JP2012520309A - 過敏性障害(hypersensitivedisorder)に対する処置および診断方法 - Google Patents

過敏性障害(hypersensitivedisorder)に対する処置および診断方法 Download PDF

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Abstract

アレルギー性気道疾患の処置のための現在の標準のケアとしては、短時間および長時間作用型βアゴニスト、ならびに吸入、または全身性コルチコステロイド、クロモリンおよびキサンチンが挙げられ、その全てが有害な副作用の可能性を有する。本発明は、アレルギー性気道疾患、および過度のTh2の病理学に関連する疾患の処置のための新規の機械的なタンパク質ベースの治療的アプローチを記載する。本発明は、血清アミロイドP(SAP)が、過敏性障害の処置において治療的作用を実証するという目ざましい発見に関する。

Description

天然CD4T細胞は、活性化されてTh1細胞またはTh2細胞のいずれかへと分化し得、それらは、それらが産生するサイトカインに基づく顕著に異なる免疫機能を有する。Th1細胞は、1型免疫を促進し、細胞媒介性免疫およびIgG2A合成を駆動するIFN−γを産生する。Th2細胞は、IL−4、IL−5、およびIL−13を産生すること、ならびに抗体媒介性応答および、IgGおよびIgEへのクラススイッチを促進することにより2型免疫を増大させる。これらの免疫応答は、適切に調節されないとき、自己免疫疾患におけるように有害であり得、または過剰なとき、アレルギー性疾患におけるように有害であり得る。
Th1分化経路は、通常、マクロファージおよび/またはNK細胞を活性化する感染性の微生物に応答して刺激される。これらとしては、細菌、いくつかの寄生生物、ウイルス、および特定の外来抗原が挙げられる。これらの抗原の共通の特徴は、IL−12の産生を伴う生得の免疫反応を導き出すことである。IL−12は、抗原が刺激するCD4+細胞上のレセプターに結合し、転写因子STAT−4を活性化する。続いて、STAT−4は、T細胞の、Th1細胞への分化を促進する。T−betと呼ばれる転写因子もまた、Th1の発達において重要な役割を担う。T−betは、IFN−αにより誘導され、Th1応答の増幅を提供する。Th1細胞は、IFN−γ、リンホトキシン(LT)およびTNFを分泌する。IFN−γは、マクロファージ上で働き、食作用を増加させ、ファゴリソソーム中およびBリンパ球上において微生物を殺すことを促進し、食作用のために微生物および他の抗原にオプソニン作用するIgG抗体の産生を刺激する。LTおよびTNFは、好中球を活性化し、炎症を刺激する。IL−2は、Th1細胞により作られるオートクライン増殖因子である。
Th2の分化は、通常、蠕虫およびアレルゲンに応答して起こる。これらの抗原に対する宿主応答は、慢性的なT細胞刺激を引き起こし得、しばしば、顕著な生得の免疫応答またはマクロファージの活性化を伴わない。抗原刺激性T細胞のTh2サブセットへの分化は、STAT−6の活性化により機能するIL−4に依存する。STAT−6は、STAT−4と同様に、Th2の発達を刺激する転写因子である。GATA−3と呼ばれる別の転写因子もまた、Th2特異的サイトカイン遺伝子の転写を活性化することによりTh2の発達において重要な役割を担う。Th2細胞は、IL−4およびIL−5を分泌する。IL−4は、B細胞上で働き、肥満細胞に結合する抗体(例えば、IgE)の産生を刺激する。IL−4はまた、Th2細胞に対するオートクライン増殖および分化のサイトカインである。IL−5は、主として寄生生物の感染に対する防御である好酸球を活性化する。Th2サイトカインはまた、古典的なマクロファージ活性化およびTh−1媒介反応の両方を阻害する。
アレルギーは、I型過敏症の反応として分類され、また即時型過敏症の反応としても知られ、Th2が媒介する、IgEの産生により刺激される。Th2細胞は、IgMからIgEへの、B細胞の抗体アイソタイプスイッチを促進し得る。IgEは、抗原侵入部位からの流入領域リンパ節(lymph nodes draining)に位置する形質細胞により産生され得るか、またはアレルギー性反応の局所部位において末梢的に産生され得る。IgEは、肥満細胞および好塩基球の表面に発現するIgEに対する高親和性レセプター(FcεRI)に結合することにより肥満細胞および好塩基球を感作する。IgE−FcεR1複合体のアレルゲンが媒介する架橋の際に、肥満細胞および好塩基球は、脱顆粒し、血管作用性アミン(主としてヒスタミン)、脂質メディエータ(プロスタグランジン、およびシステイニルロイコトリエン)、サイトカインおよびケモカインを放出し、これら全ては、アレルギー性反応の即時相を特徴付ける。ヒスタミンは、アレルギー性反応の即時相の主要因子の1つであり、4つの別個のヒスタミンレセプター(HR)を介して樹状細胞、T細胞、および抗体アイソタイプクラススイッチを調節する。HR2は、抗炎症性レセプターおよび抗アレルギー性レセプターとして働き、他方、HR1、HR3、およびHR4は、炎症性作用を示す。肥満細胞は、I型過敏症の反応と関連があるだけではなく、慢性炎症における役割も担う。IgEはまた、樹状細胞および単球の表面のFcεR1に結合し、B細胞の表面のFcεRIIに結合する。これらの相互作用は、これらの抗原提示細胞によるアレルゲンの取り込み、および続く、アレルギー性反応の遅発相を駆動する特定のCD4+T細胞に対するアレルゲン由来のペプチドの提示を増大させる。抗IgEモノクローナル抗体での処置は、アレルゲン誘導性遅発相応答を顕著に低減し、アレルゲンに対するT細胞の応答を増大することにおけるIgEの役割を実証する。
アレルゲン曝露の後、ヒスタミンおよびトリプターゼの増加したレベルは、アレルギー性喘息における気管支肺胞洗浄物において、鼻炎における鼻洗浄物において、結膜炎における涙において、および全身アナフィラキシーにおける循環器系において検出され得る。下気道において、肥満細胞メディエータに対する主な標的は、分泌腺、血管、および気管支平滑筋である。気管支収縮は、アレルゲン曝露の1時間以内の1秒間の努力呼気量(FEV)の減少により表されるアレルギー性喘息における初期相応答の主要な臨床症状発現である。鼻粘膜において、肥満細胞メディエータに対する潜在的な標的は、粘液腺(mucus gland)、神経、血管、および静脈洞である。上気道における初期相応答の臨床症状発現は、かゆみ、くしゃみ、鼻の閉塞、および水のような分泌物(watery discharge)である。代表的に初期相応答は、1時間以内に消散する。
遅発相応答は、常在の炎症性細胞(例えば、肥満細胞、マクロファージ、および好酸球)により生成されるサイトカインおよびケモカインの結果として発達する。肥満細胞は、遅発相応答に不可欠ではないが、肥満細胞におけるIL−5、IL−6、IL−13、およびTNF−αの検出、およびIgEの架橋後のそれらの放出は、持続性のアレルギー性炎症および過敏性を確実にすることにおけるIgEおよび肥満細胞の両方の役割を支える。肺および皮膚の慢性アレルギー性炎症において、上皮下の組織は、T細胞、樹状細胞、およびB細胞の浸潤を伴う二次リンパ器官様組織になる。活性化T細胞は、常在の組織細胞、ならびに他の遊走している炎症性細胞と相互作用する。それらは、慢性喘息の肺における気管支上皮細胞、平滑筋細胞、マクロファージ、線維芽細胞、およびアレルギー性の皮膚における表皮のケラチノサイトを活性化する。常在の組織細胞は、炎症性サイトカインおよびケモカインの分泌による炎症の一因となる。Th1細胞によるFASリガンドの発現とともにIFN−γおよびTNF−αの産生は、アポトーシスへと続く上皮細胞の活性化をもたらし、肺および皮膚における上皮細胞のバリア機能を弱める。これには、2つの段階が関与する。まず、上皮細胞の活性化ならびにケモカインおよび炎症性サイトカインの放出を伴う炎症性の段階。これは、ケラチノサイトおよび気管支上皮細胞の、結果として起こる死へと続き、慢性喘息における上皮落屑、および湿疹における表皮の海綿状態を含む可視の病理学をもたらす。
宿主細胞の抗体媒介性の破壊は、特定の薬物(例えば、抗生物質のペニシリン)の取り込みに関連するめったにない副作用である。これらは、II型過敏症の反応であって、ここでその薬物は、細胞表面に結合して、抗薬物IgG抗体に対する標的として働き、続いて、細胞の破壊を促進する。抗薬物抗体は、集団の少数において産生されるのみであり、これらの抗体がこれらの個々において、なぜ生成されるのかはあまりよく理解されていない。細胞結合抗体は、主に、Fcγレセプターを持つ、脾臓における組織マクロファージにより、循環からの細胞のクリアランスを誘発する。
III型過敏症の反応は、可溶性の抗原とともに生じ得る。病原は、特定の組織および器官部位における抗原−抗体凝集体または免疫複合体の堆積により引き起こされる。免疫複合体は、全ての抗体応答において生成されるが、その病原の可能性は、一部、その大きさ、および応答する抗体の量、親和性、およびアイソタイプにより決定されている。より大きな凝集体は、補体を固定し、単核食細胞系により循環から容易に除かれる。しかしながら、形成する小複合体は、血管壁に堆積する傾向がある。そこでそれらは、白血球上のFcレセプターに結合し得、白血球の活性化および組織傷害をもたらす。
IV型過敏症の反応は、普通、可溶性の抗原により刺激され、慢性喘息および慢性アレルギー性鼻炎のような慢性炎症性障害をもたらす。喘息の重要な特徴は、気道の慢性炎症であって、それは、Th2リンパ球、好酸球、好中球、および他の白血球の増加した数の持続する存在によって特徴付けられる。これらの細胞は、増加する粘液の分泌を刺激する。気道の上皮細胞上でのTh2サイトカイン(例えば、IL−9およびIL−13)の直接の作用は、杯細胞化生の誘導、および粘液の分泌における役割を有し得る。
最も即時の過敏症の障害は、通常、無害の環境抗原に対する過剰なTh2の応答に関連する。これらの障害は、ほとんどの工業国で優勢であり、発展途上国における高まる健康管理の関心事である。全身性の療法、ならびに、より局所的な処置を含む、過敏性疾患に関連する症状を処置または緩和する数多くの薬が存在する。局所治療剤は、全身性の副作用の可能性を最小限にしながら、疾患部位において最大の効果を達成するために最もよく処方される。これらの局所治療薬は、一般に、局所投与またはエアゾール/スプレーにより投与され、α−アドレナリン作用性うっ血除去薬、アドレナリン作用性気管支拡張薬、抗ヒスタミン薬、およびコルチコステロイドを含む。不幸なことに、これらの薬物の多くは、局所的に投与されるときでさえ、望まない副作用を生む不利益を依然として有する。症状をすばやく軽減するために多くの患者が過剰な量のこれらの薬物を使用するので、患者が有害な作用を受ける、増加したリスクが存在する。従って、過敏症の応答の基礎をなす原因に対する、より効果的な治療薬を開発する必要性が残っている。
一部、本開示は、SAPおよびSAPアゴニストが過敏症の障害の処置において有用であることを実証する。本発明の1つの局面は、治療上有効な量のSAPアゴニストを投与することにより過敏症の障害の重篤度を処置、阻害、または低減する必要のある患者における過敏症の障害の重篤度を処置、阻害、または低減する方法を提供する。SAPアゴニストの投与は、過敏症の障害の発達を遅らせ得、患者が過敏症の障害で苦しむ日数を減少させ得、および/または過敏症の障害の重篤度を低減させ得る。本開示は、過敏症の障害で苦しむ患者ならびに過敏症の障害を発達させる危険のある患者を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、SAPアゴニストの投与は、過敏症の障害を発達させる危険に患者を置き得る処置の、前に、同時に、または後に開始し得る。特定の実施形態では、SAPおよびSAPアゴニストは、線維症の発症前の過敏症の障害の処置において有用である。
本開示は、治療上有効な量のSAPアゴニストを投与することにより、患者の呼吸器系における過敏症の障害の重篤度を処置、阻害、または低減する方法をさらに提供する。SAPアゴニストの投与は、呼吸性過敏症の障害の発達を遅らせ得、患者が呼吸性過敏症の障害で苦しむ日数を減少させ得、および/または呼吸性過敏症の障害の重篤度を低減させ得る。特定の実施形態では、SAPおよびSAPアゴニストは、アレルギー性喘息応答を処置するために使用される。他の実施形態では、SAPおよびSAPアゴニストは、慢性喘息疾患の発症前に急性アレルギー性喘息応答を処置するために使用される。特定の実施形態では、処置される過敏症の障害は、喘息ではない。特定の実施形態では、処置される過敏症の障害は、慢性喘息ではない。
本開示は、SAPアゴニストおよび追加の活性薬剤を含む組成物を投与することにより、患者における過敏症の障害の重篤度を処置、阻害、または低減する方法をさらに提供する。いつくかの実施形態では、その追加の活性薬剤は、抗IgE抗体、Th1アゴニスト、Th2アンタゴニスト、短期および長期のβアゴニスト、コルチコステロイド、クロモリン、キサンチン、およびアレルゲン特異的免疫療法の群から選択され得る。いつくかの実施形態では、その活性薬剤は、肥満細胞、ヒスタミン、プロスタグランジン、ケモカイン、Th1およびTh2関連メディエータ、およびシステイニルロイコトリエンのインヒビターであり得る。その組成物の患者への投与は、過敏症の障害の発達を遅らせ得、患者が過敏症の障害で苦しむ日数を減少させ得、および/または過敏症の障害の重篤度を低減させ得る。
本開示は、患者における過敏症の障害の処置のためのキットを追加的に提供する。そのキットは、共同投与されるように処方され得る1つまたはそれより多くのSAPアゴニストを含む。いくつかの実施形態では、そのSAPアゴニストは、追加の活性薬剤と共同投与されるように処方される。
本発明の一部として処置され得る過敏症の障害としては、アレルギー性鼻炎、アレルギー性副鼻腔炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性喘息、アトピー性湿疹、皮膚炎、じんま疹、アナフィラキシー、食物アレルギー、有針昆虫(stinging insect)の毒物に対するアレルギー性反応、アレルギー性気管支収縮、アレルギー性呼吸困難、肺におけるアレルギー性の粘液産生の増加、肺炎、乾癬、および/または他のTh2媒介性過敏性障害が挙げられる。特定の局面では、本開示の抗過敏症組成物は、炎症性眼疾患(例えば、ドライアイ疾患、アレルギー性結膜炎、ブドウ膜炎、およびブドウ膜網膜炎(uveoretinitis)が挙げられる)、ならびに角膜移植、腫瘍性障害、および先天性障害に関連する眼の炎症の重篤度を処置、予防、または低減するために使用され得る。
本開示は、本発明の方法において有用なSAPアゴニストを提供する。SAPアゴニストは、局所的に、注射により、静脈内注射により、吸入により、デポもしくはポンプによる持続的な放出により、および任意の組み合わせにより、投与され得る。SAPアゴニストは、SAPシグナリングを増加もしくは模倣し得、SAP活性を増加し得、SAP発現を増加し得、または血清におけるSAPレベルを増加し得る。SAPアゴニストは、低分子、核酸、またはポリペプチドであり得る。いくつかの実施形態では、そのSAPアゴニストは、SAPポリペプチド、抗FcγRI抗体、抗FcγRII抗体、抗FcγRIII抗体、架橋した抗FcγR抗体、凝集したIgG抗体、または架橋したIgG抗体である。そのSAPアゴニストは、1つまたはそれより多くのSAPアゴニストまたは他の活性薬剤と共同投与されるように処方され得る。
本開示は、調節T細胞を用いる、患者における過敏症の障害または状態を処置または予防する方法をさらに含む。その方法は、T細胞を含むサンプルを得る工程、エクスビボの培養物中でそのT細胞サンプルとSAPアゴニストとを接触させ、調節T細胞を富化した細胞の集団を産生する工程、その調節T細胞を単離する工程、および治療上有効な量のその単離された調節T細胞を患者へ投与し、過敏症の障害または状態を処置または予防する工程を包む。いくつかの実施形態では、その調節T細胞はFoxP3調節T細胞および/またはIL−10を産生する調節T細胞である。SAPアゴニストは、調節T細胞が媒介する、過敏症の障害または状態の抑制を促進し得る。調節T細胞の投与は、過敏症の障害または状態の発症を阻害し得、患者が過敏症の障害または状態で苦しむ日数を減少させ得、および/または過敏症の障害または状態の重篤度を低減させ得る。本開示は、過敏症の障害で苦しむ患者および過敏症の障害を発達させる危険のある患者の両方を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、調節T細胞の投与は、過敏症の障害を発達させる危険に患者を置き得る処置の、前に、同時に、または後に開始し得る。いくつかの実施形態では、調節T細胞は、定期投与を基本に(on a periodic basis)投与される。特定の局面では、調節T細胞は線維症の発症前の過敏症の障害の処置において有用である。いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも1つの追加の活性薬剤を投与される。特定の局面では、その追加の活性薬剤は、過敏症の障害の処置または予防のために使用される治療薬剤である。特定の局面では、その追加の活性薬剤は、SAPアゴニストである。特定の局面では、その追加の活性薬剤は、サイトカインである。本発明の方法において有用なサイトカインとしては、IL−2、IL−4、IL−10、TGF−β、IL−15および/またはIL−17が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、その追加の活性薬剤は、定期投与を基本に投与される。
図1は、ヒト(配列番号1、Genbank受託番号第NP_001630のアミノ酸20〜223)、Gallus gallus(配列番号2、Genbank受託番号第NP_001034653のアミノ酸20〜227)、Bos taurus(配列番号3、Genbank受託番号第AAI02624のアミノ酸20〜224)、およびCricetulus migratorius(配列番号4、Genbank受託番号第AAB28726のアミノ酸20〜223)、血清アミロイドPポリペプチド(シグナル配列は描写されていない)のアミノ酸配列のアラインメントを示す図である。ヒトSAPと同一なアミノ酸は、影をつけてある。 図2は、外因性SAP療法により、真菌類の喘息モデルにおいて、確立された気道過敏性(airway hyperresponsiveness)を予防および逆転したことを示す図である。A.fumigatusで感作した、および分生胞子をチャレンジしたC57BL/6マウスに、腹腔内注射を介して、分生胞子の後、0〜15日目(A)または15〜30日目(B)の間、1日おきにPBSまたはhSAPを与えた。気道抵抗を、侵襲性気道抵抗分析(invasive airway resistance analysis)(Buxco)を用いてメタコリンチャレンジに続いて測定した。データは、平均値±SEM、n=5マウス/群である。適切な処置群におけるベースラインの気道抵抗と比較して、P<0.05、***P<0.001。 図2は、外因性SAP療法により、真菌類の喘息モデルにおいて、確立された気道過敏性(airway hyperresponsiveness)を予防および逆転したことを示す図である。A.fumigatusで感作した、および分生胞子をチャレンジしたC57BL/6マウスに、腹腔内注射を介して、分生胞子の後、0〜15日目(A)または15〜30日目(B)の間、1日おきにPBSまたはhSAPを与えた。気道抵抗を、侵襲性気道抵抗分析(invasive airway resistance analysis)(Buxco)を用いてメタコリンチャレンジに続いて測定した。データは、平均値±SEM、n=5マウス/群である。適切な処置群におけるベースラインの気道抵抗と比較して、P<0.05、***P<0.001。 図3は、単離され、アスペルギルス抗原で刺激(simulated)され、インビトロおよびインビボにおいてhSAPで処置された細胞由来の脾細胞(splenocyte)培養物におけるサイトカイン生成を示す図である。脾臓細胞は、気管内分生胞子チャレンジ後15日(A)または30日(B)の動物から単離した。動物を、インビボにおいてhSAP(8mg/kg、q2d、鼻内;黒塗りバー)、またはPBSコントロール(q2d、鼻内;白抜きバー)で、上記モデルの最後の2週間の間、処置した。 図3は、単離され、アスペルギルス抗原で刺激(simulated)され、インビトロおよびインビボにおいてhSAPで処置された細胞由来の脾細胞(splenocyte)培養物におけるサイトカイン生成を示す図である。脾臓細胞は、気管内分生胞子チャレンジ後15日(A)または30日(B)の動物から単離した。動物を、インビボにおいてhSAP(8mg/kg、q2d、鼻内;黒塗りバー)、またはPBSコントロール(q2d、鼻内;白抜きバー)で、上記モデルの最後の2週間の間、処置した。 図4は、肺の流入領域(draining)リンパ節(AおよびB)、または脾細胞培養物(C)におけるFoxP3発現を示す図である。AおよびBは、PBS(コントロール)で処置された動物、またはSAP(+SAP)で処置された動物から15日目に取得された肺からの流入領域リンパ節由来であって、FoxP3に対して染色した。Cは、インビトロにおけるSAP(0.1〜10μg/ml)の存在下、または非存在下で、インビトロにおいて、24時間、Aspergillus抗原で刺激した脾細胞培養物由来である。総FoxP3発現は、リアルタイムRT−PCRを用いて定量した。 図5は、インビボおよびインビトロにおけるSAPのIL−10および抗原リコール(antigen recall)に及ぼす影響を示す図である。マウスをインビボにおいてAspergillus fumigatusで感作およびチャレンジし、コントロール(PBS、i.p.、2qd、白抜きバー)、またはSAP(5mg/kg、i.p.q2d、黒塗りバー)で、生の分生胞子チャレンジ後、15〜30日に処置した。30日目にマウスを屠殺し、(A)肺の総IL−10をluminexにより測定し、(B〜E)脾細胞培養物を、インビトロにおいて、SAPの存在下、または非存在下で、Aspergillus fumigatus抗原を用いて刺激し、細胞が存在しない上清を(B)IL−10、(C)IL−4、(D)IL−5、および(E)IFN−γのタンパク質レベルについて、特異的ELISAによって評価した。SAP(i.p.、15〜30日に2qd)で処置された動物は、PBS(i.p.、q2d、15〜30日に)で処置された動物と比較すると、および天然の(native)、非アレルギー肺と比較すると、肺におけるIL10のレベルを増大させた。さらに、抗原リコール応答が小さくなり、このことは、T調節細胞数および/または機能の増大を示す。
(発明の詳細な説明)
(発明の概要)
アレルギー性気道疾患の処置のための現在の標準のケアとしては、短時間および長時間作用型βアゴニスト、ならびに吸入、または全身性コルチコステロイド クロミリン(cromylin)およびキサンチンが挙げられ、その全てが有害な副作用の可能性を有する。本開示は、アレルギー性気道疾患、および過度のTh2の病理学に関連する疾患の処置のための新規の機械的なタンパク質ベースの治療的アプローチを記載する。本開示は、血清アミロイドP(SAP)が、過敏症の障害の処置において治療的作用(affect)を実証するという目ざましい発見に関する。
血清アミロイドP(「SAP」)は、ディスク様分子中に非共有結合で会合する5つの同じサブユニットまたはプロモーターから構成される哺乳動物における天然に存在する血清タンパク質である。SAPは、5つの非共有結合で連結された25,000ダルトンのプロモーターから構成される125,000ダルトンのペンタマーである。SAPは、ペントラキシンスーパーファミリーに属するタンパク質であり、この環状ペンタマー構造によって特徴付けられる。古典的な短いペントラキシンは、SAPならびにC−反応性プロテインを含む(Osmand、A.P.ら、Proc.Nat.Acad.Sci.74:739〜743(1977))。それは肝臓で合成され、そしてヒトにおけるヒトSAPの生理学的血清半減期は24時間である。ヒトSAPサブユニットの配列は、配列番号1に描写されている(Genbank受託番号第NP_001630のアミノ酸20〜223、シグナル配列は描写されていない)。先の研究は、SAPがIgGに対するFcレセプター(FcγR)に結合することを実証した。FcγRへのSAP結合は、線維細胞、線維細胞前駆体、筋線維芽細胞前駆体、および/または造血単球前駆体分化に対する阻害信号を提供する。
(定義)
本明細書で用いられるとき、用語「処置」、「処置すること」などは、所望の薬理学的および/または生理学的効果を得ることをいう。この効果は、その障害または症状を完全または部分的に防ぐという点で予防であり得、そして/または過敏性障害および/またはこの障害に起因する有害作用に対する部分的または完全な治癒という点で治療的であり得る。本明細書で用いられるとき、「処置」は、哺乳類、特にヒトにおける疾患の任意の処置をカバーし、そして:(a)生存期間を増加すること(b)この疾患に起因する死亡のリスクを低減すること;(c)この疾患の素因があり得るが、それを有すると未だ診断されていない被験体においてこの疾患が発症することを防ぐこと;(d)この疾患を阻害すること、すなわち、その発症を阻止すること(例えば、疾患進行の速度を低減すること);および(e)この疾患を軽減すること、すなわち、この疾患の後退を引き起こすこと、を含む。
本明細書で用いられるとき、障害または状態を「阻害する」治療薬は、統計学的なサンプルにおいて、処置されていないコントロールサンプルに対して、処置されたサンプルにおける障害または状態の発生を減少させるか、あるいは、処置されていないコントロールサンプルに対して障害または状態の1つ以上の徴候の発症を遅延させるか、または重篤度を低減する化合物である。
本明細書で用いられるとき、障害または状態を「予防する」治療薬は、統計学的なサンプルにおいて、処置されていないコントロールサンプルに対して、処置されたサンプルにおける障害または状態の発生を減少させるか、あるいは、処置されていないコントロールサンプルに対して障害または状態の1つ以上の徴候の発症を遅延させるか、または重篤度を低減する化合物である。
本明細書で用いられるとき、用語「被験体」および「患者」は、ヒトを含む哺乳動物を含む動物をいう。用語「哺乳動物」は、霊長類、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、ヤギ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ウマを含む家畜動物、動物園の動物のような捕らわれの動物、および野生動物を含む。
本明細書で用いられるとき、用語「組織」は、器官、または皮膚組織、肺組織、腎臓組織、鼻腔(nasal passage)、咽喉およびその他のタイプの細胞のような分化細胞のセットをいう。
用語「治療効果」は当該技術分野で認識されており、そして薬理学的に活性な物質によって引き起こされる動物、特に哺乳動物、そしてより特定すればヒトにおける局所または全身効果をいう。語句「治療上有効な量」は、任意の処置に適用可能な合理的な利益/リスク比で一部の所望の局所または全身効果を生成するそのような物質の量を意味する。このような物質の治療上有効な量は、被験体および処置される疾患状態、被験体の体重および年齢、疾患状態の重篤度、当業者によって容易に決定され得る投与の様式などに依存して変動する。本明細書に記載される特定の組成物は、このような処置に適用可能な合理的な利益/リスク比で所望の効果を生成するに十分な量で投与され得る。
本明細書で用いられるとき、用語「過敏症の疾患」は、宿主の免疫応答により引き起こされる障害をいう。過敏症の疾患としては、外来抗原(例えば、微生物およびアレルゲン)に対する制御されない応答、または過度の応答からもたらされるアレルギー性免疫疾患が挙げられる。過敏症の反応は、基礎をなす、応答の免疫学的メカニズムに基づいて4つのカテゴリー(I〜IV型)に分類されている。ほとんどの過敏症の応答(I〜III型)は、抗体によって媒介され、これらの反応は、認識される異なる型の抗原、および関与する抗体のクラスにより区別され得る。I型応答は、肥満細胞活性化の強力な誘導物質であるIgEによって媒介される。II型およびIII型応答は、IgGのサブクラスおよび抗原の特性に依存する、補体媒介性および食細胞のエフェクターメカニズムに携わり得るIgGにより媒介される。II型応答は、細胞表面抗原またはマトリックス抗原に向けられる。II型応答の特別なカテゴリーには、制御不可能な活性化を引き起こすか、またはレセプター機能をブロックすることによりレセプターの正常な機能を崩壊させる、細胞表面レセプターに対するIgG抗体が関与する。III型応答において、抗体は可溶性抗原に結合し、免疫複合体を形成する。これらの抗原−抗体複合体は、種々の宿主器官および組織部位内において、特に脾臓および肝臓において、沈殿および堆積し得る。III型応答により引き起こされる組織損傷は、宿主細胞の表面の免疫複合体の認識により誘発される。IV型過敏症の反応は、T細胞媒介性であって、3つの群に細分割され得る。第一の群において、Th1細胞によるマクロファージの活性化は、組織損傷をもたらす炎症応答を引き起こす。第二の群において、損傷は、Th2媒介性炎症応答により引き起こされ、ここでは好酸球が、優勢である。第三の群において、宿主の組織損傷は、細胞傷害性T細胞によって直接引き起こされる。
本明細書で用いられるとき、用語「即時過敏症」は、アレルギー性疾患の原因である免疫反応の型として定義され、その免疫反応の型は、IgEに加え、組織、および肥満細胞、および好塩基球の抗原媒介性刺激に依存する。即時過敏症の応答の間、肥満細胞および好塩基球は、増加した血管透過性、血管拡張、気管支および内臓の平滑筋収縮、ならびに局所的な炎症を引き起こすメディエータを放出する。
本明細書で用いられるとき、用語「アレルギー性喘息応答」は、喘息の患者における急性気道炎症応答をいう。アレルギー性喘息は、可逆的な気流制限および気道過敏性によって特徴付けられる。これらの応答は、Th2 CD4+ T細胞活性化および続くTh2サイトカイン産生により媒介される正常なアレルゲン応答メカニズムによって代表的に刺激される。しかしながら、気道関連アレルギー性応答は、非喘息患者において観察されるよりも、喘息の患者において、急性発症を伴い、代表的に、より重度である。特に、IL−4、IL−5、IL−9、およびIL−13は、急性アレルギー性喘息応答(好酸球媒介性炎症応答、マクロファージ媒介性炎症応答、およびリンパ球媒介性炎症応答、粘液過分泌、および気道過敏性が挙げられる)において決定的に重要である。
本明細書で用いられるとき、「慢性喘息」の患者は、長期の、持続性喘息応答の結果として肺内部の構造変化を有する患者として定義される。構造変化としては、気道平滑筋肥大および過形成、上皮下の基底膜へのコラーゲン堆積、杯細胞の過形成、気道粘膜の肥厚、血管分布の増加、および線維症が挙げられる。慢性喘息の間の組織の再構築は、完全な可逆性ではない気道閉塞をもたらし、従って、時間の経過とともに肺の機能の進行性の損失をもたらす。
本明細書で用いられるとき、用語「呼吸器系」は、ガスの外部環境と血液とのガス交換を容易にする哺乳動物の解剖学的特徴をいう。呼吸器系は、解剖学的特徴に基づき、上気道および下気道に細分割され得る。上気道としては、鼻腔、咽頭、および喉頭が挙げられる。気管、主気管支、および肺は、下気道の一部である。呼吸器系はまた、生理帯(zone)、または機能帯に分割され得る。これらとしては、伝達帯(外の大気から肺胞のちょうど上へのガス運搬のための領域)、移行帯、および呼吸帯(ガス交換が起きる肺胞の領域)が挙げられる。
本明細書で用いられるとき、用語「核酸」は、デオキシリボ核酸(DNA)、そして適切な場合にはリボ核酸(RNA)のようなポリヌクレオチドをいう。この用語はまた、等価物として、ヌクレオチドアナログから作製されるRNAまたはDNAいずれかのアナログを、そして記載される実施形態に適用可能であるように、(センスまたはアンチセンスのような)一本鎖および二本鎖ポリヌクレオチドを含むことが理解されるべきである。
用語「ペプチド」、「タンパク質」および「ポリペプチド」は、本明細書において交換可能に用いられる。用語「精製されたタンパク質」は、細胞また細胞溶解物中でこれらタンパク質(単数または複数)と通常付随するその他のタンパク質から好ましくは単離され、またはそうでなければ実質的にこのようなその他のタンパク質のないタンパク質または複数のタンパク質の調製物をいう。用語「その他の細胞タンパク質が実質的にない」(本明細書においてはまた、「その他の夾雑タンパク質が実質的にない」とも称される)は、20%(乾燥重量)未満の夾雑タンパク質を含む、そして好ましくは、5%未満の夾雑タンパク質を含む成分タンパク質の各々の個々の調製物を包含するとして規定される。各々の成分タンパク質の機能的形態は、添付の実施例に記載のようなクローン化遺伝子を用いることにより精製された調製物として調製され得る。「精製された」により、それは、再構成されたタンパク質混合物を生成するために用いられる成分タンパク質調製物について言及するとき、示された分子が、その他のタンパク質(特に、目的の再構成された混合物において、成分タンパク質の特徴を、精製された調製物として、またはそれらの機能のいずれかで実質的にマスク、消滅、混乱または改変し得るその他のタンパク質)のようなその他の生物学的高分子の実質的に不在で存在することを意味する。本明細書中で用いられる用語「精製された」は、好ましくは、存在する同じタイプの生物学的高分子(しかし、水、バッファー、およびその他の小分子、特に5000未満の分子量を有する分子が存在し得る)の少なくとも80乾燥重量%、より好ましくは85重量%の範囲、より好ましくは95〜99重量%の範囲、そして最も好ましくは99.8重量%の範囲を意味する。本明細書で用いられるとき、用語「純粋」は、好ましくは、まさに上記した「精製された」と同じ数字制限を有する。
用語「化合物」、「試験化合物」、および「活性薬剤」は、本明細書中では交換可能に用いられ、そして制限されないで、ポリペプチド、核酸、小分子および抗体を含むことを意味する。本明細書で用いられるとき、「小分子」は、約5kD未満、そして最も好ましくは約2.5kD未満、または1kD未満さえの分子量を有する分子をいうことを意味する。小分子は、核酸、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣物、炭水化物、脂質またはその他の有機分子(炭素含有)または無機分子(制限されないで、金属および有機金属化合物を含む)であり得る。多くの製薬会社は、小分子、しばしば、本開示のアッセイのいずれかでスクリーニングされ得る、カビ抽出物、細菌抽出物、または藻抽出物、のアレイを含む化学的および/または生物学的混合物の広範囲のライブラリーを有している。
(処置方法)
本開示の1つの局面は、患者における過敏症の障害の重篤度を処置、阻害、または低減する方法を提供し、ここで、その方法は、その必要のある患者に治療上有効な量のSAPアゴニストを投与することを含む。いくつかの実施形態では、SAPアゴニストの投与は、患者が過敏症の障害に苦しむ日数を、少なくとも、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、またはそれより多くの日数低減する。いくつかの実施形態では、SAPアゴニストの投与は、患者における過敏症の障害の発症を、少なくとも、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、またはそれより多くの日数低減する。
本発明の方法は、過敏症の障害に苦しむ患者を処置するために使用され得るが、いくつかの実施形態では、この方法はまた、過敏症の応答を有さないが、過敏症の応答を発達させる危険のある患者に実施される。過敏症の障害を発達させる危険のある患者においては、本発明の方法による処置は、過敏症の応答の重篤度を低減し得、過敏症の応答の発達を阻害し得、または過敏症の応答の発症を予防し得る。いくつかの実施形態では、SAPアゴニストの投与は、患者が過敏症の障害に苦しむ日数を少なくとも、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、またはそれより多くの日数減少させる。いくつかの実施形態では、SAPアゴニストの投与は、患者における過敏症の障害の発症を少なくとも、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、またはそれより多くの日数阻害する。
本発明の特定の方法では、SAPアゴニストは、過敏症の応答を引き起こすか、または患者をそのような障害を発達させるリスクに置く治療での、処置の前、その治療での処置の間、および/またはその治療での処置の後に患者に投与される。特定の実施形態では、抗過敏症療法は、種々の抗原に対するアレルギー特異的免疫応答(例えば、アナフィラキシー)を処置するために使用され得る。その種々の抗原としては、抗菌物質、鎮痙薬、化学療法剤、ヘパリン、インスリン、プロタミン、アスピリンおよび他の非ステロイド性抗炎症剤、筋弛緩剤、導入剤(induction agent)、麻酔薬、脈管内の容積拡張ためのコロイド、造影物質(radiocontrast material)、血液製剤、ならびにラテックスが挙げられるが、これらに限定されない。
本開示の別の局面は、過敏症の障害を処置する方法を提供し、複数SAPアゴニストの共同投与による。本明細書で用いられるとき、句「共同投与」は、2つ以上の異なる治療化合物の投与の任意の形態をいい、第2の化合物が投与され、その一方、先に投与された治療化合物は身体中でなお有効である(例えば、これら2つの化合物は患者において同時に有効であり、これは、2つの化合物の相乗効果を含み得る)。例えば、これら異なる治療化合物は、同じ製剤で、または別個の製剤でのいずれかで、同時に、または逐次的に、のいずれかで投与され得る。従って、このような処置を受けた個体は、異なる治療化合物の組み合わされた効果からの利益を受け得る。
本願の別の局面は、1つ以上のSAPアゴニスト、および追加の活性薬剤の共同投与による過敏症関連障害を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、抗過敏症療法は、前過敏症(pro−hypersensitivity)因子を阻害または拮抗する薬剤(例えば、過敏症の応答の形成および維持に関与する1つまたはそれより多くの増殖因子またはサイトカインに拮抗する薬剤)を含む。このやり方で、抗過敏症療法は、過敏性に関与する細胞(Th2T細胞、肥満細胞、好塩基球、B細胞(形質細胞)、好酸球、マクロファージ、および樹状細胞が挙げられる)の活動に拮抗するために使用され得る。
いくつかの実施形態では、その活性薬剤は、前過敏症因子アンタゴニストおよび/または抗過敏症剤である。特定の実施形態では、前過敏症因子は、本発明の療法の一部としてのアンタゴニストに対する標的であって、前過敏症因子には、限定することなく、IL−4、IL−13、IL−5、IL−19、IL−15、IL−17A、IL−17E、IL−33、IL−21、TSLP、IgE、ヒスタミン、アレルギー性プロスタグランジン、システイニルロイコトリエン、トロンビン、アンギオテンシン、エンドセリン、PAF、および過敏症の障害を促進または維持することが知られる他の因子が挙げられ得る。特定の実施形態では、その活性薬剤としては、1つまたはそれより多くの前過敏症因子に向けられる抗体が挙げられ得る。
いくつかの実施形態では、その活性薬剤としては、もう1つの前過敏症因子および/またはサイトカイン(例えば、それらのフラグメント)に対応するレセプターのアンタゴニストが挙げられ得る。
特定の実施形態では、その活性薬剤としては、免疫エフェクター細胞の活性化/増殖、炎症性メディエータの放出、酸化的バースト、食作用、および抗原提示に必要とされるレセプターシグナリング経路のインヒビターが挙げられ得る。
特定の実施形態では、その活性薬剤としては、1つまたはそれより多くの前過敏症因子および/またはサイトカインに関するアンチセンスである配列を少なくとも1つ含む1つまたはそれより多くのオリゴヌクレオチドが挙げられ得る。
他の選択される実施形態では、その活性薬剤としては、ヒスタミン、プロスタグランジン、およびシステイニルロイコトリエンについての前駆体分子のインヒビターが挙げられ得る。
特定の実施形態では、その活性薬剤は、コルチコステロイド、長時間および短時間作用型β2アゴニスト、クロモリンならびに/またはキサンチンからなる群から選択され得る。
いくつかの実施形態では、その活性薬剤としては、1つまたはそれより多くのIL−10、IL−12、および/またはIFN−γアゴニストが挙げられる。
特定の実施形態では、過敏症関連障害を処置するためのSAPアゴニストは、アレルゲン特異的免疫療法(SIT)を用いて共同投与される。
本開示の別の局面は、1つまたはそれより多くのSAPアゴニストを含む(compromise)、過敏症関連障害を処置するためのキットを提供する。いくつかの実施形態では、そのキットは、1つまたはそれより多くのSAPアゴニストと共同投与される追加の活性薬剤を含み得る。そのアゴニスト(複数可)および活性薬剤は、共同投与されるように処方される。化合物は、別個に、または組み合わせ処方物で投与され得る。その化合物は、同時にまたは異なる投薬スケジュールで投与され得る。
いくつかの実施形態では、そのSAPアゴニストは、低分子、核酸、またはポリペプチドから選択される。そのSAPアゴニストは、SAPシグナリングを増加し得、SAPシグナリングを模倣し得、SAP活性を増加し得、SAP発現を増加し得、または血清SAPレベルを増加し得る。特定の実施形態では、そのSAPアゴニストは、SAPポリペプチド、FcγR抗体(抗FcγRI、抗FcγRII、抗FcγRIII)、凝集したIgG抗体、または架橋したIgG抗体である。
いくつかの実施形態では、SAPアゴニストの投与は、過敏症の障害を処置するために使用され、アレルギー性鼻炎、アレルギー性副鼻腔炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性喘息、アトピー性湿疹、皮膚炎、アナフィラキシー、食物アレルギー、アレルギー性喘息、アトピー性湿疹、皮膚炎、じんま疹、アナフィラキシー、食物アレルギー、有針昆虫および/または咬む昆虫(biting insect)の毒物に対するアレルギー性反応、アレルギー性気管支収縮、アレルギー性呼吸困難、肺におけるアレルギー性の粘液産生の増加、肺炎、および悪化したCOPDまたはアレルゲン(例えば、花粉、ウイルス粒子、および真菌)に対する急性炎症応答により引き起こされる他の肺疾患が挙げられる。
特定の実施形態では、SAPアゴニストの投与は、過敏症の障害を処置するために使用され、ここで、この過敏症の障害は、線維症ではない。
特定の実施形態では、SAPアゴニストの投与は、患者におけるアレルギー性喘息応答を処置するために使用され、ここで、この患者は、慢性喘息を有さない。
1つの局面では、本開示は、T細胞を含むサンプルから調節T細胞を富化した細胞の集団を生成する方法を提供する。いくつかの実施形態では、調節T細胞を富化した細胞の集団を生成する方法は、インビボで行われる。いくつかの実施形態では、この方法は、T細胞(例えば、CD4+細胞)を含む哺乳動物被験体からサンプルを得る工程、およびこのT細胞を、調節T細胞を生成するに十分な時間の間SAPと接触させる工程を包含する。これらT細胞は、SAPに曝す前に哺乳動物サンプルから単離される。いくつかの実施形態では、これら調節T細胞は、SAPに曝した後、培養物中のその他の細胞から単離される。いくつかの実施形態では、患者は、患者からT細胞を含む生物学的サンプルを得る工程の前にSAPを投与される。
T細胞に関して、用語「単離され」は、少なくとも、70、80、90、95、99、または100%のT細胞を有する形態である細胞集団調製物をいう。いくつかの実施形態では、これらT細胞は、70、80、90、95、99、または100%のFoxP3および/またはIL−10産生性調節T細胞であり得る。いくつかの局面では、所望の細胞集団は、その他の細胞成分から単離され、いくつかの例では、「夾雑」または単離において細胞の研究を妨害し得るその他の細胞タイプを特異的に排除する。しかし、そのような「単離された」細胞集団は、細胞生存のため、または本開示によって提供される所望の結果を達成するために必要であるさらなる細胞タイプを取り込み得る。例えば、単球(マクロファージ)または樹状細胞のような抗原提示細胞が、調節T細胞の生成のために、「単離された」T細胞集団中に存在し得るか、または単離されたT細胞の集団に添加され得る。いくつかの局面では、これらの抗原提示細胞は、活性化された単球または樹状細胞であり得る。いくつかの局面では、これら抗原提示細胞は、刺激性抗原および/またはSAアゴニストへの曝露によって活性化される。
本開示の方法における使用のための哺乳動物T細胞は、哺乳動物被験体から採取された生物学的サンプルから単離され得る。このサンプルは、多くの供給源からもたらされ得、制限されないで、末梢血、白血球搬出血液製剤(leukapheresis blood product)、アフェレーシス血液製剤、骨髄、胸腺、組織生検、腫瘍、リンパ節組織、消化管付随リンパ組織、粘膜付随リンパ組織、さい帯血、肝臓、免疫学的傷害の部位(例えば、滑液)、膵臓、および脳脊髄液を含む。ドナー被験体は、好ましくはヒトであり、そして胎児、新生児、子供、成人であり得、そして正常、問題の疾患に疾患した、または問題の疾患に罹患し易い場合がある。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、生物学的サンプルを単離する前にSAPを投与される。
いくつかの実施形態では、T細胞サンプルは、血液サンプルからの末梢血単核細胞(PBMC)を含む。「末梢血単核細胞」または「PBMC」により、リンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞などを含む)、および単球が意味される。一般にPBMCは、標準的な技法を用いて患者から単離される。いくつかの実施形態では、PBMCのみが採取され、実質的にすべての赤血球細胞および多形核白血球がドナーに残されるか、または戻される。PBMCは、ロイコフォレーシスのような当該技術分野で公知の方法を用いて単離され得る。一般に、5〜7リットルのロイコフォレーシス工程が実施され、これは、患者からPBMCを本質的に除去し、残りの血液成分を戻す。サンプルの収集は、好ましくは、抗凝固剤(例えば、ヘパリン)の存在下で実施される。
PBMCまたは単離されたT細胞を含むT細胞含有サンプルは、SAPまたはSAPアゴニストでの処理前に種々の方法を用いて前処理され得る。一般に、細胞が一旦収集されると、細胞はさらに濃縮され得、濃縮が収集と同時になされない場合でも、さらに細胞を精製そして/または濃縮する。例えば、PBMCは、密度勾配遠心分離(例えば、Ficoll−Hypaque勾配による)により部分精製され得る。ドナーサンプルから単離された細胞は、通常、血清タンパク質、および自己抗体、インヒビターなどの可溶性血液成分を除去するために、当該技術分野で周知の技法(複数可)を用いて洗浄される。これは、生理学的媒体またはバッファーの添加を含み、遠心分離が続く。一般に、これは、必要に応じて繰り返され得る。細胞は、次いで、カウントされ得、そして一般に、1×10〜2×10白血球細胞が、5〜7リットルの白血球搬出法から収集される。精製された細胞は、生存率を維持するために適切な媒体またはバッファー中に再懸濁され得る。再懸濁に適切な溶液は、一般に、必要に応じてウシ胎仔血清、BSA、HSA、正常ヤギ血清、および/またはその他の天然に存在する因子を補充し、低濃度、一般に5〜50mMの受容可能なバッファーと組み合わせて、平衡化された塩溶液である(例えば、ノーマルセーライン、PBS、ハンクス平衡化塩溶液など)。便利なバッファーは、制限されないで、HEPES、リン酸バッファー、乳酸バッファーなどを含む。
特定の細胞タイプ(例えば、エフェクターT細胞、調節T細胞など)は、所望の特徴を有する細胞(例えば、CD4+、FoxP3+など)を富化する技法を用いて細胞の複合混合物から分離され得る。大部分の標準的分離方法は、実質的に単離された細胞集団を得るためにアフィニティー精製技法を用いる。アフィニティー分離のための技法は、制限されないで、磁気分離(例えば、抗体被覆磁性ビーズを用いる)、アフィニティークロマトグラフィー、モノクローナル抗体に連結された細胞傷害性作用因子(例えば、補体およびサイトトキシン)、および固体マトリックスに付着された抗体での「パニング(panning)」を含み得る。正確な分離を提供する技法は、蛍光活性化細胞ソーティングを含み、これは、変動する程度の洗練、例えば、複数色チャンネル、インピーダンスチャンネルなどを有し得る。生存細胞は、死滅細胞に対して、死滅細胞に関連する色素(例えば、ヨウ化プロピジウム、LDSなど)を採用することにより選択され得る。選択された細胞の生存率に過度に有害でない任意の技法が用いられ得る。
用いられるアフィニティー試薬は、細胞表面分子(例えば、CD4、CD25など)に対する特異的レセプターまたはリガンドであり得る。抗体はモノクローナルまたはポリクローナルであり得、そしてトランスジェニック動物、免疫動物、不死化B細胞、および抗体をコードするDNAベクターでトランスフェクトされた細胞によって産生され得る。抗体の調製の詳細、および特異的結合メンバーとしての使用のためのそれらの適合性は当業者に周知である。抗体試薬に加え、ペプチド−MHC抗原とT細胞レセプターペアが用いられ得、ペプチドリガンド、エフェクター分子およびレセプター分子も同様である。
精製のためのアフィニティー試薬として用いられる抗体は、一般に、分離における使用のためにラベルで複合体化される。ラベルは、磁気ビーズ(これは直接分離を可能にする)、ビオチン(これは、支持体に結合されたアビジンまたはストレプトアビジンで取り出され得る)、蛍光色素(これは蛍光活性化細胞ソーターとともに使用され得る)、または特定細胞タイプの分離の容易さを可能にするその他のこのようなラベルを含み得る。蛍光色素は、フィコエリスリンおよびアロフィコシアニンのようなフィコビリプロテイン、フルオレセインおよびTexas redを含み得る。頻繁に、各抗体は、各マーカーについて独立のソーティングを可能にするために、異なる蛍光色素で標識される。
所望の細胞集団の精製のために、細胞特異的抗体が細胞の懸濁物に添加され、そして利用可能な細胞表面抗原に結合するに十分な時間の期間インキュベートされる。このインキュベーションは通常少なくとも約5分、そして通常約30分未満である。反応混合物中に、分離の有効性が抗体の欠如により制限されないような十分な濃度の抗体を有することが所望される(すなわち、飽和量の抗体を用いる)。適切な濃度はまた、滴定により決定され得る。細胞が分離される媒体は、細胞の生存率を維持する任意の媒体である。好ましい媒体は、0.1%〜0.5%BSAを含むリン酸緩衝化食塩水である。種々の媒体が市販され利用可能であり、そして細胞の性質に従って使用され得、必要に応じてウシ胎仔血清、BSA、HSAなどを補填した、Dulbecco’s Modified Eagle Medium、Hank’s Basic Salt Solution、Dulbeccoのリン酸緩衝化食塩水、RPMI、Iscove培地、5mM EDTAを含むPBSなどを含む。
細胞の染色強度はフローサイトメトリーによってモニターでき、ここで、レーザーが蛍光色素の定量的レベル(これは、抗体によって結合された細胞表面抗原の量に比例する)を検出する。フローサイトメトリー、または蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)はまた、抗体染色の強度、ならびに細胞サイズおよび光散乱のようなその他のパラメーターに基づき細胞集団を分離するために用いられ得る。染色の絶対レベルは、特定の蛍光色素および抗体調製物とともに異なり得るが、データは、コントロールに対して正規化され得る。
標識された細胞は、次いで、指定されたマーカー(例えば、CD4、CD25など)の発現について分離される。分離された細胞は、これら細胞の生存率を維持する任意の適切な、通常、収集チューブの底に血清のクッションを有する、媒体中に収集され得る。種々の媒体が市販され入手可能であり、そして細胞の性質に従って用いられ得、頻繁にウシ胎仔血清が補填された、dMEM、HBSS、dPBS、RPMI、Iscoveの培地などを含む。
所望の特徴(例えば、CD4+T細胞、CD4+CD25+調節T細胞など)について高度に富化された細胞集団は、このようにして達成される。この所望の集団は、70%以上の、または約70%以上の細胞組成物、そして通常90%以上の、または約90%以上の細胞組成物であり、そして約95%以上のほどの細胞集団であり得る。この富化された細胞集団は直ちに用いられ得る。細胞はまた、分離手順の前に細胞を凍結することが好ましいが、凍結され得る。あるいは、細胞は、液体窒素温度で凍結され得、そして長期間貯蔵され、融解され、そして再使用され得る。これら細胞は、通常、媒体、グルコースなどと組み合わせて、DMSOおよび/またはFCS中に貯蔵される。一旦融解されると、これら細胞は、増殖因子、抗原、刺激、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞)などの使用により、増殖および分化のために増やされ得る。
いくつかの局面では、本発明の方法は、患者中への移植のための調節T細胞のエクスビボ生成、または調節T細胞機能のインビトロモデルおよびアッセイの開発のために有用である。これら調節T細胞培養物は、新規な調節因子および薬剤の価値ある供給源として供される。通例の過敏症治療薬は、組織損傷の末端事象をブロックするためか、または過敏症の応答の末端メディエータ(例えば、炎症性サイトカイン、IgEなど)を標的とするために用いられるが、一般に基礎となる過敏症の応答は改変しない。理論によって拘束されることは希望しないが、本明細書中に開示される方法の戦略は、通常の調節細胞機能を回復することにより、寛解を生成することであり、そしてそれ故、本明細書中の本開示に従って作製された調節T細胞を用いて免疫系を「リセット」する。
一旦、PBMCまたは単離されたT細胞が、任意の必要な前処理を受けると、細胞は、SAPで処理される。本明細書においては、「処理される」により、細胞が、適切な栄養媒体中で、SAPと、エフェクターT細胞によって媒介される免疫応答を阻害する能力を有する調節T細胞を生成するに十分な時間の間インキュベートされることが意味される。いくつかの実施形態では、最初の培養物はほぼ等容量の栄養媒体で希釈される。その他の局面では、最初の細胞培養物は、次いで栄養媒体で希釈される2つ以上の部分に分割される。培養物分割の利点は、最初の培養物の分割の間に、最初の培養物中に形成された細胞クラスター(何千もの細胞)が機械的に破壊され、そしてより小さな細胞クラスター(数十〜数百の細胞)を形成することである。これらの小さなクラスターは、次いで、次の増殖期間の間により大きなクラスターに成長し得る。この様式で生成された細胞培養物は、同様の方法を用いて2回以上サブ培養され得る。いくつかの実施形態では、第2の培養物または任意の引き続く培養物は、実質的にSAPがなく、例えば、培養物は、10μg/ml未満、好ましくは0.1μg/ml未満、またはより好ましくは0.001μg/ml未満を含み得る。SAPの実質的にない培養物は、SAPの濃度が調節T細胞の生成を促進するには十分ではないものである。
細胞集団は、種々の培養条件下で成長され得る。培養媒体は、液体または半固体(例えば、寒天、メチルセルロースなどを含む)であり得る。細胞集団は、便利には任意の適切な栄養媒体中に懸濁され得、制限されないで、通常、ウシ胎仔血清(約5〜10%)、L−グルタミン、および抗生物質(例えば、ペニシリンおよびストレプトマイシン)が補填れた、Iscoveの改変Dulbeccoの培地、またはRPMI−1640を含む。
細胞培養物は、細胞が応答性である増殖因子を含み得る。本明細書で規定されるとき、増殖因子は、膜貫通レセプターに対する特異的効果を通じて、培養においてか、またはインタクトな組織においてのいずれかで、細胞の生存、成長および/または分化を促進し得る分子である。増殖因子はポリペプチドおよび非ポリペプチド因子を含む。主題の細胞を培養することにおいて用いられ得る特定の増殖因子は、好ましくは、抗原提示細胞、レクチン、非特異的刺激物(例えば、ConA;LPS;など)と組み合わせた、インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18など)および抗原(例えば、アロ抗原のような、ペプチド抗原、タンパク質抗原)を含む。培養物はまた、調節T細胞活性を刺激または阻害し得る細胞表面レセプターに対する、抗体(例えば、抗CD3)、または特異的リガンド(精製されたリガンド、Fc融合タンパク質の形態にあるか、またはロイシンジッパー形態のようなその他の組換えタグ化形態)を含み得る。例えば、調節T細胞上のTNFRまたはその他の同時刺激分子を結合し、そして調節T細胞活性を刺激および増加し、調節T細胞活性を無効にし(そして増殖を誘導する)、または調節T細胞のアポトーシスを刺激するmAbまたはリガンドが含められ得る。詳細な培養条件は、代表的には、特定の目的(すなわち、調節T細胞活性の維持、調節T細胞集団の増殖など)を達成するために選択される。調節T細胞は、未熟または成熟樹状細胞、およびその他の抗原提示細胞(例えば、単球、B細胞、マクロファージなど)と、SAPでの処理前、SAPでの処理の間、SAPでの処理の後に同時培養され得る。調節T細胞は、その他のT細胞集団と同時培養され得る。いくつかの局面では、培養物はまた、IL−10産生性調節CD4+T細胞の生成を促進することが実証された(Barratら、J.Exp.Med.195(5):2002、603〜616)、ビタミンD3および/またはデキサメタゾンを含む。
遺伝子が、種々の目的(例えば、感染を予防するか、または感染に対する感受性を低減する、機能変異の損失を有する遺伝子を置き換える、Th細胞を阻害する調節T細胞の能力を増加する、インビボで調節T細胞を特定領域にホームさせるなど)のために培養または移植の前に調節T細胞中に導入され得る。あるいは、アンチセンスmRNAまたはリボザイムを発現するベクターが導入され、それによって、所望されない遺伝子の発現をブロックし得る。遺伝子治療のその他の方法は、移植された細胞が、選択圧(例えば、多剤耐性遺伝子(MDR)、またはbcl−2のような抗アポトーシス遺伝子)に有利であり、そして選択圧を受け得ることを可能にする薬物耐性遺伝子の導入を含む。当該技術分野で公知の種々の技法が、標的細胞をトランスフェクトするために用いられ得る(例えば、エレクトロポレーション、カルシウム沈殿DNA、融合、トランスフェクション、リポフェクションなど)。DNAが導入される特定の様式は、細胞の生存率に影響しないことを条件に本発明の実施には重要ではない。
外来遺伝子を哺乳動物細胞に移入するために有用な多くのベクターが利用可能である。これらベクターはエピソーム性(例えば、プラスミド、サイトメイガロウイルス、アデノウイルスなどのようなウイルス由来ベクター)であり得るか、または相同性組換え、またはランダム組み込み(すなわち、MMLV、HIV−1、ALVなどのようなレンチウイルス由来ベクターを含むレトロウイルス)を通じて標的細胞ゲノムに組み込まれ得る。
いくつかの実施形態では、本開示の方法によって生成された調節T細胞は、患者に移植または再導入され得る。調節T細胞の養子移入のための方法は、当該技術分野においては良く記載され、例えば、米国特許出願2006/0115899、2005/0196386、2003/0049696、2006/0292164、および2007/0172947(これらの内容は参考として本明細書に援用される)。従って、当業者は、本開示の方法によって産生される調節T細胞をその必要のある患者に容易に移植または再導入し得る。移植されたT細胞は、患者自身から得られたT細胞含有サンプルから、または、処置を受けない別のドナーからもたらされ得る。これは、一般に、当該技術分野で公知のようになされ、そして通常、静脈内投与を経由して処置された細胞を患者に戻して注入すること、または導入するその他の方法を含む。例えば、細胞は、滅菌シリンジまたはその他の滅菌移入機構を用いる注入により、50mlのFenwall注入バッグ中に配置されてもよい。細胞は、次いで、患者中へのフリーフローIVライン中にある期間に亘りIV投与を経由して直ちに注入され得る。いくつかの局面では、バッファーまたは塩のようなさらなる試薬が同様に添加され得る。
いくつかの実施形態では、本開示の方法によって生成された調節T細胞は、患者における過敏症の障害または状態を処置または予防するために用いられ得、治療上有効な量の調節T細胞をその必要のある患者に投与することによる。本開示の調節T細胞は、過敏症の障害または状態の調節T細胞媒介抑制を促進し得る。いくつかの実施形態では、本開示の方法によって生成された調節T細胞の投与は、患者が過敏症の障害に苦しむ日数を、少なくとも、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15またはそれより多くの日数低減する。いくつかの実施形態では、本開示の方法によって生成された調節T細胞の投与は、患者における過敏症の障害の発症を、少なくとも、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15またはそれより多くの日数阻害する。
本発明の方法は過敏症の障害に苦しむ患者を処置するために用いられ得、いくつかの実施形態では、これら方法はまた、過敏症の応答を有さないが、過敏症の応答を発達させる危険のある患者に適用され得る。過敏症の障害を発達させる危険のある患者において、本開示の方法によって生成された調節T細胞での処置は、患者が過敏症の障害に苦しむ日数を少なくとも、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15またはそれより多い日数低減し得るか、または過敏症の障害の発症を、少なくとも、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15またはそれより多い日数阻害し得る。いくつかの実施形態では、本開示の方法によって生成された調節T細胞での処置は、このような疾患を発達させる危険のある患者における過敏症の障害を予防する。本開示の特定の局面では、調節T細胞は、過敏症の応答を引き起こすか、または患者をこのような障害を発症するリスクに置く治療での処置の前、その治療での処置の間、および/またはその治療での処置の後に患者に投与される。特定の実施形態では、この過敏症の応答は、器官または組織の移植を受けた、または受ける患者における有害な免疫応答(例えば、移植片対宿主病)である。
本開示の別の局面は、過敏症関連障害を処置する方法を提供し、調節T細胞と、少なくとも1つの追加の活性薬剤の共同投与による。いくつかの実施形態では、この追加の活性薬剤は、過敏症の疾患を処置または予防するために使用される治療薬剤である:抗IgE抗体、Th1アゴニスト、Th2アンタゴニスト、短期および長期βアゴニスト、コルチコステロイド、クロモリン、キサンチン、およびアレルゲン特異的免疫療法。いくつかの実施形態では、その活性薬剤は、肥満細胞、ヒスタミン、プロスタグランジン、ケモカイン、Th1およびTh2メディエータ、およびシステイニルロイコトリエンのインヒビターであり得る。共同投与に適切なサイトカインは、制限されないで、IL−2、IL−4、IL−7、IL−10、TGF−β、IL−15および/またはIL−17を含み得る。いくつかの実施形態では、追加の活性薬剤は、調節T細胞以外の細胞集団であり得る。例えば、調節T細胞は、その必要のある患者に、単球または樹状細胞のような1つ以上の抗原提示細胞タイプとともに共同投与され得る。いくつかの局面では、これらの抗原提示細胞は、活性化された単球または樹状細胞であり得る。いくつかの局面では、抗原提示細胞は、刺激性抗原および/またはSAPアゴニストへの曝露によって活性化される。いくつかの実施形態では、追加の活性薬剤は、SAPアゴニストであり得る。特定の局面では、過敏症関連障害を処置する方法は、調節T細胞、少なくとも1つのSAPアゴニスト、および1つ以上の追加の活性薬剤の共同投与を包含する。この追加の活性薬剤は、定期投与を基本に投与され得る。
本開示の任意の処置方法は、必要または要求に応じて繰り返され得る。例えば、処置は定期的基準でなされ得る。投与する処置の頻度は、当業者によって決定され得る。例えば、処置は、数週間の間一週間に一度、またはある期間について一週間に複数回(例えば、二週間の期間に亘って3〜5回)投与され得る。一般に、過敏症の疾患の症状の改善は、いくらかの期間、好ましくは、少なくとも数ヶ月持続する。経時的に、患者は、症状の再発を経験し得、その時点で、処置が繰り返され得る。
細胞を患者に移植した後、所望の場合、処置の効果が評価され得る。当業者は、過敏症の疾患の免疫学的発現を評価する多くの方法(例えば、総抗体力価、または特定免疫グロブリンの定量、腎機能試験、組織損傷評価など)があることを認識する。T細胞の数、表現型、活性化状態、および抗原および/または有糸分裂促進剤に応答する能力のようなT細胞機能の試験がまたなされ得る。
本開示はまた、1つ以上のSAPアゴニストを含む過敏症関連障害を処置または予防するキットを提供する。いくつかの実施形態では、このキットは、1つ以上のSAPアゴニストと共同投与されるべき追加の活性薬剤を含み得る。いくつかの実施形態では、この追加の活性薬剤は、過敏症の疾患を処置または予防するために用いられる治療薬剤である。本発明の活性薬剤は、制限されないで、β−インターフェロン、コルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症剤、腫瘍壊死ブロッカー、抗マラリア薬物、シクロスポリン、腫瘍壊死αインヒビター、免疫抑制剤、免疫モジュレーター、サイトカイン、抗移植片拒絶治療剤、および抗体治療剤を含み得る。共同投与に適切なサイトカインは、制限されないで、IL−2、IL−4、IL−10、TGF−β、IL−15および/またはIL−17を含み得る。特定の局面では、この追加の活性薬剤は、調節T細胞の集団である。このアゴニスト(単数または複数)および追加の活性薬剤は、共同投与されるように処方され得る。キットの活性薬剤は、別個に、または組み合わせ処方物で投与され得る。これら活性薬剤は、同時にまたは異なる投薬スケジュールで投与され得る。
いくつかの実施形態では、本発明はさらに、本発明の方法の実施のため(すなわち、調節T細胞を生成するためのSAPアゴニストとの細胞のインキニベーション)のキットを提供する。このキットは多くの成分を有し得る。いくつかの局面では、このキットは、患者から細胞を受けるように適合された細胞処置コンテナを含み得る。患者は正常なドナー、または過敏症の障害もしくはその他の状態に苦しむ患者であり得る。コンテナは滅菌状態であるべきである。いくつかの実施形態では、細胞処置コンテナは細胞の収集のために用いられ、例えば、それは、入口ポートを用いてロイコフェレーシス機械に取り付けられるように適合されている。その他の実施形態では、別個の細胞収集コンテナが用いられ得る。キットはまた、特定のT細胞サブセットを精製し、そして患者への戻し移入のためにそれらを増殖する自動化された閉鎖システムにおける使用のために適合され得る。
細胞処置コンテナの形状および組成は、当業者に認識されるように、変動し得る。一般に、このコンテナは多くの異なる形態であり得、IVバッグに類似の可撓性バッグ、または細胞培養ベッセルに類似の剛直性コンテナを含む。それは、撹拌を可能にする形態であり得る。一般に、コンテナの組成物は、任意の適切な生物学的に不活性な材料(例えば、ガラスまたはプラスチック、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなど)である。細胞処置コンテナは、細胞、試薬、調節組成物などの導入または取り出しのために、1つ以上の入口ポートまたは出口ポートを有し得る。例えば、コンテナは、患者中への再導入の前の分析のための細胞のフラクションの取り出しのためのサンプリングポートを備え得る。同様に、コンテナは、細胞の患者中への導入を可能にする出口ポートを備え得;例えば、コンテナは、IVセットアップへの取り付けのためのアダプターを備え得る。
キットはさらに、SAPアゴニストおよび必要に応じて1つ以上の追加の活性薬剤(例えば、サイトカイン、有糸分裂促進剤など)を含む組成物の少なくとも1つの用量を含む。これら成分は、別個の用量または組み合わせとして用いられ得る。例えば、SAPは、少なくとも1つ以上のサイトカインおよび/または1つ以上の有糸分裂促進剤と組み合わせられ得る。キットはまた、1つ以上のサイトカイン(例えば、IL−2、IL−7、IL−10、IL−15、IL−17など)、有糸分裂促進剤または追加の活性薬剤を含む第2の調節組成物の少なくとも1つの用量を含み得る。いくつかの実施形態では、その追加の活性薬剤は、過敏症の疾患を処置または予防するために用いられる治療薬剤であり得る。キットの活性薬剤は、制限されないで、抗IgE抗体、Th1アゴニスト、Th2アンタゴニスト、短期および長期βアゴニスト、コルチコステロイド、クロモリン、キサンチン、およびアレルゲン特異的免疫療法を含み得る。いくつかの実施形態では、キットの活性薬剤は、肥満細胞、ヒスタミン、プロスタグランジン、ケモカイン、Th1およびTh2メディエータ、およびシステイニルロイコトリエンのインヒビターであり得る。投与に適切なサイトカインは、制限されないで、IL−2、IL−4、IL−10、TGF−β、IL−15および/またはIL−17過敏症治療剤を含み得る。
キットはまた、最初の培養物を希釈するため、そして/または凍結乾燥キット成分を溶解するために栄養媒体の少なくとも1つの用量を含み得る。この文脈で「用量」は、効果(すなわち、調節T細胞のSAPアゴニスト誘導増殖)を引き起こすに十分である組成物の量を意味する。いくつの場合には、複数用量が含められ得る。1つの実施形態では、この用量はポートを用いて細胞処置コンテナに添加され得;あるいは、好ましい実施形態では、最初の調節組成物は、既に細胞処置コンテナ中に存在している。いくつかの実施形態では、調節組成物および/または栄養媒体は、安定性のために凍結乾燥され、そして栄養媒体を用いて再構成される。いくつかの実施形態では、キットはさらに、少なくとも1つの試薬を含み、これには、バッファー、塩、媒体、タンパク質、薬物などが含まれる。例えば、有糸分裂促進剤、モノクローナル抗体、および細胞分離のための処置された磁性ビーズが含められ得る。いくつかの実施形態では、キットはさらに、キットを用いるための書面の指示書を含み得る。
(過敏症関連障害)
ほとんどの過敏性障害は、組織傷害をもたらす、外来抗原に対する制御されない応答、または過度の応答として特徴付けられる。いくつかの実施形態では、過敏症の障害は、全身性または局所性である。主題の方法を用いる処置を受ける可能性があり得る過敏症の障害は、Th2媒介性疾患であって、このTh2媒介性疾患としては、アレルギー性鼻炎、アレルギー性副鼻腔炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性気管支収縮、アレルギー性呼吸困難、肺におけるアレルギー性の粘液産生の増加、アトピー性湿疹、皮膚炎、じんま疹、アナフィラキシー、肺炎、およびアレルギー性喘息が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、抗過敏症療法の組成物は、種々の抗原に対するアレルギー特異的免疫応答(例えば、アナフィラキシー)を処置するために使用され得る。その種々の抗原としては、抗菌物質(例えば、セファロスポリン、スルホンアミド、ペニシリン、および他のβラクタム)、鎮痙薬(例えば、フェニトイン、フェノバリタル(phenobarital)、カルバマゼピン、ダプソン、アロプリナール(allopurinal)、およびミノサイクリン)、化学療法剤(例えば、タキサン類、白金化合物、アスパラギナーゼ、およびエピポドフィロトキシン)、ヘパリン、インスリン、プロタミン、アスピリンおよび他の非ステロイド性抗炎症剤、筋弛緩剤(例えば、スクシニルコリン、アトラクリウム、ベクロニウム、およびパンクロニウム)、導入剤(例えば、バルビツレート、エトミデート、プロポフォール)、麻酔薬(例えば、フェンタニール、メペリジン、モルヒネ)、脈管内の容積拡張ためのコロイド、造影物質、血液製剤、ラテックス、動物製品(animal product)、動物の鱗屑、塵ダニ(dust mite)、昆虫(例えば、咬傷(bite)、刺創(sting)、または毒物)、化粧品、金属(例えば、ニッケル、コバルト、およびクロメート)、植物、胞子、花粉、食物(例えば、乳、卵、コムギ、大豆、ピーナッツ、および木の実(tree nut)、海産食物)、ワクチン接種、および真菌の抗原(例えば、一般的なアレルギー性種としては、Aspergillus、Curvularia、Exserohilum、およびAlternariaが挙げられる)が挙げられるが、これらに限定されない。
抗過敏症療法の組成物は、局所または全身に適用され得る。その組成物はまた、組み合わせて、または補因子とともに供給され得る。
抗過敏症療法の組成物は、外因性の供給源から標的位置へ供給され得るか、または、標的位置にある細胞または標的位置と同じ生物にある細胞により、インビボで作られ得る。
抗過敏症療法の組成物は、任意の生理的に適切な処方物中に存在し得る。それらは、注射により局所的に、経口で吸入により、または任意の他の有効な手段で生物に投与され得る。
過度の過敏症の応答を抑制または阻害するための上に記載される同じ組成物および方法論はまた、不適当な過敏症の応答を抑制または阻害するために使用され得る。例えば、それらは、呼吸器系、眼、皮膚、口、胃腸管、または全身に起こる状態を処置、阻害、または低減し得る。
(アレルギー性喘息)
アレルギー性喘息は、可逆性の気流制限および気道過敏性によって特徴付けられる炎症性疾患である。気道組織における持続性の炎症は、気道の再構築として知られる構造変化および結果として気道閉塞をもたらし得る。持続性慢性喘息において観察される構造変化としては、気道平滑筋肥大および過形成、杯細胞の過形成、気道粘膜の肥厚、および血管分布の増加が挙げられ、この構造変化は気道の炎症に由来する。気道の炎症は、喘息の患者における気道の再構築として知られる、組織傷害および続く構造変化を結局は引き起こすと一般に考えられている。長びく炎症の1つの結果は、気道壁の肥厚である。特定の実施形態において、本発明の抗過敏症療法は、患者におけるアレルギー性喘息応答を処置するために使用され得、気道の炎症を低減し、それにより気道の再構築を予防する。
気道の上皮細胞により産生される多くの炎症性因子があり、上皮の損傷は、喘息の患者におけるサイトカイン、増殖因子、およびエディエータを介する炎症性プロセスに関係する。直接、再構築の一因となる因子は、トランスホーミング増殖因子(TGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、上皮増殖因子(EGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、インスリン様増殖因子1(IGF−1)、エンドセリン−1(ET−1)およびヘパリン結合性上皮増殖因子(HB−EGF)である。気道の粘液は、通常、上皮の表面を傷害から保護し、細菌性破片、細胞性破片、および粒子状破片の、肺からの除去を容易にする。過度の粘液産生はまた、アレルギー性喘息および慢性喘息の重要な特徴であり、実質的に罹患率および死亡率の一因となる。杯細胞および粘膜下腺は、粘液を分泌し、高比率の杯細胞および粘膜下腺の拡大は、粘液の過分泌に関連し、気道の内腔を狭め、従って、気道閉塞の悪化をもたらし得る。
アレルギー性喘息のモデルにおける研究において、Th2サイトカイン(特にIL−4、IL−5、IL−9およびIL−13)の役割を杯細胞化生に関係づけている。IL−13は、分泌細胞の比率を増加させ、同じ細胞内でのMUC5ACの過剰発現を引き起こし、そして結果として気道の上皮細胞における上皮細胞の形態を変化させる。さらに、IL−13は、気道上皮における杯細胞化生およびMUC5ACムチン産生を誘導することが示されており、これらの作用が、気道へリクルートする好中球によるEGFRの活性化に起因し得ることが示唆される。
アレルギー性喘息の患者はまた、気道上皮におけるSTAT−6のレベルを高めた。杯細胞の過形成に関連する他の候補分子は、ヒトCa2+活性化クロライドチャネル−1(CLCA1)およびアンフィレグリンである。最近の研究は、CLCA1遺伝子の発現が、アレルギー性喘息の患者における杯細胞において上方制御されること、および肥満細胞のFcεRIの刺激により産生される、EGFの1つであるアンフィレグリンが、気道上皮においてムチンmRNAの発現を増大させることを実証した。
気道平滑筋の集団の増加は、慢性喘息における気道の再構築の最も目立った特徴である。平滑筋の増殖は、気道平滑筋の大きさの増加である肥大、および気道平滑筋細胞の数の増加である過形成からなる。気道平滑筋の集団の増加は、気道壁の全体の厚みの増加に対して不釣合いである。最近の研究は、気道平滑筋細胞が、サイトカイン、増殖因子、またはマトリックスタンパク質を分泌することによって、ならびに細胞接着分子および他の潜在的な共刺激分子を発現することによって、気道の再構築を調整し得ることを示唆する。気道平滑筋の増殖についての主要な因子としては、EGF、PDGF、TNF−α、トリプターゼ、ヒスタミン、およびセロトニンが挙げられ、主要な阻害因子としては、ヘパリン、β2−アゴニスト、およびコルチコステロイドが挙げられる。
慢性喘息の気道において、気道平滑筋の過形成は、増加した平滑筋の集団をもたらす重要なメカニズムであり、平滑筋の過形成が有糸分裂の刺激およびアポトーシスの抑制に依存することが考えられる。気道平滑筋の増殖に関連する少なくとも3つの主要なシグナル伝達経路が存在し得る:1)PDGF、EGF、bFGFおよびIGFによって刺激されるレセプターチロシンキナーゼ(RTK)、2)トロンボキサンA、ヒスタミン、ET−1、およびLTDによって刺激されるGタンパク質共役レセプター(GPCR)、ならびに3)IL−6およびTNFαによって刺激されるサイトカインレセプター。
数個のサイトカイン、特にTh2サイトカインは、アレルギー性喘息の炎症性プロセスの伝播における直接の役割を有する。IL−13は、好酸球媒介性炎症応答、マクロファージ媒介性炎症応答、およびリンパ球媒介性炎症応答、上皮下の線維症、粘液過分泌、ならびに気道過敏性を誘導するアレルギー性炎症の急性モデルにおいて決定的に重要である。これらの作用は、おそらくSTAT−6シグナリング経路に由来する。
(炎症性眼疾患)
いくつかの実施形態では、本開示の抗過敏症組成物は、炎症性眼疾患の重篤度を処置、予防、または低減するために用いられ得る(例えば、Sugitaら、Invest Ophthalmol Vis Sci 2009;Sugitaら、J Immuno.183(8):5013〜22、2009;Gregersonら、J Immunol.183(2)814〜22、2009;Mattaら、Am J Pathol.173(5):1440〜54、2008;Siemaskoら、Invest Ophthalmol Vis Sci.49(12):5434〜40、2008;Caspi、R.Immunol Res.42(1〜3):41〜50、2008;Nankeら、Mod Rheumatol.18(4):354〜8、2008;Agarwalら、J Immunol.180(8):5423〜9、2008;Ngら、Invest Ophthalmol Vis Sci.48(11):5122〜7、2007;およびSilverら、J.Immunol.179(8):5146〜58、2007を参照のこと)。特に、本開示の抗過敏症組成物は、ブドウ膜炎および/またはブドウ膜網膜炎の重篤度を処置、予防、または低減するために用いられ得る(例えば、Commodaroら、Invest Ophthalmol Vis Sci.2009:Sunら、Invest Ophtalmol Vis Sci.51(2)816〜21、2010;Yehら、Arch Ophthalmol、127(4):407〜13;およびKeら、Invest Ophthalmol Vis Sci.49(9):3999〜4007を参照のこと)。例えば、本開示の組成物は、感染(例えば、HSV、VZVなど)、癌、または自己免疫障害(例えば、ウェゲナー肉芽腫症)から生じる肉芽腫性前部ぶどう膜炎(granulamatomatous anterior uveitis);特に角膜炎、強膜炎、虹彩萎縮症、関節痛、または癌に付随する非肉芽腫性前部ぶどう膜炎;感染、癌、若年性関節リウマチ、多発性硬化症、サルコイドーシス、扁平部炎、硝子体炎(vitritis)、または末梢ブドウ膜炎から生じる中程度ブドウ膜炎;特に網膜出血、知覚神経網膜剥離、巣状網膜炎(focal retinitis)、視神経円板浮腫、または網膜血管炎にともなう後部ブドウ膜炎;またはブドウ膜炎から生じる合併症(例えば、網膜剥離、脈絡膜剥離、硝子体不透明化、緑内障、石灰性バンド形状角膜症、または白内障)を処置するために用いられ得る。特定の局面では、本開示の抗過敏症組成物は、例えば、水涙不足(例えば、シェーグレン症候群)、蒸発性涙生成機能異常(例えば、サルコイド)、ならびに構造的および外因性障害(例えば、輪部角結膜炎(limpic keratoconjunctivitis))を含むドライアイ疾患の重篤度を処置、予防、または低減するために用いられ得る。(例えば、Chauhanら、J Immunol.182(3):1247〜52、2009を参照のこと)。特定の局面では、本開示の抗過敏症組成物は、アレルギー性結膜炎障害の重篤度を処置、予防、または低減するために用いられ得る(例えば、Sumiら、Int Arch Allergy Immunol.148(4):305〜10、2009;Niederkorn J.Curr Opin Allergy Clin Immunol.8(5):472〜6、2008;およびFukushimaら、Allergol Int.57(3):241〜6、2008を参照のこと)。特定の局面では、本開示の抗過敏症組成物は、角膜移植に付随する炎症性眼疾患の重篤度を処置、予防、または低減するために用いられ得る。(例えば、Jinら、Invest Ophthalmol vis Sci.51(2):816〜21、2010;およびChauhanら、J Immunol.182(1):143〜53、2009を参照のこと)。特定の局面では、本開示の抗過敏症組成物は、新生物疾患に付随する炎症性眼疾患の重篤度を処置、予防、または低減するために用いられ得る。特定の局面では、本開示の抗過敏症組成物は、先天的障害に付随する炎症性眼疾患の重篤度を処置、予防、または低減するために用いられ得る。
(抗過敏症療法)
(SAPアゴニスト)
本開示の1つの局面は、種々の疾患、特に過敏症の障害の処置で有用なSAPアゴニストを提供する。SAPアゴニストは、内因性SAPシグナリングを増加またはそうでなければ模倣するすべての化合物および組成物を包含し、SAP活性を増加させる化合物を含む。
(i)ヒト血清アミロイドP
特定の実施形態では、SAPシグナリングアゴニストは、SAPポリペプチドまたはその改変体である。特定の実施形態では、SAPポリペプチドは、5つのヒトSAPプロトマー(配列番号1)を含むSAPである。用語「SAPプロトマー」は、Brutlagら(Comp.App.Biosci.、6:237〜245(1990))のアルゴリズムに基づくFASTDBコンピュータープログラムを用いて決定されるように、ヒトSAPプロモーターに少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%または100%同一であるポリペプチドをいうことが意図される。特定の実施形態では、アミノ酸アラインメントの%同一性および類似性を算出するために採用されるパラメーターは以下を含む:Matrix=PAM150、k−tuple=2、Mismatch Penalty=1、Joining Penalty=20、Randomization Group Length=0、Cutoff Score=1、Gap Penalty=5およびGap Size Penalty=0.05。用語「SAPプロトマー」は、先行する任意のものを含む機能的フラグメントおよび融合タンパク質を包含する。一般に、SAPプロトマーは、生物学的に相当する温度、pHレベルおよび容量オスモル濃度で水溶液中に可溶性であるように設計される。非共有結合で一緒に結合してSAPを形成するプロトマーは、同一のアミノ酸配列および/または翻訳後改変を有し得るか、または、それに代わって、個々のプロトマーは、異なる配列および/または改変を有し得る。
本発明のいくつかの局面はポリペプチドを提供するか、またはこれらポリペプチドを採用するための治療方法を提供し、ここで、これらポリペプチドは、少なくとも一部は、参照配列に規定される。従って、このようなポリペプチドは、参照配列に同一でない特定%のアミノ酸残基を有し得る。いくつかの実施形態では、同一でない残基は、それらが同一でない残基に類似の化学的性質を有する。類似の性質を有するグループは、以下のアミノ酸を含む;E、D、N、およびQ;H、K、およびR;Y、FおよびW;I、L、V、M、C、およびA;ならびにS、T、C、P、およびA。
いくつかの実施形態において、同一でない残基は、同じ目(order)内の種(species)においてのような、少なくとも1つの進化的に関連する種における参照配列と定向進化配列との間で進化的に保存されていない残基である。脊椎動物参照配列の場合においては、好ましい実施形態で変異され得るアミノ酸は、参照配列と別の脊椎動物種における定向進化配列との間で保存されていないものである。例えば、本発明の方法において用いられるポリペプチドが、ヒトSAP(配列番号1)に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含むといわれる場合、このポリペブチドは、ヒトSAPと別の脊椎動物のそれが異なるような位置に対して同一でない残基を有し得る。図1は、2つの哺乳動物および1つのトリSAP配列に対してアラインされたヒトSAPを描写する。陰のない残基は、ヒトSAP配列とは異なる残基を示す。
配列番号1と少なくとも95%同一性を共有するポリペプチドは、これらの相違の領域に保存的置換を有するポリペプチドを含む。代表的には、別のものに対する1つとして、保存的置換として見られるのは、脂肪族アミノ酸Ala、Val、Leu、およびIle間、ヒドロキシル残基SerとThrとの交換、酸性残基AspとGluとの交換、アミド残基AsnとGlnとの間の置換、塩基性残基LysとArgの交換、および芳香族残基Phe、Tyr間の置換である。どのアミノ酸変化が表現型的にサイレントであるようであるかに関するさらなるガイダンスは、Bowieら、Science 247:1306〜1310(1990)に見出され得る。
SAPポリペプチドは、代表的には、配列番号1に少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、または少なくとも99%同一であるポリペプチドを含む。
いくつかの実施形態では、薬学的組成物が提供され、SAP、またはその機能的フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物が提供され、SAP改変体を含む。SAP改変体のアミノ酸配列は、配列番号1と1つ以上の保存的置換物によって異なり得る。本明細書で用いられるとき、「保存的置換物」は、対応する参照残基に物理的または機能的に類似である残基であり、すなわち、保存的置換物およびその参照残基は、類似のサイズ、形状、電荷、共有結合または水素結合を形成する能力を含む化学特性などを有する。好ましい保存的置換物は、Dayhoffら、Atlas of Protein Sequence and Structure 5:345−352(1978&Supp.)において認められた点変異について規定された規準を満たすものである。保存的置換物の例は、以下の群内の置換物である:(a)バリン、グリシン;(b)グリシン、アラニン;(c)バリン、イソロイシン、ロイシン;(d)アスパラギン酸、グルタミン酸(e)アスパラギン、グルタミン;(f)セリン、スレオニン;(g)リジン、アルギニン、メチオニン;および(h)フェニルアラニン、チロシン。どのアミノ酸変化が表現型的にサイレントであるようであるかに関するさらなるガイダンスは、Bowieら、Science 247:1306〜1310(1990)に見出され得る。
生物学的機能を保持するSAP改変体およびフラグメントは、本明細書に記載される薬学的組成物および方法において有用である。いくつかの実施形態では、SAPの改変体またはフラグメントは、FcγRI、FcγRIIA、および/またはFcγRIIIBを結合する。いくつかの実施形態では、SAPの改変体またはフラグメントは、自己免疫障害または状態を処置または予防するために用いられる。
本発明の特定の実施形態では、SAP、SAP改変体、またはSAPの機能的フラグメントを含む組成物は、標的位置におけるSAP濃度をほぼ少なくとも0.5μg/mlまで上昇するように作動可能であり得る。SAPの機能的フラグメントは、ネイティブSAP活性を保持するSAPポリペプチドの部分である。ヒトでは、125I放射性同位元素標識SAPがアミロイドーシスをもつ試験患者に従前に投与された。この処置では、約600μgのSAPがヒト成人に投与された。従って、SAPの約600μgのヒト成人への全身投与は安全である。より高い用量もまた、適切な条件下で安全であり得る。
(ii)SAPアゴニストとしての抗FcγR抗体
本発明の1つの局面では、SAPシグナリングを模倣する1つ以上の化合物が提供される。いくつかの実施形態では、これらSAPシグナリングアゴニストは、抗FcγR抗体であり、ここで、これら抗体は、FcγRI、FcγRIIA、およびFcγRIIIのいずれかにそれぞれ結合し得る抗FcγRI、抗FcγRIIA、および抗FcγRIII抗体のクラスから選択される。抗FcγR抗体は、IgG抗体のFc部分のレセプター(FcγR)に結合するIgG抗体である。抗FcγR抗体は、それらの可変領域を通じて結合し、そしてそれらの定常領域(Fc)を通じてではない。抗FcγR抗体は、抗体の任意のイソタイプを含み得る。これら抗FcγR抗体は、さらなる抗体またはその他の手段と、またはなしでさらに架橋または凝集され得る。このプロセスは、FcγR活性化と一致する細胞内シグナリング事象を開始する。いくつかの実施形態では、SAPシグナリングアゴニストは、架橋されたFcγRであり得る。
抗FcγRI抗体、抗FcγRII抗体、および/または抗FcγRIII抗体を含む組成物は、不適切な位置にある過敏性障害を抑制するために用いられ得る。
特定の実施形態では、約1.0μg/mlの抗FcγR抗体を含む組成物は、過敏性障害を約50%阻害するのに有効であり得る。その他の実施形態では、組成物は、1.0μg/mlの抗FcγR抗体を標的組織に送達するに十分な量を含み得る。
抗FcγR抗体は、約1.0μg/mlの用量で、標的組織に1.0μg/mlの抗FcγR抗体を送達するに十分な量で、または患者において所望されない量の細胞死滅を引き起こすことなく過敏性障害を阻害するに十分な別の用量で投与され得る。
(iii)凝集したFcドメインおよびFc−含有抗体
いくつかの実施形態では、SAPシグナリングアゴニストは、架橋または凝集したIgGである。架橋または凝集したIgGは、少なくとも2つのそのようなIgG抗体が物理的に互いに結合されることを条件に、そのFc領域を通じて標的FcγRを結合し得る任意のIgGを含み得る。
架橋または凝集したIgGは、抗体全体またはその一部分を、好ましくは過敏性障害の抑制における機能的な部分を含み得る。例えば、それらは、FcγRを架橋し得る任意の抗体部分を含み得る。これは、凝集または架橋した抗体またはそのフラグメント、例えば、凝集または架橋した抗体全体、F(ab’)フラグメント、および可能にはFcフラグメントでさえ含み得る。
抗体の凝集または架橋は、任意の公知の方法によって達成され得、例えば、熱または化学的凝集がある。任意のレベルの凝集または架橋が十分であり得るが、増加した凝集は、増加した過敏性障害抑制を生じ得る。抗体はポリクローナルまたはモノクローナルであり得、例えば、ハイブリドーマ細胞から産生された抗体であってよい。組成物および方法は、抗体の混合物(例えば、多価モノクローナル抗体の混合物)を採用し得、これは、同様または異なる抗体に架橋または凝集され得る。
架橋または凝集したIgGを含む組成物は、不適切な位置における過敏性障害を抑制するために用いられ得る。
その他の特定の実施形態では、組成物は、0.1μg/ml程度の架橋または凝集したIgGを含み得る。凝集または架橋したIgGは、標的組織に少なくとも0.1μg/mlのIgGを送達するに十分な量で、または患者において所望されない量の細胞死滅を引き起こすことなく過敏性障害を阻害するに十分な別の用量で投与され得る。
(iv)(SAPペプチド模倣物)
特定の実施形態では、SAPアゴニストは、ペプチド模倣物を含む。本明細書で用いられるとき、用語「ペプチド模倣物」は、天然に存在しないアミノ酸、ペプトイドなどを含む化学的に改変されたペプチドおよびペプチド様分子を含む。ペプチド模倣物を識別する方法は、当該技術分野で周知であり、そして潜在的なペプチド模倣物のライブラリーを含むデータベースのスクリーニングを含む。例えば、Cambridge Structural Databaseは、結晶構造が知られた300,000超の化合物のコレクションを含む(Allenら、Acta Crystallogr.Section B、35:2331(1979))。標的分子の結晶構造が利用可能でない場合、構造は、例えば、プログラムCONCORD(Rusinkoら、J.Chem.Inf.Comput.Sci.29:251(1989))を用いて生成され得る。別のデータベース、Available Chemicals Directory(Molecular Design Limited、Informations Systems;San Leandro Calif.)は、市販され入手可能であり、そしてまたSAPポリペプチドの潜在的なペプチド模倣物を識別するためにサーチされ得る、約100,000の化合物を含む。
(v)(SAP活性を増加させること)
いくつかの実施形態では、SAPアゴニストは、SAP活性を増加させる。SAP活性は、SAPの濃度を増加させることによって、例えば、SAP転写を増加させること、翻訳を増加させること、SAP分泌を増加させること、SAP RNA安定性を増加させること、SAPタンパク質安定性を増加させること、またはSAPタンパク質分解を低減させることにより、増加され得る。SAP活性はまた、SAPの「遊離濃度」、あるいはむしろは非結合形態を、例えば、SAP内因性結合パートナーを低減させることによって特異的に増加させることによってもまた、増加され得る。
(iv)(Fcγ架橋物)
いくつかの実施形態では、フィブロネクチンを基礎にした足場ドメインタンパク質が、FcγRを架橋するSAPアゴニストとして用いられ得る。フィブロネクチンを基礎にした足場ドメインタンパク質は、フィブロネクチンタイプIIIドメイン(Fn3)、特にフィブロネクチンタイプIII第10ドメイン(10Fn3)を含み得る。FcγRを架橋するために、FcγR結合性Fn3ドメインのマチルマーが、米国特許第7,115,396号に記載のように生成され得る。
フィブロネクチンタイプIIIドメイン(Fn3)は、N末端からC末端への順序で、βまたはβ様ストランド、A;ループ、AB;βまたはβ様ストランド、B;ループ、BC;βまたはβ様ストランド、C;ループCD;βまたはβ様ストランドD;ループDE;βまたはβ様ストランド、E;ループ、EF;βまたはβ様ストランドF;ループFG;およびβまたはβ様ストランドGを含む。これらBC、DE、およびFGループは、構造的および機能的の両方で、免疫グロブリンからの相補性−決定領域(CDR)に類似である。Fn3ドメインは、BC、DE、およびFGループの1つ以上の配列を改変することによりほとんどすべての任意の化合物を結合するように設計され得る。特異的結合体を生成するための方法は、高親和性TNFα結合体を開示する米国特許第7,115,396号に、および高親和性VEGFR2結合体を開示する米国特許出願公開第2007/0148126号に記載されている。フィブロネクチンを基礎にした足場タンパク質の例はAdnectinsTMである(Adnexus、Bristol−Myers Squibb R&D Company)。
いくつかの実施形態では、SAPアゴニストはアプタマーである。FcγRを架橋するために、FcγR結合性アプタマーのマルチマーが生成され得る。
アプタマーはオリゴヌクレオチドであり、これは、合成的によるか、または天然であり得、タンパク質または代謝物のような特定の標的分子に結合する。代表的には、この結合は、古典的なWatson−Crick塩基対合以外の相互作用による。アプタマーは、現在前臨床および臨床開発にある有望なクラスの治療剤を代表する。生物製剤、例えば、ペプチドまたはモノクローナル抗体のように、アプタマーは、分子標的に特異的に結合し得、そして結合により標的の機能を阻害する。代表的なアプタマーは、10〜15kDaのサイズ(すなわち、30〜45ヌクレオチド)であり、その標的をナノモル未満の親和性で結合し、そして緊密に関連した標的を区別する(例えば、代表的には、同じ遺伝子ファミリーからのその他のタンパク質を結合しない)(Griffinら(1993),Gene 137(1):25−31;Jenisonら(1998),Antisense Nucleic Acid Drug Dev.8(4):265−79;Bellら(1999),In vitro Cell.Dev.Biol.Anim.35(9):533−42;Watsonら(2000),Antisense Nucleic Acid Drug Dev.10(2):63−75;Danielsら(2002),Anal.Biochem.305(2):214−26;Chenら(2003),Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.100(16):9226−31;Khatiら(2003),J.Virol.77(23):12692−8;Vaishら(2003),Biochemistry 42(29):8842−51)。
アプタマーは、米国特許第5,475,096号および第5,270,163号に記載されるランダム配列オリゴヌクレオチドのライブラリーから、完全なインビトロ選択プロセス(実験的富化によるリガンドの系統的な評価(Systematic Evaluation of Ligands by Experimental Enrichment)、すなわちSELEXTM)によって作製され得る。アプタマーは、治療的関心の数多くのタンパク質(増殖因子、酵素、免疫グロブリン、およびレセプターが挙げられる)に対して生成されてきた(EllingtonおよびSzostak(1990)、Nature 346(6287):818−22;TuerkおよびGold(1990)、Science 249(4968):505−510)。
アプタマーは、治療薬としての使用のために多くの魅力的な特徴を有する。高い標的親和性および特異性に加え、アプタマーは、標準的なアッセイで毒性および免疫原性がほとんどないか、またはないことが示されている(Wlotzkaら(2002)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.99(13):8898−902)。実際、いくつかの治療薬アプタマーは、薬物動力学的分析、細胞および動物疾患モデルにおける生物学的効力の特徴付け、および予備的な安全性の薬理学的評価(ReydermanおよびStavchansky(1998),Pharmaceutical Research 15(6):904−10;Tuckerら(1999),J.Chromatography B.732:203−212;Watsonら(2000),Antisense Nucleic Acid Drug Dev.10(2):63−75)を含む前臨床開発の種々のステージを通じて最適化され、そして進行されている。
目的の標的に対するアプタマーを生成するための適切な方法は、「指数的富化によるリガンドの系統的な進化」(「SELEXTM」)と題するプロセスとともにある。このSELEXTMプロセスは、標的分子への高度に特異的な結合をもつ核酸分子のインビトロ進化のための方法であり、そして例えば、1990年6月11日に出願された米国特許出願第07/536,428号、今や放棄されている「核酸リガンド」と題する米国特許第5,475,096号、および「核酸リガンド」と題する米国特許第5,270,163号(WO91/19813もまた参照のこと)に記載されている。各SELEXTMと識別された核酸リガンドは、所定の標的化合物または分子の特異的リガンドである。このSELEXTMプロセスは、核酸が種々の二次元および三次元構造を形成する十分な能力、およびモノマー性またはポリマー性であろうと、実質的に任意の化合物との、リガンドとして作用する(特異的結合対を形成する)それらのモノマー内で利用可能な十分な化学的多様性を有するという特有の洞察に基づく。任意のサイズまたは組成の分子が、標的として供し得る。高親和性結合の付与に適用されるSELEXTM法は、同じ一般的選択スキームを用いる、候補オリゴヌクレオチドの混合物および結合のステップワイズ繰り返しからの選択、分画および増幅を含み、結合親和性および選択性の実際に任意の所望の基準を達成する。好ましくはランダム化された配列のセグメントを含む核酸の混合物から出発して、SELEXTM法は、結合に好適な条件下で混合物を標的と接触させる工程、標的分子に特異的に結合したこれらの核酸から未結合の核酸を分画する工程、核酸−標的複合体を解離する工程、核酸−標的複合体から解離した核酸を増幅し、核酸のリガンド−富化混合物を生じる工程、次いで、結合、分画、解離および増幅を、標的分子に対する高度に特異的な高親和性核酸リガンドを生じるために所望に応じて多くのサイクルを通じて繰り返す工程を包含する。指数的富化によるリガンドの系統的進化「SELEXTM」は、例えば、各々が参考として本明細書中に詳細に援用される、米国特許第5,475,096号および米国特許第5,270,163号、ならびにPCT/US91/04078に記載されるように、任意の所望の標的に対する核酸リガンドを作製する方法である。
いくつかの実施形態では、SAPアゴニストは、Nanobodies(登録商標)である。Nanobodies(登録商標)は、天然に存在する重鎖抗体の特有の構造的および機能的性質を含む抗体由来の治療タンパク質である。このNanobody(登録商標)技術は、当初は、ラクダ科(ラクダおよびラマ)が、軽鎖を欠く完全に機能的な抗体を所有するという発見に従って開発された。これらの重鎖抗体は、単一の可変ドメイン(VHH)および2つの定常ドメイン(CH2およびCH3)を含む。重要なことは、クローン化され、そして単離されたVHHドメインは、当初の重鎖抗体の完全な抗原結合能力を有する安定なポリペプチドである。特有の構造的および機能的性質を備えた、これらの新たなVHHドメインは、治療薬抗体の新たな世代の基礎を形成する。
(前過敏症因子アンタゴニスト)
抗過敏症療法は、前過敏症因子を阻害または拮抗する薬剤(例えば、過敏症の応答の形成および維持に関与する1つまたはそれより多くの増殖因子またはサイトカインに拮抗する薬剤)を含む。このやり方で、抗過敏症療法は、過敏症の応答に関与する細胞(Th2T細胞、肥満細胞、好塩基球、B細胞(形質細胞)、好酸球、マクロファージ、樹状細胞が挙げられる)の活動に拮抗するために使用され得る。
前過敏症因子は、本発明の療法の一部としてのアンタゴニストを用いる標的であり得、前過敏症因子には、限定することなく、IL−4、IL−13、IL−5、IL−9、IL−15、IL−17A、IL−17E、IL−33、IL−21、TSLP、IgE、ヒスタミン、アレルギー性プロスタグランジン、ならびにシステイニルロイコトリエンおよび過敏症の障害の維持を促進または過敏症の障害の維持に関連することが知られる他の因子が挙げられる。
特定の実施形態では、抗過敏症療法としては、1つまたはそれより多くの前過敏症因子に向けられる抗体が挙げられ得る。そのような抗体は、精製、非精製、または部分的に精製され得る。その抗体は、任意の適切な動物供給源(例えば、マウス、ウサギ、ラット、ヒト、ウマ、ヤギ、およびウシなど)に由来する、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であり得る。そのような抗体としては、抗体フラグメント、単鎖抗体、重合化抗体(polymerized antibody)および/または抗体フラグメントなどが挙げられ得る。
特定の実施形態では、抗過敏症療法としては、1つまたはそれより多くの前過敏症因子および/またはサイトカイン(例えば、それらのフラグメント)についての対応するレセプターのアンタゴニストが挙げられ得る。適切な濃度でのそのような形態は、そのレセプターに結合するための、その対応する前過敏症因子および/またはサイトカインに競合し得る。同様に、そのレセプターに対する特定の抗体は、対応する前過敏症因子および/またはサイトカインのそれへの結合を干渉または予防するために使用され得る。
他の選択される実施形態では、抗過敏症療法としては、1つまたはそれより多くの前過敏症因子および/またはサイトカインのレセプターの可溶性の形態が挙げられ得、それにより、その可溶性のレセプターは、そのリガンドに対する、その対応する天然の細胞のレセプターに競合する。
他の選択される実施形態では、抗過敏症療法としては、1つまたはそれより多くの前過敏症因子および/またはサイトカインとそのレセプターとの結合に競合するか、またはそうでなければ干渉する化合物が挙げられ得る。
特定の実施形態では、抗過敏症療法としては、1つまたはそれより多くの前過敏症因子および/またはサイトカインに関するアンチセンスである配列を少なくとも1つ含む1つまたはそれより多くのオリゴリボヌクレオチドが挙げられ得る。そのような構成要素としては、また、アンチセンス配列を生じる適切な転写制御配列を有する1つまたはそれより多くの発現プラスミドが挙げられ得る。他の選択される実施形態では、抗過敏症療法としては、1つまたはそれより多くの前過敏症因子および/またはサイトカインの転写産物をRNA媒介性干渉を介して分解するのに適している、1つまたはそれより多くの二本鎖オリゴリボヌクレオチド、またはそれをコードする発現プラスミドが挙げられ得る。他の選択される実施形態では、抗過敏症療法としては、前過敏症因子がそのコグネイトレセプター(cognate receptor)に結合するのを阻害するのに適している、1つまたはそれより多くの一本鎖オリゴヌクレオチドアプタマー、またはそれをコードする発現プラスミドが挙げられ得る。
適切な前過敏症因子アンタゴニストとしては、その対応するレセプターに結合する際に、1つまたはそれより多くの前過敏症因子により活性化される細胞内シグナリング経路の1つまたはそれより多くの構成要素を阻害、減衰、または干渉することが知られる構成要素が挙げられ得る。例えば、ナイーブCD4+T細胞における転写因子STAT6は、IL−4により活性化され、Th2の発達を刺激する。同様に、別の転写因子であるGATA−3は、抗原認識に応答して産生され、IL−4により増強され、Th2応答のメカニズムを増幅する。これら転写制御因子の両方は、Th2細胞の発達に重要であり、従って、過敏症の応答を促進する原因である。
他の選択される実施形態では、適切な抗過敏症因子アンタゴニストとしては、ヒスタミン前駆体、プロスタグランジン前駆体、およびシステイニルロイコトリエン前駆体のインヒビターが挙げられ得る。
(コルチコステロイド)
特にアレルギー性喘息の気道におけるTh2細胞媒介性炎症は、サイトカイン、ケモカイン、および接着分子の発現の阻害を介してコルチコステロイドにより抑制され、このサイトカイン、ケモカイン、および接着分子をコードする遺伝子は、転写因子(例えば、核性因子κB(NF−κB)および活性化タンパク質(activation protein)1(AP1))により調節される。
(β2アドレノセプターアゴニスト)
短時間および長時間作用型β2アドレノセプターアゴニスト(SABAおよびLABA)は、アレルギー性応答の迅速な軽減に対する最も有効な処置の1つである。特にサルブタモールおよびテルブタリンのような吸入SABAは、アレルギー性喘息症状の迅速な軽減のために現在入手可能な最も有効な気管支拡張剤である。これらのアゴニストのβ2アドレノセプターへの結合の後、アデニル酸シクラーゼは、Gタンパク質のシグナル伝達により刺激され、環状アデノシン3’5’−一リン酸(cAMP)の産生を増加し、それにより、タンパク質キナーゼAを活性化する。これは、ミオシン軽鎖キナーゼのリン酸化を介して、およびCa2+依存性K(KCa)チャネルを開くことにより、平滑筋の弛緩を媒介し、このことは、アレルギー性喘息における気管支収縮を軽減する。2つの吸入LABA、ホルモテロールおよびサルメテロールは、少なくとも12時間、気管支拡張を誘導し、吸入コルチコステロイドにより制御されないアレルギー性喘息に対する補足の療法として使用される。LABAは、吸入コルチコステロイドの効力を増加させ得る。
(クロモグリケート(cromoglicate))
クロモグリケート(cromoglicate)(クロモリンまたはクロモグリケート(cromoglycate)とも称される)は、肥満細胞の安定化剤として伝統的に記載され、ナトリウム塩のクロモグリク酸ナトリウムまたはクロモリンナトリウムとして普通に市販されている。この薬物は、炎症性の化学物質(例えば、肥満細胞由来のヒスタミン)の放出を防止する。アレルギー性鼻炎を処置するための鼻のスプレー(Rynacrom、Nasalcrom、Prevalin)として、アレルギー性喘息の予防的管理のための吸入剤(Intal)として、アレルギー性結膜炎のための点眼剤(Opticrom and Optrex Allergy、 Crolom)として、または肥満細胞症、皮膚描記症性じんま疹、および潰瘍性大腸炎を処置するための経口形態(Gastrocrom)において入手可能である。クロモグリク酸ナトリウムはまた、食物アレルギーの症状を低減することが示されている。
(キサンチン)
キサンチンは、ほとんどの身体組織および体液で見出されるプリン塩基である。集合的にキサンチン類として知られるキサンチンの誘導体は、穏やかな刺激薬および気管支拡張剤として、特にアレルギー性喘息の症状を処置することにおいて、その効果のために一般的に使用されるアルカロイドの群である。所望されない全身性の副作用に起因して、キサンチンの治療の範囲は狭く、第二選択の(second−line)アレルギー性喘息処置とされている。治療のレベルは、血中10〜20μg/mlである。
(エフェクターアンタゴニストおよびインヒビター)
抗H1−ヒスタミン(例えば、クロルフェニタミン(chlorphenitamine))は、アレルギー性反応を処置するための特定の薬剤として最初に使用された。薬物の第二世代としては、セチリジン、レボセチリジン、ロラタジン、およびデスロラタジンが挙げられる。
CysLtは、気道平滑筋の最も強力な収縮性アゴニストであって、それらはまた、活動性のアレルギー性喘息および鼻炎の間、CysLTレセプター1(CysLTR1)と相互作用することにより微細血管、粘液腺、好酸球、および神経に及ぼす影響を有する;CysLTC、CysLTD、およびCysLTEの増加したレベルが生物学的流体において検出されている。CysLTの生合成および作用はどちらもコルチコステロイドによって阻害されない。現在入手可能な経口のロイコトリエン修飾物質は、CysLTR1アンタゴニスト(モンテルカスト、ザフィルルカスト、およびプランルカスト)である。ロイコトリエンインヒビターはまた、アレルギー性鼻結膜炎の処置には有効であるが、アトピー性皮膚炎の処置には有効ではない。
テオフィリンは、cAMPホスホジエステラーゼインヒビターおよびアデノシンレセプターアンタゴニストの両方としての活性を有するキサンチンである。テオフィリンは、アレルギー性喘息の気管支収縮を処置するために使用されてきた。以前に、最も有効なホスホジエステラーゼ阻害が、非キサンチン薬物(例えば、ロフムラスト(rofumulast))を用いて4型イソ酵素を標的にすることにより達成された。他のアンタゴニストとしては、PDE4インヒビターおよびp38 MAPキナーゼインヒビターが挙げられる。
(難治性疾患の処置)
症状が従来の処置によって十分に制御されない過敏症の障害、特にアレルギー性喘息を有する幾人かの患者が存在する。カルシニューリンインヒビター(calcinerurin inhibitor)(例えば、経口シクロスポリンA)および局所的に適用されるタクロリムスおよびピメクロリムスは、コルチコステロイド処置に対して難治性であるアトピー性皮膚炎に対する有効な治療薬である。アレルギー性喘息の気道におけるTNFおよび他のTh2細胞関連サイトカインの発現レベルを下げるためのコルチコステロイドの失敗は、なぜコルチコステロイドがその疾患のより重度な形態において限定された作用を有するかを説明し得る。重度のアレルギー性喘息における気道および血液単核細胞におけるTNFの増加した発現に基づき、患者は、可溶性のTNFレセプター融合タンパク質およびTNF特異的モノクローナル抗体を用いて処置され得る。p38分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼおよびIκBキナーゼのインヒビター(例えば、SB220025およびTPCA−1)は、難治性アレルギー性喘息に対する新規の治療剤アプローチである。これらの薬物は、炎症性サイトカイン(例えば、TNFおよびIL−1)の産生を阻害する。
(アレルゲン特異的免疫療法)
アレルゲン特異的免疫療法(SIT)は、アレルギー性鼻炎、毒物過敏症、いくつかの薬物アレルギー、および軽度の気管支アレルギー性喘息の処置に推奨されている免疫改変療法(immune−modifying therapy)である。SITは、アレルゲンに対する繰り返しの曝露を介して、免疫寛容を誘導し、そして遮断IgG4抗体を誘導する。アレルゲンに対する実験的または自然な曝露後、SITは、皮膚、鼻、眼、および気管支粘膜における肥満細胞、好塩基球、および好酸球のリクルートを減少させる。SITは、アレルゲン特異的IgAおよびIgG4抗体のレベルの増加、およびアレルゲン特異的IgE抗体のレベルの減少を生む。それはまた、高レベルのIL−10および/またはTGFβ(アレルゲン特異的Th2細胞応答を減衰させることで知られる2つのサイトカイン)を産生するCD4CD25FoxP3Reg細胞を誘導する。IL−10は、肥満細胞、好酸球、およびT細胞の応答を抑制し、TGFβの多面的機能は、多様な自己寛容T細胞レパトワ(TReg細胞が挙げられる)を維持する。皮下免疫療法(SCIT)は、増分投薬計画(incremental regime)を用いるアレルゲン抽出物、または組換えアレルゲンの通常の皮下注射を必要とし、用いられる投薬計画に依存して数日から数ヶ月を要する寛容の誘導を伴う。一旦、寛容が誘導されると、それは、さらなる処置なしで数年間続き得る。CpGオリゴヌクレオチドモチーフと精製されたアレルゲンとを結合することは、効力を増加、および副作用を減少させることによる、SCITに対する見込みのあるアプローチである。免疫療法のための経路としての口腔粘膜へのアレルゲンの投与は、ほんの最近承認された(SLIT)。SCITおよびSLITはまた、新規のアレルゲンに対する感作の発達を減少させ、鼻炎の、成人および子供の両方における新規のアレルギー性喘息のリスクを減少させる。
(IgE拮抗作用)
IgEの不可欠な役割は、DCによるアレルゲンの取り込み、およびメディエータ放出のための肥満細胞および好塩基球の活性化を増加させることである。IgEのFcεRIおよびFcεRIIへの結合を遮断する、IgEのC3ドメインに特異的なIgG抗体は、アレルゲン誘導性炎症応答を遮断することが知られている。ヒト化IgE特異的、非アナフィラキシーIgG1であるオマリズマブは、重度のアレルギー性喘息の処置のために開発された。オマリズマブはまた、アレルギー性鼻結膜炎の処置に有効である。低親和性IgEレセプターFcεRIIに対して特異的な抗体であるルミリキシマブはまた、循環IgEのレベルを減少させ、軽度から中程度のアレルギー性喘息に対する第I相臨床試験を通過した。
(肥満細胞インヒビター)
肥満細胞安定化薬物クロモグリク酸ナトリウム(SCG)およびネドクロミルナトリウムは、アレルギー性喘息のための治療薬として最初に導入された。吸入後、これらの薬物の両方は、アレルギー性応答において粘膜の肥満細胞が決定的に関与する、上気道および下気道ならびに結膜におけるアレルゲン誘導性初期相応答および遅発相応答を阻害する。ネドクロミルナトリウムおよびSCGは、肥満細胞、上皮細胞、およびニューロンにおける塩素イオンの流動を阻害し、それらの活性化についての閾値を上げる。肥満細胞はまた、肥満細胞走化性を促進、およびIgE依存性肥満細胞の活性化を増加させるCa2+活性化Kチャネル、K(CA)3.1を発現し、このことは、薬剤(例えば、クロトリアゾールおよびTRAM−34)を用いるK(Ca)3.1の阻害が肥満細胞の阻害を促進することを示す。
SRCチロシンキナーゼFYNおよびLYNは、FcεRIの関与により開始される分子イベントの重要な調節因子である。それらは、次いで、SYKチロシンキナーゼをリクルートするFcεRI関連gシグナリング鎖をリン酸化する。SYKは、次に、FYNおよびLYNによるリン酸化を介して活性化される。数個の処置方法は、SYKを不活性化すること、および、そのことにより、FcεRIシグナリングの伝播を遮断することに向けられている。R122(2,4−ジアミノピリミジン)は、可逆性の肥満細胞SYKインヒビターとして同定された。アレルギー性鼻炎において、R112の鼻内投与は、鼻の閉塞、鼻漏、およびプロスタグランジンD産生を阻害する。季節性鼻炎の患者において、R122は、急速な発症を伴う鼻炎の全体の症状を低減するのに有効である。
チロシンキナーゼレセプター(KIT)を有する幹細胞因子(SCF)の相互作用は、肥満細胞の発達、増殖、生存、ホーミングおよび接着、ならびに最適なIgE誘導性肥満細胞の脱顆粒およびサイトカインの産生に不可欠である。SCFまたはKITを標的とする薬物候補としては、SCF特異的抗体、アンチセンスオリゴヌクレオチド、KITインヒビターおよび下流のシグナリング分子のインヒビターが挙げられる。イマチニブメシレート、ニロチニブおよびデサチニブ(desatinib)は、肥満細胞のアポトーシスを誘導し得るチロシンキナーゼである。
レセプターを活性化および阻害する発現を調整することは、免疫応答を調節するための重要なメカニズムである。免疫レセプターチロシンをベースとした活性化モチーフ(ITAM)を持つレセプターの結合を介して活性化される細胞は、免疫レセプターチロシンをベースとした阻害モチーフ(ITIM)を持つ他のレセプターにより負に調節され得る。FcγRIIB、gp49B1、またはペア型(pared)免疫グロブリン様レセプターBに欠陥のある動物は、アレルギー性応答を増加させた。IgGは、FcγRIIBと相互作用することによりIgE媒介性アナフィラキシーを完全に抑制し得、これは、DOKおよびRasGAPのFcεRIへのリクルートを介してSRCホモログ2(SH2)ドメイン含有イノシトールポリホスフェート5’−ホスファターゼ(SHIP)の活性化をもたらす。同様の阻害メカニズムは、肥満細胞上のngp49B1が、そのインテグリンリガンドαvβ3により活性化されるときに引き起こされる。免疫グロブリン様レセプター、およびそれらの細胞内シグナリング分子は、重要な治療上の標的を提供し、肥満細胞ならびにT細胞を阻害し、アレルギーのカスケードに関与する。ヒト肥満細胞および好塩基球上のFcγRIIBとFcεRIとを架橋するように設計されたヒトの二機能性Fcγ−Fcε融合タンパク質は、IgE依存性脱顆粒およびアレルギー性反応を阻害する。
(サイトカイン免疫療法)
Th2サイトカインは、アレルギー性炎症を組織化する(orchestrating)際に主要な役割を有するので、それら、およびそれらのレセプターは主な治療上の標的である。このアプローチは、Th2転写因子STAT−6およびGATA−3の遮断モノクローナル抗体、機能タンパク質、およびインヒビターの形態での生物学的薬剤の適用を必要とした。
A.)IL−4
IL−4およびIL−13の両方は、IgEを産生するためのB細胞についての免疫グロブリンアイソタイプスイッチにおける決定的な役割を有し、他方、IL−4だけがTh2細胞の表現型を維持することに関与し、このことにより、両方のサイトカインは魅力的な治療上の標的になる。多くの研究は、IL−4の産生を遮断することがアレルギーの表現型において、重大な効果を有することを示している。可溶性の組換えヒトIL−4レセプター(altrakincept)は、ヒトIL−4Rαの細胞外部分からなり、非免疫原性である。それは、軽度から中程度のアレルギー性喘息を処置するために使用され、再発することなく吸入コルチコステロイドを用いる処置から撤退することを可能にすることにより効力が示されてきた。他の研究は、ヒト化IL−4特異的およびIL−4Rα遮断抗体(例えば、パスコリズマブ(pascolizumab))を用いて進行している。また、IL−4に対する2つのワクチンが試験され、その両方が、IL−4に対して特異的な、高い抗体力価を誘導し、抗原誘発の肺の炎症を阻害した。
B.)IL−13
IgEの産生、好酸球性炎症、気道平滑筋過形成、粘液の産生を伴う杯細胞の過形成の誘導、ならびに単球、マクロファージ、およびT細胞の気道スペースへのリクルートを調節することにおけるIL−13の数多くの機能により、IL−13はアレルギーおよびアレルギー性喘息において、主な治療上の標的になる。IL−13は、低親和性のIL−13Rα1サブユニット、ならびにIL−13Rα1およびIL−4Rαから構成される高親和性複合体に結合する。この高親和性複合体への結合は、ヤヌスキナーゼ1(JAK1)、JAK2、およびSTAT−6のリン酸化依存性の活性化をもたらす。IL−4Rαはまた、IL−13の、そのレセプターへの結合を安定化し、IL−13媒介性応答を増やす。しかしながら、非シグナリングの高親和性IL−13結合鎖であるIL−13Rα2は、IL−13の活性を強く阻害する。IL−13の選択性遮断は、IL−13との結合には競合するが、IL−4との結合には競合しないIL−13Rα2の可溶性の形態を用いて達成されており、このことは、アレルゲン曝露の感作された動物における気道過敏性および粘液産生の逆転をもたらした。
IL−13の作用に拮抗することはまた、IL−13R特異的モノクローナル抗体に対する可溶性のIL−13レセプターを投与することにより達成され得た。第I相臨床試験のIL−13特異的モノクローナル抗体CAT−354が使用され、軽度なアレルギー性喘息の患者を首尾よく処置してきた。皮下または吸入pitrakinra(IL−4およびIL−13のIL−4Rα複合体への結合を阻害する変異型IL−4タンパク質)は、アレルゲン誘発性アレルギー性喘息の処置において効力を示している。新規の組換えIL−13ペプチドベースのワクチンはまた、アレルギー性炎症応答を低減することが示されている。STAT−6は、IL−4およびIL−13シグナリングの両方に共通の転写因子なので、それはまた、ドミナントネガティブ型ペプチドを用いる魅力的な治療上の標的である。アンチセンスおよびRNA干渉をベースとした治療剤戦略は、アレルギー性喘息およびアレルギーにおける種々の上流のシグナリング分子を標的とするために使用され得、このシグナリング分子としては、Th2細胞分化およびアレルギー性炎症に関与する、FcεRIα、サイトカインレセプター、接着分子、イオンチャネル、サイトカインおよび関連する因子、細胞内シグナル伝達分子および転写因子が挙げられる。
C.)IL−5
げっ歯類およびヒトではない霊長類の研究は、アレルギー性喘息の種々のモデルにおけるIL−5についての重要な役割を示した。吸入IL−5は、アレルギー性喘息の個体の気道および骨髄の両方における好酸球前駆体の数を調整し、喘息ではない個体における局所的な好酸球増加を誘導する。2つのヒト化IL−5−特異的モノクローナル抗体、Sch−55,700およびメポリズマブは、アレルギー性喘息の処置のために開発された。メポリズマブは、循環好酸球、および痰の好酸球の数における急速な用量依存性の減少を生む。Sch−55,700で処置される重度、かつ持続性アレルギー性喘息の患者は、血液の好酸球の数の減少を示す。
D.)IL−9
IL−9の作用を遮断することは、アレルゲン誘発性気道炎症および気道過敏性を低減する。IL−9特異的モノクローナル抗体は、中程度から重度の持続性アレルギー性喘息の患者を処置するために使用されている。
E.)IL−12
IL−12は、強いシグナルをナイーブ前駆体T細胞へと送り、それらのTh1細胞への分化を誘導し、免疫応答を細胞媒介性免疫へと変更する。感作の間のIL−12の投与は、Th1細胞発達の要因における(in factor of)アレルゲン誘発性Th2細胞応答を抑制し、抗原チャレンジ後の気道過敏性および気道好酸球増加を阻害する。軽度のアレルギー性喘息の患者における組換えIL−12の注射は、アレルゲンチャレンジ後の循環血液好酸球の数を減らした。
F.)IL−10
IL−10は、多くの炎症性サイトカインおよびケモカイン、ならびに炎症性酵素の発現を阻害し、それは、アレルゲン免疫療法におけるTReg細胞により産生される主要な阻害性サイトカインである。IL−10の投与は、循環CD4+およびCD8+ T細胞の数を減らし、分裂促進因子誘導性T細胞増殖の抑制ならびにエンドトキシン駆動TNFおよびIL−1βの産生の抑制を伴う。
G.)インターフェロン
Th1細胞関連サイトカインのうち、IFNγは、Th2細胞媒介性アレルギー性炎症を抑制することにおいて最も強力であり、IFNγの外因性投与は、動物モデルにおけるアレルギー性気道炎症を抑制する。IFNγはまた、アレルゲン特異的免疫療法の間に強く誘導される。IFNγの全身投与は、重度のコルチコステロイド難治性のアレルギー性喘息の処置に有効である。
(薬学的調製物および処方物)
いくつかの実施形態では、本発明は、その必要のある患者への投与に適している処方物中に調節T細胞集団を含む薬学的組成物を提供する。この組成物における使用のためのT細胞集団は、本明細書中に記載される方法によって生成され得る。いくつかの実施形態では、組成物の細胞の少なくとも70、80、90、または100%の細胞は調節T細胞である。
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、1つ以上の薬学的に、または生理学的に受容可能なキャリア、希釈剤または賦型剤と組み合わせて、富化された調節T細胞集団を含む。このような組成物は、中性緩衝化食塩水、リン酸緩衝化食塩水などのような緩衝液;グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストランのような炭水化物;マンニトール;タンパク質;ポリペプチドまたはグリシンのようなアミノ酸;抗酸化剤;EDTAのようなキレート剤;アジュバントおよび保存剤を含み得る。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、ヒト被験体における過敏症の障害を処置または予防するために適切である。
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、有効量の1つ以上の活性薬剤と組み合わせて治療上有効な量の調節T細胞を含む。特定の局面では、活性薬剤は、少なくとも1つのサイトカイン(例えば、IL−2、IL−4、IL−10、TGF−β、および/またはIL−15)を含む。特定の局面では、活性薬剤は、1つ以上のSAPアゴニストである。特定の実施形態では、追加の活性薬剤は、過敏症の障害または状態を処置するために用いられる治療薬剤である。
調節T細胞を含む薬学的組成物は、処置および/または予防されるべき疾患に適切な様式で、その必要のある被験体に投与される。投薬量および投与の頻度は、患者の状態および患者の疾患のタイプおよび/または重篤度のような因子によって決定される。適切な投薬量はまた、臨床試験によってもまた決定され得る。組成物の「有効量」は、年齢、体重、疾患重篤度、患者の状態、投与の経路、および患者の処置に関連する任意のその他の因子における個体の差異を考慮して医師によって決定され得る。一般に、T調節細胞を含む薬学的組成物は、約10〜10細胞/kg体重の投薬量で、これら範囲内のすべての整数値を含んで投与され得る。本発明の組成物はまた、これらの投薬量で複数回投与され得る。特定の患者のための最適投薬量および処置養生法は、疾患の徴候について患者をモニターすることにより、そしてそれに従い処置を調節することにより、医薬の当業者によって容易に決定され得る。
細胞は、免疫療法で一般に用いられている注入技法を用いることにより投与され得、そして皮下、皮内、筋肉内、または静脈内注射により患者に投与され得る(例えば、Rosenburgら、New Eng.J.Med.を参照のこと)。本発明の組成物は、好ましくは、静脈内投与のために処方される。
特定の実施形態では、本明細書中に記載される方法は、被験体への抗過敏症治療の投与を含む。治療薬剤は、1つ以上の生理学的に受容可能なキャリアまたは賦型剤を用いて従来様式で処方され得る。例えば、治療薬剤およびそれらの生理学的に受容可能な塩および溶媒和物は、例えば、注射(例えば、SubQ、IM、IP)、吸入または吸入法(口または鼻を通るいずれか)または経口、頬、舌下、経皮、鼻、非経口または直腸投与による投与のために処方され得る。特定の実施形態では、治療薬剤は、標的細胞が存在する部位で、すなわち、特定組織、器官または流体(例えば、血液、脳脊髄液、腫瘍塊など)中に局所的に投与され得る。
治療薬剤は、全身的および局所的または局在化された投与を含む、投与の種々のモードのために処方され得る。技法および処方は、一般に、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Meade Publishing Co.、Easton、PA中に見出され得る。非経口投与には、注射が好ましく、筋肉内、静脈内、腹腔内、および皮下を含む。注射には、化合物は、液体溶液中、好ましくはHank’s溶液またはRinger’s溶液のような生理学的に適合可能な緩衝液中に処方され得る。さらに、化合物は、固形形態に処方され得、そして使用直前に再溶解されるか、または懸濁される。凍結乾燥形態もまた、含まれる。いくつかの実施形態では、治療薬剤は、当該技術分野で一般的な公知の種々の方法によって細胞に投与され得、制限されないで、リポソーム中のカプセル化、イオン浸透療法によるか、または、ヒドロゲル、シクロデキストリン、生分解性ナノカプセル、および生体接着性マイクロスフェアなどのその他のビヒクル中への取り込みによることを含む。
経口投与には、薬学的組成物は、結合剤のような薬学的に受容可能な賦型剤(例えば、アルファー化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);増量剤(filler)(例えば、ラクトース、微結晶セルロースまたはリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)とともに、例えば、従来手段によって調製された、錠剤、トローチ剤、またはカプセル剤の形態をとり得る。錠剤は、当該技術分野で周知の方法によってコーティングされ得る。経口投与のための液体調製物は、例えば、溶液、シロップまたは懸濁物の形態をとり得るか、またはそれらは、使用前に水またはその他の適切なビヒクルでの再構成のための乾燥製品として提示され得る。このような液体調製物は、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または水素化食用脂肪);乳化剤(例えば、レシチンまたはアラビアゴム);非水性ビヒクル(例えば、アーモンドオイル、油状エステル、エチルアルコールまたは分別植物油);および保存剤(例えば、メチルまたはプロピル−p−ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)のような薬学的に受容可能な添加物とともに従来手段によって調製され得る。これら調製物はまた、適宜、緩衝塩、芳香剤、着色剤、および甘味剤を含み得る。経口投与のための調製物は、適切に処方されて活性化合物の制御放出を与え得る。
吸入による投与には(例えば、肺送達)、治療薬剤は、加圧されたパックまたはネブライザーからエアロゾルスプレー提示物の形態で、適切な噴射剤、例えば、ジクロロジフロオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素またはその他の適切なガスの使用によって、便利に送達され得る。加圧エアロゾルの場合には、投薬量単位は、計測された量を送達するためのバルブを提供することにより決定され得る。吸入器(inhalerまたはinsufflator)における使用のための、例えば、ゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、化合物と、ラクトースまたはデンプンのような適切な粉末ベースとの粉末混合物を含んで処方され得る。
本発明の方法では、薬学的化合物はまた、吸入剤、粉末、およびエアロゾル処方物を含む、鼻内または気管支内経路によって投与され得る(ステロイド吸入薬の例には、Rohatagi(1995)J.Clin.Pharmacol.35:1187−1193;Tjwa(1995)Ann.Allergy Asthma Immunol.75:107−111を参照のこと)。例えば、エアロゾル処方物は、ジクロロテトラフルオロエタン、プロパン、窒素などのような加圧された受容可能な噴射剤中に配置され得る。それらはまた、ネブライザーまたはアトマイザーのような非加圧調製物のための医薬品として処方され得る。代表的には、そのような投与は、水性の薬理学的に受容可能な緩衝液中にある。
治療薬剤は、注入により、例えば、ボーラス注射または連続注入による、非経口投与のために処方され得る。注入のための処方物は、添加された保存剤とともに、単位剤形中、例えば、アンプル中または複数用量コンテナ中に提示され得る。組成物は、懸濁物、溶液、または油状または水性ビヒクル中のエマルジョンのような形態をとり得、そして懸濁剤、安定化剤および/または分散剤のような処方剤を含み得る。あるいは、活性成分は、使用前、適切なビヒクル、例えば、滅菌パイロジェンフリーの水との構築のための粉末形態で有り得る。
さらに、治療薬剤はまた、デポ調製物として処方され得る。このような長く作用する処方物は、移植(例えば、皮下または筋肉内)によるか、または筋肉内注射により投与され得る。それ故、例えば、治療薬剤は、適切なポリマー性または疎水性材料(例えば、受容可能な油中のエマルジョンとして)もしくはイオン交換樹脂とともに、または難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として処方され得る。制御放出処方物はまた、パッチを含み得る。
特定の実施形態では、本明細書中に記載の化合物は、中枢神経系(CNS)への送達のために処方され得る(Begley、Pharmacology&Therapeutics 104:29〜45(2004)に概説されている)。CNSへの薬物送達のための従来のアプローチは以下を含む:神経外科的戦略(例えば、大脳内注入または脳室内注入);薬剤の分子操作(例えば、BBBの内因性トランスポート経路の1つを開発する試みにおいて、それ自体がBBBを横切ることができない薬物と組み合わせて内皮細胞表面分子に対する親和性を有するトランスポートペプチドを含むキメラ融合タンパク質の産生);薬物の脂質溶解性を増加するように設計された薬理学的戦略(例えば、水溶性薬剤の脂質またはコレステロールキャリアへの複合体化);および高浸透圧破壊によるBBBの完全性の一時的破壊(頸動脈中へのマンニトール溶液の注入、またはアンギオテンシンペプチドのような生物学的に活性な薬剤の使用から得られる)。
特定の実施形態では、治療薬剤は、一般に局所的薬物投与に適し、そして当該技術分野で公知の任意のそのような物質を含む局所的キャリアを含む局所処方物に取り込まれる。局所的キャリアは、所望の形態、例えば、軟膏、ローション、クリーム、マイクロエマルジョン、ゲル、オイル、溶液などとして組成物を提供するように選択され得、そして天然に存在するか、または合成起源のいずれかの材料からなり得る。選択されたキャリアは、局所処方物の活性薬剤またはその他の成分に有害に影響しないことが好ましい。本明細書における使用のための適切な局所的キャリアの例は、水、アルコールおよびその他の非毒性有機溶媒、グリセリン、鉱物油、シリコン、石油ゼリー、ラノリン、脂肪酸、植物油、パラベン、ワックスなどを含む。
(化粧品調製物を含む)薬学的組成物は、0.001〜10重量%または0.1〜5重量%のような約0.00001〜100%の本明細書中に記載される1つ以上の治療薬剤を含み得る。特定の局所処方物においては、活性薬剤は、処方物の約0.25重量%〜75重量%の範囲、好ましくは処方物の約0.25重量%〜30重量%の範囲、より好ましくは処方物の約0.5重量%〜15重量%の範囲、そして最も好ましくは処方物の約1.0重量%〜10重量%の範囲の量で存在する。
眼の状態は、例えば、治療薬剤の全身、局所、眼内注入により、または治療薬剤を放出する持続放出デバイスの挿入により、処置または予防され得る。治療薬剤は、薬学的に受容可能な眼科ビヒクル中で送達され得、化合物は、例えば、前房、結膜、後房、硝子体、房水、硝子体液、角膜、虹彩/毛様体、レンズ、脈絡膜/網膜および強膜のような角膜および眼の内部領域を貫通することを可能にするに十分な時間の期間、眼の表面と接触して維持される。薬学的に受容可能な眼科ビヒクルは、例えば、軟膏、植物油またはカプセル化材料であり得る。あるいは、化合物は、硝子体液および房水中に直接注入され得る。さらなる代替では、化合物は、眼の処置のために、全身投与され得、例えば、静脈内注入または注射による。
本明細書に記載される治療薬剤は、当該技術分野の方法に従って、酸素のない環境で貯蔵され得る。
核酸化合物を送達する方法は当該技術分野で公知である(例えば、Akhtarら,1992,Trends Cell Bio.,2,139;およびDelivery Strategies for Antisense Oligonucleotide Therapeutics,Akhtar編,1995;Sullivanら,PCT Publication No.WO94/02595を参照のこと)。これらのプロトコールは、実質的にすべての核酸化合物の送達のために利用され得る。核酸化合物は、当該技術分野でなじみのような公知の種々の方法によって細胞に投与され得、制限されないで、リポソーム中のカプセル化、イオン浸透療法による、またはヒドロゲル、シクロデキストリン、生分解性ナノカプセル、および生体接着性マイクロスフェアなどのその他のビヒクル中への取り込みによることを含む。あるいは、核酸/ビヒクル組み合わせは、直接注射によるか、または注入ポンプの使用により局所的に送達される。送達のその他の経路は、制限されないで、経口(錠剤またはピル形態)および/または鞘内送達(Gold、1997、Neuroscience、76、1153〜1158)を含む。その他のアプローチは、種々のトランスポートおよびキャリアシステムの使用を含み、例えば、複合体および生分解性ポリマーの使用による。薬物送達戦略に関する総合的な総説には、Hoら、1999,Curr.Opin.Mol.Ther.,1,336−343およびJain,Drug Delivery Systems:Technologies and Commercial Opportunities,Decision Resources,1998およびGroothuisら,1997,J.NeuroVirol.,3,387−400を参照のこと。核酸送達および投与のより詳細な説明は、Sullivanら、前述,Draperら,PCT WO93/23569,Beigelmanら、PCT Publication No.WO99/05094,およびKlimukら、PCT Publication No.WO99/04819を参照のこと。
siRNAのようなアンチセンスヌクレオチドは、種々の方法を用いて癌細胞に送達され得る。結合された「船荷(cargo)」分子をサイトゾル中に運搬する能力を有する細胞貫通性ペプチド(CPP)が用いられ得る(Juliano、Ann N Y Acad Sci.2006、10月;1082:18〜26を参照のこと)。特定の実施形態では、アテロコラーゲン媒介オリゴヌクレオチド送達システムが用いられる(Hanaiら、Ann N Y Acad Sci.2006、10月;1082:9〜17)。LPD処方物(リポソーム−ポリカチオン−DNA複合体)は、腫瘍細胞にsiRNAを送達するために用いられ得る(Liら、Ann N Y Acad Sci.2006、10月;1082:1〜8)。siRNAのポリエチレンイミン(PEI)との複合体化はまた、siRNAを細胞中に送達するために用いられ得る(Aigner、J Biomed Biotechnol.2006;2006(4);71659)。siRNAはまた、インビボ送達のために、キトサンコーティングポリイソヘキシルシアノアクリレート(PIHCA)ナノパーティクルと複合体化され得る(Pilleら、Hum Gene Ther.2006 10月;17(10):1019)。
本発明はさらに、患者における過敏症の障害または状態の処置または予防のための医薬の製造における本発明により同定された任意の薬剤の使用、例えば、過敏症の障害または状態の処置のための医薬の製造におけるSAPアゴニストの使用を提供する。いくつかの局面では、本発明により同定された任意の薬剤が、過敏症の疾患または状態を処置すること、または予防することにおける使用のための薬学的調製物を作製するために用いられ得る。
以下の実施例は、上記に記載の発明を用いることの様式をより十分に記載するため、および本発明の種々の局面を実施するために企図される最良のモードを提示するために供される。これらの実施例は、いかなる様式においても、本発明の真の範囲を制限するためには共されず、むしろ例示の目的のために提示されることが理解される。
(実施例1)
A.fumigatus分生胞子によって誘導される慢性アレルギー性気道疾患は、気道の過反応、肺の炎症、好酸球増加、粘液過分泌、杯細胞の過形成、および上皮下の線維症によって特徴付けられる。C57BL/6マウスを可溶性A.fumigatus抗原についての市販の調製物に対して、以前に記載された(Hogaboamら、The American Journal of Pathology.2000;156:723−732)ものと同様に感作した。3回目の鼻内チャンレンジの7日後、各マウスに30μlのPBS tween 80(0.1%、vol/vol)中に懸濁した5.0×10のA.fumigatus分生胞子を気管内経路を介して与えた。
15日および30日の時点(それぞれ図2Aおよび図2B)に、SAPまたはコントロール(PBS)で処置したマウス5匹の群を気道過敏性(AHR)の変化について分析した。気管支過敏性を、気管内A.fumigatus分生胞子チャレンジの後にBuxcoTMプレチスモグラフ(Buxco、Troy、NY)を用いて評価した。要約すると、ペントバルビタールナトリウム(Butler Co.、Columbus、OH;0.04mg/gマウス体重)を使用し、挿管の前にマウスを麻酔して、そしてHarvardポンプ式人工呼吸器(pump ventilator)(Harvard Apparatus、Reno NV)を用いて換気を実施した。一旦ベースラインの気道抵抗が確立すると、カニューレを挿入した尾静脈を介して420mg/kgのメタコリンを各マウスへ導入し、気道過敏性を約3分間モニターした。気道抵抗におけるピーク増加を次に記録した。15日および30日の時点(それぞれ図2Aおよび図2B)に、SAPまたはコントロール(PBS)で処置したマウス5匹の群をペントバルビタールナトリウムで麻酔し、気道過敏性の変化について分析した。SAPにより、静脈内メタコリンチャレンジに応答して、AHRの量は有意に低減した。
(実施例2)
C57BL/6マウスを可溶性A.fumigatus抗原についての市販の調製物に対して、上に記載されたものと同様に感作した。動物をインビボにおいてhSAPまたはPBSコントロールで、上記モデルの最後の2週間の間、処置した。15日および30日の時点(それぞれ図3Aおよび図3B)に、処置したマウス5匹の群をサイトカイン産生の変化について分析した。気管内分生胞子チャレンジ後15日または30日の動物から脾臓細胞を単離し、アスペルギルス抗原で刺激し、インビトロにおいてhSAPで処理した。脾細胞培養物を、IL−4、IL−5、およびIL−10の産生について定量した(pg/mL)。
(実施例3)
C57BL/6マウスを可溶性A.fumigatus抗原についての市販の調製物に対して、上に記載されたものと同様に感作した。15日目に、肺の流入領域リンパ節、または脾細胞培養物においてFoxP3発現の量を決定した。肺のリンパ節を各マウスから切り出し、組織学的分析のために、液体Nにおいて急速凍結する(snap frozen)か、または10%ホルマリンに固定した。PBS(コントロール)またはSAPで処置した動物からの組織学的サンプルをFoxP3に対して染色し(図4A)、調査した各領域に関してFoxP3+細胞の数を定量した(図4B)。精製した脾細胞培養物をインビトロにおけるSAP(0.1〜10μg/ml)の存在下、または非存在下で、インビトロにおいて、24時間、Aspergillus抗原で刺激した。総FoxP3発現をリアルタイムRT−PCRを用いて定量した(図4C)。
(実施例4)
インビボおよびインビトロにおけるSAPのIL−10および抗原リコールに及ぼす影響を調査した。マウスをインビボにおいてAspergillus fumigatusで感作およびチャレンジし、コントロール(PBS、白抜きバー)、またはSAP(5mg/kg、q2d、黒塗りバー)で、生の分生胞子チャレンジ後、15〜30日に処置した。30日目にマウスを屠殺した。A)肺の総IL−10をluminexにより測定した。B〜E)脾細胞培養物を、インビトロにおいて、SAPの存在下、または非存在下で、Aspergillus fumigatus抗原を用いて刺激した(図5)。細胞が存在しない上清をB)IL−10、C)IL−4、D)IL−5、およびE)IFN−γのタンパク質レベルについて、ELISAによって評価した。SAPで処置した動物(i.p.、15〜30日にq2d)は、喘息コントロール(PBS、i.p.、2qd、15〜30日に)と比較すると、肺におけるIL−10のレベルを増大させ、レベルは、ナイーブな(naive)、非アレルギー肺におけるレベルと同等であった。(図5)。SAPで処置したマウス由来の脾細胞において、Th1またはTh2抗原リコール応答が低減し、IL−10が増加した。FoxP3発現の増加も存在するため、このデータは、アレルギー性気道疾患の状況において、SAPが調節T細胞を誘導することを示す。
(参考としての援用)
本明細書中で言及される全ての刊行物および特許は、あたかも個々の刊行物または特許のそれぞれが具体的に、かつ個々に参考として援用されることが示されるかのごとく、本明細書によりその全体が参考として援用される。
本主題の特定の実施形態が論じられているが、上記の明細書は実例となるものであって限定するものではない。多くのバリエーションは、本明細書および下に列挙される特許請求の範囲の検討の際に当業者に明らかとなる。本発明の全範囲は、等価物の全範囲とともに特許請求の範囲への参照、およびそのようなバリエーションとともに本明細書への参照により決定されるべきである。
(配列の列挙)
配列番号1 ヒト血清アミロイドタンパク質P
Figure 2012520309
配列番号2 Gallus gallus血清アミロイドタンパク質P
Figure 2012520309
配列番号3 Bos taurus血清アミロイドタンパク質P
Figure 2012520309
配列番号4 Cricetulus migratorius血清アミロイドタンパク質P
Figure 2012520309

Claims (63)

  1. 患者における過敏症の障害の重篤度を処置、予防、または低減する方法であって、該方法は、それを必要とする患者へ治療上有効な量の血清アミロイドP(SAP)アゴニストを投与する工程を含む、方法。
  2. SAPアゴニストの投与が、前記過敏症の障害の発症を阻害する、請求項1に記載の方法。
  3. SAPアゴニストの投与が、前記患者が前記過敏症の障害で苦しむ日数を減少させる、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記患者は、過敏性障害を発達させる危険がある、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記投与が、過敏症の障害を発達させる危険に前記患者を置く処置の前に開始される、請求項4に記載の方法。
  6. 前記投与が、過敏症の障害を発達させる危険に前記患者を置く処置と同時に開始される、請求項4に記載の方法。
  7. 前記投与が、過敏症の障害を発達させる危険に前記患者を置く処置の後に開始される、請求項4に記載の方法。
  8. 前記患者が、以下:アレルギー性鼻炎、アレルギー性副鼻腔炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性喘息、アトピー性湿疹、皮膚炎、じんま疹、アナフィラキシー、食物アレルギー、有針昆虫の毒物に対するアレルギー性反応、アレルギー性気管支収縮、アレルギー性呼吸困難、肺におけるアレルギー性の粘液産生の増加、および肺炎から選択される過敏症の障害に苦しむ、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. SAPアゴニストが、以下:局所的、注射による、静脈内注射による、吸入による、デポもしくはポンプによる持続的な放出による、またはそれらの組み合わせから選択される方式により投与される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記SAPアゴニストが、SAPシグナリングを増加させる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記SAPアゴニストが、SAPシグナリングを模倣する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記SAPアゴニストが、SAP活性を増加させる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記SAPアゴニストが、SAP発現を増加させる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記SAPアゴニストが、血清SAPレベルを増加させる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記SAPアゴニストが、低分子、核酸、またはポリペプチドから選択される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記SAPアゴニストが、SAPポリペプチドである、請求項15に記載の方法。
  17. 前記SAPアゴニストが、抗FcγRI抗体、抗FcγRII抗体、抗FcγRIII抗体、架橋した抗FcγR抗体、凝集したIgG抗体、または架橋したIgG抗体から選択される、請求項16に記載の方法。
  18. 1つまたはそれより多くのSAPアゴニストが、患者における過敏症の障害の処置のために共同投与されるように処方される、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 1つまたはそれより多くのSAPアゴニストを含む、患者における過敏症の障害を処置するためのキットであって、ここで該SAPアゴニストが、共同投与されるように処方される、キット。
  20. 少なくとも1つのSAPアゴニストが、SAPシグナリングを増加させる、請求項19に記載のキット。
  21. 少なくとも1つのSAPアゴニストが、SAPシグナリングを模倣する、請求項19または20に記載のキット。
  22. 少なくとも1つのSAPアゴニストが、SAP活性を増加させる、請求項19〜21のいずれか1項に記載のキット。
  23. 少なくとも1つのSAPアゴニストが、SAP発現を増加させる、請求項19〜22のいずれか1項に記載のキット。
  24. 少なくとも1つのSAPアゴニストが、血清SAPレベルを増加させる、請求項19〜23のいずれか1項に記載のキット。
  25. 少なくとも1つのSAPアゴニストが、低分子、核酸、またはポリペプチドから選択される、請求項19〜24のいずれか1項に記載のキット。
  26. 少なくとも1つのSAPアゴニストが、SAPポリペプチドから選択される、請求項19に記載のキット。
  27. 前記SAPアゴニストが、抗FcγRI抗体、抗FcγRII抗体、抗FcγRIII抗体、架橋した抗FcγR抗体、凝集したIgG抗体、または架橋したIgG抗体から選択される、請求項26に記載のキット。
  28. 患者における過敏症の障害の重篤度を処置、予防、または低減する方法であって、該方法は、それを必要とする患者へ、SAPまたはSAPアゴニストおよび追加の活性薬剤からなる治療上有効な量の組成物を投与する工程を含む、方法。
  29. 前記活性薬剤が、以下:抗IgE抗体、短期および長期βアゴニスト、コルチコステロイド、クロモリン、ならびにキサンチンから選択される、請求項28に記載の方法。
  30. 前記組成物の投与が、前記過敏症の障害の発症を阻害する、請求項28または29に記載の方法。
  31. 前記組成物の投与が、前記患者が前記過敏症の障害で苦しむ日数を減少させる、請求項28または29に記載の方法。
  32. 前記患者は、過敏性障害を発達させる危険がある、請求項28〜31のいずれか1項に記載の方法。
  33. 前記投与が、過敏症の障害を発達させる危険に前記患者を置く処置の前に開始される、請求項32に記載の方法。
  34. 前記投与が、過敏症の障害を発達させる危険に前記患者を置く処置と同時に開始される、請求項32に記載の方法。
  35. 前記投与が、過敏症の障害を発達させる危険に前記患者を置く処置の後に開始される、請求項32に記載の方法。
  36. 前記患者が、以下:アレルギー性鼻炎、アレルギー性副鼻腔炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性喘息、アトピー性湿疹、皮膚炎、じんま疹、アナフィラキシー、食物アレルギー、有針昆虫の毒物に対するアレルギー性反応、および肺炎から選択される過敏症の障害に苦しむ、請求項28〜35のいずれか1項に記載の方法。
  37. SAPが、以下:局所的、注射による、静脈内注射による、吸入による、デポもしくはポンプによる持続的な放出による、またはそれらの組み合わせから選択される方式により投与される、請求項28〜36のいずれか1項に記載の方法。
  38. 前記SAPアゴニストが、SAPシグナリングを増加させる、請求項28〜37のいずれか1項に記載の方法。
  39. 前記SAPアゴニストが、SAPシグナリングを模倣する、請求項28〜38のいずれか1項に記載の方法。
  40. 前記SAPアゴニストが、SAP活性を増加させる、請求項28〜39のいずれか1項に記載の方法。
  41. 前記SAPアゴニストが、SAP発現を増加させる、請求項28〜40のいずれか1項に記載の方法。
  42. 前記SAPアゴニストが、血清SAPレベルを増加させる、請求項28〜41のいずれか1項に記載の方法。
  43. 前記SAPアゴニストが、低分子、核酸、またはポリペプチドから選択される、請求項28〜42のいずれか1項に記載の方法。
  44. 前記SAPアゴニストが、SAPポリペプチドである、請求項43に記載の方法。
  45. 前記SAPアゴニストが、抗FcγRI抗体、抗FcγRII抗体、抗FcγRIII抗体、架橋した抗FcγR抗体、凝集したIgG抗体、および架橋したIgG抗体から選択される、請求項44に記載の方法。
  46. 患者の呼吸器系における過敏症の障害の重篤度を処置、予防、または低減する方法であって、該方法は、それを必要とする患者へ治療上有効な量のSAPアゴニストを投与する工程を含む、方法。
  47. SAPアゴニストの投与が、前記過敏症の障害の発症を阻害する、請求項46に記載の方法。
  48. SAPアゴニストの投与が、前記患者が前記過敏症の障害で苦しむ日数を減少させる、請求項46に記載の方法。
  49. 前記患者は、過敏性障害を発達させる危険がある、請求項46〜48のいずれか1項に記載の方法。
  50. 前記投与が、過敏症の障害を発達させる危険に前記患者を置く処置の前に開始される、請求項49に記載の方法。
  51. 前記投与が、過敏症の障害を発達させる危険に前記患者を置く処置と同時に開始される、請求項49に記載の方法。
  52. 前記投与が、過敏症の障害を発達させる危険に前記患者を置く処置の後に開始される、請求項49に記載の方法。
  53. 前記患者が、以下:アレルギー性鼻炎、アレルギー性副鼻腔炎、アレルギー性喘息、アナフィラキシー、アレルギー性気管支収縮、アレルギー性呼吸困難、肺におけるアレルギー性の粘液産生の増加、および肺炎から選択される過敏症の障害に苦しむ、請求項46〜52のいずれか1項に記載の方法。
  54. SAPが、以下:局所的、注射による、静脈内注射による、吸入による、デポもしくはポンプによる持続的な放出による、またはそれらの組み合わせから選択される方式により投与される、請求項46〜53のいずれか1項に記載の方法。
  55. 前記SAPアゴニストが、SAPシグナリングを増加させる、請求項46〜54のいずれか1項に記載の方法。
  56. 前記SAPアゴニストが、SAPシグナリングを模倣する、請求項46〜55のいずれか1項に記載の方法。
  57. 前記SAPアゴニストが、SAP活性を増加させる、請求項46〜56のいずれか1項に記載の方法。
  58. 前記SAPアゴニストが、SAP発現を増加させる、請求項46〜57のいずれか1項に記載の方法。
  59. 前記SAPアゴニストが、低分子、核酸、およびポリペプチドから選択される、請求項46〜54のいずれか1項に記載の方法。
  60. 前記SAPアゴニストが、SAPポリペプチドである、請求項59に記載の方法。
  61. 前記SAPアゴニストが、抗FcγRI抗体、抗FcγRII抗体、抗FcγRIII抗体、架橋した抗FcγR抗体、凝集したIgG抗体、または架橋したIgG抗体から選択される、請求項60に記載の方法。
  62. 1つまたはそれより多くのSAPアゴニストが、患者における過敏症の障害の処置のために共同投与されるように処方される、請求項46〜61のいずれか1項に記載の方法。
  63. 前記患者が、以下:アレルギー性鼻炎、アレルギー性副鼻腔炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性湿疹、皮膚炎、じんま疹、アナフィラキシー、食物アレルギー、有針昆虫の毒物に対するアレルギー性反応、アレルギー性気管支収縮、アレルギー性呼吸困難、肺におけるアレルギー性の粘液産生の増加、および肺炎から選択される過敏症の障害に苦しむ、請求項46〜62のいずれか1項に記載の方法。
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