JP2012518496A - 不織布のバリア性を向上させるための方法 - Google Patents
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Abstract
材料のバリア性を向上させるための方法である。本方法は、材料を提供する工程と、材料に疎水性表面コーティングを塗布する工程と、材料を吸収性物品に組み込む工程とを含む。疎水性表面コーティングは、非水性、無溶媒、多成分シリコーン組成物を含む。疎水性表面コーティングは、アミノシリコーンを実質的に含まないものであってよい。
Description
本明細書では、不織布のバリア性を向上させるための方法について開示する。より詳細には本明細書では、軽量不織布に疎水性表面コーティングを塗布することによって軽量不織布のバリア性を向上させるための方法を開示する。
使い捨て吸収性物品(例えば、おむつ、トレーニングパンツ、パンツ様物品、女性用衛生用品、及び成人用失禁物品)が、身体の排出物を吸収及び保持するために広く使用されている。こうした物品は、吸収性物品と接触しうる衣類、又は寝具などの他の物品を身体排出物が汚す、濡らす、あるいは汚染することを防止する目的で通常使用される。しかしながら、少なくともある状況において、身体排出物が例えば物品と着用者の皮膚の間の隙間から漏出することにより、かつ/又は吸収性物品を形成する材料から滲出することによって、吸収性物品の境界から漏れ出る場合があることが知られている。滲出は、吸収性物品又は吸収性物品の構成要素の構造に使用されている1以上の材料がこうした体液に対する効果的なバリアを提供することができないために起こりうる。例えば、充分な圧力又は負荷がかかると、尿の通過を防止することを目的とした吸収性物品の構成要素又は構成要素の部分(例えば、おむつのレッグカフ又は外側カバー)に尿が浸透する場合がある。更に、吸収性物品によって容易に吸収されないゆるい糞便が、物品の液体受容部材(例えばトップシート)上に残留する場合がある。物品を着用する過程において糞便が液体受容部材上に広がり、物品から漏れ出てしまう場合さえある。
おむつなどの従来の吸収性物品は、1以上のバリア部材(例えば、バリアレッグカフ、ガスケットカフ、二次トップシート、コアカバー、外側カバー、及びこれらの部分)を通常備えている。ポケット、スペーサー、横バリア、孔あきトップシートなどの他の機構を、糞便などの身体排出物を隔離、固定、及び/又は拘束するために設けることもできる。特定の効果を提供するバリア部材の材料及び/又は材料の組み合わせを選択することにより、吸収性物品の構成要素及び構成要素の部分のバリア特性を向上させる試みが行われてきた。例えば、吸収性物品の構成要素をポリマーフィルムの使用によって実質的に液体不透過性とすることができるが、こうしたフィルムは蒸気及び空気に対しても不透過性となりうる。したがって、物品が適当なバリア性を有している場合であっても、着用者の皮膚をふさいでしまい、おむつかぶれ及び/又は他の望ましくない効果をもたらす場合がある。不織布材料は通常、蒸気及び空気に対する透過性を提供する(すなわち、「通気性」を有する)ことから、吸収性物品における不織布材料の使用は一般的であるが、不織布は少なくともある状況において液体に対する適当な不透過性を提供しない場合がある。
不織布の液体不透過性を向上させる方法の1つとして、例えば1種類以上のシリコーンポリマーを含有する組成物によって不織布をコーティングすることなど、不織布又はその部分をより疎水性にする組成物で不織布を処理することがある。不織布のバリア性を向上させるための表面コーティングの例が、米国特許出願公開第2005/0177123号及び同第2006/0189956号に開示されている。従来のシリコーン含有コーティングは通常、親水性溶液(例えば、水などの極性液体成分、シリコーンオイルなどの非極性液体成分、並びに界面活性剤及び安定剤などの他の任意成分のエマルション)として不織布に塗布される。こうした溶液(例えばシリコーン組成物)中の活性疎水性成分は通常、溶液の総重量に対して、溶液の比較的小さい重量比率(例えば、50%、40%、又は更には20%)で存在する。このため、不織布基材の単位面積当たりに所望の量の活性疎水性成分を提供するには、比較的大量の水溶液を不織布に塗布することが必要となる場合があり、こうした溶液の水性成分は通常基材から除去(例えば乾燥によって)されることから、水性成分の除去にともなうコスト、廃棄物の量、及び/又はプロセスの複雑さが不要に増大してしまう可能性がある。更に、少なくともある状況においては、不織布は疎水性材料(例えばポリオレフィン繊維)から形成され、こうした疎水性不織布に水溶液を塗布することによって溶液が基材全体に不要に広がり、溶液中に活性疎水性成分が不均一又はランダムに分布してしまう可能性がある。活性疎水性成分が比較的不均一に分布することにより、材料の1以上の部分が実質的に処理されない場合があり、したがって液体が基材又はその部分を不要に通過する可能性が増大する。更にそのうえ、水溶液は溶液を安定化させるために、界面活性剤及び他の添加剤などの更なる成分を通常含んでいる。界面活性剤は、組成物中の異なる液体間の界面張力を低下させて、組成物を広がりやすくすることが知られている。尿などの体液に曝露されると、水溶液中の界面活性剤及び/又は他の成分は、目的とする部位から外部に輸送されてしまう場合がある(例えば、これらの成分が吸収性コア及び/又は特定の他の吸収性物品の構成要素へと移動する可能性がある)。目的とする部位から界面活性剤及び/又は他の成分が移動することにより、界面活性剤及び/又は他の成分がそこから移動する吸収性物品の部分、並びに界面活性剤及び/又は他の成分がそこへと移動する吸収性物品の部分のバリア性に望ましくない影響を与えうる。
したがって、不織布材料のバリア性を向上させるための方法が提供されることが望ましい。また、表面上により均一な疎水性表面コーティングを提供するための方法が提供されることが望ましい。更に、活性物質の移動をともなわずに、材料表面に疎水性表面コーティング組成物を塗布するための方法が提供されることが望ましい。
上記に述べた問題に対する解決策を提供するために、本明細書では不織布のバリア性を向上させるための方法を開示する。本方法は、第1及び第2の対向する表面を有する不織布を提供する工程、及び第1及び第2の表面の少なくとも一方に疎水性表面コーティング組成物を塗布する工程を含む。疎水性表面コーティングは、非水性、無溶媒、多成分シリコーン組成物を含む。非水性、無溶媒、多成分シリコーン組成物は少なくとも2種類のシリコーンポリマーを含み、かつアミノシリコーンを実質的に含まない。本方法は更に、コーティングされた不織布を使い捨て吸収性物品に組み込む工程を含む。使い捨て吸収性物品は、液体透過性のトップシート、トップシートの少なくとも一部に接合された外側カバー、トップシートと外側カバーとの間に配置された吸収性コア、及びバリア部材を有する。
用語の定義
「吸収性物品」とは、身体の排出物を吸収及び保持し、着用者の身体に接するか、又は近接して配置されて、身体から排出される様々な排出物を吸収及び保持する装置である。例示的な吸収性物品としては、おむつ、トレーニングパンツ、プルオンパンツ型のおむつ(すなわち、米国特許第6,120,487号に示されるおむつのような、予め成形された腰部開口部及び脚部開口部を有するおむつ)、再締結可能なおむつ又はパンツ型おむつ、失禁用ブリーフ及び下着、おむつホルダー及びライナー、パンティライナーなどの女性用生理衣類、吸収性挿入体などが挙げられる。
「吸収性物品」とは、身体の排出物を吸収及び保持し、着用者の身体に接するか、又は近接して配置されて、身体から排出される様々な排出物を吸収及び保持する装置である。例示的な吸収性物品としては、おむつ、トレーニングパンツ、プルオンパンツ型のおむつ(すなわち、米国特許第6,120,487号に示されるおむつのような、予め成形された腰部開口部及び脚部開口部を有するおむつ)、再締結可能なおむつ又はパンツ型おむつ、失禁用ブリーフ及び下着、おむつホルダー及びライナー、パンティライナーなどの女性用生理衣類、吸収性挿入体などが挙げられる。
「身体側表面」とは、着用者の身体に向かって、あるいは着用者の身体に隣接して装着されることを想定した物品又は構成要素の表面を意味する。
「使い捨て」とは通常、洗濯、又は復元若しくは再使用することを想定していない(すなわち、1回の使用後に廃棄、好ましくはリサイクル、堆肥化、又は環境に適合する方法で廃棄されることを想定した)物品を意味する。
「配置された」とは、物体のある要素の、物体の別の要素に対する配置のことを意味する。例えば、これらの要素は、おむつの他の要素との一体構造として、あるいはおむつの別の要素と接合された別々の要素として、特定の場所又は位置に形成する(接合及び配置する)ことができる。
「可撓性」とは、適合性があり、人体の大まかな形状及び外形に容易に一致する材料のことを意味する。
「衣類側表面」とは、身体側表面の反対側であって、吸収性物品が着用される際に着用者の下着又は衣類に向かって、あるいは着用者の下着又は衣類に隣接して着用されることを想定した物品又は構成要素の表面のことを意味する。
「親水性」とは、The American Chemical Society Publication,「Contact Angle,Wettability,and Adhesion,」(Robert F.Gould編、1964年著作権取得)に基づく接触角が90°未満であることを意味する。
「疎水性」とは、The American Chemical Society Publication,「Contact Angle,Wettability,and Adhesion,」(Robert F.Gould編、1964年著作権取得)に基づく接触角が90°以上であることを意味する。特定の実施形態では、疎水性表面は、120°より大きく、140°より大きく、又は更には150°より大きい接触角を示しうる。疎水性液体組成物(例えば、本明細書で開示するHSC組成物)は、一般に水に混和しない。
「疎水性表面コーティング」又は「HSC」とは、表面を疎水性又はより疎水性にするためにその表面に塗布された組成物のことを意味する。「疎水性表面コーティング組成物」とは、疎水性表面コーティングを提供するために表面に塗布される組成物のことを意味する。
「接合された」とは、ある要素を別の要素に直接的に取り付けることによってその要素を他方の要素に直接固定する構成、及び、ある要素を中間の部材に取り付け、更にその中間部材を別の要素に取り付けることによってその要素を他方の要素に間接的に固定する構成のことを意味する。
「積層構造」又は「積層体」とは、1つの層、材料、構成要素、ウェブ又は基材が、少なくとも部分的に別の層、材料、構成要素、ウェブ又は基材に接合された構造を意味する。本出願の他の箇所において記載するように、層、材料、構成要素、ウェブ又は基材は、それ自体の上に折り畳まれ、更にそれ自体と結合されることによって積層体を形成してもよい。
「低表面張力流体」とは、表面張力が72ダイン/cm未満、60ダイン/cm、又は更には60ダイン/cm未満である流体のことを意味する。例えば、25〜55ダイン/cmである。
シリコーン組成物について述べる場合の「多成分」とは、2種類以上の化学的に異なるシリコーンポリマーを含むシリコーン組成物のことを意味する。
「非水性」とは、ある組成物が水をほとんど(すなわち、組成物の1重量%未満)あるいはまったく(0%)含まないことを意味する。
「不織布」とは、紙、及び更に縫われるか否かによらず、織られた、編まれた、綴じられた、スティッチボンドされた、シメ糸又はフィラメントを組み込んだ、又は湿式ミリングによりフェルト加工された製品を除く、摩擦及び/又は粘着によって結合された繊維が一方向又は不規則に配向された人造シート、ウェブ、又はバットのことを意味する。繊維は天然由来のものでもよく、又は人工的な由来のものでもよい。繊維は、繊維若しくは連続したフィラメントでもよく、又はその場で形成されてもよい。不織布の多孔質の繊維状の構造は、必要に応じて液体透過性又は不透過性となるように構成することができる。
「無溶媒」とは、HSC組成物の活性成分を担持するための液体媒質が存在しないことを意味する。従来の非水性表面コーティングは、一般的に有機溶媒(例えばトルエン、エタノール、ヘキサン、アセトン、酢酸メチル、石油エーテル、及びテルペンチン)を含み、これらは、例えば蒸発によって除去する必要がある。溶媒の蒸発後であっても、こうした表面コーティング組成物は、本明細書において考えられるような無溶媒表面コーティングではない点は理解されるはずである。同様に、従来の水性表面コーティングは、組成物の1重量%よりも多い水を含み、これは、例えば乾燥によって通常は除去される。
「テロマー」とは、分子の成長がラジカルを供給する連鎖移動剤によって停止された通常は低分子量の付加ポリマー、又は、鎖状分子の端部の末端基が側鎖と同じではない低分子量の付加ポリマーのことを意味する。「オリゴマー」とは、比較的少数(すなわち2〜10個)の繰り返し単位からなるポリマーのことを意味する。
「ウェブ」とは、ロールに巻くことができる材料のことを意味する。ウェブは、フィルム、不織布、積層体、孔のあいた積層体などであってよい。ウェブの面とは、ウェブの縁部に対して、ウェブの2つの大きな二次元の表面のうちの一方のことを指す。
本開示の1以上の部分において使い捨ておむつについて言及しているかもしれないが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、実際、本発明を任意の適当な吸収性物品において極めて効果的に実施することができる点は理解されるはずである。更に、本明細書で述べるような多成分、非水性の無溶媒HSCは、感圧接着剤ラミネート及びテープ、抄紙機用途、紙漉き、食品グレードの剥離及び包装紙、並びに汎用パッケージング用の剥離ライナーとしての用途を有しうる点は容易に予測されることである。
吸収性物品
図1は、平らに広げられた、非収縮状態(すなわち、弾性誘導収縮のない状態)のおむつ10の平面図である。図1の一部は、おむつ10の構造をよりわかりやすく示すために切り取られている。おむつ10の衣類側表面52が見る人の方向に向いており、対向する着用者側表面54が見る人から遠ざかる方向を向いている。図1に示されるように、おむつ10は、液体透過性トップシート20、トップシート20と接合された液体透過性外側カバー30、及び、トップシート20と外側カバー30との間に配置された吸収性コアアセンブリ40を含みうる。おむつ10は、1以上のガスケットカフ50及び/又はバリアカフ51を更に含んでもよい。おむつ10は、弾性的腰部構造部60及び締着装置70を含みうる。おむつ10は、第1の腰部領域56、第2の腰部領域58、及び、長手方向の側縁部55と端部縁部57とによって画定される周辺部53を含みうる。おむつ10の内側の着用者側表面54は、トップシート20の少なくとも一部、及びトップシー20と接合されうる他の要素を含みうる。外側の衣類側表面52は、外側カバー30の少なくとも一部、及び外側カバー30と接合されうる他の要素を含みうる。
図1は、平らに広げられた、非収縮状態(すなわち、弾性誘導収縮のない状態)のおむつ10の平面図である。図1の一部は、おむつ10の構造をよりわかりやすく示すために切り取られている。おむつ10の衣類側表面52が見る人の方向に向いており、対向する着用者側表面54が見る人から遠ざかる方向を向いている。図1に示されるように、おむつ10は、液体透過性トップシート20、トップシート20と接合された液体透過性外側カバー30、及び、トップシート20と外側カバー30との間に配置された吸収性コアアセンブリ40を含みうる。おむつ10は、1以上のガスケットカフ50及び/又はバリアカフ51を更に含んでもよい。おむつ10は、弾性的腰部構造部60及び締着装置70を含みうる。おむつ10は、第1の腰部領域56、第2の腰部領域58、及び、長手方向の側縁部55と端部縁部57とによって画定される周辺部53を含みうる。おむつ10の内側の着用者側表面54は、トップシート20の少なくとも一部、及びトップシー20と接合されうる他の要素を含みうる。外側の衣類側表面52は、外側カバー30の少なくとも一部、及び外側カバー30と接合されうる他の要素を含みうる。
トップシート20は、可撓性で柔らかな感触であり、かつ着用者の皮膚に対して刺激を与えないものとすることができる。トップシートは液体透過性である(すなわち、経血、尿、及び/又はゆるい糞便などの液体をその厚さを通じて速やかに通過させる)ように構成することが望ましい場合がある。例えば、トップシート20は、トップシート20を通じた液体の速やかな移動を促進する親水性材料で形成することができる。特定の実施形態では、トップシート20は、少なくともその一部(例えば着用者側表面)にトップシートを通じて液体がより速やかに移動するように親水性を与える処理が施された疎水性材料(例えば、ポリオレフィン不織布及び/又はフィルム)で形成することができる。トップシート20又はその一部を、界面活性剤で処理することによってより親水性にすることもできる。好適なトップシート20は、織布及び不織布材料(例えば、繊維の不織布ウェブ);孔あき成形熱可塑性フィルム、孔あきプラスチックフィルム、及びハイドロフォーミングされた熱可塑性フィルムなどのポリマー材料;多孔質発泡体;網状発泡体;網状熱可塑性フィルム;並びに熱可塑性スクリムなどの広範囲の材料から製造することができる。好適な織布及び不織布材料は、天然繊維(例えば、木質繊維若しくは綿繊維)、合成繊維(例えば、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、若しくはポリエチレン繊維などのポリマー繊維)、又は天然繊維と合成繊維との組み合わせからなるものでよい。特定の実施形態では、トップシート20は、下記により詳しく述べるように、HSCを有する不織布(例えば、1平方メートル当たり15g(gsm)未満の全体の坪量を有する軽量不織布積層体)からなるものとすることができる。特定の実施形態では、吸収性物品は、1以上のトップシート20、及び/又はHSCを有する軽量不織布積層体を含むトップシート層(例えば、第2のトップシート)を含みうる。
一般的に、吸収性コアアセンブリ40は、液体を吸収及び保持することが可能である(例えば経血、尿、及び/又は他の身体の排出物)。吸収性コアアセンブリ40は、圧縮可能であり、形状一致性を有し、かつ着用者の皮膚に対して刺激を与えないものとすることができる。吸収性コアアセンブリ40の形態及び構造は異なりうる(例えば、吸収性コアアセンブリは異なる厚さの領域を有してもよく、かつ/又は、中心の厚みが大きくなるような断面形状、親水性勾配、超吸収性勾配、より低い平均密度及びより低い平均坪量領域(例えば獲得領域)を有してもよく、かつ/又は1以上の層若しくは構造を有してもよい)。吸収性コアアセンブリ40のサイズ及び吸収能力は、おむつ、失禁パッド、パンティライナー、標準的な生理用ナプキン及びオーバーナイト用生理用ナプキンなどの異なる用途に適応するよう、また、幼児から成人にいたる着用者に適応するように変えることができる。特定の実施形態では、おむつ10は、第1の腰部領域56において側縁部46が幅狭となる部分を有するが、第2の腰部領域58においてはほぼ長方形の形状を保つ、非対称的な変形T字状の吸収性コアアセンブリ40を有しうる。特定の実施形態では、吸収性コアは例えば、2007年6月7日にデサイ(Desai)らによって出願された発明の名称が「固定されたコアアセンブリを有する吸収性物品」(Absorbent Article Having An Anchored Core Assembly)である米国特許出願公開第2008/0004591号に述べられるようなバケツ型の形態に構成することができる。吸収性コアの他の好適な例が、米国特許第4,610,678号、同第4,673,402号、同第4,888,231号、及び同第4,834,735号に述べられている。吸収性コアアセンブリは、米国特許第5,234,423号及び同第5,147,345号に詳細に述べられるように、吸収性貯蔵コアに位置付けられた化学剛化繊維の獲得/分配コアを含む2重コアシステムを更に含んでもよい。吸収性コアアセンブリ40は、例えば、ダスティング層、ウィッキング層若しくは獲得層、及び/又は着用者の着心地を向上させるための二次トップシートなどの、吸収性物品において一般的に使用されている吸収性要素を含んでもよい。
図1に示されるように、外側カバー30は、おむつ10の外側の衣類側表面52の全体をほぼ覆うように構成することができる。吸収性コアアセンブリ40は、当該技術分野において知られる任意の適当な方法で、当該技術分野において知られる任意の適当な取り付け手段により、トップシート20、外側カバー30、又はその両者と接合することができる。例えば、外側カバー30及び/又は第1のトップシート20は、均一かつ連続した接着剤の層、パターン形成された接着剤の層、又は接着剤の個別の線、螺旋、若しくはスポットのアレイ、熱接着、圧着、超音波接着、動的機械的接着、又は当該技術分野において知られるような他の任意の適当な取り付け手段若しくはこれらの取り付け手段の組み合わせによって、吸収性コアアセンブリ40に対して、又は互いに対して固定することができる。外側カバー30は、薄いプラスチックフィルムから製造することができるが、他の可撓性の液体不透過性材料を使用することもできる。外側カバー30は、織布若しくは不織布材料、ポリエチレン若しくはポリプロピレンの熱可塑性フィルムなどのポリマーフィルム、及び/又はフィルムコーティング不織布材料若しくはフィルム/不織布積層体などの複合材料からなるものでよい。好適な外側カバー30の一例として、約0.012mm(0.5ミル)〜約0.051mm(2.0ミル)の厚さを有するポリエチレンフィルムがある。代表的なポリエチレンフィルムとしては、クロペイ社(Clopay Corporation)(オハイオ州シンシナティ)よりP18−1401の表記で、またトレデガー・フィルム・プロダクツ社(Tredegar Film Products)(インディアナ州テレホート)よりXP−39385の表記で製造されるものがある。特定の実施形態では、外側カバー30は、互いに接合されて積層構造を形成する2以上の材料層を含みうる。例えば、外側カバー30は、任意の望ましい適当な形態で1以上の不織布層32と接合された1以上の液体不透過性フィルム層31を含みうる。特定の実施形態では、おむつ10の外表面の美的及び/又は触り心地の品質を向上させるために外側カバー30を使用することができる。例えば、外側カバー30に布のような外観及び/又は手触りを与えるエンボス加工又はつや消しによる仕上げを施すことが望ましい場合がある。
外側カバー30は、液体(例えば、経血、尿、及び/又はゆるい糞便などの低表面張力流体)に対して不透過性とすることにより、吸収性コアアセンブリ40に吸収及び保持された身体の排出物が吸収性物品(例えば、ベッドシーツ、パンツ、パジャマ、及び下着)と接触する物品を濡らすことを防止する助けとなりうる。更に、外側カバー30は、排出物の通過を防止する一方で、蒸気を吸収性コアアセンブリ40から逃すことができる(すなわち、外側カバーは通気性を有しうる)。外側カバー30のサイズは、吸収性コアアセンブリ40のサイズ及び選択された吸収性物品の厳密な設計によって一般的に規定される。しかしながら、特定の実施形態では、外側カバー30は更に高いバリア保護を提供するように構成することができる。特定の実施形態では、外側カバー30はHSCを有する不織布(例えば、軽量不織布積層体材料)を含みうる。不織布、特に軽量不織布積層体材料を、その表面に配置された疎水性表面コーティングと組み合わせて使用することにより、布状の外観及び手触りという所望の美的効果を与える一方で、低坪量及び低コスト材料で更に高いバリア保護を更に提供するものと考えられる。
バリア部材
特定の実施形態では、おむつ10は少なくとも1つのバリア部材を更に含みうる。バリア部材は、おむつ10のバリア性を向上させるためにおむつ10に接合又は塗布される物理的構造である。バリア部材としては、これらに限定されるものではないが、コアカバー、外側カバー、バリアカフ、ガスケットカフ、及び伸縮性トップシートなどの吸収性物品の構成要素が挙げられる。バリア部材は、表面上にHSCを有する軽量不織布積層体を含むことが望ましい場合がある。
特定の実施形態では、おむつ10は少なくとも1つのバリア部材を更に含みうる。バリア部材は、おむつ10のバリア性を向上させるためにおむつ10に接合又は塗布される物理的構造である。バリア部材としては、これらに限定されるものではないが、コアカバー、外側カバー、バリアカフ、ガスケットカフ、及び伸縮性トップシートなどの吸収性物品の構成要素が挙げられる。バリア部材は、表面上にHSCを有する軽量不織布積層体を含むことが望ましい場合がある。
おむつ10は、特におむつ10の脚部開口部の周囲において液体及び他の身体排出物の閉じ込め性を向上させるための1以上のガスケットカフ50を含んでもよい。ガスケットカフ50は、レッグカフ、外側レッグカフ、レッグバンド、サイドフラップ、又は弾性カフと呼ばれる場合もある。米国特許第3,860,003号は、伸縮性レッグカフを提供するサイドフラップ及び1以上の弾性部材を有する収縮性脚部開口部を備える使い捨ておむつについて述べている。1以上の弾性部材62によってガスケットカフ50に弾性を与えることができる。特定の実施形態では、おむつ10は、液体又は他の身体排出物の閉じ込め性を向上させる1以上のバリアカフ51を含んでもよい。バリアカフ51は、バリアレッグカフ、内側レッグカフ、又は「起立した」伸縮性フラップと呼ばれる場合もある。それぞれ1989年2月28日及び1990年3月20日にアジズ(Aziz)らに発行された米国特許第4,808,178号及び同第4,909,803号には、脚部領域の閉じ込め性を向上させる「起立した」伸縮性フラップを有する使い捨ておむつについて述べられている。ガスケットカフ50と同様、バリアカフ51も1以上の弾性部材63を含んでよい。弾性部材63は、バリアカフ51に、バリアカフ51を「起立」位置に保持する助けとなる弾性を付与することができる。1987年9月22日にローソン(Lawson)に、1989年1月3日にドラグー(Dragoo)にそれぞれ発行された米国特許第4,695,278号及び同第4,795,454号に例示されるように、ガスケットカフ50及びバリアカフ51はいずれも一体型カフとして設けることができる。1997年1月7日公開の米国法定発明登録H1630号に詳述されるように更なるカフを設けることもできる。
図2は、部分的に収縮した状態(すなわち、少なくともある程度の弾性誘導収縮を有する)の図1のおむつ10の斜視図である。
図3A〜Cはそれぞれ、図1及び2の線3−3に沿った例示的なカフの構成の断面図を示す。図3A〜Cにはガスケットカフ50及びバリアカフ51が両方とも示されているが、単一のカフの構成も同様に実施することが可能である。図3Aは、例示的なガスケットカフ50及びバリアカフ51の構成を示す。カフ50及び51の両方は、カフの内側表面及び/又は外側表面の一方に沿って共通の基材65を共有しうる。バリアカフ51は、カフ51の横幅の相当の部分が1層の基材65からなる単一層の構成として示されている。図3Bは、多層構造のバリアカフ51を有する例示的なガスケットカフ50及びバリアカフ51の構成を示す。この多層構造では、少なくとも2層の基材が、カフ51の横幅の相当の部分にわたって存在している。ガスケットカフ50及び/又はバリアカフ51のそれぞれにおいて、1以上の弾性部材62、63を使用することができる。図3Cは、第1のバリアカフ51A及び第2のバリアカフ51Bを有する例示的な2重バリアカフ51の構成を示す。バリアカフ51は、第1のバリアカフ51A及び第2のバリアカフ51Bの両方の一部を形成する基材65を含みうる。第1のバリアカフ51Aを第2のバリアカフ51Bよりも長手方向の中心線59(図1に示される)のより近くに配置し、第2のバリアカフ51Bをおむつ10の長手方向の縁部55のより近くに配置することができる。基材65には、第1のバリアカフ51A及び/又は第2のバリアカフ51B内に存在してよい弾性部材63が封入されうる。一般に、第1のバリアカフ51A及び第2のバリアカフ51Bは、基材65に封入された少なくとも1つの弾性部材63を収容している。基材65は、接着部位69において互いに接合された2つの縁部68を含みうる。図3Cに示されるように、縁部68同士が当接するように構成することもできるが、本明細書では、縁部68同士が重なり合う構成などの他の構成も考えられる。2重カフの構成の特定の実施形態では、基材65は連続であってもよい。連続的又は不連続的な基材65から形成される2重バリアカフ51については、2004年4月14日出願のアシュトン(Ashton)らによる米国特許出願公開第2005/0234411号により詳しく述べられている。図3Cには連続的な基材65が示されている。基材65は、対向する縁部68間に連続的な経路を形成する。この連続的な経路に沿って、第1のバリアカフ51A及び第2のバリアカフ51Bの構造が形成されてよく、また、弾性部材63が封入されうる。縁部68は、共通の接着部位69で互いに対して、かつ/又はおむつ10に対して取り付けることができる。
図3A〜Cに示されるように、おむつ10の特定の実施形態には、コアカバー41が含まれうる。コアカバー41は、吸収性コアアセンブリ40に構造的一体性を提供しうる。コアカバー41は、物理的なバリアなしでは移動、運動、又は空気中に浮遊する傾向をいずれも有しうるセルロース系材料及び吸収性ゲル化材料などのコア要素40を収容することができる。コアカバー41は、図3A〜Bに示されるように吸収性コアアセンブリ40を全体的に封入するか、あるいは吸収性コアアセンブリ40を部分的にのみ覆うことができる。コアカバー41は、例えば軽量不織布積層体などの適当な不織布を含みうる。
特定の実施形態では、おむつ10は、身体の排出物、特に排便を受容及び貯蔵するための1以上の区画を提供する伸縮性トップシート20Aを含みうる。図4は、例示的な伸縮性トップシート20Aを示す。伸縮性トップシート20A及び伸縮性トップシート20Aを含む物品については、米国特許第6,482,191号に述べられている。図4は、細長いスリット開口部90及び1対の弾性部材92を有する伸縮性トップシート20Aを示す。細長いスリット開口部90は、身体の排出物をおむつ10の内部に通過させるために設けられる。弾性部材92は、トップシート20Aが使用時に垂れ下がることのないように伸縮性トップシート20Aに充分な張力を付与することができる。伸縮性トップシート20Aは、従来のトップシートに関して上記に列記した材料のいずれを含んでもよいが、伸縮性トップシート20Aはある程度の疎水性を示すことが望ましい場合もある(例えば、HSCによってコーティングされた軽量不織布積層体を伸縮性トップシート20Aに含むことにより)。疎水性の伸縮性トップシート20Aは、おむつ10に貯蔵された身体の排出物が伸縮性トップシート20Aを通じて滲出し、着用者の皮膚に触れることを防止することができる。
軽量不織布積層体
不織布材料及び不織布積層体の形成法は、当該技術分野では周知のものである。軽量不織布、軽量不織布積層体の形成、並びにこうした不織布及び不織布積層体を製造するためのプロセス及び装置については、米国特許出願公開第2005/0177123号及び同第2006/0189956号に述べられている。図5は、第1の連続したフィラメント526で形成された第1の連続フィラメント層512、微小繊維530で形成された微小繊維層532、及び第2の連続したフィラメント534で形成された第2の連続フィラメント層536を示す、不織布積層体512の典型的な断面図である。結合部541は、不織布積層体512を圧縮して各層並びに繊維及び/又はフィラメントを互いに融合しうる。特定の実施形態では、連続したフィラメント526及び534は、12マイクロメートル〜30マイクロメートルの範囲の平均繊維径を有しうる。連続フィラメント層528及び536の一方又は両方の坪量を変化させることができる。特定の実施形態では、各連続フィラメント層528、536の坪量を、1平方メートル当たり2g(「gsm」)〜20gsm、4gsm〜10gsm、又は更には5gsm〜8gsmの範囲とすることができる。第1の連続フィラメント層528及び第2の連続フィラメント層536は同じ坪量及び/又は平均繊維径を有してもよいが、必ずしもそうである必要はない。微小繊維530は、12マイクロメートル未満、又は更には5マイクロメートル未満の範囲の平均繊維径を有しうる。微小繊維層532は、1.5gsm、1.4gsm、1.2gsm、1.1gsm未満、又は更には1.0gsm未満の坪量を有しうる。
不織布材料及び不織布積層体の形成法は、当該技術分野では周知のものである。軽量不織布、軽量不織布積層体の形成、並びにこうした不織布及び不織布積層体を製造するためのプロセス及び装置については、米国特許出願公開第2005/0177123号及び同第2006/0189956号に述べられている。図5は、第1の連続したフィラメント526で形成された第1の連続フィラメント層512、微小繊維530で形成された微小繊維層532、及び第2の連続したフィラメント534で形成された第2の連続フィラメント層536を示す、不織布積層体512の典型的な断面図である。結合部541は、不織布積層体512を圧縮して各層並びに繊維及び/又はフィラメントを互いに融合しうる。特定の実施形態では、連続したフィラメント526及び534は、12マイクロメートル〜30マイクロメートルの範囲の平均繊維径を有しうる。連続フィラメント層528及び536の一方又は両方の坪量を変化させることができる。特定の実施形態では、各連続フィラメント層528、536の坪量を、1平方メートル当たり2g(「gsm」)〜20gsm、4gsm〜10gsm、又は更には5gsm〜8gsmの範囲とすることができる。第1の連続フィラメント層528及び第2の連続フィラメント層536は同じ坪量及び/又は平均繊維径を有してもよいが、必ずしもそうである必要はない。微小繊維530は、12マイクロメートル未満、又は更には5マイクロメートル未満の範囲の平均繊維径を有しうる。微小繊維層532は、1.5gsm、1.4gsm、1.2gsm、1.1gsm未満、又は更には1.0gsm未満の坪量を有しうる。
軽量不織布積層体512の全体の坪量は、45gsmを超えてはならない。特定の実施形態では、軽量不織布積層体材料の全体の坪量は、30gsm未満又は更には20gsmである。本明細書では、1つの積層体の個別の層について異なる坪量の組み合わせが考えられる。例えば、第1の連続フィラメント層528、微小繊維層532、及び第2の連続フィラメント層536の好適な坪量の組み合わせは、それぞれ6gsm〜8gsm、1.0gsm、及び6gsm〜8gsmであり、又は更にはそれぞれ6gsm、3gsm、6gsmである。
疎水性表面コーティング
軽量不織布積層体材料を吸収性物品の1以上のバリア部材に組み込むことが望ましい場合がある。軽量不織布積層体材料の少なくとも1つの表面又は表面の部分上に疎水性表面コーティング(HSC)を含むことが更に望ましい場合がある。HSCは、例えば、反応性ビニル官能性シロキサンポリマー、無溶媒シリコーンポリマー架橋剤、及び反応性触媒(例えば有機白金)をポリシロキサンに分散した組成物のような、非水性、無溶媒、多成分のシリコーン組成物を材料の表面又は表面の部分に塗布することによって提供することができる。HSC組成物は、材料及び/又は繊維表面への塗布時には液体であってよいが、コーティングの時点では水又は他の水性媒質を実質的に含んではならない。理論によって制限されずに言えば、非水性かつ無溶媒HSC組成物は、材料及び/又は繊維表面上のより均一なシリコーンポリマー(すなわち「活性物質」)の分布を提供するものと考えられる。特定の実施形態では、HSC組成物は、疎水性表面へのHSC組成物の供給を促進するように疎水性であることが望ましく、これにより均一なHSCの分布が得られる。特定の実施形態では、多成分HSC組成物は、HSC組成物の重量に対して95重量%よりも多いシリコーンポリマーを含みうる(すなわち、HSCのほとんど全体が活性物質で構成される)。好適なシリコーンポリマーとしては、シリコーンMQ樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコーン液体エラストマー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適なポリジメチルシロキサンとしては、ビニル末端ポリジメチルシロキサン、メチル水素ジメチルシロキサン、水酸基末端ポリジメチルシロキサン、オルガノ変性ポリジメチルシロキサン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態(例えば、綿を含む基材をコーティングする場合)では、フッ素化ポリマーを含むHSCを使用することができる。好適なフッ素化ポリマーとしては、テトラフルオロエチレン及び/又は過フッ素化アルキル鎖を含むテロマー及びポリマーが挙げられる。例えば、デュポン社(DuPont)よりZonyl(登録商標)(例えば、Zonyl(登録商標)321、329、8740、9027、及び9360)の商品名で市販されるフッ素化ポリマーが適当でありうる。
軽量不織布積層体材料を吸収性物品の1以上のバリア部材に組み込むことが望ましい場合がある。軽量不織布積層体材料の少なくとも1つの表面又は表面の部分上に疎水性表面コーティング(HSC)を含むことが更に望ましい場合がある。HSCは、例えば、反応性ビニル官能性シロキサンポリマー、無溶媒シリコーンポリマー架橋剤、及び反応性触媒(例えば有機白金)をポリシロキサンに分散した組成物のような、非水性、無溶媒、多成分のシリコーン組成物を材料の表面又は表面の部分に塗布することによって提供することができる。HSC組成物は、材料及び/又は繊維表面への塗布時には液体であってよいが、コーティングの時点では水又は他の水性媒質を実質的に含んではならない。理論によって制限されずに言えば、非水性かつ無溶媒HSC組成物は、材料及び/又は繊維表面上のより均一なシリコーンポリマー(すなわち「活性物質」)の分布を提供するものと考えられる。特定の実施形態では、HSC組成物は、疎水性表面へのHSC組成物の供給を促進するように疎水性であることが望ましく、これにより均一なHSCの分布が得られる。特定の実施形態では、多成分HSC組成物は、HSC組成物の重量に対して95重量%よりも多いシリコーンポリマーを含みうる(すなわち、HSCのほとんど全体が活性物質で構成される)。好適なシリコーンポリマーとしては、シリコーンMQ樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコーン液体エラストマー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適なポリジメチルシロキサンとしては、ビニル末端ポリジメチルシロキサン、メチル水素ジメチルシロキサン、水酸基末端ポリジメチルシロキサン、オルガノ変性ポリジメチルシロキサン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態(例えば、綿を含む基材をコーティングする場合)では、フッ素化ポリマーを含むHSCを使用することができる。好適なフッ素化ポリマーとしては、テトラフルオロエチレン及び/又は過フッ素化アルキル鎖を含むテロマー及びポリマーが挙げられる。例えば、デュポン社(DuPont)よりZonyl(登録商標)(例えば、Zonyl(登録商標)321、329、8740、9027、及び9360)の商品名で市販されるフッ素化ポリマーが適当でありうる。
不織布又は繊維などの基材の表面にHSC組成物を塗布した後に、HSC組成物中に存在するシリコーンポリマーの少なくとも一部を架橋することができる。ポリマーは、例えば、シリコーン組成物からの架橋阻害物質を触媒の存在下で熱処理する硬化プロセスにおけるような、当該技術分野で知られる任意の適当な架橋反応によって架橋することができる。架橋において、シリコーンポリマー分子間に分子間共有結合が形成される。理論によって制限されずに言えば、架橋された分子によって、通常は液体の状態で基材に塗布されるHSCが固体のように振る舞う(すなわち、通常は液体に見られる、流動又は移動する傾向を示さない)ものと考えられる。したがって、架橋シリコーンポリマーは、HSCを所望の位置に保持する助けとなりうる。架橋前のシリコーンポリマーの分子量は、通常4000MW以下である。架橋後では、コーティング表面上における架橋シリコーンポリマーの分子量は、4000MW、10,000MW、15,000MW、20,000MWよりも大きく、又は更には25,000MWよりも大きくなりうる。HSCは、基材1g当たり少なくとも1マイクログラム(μg/g)のコーティングの量で基材(例えば、軽量不織布積層体)の表面上に存在してよい。例えば、HSCは、適当なケイ素分析法によって測定した場合に、少なくとも約100μg/g、200μg/g、300μg/g、又は更には少なくとも400μg/gの量で積層体上に存在してよい。
理論に制限されずに言えば、本明細書で開示されるHSC組成物は、繊維状の基材の表面(例えば不織布の表面)に局所的に塗布された場合、繊維及び/又は繊維状構造の周囲に粘着性かつ均一なフィルム状の網状組織が形成されて、不織布の小孔の網状組織を部分的に充填するように、不織布の1以上の繊維及び/又は繊維状構造を封入又は少なくとも部分的にコーティングする傾向を有するものと考えられる。このフィルム状の網状組織は、特に表面エネルギーが低い流体に曝露される場合に、構成要素のバリア性を高める機能を有する。特定の実施形態では、HSC組成物をホットメルト組成物に添加剤として添加し(例えば、熱可塑性溶融物として混入する)、次いでホットメルト組成物を繊維及び/又は基材に成形する(例えば、スパンボンド、メルトブロー、又は押し出し成形により)ことができるが、こうした実施形態は、繊維状構造上に適当なフィルム状網状組織が形成されないために、一般的には望ましくない。得られた繊維は適当な疎水性を示しうるが、こうした繊維から形成される不織布は所望のバリア性を示さない場合がある。
図6は、コーティングしていない15gsmのメルトブロー不織布700の顕微鏡写真を示す。図7では、図6の不織布700がHSC 710によって処理されることによって、非水性、無溶媒、多成分のシリコーン組成物を含む、コーティングされた不織布730を形成している。ここで、コーティングされた不織布730の繊維状構造740間にフィルム状網状組織720が形成されている。特定の実施形態では、HSC 710はエラストマー性のものとすることができる。したがって、HSC 710は吸収性物品の構成要素の1以上の表面上に付着させられる場合、延伸されると物品の構成要素に少なくともある程度の弾性を提供することができる。
本明細書に開示されるHSC組成物は、疎水性の活性成分を含む水性コーティング組成物と比較して改善された活性成分の分布を提供することができる(例えば、より均一なHSCを提供する)ものと考えられる。改善された活性成分の分布とは、より長い裏抜け時間によって示されるように、処理された構成要素及び/又は構成要素の部分のバリア性が改善されていることを意味する。好適な裏抜け時間としては、後述する液体裏抜け法に従って測定した場合に、12秒よりも長い裏抜け時間が挙げられる。裏抜け時間は、例えば12〜20秒、14〜18秒、又は更には15〜17秒である。更に、本明細書に述べられるHSC組成物は、水性組成物に一般的に含まれる更なる添加剤(例えば、界面活性剤及び安定剤)を含まないため、従来のコーティング組成物と比較して活性物質の移動が低減され、理想的には移動しなくなっている。
特定の実施形態では、HSC組成物は、材料を製造プロセスに供給することによって材料の表面に塗布することができる。例えば、SMS不織布積層体材料のウェブ(例えば、上記に述べた不織布積層体の1以上のもの)を原反ロールの形で提供することができる。このSMSウェブを当該技術分野において知られる任意の適当な手段によって原反ロールから巻き出し、例えばロール又はコンベヤーベルトなどの連続した移動表面上に置くことができる。HSC組成物の塗布に先立って、この材料のウェブを、活性化プロセス、接着プロセス(例えば、接着剤、超音波、高圧)、加熱/冷却プロセス、表面改質プロセス(例えば、表面上にラジカルを生成するための高エネルギー表面処理又は化学プロセス)、印刷プロセス、これらの組み合わせなどを含むがこれらに限定されない1以上のプロセスに通過させることができる。プロセスの適当な時点において、ウェブはHSCの塗布段階に入り、ここでウェブにHSC組成物が塗布される。HSC組成物は、例えばキスローリングなどの当該技術分野において知られる任意の適当な手段によって塗布することができる。キスローリングでは、通常、HSC組成物の浴を通じて連続的に回転するキスロールとウェブを接触させる。材料のウェブがキスロールと接触すると、材料の少なくとも一部がHSC組成物を受け取る。好適な塗布方法の他の例としては、これらに限定されるものではないが、スプレー法、ディップ法、スロットコーティング法、及び押し出し成形法が挙げられる。HSC組成物が塗布される速度を製造ラインの速度とともに変化させることによって、材料上に所望の量のHSC組成物、例えば材料1平方m当たり0.1〜1.0gのHSC組成物を提供することができる。HSC組成物が材料のウェブに塗布されてコーティングされたウェブが形成された後、コーティングされたウェブを高温(例えば80℃〜120℃)に曝す硬化段階に供することが望ましい場合がある。例えば、コーティングされたウェブを直接的又は間接的に1以上の熱源(例えば、製造ライン上の材料のウェブから液体を除去するために一般的に使用される1以上の従来のドライヤー)と接触させることができる。特定の実施形態では、熱源として強制空気対流ドライヤードラムが含まれうる。特定の実施形態では、HSC組成物はシリコーンポリマーを含みうる。こうした実施形態のシリコーンポリマーは、硬化フェーズにおいて架橋することができる。硬化フェーズの後、コーティングされたウェブはHSCウェブとなる。このHSCウェブは、硬化段階の下流の更なるプロセスに供することができる。HSCウェブは巻き取りロールに巻き取って、別の場所に移送し、そこで別のプロセス(例えば、吸収性物品及び/又は吸収性物品の構成要素を製造するためのプロセス)に供給することができる。特定の実施形態では、上記に述べたコーティングプロセスが、吸収性物品及び/又は吸収性物品の1以上の構成要素を製造するための総合的製造プロセスの一部であってもよい。こうした実施形態では、HSCウェブを下流のプロセスにおいて吸収性物品及び/又は吸収性物品の構成要素に組み込むことができる。本明細書で使用する「組み込まれた」なる用語は、HSCコーティングされたウェブがそれ自体及び/又は他の要素に接合されることによって、吸収性物品及び/又は吸収性物品の構成要素を形成することを意味する。
図8は、基材805のバリア性を高めるための例示的なプロセス800を示す。基材805は、原反ロール810からプロセス800に供給することができる。次いで基材805はコーティング段階820を通過し、ここで基材805にHSC組成物が塗布される。HSC組成物は、HSC組成物の浴830を通じて回転するキスロール840によって塗布することができる。キスロール840は、基材805の少なくとも一部と接触して、適当な量のHSC組成物を基材805に転写してコーティングされた基材815を形成するように構成することができる。コーティングされた基材815は硬化段階860に供してもよく、ここでコーティングされた基材815に熱が加えられる。加熱されたロール870とフード880との組み合わせによって基材に熱を加えることで、HSC基材を形成することができる。当該技術分野において知られる、ポリマー組成物に熱を加え、かつ/又は硬化させるための任意の適当な手段が本明細書において考えられることは理解されるはずである。HSCウェブを1以上のアイドラロール891、ニップロール890、及び/又は駆動ロール892を通じて、又はこれらの周囲に通過させた後、巻き取りロール895に巻き取るか、又は下流のプロセスに供給することができる。
下記表1は、本明細書で開示するようなHSCでコーティングした軽量不織布積層体の裏抜け時間を示したものである。積層体は、ポリマー・グループ社(Polymer Group, Inc.)(ノースカロライナ州シャーロット)より販売される15gsmの不織布である。この不織布は、各層がそれぞれ7gsm、1gsm、7gsmの坪量を有するように構成されたポリプロピレン製のSMS 3層積層体である。裏抜け時間は、コーティングしていない試料、疎水性活性成分を含む水性組成物でコーティングした試料、及び、本明細書で開示するHSCについて測定した。水性組成物は、組成物の総重量に対して10.4重量%の全活性成分を含む溶液である。この組成物は、25重量%のSM3200ブランドの40%エマルション、触媒を含む0.5重量%のSM3010ブランドの40%エマルション、及び74%の水の混合物である。SM3200及びSM3010ブランドの40%活性成分エマルションは、モメンティブ・ケミカルズ社(Momentive Chemicals)より販売されるものである。HSC組成物は、いずれもダウ・コーニング社(Dow Corning Corp.)より販売される、92%のSylOFF 9110ブランドのシリコーンポリマー、5%のSylOFF 7682−0000ブランドのシリコーンポリマー架橋剤、及び3%のSylOFF 4000ブランドの触媒からなる100%活性の多成分シリコーン組成物である。裏抜け時間は、下記に述べる液体裏抜け試験に従って測定した。
表1から理解されるように、本明細書における使用に適したHSCは、コーティングしていない試料及び水性組成物で処理した試料と比較して裏抜け時間が改善されている。
試験方法
ケイ素分析
表面にコーティングされたケイ素元素の量を、標準的な方法を用いて外部の公認の検査機関(例えば、アドバンスト・テスティング・ラボラトリー(Advanced Testing Laboratory)(オハイオ州シンシナティ))において行ったケイ素分析によって調べた。ケイ素分析に提出された、本明細書で述べるようなHSCコーティングした試料は、ケイ素元素を含有するシロキサンポリマーを疎水性活性成分として、更に、コーティングされるかあるいはされなくともよい不織布材料を主として含むものである。したがって、HSCコーティングした不織布基材に対するケイ素元素分析は、存在するシリコーンを検出してその量を定量化することが可能であり、次いでこれらをコーティングされた基材上に存在するHSCの量と関連づけることが可能である。
ケイ素分析
表面にコーティングされたケイ素元素の量を、標準的な方法を用いて外部の公認の検査機関(例えば、アドバンスト・テスティング・ラボラトリー(Advanced Testing Laboratory)(オハイオ州シンシナティ))において行ったケイ素分析によって調べた。ケイ素分析に提出された、本明細書で述べるようなHSCコーティングした試料は、ケイ素元素を含有するシロキサンポリマーを疎水性活性成分として、更に、コーティングされるかあるいはされなくともよい不織布材料を主として含むものである。したがって、HSCコーティングした不織布基材に対するケイ素元素分析は、存在するシリコーンを検出してその量を定量化することが可能であり、次いでこれらをコーティングされた基材上に存在するHSCの量と関連づけることが可能である。
液体の裏抜け
コーティングされた基材のバリア性能を、基材の表面に加えた液体が基材の表面に浸透する時間を測定することによって調べた。試験方法は、Lister SN L5725モデル1998及びアルドリッチ・ケミカルズ社(Aldrich Chemicals)より市販される0.042%のTriton−X−100の水溶液を使用し、欧州不織布協会(European Disposables And Nonwovens Association)(「EDANA」)の方法第150.3−96に準拠した。溶液の表面張力は、約30mN/m〜32mN/mでなけれなばらない。試験溶液は以下の手順で調製した。
コーティングされた基材のバリア性能を、基材の表面に加えた液体が基材の表面に浸透する時間を測定することによって調べた。試験方法は、Lister SN L5725モデル1998及びアルドリッチ・ケミカルズ社(Aldrich Chemicals)より市販される0.042%のTriton−X−100の水溶液を使用し、欧州不織布協会(European Disposables And Nonwovens Association)(「EDANA」)の方法第150.3−96に準拠した。溶液の表面張力は、約30mN/m〜32mN/mでなけれなばらない。試験溶液は以下の手順で調製した。
5.0Lを調製する手順:
1.6.0Lのフラスコ及び1.0Lのビーカーをよく洗ってすすぐ。
2.扉/蓋を閉じた化学天秤をゼロに合わせる。
3.汚れのない乾燥した1.0Lのビーカーを天秤の上に置き、天秤の風袋を量る。
4.使い捨てのピペットを使用し、天秤上のビーカーに2.10gのTriton−X−100を直接注意深く加える。Triton−X−100をフラスコに加える際、ビーカーの首又は側面に付着していないことを確認する。
5.1.0Lのメスシリンダーを使用し、ビーカーに998mLの蒸留水を加える。
6.ビーカーの内容物を6.0Lのフラスコに注ぐ。
7.1,000mLの蒸留水をビーカーに加えて、Triton−X−100をすすぐ。
8.この蒸留水を6.0Lのフラスコに注ぎ、内容物を合わせる。
9.工程6〜8を更に3回繰り返す。
10.攪拌子をフラスコに入れる。
11.箔でフラスコを覆う。
12.安全ラベルをフラスコに貼る(下記実施例を参照)。マスキングテープを使用し、調製日及び溶液を調製した人の頭文字を記す。
13.溶液の入ったフラスコを攪拌プレートの上に置き、充分に混合する(おおよそ30分で充分である)。
14.下記界面張力測定法に従って溶液の表面張力を測定し、表面張力が32±2ダイン/cmであることを確認する。
1.6.0Lのフラスコ及び1.0Lのビーカーをよく洗ってすすぐ。
2.扉/蓋を閉じた化学天秤をゼロに合わせる。
3.汚れのない乾燥した1.0Lのビーカーを天秤の上に置き、天秤の風袋を量る。
4.使い捨てのピペットを使用し、天秤上のビーカーに2.10gのTriton−X−100を直接注意深く加える。Triton−X−100をフラスコに加える際、ビーカーの首又は側面に付着していないことを確認する。
5.1.0Lのメスシリンダーを使用し、ビーカーに998mLの蒸留水を加える。
6.ビーカーの内容物を6.0Lのフラスコに注ぐ。
7.1,000mLの蒸留水をビーカーに加えて、Triton−X−100をすすぐ。
8.この蒸留水を6.0Lのフラスコに注ぎ、内容物を合わせる。
9.工程6〜8を更に3回繰り返す。
10.攪拌子をフラスコに入れる。
11.箔でフラスコを覆う。
12.安全ラベルをフラスコに貼る(下記実施例を参照)。マスキングテープを使用し、調製日及び溶液を調製した人の頭文字を記す。
13.溶液の入ったフラスコを攪拌プレートの上に置き、充分に混合する(おおよそ30分で充分である)。
14.下記界面張力測定法に従って溶液の表面張力を測定し、表面張力が32±2ダイン/cmであることを確認する。
乾燥移動試験
この方法を用いて、親水性不織布原材料から疎水性不織布原材料への親水性界面活性剤の乾燥移動量を測定することによって不織布材料の表面改質を確認し、界面活性剤の隣接材料への乾燥移動について試験した。
この方法を用いて、親水性不織布原材料から疎水性不織布原材料への親水性界面活性剤の乾燥移動量を測定することによって不織布材料の表面改質を確認し、界面活性剤の隣接材料への乾燥移動について試験した。
手順:疎水性不織布と親水性不織布を交互に積み重ねて60℃のオーブンに入れる。不織布間の物理的接触を最大とするために積層物の上に重りをのせる。積層物及び重りをオーブン内に48時間置く。この時間の後、移動した界面活性剤含量を測定する飛行時間型2次イオン質量分析法(「TOF−SIMMS」)によって疎水性不織布を分析する。TOF−SIMMSは、試料表面上の化学物質を同定するための手段として使用することが可能であり、試料から得られる質量スペクトルを、試料上に付着した材料から得られる参照スペクトルと比較することによって行われる。
界面張力測定及び接触角測定
界面張力測定は、液体の表面張力をダイン/cmの単位で測定する。この試験は、名称が「界面活性剤の溶液の表面及び界面張力の標準的試験方法」(Standard Test Method for Surface and Interfacial Tension of Solutions of Surface Active Agents.)であるASTM D−1331に従って行われる。接触角測定は、表面上の液体の表面エネルギーを測定する。この試験は、名称が「前進接触角測定によるコーティング、基材、及び顔料の表面濡れ性の標準的手順」(Standard Practice for Surface Wettability of Coatings, Substrates and Pigments by Advancing Contact Angle Measurement.)であるASTM D−7334に従う。低い前進接触角の値は濡れを示すものであり、低い前進接触角を有する液体は特定の不織布材料上により速やかに広がる傾向を有するが、これは、例えば材料がバリア材料である場合には望ましくない場合がある。
界面張力測定は、液体の表面張力をダイン/cmの単位で測定する。この試験は、名称が「界面活性剤の溶液の表面及び界面張力の標準的試験方法」(Standard Test Method for Surface and Interfacial Tension of Solutions of Surface Active Agents.)であるASTM D−1331に従って行われる。接触角測定は、表面上の液体の表面エネルギーを測定する。この試験は、名称が「前進接触角測定によるコーティング、基材、及び顔料の表面濡れ性の標準的手順」(Standard Practice for Surface Wettability of Coatings, Substrates and Pigments by Advancing Contact Angle Measurement.)であるASTM D−7334に従う。低い前進接触角の値は濡れを示すものであり、低い前進接触角を有する液体は特定の不織布材料上により速やかに広がる傾向を有するが、これは、例えば材料がバリア材料である場合には望ましくない場合がある。
(実施例1)
ビニル末端ポリジメチルシロキシサン、メチル水素ポリジメチルシロキサン、並びに架橋剤及び触媒を混合することによって、多成分、シリコーン性、非水性及び無溶媒のHSC組成物を調製した。混合物は、92%のSylOFF 9110ブランドのシリコーンポリマー、5%のSylOFF 7682ブランドの架橋剤、及び3%のSylOFF 4000ブランドの触媒の比で混合した。400μg/gのHSCを基材上に付着させた。この実施例における使用に適した基材としては、スパンボンド/メルトブロウン/スパンボンドの6/1/6、7/1/7、及び8/1/8(gsm)のレイダウンを有する軽量不織布積層体が挙げられる。HSCは、PDMSポリマーの自己架橋を促進するための遷移金属触媒を更に含有する。コーティングされた基材を、80℃〜120℃の温度範囲で0.5〜1.0分間、熱硬化させた後、その後の使用のために適当な容器内に保存した。熱硬化プロセスの後、架橋剤をHSCから実質的に除去した。
ビニル末端ポリジメチルシロキシサン、メチル水素ポリジメチルシロキサン、並びに架橋剤及び触媒を混合することによって、多成分、シリコーン性、非水性及び無溶媒のHSC組成物を調製した。混合物は、92%のSylOFF 9110ブランドのシリコーンポリマー、5%のSylOFF 7682ブランドの架橋剤、及び3%のSylOFF 4000ブランドの触媒の比で混合した。400μg/gのHSCを基材上に付着させた。この実施例における使用に適した基材としては、スパンボンド/メルトブロウン/スパンボンドの6/1/6、7/1/7、及び8/1/8(gsm)のレイダウンを有する軽量不織布積層体が挙げられる。HSCは、PDMSポリマーの自己架橋を促進するための遷移金属触媒を更に含有する。コーティングされた基材を、80℃〜120℃の温度範囲で0.5〜1.0分間、熱硬化させた後、その後の使用のために適当な容器内に保存した。熱硬化プロセスの後、架橋剤をHSCから実質的に除去した。
本明細書で開示する寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、こうした各寸法は、記載される値及びその値の周辺の機能的に同等な範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
明らかに除外されるかあるいは限定されない限り、相互参照される又は関連するすべての特許又は特許出願を含む本明細書に引用するすべての文書は、その全容を参照によって本明細書に組み込むものとする。いずれの文献の引用も、それが本明細書において開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、それが単独で、あるいは他のいずれかの参照文献との組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを教示、示唆、又は開示していることを容認するものでもない。更に、本書における用語の意味又は定義が、参照によって組み込まれる文書における同じ用語の意味又は定義と相反する限りにおいて、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が優先するものとする。
以上、本発明の特定の実施形態を図示、説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び改変を行いうることは当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲に含まれるこうした変更及び改変はすべて、添付の「特許請求の範囲」において網羅されるものとする。
Claims (15)
- 不織布のバリア性を向上させるための方法であって、
a.第1及び第2の対向する表面(501、502)を有する不織布(700)を提供する工程と、
b.前記第1及び第2の表面(501、502)の少なくとも一方に疎水性表面コーティング組成物を塗布することによってコーティングされた不織布(730)を形成する工程と、
c.前記コーティングされた不織布(730)を使い捨て吸収性物品(10)に組み込む工程であって、前記使い捨て吸収性物品(10)が、液体透過性のトップシート(20)、前記トップシートの少なくとも一部に接合された外側カバー(30)、前記トップシートと前記外側カバーとの間に配置された吸収性コア(40)、並びに前記トップシート(20)、前記外側カバー(30)、及び前記吸収性コア(40)の少なくとも1つに接合されたバリア部材を含む、工程と、を含み、
前記疎水性表面コーティング組成物が、非水性、無溶媒、多成分シリコーン組成物を含み、前記非水性、無溶媒、多成分シリコーン組成物が少なくとも2種類のシリコーンポリマーを含み、かつアミノシリコーンを実質的に含まないものであることを特徴とする、方法。 - 前記疎水性表面コーティング組成物が前記不織布(700)に塗布された後で、前記疎水性表面コーティング組成物を硬化させる工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
- 前記不織布(700)が、第1の連続フィラメント層(528)、第2の連続フィラメント層(536)、及び前記第1の連続フィラメント層(528)と前記第2の連続フィラメント層(536)との間に配置された微小繊維層(532)を含む軽量積層体材料(512)であり、前記微小繊維層(532)が1.5gsm未満の坪量を有する、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記バリア部材が、コアカバー(41)、ガスケットカフ(50)、バリアカフ(51)、伸縮性トップシート(20)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- 前記不織布(700)が多層積層体(512)であり、前記バリア部材が、前記不織布積層体(512)の単一層を含むバリアカフ(51)である、請求項4に記載の方法。
- 前記不織布(700)が多層積層体(512)であり、前記バリア部材が、前記不織布積層体(512)の二層以上を含むバリアカフ(51)である、請求項4に記載の方法。
- 前記コーティングされた不織布(730)の液体裏抜け試験に基づいた裏抜け時間が、少なくとも12秒である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記シリコーンポリマーの少なくとも1種類を架橋する工程を更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
- 前記シリコーンポリマーの少なくとも1種類が、シリコーンMQ樹脂、ポリジメチルシロキサン、エポキシシリコーン、アミドシリコーン、シリコーン液体エラストマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
- 前記シリコーンポリマーの少なくとも1種類が、ビニル末端ポリジメチルシロキサン、メチル水素ジメチルシロキサン、オルガノ変性ポリジメチルシロキサン、水酸基末端ポリジメチルシロキサン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリジメチルシロキサンである、請求項9に記載の方法。
- 前記シリコーンポリマーの少なくとも1種類が、少なくとも4000MWの分子量を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
- 前記コーティングされた不織布(730)が前記バリア部材の少なくとも一部を形成するように前記コーティングされた不織布(730)が前記使い捨て吸収性物品(10)に組み込まれ、前記疎水性表面コーティングが前記バリア部材の皮膚接触表面上に配置される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
- 前記疎水性表面コーティング組成物が、基材1g当たり少なくとも組成物1マイクログラムの量で前記不織布に塗布される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
- 前記コーティングされた不織布(730)が、乾燥移動試験に基づいた活性物質の移動を実質的に示さない、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
- 前記コーティング組成物が、前記組成物の重量に対して少なくとも95重量%活性物質である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
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