JP2012525369A - 創傷および線維性障害の治療のためのホスホテトラヒドロピラン化合物 - Google Patents

創傷および線維性障害の治療のためのホスホテトラヒドロピラン化合物 Download PDF

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Abstract

線維性障害および瘢痕化障害、例えば、肺線維症、外科的処置に伴う線維症、創傷治癒障害、瘢痕形成、硬化性障害、眼の線維性障害、眼の治癒障害、手術後の眼の線維症、緑内障、腱の瘢痕化障害、関節の瘢痕化障害、腎臓間質性線維症ならびに腎臓の糸球体線維症および尿細管線維症の治療のためにホスホテトラヒドロピラン化合物を使用する方法。

Description

本発明は、ホスホテトラヒドロピラン化合物ならびに線維性障害および瘢痕化障害、例えば、肺線維症、外科的処置に伴う線維症、創傷治癒障害、瘢痕形成、硬化性障害、眼の線維性障害、眼の治癒障害、手術後の眼の線維症、緑内障、腱の瘢痕化障害、関節の瘢痕化障害、腎臓間質性線維症ならびに腎臓の糸球体線維症および尿細管線維症を治療する方法に関する。
線維化プロセスは、広範囲の生理的障害に関連している。瘢痕は、身体の大半の臓器および組織、例えば、眼、肺、中枢神経系、筋肉、関節、腎臓等において問題となる恐れがある。同様のプロセスにより、内科および外科の多くの領域において一般的な他の線維性障害も生じ得る。例えば、腹部手術は、腹腔内線維性癒着および/または狭窄につながることが多く、一方、線維性網膜症、緑内障手術後の瘢痕、線維柱帯網の線維症、増殖性硝子体網膜症、ケロイドおよび肥厚性瘢痕、皮膚疾患(例えば、表皮水疱症、強皮症)、全身性硬化症、肺線維症、糸球体腎炎、尿細管間質性腎線維症、心筋梗塞後の心筋線維症、例えば脳卒中または神経外科手術の後の中枢神経系の瘢痕、ならびに肝硬変は、重大な医学的問題である。不適当な瘢痕は、腱損傷後に関節機能を損なう可能性がある。
成体の創傷治癒は、急性炎症、収縮およびコラーゲン沈着(急速な創傷閉鎖および感染の最小化のために最適化されたと考えられる反応)を特徴としている。要するに、人体または任意の哺乳動物の身体が創傷を受けると、一連の複雑な生化学的事象が発生して、損傷を修復する。これらの事象は、炎症期から開始し、炎症期が、増殖期に関与する細胞の遊走および分裂を引き起こすサイトカインの放出をもたらす。この段階で、コラーゲン沈着、肉芽組織形成、上皮形成、および創傷収縮が観察される。線維芽細胞が成長し、コラーゲンおよびフィブロネクチンが排出されることにより、新しい仮の細胞外マトリックス(ECM)が形成される。上皮細胞が遊走し、創傷を覆い、次いで、筋線維芽細胞の収縮により創傷が小さくなる。最後に、再構築期において、コラーゲンが再構築され、割線に沿って再配置され、もはや必要ではない細胞がアポトーシスにより除去される。
炎症および線維化促進分子により、線維芽細胞および筋線維芽細胞の蓄積を促進する上皮細胞の間葉細胞(EMT)への形質転換、線維症および活性化間葉細胞の遊走が誘導され、線維性病巣が拡大する。細胞分化転換のこのプロセスは、形質転換成長因子−ベータ(TGF−ベータ)により大いに調節される。
ほとんどの場合、創傷治癒は、適切に構成された瘢痕組織の形成につながる。しかし、このカスケードにおける1つまたは複数のステップが適切に調節されない場合、健康および外観に対する重篤な結果が生じ得る。これらは、例えば、強皮症および特発性肺線維症ならびに多くの関連する障害において観察されるコラーゲンおよびフィブロネクチンの異常な沈着から生じ得る。さらに、異常な組織修復は、眼の手術、腹部手術、脊椎手術を含めた外科的処置および表面創傷の修復後に発生して、ケロイド形成につながる可能性がある。場合によっては、例えば、眼房水を眼から排出するための外科的処置後に、瘢痕化プロセスにより小さい排水口が早すぎる時期に閉鎖される可能性があるため、正常な組織修復を抑制することが必要となることがある。糖尿病および高血圧症を含めた全身性疾患により、腎線維症および腎不全を引き起こす腎臓における糸球体および尿細管細胞の傷害が誘導される可能性がある。
瘢痕化プロセスは、生化学的観点から、TGF−ベータにより開始される事象のカスケードとして理解することができる。TGF−ベータは、潜在型形質転換成長因子−ベータ(LTGF−ベータ)に由来する。したがってLTGF−ベータの活性TGF−ベータへの活性化は、治癒および線維化プロセスにおいて重大なステップである。LTGF−ベータ(潜伏関連ペプチド(LAP)に結合し、次にLTGF−ベータ結合タンパク質(LTBP)に結合し得るTGF−ベータを含む)は、LAP中のM6P修飾アミノ酸の認識によって細胞表面のカチオン非依存性マンノース−6−ホスフェート(CI−M6P)受容体に結合する。この結合により、最終的にTGF−ベータの放出につながる事象のカスケードにより開始されるLTGF−ベータの活性化が可能となる。
LTGF−ベータがCI−M6P受容体に結合するため、CI−M6P受容体アンタゴニストは、LAP中のM6P含有炭水化物とCI−M6P受容体結合部位を競合することにより治癒プロセスにおいて重大な役割を果たすことができる。このように作用することにより、ホスホテトラヒドロピランCI−M6P受容体アンタゴニストは、LTGF−ベータのM6P受容体への結合を抑制または完全に阻害することができ、活性TGF−ベータのレベルが低減する。
結合組織成長因子(CTGF)は、これらの細胞プロセスにおいて中心となる伝達物質であると考えられている、分泌されるサイトカインである。特に、CTGFは、コラーゲンおよびフィブロネクチンの沈着の増大を介して細胞外マトリックス産生を増大させることが知られている。CTGFの過剰発現は、細胞外マトリックス成分の過剰な蓄積が見られる強皮症、線維増殖性疾患、および瘢痕などの症状における主要な原因因子であると見なされてきた。
創傷修復のin vivoモデルにおいて形質転換成長因子ベータ(TGF−ベータ)および結合組織成長因子(CTGF)が協調して過剰発現することが報告されており、TGF−ベータにより刺激されたCTGF発現が創傷の治癒に関与していることが示唆されている。皮膚線維症のマウスモデルにおいて、TGF−ベータまたはCTGFの皮下注射は、単独で投与すると効果がわずかしかなかったが、併せて投与すると、より持続的な線維性反応が観察された。したがって、おそらく、CTGFは、瘢痕組織の産生を強化するように作用するTGF−ベータの下流エフェクターとして作用しているであろう。アンチセンスmRNによるまたはCTGF結合抗体によるCTGF発現の阻害により、TGF−ベータに曝された線維芽細胞におけるコラーゲン合成の増大が防止されることも示されており、CTGF誘導がTGF−ベータに対する線維性反応に必須であることが示唆されている。CTGFの抑制は、TGF−ベータによる刺激に対する進行性の線維性反応を防止する可能性がある。
炎症、高グルコース、低酸素症または他のタイプの傷害により誘導されたTGF−ベータのレベルの増大は、細胞の活性化、増殖および遊走につながる様々な細胞および分子プロセスの調節に関係している。TGF−ベータにより、複雑で状況依存的なクロストーク細胞シグナル伝達経路におけるMAPK、PI3K/Akt、Wnt、Hedgehog、NotchおよびHIF経路との分子間相互作用が調節される。
これらの線維性疾患および瘢痕化障害の多くにおいて、現在の投薬療法による治療は非常に不十分であり、その一例は特発性肺線維症(IPF)である。IPFは、不十分なガス交換および喀痰を伴わない咳が原因で呼吸困難を引き起こす慢性進行性の間質性肺線維症を特徴とする原因不明の慢性肺疾患である。古典的に成人期の疾患であるIPFは、予後が不良であり、効果的な治療法が確認されていない。IPFは、通常致死的であり、平均余命は診断後3年であり、肺性心および心不全が主要な死因である。病理組織検査により、異常な上皮の修復を伴う肺胞障害ならびに活性化線維芽細胞によるコラーゲン、フィブロネクチンおよび他のECM成分の過剰産生を伴う間質性肺炎が証明されている。
IPFの発症は、煙草喫煙、およびシリカまたは家畜への曝露との強い相関が認められてきた。他の研究により、ウイルス感染との相関が示唆されてきた。この疾患の病因は未だ不明のままであるが、発生機序は、組織修復および創傷治癒の間に通常見られるプロセスと同様の炎症誘発性メディエーターの放出ならびに線維芽細胞の増殖が生じる肺胞上皮細胞傷害により開始されるモデルに従うと考えられている。IPF患者において、肺傷害サイクルは持続し、修復プロセスは解消することがなく、その結果、進行性線維症および正常な肺組織構造の損失が生じる。
肺胞組織の急性炎症が、IPFの第1段階であると提唱されてきた。最初の傷害により開始するこの炎症性プロセスは、好中球の急性動員ならびにその後の単球、リンパ球および他の免疫細胞の肺胞腔への遊走を特徴としている。これにより、TGF−ベータ、TNFおよび血小板由来の成長因子が重要な役割を果たす、炎症性メディエーターの放出が付随する上皮および線維芽細胞の活性化が誘導される。罹患しやすい個体において、急性炎症は解消せず、慢性的な炎症性変化の代わりに、進行性線維症をもたらす異常な肺胞組織修復および再構築が生じる。TGF−ベータおよびTNFを含めた線維形成性サイトカインにより、筋線維芽細胞の遊走および肺組織における蓄積が誘導され、次に細胞外マトリックス沈着、コラーゲン蓄積およびIPFの線維性成分の他の特色が促進される。
IPFを患っている患者における線溶および瘢痕化事象の最初の炎症性傷害ならびにその後の後遺症の両方を管理するための投薬療法が差し迫って必要である。
眼は、傷害および組織断裂を受けやすい非常に敏感な臓器であり、頻繁に外科的処置を施される。いかなる場合でも、異常な創傷修復は眼の障害につながる可能性があり、これらは、先に記載した炎症性および細胞プロセスに関連する。線維柱帯網(TM)の領域における細胞外マトリックス物質の過剰な蓄積は緑内障の形で観察され、そのような増大は、眼房水流出に対する抵抗性の増大につながり、したがって、眼内圧(IOP)の上昇につながると考えられている。
TMは、線維柱帯細胞、結合組織、および正常なIOPを維持するのに必要な正常な抵抗性をもたらす角膜と虹彩の間の角に位置する細胞外マトリックスを含む複雑な組織である。眼房水が無血管性の角膜および水晶体に流れることを可能にするための眼の形状を維持するためおよび圧較差をもたらすために十分なIOPが必要である。緑内障において一般的に見られる過剰なIOPは、視神経に対して有害な影響を有し、網膜神経節細胞および軸索の損失につながり、治療されなければ進行性の失明および盲をもたらす。緑内障は、世界中の回復不能な視覚障害および盲の主な原因の1つである。
緑内障のほとんどの形態は、解剖学的、生化学的または生理的原因が存在する眼房水の流れの障害から生じる。慢性または単性緑内障としても知られている原発開放隅角緑内障(POAG)は、米国における全ての緑内障の大部分を占めている。POAGは、眼からの排液に対する異常に高い抵抗性が生じるTMにおける病理学的変化を特徴としている。そのような抵抗性がIOPの増大につながる。
現在の抗緑内障療法は、眼房水形成を抑制するためまたは眼房水流出を促進するための投薬療法の使用によりIOPを低下させている。残念ながら、薬物療法単独での使用は、特に眼房水の流出のための正常な流路が著しく遮断されている場合、一部の患者における眼内圧を適切に管理するのに十分ではない。そのような患者は、正常な眼房水の流出を回復し、それにより患者の眼内圧を正常化または少なくとも管理するために外科的処置を必要とし得る。眼房水の流出は、線維柱帯切除術、後唇強膜切除術、穿孔および熱凝固による強膜切開術などの様々な眼内の外科的処置により改善することができる。これらの外科的処置は、本明細書においてまとめて緑内障濾過手術(GFS)と呼ぶ。
GFS、特に線維柱帯切除術としても知られているガード付きの(guarded)強膜切開手順は、患者の疾患の長期管理のキーポイントである。緑内障手術は、伝統的に、最大耐量での薬物治療の最中、またはレーザー線維柱帯形成術の失敗後に眼内圧(IOP)が管理されておらず、外科医が術後の瘢痕を厳密に管理することにより、眼内圧が適切に管理されない場合に緑内障性損傷から生じる可能性がある潜在的な失明を管理するために必要がある患者に対して実施される。
緑内障濾過手術において利用される手順は、眼房水の排出を促進するためのフィステルの作製を一般に伴う。様々な手順が利用されてきたが、各手順は、手術部位での結膜の隆起の作製を一般に含む。この隆起は一般的に「濾過胞」と呼ばれる。良好な眼内圧管理に伴うことが最も多い濾過胞は、無血管であり、高さがなく広がっている、または多数の嚢胞空間により隆起している。各研究により、濾過胞中の房水が、通常、結膜を通って濾過され、涙液膜と混ざる、または血管もしくは血管周囲の結膜組織により吸着されることが示唆されてきた。緑内障濾過手術は、一般に、最初は成功するが、瘢痕組織の形成に悩まされることが多く、それにより手術の間に作製されたフィステルが最終的にブロックされる可能性がある。失敗したフィステルにおけるコラーゲンの量の増大により、線維芽細胞の増殖ならびに関連する細胞外マトリックス物質、特にコラーゲン、フィブロネクチンおよびグリコサミノグリカンの産生が観察されたことが示唆されている。
瘢痕化プロセスを防止するために、代謝拮抗/抗線維化薬の使用が緑内障濾過手術の重要な補助薬として浮上してきた。試験された様々な薬物の中で、以下のものが、現時点で最も頻繁に使用されているものである。5−フルオロラウシル(5−FU)は、細胞周期のS期およびG2期においてDNA合成を選択的に阻害することにより作用するピリミジン類似体である。マイトマイシンC(MCC)は、DNA依存性RNA合成の阻害を介して線維芽細胞コラーゲン合成を減少させることにより作用し、直接的な細胞毒性効果を有する。しかし、角膜上皮毒性、結膜の創口漏出頻度の増大、低眼圧および低眼圧黄斑症、上脈絡膜出血の発生の増大、含浸スポンジと結膜下組織の間の薬物送達量の変動が原因の正確な薬量測定、眼外/眼内毒性につながる治療部位からの漏出、ならびに高レベルの細胞アポトーシスを含めた、現在の治療法による重篤な合併症が存在している。
現在の薬物レジメンによるこれらの制限が原因で、濾過胞をより良好に保護するために、瘢痕化事象の最初の炎症性傷害ならびにその後の後遺症の両方を管理する新しい方法が差し迫って必要である。
別の未だ対処されていない医学的ニーズは、機能的、美容的および心理的病的状態を引き起こす過剰な皮膚の瘢痕の管理である。外傷、外科的傷害または熱傷後の臨床的な瘢痕管理は、治療の過程で調節されることが多い臨床レジメンを用いた、身体の部位を含めた瘢痕の継続的な物理的評価および患者の過去の瘢痕の病歴の両方の考察を含む。肥厚性瘢痕およびケロイドの受け入れられている保守的な治療法は、手術、コルチコステロイド注射、放射線療法、シリコーンゲルシーティングおよび加圧療法に限定されている。肥厚性瘢痕およびケロイドの原因となる生物学的機序を特に標的にする治療法は、現在の療法を補完し、現在の瘢痕の転帰を改善することができる。
正常な皮膚構造および機能の巨視的な破壊として記述される皮膚の瘢痕は、創傷修復の結果として生じ、線維増殖性反応として進行する。ケロイドは、最初の外傷部位の縁を超えた成長を特徴としており、家族性素因と関連しており、消失することは稀である。肥厚性瘢痕は、通常、時間とともに解消する隆起した紅斑性の線維化病変であり、組織の拘縮を伴う。
創傷治癒プロセスがうまく進まなかった場合の重篤な結果を考えると、生化学的事象のカスケードの1つまたは複数のステップを管理するための新しい薬剤が差し迫って必要である。最も魅力的なのは、最初および進行中の炎症性事象ならびにその後のコラーゲンおよびフィブロネクチン沈着の両方を調節する方法であろう。ヒトの疾患または障害がかなり確立している場合、そのような方法は、治療効果があり、疾患の症候の寛解につながる。しかし、そのような方法は、外科的処置時および手術後の規定の期間に投与する場合、予防的に使用することもできる。
腎機能障害および腎不全への進行は、2型糖尿病および高血圧症を含めた慢性全身性疾患の重篤な結果である。2型糖尿病において、血清中の高グルコースレベルおよび組織低酸素症により誘発される糸球体濾過機能の破壊および尿細管装置の肥厚は、腎実質における線維性組織の沈着により誘発される進行性腎機能障害およびほとんど回避不能な後期腎不全につながる。効果的な治療薬が存在しないため、この分野は未だ対処されていない医学的ニーズとなっている。
国際公開第2004/104015号パンフレット
Baudy, R.B. et al., Journal of Medicinal Chemistry, 52, 771-778 (2009) Moeller A., et al. The International Journal of Biochemistry and Cell Biology, 40, 362-382 (2008) Remington:The Science and Practice of Pharmacy, University of the Sciences in Philadelphia (2005) Liu S, et.al. Arthritis & Rheumatism, 58, 2189-2195 (2008)
一態様において、本発明は、ホスホテトラヒドロピラン化合物の使用を含む、瘢痕の低減または改善が生じる創傷の治癒または線維性障害の軽減を改善する方法を提供する。「創傷または線維性障害」とは、瘢痕または線維性組織の形成が生じ得る任意の状態を意味する。
一実施形態において、肺線維症(pulmonary fibrosis)(肺線維症(lung fibrosis))を治療する方法を提供する。治療は、これらに限定されないが、静脈内投与、経口投与、局所投与、および吸入などの好適な投与経路を使用して、治療を必要としている個体に有効量の本明細書に記載のホスホテトラヒドロピラン化合物、またはそれらのプロドラッグもしくは塩を投与することにより実施する。投与する化合物、プロドラッグまたは塩は通常、任意選択的に薬学的に許容される賦形剤および/または担体を含む医薬組成物の形態である。
化学構造
新規の本発明の化合物が基づいている中心的な化学物質は、以下の式I:
Figure 2012525369
に示しており、
式中、nは0から3の整数であり、−O(CH2nR基はアキシアルまたはエクアトリアル位にあり、Rは低級アルキル、または任意選択的に置換されたヘテロアリールもしくは任意選択的に置換されたアリールであり、ここで置換基は−Cl、−F、CF3、CH3、CH2CH3、−OCH3、−OCF3、−(CH2mCO21、−(CH2mOR2、−(CH2mCONHR2、−(CH2mNHR2、および−(CH2mCONR23(式中、mは0から3の整数であり、R1はH、アルキルおよびアリールからなる群から選択され、R2およびR3は独立して、H、アルキル、アリールおよびアシルからなる群から選択される)からなる群から選択される。
この属の化合物は、「式I化合物」と呼ぶ。上記式I化合物の塩、水和物、誘導体およびプロドラッグも含まれる。
「アルキル」という用語は、直鎖、分枝または環状の完全飽和炭化水素残基を示す。炭素原子の数が特定されていない限り、この用語は、「低級アルキル」とも呼ばれるC1~6アルキルを指すことが好ましい。「アルキル」基を一般的な意味、例えば、「プロピル」、「ブチル」、「ペンチル」および「ヘキシル」等で使用する場合、各用語がそれらの全ての異性体形(直鎖、分枝または環状)を含み得るということが理解されよう。好ましいアルキルは、C1~4アルキルであり、より好ましいのは、C1~3アルキルである。直鎖および分枝C1~5アルキルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルプロピルが挙げられる。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等である。
本明細書に定義のアルキル基は、1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換されていてもよい。好適な置換基としては、ハロ(フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード);ハロアルキル(.g.,トリフルオロメチル、トリクロロメチル);ヒドロキシ;メルカプト;フェニル;ベンジル;アミノ;アルキルアミノ;ジアルキルアミノ;アリールアミノ;ヘテロアリールアミノ;アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、プロポキシフェノキシ;ベンジルオキシ等);チオ;アルキルチオ(例えば、メチルチオ、エチルチオ);アシル、例えばアセチル;アシルオキシ、例えば、アセトキシ;カルボキシ(−CO2H);カルボキシアルキル;カルボキシアミド(例えば、−CONH−アルキル、−CON(アルキル)2等);カルボキシアリールおよびカルボキシアミドアリール(例えば、CONH−アリール、−CON(アリール)2);シアノ;またはケト(CH2基がC=Oにより置換されている)が挙げられる。
「アルコキシ」および「アシルオキシ」という用語は、酸素により結合している場合、それぞれアルキルおよびアシル基を指す。
本明細書において使用する場合、「アルケニル」という用語は、先に定義したエチレン性の一価、二価または多価不飽和アルキルまたはシクロアルキル基を含めた、少なくとも1つのC=C二重結合を含有する直鎖、分枝または環状炭化水素残基から形成される基を示す。したがって、シクロアルケニルも意図している。炭素原子の数が特定されていない限り、アルケニルは、C2~20アルケニルを指すことが好ましい。より好ましいのは、低級アルケニル(C2~6)、好ましくはC2~5、より好ましくはC2~4またはC2~3である。アルケニルおよびシクロアルケニルの例としては、エテニル、プロペニル、1−メチルビニル、ブテニル、イソ−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、シクロペンテニル、1−メチル−シクロペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、シクロヘキセニル、1−ヘプテニル、3−ヘプテニル、1−オクテニル、シクロオクテニル、1−ノネニル、2−ノネニル、3−ノネニル、1−デセニル、3−デセニル、1,3−ブタジエニル、1,4−ペンタジエニル、1,3−シクロペンタジエニル、1,3−ヘキサジエニル、1,4−ヘキサジエニル、1,3−シクロヘキサジエニル、1,4−シクロヘキサジエニル、1,3−シクロヘプタジエニル、1,3,5−シクロヘプタトリエニルおよび1,3,5,7−シクロオクタテトラエニルが挙げられる。好ましいアルケニルは、直鎖または分枝である。本明細書に定義の通り、アルケニル基は、置換アルキルについて上で記載した任意選択の置換基により任意選択的に置換されていてもよい。
本明細書において使用する場合、「アルキニル」という用語は、先に定義したエチレン性の一価、二価または多価不飽和アルキルまたはシクロアルキル基を含めた、少なくとも1つのC≡C三重結合を含有する直鎖、分枝または環状炭化水素残基から形成される基を示す。炭素原子の数が特定されていない限り、この用語はC2~20アルキニルを指す。より好ましいのは、低級アルキニル(C2~6)、好ましくはC2~5、より好ましくはC2~4またはC2~3アルキニルである。例としては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、(異性体を含めた)ブチニル、および(異性体を含めた)ペンチニルが挙げられる。特に好ましいアルキニルは、C2~6アルキニルである。好ましいアルキニルは、直鎖または分枝アルキニルである。本明細書に定義の通り、アルキニルは、アルキルについて上で記載した任意選択の置換基により任意選択的に置換されていてもよい。
「アシル」という用語は、直鎖または分枝アルカノイル(C(O)アルキル)、アルケノイル(C(O)アルケニル)またはアルキノイル(C(O)アルキニル)を示す。好ましいアルカノイルは、エタノイル(=アセチル)、プロパノイル、n−ブタノイル、2−メチルプロパノイル、ペンタノイル、2,2−ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル、ノナデカノイル、イコサノイルである。アルケノイルの例は、プロペノイル、ブテノイル、ペンテノイル、パルミトイル、オレオイルおよびリネオイルである。アシルの炭化水素鎖は、上記の1つまたは複数の置換基により任意選択的にさらに置換されていてもよく、その結果、「アシル」は、置換アシルを指すことも意図している。
「アリール」という用語は、芳香族炭化水素環系の単核、多核、共役または縮合残基を示す。アリールの例は、フェニル、ビフェニルおよびナフチルである。アリール基は、本明細書において定義している1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換されていてもよい。したがって、本明細書において使用する場合、「アリール」は、置換アリールも指す。
「ヘテロアリール」という用語は、単核、多核、共役または縮合芳香族複素環式の環系を示し、環状炭化水素残基の1つまたは複数の炭素原子がヘテロ原子で置換されて、複素環式芳香族残基を提供している。2つ以上の炭素原子が置換されている場合、置換している原子は、2つ以上の同じヘテロ原子でも2つの異なるヘテロ原子でもよい。好適なヘテロ原子としては、O、N、SおよびSeが挙げられる。ヘテロアリールの例としては、ピリジル、4−フェニルピリジル、3−フェニルピリジル、チエニル、フリル、ピロリル、インドリル、イミダゾリル、オキサゾリル、ピリダジニル、ピラゾリル、ピラジニル、チアゾリル、ピイミジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、プリニル、キナゾリニル、フェナジニル、アクリジニル、ベノキサゾリル、ベンゾチアゾリル等が挙げられる。本明細書に定義の通り、ヘテロアリール基は、上記の1つまたは複数の置換基により任意選択的にさらに置換されていてもよい。
本明細書において使用する場合、「アラルキル」という用語は、基−Ar−R’を示し、Arはアリール基であり、R’は低級アルキルまたは置換低級アルキル基である。アリール基は、例えば、ハロ、低級アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、低級アルケニル、低級アルキニル、アミノ、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、複素環、置換複素環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルファミド等で他の位置で任意選択的に置換することができる。アラルキル化合物の例としては、二価ハロメチル基、ヒドロキシメチル基、およびアルコキシメチル基を有する芳香族化合物が挙げられる。
1つの好ましい実施形態において、式I中のRは、1つまたは複数のハロゲン、アルキル、カルボキシ、アミドまたはアミノ基、例えば、−Cl、−F、−CH3、−CH2CH3、−(CH2mCO21、−(CH2mOR2、−(CH2mCONHR2、−(CH2mNHR2、−(CH2mCONR23または−(CH2mCONR23(式中、m=0〜3、R1は、H、アルキルまたはアリールであり、R2またはR3は、独立して、H、アルキル、アリールまたはアシルである)により置換されている置換アリール基である。
式I中の他の好ましいR基としては、フェニル;2−メチルフェニル;2,4−ジメチルフェニル;2,4,6−トリメチルフェニル;2−メチル、4−クロロフェニル;アリールオキシアルキル(例えば、フェノキシメチルまたはフェノキシエチル);ベンジル;フェネチル;2、3または4−メトキシフェニル;2、3または4−メチルフェニル;2、3または4−ピリジル;2、4または5−ピリミジニル;2または3−チオフェニル;2、4、または5−(1,3)−オキサゾリル;2、4または5−(1,3)−チアゾリル;2または4−イミダゾリル;3または5−シムトリアゾリルが挙げられる。
「塩、誘導体またはプロドラッグ」という用語は、対象への投与時に、本明細書に記載の化合物を(直接的または間接的に)生成することができる、任意の薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和化合物、水和物または他の化合物を含む。しかし、医薬として「許容されない」塩も、薬学的に許容される塩を調製するのに使用し得るため、本発明の範囲内に入るということが理解されよう。好適な薬学的に許容される塩としては、薬学的に許容される、
(a)塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン酸、および臭化水素酸などの無機酸、または
(b)酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、乳酸、粘液酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸および吉草酸などの有機酸
の塩が挙げられるが、これらに限定されない。
塩基塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムおよびアルキルアンモニウムなどの薬学的に許容されるカチオンを用いて形成されるものが挙げられるがこれらに限定されない。特に、カチオン性塩、例えば、ナトリウムまたはカリウム塩は本発明の範囲内であり、アルキル(例えば、メチル、エチル)リン酸エステルも含まれる。好ましい塩は、ホスホネート官能基のアルカリ金属塩であり、より好ましいのは、カルシウムならびにモノおよびビスナトリウム塩である。
塩基性窒素含有基は、(1)塩化、臭化またはヨウ化メチル、エチル、プロピルまたはブチルなどのハロゲン化低級アルキル、(2)硫酸ジアルキル、例えば、硫酸ジメチルまたはジエチル等を使用して四級化することができる。
本発明の化合物は、遊離化合物としてまたは溶媒和化合物(例えば、水和物)として非晶質または結晶形態とすることができ、いずれの種類も本発明の範囲内である。溶媒和の方法は、当技術分野において通例である。好ましい溶媒和化合物は、2から20%存在し得る水である。
式Iの化合物の任意のプロドラッグは、本発明の範囲および精神に含まれる。「プロドラッグ」という用語は、in vivoで本発明の化合物に転換されるそれらの誘導体を包含するようにその最も広い意味で使用する。そのような誘導体は、当業者であれば容易に分かり、例えば、(1)遊離ヒドロキシ基がエステル(アセテートなど)に転換される、または(2)遊離アミノ基がアミドに転換される化合物が挙げられる。本発明の化合物のアシル化の手順は、当技術分野においてよく知られており、好適な触媒または塩基の存在下での適切なカルボン酸、無水物または塩化物との反応が挙げられる。好ましいプロドラッグは、ホスホン酸官能基のモノおよびジエステルであり、より好ましいのは、式IIに示しているオキシメチレンが配置されたエステル(oxymethylene spaced esters)であり、式中、Xは水素または置換アルキルであり、最も好ましいのはジエステル(式中、Xは水素であり、Pはtert−ブチルである)である。これらのホスホン酸誘導体の調製の手順は、化学文献においてよく知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
Figure 2012525369
式1により記載している本発明の化合物は、特許出願(特許文献1)に記載の経路により調製することができる。
瘢痕の低減または改善を促進するための、外科的処置の直前または直後のそのような化合物の使用を含む方法も提供している。
この方法は、瘢痕を低減しながら創傷の治癒を促進するまたは線維性障害を治療するための当技術分野において知られている他の方法と同時に使用することができる。多数の化合物が、肺線維症のブレオマイシン動物モデルにおいて活性を示し、これらの多くは、本発明の化合物と相加的または相乗的に作用して、より良好な治療転帰をもたらす(例えば、非特許文献2参照。)。具体例は、N−アセチルシステイン、アミノグアニジン、抗VEGF抗体、バチマスタット、ボセンタン、デキサメタゾン、ジフルオロメチルオルニチン、エタネルセプト、ゲフィチニブ、イマチニブ、メチルプレドニゾロン、ペントキシフィリン、ピルフェニドン、プレドニゾロン、ロジグリタゾン、TGF−ベータ抗体、TNF−アルファ抗体、およびビンブラスチンである。
本発明の化合物および組成物は、当業者により決定される任意の適切で効果的な経路により投与することができる。好適な投与経路は、例えば、非特許文献3に記載されている。
例えば、この化合物は、静脈内投与、局所投与、経口投与、筋肉内投与、皮内投与、吸入によりまたは皮下投与することができる。
肺線維症の症状を患っている患者を治療するために好ましい投与経路は、吸入による経口投与および局所投与である。本発明の吸入化合物は、乾燥粉末吸入器、定量吸入器と共に使用するためまたは噴霧療法用の溶液として製剤化することができる。本発明の経口化合物は、カプセル、錠剤または溶液として製剤化することができる。
心臓の瘢痕を患っている患者を治療するために好ましい投与経路は、経口投与、静脈内投与、皮下投与および外科医により埋め込まれる被覆ステントとしての投与である。
眼の手術を受けた、または眼に創傷を負った、または緑内障を有する患者を治療するために好ましい投与経路は、経口投与、静脈内投与、眼の患部への直接的注射による投与、点眼薬としての投与、スポンジに染みこませて手術時に創傷に適用することによる投与、および手術により導入される移植片内への含有による投与である。
脊椎および背の手術を受けた患者を治療するために好ましい投与経路は、経口投与、静脈内投与、および粉末、溶液としてまたはスポンジに染みこませることによる手術の間の創傷への直接的な投与である。
強皮症、腎線維症、および他の線維性症状を患っている患者を治療するために好ましい投与経路は、経口投与、静脈内投与、および被覆移植片による投与である。
形成外科手術を受けた、またはケロイドを形成しやすい、または皮膚熱傷を有する患者のために好ましい投与経路は、軟膏もしくはクリームとしての投与、または創傷の部位に直接的に注射する投与、経口もしくは静脈内投与である。
手、肩、肘、腰、膝および足の腱を含めた腱への傷害、デュピュイトラン病、凍結肩(癒着性関節包炎)を患っている患者のために好ましい投与経路は、局所注射、軟膏もしくはクリームとしての投与、または創傷の部位への直接的投与、経口もしくは静脈内投与である。
各化合物は、例えば、吸入に適した液体または粒子の形態で、注射用の溶液中に、皮膚への直接投与のための軟膏またはクリームとしてなど、投与経路に応じて適切に製剤化する。用量は、普通の当業者が過度の実験を行うことなく決定することができる。静脈内投与については1から1000mgの化合物の用量が好ましく、より好ましいのは、5から100mgの用量である。経口投与については、ホスホネートジエステルプロドラッグの形態の本発明の化合物は、5から4000mg、より好ましくは10から500mgの範囲の用量であることが好ましい。創傷の部位への直接注射については、0.1から1000ミリモルの濃度が好ましく、より好ましいのは、0.1から100ミリモルの用量である。軟膏またはクリームとして投与する場合、ホスホネートジエステルプロドラッグの形態の本発明の化合物は、50から4000mg、より好ましくは50から500mgの範囲の用量であることが好ましい。
本明細書において使用する場合、「対象」という用語は、哺乳動物、特にヒトを意味することを意図している。通常、対象は、本明細書に記載の治療方法を使用して軽減されると期待される疾患、創傷または障害に苦しんでいる。疾患および障害の一部の例は、以下に列挙している。
化合物または組成物の「有効量」は、治療される疾患または障害の少なくとも1つの症候の軽減において測定可能な効果をもたらす量である。前記症候が完全に軽減されることは必要ではない。
本発明は、CI−M6P受容体のホスホテトラヒドロピランアンタゴニストを提供することにより対象の眼におけるTGF−ベータシグナル伝達を抑制する方法を提供する。対象の眼におけるTGF−ベータシグナル伝達を抑制する方法は、有効量のホスホテトラヒドロピランまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および薬学的に許容される担体を含む組成物を対象に投与するステップを含む。TGF−ベータシグナル伝達関連の眼の障害は、例えば、眼の高血圧症、緑内障、緑内障性網膜症、視神経障害、黄斑変性症、糖尿病性網膜症、脈絡膜血管新生、または増殖性硝子体網膜症でもよい。
本発明の別の実施形態は、治療を必要としている対象において不適当な形質転換成長因子シグナル伝達を伴うTGF−ベータシグナル伝達関連の眼の障害を治療する方法である。この方法は、有効量のCI−M6P受容体のホスホテトラヒドロピランアンタゴニストまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および薬学的に許容される担体を含む組成物を対象に投与するステップを含む。
緑内障濾過手術後の瘢痕化プロセスを低減するための外科的処置の直前または直後のそのようなホスホテトラヒドロピラン化合物の使用を含む方法も提供する。
本発明の別の実施形態において、対象において緑内障性網膜症、視神経障害、黄斑変性症、糖尿病性網膜症、脈絡膜血管新生、増殖性硝子体網膜症、または白内障および水晶体の他の線維性症状を治療する方法を提供する。この方法は、有効量のCI−M6P受容体のホスホテトラヒドロピランアンタゴニストまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および薬学的に許容される担体を含む組成物を対象に投与するステップを含む。
本発明の別の実施形態は、治療を必要としている対象において不適当な形質転換成長因子シグナル伝達を伴う線維性の眼の障害の炎症要素を治療する方法である。この方法は、有効量のCI−M6P受容体のホスホテトラヒドロピランアンタゴニストまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および薬学的に許容される担体を含む組成物を対象に投与するステップを含む。
緑内障濾過手術後の瘢痕化プロセスを惹起する炎症プロセスを抑制するための外科的処置の直前または直後のそのようなホスホテトラヒドロピラン化合物の使用を含む方法も提供する。
本発明の別の実施形態は、治療を必要としている対象において不適当な形質転換成長因子シグナル伝達に伴う線維性肺障害を治療する方法である。この方法は、有効量のCI−M6P受容体のホスホテトラヒドロピランアンタゴニストまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および薬学的に許容される担体を含む組成物を対象に投与するステップを含む。TGF−ベータシグナル伝達関連の肺障害は、特発性肺線維症、または慢性間質性肺炎、剥離性間質性肺炎、通常型間質性肺炎、非特異的間質性肺炎、サルコイドーシス、リンパ性間質性肺炎、リンパ管腫症、非アデノウィルス性の閉塞性細気管支炎、特発性の閉塞性細気管支炎性器質化肺炎、気管支中心性肉芽腫症、非特異的間質性肺炎および急性間質性肺炎を含めた原因不明の成人期および小児期の他の間質性肺疾患(ILD)、ならびに感染、環境曝露、薬物誘導性、代謝異常および免疫不全に関連するILDならびに結合組織病、自己免疫疾患、肺血管炎、肝臓および腸疾患、アミロイドーシスおよび神経皮膚疾患を含めた全身性疾患に伴う他のILDを含めた原因が知られているILDでもよい。
本発明の別の実施形態は、腱損傷または腱炎を患っている患者を治療する方法である。この疾患は、手、手首、肘、肩、脊柱、鼡径部、膝、足首および足が挙げられるがこれらに限定されない身体の任意の関節に影響を及ぼす恐れがあり、腱修復が損なわれるため関節機能の損失または関節硬直をもたらす。この方法は、有効量のCI−M6P受容体のホスホテトラヒドロピランアンタゴニストまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および薬学的に許容される担体を含む組成物を対象に投与するステップを含む。
本発明の別の実施形態は、形成外科手術もしくは他の外科的発明または皮膚の創傷もしくは熱傷後の不十分なまたは不適当な創傷治癒に苦しんでいる患者を治療する方法である。その例は、熱傷後または美容整形手術後、またはケロイド形成の治療もしくは防止における皮膚修復である。この方法は、有効量のCI−M6P受容体のホスホテトラヒドロピランアンタゴニストまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および薬学的に許容される担体を含む組成物を対象に投与するステップを含む。
本発明の別の実施形態は、腎線維症を患っている患者を治療する方法である。糸球体および尿細管線維症は、腎臓の様々な慢性疾患の一般的な徴候である。この方法は、有効量のCI−M6P受容体のホスホテトラヒドロピランアンタゴニストまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および薬学的に許容される担体を含む組成物を対象に投与するステップを含む。
本発明の別の実施形態は、心筋線維症を有する患者を治療する方法である。この疾患は、心筋梗塞、心肥大、開心術、冠動脈疾患等を含めた心臓損傷を有していた個体に影響を及ぼす。この方法は、有効量のCI−M6P受容体のホスホテトラヒドロピランアンタゴニストまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および薬学的に許容される担体を含む組成物を対象に投与するステップを含む。
本発明の別の実施形態は、全身性および皮膚の強皮症、斑状強皮症、神経線維腫症、腎性線維性疾患、デュピュイトラン拘縮等を含めた局所性または全身性の線維性障害を患っている患者を治療する方法である。この方法は、有効量のCI−M6P受容体のホスホテトラヒドロピランアンタゴニストまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および薬学的に許容される担体を含む組成物を対象に投与するステップを含む。
本発明の別の実施形態は、脊柱に対する椎弓切除術または任意の他の手術後の過剰な瘢痕組織の形成を有する患者を治療する方法である。この方法は、有効量のCI−M6P受容体のホスホテトラヒドロピランアンタゴニストまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および薬学的に許容される担体を含む組成物を対象に投与する硬膜外層の手術後の線維症の治療を含む。
実施例7のTGF−ベータ刺激後の細胞シグナル伝達の阻害結果を示すものである。 実施例8のブレオマイシンマウス肺損傷モデル(モデル1)における活性結果を示すものである。 実施例9のブレオマイシンマウス肺損傷モデル(モデル2)における活性結果を示すものである。 実施例9のブレオマイシンマウス肺損傷モデル(モデル2)における活性結果を示すものである。 実施例14のマウスにおける急性のLPS誘導性の肺炎症に対する試験化合物の評価結果を示すものである。 実施例14のマウスにおける急性のLPS誘導性の肺炎症に対する試験化合物の評価結果を示すものである。 実施例15のマウスにおけるチオグリコレート誘導性の腹膜炎のモデルにおける試験化合物の評価結果を示すものである。
(実施例1)
カチオン非依存性マンノース6−ホスフェート受容体に結合するマンノース6−ホスフェートの拮抗
表面プラズモン共鳴(SPR)測定は、全て、Biacore 3000測定器(BIAcore、Piscataway、NJ)を使用して25℃で実施した。CM5研究グレードのセンサーチップ、界面活性剤P20およびアミンカップリングキットもBIAcoreから得た。製造業者により推奨されているように1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドおよびN−ヒドロキシスクシンイミドを使用して表面を活性化した後に、精製ヒトβ−グルクロニダーゼをCM5センサーチップに固定した。簡潔に言えば、pH4.5の10mM酢酸ナトリウム緩衝液中で10〜20μg/mLの濃度で、ランニング緩衝液としてpH7.5の10mM HEPES、150mM NaClおよび0.005%(v/v)P20を使用して、活性化したデキストラン表面にタンパク質を注入した。カップリング後、未反応のN−ヒドロキシスクシンイミドエステル基をエタノールアミンでブロックした。タンパク質を省いたこと以外は同じ様式で参照面を処理した。0.005%(v/v)界面活性剤P20を補充した、pH6.5の50mM MES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)、150mM NaCl、10mM MnCl2および5mM 2−ホスホグリセロール(MES緩衝液)中のウシ胎仔血清から精製した精製sCl−MPRの試料を、カップリングしたフローセルおよび参照フローセルにそれぞれ40mL/分(試験1)または30mL/分(試験2および3)の流量で80または90μlの体積で注入した。2分(試験1)または3分(試験2および3)後、精製したタンパク質を含有する溶液を緩衝液で置き換え、複合体を2分間解離させた。10μL/分の流量での10mM HClの10μL注入によりセンサーチップ表面を再生した。その後の注入の前にこの表面をランニング緩衝液において1分間再平衡化させた。各濃度のタンパク質の平衡状態での反応は、センサーグラムの定常状態の領域内での10秒の期間にわたる反応を、BIAevaluationソフトウェアパッケージ(バージョン4.0.1)を使用して平均化することにより測定した。平衡状態での反応を阻害剤の濃度の対数に対してプロットし、方程式y=(最小値−最大値)/(1+10(x−logKi))SigmaPlotバージョン10.0、Systat SoftWare、Inc.)を使用して非線形回帰により一部位阻害モデルに合わせた。全ての反応データを三重に参照し、屈折率の変化の寄与の対照を並行して実施し、全ての結合センサーグラムから、1)緩衝液単独からの反応、2)誘導体化していない参照面からの反応、3)適合した濃度のマンノース6−ホスフェート(M6P)または試験ホスホテトラヒドロピラン化合物(式I)を有する緩衝液からの反応を差し引いた。平均KI値を測定したところ、ホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1)については1と20μMの間であり、マンノース−6−ホスフェートについては19μMであった。
これらの条件下で、式1(式中、n=1およびR=2,4−ジメチルフェニル)の化合物が7.9μMのKI値を有することが分かった。
(実施例2)
筋線維芽細胞分化の阻害
浮遊コラーゲンゲル培養法およびゲル収縮の定量化を使用して筋線維芽細胞分化を測定した。24ウェル組織培養プレートをウシ血清アルブミンで予め被覆した。トリプシン処理した線維芽細胞をMCDB培地(Sigma Aldrich)中に懸濁し、コラーゲン溶液(1部の0.2M HEPES[pH8.0]、4部のコラーゲン[Vitrogen−100、3mg/ml]、および5部のMCDB X2)と混合し、1mLあたり80000の細胞および1.2mg/mLコラーゲンの最終濃度を得た。コラーゲン/細胞懸濁液(1mL)を各ウェルに添加した。重合後、1mL MCDB培地を添加することによりゲルをウェルから分離した。24時間の期間にわたるゲル重量の損失およびゲル直径の減少に基づいてゲルの収縮を定量化した。阻害実験のために、アッセイの開始の前に細胞をホスホテトラヒドロピラン試験化合物の存在下で30分間プレインキュベートした。全細胞タンパク質抽出物においてCTGFおよびアルファ平滑筋アクチン(αSMA)の産生をウェスタンブロット解析により測定した。デンシトメトリーを使用してGAPDH対照に対する信号の強度を算出し、3つの独立した実験から得たデータの平均および標準偏差を算出した。ホスホテトラヒドロピラン化合物(式1)のIC50値を測定したところ、0.01から100μMの間であった。
(実施例3)
ヒト由来の線維芽細胞における筋線維芽細胞分化の阻害
全身性硬化症を有する患者における患部から、ならびに年齢、性別および部位を適合させた対照からの皮膚線維芽細胞を使用した。5%ウシ胎仔血清(FCS)、2mM L−グルタミン、抗生物質(100単位/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシン)、および1mMピルビン酸ナトリウム(Invitrogen、Burlington、Ontario、Canada)を含有するダルベッコ変法イーグル培地において細胞を成長させた。細胞を24時間血清不足にし、次いで、未処理のままにした、またはTGFβ1(4ng/mL)で処理した。TGFβ1の添加の前に1から100μMの濃度のホスホテトラヒドロピラン化合物(式1)を添加した。24時間後に全細胞タンパク質抽出物においてCTGFおよびαSMAレベルをウェスタンブロット解析により測定した。これらの条件下で、0.01から100μMの間の濃度のホスホテトラヒドロピラン化合物(1)により、CTGFおよびαSMAレベルが50%低減した。
(実施例4)
細胞外マトリックス産生の阻害
IMR−90ヒト胎児肺線維芽細胞を25−sqcmフラスコで1.5×105細胞の密度で播種した。10%(v/v)新生仔ウシ血清およびゲンタマイシン(200μg/mL)またはクロルテトラサイクリン(100μg/mL)を含有する最小培地においてこの細胞を培養した。いずれか一方に対して耐性である細菌を選択しないように2種の抗生物質を交互に使用した。空気中に5%CO2の加湿雰囲気でこの細胞を37℃でインキュベートした。細胞培養の維持のために、72時間毎に培地を変えた。培養したIMR90ヒト肺線維芽細胞およびIPFを有する患者の肺から単離した一次ヒト線維芽細胞を、TGF−ベータ(5ng/mL)および様々な濃度のホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1)の存在下でインキュベートした。ノーザンブロット解析を介してフィブロネクチンのmRNA定量化により細胞外マトリックスの産生を評価し、リアルタイムPCRを確認し、β−アクチンレベルと比較した。0.01から100μMの間の濃度のホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1)により、フィブロネクチン生成物が50%低減した。
ヒト近位尿細管(HK2)細胞を、正常酸素および低酸素(1%O2)条件の両方で高グルコース(25mM)および0.1μMから100μMの濃度の範囲のホスホテトラヒドロピラン化合物(式I)に72時間曝した。細胞および細胞外フィブロネクチン、コラーゲンIV、E−カドヘリン、ビメンチン、αSMAならびにMMPを含めた線維性マーカーをウェスタンブロット法およびRNA増幅法(リアルタイムPCR)により評価した。高感度のELISAキットを使用してTGFβ1の総レベルおよび活性レベルを検出した。
0.01μMから100μMの間の用量の試験ホスホテトラヒドロピラン化合物(式I)により、高グルコースで刺激したヒト近位尿細管細胞における線維症の徴候が効果的に低減する。試験ホスホテトラヒドロピラン化合物(式I)により、これらの腎細胞における間葉形質転換(EMT)に対する上皮のマーカーも低減する。
(実施例5)
細胞外マトリックス産生の組合せ試薬阻害
実施例4に記載の手順に従って、しかしホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1)とN−アセチルシステイン、アミノグアニジン、抗VEGF抗体、バチマスタット、ボセンタン、デキサメタゾン、ジフルオロメチルオルニチン、エタネルセプト、ゲフィチニブ、イマチニブ、メチルプレドニゾロン、ペントキシフィリン、ピルフェニドン、プレドニゾロン、ロジグリタゾン、TGF−ベータ抗体、TNF−アルファ抗体、およびビンブラスチンから選択される1種の化合物との組合せでIMR−90ヒト胎児肺線維芽細胞を処理すると、フィブロネクチンタンパク質の同じ低減を達成するために必要な両方の化合物の濃度が低下した。一部の組合せについては、効果は相加的であったが、他の組合せについては、効果は相乗的であった。
(実施例6)
齧歯動物細胞における上皮間葉細胞形質転換(EMT)の阻害。
ホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1)の上皮間葉形質転換に対する効果を評価するために、ラットの肺上皮細胞を、TGF−ベータおよび前記作用物質の存在下で培養し、アルファ−平滑筋アクチンをウェスタンブロットにより評価した
初代ラットの肺胞II型細胞(AT2)を成体の雄のスプラーグドーリーラットからエラスターゼ分解(2.0〜2.5U/mL)により単離し、その後、先に記載したIgGで被覆した細菌プレートに特異的に付着させた。次いで、1.1cm2、0.4μm孔径の被覆されていないポリカーボネートフィルターカップ(Transwell、Corning Costar、Cambridge、MA)上の最小の所定の無血清培地(MDSF)において1×106細胞/cm2の密度でAT2細胞を播種した。培養の最初の24〜48時間、培地に100μg/mL cis−OH−プロリン(Sigma)を補充して、培養から線維芽細胞を選択的に除去した。次いで、培養を37℃の加湿した5%CO2インキュベーター中で最大で6日間維持した。培地を毎日変え、10、30または100μMの濃度のTGF−β1(1.0ng/mL)とホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1)との組合せを補充した。24時間後のCTGF、PGDF、またはα−SMAのレベルを測定することによりEMTの阻害を評価した。10から100μMの間の濃度の化合物(式1)により、TGF−ベータ1に誘導された刺激が50%阻害された。
(実施例7)
TGF−ベータ刺激後の細胞シグナル伝達の阻害
NIH−3T3線維芽細胞、IMR−90細胞およびA549細胞をペトリ皿において培養した。HIF1a、NFkB、SMAD2/3、Notch、p53 MAPK/ERK経路を含めた転写因子活性化については、ホタル/ウミシイタケデュアルルシフェラーゼアッセイ構成要素を使用して細胞をトランスフェクトした。トランスフェクション後、L−グルタミンおよび抗生物質を補充した0.5%FCSを含有する低血清培地において細胞を終夜インキュベートした。次いで、0.01μMから最大で100μMの範囲の増大する濃度のホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1)の存在または非存在下で細胞を培養し、0.5から20ng/mLの範囲の濃度の組換えTGF−ベータまたは5から50ng/mLの範囲の濃度の組換えLTGF−ベータで刺激した。刺激の24時間後、細胞を溶解し、ルミネセンスを測定して転写因子活性化を検出した。
0.01μMから100μMの範囲の濃度のホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1)により、NFkB、HIF1aおよびSMADシグナル伝達経路の活性化が効果的に低減した。図1を参照されたい。
(実施例8)
ブレオマイシンマウス肺損傷モデル(モデル1)における活性
8週齢の雄のC57BL/6マウスをマイクロアイソレーターケージ中で12時間の昼/夜サイクルで飼育する。飼料および水は自由に摂取させる。
50μLの食塩水中のブレオマイシンの単回負荷用量(5mU/グラム)を、0日目に気管内に点滴注入する。対照動物に50μLの食塩水を投与する。予防的治療群については0日目に、または治療群については7日目に開始して、毎日2回、様々な用量(i.p.)のホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1)で動物の群を処置する。実験の過程における体重減少についてマウスを試験する。15日目に全てのマウスを屠殺し、肺気道における細胞流入評価のために気管カニューレ挿入によりBALFを採取する。総細胞数ならびに表現型を評価する。コラーゲン沈着を含めた肺病理組織を標準的方法に従って評価する。
1から100mg/kgの間の用量のホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1)による処置により、効果的に体重増加が改善し、BALF中の総細胞数が低減し、肺胞壁厚およびコラーゲン沈着により判定したところ肺線維症全体が減少している。図2を参照されたい。
(実施例9)
ブレオマイシンマウス肺損傷モデル(モデル2)における活性
8週齢の雄のC57BL/6マウスをマイクロアイソレーターケージ中で12時間の昼/夜サイクルで飼育する。飼料および水は自由に摂取させる。50μLの食塩水中のブレオマイシンの単回負荷用量(5mU/グラム)を、0日目に気管内に点滴注入する。対照動物に50μLの食塩水を投与する。皮下に挿入した浸透圧ポンプにより投与する様々な用量のホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1)で動物の群を処理する。実験の過程における体重減少についてマウスを試験する。26日目にマウスを屠殺し、肺気道における細胞流入評価のためにBALFを採取する。総細胞数ならびに表現型を評価する。コラーゲン沈着を含めた肺病理組織を標準的方法に従って評価する。26日目に得た血漿におけるTGF−ベータの活性レベルおよび総レベルを測定する。
1から100mg/kgの間の用量のホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1)による処置により、効果的に体重増加が改善し、BALF中の総細胞数が低減し、コラーゲン沈着および血漿TGF−ベータレベルの減少により判定したところ肺線維症全体が減少している。図3および4を参照されたい。
(実施例10)
ブレオマイシンマウス肺損傷モデル(モデル3)における活性
実施例9に記載の実験に従って、8週齢の雄のC57BL/6マウスをマイクロアイソレーターケージ中で12時間の昼/夜サイクルで飼育する。飼料および水は自由に摂取させる。50μLの食塩水中のブレオマイシンの単回負荷用量(5mU/グラム)を、0日目に気管内に点滴注入する。対照動物に50μLの食塩水を投与する。26日間の毎日の肺への直接的な気管内投与により、PBSなどの好適なビヒクルに溶解した様々な濃度のホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1)で動物の群を処理する。26日目にマウスを屠殺し、肺気道における細胞流入評価のためにBALFを採取する。総細胞数ならびに表現型を評価する。コラーゲン沈着を含めた肺病理組織を標準的方法に従って評価する。26日目に得た血漿におけるTGF−ベータの活性レベルおよび総レベルを測定する。1から100mg/kgの間の用量のホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1)による処置により、効果的に体重増加が改善し、BALF中の総細胞数が低減し、コラーゲン沈着により判定したところ肺線維症全体が減少し、血漿TGF−ベータレベルが減少している。
(実施例11)
ブレオマイシンマウス肺損傷モデルにおける併用療法
実施例8、9または10に記載の手順に従って、しかしホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1)とN−アセチルシステイン、アミノグアニジン、抗VEGF抗体、バチマスタット、ボセンタン、デキサメタゾン、ジフルオロメチルオルニチン、エタネルセプト、ゲフィチニブ、イマチニブ、メチルプレドニゾロン、ペントキシフィリン、ピルフェニドン、プレドニゾロン、ロジグリタゾン、TGF−ベータ抗体、TNF−アルファ抗体、およびビンブラスチンから選択される1種の化合物との組合せでマウスを処置することにより、同じ体重増加の改善、BALF中の総細胞数の低減、全体的な肺線維症および血漿TGF−ベータの減少を達成するために必要な両方の化合物の用量が低下した。一部の組合せについては、効果は相加的であったが、他の組合せについては、効果は相乗的であった。
(実施例12)
実験的緑内障濾過手術のウサギモデルにおけるホスホテトラヒドロピラン試験化合物の評価
ニュージーランド白ウサギ(18)の左眼に改良型の緑内障濾過手術を施した。この動物に、40mg/mLの濃度の術中PXS−25(群1)、0.4mg/mLの濃度の術中マイトマイシンC(MMC)(群2)、または術中試験化合物およびマイトマイシンC(MMC)(群3)を投与した。
濾過手術は左眼のみに対して実施した。MMC、試験化合物(式1)またはそれらの組合せを、フラップの切断および強膜切開術の前にWeck−Celから切り出した8×10mm(乾燥寸法)の大きいスポンジで送達した。スポンジ片を結膜と強膜の間の所定の濾過部位に3分間置いた。次いで、その領域を30mLの生理食塩水で十分灌注した。手術後の初日に、その後、濾過胞消失までこの動物を毎週再調査した。この試験は8週後に終了した。フルオレセイントレーサー試験を以下の通り実施した。ナトリウムフルオレセインを前眼房に注射し、細隙灯をベースにしたデジタルビデオカメラ装置を使用して排出経路を記録した。この動物を屠殺し、瘢痕および炎症の徴候の免疫組織化学的染色のために組織切片を調製した。結果の検討により、試験化合物(式1)が、マイトマイシンと同様に濾過胞を保護し、外科的処置の部位の周囲の健康な組織も保護したことが明らかになった。対照的に、マイトマイシンを投与した動物は、濾過胞の周囲の組織が非常に明白に壊死していた。
(実施例13)
ウサギ創傷治癒モデルにおける創傷修復の改善
(1つの投与経路につき)4匹の雌のニュージーランド白ウサギを使用する。試験の24時間前に各ウサギの背側の領域から毛皮を除去する。耳介静脈における静脈内注射により動物を麻酔する(ペントバルビトン)。注射の直前に、皮膚を70%イソプロピルアルコールで、その後、1%ヨウ素溶液で拭く。輪郭を描いた2つの部位に外科鋏を使用して1辺が約1cmの正方形の全層創傷を作製する。その切断は筋膜を貫通しない。ウサギは、単独でケージに入れる。
ホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1)は、創傷に直接的に適用する(皮膚経路;スパチュラにより適用する100mM溶液)または創傷の各側面に注射する(皮下経路;29ゲージの針を使用して皮下注射する100mM溶液)。皮膚経路については、試験アイテムの除去を回避するために、創傷が閉じるまで毎日4時間ウサギをウサギホルダーに置く。創傷が閉じるまで処置を継続する。創傷が閉じたように見えるまで創傷面積(幅×長さ)を隔日で測定する(約10日間)。次いで、動物を屠殺し、創傷を受けた組織および周囲の皮膚を切除し、厚紙に貼り付け、10%中性緩衝ホルマリン中で平らに固定する。ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色した切片に対して病理組織検査を実施して、一般的な組織および細胞形態を検査する。
ホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1)による処置により、過剰な瘢痕形成が低減し、瘢痕の視覚的品質が改善し、傷害部位での皮膚線維症が低減している。
(実施例14)
マウスにおける急性のLPS誘導性の肺炎症に対する試験化合物の評価。
年齢を適合させた無菌の雄のC57Bl/6マウス(25.30±0.39g、6〜7週齢)をイソフルランと酸素の混合物で一時的に麻酔した。ビヒクル処置群に、リポ多糖類(LPS、3mg/kg)の気管内点滴注入(i.t.)の15分前に食塩水の静脈内注射(iv)を投与した。動物の別のセットには、LPSの1時間前に1mg/kgまたは2.5mg/kgのデキサメタゾンのi.v.注射を投与した。各動物に、LPS点滴注入の15分前に5、15および30mg/kg(iv)のホスホテトラヒドロピラン試験化合物を投与した。別個の群のマウスを擬似群(食塩水/PBS)として使用し、食塩水のi.v.注射およびPBS(リン酸塩緩衝食塩水)のi.t.注射で処理した。
LPS投与の3時間後、動物をウレタン(25%、100mL/g体重)で麻酔した。心穿刺(≒1mL)により血液試料を採取し、各動物を頚椎脱臼により屠殺した。気管にカニューレを挿入し、EDTA(1mM)を含有する2mLのPBSで肺を洗浄した。各0.5mLの4回の穏やかな注入および吸引により洗浄液を回収し、遠心分離した。Neubauerチャンバを使用して新鮮な液体検体で総細胞数をTurk溶液で測定した。サイトスピン法を使用して分化細胞数を測定した。気管支肺胞洗浄(BAL)上清のアリコートをさらに処置することなく−80℃で保存した。
各肺葉のスライスを動物から直ちに取り出し、秤量し、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)アッセイのために液体窒素中で凍結した、または肺水腫評価のためにオーブン中に置いた。MPO活性の測定値を白血球蓄積の指標として使用し、MPO活性の1単位を、式MPO(U/g)=Vmax/s×60/0.0113/0.5により、25℃で1μmol過酸化水素/分を分解するものと定義した。U/g湿組織として表されるMPO活性としてデータを提示した。肺水腫を判定するために、左肺葉を取り出し、秤量し、湿乾重量比測定のために60℃で48時間乾燥した。
LPS対照群のBAL液から回収した炎症細胞の総数は、デキサメタゾンおよびホスホテトラヒドロピラン試験化合物(5および30mg/kg)と比較して有意に異なっていなかった。しかし、15mg/kgの用量のホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1;n=1およびR=2,4−ジメチルフェニル)で処理したマウスの群において細胞全体の有意な抑制が見られた(図5)。
ビヒクル対照群のBAL液から回収した細胞の約30%が好中球であった。試験化合物によるマウスの前処置により、ビヒクル(食塩水)対照群と比較して好中球数の有意な減少が生じた(86.7%、P<0.05)。同様に、デキサメタゾンによる動物の処置により、急性肺炎症を有する動物のBAL液への細胞流入がほとんど阻害された(図6を参照されたい)。
(実施例15)
マウスにおけるチオグリコレート誘導性の腹膜炎のモデルにおける試験化合物の評価
21.30±0.39gの標的範囲内の体重の無菌の雄のC57Bl/6マウス(6〜7週齢)をハロタンで麻酔し、次いで、静脈内経路(iv)により増大する用量のホスホテトラヒドロピラン試験化合物(5または15mg/kg、−15分)、デキサメタゾン(1mg/kg、−60分)またはそれぞれのビヒクル(食塩水0.9%、pH7.4)を投与した。Brewerのチオグリコレートのi.p.注射により腹膜炎症を誘導した。滅菌食塩水中にチオグリコレートを新たに調製し(3%、w/v)、1.5mLを腹腔(ip)内に注射した。3時間の処置後、各動物を頚椎脱臼により(麻酔下で)屠殺し、5mLの氷冷PBSを使用して腹膜洗浄により細胞を回収した。洗浄内容物を氷上で直ちに保存した。腹水細胞(PEC)を5mLの氷冷PBSでさらに希釈した。Neubauerチャンバで総細胞数をTurk溶液で測定し、一方、サイトスピン調製物について分化細胞の計数を実施した。腹腔における白血球蓄積の原因が動物の準備の間に発生し得る微小出血であった可能性を除外するために、腹膜洗浄が、顕微鏡検査により赤血球に対して陰性となるように注意深く確認した。
データは、n匹の個々の動物からの平均値(±SEM)として表す。ソフトウェアGraphpad prism v4を使用してデータの統計分析を実施した。ANOVAを使用して、その後、ダネットのポスト検定およびANOVA(独立スチューデントT検定)を使用して比較データを分析した。0.05未満の統計的P値を有意と見なした。ホスホテトラヒドロピラン試験化合物およびデキサメタゾンの用量依存的な抗炎症作用を記録した。
図7は、ホスホテトラヒドロピラン試験化合物(n=1およびR=2,4−ジメチルフェニル;5〜45mg/kg、i.v.、−15分)およびデキサメタゾン(1mg/kg、i.v.、−60分)による前処置の、腹腔におけるチオグリコレート誘導性の白血球遊走に対する影響を示している。多形核(PMN)(A)、単核(MN)動員(B)および細胞全体(C)の結果を腹腔当たりの細胞数として示している。この結果は、11匹のマウスによる代表的実験からのものである。各時点の有意なp値を示している(ダネットのポスト検定および独立T検定)。
図7にまとめているデータは、チオグリコレート、デキサメタゾン(1mg/kg)または試験化合物のip注射後の最初の3時間の間に腹腔において観察された事象(白血球流入)の順番を示している。未処置のC57BL/6マウスにおいて、腹膜の総細胞数は、ホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1;n=1およびR=2,4−ジメチルフェニル;5および15mg/kg)およびデキサメタゾンで処理したマウスより著しく高かった。
(実施例16)
ブレオマイシン誘導性の強皮症動物モデルにおける活性
この手順は、非特許文献4に記載の方法に従う。100μLのブレオマイシン(リン酸塩緩衝食塩水(PBS)中の0.1単位/mL)またはPBSを、C57Bl/6マウスの剪毛した背の単一の部位に1日1回4週間皮下注射する。この実験の最後に、マウスをCO2投与により屠殺し、組織学的、免疫組織化学的、およびヒドロキシプロリンアッセイのために皮膚試料を採取する。
皮膚の生体力学的性質の定量分析を実施する。硬さが皮膚の生体力学的性質を反映すると判定する。各動物を麻酔し、それらの背を剪毛し、脱毛する。ガラス試験チャンバをマウスの背の上に載せる。このガラスチャンバをBTC−2000動的皮膚分析器に接続し、この分析器が真空を発生させ、皮膚上の関心部位にレーザー光を向ける。ブレオマイシン処置の最後に皮膚の硬さを測定する。
ホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1)を、10から100mg/kgの用量で2週間1日2回投与する(ip)。追加の群を、1日1回2週間皮下注射により投与して、ホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1)の局所投与により処置する。4週の実験後、皮膚の切片(0.5μm)を、ミクロトームを使用して切断し、Superfrost Plusスライド上に採取した。次いで、各切片をキシレン中で脱蝋し、下降濃度のアルコール中での連続的液浸により再水和する。切片をヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色する。H&Eにより核が青色に染色され、ECM成分および細胞質は、様々な色度のピンク色で染色される。試験化合物(式1)の炎症に対する効果は、0〜3スケールでグレード分けする。0=炎症細胞なし、1=わずかな炎症細胞、2=中程度の炎症細胞、3=大量の炎症細胞。試験化合物(式1)で処置したマウスからの皮膚はグレード1から2であるが、試験化合物を投与しなかったブレオマイシンで処置したマウスはグレード3である。
ホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1)のコラーゲン合成に対する効果を評価するために、ワンギーソン染色液を使用する半定量分析を使用する。ワンギーソン染色液により、成熟コラーゲン線維については深紅色が、未成熟コラーゲン線維についてはピンク色が生じる。筋肉およびフィブリンは黄色に見え、核は黒色である。コラーゲン線維の量は、以下のスケールを使用して報告している。0=コラーゲン線維なし、1=わずかなコラーゲン線維、2=中程度の量のコラーゲン線維、3=過剰量のコラーゲン線維。試験化合物(式1)で処置したマウスからの皮膚はグレード1から2であるが、試験化合物を投与しなかったブレオマイシンで処置したマウスはグレード3である。
上記のように切片を切断し、処理する。文献の手順に従ってα−SMAの免疫標識を実施し、試験化合物(式1)のα−SMA発現に対する効果を、以下のスケールを使用して0〜3のスケールでグレード分けする。0=α−SMAを発現する細胞なし、1=わずかなα−SMAを発現する細胞、2=中程度の量のα−SMAを発現する細胞、3=大量の数のα−SMAを発現する細胞。試験化合物(式1)で処置したマウスからの皮膚はグレード1から2であるが、試験化合物を投与しなかったブレオマイシンで処置したマウスはグレード3である。
公開されている手順に従って、創傷組織におけるコラーゲン合成のマーカーとしてヒドロキシプロリンアッセイを実施した。皮膚組織を食塩水においてホモジナイズし、120℃で30分、2N NaOHで加水分解し、クロラミンTおよびエールリッヒ試薬を使用するノイマンおよびローガンの反応の変法により、ヒドロキシプロリン標準曲線を使用して、550nmで測定しながらヒドロキシプロリン含量を測定する。各値は、ヒドロキシプロリンのμg/タンパク質のmgとして表している。1と100mg/kg−日の間の濃度の試験化合物(式1)により、ヒドロキシプロリン含量が有意に低減した。
(実施例17)
糖尿病誘導性の腎線維症における活性
C57Bl/6Jマウスを標準的な動物飼育条件下で普通の食餌で維持した。マウスにクエン酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)中のSTZ(Sigma、St Louis、MO)の腹腔内注射を2日間連続で(125mg/kg/日)投与した。一般的なグルコース計(Roche)を使用して尾静脈サンプリングにより血糖を測定した。糖尿病は、STZの後の2週間の16mMより高い朝の血糖読取り値と定義した。血糖レベルが30mMを超えると、糖尿病マウスに0.4Uのインスリン(Novo Nordisk)を隔日に投与して、血糖レベルを高血糖の範囲(16〜30mM)内に維持しながら体重減少を防止した。STZ後の4つの時点(2、8、12および18週間)で屠殺した10匹のマウスの群において糖尿病性腎障害を評価した。正常な26週齢マウス(n=10)の群を対照として使用した。
ホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1)を、1から100mg/kgの用量で(ip)で1日2回試験の期間投与する、または血液中で0.01から100μMの範囲のレベルでのホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1)の安定な全身曝露を伴う皮下に挿入した浸透圧ポンプで投与する。
免疫組織病理学により評価したところ、ホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1)による処置により、糸球体肥大、細胞過多および糸球体間質拡大が低減し、尿細管拡張および萎縮が減少し、間質拡大が低減している。腎実質におけるフィブロネクチン沈着およびコラーゲン沈着は、ホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1)で処置した動物において大きく低減した。
(実施例18)
ラットおよびイヌにおける本発明の化合物のバイオアベイラビリティーの測定。
ホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1;n=1およびR=2,4−ジメチルフェニル)を、強制飼養により10mg/kgで、または静脈内に1mg/kgで、ラットに投与した)。血液試料を15および30分に、ならびに1、2、3、4、8、12および24時間に採取した。50%アセトニトリル/水(20μL)の添加により血漿試料を調製した。トリクロロ酢酸(水中の20%、40μL)の添加、ボルテックス(20s)および4℃で60分の保存後の微量遠心器における5分の遠心分離(10000rpm)によりタンパク質沈殿を実施した。上清をその後分離し、LC−MS分析のために25μLを直接カラムに注入した。既知の濃度の試験化合物を加えた血液試料と比較したデータの分析により、試験化合物のバイオアベイラビリティーが7.7%であることが明らかになった。
この試験を式IIの試験化合物(X=H、P=tert−ブチル)で繰り返した場合、ホスホテトラヒドロピラン試験化合物(式1;n=1およびR=2,4−ジメチルフェニル)の濃度を血漿中で定量化すると、バイオアベイラビリティーを測定したところ52%であった。
Figure 2012525369

Claims (21)

  1. 対象において炎症および創傷治癒プロセスを調節する方法であって、有効量のホスホテトラヒドロピラン化合物、ホスホテトラヒドロピラン化合物の塩またはホスホノテトラヒドロピラン化合物のホスホネートプロドラッグ、および許容される医薬担体を含有する組成物の投与を含み、前記ホスホテトラヒドロピラン化合物が式I:
    Figure 2012525369
    を有し、
    式中、nは0から3の整数であり、−O(CH2nR基はアキシアルまたはエクアトリアル位にあり、Rは低級アルキル、または任意選択的に置換されたヘテロアリールもしくは任意選択的に置換されたアリールであり、ここで置換基は−Cl、−F、CF3、CH3、CH2CH3、−OCH3、−OCF3、−(CH2mCO21、−(CH2mOR2、−(CH2mCONHR2、−(CH2mNHR2、および−(CH2mCONR23(式中、mは0から3の整数であり、R1はH、アルキルおよびアリールからなる群から選択され、R2およびR3は独立して、H、アルキル、アリールおよびアシルからなる群から選択される)からなる群から選択される
    ことを特徴とする方法。
  2. 前記対象は過剰なコラーゲン、フィブロネクチンおよびまたは他の細胞外マトリックス成分の沈着を伴う疾患または障害を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記疾患または障害は肺線維症、緑内障、強皮症、肝線維症、心線維症、腎線維症または腎不全であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 創傷治癒プロセスは外科的処置の後で生じることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 前記外科的処置は眼の手術を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 前記外科的処置は内部臓器および組織に対して実施されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  7. 前記外科的処置は表皮層に対して実施されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  8. 前記外科的処置はケロイド形成をもたらし得ることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 前記外科的処置は美容整形手術または形成外科手術を伴うことを特徴とする請求項7に記載の方法。
  10. 前記外科的処置は腱損傷を修復するためのものであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  11. 前記組成物は炎症および創傷治癒の部位に投与されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  12. 前記組成物は肺に直接投与されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 前記組成物は眼に直接投与されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  14. 前記組成物は外科的処置後の創傷に直接投与されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  15. 肺線維症を治療する方法であって、治療を必要としている対象に、式Iの化合物、式Iの化合物のナトリウム塩、式Iの化合物のホスホネートプロドラッグを含む有効量の組成物を投与するステップを含み、
    Figure 2012525369
    式中、nは0から3の整数であり、−O(CH2nR基はアキシアルまたはエクアトリアル位にあり、Rは低級アルキル、または任意選択的に置換されたヘテロアリールもしくは任意選択的に置換されたアリールであり、ここで置換基は−Cl、−F、CF3、CH3、CH2CH3、−OCH3、−OCF3、−(CH2mCO21、−(CH2mOR2、−(CH2mCONHR2、−(CH2mNHR2、および−(CH2mCONR23(式中、mは0から3の整数であり、R1はH、アルキルおよびアリールからなる群から選択され、R2およびR3は独立して、H、アルキル、アリールおよびアシルからなる群から選択される)からなる群から選択される
    ことを特徴とする方法。
  16. 前記対象は特発性肺線維症または他の肺の線維性障害を患っていることを特徴とする請求項15に記載の方法。
  17. 肺線維症を治療する方法であって、治療を必要としている対象に、式Iの化合物、式Iの化合物のナトリウム塩、式Iの化合物のホスホネートプロドラッグを含む有効量の組成物ならびにN−アセチルシステイン、アミノグアニジン、抗VEGF抗体、バチマスタット、ボセンタン、デキサメタゾン、ジフルオロメチルオルニチン、エタネルセプト、ゲフィチニブ、イマチニブ、メチルプレドニゾロン、ペントキシフィリン、ピルフェニドン、プレドニゾロン、ロジグリタゾン、TGF−ベータ抗体、TNF−アルファ抗体、およびビンブラスチンから選択される1種の化合物を同時投与するステップを含み、
    Figure 2012525369
    式中、nは0から3の整数であり、−O(CH2nR基はアキシアルまたはエクアトリアル位にあり、Rは低級アルキル、または任意選択的に置換されたヘテロアリールもしくは任意選択的に置換されたアリールであり、ここで置換基は−Cl、−F、CF3、CH3、CH2CH3、−OCH3、−OCF3、−(CH2mCO21、−(CH2mOR2、−(CH2mCONHR2、−(CH2mNHR2、および−(CH2mCONR23(式中、mは0から3の整数であり、R1はH、アルキルおよびアリールからなる群から選択され、R2およびR3は独立して、H、アルキル、アリールおよびアシルからなる群から選択される)からなる群から選択される
    ことを特徴とする方法。
  18. 前記式Iの化合物は、
    Figure 2012525369
    からなる群から選択されることを特徴とする請求項1から17の一項に記載の方法。
  19. 前記対象はヒトであることを特徴とする請求項1から17の一項に記載の方法。
  20. 前記対象はヒトであることを特徴とする請求項18に記載の方法。
  21. 肺線維症の治療のための薬剤の製造における、式:
    Figure 2012525369
    の化合物の使用であって、
    式中、nは0から3の整数であり、−O(CH2nR基はアキシアルまたはエクアトリアル位にあり、Rは低級アルキル、または任意選択的に置換されたヘテロアリールもしくは任意選択的に置換されたアリールであり、ここで置換基は−Cl−F、CF3、CH3、CH2CH3、−OCH3、−OCF3、−(CH2mCO21、−(CH2mOR2、−(CH2mCONHR2、−(CH2mNHR2、および−(CH2mCONR23(式中、mは0から3の整数であり、R1はH、アルキルおよびアリールからなる群から選択され、R2およびR3は独立して、H、アルキル、アリールおよびアシルからなる群から選択される)からなる群から選択される
    ことを特徴とする使用。
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