JP2012528152A - バークホルデリア汚染菌株によって産生される独特の抗真菌糖ペプチドのオシジオファンジン - Google Patents

バークホルデリア汚染菌株によって産生される独特の抗真菌糖ペプチドのオシジオファンジン Download PDF

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Abstract

【解決手段】 本発明は、バークホルデリア汚染菌株によって生成され、動植物および当該化合物を生成する細菌菌株の真菌感染または疾患を予防または治療するために有用な、新規抗真菌性糖ペプチド化合物およびその塩に関する。
【選択図】 図1

Description

関連出願書類の相互参照
本出願書類は、2009年5月26日付で出願された米国暫定特許出願第61/217,026の優先権を請求するものである。この暫定特許出願の全体は、この参照により本明細書に組み込まれる。
政府支援に関する記載
本発明は、米農務省(USDA)の共同研究教育普及局(Cooperative State Research, Education, and Extension Service)から授与された0204332の政府支援により行われた。米国政府は本発明に特定の権利を有する。
発明の分野
本発明は、真菌感染および疾患の予防または治療における、抗真菌化合物およびその治療上の利用の分野に関する。本発明は、動植物に対する薬学および農学的殺真菌薬としての新規抗真菌化合物の利用に関する。本発明はさらに、新規抗真菌化合物を産生する細菌菌株に関する。
本発明では、真菌感染を予防または治療するための新規抗真菌糖ペプチド化合物と、それに関連する少なくとも1つのアミノ酸残基を提供する。また本発明の好ましい実施形態では、真菌感染を治療または予防するための新規化合物とその塩から成る、薬学および農学的組成を提供する。本発明のさらなる実施形態では、前記新規抗真菌化合物を産生する新しい細菌菌株を提供する。
現在の抗真菌薬に耐性を示す病原体の有病率が高くなっていることを考えると、新しい抗真菌薬に対する需要は高まっている。現在存在する主な抗真菌薬の治療グループは4種類あり、ポリエン系抗真菌薬、アゾール系抗真菌薬、アリルアミン系抗真菌薬、エチノカンジンである。最初の3グループは主にエルゴステロール産生を標的とするか、エルゴステロールに結合し、真菌膜を崩壊させる。哺乳類細胞にみられるコレステロールに酷似したエルゴステロールは、適切な細胞の透過性および流動性を維持するために重要である。第4グループのエチノカンジンは、偽巣性コウジ菌が産生する天然化合物のエチノカンジンBに由来する、合成修飾されたリポペプチドである。真菌では、共有結合的に架橋された2つの多糖類(1,3)−β−グルカンおよびキチンは、構造的完全性に関与し、細胞壁を形作る主要骨格を形成する。抗真菌薬のエチノカンジン類は、ウリジンジフォスファターゼグルコースを(1,3)−β−グルカン重合体に重合する酵素複合体、(1,3)−β−グルカン合成酵素を阻害する。
バークホルデリアの一部菌株の特筆すべき特徴は、様々な抗真菌化合物を産生することであり、このことから、前記菌は真菌性疾患の管理に有用となる可能性がある。しかし、バークホルデリア属を嚢胞性線維症患者から単離すると、この菌は日和見病原体に再分類され、その結果、真菌疾患の管理にバークホルデリア属を直接利用することができない。バークホルデリア菌株に観察された植物病害の抑制作用に関与する抗真菌薬の単離と同定は、直接細菌を利用することにより考えられる健康リスクを排除しながら、生物学的殺真菌薬を開発するために重要な方法を提供する。免疫不全患者では真菌感染が重要であり、活性および毒性スペクトルが現在利用できる抗真菌薬は限られているため、新規の抗真菌薬が必要である。さらに、新しい抗真菌薬は、食品保存と十分で手頃な食料補給品の生産においても、極めて重要である。本開示では、真菌キラーを意味するオシジオファンジン(occidiofungin)と名付けた、新規抗真菌化合物の構造と活性を特徴付ける。前記抗真菌薬の全共有構造は、TOCSY、NOESY、ROESY、およびHSQC 2D NMRスペクトロスコピー実験によって解明された。様々な動物および真菌病原体に対して、オシジオファンジンの抗真菌活性が検討、証明されている。さらに、致死量以下の濃度でオシジオファンジンを処理後、抗真菌薬のエチオカンジン類で報告されたものと同様の異常な膜形態が観察され、オシジオファンジンが細胞エンベロープも標的としていることが示唆された。この研究は、化合物の作用様式を理解し、またオシジオファンジンの薬学的、農学的可能性を調査することを目的とした今後の実験の実質的な基礎を提供している。
結果として、殺真菌薬の分野では、典型的な抗真菌薬に耐性を示す動植物病原体に対して有効な、新しい抗真菌化合物への需要がある。本発明では、そのような化合物および組成を提供する。
本発明は、オシジオファンジンという名の新規抗真菌環状糖ペプチド化合物、これに結合する新規アミノ酸、そのような化合物を含む組成を提供する。本発明品は、ヒト、動物、植物に作用する広範な真菌病原体に対して有効である。さらに、本発明品は正常な真菌の膜形態を崩壊させる。また本発明では、新しい前記抗真菌化合物を産生する新規細菌菌株も提供する。
本発明品は、細菌菌株バークホルデリア汚染菌から精製され、8個のアミノ酸残基を含む。1つのアミノ酸には、アシル基とキシロース糖が結合されている。抗真菌組成は、前記新規化合物とその塩、および被験者に投与するための少なくとも1つの許容される基材または賦形剤を有する。真菌感染または疾患を治療する方法は、一時の間、前記感染を排除または改善するために有効な条件下、被験者に前記化合物および組成を投与する段階を有する。
以下に明らかとなる、前述およびその他の本発明の目的、特徴、および利点と共に、本発明の性質は、本発明の好適な実施形態および添付の請求項に関する以下の詳細な説明を参照することで、より明確に理解することができる。
以下の図には本発明の詳細な説明が加えられ、本発明とその利点についてさらに説明することを意図している。当該図は、本明細書の一部に、またそこから組み込まれ、本発明の一定の好適な実施形態を説明し、明細書全体と合わせ、本発明の好適な実施形態を当業者に説明する意味を持つ。
図1は、オシジオファンジンの共有構造の説明である。図Aには、オシジオファンジンAおよびBの代表的な構造を示している。図Bには、新規アミノ酸NAA2の代表的な構造を示している。化学シフト値(ppm)は、それぞれの原子の隣に示している。NOE値は、円の隣に記し、矢印はプロトンの相互作用を指す。 図2は、キシロース(A)およびオシジオファンジンのグリカン(B)標準物質のGCクロマトグラム図である。いずれのサンプルにも内部標準が添加されている。キシロースの標準物質は2つのピークを示し(Xyl1およびXyl2)、オシジオファンジンのグリカンは2つのピークの移動時間が同じであることに基づき、キシロースと同定された。 図3は、オシジオファンジンのTOCSYおよびNOESY NMRスペクトルを示した図である。図Aでは、TOCSY 2D NMRスペクトルの展開が、オシジオファンジンA(黒)とオシジオファンジンB(灰色)に帰属された各残基について、アミドからα位、およびアミドから側鎖スピン系へのクロスピークを示している。図Bでは、NOESY 2D NMRの展開がオシジオファンジンの短いアシル基とキシロース糖の化学シフトを示している。アシル炭素2および3のプロトンとNAAのHプロトン間のNOE(灰色)は矢印で識別している。 図4は、オシジオファンジンのNOESY NMRスペクトルの図である。その展開は、アミドとαおよびアミドと側鎖の相互作用を示している。それぞれのアミノ酸の相互作用は、赤で示した残基間NOEの隣に表示している。オシジオファンジンAおよびオシジオファンジンBの残基はそれぞれ黒および灰色で示している。 図5は、オシジオファンジン活性のスペクトルを表および図で示している。Aの表では、数種の動植物病原体のMIC値が示されている。MICおよびMIC50は、それぞれ100%の増殖抑制および50%を超える増殖抑制を示す。図Bでは、ゲオトリクム・カンジドゥムの代表的なバイオアッセイプレートが示されている。ウェルA1の初期濃度は32μg/mLであり、ウェルC2の最終濃度は62.5ng/mLである。最後の2ウェルはネガティブコントロールとしている(抗真菌化合物なし)。ウェルA4はMIC50をよく表しており、真菌の増殖が50%以上抑制された。 図6は、光学顕微鏡の図である。図AおよびBでは、抑制濃度以下で増殖した紋枯病菌の重要な菌糸の形態変化が、特に対照(図B)と比較して観察される。黒矢印は細胞内封入体の形成を指し、白矢印は膜の変形を指している。図CおよびDでは、ゲオトリクム・カンジドゥムに48時間4μg/mLのオシジオファンジンを処理し(図C)、対照(図D)と比較して細胞が大幅に腫脹した。 図7は、透過型電子顕微鏡の図である。ゲオトリクム・カンジドゥムに48時間4μg/mLのオシジオファンジンを処理し(図B)、対照(図A)と比較して著しい形態変化がみられた。細胞壁の厚さは、対照と比較して大幅に減少している。処理を行ったゲオトリクム・カンジドゥムの細胞外壁ははがれ落ちているように見える(黒矢印)。処理を行ったサンプル内でコントラストが消失していることを考えると(白矢印)、細胞が溶解し、細胞成分が溶出したことを示している。図Cは、オシジオファンジンを処理した分節胞子をいくつか含む、より広範囲の表示を示している。図A、B、Cの画像は8,000倍の倍率で撮像した。
本発明の新規抗真菌環状糖ペプチド化合物は、広範な真菌感染に対して有効である。前記化合物の構造は本明細書に開示し、また、これに結合する少なくとも1つの新規アミノ酸の構造についても開示する。
本発明の別の実施形態では、抗真菌組成が前記新規化合物とその塩、および殺真菌療法および治療を必要とするヒト被験者、動物被験体、および/または植物被験体に投与するための薬学的または農学的に許容される基材または賦形剤を少なくとも1つ含む。
さらに別の実施形態では、本発明が、本明細書に説明する新規抗真菌化合物を含む抗真菌化合物を産生する、新しい単離細菌菌株を提供する。
本開示の目的において、略語は以下の通りとする:NMR:核磁気共鳴、NOE:核オーバーハウザー効果、NOESY:核オーバーハウザー効果分光法、TOCSY:全相関分光法、ROESY:回転フレーム核オーバーハウザー効果分光法、HSQC:異核種単一量子コヒーレンス法、ESI−MS:エレクトロスプレイイオン化質量分析、MS/MS:タンデム質量分析、GC:ガスクロマトグラフィー質量分析法、NRPS:非リボソームペプチド合成酵素、NAA:新規アミノ酸、MIC:最少発育阻止濃度。
分子の用語については、特に記述がない限り一般的な意味を有する。「アシル」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリール基に結合したカルボニル基と定義され、例はこれに限定されるものではないが、アセチルおよびベンゾイルなどの基を含む。「治療有効量」という表現は、前記化合物または組成に接触した真菌に対し、殺真菌効果を誘発するのに十分な量として定義される。治療上有効な薬学的または農学的組成の量は、前記組成を含む成分および要素、また治療指針によって決まる。
本発明では、細菌菌株のバークホルデリア汚染菌MS14は、芝のブラウンパッチ病を抑制する土壌から単離された。新規抗菌化合物はこの細菌の液体培養から精製した。精製し、密接な関連性がある抗真菌化合物2つの完全な共有構造は、TOCSY、NOESY、ROESY、13C HSQC 2D NMR、およびESI−MSとGC実験により決定した。精製した標本のモノアイソトピック質量分析は2つの関連した化合物があることを示しており、質量は1199.543Daおよび1215.518Daと決定された。この差は酸素原子の質量に相当する。GC分析は、前記抗真菌化合物に結合したキシロース糖を同定した。NMR実験では、前記化合物が環状であり、8個のアミノ酸から成り、このうち2つはTyrおよびAsnのβ−ヒドロキシ誘導体、1つは新規アミノ酸であることが明らかとなった。前記新規アミノ酸は、前記キシロース糖および短いアシル鎖が結合する骨格となる。抗真菌活性のスペクトルおよび濃度は、マイクロタイタープレート法により決定した。前記抗真菌化合物は、広範な菌性植物および動物病原体、およびピシウム属菌2種に対して強力な抗真菌活性を示した。顕微鏡所見は、前記抗真菌化合物が正常な膜の形態を崩壊させることを示していた。真菌細胞は大きな封入体で満たされており、抑制濃度以下で前記抗真菌化合物を処理後、膜は不規則な形をとり、膨張した。われわれのデータは、新規殺真菌薬を同定したことを裏付けており、前記化合物は真菌キラーを意味するオシジオファンジンと名付けた。
バークホルデリア汚染菌株MS14は、疾病を抑制する土壌、つまり、土壌病原菌が宿主植物にほとんどまたは全く被害を引き起こさない土壌から、すでに単離されていた。この菌株の初期の特性評価では、広範な真菌病原体の増殖を抑制することが示された。その後、トランスポゾンの突然変異により、前記抗真菌活性に関与する遺伝子領域が同定され、56kbの遺伝子DNAフラグメントの配列が決定され、受入番号EU938698にてGenBankに一部が預け入れられた。この遺伝子領域にはいくつかのオープン・リーディング・フレームが含まれ、その一部は調節タンパク質、環状ペプチドトランスポーター、グリコシルトランスフェラーゼ、アミノ基転移酵素、および非リボソームペプチド合成酵素(NRPS)触媒モジュールをコードする。その後、前記抗真菌化合物は単離され、アミノ酸解析から前記抗真菌化合物の骨格がNRPSの機序により合成されるオリゴペプチドであることが確認された。
実験手順
すべての化学物質はSigma(ミズーリ州St. Louis)から購入し、特に記載のない限り、最高グレードのものとした。オシジオファンジンは前述の通り産生および精製した。
質量分析。前記抗真菌化合物の活性画分は、Micromass Q−TOF II質量分析計を用い、エレクトロスプレー質量分析法(ESI−MS)により分析した。前記化合物は0.1%ギ酸を用いて50/50アセトニトリル/水(v/v)に溶解し、Harvardシリンジポンプにより同溶媒を流速1μL/minとして、これに注入した。前記流れはnano−LCインターフェイスを用いて噴霧した。標準的な衝突エネルギー(34V)と高衝突エネルギー(50V)を利用し、一価イオンによりタンデム質量分析(MS/MS)を行った。
単糖の組成分析。精製したオシジオファンジンの単糖は、ガス液体クロマトグラフィーによりメチル配糖体のトリフルオロアセテートとして決定した。前記分析は、25m溶融石英(内径0.22mm)OV−1701 WCOTカラム(Chrompack、ニュージャージー州Bridgewater)および電子捕獲型検出器を備えたガスクロマトグラフ(モデル5890、Hewlett−Packard、カリフォルニア州Sacramento)を用いて行った。糖標準物質(ペントース、ヘキソース、N−アセチルアミノヘキソース)は被験化合物と同時に処理し、オシジオファンジンの糖は標準物質の糖のクロマトグラフィープロフィールとの比較に基づき決定した。ソルビトールを内部標準として用いた。
NMR分光法。オシジオファンジンは、NMRに必要な濃度では水溶液中で安定ではない。そのため、オシジオファンジンの5mMサンプルを50%アセトニトリル−d3(Cambridge Isotopes)および50%水中で総量700μLとして調整した。NMRデータは、プロトン振動数800MHzで操作するCold Probe(商標)スペクトロメーターを用い、Varian NMRシステムで収集した。Hの共鳴はTOCSYおよびNOESY実験を利用し、標準的な方法に従い帰属した。ROESYおよび13C−HSQC実験により、TOCSYおよびNOESYスペクトルでは曖昧であった部分を解明した。TOCSY、NOESY、および13C HSQC NMR実験は25℃で収集し、ROESY実験は4℃で収集した。キャリア周波数は水の共鳴を中心とし、非常に効率的なdouble−pulsed field gradient選択的エコー法により抑制した。スキャンの間のrelaxation delayには1.5sを用いた。TOCSY実験は、DIPSI−2シークエンンスを用い、60msの混合時間で取得した。NOESYおよびROESY実験は、それぞれ400msおよび100msの混合時間で取得した。HSQCスペクトルを収集するためのパラメータを最適化し、脂肪族CH基を観察した(転送遅延時間を140Hzのカップリング定数に調節し、13Cの補正値を35ppmに設定した)。TOCSY、NOESY、およびROESYのスペクトル掃引幅は、両方の観測軸で9000Hz(11.25ppm)であった。HSQCのスペクトル掃引幅は、プロトン観測軸で9000.0Hz(11.25ppm)、カーボン観測軸で21,200.0Hz(105.5ppm)であった。すべての2Dデータは取得観測軸のクロスピークポイント8192点および間接観測軸のクロスピークポイント320点と512点の間で収集し、直接観測軸と間接観測軸それぞれ1024点と192点で収集したHSQCは例外とした。NOESY、ROESY、およびTOCSY実験の間接的検位相敏感検波は、States−TPPI法により行った。HSQCスペクトルを収集するため、勾配を選択した感度向上パルスシークエンスを用いた。H化学シフトはアセトニトリル(1.93ppm)を基準とした。データはまず、残留水分のシグナルをデコンボリューションにより取り除き、平方余弦関数または608シフト(HSQCのH観測軸)を用いる平方余弦関数を用い、1回ゼロで埋め、フーリエ変換とベースライン補正を行うことで、両観測軸のデータを掛け、nmrPipeにより処理した。データは双方向コンピュータープログラムNMR Viewにより分析した。NOEのクロスピーク強度はNMRViewにより測定した。距離はrab =rcal (Vcal/Vab)の関係を用いて較正し、rabは原子aとbの距離、VabはNOESY aからbのクロスピーク容積、rcalは既知の距離、VcalはNOESY較正用クロスピークの対応する容積とした。較正に用いた距離は、β−ヒドロキシTyr4のHδとHε芳香族プロトンとの距離であった(2.46Å)。
微生物。真菌菌株はMississippi State UniversityのVeterinary Medical Research and Diagnostic Laboratory SystemおよびEntomology and Plant Pathology Departmentの所蔵品から入手したか、American Type Culture Collection(バージニア州Manassas)から購入した。本研究に使用した真菌単離株は、黒斑病菌(Alternaria alternata)、アスペルギルス・フミガーツス、黒色アスペルギルス、Fusarium oxysporum f. sp、lycopersici ATCC9848、ゲオトリクム・カンジドゥムF−260、Macrophomina phaseolina 61、石こう状小胞子菌、ペニシリン属、紋枯病菌MSCOT−I、および毛瘡白癬菌であった。さらに、ピシウム属菌2種Pythium spinosum 472−04とPythium ultimum 671−04を検討した。
抗真菌薬感受性試験。最少発育阻止濃度は寒天微量希釈法により決定した。オシジオファンジンは滅菌水で連続的に2倍希釈し(32μg/mL〜62.5ng/mL)、12ウェルの平底プレートに添加した。1mLのSabouraudデキストロース寒天Difco(商標)(BD Diagnostics、ニュージャージー州Franklin Lakes)を各ウェルに添加した。寒天が固化したら、使用するまでプレートを4℃で逆さにして保存した。真菌培養は22℃で7日間、100x15mmのSabouraudデキストロース寒天プレート(Thermo Fisher Scientific Remel Products、カンサス州Lenexa)にて増殖させた。寒天プレートの真菌が密集成長となっている部分から、直径1cmの真菌の栓を含む円形パンチを作成した。前記栓を3mLのPBSに入れ、Ten−brockホモジナイザーで約30回粉砕した。5μLの上清を各ウェルの中央に置き、マイクロタイタープレートを22℃でインキュベートする前に乾燥させた。72時間で測定したTrichophyton mentagrophytesを除き、48時間で各菌種の最少発育阻止濃度を測定した。MICは、明らかに真菌成長を抑制する最低濃度として決定した。MIC50値は、対照と比較し、視覚的に(直径で)50%以上コロニーの増殖を抑制した濃度として決定した。
顕微鏡法。上述の12ウェルの平底プレートで増殖させた真菌を、菌糸体と分節胞子に対するオシジオファンジンの効果を検討するために利用した。各真菌について、MICウェルの隣で増殖させ、48時間でMIC50が観察された菌糸または分節胞子を、光学顕微鏡および透過電子顕微鏡(TEM)スライドの作成に用いた。光学顕微鏡については、ラクトフェノールコットンブルー液(Sigma)を陽性菌株およびスライドの封入剤として用いた。TEMでは、ゲオトリクム・カンジドゥムのサンプルを0.1Mリン酸緩衝液(pH 7.2)中、2.5%グルタルアルデヒドを用いて40℃で固定した。前記緩衝液で洗い流した後、検体をリン酸緩衝液中、2%四酸化オスミウムで固定した。前記リン酸緩衝液で洗った検体を段階的濃度のエタノール(50〜100%)で脱水し、Spurr樹脂に包埋した。Reichert−Jung Ultracut Eウルトラミクロトーム(60〜90nm)により作成した薄い切片を、すでに報告されているとおり、酢酸ウラニルとクエン酸鉛により二重染色した。透過型電子顕微鏡Jeol JEM−100CXII(Joel Ltd.、日本、東京)下、グリッドを観察した。画像は5,000〜8,000倍で取得した。
結果
オシジオファンジンは環状糖ペプチドである。高解像度質量分析データからは、抗真菌ペプチドには2つの構造変異体があることが明らかとなり、1つはモノアイソトピック質量1,199.543Da、もう1つはモノアイソトピック質量1,215.518Daであり、これは最初の化合物に酸素を足した構造に相当する。これらの質量は、図1に示し、解明された構造と一致している(モノアイソトピック質量の計算値は1,199.5584と1,215.5533)。2つの構造変異体があることを考え、抗真菌化合物の変異体はオシジオファンジンA(1,199.5584Da)およびオシジオファンジンB(1,215.5533Da)と呼ぶ。標準的な衝突エネルギーではグリカンが失われるだけで、前記抗真菌化合物を断片化するために必要な高い衝突エネルギーによって、複雑な一連の娘イオンが生成するため、抗真菌化合物のESI−TOF MS/MS分析の結論は得られていない。しかし、断片化が起こるために高い解離エネルギーが必要であったことは、前記化合物が環状ペプチドであることを示唆している。標準的な解離方法では、親イオンから149Daが消失するだけであり、これはペントース糖があることを示している。GC分析では、オリゴペプチドに結合した前記糖がキシロースであることが明らかとなった(図2)。すでに報告されているとおり、アミノ酸分析ではリジンがあることが明らかとなっている。しかし、前記ペプチドをトリプシン消化しようとする試みは成功せず、これはおそらく、前記化合物の特殊な構造上の特徴のためであろう(データは図示せず)。前記抗真菌ペプチドを線状化することができないため、その後のESI−MS分析もできなかった。
NMRは、前記抗真菌オリゴペプチドの構造を決定するもっとも確実な方法であることが証明された。前記抗真菌ペプチドの完全な共有構造を決定するため、われわれはTOCSY、NOESY、ROESY、HSQCのデータを収集した。TOCSYおよびNOESYのデータセットは明白な配列帰属を提供しており、ROESYおよびHSQCのデータセットはプロトンを基にした帰属を支持する根拠として用いた。TOCSY/NOESYのデータセットは、スペクトルのアミドプロトン周波数に13個の注目すべきスピン系があることを明らかにした。このスピン系の数は、オリゴペプチドで予想される数よりも多く、質量は1199および1215Daである。前記データセットのさらなる分析では、酸化型変異体のオシジオファンジンBがTOCSYスペクトルのアミド周波数にいくつか注目すべきスピン系を有していることが明らかとなった(図3A)。
オシジオファンジンAは、Asn1−新規アミノ酸2(NAA2)−Trp3−β−ヒドロキシTyr4−Lys5−Gly6−Asn7−Ser8で構成される(図1A)。前記アミノ酸の数値的帰属は、NRPS複合体のチオエステラーゼドメインの位置について概要を示した配列データに起因する。前記チオエステラーゼドメインの位置は、典型的には前記オリゴペプチドのC末端を指定している。オシジオファンジンAの残基1および7は、Asn残基に特徴的な化学シフトパターンを有する(表1)。NAA2は脱アミノ化されたリジンに特徴的な化学シフトパターンを有し、短いアシル基とキシロース糖が結合している(図1Bおよび3B)。この残基の独特の特徴を前提として、その構造について以下に別に考察する。残基3はTrp残基に特徴的な化学シフトパターンを有する。インドール環プロトンからTrpのβプロトンおよび前記化合物の他の残基の間には、NOEはない。このことは、前記トリプトファン環の回転が溶媒中では抑制されておらず、立体配置的な平均距離が5Å以上であるためにシグナルが消失していることを示している。前記トリプトファンインドール環が溶媒に近づきやすいというさらなる根拠は、TrpのインドールNH(イプシロン)の共鳴がないことから来ている。水中環境では、インドール環が酸性pHで溶媒に接触した時にインドールのNHプロトンの交換が加速され、線幅の拡大によりシグナルが消失する。残基4は修飾されたTyr残基である。β炭素がヒドロキシル化され、βプロトンが5.16ppmまで著しく低磁場シフトしている。芳香環のδプロトンからβヒドロキシTyrのβプロトンの間にNOEが観察されるため、芳香族プロトンの周波数を明確に帰属することができる。残基5、6、および8はそれぞれLys、Gly、Serの典型的な化学シフトパターンを有している。オシジオファンジンBは、Asn1のβ炭素がヒドロキシル化され、1位がβヒドロキシAsn残基となっている点がオシジオファンジンAと異なる。β炭素がヒドロキシル化され、βプロトンのシフトが2.67ppmから4.24ppmの低磁場にシフトした。さらに、Asn1のβ炭素がヒドロキシル化され、NAA2、Trp3、Asn7、およびSer8のアミドプロトン周波数の化学シフトに顕著な変化がみられたことから、オシジオファンジンAとオシジオファンジンBの全体構造には差があることが示唆される。前記抗真菌化合物のAsn残基およびβヒドロキシAsn残基すべての最終的な帰属はROESYのデータセットから来ており、このデータでは、アミノ基のβプロトンからδプロトンへのROEが観察された(データは図示せず)。
オシジオファンジンAおよびBの残基1〜8は、Hα およびHβ からH i+1を順次たどることで(sequential walk)連続的に帰属された。オシジオファンジンAおよびBのNOE結合性は図4に赤で示している。オシジオファンジンの両変異体について、完全に順次たどることができる。各変異体のAsn1のHαおよびHβ、またβ−ヒドロキシAsn1のHαからNAA2のHにNOEが存在する。また、各変異体のNAA2のHα、Hβ、およびHγからTrp3のHにNOEが存在する。Trp3は、Hαのプロトンからβ−ヒドロキシTyr4のHにNOEを有する。NOEは、それぞれβ−ヒドロキシTyr4およびLys5のHαおよびHβからLys5およびGly6のHの間にも存在する。Gly6は、各変異体のAsn7のHに対するHαプロトンのNOEを有する。さらに、各変異体のAsn7のHαおよびHβとSer8のHの間にもNOEが存在する。また、オシジオファンジンが環状の性質を持つという根拠は、オシジオファンジンAのSer8のHαからAsn1のH、オシジオファンジンBのSer8のHαおよびHβからβ−ヒドロキシAsn1のHの間のNOEから来ている。オシジオファンジンAおよびオシジオファンジンBの両方について、NAA2からTrp3、Lys5からGly6、Gly6からAsn7、Asn7からSer8の間にH からH i+1のNOEが観察された。さらに、オシジオファンジンAではAsn1からNAA2、オシジオファンジンBではβ−ヒドロキシAsn1からNAA2の間にH からH i+1のNOEが観察された。
構造が独特であるため、残基2の図式を図1Bに提供する。NAA2の構造基盤は脱アミノ化されたリジンと似ている。おそらく、この残基は、前記抗真菌化合物の合成に関与するゲノム領域に認められたケトアシルシンターゼおよびトランスアミナーゼによって形成される(Gu、Smith、およびLu、未発表)。参照として脱アミノ化されたリジンの元素帰属を用いると、α、β、γ、δ、およびεプロトンの化学シフトの帰属はNOEデータから支持される。NAA2のHα、Hβ、およびHγからTrp3のHの間にNOEが観察される。Trp3のHとプロトンの距離が長くなるにつれてNOEの強度は低下する(図1B)。さらに、上述のNOEから観察されるとおり、脱アミノ化リジン様残基の末端アミノ基が前のAsn残基のカルボニル基と共有結合している。この領域の化学シフトの分析からは、前記NAA2が4つの炭素アシル鎖およびキシロース糖を結合した塩基を提供していることが示唆される(表1)。前記データは、脱アミノ化リジン様残基のアシル鎖とδ炭素の結合、キシロース糖とβ炭素の結合を裏付けている。この領域の飽和炭素プロトンに予想される化学シフト値は約1.7ppmであろう。βおよびδプロトンはこの予想値から大幅に下流にシフトし、それぞれ4.28ppmおよび3.56ppmとなっている。これらのプロトンの化学シフトの変化は、近くに酸素などの電子求引基があることを示唆している。ケトアシルシンターゼによる脂肪酸合成の一部として存在すると考えられるδおよびβ炭素の二重結合酸素はヒドロキシル基に還元され、その後、4つの炭素アシル鎖およびキシロース糖が縮合反応によって結合することが予想される。アシル炭素2および3から脱アミノ化リジン様残基のHεプロトンにNOEがあるため(図1B)、アシル基がδ炭素に結合していることを裏付けている。前記分子のSer8残基も、前記キシロースの結合を裏付けている可能性がある。しかし、予想される化学シフト値に目立った変化がないことが、NAA2に観察されるHβプロトンの劇的な下流へのシフトに重要性を付け加えている。前記分子のキシロースが他の残基に結合することで前記キシロース分子の酸素が失われ、上述の質量分析データに観察されるよりも質量が少なくなると考えられる。結果として、NAA2のβ炭素は前記キシロースが結合する部位として最も蓋然性を有する。HSQCデータは、NAA2のプロトンと修飾された残基の炭素共鳴との間のさらなる関連性を提供した。例えば、γ炭素の炭素共鳴は1.89および1.39ppmの共鳴で2つの区別可能なプロトンを有していた(図1)。
オシジオファンジンは広範なスペクトルの抗真菌活性を有する。オシジオファンジンは広範囲の菌性植物および動物病原体に大きな抗真菌活性を示した(図5)。紋枯病菌はMIC 2μg/mLで検討し、最も感受性が高かった真菌であり、0.5μg/mLの濃度で有意な増殖抑制を示した。アスペルギルス・フミガーツスおよび黒色アスペルギルスは浸潤性肺アスペルギルス症の一般的な原因菌であるが、いずれもオシジオファンジンに対する感受性が高く、MICはそれぞれ8μg/mLおよび4μg/mLであった。2つの関連する真菌である石こう状小胞子菌および毛瘡白癬菌は、いずれも皮膚糸状菌症に関与しており、オシジオファンジンに対して感受性があり、MICは4μg/mLであった。さらなる病原性真菌のペニシリウム属、黒斑病菌(Alternaria alternata)およびMacrophomina phaseolinaも、オシジオファンジンに対する感受性が示されており、MICはそれぞれ32μg/mL、8μg/mL、および2μg/mLであった。真菌フザリウム・オキシスポラムはオシジオファンジンに対する感受性がもっとも低く、MICは>32μg/mLであった。ただし、16μg/mLで有意な増殖抑制が観察された。植物および動物の酵母病原菌であるゲオトリクム・キャンディダムは有意に抑制され、MICは8μg/mLであり、4μg/mLで著しい増殖抑制が認められた(図5B)。P. spinosumおよびP. ultimumはオシジオファンジンに対する感受性がもっとも高く、MICはそれぞれ1μg/mLおよび2μg/mLであった。これらのデータは、オシジオファンジンが植物および動物の真菌病原体に対する強力な広域スペクトルの抗真菌薬として応用できる可能性を有していることを示している。
オシジオファンジンは膜の整合性を変化させる。上記の研究では、年齢が同等の菌糸および細胞を用いた。オシジオファンジンの抑制濃度(0.5μg/mL)以下で増殖させた紋枯病菌の菌糸を前記抗真菌化合物なしで増殖させた紋枯病菌の菌糸と比較した。この濃度では、紋枯病菌の増殖が50%以上抑制された(図5A)。オシジオファンジンは菌糸の形態を大きく変化させ、最も注目すべき変化の1つは細胞内封入体の形成である(図6AおよびB、黒矢印)。別の注目すべき違いは、オシジオファンジン処理後にみられた金糸先端の変形および細胞膜の波状パターンであった(図6AおよびB、白矢印)。抑制濃度以下で増殖させたM. phaseolinaの金糸の形態にも同様の所見が認められた(図示せず)。48時間オシジオファンジン4μg/mLを処理したゲオトリクム・カンジドゥムの分節胞子は、非処理細胞と比較し、処理後に細胞が腫脹したため、無定形を示した(図6CおよびD)。TEMデータは、48時間抑制濃度以下のオシジオファンジンを処理後、ゲオトリクム・カンジドゥムの細胞壁の厚さが劇的に減少したことを示している(図7)。さらに、処理サンプルでは細胞壁の脱落のようなものが存在し(黒矢印)、オシジオファンジンの処理により細胞壁の整合性に影響が見られることを示唆している。処理したゲオトリクム・カンジドゥムの細胞内のコントラストがなくなっていることも細胞が溶解したことを示唆している(白矢印)。おそらく、薄い細胞壁は浸透圧を維持できないのであろう。分節胞子が円筒形であり、横断面で切断された可能性が高いため、TEMデータからは腫脹について記載することはできない。いくつか分節胞子を示したより広視野では、一部の分節胞子が円筒形を保持していることを示している(図7C)。それにもかかわらず、これらの分節胞子がすべて内部および図Bに示された分節胞子に見られる細胞壁に同じ形態変形を共有している。これらの所見は、目に見える封入体の形成は基質が蓄積したことが原因であるため、オシジオファンジンが細胞壁の形成を崩壊させることで膜の整合性を標的とし、またオシジオファンジンが酵素機能を阻害する可能性があることを示している。
考察
本研究の所見は、新規アミノ酸を含むオシジオファンジンの全共有構造が解明されたこと、オシジオファンジンの広域スペクトルの抗真菌活性の特徴が決定されたこと、前記抗真菌化合物処理後に細胞封入体および膜が不安定になるというin vivo所見が得られたことなどである。
構造的な特徴解析では、オシジオファンジンが独特な抗真菌薬であることが確認される。上記の質量分析およびNMRデータはすべて完全に一致し、図1に示したオシジオファンジンの構造を支持している。前記構造データは明白なアミノ酸の帰属を提供しており、オシジオファンジンの2つの構造変異体であるオシジオファンジンAとオシジオファンジンBを区別することができた。各分子の骨格に沿って完全に順次たどることができることが示された。さらに、C末端残基Ser8からオシジオファンジンAのAsn1およびオシジオファンジンBのβ−ヒドロキシAsn1へのNOEから、すでに予測されていたオリゴペプチドが環状であるという性質が確認される。
新規アミノ酸が同定され、NMRデータによって十分特徴が決定される。抗真菌活性に対するこの独特な残基の重要性は分かっていないが、われわれのグループにとっては非常に興味深い分野である。さらに、2つのアミノ酸誘導体β−ヒドロキシAsn(オシジオファンジンBのみ)とβ−ヒドロキシTyrがNMRデータにおいて同定された(表1)。まだ、各変異体をクロマトグラフィーにより分離することはできていない。従って、Asn1のβ炭素のヒドロキシル化が前記化合物の生物活性にとって重要であるか否かはまだ分かっていない。β−ヒドロキシAsn1に近い残基のアミド周波数が劇的にシフトしたことは、前記ペプチドの構造がAsn1のβ炭素のヒドロキシル化後に変化したことを示している。
オシジオファンジン活性の正確な機序は分かっていないが、本研究はその作用機序を解明する実験を開始するためのしっかりとした基礎を提供している。オシジオファンジンは2つのピシウム属菌に強い抑制作用を示した。ピシウム属菌は真菌ではなく、エルゴステロールは細胞膜の主要ステロールではないため、エルゴステロールを標的とした抗真菌薬には感受性がない。従って、オシジオファンジンの抗真菌活性には、おそらくエルゴステロールへの結合またはエルゴステロール合成の阻害は関与していない。ピシウム属菌の細胞壁にはキチンが含まれておらず、この卵菌には細胞壁に多量のβ−グルカンが含まれている点も重要である。従って、オシジオファンジンはキチン合成を標的としている可能性もない。
オシジオファンジン処理した真菌の形態は、エキノカンジン系薬物を処理した真菌について文献で報告された形態と似ており、オシジオファンジンがグルカゴン合成を標的としている可能性があることを示唆している。エキノカンジン系薬物であるミカファンギンを抑制濃度で処理したアスペルギルス・フミガーツスでは金糸が破裂したことが示され、抑制濃度以下で波状の膜と変形した金糸先端が示された。致死量のエキノカンジン系薬物で処理したカンジダ・アルビカンスは腫脹を誘発し、抑制用量以下で膜に異常な形態学的変化が観察された。アスペルギルス・フミガーツスの異常な膜形態の形成は、紋枯病菌およびM. phaseolinaを抑制濃度以下で増殖させた場合に観察された現象と同様であり、カンジダ・アルビカンスの細胞腫脹は、抑制用量以下のオシジオファンジンを処理したゲオトリクム・カンジドゥムに観察された現象と似ている。興味深いことに、フザリウム属種はエキノカンジン系薬物に耐性を示す。耐性の機序は、(1,3)−β−グルカン合成酵素の触媒サブユニットの自然突然変異体および細胞壁構造の自然の差異の結果であると考えられ、特にフザリウム属は保有する1,3−β−グルカゴンが少ない。本研究ではフザリウム・オキシスポラムのMICが>32μg/mLであったが、オシジオファンジンは16μg/mLでこの真菌の増殖を劇的に遅くした。さらなる研究では、オシジオファンジンがグルカンの真菌細胞壁合成を抑制するか否か、特に、その(1,3)−β−グルカン合成酵素を抑制する能力について調査する予定である。細胞壁の形成と細胞壁損傷に対する反応には、複雑な細胞シグナル伝達ネットワークが関与しており、このネットワークが真菌細胞壁表面と生合成酵素の間の伝達を調整し、合成および修復を司っている。従って、オシジオファンジンの正確な作用機序には完全に新規の標的が関与している可能性がある。
本発明品を有する組成は、感染または疾患の重症度により、治療有効量で被験動物または植物に投与し、それによって真菌感染の短期的または長期的作用を予防または軽減することができる。
本開示は初めて、ヒト被験者、動物被験体、および植物被験体の広範な真菌感染を予防および抑制するための応用を目的とした、一連の新規で非常に有効な抗真菌化合物、また前記抗真菌化合物を産生する新規の単離細菌菌株について報告し、完全にその特徴を解析した。
上述の詳細な説明は、当業者が当該発明品を作成および利用することができるように提示している。具体的な詳細は、本発明を包括的に理解するために開示され、提供された情報を説明するために利用される。ただし、これらの具体的な詳細は、当業者には明白であるため、本発明を実施するためには必要ない。具体的な応用、分析、計算の説明は、代表的な例としてのみ挙げることを意味している。好適な実施形態に対する様々な適切な変更、修正、併用、同等物および追加または異なる相互作用と材料および結果として得られる利点は、当業者に容易に明らかとなり、本明細書で定義した一般的な原則は他の実施形態および応用に適用されるが、本発明の精神と範囲内にまだとどまっている。当該請求項および明細書は、本発明に権利を与えられた完全な保護の範囲を過度に狭めるためのものと解釈すべきではない。当該数値は例の目的のみとして提示されていることも理解する必要がある。本発明は、示された実施形態に限定する意図はなく、本発明は、本明細書に開示された原則および特徴と一致する最も広範囲にわたる可能な範囲と一致する。
表1.化学シフト
Figure 2012528152
プロトンの化学シフト値はTOCSY実験によるものである。括弧内の化学シフト値はHSQC実験の13C値である。オシジオファンジンBに独特の化学シフト値は角括弧に示している。*はROESY実験の化学シフト値を示している。
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Claims (12)

  1. 真菌感染または疾患を予防または治療するための抗真菌環状糖ペプチド化合物、およびその薬学的および農学的に許容される塩であって、以下の式(I)を有し、
    オシジオファンジンA
    54121979
    モノアイソトピック質量1199.5584
    (I)
    Figure 2012528152
    Asn1、NAA2、Trp3、BHT4、Lys5、Gly6、Asn7、およびSer8はアミノ酸残基である、抗真菌環状糖ペプチド化合物。
  2. 真菌感染または疾患を予防または治療するための抗真菌環状糖ペプチド化合物、およびその薬学的および農学的に許容される塩であって、以下の式(II)を有し、
    オシジオファンジンB
    54122079
    モノアイソトピック質量1215.55331
    (II)
    Figure 2012528152
    BHN1、NAA2、Trp3、BHT4、Lys5、Gly6、Asn7、およびSer8はアミノ酸残基である、抗真菌環状糖ペプチド化合物。
  3. 請求項1または2記載の抗真菌化合物において、前記アミノ酸残基NAA2は、さらに、結合したアシル基およびキシロース糖を有するものである、抗真菌化合物。
  4. 請求項3記載の抗真菌化合物において、前記アミノ酸残基NAA2は下記構造を有するものである、抗真菌化合物。
    Figure 2012528152
  5. 請求項3記載の抗真菌化合物において、前記化合物は菌性植物、動物、およびヒト病原体に対して有効である、抗真菌化合物。
  6. 請求項3記載の抗真菌化合物において、前記化合物は菌性植物、動物、およびヒト病原体の細胞膜形態を崩壊させるものである、抗真菌化合物。
  7. 請求項1または2いずれか記載の抗真菌化合物、および少なくとも1つの薬学的に許容される基材または賦形剤を有する医薬組成物。
  8. 請求項7記載の組成物において、少なくとも1つの基材または賦形剤は農学的に許容される基材または賦形剤である、組成物。
  9. 請求項5記載の抗真菌化合物において、前記化合物は真菌菌株バークホルデリア汚染菌に由来するものである、抗真菌化合物。
  10. 単離細菌菌株MS14であって、当該細菌菌株はバークホルデリア汚染菌種に属するものであり、その遺伝子DNA断片は配列が決定され、受入番号EU938698でGenbankに預け入れられ、前記菌株は少なくとも1つの抗真菌化合物を産生する活性を上昇させる原因となる遺伝子領域を有するものである、単離細菌菌株MS14。
  11. 請求項10記載の単離細菌菌株において、前記少なくとも1つの抗真菌化合物は、請求項1記載の抗真菌環状糖ペプチド化合物である、単離細菌菌株。
  12. 請求項10記載の単離細菌菌株において、前記少なくとも1つの抗真菌化合物は、請求項2記載の抗真菌環状糖ペプチド化合物である、単離細菌菌株。
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