフセットと共に利用される(すなわち、レンズアセンブリのz方向で各縁部に沿った対向する湾曲部が、円弧方向で互いにオフセットされる)。さらなる実施形態が図5gに概略的に示され、この実施形態では画素電極310のアレイが利用される。等電位面320が生じ、電極が円弧集束レンズとして機能するように、様々な電位が画素電極に印加される。この例は、十分な数および密度の画素を仮定して、任意のレンズ電極形状を形成することができ、様々なレンズ特性を得ることができるという利点を有する。
円弧集束レンズに関して上述した例は、既に説明したようにベルト電極アセンブリを利用してレンズ電極を支持する。内側ベルト電極アセンブリは、両方のミラーのただ1つの内側電場定義電極システム20から支持される。外側ベルト電極アセンブリは、両方のミラーのただ1つの外側電場定義電極システム30から支持される。内側ベルト電極アセンブリは、z=0平面での内側電場定義電極システムの半径よりもわずかにだけ大きい半径を有し、簡便には、例えば短い絶縁体または絶縁シートを介して内側電場定義電極システムに取り付けることができる。しかし、外側ベルト電極アセンブリ20は、z=0平面での外側電場定義電極システムの半径よりもかなり小さい半径を有する。ベルト電極の取付けを容易にするために、好ましくは外側電場定義電極システム構造20が変形される。ベルト電極アセンブリを取り付けるための好ましい外側電場定義電極構造の概略的な例示が図6に与えられる。図6aおよび図6bは、それぞれ2つのミラーの内側および外側電場定義電極システム600、610の断面図および切欠斜視図をそれぞれ示す。外側電場定義電極システム610は、z=0平面の近くの領域で、直径が狭まったウエスト部分620を有する。図6cは分析器の概略側断面図を示し、ここで、外側電場定義電極システム610が位置620で狭窄している場合に、電極トラック630のアレイが、分析器に面して様々な半径方向位置で位置決めされることが分かる。これらの電極トラックは適切に電気的にバイアスをかけられ、それにより、外側電場定義電極システムのウエスト部分が、分析器内部の他の場所で四重極対数ポテンシャル分布を歪ませないようにする。電極トラックのアレイは、例えば、代替として適切な抵抗性コーティングで置き換えることができ、または他の電極手段を想定することができる。本明細書で言及する際、電極トラックのアレイ、抵抗性コーティング、または主電磁場の歪を抑えるための他の電極手段は、それらの機能により、それらが関係するミラーの外側電場定義電極システムの一部を成す。外側電場定義電極システムのウエスト部分620の内面640は、外側ベルト電極660を支持するために使用され、外側ベルト電極660は、前述したように円弧レンズ電極を支持する。このとき、それぞれ内側および外側のベルト電極アセンブリ650および660を、それぞれ内側および外側の電場定義電極システム600、610から分析器内部に簡便に取り付けることができる。ベルト電極アセンブリ650および660は、短い絶縁体または絶縁シートを介して、内側および外側電場定義電極システム600、610から取り付けることができる。図6cの例では、内側および外側ベルト電極アセンブリ650、660がどちらも、それらが位置決めされる四重極対数ポテンシャル等電位面の輪郭に従うように湾曲されているが、より単純な円筒形区域を使用することもできる。
前述したように、内側および外側ベルト電極アセンブリはどちらもプリント回路板から形成することができ、好ましくはこれは可撓性のプリント回路板材料でよく、ベルトは、円弧集束レンズ電極および偏向器電極と共に作製される。そのような可撓性プリント回路シート材料は、典型的には非常に薄い。これは、真空内部で最初に加熱された後、材料が実質的に完全に脱ガスされ、その後は低い脱ガス特性で安定に保たれるので有利である。そのような可撓性シートは、様々な点で支持して、接着材料によって所定の位置に保持することができる。高真空分析器領域内への接着剤からの脱ガス負荷を減少するために、図5hに示されるようにバッフルシステムを採用することができる。図中、ベルト255は、接着剤265によって支持部材266に支持される。バッフルシステム267は、真空領域268(例えば10-6mbarでよい)を真空領域269(例えば10-9mbarでよい)から分離する。接着剤265からの脱ガスは、バッフルシステム267によって真空領域269から離れるように真空領域268に向けられ、接着剤からのガス負荷が真空領域269の圧力を増加しないことを保証する。このタイプの構成は、真空内部のイオン光学システムの他の構成要素に関しても同様の目的で使用することができる。
円弧集束レンズを支持するための電極アセンブリは、分析器内部で主飛行経路の近くの任意の場所に位置決めすることができる。図6cに示される実施形態の代替実施形態が図6dに概略的に示される。この実施形態では、円弧レンズを支持するただ1つのレンズ電極アセンブリ670が、変向点の1つに、主飛行経路に隣接して位置される。図6dは、分析器の側断面図と、ベルト電極アセンブリ670のz軸に沿った図とを示し、円弧レンズ電極675が分析器軸zの周りに均等に離隔配置されている。この例では、8個のみの円弧レンズ電極675が示される。他の実施形態では、それよりも多くても少なくてもよい。好ましくは、分析器軸zに沿った主飛行経路の各全振動ごとに、隣接する円弧レンズ電極間に1つのギャップがあり、それにより、ビームの円弧集束は、ビームがベルト電極アセンブリに隣接する変向点に到達するたびに生じる。この実施形態でのビームエンベロープは、円筒形680である。円弧レンズ675を支持するベルト電極アセンブリ670は、内側電場定義電極システム600の端部が通る中心アパーチャを有するディスク形状プレートを備える。電極トラック671は、絶縁して設置されてベルト電極アセンブリ670上に取り付けられる。これらの電極トラック671はそれぞれ適切な電気的バイアスを与えられて、ベルト電極アセンブリ670の近傍での主分析器場の歪を減少させ、それによりそれらは、図2cに関連して図示して説明した端部電極62cの使用と同様に働く。
図6eは、本発明の別の実施形態の概略側断面図であり、ここでは、2つの対向するミラーはそれらの構造に関して対称ではない。ミラー45は、一部片の円筒対称の内側電場定義電極システム46と、一部片の円筒対称の外側電場定義電極システム47とを備え(どちらもz軸に関して対称である)、これらは、電気的にバイアスをかけられるときに、内側と外側の電場定義電極システム間の空間内で四重極対数ポテンシャル分布を生成する。ミラー55は、外径が一定の1組の導電性ディスク56を備える多部片の内側電場定義電極システムと、内径が異なる1組の導電性リング57を備える多部片の外側電場定義電極システムとを備える。図2に関して既に説明したように、適切な電位の組を電極56、57に印加することによって、ミラー55の内側と外側の電場定義電極システム間の空間内に四重極対数ポテンシャル分布を生成することができる。この例では、外側電場定義電極システムのすべてのリング57にただ1つの電位を印加することができ、一方、内側電場定義電極システムのディスク56には1組の異なる電位が印加され、各ディスクが異なる電位を印加される。ミラー45、55は、z=0平面91の近くの点89に当接され、分析器体積97(図6eに斜線でハッチングされて示されている)を画定する。本明細書で使用される用語「分析器体積」は、2つのミラーの内側と外側の電場定義電極システム間の体積を表し、内側電場定義電極システム内部の体積までは広がらず、また外側電場定義電極システムの内面よりも外の体積までは広がらない。分析器電場は、分析器体積97内部に生成される。平面z=0(91)は、最低の軸方向電場の平面にあり、すなわち、分析器体積内部の長手方向(z)での分析器電場が最小となる場所である。この例では、z=0平面は、ミラー45、55を備える構造の中点にはなく、またミラー45、55が当接する場所にもない。内側および外側ベルト電極アセンブリ83、84が、z=0平面91の近くに位置されるが、z=0平面91に中心を合わされない。この実施形態では、両方のミラーの外側電場定義電極システムが、ミラーが当接する領域内にウエスト部分61、63を備える。一連の半径方向に延在する同心リングを備える電極トラック66、67が、絶縁(図示せず)を介して外側電場定義電極システムの内面のウエスト部分に取り付けられる。電極トラック66、67は、適切な電位が印加されたときに、分析器体積97内部の四重極対数ポテンシャル分布の歪を抑える。電極トラック66、67は、本明細書では、2つのミラーの外側電場定義電極システムの一部を形成するものと考えられる。
図4および図5に示される円弧集束レンズの例は、ビームの各側で、分析器軸からのより大きいおよびより小さい半径方向距離で、対向するレンズ電極を有する。対向するレンズ電極が円弧方向でビームの各側に配置される代替の円弧集束レンズ設計を採用することができる。このタイプのレンズ構成の一例が図7の概略図に与えられる。図7aは、分析器軸zに沿って見た、四重極対数ポテンシャル分析器のz=0平面での断面図である。外側電場定義電極システム700が、z=0平面で狭窄されて示されている。この例では、内側ベルト電極アセンブリが使用されない。円弧集束レンズ電極710は、集束積層体735内で、内側電場定義電極システム720と外側電場定義電極システム700のウエスト部分との間に積層化され、内側電場定義電極システム720の周りに離隔配置される。積層体は、簡便にはプリント回路板(PCB)から形成することができる。例えば、電極は、厚さ1.8mmであり、各電極間、および積層体の端部電極と内側および外側電場定義電極システム720、700との間に0.2mmの誘電体730を備えていることがある。動作時、積層体730間のギャップ740がイオンビームを受け入れる。分かりやすくするために、1個の積層体につき3個だけ電極が示される。3個よりも多いまたは少ない電極を使用することもできる。さらに、例として12個の積層体のみが示される。実際には、これよりも多いまたは少ない積層体を使用することもできる。各積層体内の電極に電位が印加され、ギャップ740内部に等電位面750を生成する。各積層体内部の電極に印加される電位は、分析器内部で電極が位置決めされる半径位置によって変わる。ギャップ内部の電位分布は、分析器によって生成された等電位面を局所的に歪ませ、これが円弧集束を生み出す。円弧集束に加えて、望まれる場合には、電極の円弧長さの変化が半径方向集束を生み出すこともできる。そのような形作られた電極は、図7aに参照番号760で示される。図7bは、図7aのものと同様のレンズ構成の代替図を示すが、1個の積層体につき、より多くの電極710bを有する。電極トラック770のアレイは、図6に参照番号630で示されるものと同様に、分析器内に面して位置決めされる。これらの電極トラックが適切に電気的にバイアスをかけられ、それにより、外側電場定義電極システム700のウエスト部分が、分析器内部の他の場所で四重極対数ポテンシャル分布を歪ませないようにする。積層体780のz軸高さは、好ましくは1〜4mmの間である。z=0平面から離れたz軸位置にある分析器の隣接部分を、各集束積層体730内部の電極に印加された電位から遮蔽するために、電極710bおよび集束積層体730を2つの追加の遮蔽積層体790の間に挟むことができる。また、積層体790は電極を有するが、これらは主分析器場の等電位面に合致するようにバイアスされ、z=0平面の領域に対する集束積層体電極710bの影響を制限する。
円弧集束レンズは、内側電場定義電極システムまたは分析器内部の他の電極の適切な形状設計によって形成することができる。
円弧集束レンズの好ましい位置決めが、図8を参照して概略的に示される。好ましくは、分析器の対向するミラーは、z=0平面に対して対称である。そのような実施形態では、経路200によって概略的に示される主イオンビーム経路がミラー間で振動しながらz軸の周りを周回し、ミラーからの各反射後に、異なる円弧位置でz=0平面に交差する。すなわち、z軸に沿った振動の各半分ごとに(すなわちミラーからの各反射ごとに)、ビームは、量2πラジアンと小さな角度の和だけ分析器軸zの周りを周回し、この小さな角度は<<2πラジアンである。他の実施形態では、ビームは、量2πラジアンから小さな角度を引いた差だけ分析器軸zの周りを周回することができ、この小さな値は<<2πラジアンであることを理解されよう。したがって、一実施形態では、円弧集束レンズは、図8での円弧レンズ315の位置によって示されるようにイオンビームが交差するz=0平面上の各点に配置することができる。例として、そのようなレンズ315が8個のみ示されている。したがって、複数の円弧集束レンズが、角度θラジアン(ここでθ<<2π)だけ周期的に円弧方向で離隔され、ビームが、各半振動ごとに角度2π+/−θラジアンだけ円弧方向で分析器軸の周りを周回する場合、ビームは、各半振動(各反射)後にz=0で円弧集束レンズを通過する。しかし、より好ましい実施形態では、そうではなく、図8の円弧レンズ325の位置によって示されるように、円弧レンズは、z=0平面から短い距離だけオフセットされて、ビーム経路が逆方向に進んでそれ自体に重なる点に配置される。z=0平面からのオフセットは、例Aの分析器では例えば5mmでよく、例Bの分析器では2.75mmでよい。例として、そのようなレンズ325が4個のみ図面に示されている。これは、各レンズが2回使用されるという利点を有し、レンズ315の場合と同数のレンズ325が使用される場合に、主飛行経路の軌道を互いにより近接させてまとめることができ、それにより合計の飛行経路長が2倍になる。例えば、z=0平面にレンズを配置する場合、イオンビームの主飛行経路の周りに、36個の円弧集束レンズに関して空間が存在することがあり、これは、ビームがその開始位置に戻る前に、z=0平面を36回横切ることを意味する(すなわち、ミラーからの36回の反射またはz方向での18回の全振動)。しかし、上述したようにz=0平面からオフセットしてレンズを配置する場合、これは、ビームがその開始位置に戻る前に、z=0平面を最大72回横切ることを意味する(すなわち、ミラーからの72回の反射またはz方向での36回の全振動)。したがって、オフセットレンズ325の場合には、複数の円弧集束レンズ325が、角度θラジアン(ここでθ<<2π)だけ周期的に円弧方向で離隔され、ビームが、各全振動ごとに角度4π+/−θラジアンだけ円弧方向で分析器軸の周りを周回する場合、ビームは、各全振動ごとに2回、各円弧集束レンズを通過する。
次に、分析器体積内および主飛行経路へのビームの入射のさらなる実施形態を説明する。
分析器への入射のための第1のグループの方法が、図9および図10の概略断面図に示されている。同じ構成要素には同じ参照符号が付されている第1のグループの実施形態において、図9aは、平面z=0での分析器の断面図であるが、z=0平面からずれたいくつかの機構も含む。それぞれ内側および外側の電場定義電極システム900、910と、主ビーム920の主飛行経路の一部分が示されている。本明細書で言及する主ビームとは、公称ビームエネルギーを有し、ビーム発散のないイオンが取るビーム経路を意味する。内部入射軌道である入射軌道930a(破線で示される)は、外側電場定義電極システム910内部(すなわち分析器体積内部)に位置される。イオンは、外部入射軌道940a(点線で示される)から、一方のミラー、またはいくつかの実施形態では両方のミラーの外側電場定義電極システム910のアパーチャ950aを通って、分析器体積に入る。イオンは、入射軌道930aに沿って、点Pで主飛行経路920上に進む。イオンは入射軌道930aに沿って進むが、主分析器場がない状態で進み、この例では、入射軌道は直線であり、外側電場定義電極システムから主飛行経路まで実質的に延びる。入射軌道930aは、点Pで接線方向で主飛行経路920に交わる。図9bは、図9aが当てはまる入射構成を示すが、矢印Aの方向で見た直交側断面図であり、この例では、イオンが外部軌道940b(図9aでは940a)から、分析器ミラーのただ一方の外側電場定義電極システム910のアパーチャ950b(図9aでは950a)を通って分析器に入ることを示す。この例では、点Pは、距離960bだけz=0平面から変位される。これは、入射軌道930bがz=0平面上で主飛行経路920につながることが(そうであってもよいが)必須要件ではないからである。変位は、主飛行経路を進行し始めた後にイオンが当たる最初のミラーに向かうものでも、またはそこから離れるものでもよい。この例では、イオンは、主分析器電場の作用下で主飛行経路を進行し始めるのに適切なエネルギーおよび運動方向で点Pに到達する。
例えば図9および図10に関係する本明細書での特定の例、およびいくつかの他の例では、説明を分かりやすくするために、ビームが入射軌道を渡って進む一方で主分析器場をオフにすることによって入射が例示される。しかし、代わりに、主分析器場をオフにせずに、しかし主分析器場から入射軌道を遮蔽することによって同じ入射方法を行うことができることを理解されよう。すなわち、点Pまでの入射軌道を主分析器場から遮蔽することができ、この場合、主分析器場は、好ましくは入射中にオフにされず、電圧の高速の切換えを必要としないという観点から有利である。2つのミラーの外側電場定義電極システムでの電位は同じであり、また分析器内部のすべての電極に電位(ゼロでもよい)が印加され、分析器内部の体積を電磁場のない状態にする。点Pで主飛行経路920にビームが到達すると、分析器電極での電位が印加されて、主分析器場を生成する。荷電粒子ビームが、主分析器場を生成するために分析器での電位が印加されるときに分析器の主飛行経路920に沿って進むのに必要な運動エネルギーで、入射軌道930(930a〜930g)に向けられる(しかし、任意選択で、点Pに到達した後に与えられる運動エネルギーの変化によって、別の運動エネルギーを使用することもできる)。これらの例では、ビームが主飛行経路920に沿って進むとき、両方のミラーの内側電場定義電極システムでの電位は−2587Vであり、両方のミラーの外側電場定義電極システムでの電位は0Vである。ビームが入射軌道930を渡って進む一方で、両方のミラーの内側電場定義電極システム900での電位は0Vに設定される。したがって、点Pに到達すると、両方のミラーの内側電場定義電極システム900に電位が印加されるとき、ビームは、分析器軸に向かう加速電磁場を受け、これがビームを分析器内部で周回させる。分かりやすくするために、図9および図10は、前述した円弧集束レンズおよびそれらの支持ベルト電極アセンブリを省く。ビームが入射軌道930を渡って進む一方で、これらの構成要素での電位もまた0Vに設定され、次いでビームが点Pに到達したときに回復される。ビームは、外側ベルト電極(図示せず)のアパーチャを通過することによって点Pに到達する。
既に説明したように、本発明の入射は、ビームが入射軌道を渡って進む一方で主分析器場とは別の電磁場を生成することによって行うことができ、その電磁場は必ずしもゼロでない。
図9cは、入射の別の例を示す。図9aの図がこの例にも当てはまる。この場合の外部軌道940cもやはり、1つのミラー910の外側電場定義電極システムのアパーチャ950cを通って分析器に入り、その点で入射軌道930cが始まり、ここでも点Pは、平面z=0上には位置せず、距離960cだけオフセットされている。しかし、この例では、イオンは点Pに到達し、z=0平面に平行な方向に進み、これにより、再位置合わせなしではイオンが主飛行経路上を進行し始められず、ビームが主飛行経路920を進行し始めることができるようにビームの速度を変えるために点Pの近くに偏向器970が提供され、ビームをz方向で偏向させる。偏向器970は、1対の偏向器プレートとして概略的に示される。この偏向は、z方向でのビームの速度を増加させ、円弧方向でのビームの速度を減少させる。
図9dは、入射軌道930dが任意の角度から点Pに向けられる一般的な場合を示す(すなわち、図9cに示されるようにz=0平面に平行なだけではない)。ここでも、入射軌道が点Pで接線方向で主飛行経路に交わるように向けられているので、図9aがこれらの場合にも当てはまる。z方向での偏向は、図9bの例と同様に入射軌道930dが主飛行経路と位置合わせされないすべての場合に必要とされる。この偏向は、入射軌道が主飛行経路に交わる角度に応じて、z速度を増加させるためのものでも、またはz速度を減少させるためのものでもよい。それに従って、円弧方向の速度が増減されることもある。
図10は、第2のグループの入射例を示す。図9での構成要素と同様の構成要素には同じ識別符号が付されている。これらの例では、入射軌道930は、主飛行経路920に接線方向では交わらず、図10aに示されるように接線に垂直に交わる。図10aは、平面z=0での分析器の概略断面図であるが、z=0平面からずれたいくつかの機能も含む。それぞれ内側および外側の電場定義電極システム900、910と、主ビーム920の主飛行経路が示されている。入射軌道930e(破線で示される)は、一方のミラー、またはいくつかの実施形態では両方のミラーの外側電場定義電極システム910の内側で分析器体積内部に位置される。イオンは、外部軌道940e(点線で示される)から、外側電場定義電極システム910のアパーチャ950eを通って分析器に入る。イオンは、入射軌道930eに沿って、点Pで主飛行経路920上に進む。イオンは入射軌道930eに沿って進むが、主分析器場がない状態で進み、この例では、入射軌道930eは直線であり、外側電場定義電極システム910から主飛行経路まで実質的に延びる。入射軌道930eは、点Pで、主飛行経路の接線に直交して主飛行経路920に交わる。図10bおよび図10cは、図10aが当てはまる入射構成の一例の、互いに直交する2つの側断面図を示し、どちらの図も図10aに直交である。図10bは、矢印Aの方向で見た側断面図であり、図10cは、矢印Bの方向で見た側断面図である。イオンビームは、外部軌道940fを辿り、外側電場定義電極システム910のアパーチャ950fを通過し、入射軌道930fを進行し始める。このビームは、1つまたは複数の偏向器(例えば電気セクタ)によって偏向されて、主飛行経路(図示せず)上で運動を開始し、それにより、点Pに到達した後、ビームが主飛行経路920を進行し始める。この場合、偏向器は、円弧方向でビームの速度を増加し、半径方向内側へのビームの速度を減少するように作用する。図10dは、入射軌道930gが任意の角度から点Pに向けられる一般的な場合を示す。その角度が、点Pで主飛行経路が取る角度に等しくない場合、偏向が必要とされる。
また、入射タイプは、図9と図10に示される場合を組み合わせて構成することもでき、その際、主分析器場がない状態で、入射軌道は任意の角度で点Pに向けられ、入射軌道は、主飛行経路に接線方向でも、主飛行経路の接線に直交する方向でも交わらない。
また、入射は、点Pが分析器での変向点の1つにある、またはその近くにある場合に簡便に構成することができる。この場合、偏向器をサポートするために、図6dに参照番号670で示されるものなどベルト電極を使用することができる。
さらなる入射実施形態が図10eおよび図10fに示され、これらの図は、本発明による分析器の概略側断面図を示し、ここで同様の構成要素は、前述の図で使用した同様の参照符号によって識別される。図10eで、ビームは、ミラーでのビームの最大変向点よりも大きいz位置で、しかし主飛行経路と同じ分析器軸からの半径で、一方のミラーの外側電場定義電極システム910のアパーチャ950jを通って分析器体積に入る。ビームは、z=0平面で点Pで主飛行経路920に到達するまで内部入射軌道930kを渡って進み、そこで偏向器(図示せず)から円弧方向での偏向を受ける。イオンビームが分析器体積に入るとき、一点鎖線で囲まれた領域Aはある電位に保持され、この電位は、ビームが主飛行経路上を進んでいるときに保持される電位とは異なる。これは、最大変向点よりも大きいz点に位置される適切な電磁場減少または変更電極(図示せず)の存在によって簡便に実現することができる。ビームが分析器体積に入る一方で、電磁場スポイリングまたは修飾電極が電気的にバイアスされ、それにより領域A内部の電位が歪を受ける。ビームが主飛行経路でのその進行を開始したとき、領域A内の電位分布は、ビームが安定な主飛行経路920で進行を続けるのに必要な電位分布に回復される。図10fは、同様の領域Aを有する類似の構成を示すが、ビームは、一方のミラーの外側電場定義電極システム910のアパーチャ950kを通って、主飛行経路とは異なる半径で分析器体積に入る。その場合、ビームはさらに、点Pで主飛行経路に入る場所で、半径方向での偏向を加えられる。
他の入射実施形態を利用する分析器への入射が、図11および図12の概略図に例示される。図9の構成要素と同様の構成要素には同じ符号が付されている。第1のグループの実施形態において、図11aは、平面z=0での分析器の断面図であるが、z=0平面からずれたいくつかの機構も含む。それぞれ内側および外側の電場定義電極システム900、910と、主ビーム920の主飛行経路が示されている。入射軌道930h(破線で示される)は、外側電場定義電極システム910内部の分析器体積内に位置される。イオンは、外部軌道940hから、一方または両方の分析器ミラーの外側電場定義電極システム910のアパーチャ950hを通って分析器に入る。イオンは、入射軌道930hに沿って進み、点Sで、主飛行経路とは異なるz軸からの距離990で、入射軌道980上に進む。イオンは入射軌道930hに沿って進むが、主分析器場がない状態で進み、例えば、内側および外側電場定義電極システム900、910での電位がオフにされ、したがってこの例では、入射軌道930hは直線であり、点Sで、外側電場定義電極システム910から入射軌道980まで実質的に延びる。点Sに到達した後、主分析器場がオンにされ、ビームは、主分析器場の存在下で入射軌道980に沿って進み、この主分析器場はまた、ビームが主飛行経路の開始時に点Pに到達するとき、およびビームが主飛行経路に沿って進むときにも印加される電磁場である。この例では、イオンの入射軌道980(一点鎖線で示される)が距離990での経路上に残らず、分析器軸zに向けて半径が徐々に減少する螺旋に沿って進み、点Pで主飛行経路に交わるように、イオンの運動エネルギーが選択される。本明細書では、入射軌道が主飛行経路とは異なる距離にあるという言及は、入射軌道がその距離で経路上に残っていることは意味せず、ビームが少なくとも一点でその距離で進むことだけを意味する。入射軌道980上のイオンは、内側に螺旋運動し、最終的には点Pに達するが、主飛行経路上を進行し始めるのに適切な速度を有さない。図11bは、図11aの矢印Aの方向で見た直交側断面図でこの例を示す。見やすくするために、図11bには主飛行経路を示さず、入射軌道980の一部分のみを示す。入射軌道930hが入射軌道980につながる点Sは、内側と外側の電場定義電極システム900、910の間の分析器内の任意の位置でよく、この例では、正確にz=0平面上にはないが、その近くにある。点Pまたはその近くで主飛行経路に到達または接近すると、イオンは偏向デバイス(図11には図示せず)によって偏向され、分析器軸zから離れるように半径方向でイオンに追加の速度が与えられ、そこでイオンは主飛行経路920上を進行し始めることができる。偏向器アセンブリの半分を備える1つの電極の一例が、図12aに示される。z軸高さ40.0mmのベルト電極アセンブリ905が、円弧集束レンズアセンブリの片割れと、偏向器アセンブリ923の片割れとを支持し、これらはそれぞれ、ベルト内部に設置され、絶縁体935によってベルトから電気絶縁されている。この実施形態では、ベルト電極アセンブリ905およびレンズアセンブリ915は、分析器軸から同じ半径に位置される。図示されるすべての寸法がmm単位である。図12bは、同様の構成要素に関しては図11と同様に識別符号を付した、分析器の一部分を通る概略側断面図を示す。両方のミラーの外側電場定義電極システムが、狭窄部分955を有する。それぞれ内側および外側の電場定義電極システム965および975は、それぞれ内側および外側の偏向電極923、924を支持する。図11に示されるように、ビームは、主飛行経路920よりも大きい分析器軸zからの距離にある点Sまで入射軌道930(図示せず)を渡って進み、その後、ビームは入射軌道980kを進行し始め、内側に向かって螺旋運動し、偏向電極923、924の間のギャップを通過して、主飛行経路920上の点Pに達する。入射に関し、偏向電極923、924は、分析器赤道上の1つの位置にしか存在しない。赤道上の他の点には、円弧集束レンズ電極996および997が存在する(そのうちの1対のみが図示される)。さらに説明するように、分析器からのビームの出射を行うために、追加の偏向電極の対を赤道上に位置決めすることができる。図12bに示されるベルト、レンズ、および偏向電極は、一律の縮尺ではなく、軌道は、単に概略的に示したものにすぎない。見やすくするために、偏向器アセンブリの両方の偏向電極923、924、および円弧レンズ電極996、997は、それらが取り付けられているベルト電極アセンブリ965、975から隆起しているように概略的に示されているが、実際上は、これらの電極をベルト電極アセンブリ内に設置することができ、ベルト電極アセンブリと偏向器およびレンズ電極との表面は面一でよい。
偏向電極923、924が通電されないとき、電極は、それらに隣接する円弧レンズ電極と同じ電位に設定される。偏向電極923、924が通電されるとき、追加の電圧がそれらに印加される。図12aに示されるように電極を利用する例では、通電されたときに、内側偏向電極923はさらに+200Vを印加され、外側偏向電極924(図12aには図示せず)はさらに−100Vを印加される。図12aの円弧レンズ電極設計915に関して、円弧レンズ電極は、それらを支持するベルト電極アセンブリの電位にさらに+30Vを加えた電位を有する。また、偏向電極の対923、924は、偏向に使用されないときには、円弧集束のために使用することもでき、その場合、1対の電極両方に共通の電位がかけられる。同様のベルト電極アセンブリ、円弧レンズ電極、および偏向電極を、図10の入射実施形態で使用することができる。
図11cは、入射のさらなる実施形態を示し、分析器を通る平面z=0での分析器の断面図であるが、z=0平面からずれたいくつかの機構も含む。それぞれ内側および外側の電場定義電極システム900、910と、主ビーム920の主飛行経路が示されている。入射軌道930i(破線で示される)は、外側電場定義電極システム910内部の分析器体積内に位置される。イオンは、外部入射軌道940iから、一方または両方の分析器ミラーの外側電場定義電極システムのアパーチャ950iを通って分析器に入る。イオンは、入射軌道930iに沿って、主分析器場のない状態で、点Sで、主飛行経路とは異なるz軸からの距離990iで入射軌道980i上に進む。点Sでは、荷電粒子は、主分析器場を受ける。この例でも、イオンの入射軌道980i(一点鎖線で示される)が距離990での経路上に残らず、分析器軸に向けて半径が徐々に減少する螺旋に沿って進み、点Pで主飛行経路に交わるように、イオンの運動エネルギーが選択される。イオンは、点Pに到達し、主飛行経路920上を進行し始めるのに適切な速度を有さない。図11dは、図11cの矢印Aの方向で見た概略側断面図での図11cの例を示す。見やすくするために、図11dには主飛行経路を示さず、入射軌道980の一部分のみを示す。ここでも、入射軌道930が入射軌道980につながる点Sは、内側と外側の電場定義電極システム900、910の間の分析器内の任意の位置でよく、この例ではz=0平面上にはない。図11aおよび11bの実施形態とは異なり、ビームは、点Sまたはその近くで偏向デバイス(図示せず)によって偏向されて、入射軌道980iを進行し始める。点Pまたはその近くで主飛行経路に到達または接近すると、イオンは偏向デバイス(図11には図示せず)によって偏向され、分析器軸から離れるように半径方向でイオンに追加の速度が与えられ、そこでイオンは主飛行経路920上を進行し始めることができる。図12aに示されるものと同様の偏向デバイスが、同様に使用される。
図11eは、図11bおよび図11dと同様の概略側断面図であり、この図は、入射軌道930jがz=0平面に対して任意の角度から点Sに到達するが、それでも分析器軸からの半径に対して接線方向で点Sに到達する一般的な場合を示す。したがって、図11cが、図11eに示されるすべての場合に当てはまる。ビームの偏向は、点SおよびPまたはその近くで、図11dを参照して説明したのと同様に行われる。
図13は、図11および12に示されるものと同様の第2のグループの入射実施形態を概略断面図で示す。図9での構成要素と同様の構成要素には同じ識別符号が付されている。これらの例では、入射軌道930m、930nは、点Sで、分析器軸から点Sへの距離に対して接線方向では入射軌道980に交わらず、図13aに示されるように接線に垂直に交わる。図13aは、分析器を通る平面z=0内での分析器の概略断面図であり、z=0平面からずれたいくつかの機能も含む。それぞれ内側および外側の電場定義電極システム900、910と、主ビーム920の主飛行経路が示されている。入射軌道930m(破線で示される)は、外側電場定義電極システム910内部の分析器体積内に位置される。イオンは、外部軌道940m(点線で示される)から、一方または両方の分析器ミラーの外側電場定義電極システム910のアパーチャ950mを通って、分析器体積に入る。イオンは、入射軌道930mに沿って、点Sで入射軌道980m上に進む。イオンは入射軌道930mに沿って進むが、主分析器場がない状態で進み、この例でも入射軌道930mはやはり直線であり、点Sで、外側電場定義電極システム910から入射軌道980mまで実質的に延びる。入射軌道930mは、点Sで入射軌道980mの接線に直交して入射軌道980mに交わる。図13bおよび図13cは、図13aが当てはまる入射構成の一例の、互いに直交する2つの概略側断面図を示し、どちらの図も図13aに直交である。図13bは、矢印Aの方向で見た側断面図であり、図13cは、矢印Bの方向で見た側断面図である。イオンビームは、点Sに位置される偏向デバイス(図示せず)によって偏向され、それにより点Sに到達した後、ビームが入射軌道980mを進行し始める。この場合、偏向デバイスは、円弧方向でビームの速度を増加し、半径方向内側へのビームの速度を減少するように作用する。図13dは、入射軌道930nが、任意の角度から入射軌道980n上の点Sに向けられる一般的な場合を示す。その角度が、点Sで入射軌道が取る角度に等しくない場合、点Sでの偏向が必要とされる。図12aに示されるものと同様の偏向デバイスが、同様に使用される。本明細書で説明する任意の入射タイプで使用するのに適した偏向デバイスは、静電セクタを含む。
また、入射は、図11と図13に示される場合を組み合わせて構成することもでき、その際、主分析器場がない状態で、入射軌道は任意の角度で点Sに向けられ、入射軌道930は、点Sで、入射軌道980に接線方向でも、入射軌道980の接線に直交する方向でも交わらない。
本発明のいくつかの実施形態では、入射軌道930、すなわち入射軌道の実質的に直線の区域が存在しない。入射軌道930が存在しないこの入射タイプの好ましい実施形態で使用される静電セクタの一例が、図15に概略的に示される。図15では、図9とものと同様の構成要素には同じ識別符号が付されている。図15は、分析器の一部のみの平面z=0での断面図を示す。この例では、静電セクタ1010は、分析器体積の外部に位置決めされるが、両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分620に隣接して位置決めされ、この狭窄部分620は、図6に関連して説明したのと同様に利用され、通常可能なよりも主飛行経路920のはるかに近くに静電セクタ1010を位置決めする。セクタ1010は、ビームが外側電場定義電極の狭窄部分620のアパーチャを通過するとすぐに、点Sでビームを45°偏向させて入射軌道980q上に進め、すなわち点Sはアパーチャに位置される。アパーチャは、z=0平面からずれているので、図15には示されていない。図16aに関連してこれをさらに説明する。セクタは、内側セクタ電極要素1020および外側セクタ電極要素1030を備える。内側セクタ電極要素は半径が26.0mmであり、外側セクタ電極要素は半径が34.0mmである。それぞれ内側および外側のベルト電極アセンブリ1040、1041が図示される。入射するビームは、外部軌道940qに沿って分析器体積の外部に進み、内側および外側セクタ要素の間でセクタに入り、その後、45°偏向されて、入射軌道980q上の点Sに進む。分析器軸zの部分周回後、内側に螺旋状に延びる入射軌道980q(図15では(x,y)座標(80,−28)の近くに再び現れる)は、ミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分620よりも小さい分析器軸からの距離にある。次いで、ビームは、主飛行経路920上の点Pに到達し、主飛行経路を辿るように進行する。外側および内側セクタ要素にそれぞれ電位+580Vおよび−580Vが印加される。この実施形態での、すなわち主飛行経路がr=100mmでの粒子の運動エネルギーは、4350eVである。
図16aは、図15の好ましい入射実施形態の分析器の一部分の概略図を示し、図16bは、図16aの図に直交する側面図を概略断面図で示し、断面平面内にはないビームなどいくつかの特徴も含む。図16aおよび図16bは、内側および外側ベルト電極アセンブリ1040、1041と、内側および外側円弧レンズアセンブリ915、916と、入射偏向器電極925と、入射セクタ1010とを備える分析器の一部分を示す。見やすくするために、外側ベルト電極アセンブリ1041、外側レンズアセンブリ916、外側偏向器電極926、および大半の外側電場定義電極システム610は、図16aには示されていない。図16bは、外側および内側電場定義電極システム610、600を示す。外側電場定義電極システム610は、図6に関連して前述したようなウエスト部分620を有し、図16aおよび図16bのどちらにも示されるアパーチャ1060を含む。また、図16bは、図6でのトラック630に関連して説明したものと同様の電極トラック630を示す。アパーチャ1060は、外側電場定義電極システムのウエスト部分620に位置され、ウエスト部分620には、図6に示される電極トラック630のアレイが位置される。アパーチャ1060は、外側電場定義電極システムのウエスト部分620と、電極トラック630のアレイのいくつかとに穿孔する。イオンビームは、パルスイオン源(図示せず)から出て、外部軌道940qに沿って、セクタ1010に入り、そこでセクタによる作用を受け、点Sで、狭窄された外側電場定義電極システムのアパーチャ1060を通過後、分析器体積内部での入射軌道980qを進行し始める。この例では、主分析器場が存在する状態でビームが入射軌道980qを渡って進む。この好ましい実施形態は、直線の内部入射軌道を有さない(すなわち点Sの前の分析器体積内部の軌道がない)。入射軌道980qに沿った分析器軸のほぼ1周の周回後、ビームは、内側および外側ベルト電極システム1040、1041間の点Pに到達し、外側ベルト電極アセンブリ1041のアパーチャを通過する必要はない。なぜなら、図16bおよび図15で見ることができるように、入射軌道980qが、分析器軸からの距離を減少しながら螺旋状に延びており、外側ベルト電極システム1041の半径内にあるからである。次いで、図16bによって示される入射偏向器電極925、926によってビームに作用を及ぼし、半径方向速度成分を与えて、ビームのさらなる内側への螺旋運動を防止し、次いでビームは点Pで主飛行経路920を進行し始める。図16aでの点線1070は、分析器軸の周りで取られる周回(入射軌道980qまたは主飛行経路上)を示すものであり、一律の縮尺ではない。ビームは、点Sでの入射軌道の進行開始と点Pでの主飛行経路の進行開始の間で1つの変向点(すなわち1つのミラー内)を通過することが分かる。この例では、主飛行経路920は、円弧レンズ915の各1つを、分析器の長手方向軸zの方向での1回の振動につき2度通過する。入射偏向器は、図12に関連して説明したのと同様の異なる半径での2つの対向する電極925、926を備える。偏向器として使用されないとき、同様の電気的バイアスを両方の対向する電極に印加して、偏向器を別の円弧レンズに変換することができる。
このように静電セクタ(例えばセクタ1010)を使用することは、様々な運動エネルギーのイオンの時間的焦点面を、分析器内のzが一定の平面(例えばz=0、またはz=0に近い平面)と位置合わせすることができるという追加の利点を提供することができる。さらに、図15に示されるように静電セクタの位置合わせを実現することができ、図15では、セクタからのすべての主要な電気的な力が半径方向および円弧方向で生じ、分析器軸の方向zではほとんどまたは全く力が作用しない。これは、セクタ内のすべてのイオンに関してz軸に沿って同じ経路長を維持する効果を有し、したがって、分析器内部の時間的焦点面の位置または角度を変えない。
さらなる入射タイプが、図14に概略的に示される例で示される。図14aおよび図14bは、同じ実施形態の、互いに直交する2つの側断面図を示す。図9での構成要素と同様の構成要素には同じ識別符号が付されている。イオンは、外部軌道940pに沿って分析器体積の外に進み、アパーチャ950pを通って分析器体積に入る。分析器体積の内部で、それらは入射軌道930p、および点Pで主飛行経路920に進む。この点Pは、この例では平面z=0上にはないが、他の実施形態では平面z=0上にあることもある。主飛行経路920は、それぞれ内側と外側の環状ベルト電極アセンブリ1040と1041の間を通り、これらのアセンブリ1040および1041は、z=0平面で内側電場定義電極システム900と同軸であり、それを取り囲む。ビームが主飛行経路920を進行し始めるのに、円弧方向での偏向が必要であることも必要ないこともある。必要な場合には、前述したものなど偏向デバイスを使用することができる。この例では、主分析器場とは異なる入射分析器場が存在する状態でビームが入射軌道930pを渡って進む。ビームが点Pまたはその近くに到達するとき、分析器内部の電磁場は、内側および外側電場定義電極システム900、910に対する電気的バイアスを変えることによって、入射電磁場から主分析器場に変えられる。ビームは、点Pに到達した後、主分析器場の存在下で主飛行経路920を進行し始めるような入射運動エネルギーを有する。入射軌道930pは直線として示され、この例では、入射電磁場は主分析器場よりもはるかに低い強度であり、ビームは、直線からわずかにだけずれて入射軌道に沿って進む。任意選択で、入射電磁場の強度は、主分析器場強度のかなりの割合でもよく、この場合、入射軌道930pは直線から大幅にずれる。
図14cに、代替実施形態が図14bと同じ視点から概略的に示される。この場合、ビームは、主分析器場の存在下で入射軌道930rに沿って進むが、その際、点Pに到達した後にビームが主飛行経路に沿って進むようにする運動エネルギーよりも大きい入射運動エネルギーを有して進む。したがって、ビームが点Pに接近するにつれてビームの運動エネルギーを減少させるために、減速デバイスが使用される。入射軌道930rは、この例では曲線経路である。
さらに別のタイプの入射が、図17に図示される例に示され、図17は、概略側断面図として2つの代替実施形態を示す。同様の機能には図6と同じ識別符号が付されている。図17aで、入射器681が、イオンを、分析器601の分析器体積の外部で外部軌道940sに沿って進める。イオンは、外側電場定義電極システム610の狭窄部分620のアパーチャ950sを通過し、その後、分析器601の分析器体積に入る。イオンは、分析器体積内部で、主分析器場の影響下で入射軌道930sに沿って進み、外側ベルト電極アセンブリ660のアパーチャ688を通って、点Pで主飛行経路920上に進行する。入射軌道930sは、分析器601のサイズに比べて短い。偏向器(図示せず)が、点Pの近くで内側および外側ベルトアセンブリ650、660上に取り付けられて、ビームを偏向させるように作用し、それにより半径方向外側への力をビームに与えることによってビームは主飛行経路920上を進行し始める。
代替実施形態が図17bに示される。入射器681は、分析器体積の外部で、内側電場定義電極システム600よりも小さい半径位置に位置決めされ、イオンを外部軌道940tに沿って分析器602の外部に向ける。イオンは、内側電場定義電極システム600のアパーチャ685を通過し、分析器602の分析器体積に入る。イオンは、分析器体積内で、主分析器場の影響下で入射軌道930tに沿って進み、内側ベルト電極アセンブリ650のアパーチャ689を通って、点Pで主飛行経路920上に進行する。入射軌道930tは、分析器602のサイズに比べて短い。偏向器(図示せず)が、点Pの近くで内側および外側ベルトアセンブリ650、660上に取り付けられて、ビームを偏向させるように作用し、それにより半径方向内側への力をビームに与えることによってビームは主飛行経路690上を進行し始める。
図17aと図17bのどちらの実施形態においても、図12に示して上述したような偏向器が、点Pまたはその近くで半径方向外側または内側の力を与えるのに適している。これらの入射偏向器、ならびにそれぞれ外側および内側のベルト電極アセンブリのアパーチャ688および689は、入射器681と連絡してz=0平面の近くで分析器内部の1つの円弧位置にのみ位置すればよく、したがって分析器内部のどこでも主分析器場に影響を及ぼさない。偏向器の代替形態は、内側および外側ベルト電極アセンブリ上に取り付けられ、しかし円弧集束レンズの列には組み込まれていない対向する電極を備えることができる。そうではなく、電極は、z方向で円弧集束レンズから変位されたベルトアセンブリの領域上に位置させることができる。
説明するすべての入射タイプおよび例において、偏向は、点Pまたはその近くでの荷電粒子の運動エネルギーを変化させることを含むことがあり、それによりビームは、主飛行経路上で分析器を通る安定な進行に適切なエネルギーで、主飛行経路を進行し始める。
入射のさらなる好ましい実施形態が図17cに示され、図17cは、ビームの入射が行われる赤道の領域内で分析器を通る断面の概略斜視図を示す。外側電場定義電極システム610の一部が図示され、これは部分620で狭窄されている。ビームは、分析器体積の外部で(すなわち狭窄部分620の外部で)外部入射軌道940uを辿り、ビームの偏向のために電気セクタ912に入る。セクタ912は、狭窄部分620によって部分的に支持され、かつ内側電場定義電極システム600によって部分的に支持される。前の実施形態で説明したように、関連の円弧集束レンズ電極を備える内側ベルト電極アセンブリは、内側電場定義電極システム600の外面上に支持されて存在し、関連の円弧集束レンズ電極を備える外側ベルト電極アセンブリは、狭窄部分620の内面上に支持されて存在するが、例示を容易にするために図面には示されていない。ビームは、外側ベルト電極アセンブリおよび狭窄部分620の外部に位置する入口アパーチャ914を通ってセクタ912に入り、ビームは、半径方向rおよび円弧方向Φに偏向される。ビームは、出口アパーチャ916を通ってセクタ912から出て、出口アパーチャ916は、外側ベルト電極アセンブリ660内部に位置し、かつ主飛行経路920と同じ半径(すなわち同じz軸からの半径方向距離)に位置し、すなわち、半径方向で、内側および外側ベルト電極システムと円弧集束電極(図示せず)の間にある。したがって、ビームは、主飛行経路920の進行開始時に点Pでセクタ912から直接出て、次いで主飛行経路920に沿って進む。z方向で作用する力がないので、セクタ912によって提供される時間焦点はない。分析器体積外部の時間焦点が円901aによって示され、主飛行経路上で分析器体積内部の時間焦点が円901bによって示される。
ビームを主飛行経路上に直接偏向するために電気セクタを利用する好ましい実施形態が、図17dに分析器の赤道を通る概略断面図で示され、ここで前の図と同様の構成要素には同じ参照符号が付されている。Cトラップ1110の形態でのパルスイオントラップが、外側電場定義電極システム610の外部に位置される。Cトラップ1110が、分析器体積内に入射するためのイオンのパケットの形態でビームを発生する。Cトラップからのイオンパケットの入射軌道は矢印によって示される。イオンパケットは、全体を参照符号1100で示されるイオン光学系によって、その入口アパーチャ914を通して電気セクタ912内に案内される。イオンパケットは、セクタ912の出口アパーチャ916で主飛行経路上に直接出て、セクタ912は、主飛行経路と同じ半径に位置する。セクタ912は、狭窄部分620によって部分的に支持され、かつ内側電場定義電極システム600によって部分的に支持される。前述の実施形態で説明した内側および外側ベルト電極アセンブリが分析器内に存在するが、図面の断面図には図示されていない。
電気セクタを使用するさらなる同様の好ましい入射実施形態が図17eに示され、図17eは、入射構成要素の領域内で、切欠側面図の一部を示す。この図では、Cトラップ1110、イオン光学系1100、電気セクタ912をそれぞれ明確に見ることができる。外側電場定義電極システム610および内側電場定義電極システム600が示される。外側電場定義電極システム610は狭窄部分620を有し、狭窄部分620は、入射のためのイオン光学系の一部を取り囲み(光学系は、それにより分析器体積の外部に位置する)、セクタ912を部分的に支持する。また、セクタ912は、内側電場定義電極600によって部分的に支持される。セクタ912への入口914は、外側電場定義電極610の狭窄部分620によって取り囲まれた分析器体積の外部の領域内に位置する。このようにして、主分析器場が分析器体積内部でオンにされたとしても、分析器体積内部の主分析器場を受けずにイオンがセクタ912に入る。図17cおよび図17dに示される実施形態と同様に、イオンは、Cトラップ1110から入射され、イオン光学系1100を通って、かつ最終的にセクタ912を通って進み、主飛行経路上でセクタ出口916から直接出る。外側電場定義電極610の狭窄部分620の最も内側の表面は、主飛行経路の半径の外側に位置する外側ベルト電極(図示せず)を支持する。主飛行経路の半径の内側に位置する外側ベルト電極とは反対側に、内側ベルト電極(これも図示せず)が位置する。外側および内側ベルト電極(図示せず)は、前の図を参照して説明したのと同様に円弧集束レンズ(図示せず)を支持する。分析器体積の側で、狭窄部分620の半径方向内側に向いた側面が、前に説明したものと同様の電極トラック630を有する。電極トラック630は、狭窄部分620の表面の近傍での主分析器場の電位、この場合には四重極対数ポテンシャルを維持するために、電圧が印加される。また、同様の電極トラック(図示せず)が、分析器体積内に面する電気セクタ912の表面上にも提供される。
前述したように、内側および外側電場定義電極システムはガラスからなることがある。そのようなガラス電極は、インバーなどの金属よりも軽量であり(ガラス密度が約2.5g/cm3であることがあり、それに対しインバーの密度は約8g/cm3である)、またコストも安い。トラップの外側半分が検出用に使用されるOrbitrap(商標)静電トラップでは、金属コートガラスの使用は、隣接する電極間の容量がより低いいうさらなる利点を追加する。この特性は、そのような電極での電圧の高速スイッチングが必要とされるときに、この分析器でも利用することができる。内側および/または外側電場定義電極システムがガラスからなる実施形態では、抵抗性電極がガラスに組み込まれることがあり、またはガラスの表面上に形成されることがあり、これは、電流がそこに通されるときに、分析器用のベークアウトヒータとして使用するために加熱される。
本発明の分析器、特に分析器内部の分析器体積は、真空下に、好ましくは高真空に、より好ましくは超高真空に、好ましくは10-8mbar未満、より好ましくは10-9mbar未満、さらに好ましくは10-10mbar未満で維持されて、ビームを散乱するイオンと残留ガスの衝突を最小限にする。そのような真空を実現するために使用することができる材料が当業者に知られている。80℃を超える温度までの分析器のベークアウトが、所要の真空を実現するために必要とされることがある。必要な真空度は、当技術分野で知られているように、分析器内で使用すべき経路長に依存する。本発明と共に使用するのに適した入射器は、Cトラップと呼ばれている湾曲線形トラップを含む。様々な既知のタイプの入射器は、入射前にイオンを衝突によって冷却するために、局所的に高められたガス圧力を利用することが多い。入射器から分析器にガスが装填されるのを回避するために、入射器の直後に追加の偏向器を採用することができ、ビームを偏向して、入射器から出るガスからずらす。ここでビームが通過する分析器アパーチャは、入射器からのガスストリームの外に位置され、分析器でのガス装填を減少させる。好ましくは、1回の偏向または2回の偏向が、入射器と分析器の間で使用される。分析器体積外部の圧力は、分析器体積内部の圧力よりも低いことがあり、例えば分析器体積外部で10-6mbarでよい。
次に、例えば検出器および/またはさらなる処理用の別のデバイスに主飛行経路からビームを出射する様々な実施形態を説明する。
第1のタイプの出射実施形態を利用する分析器からの出射が、図18および図19の概略図に示される。同じ構成要素には図9で使用したのと同じ参照符号が付されている第1のグループの実施形態において、図18aは、平面z=0での分析器の断面図であるが、z=0平面からずれたいくつかの機構も含む。それぞれ内側および外側の電場定義電極システム900、910と、主ビーム920の主飛行経路が示されている。出射軌道931a(破線で示される)は、外側電場定義電極システム910内部(すなわち分析器体積内部)に位置される。イオンは、一方のミラー、またはいくつかの実施形態では両方のミラーの外側電場定義電極システム910のアパーチャ951aを通って、外部軌道941a(点線で示される)上で分析器体積から出る。使用時、イオンは、主飛行経路920(そこに沿ってイオンが分離されることがある)に沿って点Eまで進み、その後、出射軌道931aを進行し始める。イオンは、出射軌道931aに沿って進むが、主分析器場がない状態で進み、この例では、出射軌道は直線であり、主飛行経路から外側電場定義電極システムまで実質的に延びる。出射軌道931aは、点Eで接線方向で主飛行経路920に交わる。図18bは、図18aが当てはまる入射構成を示すが、矢印Aの方向で見た直交側断面図であり、この例では、イオンが分析器から出て、分析器ミラーのただ一方の外側電場定義電極システム910のアパーチャ951b(図18aでは951a)を通って、外部軌道941b(図18aでは941a)を進行し始めることを示す。この例では、点Eは、距離962bだけz=0平面から変位される。これは、出射軌道931bがz=0平面上で主飛行経路920から出ることが(そうであってもよいが)必須要件ではないからである。変位は、主飛行経路を進行し始める前にイオンが当たった最後のミラーに向かうものでも、またはそこから離れるものでもよい。この例では、イオンは、主分析器電場が除去された後に出射軌道を進行し始めるのに適切なエネルギーおよび運動方向で点Eに到達する。
図18および図19に関係する例、およびいくつかの他の例では、ビームが出射軌道を渡って進む一方で主分析器場をオフにすることによって、出射が例示されている。しかし、代わりに、主分析器場をオフにせずに、しかし主分析器場から出射軌道を遮蔽することによって同じ出射方法を行うことができることを理解されよう。すなわち、点Eからの出射軌道を主分析器場から遮蔽することができ、この場合、主分析器場は、好ましくは出射中にオフにされず、電圧の高速の切換えを必要としないという観点から有利である。2つのミラーの外側電場定義電極システムでの電位は同じであり、また分析器内部のすべての電極に電位(ゼロでもよい)が印加され、分析器内部の体積を電磁場のない状態にする。点Eで主飛行経路920にビームが到達すると、分析器電極での電位が切り換えられて、主分析器場を除去する。これらの例では、ビームが主飛行経路920に沿って進むとき、両方のミラーの内側電場定義電極システムでの電位は、例Aの分析器では−2587Vであり、例Bの分析器では2046.7Vであり、両方のミラーの外側電場定義電極システムでの電位は、どちらの例でも0Vである。ビームが出射軌道931(931a〜931g)を渡って進む一方で、両方のミラーの内側電場定義電極システム900での電位は0Vに設定される。したがって、点Eに到達した後、ビームは、分析器内部でビームを周回させていた分析器軸に向かう加速電磁場を除去され、ビームは出射軌道上に進行する。分かりやすくするために、図18および図19は、前述した円弧集束レンズおよびそれらの支持ベルト電極アセンブリを省く。ビームが出射軌道931を渡って進む一方で、これらの構成要素での電位もまた0Vに設定される。ビームは、点Eから出て、外側ベルト電極(図示せず)のアパーチャを通過する。
既に説明したように、本発明の出射は、ビームが出射軌道を渡って進む一方で主分析器場とは別の電磁場を生成することによって行うことができ、その電磁場は必ずしもゼロでない。
図18cは、出射の別の例を示す。図18aの図がこの例にも当てはまる。点Eは、平面z=0上に位置せず、距離962cだけオフセットされる。しかし、この例では、イオンは、主飛行経路920上の点Eに到達し、出射軌道931cを進行し始め、z=0平面に平行な方向に進み、再位置合わせを必要とし、偏向器972が点Eの近くに提供されて、ビームが出射軌道931cを進行し始めることができるようにビームの速度を変え、z方向でビームを偏向させる。偏向器972は、1対の偏向器プレートとして概略的に示される。この偏向は、z方向でのビームの速度を減少させ、円弧方向でのビームの速度を増加させる。この場合の外部軌道941cもやはり、1つのミラー910の外側電場定義電極システムのアパーチャ951cを通って分析器から出て、その点で出射軌道931cが終了する。
図18dは、出射軌道931dが任意の角度で点Eから出る一般的な場合を示す(すなわち、図18cに示されるようにz=0平面に平行なだけではない)。ここでも、出射軌道が点Eで接線方向で主飛行経路に交わるので、図18aがこれらの場合にも当てはまる。z方向での偏向は、図18bの例におけるように出射軌道931dが主飛行経路と位置合わせされないすべての場合に必要とされる。この偏向は、出射軌道が主飛行経路に交わる角度に応じて、z速度を増加させるためのものでも、またはz速度を減少させるためのものでもよい。それに従って、円弧方向の速度が増減されることもある。
図19は、第2のグループの出射例を示す。図18での構成要素と同様の構成要素には同じ識別符号が付されている。これらの例では、出射軌道931は、主飛行経路920に接線方向では交わらず、図19aに示されるように接線に垂直に交わる。図19aは、平面z=0での分析器の概略断面図であるが、z=0平面からずれたいくつかの機能も含む。それぞれ内側および外側の電場定義電極システム900、910と、主ビーム920の主飛行経路が示されている。出射軌道931e(破線で示される)は、一方のミラー、またはいくつかの実施形態では両方のミラーの外側電場定義電極システム910の内側で分析器体積内部に位置される。イオンは、出射軌道931eを通って主飛行経路から出て、外側電場定義電極システム910のアパーチャ951eを通って外部軌道941e(点線で示される)を進行し始めることによって分析器体積から出る。イオンは、点Eで主飛行経路920から出射軌道931aに沿って進む。イオンは出射軌道931aに沿って進むが、主分析器場がない状態で進み、この例では、出射軌道931eは直線であり、主飛行経路920から外側電場定義電極システム910まで実質的に延びる。出射軌道931eは、点Eで、主飛行経路の接線に直交して主飛行経路920に交わる。図19bおよび図19cは、図19aが当てはまる出射構成の一例の、互いに直交する2つの側断面図を示し、どちらの図も図19aに直交である。図19bは、矢印Aの方向で見た側断面図であり、図19cは、矢印Bの方向で見た側断面図である。イオンビームは、主飛行経路920を辿り、点Eで偏向器(図示せず)によって偏向され、それにより、主飛行経路920上の点Eに到達した後に、ビームが出射軌道931fを進行し始める。出射軌道931fから、ビームは、外側電場定義電極システム910のアパーチャ951fを通過し、外部軌道941fを進行し始める。この場合、偏向器は、円弧方向でビームの速度を減少し、半径方向外側へのビームの速度を増加するように作用する。図19dは、出射軌道931gが任意の角度で点Eから離れるように向けられる一般的な場合を示す。その角度が、点Eで主飛行経路が取る角度に等しくない場合、偏向が必要とされる。
また、上述した出射タイプは、図18と図19に示される場合を組み合わせて構成することもでき、その際、主分析器場がない状態で、出射軌道は任意の角度で点Eから離れるように向けられ、出射軌道は、主飛行経路に接線方向でも、主飛行経路の接線に直交する方向でも交わらない。また、このタイプの出射は、点Eが分析器での変向点の1つにある、またはその近くにある場合に簡便に構成することができる。この場合、分析器から出るようにイオンを偏向するために偏向器をサポートするために、図6dに参照番号670で示されるものなどベルト電極を使用することができる。
さらなるタイプの入射実施形態を利用する分析器からの出射が、図20および図12cの概略図に示される。図9の構成要素と同様の構成要素には同じ符号が付されている。第1のグループの実施形態において、図20aは、平面z=0での分析器の断面図であるが、z=0平面からずれたいくつかの機構も含む。それぞれ内側および外側の電場定義電極システム900、910と、主ビーム920の主飛行経路が示されている。出射軌道931h(破線で示される)は、外側電場定義電極システム910内部の分析器体積内に位置される。イオンは、出射軌道931hから、一方または両方の分析器ミラーの外側電場定義電極システム910のアパーチャ951hを通って外部軌道941hに沿って出る。使用時、主飛行経路上を進んだ後、イオンは、点Eで主飛行経路から出て、出射軌道981hに沿って、主飛行経路とは異なるz軸からの距離991hに向かって進行を開始し、距離991hにある点Wで出射軌道931hを進行し始める。イオンは、出射軌道931hに沿って進むが、主分析器場がない状態で、例えば内側および外側電場定義電極システム900、910での電位がオフにされた状態で進み、したがってこの例では、出射軌道931hは直線であり、点Wで、実質的に出射軌道981hから外側電場定義電極システム910まで延びる。点Wに到達するまで、主分析器場はオンにされ、ビームは、主分析器場の存在下で出射軌道981hに沿って進み、この電磁場はまた、ビームが主飛行経路920を進むときに印加される電磁場でもある。この例では、主飛行経路920上の点Eに到達または接近すると、イオンは偏向デバイス(図20には図示せず)によって偏向され、分析器軸zから離れるように半径方向でイオンに追加の速度が与えられ、そこでイオンは出射軌道981h上を進行し始めることができる。
適切な偏向器アセンブリの半分を備える1つの電極の一例が、図12aに示される。この例は、入射実施形態に適しており、上の入射に関連して既に説明した。同じ偏向器電極を、入射に関して使用するのと同様に、出射に関して使用することもできる。入射を行うために使用したのと同様に出射を行うために、同様の偏向電圧を偏向電極923、294に印加することができ、あるいは、出射中のビームが、入射中に進んだのとは異なる出射軌道を進むすべき場合には、異なる電圧を印加することができる。入射器および検出器を様々な位置に位置させることができるようにするために、そのような異なる出射軌道を利用することができる。あるいは、入射偏向器電極923、924と同様の第2の対の偏向器電極を、ベルト電極アセンブリ965、975上の他の場所に取り付けて提供することができる。後述する一実施形態では、そのような第2の対の偏向電極が入射偏向電極に隣接して位置決めされる。この例では、入射に関して使用するのと同じ偏向器電極が出射に関して使用され、入射中に使用したのと同じ電圧が偏向器電極に印加され、したがって出射軌道981hは、入射中に辿ったものと同じである(ただし逆方向に進む)。z軸高さ40.0mmのベルト電極アセンブリ905が、円弧集束レンズアセンブリの片割れと、偏向器アセンブリ923の片割れとを支持し、これらはそれぞれ、ベルト内部に設置され、絶縁体935によってベルトから電気絶縁されている。図示されるすべての寸法がmm単位である。
イオンの運動エネルギーは、イオンの出射軌道981h(一点鎖線で示される)が、分析器軸zから離れるように半径が徐々に増加する螺旋に沿って進み、最終的に分析器軸zからの距離991hで点Wに到達するようなものである。図20bは、図20aの矢印Aの方向で見た直交側断面図でこの例を示す。見やすくするために、図20bには主飛行経路を示さず、出射軌道981hの一部分のみを示す。出射軌道931hが出射軌道981hにつながる点Wは、内側と外側の電場定義電極システム900、910の間の分析器内の任意の位置でよく、この例では、正確にz=0平面上にはないが、その近くにある。
図12cは、同様の構成要素に関しては図20aおよび図20bならびに図12bと同様に識別符号を付した、分析器の一部分を通る概略側断面図を示す。両方のミラーの外側電場定義電極システムが、狭窄部分955を有する。それぞれ内側および外側の電場定義電極システム965および975は、それぞれ内側および外側の偏向電極923、924を支持する。ビームは、偏向電極923、924に隣接する点Eまで主飛行経路920を渡って進み、その後、偏向電極が通電され、ビームが出射軌道981hを進行し始め、半径を増加しながら分析器軸zの周りで螺旋運動する。この例では、入射と出射の両方のために、偏向電極923、924は分析器赤道上での1つの位置にのみ存在する。赤道上の他の点には、円弧集束レンズ電極996および997が存在する(そのうちの1対のみが図示される)。図12cに示されるベルト、レンズ、および偏向電極は、一律の縮尺ではなく、軌道は、単に概略的に示したものにすぎない。見やすくするために、偏向器アセンブリの両方の偏向電極923、924、および円弧レンズ電極996、997は、それらが取り付けられているベルト電極アセンブリ965、975から隆起しているように概略的に示されているが、実際上は、これらの電極をベルト電極アセンブリ内に設置することができ、ベルト電極アセンブリと偏向器およびレンズ電極との表面は面一でよい。
偏向電極923、924が通電されないとき、電極は、それらに隣接する円弧レンズ電極と同じ電位に設定される。偏向電極923、924が通電されるとき、追加の電圧がそれらに印加される。図12cに示されるように電極を利用する例では、通電されたときに、内側偏向電極923はさらに+200Vを印加され、外側偏向電極924(図12aには図示せず)はさらに−100Vを印加される。図12cの円弧レンズ電極設計915に関して、円弧レンズ電極は、それらを支持するベルト電極アセンブリの電位にさらに+10〜+30Vを加えた電位を有する。また、偏向電極の対923、924は、偏向に使用されないときには、円弧集束のために使用することもでき、その場合、1対の電極両方に共通の電位がかけられる。同様のベルト電極アセンブリ、円弧レンズ電極、および偏向電極を、図19の出射実施形態で使用することができる。
図20cは、出射のさらなる実施形態を示し、分析器を通る平面z=0での分析器の断面図であるが、z=0平面からずれたいくつかの機構も含む。それぞれ内側および外側の電場定義電極システム900、910と、主ビーム920の主飛行経路が示されている。出射軌道931i(破線で示される)は、外側電場定義電極システム910内部の分析器体積内に位置される。イオンは、出射軌道931iから分析器体積を出て、一方または両方の分析器ミラーの外側電場定義電極システムのアパーチャ951iを通って外部軌道941iを渡って進む。イオンは、点Wで、主飛行経路とは異なるz軸からの距離991iで、主分析器場のない状態で出射軌道981iから出射軌道931iを進行し始める。ビームが点Wに到達するとき、主分析器場がオフにされる。使用時、イオンビームが、主飛行経路920に沿って進み、点Eに到達した後、点Eまたはその近くにある出射偏向器電極(図示せず)が通電されて、分析器軸から離れるように半径方向でイオンに追加の速度を与え、そこでイオンは出射軌道981i上を進行し始めることができ、この軌道は、分析器場の存在下で半径を増加しながら分析器軸の周りで螺旋運動し、最終的に点Wに到達する。図20dは、図20cでの矢印Aの方向で見た、概略側断面図での図20cの例を示す。見やすくするために、図20dには主飛行経路を示さず、出射軌道981iの一部分のみを示す。ここでも、出射軌道が入射軌道980iにつながる点Wは、内側と外側の電場定義電極システム900、910の間の分析器内の任意の位置でよく、この例ではz=0平面上にはない。図20aおよび20bの実施形態とは異なり、ビームは、点Wまたはその近くで偏向デバイス(図示せず)によって偏向されて、出射軌道931iを進行し始める。
図20eは、図20bおよび図20dと同様の概略側断面図であり、この図は、出射軌道931jがz=0平面に対して任意の角度から点Wに到達するが、それでも分析器軸からの半径に対して接線方向で点Wに到達する一般的な場合を示す。したがって、図20cが、図20eに示されるすべての場合に当てはまる。ビームの偏向は、点WおよびEまたはその近くで、図20dを参照して説明したのと同様に行われる。
図21は、別のグループの入射実施形態を概略断面図で示す。図9での構成要素と同様の構成要素には同じ識別符号が付されている。これらの例では、出射軌道931m、931nは、点Wで、分析器軸から点Wへの距離に対して接線方向では出射軌道981m、981nに交わらず、図21aに示されるように接線に垂直に交わる。図21aは、分析器を通る平面z=0内での分析器の概略断面図であり、z=0平面からずれたいくつかの機能も含む。それぞれ内側および外側の電場定義電極システム900、910と、主ビーム920の主飛行経路が示されている。出射軌道931m(破線で示される)は、外側電場定義電極システム910内部の分析器体積内に位置される。イオンは、出射軌道931mから分析器体積を出て、一方または両方の分析器ミラーの外側電場定義電極システム910のアパーチャ951mを通って、外部軌道941m(点線で示される)に沿って進む。使用時、イオンは、主飛行経路920から出て、出射軌道981mに沿って、点Wで出射軌道931m上に進む。イオンは出射軌道931mに沿って進むが、主分析器場がない状態で進み、この例では、出射軌道931mはやはり直線であり、点Wで、出射軌道981mから外側電場定義電極システム910まで実質的に延びる。出射軌道931mは、点Wで、第2の出射軌道981mの接線に直交して出射軌道981mに交わる。図21bおよび図21cは、図21aが当てはまる入射構成の一例の、互いに直交する2つの側断面図を示し、どちらの図も図21aに直交である。図21bは、矢印Aの方向で見た側断面図であり、図21cは、矢印Bの方向で見た側断面図である。出射軌道981mの最後に、イオンビームは、点Wに位置される偏向デバイス(図示せず)によって偏向され、それにより点Wに到達した後、ビームは出射軌道980mを進行し始める。この場合、偏向デバイスは、円弧方向でビームの速度を減少し、半径方向外側へのビームの速度を増加するように作用する。図21dは、出射軌道931nが、任意の角度で出射軌道981n上の点Wから離れるように向けられる一般的な場合を示す。その角度が、点Wで出射軌道が取る角度に等しくない場合、点Wでの偏向が必要とされる。図12aに示されるものと同様の偏向デバイスが、同様に使用される。本明細書で説明する任意の入射タイプで使用するのに適した偏向デバイスは、静電セクタを含む。
また、出射は、図20と図21に示される場合を組み合わせて構成することもでき、その際、主分析器場がない状態で、出射軌道は任意の角度で点Wから離れるように向けられ、出射軌道931は、点Wで、出射軌道981に接線方向でも、出射軌道981の接線に直交する方向でも交わらない。
図16cは、好ましい出射実施形態の概略図を示し、内側ベルト電極アセンブリ1040と、円弧レンズ915と、出射偏向器電極1080とを備える分析器の一部分を示す。また、この図は、入射偏向器要素925および入射セクタ1010も示し、これらは、概要のみ図15、図16a、および図16bに関連して説明した。この例では、2つの別個の偏向器電極対が存在し、一方の対925、926が入射用であり、一方の対1080、1081が出射用であり、それらは、ベルト電極アセンブリの周りに互いに隣接して位置される。内側ベルト電極アセンブリ1040が示されるが、見やすくするために、図16cには外側ベルト電極アセンブリおよび外側出射偏向器電極は示していない。図16aに関連して説明した入射偏向器電極925および入射セクタ1010は点線で示されている。図16aと同様に、点線1070は、(第2の出射軌道または主飛行経路上での)分析器軸の周りで行われる周回を示すためのものであり、一律の縮尺ではない。図16dは、図16cの図に直交する側面図を示し、外側ベルト電極アセンブリ1041と、外側出射偏向器電極1081と、図6と同様の電気トラック630と、外側および内側電場定義電極システム610、600とを含む。見やすくするために、図6dは、入射偏向器および入射セクタを省く。外側電場定義電極システム610は、前述したようにアパーチャ1060を含むウエスト部分620を有する。この例では、出射は、前述した図16aの入射偏向器925に隣接して位置された出射偏向器電極1080、1081を使用して行われる。入射と出射の両方に関して同じアパーチャ1060が使用されるが、他の実施形態では2つの別個のアパーチャを使用することができる。入射後、イオンビームは、主飛行経路上で分析器軸の周りを周回するように進む。各周回ごとに、イオンビーム位置は、z=0平面で、分析器の周りで2πラジアンの分数だけ進む。出射偏向器電極1080、1081は通電停止されたままであり、ベルト電極アセンブリ1040、1041に印加されるのと同じ電位に設定することができ、その一方で、このようにすると、ビームは、ビーム進行によりビームがz=0平面で入射偏向器電極925、926を越えて出射偏向器電極1080、1081に並ぶ位置に達するまで進行する。そのようにして点Eに達すると、出射偏向電極が通電され、イオン列の全体または一部が、出射軌道984上を進行し始めるように偏向される。この例では、主分析器場が存在する状態でビームが出射軌道985を渡って進む。出射軌道985は、主飛行経路上の点Eから、分析器軸からの距離を増加しながら螺旋状に延び、分析器軸のほぼ1回の周回後、および対向するミラーの一方からの1回の反射後に、点Wで、ビームが外側電場定義電極システムのウエスト部分のアパーチャ1060を通過し、分析器から出て外部軌道945に進み、荷電粒子検出器1090の第1の要素に衝突する。点Wは、内側出射軌道985から外側軌道945への移行点を印す。この実施形態では、出射軌道985は、イオンビームが、主飛行経路から、アパーチャ1060での分析器体積からの出口まで取る軌道にすぎない。この例では、荷電粒子検出器1090の第1の要素は、平面z=0に平行な平面にあり、z=0平面に近接して位置され、時間的焦点にあり、時間的焦点面と位置合わせされる。あるいは、他の実施形態では、点Wは、ビームが、例えばイオン貯蔵または衝突セル(図示せず)に入るために出射軌道985から外側軌道945に移る点を印す。
前述したように、偏向器として使用しないとき、入射偏向器925、926および出射偏向器電極1080、1081の両方の対向する電極に同様の電気的バイアスを印加して、偏向器を追加の円弧集束レンズに変換することができる。この方法は、ビームが正常に入射された後に入射偏向器と共に使用することができ、それにより、検出器または出射段階に接近した後、追加の円弧レンズ作用が入射偏向器電極によって行われる。また、この方法は、出射のための時間に達するまでに入射中および入射後に出射偏向器と共に使用することもできる。
代替実施形態は、入射および出射を行うために、2つの個別の静電セクタまたは単一の二重静電セクタを利用する。これらの実施形態はどちらも、イオン入射器および/またはイオン検出器を分析器軸からさらに離して、外側電場定義電極システムの分析器軸zからの最大距離の外部に位置決めすることができ、より大きな入射および検出システムを利用できるようにするという利点がある。二重静電セクタ800が図22の概略図に示される。その最も単純な形態では、二重静電セクタ800は、2つのセクタ801、802を備え、セクタ801は2つの電極803、804を備え、セクタ802は2つの電極805、806を備える。動作時、セクタ801は、電極803に印加される電圧V1、および電極804に印加される電圧V2を有し、一方、セクタ802は、電極806に印加される電圧V3、およびセクタ801の電極804と共通の電極805に印加される電圧V2を有する。ビーム軌道807、808は、それぞれセクタ801、802、および両方のセクタ801および802に共通の部分809を通って進む。この実施形態では、部分809は分析器(図示せず)に隣接して位置し、ビーム808は分析器内に入射され、ビーム807は分析器から出射される。前述したように、静電セクタが方向付けられる場合、z軸810が図示されている図22に示されるように、それらはz方向でイオンビームに対して主要な力を有さず、分析器内部での時間的焦点面の角度および位置には影響が及ぼされない。図22に示される二重静電セクタは、主飛行経路への入射および主飛行経路からの出射のために、または2次入射/出射軌道のために使用することができる。
別の出射タイプが、図23に概略的に示される例で示される。図23aおよび図23bは、同じ実施形態の、互いに直交する2つの側断面図を示す。図9での構成要素と同様の構成要素には同じ識別符号が付されている。イオンは、分析器体積内部で主飛行経路920に沿って進み、点Eに到達した後、出射軌道931pを進行し始める。イオンは、一方のミラー910の外側電場定義電極システムのアパーチャ951pを通って分析器体積から出る。この例では、点Eは、平面z=0上にはないが、他の実施形態では平面z=0上にあることもある。
主飛行経路920は、それぞれ内側および外側の環状ベルト電極アセンブリ1040および1041の間を通り、これらのアセンブリ1040および1041は、z=0平面で内側電場定義電極システム900と同軸であり、それを取り囲む。ビームが出射軌道931pを進行し始めるのに、円弧方向での偏向が必要であることも必要ないこともある。必要な場合には、前述したものなど偏向デバイスを使用することができる。この例では、主分析器場とは異なる出射分析器場が存在する状態でビームが出射軌道931pを渡って進む。ビームが点Eまたはその近くに到達するとき、分析器は、内側および外側電場定義電極システム900、910に対する電気的バイアスを変えることによって、主分析器場から出射電磁場に変えられる。ビームは、点Eに到達後、入射電磁場の存在下で出射軌道931pを進行し始めるような運動エネルギーを有する。出射軌道930pは直線として示され、この例では、出射電磁場は主分析器場よりもはるかに低い強度であり、ビームは、直線からわずかにだけずれて出射軌道に沿って進む。任意選択で、出射電磁場の強度は、主分析器場強度のかなりの割合でもよく、この場合、出射軌道931pは直線から大幅にずれる。
図23cに、代替実施形態が図23bと同じ視点から概略的に示される。この場合、ビームは、主分析器場の存在下で出射軌道931rに沿って進むが、その際、主飛行経路920に沿って進むときにビームが有する運動エネルギーよりも大きい出射運動エネルギーを有して進む。したがって、ビームが点Eから出るときにビームの運動エネルギーを増加させるために加速デバイスが使用される。この例では、出射軌道931rは湾曲経路である。
さらなるタイプの好ましい出射が、図24に図示される例に示され、図24は、概略側断面図として2つの代替実施形態を示す。同様の機能には図17と同じ識別符号が付されている。図24aでは、イオンは、主飛行経路920を辿り、点Eに到達後、分析器体積の内部で出射軌道931sを進行し始め、主分析器場の影響を受けながら外側ベルト電極アセンブリ660のアパーチャ688sを通り、外側電場定義電極システム610のアパーチャ951sに到達し、その後、検出器691への外部軌道941sを進行し始める。出射軌道931sは、分析器601のサイズに比べて短い。偏向器(図示せず)が、点Eの近くで内側および外側ベルトアセンブリ650、660上に取り付けられて、ビームを偏向させるように作用し、それにより半径方向外側への力をビームに与えることによってビームは出射軌道931s上を進行し始める。
代替実施形態が図24bに示される。検出器693は、分析器体積の外部で、内側電場定義電極システム600よりも小さい半径位置に位置決めされる。イオンは、主飛行経路920を辿り、点Eに到達後、分析器体積の内部で出射軌道931tを進行し始め、主分析器場の影響を受けながら内側ベルト電極アセンブリ650のアパーチャ689tを通り、内側電場定義電極システム600のアパーチャ685tに到達し、その後、検出器693への外部軌道941tを進行し始める。出射軌道931sは、分析器601のサイズに比べて短い。偏向器(図示せず)が、点Eの近くで内側および外側ベルトアセンブリ650、660上に取り付けられて、ビームを偏向させるように作用し、それにより半径方向内側への力をビームに与えることによってビームは出射軌道931s上を進行し始める。
図24のどちらの実施形態においても、図12に示して上述したような偏向器が、点Eまたはその近くで半径方向外側または内側の力を与えるのに適している。これらの出射偏向器、ならびにそれぞれ外側および内側のベルト電極アセンブリのアパーチャ688sおよび689tは、検出器691、693と連絡してz=0平面の近くで分析器内部の1つの円弧位置にのみ位置すればよく、したがって分析器内部のどこでも主分析器場に影響を及ぼさない。偏向器の代替形態は、内側および外側ベルト電極アセンブリ上に取り付けられ、しかし円弧集束レンズの列には組み込まれていない対向する電極を備えることができる。そうではなく、電極は、z方向で円弧集束レンズから変位されたベルトアセンブリの領域上に位置させることができる。
説明するすべての出射タイプおよび例において、偏向は、点Eまたはその近くでの荷電粒子の運動エネルギーを変化させることを含むことがあり、それによりビームは、進行に適切なエネルギーで、主飛行経路から出る。
セクタ912を使用する図17cに示される入射の方法を逆にして、分析器からビームを出射するために適用することもできることを理解されたい。すなわち、ビームは、主飛行経路と同じ半径で、主飛行経路からセクタの入口アパーチャを通ってセクタ(入射のために使用されるセクタと同じまたは異なるセクタ)に直接入り、セクタによって半径方向で偏向されて分析器から出る。したがって、図17cは、ビームの方向を逆にして出射に適用される。
図24cに概略的に示されるさらなる出射構成では、イオンは、まず、第1の円筒形エンベロープ920aによって第1の半径で表される主飛行経路から(例えば偏向器によって、またはz=0平面に位置された加速電極によって)出射(例えば偏向)され、それにより、ビームは、主飛行経路920aよりも大きい半径で、第2の円筒形エンベロープ920bによって表される第2の主飛行経路に移動する。主飛行経路920aは、内側ベルト電極アセンブリ650と第1の中間ベルト電極アセンブリ655aの間に位置され、これらベルトの周りに周期的に離隔配置された円弧集束レンズ(図示せず)によって集束される。第2の主飛行経路920bも、主飛行経路920aと同様に分析器内部での安定な経路であり、第1の中間ベルト電極アセンブリ655aと第2の中間ベルト電極アセンブリ655bの間を通る。いくつかの実施形態では、第2の主飛行経路920b上でz軸の周りで所要の回数の周回を終えた後、ビームは、検出またはさらなるイオン処理のために、前述の方法に従って偏向されて分析器から出る。第2の主飛行経路が安定であるので、ビームは、第2の主飛行経路上でもう一度分析器を渡って進むことがあり、それにより、合計の飛行経路を実質的に増加し、いくつかの実施形態では、分析器を通る飛行経路長を少なくとも倍増できるようにし、それにより、閉経路TOFに伴う質量範囲の損失なく、TOF分離の分解能を高める。いくつかの実施形態では、第2の主飛行経路920b上でz軸の周りで所要の回数の周回を終えた後、ビームを偏向して第1の主飛行経路920aに戻すことができ、または円筒形エンベロープ920cによって表されるようにさらに大きい半径での第3の主飛行経路に偏向させることができ、第3の主飛行経路は、第2の中間ベルト電極アセンブリ655bと外側ベルト電極アセンブリ660の間を進む。ビームが異なる主飛行経路に偏向されるたびに、ビームの質量範囲全体または一部のみをそのように偏向させることができ、残りの部分は、前の飛行経路上に残るか、または分析器から出射される、および/または検出されることを理解されたい。したがって、質量範囲の第1の部分を、より高い分解能でのTOF分析のために第2の主飛行経路920bに出射することが可能であることがあり、その一方で、第2の部分は、検出、さらなる処理、さらには第1の主飛行経路920aを通る2度目の通行のために分析器から出射される。質量範囲の部分を、それらが出射および/または検出のための準備ができた状態になるまで様々な半径の周回軌道に「停留させる」ことができることを理解されたい。異なる半径の主飛行経路でイオンを同時に周回させるために、異なる半径の飛行経路に出射されるときにビームの運動エネルギーを変えて、異なる半径の飛行経路が同じ主分析器場に関して安定な軌道になるようにする必要がある。ビームのすべてが、異なる半径の主飛行経路に出射される場合、主分析器場を一定に保ちながらイオンの運動エネルギーを変えることが可能であることがあり、または、運動エネルギーを同じに保つが、異なる半径の飛行経路のために主分析器場を変えることが可能であることがある。第2および第3以下の主飛行経路は、好ましくは円形である第1の主飛行経路とは異なる断面形状を有することがある。例えば、第2および第3以下の主飛行経路は、楕円形の断面形状、または図3bに参照符号110a〜dとして示される形状の1つを有することがある。
あるいは、またはさらに、様々な質量範囲が、同時に異なる半径の周回軌道を保たれることがある。質量範囲が小さい場合、それらは、質量の重なり合いが生じる前に複数回、分析器を渡って進むことがある。範囲内の質量の重なり合いの前に複数回、渡って進むことができるようにして、より高い質量分解能を提供する。すべての質量範囲の質量分離が並列して行われる。好ましくは、最小の質量電荷比のイオンを含む質量範囲がまず検出される。なぜなら、そのようなイオンは、最短時間で所与の回数だけ分析器を渡って進むからである。
異なる半径の周回を行う機能のさらなる利用法は、複数回、分析器を渡って進んだ後に、異なる質量電荷比のイオンを意図的に互いに重ね合わせることに関する。この動作モードでは、異なる質量電荷比のイオンを所与の半径の周回軌道に入射し、複数回、分析器を渡って進むことができるようにし、出射するように選択されたパケットが任意の隣接するパケットから十分に分離された後、任意の選択された順序で一度に1つずつ出射させることができる。この場合、隣接するパケットは、非常に異なる質量電荷比のイオンを含むことができる。この例では、イオンのパケットを異なる回数だけ周回軌道に入射することができ、分析器の正常な動作は、入射時間、入射されるイオンの質量電荷比、およびイオンエネルギーの知識によって決まり、任意の所与の時間に、分析器内部でのすべてのイオンパケットの位置の予測を可能にする。あるいは、複数のパケットを同時に出射または検出することができ、必要であれば、これらのパケットが分析器内部の出射または検出手段で重なり合う。出射は、例えばフラグメンテーションデバイスなど、任意の形態のイオンレシーバに向けたものでよい。
好ましくは、イオン源から放出されるイオンの時間的焦点面の位置、および検出器位置はそれぞれz=0平面上に位置される。しかし、イオン源に伴う空間的な制約により、これは実現可能でないことがある。したがって、実際には、イオン源から放出されたイオンの時間的焦点面と検出器との一方または両方が、z=0平面からわずかにオフセットして位置される可能性が高い。イオン源の時間的焦点面のz位置の小さな変化は、検出器の焦点面をz方向で逆向きに移動させることによって修正することができる。しかし、分析器体積の外部から分析器場内にイオンを導くのに必要とされることがあるイオン源と分析器の距離は、z軸上での時間的焦点面の単純なシフトだけでは修正することができないことが多い。本発明は、検出器での時間的焦点を得るために修正を実施するために2つの好ましい方法の一方を使用することができる。第1の方法は、イオン源の時間的焦点面が分析器体積内の所望の位置に移行されるような場所に位置決めされたイオンミラー、または最後の振動/回転の時間的焦点面が検出器に移行されるような場所に位置決めされたイオンミラーを使用する。これは、時間的集束特性を有するイオンミラーを構成することができるので可能である。図25は、通常であればイオン源(図示せず)の時間的焦点1205となる時間的焦点を、そのようなイオンミラー1200を使用して分析器の赤道のより近くに、円弧レンズ915が位置される点またはその近くに移行することができる様子を概略的に示し、移行された時間的焦点が位置1206に示される。より好ましい第2の方法は、機器のz軸に平行な軸を有する電気セクタなどの偏向器を使用する。電気セクタは、イオンビームを分析器体積の外部に逸らせる。そのような構成では、セクタ自体は時間的集束をなんら提供しない。しかし、第2の方法の最大の利点は、(従来そうであったように)分析される電磁場内に検出器を配置する必要がなく、したがって時間的焦点面に位置決めすることができる。
前述したように、さらなる方法では、2つの対向するミラーを互いにより近付くように変位させて、時間的焦点面と分析器の距離を補償することができ、それにより、レシーバと関連付けられた時間的焦点面上で時間的集束が正確に実現される。例えば、380mm(すなわち+/−190mm)のz軸長を有する例Aとして既に説明した分析器が、z軸長全体で1.389mmだけ短縮され、それにより、長さが短縮された36回の全振動が、時間的焦点面の100mmの変位を補償する。好ましい実施形態では、パルスイオン源は、そこから160mmの距離にある入口点に対して接線方向に軸方向座標35mmで分析器の外部に位置し、レシーバの時間的焦点面が軸方向座標−20mmに位置し、対向するミラーが、各側から0.5mmだけ(合計1mm)互いにより近付くように変位されて、31回の全振動にわたって生じる収差を保証する。時間的焦点面の微調整は、内側および外側ベルト電極アセンブリでの電圧を20〜30Vだけシフトすることによって実現される。
図26は、本発明の実施形態の概略図を示し、同様の構成要素には図9に使用されるのと同じ識別符号が付されている。本発明の分析器が、内側および外側電場定義電極システム900、910を備える。いくつかの実施形態では、外側電場定義電極システムは、ウエスト部分955を備え、いくつかの実施形態では、ウエスト部分がまたアパーチャ961を備える。図26aは、主飛行経路920が分析器体積971内部の検出器959aに突き当たる分析器の概略側断面図を示す。図26の実施形態でのすべての検出器が、変換ダイノード、電子多重ダイノード、シンチレータ、アノード、複数のチャネルプレートなどの1つまたは複数を含めた複数の構成要素を備えることができる。図26aの実施形態は、チャネルプレートを備える。なぜなら、このタイプの検出器はコンパクトなサイズであり、そのため、分析器体積971の限られた空間内での検出器の位置に適したものとなるからである。図26bは、図26aの実施形態のz=0平面963での断面図を示す。検出器959aは、図26aに示される距離957aだけz=0平面からずれて位置するときに、図26bに点線の外枠で示されている。本明細書で検出器オフセット距離と呼ぶ距離957aは、好ましくは、分析器の時間的焦点面上またはその近くに検出器を位置決めする。図26aの実施形態では、検出器オフセット距離は、分析器の時間的焦点面上に検出器を位置決めする。この実施形態では、分析器の時間的焦点面は実質的に平坦であり、z=0平面963に平行に位置する。図26cは、本発明のさらなる実施形態の概略側断面図を示し、ここでは、主飛行経路920が、検出器オフセット距離957cだけz=0平面963から離して位置決めされた検出器959cに突き当たる。この実施形態では、外側電場定義電極システムはウエスト部分955を備え、検出器959cはz=0平面963に対して傾けられる。なぜなら、それが位置されている時間的焦点面も傾けられるからである。検出器は、時間的焦点面の傾きに合致するように傾けられる。そのような傾けられた時間的焦点面は、例えば偏向器を使用して、主飛行経路920上またはその前でのイオンビームの経路を変えることにより得ることができる。
図26dおよび図26eは、本発明のさらなる実施形態を示し、ここでは、主飛行経路920からのビームの出射中に内部出射軌道981が利用される。図26dは概略側断面図であり、図26eは概略上面図であり、z=0平面にある分析器と、出射軌道981全体を示す(ただし、出射軌道981はz=0平面からずれて位置している)。出射軌道981は、図26eに示される点Eで主飛行経路920から出て、分析器軸967からの距離を距離969dまで増加させながら螺旋状に延びる。検出器959d(図26eには図示せず)は、距離969dでの点Dに位置し、分析器体積971内部でイオンビームを受け取る。検出器959dは、検出器オフセット距離957dだけz=0平面963から変位され、分析器の時間的焦点面に位置し、この場合、前記平面は平面z=0(963)に平行である。
図26fと図26gは、本発明のさらなる実施形態の2つの概略側面図を示し、各図が互いに直交である。イオンは、出射軌道981に沿って主飛行経路(図示せず)から出射され、分析器軸967から距離969fまで螺旋運動して広がる。外側電場定義電極システム910はウエスト部分955を備え、ウエスト部分955は、距離969fよりも小さい分析器軸967からの距離にある。ウエスト部分955は、出射軌道981を捕えるように位置決めされたアパーチャ961を備える。イオンビームは、アパーチャ961を通過し、分析器体積971の外部に位置する検出器959fに衝突する。外側電場定義電極システム910のウエスト部分955を使用することで、検出器を分析器軸967により近付けて位置させることができ、それでも、通常可能なよりも分析器体積971の外に保つ。これは、例えば高電圧を利用する検出器の使用を可能にし、分析器体積971内部の分析器場は、検出器によって生成される電場から遮蔽される。出射軌道981と組み合わせてウエスト部分955を使用することで、より大きな検出器の使用が可能になり、それらの検出器の大部分が、分析器体積971の外部で、より大きな自由空間内に収容される。この実施形態では、検出器959fが傾けられており、z=0平面963に平行には位置せず、この傾きは、検出器平面を分析器の時間的焦点面の傾きに合致させるようなものである。偏向器を使用して主飛行経路(図示せず)から出射軌道981上にイオンビームを偏向させることにより、時間的焦点面もまたz=0平面に対して傾けられている。
図26hは、図26fおよび図26gのものと同様の本発明のさらなる実施形態を示すが、z=0平面955に対して2平面で傾けられた検出器959hを示す。
図26iは、出射軌道981を利用する本発明のさらなる実施形態を示すが、ここでは、2平面で傾けられた検出器959iが、分析器の外側電場定義電極システム910のウエスト部分955の近くで分析器体積971内部に位置する。このように位置決めされると、検出器959iをウエスト部分955から支持することができる。
図26の実施形態の任意のものにおいて検出器に到達する前に、電場を使用した後段加速によってイオンの運動エネルギーを増加させることができる。加速は、分析器軸967に平行な方向、半径方向(分析器軸967に向かう方向もしくは分析器軸967から離れる方向)、円弧方向、またはそれらの方向の2つ以上の組合せでよい。いくつかの形態の後段加速が時間的焦点面の角度を回転させる。これは、時間的焦点面の上流でイオンが平面Kにわたって位置する場所に応じた異なる量だけイオンを加速させることによって実現することができ、平面Kは、回転していない焦点面に平行である。平面Kと所望の回転された時間的焦点面Lとの間をさらに進まなければならないイオンは、進むべき距離がより短いイオンよりも大きい追加の運動エネルギーを与えられる。この場合、イオンの最終的な運動エネルギーは、イオンが焦点面にわたって位置する場所に応じて変化する。あるいは、かつ好ましくは、イオンが平面Kにわたって位置する場所に応じて、ビーム経路に沿った異なる位置でイオンを加速することによって時間的焦点面の回転を実現することもでき、より遠くまで進まなければならないイオンは、進むべき距離がより短いイオンの前(上流)で加速される。この場合には、すべてのイオンが同じ運動エネルギー増加で検出器平面(L;回転された時間的焦点面)に到達するが、進むべき距離がより長いイオンはより早期に加速されており、それらが、そのより長い距離を、進むべき距離がより短いイオンよりも速く進むことができるようにする。
図27は、本発明の一実施形態による検出器への出射領域内での切欠側面図の一部を示す。図17eでの入射実施形態の同様の図に示されるのと同じ構成要素の多くが、図27に示される。図27には、外側電場定義電極システム610および内側電場定義電極システム600が示される。外側電場定義電極システム610は狭窄部分620を有し、狭窄部分620は、検出器および関連の構成要素を主飛行経路の近くに配置できるようにする。図27もやはり狭窄部分620の各側にある電極トラック630を示し、これらの電極トラック630は、使用時、図17eに示されるのと同様に、主分析器場の電位を維持するような電圧を印加される。円弧集束レンズ(図示せず)の片割れを支持する内側ベルト電極アセンブリ650の位置を図27で見ることができる。この実施形態では、狭窄部分620は、後段加速器958および検出器959jを収容するためのボックス622を支持する。また、狭窄部分620の外に突出するボックス622の部分には、ボックスの近傍で分析器場を維持するために、それらの表面上に電極トラックが設けられることがある。出射および検出中、イオンビームの主飛行経路が、出射偏向器が位置される円弧座標で、外側電場定義電極システム610の狭窄部分620と内側電場定義電極システム600の間を通るとき、ビームは、電気セクタ偏向器(図27には図示せず)によって、ボックス622のアパーチャ(図示せず)を通して半径方向外側に偏向される。ボックス622の内部で、イオンは、最初に後段加速器958によって加速され、次いで検出器959jによって検出される。簡便には、いくつかの実施形態でのボックス622は、図17eに示される入射光学系を収容するために使用することもできる。
本発明の分析器は、好ましくは、通常であれば飛行時間に影響を及ぼすことがある温度変化による材料の膨張および/または収縮を最小限にする、および/または補償するように構成される。好ましくは、1℃の温度変化に対して、分解能の損失は<5%であるべきであり、TOFシフトは<1ppmであるべきである。内側および外側電場定義電極システムに関する好ましい材料には、ホウケイ酸ガラスおよびインバーがある。ベルト電極アセンブリに関する好ましい材料には、アルミニウムおよびステンレス鋼がある。
本発明の分析器を組み込む分析システムの構成の一例が図28aに概略的に示される。イオンを発生するためのエレクトロスプレー源などのイオン源1140が、四重極質量フィルタ1150に接続されて、イオン源1140によって発生されるイオンの初期質量フィルタリングを行う。フラタポール1160などのイオンガイドがイオンを貯蔵手段に案内し、貯蔵手段は、湾曲ライナトラップまたはCトラップ1170である。任意選択で、イオンをCトラップ1170から衝突セル1180に送り、選択されたm/zのイオンのフラグメンテーションを行い、その後、Cトラップ1170に戻すことができる。あるいは、フラタポール1160にガスを充満させることにより、衝撃セルとして使用できるようにする。次いで、イオンはCトラップ1170から半径方向に出射され、飛行時間分離および/または分析のために本発明の分析器1190に入射される。
当業者は、本発明の分析器を利用するより複雑な機器構成またはより単純な機器構成を想定できる。次に、可能な機器構成を、図28に関連して例として論じる。
ESI、大気圧光イオン化、APCI、MALDI、大気圧MALDI、DIOS、EI、CI、FI、FD、熱脱離、ICP、FAB、LSIMS、およびDESIを含めた、しかしそれらに限定されない多くの異なるタイプのイオン化源を本発明の分析器と共に使用することができる(参照番号1140)。任意選択で、イオン化後に、FAIMSを含めた様々な形態のイオン移動度分光分析を行うことができる(参照番号1145)。イオン移動度装置は、第1の質量選択器1155の上流または下流に組み込むことができ、例えば位置1145および1185で本発明の分析器に先行する。既知のタイプのイオンガイドを、例えば多重極、複数のイオンリング、漏斗、画素を備えるセル、およびそのようなデバイスの組合せを含む機器内に組み込むことができる。例えば米国特許第7375344号明細書に記載されるような重畳RF波形、異なる質量範囲に関する異なるRFパラメータ、イオンガイド/セルの異なる部分に関する異なるRFパラメータ、および様々なRFと時間不変電位との組合せなど、様々なRF電位を印加することができる。イオンガイド/セルは、様々な領域を備えることができ、各領域を同じまたは異なるガス圧で操作することができる。当技術分野でよく知られているように、複数のイオンガイドを使用して、大気圧イオン源から機器の高真空にイオンを輸送することができる。これらのガイドは、様々なタイプのイオンレンズおよび偏向器システムと関連付けて使用することができる。図28bに参照番号1142および1147で例示的な位置が示される。機器構成は、ある質量電荷比またはある範囲の質量電荷比のイオンを事前選択するために、本発明の分析器1190の上流に第1の質量選択器(MS1)1155を含むことができる。質量選択器MS1は、例えば、四重極質量フィルタ、LTQなど線形イオントラップ、飛行時間質量選択器、3Dイオントラップ、磁気セクタ、および静電トラップ、または任意の他の形態の質量フィルタを含むことがある。本発明の分析器は、質量選択モードで動作させて質量選択器MS1として使用することもできる。また、位置1185に、例えばCID、光分解、ETD、もしくはECD動作モード、またはそのようなモードの組合せで動作するデバイスなど、フラグメンテーションデバイスを組み込むこともできる。上に挙げた例を含めた様々なタイプのイオンガイド/セルをフラグメンテーションデバイスのために利用することができる。位置1185に、本発明の分析器への入射に適した高エネルギーにイオンを高める(エネルギー上昇)ためのデバイスを組み込むこともできる。このデバイスは、専用デバイスでよく、またはフラグメンテーション装置、イオン移動度デバイス、もしくはイオンガイドの一部でもよい。このデバイスは、ガスで加圧することによってイオン冷却機能を組み込むこともできる。本発明の分析器にイオンのパケットを供給するために使用されるパルスイオン源1175は、例えば、Cトラップ、直交加速器、または何らかの他の形態のイオントラップでよい。パルスイオン源1175は、とりわけ、出射前にイオンを冷却するためにガスで加圧することができ、あるいは外部冷却デバイスを使用することができる。あるいは、パルスイオン源の内部または外部で、指向性ガスジェット(国際公開第2010/034630号パンフレットに記載される)などイオンを冷却するための何らかの他の手段を利用することもできる。パルスイオン源は、好ましくは、出射前にイオンを蓄積することができる(例えばCトラップと同様の)貯蔵機能を含む。任意選択で、位置1178で、さらなるフラグメンテーションデバイスを、パルスイオン源の下流で、本発明のTOF分析器とは別の機器分岐区域に組み込むことができる。次いで、パルスイオン源1175を通してさらなるフラグメンテーション装置1178にイオンを進めることができ、次いでフラグメンテーション後、上流へパルスイオン源1175に戻し、TOF分析器1190に出射することができる。さらなるフラグメンテーション装置1178は、ここでもCIO、光解離、ETD、もしくはECD動作モード、またはそのようなモードの組合せで動作するデバイスでよく、ここでも、上に挙げた例を含めた様々なタイプのイオンガイド/セルをさらなるフラグメンテーションデバイスのために利用することができる。任意選択で、位置1195で、追加の質量選択器がさらなるフラグメンテーション装置の下流にあってよく、この場合、さらなるフラグメンテーション装置1178から下流へ追加の質量選択器1195にイオンを進めることができ、イオンを選択し、さらなるフラグメンテーション装置1178を通して上流へパルスイオン源1175に戻し、TOF分析器1190に出射することができる。追加の質量分析器1195は、上の質量選択器MS1に関して例として挙げたものなど任意のタイプの質量選択器でよい。したがって、本発明の分析器1190の上流または下流で、追加の質量分析器を機器に組み込むこともできる。本発明の分析器を複数使用することもでき、この場合、TOF分析器1190を含めた1つまたは複数を、質量選択モードで動作させることができる。TOF分析器1190が質量選択モードで動作されるとき、イオンをフラグメンテーション装置、簡便には前述したさらなるフラグメンテーション装置1178に通すことができる。そこで、イオンをフラグメンテーションして、パルスイオン源1175に送り、もう一度TOF分析器1190に出射することができる。MSn機能を提供するためにこのプロセスを複数回行うことができる。
好ましくは、本発明の分析器1190を、イオン源1140、イオン移動度デバイス1145、第1の質量選択器1155、エネルギー上昇を組み込む第1のフラグメンテーションデバイス1185、パルスイオン源1175、および第2のフラグメンテーションデバイス1178と関連付けて使用することができる。
約380mmの合計のz軸長および約36回の全振動を提供する対向するミラーを有する前述した分析器は、Cトラップパルスイオン源を利用するときに120000超の質量分解能を提供することができるように考慮される。しかし、Cトラップから出たガスが分析器に入らないようにするという要件と、時間的焦点面を回転させる必要性とがどちらも余剰の収差を生み出し、ほぼ完全な伝送(約90%)を維持するが、計算される分解能を60000まで減少させる。ビームの中心部のみの伝送を可能にするように記述されるビーム定義方法の使用は、伝送を<10%減少させるが、質量分解能を120000まで増加させる。伝送損失はかなり大きいが、それにもかかわらず分析器伝送は従来の直交加速TOF分析器に匹敵するか、またはそれよりも良く、それと同時に非常に高い質量分解能を提供する。典型的には、伝送の減少と共に複数のスペクトルが追加される。ビームの位相空間を制限するために前述した非集束レンズ法を使用する場合、120000の分解能で全親イオンスペクトルを得ることができ、その後、限定された対象の質量範囲にわたってさらに高い分解能のスペクトルを得ることができる。プレフィルタを使用してこれらの対象領域内のイオンを選択し、Cトラップまたは先行する貯蔵多重極の内部に蓄積することができ、蓄積されるイオンは、後で最高質量分解能モードで動作する本発明の分析器を通過するときに生じる伝送損失を補償するのに十分なものである。この手法は特に、例えば高速クロマトグラフィを利用しない適用分野において使用される。
イオンビームが分析器を通って進むときに特に主飛行経路上でのイオンビームの位置を検査および/または最適化するために、位置合わせまたは調整補助機能を組み込む様々な方法を使用することができる。前述したように、イオンパケットが電極付近を通ったときに検出するために、任意の電極でのイメージ電流検出を使用することができる。しかし、非常に短い検出時間にわたるそのような検出の感度は一般に低く、したがって、飛行時間システムに関する低強度イオンパルス特性を検出するには、より高感度の検出器が必要とされる。そのような位置合わせまたは調整補助の一実施形態では、図29を参照して次に述べるように、主飛行経路からずらして位置された1つまたは2つ(またはそれよりも多く)の検出器を使用することができる。図29aは、分析器の赤道の近傍での概略側面図を示す。主飛行経路が参照番号1210で示されており、それぞれ内側と外側のベルト電極アセンブリ650と660の間を通る。主飛行経路の片側に、ある距離だけ離して、外側ベルト電極660の後方に第1の位置合わせ検出器1215aが位置され、主飛行経路のもう片方の側に、等距離で、内側ベルト電極650の後方に第2の位置合わせ検出器1215bが位置される。点線1220は電場定義構造(例えば電極トラック)を表し、これは、内側および外側電場定義電極システムの一部を成して、ベルトおよび検出器の近傍で分析器場を維持する。検出器1215a、bが、電場定義構造1220のスリットの後方に位置される。分析器内部での事前の反射中、例えばベルト電極アセンブリ上に位置された偏向器電極によってイオンを偏向させることができ、イオンは、矢印1218aおよび1218bによって示される軌道を辿って、主飛行経路1210よりも大きい半径または小さい半径に至り、それにより、電場定義構造1220のアパーチャを通過して検出器1215aまたは1215bに衝突する。より小さい半径からより大きい半径(またはその逆)にビームを走査することによって、ビームの中心位置、すなわち主飛行経路に関する最適な位置を、2つの検出器1215a、bにおいて信号から求めることができる。検出器1215a、bは、時間分解能を有する必要はない。ビームの正確な位置合わせを検査するための代替構成が図29bに概略的に示され、この構成では、ベルト電極アセンブリ660内の(正イオンのビームに関して)負にバイアスされた偏向電極1230を使用して、ベルト電極の一方、例えばこの場合には外側ベルト電極アセンブリ660に向けてイオンを偏向させることができる。偏向電極1230は、簡便には、円弧集束レンズまたは個別電極の一方でよい。イオンは、偏向電極1230に衝突し、2次イオンおよび負の電子が生成され、これらが、対向するベルト電極、この場合には内側ベルト電極アセンブリ650に向けられる。この構成での内側ベルト電極アセンブリ650はグリッド1225を有し、このグリッド1225は、放出されたイオンおよび電子が位置合わせ検出器1215cまで通過できるようにする。したがって、最適なビーム位置を見出すために、ベルト電極間の様々なイオンビーム経路に関して検出器信号を監視することができる。任意選択で、図29aに示される様式で第2の位置合わせ検出器1215dも利用することができる。類似の構成が図29cに概略的に示されており、同様の部分には図29bと同様に符号が付されている。図29cでは、検出電極1230は、対向するベルト電極アセンブリ650に向けてイオンビームを反発するための電圧を与えられ、イオンは、グリッド1225を通過して、位置合わせ検出器1215eに衝突する。図29d(同様の部分には図29cと同様に符号が付されている)で概略的に示されるさらなる変形形態では、イオンビームは、まず変換ダイノード1235に当たることができ、変換ダイノード1235は、位置合わせ検出器1215fのために、より測定可能な電荷を生成する。図29eに示されるように、分析器を調整する助けとなるように、複数の位置合わせ検出器をz軸の周りに環状に位置させることができる。図29eは、分析器軸zの周りに環状に配置された検出器1215gを概略的に示す。
図29fに、図29eに概略的に示されるビーム位置合わせまたは調整構成がより詳細に示されており、図29fは、調整構成の領域内の概略的な切欠斜視図を示す。狭窄部分620を有する外側電場定義電極システム610が図示されており、内側電場定義電極システム600を半径方向で取り囲む。先行の図面に示されているように、狭窄部分の領域内での分析器場の四重極対数ポテンシャルを維持するために、分析器体積内に面する狭窄部分620の表面は電極トラック630を担持する。内側電場定義電極システム600は内側ベルト電極アセンブリ650を担持し、内側ベルト電極アセンブリ650は、形作られた電極1240の形態で内側円弧集束レンズを支持する。内側ベルト電極アセンブリ650に対向して外側ベルト電極アセンブリ660があり、外側ベルト電極アセンブリ660は、形作られた電極1242の形態での外側円弧集束レンズを支持する。イオンビームは、内側ベルト電極アセンブリ650と外側ベルト電極アセンブリ660の間を通る主飛行経路上を進む。形作られた内側電極1240に適切な電圧を印加することにより、ビームは偏向されて、外側ベルト電極アセンブリ660の一部分1225にあるスリット1226を通る。次いで、ビームは変換ダイノード1235bの表面に当たり、その後、放出された荷電粒子がチャンネルトロン検出器1215hによって検出される。主飛行経路の様々な軌道に関してチャンネルトロン検出器1215hからの検出信号を監視することによって、最適な飛行経路を確かめることができる。
あるいは、またはさらに、図29を参照して説明した任意のタイプの検出器から検出された信号を、制御システムで使用することができる。制御装置は、検出システムに接続され、イオン光学デバイスを制御するために使用される。イオン光学デバイスは、分析器の前にあり、分析器に入るイオンパケットの進入軌道および/または分析器場に影響を及ぼす。それにより、入射されたイオンの次のパケットのための進入軌道を調節することができ、および/またはそれにより、例えば電極に印加される電位を変えることによって分析器場を調節して、分析器を通るイオンビーム経路を制御することができる。また、制御装置を使用して、検出システムによって検出された電荷量に基づいて、入射される次のパケットにおいて所望の数のイオンが分析器に通されるようにすることもできる。検出される電荷量は、分析器に入射されたイオンの数を示す。分析器に特定量のイオンを入射して、例えば空間電荷によって質量分解能が悪影響を及ぼされないように最適に分析器内にイオンを充満させること、または最後の検出器に負荷がかかりすぎないことを保証することが望ましい場合、今述べたように制御装置によってイオンの量を制御することができ、これは自動利得制御(AGC)の一形態である。あるいは、またはさらに、検出システムによって検出された電荷の量に基づいて、制御装置によって最後の検出器の利得を調節することもでき、これは、それにより、最後の検出器(最後の検出システム)に接続された検出システムが、最後の検出器に後で到達するイオンの量に適合するように準備されるという利点を提供する。それにより、最後の検出システムの有用な動的範囲を、分析器内部を既に飛行中のイオンまたは後続の入射で分析器に入射されるイオンの到着速度に対応するように構成することができる。
前述したように、また図6、図7、図16、図17、図24、図27、および図29を参照すると、電気トラックを提供することによって静電質量分析器場の歪を抑えることができ、電気トラックは、使用時、主分析器場の電位を維持するような電圧を印加される。電極は、主分析器場の等電位面に合致するようにバイアスされる。したがって、ゼロ電磁場は2つ以上の等電位面を表さないので、本発明のこの態様は、非ゼロ静電場の歪を抑えることに関係する。図17c〜e、図27、および図29fに示されるように、表面は実質的に平坦でよく、または折り返されて、2つ以上の直交面にわたって延在することがある。表面は、複数の空間的に別個の部分表面に分解することができる。表面を湾曲させてもよいことは当業者に明らかであろう。表面は、図16bに関連して前述したようにアパーチャを含むことができる。アパーチャがある場合、電場がアパーチャを通って侵入することにより電磁場の歪を抑えるように電極トラックを形作ることができる。表面は、必要であればトラック間に電気絶縁を提供するように絶縁性または半導電性でよい。したがって、表面は、ポリマーまたはセラミックpcb材料からなることがある。トラックは、既に述べたように抵抗性材料でよく、または従来の金属化堆積物でよい。
荷電粒子がTOF分析器を通してコヒーレントに輸送されるというさらなる利点を利用する実施形態は、MALDI源の使用を含む。本発明のTOF分析器に結合された特別に設計されたMALDI源は、既に説明したCトラップなどのトラップを利用する実施形態よりも高い質量電荷分解能を提供することができる。なぜなら、Cトラップでの200μm×1000μmに比べて小さな体積、例えば直径<100μmの中でイオンを生成することができるからであり、また、生成されるイオンがより低いエネルギー幅を有し、飛行時間収差が減少されるからである。さらに、Cトラップには存在するRF電磁場がないことにより、質量の上限が存在しない。MALDI源は、イオンの衝突冷却を提供するためにガスを必要とせず、したがって、パルスイオン源から出たガスビームが分析器に入るのを防止する必要はない。
+/−100μm領域からの複数のビームを含み、0.01°で発散し、(約2000Daの理論上の上側質量限度を与える)1eVのエネルギー幅を有し、8回の反射を受けるビームに関するシミュレーションから、イメージがコヒーレントのままであり、約1mmだけサイズが大きくなることが示される。
本発明のTOF源分析器と共に使用するための上述の特別に設計されたMALDI源に加えて、例えば高速および高分解能で代謝産物および小さな分子に適用するために、説明したCトラップと共に非イメージングMALDI源を使用することもできる。MALDI源は、例えば、Thermo Fisher ScientificからのLTQ−Orbitrap(商標)の場合と同様にCトラップに結合させることができる。MALDI源をCトラップの各側に位置させることができる。MALDI源をCトラップの一方の側に位置させることもでき、Cトラップの他方の側には別のイオン源が位置され、それにより二重イオン源機器を提供する。例として、検出器での後段加速およびCトラップでの電位の様式に応じて、以下のレイアウトがあり得る。(1)ESI/LTQもしくはQ/HCD/C−trap/HCD/LTQもしくはQ/MALDI、または(2)ESI/LTQもしくはQ/HCD/c−trap/MALDI。ここでESIはエレクトロスプレー源であり、LTQは線形トラップ四重極であり、Qは四重極であり、HCDは衝突セルである。両方向で電位勾配を印加することができるHCDセルは、Cトラップの一方の側から他方の側にイオンを移動させる際の複雑な操作のために必要とされることがある。しかし、理論上は、そのようなMALDI構成は、小さなペプチドおよびタンパク質のためにのみ使用することができる。なぜなら、その装置はRFデバイスを必要とし、RFデバイスは一般に10000〜20000m/zよりも高いイオンを効果的には伝送しないからである。しかし、この問題は、実践上は、2つの切換え可能なRF周波数/電位を使用し、2つの切換え可能な質量範囲で操作することによって解決することができる。また、スペクトルを小さな時間的コストで継ぎ目なくつなぎ合わせることができる。一体型MALDI源を備える変形型Cトラップを使用することができる。そのような設計では、ESI入射システムなどのシステム内の任意のイオン源のイオン光学系が、ESI構成など従来の構成に関するものと同じままでよく、普通にCトラップに結合させることができる。しかし、一体型Cトラップ/MALDI構成では、通常のCトラップの裏側プレートを、x−y並進段階でのサンプル面にすることができる。この場合、Cトラップは、MALDI中にRFなしで動作し、2段階の抽出または遅延抽出を必要とする。この手法の利点は、MALDIに関してRFが必要ないことであり、デバイスを高分子(例えばタンパク質)に使用することができ、ほぼすべてのイオン導入システムが同じままであることである。
温度変化による材料の膨張および/または収縮を補償するために、分析器が、米国特許第6998607号明細書でDavis他によって説明されている原理を使用して構成されることが好ましい。これらの原理は、非ゼロ熱膨張率の材料であって、分析器を通過するイオンの飛行時間が一定であるように組み合わされた材料の使用を含む。より具体的には、飛行時間分析器は、温度依存パラメータを有する第1の要素を使用して構成され、その温度依存パラメータにより、飛行経路の第1のセグメントに沿ったイオンの飛行時間が温度変化と共に変わり、この構成がまたスペーサなど第2の要素も含み、この第2の要素も温度依存パラメータを有し、第2の要素が温度に依存した長さを有し、第2の要素の長さ、および第2の要素のために使用される材料の温度依存は、飛行経路全体に沿って進むイオンの全飛行時間が、同じ質量電荷比のイオンに関しては分析器の温度とは無関係に一定であるように選択される。
図30を参照すると、この手法を利用する一実施形態は、z軸100に位置された第1の材料の中央ピラー1500を備え、ミラー40、50を備える分析器10の軸方向での全長を延ばす。各ミラー40、50は、それぞれ2つの区域40a、40b、50a、50bを備える。中央ピラー1500は、両方のミラー40、50の内側電場定義電極システム20の内側に延びる。ミラー40、50は、内側および外側ベルト(図示せず)が位置する領域内に、それぞれ内側および外側の中央セグメント1510、1520を備える。ミラー40、50は、端部プレート1530、1540によって終端される。中央ピラー1500は、端部プレート1530に固着されるが、端部プレート1540の穴1535を通って可動に延びる。上側カラー1550は中央ピラー1500に固着され、それと共に移動する。下側カラー1560は中央ピラー1500を取り囲み、中央ピラー1500は、カラー1560を通って自由に移動することができる。補助ピラーA1570が、上側および下側カラー1550および1560の両方に固着される。補助ピラーA1570は、上側カラー1550と共に移動し、それにより下側カラー1560を移動させる。補助ピラーB1580が、両方のカラー1550および1560を通過する。補助ピラーB1580は、上側カラー1550を通って自由に移動するが、その下端部で下側カラー1560に固着され、それにより補助ピラーB1580は下側カラー1560と共に移動する。ピラーB1580は、その上端部で、端部プレート1540に固着される。上述した構成要素は温度補償メカニズムを備える。
ほとんどの材料が温度の上昇と共に膨張し、様々なタイプの金属やガラスなどミラー40、50を製造するための多くの実用的な材料も温度の上昇と共に膨張する。メカニズムが何もない状態では、そのような膨張により、ミラー40、50がより大きくなり、z方向で分析器の軸方向長さを増加し、分析器10を通る飛行経路長および全飛行時間を増加する。動作時、上述して図30に示した温度補償メカニズムにより、ミラー区域40aおよび50aは、温度の上昇と共に互いに近付くように移動し、内側および外側中央セグメント1510、1520に隣接して位置された材料1600を圧縮する。ミラー区域40a、50aは、それらのz軸長がより長くなり、各ミラー区域40a、50内部での飛行経路長を増加するが、温度補償メカニズムにより、これらの膨張したミラー区域40a、50aは互いに近付くように移動し、内側および外側中央セグメント1510、1520の領域内の飛行経路長を減少させる。これらの飛行経路長の変更は、分析器の温度変化があっても、分析器を通る全飛行時間が不変となるようにするものである。温度上昇時、ミラー区域40a、50aを形成する材料の大きさが膨張し、端部プレート1530、540が互いから離れるように移動する傾向がある。中央ピラー1500も同様に膨張する。しかし、補助ピラーA1570は、ミラー区域40a、50aを形成するために使用される材料および中央ピラー1500を形成するために使用される材料よりも大きい熱膨張係数を有する材料を備え、補助ピラーA1570は、ミラー区域40a、50aおよび中央ピラー1500よりも大きい量だけ長さが伸長する。上側カラー1550内部に固定された状態で、補助ピラーA1570の膨張は、下側カラー1560をz=0平面に向けて押す。低い熱膨張率を有する材料を備える補助ピラーB1580は、下側カラー1560に取り付けられており、また端部ピラー1540にも取り付けられている。したがって、z=0平面に向かう下側カラー1560の移動も、補助ピラーB1580を介して、z=0平面に向けて端部プレート1540を移動させる。この動きにより、端部プレート1530、1540は温度上昇と共に互いに向かって移動し、材料1600を圧縮する。ミラー区域40a、50aでの飛行経路長はより長くなるが、ミラー区域40b、50bでの飛行経路長はより短くなり、これらの移動は、温度に関わらず全飛行時間が不変であるようにミラーおよびピラーに関して適切な材料を選択することによって構成される。
あるいは、他の知られている温度補償法を使用することもできる。例えば、米国特許第6049077号明細書に記載されているように長さが熱に依存しないスペーシング構造を使用することができ、または米国特許第6700118号明細書に記載されているように、熱膨張による飛行経路の変化を考慮するように、得られる質量スペクトルを調節することができる。
式(6a〜c)によって記述されるいくつかの実施形態の例が図31に示される。図31aは、x=0平面(i)、y=0平面(ii)、および平面z=A(iii)でのミラー構造を通る断面図を示す。対向するミラー40、50はそれぞれ、2つの内側電場定義電極構造1310、1320を取り囲む外側電場定義電極構造1300を備える。内側電場定義電極1310、1320はx=0平面上になく、図31a(i)では破線で示されている。図31bは、式(6a)によって記述されるさらなる実施形態を示し、x=0平面(i)、および平面z=A(ii)でのミラー構造を通る断面が提供される。対向するミラー40、50はそれぞれ、4つの内側電場定義電極構造1350、1360、1370、1380を取り囲む外側電場定義電極構造1300を備える。
同様の構造が、C.Koester, Int. J. Mass Spectrom. Volume 287, Issues 1−3, pages 114−118 (2009)に示されており、図1および図2が、図31aおよび図31bに示したものと同様の実施形態の斜視図を示している。この刊行物はまた、その図3、図4、および図5に示される静電トラップ内部の荷電粒子軌道の図も提供する。同様の軌道を、本発明のTOF分析器の実施形態でも実施することができる。さらなる軌道が、式6(a〜c)のさらなる解に関連して図31cに概略的に示され、ここでは、各ミラーで16個の内側電場定義スピンドル状構造1390が外側電場定義電極構造1300によって取り囲まれ、構造1300、1390はz方向に延在する。図31cは、zが一定の平面で電極構造を通る断面を示し、イオン軌道を概略的に示すビームエンベロープ1400が示され、z軸に垂直な平面内で実質的に線形の運動を表し、この実質的に線形の運動は、z軸の周りで回転して、星形ビームエンベロープ1400を生成する。
特許請求の範囲を含めて本願で使用するとき、文脈に別段に指示しない限り、本願での用語の単数形は、複数形も含むものと解釈すべきであり、またその逆も成り立つ。例えば、文脈に別段に指示しない限り、特許請求の範囲を含めて本願での単数表記、例えば「1つの」は、「1つまたは複数の」を意味する。
本明細書の説明および特許請求の範囲を通じて、語「備える」、「含む」、「有する」、および「含有する」、ならびにそれらの語の活用形、例えば「備えている」および「備えた」などは、「含むが、それに限定されない」を意味し、他の構成要素を除外する意図はない(除外しない)。
本発明の前述の実施形態に対する変形を、依然として本発明の範囲内で行うことができることは明らかであろう。本明細書で開示する各特徴は、別段に指示しない限り、同一、同等、または同様の目的を果たす代替の特徴によって代用されることがある。したがって、別段に指示しない限り、開示される各特徴は、包括的な一連の同等または同様の特徴のうちの一例にすぎない。
本明細書で提供されるあらゆる例または例示を示す言葉(「例として」、「など」、「例えば」などの言葉)の使用は、本発明をより良く説明するためのものにすぎず、別段に指示しない限り、本発明の範囲に対する限定は示さない。本明細書における言い回しはどれも、特許請求しない要素を本発明の実施に重要な要素として示すものと解釈すべきでない。

Claims (53)

  1. 荷電粒子を分離する方法であって、
    2つの対向するミラーを備える分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、前記外側システムが前記内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、それにより、前記電極システムが電気的にバイアスされたときに、前記ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、電場のz軸に沿った強度が平面z=0で最小であり、方法がさらに、
    分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器体積内部でz軸の周りを周回し、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射し、それによりミラー内部に最大変向点を定義するステップを含み、最大変向点での電場のz軸に沿った強度がXであり、電場のz軸に沿った絶対強度が、平面z=0と各ミラーでの最大変向点の間でz軸に沿った方向の2/3以下にわたって|X|/2未満であり、方法がさらに、
    荷電粒子の飛行時間に従って前記荷電粒子を分離するステップと、
    複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを前記分析器から出射する、または複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを検出するステップとを含み、前記出射または検出するステップが、前記粒子が前記z軸の周りで同じ回数の周回を経た後に行われる方法。
  2. 電場のz軸に沿った絶対強度が、平面z=0と各ミラーでの最大変向点との間でz軸に沿った距離の(i)2/3〜1/3、(ii)0.6〜0.4、(iii)0.55〜0.45、(iv)0.52〜0.42、および(v)約0.5の範囲の1つまたは複数にわたって|X|/2未満である請求項1に記載の荷電粒子を分離する方法。
  3. 電場のz軸に沿った絶対強度が、平面z=0と各ミラーでの最大変向点との間でz軸に沿った距離の1/3以下にわたって|X|/3未満である請求項2に記載の荷電粒子を分離する方法。
  4. 前記ビームは、一方のミラーから他方のミラーに反射するときに、z軸の方向で実質的に単調和運動の少なくとも1回の振動を受ける請求項1、2、または3に記載の荷電粒子を分離する方法。
  5. z軸の方向での実質的に単調和運動の振動が振動周波数であり、z軸の周りでの周回運動が周回周波数であり、周回周波数対振動周波数の比が0.71〜5.0である請求項4に記載の荷電粒子を分離する方法。
  6. 各反射ごとに、荷電粒子のビームが、π/21/2ラジアンよりも大きく回転する請求項1〜5のいずれか一項に記載の荷電粒子を分離する方法。
  7. 電場が、前記ミラーでの最大変向点間でz軸に沿った長さの少なくとも半分に沿って実質的に線形である請求項1〜6のいずれか一項に記載の荷電粒子を分離する方法。
  8. 荷電粒子が、z軸の方向での振動の全時間の半分未満、z軸に沿って実質的に一定の速度で飛行する請求項1〜7のいずれか一項に記載の荷電粒子を分離する方法。
  9. 前記ビームが前記分析器を通って飛行するときに、前記ビームの円弧発散を制約するステップを含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 荷電粒子の前記ビームが前記分析器を通って飛行するときに、前記荷電粒子の前記ビームを少なくとも1つの円弧集束レンズに通す請求項9に記載の荷電粒子を分離する方法。
  11. 前記ビームが主飛行経路上で分析器を通って飛行し、方法が、外部入射軌道、内部入射軌道、内部出射軌道、および外部出射軌道の少なくとも1つに沿ってさらに荷電粒子の前記ビームを向けるステップをさらに含み、方法が、あらゆる軌道間、または1つまたは複数の軌道と主飛行経路の間での移行時または移行前に、ビーム方向および/またはビーム内の粒子の運動エネルギーを変えるステップをさらに含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の荷電粒子を分離する方法。
  12. 前記ビームが、z=0平面またはその近くで主飛行経路を進行し始める請求項11に記載の荷電粒子を分離する方法。
  13. 前記ビームが前記主飛行経路を進行し始める点で、入射時に少なくとも半径方向rで前記ビームを偏向するステップを含む請求項11または12に記載の荷電粒子を分離する方法。
  14. 分析器体積の外部に位置されたパルスイオン源から前記分析器体積に前記ビームを入射するステップを含む請求項1〜13のいずれか一項に記載の荷電粒子を分離する方法。
  15. 入射偏向器を通して前記分析器体積内に前記ビームを入射するステップであって、前記入射偏向器の出口アパーチャが前記主飛行経路の進行開始点に位置するステップを含む請求項1〜14のいずれか一項に記載の荷電粒子を分離する方法。
  16. 前記入射偏向器の入口アパーチャが前記分析器体積の外部に位置する請求項15に記載の荷電粒子を分離する方法。
  17. 前記入射偏向器が電気セクタまたはミラーである請求項15または16に記載の荷電粒子を分離する方法。
  18. z=0平面またはその近くで、前記荷電粒子の少なくともいくつかを主飛行経路から出射するステップを含む請求項1〜17のいずれか一項に記載の荷電粒子を分離する方法。
  19. 前記荷電粒子の少なくともいくつかが前記主飛行経路から出る点で、出射時に少なくとも半径方向rで前記荷電粒子の少なくともいくつかを偏向するステップを含む請求項1〜18のいずれか一項に記載の荷電粒子を分離する方法。
  20. 前記分析器体積から出射偏向器を通して前記荷電粒子の少なくともいくつかを出射するステップであって、前記出射偏向器の入口アパーチャが前記主飛行経路上に位置するステップを含む請求項1〜19のいずれか一項に記載の荷電粒子を分離する方法。
  21. 前記出射偏向器の出口アパーチャが前記分析器体積の外部にある請求項20に記載の荷電粒子を分離する方法。
  22. 前記出射偏向器が電気セクタまたはミラーである請求項20または21に記載の荷電粒子を分離する方法。
  23. 前記主飛行経路から荷電粒子処理デバイスに前記荷電粒子の少なくともいくつかを出射するステップを含み、前記荷電粒子処理デバイスが、荷電粒子検出器、後段加速デバイス、イオン貯蔵デバイス、衝突または反応セル、フラグメンテーションデバイス、質量分析デバイスの1つまたは複数を備える請求項1〜22のいずれか一項に記載の荷電粒子を分離する方法。
  24. 前記ビームが前記主飛行経路を進行し始める、および/または前記荷電粒子の少なくともいくつかが前記主飛行経路から出る場所の近傍で、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分を通して、前記分析器体積に前記ビームを入射する、および/または前記荷電粒子の少なくともいくつかを前記分析器体積から出射するステップを含む請求項1〜23のいずれか一項に記載の荷電粒子を分離する方法。
  25. 荷電粒子検出器を前記分析器体積の外部に位置させるステップと、前記検出器によって検出するために、前記荷電粒子の少なくともいくつかを前記分析器体積から出射するステップとを含む請求項1〜24のいずれか一項に記載の荷電粒子を分離する方法。
  26. 荷電粒子検出器の検出面と前記ビームの時間的焦点面とを実質的に同じ位置にするステップを含む請求項1〜25のいずれか一項に記載の荷電粒子を分離する方法。
  27. 前記荷電粒子を検出する前に前記荷電粒子の少なくともいくつかを後段加速するステップを含み、前記後段加速が、前記分析器体積の外部に位置された後段加速器によって行われる請求項1〜26のいずれか一項に記載の荷電粒子を分離する方法。
  28. 選択された粒子とは異なるすべての他の粒子を前記分析器から出射することによって、1つまたは複数のm/zの選択された粒子を前記分析器体積内部で隔離するステップを含む請求項1〜27のいずれか一項に記載の荷電粒子を分離する方法。
  29. イオンが、前記主飛行経路からずれるように偏向され、それにより前記分析器体積内部の検出面に衝突する請求項1〜28のいずれか一項に記載の荷電粒子を分離する方法。
  30. 前記ビームが前記分析器を通って進むときに前記イオンビームの位置を最適化するためのプロセスの一部として、および/または自動利得制御のプロセスの一部として、および/または検出器の利得を調節するためのプロセスの一部として、前記検出面に衝突するイオンを検出するステップを含む請求項29に記載の荷電粒子を分離する方法。
  31. 前記z軸の周りで前記粒子が同じ回数の周回を経た後に、前記荷電粒子の少なくともいくつかの前記分析器を通る飛行時間を測定するステップと、測定された飛行時間から質量スペクトルを構成するステップとをさらに含む請求項1〜30のいずれか一項に記載の荷電粒子を分離する方法。
  32. 2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器であって、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、使用時、分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器体積内部でz軸の周りを周回するとともに一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射し、それによりミラー内部に最大変向点を定義し、電極システムが電気的にバイアスをかけられるとき、ミラーが、z軸に沿った対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、電場のz軸に沿った強度が平面z=0で最小であり、最大変向点での電場のz軸に沿った強度がXであり、電場のz軸に沿った絶対強度が、平面z=0と各ミラーでの最大変向点の間でz軸に沿った距離の2/3以下にわたって|x|/2未満であり、荷電粒子分析器がさらに、
    出射器、または検出器の少なくとも一部を備え、出射器、または検出器の少なくとも一部が、前記分析器体積内部に位置されて、それぞれビームからの少なくとも前記いくつかの荷電粒子を前記分析器体積から出射し、または前記分析器体積内部で検出し、前記少なくともいくつかの粒子が複数のm/zを有し、前記出射または検出が、少なくともいくつかの粒子が軸zの周りで同じ回数の周回を経た後に行われる荷電粒子分析器。
  33. 一方または両方のミラーの内側電場定義電極システムを少なくとも部分的に取り囲む、分析器体積内部に位置された少なくとも1つのベルト電極アセンブリを備える請求項32に記載の荷電粒子分析器。
  34. 前記ビームが分析器を通って飛行するときに、前記ビームの円弧発散を制約するための少なくとも1つの円弧集束レンズを備える請求項32または33のいずれか一項に記載の荷電粒子分析器。
  35. 実質的に同じz座標でz軸の周りに位置された複数の円弧集束レンズを備える請求項34に記載の荷電粒子分析器。
  36. 一方または両方のミラーの前記外側電場定義電極システムが、前記ビームが前記主飛行経路を進行し始める、および/または前記荷電粒子の少なくともいくつかが前記主飛行経路から出る場所の近傍で、狭窄部分を有する請求項32〜35のいずれか一項に記載の荷電粒子分析器。
  37. 前記狭窄部分が、z=0平面またはその近くに位置される請求項36に記載の荷電粒子分析器。
  38. 前記狭窄部分が少なくとも1つのアパーチャを有し、前記アパーチャを通して、前記ビームが前記分析器体積内に入射され、および/または前記荷電粒子の少なくともいくつかが前記分析器体積の外に出射される請求項36または37に記載の荷電粒子分析器。
  39. パルスイオン源を備える入射器を備え、前記パルスイオン源が、前記分析器体積の外部に位置される請求項32〜38のいずれか一項に記載の荷電粒子分析器。
  40. 前記パルスイオン源が、湾曲リニアイオントラップ(Cトラップ)である請求項39に記載の荷電粒子分析器。
  41. 前記偏向器の前記出口アパーチャが前記主飛行経路の進行開始点にある入射偏向器を備える請求項32〜40のいずれか一項に記載の荷電粒子分析器。
  42. 前記偏向器が電気セクタまたはミラーである請求項41に記載の荷電粒子分析器。
  43. 前記入射偏向器が、請求項36〜38のいずれか一項に記載の狭窄部分のアパーチャを通して位置される請求項41または42に記載の荷電粒子分析器。
  44. 前記出射器が出射偏向器を備え、前記偏向器の入口アパーチャが前記主飛行経路上に位置された請求項32〜43のいずれか一項に記載の荷電粒子分析器。
  45. 前記出射偏向器が電気セクタまたはミラーである請求項44に記載の荷電粒子分析器。
  46. 前記出射偏向器が、請求項36〜38のいずれか一項に記載の狭窄部分のアパーチャを通して位置される請求項44または45に記載の荷電粒子分析器。
  47. 前記出射器および前記分析器が存在し、さらに、出射された粒子の少なくともいくつかを検出するための前記分析器体積の外部に位置された検出器を備える請求項32〜46のいずれか一項に記載の荷電粒子分析器。
  48. 前記検出器が、請求項36〜38のいずれか一項に記載の狭窄部分に隣接して位置される請求項47に記載の荷電粒子分析器。
  49. 前記検出器が、検出すべき少なくともいくつかの粒子の時間的焦点面と同じ位置にされた検出面を有する請求項32〜48のいずれか一項に記載の荷電粒子分析器。
  50. 前記分析器体積の外部に、かつ前記検出器の上流に位置された後段加速器を備える請求項48または49に記載の荷電粒子分析器。
  51. さらに、使用時、イオンが前記分析器体積内部に位置された検出器に衝突するようにイオンを前記主飛行経路から偏向するように構成される偏向器を備える請求項32〜50のいずれか一項に記載の電荷粒子分析器。
  52. 請求項32〜51のいずれか一項に記載の電荷粒子分析器を備える質量分光計。
  53. 前記電荷分析器が、前駆体またはフラグメントイオンの高い質量分解能の飛行時間分析を行うように構成される、タンデム式質量分光分析に適するように構成された請求項52に記載の質量分光計。
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