本発明の一態様によれば、荷電粒子を分離する方法であって、
2つの対向するミラーを備える分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、電場のz軸に沿った絶対強度が平面z=0で最小であり、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器体積内部でz軸の周りを周回し、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射し、それによりミラー内部に最大変向点を定義するステップを含み、最大変向点での電場のz軸に沿った強度が|X|であり、電場のz軸に沿った絶対強度が、平面z=0と各ミラーでの最大変向点の間でz軸に沿った方向の2/3以下にわたって|X|/2未満であり、方法がさらに、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと、
複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを分析器から出射する、または複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを検出するステップとを含み、出射または検出するステップが、粒子がz軸の周りで同じ回数の周回を経た後に行われる方法が提供される。
本発明の別の態様によれば、
2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器であって、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、使用時、分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器体積内部でz軸の周りを周回するとともに一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射し、それによりミラー内部に最大変向点を定義し、電極システムが電気的にバイアスをかけられるとき、ミラーが、z軸に沿った対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、電場のz軸に沿った強度が平面z=0で最小であり、最大変向点での電場のz軸に沿った強度がXであり、電場のz軸に沿った絶対絶対強度が、平面z=0と各ミラーでの最大変向点の間でz軸に沿った距離の2/3以下にわたって|x|/2未満であり、荷電粒子分析器がさらに、
出射器、または検出器の少なくとも一部を備え、出射器、または検出器の少なくとも一部が、分析器体積内部に位置されて、それぞれビームからの少なくともいくつかの荷電粒子を分析器体積から出射し、または分析器体積内部で検出し、上記少なくともいくつかの粒子が複数のm/zを有し、出射または検出が、少なくともいくつかの粒子が軸zの周りで同じ回数の周回を経た後に行われる荷電粒子分析器が提供される。
好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と各ミラーでの最大変向点との間でz軸に沿った距離の1/2以下にわたって|X|/2未満である。
好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と各ミラーでの最大変向点との間でz軸に沿った距離の1/3以上にわたって|X|/2未満である。
好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と各ミラーでの最大変向点との間でz軸に沿った距離の2/3と1/3の間(すなわち2/3〜1/3)にわたって|X|/2未満である。より好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と各ミラーでの最大変向点との間でz軸に沿った距離の0.6〜0.4の間、より好ましくは0.55〜0.45の間、さらに好ましくは0.52〜0.42の間にわたって|X|/2未満である。最も好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と各ミラーでの最大変向点との間でz軸に沿った距離の約1/2にわたって|X|/2未満である。
従って、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と各ミラーでの最大変向点との間でz軸に沿った距離の(i)2/3〜0.6の間、(ii)0.6〜0.55の間、(iii)0.55〜0.5の間、(iv)0.5〜0.45の間、(v)0.45〜0.4の間、または(vi)0.4〜1/3の間にわたって|X|/2未満であり得る。
好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と最大変向点との間でz軸に沿った距離の1/3以下にわたって|X|/3未満である。
より好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と各ミラーでの最大変向点との間でz軸に沿った距離の2/3以下(好ましくは1/2以下)にわたって|X|/2よりも大きい。
より好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と各ミラーでの最大変向点との間でz軸に沿った距離の2/3以下(好ましくは1/2以下)かつ1/3以上にわたって|X|/2よりも大きい。
好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と各ミラーでの最大変向点との間でz軸に沿った距離の2/3と1/3の間(すなわち2/3〜1/3)にわたって|X|/2よりも大きい。より好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と各ミラーでの最大変向点との間でz軸に沿った距離の0.6〜0.4の間、より好ましくは0.55〜0.45の間、さらに好ましくは0.52〜0.42の間にわたって|X|/2よりも大きい。最も好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と各ミラーでの最大変向点との間でz軸に沿った距離の約1/2にわたって|X|/2よりも大きい。
最も好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と各ミラーでの最大変向点との間でz軸に沿った距離の約1/2にわたって|X|/2よりも大きい。
好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と最大変向点との間でz軸に沿った距離の1/3以下にわたって2|X|/3よりも大きい。
好ましくは、ビームは、一方のミラーから他方のミラーに反射するときに、z軸の方向で実質的に単調和運動の少なくとも1回の振動を受ける。
好ましくは、荷電粒子の少なくともいくつかは、分析器内部で実質的に同じ経路を複数回辿らず、すなわち閉じた経路を辿らない。
好ましくは、z軸の方向での実質的に単調和運動の振動が振動周波数であり、z軸の周りでの周回運動が周回周波数であり、周回周波数と振動周波数の比は0.71〜5.0の間である。
好ましくは、電場は、z軸に沿った分析器体積の長さの少なくとも一部分に沿って実質的に線形である。好ましくは、電場は、各ミラーでの最大変向点間でz軸に沿った長さの少なくとも半分にわたって実質的に線形である。より好ましくは、電場は、各ミラーでの最大変向点間でz軸に沿った長さの少なくとも3分の2にわたって実質的に線形である。
好ましくは、複数のm/zの中には、最大m/z値(m/zmax)および最小m/z値(m/zmin)があり、m/zmax/m/zminは好ましくは少なくとも3である。他の好ましい実施形態では、m/zmax/m/zminの比は、少なくとも5、少なくとも10、または少なくとも20でよい。
好ましくは、粒子は、分析器体積内部でz軸の周りを周回して分析器を通って飛行するとき、一方のミラーから他方のミラーに1回よりも多く(すなわち複数回)反射する。
好ましくは、荷電粒子は、z軸の方向での振動の全時間の半分未満、より好ましくは3分の1未満だけ、z軸に沿って実質的に一定の速度で飛行する。
いくつかの好ましい実施形態では、方法が、粒子が軸zの周りで同じ回数の周回を経た後に、分析器を通る荷電粒子の少なくともいくつかの飛行時間を測定するステップを含む。好ましくは、荷電粒子分析器は、分析器を通る荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するためのものである。本明細書で使用するとき、用語「飛行時間」は、飛行時間(すなわち時間の単位、例えば秒)、または飛行時間を表す値(例えば時間の単位以外の単位、または無次元の値)を意味する。さらに好ましくは、この方法は、例えば飛行時間をm/z値に変換することによって、測定される飛行時間から質量スペクトルを構成するステップを含む。ここで、用語「質量スペクトル」は、質量に関係する領域内の任意のスペクトル、例えば質量、質量電荷比(m/z)、時間などを意味する。質量スペクトルは、好ましくはコンピュータを使用して構成され、例えば軸zの周りで同じ回数の周回を経た少なくともいくつかの粒子を検出したときに検出器によって生成される検出信号を受信するコンピュータを使用して構成される。検出信号から、例えばコンピュータによって飛行時間を導出することができる。
いくつかの実施形態では、この方法は、選択された粒子以外のビーム内のすべての粒子を分析器から出射することによって、分析器体積内の1つまたは複数のm/zを有する選択された粒子を隔離するステップを含むことがある。
好ましくは、分析器は、一方または両方のミラーの内側電場定義電極システムを少なくとも部分的に取り囲む、分析器体積内部に位置された少なくとも1つのベルト電極アセンブリを備える。
好ましくは、少なくとも1つのベルト電極アセンブリは、z軸と実質的に同心である。
好ましくは、少なくとも1つのベルト電極アセンブリは、一方または両方のミラーの内側および外側電場定義電極システムと実質的に同心である。
好ましくは、少なくとも1つのベルト電極アセンブリは、z=0平面からオフセットされたz軸に沿った位置に位置され、すなわちベルト電極アセンブリの中心はz=0平面からオフセットされる。
好ましくは、少なくとも1つのベルト電極アセンブリは、1つまたは複数の偏向器電極および/または1つまたは複数の円弧集束レンズを支持する。
好ましくは、偏向器電極は、荷電粒子入射器および/または出射器の少なくとも一部である。
好ましくは、本発明は、ビームが分析器体積を通って飛行し、z軸の周りを周回し、一方のミラーから他方のミラーに反射するときに、荷電粒子のビームを少なくとも1つの円弧集束レンズに通すステップをさらに含む。好ましくは、少なくとも1つの円弧集束レンズが、少なくとも円弧方向で電場への擾乱をもたらす。
好ましくは、本発明は、ビームが分析器を通って飛行するときにビームの円弧発散を制約するステップを含む。好ましくは、円弧発散の制約は、少なくとも円弧方向で電場擾乱をもたらすことによるものである。このために、少なくとも1つの円弧集束レンズを使用することができる。したがって、好ましくは、分析器は、ビームがz軸の周りを周回する間、すなわちビームが分析器軸(z)の方向で少なくとも1回の全振動を受ける間、分析器内部での荷電粒子のビームの円弧発散を制約するための少なくとも1つの円弧集束レンズを備える。
好ましくは、この方法は、ビームが分析器を通って飛行するときに、ビームの円弧発散を複数回制約するステップを含む。例えば、この方法は、好ましくは、ビームを少なくとも1つの円弧集束レンズに複数回通すステップを含む(例えば、円弧集束レンズが1つだけの場合にはその円弧集束レンズに複数回通す。または複数の円弧集束レンズが存在する場合には各レンズに1回または複数回通す)。好ましくは、装置は、複数の円弧集束レンズを備える。
好ましくは、ビームの円弧発散の制約、および/または少なくとも1つの円弧集束レンズを通るビームの通過は、ビームが円弧方向で集束レンズの寸法よりも大きくなる前に行われる。
好ましくは、ビームは、その円弧発散を制約され、および/または実質的にミラー間での各振動後に、より好ましくは実質的にミラーからの各反射後に円弧集束レンズを通過する。
好ましくは、複数の円弧集束レンズが、実質的に同じz座標に位置された円弧集束レンズのアレイを形成する。ここで、アレイとは、2つ以上であることを意味する。より好ましくは、円弧集束レンズのアレイは、実質的に同じz座標に位置され、この位置は、z=0またはその近くにあるが、最も好ましくはz=0の近くであり、しかしz=0からオフセットされている。好ましくは、円弧集束レンズのアレイは、円弧方向でz軸の周りに少なくとも部分的に延在し、より好ましくは円弧方向でz軸の周りを実質的に一周する。
円弧集束レンズは円弧方向で離隔配置される。円弧方向での複数の円弧集束レンズの離隔は、規則的でも不規則でもよいが、好ましくは規則的、すなわち周期的である。
好ましくは、少なくとも円弧の集束レンズはそれぞれ、ある電位で保たれる電極から形成され、例えば、少なくとも円弧方向での電場の擾乱、例えば3次元(3D)での電場の擾乱をもたらす。
いくつかの好ましい実施形態では、電極システムが電気的にバイアスをかけられるときに、ミラーは、z軸に沿って対向する電場を備える電場を生成し、対向する電場は互いに異なる。
いくつかの好ましい実施形態では、ビームは、z軸の周りで第1の角度の周回を経ると同時に第1のミラーを通って進み、第2の角度の周回を経ると同時に第2のミラーを通って進み、周回の第1の角度は周回の第2の角度とは異なる。好ましくは、周回運動の角度の1つは、a1=πnラジアンであり、ここでnは整数である。好ましくは、周回運動の角度の一方がa1=πnラジアンであり、他方の角度はa2=a1+/−δであり、ここで|δ|<<πである。好ましくは、一方のミラーの内側および外側電場定義電極システムの一方または両方は、他方のミラーの内側および外側電場定義電極システムの対応する一方または両方とは異なる寸法である。好ましくは、一方のミラーの内側および外側電場定義電極システムの一方または両方は、他方のミラーの内側および外側電場定義電極システムの対応する一方または両方とは異なる組の1つまたは複数の電位で保持される。分析器を通して、好ましくは主飛行経路に沿って荷電粒子のビームを飛行させるのに加えて、本発明は、好ましくは、
外部入射軌道、
内部入射軌道、
内部出射軌道、
外部出射軌道
の少なくとも1つに沿って荷電粒子のビームを向けるステップをさらに含む。
本明細書において、内部入射軌道および内部出射軌道に関連する用語「内部」は、分析器体積の内部に位置することを意味する。本明細書において、外部入射軌道および外部出射軌道に関連する用語「外部」は、分析器体積の外部に位置することを意味する。
本発明は、好ましくは、あらゆる軌道間、または1つまたは複数の軌道と主飛行経路の間での移行時または移行前に、ビーム方向および/またはビーム内の粒子の運動エネルギーを変えるステップをさらに含む。
本発明は、好ましくは、
ビーム偏向器、
静電セクタ、
荷電粒子ミラー、
1つまたは複数の円弧集束レンズの任意の部分
の1つまたは複数を使用して、前述したようにビーム方向および/または運動エネルギーを変えるステップと、
分析器の一部またはすべてにおいて、分析器電場を異なる電位に切り換えるステップと
を含む。
本発明は、外部入射軌道および/または内部入射軌道に沿って荷電粒子のビームを入射するステップを含むことができる。
以下でより詳細に説明するいくつかの好ましい実施形態では、ビームは、任意の実質的な長さの内部入射軌道に沿っては入射されないことがある。そのような場合、ビームは、分析器体積に入った後に、主飛行経路に実質的に直接つながることができる。実施形態のより好ましいタイプでは、ビームは、例えば外部入射軌道から分析器体積内に入射偏向器を通して入射され、この入射偏向器は、好ましくは電気セクタまたはミラー(すなわちイオンミラー)であり、偏向器(好ましくは電気セクタまたはミラー)の出口アパーチャは主飛行経路の開始点に位置する。そのような実施形態では、偏向器(好ましくは電気セクタまたはミラー)の入口アパーチャは、分析器体積の外部にある。入射偏向器は、好ましくは、少なくとも半径方向rでの入射時にビームを偏向し、より好ましくはビームの半径方向内側への速度を減少させる。
ビームは、好ましくは、z=0平面またはその近くで主飛行経路を進行し始め、例えば、ビームは、分析器体積の外部から、z=0平面またはその近くに入射され、そこで主飛行経路を進行し始める。
ビームは、好ましくは、ビームが主飛行経路に入る点で少なくとも半径方向rで偏向され、より好ましくはビームの半径方向内側への速度を減少させる。
他の実施形態では(そのうちのいくつかがやはり好ましい)、ビームは、内部入射軌道に沿って、次いで主飛行経路上に入射される。
いくつかの好ましいタイプの実施形態では、主分析器電場の影響がない状態で荷電粒子が内部入射軌道の少なくとも一部分(いくつかの場合にはすべて)を渡って進む。そのような実施形態では、例えば、内部入射軌道の少なくとも一部分(いくつかの場合にはすべて)を主分析器場の影響から遮蔽することができ、または内部入射軌道を粒子が渡って進む間に主分析器場をオフにすることができ、内部入射軌道の遮蔽は、大きな電圧の急速な切換えに伴う問題を回避するのに好ましい方法である。
他の好ましいタイプの実施形態では、主分析器電場の影響下で荷電粒子が内部入射軌道を渡って進む。これは、主分析器場から内部入射軌道を遮蔽する必要がない、またはビームが主飛行経路に到達したときに主分析器場を生成するために電位を切り換える必要がないという利点を有する。そのような場合、内部入射軌道の長さは、好ましくはできるだけ短く保たれる。例えば、ビームが主飛行経路につながる点(点P)の近傍に狭窄(すなわち直径が減少された)部分を有する一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムを有し、狭窄部分を通して(例えばそこにあるアパーチャを通して)分析器体積内にビームを入射することによってこれを実現することができる。これは、点Pの近傍で分析器体積の直径が減少し、またそれ対応して、主飛行経路に対して外側電場定義電極がより近位にあることにより、内部入射軌道の長さを短く保つ。
好ましくは、内部入射軌道が主飛行経路と交わる点Pは、z=0平面またはその近くに位置される。したがって、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分は、好ましくはz=0平面またはその近くに位置される。好ましくは、z=0平面は狭窄部分の内部にある。
ビームは、点Pで偏向されても偏向されなくてもよいが、好ましくは偏向され、この偏向は、z方向、半径r方向、および円弧方向の1つまたは複数でよい。ビームは、好ましくは、点Pで少なくとも半径方向rで偏向され、例えば内部入射軌道は、主飛行経路とは異なるz方向からの半径方向距離(半径)にある。いくつかの好ましい実施形態では、ビームは、好ましくは、点Pで少なくともz方向で偏向される。いくつかのより好ましい実施形態では、ビームは、好ましくは、点Pで少なくとも半径方向rおよびz方向、または少なくとも半径方向rおよび円弧方向に偏向される。
ビームは、好ましくは、主飛行経路上に入射されるときに偏向器によって、より好ましくは電気セクタによって偏向され、偏向器(好ましくはセクタ)の出口アパーチャは、主飛行経路の開始点にある。
内部入射軌道は、直線でも直線でなくても(例えば曲線でも)よく、または少なくとも1つの直線部分と少なくとも1つの非直線部分を備えていてもよい。
内部入射軌道は、好ましくは少なくとも1つのベルト電極アセンブリ、より好ましくは外側ベルト電極アセンブリを通過する。
好ましくは、内部入射軌道は、z=0平面またはその付近に位置され、より好ましくは、そのような場合、内部入射軌道は主飛行経路に向けて半径方向内向きにされる。しかし、いくつかの実施形態では、内部入射軌道は、z=0平面から実質的にオフセットされてよい。いくつかのタイプのそのような実施形態では、内部入射軌道は、一方のミラーでのビームの最大変向点が位置するz=0平面からのz方向での距離(z距離)よりも大きい前記平面からのz距離で、そのミラー内を進行し始めることがある。そのような実施形態では、内部入射軌道は、主飛行経路と、z軸からの半径方向距離(半径)が実質的に同じであってもそうでなくてもよいが、好ましくは実質的に同じ半径である。
いくつかの好ましいタイプの実施形態では、内部入射軌道は、主飛行経路とは異なるz軸からの半径方向距離(半径)にある。そのような実施形態では、ビームは、好ましくは、内部入射軌道が主飛行経路と交わる点Pで、少なくとも半径方向rで偏向される。好ましい実施形態では、内部入射軌道は、主飛行経路に向けて半径方向内向きにされ、点Pまたはその近くでの偏向が、荷電粒子の半径方向内側への速度を減少させる。
内部入射軌道が主飛行経路とは異なるz軸からの半径方向距離(半径)にあるいくつかの好ましい実施形態では、内部入射軌道が、螺旋または円形経路を備える。好ましくは、螺旋経路は、主飛行経路に向かって半径が減少するものであり、すなわちこの場合、内部入射軌道は、主飛行経路よりもz軸からの半径方向距離が大きい。しかし、螺旋経路は、主飛行経路に向かって半径が増加するものでもよく、すなわちこの場合、内部入射軌道は、主飛行経路よりもz軸からの半径方向距離が小さい。そのような場合には、螺旋経路を備えることに加えて、内部入射軌道は、例えば螺旋経路につながる非螺旋経路を備えることもあり、螺旋経路は主飛行経路につながる。好ましくは、分析器場の影響下でビームが内部入射軌道の螺旋または非円形経路を渡って進み、この分析器場は、より好ましくは主分析器場である。
いくつかの好ましい実施形態では、分析器体積内に荷電粒子を入射するための入射器の少なくとも一部分が、上述した狭窄部分に隣接して分析器体積の外部に位置されるが、好ましくは、少なくとも一方のミラーの外側電場定義電極システム(すなわち非狭窄部分)が取る軸zからの最大半径方向距離以内に位置される。いくつかの好ましい実施形態では、入射器はパルスイオン源を備え、パルスイオン源は、狭窄部分に隣接して分析器体積の外部に位置されるが、好ましくは、少なくとも一方のミラーの外側電場定義電極システムが取るz軸からの最大半径方向距離以内に位置される。
いくつかの好ましい実施形態では、荷電粒子が点Pまたはその近くにあるとき、入射方法が、荷電粒子の運動エネルギーを変えるステップを含む。より好ましくは、そのような場合には、入射方法は、点Pまたはその近くで荷電粒子の運動エネルギーを減少させるステップを含む。
1つの好ましい方法では、本発明は、荷電粒子分析器内で、内部入射軌道に沿って点Pで主飛行経路上に荷電粒子を入射するステップを含み、この方法は、内部入射軌道に沿って点Pに荷電粒子を入射するステップを含み、主分析器電場の影響がない状態で荷電粒子が内部入射軌道の少なくとも一部分を渡って進む。この好ましい方法には、好ましくは以下のことが当てはまる。すなわち、好ましくは、方法が、z軸の方向で速度を変えるために点Pで荷電粒子を偏向するステップを含む;好ましくは、荷電粒子を入射する方法が、半径方向で荷電粒子を偏向するステップを含まない;好ましくは、主分析器電場が、荷電粒子が点Pに到達するまでオフにされる;好ましくは、内部入射軌道の少なくとも一部分が、例えば一方または両方のミラーの内側および外側電場定義電極システムの間に位置された1つまたは複数のベルト電極アセンブリによって主分析器電場から遮蔽される;好ましくは、内部入射軌道が実質的に直線である;好ましくは、内部入射軌道が、一方または両方のミラーの内側および外側電場定義電極システムの間に位置された少なくとも1つのベルト電極アセンブリを通過する;いくつかの実施形態では、内部入射軌道が、z=0平面から実質的にオフセットされ、内部入射軌道が、好ましくは、ミラーでのビームの最大変向点よりも大きいzでの分析器の点で進行し始める。
分析器内部で主飛行経路上に荷電粒子を入射する別の好ましい方法では、方法が、主飛行経路とは異なるz軸からの半径方向距離にある内部入射軌道から、主飛行経路上に荷電粒子を入射するステップを含む。この好ましい方法には、好ましくは以下のことが当てはまる。すなわち、好ましくは、主飛行経路とは異なるz軸からの距離にある内部入射軌道が、主飛行経路上につながる螺旋または非円形経路を備える;好ましくは、内部入射軌道の螺旋経路が、主飛行経路に向けて半径が減少するものである;螺旋経路に加えて、内部入射軌道が、螺旋経路につながる非螺旋経路を備えることがある;好ましくは、荷電粒子が、主分析器場と同じまたは異なる分析器場、しかしより好ましくは主分析器場の存在下で、主飛行経路、より好ましくは螺旋経路とは異なるz軸からの距離で内部入射軌道に沿って進む;好ましくは、方法が、螺旋または非円形内部入射軌道を進行し始める点またはその近くでz軸の方向で荷電粒子の速度を変えるためにビームを偏向するステップを含む;好ましくは、この方法が、螺旋または非円形の内部入射軌道を進行し始める点またはその近くで、半径方向で荷電粒子の速度を変えるためにビームを偏向するステップを含む;好ましくは、この方法が、主飛行経路とは異なるz軸からの距離にある内部入射軌道から、主飛行経路を進行し始める点またはその近くで半径方向で荷電粒子の速度を変えるようにビームを偏向するステップを含む;好ましくは、この方法は、外部電極システムを通して内部入射軌道に向けて荷電粒子を入射するステップを含む。
荷電粒子分析器内で内部入射軌道に沿って点Pで主飛行経路上に荷電粒子を入射するさらに別の好ましい方法では、この方法は、内部入射軌道に沿って入射し、荷電粒子が点Pまたはその近くにあるときに荷電粒子の運動エネルギーを変えるステップを含む。この好ましい方法には、好ましくは以下のことが当てはまる。すなわち、粒子は、主分析器場と同じまたは異なる分析器場(入射分析器場)の存在下で内部入射軌道を進むことができる;好ましくは、入射方法が、点Pまたはその近くで荷電粒子の運動エネルギーを減少させるステップを含む。
内部入射軌道に沿って点Pで主飛行経路上に荷電粒子を入射するさらに別の好ましい方法では、この方法は、主分析器場の存在下で、半径方向(r)で速度を変えるために荷電粒子を偏向する点Pまたはその近くに荷電粒子があるときに、内部入射軌道に沿って入射するステップを含む。この好ましい方法には、好ましくは以下のことが当てはまる。すなわち、好ましくは、内部入射軌道が半径方向内側へ主飛行経路に向けて延び、点Pまたはその近くでの偏向が、荷電粒子の半径方向内側への速度を減少させる;好ましくは、内部入射軌道が、一方または両方のミラーの内側および外側電場定義電極システムの間に位置された少なくとも1つのベルト電極アセンブリを通過する;好ましくは、内部入射軌道が、z=0平面またはその近くに位置される;好ましくは、点Pがz=0平面またはその近くに位置される;好ましくは、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムが狭窄部分を備え、狭窄部分が、より好ましくは、z=0平面またはその近くに位置される;好ましくは、狭窄部分の内側限界が、外側ベルト電極アセンブリの近位に位置する;いくつかの好ましい実施形態では、分析器体積内に荷電粒子を入射するための入射器の少なくとも一部分が、狭窄部分に隣接して分析器体積の外部に位置され、かつ少なくとも一方のミラーの外側電場定義電極システムが取る軸zからの最大距離以内に位置される;いくつかの好ましい実施形態では、入射器はパルスイオン源を備え、パルスイオン源は、狭窄部分に隣接して分析器体積の外部に位置され、かつ少なくとも一方のミラーの外側電場定義電極システムが取る軸zからの最大距離以内に位置される;いくつかの好ましい実施形態では、内部入射軌道の少なくとも一部分が、一方または両方のミラーの内側および外側電場定義電極システムの間に位置された1つまたは複数のベルト電極アセンブリによって主分析器電場から遮蔽される。
いくつかの好ましい実施形態では、本発明は、分析器体積内に荷電粒子のビームを入射するための入射器を備える。ここで、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムが狭窄部分を備え、入射器の少なくとも一部分が、狭窄部分に隣接して分析器体積の外部に位置される。好ましくは、入射器の少なくとも一部分は、狭窄部分に隣接して分析器体積の外部に位置され、かつ少なくとも一方のミラーの外側電場定義電極システムが取る軸zからの最大距離以内に位置される。好ましくは、狭窄部分は、z=0平面またはその近くに位置される。好ましくは、狭窄部分の内側限界は、外側ベルト電極アセンブリの近位に位置する。より好ましくは、狭窄部分の内側限界は、外側ベルト電極アセンブリを支持する。より好ましくは、その実施形態における外側ベルト電極アセンブリが、少なくとも1つの円弧集束レンズを支持する。好ましくは、狭窄部分が、zの方向で各側に、より大きな直径の外側電場定義電極システムの部分を有する。好ましくは、入射器の少なくとも一部分は荷電粒子偏向器を備え、荷電粒子偏向器は、狭窄部分に隣接して分析器体積の外部に位置され、かつ少なくとも一方のミラーの外側電場定義電極システムが取る軸zからの最大距離以内に位置される。いくつかの好ましい実施形態では、入射器はパルスイオン源を備え、パルスイオン源は、狭窄部分に隣接して分析器体積の外部に位置され、かつ少なくとも一方のミラーの外側電場定義電極システムが取るz軸からの最大距離以内に位置される。好ましくは、分析器は、狭窄部分に隣接する、一方または両方のミラーの内側および外側電場定義電極システムの間に位置された1つまたは複数のベルト電極アセンブリを備える。
分析器は、最も好ましくは、ビームが偏向器から主飛行経路上に直接出るようにビームを主飛行経路上に偏向するために位置された偏向器、より好ましくは電気セクタを備える。好ましくは、偏向器(好ましくはセクタ)は、偏向器(好ましくはセクタ)の出口アパーチャが、主飛行経路と同じz軸からの半径に位置するように位置され、すなわち偏向器(好ましくはセクタ)の出口アパーチャは、主飛行経路の進行開始点にある。偏向器(好ましくはセクタ)は、好ましくは、z=0平面またはその近くに位置される。動作時、ビームの少なくとも一部分は、好ましくは、主飛行経路から進み、任意選択で内部出射軌道および外部出射軌道の一方または両方に沿って、荷電粒子処理デバイスに進む。荷電粒子処理デバイスは、好ましくは、
検出器、
後段加速デバイス、
イオン貯蔵デバイス、
衝突または反応セル、
フラグメンテーションデバイス、および
質量分析デバイス
の1つまたは複数を備える。
本明細書において用語質量分析デバイスは本発明の分析器(例えば、ビームの少なくとも一部分が分析器内に残り、または分析器から出射され、次いで分析器に戻り、さらなる処理、例えばもう1回の質量分離のために再び分析器を通って進む)も含む。
本発明は、外部出射軌道および/または内部出射軌道に沿って荷電粒子のビームを出射するステップを含むことができる。
以下でより詳細に説明するいくつかの好ましい実施形態では、ビーム(すなわちビームの荷電粒子の少なくともいくつか)は、実質的な長さの内部出射軌道に沿っては出射されないことがある。そのような場合、ビームは、分析器体積から出るとき、実質的に直接、主飛行経路から出ることができる。より好ましいタイプのそのような実施形態では、ビームは、例えば外部出射軌道に向けて、分析器体積から出射偏向器を通して出射され、出射偏向器は好ましくは電気セクタまたはミラー(すなわちイオンミラー)であり、偏向器(好ましくはセクタまたはミラー)の入口アパーチャは主飛行経路上に位置する。そのような実施形態では、偏向器(好ましくは電気セクタまたはミラー)の出口アパーチャは、分析器体積の外部にある。出射偏向器は、好ましくは、少なくとも半径方向rでの出射時にビームを偏向し、より好ましくはビームの半径方向外側への速度を増加させる。
ビームは、好ましくは、z=0平面またはその近くで主飛行経路から出て、例えば、ビームは、z=0平面またはその近くの点で主飛行経路から分析器体積を出て出射される。
ビームは、好ましくは、ビームが主飛行経路から出る点で、少なくとも半径方向rで偏向されて、より好ましくはビームの半径方向外側への速度を増加させる。
他の実施形態では(そのうちのいくつかがやはり好ましい)、ビームは、内部出射軌道に沿って主飛行経路から出射される。
いくつかの好ましいタイプの実施形態では、主分析器電場の影響がない状態で荷電粒子が内部出射軌道の少なくとも一部分(いくつかの場合にはすべて)を渡って進む。そのような実施形態では、例えば、内部出射軌道の少なくとも一部分(いくつかの場合にはすべて)を主分析器場の影響から遮蔽することができ、または内部出射軌道を粒子が渡って進む間に主分析器場をオフにすることができ、内部出射軌道の遮蔽は、大きな電圧の急速な切換えに伴う問題を回避するのに好ましい方法である。
他の好ましいタイプの実施形態では、主分析器電場の影響下で荷電粒子が内部出射軌道を渡って進む。これは、主分析器場から内部出射軌道を遮蔽する必要がない、またはビームが主飛行経路に到達したときに主分析器場をなくすために電位を切り換える必要がないという利点を有する。そのような場合、内部出射軌道の長さは、好ましくはできるだけ短く保たれる。例えば、ビームが主飛行経路から出る点(点E)の近傍に狭窄(すなわち直径が減少された)部分を有する一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムを有し、狭窄部分を通して(例えばそこにあるアパーチャを通して)分析器体積の外にビームを出射することによってこれを実現することができる。これは、点Eの近傍で分析器体積の直径が減少し、またそれ対応して、主飛行経路に対して外側電場定義電極がより近位にあることにより、内部出射軌道の長さを短く保つ。
いくつかの場合には、点Eは、上述した点Pと実質的に同じ点でよく、例えばこのときビームは、主飛行経路上の、後で出射されるのと同じ点に入射される。好ましくは、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムが、ビームが分析器体積内に入射される点および/または分析器体積から出射される点の近傍に狭窄部分を有し、ビームは、狭窄部分の1つまたは複数のアパーチャを通して分析器体積内に入射される、および/または分析器体積から出射される。
好ましくは、内部出射軌道が主飛行経路と交わる点Eは、z=0平面またはその近くに位置される。したがって、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分は、好ましくはz=0平面またはその近くに位置される。
ビームは、点Eで偏向されても偏向されなくてもよいが、好ましくは偏向され、この偏向は、z方向、半径r方向、および円弧方向の1つまたは複数でよい。ビームは、好ましくは、点Eで少なくとも半径方向rで偏向され、例えば内部出射軌道は、主飛行経路とは異なるz方向からの半径方向距離(半径)にある。いくつかの好ましい実施形態では、ビームは、好ましくは、点Eで少なくともz方向で偏向される。いくつかのより好ましい実施形態では、ビームは、好ましくは、点Eで少なくとも半径方向rおよびz方向、または少なくとも半径方向rおよび円弧方向に偏向される。
ビームは、好ましくは、主飛行経路から出射されるときに偏向器によって、より好ましくは電気セクタによって偏向され、偏向器(好ましくはセクタ)の入口アパーチャは主飛行経路上にある。
内部出射軌道は、直線でも曲線でもよく、または少なくとも1つの直線部分と少なくとも1つの曲線部分を備えていてもよい。
内部出射軌道は、好ましくは少なくとも1つのベルト電極アセンブリ、より好ましくは外側ベルト電極アセンブリを通過する。
好ましくは、内部出射軌道は、z=0平面またはその付近に位置され、より好ましくは、そのような場合、内部出射軌道は主飛行経路から半径方向外向きにされる。しかし、いくつかの実施形態では、内部出射軌道は、z=0平面から実質的にオフセットされてよい。いくつかのタイプのそのような実施形態では、内部出射軌道は、一方のミラーでのビームの最大変向点が位置するz=0平面からのz方向での距離(z距離)よりも大きい前記平面からのz距離で、そのミラー内で終端する。そのような実施形態では、内部出射軌道は、主飛行経路と、z軸からの半径方向距離(半径)が実質的に同じであってもそうでなくてもよいが、好ましくは実質的に同じ半径である。
いくつかの好ましいタイプの実施形態では、内部出射軌道は、主飛行経路とは異なるz軸からの半径方向距離(半径)にある。そのような実施形態では、ビームは、好ましくは、内部出射軌道が主飛行経路と交わる点Eで、少なくとも半径方向rで偏向される。好ましい実施形態では、内部出射軌道は、主飛行経路から半径方向外向きにされ、点Eまたはその近くでの偏向が、荷電粒子の半径方向外側への速度を増加させる。
内部出射軌道が主飛行経路とは異なるz軸からの半径方向距離(半径)にあるいくつかの好ましい実施形態では、内部出射軌道が、螺旋または円形経路を備える。好ましくは、螺旋経路は、主飛行経路から半径が増加するものであり、すなわちこの場合、内部出射軌道は、主飛行経路よりもz軸からの半径方向距離が大きい。しかし、螺旋経路は、主飛行経路から半径が減少するものでもよく、すなわちこの場合、内部出射軌道は、主飛行経路よりもz軸からの半径方向距離が小さい。そのような場合には、螺旋経路を備えることに加えて、内部出射軌道は、例えば螺旋経路からつながる非螺旋経路を備えることもあり、螺旋経路は主飛行経路からつながる。好ましくは、分析器場の影響下でビームが内部出射軌道の螺旋または非円形経路を渡って進み、この分析器場は、より好ましくは主分析器場である。
いくつかの好ましい実施形態では、荷電粒子が点Eまたはその近くにあるとき、出射方法が、荷電粒子の運動エネルギーを変えるステップを含む。より好ましくは、そのような場合、出射する方法は、点Eまたはその近くで荷電粒子の運動エネルギーを増加させるステップを含む。
分析器体積の外部で、ビームは、外部出射軌道上で処理デバイスに向かって引き続き進むことができる。
1つの好ましい方法では、本発明は、荷電粒子分析器内で内部出射軌道に沿って点Eで主飛行経路から荷電粒子を出射するステップを含み、主分析器電場の影響がない状態で荷電粒子が内部出射軌道の少なくとも一部分を渡って進む。この好ましい方法に関して、好ましくは以下のことが当てはまる。すなわち、好ましくは、この出射方法が、ある範囲のm/zの荷電粒子を選択するステップと、選択された粒子をさらなる処理のために出射するステップとを含む;好ましくは、この出射方法が、z軸の方向で速度を変えるため(速度を増減するために)に点Eで荷電粒子を偏向するステップを含む;好ましくは、この出射方法が、半径方向で荷電粒子を偏向するステップを含まない;好ましくは、この出射方法では、主分析器電場が、荷電粒子が点Eに到達した後にオフにされる;好ましくは、内部出射軌道の少なくとも一部分が、内側および外側電場定義電極システムの間に位置された1つまたは複数のベルト電極によって主分析器電場から遮蔽される;好ましくは、内部出射軌道が実質的に直線状である。
分析器から荷電粒子を出射する別の好ましい方法では、方法が、主飛行経路とは異なるz軸からの距離で、内部出射軌道から荷電粒子を出射するステップを含む。この好ましい方法には、好ましくは以下のことが当てはまる。すなわち、好ましくは、この出射方法では、主分析器電場が、z軸に沿った分析器体積の長さの少なくとも一部分に沿って実質的に線形である;好ましくは、この出射方法では、内部出射軌道が、主飛行経路から延びる螺旋または非円形経路を備える;好ましくは、螺旋内部出射軌道が、主飛行経路から延びて半径を増加する;好ましくは、荷電粒子が、分析器場の存在下で、内部出射軌道に沿って進む;好ましくは、荷電粒子が、主分析器場である分析器場の存在下で内部出射軌道に沿って進む;好ましくは、内部出射軌道を進行し始める点またはその近くで、z軸の方向で荷電粒子の速度を変えるために偏向がある;好ましくは、内部出射軌道を進行し始める点またはその近くで、半径方向で荷電粒子の速度を変えるために偏向がある;好ましくは、内部出射軌道を進行し始める点またはその近くで、半径方向で荷電粒子の速度を変えるために偏向がある;好ましくは、出射が、分析器から粒子を外に出して、外部電極システムを通して、例えば外部出射軌道に進める。
主飛行経路から内部出射軌道に沿って荷電粒子を出射するさらに別の好ましい方法では、この方法は、荷電粒子が点Eまたはその近くにあるときに荷電粒子の運動エネルギーを変え、内部出射軌道に沿って出射するステップを含む。この好ましい方法には、好ましくは以下のことが当てはまる。すなわち、荷電粒子を、主分析器場と同じまたは異なる出射分析器場の存在下で、内部出射軌道に沿って出射することができる;好ましくは、この出射方法では、主分析器場が、z軸に沿って分析器体積の長さの少なくとも一部分に沿って実質的に線形である;好ましくは、出射分析電磁場が主分析器場と同じである;好ましくは、この出射方法が、点Eまたはその近くで荷電粒子の運動エネルギーを増加させるステップを含む。
主飛行経路から荷電粒子を出射するさらに別の好ましい方法では、方法が、荷電粒子が点Eまたはその近くにあるときに、半径方向(r)で速度を変えるために荷電粒子を偏向するステップと、主分析器場の存在下で(すなわちその影響下で)内部出射軌道に沿って荷電粒子を出射するステップとを含む。この好ましい方法には、好ましくは以下のことが当てはまる。すなわち、好ましい実施形態では、内部出射軌道は、主飛行経路から半径方向外側に延び、点Eまたはその近くでの偏向が、荷電粒子の半径方向外側への速度を増加させる;好ましくは、内部出射軌道が、z=0平面またはその近くに位置される;好ましくは、点Eが、z=0平面またはその近くに位置される;好ましくは、内部出射軌道が、一方または両方のミラーの内側および外側電場定義電極システムの間に位置された少なくとも1つのベルト電極アセンブリを通過する;好ましくは、この出射方法では、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムが、狭窄部分を備え、荷電粒子が、狭窄部分を通って分析器体積の外に出射される;より好ましくは、狭窄部分は、z=0平面またはその近くに位置される;好ましくは、この出射方法では、狭窄部分の内側限界が、外側ベルト電極アセンブリの近位に位置する;より好ましくは、狭窄部分の内側限界が、外側ベルト電極アセンブリを支持する。より好ましくは、その実施形態における外側ベルト電極アセンブリが、少なくとも1つの円弧集束レンズを支持する。好ましくは、内部出射軌道の少なくとも一部分が、一方または両方のミラーの内側と外側の電場定義電極システムの間に位置された1つまたは複数のベルト電極アセンブリによって主分析器電場から遮蔽される。
いくつかの好ましい実施形態では、本発明は、分析器体積から荷電粒子のビームを出射するための出射器を備え、
一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムが狭窄部分を備え、出射器が、狭窄部分のアパーチャを通してビームを出射するように動作可能である。
分析器は、最も好ましくは、ビームが主飛行経路から偏向器に直接入るように、主飛行経路から出射するようにビームを偏向するために位置された(例えば出射器の一部としての)偏向器、より好ましくは電気セクタを備える。好ましくは、偏向器(好ましくはセクタ)は、偏向器(好ましくはセクタ)の入口アパーチャが、主飛行経路と同じz軸からの半径に位置するように位置され、すなわち偏向器(好ましくはセクタ)の入口アパーチャは、主飛行経路の進行開始点にある。好ましくは、偏向器(好ましくはセクタ)は、ビームを少なくとも半径方向外側に偏向するためのものである。偏向器(好ましくはセクタ)は、好ましくは、z=0平面またはその近くに位置される。
いくつかの実施形態では、本発明は、主飛行経路上の点で、すなわち主飛行経路上に位置された検出器で粒子を検出するステップを含む。いくつかの他のタイプの実施形態では、方法が、主飛行経路上にない点で粒子を検出するステップを含む。
いくつかの好ましい実施形態では、方法は、検出器表面に粒子を衝突させることによって粒子を検出するステップを含む(破壊検出)。
いくつかの好ましい実施形態では、方法は、検出器内部に粒子を通すことによって粒子を検出するステップ(非破壊検出)を含む。非破壊検出の好ましい方法は、イメージ電流検出によるものである。
いくつかの実施形態では、検出されるときの荷電粒子の時間的焦点面は、実質的に平坦である。いくつかの実施形態では、検出されるときの荷電粒子の時間的焦点面は、実質的に湾曲している。
いくつかの実施形態では、検出されるときの荷電粒子の時間的焦点面は、実質的にz軸に垂直である。
いくつかの実施形態では、検出されるときの荷電粒子の時間的焦点面は、実質的にz軸に垂直でない角度である。
いくつかの好ましい実施形態では、検出器平面は、荷電粒子の時間的焦点面と実質的に同じ位置にされる。好ましくは、検出器平面は、zが一定の平面(すなわちz軸に垂直な面)に対してある角度で位置決めされる。好ましくは、こ角度は、検出器平面が、例えば後段加速デバイスによって回転されているビームの時間的焦点面と実質的に同じ位置にされるようなものである。
いくつかの好ましい実施形態では、検出器の前に、荷電粒子の運動エネルギーを増加するステップが行われ、例えば後段加速のステップを備える。好ましくは、検出前に荷電粒子の運動エネルギーを増加させるステップは、荷電粒子の時間的焦点面の回転を引き起こす。
好ましくは、本発明は、軸zの周りで同じ回数の周回を経た後に、複数のm/zを有する粒子の少なくともいくつかを分析器体積外部の検出器で検出するステップを含み、検出器の少なくとも一部分が、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムが取る分析器軸からの最大距離以内に、例えば一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分に隣接して位置決めされる。したがって好ましくは、本発明は、軸zの周りで同じ数の周回を経た後に複数のm/zを有する粒子の少なくともいくつかを検出するための、分析器体積外部に位置された検出器を備え、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムが狭窄部分を備え、検出器の少なくとも一部分が狭窄部分に隣接して位置される。
好ましくは、検出器の少なくとも一部分は、狭窄部分に隣接して位置され、かつ少なくとも一方のミラーの外側電場定義電極システムが取る軸zからの最大距離以内に位置される。
好ましくは、狭窄部分は、z=0平面またはその近くに位置される。
好ましくは、狭窄部分の内側限界は、外側ベルト電極アセンブリの近位に位置する。
好ましくは、検出器の少なくとも一部分は変換ダイノードを備え、変換ダイノードは、狭窄部分に隣接して分析器体積の外部に位置され、より好ましくは少なくとも一方のミラーの外側電場定義電極システムが取る軸zからの最大距離以内に位置される。
いくつかの好ましい実施形態では、検出器は電子増倍管を備える。
別の独立した実施態様において本発明は、荷電粒子を分離する方法を提供し、方法は、
2つの対向するミラーを備える分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿った分析器体積の長さの少なくとも一部分に沿って実質的に線形の対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器体積内部で軸zの周りを周回しながら一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するステップと、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと、
複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを分析器から出射する、または複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを検出するステップとを含み、出射または検出するステップが、粒子がz軸の周りで同じ回数の周回を経た後に行われる。
別の独立した実施態様において本発明は荷電粒子分析器を提供し、荷電粒子分析器は、2つの対向するミラーを備え、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスをかけられるとき、ミラーが、z軸に沿った分析器体積の長さの少なくとも一部分に沿って実質的に線形の対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、使用時、分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともに分析器体積内部でz軸の周りを周回し、荷電粒子分析器がさらに、
出射器、または検出器の少なくとも一部を備え、出射器、または検出器の少なくとも一部が、分析器体積内部に位置されて、それぞれビームからの少なくともいくつかの荷電粒子を分析器体積から出射し、または分析器体積内部で検出し、上記少なくともいくつかの粒子が複数のm/zを有し、出射または検出が、少なくともいくつかの粒子が軸zの周りで同じ回数の周回を経た後に行われる。
別の独立した実施態様において、本発明は、分析器を使用して荷電粒子を分離する方法を提供し、方法は、
荷電粒子のビームを分析器を通して飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器内部で分析器の長手方向(z)軸の方向で少なくとも1回の全振動を受けるとともに長手方向(z)軸の周りを周回するステップを含み、
荷電粒子が、振動の全時間の半分未満、z軸に沿って実質的に一定の速度で飛行し、方法がさらに、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと、
複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを分析器から出射する、または複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを検出するステップとを含み、出射または検出するステップが、粒子がz軸の周りで同じ回数の周回を経た後に行われる。
別の独立した実施態様において本発明は、荷電粒子分析器を提供し、荷電粒子分析器は、2つの対向するミラーを備え、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスをかけられるとき、ミラーが、z軸に沿った対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、使用時、分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器体積内部でz軸の周りを周回するとともに分析器のz軸の方向でミラー間で少なくとも1回の全振動を受け、荷電粒子が、振動の全時間の半分未満、z軸に沿って一定の速度で飛行し、荷電粒子分析器がさらに、
出射器、または検出器の少なくとも一部を備え、出射器、または検出器の少なくとも一部が、分析器体積内部に位置されて、それぞれビームからの少なくともいくつかの荷電粒子を分析器体積から出射し、または分析器体積内部で検出し、上記少なくともいくつかの粒子が複数のm/zを有し、出射または検出が、少なくともいくつかの粒子が軸zの周りで同じ回数の周回を経た後に行われる。
別の独立した実施態様において本発明は、荷電粒子の飛行時間分析の方法を提供し、方法は、
2つの対向するミラーを備える分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿った分析器体積の長さの少なくとも一部分に沿って実質的に線形の対向する電場を生成し、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、内側と外側の電極システムの間で軸zの周りを周回しながら一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するステップと、
粒子が軸zの周りで同じ回数の周回を経た後に、荷電粒子の飛行時間を測定するステップと
を含む。
別の独立した実施態様において本発明はまた、選択された荷電粒子を荷電粒子のビームから隔離する方法を提供し、方法は、
2つの対向するミラーを備える分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、電場のz軸に沿った強度が平面z=0で最小であり、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器体積内部でz軸の周りを周回し、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射し、それによりミラー内部に最大変向点を定義するステップを含み、最大変向点での電場のz軸に沿った強度がXであり、電場のz軸に沿った絶対強度が、平面z=0と各ミラーでの最大変向点の間でz軸に沿った方向の2/3以下にわたって|X|/2未満であり、荷電粒子のビームが、1つまたは複数のm/zの選択された荷電粒子、およびさらなる荷電粒子を含み、方法がさらに、
さらなる粒子が、軸zの周りで同じ回数の周回を経た後に、分析器からさらなる荷電粒子を出射することによって、選択された荷電粒子を分析器体積内で隔離するステップを含む。
また、本発明は、他の独立態様において、以下の発明(1)〜(22)を提供する。
(1)2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器であって、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、荷電粒子分析器がさらに、
一方または両方のミラーの内側電場定義電極システムを少なくとも部分的に取り囲む分析器体積内部に位置された少なくとも1つのベルト電極アセンブリを備える荷電粒子分析器。
(2)荷電粒子を分離する方法であって、
2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、荷電粒子分析器がさらに、
一方または両方のミラーの内側電場定義電極システムを少なくとも部分的に取り囲む分析器体積内部に位置された少なくとも1つのベルト形状の電極アセンブリを備え、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、軸zの周りを周回しながら一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するステップと、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと
を含む方法。
(3)荷電粒子を分離する方法であって、
2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える電場を生成し、荷電粒子分析器がさらに、分析器内部での荷電粒子のビームの円弧発散を制約するための少なくとも1つの円弧集束レンズを備え、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、軸zの周りを周回しながら一方の対向するミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射し、少なくとも1つの円弧集束レンズを通過するステップと、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと
を含む方法。
(4)分析器を使用して荷電粒子を分離する方法であって、
荷電粒子のビームを分析器を通して飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器内部で分析器の分析器軸(z)の方向で少なくとも1回の全振動を受けるとともに主飛行経路に沿って軸(z)の周りを周回するステップと、
ビームが分析器を通って飛行するときにビームの円弧発散を制約するステップと、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと
を含む方法。
(5)2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器であって、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える電場を生成し、荷電粒子分析器がさらに、ビームが内側電場定義電極システムの周りを周回する一方で分析器内部での荷電粒子のビームの円弧発散を制約するための少なくとも1つの円弧集束レンズを備える荷電粒子分析器。
(6)荷電粒子を分離する方法であって、
2つの対向するミラーを備える分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える電場を生成し、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、一方の対向するミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射し、分析器のz軸に沿った方向に進むとともにz軸の周りを周回し、z軸の周りでの第1の角度の周回を経るとともに第1のミラーを通って進み、第2の角度の周回を経るとともに第2のミラーを通って進み、周回の第1の角度が周回の第2の角度とは異なるステップと、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと
を含む方法。
(7)荷電粒子を分離する方法であって、
2つの対向するミラーを備える分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える電場を生成し、対向する電場が互いに異なり、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するステップと、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと
を含む方法。
(8)2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器であって、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える電場を生成し、対向する電場が互いに異なる荷電粒子分析器。
(9)荷電粒子分析器内で、内部入射軌道に沿って点Pで主飛行経路上に荷電粒子を入射する方法であって、分析器が2つの対向するミラーを備え、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが第1の組の1つまたは複数の電位を与えられたときに、ミラーが、z軸に沿った分析器体積の長さの少なくとも一部分に沿って実質的に線形の対向する電場を備える主分析器電場を生成し、主飛行経路が分析器体積内に位置され、荷電粒子が、主分析器電場の影響下で主飛行経路を辿り、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともにz軸の周りを周回し、方法が、内部入射軌道に沿って点Pに荷電粒子を入射するステップを含み、主分析器電場の影響がない状態で荷電粒子が内部入射軌道の少なくとも一部分を渡って進む方法。
(10)分析器内部で主飛行経路上に荷電粒子を入射する方法であって、分析器が2つの対向するミラーを備え、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが第1の組の1つまたは複数の電位を与えられたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える主分析器電場を生成し、主飛行経路が分析器体積内に位置され、荷電粒子が、主分析器電場の影響下で主飛行経路を辿り、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともにz軸の周りを周回し、方法が、主飛行経路とは異なるz軸からの半径方向距離にある内部入射軌道から主飛行経路上に荷電粒子を入射するステップを含む方法。
(11)荷電粒子分析器内で、内部入射軌道に沿って点Pで主飛行経路上に荷電粒子を入射する方法であって、分析器が2つの対向するミラーを備え、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える分析器電場を生成し、主飛行経路が分析器体積内に位置され、荷電粒子が、第1の組の1つまたは複数の電位を電極システムに印加することによって発生される主分析器電場の影響下で主飛行経路を辿り、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともにz軸の周りを周回し、方法が、内部入射軌道に沿って入射し、荷電粒子が点Pまたはその近くにあるときに荷電粒子の運動エネルギーを変えるステップを含む方法。
(12)内部入射軌道に沿って点Pで主飛行経路上に荷電粒子を入射する方法であって、分析器が2つの対向するミラーを備え、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える分析器電場を生成し、主飛行経路が分析器体積内に位置され、荷電粒子が、第1の組の1つまたは複数の電位を電極システムに印加することによって発生される主分析器電場の影響下で主飛行経路を辿り、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともにz軸の周りを周回し、方法が、主分析器場の存在下で内部入射軌道に沿って入射し、荷電粒子が点Pまたはその近くにあるときに荷電粒子を偏向させて、半径(r)方向での速度を変えるステップを含む方法。
(13)2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器であって、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスをかけられるとき、ミラーが、対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、使用時、分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともに分析器体積内部でz軸の周りを周回し、荷電粒子分析器がさらに、
分析器体積内に荷電粒子のビームを入射するための入射器を備え、
一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムが狭窄部分を備え、入射器の少なくとも一部分が、狭窄部分に隣接して分析器体積の外部に位置される荷電粒子分析器。
(14)荷電粒子分析器内で、内部出射軌道に沿って点Eで主飛行経路から荷電粒子を出射する方法であって、分析器が2つの対向するミラーを備え、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが第1の組の1つまたは複数の電位を与えられたときに、ミラーが、z軸に沿って実質的に線形の対向する電場を備える主分析器電場を生成し、主飛行経路が分析器体積内に位置され、荷電粒子が、主分析器電場の影響下で主飛行経路を辿り、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともにz軸の周りを周回し、方法が、内部出射軌道に沿って点Eから荷電粒子を出射するステップを含み、主分析器電場がない状態で荷電粒子が内部出射軌道の少なくとも一部分を渡って進む方法。
(15)分析器から荷電粒子を出射する方法であって、分析器が2つの対向するミラーを備え、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが第1の組の1つまたは複数の電位を与えられたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える主分析器電場を生成し、主飛行経路が分析器体積内に位置され、荷電粒子が、主分析器電場の影響下で主飛行経路を辿り、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともにz軸の周りを周回し、方法が、主飛行経路とは異なるz軸からの距離にある内部出射軌道から荷電粒子を出射するステップを含む方法。
(16)荷電粒子分析器内で、内部出射軌道に沿って点Eで主飛行経路から荷電粒子を出射する方法であって、分析器が2つの対向するミラーを備え、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える分析器電場を生成し、主飛行経路が分析器体積内に位置され、荷電粒子が、第1の組の1つまたは複数の電位を電極システムに印加することによって発生される主分析器電場の影響下で主飛行経路を辿り、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともにz軸の周りを周回し、方法が、荷電粒子が点Eまたはその近くにあるときに荷電粒子の運動エネルギーを変え、内部出射軌道に沿って出射するステップを含む方法。
(17)内部出射軌道に沿って点Eで主飛行経路から荷電粒子を出射する方法であって、分析器が2つの対向するミラーを備え、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える分析器電場を生成し、主飛行経路が分析器体積内に位置され、荷電粒子が、第1の組の1つまたは複数の電位を電極システムに印加することによって発生される主分析器電場の影響下で主飛行経路を辿り、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともにz軸の周りを周回し、方法が、荷電粒子が点Eまたはその近くにあるときに荷電粒子を偏向させて、半径(r)方向での速度を変え、主分析器場の存在下で内部出射軌道に沿って荷電粒子を出射するステップを含む方法。
(18)2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器であって、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスをかけられるとき、ミラーが、対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、使用時、分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともに分析器体積内部でz軸の周りを周回し、荷電粒子分析器がさらに、
分析器体積から荷電粒子のビームを出射するための出射器を備え、
一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムが狭窄部分を備え、出射器が、狭窄部分のアパーチャを通してビームを出射するように動作可能である荷電粒子分析器。
(19)荷電粒子を分析する方法であって、
2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える分析器電場を生成し、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、内側と外側の電極システムの間で軸zの周りを周回しながら一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するステップと、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと、
粒子が軸zの周りで同じ回数の周回を経た後に分析器体積内部で複数のm/zを有する粒子の少なくともいくつかを検出するステップと
を含む方法。
(20)2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器であって、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスをかけられるとき、ミラーが、対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、使用時、分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともに分析器体積内部でz軸の周りを周回し、荷電粒子分析器がさらに、
粒子が軸zの周りで同じ回数の周回を経た後に複数のm/zを有する粒子の少なくともいくつかを検出するための、分析器体積内部に位置された検出器を備える荷電粒子分析器。
(21)荷電粒子を分析する方法であって、
2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える分析器電場を生成し、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、内側と外側の電極システムの間で軸zの周りを周回しながら一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するステップと、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと、
軸zの周りで同じ回数の周回を経た後に複数のm/zを有する粒子の少なくともいくつかを分析器体積外部の検出器で検出するステップを含み、検出器の少なくとも一部分が、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムが取る分析器軸からの最大距離以内に位置決めされる方法。
(22)2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器であって、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスをかけられるとき、ミラーが、対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、使用時、分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともに分析器体積内部でz軸の周りを周回し、荷電粒子分析器がさらに、
軸zの周りで同じ数の周回を経た後に複数のm/zを有する粒子の少なくともいくつかを検出するための、分析器体積外部に位置された検出器を備え、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムが狭窄部分を備え、検出器の少なくとも一部分が狭窄部分に隣接して位置される荷電粒子検出器。
他の態様では、本発明は、
本発明の荷電粒子分析器を備える飛行時間質量分光計と、
本発明の分析器を使用して荷電粒子を分離する方法を含む飛行時間質量分光分析の方法と、
本発明の荷電粒子を出射する方法を含む飛行時間質量分光分析の方法と、
本発明の荷電粒子を入射する方法を含む飛行時間質量分光分析の方法と、
本発明の荷電粒子を検出する方法を含む時間質量分光分析の方法と
を提供する。
本発明は、いくつかの実施形態では、コンパクトで、高分解能で、無制限の質量範囲のTOF質量分光計を実現する荷電粒子分析器および荷電粒子を分離する方法を提供し、この分光計は、厳しい公差の構成要素をできるだけ少数だけ用いてほぼ完璧な角度および時間集束を具現化する。いくつかの他の実施形態では、質量分解能をさらに高めるために質量範囲を制限することができる。
分析器の構成は、厳しい公差の構成要素を少数だけ用いて構成することができる。特に、本発明による分析器は、2つの電極システムをそれぞれ備える2つの対向するミラーのみを必要とする。さらに、いくつかの実施形態では、本明細書で説明するように、両方のミラーを提供するために、2つの電場定義電極システムのみを備える単純な構成を採用することができる。したがって、分析器は、好ましくは2つの対向するミラーのみを有する。
典型的には、飛行時間に従って分離することができる荷電粒子はイオンである。
荷電粒子に関連する本明細書での用語「ビーム」は、荷電粒子の列または荷電粒子のパケットを表し、それらの荷電粒子のいくつかまたはすべてを、それらのm/z値に従って分離することができる。
荷電粒子分析器は、ここでは、荷電粒子の分離のためにのみ使用することができる。分離される荷電粒子は、任意選択で、それらの飛行時間を測定される。飛行時間の測定は、検出器に粒子を衝突させることによって行うことができ、その場合、粒子をさらに使用することはできない(破壊検出)。または、粒子を検出器の内部に通すことによって行うことができ、その場合、粒子をさらなる処理ステップで使用することができる(非破壊分析)。非破壊検出の例は、イメージ電流検出の既知の方法である。本明細書で使用するとき、用語「検出器の内部に通す」は、検出すべき荷電粒子が検出器を通過するか、または検出器の近くを通る場合を含む。あるいは、またはさらに、分離された荷電粒子をさらなる処理のための1つまたは複数のデバイス、例えばイオントラップ、衝突セル、または蓄積貯蔵部などに向けることができる。
2つの対向するミラーへの言及で、用語「対向する電場」(任意選択で、z軸に沿って実質的に線形)は、電場を利用することによって荷電粒子をそれぞれ他方に向かって反射させる一対の荷電粒子ミラーを意味し、その電場は、好ましくは、分析器の少なくとも長手方向(z)で実質的に線形であり、すなわち少なくとも長手方向(z)での距離に線形依存し、各ミラーへの距離と共に実質的に線形に増加する。第1のミラーが、z軸の正の方向に沿って細長く、第2のミラーがz軸の負の方向に沿って細長い場合、ミラーは、好ましくは平面z=0またはその近くに当接し、第1のミラーの内部の電場は、好ましくは、正のz方向での第1のミラーへの距離と共に線形に増加し、第2のミラーの内部の電場は、好ましくは、負のz方向での第2のミラーへの距離と共に線形に増加する。これらの電磁場は、ミラーの電場定義電極システムに電位(電気的バイアス)を印加することによって生成され、これは好ましくは、各ミラー内部に放物型ポテンシャル分布を生成する。対向する電場は、協働して分析器場を形成する。したがって、分析器場は、内側と外側の電場定義電極システム間の分析器体積内部の電場であり、これは、ミラーの電場定義電極システムへの電位の印加によって生成される。以下、分析器場をより詳細に説明する。各ミラー内部の電場は、各ミラーの一部分のみにおいてz軸に沿って実質的に線形でよい。好ましくは、各ミラーの内部の電場は、各ミラー全体においてz軸に沿って実質的に線形である。対向するミラーは、電場がz軸に沿って線形でない領域によって互いから離隔することができる。いくつかの好ましい実施形態では、この領域内に、すなわち電場がz軸に沿って線形でない場所に、本明細書で説明する1つまたは複数のベルト電極アセンブリを位置させることができる。好ましくは、任意のそのような領域は、z軸に沿った長さが、2つのミラーの内部にある荷電粒子ビームの最大変向点間の距離の1/3よりも短い。好ましくは、荷電粒子は、それらの振動の全時間の半分未満にわたって、z軸に沿って一定の速度で分析器体積内を飛行し、ここで振動の時間とは、粒子が、各ミラーから1回反射された後にz軸に沿って同じ点に到達するのにかかる時間である。荷電粒子のビームが一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとき、それにより、ミラー内部に変向点を定義する。ミラー内部の荷電粒子ビームの変向点は、ミラー内へのz軸に沿った進行の最大限界にビームが到達する点であり、すなわちその点に至った後、ビームは向きを変え、対向するミラーに向けてz軸に沿って逆方向に進み始め、最大変向点は、任意の粒子が到達するミラー内への最も遠い点である。最大変向点での電場のz軸に沿った強度がXである場合、好ましくは、電場のz軸に沿った絶対強度は、平面z=0と最大変向点との間でz軸に沿った距離の2/3以下にわたって|X|/2未満である。一方のミラー内部のz軸に沿った線形電場は、図1bの電場強度と軸方向距離のプロットで示され、ここで|Ez|は、z軸に沿った電場強度の絶対値、すなわち電場のz成分の大きさであり、ztpは、ミラー内部の荷電粒子の変向点である。既に説明したように、本発明の分析器のいくつかの実施形態は、対向させて2つのそのようなミラーを結合する。図1bは、少なくとも、z=0平面でのz軸に沿った電場の最小値と、変向点ztpとの間に延びる完璧に線形の電磁場を示す。この図が示すように、|Ez|は、平面z=0と最大変向点の間でz軸に沿った距離の1/2以下にわたってX/2未満である。また、|Ez|は、平面z=0と最大変向点の間でz軸に沿った距離の1/2以下にわたってX/2以上である。また、本発明は、z軸に沿って完璧には線形でない電場を使用して実施することもできる。図1cは、歪んだ線形電磁場を示し、|Ez|は、平面z=0と最大変向点の間でz軸に沿った距離の2/3以下にわたってX/2未満であり、平面z=0と最大変向点の間でz軸に沿った距離の1/3以上にわたってX/2以上である。図1dは、さらなる歪んだ線形電磁場を示し、|Ez|は、平面z=0と最大変向点の間でz軸に沿った距離の1/3以上にわたってX/2未満であり、平面z=0と最大変向点の間でz軸に沿った距離の2/3以下にわたってX/2以上である。
より好ましくは、電場のz軸に沿った絶対電場強度は、平面z=0と最大変向点との間でz軸に沿った距離の1/3以下にわたって|X|/3未満である。好ましくは、電磁場が線形であるz軸に沿った電磁場の広がりは、電磁場が非線形であるz軸に沿った電磁場の広がり、または任意の電磁場のない領域に沿った広がりよりも大きい。
2つの対向するミラーが同じ場合、好ましくは線形の電場のセグメント(例えば図1b〜1eに示される)は、各ミラーの内部で同じである。2つの対向するミラーが異なる場合、各ミラーに1つずつ、好ましくは線形の電場の2つの異なるセグメントが存在することがある。
好ましくは、対向するミラーは、平面z=0またはその近くで接合されるように直接当接する。分析器の内部に、さらなる機能(その例は以下で説明する)を果たす追加の電極、例えばベルト電極アセンブリが存在することもある。そのような追加の電極は、対向するミラーの一方または両方の内部にあることがある。そのような電極の存在がミラー内部の電場を歪ませることがあり、それにより電場は、z軸に沿って完全には線形でなく、および/またはミラーのz軸長の一部に沿ってのみz軸に沿って線形である。好ましくは、そのような電極の存在は、2つのミラー内部の荷電粒子ビームの変向点間の距離の1/3未満でのみ、z軸長に沿った1つまたは複数のミラー内部の電場を歪ませる。
好ましい実施形態では、対向するミラーは、z=0平面の周りで実質的に対称である。他の実施形態では、対向するミラーは、z=0平面の周りで対称でないこともある。各ミラーは、それぞれのミラー軸に沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、外側システムが内側システムを取り囲む。動作時、ビーム内の荷電粒子は、内側および外側電場定義電極システムの間でそれぞれのミラー軸の周りを周回するとともに各それぞれのミラーの内部に進む。ビームの周回運動は、分析器軸zの周りを周回するとともに一方のミラーから他方のミラーへz軸に平行な方向に進む螺旋運動である。分析器軸zの周りでの周回運動は、いくつかの実施形態では実質的に円形であり、他の実施形態では楕円形または異なる形状である。分析器軸zの周りでの周回運動は、z=0平面からの距離に従って変わることがある。ミラー軸は、一般に分析器軸zと位置合わせされる。ミラー軸は、互いに位置合わせすることができ、ある程度の位置合わせ誤差を導入することができる。位置合わせ誤差は、ミラーの平行な軸どうしの変位の形を取ることができ、または一方のミラー軸に対する他方のミラー軸の角度回転の形を取ることができ、または変位と回転の両方の形を取ることもできる。好ましくは、ミラー軸は、同じ長手方向軸に沿って実質的に位置合わせされ、好ましくは、この長手方向軸は実質的に分析器軸と同軸である。好ましくは、ミラー軸は分析器軸zと同軸である。
以下にさらに説明するように、電場定義電極システムは様々な形状でよい。好ましくは、電場定義電極システムは、ミラー内部での四重極対数ポテンシャル分布を生成する形状である。しかし、他の電位分布も企図され、さらに説明する。
ミラーの内側と外側の電場定義電極システムは異なる形状でよい。好ましくは、さらに説明するように、内側と外側の電場定義電極システムは、関連する形状である。より好ましくは、各ミラーの内側と外側の電場定義電極システムがどちらも、それぞれ円形の横断面(すなわち分析器軸zに対して横方向の断面)を有する。しかし、内側および外側電場定義電極システムは、楕円や双曲線など円以外の断面を有することもある。内側と外側の電場定義電極システムは、同心でも同心でなくてもよい。好ましくは、内側と外側の電場定義電極システムは同心である。両方のミラーの内側および外側電場定義電極システムは、好ましくは、分析器軸の周りで実質的に回転対称である。
以下の1つまたは複数について、一方のミラーが他方のミラーと異なる形態でよい。その構成形態、形状、寸法、内側と外側の電極システム間の形状の合致、内側と外側の電極システム間の同心性、内側および/または外側電場定義電極システムに印加される電位、または他の様式。ミラーは、互いに異なる形態である場合、互いに異なる対向する電場を生成することがある。いくつかの実施形態では、ミラーは異なる構成であり、および/または電場定義電極システムに印加される異なる電位を有するが、2つのミラー内部に生成される電場は実質的に同じである。いくつかの実施形態では、ミラーは実質的に同一であり、両方のミラーの内側電場定義電極システムに印加される第1の組の1つまたは複数の電位と、両方のミラーの外側電場定義電極システムに印加される第2の組の1つまたは複数の電位とを有する。他の実施形態では、ミラーは、規定の様式で異なっており、または印加される電位が異なっており非対称を生成し(すなわち異なる対向する電場)、これは、本明細書で以下に述べるように追加の利点を提供する。
例えば米国特許第5886346号明細書に記載されているように、ミラーの電場定義電極システムは単一の電極からなることがあり、または例えば国際公開第2007/000587号パンフレットに記載されているように、複数の電極(例えば数個または多数の電極)からなることがある。一方または両方のミラーの内側電極システムが例えば単一電極でよく、外側電極システムも同様に単一電極でよい。あるいは、複数の電極を使用して、一方または両方のミラーの内側および/または外側電極システムを形成することもできる。好ましくは、ミラーの電場定義電極システムは、内側および外側電極システムそれぞれに関して単一の電極からなる。単一の電極の表面が、電場の等電位面を構成する。
各ミラーの外側電場定義電極システムは、内側電場定義電極システムよりもサイズが大きく、内側電場定義電極システムの周りに位置される。Orbitrap(商標)静電トラップと同様に、内側電場定義電極システムは、好ましくは、スピンドル形状であり、より好ましくは、ミラー間の中点に向かって(すなわち分析器の赤道(またはz=0平面)に向かって)直径が増加し、外側電場定義電極システムは、好ましくはバレル形状であり、より好ましくは、ミラー間の中点に向かって直径が増加する。分析器構成のこの好ましい形態は、有利には、使用する電極がより少数であり、構成の多くの他の形態よりも高い度合いの線形性を有する電場を生成する。特に、軸方向極値付近で放物型ポテンシャルに合致するように形作られた電極を使用して、ミラー内部でミラー軸の方向で放物型ポテンシャル分布を生成することにより、荷電粒子がそれらの変向点に到達して最もゆっくりと進んでいる位置の近くで、所望の線形電場をより高い精度で生成する。これらの領域でのより大きな電磁場精度が、より高い度合いの時間集束を提供し、より高いm/z分解能を得られるようにする。ここで、用語「m/z」は、質量電荷比を表す。ミラーの内側電場定義電極システムが複数の電極を備える場合、複数の電極は、好ましくは、スピンドル形状の単一の電極に類似するように動作可能である。同様に、ミラーの外側電場定義電極システムが複数の電極を備える場合、複数の電極は、好ましくは、バレル形状の単一の電極に類似するように動作可能である。
各ミラーの内側電場定義電極システムは、好ましくは、ミラー間の中点に向かって(すなわち分析器の赤道(またはz=0平面)に向かって)直径が増加する。各ミラーの内側電場定義電極システムは、電気絶縁ギャップによって分離された互いに別個の電極システムでよく、あるいは、単一の内側電場定義電極システムが両方のミラーの内側電場定義電極システムを構成する(例えば、Orbitrap(商標)静電トラップの場合と同様)。単一の内側電場定義電極システムは、一部片の内側電場定義電極システム、または電気接触する2つの内側電場定義電極システムでよい。単一の内側電場定義電極システムは、好ましくはスピンドル形状であり、より好ましくはミラー間の中点に向かって直径が増加する。同様に、各ミラーの外側電場定義システムは、好ましくは、ミラー間の中点に向かって直径が増加する。各ミラーの外側電場定義電極システムは、電気絶縁ギャップによって分離された互いに別個の電極システムでよく、あるいは、単一の外側電場定義電極システムが両方のミラーの外側電場定義電極システムを構成する。単一の外側電場定義電極システムは、一部片の外側電極システム、または電気接触する2つの外側電極でよい。単一の外側電場定義電極システムは、好ましくはバレル形状であり、より好ましくはミラー間の中点に向かって直径が増加する。
好ましくは、2つのミラーは、z=0平面の近くで、より好ましくはz=0平面で当接して、連続する等電位面を定義する。この文脈での用語「当接」は、ミラーが物理的に触れ合うことは必ずしも意味せず、ミラーが触れ合うか、または互いに隣接して近くに位置することを意味する。それに従って、好ましくは、荷電粒子は、完璧またはほぼ完璧な、分析器の長手方向での単調和運動をさせられる。
一実施形態では、四重極対数ポテンシャル分布は、分析器内部に生成される。四重極対数ポテンシャルは、好ましくは、2つの電場定義電極システムに電気的にバイアスをかけることによって生成される。内側および外側電場定義電極システムは、好ましくは、電気的にバイアスをかけられるときにそれらの間に四重極対数ポテンシャルが生成されるように形作られる。各ミラー内部での全体の電位分布が好ましくは四重極対数ポテンシャルであり、この電位は、(長手方向軸である)分析器軸zの方向での距離に依存して四重極(すなわち放物型)でよく、半径方向(r)での距離に対して対数依存する。他の実施形態では、電場定義電極システムの形状は、対数ポテンシャルの項が半径方向で生成されず、かつ他の数学的形式が半径方向電位分布を記述するようなものである。
本明細書で使用するとき、用語「半径方向の」や「半径方向で」は、円筒座標rを表す。いくつかの実施形態では、例えばzが一定の平面内の断面プロファイルが楕円であるときなどは、分析器の電場定義電極システム、および/または分析器内部の主飛行経路は円筒対称性を有さず、そのような実施形態に関連付けて使用するときの用語「半径方向の」や「半径方向で」は、円筒対称幾何形状のみへの限定を示唆するものではない。
いくつかの実施形態では、分析器電場は、分析器軸zの方向で必ずしも線形でなく、好ましい実施形態では、分析器体積のz軸に沿った長さの少なくとも一部分に沿って線形である。
本発明のすべての実施形態が、多くの従来技術の多重反射システムに勝るいくつかの利点を有する。内側電場定義電極システムの存在は、システムの片側にある荷電粒子を、他方の側にある粒子に存在する電荷から遮蔽する働きをし、パケットの列に対する空間電荷の影響を低減する。さらに、任意の残りの空間電荷の影響によるビームの軸方向拡散(すなわち分析器軸zの方向での拡散)は、軸方向、すなわち飛行時間分離の方向での粒子の飛行時間を大幅には変化させない。
分析器軸の方向での対向する線形電場を利用する好ましい実施形態では、荷電粒子は、主飛行経路上にある間は常に、ゼロに近くなく、かつ最高速度のかなりの割合である速度で進む。そのような実施形態では、荷電粒子が主飛行経路を進行し始めるときのみに集束されるいくつかの実施形態を除いて、荷電粒子が鋭く集束されることは決してない。それにより、これらの特徴はどちらも、ビームに対する空間電荷の影響をさらに減少させる。荷電粒子の自己バンチングの望ましくない影響は、国際公開第06129109号パンフレットに記載されるように、非常に小さな電磁場非線形性の導入によっても回避することができる。
好ましい実施形態では、本発明は、TOF分離器の形態で、Orbitrap(商標)静電トラップで使用されるのと同様に、四重極対数ポテンシャル同心電極構造を利用する。Orbitrap(商標)は、例えば米国特許第5886346号明細書に記載されている。原理的に、完璧な角度とエネルギーの時間集束がどちらもそのような構造によって実現される。
放物型ポテンシャル反射器を利用する従来の折返し経路反射構成に伴うさらなる根本的な問題は、反射器の線形電磁場をある程度歪ませずには放物型ポテンシャル反射器を互いに直接当接させることができないことであり、これは一般に、反射器間に、比較的電磁場のないドリフト空間を比較的長い部分にわたって導入する。さらに、従来技術では、反射器での線形電磁場(放物型ポテンシャル)の使用は、それらの進行に垂直な方向で荷電粒子を不安定にする。この従来技術を補償するために、電磁場のない領域、強いレンズ、および均一な電磁場の組合せが使用されている。
電磁場のない領域の歪および/または存在は、そのような従来技術の放物型ポテンシャル反射器により、完璧な調和運動を不可能にする。検出器での高い度合いの時間集束を得るために、1つまたは複数の反射器の内部の電磁場を変えて、試行してこれを補償しなければならず、またはいくつかの追加のイオン光学構成要素を飛行経路内に導入しなければならない。本発明のいくつかの実施形態のミラーとは対照的に、これらの多重反射構成によっては、完璧な角度およびエネルギー集束を実現することはできない。
各ミラーに形成される好ましい四重極対数ポテンシャル分布U(r,z)は、式(1)で記述される。
ここで、r,zは、円筒座標(r=半径方向座標;z=長手方向または軸方向座標)であり、Cは定数であり、kは電磁場線形性係数であり、R
mは特徴的な半径である。R
mは物理的な意味も有する。すなわち、半径方向の力は、r<R
mに関しては分析器軸に向かう方向であり、r>R
mに関しては分析器軸から離れる方向であり、r=R
mでは0である。半径方向の力は、r<R
mで軸に向けられる。好ましい実施形態では、R
mは、ミラーの外側電場定義電極システムよりも大きい半径位置にあり、それにより、内側と外側の電場定義電極システム間の空間内を進む荷電粒子は常に、内側電場定義電極システムに向けて半径方向内側の力を受ける。この内方向への力が、周回する粒子の求心力を平衡させる。
イオンが、そのような電位分布で半径Rの円形螺旋上を移動しているとき、それらの運動は式(1)の電位での荷電粒子の振動の3つの特徴的な周波数によって記述することができる。すなわち、式(2)でωによって与えられるz方向での軸方向振動と、式(2)でω
φによって与えられる、本明細書では円弧方向(φ)と呼ぶ、内側電場定義電極システムの周りでの振動の周回周波数(本明細書では以後、角振動と呼ぶ)と、式(2)でω
rによって与えられるr方向での半径方向振動とである。
ここで、eは電気素量であり、mは質量であり、zは荷電粒子の電荷であり、Rは荷電粒子の初期半径である。半径方向運動は、R<R
m/2
1/2、したがってω
φ>ω/2
1/2である場合に安定であり、各反射(すなわちπだけの軸方向振動位相の変化)ごとに、軌道が、π/(2)
1/2ラジアンよりも大きく回転しなければならない。同様の制限が、式(1)から逸脱する電位分布に関して存在し、すべての他のタイプの既知のイオンミラーとは大きな相違がある。
式(2)は、軸方向振動周波数が初期位置およびエネルギーに依存しないこと、および回転振動周波数と半径方向振動周波数がどちらも初期半径Rに依存することを示す。このタイプの四重極対数ポテンシャルの特徴のさらなる説明は、例えばA.Makarov, Anal. Chem. 2000, 72, 1156−1162に与えられている。
好ましい実施形態は、式(1)によって定義される電位分布を利用するが、本発明の他の実施形態はそれを必要としない。分析器(長手方向)軸の方向での対向する線形電場を利用する実施形態は、(x,y)座標で式(3a)および式(3b)によって記述される任意の一般的な形態を使用することができ、これらの式は国際公開第06129109号パンフレットにも与えられている。
ここで、
、α、β、γ、a、A、B、D、E、F、G、Hは、任意の定数(D>0)であり、jは整数である。式(3a)および式(3b)は、rに依存する式(1)でのあらゆる項を完全に除去するのに十分に一般的なものであり、rを他の項で置き換え、他の座標系(例えば楕円、双曲線など)での表現を含む。z=0でその経路を進行し始める、および終了する粒子に関して、式(3a)および式(3b)によって記述される電位での飛行時間は、軸方向振動の半分に対応する。
変向点の座標はztp=vz/ωであり、ここでvzは、z=0での速度の軸方向成分であり、軸方向振動の半分(すなわち一回の反射)にわたる等価経路長は、vzT=πztpである。したがって、等価経路長または実効経路長は、実際の軸方向経路長よりも係数πだけ長く、飛行時間分離が生じる経路長を表す尺度となる。このように係数πだけ増加するのは、荷電粒子が各ミラーにさらに侵入するときに軸方向で荷電粒子が減速するからである。本発明では、好ましいことに軸方向で電磁場のない領域が有意な長さでは存在しないことがこの大きな増加を生み出し、より長い電磁場のない領域を利用する反射型TOF分析器に勝る追加の利点である。
荷電粒子のビームは、主飛行経路に沿って分析器を通って飛行する。主飛行経路は、好ましくは、2つの対向するミラーの間に反射型の飛行経路を備える。2つの対向するミラーの間のビームの主飛行経路は、分析器体積内、すなわち半径方向で内側と外側の電場定義電極システムの間にある。2つの直接対向するミラーは、使用時、荷電粒子が取る主飛行経路を定義する。これは、いくつかの実施形態では、荷電粒子が、ミラー間の分析器(z)軸の方向で少なくとも1回の全振動運動を受けるからである。2つの直接対向するミラーは、使用時、荷電粒子が取る主飛行経路を定義する。これは、いくつかの実施形態では、好ましくは、荷電粒子が、ミラー間の分析器(z)軸の方向で実質的に単調和運動の少なくとも1回の全振動を受けるからである。荷電粒子のビームは、主飛行経路に沿って分析器を通って飛行するので、好ましくは、分析器軸の周りを周回しながら(すなわち円弧方向での回転)、分析器の長手方向(z)軸に沿った実質的に単調和運動の少なくとも1回の全振動を受ける。本明細書で使用するとき、用語「周回運動の角度」は、周回が進行するときに円弧方向で成される角度を表す。したがって、分析器内部でのその飛行経路に沿ったビームの好ましい運動は、内側電場定義電極システムの周りでの螺旋運動である。好ましくは、ミラー間の中点(z=0平面の近く)で、ビーム位置は、ミラーからの所与の回数の反射(例えば1回または2回の反射)後に円弧方向で、ある距離だけ前進する。このようにして、ビームは、分析器を通る主飛行経路に沿って、分析器軸に沿って螺旋経路で前後に飛行し、この螺旋経路は、z=0平面内で分析器軸の周り(すなわち円弧方向)に延びる。周回螺旋運動は、円形、楕円形、または他の形の断面形状を有することがある。好ましい実施形態では、ビームは、1回の反射につきほぼ1周、各ミラーの内側電場定義電極システムの周り、それにより分析器軸zの周りを周回する。好ましくは、ビームは、一方または両方のミラーで1回の反射につき1周よりもわずかに多く、または1周よりもわずかに少なく分析器軸の周りを周回し、z=0平面でのビームの位置は、一方向で分析器軸の周りで前進する。このようにして、ビームが分析器内部で実質的に同じ経路を辿り始めるまで、両方のミラーでの複数回の反射を行うことができ、ビームが主飛行経路を開始したz=0平面上の点に到達する前にビームの多数回の周回が行われる。必要であれば、π/21/2ラジアンを超えると仮定して、z=0平面内で円弧方向でのビームの全回転の分数または倍数を1回の反射ごとに利用することができる。z=0平面内で円弧方向での1回の完全な回転をビームが完了する前に、分析器内部で実質的に同じ経路を複数回辿らないようにビームを出射することができる。あるいは、ビームは、z=0平面内で円弧方向での1回の完全な回転を完了し、分析器内部の実質的に同じ経路に沿って再び始まるようにすることもできる(すなわち、ビームは、もう1回または複数回、分析器内部で実質的に同じ経路を繰り返す)。したがって、本発明の1タイプの実施形態では、荷電粒子のビームは、分析器内部で実質的に同じ経路を複数回辿らない(すなわち飛行経路は、開いた飛行経路である)。あるいは、本発明の別のタイプの実施形態では、荷電粒子のビームは、分析器内部で実質的に同じ経路を複数回辿り(すなわち飛行経路は、閉じた飛行経路またはループした飛行経路である)、分解能を高めることができるが、質量範囲は犠牲にする。
いくつかの好ましい実施形態の特徴的な機能は、主飛行経路が、ほぼ1回または複数回、内側電場定義電極システムの周りを周回するとともに分析器軸の方向でただ1回の振動を行うことである。これは、前述したように、内側電場定義電極システムの周りで荷電粒子ビームを分離し、ビームの一部分と別の部分との空間電荷効果を減少させるという有利な効果を有する。別の利点は、強い実効半径方向電位がビームの強い半径方向集束を引き起こし、したがってビームの小さい半径方向サイズを提供することである。これはさらに、ビームのより小さな相対サイズ、およびビームにわたる擾乱電位のより小さな変化により、装置の分解能を高める。好ましくは、周回運動の周波数と、分析器の長手方向軸zの方向での振動周波数との比は、0.71〜5である。より好ましくは、好ましくは、周回運動の周波数と、分析器の長手方向軸の方向での振動周波数との比は、0.8〜4.5、1.2〜3.5、1.8〜2.5の間である(記載順に、より好ましくなる)。したがって、いくつかの好ましい範囲は、0.8〜1.2、1.8〜2.2、2.5〜3.5、および3.5〜4.5を含む。
荷電粒子が分析器の主飛行経路に沿って進むとき、それらの質量電荷比(m/z)に従って分離される。分離の度合いは、とりわけ、分析器軸zの方向での飛行経路長に依存する。分離されると、分析器内部で荷電粒子を検出することによって荷電粒子の飛行時間を測定することができ、あるいは、1つまたは複数のm/z範囲を選択して検出することができ、または分析器から任意選択で検出器または粒子のさらなる処理用の別のデバイスに出射することができる。用語「m/z範囲」は、本明細書では、m/zの分解された種を1つだけ含む程度に狭い範囲を含む。同じ検出時間にわたって、しかし非常に異なる回数の周回でイオンのイメージ検出を行うイオントラップであるOrbitrap(商標)質量分析器とは異なり、本発明のいくつかの実施形態では、荷電粒子は、出射または検出の前に、分析器軸zの周りで同じ回数の周回を経て、それらの飛行時間に基づいて順次に粒子を出射または検出できるようにする。しかし、好ましくは、m/zの範囲は、複数のm/zを含み、その中には、最大m/z値(m/zmax)および最小m/z値(m/zmin)があり、m/zmax/m/zminは好ましくは少なくとも3である。他の好ましい実施形態では、m/zmax/m/zminの比は、少なくとも5、少なくとも10、または少なくとも20でよい。
式(3)によって記述される電位分布を有する分析器、および他のタイプの分析器、例えば四重極対数ポテンシャル分布では、rの発散は制約され、円弧発散は全く制約されない。イオンが円形螺旋に近い軌道上で移動しているとき、四重極対数ポテンシャルで強い半径方向集束が自動的に実現されるが、ビームの無制約の円弧発散により、検査しない場合には、同じm/zであるが異なる初期パラメータのイオンに関して軌道が完全に重なり合うという問題が生じる。入射された荷電粒子は、Orbitrap(商標)分析器と同様に、内側電場定義電極システムの周りにリングを形成し、このリングは、同じm/zのイオンを備え、長手方向分析器軸方向で振動する。Orbitrap(商標)分析器では、トラップ内部のイオンのイメージ電流検出には影響が及ぼされない。しかし、荷電粒子の飛行時間分離に関してそのような電磁場を使用するためには、ビームは、分析領域内の検出器に当たらなければならず、または検出もしくはさらなる処理のためにデバイスから出射されなければならない。後者の場合、何らかの形態の出射メカニズムをビーム経路内に導入して、その領域から検出器にビームを出射しなければならない。分析領域内の任意の出射メカニズムまたは任意の検出器は、分析器内部に存在する同じm/zのすべての荷電粒子を出射または検出するのであれば、リング内のすべてのイオンに作用しなければならない。この課題は、異なるm/zを有する荷電粒子の様々なリングが分析器の長手方向で異なる周波数で振動し、異なるm/zのリングが任意の所与の時間に重なり合うことがあるので、実用的でない。既に述べたように、ビームが、異なるm/z粒子の完全なリングの組を形成する前に出射または検出されるとしても、飛行経路中に、荷電粒子の初期パケットがパケット列となり、より低いm/zの粒子がより高いm/zの粒子に先行する。円弧状に発散し、内側電場定義電極システムの周りに広がっているパケット列の前部にある荷電粒子のパケットは、列内のさらに後方のパケットに重なり合うことができる。そのような重なり合ったパケットに作用する電磁場の影響を受けないパケット列を出射することを試みる任意の出射メカニズムは、すべてのそのようなパケットを壊し、パケットの列全体が検出用の領域から順次にうまく出射されない。あるいは、分析領域内に配置された任意の検出器が、パケット列の前部での荷電粒子と、列内でさらに後方の荷電粒子とを同時に検出する。ここで、それらのイオンは、円弧発散により空間内で重なり合う。同様に、荷電粒子をそれらの飛行時間によって分離すべきであり、分析器からレシーバへ荷電粒子を出射することによって部分集合が選択される場合、この選択プロセスは、望ましくないことに、広く異なる飛行時間をもつイオンを選択する。なぜなら、パケット列の異なる区域からの重なり合った荷電粒子が出射されるからである。
本発明は、好ましくは円弧集束、すなわち円弧方向での荷電粒子パケットの集束を導入して、その方向でのそれらの発散を制約することによってこの問題に対処する。用語「円弧」は、本明細書では、長手方向分析器軸zの周りでの角度方向を意味するものとして使用される。図1は、分析器軸z、半径方向r、および円弧方向φのそれぞれの方向を示す。すなわちこれらは円筒座標と見ることができる。円弧集束がビームを閉じ込め、それにより、パケットの列は、分析器軸z(すなわち円弧方向)の周りでのそれらの広がり内で十分に局所化されて、列内のさらに後方のパケットが取る飛行経路を乱すことなく出射することができ、分析器を通るパケットの後続の通行は前のものと重なり合わない。そのような円弧集束により、本発明の好ましい四重極対数ポテンシャルは、任意選択で無制限の質量範囲を有する高い質量分解能のTOF分析器を提供するために、多数の多重反射と共に正常に利用することができる。また、円弧集束は、他の形態の電位分布を有する軌道分析器で採用することもできる。
用語「円弧集束レンズ」(または単に「円弧レンズ」)は、本明細書では、円弧方向で荷電粒子に作用する電磁場を提供する任意のデバイスを表すために使用され、電磁場は、円弧方向でのビーム発散を減少させる作用をする。この文脈での用語「集束」は、任意の形態のビーム交差が必須で生成されることを示唆するものではなく、ビームウエストが必然的に生成されることを示唆するものでもない。レンズは、円弧方向と同様に他の方向で荷電粒子に作用することもできる。好ましくは、レンズは、実質的に円弧方向でのみ荷電粒子に作用する。好ましくは、円弧レンズによって提供される場は電場である。したがって、円弧レンズは、レンズがない状態において通常存在する分析器場に対する擾乱を生成する任意のデバイスでよいことが分かる。レンズは、分析器に追加された追加の電極を含むことができ、または内側および外側電場定義電極システムの形状に対する変化を含むことができる。一実施形態では、レンズは、一方または両方のミラーの局所的に変更された内側電場定義電極システム、例えば局所的に変更された表面形状を有する内側電場定義電極システムを備える。好ましい実施形態では、レンズは、分析器軸zから異なる距離で主飛行経路の各側に1つずつ、一対の対向した電極を備える。一対の対向した電極は、様々な形状、例えば実質的に円形状を有するように構成することができる。いくつかの実施形態では、隣接する電極が一部片レンズ電極アセンブリに合併することができ、このアセンブリは、ビームの他方の側で分析器軸から異なる距離に位置された別の一部片レンズ電極アセンブリによって対向される。すなわち、複数のレンズを提供するように形作られた一対の一部片レンズ電極アセンブリを利用することができる。複数のレンズは、したがって一部片レンズ電極アセンブリによって提供され、これは、分析器軸から異なる距離にある別の一部片レンズ電極アセンブリによって対向され、一部片レンズ電極アセンブリは、複数の円弧集束レンズを提供するように形作られる。一部片レンズ電極アセンブリは、好ましくは、複数の滑らかな円弧形状を備える縁部を有する。一部片レンズ電極アセンブリは、好ましくは、少なくとも部分的に、より好ましくは実質的に、円弧方向でz軸の周りに延在する。
1つまたは複数の円弧レンズが分析器体積内に位置される。動作時、荷電粒子が通過するときに1つまたは複数のレンズが荷電粒子に作用するように、1つまたは複数の円弧レンズを主飛行経路またはその近くで分析器の内部の任意の場所に位置することができる。好ましい実施形態では、1つまたは複数の円弧レンズは、2つのミラーの間のほぼ中点に位置される(すなわち分析器軸zに沿った中点)。分析器のz軸に沿った2つのミラー間の中点、すなわちz軸の方向での最小の絶対電磁場強度の点を、ここでは分析器の赤道または赤道位置と呼ぶ。このとき、赤道は、z=0平面の位置でもある。別の実施形態では、1つまたは複数の円弧レンズが、ミラーの最大変向点(すなわちz軸に沿った最大進行の点)の一方または両方に隣接して配置される。より好ましい実施形態では、以下でより詳細に説明するように、1つまたは複数の円弧レンズが、2つのミラー間の中点(すなわち分析器軸zに沿った中点)からオフセットされて位置されるが、依然として中点の近くにある。
1つまたは複数の円弧レンズは、荷電粒子が内側と外側の電場定義電極システムの半径の間で主飛行経路に沿って進むときに荷電粒子に作用する。
1つまたは複数の円弧レンズは、内側および/または外側電場定義電極システムに、追加の支持体に、またはそれら2つの組合せに支持されることがある。
円弧集束は、好ましくは、飛行経路に沿ってある間隔でビーム上で行われる。この間隔は、規則的(すなわち周期的)でも不規則でもよい。
円弧集束は、より好ましくは、周期的な円弧集束である。すなわち、円弧集束は、より好ましくは、飛行経路に沿って規則的な円弧位置でビーム上で行われる。
円弧集束は、好ましくは一連のレンズ(すなわち複数のレンズ)によって実現され、これらは好ましくは内側と外側の電場定義電極システムの半径の間に配置され、すなわち例えば四重極対数変位を生成し、すなわちz=0平面上またはその近くに中心合わせされる。複数のレンズが、分析器軸zの周りに完全に延在することができ、または分析器軸の周りに部分的に延在することができる。ミラーが分析器軸と実質的に同心である実施形態では、好ましくは複数のレンズも分析器軸と実質的に同心である。より好ましくは、レンズはそれぞれ、z=0平面上またはその近くに中心を合わされる。これは、この平面で粒子に対する軸方向の力がゼロであるからであり、電場のz成分はゼロであり、レンズがあっても、分析器内の他の場所でz方向での放物型ポテンシャルをほとんど乱さず、時間集束への収差を最小にする。
別の実施形態では、複数のレンズを、分析器内部の変向点の一方または両方に近接して位置させることができる。この場合、電場のz成分が飛行経路上で最高であるが、荷電粒子は、飛行経路上で最小の運動エネルギーで進行しており、円弧発散の所望の制約を実現するために円弧レンズに印加する必要がある集束電位はより低い。
好ましくは、円弧集束レンズは、分析器軸の周りに周期的に配置され、すなわち円弧方向で、分析器軸の周りに規則的に離隔配置され、すなわち円弧集束レンズのアレイとして配置される。好ましくは、アレイ内の円弧集束レンズは、実質的に同じz座標に位置される。好ましくは、円弧集束レンズのアレイは、円弧方向でz方向の周りに延在する。上述したように、赤道の近く(またはz=0平面の近く)で、ビーム位置は、好ましくは、ミラーからの所与の回数の反射(例えば1回または2回の反射。z軸に沿った1回の全振動が2回の反射を含む)後に、円弧方向である角度または距離だけ前進する。好ましくは、円弧集束レンズは、分析器の分析器軸の周りに周期的に配置され、放物面鏡からの所与の回数の反射後にビームが前進する円弧方向での距離に実質的に等しい距離だけ、円弧方向で離隔される。さらに、円弧集束レンズは、好ましくは、ビームが分析器を通って飛行するときにビームが赤道に交差する位置またはその近くで分析器の分析器軸の周りに周期的に配置される。いくつかの好ましいタイプの実施形態では、複数の円弧集束レンズが、実質的に同じz座標に位置された円弧集束レンズのアレイを形成し、このz座標は、より好ましくはz=0またはその近くにあるが、最も好ましくはz=0からオフセットされる(が、その近くにある)。オフセットされたz座標は、好ましくは、主飛行経路が振動中にそれ自体に交差する場所であり、このオフセットz座標は、z=0平面の近くである。この構成は、各円弧集束レンズを使用してビームを2回集束させることができるという利点を有し、すなわち、以下でより詳細に説明するように、1つのミラーからの反射後、次いで他方のミラーからの次の反射後の2回である。したがって、各レンズを2回利用することは、円弧集束レンズの位置をz=0平面から、主飛行経路が振動中にそれ自体に交差するz座標にオフセットすることによって、同一のミラーを使用して実現することができる。したがって、好ましくは、z軸に沿った各振動後に、レンズが配置されるz座標において円弧方向でビームが進む距離だけ、レンズが円弧方向で離隔される。
他の多重反射または多重偏向TOFとは異なり、円弧レンズが、対向するミラーによって生成される分析器場の内部に組み込まれるので、電磁場のないドリフト空間が実質的に存在せず(最も好ましくは電磁場のないドリフト空間が全くなく)、電気分析器場がゼロに近付く点はない。軸方向電磁場がない場合でさえ、半径方向での電磁場が存在する。さらに、荷電粒子は、各反射ごとに、円弧レンズの周期性よりも典型的にははるかに大きい(最高で10倍の)角度だけ向きを変える。本発明の分析器では、分析器の軸方向長さの大半(好ましくは3分の2以上)にわたって相当の軸方向電磁場(すなわちz方向での電磁場)が存在する。より好ましくは、分析器の軸方向長さの80%以上、より好ましくは90%以上にわたって相当の軸方向電磁場が存在する。本明細書における用語「相当の軸方向電磁場」は、分析器内の最大変向点での軸方向電磁場の強度の1%超、好ましくは5%超、より好ましくは10%超を意味する。
z=0平面で式(1)によって記述される四重極対数ポテンシャルを利用する好ましい実施形態では、半径方向(r)での電位を、1対の同心シリンダの間での電位によって近似することができる。この理由から、1つのタイプの好ましい実施形態では、例えば円弧集束レンズを支持するため、または内側と外側の電場定義電極システム間の分析器内部に位置されることがある他の電子構成要素(例えばレンズ、電極、加速器、偏向器、検出器など)に印加される電圧から主飛行経路を遮蔽するのを助けるため、または他の目的のために、1つまたは複数のベルト電極アセンブリが使用される。本明細書でのベルト電極アセンブリは、好ましくは、分析器体積内に位置されるベルト形状の電極アセンブリであるが、一方または両方のミラーの内側電場定義電極システムの周りに完全に延在する必要はなく、すなわちz軸の周りに完全に延在する必要はない。したがって、ベルト電極アセンブリは、一方または両方のミラーの内側電場定義電極システムの周りに少なくとも部分的に、すなわちz軸の周りに少なくとも部分的に、より好ましくはz軸の周りに実質的に延在する。ベルト電極アセンブリは、好ましくはz軸の周りに円弧方向で延在する。1つまたは複数のベルト電極アセンブリは、分析器軸と同心でよい。1つまたは複数のベルト電極アセンブリは、一方または両方のミラーの内側および外側電場定義電極システムの間と同心でよい。1つの好ましい実施形態では、1つまたは複数のベルト電極アセンブリは、分析器軸、ならびに両方のミラーの内側および外側電場定義電極システムのどちらとも同心である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のベルト電極アセンブリは、z=0平面またはその近くで、一方または両方のミラーの内側と外側の電場定義電極システムの間に位置された環状ベルトを備える。他の実施形態では、ベルト電極アセンブリは、一方のミラーの内部の荷電粒子ビームの最大変向点の近くに位置されたリングの形態を取ることができる。いくつかの実施形態では、例えば円弧集束レンズが少数である場合には、ベルト電極アセンブリが、一方または両方のミラーの内側電場定義電極システムの周りに完全に延在する必要はないことがある。使用時、ベルト電極アセンブリは電極として機能して、好ましくはz=0平面の近傍で分析器場(例えば四重極対数電磁場)を近似し、適切な電位がそれらに印加されている。図1eは、本発明の一実施形態での、一方のミラー内部のz軸に沿った電場の形状を示し、ここでは、1対の円筒形ベルト電極アセンブリが、平面z=0の近くまたは平面z=0に組み込まれている。前述した図1bと比べると、図1bの完璧に線形の電磁場が、円筒形ベルト電極アセンブリの存在によって平面z=0の近くで切頭されている様子が分かる。分析器内部で等電位力線に従うような形状(例えば、四重極対数ポテンシャル分布を有する分析器内での四重極対数形状)を有するベルト電極アセンブリを使用することにより、z=0平面の近くのこの電磁場歪が除去される。しかしまた、通電されたレンズまたは偏向電極がベルト電極アセンブリにあると、ベルト電極アセンブリの領域内でz軸に沿って電場がいくぶん歪められる。
1つまたは複数のベルト電極アセンブリは、例えば電気絶縁支持体によって支持して、内側および/または外側電場定義電極システムから離隔することができる(すなわちそれにより、ベルト電極アセンブリは、内側および/または外側電場定義電極システムから電気絶縁される)。電気絶縁支持体は、それらの周囲の領域内の電位を近似するように適切に電気的にバイアスをかけられた追加の導電性要素を備えることがある。一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムは、外側ベルト電極アセンブリを支持するためにz=0平面で、および/またはz=0平面の近くで狭窄することができる。
ベルト電極アセンブリは、それらが支持することができる円弧集束レンズから電気絶縁される。好ましくは、ベルト電極アセンブリは、z方向で円弧集束レンズの縁部を越えて延在して、分析器の残りの部分を、レンズに印加される電位から遮蔽する。
1つまたは複数のベルト電極アセンブリは任意の適切な形状でよく、例えばベルトは、円筒形、好ましくは同心円筒形の形状でよい。好ましくは、ベルト電極アセンブリは、同心円筒形電極の形態である。より好ましくは、1つまたは複数のベルト電極アセンブリは、ベルト電極アセンブリが位置される場所での分析器場の等電位面に実質的に従う、またはその等電位面を近似する形状を有する区域の形態でよい。より好ましい例として、ベルト電極アセンブリは、四重極対数区域の形態でよく、すなわちそれらの形状は、ベルト電極アセンブリが位置される場所で、四重極対数電磁場(すなわち歪のない四重極対数電磁場)の等電位面に従う、またはその等電位面を近似することがある。ベルト電極アセンブリは、長手方向(z)で任意の長さでよいが、好ましくは、例えば円筒形状である場合など、それらが配置される領域内での四重極対数ポテンシャルのみを近似する場合、2つの対向するミラーでの主飛行経路の変向点間の距離の1/3未満の長さである。より好ましくは、ベルト電極アセンブリは、円筒形状である場合、長手方向(z)での2つの対向するミラーでの主飛行経路の変向点間の距離の1/6未満の長さである。
いくつかの実施形態では、例えば円弧レンズの一方の部分集合(すなわち主飛行経路の片側にある)を1つのベルト電極アセンブリによって支持することができ、またレンズの他方の部分集合が内側または外側電場定義電極システムによって支持される場合、1つのベルト電極アセンブリのみを使用することができる。他の実施形態では、例えば円弧レンズが2つのベルト電極アセンブリによる支持を必要とする場合、2つ以上のベルト電極アセンブリを使用することができる。2つ以上のベルト電極アセンブリを使用する場合、ベルト電極アセンブリは、少なくとも内側ベルト電極アセンブリと外側ベルト電極アセンブリを備えることができ、内側ベルト電極アセンブリは、内側電場定義電極システムに最近接して位置し、外側ベルト電極アセンブリは、内側ベルト電極アセンブリよりも大きい直径を有し、内側ベルト電極アセンブリの外側に位置する。少なくとも1つのベルト電極アセンブリ(外側ベルト電極アセンブリ)を、ビームの飛行経路の外側(すなわち、より大きい分析器軸からの距離)に位置させることができ、および/または少なくとも1つのベルト電極アセンブリ(内側ベルト電極アセンブリ)を、ビームの飛行経路の内側(すなわち、より小さい分析器軸から距離)に位置させることができる。好ましくは、外側と内側の電場定義電極システム間の分析器内部に好ましくは配置された少なくとも2つのベルト電極アセンブリが存在し、ベルト電極アセンブリは飛行経路の各側にある。いくつかの実施形態では、内側および外側電場定義電極システムは、平面z=一定で、円形断面を有さない。これらの場合には、好ましくは、1つまたは複数のベルト電極アセンブリも、平面z=一定では円形断面を有さず、内側および外側電場定義電極システムの断面形状に合致するような断面形状を有する。
ベルト電極アセンブリは、例えば導電性材料からなることがあり、または導電性ラインを有するプリント回路板を備えることがある。他の設計も想定することができる。分析器の構成で使用されるプリント回路板材料など任意の絶縁材料に、静電気防止コーティングを施して、電荷の蓄積を妨げることができる。
いくつかの好ましい実施形態では、1つまたは複数の円弧集束レンズは、内側および外側電場定義電極システムの一方、またはより好ましくは両方の表面によって支持することができ、すなわちベルト電極アセンブリを必要としない。そのような場合には、円弧集束レンズは、当然、電場定義電極システムから電気絶縁される。そのような場合、ビームに面する円弧集束レンズの表面は、それらを支持する電場定義電極システムの表面と面一でよい。
適切なサイズの、好ましくはベルト電極アセンブリによって支持される円弧集束レンズは、好ましくは、ビームがz=0平面を通るたびにビームがレンズ(すなわち少なくとも1つのレンズ)を通過するように位置決めされる。これは、ここでは、z=0平面からオフセットされた、しかしz=0平面の近くの平面上にレンズが位置される場合を含む。しかし、他の実施形態では、ビームは、z=0平面を通過するときに毎回ではなく、ある間隔でレンズを通過する。これらの間隔は、規則的でも不規則でもよい。円弧集束レンズは、主に円弧方向で、または円弧方向のみで集束する非点収差レンズでよく、または無収差レンズでもよい。無収差集束は、いくつかの好ましい実施形態では必要ない。なぜなら、電位、例えば四重極対数ポテンシャルの性質により、ビームがr方向で閉じ込められるからであり、半径方向での強い閉じ込めは、ビーム周回が円形であるときに得られる。しかし、無収差レンズは、ビーム周回が実質的に円形でない実施形態に関して使用することができ、かつ望ましいことがある。レンズは、好ましくは、円弧方向での集束をもたらす非点収差レンズであり、そのような非点収差集束を生成する任意の形態のものでよい。本明細書において、以下、好ましい形態のレンズを説明する。
荷電粒子が分析器を通って飛行するときに荷電粒子の多重反射、特に多数回の多重反射を行うために、円弧集束レンズの使用によって本発明の分析器をより効率的に使用できるようになる。電磁場の主パラメータを選択することによって、荷電粒子のビームが所定の位置でz=0平面を通過するように角度(円弧)および軸方向振動周波数を選択することができ、レンズは、これらの位置でビームに対する集束作用を生み出すように配置される。本発明の多重反射分析器は、無制限の質量範囲を有する長い飛行経路を可能にする。しかし、他の実施形態において、より高い質量分解能が必要とされる場合、同じ飛行経路の複数回の通行を行うことができ、しかし質量範囲は制限される。
ビームは、z=0平面を交差するたびに、円弧集束レンズを通過して、円弧方向でのビーム拡がりの最適な減少を実現することが好ましく、このとき円弧集束レンズは、ビームがz=0に交差する場所またはその近くに位置されることが好ましい(すなわち、円弧集束レンズは、本明細書で説明したいくつかの好ましい実施形態と同様に、z=0平面からわずかにオフセットさせることができる)。したがって、これは、ビームが、z=0平面を通るたびに実際にz=0平面上で円弧レンズを通過することは必ずしも意味せず、レンズをz=0からオフセットさせることができ、しかしz=0を通る各通行ごとにビームがレンズを通過する。この文脈で、「ビームがz=0平面に交差するたびに」とは、ビームがz=0平面(すなわち入射点の近く)に初めて交差するときを除外することがあり、また、ビームがz=0平面(すなわち出射または検出点の近く)に最後に交差するときも除外することがある。しかし、ビームが、z=0平面に交差するたびに円弧集束レンズを通過するのでなく、z=0平面に交差する回数よりも少ない回数(例えばビームがz=0平面に交差したときに1回おきに)だけ円弧集束レンズを通過することも可能である。したがって、任意の数の円弧集束レンズが想定される。
円弧方向で集束を行うことができる任意の適切なタイプのレンズを、円弧集束レンズに関して利用することができる。以下、様々なタイプの円弧集束レンズをさらに説明する。
円弧集束レンズの1つの好ましい実施形態は、1対の対向するレンズ電極(好ましくは円形または滑らかな弧状のレンズ電極、すなわち滑らかな弧状の縁部を有する電極)を備える。対向するレンズ電極は、実質的に同じサイズでも異なるサイズでもよく、例えば、各レンズ電極が位置される分析器軸からの距離に応じて縮尺を合わされたサイズでもよい。対向するレンズ電極は、通常の場合(すなわちレンズ電極がそこにない場合)のレンズ電極近傍の電位とは異なる電位を印加される。好ましい実施形態では、対向するレンズ電極に異なる電位が印加され、荷電粒子のビームが1対の対向するレンズ電極の間を通り、これらの電極は、バイアスされたときに、ビームを横切る円弧方向でビームを集束させ、ここでレンズ電極は、ビームを挟んで半径方向で互いに対向している。上述したようにレンズがベルト電極アセンブリ内に支持される場合、好ましくは、対向するレンズ電極は、それらを支持するベルト電極アセンブリの輪郭に従う。
分析器軸の周りでの周回粒子運動を採用する様々なタイプの対向するミラー分析器に円弧集束を適用することができ、分析器軸の方向に向けられた対向する線形の電場に限定されない。好ましくは、円弧集束は、分析器軸の方向に向けられた対向する線形電場を有する分析器で行われる。好ましい実施形態では、円弧集束は、四重極対数ポテンシャルを利用する分析器で採用される。
いくつかの実施形態では、本発明は、分析器内部の飛行経路を倍増させることができ、飛行経路が、実質的に同じ経路を複数回辿らず、それにより質量範囲に対する制限がなんら課されない。これは、ビームが各円弧集束レンズを2回通過し、しかしその際に異なる経路を辿るように、分析器の2つのミラーでの飛行経路を違えることによって実現される。ビームは、z軸の周りで第1の角度の周回を経るとともに第1のミラーを通って進み、また、第2の角度の周回運動を受けるとともに第2のミラーを通って進み、第1の角度の周回運動は第2の角度の周回運動とは異なる。第1の角度の周回運動は、πラジアンの整数倍(a1=π*n;ここで、n=1、2、3、・・・)とオフセットδの和または差でよく、δは、典型的には0よりも大きくπラジアン未満であり、一方、第2の角度の周回運動はπラジアンの整数倍である。ビームがあらゆる反射の後に円弧レンズを通過する場合、オフセットδは、円弧方向でのレンズの間隔の整数倍となるように設定され、例えばビームがその開始点に到達するまでにビームの36回の全振動がある場合には、円弧レンズ間隔は10°でよい。あるいは、ビームがあらゆる反射後に円弧レンズを通過するわけではない場合、オフセットδは、円弧方向でのレンズの間隔の分数になるように選択される。円弧レンズを含まない実施形態では、オフセットδは、典型的には0よりも大きくπ未満の任意の値でよい。ビームの重なり合いを防止するために、δを円弧方向でのビーム幅よりも大きくすべきである。
例えば、第1のミラーで反射した後、荷電粒子は、2.05πラジアンだけ分析器軸の周りを周回して分析器の赤道(z=0)に到達し、したがって反射前のそれらの位置に対して0.05πだけシフトする。第2のミラーで反射した後、荷電粒子は、2πラジアンだけ、分析器軸の周りを周回して分析器の赤道に到達し、これにより、荷電粒子は反射前の元の位置に来るが、異なる方向の円弧速度である。したがって、荷電粒子を、前の位置に戻して、同じ円弧集束レンズ内に返すことができ、それによりレンズを2回利用する。それに続く第1のミラーでの反射により、荷電粒子は、分析器軸の周りで再び2.05πラジアンだけ周回し、例えば次の円弧集束レンズに導かれる。これにより、各ミラーを、ビームを反射する回数の2倍の回数利用できるようになる。さらに、各円弧集束レンズを、ビームを集束する回数の2倍の回数利用できるようになる。これは、同じ厳しい公差の構成要素が複数回使用され、同数の構成要素、同じコスト、同じ構成の単純性、およびほぼ同じサイズの分析器に関して飛行経路がより長くなるという利点をもたらす。
いくつかの実施形態では、分析器の2つのミラーは、それらの物理的特性(例えばサイズおよび/または形状)、またはそれらの電気的特性、またはそれら両方の点で異なるが、好ましくはz=0平面の近くで、好ましくはz=0平面で当接し、そこでは、既に述べたように軸方向電場が最小であり、時間集束を乱す収差が最小限である。好ましくは、分析器の2つのミラーは、それらの物理的特性(例えばサイズおよび/または形状)が異なる。一実施形態では、2つのミラーの対応する内側および/または外側電場定義電極システムの形状は、それらがz=0平面で対称でないように異なっている。そのような実施形態では、電極システムは、z=0平面にわたって連続的でよく、または不連続でもよい。この文脈での用語「当接」は、ミラーが物理的に触れ合うことは必ずしも意味せず、互いに隣接して近くに位置していてもよい。
あるいは、またはさらに、他の実施形態では、好ましくは円弧集束レンズを支持する1つまたは複数のベルト電極アセンブリは、z=0平面上に中心を合わされていない位置、すなわち赤道上ではなく、そこからオフセットされた位置に位置させることができる。これらの実施形態では、一方のミラー内部の飛行経路が他方のミラー内部の飛行経路とは異なり、それによりビームが各円弧集束レンズを2回通過する。同一のミラーが対向されている実施形態では、円弧集束レンズがz=0平面から一方のミラーの変向点に向けてずらされているので、一方のミラーでの変向点と円弧集束レンズとの間の距離が、他方のミラーでの変向点と円弧集束レンズの間の距離とは異なる。今述べたように円弧レンズが変位されている実施形態を、オフセットレンズ実施形態と呼ぶ。
さらなる実施形態では、一方のミラーの長手方向(z)長さが他方のミラーよりも短くてよく、一方のミラーでの変向点から、円弧レンズが位置される平面z=0まで距離を、他方のミラーでの対応する距離よりも短くし、またビームに各円弧集束レンズを2回通過させる。
さらなる実施形態では、各ミラーの対応する内側および/または外側電場定義電極システムに異なる電位を印加することができ、ミラー自体は構造上、対称である。あるいは、対向するミラーの構造は対称でないこともある。例えば、第1のミラーは、ただ1つの内側電極とただ1つの外側電極を備えることがあり、それぞれ1つのミラーの内側および外側電場定義電極システムを形成し、一方、第2のミラーは、内側電場定義電極システムを形成する1組のディスク電極と、第2のミラーの外側電場定義電極システムを形成する1組のリング電極とを備えることができる。第1の主飛行経路長を与える1つの動作モードで、1つまたは複数の電圧の適切な組が2つのミラーの電極に印加され、それによりビームは、2つのミラーそれぞれで同じ角度の周回を経て、各反射後に異なる円弧レンズを通過する。第1の飛行経路長の距離のほぼ2倍の第2の飛行経路長を与える本発明を採用する第2の動作モードでは、第2の異なる組の電位が一方のミラーの電極に印加され、それにより一方のミラーでの周回の角度は、他方のミラーでの周回の角度とは異なり、それによりビームに同じ円弧レンズを2回通過させる。したがって、ミラーの構造と印加される電位とがどちらも非対称でよい。
非対称ミラー領域を生成するために物理的特性(例えばサイズおよび/または形状)、電気特性、またはそれら両方が異なる対向するミラーを採用する分析器を、ここでは「非対称ミラーを有する」と表す。上述したことから、これらの実施形態で共通なのは、分析器内部での対向する電場の非対称性であることが理解されよう。
非対称ミラーとオフセットレンズ機能との組合せを備える分析器も、本発明を実施するために使用することができる。
(本発明の)非対称ミラーおよび/またはオフセットレンズ実施形態は、分析器軸の周りでの周回粒子運動を採用する様々なタイプの対向ミラー分析器に適用することができ、分析器軸の方向に向けられた対向する線形電場に限定されない。好ましくは、非対称ミラーおよび/またはオフセットレンズ実施形態は、分析器軸の方向に向けられた対向する線形電場を有する分析器で利用される。好ましい実施形態では、(本発明の)非対称ミラーおよび/またはオフセットレンズ実施形態は、四重極対数ポテンシャルを利用する分析器で採用される。
本発明では、分析器へのイオンの入射は、好ましくは、デバイス内部で最小の軸方向電場の平面(すなわちz=0平面)の近くに入射器を位置させることによって実現され、そこでは、既に述べたように軸方向電場は最小であり、時間集束を乱す収差が最小限である。しかし、他の入射位置も想定され、説明される。本明細書における用語「入射器」は、本明細書で説明するように、任意選択で外部および/または内部入射軌道を通して、分析器(例えば、1つまたは複数のパルスイオン源、直交加速器、イオントラップなどと、任意の関連するビーム偏向器や電気セクタなど)を通る主飛行経路上に荷電粒子を入射するための1つまたは複数の構成要素を意味する。いくつかの実施形態では、荷電粒子のパルス源を使用して、粒子が外部および/または内部入射軌道に沿って主飛行経路に進むときに、ある度合のTOF分離を使用することによってイオンの初期パケット内部の質量範囲を選択することができる。
本明細書で使用される用語「内部入射軌道」は、分析器体積内部、および分析器を通る主飛行経路の前での入射時の軌道を表す。したがって、入射軌道は、ビームが分析器体積に入る場所から始まる。いくつかの実施形態では、例えば粒子が分析器体積外部から主飛行経路上に直接入射される場合に、粒子に関する内部入射軌道が実質的にないことがある。前述したように、主飛行経路は、好ましくは、2つの対向するミラーの間に反射型の飛行経路を備える。2つの対向するミラー間のビームの主飛行経路は、半径方向で、内側と外側の電場定義電極システムの間、すなわち分析器体積内に位置する。また、追加の電極が、1つまたは複数の内側および外側電場定義電極システムを形成することもあり、ここでそれらの機能は、主分析器場を生成すること、または主分析器場の歪を抑えることである。例えば、電極トラックのアレイ、抵抗性コーティング、または主分析器場の歪を抑えるための他の電極を、外側電場定義電極システムの構造の一部として使用することができ、これは例えば、さらに説明するように、外側ベルト電極アセンブリを支持することができるように電極システムが赤道の近くで狭窄している場合である。そのような場合、電極トラックのアレイ、抵抗性コーティング、または他の電極手段は、それらが関係するミラーの外側または内側電場定義電極システムの一部を成す。
使用時、2つの対向するミラーが、荷電粒子が取る主飛行経路を定義する。分析器内部でのその飛行経路に沿ったビームの好ましい運動は、内側電場定義電極システムの周りでの螺旋運動である。ビームは、分析器を通る主飛行経路に沿って、長手方向軸の方向で螺旋経路で前後に飛行し、この螺旋経路は、z=0平面内で長手方向軸の周り(すなわち円弧方向)を移動する。主飛行経路は、主に主分析器場の影響下にあるときに荷電粒子が辿る安定な軌道である。この文脈で、「安定な軌道」とは、衝突または焦点ずれによるエネルギー消散に起因するビームの損失がないと仮定して、(例えば偏向による)妨害がない場合に粒子が無限に辿る軌道を意味する。好ましくは、安定な軌道は、イオンの初期パラメータの小さな偏差により、軌道の全長にわたって分析器サイズに対するビーム拡がりが小さいままになるようにイオンビームが辿る軌道である。対照的に、不安定な軌道とは、衝突または焦点ずれによるエネルギー消散に起因するビームの損失がないと仮定して、妨害されない場合に無制限には粒子が辿らない軌道である。したがって、主飛行経路は、半径が徐々に減少または増加する飛行経路を備えない。しかし、主飛行経路は、半径方向で振動する経路、例えば分析器軸に沿って見たときに楕円形の軌道を備えることができる。主分析器場は、各ミラーの内側および外側電場定義電極システムが第1の組の1つまたは複数の電圧を与えられるときに生成される。本明細書での用語「第1の組の1つまたは複数の電圧」は、電圧の組が時間的に最初に印加されることは意味せず(時間的に最初でも、最初でなくてもよい)、単に、荷電粒子が主飛行経路を辿るように内側および外側電場定義電極システムに与えられる電圧の組を表す。主飛行経路は、分析器を通る粒子の飛行中に、粒子が大半の時間を費やす経路である。
本明細書で説明するように、いくつかの好ましい実施形態では、内部入射軌道と主飛行経路の間の移行時に、z方向でのイオンの速度成分を変化させるために、イオンを半径方向rで偏向する必要がある。この偏向は、典型的には、ビーム中の粒子の時間的焦点面を傾ける。この収差は、分析器からのビームの出口で、および/または検出器で、簡単には修正することができない。そうではなく、この傾きは即座に修正されることが好ましい。したがって、いくつかの好ましい実施形態では、イオン源および/または入射器が、z=0平面などzが一定の平面(すなわちz軸に垂直な平面)に対して傾けられ、それにより、内部入射軌道から主飛行経路を進行し始めたときの偏向後、時間的焦点面はz軸に垂直に、すなわちz=0平面に平行になる。入射中、ビームの半径が比較的小さいので、この傾きの影響は典型的にはそれほど大きくなく、いくつかの実施形態では修正が必要ないこともある。同様に、主飛行経路から内部出射軌道への出射中、時間的焦点面は、典型的には、主飛行経路上の偏向器によって、zが一定の平面に対して傾けられる。この場合、例えば、検出器が次いで、好ましくは、傾けられた時間的焦点面の傾きに合致するように適切な角度に傾けられ、すなわちそれにより検出器面と時間的焦点面が実質的に同じ位置にされる。
好ましい実施形態では、イオン源から分析器体積までビームが取る経路は、典型的にはより高圧のイオン源から分析器体積への望ましくないガス装填を回避するために、直線の視線を含まない。その代わりに、イオン源から分析器体積までビームが取る経路は、分析器体積内へのガス装填を減少するために、(例えばねじれや曲げなどを提供するために)少なくとも1回の偏向を含む。したがって、外部入射軌道は、好ましくは、ビームの少なくとも1回の偏向を含む。本発明に適用可能な1つの入射方法では、荷電粒子は、分析器体積の外部から内部入射軌道上に入射され、内部入射軌道は分析器体積の内部にあり、そこから主飛行経路上の点まで延びる。いくつかの実施形態では、主分析器場がない状態でビームが内部入射軌道の少なくとも一部分を渡って進む。主分析器場は以下のことによってなくすことができる。(i)主分析器場から内部入射軌道を遮蔽すること、(ii)イオンが内部入射軌道上にあるときに、主分析器場とは異なる分析器内部での分析器電場(ゼロ強度の電磁場でもよい)を生成するために、主分析器場を生成する第1の組の1つまたは複数の電圧とは異なる組の1つまたは複数の電圧(この異なる組の1つまたは複数の電圧はゼロ電位の電圧を含むことがある)を電場定義電極システムに与えること、または(iii)(i)と(ii)の両方の組合せ。本明細書で使用される用語「主分析器場」は、内部で主飛行経路に沿って荷電粒子が移動する、または移動することになる電場定義電極システムに印加される1つまたは複数の電圧の組によって、分析器内部で生成される電磁場を表す。このタイプの入射方法では、好ましくはすべての内部入射軌道が、主分析器場がない状態にされる。
分析器内部に存在する他の電磁場、例えば1つまたは複数の円弧集束レンズによって生成される電磁場は、入射プロセス中に残っていてよく、またはオフにされることもある。
内部入射軌道に沿った主分析器場がないいくつかの実施形態では、荷電粒子は、主分析器場がない状態にされた内部入射軌道の部分に沿って実質的に直線状に移動できるようになる。そのようなタイプの入射の他の実施形態では、分析器内に存在する残留電磁場により、内部入射軌道が直線経路から逸脱することがあるが、好ましくは内部入射軌道は実質的に直線状である。残留電磁場は、1つまたは複数の円弧レンズ、追加のビーム偏向器、または他のイオン光学デバイスによって生成された電磁場、および主分析器場を生成するようには設定されていないミラー内側および外側電場定義電極システムに印加された電位による任意の電磁場を含むことがある。1つの好ましい実施形態では、内部入射軌道は、外側ベルト電極アセンブリの存在によって主分析器場から完全に遮蔽され、ミラーの内側および外側電場定義電極システムに印加される電位は、好ましくは分析器内部の他の場所で分析器場を生成するようなものであり、内部入射軌道は実質的に直線状である。
内部入射軌道が主飛行経路に到達する点Pに到達するまたは近付くと、荷電粒子は、主分析器場を受ける。例えば、主分析器が内部入射軌道に関してオフにされているいくつかの実施形態では、主分析器場は、荷電粒子が点Pに到達したときにオンにすることができる。
荷電粒子は、点Pまたはその近くで荷電粒子デバイスによって偏向および/または加速させることができる。いくつかの実施形態では、荷電粒子は点Pに到達し、偏向または加速を必要とせずに主飛行経路上を進行し始めるような方向に進む。他の実施形態では、荷電粒子偏向器は、ビームが主飛行経路を進行し始めるようにビーム方向を変えるために使用される。本明細書で使用するとき、用語「荷電粒子偏向器」は、ビームを偏向し、例えばプレート電極、電気セクタ、ロッドおよびワイヤ電極、メッシュ電極、ならびに磁気偏向器の対を含む任意のデバイスを表す。電気偏向器が使用されることが好ましい。最も好ましくは、好ましいビーム光学特性およびコンパクトなサイズにより、ビームの各側に1つずつ1対の電気偏向プレート、または電気セクタが使用される。ビームは、好ましくは、主飛行経路上に入射されるときに偏向器によって偏向され、より好ましくは、電気セクタまたはミラーによって偏向され、ここで、偏向器(好ましくはセクタまたはミラー)の出口アパーチャは主飛行経路上にある。
ビームは、偏向されても偏向されなくてもよいが、好ましくは偏向され、この偏向は、z方向、半径r方向、および円弧方向の1つまたは複数でよい。荷電粒子の偏向は、z軸方向での速度を変えて、その方向で速度を増加または減少するようなものでよい。「z軸方向での速度」とは、z軸方向での粒子の速度成分を意味する。z軸方向での速度の増加は、荷電粒子が主飛行経路に入る最初のミラーに向かうz軸方向での速度の増加を意味する。z軸方向での速度の減少は、荷電粒子が主飛行経路に入る最初のミラーに向かうz軸方向での速度の減少を意味する。いくつかの好ましい実施形態では、ビームは、好ましくは点Pで少なくともz方向で偏向される。いくつかの実施形態では、荷電粒子は、さらなる半径方向偏向なしで、主飛行経路上を進行し始めるのに適切な半径方向速度で点Pに到達する。しかし、いくつかの好ましい実施形態では、荷電粒子が主飛行経路を進行し始めるように、荷電粒子を半径方向rで偏向させることができる。ビームは、好ましくは、少なくとも半径方向rで偏向され、そこで主飛行経路を進行し始め、例えば内部入射軌道は、主飛行経路とは異なるz方向からの半径方向距離(半径)で始まる。いくつかのより好ましい実施形態では、ビームは、好ましくは点Pで少なくとも半径方向rおよびz方向で偏向され、すなわち任意選択で、点Pで円弧方向でも偏向される。荷電粒子の偏向は、好ましくは、それらの円弧方向での速度を変えるようなものである。「円弧方向での速度」とは、円弧方向での粒子の速度成分を意味する。本明細書で使用されるとき、用語「荷電粒子加速器」は、荷電粒子の速度を変える、または速度を増減する合計の運動エネルギーを変える任意のデバイスを表す。荷電粒子加速器は、任意の方向で粒子の速度を変えるために使用することができる。偏向器または加速電極は、荷電粒子のビームが到達した時点で通電され、次いでビームが主飛行経路上に入射された後に通電停止することができ、または異なる電圧を印加される。
点Pは、主飛行経路上で分析器内部の任意の場所でよい。1つの好ましい実施形態では、点Pは、z=0平面またはその近くに位置する。別の好ましい実施形態では、点Pは、長手方向z軸に沿った飛行経路の最大軸方向限界またはその近くにある。
荷電粒子は、ミラーの外側電場定義電極システムの一方または両方のアパーチャを通って、またはミラーの内側電場定義電極システムの一方または両方のアパーチャを通って内部流入軌道上へと分析器に入ることができる。入射器は、好ましくは、分析器体積の外部に位置される。したがって、入射器は、ミラーの外側電場定義電極システムの外側(すなわち分析器体積の外部)、またはミラーの内側電場定義電極システムの内側(すなわち分析器体積の外部)に位置させることができる。いくつかの実施形態では、荷電粒子は、内側または外側ベルト電極アセンブリのアパーチャを通過する内部入射軌道上を進むことによって点Pに到達する。ミラーの内側電場定義電極システムの内側に入射器を位置させることで、よりコンパクトな機器となり、しかし整備時に入射器に手が届きにくいという欠点がある。好ましくは、入射器は、ミラーの外側電場定義電極システムの外側に位置される。より好ましくは、さらに説明するように、ビーム偏向器や電気セクタなどを含むことがある入射器または入射器の一部分が、ミラーの外側電場定義電極システムの外側であるが、ミラーの外側電場定義電極システムが取る分析器軸からの最大半径方向限界(すなわち最も広い部分)の距離以内に位置され、これは、好ましくは、ミラーの外側電場定義電極システムの少なくとも一方、好ましくは両方の狭窄部分の外側に隣接して位置させることによって行われる。
荷電粒子を入射するとき、分析器を通る飛行経路の進行開始時に荷電粒子のパケットを好ましくはできるだけ短くすべきであり、このために、好ましくは荷電粒子源を分析器のできるだけ近くに、理想的には分析器内部に位置させる必要がある。分析器に入る前の飛行経路と分析器から出た後の飛行経路の和(分析器の外部の飛行経路)は、理想的にはできるだけ短くすべきであり、またはより重要なことには、異なる質量電荷比の粒子の飛行時間の差ができるだけ小さくなるように、これらの経路を進む荷電粒子の飛行時間をできるだけ短くすべきである。一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分(すなわち直径が減少された部分)の利用により、主飛行経路上での入射器と点Pの間の飛行時間を減少できるようになる。これは、狭窄部分により、外側電場定義電極システムが主飛行経路により近づき、それにより入射器と点Pの間の飛行時間が減少されるからであり、またそれに対応して、入射器を、分析器体積の外部に保ちながら主飛行経路により近付けて位置させることができるからである。さらに、狭窄部分の内側限界を使用して、外側ベルト電極アセンブリを支持することができる。さらに好ましくは、その実施形態における外側ベルト電極アセンブリを使用して、少なくとも1つの円弧集束レンズを支持することができる。したがって、本発明によるすべての入射タイプの好ましい実施形態では、ミラーの少なくとも一方、より好ましくは両方の外側電場定義電極システムが狭窄部分を備える。いくつかの実施形態では、狭窄部分は、z軸の全周に延在する必要はなく、z軸の周りに一部のみ延在することができる。いくつかの好ましい実施形態では、狭窄部分は、z軸の周りに実質的に完全に延在する。好ましくは、狭窄部分は、z=0平面またはその近くに位置される。
入射のいくつかの好ましい実施形態では、内部入射軌道が、主飛行経路とは異なるz軸からの距離(すなわち半径方向距離)にある。主飛行経路とは異なる半径方向距離にある内部入射軌道は、主飛行経路に向かって半径方向内側または半径方向外側に延びることがあるが、好ましくは、主飛行経路に向かって(例えば外側電場定義電極から主飛行経路に向かって)半径方向内側に延びる。内部入射軌道は、実質的に直線状の少なくとも一部分を有することができ、例えば主分析器場の影響がない状態でビームがこの直線部分を渡って進む。いくつかの実施形態では、入射軌道の少なくとも一部分が直線経路から逸脱することがあり、すなわち湾曲しており、例えば主分析器場の影響下で粒子がこの湾曲部分を渡って進む。例えば内部入射軌道の直線状の遮蔽部分が内部入射軌道の曲線部分に移る点は、分析器内部の任意の場所でよい。1つの好ましい実施形態では、その点は、z=0平面またはその近くに位置する。別の好ましい実施形態では、この点は、長手方向z軸に沿って、飛行経路の最大軸方向限界またはその近くにある。
分析器場の影響下で粒子が湾曲した内部入射軌道を渡って進み、この分析器場は、主分析器場でも、異なる分析器場でもよいが、分析器内部での安定な進行のために分析器軸から適切な距離にはない。
いくつかの好ましい実施形態では、主飛行経路とは異なるz軸からの半径方向距離にある内部入射軌道はz軸の周りで螺旋経路を辿り、この螺旋経路は、主飛行経路よりも分析器軸から離れた距離からビームが入射される場合には、分析器軸からの距離が徐々に減少し、または、主飛行経路よりも分析器軸に近い距離からビームが入射される場合には距離が徐々に増加する。螺旋経路は、内側および/または外側電場定義電極システムでの電圧を変えることによって生成することができる。内側および/または外側電場定義電極システムでの電圧が一定に保たれる場合、内部入射軌道は非円形経路を辿る。内部入射軌道の螺旋または非円形経路が、点Pで荷電粒子を主飛行経路に導く。入射時の螺旋または非円形経路は、一方のミラーでの変向点を通過することができる。
点Sで内部入射軌道の螺旋または非円形経路を進行し始めると、荷電粒子は分析器場を受け、これは主分析器場でもそうでなくてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、分析器場は、荷電粒子が点Sに到達するときにオンにされる。荷電粒子は、点Sまたはその近くで荷電粒子デバイスによって偏向および/または加速されることも、そうされないこともある。好ましい実施形態では、荷電粒子は点Sに到達し、偏向または加速を必要とせずに螺旋または非円形経路上を進行し始めるような方向に進む。他の実施形態では、荷電粒子偏向器は、ビームが螺旋または非円形経路を進行し始めるようにビーム方向を変えるために使用される。螺旋または非円形経路の開始時の荷電粒子の偏向は、それらのz軸方向での速度を変えて、その方向での速度を増加または減少するようなものでよい。好ましくは、荷電粒子は、主分析器場がオンにされた状態で点Sに進む。なぜなら、これにより、高い安定性の電源の高速の電気的なスイッチングが必要なくなるからである。好ましくは、荷電粒子は、さらなる半径方向偏向なしで、螺旋または非円形経路上を進行し始めるのに適切な半径方向速度で点Sに到達する。しかし、いくつかの実施形態では、荷電粒子が螺旋または非円形経路を進行し始めるように、荷電粒子を半径方向rで偏向させることができる。点Sでの荷電粒子の偏向は、好ましくは、それらの円弧方向で速度を変えるようなものである。偏向器または加速電極は、荷電粒子のビームが点Sに到達した時点で通電され、次いでビームが螺旋または非円形経路上に入射された後に通電停止することができる。
点Sは、分析器内部の任意の場所でよい。1つの好ましい実施形態では、点Sは、z=0平面またはその近くに位置する。別の好ましい実施形態では、点Sは、長手方向z軸に沿った飛行経路の最大軸方向限界またはその近くにある。
内部入射軌道のすべてまたは一部分に関して螺旋または非円形経路を採用する実施形態では、少なくとも主飛行経路上の点Pに達した後、荷電粒子は主分析器場を受ける。上述したように、荷電粒子は、点Pまたはその近くで荷電粒子デバイスによって偏向および/または加速されることも、そうされないこともある。
いくつかのタイプの好ましい実施形態では、点Pまたはその近くにあるとき、粒子の運動エネルギーが変えられる。これは、例えば主分析器場の影響下で粒子が内部入射軌道を渡って進む場合に使用することができる。運動エネルギーがそのように変えられる実施形態では、荷電粒子は、入射分析器場の存在下で内部入射軌道を渡って進むことができ、この電磁場は、主分析器場と同じでも異なっていてもよい。
荷電粒子は、点Pまたはその近くで荷電粒子偏向器によって偏向されることも、そうされないこともある。1つの好ましい実施形態では、荷電粒子は点Pに到達し、その点で運動エネルギーの変化を受けたときに、偏向を必要とせずに主飛行経路上を進行し始めるような方向に進む。粒子の運動エネルギーの変化は、好ましくは、入射分析器場が主分析器場と同じであるときに採用される。しかしまた、粒子の運動エネルギーの変化は、入射分析器場が主分析器場と異なるときにも採用することができる。他の実施形態では、荷電粒子偏向器は、ビームが主飛行経路を進行し始めるようにビーム方向を変えるために使用される。
好ましくは、荷電粒子は、分析器体積の外部から分析器体積内に入射され、主分析器場の存在下で内部入射軌道に沿って主飛行経路上の点Pに進み(すなわち、主分析器場の影響下で荷電粒子が内部入射軌道を渡って進み)、および/または主分析器場がオンである。この方法では、内部入射軌道が、好ましくは分析器のサイズに比べて非常に短くなる。一実施形態では、この入射方法は、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分を利用して、点Pに到達する前の分析器内部の飛行経路(すなわち内部入射軌道)の長さを短縮することができる。好ましくは、荷電粒子は、狭窄部分のアパーチャを通して分析器体積内に向けられる。いくつかの実施形態では、入射器を分析器体積の外部に位置させることができ、分析器用の荷電粒子は、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分のアパーチャに通すことができ、好ましくは外側ベルト電極アセンブリに隣接して分析器に入る。その場合、ビームは、外側ベルト電極アセンブリのアパーチャを通って内部入射軌道に沿って進行し、主飛行経路上の点Pに向けて短い距離を進む。一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分と外側ベルト電極アセンブリの間の距離は、分析器のサイズに比べて非常に短いことがあり、例えば、真空下で保たれるときに、1つまたは複数の外側電場定義電極システムと外側ベルト電極アセンブリとの電位差を維持するのにちょうど十分な長さである。したがって、好ましくは、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分の内側限界は、外側ベルト電極アセンブリの近位に位置する。また、外側ベルト電極アセンブリと主飛行経路の間の距離は、分析器のサイズに比べて非常に短いことがあり、例えば分析器のz軸長の数パーセント未満である。点Pまたはその近くで、ビームは、主飛行経路上を進行し始めるように偏向される。1つの好ましい実施形態では、前記偏向を行うための偏向器が、外側ベルト電極アセンブリと内側ベルト電極アセンブリの一方または両方に位置されるか、またはそれらの間に位置される。ビームは、ビームの半径方向内側への速度を減少させるように偏向される。好ましい偏向器は、本明細書の他の箇所で説明する。
荷電粒子ビームは、ミラーの外側電場定義電極システムの一方または両方のアパーチャを通して、またはミラーの内側電場定義電極システムの一方または両方のアパーチャを通して分析器体積に入ることができる。入射器は、好ましくは、実質的に分析器体積の外部に位置される。したがって、入射器は、ミラーの外側電場定義電極システムの外側、またはミラーの内側電場定義電極システムの内側に位置させることができる。いくつかの実施形態では、荷電粒子は、内側または外側ベルト電極アセンブリのアパーチャを通過することによって点Pに到達する。好ましくは、入射器は、ミラーの外側電場定義電極システムの外側に位置される。より好ましくは、さらに説明するように、入射器の少なくとも一部分は、外側電場定義電極システムの外側に位置されるが、ミラーの外側電場定義電極システムが取る分析器軸からの最大半径方向限界以内に位置され、これは、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分の外側に隣接して位置させることによって行われる。
別の実施形態では、入射器は、一方または両方のミラーの内側電場定義電極システムの内側で、分析器のz軸上に位置されるか、またはz軸に隣接する。その実施形態では、荷電粒子は、一方または両方のミラーの内側電場定義電極システムのアパーチャを通して入射されて、好ましくは内側ベルト電極アセンブリに隣接して分析器に入る。ビームは、内側ベルト電極アセンブリ(存在するなら)のアパーチャを通って入射軌道に沿って進行し、主飛行経路上の点Pに向けて短い距離を進む。一方または両方のミラーの内側電場定義電極システムと内側ベルト電極アセンブリの間の距離は、分析器のサイズに比べて非常に短いことがあり、例えば、真空下で保たれるときに、1つまたは複数の内側電場定義電極システムと内側ベルト電極アセンブリの間の電位差を維持するのにちょうど十分な長さである。また、内側ベルト電極アセンブリと主飛行経路の間の距離は、分析器のサイズに比べて非常に短いことがあり、例えば分析器のz軸長の数パーセント未満である。点Pまたはその近くで、ビームは、主飛行経路上を進行し始めるように偏向される。1つの好ましい実施形態では、前記偏向を行うための偏向器が、外側ベルト電極アセンブリと内側ベルト電極アセンブリの一方または両方に位置される。ビームは、ビームの半径方向速度の振幅を減少させるように偏向される。
主分析器場の影響下で内部入射軌道に沿ってビームを入射することは、主分析器場を生成する電位のスイッチングが入射時に必要ないという利点を有する。そのようなスイッチングは、その後非常に安定な電力供給となるような高速制御を要求する。なぜなら、高い質量分解能のために、主分析器場は、検出前に荷電粒子が主飛行経路上で費やす期間にわたって高い度合いで安定していなければならないからである。高速スイッチングと、それに続く非常に安定な出力とは、電源によって実現するには技術的に難しい。荷電粒子は、主分析器場の存在下で(分析器のサイズに比べて)短い入射軌道を辿って主飛行経路上の点Pに到達することができ、内部入射軌道が短いので、荷電粒子は主分析器場の作用下で実質的なずれを受けない。例えば、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分によって、および/またはベルト電極アセンブリの存在によって、比較的短い入射軌道が可能にされる。ベルト電極アセンブリは、点Pの領域内で主分析器場を維持し、一方または両方のミラーの外側および/または内側電場定義電極システムが点Pの近傍で主飛行経路に非常に近付くことができるようにし、内部入射軌道の長さを短縮させる。
パルスレーザ脱着、軸方向出射または直交出射を用いたパルス多重極RFトラップ、パルスポールトラップ(pulsed Paul trap)、静電トラップ、および直交加速を含めた、しかしそれらに限定されない様々なタイプの入射器を本発明と共に使用することができる。好ましくは、入射器は、パルス荷電粒子源、典型的にはパルスイオン源、例えば前述したようなパルスイオン源を備える。好ましくは、入射器は、5〜20ns未満の幅のイオンのパケットを提供する。最も好ましくは、入射器は、例えば国際公開第2008/081334号パンフレットに記載されているようなCトラップなどの湾曲トラップである。好ましくは、検出器表面または他の所望の表面で飛行時間焦点が存在する。これを実現する助けとなるように、好ましくは、入射器は、入射器の出口で時間焦点を有する。より好ましくは、入射器は、分析器の主飛行経路の開始時に時間焦点を有する。これは、例えばミラーや電気セクタなど追加の時間集束光学系を使用することによって実現することができる。好ましくは、1つまたは複数のベルト電極アセンブリでの電圧が、時間集束の位置を微調整するために使用される。好ましくは、ベルトでの電圧が、時間集束の位置を微調整するために使用される。
本発明は、ビームからの粒子をTOF分析器から出射する、および/またはそれらの粒子を検出するために提供され、いくつかの好ましい実施形態は、z=0平面内で対称またはほぼ対称でよい四重極対数ポテンシャル分布を分析器内で有し、このタイプの分析器を多重反射デバイスとして使用できるようにし、従来技術設計よりも飛行経路長を増加させる。理想的な状況では、荷電粒子検出器は、好ましくは分析器内部で主飛行経路上に配置される。しかし、多くの今日の検出器は嵩張り、検出器の少なくともいくつかは、主飛行経路の外部(すなわち、主飛行経路よりも遠いまたは近い分析器軸からの距離で)に、さらには以下に説明する理由から電場定義電極システムの外部(すなわち分析器体積の外部)に配置する必要があることがあり、検出器への荷電粒子の出射は、好ましくは出射器、例えば出射電極を、デバイスの内部で最小軸方向(すなわちz方向)電場の平面の近くに、すなわちz=0平面の近くに位置させることによって実現され、そこでは、既に説明したように軸方向電場が最低であり、時間集束を乱す収差が最小限である。ここで、用語「z=0平面の近く」は、z=0平面上も含む。好ましくは、出射器、例えば出射器電極の少なくともいくつかが、内側と外側の電場定義電極システムの間に位置され、より好ましくは、すべての出射器が、内側と外側の電場定義電極システムの間に位置される。好ましくは、出射器の少なくともいくつか、特定の実施形態ではすべての出射器が、主飛行経路に、またはそこに隣接して位置され、より好ましくはz=0平面の近くに位置される。本明細書で使用するとき、用語「出射器」は、主飛行経路から、任意選択で分析器体積の外部に荷電粒子を出射するための任意の1つまたは複数の構成要素であり、例えば出射電極や偏向器などの1つまたは複数である。
好ましくは、検出器の少なくとも一部、より好ましくは検出器全体が、外側電場定義電極システムが取る分析器軸からの最大半径方向距離以内で、主飛行経路よりも分析器軸から離れた距離で、z=0平面の近くに位置される。より好ましくは、検出器の少なくとも一部、より好ましくは検出器全体が、外側電場定義電極システムが取る分析器軸からの最大半径方向距離以内で、しかし分析器軸からのベルト電極アセンブリの半径方向距離(これは主飛行経路よりも分析器軸から離れた半径方向距離にある)よりも外に、さらに好ましくはz=0平面の近くに位置される。ベルト電極アセンブリは、検出器に印加される電位から主飛行経路を遮蔽する助けとなることがある。検出器の少なくとも一部、より好ましくは検出器全体が、外側電場定義電極システムが取る分析器軸からの最大半径方向距離以内に位置される実施形態では、本明細書で説明するように、検出器の少なくとも一部、より好ましくは検出器全体を、分析器体積の外部に、好ましくは一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分の外側に隣接して位置させることができる。検出器の前に、好ましくは後段加速電極があり、荷電粒子のエネルギーを高め、それにより2次電子放出の効率を高める。
式(3)によって記述した電位分布を有するもの、特に四重極対数ポテンシャルを有するものなど、本発明のいくつかの実施形態の分析器の特徴は、分析器に導入され、平面z=a上に飛行時間集束される荷電粒子のパケットが、z軸に沿ったn回の振動後に時間焦点に来ることであり、z=a(−1)nである。イオンがz=0平面またはその近くで本発明の分析器に入射される場合、時間焦点もz=0またはその近くにあり、したがって、最良の時間焦点で検出器上にイオンを向けるためにこの平面の近くで出射を行うべきである。したがって、そのような実施形態では、任意の出射器、例えば出射器電極は、好ましくはz=0平面の近くに位置すべきである。
分析器体積内でz方向での放物型ポテンシャル分布(すなわち線形電磁場)を有する実施形態では、平面z=a(−1)nは、理想的な検出器位置を形成するだけでなく、理想的な検出面も形成する。なぜなら、これは、エネルギーのみに依存するz軸方向での調和運動だからである。しかし、高感度であり、好ましくは単一イオン計数検出機能を備える荷電粒子検出器は電場を利用する。さらに、いくつかの好ましい検出器は、変換ダイノードを使用して、検出プロセスの初期段階としてイオンを電子に変換する。当技術分野でよく知られているように、検出用のイオンビームは、典型的には、変換プロセスの効率を高めるためにこの変換段階の直前に高いエネルギーに加速される。これは高質量イオンの検出に特に重要である。これらの高エネルギーへの後段加速も、好ましくは電場を使用して達成される。後段加速および検出プロセスで使用されるそのような電場の存在は、遮蔽されていない分析器体積内部に検出器システムが配置された場合、分析器内部の例えば四重極対数の電位分布を著しく擾乱する。1つの好ましい実施形態では、検出器を分析器体積の外部に位置し、イオンを検出用の分析器体積の外に出射することが好ましい。そのような実施形態では、検出器は、外側電場定義電極システムの外側またはミラーの内側電場定義電極システムの内側に位置させることができ、より好ましくは外側電場定義電極システムの外側に位置させることができる。一実施形態では、本発明の解決策は、検出器用の後段加速電極、および検出器を、電場定義電極システムの内部ではなく外部に隣接して(すなわち、外側電場定義電極システムの外側、したがって分析器体積の外部に)位置させて、検出用の分析器体積の外にイオンを出射することである。別の実施形態では、後段加速電極および/または検出器からの電磁場侵入を減少させるために遮蔽を使用して、ミラー内部の電磁場を過度に歪ませないようにし、検出システムの少なくとも一部が分析器内部のイオンの主飛行経路からずらして位置される。検出器および/または後段加速電極は、好ましくは、それらの電磁場侵入、および主飛行経路に対する影響を低減するために、主飛行経路からずらして位置されて、より好ましくは分析器体積の外部に位置される。
この手法のさらなる利点は、後段加速電極および検出システムが有限サイズであることを考慮することで得られる。本発明の分析器を通過するビーム内のパケットの列は、分析器内部を通り、その主飛行経路中に妨げられることなく検出器に到達しなければならない。例えば、出射電極は、分析器を通る最後の通行でのみパケット列に作用し、より前の通行では列の各部を擾乱しないように分析器内部に組み込まれるように、より容易に設計することができる。これは、後段加速電極および検出器が主飛行経路上で分析器内に組み込まれた場合には、実現するのがより難しくなる。
しかし、理想的な検出面は分析器の内部にあるので、分析器体積の外部に検出器を位置させることは、分析器体積内部の電磁場擾乱を防止するという利点を有するものの、検出器があまりに遠くに位置された場合にはシステムの時間集束特性を悪化させる傾向があるという潜在的な問題を有する。同様の潜在的な問題は、荷電粒子を入射するときにある。なぜなら、イオンのパケットは、分析器を通る飛行経路を進行し始める際にできるだけ短くすべきであり、このために、分析器のできるだけ近くにパルス源を位置させる必要があるからである。分析器体積に入る前の飛行経路と分析器体積から出た後の飛行経路との組合せ(分析器体積の外部の飛行経路)は、理想的にはできるだけ短くすべきであり、またはより重要なことには、異なる質量電荷比の粒子の飛行時間の差ができるだけ小さくなるように、これらの経路を進む荷電粒子の飛行時間をできるだけ短くすべきである。また、分析器体積から粒子を出射する作用が、時間焦点面の角度、場合によってはその平坦性を変えることもあり、検出器を設計して位置決めするときにその効果を考慮しなければならない。
分析器の外部での飛行時間に伴う潜在的な問題を緩和するために、荷電粒子入射器、任意選択の後段加速電極、および検出器の1つまたは複数(好ましくはこれらすべて)を、分析器体積内部の主飛行経路が取る分析器軸からの半径方向距離のすぐ外側に位置させることができ、これらの構成要素の1つまたは複数(好ましくはすべて)が、分析器の外側電場定義電極システムが取る分析器軸からの最大半径方向距離以内にある。これは、入射器と主飛行経路の間、および主飛行経路と検出器の間の飛行経路を短縮させる。これは、さらに説明するように、ビームが分析器体積内に入射され、かつ分析器体積から出射される点の近傍で、一方のミラーまたは好ましくは両方のミラーの外側電場定義電極システムの一部分を狭窄し、入射器、任意選択の後段加速電極、および/または検出器を、外側電場定義電極システムのすぐ外側で(すなわち分析器体積の外部で)狭窄部分に隣接して位置させることによって実現される。次いで、ビームは、外側電場定義電極システムの狭窄部分のアパーチャを通して入射および/または出射される。一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分の存在は、分析器体積のすぐ外部の位置から主飛行経路までの距離を短縮し、入射器、後段加速電極、および/または検出器構成要素を、主飛行経路に非常に近接して位置決めできるようにし、好ましくは外側電場定義電極システムが取る分析器軸からの最大半径方向距離以内に位置決めできるようにする。また、本明細書で説明するように、円弧集束レンズを支持するためにベルト電極アセンブリを組み込むこともできる(これが好ましい)。したがって、好ましくは、荷電粒子入射器、後段加速電極、および検出器の1つまたは複数(好ましくはすべて)が、外側電場定義電極システムが取る分析器軸からの最大半径方向距離以内に、かつ飛行経路よりも分析器軸から離れた距離にあるベルト電極アセンブリが取る分析器軸からの距離の外に位置決めされる。さらに好ましくは、荷電粒子入射器、後段加速電極、および検出器の1つまたは複数(好ましくはすべて)が、|z|<<|zs|平面に位置決めされ、ここでzsは、z軸に沿ったイオンの変向点である。より好ましくは、荷電粒子入射器、後段加速電極、および検出器の1つまたは複数(好ましくはすべて)が、z=0平面またはその近くに位置決めされる。
固定構造および/または時間依存電磁場を出射のために使用することができる。例えば、偏向システムを内部に有することがある固定構造にビームが入ることができるようにすることによって、荷電粒子を主飛行経路から向ける(出射する)ことができる。一般に、この構造は、内部および/または外部出射軌道に沿って延在し、好ましくは、外側に電磁場維持電極を含み、内側に等電位面を含む。別の実施形態では、ビームは、後段加速電極(すなわち、出射器(例えば偏向器)が後段加速電極を備える)を使用して主飛行経路からずれるように加速され、例えばそれによりビームは、加速の直前に取っていた経路に対して実質的に接線方向の経路を辿る。さらなる実施形態では、非加速出射(例えば偏向)と加速の組合せを使用することもできる。すべてのこれらの場合において、次いで、ビームは、好ましくはz=0平面の近くに配置された、より好ましくはz=0平面上に配置された変換ダイノードに当たることができる。有利には、これらの構成において、主飛行経路から変換ダイノードへの飛行経路長は非常に短く、ビーム加速を利用するより好ましい実施形態では、この経路に沿った飛行時間は特に短く、時間焦点を改良する。あるいは、他の実施形態では、偏向および/または加速により、ビームは外側ビーム電極アセンブリのアパーチャを通過し(すなわち、飛行経路よりも分析器軸から離れた距離に位置されたベルト電極アセンブリ)、かつ一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムのさらなるアパーチャを通過し、外側電場定義電極システムの外側に検出システムが位置されており、検出システムは変換ダイノードおよび電子増倍管を備えることがある。これは、主飛行経路の領域内で空間があまり占有されないという利点があるが、主飛行経路と検出器システムの間の飛行経路がより長いという欠点もある。主飛行経路と検出器システムの間のこの飛行経路は、本明細書の他の箇所で説明するように、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分を使用することによって実質的に減少させることができる。
出射器(例えば偏向器)または後段加速電極が通電されない場合、ビームはもう一度、主飛行経路を辿り始めて、高い質量分解能を有する閉経路TOFを提供する。閉じた経路上でのパケットの列の重なり合いを防止するために、出射器(例えば偏向器)または後段加速電極は、質量範囲の一部分を分析器の外に出射するように、ある期間にわたって通電することができる。任意選択で、出射される部分は、第1の質量分解能で検出することができ、またはさらに処理することができ、一方、質量範囲の残りの部分は引き続き主飛行経路上にあり、後で、第2のより高い質量分解能で検出器に出射されるか、またはさらに処理される。あるいは、最初の出射部分を廃棄することもできる。必要に応じて、任意の数のそのような部分に、すなわち2つ以上の部分にビームを分割することができることを理解されたい。
さらなる出射構成では、荷電粒子は、はじめに、この文脈では第1の主飛行経路と呼ぶ主飛行経路から(例えば偏向器によって、または加速電極によって)出射(例えば偏向)され、それによりビームは、より大きなまたはより小さな分析器軸zからの半径距離での第2の主飛行経路に移動する。この第2の飛行経路は、好ましくはまた、分析器内部の安定な経路である。この第2の主飛行経路上のある点で、ビームは好ましくは検出器に当たり、または任意選択でさらなる出射器(例えば偏向器)、およびそれに続く検出器に当たり、これは後段加速電極を含むことがある。
第2の主飛行経路が安定である場合、ビームは、第2の主飛行経路上でもう一度分析器を渡って進むことがあり、それにより、合計の飛行経路を実質的に増加し、いくつかの実施形態では、分析器を通る飛行経路長を少なくとも倍増できるようにし、それにより、閉経路TOFに伴う質量範囲の損失なく、TOF分離の分解能を高める。例えば第2の主飛行経路上にビームを集束するために追加の円弧レンズを支持するために、1つまたは複数の追加のベルト電極アセンブリを提供することができる。追加のベルト電極アセンブリは、例えば機械的な構造を介して、第1の主飛行経路用に存在するベルト電極アセンブリを支持することがあり、またはそれによって支持されることがある。任意選択で、そのような追加のベルト電極アセンブリには、それらが分析器内の他の点での電磁場を歪めるのを防止する電場定義要素を設けることができる。そのような要素は、抵抗性コーティング、抵抗性分周器を備えるプリント回路板、および当技術分野で知られている他の手段でよい。任意選択で、望みであれば、例えば第2の主飛行経路から第3の主飛行経路に出射するなどして、第2の主飛行経路に加えて同じ原理を適用して第3以下の主飛行経路を提供することができる。任意選択で、第2の主飛行経路を渡って進んだ後、第1の主飛行経路に戻るようにビームを出射することができ、例えば閉経路TOFを始める。
荷電粒子を、主飛行経路上の点Eから内部出射軌道上に出射することができ、内部出射軌道は分析器体積の内部にある。
いくつかの実施形態では、主分析器場の影響がない状態でビームが内部出射軌道の少なくとも一部分を渡って進む。主分析器場は以下のことによってなくすことができる。(i)主分析器場から内部出射軌道を取り囲む体積を遮蔽し、遮蔽された体積の内部の電磁場を局所的に変えること、または(ii)イオンが内部出射軌道上にあるときに、主分析器場を発生するために印加されるのとは異なる組の1つまたは複数の電位を、1つまたは複数の内側および外側電場定義電極システムに印加する(いくつかまたはすべての電極にゼロ電位を印加することを含む)こと、または(i)と(ii)の両方の組合せ。そのような実施形態では、好ましくはすべての内部出射軌道が、主分析器場がない状態で提供される。
分析器内部に存在する他の電磁場、例えば1つまたは複数の円弧集束レンズによって生成される電磁場は、出射プロセス中に残っていてよく、またはオフにされることもある。
内部出射軌道に沿った主分析器場がないいくつかの実施形態では、荷電粒子は、主分析器場がない状態にされた内部出射軌道の部分に沿って実質的に直線状に移動できるようになり、そのような実施形態では、内部出射軌道は実質的に直線状であることが好ましい。いくつかの実施形態では、分析器内に存在する任意の残留電磁場により、出射軌道が直線経路から逸れることがある。残留電磁場は、1つまたは複数の円弧レンズ、追加のビーム偏向器、または他のイオン光学デバイスによって生成された電磁場、および主分析器場を生成するようには設定されていないミラー内側および外側電場定義電極システムに印加された電位による任意の電磁場を含むことがある。このタイプの1つの好ましい実施形態では、内部出射軌道は、外側ベルト電極アセンブリの存在によって主分析器場から完全に遮蔽され、ミラーの内側および外側電場定義電極システムに印加される電位の組は、好ましくは分析器内部の他の場所で主分析器場を生成するようなものであり、内部出射軌道は実質的に直線状である。このタイプの別の実施形態では、内部出射軌道は、内側ベルト電極アセンブリの存在によって主分析器場から完全に遮蔽され、ミラーの内側および外側電場定義電極システムに印加される電位の組は、好ましくは分析器内部の他の場所で主分析器場を生成するようなものであり、出射軌道は実質的に直線状である。このタイプのさらに別の実施形態では、出射軌道は、内側および外側ベルト電極アセンブリの存在によって主分析器場から完全に遮蔽され、ミラーの内側および外側電場定義電極システムに印加される電位の組は、好ましくは分析器内部の他の場所で主分析器場を生成するようなものであり、内部出射軌道は実質的に直線状である。
荷電粒子は、点Eまたはその近くで、例えば偏向器や加速器などの荷電粒子デバイスによって偏向および/または加速されることも、そうされないこともある。好ましい実施形態タイプでは、荷電粒子は、点Eまたはその近くで偏向され、任意選択で加速される。いくつかの実施形態では、荷電粒子は点Eに到達し、例えば主分析器電場がない状態になったときに、偏向または加速を必要とせずに、内部出射軌道上を進行し始めるような方向に進む。他の好ましい実施形態では、荷電粒子偏向器は、ビームが内部出射軌道を進行し始めるようにビーム方向を変えるために使用される。最も好ましくは、好ましいビーム光学特性およびコンパクトなサイズにより、ビームの各側に1つずつ1対の電気偏向プレート、または電気セクタが使用される。ビームは、好ましくは、主飛行経路から出射されるときに偏向器によって偏向され、より好ましくは、電気セクタによって偏向され、ここで、偏向器(好ましくはセクタ)の入口アパーチャは主飛行経路上にある。
ビームは、主飛行経路から出るときに偏向されても偏向されなくてもよいが、好ましくは偏向され、この偏向は、z方向、半径r方向、および円弧方向の1つまたは複数でよい。出射すべき荷電粒子の点Eまたはその近くでの偏向は、z軸方向での速度を変えて、その方向で速度を増加または減少するようなものでよい。z軸方向での速度の増加は、出射されない場合に荷電粒子が主飛行経路に入る、次のミラーに向かうz軸方向での速度の増加を意味する。z軸方向での速度の減少は、出射されない場合に荷電粒子が主飛行経路に入る、次のミラーに向かうz軸方向での速度の減少を意味する。いくつかの好ましい実施形態では、ビームは、好ましくは点Eで少なくともz方向で偏向される。いくつかの実施形態では、荷電粒子は、さらなる半径方向偏向なしで、内部出射軌道上を進行し始めるのに適切な半径方向速度で点Eに到達する。しかし、いくつかの好ましい実施形態では、荷電粒子が出射軌道を進行し始めるように、点Eまたはその近くで荷電粒子を半径方向rで偏向させることができる。ビームは、好ましくは、点Eで少なくとも半径方向rで偏向され、例えば内部出射軌道は、主飛行経路とは異なるz方向からの半径方向距離(半径)にある。いくつかのより好ましい実施形態では、ビームは、好ましくは、点Eで少なくとも半径方向rおよびz方向で偏向され、または少なくとも半径方向rおよび円弧方向で偏向される。点Eまたはその近くでの荷電粒子の偏向は、好ましくは、それらの円弧方向での速度を変えるようなものである。偏向器または加速電極は、荷電粒子のビームが到達した時点で通電され、次いでビームが内部出射軌道上に向けられた後に通電停止することができる。点Eは、主飛行経路上で分析器内部の任意の場所でよい。1つの好ましい実施形態では、点Eは、z=0平面またはその近くに位置する。別の好ましい実施形態では、点Eは、長手方向z軸に沿った飛行経路の最大軸方向限界またはその近くにある。
内部出射軌道は、ミラーの外側電場定義電極システムの一方または両方のアパーチャを通して、またはミラーの内側電場定義電極システムの一方または両方のアパーチャを通して分析器体積から出ることができる。出射軌道を辿る荷電粒子は、レシーバに入ることができる。本明細書で使用するとき、レシーバは、検出器の全体または一部を形成する任意の荷電粒子デバイス、または荷電粒子のさらなる処理のためのデバイスである。したがって、レシーバは、例えば、後段加速器、変換ダイノード、電子増倍管などの検出器、衝突セル、イオントラップ、質量フィルタ、イオンガイド、多重極デバイス、または荷電粒子ストアを備えることができる。レシーバは、分析器軸zからある距離に位置することができ、ミラーの外側電場定義電極システムの外側にある、またはミラーの内部電場定義電極システムの内側にある。ミラーの内側電場定義電極システムの内側にレシーバを位置させることで、よりコンパクトな機器となり、しかし整備時にレシーバに手が届きにくいという欠点がある。好ましくは、レシーバは、例えば荷電粒子のさらなる処理のためのデバイスである場合、ミラーの外側電場定義電極システムの外部に位置される。より好ましくは、レシーバは、例えば荷電粒子のための検出器のすべてまたは一部を形成するデバイスである場合、ミラーの外側電場定義電極システムの外側に位置されるが、好ましくは、ミラーの外側電場定義電極システムが取る分析器軸からの最大距離以内に(例えば狭窄部分の外側で隣接して)位置される。
いくつかの好ましい実施形態では、荷電粒子は、主飛行経路とは異なるz軸からの半径方向距離にある内部出射軌道上に主飛行経路から出射される。主飛行経路とは異なる半径方向距離にある内部出射軌道は、主飛行経路から半径方向外側または半径方向内側に延びることがあるが、好ましくは、主飛行経路から(例えば主飛行経路から外側電場定義電極に向かって)半径方向外側に延びる。
内部出射軌道は、実質的に直線状の少なくとも一部分を有することができ、例えば主分析器場がない状態でビームがこの直線部分を渡って進む。いくつかの実施形態では、内部出射軌道の少なくとも一部分、特に主飛行経路と異なるz軸からの半径方向距離にある内部出射軌道は、直線経路から逸脱することがあり、すなわち湾曲されていることがあり、例えば主分析器場の影響下でビームがこの湾曲部分を渡って進む。好ましくは、分析器場の影響下でビームが内部出射軌道の湾曲経路部分を渡って進み、この分析器場は、主分析器場でも、異なる分析器場でもよいが、分析器内部での安定な進行のために分析器軸から適切な距離にはない。
いくつかの好ましい実施形態では、主飛行経路とは異なるz軸からの半径方向距離にある内部出射軌道はz軸の周りで螺旋経路を辿り、この螺旋経路は、主飛行経路よりも分析器軸から離れた距離にある出射軌道にビームが出射される場合には、分析器軸からの半径方向距離が徐々に増加し、または、主飛行経路よりも分析器軸に近い半径方向距離にある出射軌道にビームが出射される場合には、分析器軸からの距離が徐々に減少する。螺旋経路は、内側および/または外側電場定義電極システムでの電圧を変えることによって生成することができる。内側および/または外側電場定義電極システムでの電圧が一定に保たれる場合、内部出射軌道は非円形経路を辿る。内部出射軌道の螺旋または非円形経路が、点Eで荷電粒子を主飛行経路から導く。出射時の螺旋または非円形経路は、一方のミラーでの変向点を通過することができる。
ビームの荷電粒子は、点Wで螺旋または非円形経路から出ることがある。内部出射軌道の螺旋または非円形経路は、例えば点Wで内部出射軌道の非螺旋または非円形部分につながることがあり、荷電粒子は、点Wまたはその近くにある荷電粒子デバイスによって偏向および/または加速されることがあり、またはそうされないこともある。いくつかの実施形態では、荷電粒子は点Wに到達して、偏向または加速を必要としないような方向に進む。他の好ましい実施形態では、荷電粒子偏向器が、点Wでビーム方向を変えるために使用される。最も好ましくは、好ましいビーム光学特性およびコンパクトなサイズにより、ビームまたはセクタの各側に1つずつ1対の電気偏向プレートが使用される。点Wまたはその近くでの荷電粒子の偏向は、それらのz軸方向での速度を変えて、その方向での速度を増加または減少するようなものでよい。いくつかの実施形態では、荷電粒子は、さらなる半径方向偏向なしで、それらの内部出射軌道の残部を進行し始めるのに適切な半径方向速度で点Wに到達する。しかし、いくつかの実施形態では、荷電粒子が内部出射軌道を進行し始めるように、点Wまたはその近くで荷電粒子を半径方向rで偏向させることができる。荷電粒子は、好ましくは、荷電粒子が内部出射軌道の残りの部分を進行し始めるように、点Wまたはその近くで円弧方向で偏向される。偏向器または加速電極は、荷電粒子のビームが点Wに到達した時点で通電され、次いでビームが内部出射軌道の残りの部分に出射された後に通電停止することができる。
点Wは、軌道上で分析器体積内部の任意の場所でよい。1つの好ましい実施形態では、点Wは、z=0平面またはその近くに位置する。別の好ましい実施形態では、点Wは、長手方向z軸に沿った飛行経路の最大軸方向限界またはその近くにある。
いくつかのタイプの好ましい実施形態では、粒子の運動エネルギーは、ビームが主飛行経路から出射される点で、すなわち点Eまたはその近くにあるときに変えられる。これは、例えば、主分析器場の影響下でビームが内部出射軌道を渡って進む場合に使用することができる。運動エネルギーがそのように変えられる実施形態では、荷電粒子は、出射分析器場の存在下で内部出射軌道を渡って進むことができ、この電磁場は、主分析器場と同じでも異なっていてもよい。
荷電粒子は、点Eまたはその近くで荷電粒子偏向器によって偏向されることも、そうされないこともある。1つの好ましい実施形態では、荷電粒子は点Eに到達し、運動エネルギーの変化を受けたときに、偏向を必要とせずに内部出射軌道上を進行し始めるような方向に進む。他の実施形態では、荷電粒子偏向器は、ビームが内部出射軌道を進行し始めるようにビーム方向を変えるために使用される。
好ましくは、荷電粒子が、主飛行経路上の点Eから出射され、主分析器場の存在下で内部出射軌道に沿って進み(すなわち、主分析器場の影響下で荷電粒子が内部出射軌道を渡って進み)、および/または主分析器場がオンのままである。この方法では、内部出射軌道が、好ましくは分析器のサイズに比べて非常に短くなる。一実施形態では、この出射方法は、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分を利用して、点Eから出た後の分析器内部の飛行経路(すなわち内部入射軌道)の長さを短縮することができる。好ましくは、荷電粒子は、狭窄部分のアパーチャを通して分析器体積から外に向けられる。いくつかの実施形態では、荷電粒子のレシーバ(例えば検出器)を分析器体積の外部に位置させることができ、分析器用の荷電粒子は、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分のアパーチャに通すことができ、好ましくは外側ベルト電極アセンブリに隣接して分析器から出る。その場合、ビームは、外側ベルト電極アセンブリのアパーチャを通って内部出射軌道に沿って進行し、点Eから主飛行経路上に短い距離を進む。一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分と外側ベルト電極アセンブリの間の距離は、分析器のサイズに比べて非常に短いことがあり、例えば、真空下で保たれるときに、1つまたは複数の外側電場定義電極システムと外側ベルト電極アセンブリとの電位差を維持するのにちょうど十分な長さである。したがって、好ましくは、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分の内側限界は、外側ベルト電極アセンブリの近位に位置する。また、外側ベルト電極アセンブリと主飛行経路の間の距離は、分析器のサイズに比べて非常に短いことがあり、例えば分析器のz軸長の数パーセント未満である。点Eまたはその近くで、ビームは、好ましくは内部出射軌道上を進行し始めるように偏向される。1つの好ましい実施形態では、前記偏向を行うための偏向器が、外側ベルト電極アセンブリと内側ベルト電極アセンブリの一方または両方に位置されるか、またはそれらの間に位置される。ビームは、ビームの半径方向外側への速度を増加させるように偏向される。好ましい偏向器は、本明細書の他の箇所で説明する。
荷電粒子ビームは、ミラーの外側電場定義電極システムの一方または両方のアパーチャを通して、またはミラーの内側電場定義電極システムの一方または両方のアパーチャを通して分析器体積から出ることができる。荷電粒子のレシーバ(例えば検出器)は、好ましくは、実質的に分析器体積の外部に位置される。したがって、レシーバは、ミラーの外側電場定義電極システムの外側、またはミラーの内側電場定義電極システムの内側に位置させることができる。いくつかの実施形態では、荷電粒子は、内側または外側ベルト電極アセンブリのアパーチャを通過することによって点Eから出る。好ましくは、レシーバは、ミラーの外側電場定義電極システムの外側に位置される。より好ましくは、さらに説明するように、レシーバの少なくとも一部分は、外側電場定義電極システムの外側に位置されるが、ミラーの外側電場定義電極システムが取る分析器軸からの最大半径方向限界以内に位置され、これは、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分の外側に隣接して位置させることによって行われる。
別の実施形態では、レシーバは、一方または両方のミラーの内側電場定義電極システムの内側で、分析器のz軸上に位置されるか、またはz軸に隣接する。その実施形態では、荷電粒子は、一方または両方のミラーの内側電場定義電極システムのアパーチャを通して出射されて、好ましくは内側ベルト電極アセンブリに隣接して分析器から出る。ビームは、内側ベルト電極アセンブリのアパーチャを通って出射軌道に沿って進行し、点Eから主飛行経路上に向けて短い距離を進む。一方または両方のミラーの内側電場定義電極システムと内側ベルト電極アセンブリの間の距離は、分析器のサイズに比べて非常に短いことがあり、例えば、真空下で保たれるときに、1つまたは複数の内側電場定義電極システムと内側ベルト電極アセンブリの間の電位差を維持するのにちょうど十分な長さである。また、内側ベルト電極アセンブリと主飛行経路の間の距離は、分析器のサイズに比べて非常に短いことがあり、例えば分析器のz軸長の数パーセント未満である。点Eまたはその近くで、ビームは、好ましくは内部出射軌道上を進行し始めるように偏向される。1つの好ましい実施形態では、前記偏向を行うための偏向器が、外側ベルト電極アセンブリと内側ベルト電極アセンブリの一方または両方に位置される。ビームは、ビームの半径方向内側への速度を増加させるように偏向される。
主分析器場の存在下で内部出射軌道に沿ってビームを出射することは、主分析器場を生成する電位のスイッチングが出射時に必要ないという利点を有する。荷電粒子は、主分析器場の存在下で点Eから主飛行経路上に(分析器のサイズに比べて)短い出射軌道を辿ることができ、内部出射軌道が短いので、荷電粒子は主分析器場の作用下で実質的なずれを受けない。例えば、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分によって、および/またはベルト電極アセンブリの存在によって、比較的短い出射軌道が可能にされる。ベルト電極アセンブリは、点Eの領域内で主分析器場を維持し、一方または両方のミラーの外側および/または内側電場定義電極システムが点Eの近傍で主飛行経路に非常に近付くことができるようにし、内部出射軌道の長さを短縮させる。
電子増倍管およびマイクロチャネルプレートを含めた様々なタイプの検出器を使用することができる。好ましくは、検出器は、単一のイオンを検出することができる。好ましくは、検出器は、最大1000以上のイオン/質量ピーク/入射での単一イオンの検出を含む動的範囲を有する。好ましくは、検出器は、さらなる増幅のためにイオンを電子に変換するための変換ダイノードを含む。最も好ましくは、検出器は、浮動または光結合収集器を有するマイクロチャネルプレートアセンブリまたは2次電子増倍管を備える。マルチチャネル検出システムを使用することもできる。本明細書で使用するとき、用語「検出器」、「検出システム」、または「検出器システム」は、入射する荷電粒子ビームから測定可能な信号を生成するのに必要なすべての構成要素を表し、例えば変換ダイノードおよび電子多重手段を備えることがある。入射する荷電粒子ビームによって検出器から生成される信号は、好ましくは、分析器を通る粒子の飛行時間を測定するために使用される。追加の検出器は、主飛行経路の特定の点で診断目的で使用することもできる。例えば、強いイオンパケットの動力学を非破壊で監視するためにイメージ電流検出を使用することができる。電荷増幅器を使用して、直接測定によって、またはイオンによって生成される2次電子を測定することによって、イオン損失を診断することができる。
既に説明したように、本発明によれば、荷電粒子は、出射または検出前に分析器軸zの周りで同じ回数の周回を経る。荷電粒子は、分析器の主飛行経路に沿って進むとき、それらの飛行時間に従って分離され、分析器軸z周りの同じ回数の周回を経た後、検出のために出射される。いくつかの実施形態では、それらは分析器体積の内部で検出される。あるいは、好ましい実施形態では、分析器体積の外部で、より好ましくは、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムが取る分析器の軸からの最大半径方向距離以内で(例えば、一方または両方のミラーの外側電場定義電極システムの狭窄部分の外側で隣接して)検出される。
時間的焦点面である検出の焦点面は、z=0平面に平衡でよく、またはz=0平面に対して傾けることができる。焦点面は、湾曲していても平坦でもよい。1つの好ましい実施形態では、時間的焦点面は実質的に平坦である。好ましくは、検出前に荷電粒子ビームの運動エネルギーを増加するために後段加速が使用される。そのような後段加速の使用は、時間的焦点面の角度を変え、z=0平面に対する傾きを導入または修正することができる。
上述したように、いくつかの実施形態では、荷電粒子は分析器体積の内部で検出される。本発明のさらなる態様によれば、荷電粒子のビームを監視する方法であって、
2つの対向するミラーを備える分析器を提供するステップであって、各ミラーが、軸に沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、各システムが、1つまたは複数の電極を備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定するステップと、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器内部で主飛行経路に沿って、内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りを周回し、または電極間で振動し、一方のミラーから他方のミラーに反射するステップと、
分析器体積内部の検出器に衝突するように、荷電粒子のビームの少なくとも一部を偏向させて主飛行経路からずらすステップと
を含む方法が提供される。
本発明の別の態様によれば、
2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器であって、各ミラーが、軸に沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、各システムが1つまたは複数の電極を備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、それにより、使用時、分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器体積内部で内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りを周回し、または電極間で振動するとともに一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射し、さらに、使用時、分析器体積内部に位置された検出器に衝突するように、荷電粒子のビームの少なくとも一部を偏向させて主飛行経路からずらすように構成された偏向器を備える荷電粒子分析器が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、
2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器であって、各ミラーが、軸に沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、各システムが1つまたは複数の電極を備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、荷電粒子分析器がさらに、分析器体積の内部に位置された偏向器、および分析器体積の内部に位置された検出器とを備える荷電粒子分析器が提供される。
いくつかの実施形態では、偏向器が、検出器の少なくとも一部を備えることもでき、例えば偏向器は、検出のプロセス中にイオンが衝突する電極面を備えることができる。
パルスイオン源に関連する時間的焦点面および/またはレシーバに関連する時間的焦点面が分析器体積の外部に位置する実施形態では、レシーバと関連付けられた時間的焦点面上で時間的集束が正確に実現されるように、時間的焦点面と分析器体積の距離を補償することが必要となることがある。1つの補償方法は、各振動で時間的焦点面を分析器内部で徐々に変位させる効果を有する、分析器の対向するミラー間の距離をシフトするステップを含む。時間的焦点面の正味のシフトにより、レシーバに関連する時間的焦点面上に荷電粒子が集束するように、ミラーの変位を設定することができる。あるいは、またはさらに、1つのさらなる方法は、分析器を通る飛行経路の一部分中に荷電粒子を加速するステップを含む。有利には、これは、ベルト電極アセンブリ間を荷電粒子が通過するときに、z=0平面の近くの領域内で実現することができる。ベルト電極アセンブリは、適切にバイアスすることができ、それにより荷電粒子がそれらのz方向での速度を変え、加速または減速し、これによりまた、ベルト領域を通る各通行で、分析器内部での時間的焦点面の位置のシフトが生じる。
入射されるイオンパケットの位相空間を制限することによって、本明細書で説明する本発明の分析器によって、より高い質量分解能を実現することができる。これは、簡便には、ビームの中央部分のみを伝送できるようにする質量分析器にアパーチャを導入することによって実現することができ、またはビームの外側部分を拡張するために非集束レンズを利用することによって実現することができ、それによりビームは既存のビーム制限器に衝突し、これは分析器構造の任意の部分でよい。1つまたは複数の円弧レンズを非集束レンズとして使用することができる。前者の場合、アパーチャが存在するときは常に伝送損失が生じる。後者の場合、質量分解能および関連の伝送をスペクトルごとに調整可能および切換え可能である。
伝送されるビームをこのように分析器内部で制限することにより、トリミングされたビームの部分は、余剰のエネルギー幅、高い角度発散、または最適でない初期源位置のどれが原因であるかにかかわらず、質量分解能を劣化させる部分となる。
本発明の分析器は、任意選択でイオン発生手段から本発明の分析器にイオンを伝送するための1つまたは複数のイオン光学構成要素を介して、イオンを発生するためのイオン発生手段に結合することができる。イオンを伝送するための典型的なイオン光学構成要素は、レンズと、レンズガイドと、質量フィルタと、イオントラップと、任意の既知のタイプの質量分析器と、他の同様の構成要素とを含む。イオン発生手段は、EI、CI、ESI、MALDIなど任意の既知の手段を含むことができる。イオン光学構成要素は、イオンガイドなどを含むことができる。本発明の分析器およびそれを備える質量分光計は、荷電粒子を質量分析するための独立型機器として、または例えばタンデムMSまたはMSn分光計において1つまたは複数の他の質量分析器との組合せとして使用することができる。本発明の分析器は、衝突セル、質量フィルタ、イオン移動度または差分イオン移動度分光計、任意の種類の質量分析器など、質量分光計の他の構成要素と結合させることができる。例えば、イオン発生手段からのイオンは、質量フィルタ処理され(例えば四重極質量フィルタ)、イオンガイドによって案内され(例えばフラタポール(flatapole)などの多重極ガイド)、イオントラップに貯蔵される(例えば湾曲線形トラップまたはC−Trap)ことがあり、この貯蔵は、任意選択で衝突または反応セルでの処理後でよく、最後に、イオントラップから本発明の分析器内に入射されることがある。多くの異なる構成の構成要素を本発明の分析器と組み合わせることができることを理解されたい。本発明は、単独で、または他の質量分析器と共に、例えば液体またはガスクロマトグラフ(LCもしくはGC)またはイオン移動度分光計など1つまたは複数の別の分析または分離機器と結合させることができる。
本発明のさらなる態様によれば、2つの対向するミラーを備える飛行時間質量分析器飛行時間質量分析器であって、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、各内側電場定義電極システムが、複数のスピンドル状の電極を備え、外側システムが内側システムを取り囲んで、それらの間に分析器体積を画定する飛行時間質量分析器が提供される。
さらに、本発明のこの態様に対して、今述べた飛行時間質量分析器であって、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿った分析器体積の長さの少なくとも一部分に沿って実質的に線形の対向する電場を生成する飛行時間質量分析器が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、荷電粒子を分離する方法であって、
2つの対向するミラーを備える分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、各システムが1つまたは複数の電極を備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、電場のz軸に沿った絶対強度が平面z=0で最小であり、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器体積内部で、内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りを周回し、またはそれらの間で振動し、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射し、それによりミラー内部に最大変向点を定義するステップを含み、最大変向点での電場のz軸に沿った強度が|X|であり、電場のz軸に沿った絶対強度が、平面z=0と各ミラーでの最大変向点の間でz軸に沿った方向の2/3以下にわたって|X|/2未満であり、方法がさらに、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと、
複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを分析器から出射する、または複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを検出するステップとを含み、出射または検出するステップが、粒子が内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りでの周回またはそれらの間での振動を同じ回数だけ受けた後に行われる方法が提供される。
本発明の別の態様によれば、
2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器であって、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、各システムが1つまたは複数の電極を備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、使用時、分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器体積内部で内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りを周回する、またはそれらの間で振動するとともに一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射し、それによりミラー内部に最大変向点を定義し、電極システムが電気的にバイアスをかけられるとき、ミラーが、z軸に沿った対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、電場のz軸に沿った絶対強度が平面z=0で最小であり、最大変向点での電場のz軸に沿った強度がXであり、電場のz軸に沿った絶対強度が、平面z=0と各ミラーでの最大変向点の間でz軸に沿った距離の2/3以下にわたって|x|/2未満であり、荷電粒子分析器がさらに、
出射器、または検出器の少なくとも一部を備え、出射器、または検出器の少なくとも一部が、分析器体積内部に位置されて、それぞれビームからの少なくともいくつかの荷電粒子を分析器体積から出射し、または分析器体積内部で検出し、上記少なくともいくつかの粒子が複数のm/zを有し、出射または検出が、少なくともいくつかの粒子が内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りでの周回またはそれらの間での振動を同じ回数だけ受けた後に行われる荷電粒子分析器が提供される。
別の独立態様では、本発明は、荷電粒子を分離する方法であって、
2つの対向するミラーを備える分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、各システムが1つまたは複数の電極を備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿った分析器体積の長さの少なくとも一部分に沿って実質的に線形の対向する電場を備える電場を分析器体積内に生成し、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともに、分析器体積内部で、内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りを周回する、またはそれらの間で振動するステップと、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと、
複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを分析器から出射する、または複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを検出するステップとを含み、出射または検出するステップが、粒子が内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りでの周回またはそれらの間での振動を同じ回数だけ受けた後に行われる方法を提供する。
本発明は、別の独立態様では、
2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器であって、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、各システムが1つまたは複数の電極を備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスをかけられるとき、ミラーが、z軸に沿った分析器体積の長さの少なくとも一部分に沿って実質的に線形の対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、使用時、分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともに、分析器体積内部で、内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りを周回する、またはそれらの間で振動し、荷電粒子分析器がさらに、
出射器、または検出器の少なくとも一部を備え、出射器、または検出器の少なくとも一部が、分析器体積内部に位置されて、それぞれビームからの少なくともいくつかの荷電粒子を分析器体積から出射し、または分析器体積内部で検出し、上記少なくともいくつかの粒子が複数のm/zを有し、出射または検出が、少なくともいくつかの粒子が内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りでの周回またはそれらの間での振動を同じ回数だけ受けた後に行われる荷電粒子分析器を提供する。
別の独立態様では、本発明は、1つまたは複数の内側電場定義電極システムを備える分析器を使用して荷電粒子を分離する方法であって、各システムが1つまたは複数の電極を備え、方法が、
荷電粒子のビームを分析器を通して飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器内部で分析器の長手方向(z)軸の方向で少なくとも1回の全振動を受けるとともに、内側電場定義電極システムの1つまたは複数の周りを周回する、またはそれらの間で振動するステップを含み、
荷電粒子が、振動の全時間の半分未満、z軸に沿って実質的に一定の速度で飛行し、方法がさらに、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと、
複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを分析器から出射する、または複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを検出するステップとを含み、出射または検出するステップが、粒子が内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りでの周回またはそれらの間での振動を同じ回数だけ受けた後に行われる方法を提供する。
本発明は、別の独立態様では、
2つの対向するミラーを備える荷電粒子分析器であって、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、各システムが1つまたは複数の電極を備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスをかけられるとき、ミラーが、z軸に沿った対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、使用時、分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器体積内部で、内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りを周回する、またはそれらの間で振動するとともに分析器のz軸の方向でミラー間で少なくとも1回の全振動を受け、荷電粒子が、振動の全時間の半分未満、z軸に沿って一定の速度で飛行し、荷電粒子分析器がさらに、
出射器、または検出器の少なくとも一部を備え、出射器、または検出器の少なくとも一部が、分析器体積内部に位置されて、それぞれビームからの少なくともいくつかの荷電粒子を分析器体積から出射し、または分析器体積内部で検出し、上記少なくともいくつかの粒子が複数のm/zを有し、出射または検出が、少なくともいくつかの粒子が内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りでの周回またはそれらの間での振動を同じ回数だけ受けた後に行われる荷電粒子分析器を提供する。
別の独立態様では、本発明は、荷電粒子の飛行時間分析の方法であって、
2つの対向するミラーを備える分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、各システムが1つまたは複数の電極を備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿った分析器体積の長さの少なくとも一部分に沿って実質的に線形の対向する電場を生成し、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射するとともに、内側と外側の電極システムの間で、内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りを周回する、またはそれらの間で振動するステップと、
粒子が内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りでの周回またはそれらの間の振動を同じ回数だけ受けた後に、荷電粒子の飛行時間を測定するステップとを含む方法を提供する。
また、別の独立態様では、本発明は、荷電粒子のビームから、選択された荷電粒子を分離する方法であって、
2つの対向するミラーを備える分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、各システムが1つまたは複数の電極を備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、電場のz軸に沿った強度が平面z=0で最小であり、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器体積内部で、内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りを周回し、またはそれらの間で振動し、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射し、それによりミラー内部に最大変向点を定義するステップを含み、最大変向点での電場のz軸に沿った強度がXであり、電場のz軸に沿った絶対強度が、平面z=0と各ミラーでの最大変向点の間でz軸に沿った方向の2/3以下にわたって|X|/2未満であり、荷電粒子のビームが、1つまたは複数のm/zの選択された荷電粒子、およびさらなる荷電粒子を含み、方法がさらに、
さらなる粒子が、内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りでの周回またはそれらの間での振動を同じ回数だけ受けた後に、分析器からさらなる荷電粒子を出射することによって、選択された荷電粒子を分析器体積内で隔離するステップを含む方法を提供する。
本発明の追加の実施形態は、2つの対向するミラーを利用し、2つの対向する外側電場定義電極システムと2つの対向する内部電場定義電極システムとを備える電極構造に電位を印加することによって、分析器体積内部で分析器場が発生され、内側電場定義電極システムが、外側電場定義電極システムの内部に延在する複数のスピンドル状の電極構造を備える。複数のスピンドル状構造それぞれが、実質的にz軸に平行に延在する。前述した実施形態と同様に、z方向での電磁場は実質的に線形であり、z方向での主飛行経路に沿ったイオン運動は実質的に単調和運動である。z方向に直交するイオン運動は様々な形態を取ることができる。すなわち、1つまたは複数の内側電場定義電極スピンドル構造の周りを周回する形態と、1対または複数対の内側電場定義電極スピンドル構造の間で振動する形態である。用語「周りを周回する」は、複数の内側電場定義電極スピンドル構造それぞれの周りで連続的に1回または複数回、周回するステップを含み、これはまた、各周回において複数の内側電場定義電極スピンドル構造の周りを周回することを含み、すなわち各周回が、複数の内側電場定義電極スピンドル構造を取り囲むものである。用語「間で振動する」は、(z軸に実質的に平行な方向で実質的に調和運動を行う一方で)z軸に垂直な平面内での実質的に線形の運動を含み、また、そのような実質的に線形の運動がz軸の周りで回転し、さらに説明する星形ビームエンベロープを生成するような運動も含む。また、用語「間で振動する」は、イオンが2つの内側電場定義電極スピンドル構造それぞれからほぼ同じ距離にあるような運動も含む。
上述の実施形態は、下記の一般的な式に対する特定の解決策である。
ここで、kは、イオン電荷と同じ符号を有し(例えばkは正イオンに関して正)、
である。具体的には、解は、
を含む。ここで、
であり、ここでA
i、B、C、D、E、F、G、Hは実数定数であり、各f
i(x,y)が以下の式を満足する。
特定の解は、
であり、ここで、bは定数である(C.Koester, Int. J. Mass Spectrom Volume 287, Issues 1−3, pages 114−118 (2009))。
特定の解(6d)を有する式(6a〜c)は、2つの対向するミラーによって満足され、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、各システムが1つまたは複数の電極を備え、外側システムが内側システムを取り囲む。内側電場定義電極システムは、それぞれ1つまたは複数の構成要素を備える。1つまたは複数の電極が、z軸に実質的に平行に延在するスピンドル状構造を含む。各スピンドル状構造自体が1つまたは複数の電極を備える。スピンドル状構造の1つがz軸上にあることがある。さらに、またはあるいは、2つ以上のスピンドル状構造を、z軸からずらし、典型的にはz軸に対して対称に配設することができる。
円弧集束は、上述したように達成することができる。あるいは、複数の内側スピンドル状構造が存在するいくつかの実施形態に関して、円弧集束を誘発するための追加の構造は必要ないことがある。この効果を提供する実施形態は、式(6a〜c)においてfi(x,y)のN個の項が存在し、bがbiであり、0と1の間の様々な値を取る場合を含み、ただ1つの外側電場定義電極システム内部に、内側電場定義電極システムとして2N個のスピンドル状構造を提供する。したがって、内側電場定義電極システムの2つの電極間、すなわちスピンドル状構造の2つの電極間で振動し、z軸を通り、またはz軸に近接して通り、さらなる2つのスピンドル状構造の間に到達するように向けられた荷電粒子は、小さな角度オフセットを有して到達することができる。角度オフセットは、徐々にさらなる振動を加え、(z軸に垂直な運動の)振動の平面をz軸の周りでシフトさせ、星形ビームエンベロープを生成する。同時に、この運動形態は、円弧方向でビームが拡大するのを防止する。
2つの対応するミラーは、上述したように非対称にすることができる。荷電粒子の入射、出射、および検出は、上述した方法を含むことができる。
本発明のいくつかの実施形態は、荷電粒子がTOF分析器を通ってコヒーレントに輸送されるというさらなる利点からの利益を得て、TOFイメージングを行うことができるようにし、または異なる開始位置からの複数のビームを備える荷電粒子のビームを分析器を通して送ることができるようにし、それら複数のビームは、時間的に重なり合うが、異なる経路に従って、検出器平面での異なる位置に到達し、それにより分析器のスループットを高める。検出器平面は、平坦でも湾曲していてもよい。検出器システムは、荷電粒子を撮像するため、または荷電粒子の異なる複数のビームが到着する位置で検出機能を提供するために採用することができる。どちらの場合にも、検出システムは、異なる位置から始まった荷電粒子を見分ける。この特性は、MALDI源に関しては即時に適用されるものであるが、それに限定されない。
集束が一平面のみで行われるほとんどの従来技術TOF分析器のものとは対照的に、主飛行経路に垂直な両面で集束が行われる。本発明の分析器では、既に説明した手段によって、両平面内での集束が、円弧集束と共に電磁場の固有の半径方向集束特性によって生成される。このようにして動作するときのさらなる利点は、本発明の分析器にグリッドがないことである。
本発明のさらなる態様によれば、荷電粒子を分離する方法であって、
2つの対向するミラーを備える分析器を提供するステップを含み、各ミラーが、軸zに沿って細長い内側および外側電場定義電極システムを備え、各システムが1つまたは複数の電極を備え、外側システムが内側システムを取り囲み、それらの間に分析器体積を画定し、電極システムが電気的にバイアスされたときに、ミラーが、z軸に沿って対向する電場を備える電場を分析器体積内部に生成し、電場のz軸に沿った絶対強度が平面z=0で最小であり、方法がさらに、
分析器を通して荷電粒子のビームを飛行させ、荷電粒子のビームが、分析器体積内部で、内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りを周回し、またはそれらの間で振動し、一方のミラーから他方のミラーに少なくとも1回反射し、それによりミラー内部に最大変向点を定義するステップを含み、最大変向点での電場のz軸に沿った強度が|X|であり、電場のz軸に沿った絶対強度が、平面z=0と各ミラーでの最大変向点の間でz軸に沿った方向の2/3以下にわたって|X|/2未満であり、方法がさらに、
荷電粒子の飛行時間に従って荷電粒子を分離するステップと、
複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを分析器から出射する、または複数のm/zを有する荷電粒子の少なくともいくつかを検出するステップとを含み、出射または検出するステップが、粒子が内側電場定義電極システムの1つまたは複数の電極の周りでの周回またはそれらの間での振動を同じ回数だけ受けた後に行われ、
荷電粒子のビームが、異なる開始位置から出た荷電粒子を備え、位置検出システムが荷電粒子の少なくともいくつかを受け取り、異なる位置から始まった荷電粒子を見分ける方法が提供される。
本発明のさらなる独立態様では、近くの荷電物体の存在により、質量分析器の空間の第1の体積内部の静電場の歪を抑える方法であって、荷電物体が、質量分析器内部の空間の第2の体積内部の静電場を歪め、
a)質量分析器内部に位置された1つまたは複数の表面によって空間の第2の体積を実質的に取り囲むステップであって、前記表面の少なくとも1つが、第2の空間体積と第1の空間体積の間に配設されるステップと、
b)1つまたは複数の表面上に複数の電気トラックを提供するステップであって、トラックが、1つまたは複数の表面、トラック、および荷電物体がない状態で、静電場によって生成される等電位線に実質的に従うステップと、
c)等電位線の電位に実質的に等しい電位をトラックに印加するステップと
を含む。
上述した印加された電位を有する表面およびトラックがない状態では、第2の空間体積内部の静電場の歪が第1の空間体積内に延在し、望ましくないことに、第1の空間体積内部の分析器内部の静電場を歪ませる。
いくつかの実施形態では、荷電物体は、質量分析器の内部に位置される。いくつかの実施形態では、第2の空間体積は、質量分析器の境界に当接する。好ましくは、静電場は、分析器内部の四重極対数ポテンシャル分布によるものである。好ましくは、質量分析器は、TOF質量分析器または静電トラップである。より好ましくは、質量分析器は、対向する静電ミラーを備える。1つまたは複数の表面は実質的に平坦でよい。別法として、1つまたは複数の表面は、湾曲されていても、または折り返されていてもよく、あるいはその組合せでもよい。好ましくは、1つまたは複数の表面が、2つ以上の直交面にわたって延在する。好ましくは、1つまたは複数の表面が、4つ以上の表面を備える。好ましくは、1つまたは複数の表面が、第1の空間体積に面する。1つまたは複数の表面は、荷電粒子またはガスを通して伝送させることができるように1つまたは複数のアパーチャを含むことができる。1つまたは複数の表面は、絶縁性または半導電性でよい。電気トラックは、表面の局所領域に塗布された金属化堆積物から形成することができる。好ましくは、電気トラックの少なくともいくつかの間の表面が、抵抗性コーティングによって覆われる。好ましくは、荷電物体は、イオン光学デバイスを備える。より好ましくは、荷電物体は、検出器または荷電粒子源を備える。
本発明をより完全に理解できるように、次に本発明の様々な実施形態を単に例として、図面を参照して説明する。説明する実施形態は、本発明の範囲を限定するものではない。