JP2012509923A - 心臓保護剤及び抗腫瘍剤としてのロカグラオール誘導体 - Google Patents

心臓保護剤及び抗腫瘍剤としてのロカグラオール誘導体 Download PDF

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Abstract

本発明は、新規なロカグラオール誘導体、及び抗腫瘍剤の心毒性を予防するためか又は制限するための、特にかかる薬剤によって誘導される心筋細胞のアポトーシスを予防するためか又は制限するためのロカグラオール誘導体の使用を開示する。

Description

発明の分野
本発明は、新規な心臓保護剤を用いることによる抗腫瘍剤の心毒性の予防に関する。加えて、本発明はまた、新規な抗腫瘍剤に関する。
発明の背景
心毒性は、例えば、アントラサイクリン、シクロホスファミド、フルオロウラシル、リツキシマブ、シスプラチン、グリーベック又はハーセプチンを含む様々な抗腫瘍剤の主要な副作用である(Pai et al., 2000)。その中で、アントラサイクリンは、例えば、白血病、リンパ腫ならびに乳癌、子宮癌、卵巣癌及び肺癌を含む広い範囲の癌を処置するために用いられる、化学療法剤のクラスである。それでもなお、アントラサイクリンの抗癌剤、特にドキソルビシンの治療上の有用性は、ミトコンドリア損傷及び心筋細胞アポトーシスに関連する進行性の毒性心筋症によって制限される(Swain et al., 2003)。この心毒性は、しばしば、心電図の変化及び不整脈として、又はうっ血性心不全に至る心筋症として、時に処置後の長年存在し(Steinherz et al., 1995)、患者の累積的な生涯服用量に関係する。近年のいくつかの研究は、ドキソルビシンの累積投与量が700mg/mに達すると、うっ血性心不全を発症する危険が48%にまで劇的に増加することを明らかにした(Swain et al., 2003)。その結果、この服用量は処置の間に算出され、アントラサイクリンの処置は、特定のアントラサイクリンの最大累積投与量に到達すると、通常、停止されるか又は再評価される。
重要な研究が、アントラサイクリンの心毒性を予防又は制限することができる方法又は薬剤を同定するために行われてきた(Wounters et al., 2005)。いくつかの方略が調査されてきた(例えば、US 2007-834799、US 2007-711490、WO 2006/063091又はWO 2007/101925)が、デキソラゾクサン(Zinecard(登録商標)、Cardioxane(登録商標))の使用が、臨床証明された有効性を有する唯一のもののままである。デキソラゾクサンは、それゆえ通常、アントラサイクリン化学療法の心毒性副作用の危険を減少させるための心臓保護剤として、ドキソルビシンとともに用いられる。デキソラゾクサンは、EDTAの誘導体として鉄とキレートをつくるが、それが心臓を保護する正確な機構は知られていない。
にもかかわらず、デキソラゾクサンの使用は心臓への損傷に対する十分な保護を提供せず、またいくつかの研究はそれで処置した患者はアントラサイクリン処置に対してより低い抗腫瘍応答速度を有するであろうことを明らかにした(Van Dalen, et al., 2005; Van Dalen, et al., 2008)。さらに、デキソラゾクサンの子供への有効性は未だ確立されていない。
したがって、アントラサイクリン又は他の抗腫瘍剤の心毒性を、抗腫瘍応答上のいかなる有害な効果もなしに、効果的に予防することができる心臓保護剤に強い要求がある。この要求は、これらの薬剤の心毒性に、より影響を受けやすい子供にとって未だ強い。
発明の要約
本発明の目的は、新規な心臓保護剤を提供することである。本発明者らは、ロカグラオール及びいくつかのその誘導体が、抗腫瘍剤の心毒性によって誘導されるアポトーシスを、これらの薬剤の抗腫瘍活性上のいかなる有害な効果もなしに、予防するか又は制限することができることを示した。
第一の態様では、本発明は、抗腫瘍剤、好ましくはアントラサイクリン、より好ましくはドキソルビシンの心毒性を予防するか又は制限するための使用のための、式(II):

[式中、
11は、場合により置換されているアルコキシであり;
12は、水素であるか;
又はR11及びR12は、一緒になって−O−CH−O−単位を形成し;
13は、水素及び(C−C)−アルコキシより選択され;
14は、ヒドロキシル、オキソ基、−OCOR20(ここで、R20は、水素及び(C−C)−アルキルより選択される)、=N−OR26(R26は、H又はメチルである)、−NH−(CH−R27(ここで、mは、0又は1であり、R27は、H、−OH、−SOMeより選択される)、−COR28(R28は、H又は(C−C)−アルキルである)より選択され;
15は、水素、−COOR21、−CONR2223及び−CONH(CHOH(ここで、nは、2、3又は4であり、ここで、
21及びR23は、水素及び(C−C)−アルキルより独立して選択され、R22は、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキル及び水素からなる群より選択されるか、又は
22及びR23は、一緒になって、場合により基NHCO−(C−C)−アルキルにより置換されている5原子ヘテロ環を形成する)より選択されるか;
又はR14、R15ならびにR14及びR15を有する炭素(α)及び(β)は、一緒になって、下記:

(式中、R24及びR25は、(C−C)−アルキル及び水素、好ましくは水素及びメチルからなる群より独立して選択される)を形成し;
16は、水素、(C−C)−アルコキシ及びハロゲンより選択され;
17は、R16のオルト位にあり、水素、(C−C)−アルコキシ及びヒドロキシルより選択されるか、又はR17と一緒になって−O−CH−O−単位を形成し;
18及びR19は、水素及びハロゲンからなる群より、好ましくは水素、F、Br及びClより独立して選択され、より好ましくは水素又はFである]で示されるロカグラオール誘導体、あるいはその任意の薬学的に許容される塩に関する。
別の態様においては、本発明はまた、対象中の抗腫瘍剤の心毒性を予防又は制限する方法であって、治療上有効量の上記記載のとおりの式(II)のロカグラオール誘導体又はその任意の薬学的に許容される塩を該対象に投与することを含む方法に関する。本発明は、さらに、抗腫瘍剤、好ましくはアントラサイクリン、より好ましくはドキソルビシンの心毒性を予防又は制限するための医薬を調製するための、上記式(II)のロカグラオール誘導体又はその任意の薬学的に許容される塩の使用に関する。
好ましくは、式(II)のロカグラオール誘導体は、以下の特徴:
a)R12が、Hであり、R11が、(C−C)−アルコキシ、好ましくはメトキシ及びエトキシより選択され、より好ましくは、R11は、メトキシである;
b)R13が、水素、メトキシ及びエトキシより選択され、より好ましくは、R13は、水素又はメトキシである;
c)R14が、ヒドロキシル、−OCOR20(R20は、水素、メチル及びエチルより選択される)、−NH−(CH−R27(ここで、mは、0であり、R27は、−SOMe又は−COR28(R28は、H又は(C−C)−アルキル、好ましくはH、メチル又はエチル、より好ましくはH又はメチルである)である)より選択される;
d)R15が、水素、−COOR21及び−CONR2223(ここで、R21及びR23は、水素及びメチルより独立して選択され、R22は、水素、メチル及びメトキシからなる群より選択される)より選択され;より好ましくは、R15は、水素、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択される;
e)R16が、水素、(C−C)−アルコキシ及びハロゲンより、より好ましくは水素、塩素、臭素、フッ素及びメトキシより、さらに好ましくは臭素及びメトキシより選択される;
f)R17が、水素である;
g)R18が、パラ位にあり、H又はフッ素であり、R19が、水素である;
の一つ又はいくつかを有する。
特定の態様において、ロカグラオール誘導体は、式(IIa)又は(IIb):

[式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19の定義は、上記のとおりである]を呈する。
より詳細には、該ロカグラオール誘導体は、式(IIa)を有し、R14が、ヒドロキシル、−OCOR20(R20は、水素及び(C−C)−アルキルより選択される)及び=N−OR26(R26は、H又はメチルである)より選択される。好ましくは、R14は、ヒドロキシル及び−OCOR20(R20は、水素、メチル及びエチルより選択される)より選択される。より好ましくは、R11が、アルコキシ、特にメトキシ又はエトキシ、より好ましくはメトキシであり;R12が、水素であり;R13が、水素、メトキシ及びエトキシより選択され、より好ましくは、R13は、水素又はメトキシであり;R15が、水素、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択され;R16が、水素、塩素、臭素、フッ素及びメトキシから、より好ましくは臭素及びメトキシからなる群より選択され;R18が、パラ位にあり、H又はフッ素であり;そして、R17及びR19が、水素である。
あるいは、ロカグラオール誘導体は、式(IIb)を有し、R14が、−NH−(CH−R27(ここで、mは、0であり、R27は、−SOMe又は−COR28(R28は、H又は(C−C)−アルキル、好ましくはH又はメチルである)である)である。特に、R11が、アルコキシ、特にメトキシ又はエトキシ、より好ましくはメトキシであり;R12が、水素であり;R13が、水素、メトキシ及びエトキシより選択され、より好ましくは、R13が、水素又はメトキシであり、さらに好ましくは、R13が、メトキシであり;R15が、水素、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択され、より好ましくは、水素であり;R16が、水素、塩素、臭素、フッ素及びメトキシからなる群より選択され、より好ましくは、塩素、臭素又はフッ素であり、さらに好ましくは臭素であり;そして、R17、R18及びR19が、水素である。
特に好ましい実施態様では、ロカグラオール誘導体は、FL1、FL3、FL5、FL6、FL7、FL8、FL9、FL10、FL12、FL13、FL14、FL15、FL16、FL17、FL18、FL19、FL20、FL21、FL22、FL23、FL24及びFL25からなる群より、より好ましくはFL1、FL3、FL5、FL8、FL9、FL10、FL12、FL13、FL14、FL15、FL16、FL17、FL18、FL19、FL20、FL21、FL22、FL23及びFL25からなる群より選択される。
第二の態様において、本発明は、式(I):

[式中、
は、−CONHであり;
そして、式中、
は、場合により置換されているアルコキシであり、好ましくは、メトキシ及び基−O−(CH−R10(ここで、nは、1、2、3又は4であり、R10は、ヒドロキシル、−NMe、−OCONMe、−OCONH及びモルホリンからなる群より選択される)からなる群より選択され;
は、水素及び(C−C)−アルコキシからなる群より、好ましくは水素及びメトキシより選択され;そして、
は、ハロゲン、好ましくは、臭素、クロリド、ヨーダイド、より好ましくは、臭素であるか、
あるいは、
は、場合により置換されているアルコキシであり、好ましくは、メトキシ及び基−O−(CH−R10(ここで、nは、1、2、3又は4であり、R10は、ヒドロキシル、−NMe、−OCONMe、−OCONH及びモルホリンからなる群より選択される)からなる群より選択され;
は、水素であり;そして、
は、水素及びアルコキシからなる群より選択されるか、
あるいは、
は、置換アルコキシ、好ましくは基−O−(CH−R10(ここで、nは、1、2、3又は4であり、R10は、ヒドロキシル、−NMe、−OCONMe、−OCONH及びモルホリンからなる群より選択される)であり;
は、(C−C)−アルコキシ、好ましくはメトキシであり;そして
は、水素及びアルコキシからなる群より選択されるか、
あるいは、式中、
は、−COOR(ここで、Rは、(C−C)−アルキル、好ましくはメチルである)であり;
は、場合により置換されているアルコキシであり、好ましくは、メトキシ及び基−O−(CH−R10(ここで、nは、1、2、3又は4であり、R10は、ヒドロキシル、−NMe、−OCONMe、−OCONH及びモルホリンからなる群より選択される)からなる群より選択され;
は、水素であり;そして
は、水素、メトキシ及びハロゲンからなる群より選択されるか;
あるいは、式中、
は、メトキシであり、Rは、臭素であり,
そして式中、
は、(C−C)−アルコキシ、好ましくはメトキシであり、そして、
は、水素であるか、
あるいは、
は、水素であり、そして、
は、水素、−COOR及び−CONR(ここで、Rは、(C−C)−アルキル、好ましくはメチルであり、R及びRは、水素及び(C−C)−アルキルからなる群より、好ましくは水素及びメチルより独立して選択される)からなる群より選択される]で示される新規のロカグラオール誘導体、又はその任意の薬学的に許容される塩を提供する。
好ましい実施態様において、Rは、メトキシからなる群より選択され;Rは、水素であり;Rは、−COOR及び−CONH(ここで、Rは、メチルである)からなる群より選択され;そして、Rは、ハロゲン又はメトキシ、好ましくは臭素又はメトキシである。
他の好ましい実施態様において、Rは、メトキシであり;Rは、メトキシ又は水素からなる群より選択され;Rは、−CONHであり;そして、Rは、ハロゲン、好ましくは臭素である。
さらに好ましい実施態様において、R及びRは、メトキシであり、Rは、水素であり、Rは、臭素である。
さらなる好ましい実施態様において、Rは、メトキシであり;Rは、水素であり;Rは、水素、−COO(CH)及び−CON(CHからなる群より選択され;そして、Rは、臭素である。
他の好ましい実施態様において、Rは、COOMeであり、Rは、メトキシであり、Rは、水素であり、Rは、水素、メトキシ及び臭素からなる群より選択され、好ましくはメトキシ又は臭素である。
さらに好ましい実施態様において、Rは、メトキシであり、Rは、臭素であり、ここで、Rが、メトキシであり、Rが、水素であるか、又はRが、水素であり、Rが、水素、−COO(CH)、−CONH2、−CONH(CH)及び−CON(CHからなる群より選択されるかのいずれかである。
特に、ロカグラオール誘導体は、FL3、FL5、FL6、FL7、FL8、FL9及びFL14からなる群より選択される。
本発明は、さらに、式(II):
[式中、
11は、場合により置換されているアルコキシであり;
12は、水素であるか;
又はR11及びR12は、一緒になって−O−CH−O−単位を形成し;
13は、水素及び(C−C)−アルコキシより選択され;
14は、−NH−R27(ここで、R27は、−SOMeより選択される)、−COR28(R28は、H又は(C−C)−アルキルである)であり;
15は、水素、−COOR21、−CONR2223及び−CONH(CHOH(ここで、nは、2、3又は4であり、ここで、
21及びR23は、水素及び(C−C)−アルキルより独立して選択され、R22は、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキル及び水素からなる群より選択されるか、又は
22及びR23は、一緒になって、場合により基NHCO−(C−C)−アルキルにより置換されている5原子ヘテロ環を形成する)より選択されるか;
又はR14、R15ならびにR14及びR15を有する炭素(α)及び(β)は、一緒になって、下記:

(式中、R24及びR25は、(C−C)−アルキル及び水素、好ましくは水素及びメチルからなる群より独立して選択される)を形成し;
16は、水素、(C−C)−アルコキシ及びハロゲンより選択され;
17は、R16のオルト位にあり、水素、(C−C)−アルコキシ及びヒドロキシルより選択されるか、又はR17と一緒になって−O−CH−O−単位を形成し;
18及びR19は、水素及びハロゲンからなる群より、好ましくはH、F、Br及びCl、より好ましくはH又はFより独立して選択される]で示される新規なロカグラオール誘導体、又はその任意の薬学的に許容される塩を提供する。
好ましい実施態様では、式(II)の新規なロカグラオール誘導体は、以下の特徴:
a)R11が、アルコキシであり、R12が、水素である;
b)R13が、水素及びメトキシより選択される;
c)R14が、−NH−R27(ここで、R27は、−SOMe、−COR28(R28は、H、メチル又はエチルである)より選択される)である;
d)R15が、水素、−COOR21及び−CONR2223(ここで、R21及びR23は、水素及びメチルより独立して選択され、R22は、水素、メチル及びメトキシからなる群より選択される)より選択され;より好ましくは、R15は、水素、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択される;
e)R16が、水素、(C−C)−アルコキシ及びハロゲンより、より好ましくは水素、塩素、臭素、フッ素及びメトキシより、さらに好ましくは臭素及びメトキシより選択される;
f)R17が、水素である;
g)R18が、パラ位にあり、H又はフッ素であり、R19が、水素である;
の一つ又はいくつかを有する。
特に、ロカグラオール誘導体は、式(IIa)又は(IIb)を呈することができる。より好ましくは、ロカグラオール誘導体は、式(IIb)を有し、R14が、−NH−R27(ここで、R27は、−SOMe又は−COR28(R28は、H又は(C−C)−アルキル、好ましくはH又はメチルである)である)である。
好ましい実施態様では、R11が、アルコキシ、特にメトキシ又はエトキシ、より好ましくはメトキシであり;R12が、水素であり;R13が、水素、メトキシ及びエトキシより選択され、より好ましくは、R13が、水素又はメトキシであり、さらに好ましくは、R13が、メトキシであり;R15が、水素、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択され、より好ましくは、水素であり;R16が、水素、塩素、臭素、フッ素及びメトキシからなる群より選択され、より好ましくは、塩素、臭素又はフッ素であり、さらに好ましくは、臭素であり;そして、R17、R18及びR19が、水素である。
特定の実施態様において、ロカグラオール誘導体は、FL22、FL23、FL24及びFL25からなる群より選択され、好ましくは、FL23又はFL25である。
加えて、本発明は、式(IIa):
[式中、
12は、Hであり、R11は、メトキシ及びエトキシより選択され、より好ましくは、R11は、メトキシであり;
13は、水素、メトキシ及びエトキシより選択され、より好ましくは、R13は、水素又はメトキシであり;
14は、−OCOR20(R20は、水素、メチル及びエチルより選択される)であり;
15は、水素、−COOR21及び−CONR2223(ここで、R21及びR23は、水素及びメチルより独立して選択され、R22は、水素、メチル及びメトキシからなる群より選択される)より選択され;より好ましくは、R15は、水素、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択され;さらに好ましくは、R15は、水素であり;
R16は、塩素、臭素又はフッ素、好ましくは臭素であり;
17は、水素であり;
18は、パラ位にあり、H又はフッ素であり、R19は、水素である]の新規なロカグラオール誘導体又はその任意の薬学的に許容される塩を提供する。
より好ましくは、R11及びR13は、メトキシであり、R12、R15、R18及びR19は、水素であり、そして、R16は、臭素である。
特定の実施態様において、ロカグラオール誘導体は、FL19、FL20及びFL21からなる群より選択される。
さらに、本発明は、式(IIa)、
[式中、
12は、Hであり、R11は、メトキシ及びエトキシより選択され、より好ましくは、R11は、メトキシであり;
13は、水素、メトキシ及びエトキシより選択され、より好ましくは、R13は、水素又はメトキシであり;
14は、ヒドロキシルであり;
18は、パラ位にあり、フッ素であり、R19は、水素であり、
そして式中、
15は、水素、−COOR21及び−CONR2223(ここで、R21及びR23は、水素及びメチルより独立して選択され、R22は、水素、メチル及びメトキシからなる群より選択される)より選択され;より好ましくは、R15は、水素、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択され;そして、
16は、臭素であり、R17は、水素であるか;
あるいは、
15は、−COOR21及び−CONR2223(ここで、R21及びR23は、水素及びメチルより独立して選択され、R22は、水素、メチル及びメトキシからなる群より選択される)より選択され;より好ましくは、R15は、水素、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択され;
16は、メトキシであり、R17は、水素である]の新規なロカグラオール誘導体又はその任意の薬学的に許容される塩を提供する。
より好ましくは、R11及びR13は、メトキシであり、R12は、水素であり、R16は、臭素であり、R15は、水素、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択される。別の好ましい実施態様において、R11及びR13は、メトキシであり、R12は、水素であり、R16は、メトキシであり、R15は、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択される。場合により、R11及びR13は、メトキシであり、R12は、水素であり、R15は、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択される。
特定の態様において、ロカグラオール誘導体は、FL16、FL17又はFL18である。
第二の態様において、本発明は、医薬としての、本発明に従う新規なロカグラオール誘導体に関する。
他の態様において、本発明は、本発明に従う新規なロカグラオール誘導体ならびに薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤を含む、医薬組成物に関する。
本発明はまた、本発明に従う新規なロカグラオール誘導体及び抗腫瘍剤、好ましくはアントラサイクリンを含む、医薬組成物に関する。
本発明はさらに、癌の処置における、同時、分離、又は逐次使用のための複合製剤としての、本発明に従う新規なロカグラオール誘導体及び抗腫瘍剤、好ましくはアントラサイクリンを含有する生成物に関する。
ラセミのブロモ−デメトキシ−ロカグラオール(FL3)の合成の略図を表す。 ラセミのロカグラオール(FL1)及びその類似体(FL2〜FL4)の合成の略図を表す。 ラセミのフラバグリンFL5〜FL11の合成の略図を表す。 ラセミのフラバグリンFL5〜FL10及びFL12〜FL18の合成の略図を表す。反応剤及び条件:(a)hν、(E)−PhCH=CHCOOMe、CHCl−MeOH、0℃、15h;(b)MeONa、MeOH、60℃、20分;(c)LiCl、HO、DMSO、100℃、12h;(d)MeNBH(OAc)、AcOH、CHCN;(e)(i)KOH、MeOH、45℃、12h、(ii)MeNH.HCl又はMeNH.HCl、ECDI、HOBT、DIPEA、CHCl、室温、12h;f)NH、MeOH、100℃、36h;(g)hn、CHCl−MeOH、0℃、15h;(h)hν、CHCl−MeOH、0℃、15h。 ラセミのフラバグリンFL19〜FL23の合成の略図を表す。反応剤及び条件:(i)DCC、DMAP、HCOOH、CHCl、室温、36h;(j)(RCO)O、DMAP、pyr、室温、6h;(k)HNOH.HCl、pyr、EtOH、70℃、4h;(l)LiAlH、THF、45℃、3h;(m)HCOOEt、THF、還流、12h。 ラセミのフラバグリンFL22〜FL25の合成の略図を表す。反応剤及び条件:(k)HNOMe.HCl、pyr、EtOH、70℃、4h;(l)LiAlH、THF、45℃、3h;(m)HCOOEt、THF、還流、12h又はMeSOCl、N−メチルモルホリン、CHCl、室温。 150nM ドキソルビシンを有するか又は有さない、FL1及びFL3に曝されたHepG2細胞の細胞増殖の阻害を表したグラフである。HepG2細胞は、FL1(□)又はFL3(◇)単独又はドキソルビシンと共に(FL1:■、FL3:◆)72時間処理し、細胞増殖をMTSアッセイにより測定した。実験は二重に実施した(n=3)。 H9c2カーディオブラスト細胞中のドキソルビシン(1μM)により誘導されるアポトーシスへのFL1の心臓保護の効果を表す。このグラフは、ビヒクルを用いて得られた結果と比較しての、ドキソルビシン単独で又はFL1と組み合わせて用いて得られた相対的な総アポトーシス細胞を表す。 H9c2カーディオブラスト細胞中のドキソルビシン(1μM)により誘導されるアポトーシスへのFL3の心臓保護の効果を表す。このグラフは、ビヒクルを用いて得られた結果と比較しての、ドキソルビシン単独で又はFL3と組み合わせて用いて得られた相対的な総アポトーシス細胞を表す。 異なる濃度における、H9c2細胞中のドキソルビシン(1μM)により誘導されるアポトーシスへのFL5、FL6、FL7及びFL8の心臓保護効果を表す。 ドキソルビシンがFL3(1nM)(列3)により遮断されたカスパーゼ−3活性(列2)を誘導することを示したウエスタンブロット解析を表す。FL3(列4)及びビヒクル(列1)ではカスパーゼ−3活性が誘導されないことに留意されたい。 ウエスタンブロット定量及びGAPDHを用いた正規化に従うカスパーゼ−3活性のヒストグラムである。 血清飢餓に対するH9c2心筋細胞のFL3による保護を示す。H9c2は、1%血清中、ビヒクル又はFL3(20nM)存在下で培養した。アポトーシスは、FACSアッセイにより測定した。 FL3は、ドキソルビシン及びKRIBB3に誘導されたアポトーシスを防止する。H9c2心筋細胞は、FL3(100nM)の存在下又は非存在下で、ドキソルビシン(1μM)又はHSP27阻害剤KRIBB3(1μM)で1時間処理し、次にアネキシンV及びFACS解析用PIで標識した。 ウエスタンブロット解析は、FL3が、H9c2細胞において総HSP27レベル(下側のバンド)を変換することなしに、1時間でHSP27リン酸化(上側のバンド)を最大限に誘導することを明らかにした。 H9c2細胞における、ドキソルビシン(1mM)により誘導されるアポトーシスへの10(左)又は100(右)nM でのFL1〜10及びFL12〜18の心臓保護効果を表す。
発明の詳細な説明
驚くべきことに、本発明者らは、フラバグリン、特にロカグラオール及びいくつかのその誘導体が、心臓保護剤として作用することができることを見出した。これらの化合物は、アントラサイクリンのような抗腫瘍剤の心毒性によって誘導されるアポトーシスを防止又は制限する一方、これらの分子の抗腫瘍効能を増強することができることが見出された。
フラバグリンは、Aglaia属のアジアの植物から抽出した、例えば、ロカグラオール、ロカグラミド又はシルベストロールを含む、天然化合物のファミリーである(Kim et al., 2006及びProksch et al., 2001)。これらのいくつかの分子は、細胞静止作用(Hausott et al., 2004)又は細胞毒性作用(Kim et al., 2007及びMi et al., 2006)のいずれかにより、正常細胞にいかなる有意な毒性を示すことなく、低ナノモル範囲で腫瘍細胞の増殖を阻害することが知られている。今まで、フラバグリンは抗癌、免疫抑制、神経保護(Fahrig et al., 2005)、抗真菌殺虫及び抗炎症(EP 1 693 059)特性を示すことのみが知られていた。
本発明は、新規な心臓保護剤である、式(I):

[式中、
は、場合により置換されているアルコキシであり、好ましくはメトキシ及び基−O−(CH−R10(ここで、nは、1、2、3又は4であり、R10は、ヒドロキシル、−NMe、−OCONMe、−OCONH及びモルホリンからなる群より選択される)からなる群より選択され;
は、水素及び(C−C)−アルコキシからなる群より、好ましくは水素及びメトキシより選択され;
は、−COOR及び−CONH(ここで、Rは、(C−C)−アルキル、好ましくはメチルである)からなる群より選択され;そして
は、ハロゲン、好ましくは臭素、クロリド、ヨーダイド、より好ましくは臭素であるか、
あるいは、
式中、
は、場合により置換されているアルコキシ、好ましくはメトキシ及び基−O−(CH−R10(ここで、nは、1、2、3又は4であり、R10は、ヒドロキシル、−NMe、−OCONMe、−OCONH及びモルホリンからなる群より選択される)からなる群より選択され;
は、水素であり;
は、−COOR及び−CONH(ここで、Rは、(C−C)−アルキル、好ましくはメチルである)からなる群より選択され;そして
は、水素、ハロゲン及びアルコキシ、好ましくは水素又はアルコキシからなる群より選択されるか、
あるいは、
式中、
は、置換されているアルコキシ、好ましくは基−O−(CH−R10(ここで、nは、1、2、3又は4であり、R10は、ヒドロキシル、−NMe、−OCONMe、−OCONH及びモルホリンからなる群より選択される)であり;
は、水素及び(C−C)−アルコキシからなる群より、好ましくは水素及びメトキシより選択され;より好ましくは、Rは、(C−C)−アルコキシ、好ましくはメトキシであり;
は、−COOR及び−CONH(ここで、Rは、(C−C)−アルキル、好ましくはメチルである)からなる群より選択され;そして
は、水素、ハロゲン及びアルコキシ、より好ましくは水素又はアルコキシからなる群より選択される]で示されるロカグラオール誘導体、又はその任意の薬学的に許容される塩を提供する。
一つの実施態様では、Rは、メトキシ又はO−(CH−OH(ここで、nは、1、2又は3である)からなる群より選択され、好ましくは、Rは、メトキシであり;Rは、水素であり;Rは、−COOR及び−CONH(ここで、Rは、メチルである)からなる群より選択され;そして、Rは、ハロゲン又はメトキシ、好ましくは臭素又はメトキシである。特に、ロカグラオール誘導体は、FL5、FL7及びFL9でありうる。
もう一つの実施態様では、Rは、置換されているアルコキシの−O−(CH−R10(ここで、nは、1、2、3又は4であり、R10は、ヒドロキシル、−NMe、−OCONMe、−OCONH及びモルホリンからなる群より選択され、好ましくは、R10は、ヒドロキシルである)であり;Rは、水素又はメトキシ、好ましくは水素であり;Rは、−COOR及び−CONH(ここで、Rは、(C−C)−アルキル、好ましくはメチルである)からなる群より選択され;そして、Rは、ハロゲン又はメトキシ、好ましくは臭素又はメトキシである。
特定の実施態様において、Rは、置換されているアルコキシの−O−(CH−R10(ここで、nは2であり、R10はヒドロキシルである)であり;Rは、水素であり;Rは、−COOR(ここで、Rは、メチルである)であり;そしてRは、メトキシである。
他の特定の実施態様において、Rは、置換されているアルコキシの−O−(CH−R10(ここで、nは3であり、R10はヒドロキシルである)であり;Rは、水素であり;Rは、−COOR(ここで、Rは、メチルである)であり;そしてRは、メトキシである。
特定の実施態様において、Rは、−CONHである。この実施態様において、1)Rは、場合により置換されているアルコキシ、好ましくは、メトキシ及び基−O−(CH−R10(ここで、nは、1、2、3又は4であり、R10は、ヒドロキシル、−NMe、−OCONMe、−OCONH及びモルホリンからなる群より選択される)からなる群より選択され;Rは、水素及び(C−C)−アルコキシからなる群より、好ましくは水素及びメトキシより選択され;そして、Rは、ハロゲン、好ましくは、臭素、クロリド、ヨーダイド、より好ましくは、臭素であるか;あるいは、2)Rは、場合により置換されているアルコキシ、好ましくは、メトキシ及び基−O−(CH−R10(ここで、nは、1、2、3又は4であり、R10は、ヒドロキシル、−NMe、−OCONMe、−OCONH及びモルホリンからなる群より選択される)からなる群より選択され;Rは、水素であり;そして、Rは、水素、ハロゲン及びアルコキシ、好ましくは水素又はアルコキシからなる群より選択されるか;あるいは、3)Rは、置換されているアルコキシ、好ましくは基−O−(CH−R10(ここで、nは、1、2、3又は4であり、R10は、ヒドロキシル、−NMe、−OCONMe、−OCONH及びモルホリンからなる群より選択される)であり;Rは、水素及び(C−C)−アルコキシからなる群より、好ましくは水素及びメトキシより選択され、より好ましくは、Rは、C−C)−アルコキシ、好ましくはメトキシであり;そしてRは、水素、ハロゲン及びアルコキシ、より好ましくは水素又はアルコキシからなる群より選択される。特に、ロカグラオール誘導体は、FL9及びFL14でありうる。
他の特定の実施態様において、Rは、−COOR(Rは、(C−C)−アルキル、好ましくはメチルである)である。この実施態様において、Rは、場合により置換されているアルコキシ、好ましくは、メトキシ及び基−O−(CH−R10(ここで、nは、1、2、3又は4であり、R10は、ヒドロキシル、−NMe、−OCONMe、−OCONH及びモルホリンからなる群より選択される)からなる群より選択され;Rは、水素であり;そしてRは、水素、メトキシ及びハロゲンからなる群より選択される。好ましくは、Rは、COOMeであり、Rは、メトキシであり、Rは、水素であり、Rは、水素、メトキシ及び臭素からなる群より選択され、好ましくは、メトキシ又は臭素である。特にロカグラオール誘導体は、FL5又はFL7でありうる。
さらに好ましい実施態様において、本発明は、式(I)(ここで、Rは、メトキシであり;Rは、メトキシ又は水素からなる群より選択され;Rは、−COOR及び−CONH(ここで、Rは、メチルである)からなる群より選択され;そして、Rは、ハロゲン、好ましくは臭素である)の化合物に関する。
特定の実施態様において、Rは、メトキシであり、Rは、水素であり、Rは、−CONHであり、Rは臭素である(FL9)。
他の好ましい実施態様において、Rは、メトキシであり;Rは、水素であり;Rは、−COOR(ここで、Rは、メチルである)であり;そして、Rは、ハロゲン又はメトキシ、好ましくは、臭素又はメトキシである。特定の実施態様において、Rは、メトキシであり;Rは、水素であり;Rは、−COOR(ここで、Rは、メチルである)であり;そしてRは、臭素である(FL5)。
他の特定の実施態様において、Rは、メトキシであり;Rは、水素であり;Rは、−COOR(ここで、Rは、メチルである)であり;そしてRは、メトキシである(FL7)。
他の態様において、本発明はまた、式(I):
[式中、
は、メトキシであり;
は、水素及び(C−C)−アルコキシからなる群より、好ましくは水素及びメトキシより選択され;
は、水素、−COOR及び−CONR(ここで、
は、(C−C)−アルキル、好ましくはメチルであり、そして
及びRは、水素及び(C−C)−アルキルからなる群より、好ましくは水素及びメチルより独立して選択される)からなる群より選択され;そして
は、臭素である]で示される新規なロカグラオール誘導体又はその任意の薬学的に許容される塩に関する。
好ましくは、式(I):
[式中、
は、メトキシであり;そしてRは、臭素であり、
そして式中、
は、(C−C)−アルコキシ、好ましくはメトキシであり、そして、
は、水素であるか、
あるいは、
は、水素であり、そして、
は、水素、−COOR及び−CONR(ここで、Rは、(C−C)−アルキル、好ましくはメチルであり、R及びRは、水素及び(C−C)−アルキルからなる群より、好ましくは水素及びメチルより独立して選択される)からなる群より選択される]で示されるロカグラオール誘導体又はその任意の薬学的に許容される塩に関する。
好ましい実施態様では、R及びRは、メトキシであり、Rは、水素であり、Rは、臭素である(FL3)。
さらに好ましい実施態様において、R及びRは、メトキシであり、Rは、−CONHであり、Rは、臭素である(FL14)。
もう一つの実施態様では、Rは、メトキシであり;Rは、水素であり;Rは、水素、−COO(CH)及び−CON(CHから、好ましくは水素及び−CON(CHからなる群より選択され;そして、Rは、臭素である。好ましい実施態様では、Rは、メトキシであり;Rは、水素であり;Rは、−CON(CHであり、Rは、臭素である(FL8)。他の好ましい実施態様において、Rは、メトキシであり;Rは、水素であり;Rは、水素であり、Rは、臭素である(FL6)。
さらなる態様において、本発明はまた、式(II):
[式中、
11は、場合により置換されているアルコキシであり;
12は、水素であるか;
又はR11及びR12は、一緒になって−O−CH−O−単位を形成し;
13は、水素及び(C−C)−アルコキシより選択され;
14は、−NH−R27(ここで、R27は、−SOMe、−COR28(R28は、H又は(C−C)−アルキルである)より選択される)であり;
15は、水素、−COOR21、−CONR2223及び−CONH(CHOH(ここで、nは、2、3又は4であり、ここで、
21及びR23は、水素及び(C−C)−アルキルより独立して選択され、R22は、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキル及び水素からなる群より選択されるか、又は
22及びR23は、一緒になって、場合により基NHCO−(C−C)−アルキルにより置換されている5原子ヘテロ環を形成する)より選択されるか;
又はR14、R15ならびにR14及びR15を有する炭素(α)及び(β)は、一緒になって、下記:

(式中、R24及びR25は、(C−C)−アルキル及び水素からなる群より、好ましくは水素及びメチルより独立して選択される)を形成し;
16は、水素、(C−C)−アルコキシ及びハロゲンより選択され;
17は、R16のオルト位にあり、水素、(C−C)−アルコキシ及びヒドロキシルより選択されるか、又はR17と一緒になって−O−CH−O−単位を形成し;
18及びR19は、水素及びハロゲンからなる群より、好ましくはH、F、Br及びCl、より好ましくはH又はFより独立して選択される]で示される新規なロカグラオール誘導体、又はその任意の薬学的に許容される塩に関する。
この実施態様において、式(II)のロカグラオール誘導体は、下記の特徴:
a)R11が、アルコキシであり、R12が、水素である;
b)R13が、水素及びメトキシより選択される;
c)R14が、−NH−R27(ここで、R27は、−SOMe、−COR28(R28は、H、メチル又はエチルである)より選択される)である;
d)R15が、水素、−COOR21及び−CONR2223(ここで、R21及びR23は、水素及びメチルより独立して選択され、R22は、水素、メチル及びメトキシからなる群より選択される)より選択され;より好ましくは、R15は、水素、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択される;
e)R16が、水素、(C−C)−アルコキシ及びハロゲンより、より好ましくは水素、塩素、臭素、フッ素及びメトキシより、さらに好ましくは臭素及びメトキシより選択される;
f)R17が、水素である;
g)R18が、パラ位にあり、H又はフッ素であり、R19が、水素である;
の好ましくは1つ又はいくつかを有する。
場合により、式(II)のロカグラオール誘導体は、1つの特徴、2つの特徴[例えば、a)及びb);a)及びc);a)及びd);a)及びe);a)及びf);a)及びg);b)及びc);b)及びd);b)及びe);b)及びf);b)及びg);c)及びd);c)及びe);c)及びf);c)及びg);d)及びe);d)及びf);d)及びg);e)及びf);e)及びg);f)及びg)]、3つの特徴[例えば、a)、b)及びc);a)、b)及びd);a)、b)及びe);a)、b)及びf);a)、b)及びg);a)、c)及びd);a)、c)及びe);a)、c)及びf);a)、c)及びg);a)、d)及びe);a)、d)及びf);a)、d)及びg);a)、e)及びf);a)、e)及びg);b)、c)及びd);b)、c)及びe);b)、c)及びf);b)、c)及びg);c)、d)及びe);c)、d)及びf);c)、d)及びg);d)、e)及びf);d)、e)及びg);e)、f)及びg)]、4つの特徴[a)、b)、c)及びd);a)、b)、c)及びe);a)、b)、c)及びf);a)、b)、c)及びg);a)、b)、d)及びe);a)、b)、d)及びf);a)、b)、d)及びg);a)、b)、e)及びf);a)、b)、e)及びg);a)、b)、f)及びg);a)、c)、d)及びe);a)、c)、d)及びf);a)、c)、d)及びg);a)、c)、e)及びf)、a)、c)、e)及びg);a)、d)、e)及びf);a)、d)、e)及びg);a)、d)、f)及びg);a)、e)、f)及びg);b)、c)、d)及びe);b)、c)、d)及びf);b)、c)、d)及びg);b)、d)、e)及びf);b)、d)、e)及びg);b)、e)、f)及びg);c)、d)、e)及びf);c)、d)、e)及びg);c)、e)、f)及びg);d)、e)、f)及びg)]、5つの特徴[例えば、a)、b)、c)、d)及びe);a)、b)、c)、d)及びf);a)、b)、c)、d)及びg);a)、b)、c)、e)及びf);a)、b)、c)、e)及びg);a)、b)、c)、f)及びg);a)、b)、d)、e)及びf);a)、b)、d)、e)及びg);a)、b)、d)、f)及びg);a)、b)、e)、f)及びg);a)、c)、d)、e)及びf);a)、c)、d)、e)及びg);a)、c)、d)、f)及びg);a)、c)、e)、f)及びg);a)、d)、e)、f)及びg);b)、c)、d)、e)及びf);b)、c)、d)、e)及びg);b)、c)、e)、f)及びg);b)、d)、e)、f)及びg);c)、d)、e)、f)及びg)]、6つの特徴[a)、b)、c)、d)、e)及びf);a)、b)、c)、d)、e)及びg);a)、b)、c)、d)、f)及びg);a)、b)、c)、e)、f)及びg);a)、b)、d)、e)、f)及びg);a)、c)、d)、e)、f)及びg);b)、c)、d)、e)、f)及びg)]又は7つ全ての特徴a)、b)、c)、d)、e)、f)及びg)を満たす。
特に、ロカグラオール誘導体は、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19の定義が上記と同様である、式(IIa)又は(IIb)を呈してもよい。
好ましい実施態様では、ロカグラオール誘導体は、式(IIb)を有し、R14は、−NH−R27(ここで、R27は、−SOMe又は−COR28(R28は、H又は(C−C)−アルキル、好ましくはH又はメチルである)である)である。
より好ましくは、R11は、アルコキシ、特にメトキシ又はエトキシ、より好ましくはメトキシであり;R12は、水素であり;R13は、水素、メトキシ及びエトキシより選択され、より好ましくは、R13は、水素又はメトキシであり、さらに好ましくは、R13は、メトキシであり;R15は、水素、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択され、より好ましくは、水素であり;R16は、水素、塩素、臭素、フッ素及びメトキシからなる群より選択され、より好ましくは、塩素、臭素又はフッ素であり、さらに好ましくは、臭素であり;そして、R17、R18及びR19は、水素である。好ましい実施態様では、式(IIb)のロカグラオールは、例えば、R11及びR13が、メトキシであり、R15が、水素であり、R16が、臭素であり、R17、R18及びR19が、水素である場合などである。この特に好ましい実施態様において、R14は、−NHCHO(FL23)又は−NHSOMe(FL25)でありうる。あるいは、式(IIa)のロカグラオールは、例えば、R11及びR13が、メトキシであり、R15が、水素であり、R16が、臭素であり、R17、R18及びR19が、水素であり、R14が、−NHCHO(FL22)又は−NHSOMe(FL24)でありうる場合などである。
さらなる態様において、本発明はまた、式(II):
[式中、
12は、Hであり、R11は、メトキシ及びエトキシより選択され、より好ましくは、R11は、メトキシであり;
13は、水素、メトキシ及びエトキシより選択され、より好ましくは、R13は、水素又はメトキシであり;
14は、−OCOR20(R20は、水素、メチル及びエチルより選択される)であり;
15は、水素、−COOR21及び−CONR2223(ここで、R21及びR23は、水素及びメチルより独立して選択され、R22は、水素、メチル及びメトキシからなる群より選択される)より選択され;より好ましくは、R15は、水素、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択され;さらに好ましくは、R15は、水素であり;
R16は、塩素、臭素又はフッ素、好ましくは臭素であり;
17は、水素であり;
18は、パラ位にあり、H又はフッ素であり、R19は、水素である]で示される新規なロカグラオール誘導体又はその任意の薬学的に許容される塩に関する。
より好ましくは、R11及びR13は、メトキシであり、R12、R15、R18及びR19は、水素であり、R16は、臭素である。さらに好ましくは、R14は、−OCHO(FL19)、−OCOMe(FL20)又は−OCOEt(FL21)である。
本発明は、最終的に、式(IIa):
[式中、
12は、Hであり、R11は、メトキシ及びエトキシより選択され、より好ましくは、R11は、メトキシであり;
13は、水素、メトキシ及びエトキシより選択され、より好ましくは、R13は、水素又はメトキシであり;
14は、ヒドロキシルであり;
18は、パラ位にあり、フッ素であり、R19は、水素であり、
そして式中、
15は、水素、−COOR21及び−CONR2223(ここで、R21及びR23は、水素及びメチルより独立して選択され、R22は、水素、メチル及びメトキシからなる群より選択される)より選択され;より好ましくは、R15は、水素、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択され;
16は、臭素であり、R17は、水素であるか;
あるいは、
15は、−COOR21及び−CONR2223(ここで、R21及びR23は、水素及びメチルより独立して選択され、R22は、水素、メチル及びメトキシからなる群より選択される)より選択され;より好ましくは、R15は、水素、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択され;そして、
16は、メトキシであり、R17は、水素である]で示される新規なロカグラオール誘導体、又はその薬学的に許容される任意の塩を提供する。
より好ましくは、この実施態様において、R11及びR13は、メトキシであり、R12は、水素であり、R16は、臭素であり、R15は、水素、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択される。さらにより好ましくは、R15は、COOMe(FL17)又はCONH(FL18)である。別の好ましい実施態様において、R11及びR13は、メトキシであり、R12は、水素であり、R16は、メトキシであり、R15は、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択される。さらにより好ましくは、R15は、COOMe(FL16)である。
場合により、R11及びR13は、メトキシであり、R12は、水素であり、R15は、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択される。
本明細書で使用する、「心臓保護剤」は、心筋細胞を損傷、特にアポトーシスから保護する薬剤である。
本明細書で使用する、用語「アルコキシ」は、−O−(エーテル)結合によって分子と結合しているアルキル基に対応する。(C−C)−アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ及びイソプロピルオキシを含む。
本明細書で使用する、用語「アルキル」は、鎖中に配列された炭素及び水素原子のみを含む一価の基を表す。(C−C)−アルキル基は、メチル、エチル、プロピル又はイソプロピルを含む。本明細書で使用する用語「Me」は、メチル基を表す。本明細書で使用する用語「Et」は、エチル基を表す。
本明細書で使用する、用語「モルホリン」は、アミン及びエーテル官能基の両方を有する、式−O(CHCHNHのヘテロ環を表す。
本明細書で使用する、用語「ヘテロ環」は、1つ以上の硫黄、酸素又は窒素のようなヘテロ原子を含有する、環構造を含む基を表す。5原子ヘテロ環は、例えば、フラン、ピロール及びオキサゾールを含む。
用語「薬学的に許容される塩」は、患者にとって非毒性であり、治療薬の安定性を保つために適切であり、該薬剤を標的細胞又は組織に運搬することができる塩を表す。薬学的に許容される塩は、当技術分野において周知である(Berge et al., 1977)。これらの塩は、ロカグラオール誘導体の最終的な単離及び精製の間にインサイチューで、又は遊離塩基の官能基を適切な有機酸と反応させることによって分離して調製することができる。薬学的に許容される、非毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸のような無機酸と、又は酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸又はマロン酸のような有機酸と形成する、アミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩は、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチナート(pectinate)、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩、などを含む。
本発明はまた、医薬としての、特に心臓保護剤としての、より具体的には抗腫瘍剤の心毒性に対する心臓保護剤としての、上記記載のとおりの本発明に従う式(I)、(II)、(IIa)及び(IIb)のロカグラオール誘導体に関する。特に、該誘導体はFL3、FL5、FL6、FL7、FL8、FL9、FL14、FL16、FL17、FL18、FL19、FL20、FL21、FL22、FL23、FL24及びFL25からなる群より選択される。
これらの誘導体は、また、腫瘍細胞に対する有利な細胞毒性を証明した。したがって、本発明は、さらに癌の処置のための使用のための、本発明に従う式(I)、(II)、(IIa)及び(IIb)のロカグラオール誘導体に関する。また、癌の処置のための医薬を調製するための、本発明に従う式(I)、(II)、(IIa)及び(IIb)のロカグラオール誘導体に関する。最終的に、治療上活性な量の本発明に従う式(I)、(II)、(IIa)及び(IIb)のロカグラオール誘導体を投与することを含む、それを必要とする対象における癌の処置のための方法に関する。この特定の態様は、また、式(I)、(II)、(IIa)及び(IIb)のロカグラオール誘導体、及び特にFL3、FL5、FL6、FL7、FL8、FL9、FL14、FL16、FL17、FL18、FL19、FL20、FL21、FL22、FL23、FL24及びFL25からなる群より選択される誘導体についての上記記載された好ましい態様に関する。
これらのロカグラオール誘導体は、当業者にとって公知の任意の方法によって合成することができる。そのような方法は、例えば、特許出願DE 19934952及びWO 2005/092876又はDiedrichs et al.(Diedrichs et al., 2005)、Gerard et al.(Gerard et al., 2004)及びDobler et al.(Dobler et al., 2001)の文献に記載されている。説明に役立つ実例として、ブロモ−デメトキシ−ロカグラオール(FL3)及びメチルブロモ−ジデメトキシ−ロカグラート(FL5)を含むこれら23種のロカグラオール誘導体の合成は、本出願の実施例1、2及び3に詳述している。
本発明は、また、本発明に従う式(I)、(II)、(IIa)及び(IIb)の心臓保護剤のロカグラオール誘導体ならびに薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤を含む医薬組成物に関する。この特定の態様はまた、式(I)、(II)、(IIa)及び(IIb)のロカグラオール誘導体、及び特にFL3、FL5、FL6、FL7、FL8、FL9、FL14、FL16、FL17、FL18、FL19、FL20、FL21、FL22、FL23、FL24及びFL25からなる群より選択される誘導体について上記開示された好ましい実施態様に関する。
本発明に従う式(I)、(II)、(IIa)及び(IIb)のロカグラオール誘導体、例えば、特にこれらの好ましい態様及び化合物FL3、FL5、FL6、FL7、FL8、FL9、FL14、FL16、FL17、FL18、FL19、FL20、FL21、FL22、FL23、FL24及びFL25を含む医薬組成物は、当業者に公知の標準的な薬務に従って処方される(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (20th ed.), ed. A. R. Gennaro, Lippincott Williams & Wilkins, 2000及びEncyclopedia of Pharmaceutical Technology, eds. J. Swarbrick and J. C. Boylan, 1988-1999, Marcel Dekker, New Yorkを参照されたい)。
可能な医薬組成物は、経口的、直腸、局所(経皮、頬側及び、舌下を含む)、又は非経口(皮下、筋肉内、静脈内及び皮内を含む)投与に適しているそれらを含む。これらの製剤のために、従来の賦形剤を、当業者によって周知の技術に従って用いることができる。
非経口投与のための組成物は、一般的に、場合により固体又は凍結乾燥された形から使用の直前に調製することができる、生理的に適合した滅菌溶液又は懸濁液である。局所麻酔薬、防腐剤及び緩衝剤のような佐剤はビヒクルに溶解することができ、界面活性剤又は湿潤剤を、活性成分の均一な分配を促進するために組成物に含むことができる。
経口投与のために、組成物は、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒及び液状製剤(例えばシロップ、エリキシル及び濃縮滴)のような従来の経口剤形に処方することができる。非毒性の固体担体又は希釈液を用いることができ、これは例えば、医薬等級の、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース、マグネシウム、炭酸塩などを含む。
圧縮錠剤のために、バインダ(粉末物質に結合力を与える剤である)がまた必要である。例えば、デンプン、ゼラチン、糖(例えばラクトース又はデキストロース)及び天然又は合成ゴムを、バインダとして用いることができる。崩壊剤は、また、錠剤の崩壊を促進するために、錠剤において必要である。崩壊剤は、デンプン、粘土、セルロース、アルギン、ゴム及び架橋ポリマーを含む。さらに、滑沢剤及び流動促進剤は、また、製造プロセスにおいて表層と錠剤材料の付着を予防し、製造の間、粉材の流動率を改良するために錠剤に含まれる。コロイド性二酸化ケイ素は流動促進剤として最も一般的に用いられ、タルク又はステアリン酸のような化合物は滑沢剤として最も一般的に用いられる。
経皮投与のために、組成物は軟膏、クリーム又はゲルの形に処方されることができ、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド及びジメチルホルムアミドのような適切な浸透剤又は洗剤を、浸透を促進するために用いることができる。
経粘膜的な投与のために、鼻内噴霧、直腸又は膣の坐薬を用いることができる。活性化合物は、当技術分野において公知の方法によって、公知の坐剤基剤のいずれかに組み込むことができる。この種の基材の例は、融解点又は溶解速度を修正するための、ココアバター、ポリエチレングリコール(カーボワックス)、ポリエチレンソルビタンモノステアラート及び他の適合性の材料を有するそれらの混合物を含む。
好ましい実施態様では、本発明の医薬組成物は非経口投与に適している。
本発明に従う医薬組成物は、活性な薬剤を投与後実質的に即座に又は投与後任意の所定の時間又は期間後に放出するように、処方することができる。
本発明に従う医薬組成物は、1つ以上の心臓保護剤のロカグラオール誘導体を、薬学的に許容される賦形剤及び/又は担体を伴って含むことができる。これらの賦形剤及び/又は担体は、上記記載された投与の形態に従って選択される。他の活性な化合物は、また、本発明のロカグラオール誘導体を伴うことができ、例えば、他の心臓保護剤の分子又はアントラサイクリン、好ましくはドキソルビシンのような抗腫瘍剤である。
本発明はまた、癌の処置における同時、分離又は逐次使用のための、複合製剤としての、本発明に従う式(I)、(II)、(IIa)及び(IIb)のロカグラオール誘導体、例えば、好ましい実施態様及び化合物FL3、FL5、FL6、FL7、FL8、FL9、FL14、FL16、FL17、FL18、FL19、FL20、FL21、FL22、FL23、FL24及びFL25、ならびに抗腫瘍剤、好ましくはアントラサイクリンを含む生成物に関する。
本発明はまた、抗腫瘍剤、好ましくはアントラサイクリン、より好ましくはドキソルビシンの心毒性を予防するか又は制限するための使用のための、式(II):

[式中、
11は、場合により置換されているアルコキシであり;
12は、水素であるか;
又はR11及びR12は、一緒になって−O−CH−O−単位を形成し;
13は、水素及び(C−C)−アルコキシより選択され;
14は、ヒドロキシル、オキソ基、−OCOR20(ここで、R20は、水素及び(C−C)−アルキルより選択される)、=N−OR26(R26は、H又はメチルである)、−NH−(CH−R27(ここで、mは、0又は1であり、R27は、H、−OH、−SOMeより選択される)、−COR28(R28は、H又は(C−C)−アルキルである)より選択され;
15は、水素、−COOR21、−CONR2223及び−CONH(CHOH(ここで、nは、2、3又は4であり、ここで、
21及びR23は、水素及び(C−C)−アルキルより独立して選択され、R22は、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキル及び水素からなる群より選択されるか、又は
22及びR23は、一緒になって、場合により基NHCO−(C−C)−アルキルにより置換されている5原子ヘテロ環を形成する)より選択されるか;
又はR14、R15ならびにR14及びR15を有する炭素(α)及び(β)は、一緒になって、下記:

(式中、R24及びR25は、(C−C)−アルキル及び水素からなる群より、好ましくは水素及びメチルより独立して選択される)を形成し;
16は、水素、(C−C)−アルコキシ及びハロゲンより選択され;
17は、R16のオルト位にあり、水素、(C−C)−アルコキシ及びヒドロキシルより選択されるか、又はR17と一緒になって−O−CH−O−単位を形成し;
18及びR19は、水素及びハロゲンからなる群より、好ましくはH、F、Br及びCl、より好ましくはH又はFより独立して選択される]で示されるロカグラオール誘導体又はその任意の薬学的に許容される塩の使用に関する。
好ましくは、式(II)のロカグラオール誘導体は、以下の特徴:
a)R12が、Hであり、R11が、メトキシ及びエトキシより選択され、より好ましくは、R11は、メトキシである;
b)R13が、水素、メトキシ及びエトキシより選択され、より好ましくは、R13は、水素又はメトキシである;
c)R14が、ヒドロキシル、−OCOR20(R20は、水素、メチル及びエチルより選択される)、−NH−(CH−R27(ここで、mは、0であり、R27は、−SOMe又は−COR28(R28は、H又は(C−C)−アルキル、好ましくはH又はメチルである)である)より選択される;
d)R15が、水素、−COOR21及び−CONR2223(ここで、R21及びR23は、水素及びメチルより独立して選択され、R22は、水素、メチル及びメトキシからなる群より選択される)より選択され;より好ましくは、R15は、水素、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択される;
e)R16が、水素、(C−C)−アルコキシ及びハロゲンより、より好ましくは水素、塩素、臭素、フッ素及びメトキシより、さらに好ましくは臭素及びメトキシより選択される;
f)R17が、水素である;
g)R18が、パラ位にあり、H又はフッ素であり、R19が、水素である;
の1つ又はいくつかを有する。
場合により、式(II)のロカグラオール誘導体は、1つの特徴、2つの特徴[例えば、a)及びb);a)及びc);a)及びd);a)及びe);a)及びf);a)及びg);b)及びc);b)及びd);b)及びe);b)及びf);b)及びg);c)及びd);c)及びe);c)及びf);c)及びg);d)及びe);d)及びf);d)及びg);e)及びf);e)及びg);f)及びg)]、3つの特徴[例えば、a)、b)及びc);a)、b)及びd);a)、b)及びe);a)、b)及びf);a)、b)及びg);a)、c)及びd);a)、c)及びe);a)、c)及びf);a)、c)及びg);a)、d)及びe);a)、d)及びf);a)、d)及びg);a)、e)及びf);a)、e)及びg);b)、c)及びd);b)、c)及びe);b)、c)及びf);b)、c)及びg);c)、d)及びe);c)、d)及びf);c)、d)及びg);d)、e)及びf);d)、e)及びg);e)、f)及びg)]、4つの特徴[a)、b)、c)及びd);a)、b)、c)及びe);a)、b)、c)及びf);a)、b)、c)及びg);a)、b)、d)及びe);a)、b)、d)及びf);a)、b)、d)及びg);a)、b)、e)及びf);a)、b)、e)及びg);a)、b)、f)及びg);a)、c)、d)及びe);a)、c)、d)及びf);a)、c)、d)及びg);a)、c)、e)及びf)、a)、c)、e)及びg);a)、d)、e)及びf);a)、d)、e)及びg);a)、d)、f)及びg);a)、e)、f)及びg);b)、c)、d)及びe);b)、c)、d)及びf);b)、c)、d)及びg);b)、d)、e)及びf);b)、d)、e)及びg);b)、e)、f)及びg);c)、d)、e)及びf);c)、d)、e)及びg);c)、e)、f)及びg);d)、e)、f)及びg)]、5つの特徴[例えば、a)、b)、c)、d)及びe);a)、b)、c)、d)及びf);a)、b)、c)、d)及びg);a)、b)、c)、e)及びf);a)、b)、c)、e)及びg);a)、b)、c)、f)及びg);a)、b)、d)、e)及びf);a)、b)、d)、e)及びg);a)、b)、d)、f)及びg);a)、b)、e)、f)及びg);a)、c)、d)、e)及びf);a)、c)、d)、e)及びg);a)、c)、d)、f)及びg);a)、c)、e)、f)及びg);a)、d)、e)、f)及びg);b)、c)、d)、e)及びf);b)、c)、d)、e)及びg);b)、c)、e)、f)及びg);b)、d)、e)、f)及びg);c)、d)、e)、f)及びg)]、6つの特徴[a)、b)、c)、d)、e)及びf);a)、b)、c)、d)、e)及びg);a)、b)、c)、d)、f)及びg);a)、b)、c)、e)、f)及びg);a)、b)、d)、e)、f)及びg);a)、c)、d)、e)、f)及びg);b)、c)、d)、e)、f)及びg)]又は7つ全ての特徴a)、b)、c)、d)、e)、f)及びg)を満たす。
場合により、R18は、ハロゲンであり、パラ、オルト又はメタ位にあり、R19は、水素である。好ましくは、R18は、F、Cl又はBrであり、より好ましくはF又はBrであり、さらにより好ましくは、Fである。好ましくは、R18は、パラ位にある。場合により、R18及びR19は、共にハロゲンであり、好ましくは、同じハロゲンであり、R18及びR19は、パラ及びオルト位、オルト及びメタ位、パラ及びメタ位又は共にオルト位にある。好ましくは、R18及びR19は、共にF、Cl又はBr、より好ましくはFである。
特定の実施態様において、ロカグラオール誘導体は式(IIa)又は(IIb):

[式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19の定義は、式(II)についてと同じであり、同じ好ましい特徴がまた、式(IIa)又は(IIb)の化合物に適用される]を呈する。
特に好ましい実施態様において、ロカグラオール誘導体は、式(IIa)を有し、R14は、ヒドロキシル、−OCOR20(R20は、水素及び(C−C)−アルキルより選択される)及び=N−OR26(R26は、H又はメチルである)より選択される。好ましくは、R14は、ヒドロキシル及び−OCOR20(R20は、水素、メチル及びエチルより選択される)より選択される。
この特定の実施態様の好ましい実施態様では、
11は、アルコキシ、特にメトキシ又はエトキシ、より好ましくはメトキシであり;
12は、水素であり;
13は、水素、メトキシ及びエトキシより選択され、より好ましくは、R13は、水素又はメトキシであり;
15は、水素、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択され;
16は、水素、塩素、臭素、フッ素及びメトキシから、より好ましくは、臭素及びメトキシからなる群より選択され;
18は、パラ位にあり、H又はフッ素であり;そして、
17及びR19は、水素である。
場合により、ロカグラオール誘導体は、式(III):

[式中、
11は、場合により置換されているアルコキシであり、R12は、水素であるか;
又はR11及びR12は、一緒になって−O−CH−O−単位を形成し;
13は、水素及び(C−C)−アルコキシからなる群より、好ましくは、水素及びメトキシより選択され;
14は、ヒドロキシル、オキソ基及び−OCOR20(R20は、(C−C)−アルキル及び水素より、好ましくは水素及びメチルより選択される)からなる群より選択され;
15は、水素、−COOR21、−CONR2223及び−CONH(CHOH(ここで、nは、2、3又は4であり、ここで、
21及びR23は、水素及び(C−C)−アルキルより、好ましくは水素及びメチルより独立して選択され、R22は、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキル及び水素からなる群より、好ましくは水素、メチル及びメトキシより選択されるか、又は
22及びR23は、一緒になって、場合により基NHCO−(C−C)−アルキルにより置換されている5原子ヘテロ環を形成する)からなる群より選択されるか;
又はR14、R15ならびにR14及びR15を有する炭素(α)及び(β)は、一緒になって、下記:

(式中、R24及びR25は、(C−C)−アルキル及び水素からなる群より、好ましくは水素及びメチルより独立して選択される)を形成し;
16は、水素、(C−C)−アルコキシ及びハロゲンからなる群より選択され;
17は、R16のオルト位にあり、水素、(C−C)−アルコキシ及びヒドロキシルからなる群より選択されるか、又はR17と一緒になって−O−CH−O−単位を形成する]又はその任意の薬学的に許容される塩を有する。
他の特に好ましい実施態様において、ロカグラオール誘導体は、式(IIb)を有し、R14は、−NH−(CH−R27(ここで、mは、0であり、R27は、−SOMe又は−COR28(R28は、H又は(C−C)−アルキル、好ましくはH又はメチルである)である)である。
この特定の実施態様の好ましい実施態様では、
11は、アルコキシ、特にメトキシ又はエトキシ、より好ましくはメトキシであり;
12は、水素であり;
13は、水素、メトキシ及びエトキシより選択され、より好ましくは、R13は、水素又はメトキシであり、さらにより好ましくは、R13は、メトキシであり;
15は、水素、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択され、より好ましくは、水素であり;
16は、水素、塩素、臭素、フッ素及びメトキシからなる群より選択され、より好ましくは、塩素、臭素又はフッ素であり、さらにより好ましくは、臭素であり;そして、
17、R18及びR19は、水素である。
適切な式(II)のロカグラオール誘導体の例は、以下の文献:WO07/139749;EP1693059;WO05/113529;WO05/092876;WO03/045375;US 6,518,274;US 6,420,393;DE19934952に開示されている。
本発明はまた、抗腫瘍剤の心毒性を予防又は制限するための、上記記載されたとおりの式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)及び(III)のロカグラオール誘導体又はその任意の薬学的に許容される塩に関する。好ましくは、この特定の態様は、また、式(I)、(II)、(IIa)及び(IIb)のロカグラオール誘導体について上記開示された好ましい実施態様、及び特に、FL1、FL3、FL5、FL6、FL7、FL8、FL9、FL10、FL12、FL13、FL14、FL15、FL16、FL17、FL18、FL19、FL20、FL21、FL22、FL23、FL24及びFL25からなる群より、より好ましくは、FL1、FL3、FL5、FL8、FL9、FL10、FL12、FL13、FL14、FL15、FL16、FL17、FL18、FL19、FL20、FL21、FL22、FL23及びFL25からなる群より選択される誘導体に関する。
本発明は、さらに、対象中の抗腫瘍剤の心毒性を予防又は制限するための方法であって、該対象に治療有効量の、上記記載されたとおりの式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)及び(III)のロカグラオール誘導体又はその任意の薬学的に許容される塩を投与することを含む方法に関する。この特定の態様はまた、式(I)、(II)、(IIa)及び(IIb)のロカグラオール誘導体ならびに特に、FL1、FL3、FL5、FL6、FL7、FL8、FL9、FL10、FL12、FL13、FL14、FL15、FL16、FL17、FL18、FL19、FL20、FL21、FL22、FL23、FL24及びFL25からなる群より選択され、より好ましくはFL1、FL3、FL5、FL8、FL9、FL10、FL12、FL13、FL14、FL15、FL16、FL17、FL18、FL19、FL20、FL21、FL22、FL23及びFL25からなる群より選択される誘導体について上記開示された好ましい実施態様に関する。該対象は、任意の哺乳類、好ましくはヒトである。
特定の実施態様において、抗腫瘍剤の心毒性を予防又は制限するための本発明の方法は、0.01〜10mg/kg体重/日の、上記記載されたとおりの式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)及び(III)のロカグラオール誘導体又はその任意の薬学的に許容される塩を、該対象に投与することを含む。好ましくは、本発明の方法は、0.1〜5mg/kg体重/日の、上記記載されたとおりの式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)及び(III)のロカグラオール誘導体又はその任意の薬学的に許容される塩を、該対象に投与することを含む。この特定の態様はまた、式(I)、(II)、(IIa)及び(IIb)のロカグラオール誘導体ならびに特に、FL1、FL3、FL5、FL6、FL7、FL8、FL9、FL10、FL12、FL13、FL14、FL15、FL16、FL17、FL18、FL19、FL20、FL21、FL22、FL23、FL24及びFL25からなる群より選択され、より好ましくはFL1、FL3、FL5、FL8、FL9、FL10、FL12、FL13、FL14、FL15、FL16、FL17、FL18、FL19、FL20、FL21、FL22、FL23及びFL25からなる群より選択される誘導体について上記開示された好ましい実施態様に関する。
用語「心毒性」「心血管系毒性」又は「心毒性副作用」は、軽度の血圧変動、血栓症、心電図上の(ECG)変化、心律動異常(arrthymias)、心筋炎、心外膜炎、心筋梗塞(MI)、心筋症、心不全(左心室機能異常又は不全)及びうっ血性心不全(CHF)のような心臓事象を含むがこれらに限定されない心臓への毒性の効果を有することを意味する。抗腫瘍剤の心毒性を考慮すると、これらの副作用は、本質的にそのような薬剤により誘導される心筋細胞のアポトーシスに起因する。
「抗腫瘍剤」は、癌性細胞又は未成熟の前癌性細胞の成長を阻害又は停止し、癌性細胞又は未成熟の前癌性細胞を殺し、癌性又は前癌性細胞の他の抗腫瘍剤への感受性を増加させ、及び/又は癌性細胞の転移を阻害する、抗癌活性を有する薬剤である。これらの薬剤は、化学薬品及び生物剤を含んでもよい。アントラサイクリン、シクロホスファミド、パクリタキセル、フルオロウラシル、リツキシマブ、亜ヒ酸、トラスツズマブ、サリドマイド、エトポシド、ビンカアルカロイド、ペンタスタチン、シタラビン、インターフェロン、ブスルファン及びシスプラチンのような様々な抗腫瘍剤が、心血管系毒性を引き起こしうる。
好ましくは、抗腫瘍剤は、アントラサイクリンの群に属する。本出願において、「アントラサイクリン」は、ドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、デトルビシン、カルミノマイシン、エピルビシン、モルホリノドキソルビシン、モルホリノダウノリビシン、メトキシモルホルニルドキソルビシン、代替物、誘導体及びそれらの1つ以上の混合物を含むが、これらに限定されない。より好ましくは、アントラサイクリン分子は、ドキソルビシンである。
本明細書で使用する用語「心毒性を予防又は制限する」は、対象に投与された抗腫瘍剤の心毒性副作用を阻害又は減少すること、特に、心筋細胞のアポトーシスを阻害又は減少することを意味する。心筋細胞のアポトーシスへの、ロカグラオール誘導体の効果は、当業者に公知の任意の方法によって見積もることができる。例えば、実施例の部において、本発明に従う化合物の効果は、抗腫瘍剤の存在及び非存在下、ならびに抗腫瘍剤と本発明のロカグラオール誘導体の組み合わせにおいて、H9c2心筋細胞のアポトーシスを測定及び比較することによって見積もっている。結果はアポトーシス細胞のパーセンテージで表現している。好ましくは、本発明のロカグラオール誘導体の存在下での心筋細胞のアポトーシスは、少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、最も好ましくは少なくとも25%減少する。
本発明はまた、上記記載されたとおりの式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)及び(III)のロカグラオール誘導体又はその任意の薬学的に許容される塩の、抗腫瘍剤としての使用に関する。この特定の態様は、また、式(I)、(II)、(IIa)及び(IIb)のロカグラオール誘導体ならびに特に、FL1、FL3、FL5、FL6、FL7、FL8、FL9、FL10、FL12、FL13、FL14、FL15、FL16、FL17、FL18、FL19、FL20、FL21、FL22、FL23、FL24及びFL25からなる群より選択され、より好ましくはFL1、FL3、FL5、FL8、FL9、FL10、FL12、FL13、FL14、FL15、FL16、FL17、FL18、FL19、FL20、FL21、FL22、FL23及びFL25からなる群より選択される誘導体について上記開示された好ましい実施態様に関する。
好ましくは、ロカグラオール誘導体は、本明細書において記載されたとおりの、本発明に従う式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)の一つである。
特定の実施態様において、ロカグラオール誘導体は、FL1、FL3、FL5、FL6、FL7、FL8、FL9、FL10、FL12、FL13、FL14、FL15、FL16、FL17、FL18、FL19、FL20、FL21、FL22、FL23、FL24及びFL25からなる群より選択され、より好ましくはFL1、FL3、FL5、FL8、FL9、FL10、FL12、FL13、FL14、FL15、FL16、FL17、FL18、FL19、FL20、FL21、FL22、FL23及びFL25からなる群より選択される。
本発明の心臓保護剤のロカグラオール誘導体の投与される量は、当業者に周知の標準的手順によって決定されなければならない。患者の生理学的データ(例えば、年齢、サイズ及び体重)及び投与の経路を、適切な投与量を決定するために考慮しなければならない。心臓保護剤の本発明のロカグラオール誘導体は、単回量又は複数回で投与することができる。好ましい実施態様では、医薬組成物は、治療有効量の本発明のロカグラオール誘導体を含む。
「治療有効量」は、患者に投与される心臓保護剤の本発明のロカグラオール誘導体の、心臓保護の効果を提供するために十分な、すなわち、心筋細胞を損傷から、特にアポトーシスから保護するために十分な量を意味する。
この治療有効量は、1nMから1μMまで、好ましくは15nMから100nMまで、又は18nMから90nMまで、より好ましくは20nMから70nMまで、最も好ましくは23nMから50nMまで、もっとも好ましくは25nMから30nMまでの範囲内の血漿濃度を含む。その結果、本発明のロカグラオール誘導体の総量は、患者の血漿の体積に依存して変化できることが理解される。治療有効量を決定するための適切な意味及び測定が、当業者に利用可能である。
特定の実施態様において、本発明に従う医薬組成物は、0.1mgから1gの本発明のロカグラオール誘導体を含む。他の特定の実施態様において、本発明の医薬組成物は、0.7から700mgの本発明のロカグラオール誘導体を、好ましくは0.7から350mgの本発明のロカグラオール誘導体を含む。
本発明の心臓保護剤のロカグラオール誘導体は、他の心臓保護分子又は抗腫瘍剤と組み合わせて使用することができる。この場合において、ロカグラオール誘導体及び他の活性分子は、同時に又は連続的に投与することができる。
したがって、本発明は、式(II)、好ましくは式(I)のロカグラオール誘導体及び抗腫瘍剤を含む医薬組成物を開示する。また、これは癌の処置における同時、分離又は連続的使用のための、複合製剤としての式(II)、好ましくは式(I)のロカグラオール誘導体及び抗腫瘍剤を含む生成物に関する。好ましい実施態様において、抗腫瘍剤は、アントラサイクリン、特にドキソルビシンである。
以下の実施例は、例示のために与えられ、限定を意図しない。
実施例
実施例1:ブロモ−デメトキシ−ロカグラオール(FL3)の合成
ブロモ−デメトキシ−ロカグラオール(FL3)の合成は、図1に示した。以下に、異なる工程を記載する。
(S)−3−((R)−2,3−ジヒドロ−4,6−ジメトキシ−2−(4−ブロモフェニル)−3−オキソベンゾフラン−2−イル)−3−フェニルプロパナール(3c)
t−BuOH(300ml)中のベンゾフラノン1c(4.7g、13.5mmol)の懸濁液を、アルゴン下、50℃に加熱した。MeOH中の水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム(40%、306μL、0.73mmol)及び、その直後にシンナムアルデヒド2a(3.40ml、27.0mmol)を加えた。混合物を、50℃で2時間撹拌し、室温に冷まし(室温)、濃縮してHCl 1M(30ml)で酸性化し、CHClで抽出し、MgSOで乾燥させ、濃縮乾固した。得られた黄色の固体残留物を、クロマトグラフィー(EtO−ペンタン 6:4)で精製し、ケトアルデヒド3c 1.94g(33%)を、白色の固体として得た:R0.4(EtO/Hept 9:1)。NMR 1H (300 MHz, CDCl3): 2.61 (1H, ddd, J = 0.9, 4.0, 17.3 Hz), 3.07 (1H, ddd, J = 2.30, 10.9, 17.3 Hz), 3.70 (3H, s), 3.85 (3H, s), 4.19 (1H, dd, J = 4.0, 10.9 Hz), 5.81 (1H, d, J = 1.8 Hz), 6.21 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.08-7.17 (3H, m), 7.29-7.32 (2H, m), 7.49, 7.63 (4H, AA’BB’, J = 8.7 Hz), 9.41 (1H, d, J = 1.1 Hz)。NMR 13C (75 MHz, CDCl3): 44.0; 46.8; 55.9; 55.9; 88.4; 93.0; 103.7; 122.6; 126.9; 127.5; 128.2; 129.5; 131.8; 132.0; 135.6; 136.3; 159.1; 169.9; 174.1; 194.1; 200.0。IR (薄膜): 2725, 1720, 1699, 1617, 1590, 1154, 747 cm-1。HR−MS C2521BrLiOの計算値:487.0732;実測値:487.0727(−0.02ppm)。
(S)−3−((R)−2,3−ジヒドロ−4,6−ジメトキシ−2−(4−ブロモフェニル)−3−オキソベンゾフラン−2−イル)−3−フェニル−2−[(トリメチルシリル)オキシ]−プロパンニトリル(4c)
アルゴン下、室温でアルデヒド3c(1.2g、2.5mmol)にアセトニトリル(12mL)を加えた。シアン化トリメチルシリル(744mg、7.5mmol)を滴下し、直後にヨウ化亜鉛(10mg)を、アルゴン下、室温で加えた。得られた混合物を1時間撹拌し、濾過し、濃縮した。シアノヒドリン4c(1.74g)を、次の工程に精製することなく用いた。R0.5(EtO/Hept 8:2)。NMR 1H (300 MHz, CDCl3): 7.47-7.60 (4H, m); 7.13-1.23 (5H, m) ; 6.21 (1H, t, J = 2.3 Hz); 5.79 (1H, t, J = 2.3 Hz); 3.87-3.89 (1H, m); 3.83 (3H, s); 3.70-3.76 (1H, m); 3.66 (3H, s); 2.30-2.38 (2H, m); -0.01 (9H, d, J= 4.5 Hz)。
三環式ケトン(5c)
LDA(2.7mmol、0.6M)を、乾燥THF(12mL)中、保護したシアノヒドリン4c(1.43g、2.46mmol)の溶液に、−78℃、アルゴン下で滴下した。−78℃で2時間撹拌した後、溶液を10分間かけて−50℃に温めた。反応物を、飽和塩化アンモニウム水溶液(15mL)を加えてクエンチした。標準的な抽出の後処理(CHCl)により、黄色の固体(1.49g)を得た。この固体を、室温で、乾燥THF(10mL)中、テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド(2.7mL、THF中1M)を滴下し、直接処理した。溶液を4時間撹拌し、メタノールを加えてクエンチした。標準的な抽出の後処理(AcOEt)及びフラッシュクロマトグラフィー(EtO)による精製によって、三環式ケトン5c(240mg、20%)を白色の固体として得た:R0.35(EtO/Hept 8:2)。NMR 1H (300 MHz, CDCl3): 2.96-3.09 (2H, m), 3.21 (1H, br s), 3.81 (3H, s), 3.84 (3H, s), 3.90 (1H, dd, J = 10.2, 12.1 Hz), 6.1 (1H, d, J = 1.9 Hz), 6.33 (1H, d, J = 1.9 Hz), 6.89-6.94 (4H, m), 7.10-7.12 (3H, m), 7.24-7.27 (2H, m)。NMR 13C (75 MHz, CDCl3): 39.6; 48.6; 55.6; 55.7; 88.6; 89.7; 92.8; 100.8; 106.2; 121.7; 127.1; 127.8; 128.0; 128.3; 130.7; 133.0; 136.6; 158.4; 160.9; 164.8; 210.3。IR (薄膜): 3477, 2942, 2841, 1750, 1621, 1597, 1149 cm-1。HR−MS C2521BrNaの計算値:503.0470;実測値:503.0465(−0.99ppm)。
ラセミのブロモ−デメトキシ−ロカグラオール(FL3)
アセトニトリル(1.8mL)を、室温でアルゴン下、トリアセトキシ水素化ホウ素テトラメチルアンモニウム(828mg、3.15mmol)に加え、続いて氷酢酸(1.8mL)を加えた。30分間室温で撹拌した後、乾燥アセトニトリル(4.5mL)中のケトン5c(170mg、0.354mmol)の溶液を滴下した。得られた混合物を、一晩室温で撹拌した。反応物を、飽和塩化アンモニウム水溶液(40mL)を加えてクエンチした。標準的な抽出の後処理(AcOEt)及びフラッシュクロマトグラフィー(EtO)による精製により、FL3(103mg、60%)を白色の固体として得た:R.25(EtO/Hept 8:2)。
実施例2:メチルブロモ−ジデメトキシ−ロカグラート(FL5)の合成
図3及び4に表している、メチルブロモ−ジデメトキシ−ロカグラート(FL5)の合成は、Porcoの方略(Gerard et al., 2004)に基づいている。以下には、異なる工程を記載する。
(E)−3−(4−ブロモフェニル)−1−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(図3(8):R =H、R =Me、R =Br)
メタノール150mL中の2’−ヒドロキシ−4’−メトキシアセトフェノン10.2g(0.062mol)の溶液に、水酸化カリウム13.8g(4当量、0.25mol)及び4−ブロモベンズアルデヒド11.4g(1当量、0.062mol)を連続して加えた。溶液を60℃で一晩加熱し、氷浴中0℃に冷却し、濃HClを用いてpH2に酸性化した。沈殿物を濾過し、水100mLで洗浄し、減圧下で乾燥させて、カルコン(図3の8)20.4g(99%)を得た。NMR 1H (300 MHz, CDCl3): 3.83 (3H, s,), 6.45 (2H, m), 7.50 (5H, m), 7.77 (2H, m), 13.33 (1H, s)。 NMR 13C (75 MHz, CDCl3): 55.8, 101.3, 108.1, 114.2 , 121.1, 125.1, 130.0, 131.4, 132.4, 133.9, 143.1, 166.6, 167.0, 191.7。
2−(4−ブロモフェニル)−3−ヒドロキシ−7−メトキシ−4H−クロメン−4−オン(図3(9):R =H、R =Me、R =Br)
メタノール100mL中のカルコン(図3の8)10.0g(1当量、0.030mmol)の溶液に、水酸化カリウム10.1g(6当量、0.18mol)を加えた。溶液を60℃に加熱し、溶液が赤色になったら、過酸化水素12.3mL(4当量、0.12mol)をゆっくりと加えた。溶液を15分間室温で撹拌し、氷浴中0℃に冷却した。混合物を次に濃HClを用いてpH2に酸性化した。沈殿物を濾過し、水100mLで洗浄し、減圧下で乾燥させ、3−ヒドロキシフラボン(図3の9)7.30g(70%)を黄色の固体として得た。NMR 1H (300 MHz, CDCl3): 3.92 (3H, s2), 6.92 (1H, d, J = 2.2 Hz), 6.98 (1H, dd, J = 2.2; 8.8 Hz), 7.63 (2H, d, J = 8.8 Hz), 8.11 (3H, m)。NMR 13C (75 MHz, CDCl3): 56.0, 100.2, 114.7, 115.1, 122.9, 126.0, 129.1, 130.6, 131.4, 139.1, 143.2, 156.4, 163.7, 172.3。
シクロペンタ[bc]ベンゾピラン(図3(10):R =H、R =Me、R =Br)又は2−(4−ブロモフェニル)−5−ヒドロキシ−2,5−メタノ−8−メトキシ−10−オキソ−3−フェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1−ベンゾオキセピン−4−カルボン酸メチル(図4の4b)
パイレックスチューブ中、ジクロロメタン/メタノール(3/1)の混合物90mL中の3−ヒドロキシフラボン(図3の9又は図4の3b)(1g、1当量、3mmol)及び桂皮酸メチル(5.15g、10当量、30mmol)の溶液を、アルゴンで5分間脱ガスし、Iwasaki 400W水銀灯を用いて0℃で15時間光照射した。溶液を減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(40/60 ヘプタン/AcOEt)によって精製して、シクロペンタ[bc]ベンゾピラン560mgを白色の固体として得て、これをAcOEt 20mL中、65℃で4時間加熱した。溶液を減圧下で濃縮し、シクロペンタ[bc]ベンゾピラン10 560mg(38%)を、白色の固体として得た。NMR 1H (300 MHz, CDCl3): 3.80 (3H, s), 3.82 (3H, m), 3.70 (1H, d, J = 8.3 Hz), 4.65 (1H, d, J = 8.3 Hz), 6.56 (2H, m), 7.19-7.40 (9H, m), 7.52 (1H, d, J = 8.4 Hz)。NMR 13C (75 MHz, CDCl3): 52.8, 54.4, 55.8, 60.9, 88.6, 97.8, 97.3, 101.9, 108.4, 117.0, 122.5, 125.7, 127.4, 128.5, 130.0, 130.8, 134.7, 139.3, 152.6, 161.7, 171.5, 191.5。
シクロペンタ[b]テトラヒドロベンゾフラン(図3(11):R =H、R =Me、R =Br)又は3a−(4−ブロモフェニル)−8b−ヒドロキシ−8−メトキシ−1−オキソ−3−フェニル−2,3−3a,8b−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−2−カルボン酸メチル(図4の5b)
MeOH(75mL)中のシクロペンタ[bc]ベンゾピラン(図3の10又は図4の4b)(400mg、1当量、0.8mmol)の溶液に、MeOH(5mL)中のNaH 78mg(2,5当量、2.0mmol)を0℃で加えた。得られた溶液を60℃で20分間撹拌した。反応物を飽和NHCl水溶液でクエンチした後、AcOEt 40mLを次に加え、有機層を水(2x20mL)及びブライン(20mL)で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、粗ケトール370mg(93%)を白色の固体として得て、これをさらに精製しないで用いた。NMR 1H (300 MHz, CDCl3): 3.67 (3H, s), 3.87 (3H, s), 4.11 (1H, s), 4.54 (1H, s, H6), 6.64 (1H, dd, J = 2.3, 8.4 Hz), 6.72 (1H, d, J = 2.3 Hz), 6.90-7.40 (10H, m)。NMR 13C (CDCl3): 51.8, 53.2, 55.8, 55.9, 87.7, 96.9, 100.6, 108.4, 115.3, 118.0, 126.0, 127.8, 128.3, 128.4, 128.7, 129.0, 132.8, 138.5, 145.0, 159.9, 172.2, 203.9。
メチルブロモ−ジデメトキシ−ロカグラート又は3a−(4−ブロモフェニル)−1,8b−ジヒドロキシ−8−メトキシ−1−オキソ−3−フェニル−2,3−3a,8b−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−2−カルボン酸メチル(図4の6b)(FL5)
CHCN 20mL中の、MeNBH(OAc) 620mg(6当量、2.35mmol)及び酢酸0.23mL(10当量、3.93mmol)の溶液に、CHCN 10mL中の粗ケトール生成物(図4の5b)200mg(1当量、0.39mmol)の溶液を加えた。得られた溶液を、室温で3時間撹拌した後、飽和NHCl水溶液20mLでクエンチした。溶液を次に、酒石酸ナトリウム/カリウムの3M 水溶液10mLで処理し、30分間撹拌した。水溶液を、CHCl(2x30mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。HPLCによる生成で、対応するendo生成物100mg(50%)を白色の固体として得た。
実施例3:ロカグラオール誘導体FL6〜FL25の合成及びNMR特性評価
FL10の合成
2−(4−ブロモフェニル)−6,8−ジメトキシ−5−ヒドロキシ−2,5−メタノ−10−オキソ−3−フェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1−ベンゾオキセピン−4−カルボン酸メチル(図4の4a)。
CHCl/MeOH(3:1)90mL中のヒドロキシフラボン(図4の3a)(1.0g、2.7mmol)及び桂皮酸メチル(3.43g、21mmol)の溶液を、パイレックスチューブ中アルゴンで10分間脱ガスした。この混合物を、次に30時間、0℃、アルゴン雰囲気下で光照射した(450W Iwasaki UVランプ)。この溶液を減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/AcOEt 8:2〜4:6)により精製し、EtOAc(20mL)中で4時間加熱還流し、減圧下で濃縮して、図4の4a 400mg(29%)を白色の固体として得た。NMR 1H (CDCl3): 3.56 (3H, s), 3.76 (3H, s), 3.83 (3H, s), 4.17 (1H, d, J = 9.1 Hz), 4.49 (1H, d, J = 9.1 Hz), 6.09 (1H, d, J = 2.1 Hz), 6.19 (1H, d, J = 2.1 Hz), 6.90-7.20 (5H, m), 7.21 (2H, d, J = 9.1 Hz), 7.50 (2H, d, J = 9.1 Hz)。NMR 13C (CDCl3): 51.9, 52.4, 53.5, 54.6, 55.4, 55.6, 56.0, 56.3, 57.2, 62.3, 81.0, 81.3, 83.8, 87.5, 92.9, 93.9, 94.6, 98.0, 103.7, 104.7, 121.9, 122.1, 126.9, 127.5, 128.1, 128.5, 128.9, 129.0, 129.3, 129.8, 130.4, 130.5, 130.7, 131.3, 132.6, 134.8, 137.5, 139.4, 152.7, 153.5, 158.2, 158.6, 161.5, 162.2, 170.6, 171.7, 202.9。
3a−(4−ブロモフェニル)−6,8−ジメトキシ−8b−ヒドロキシ−1−オキソ−3−フェニル−2,3−3a,8b−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−2−カルボン酸メチル(図4の5a)
MeOH(15mL)中の、図4の4a(120mg、0.2mmol)の溶液に、MeOH中のNaOMeの溶液(0.1M、5mL)を0℃で加えた。得られた溶液を20分間60℃で撹拌し、室温に冷却し、飽和NH4Clでクエンチし、AcOEt(20mL)で抽出し、有機層を水(2x20mL)及びブライン(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗β−ケトエステル、図4の5a 120mgを白色の固体として得て、これを更に精製しないで用いた。NMR 1H (CDCl3): 3.65 (3H, s), 3.77 (3H, s), 3.84 (3H, s), 4.05 (1H, d, J = 12.7 Hz), 4.24 (1H, d, J = 12.7 Hz), 4.47 (1H, s), 6.10 (1H, d, J = 2.0 Hz), 6.33 (1H, d, J = 2.0 Hz), 6.90-7.20 (5H, m), 7.27 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.50 (2H, d, J = 8.7 Hz)。NMR 13C (CDCl3): 51.9, 53.1, 55.7, 55.8, 56.9, 88.5, 89.2, 92.7, 99.1, 105.9, 122.0, 127.0, 127.8, 128.2, 128.5, 130.9, 134.3, 135.1, 158.7, 160.7, 165.1, 170.0, 203.1。
3a−(4−ブロモフェニル)−1,8b−ジヒドロキシ−6,8−ジメトキシ−1−オキソ−3−フェニル−2,3−3a,8b−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−2−カルボン酸メチル(FL10又は図4の6a)。
氷酢酸(128mL、2.22mmol)をCHCN(3mL)中のMeNBH(OAc)(351mg、1.33mmol)の溶液に加えた。5分間室温で撹拌した後、CHCN(10mL)中の、図4の5a(120mg、0.22mmol)の溶液を滴下した。得られた混合物を、室温で3時間撹拌し、続いて飽和NHCl水溶液(15mL)及び酒石酸ナトリウム/カリウムの3M 水溶液(3mL)でクエンチし、30分間撹拌した。水溶液をAcOEt(2x30mL)で抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。HPLC(Symetry shield RP18、7μm、19×300mm、流速10mL/min、水(0.1% TFA)からCHCN(0.1% TFA)への50分間の勾配を用いる)による精製で、図4のジオール6a(60mg、50%)を白色の固体として得た。NMRデータ:下記を参照されたい。
FL6(図4の1b)の合成
3a−(4−ブロモフェニル)−8b−ヒドロキシ−8−メトキシ−3−フェニル−2,3−3a,8b−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−1−オン。
塩化リチウム(13mg、0.3mmol)及び水(11μL、0.6mmol)を、DMSO中の、図4の5b(100mg、0.2mmol)の溶液に加えた。混合物を100℃で12時間撹拌し、室温に冷まし、水10mLで希釈し、AcOEt(3x10mL)で抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮した。白色の固体をフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/AcOEt 9:1〜4:6)で精製し、減圧下で濃縮して、標記ケトン40mg(22%)を白色の固体として得た。1H NMR (CDCl3): 3.05 (2H, m), 3.80 (1H, m), 3.90 (3H, s), 6.67 (1H, dd, J = 2.3, 8.5 Hz), 6.75 (1H, d, J = 2.3 Hz), 6.87-6.94 (4H, m), 7.10-7.14 (3H, m), 7.24-7.27 (3H, m)。13C NMR (CDCl3): 39.5, 52.8, 55.6, 88.7, 90.1, 92.6, 100.8, 106.2, 121.4, 126.5, 126.8, 127.8, 128.0, 128.8, 130.7, 133.8, 137.3, 160.9, 164.8, 210.5。
3a−(4−ブロモフェニル)−8−メトキシ−3−フェニル−1,2,3,3a−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−1,8b(1H)−ジオール(FL6、図4の1b)。
氷酢酸(51μL、0.89mmol)を、CHCN(3mL)中のMeNBH(OAc)(140mg、0.53mmol)の溶液に加えた。5分間室温で撹拌した後、CHCN(2ml)中の前回の化合物(40mg、0.09mmol)の溶液を滴下した。得られた混合物を3時間室温で撹拌し、続いて飽和NHCl水溶液(15mL)及び酒石酸ナトリウム/カリウムの3M 水溶液(3mL)でクエンチし、30分間撹拌した。水溶液をAcOEt(2x30mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。HPLC(Symetry shield RP18、7μm、19×300mm、流速10mL/min、水(0.1% TFA)からCHCN(0.1% TFA)への50分間の勾配を用いる)による精製で、図4のジオール1b(FL6)(20mg、50%)を白色の固体として得た。NMRデータ:下記を参照されたい。
FL7(図4の6c)の合成
5−ヒドロキシ−2,5−メタノ−8−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−10−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1−ベンゾオキセピン−4−カルボン酸メチル(図4の4c)。
CHCl/MeOH(3:1)90mL中の図4のヒドロキシフラボン3c(1.0g、3.4mmol)及び桂皮酸メチル(5.15g、34mmol)の溶液を、パイレックスチューブ中、アルゴンで10分間脱ガスした。この混合物を次に、15時間、0℃で、アルゴン雰囲気下で光照射した(450W Iwasaki UVランプ)。溶液を減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/AcOEt 4:6)により精製し、EtOAc(20mL)中4時間加熱還流し、減圧下で濃縮して、図4の付加物4c 440mg(29%)を、白色の固体として得た。1H NMR (CDCl3): 3.62 (1H, d, J = 8.1 Hz), 3.68 (3H, s), 3.73 (3H, s), 3.83 (3H, s), 4.65 (1H, d, J = 8.1 Hz), 6.60 (2H, m), 7.10-7.40 (8H, m), 7.56 (2H, d, J = 8.9 Hz)。13C NMR (CDCl3): 50.7, 52.8, 54.4, 55.8, 55.9, 88.4, 98.0, 101.7, 108.2, 117.3, 125.5, 127.3, 128.6, 130.2, 130.9, 134.6, 139.1, 152.8, 161.6, 162.6, 171.4, 191.4。
8b−ヒドロキシ−8−メトキシ−3a−(4−メトキシフェニル)−1−オキソ−3−フェニル−2,3−3a,8b−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−2−カルボン酸メチル(図4の5c)。
MeOH(100mL)中の図4のアグライン4c(900mg、0.8mmol)の溶液に、MeOH中のNaOMeの溶液(0.4M、5mL)を0℃で加えた。得られた溶液を20分間60℃で撹拌し、室温に冷却して、飽和NHClでクエンチし、AcOEt(40mL)で抽出し、有機層を水(2x20mL)及びブライン(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗β−ケトエステル、図4の5c 370mgを、白色の固体として得て、これを更に精製しないで用いた。1H NMR (CDCl3): 3.69 (3H, s), 3.77 (3H, s), 3.91 (3H, s), 4.16 (1H, s), 4.57 (1H, s), 6.75 (2H, m), 6.90-7.20 (8H, m), 7.56 (2H, d, J = 8.4 Hz)。13C NMR (CDCl3): 50.9, 51.9, 53.4, 55.6, 56.0, 87.6, 96.7, 100.9, 108.6, 115.5, 117.9, 127.8, 128.2, 128.3, 128.8, 129.1, 132.7, 138.3, 145.3, 160.1, 162.5, 172.2, 203.9。
1,8b−ジヒドロキシ−8−メトキシ−3a−(4−メトキシフェニル)−1−オキソ−3−フェニル−2,3−3a,8b−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−2−カルボン酸メチル(FL7、図4の6c)。
氷酢酸(248mL、4.33mmol)を、CHCN(30mL)中のMeNBH(OAc)(686mg、2.61mmol)の溶液を加えた。室温で5分間撹拌し、CHCN(10ml)中の図4のケトン5c(200mg、0.43mmol)の溶液を滴下した。得られた混合物を3時間室温で撹拌し、続いて飽和NHCl水溶液(20mL)及び酒石酸ナトリウム/カリウムの3M 水溶液(10mL)でクエンチし、30分間撹拌した。水溶液をCHCl(2x30mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。HPLC(Symetry shield RP18、7μm、19×300mm、流速10mL/min、水(0.1% TFA)からCHCN(0.1% TFA)への50分間の勾配を用いる)による精製で、図4のジオール6c(100mg、50%)を白色の固体として得た。NMRデータ:下記を参照されたい。
FL9、FL12、FL13及びFL14(図4の7a、8a、9a及び9b)の合成
3a−(4−ブロモフェニル)−1,8b−ジヒドロキシ−6,8−ジメトキシ−N,N−ジメチル−1−オキソ−3−フェニル−2,3−3a,8b−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−2−カルボキサミド(FL12、図4の7a)。
CHCl(3mL)中の、図4の酸6a(30mg、0.06mmol)の溶液に、ジメチルアミン塩酸塩(6mg、0.07mmol)及びDMAP(8mg、0.07mmol)を加えた。0℃で、EDCI(13mg、0.07mmol)を5分間かけて分割して加えた。混合物を30分間0℃で撹拌し、次にトリエチルアミン(9μL、0.07mmol)を加えた。溶液を0℃で1時間、そして室温で15時間撹拌し、1N HCl 1mLでクエンチし、5mlの水で希釈した。水層をCHCl(3x15mL)で抽出した。回収した有機層を、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮して、フラッシュクロマトグラフィー(CHCl/AcOEt/EtN 78:20:2〜58:40:2)により精製し、減圧下で濃縮して、図4のアミド7a(FL12)20mg(63%)を白色の固体として得た。NMRデータ:下記を参照されたい。
3a−(4−ブロモフェニル)−1,8b−ジヒドロキシ−6,8−ジメトキシ−N−メチル−1−オキソ−3−フェニル−2,3−3a,8b−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−2−カルボキサミド(FL13、図4の8a)。
CHCl(3mL)中の、図4の酸6a(30mg、0.06mmol)の溶液に、メチルアミン塩酸塩(5mg、0.07mmol)及びDMAP(8mg、0.07mmol)を加えた。0℃で、EDCI(13mg、0.07mmol)を5分間かけて分割して加えた。混合物を30分間0℃で撹拌し、次にトリエチルアミン(9μL、0.07mmol)を加えた。溶液を1時間0℃で、そし15時間室温で撹拌した。混合物を1N HCl 1mLでクエンチし、水5mLで希釈した。水層をCHCl(3x15mL)で抽出した。回収した有機層を、ブライン(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(CHCl/AcOEt/EtN 68:30:2〜58:40:2)で精製し、減圧下で濃縮して、図4のアミド8a(FL13)26mg(84%)を、白色の固体として得た。NMRデータ:下記を参照されたい。
3a−(4−ブロモフェニル)−1,8b−ジヒドロキシ−6,8−ジメトキシ−1−オキソ−3−フェニル−2,3−3a,8b−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−2−カルボキサミド(FL14、図4の9a)。
図4のエステル6a(50mg、0.09mmol)を、メタノール(5mL)中のアンモニア飽和溶液に、密閉管中で加えた。溶液を次に100℃で36時間加熱し、室温に冷却し、減圧下で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl/EtOH 95:5)で精製し、図4のアミド9a(FL14)15mg(30%)を白色の固体として得た。NMRデータ:下記を参照されたい。
3a−(4−ブロモフェニル)−1,8b−ジヒドロキシ−8−メトキシ−1−オキソ−3−フェニル−2,3−3a,8b−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−2−カルボキサミド(FL9、図4の9b)。
MeOH中の飽和アンモニア溶液5mLに、エステル、図4の6b(70mg、0.14mmol)を密閉管中で加えた。溶液を次に100℃で36時間加熱した。室温まで冷却した後、溶液を減圧下で濃縮した。純粋な、図4のアミド9bのサンプル(16mg、16%)を、RP−HPLC(Symetry shield RP18、7μm、19×300mm、流速10mL/min、水(0.1% TFA)からCHCN(0.1% TFA)への50分間の勾配を用いる)によって単離した。NMRデータ:下記を参照されたい。
FL8(図4の7b)の合成
2−(4−ブロモフェニル)−5−ヒドロキシ−2,5−メタノ−8−メトキシ−10−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1−ベンゾオキセピン−4−カルボン酸メチル(図4の11)。
CHCl/MeOH(3:1)90mL中の図4のヒドロキシフラボン3b(1.0g、3mmol)及び図4のジメチル桂皮酸アミド10(5.10g、30mmol)の溶液を、アルゴンを用いてパイレックスチューブ中10分間脱ガスした。この混合物を次に25時間、0℃、アルゴン雰囲気下で光照射した(450W Iwasaki UVランプ)。溶液を減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/AcOEt 4:6)で精製し、EtOAc(20mL)中4時間加熱還流し、減圧下で濃縮して、図4の付加物11 560mg(18%)を白色の固体として得た。1H NMR (CDCl3): 2.87 (3H, s), 3.23 (3H, s), 3.80 (3H, m), 3.90 (1H, d, J = 7.7 Hz), 4.99 (1H, d, J = 7.7 Hz), 6.55 (2H, m), 6.80-7.20 (10H, m)。13C NMR (CDCl3): 36.4, 37.8, 51.4, 55.6, 60.6, 88.3, 97.9, 101.3, 108.1, 118.2, 121.1, 125.1, 127.6, 128.2, 130.0, 130.9, 134.6, 137.5, 152.8, 161.9, 171.9, 191.7。
3a−(4−ブロモフェニル)−8b−ヒドロキシ−8−メトキシ−1−オキソ−3−フェニル−2,3−3a,8b−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−2−カルボン酸メチル
MeOH(15mL)中の、図4のアグライン11(150mg、0.3mmol)の溶液に、MeOH中のNaOMeの溶液(0.4M、2mL)を0℃で加えた。得られた溶液を20分間60℃で撹拌し、室温に冷却し、飽和NHClでクエンチし、AcOEt(15mL)で抽出した。有機層を水(2x20mL)及びブライン(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、標記β−ケトエステル140mgを白色の固体として得て、これを次の工程に更に精製しないで用いた。1H NMR (CDCl3): 2.88 (3H, s), 3.22 (3H, s), 3.83 (4H, m), 4.37 (1H, s), 6.58 (1H, dd, J = 2.2, 8.5 Hz), 6.67 (1H, d, J = 2.2 Hz), 6.83 (2H, m), 7.10 (3H, m), 7.30 (5H, m)。13C NMR (CDCl3): 36.5, 37.4, 51.6, 55.5, 56.1, 88.3, 96.7, 100.8, 108.4, 115.6, 118.5, 126.1, 127.3, 128.4, 128.5, 128.9, 129.3, 133.0, 138.8, 160.2, 172.3, 203.6。
3a−(4−ブロモフェニル)−1,8b−ジヒドロキシ−8−メトキシ−N,N−ジメチル−1−オキソ−3−フェニル−2,3−3a,8b−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−2−カルボキサミド(FL8、図4の7b)。
氷酢酸(142mL、2.49mmol)を、CHCN(15mL)中のMeNBH(OAc)(390mg、1.49mmol)の溶液に加えた。5分間室温で撹拌した後、CHCN(5mL)中の図4のケトン5b(130mg、0.25mmol)の溶液を滴下した。得られた混合物を、3時間室温で撹拌し、続いて飽和NHCl水溶液(20mL)及び酒石酸ナトリウム/カリウムの3M 水溶液(10mL)でクエンチし、30分間撹拌した。水溶液をCHCl(2x30mL)で抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。HPLC(Symetry shield RP18、7μm、19×300mm、流速10mL/min、水(0.1% TFA)からCHCN(0.1% TFA)への50分間の勾配を用いる)による精製で、図4のジオール7b(60mg、46%)を白色の固体として得た。NMRデータ:下記を参照されたい。
2−(4−ブロモフェニル)−6,8−ジメトキシ−5−ヒドロキシ−2,5−メタノ−10−オキソ−3−(3−フルオロフェニル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1−ベンゾオキセピン−4−カルボン酸メチル(図4の4d)。
CHCl/MeOH(3:1)90mL中の図4のヒドロキシフラボン3a(1.0g、3.7mmol)及び(E)−3−フルオロ桂皮酸メチル(2.58g、16mmol)の溶液を、アルゴンを用いて10分間、パイレックスチューブ中で脱ガスした。この混合物を次に40時間、0℃、アルゴン雰囲気下で光照射した(450W Iwasaki UVランプ)。溶液を減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/AcOEt 8:2〜6:4)により精製し、EtOAc(20mL)中4時間加熱還流し、減圧下で濃縮して、図4の付加物4d 225mg(16%)を白色の固体として得た。1H NMR (CDCl3): 3.56 (3H, s), 3.61 (1H, d, J = 9.4 Hz), 3.72 (3H, s), 3.81 (3H, s), 4.15 (1H, d, J = 9.4 Hz), 6.07 (1H, d, J = 2.2 Hz), 6.15 (1H, d, J = 2.2 Hz), 6.68 (1H, m), 6.90 (3H, m), 7.23 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.51 (2H, d, J = 8.7 Hz)。13C NMR (CDCl3): 51.7, 54.3, 55.1, 55.4, 56.0, 88.5, 92.5, 94.9, 98.5, 104.1, 112.6, 114.0, 116.7, 125.6, 127.8, 129.1-129.2 (d, 7.9 Hz), 130.5, 142.5-142.6 (d, 7.5 Hz), 153.9, 158.5, 158.9, 166.1-164.3 (d, 245.0 Hz), 161.3, 171.3, 172.2。
3a−(4−ブロモフェニル)−6,8−ジメトキシ−8b−ヒドロキシ−1−オキソ−3−(3−フルオロフェニル)−2,3−3a,8b−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−2−カルボン酸メチル(図4の5d)。
MeOH(50mL)中の図4のアグライン4d(500mg、0.9mmol)に、MeOH中のNaOMeの溶液(0.4M、5mL)を0℃で加えた。得られた溶液を、20分間、60℃で撹拌し、室温まで冷却し、飽和NHClでクエンチし、AcOEt(40mL)で抽出し、有機層を水(2x20mL)及びブライン(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗β−ケトエステル、図4の5d 370mgを、白色の固体として得て、これを更に精製しないで用いた。1H NMR (CDCl3): 3.67 (3H, s), 3.79 (3H, s), 3.84 (3H, s), 3.99 (1H, d, J = 13.2 Hz), 4.23 (1H, d, J = 13.2 Hz), 6.10 (1H, d, J = 2.0 Hz), 6.34 (1H, d, J = 2.0 Hz), 6.66 (1H, m), 6.92 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.10 (3H, m), 7.28 (2H, d, J = 8.6 Hz)。13C NMR (CDCl3): 51.8, 53.4, 55.9, 56.0, 56.3, 88.6, 89.4, 90.2, 93.5, 105.7, 114.2, 115.4, 120.7, 128.5, 129.3, 129.9-130.0 (d, 8.1 Hz), 131.2, 132.5, 137.8-137.9 (d, 7.3 Hz), 158.2, 160.6-162.9 (d, 232.9 Hz), 164.1, 165.4, 168.1, 202.7。
3a−(4−ブロモフェニル)−1,8b−ジヒドロキシ−6,8−ジメトキシ−1−オキソ−3−(3−フルオロフェニル)−2,3−3a,8b−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−2−カルボン酸メチル(FL17、図4の6d)。
氷酢酸(520μL、4.33mmol)を、CHCN(80mL)中のMeNBH(OAc)(1.42g、5.38mmol)の溶液に加えた。5分間室温で撹拌した後、CHCN(10mL)中の、図4のケトン5d(500mg、0.90mmol)の溶液を滴下した。得られた混合物を3時間室温で撹拌し、続けて飽和NHCl水溶液(30mL)及び酒石酸ナトリウム/カリウムの3M 水溶液(20mL)でクエンチし、30分間撹拌した。水溶液をCHCl(2x40mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl/EtO 95:5)により精製して、図4のジオール6d(265mg、53%)を白色の固体として得た。1H NMR (CDCl3): 3.56 (1H, s, OH), 3.66 (3H, s), 3.81 (3H, s), 3.8 (4H, m), 4.33 (1H, d, J = 14.1 Hz), 4.98 (1H, d, J = 6.4 Hz), 6.11 (1H, d, J = 2.0 Hz), 6.28 (1H, d, J = 2.0 Hz), 6.66 (2H, m), 6.77 (1H, m), 7.03 (1H, m), 7.08 (1H, d, J = 8.6 Hz), 7.31 (1H, d, J = 8.6 Hz)。13C NMR (CDCl3):50.5, 52.2, 54.8, 55.8, 79.6, 89.6, 93.0, 93.8, 101.5, 107.3, 113.7-113.9(d, J = 21.3 Hz), 114.9-115.1 (d, J = 21.6 Hz), 121.9, 123.2, 129.4-129.5 (d, J = 8.8 Hz), 129.5, 130.5, 133.7, 139.4-139.5 (d, J = 7.3 Hz), 157.0, 160.6, 161.3-163.7 (d, J = 245.4 Hz), 164.3, 170.2。
3a−(4−ブロモフェニル)−1,8b−ジヒドロキシ−6,8−ジメトキシ−1−オキソ−3−(3−フルオロフェニル)−2,3−3a,8b−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−2−カルボキサミド(FL18)。
エステル(50mg、0.09mmol)を、メタノール中のアンモニア飽和溶液(5mL)に密閉管中で加えた。溶液を次に100℃で36時間加熱し、室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(AcOEt)により精製し、アミドFL18 7mg(14%)を白色の固体として得た。NMRデータ:下記を参照されたい。
2−(4−メトキシフェニル)−6,8−ジメトキシ−5−ヒドロキシ−2,5−メタノ−10−オキソ−3−(3−フルオロフェニル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1−ベンゾオキセピン−4−カルボン酸メチル(図4の4e)。
CHCl/MeOH(3:1)90mL中の、図4のヒドロキシフラボン3d(1.0g、3.0mmol)及び(E)−3−フルオロ桂皮酸メチル(3.29g、18mmol)の溶液を、パイレックスチューブ中、アルゴンを用いて10分間脱ガスした。この混合物を次に、40時間、0℃、アルゴン雰囲気下で光照射した(450W Iwasaki UVランプ)。溶液を減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/AcOEt 7:3〜6:4)により精製し、EtOAc(20mL)中で4時間加熱還流し、減圧下で濃縮して、図4の付加物4e 400mg(26%)を白色の固体として得た。1H NMR (CDCl3): 3.57 (3H, s), 3.63 (1H, d, J = 9.2 Hz), 3.68 (3H, s), 3.74 (3H, s), 3.82 (3H, s), 4.18 (1H, d, J = 9.2 Hz), 6.09 (1H, d, J = 2.2 Hz), 6.18 (1H, d, J = 2.2 Hz), 6.66 (3H, m), 6.98 (3H, m), 7.58 (2H, d, J = 8.9 Hz)。13C NMR (CDCl3): 52.0, 54.3, 55.1, 55.4, 56.0, 62.8, 87.7, 92.8, 94.6, 98.1, 103.6, 112.9, 113.4-113.7 (d, 21.0 Hz), 116.5-116.8 (d, 22.1 Hz), 125.8, 127.7, 129.2-129.3 (d, 7.7 Hz), 130.2, 142.8-142.9 (d, 7.7 Hz), 153.7, 158.6, 158.9, 160.9-164.1 (d, 244.4 Hz), 161.4, 171.3, 171.8。
3a−(4−メトキシフェニル)−6,8−ジメトキシ−8b−ヒドロキシ−1−オキソ−3−(3−フルオロフェニル)−2,3−3a,8b−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−2−カルボン酸メチル(図4の5)。
MeOH(30mL)中の、図4のアグライン4e(300mg、0.6mmol)を、MeOH中のNaOMeの溶液(0.4M、5mL)に0℃で加えた。得られた溶液を、20分間60℃で撹拌し、室温に冷却し、飽和NHClでクエンチし、AcOEt(3x20mL)で抽出し、有機層を水(2x20mL)及びブライン(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗β−ケトエステル、図4の5e 300mgを白色の固体として得て、これを更に精製しないで用いた。1H NMR (CDCl3): 3.63 (3H, s), 3.64 (3H, s), 3.74 (3H, s), 3.79 (3H, s), 3.99 (1H, d, J = 13.3 Hz), 4.19 (1H, d, J = 13.3 Hz), 6.06 (1H, d, J = 1.9 Hz), 6.31 (1H, d, J = 1.9 Hz), 6.51 (2H, d, J = 8.9 Hz), 6.66 (3H, m), 6.80 (1H, m), 6.93 (2H, d, J = 8.9 Hz)。13C NMR (CDCl3): 51.8, 53.1, 55.2, 55.7, 55.8, 56.4, 88.6, 90.0, 93.1, 99.3, 112.3, 113.4, 114.1-114.3 (d, 21.6 Hz), 115.0-115.2 (d, 22.4 Hz), 125.3, 127.9, 128.1, 129.5-129.6 (d, 9.2 Hz), 138.3-138.4 (d, 6.6 Hz), 158.7, 159.5-161.9 (d, 244.7 Hz), 161.0, 163.8, 165.1, 167.2, 202.7。
3a−(4−メトキシフェニル)−1,8b−ジヒドロキシ−6,8−ジメトキシ−1−オキソ−3−(3−フルオロフェニル)−2,3−3a,8b−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−2−カルボン酸メチル(FL16、図4の6)。
氷酢酸(110μL、2.0mmol)を、CHCN(20mL)中のMeNBH(OAc)(310mg、1.18mmol)の溶液に加えた。5分間室温で撹拌した後、CHCN(5mL)中の、図4のケトン5e(100mg、0.20mmol)の溶液を滴下した。得られた混合物を3時間室温で撹拌し、続いて飽和NHCl水溶液(20mL)及び酒石酸ナトリウム/カリウムの3M 水溶液(10mL)でクエンチし、30分間撹拌した。水溶液をCHCl(2x20mL)で抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl/EtO 95:5)により精製し、ジオール6(FL)(85mg、85%)を白色の固体として得た。NMRデータ:下記を参照されたい。
3a−(4−メトキシフェニル)−8b−ヒドロキシ−6,8−ジメトキシ−3−(3−フルオロフェニル)−2,3−3a,8b−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−1−オン。
塩化リチウム(13mg、0.3mmol)及び水(11μL、0.6mmol)を、DMSO(2mL)中の、図4のケト−エステル5e(100mg、0.2mmol)の溶液に加えた。混合物を100℃で12時間撹拌し、室温に冷まし、水10mLで希釈し、AcOEt(3x10mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮して標記ケトン75mg(84%)を白色の固体として得て、これを更に精製しないで用いた。1H NMR (CDCl3): 2.95 (2H, m), 3.67 (3H, m), 3.78 (3H, s), 3.81 (4H, m), 6.07 (1H, d, J = 1.9 Hz), 6.31 (1H, d, J = 1.9 Hz), 6.65 (2H, d, J = 8.8 Hz), 6.75 (3H, m), 6.93 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.10 (1H, m)。13C NMR (CDCl3): 41.0, 48.4, 55.3, 55.7, 55.9, 88.9, 89.9, 92.9, 101.2, 106.5, 113.4, 113.7-113.9 (d, J = 26.9 Hz), 115.1-115.3 (d, J = 22.0 Hz), 123.6, 125.7, 128.2, 129.4-129.5 (d, J = 7.7 Hz), 140.1-140.2 (d, J = 7.3 Hz),158.6, 159.0, 161.2, 161.4-163.8 (d, J = 245.0 Hz), 164.9, 210.2。
3a−(4−メトキシフェニル)−6,8−ジメトキシ−3−(3−フルオロフェニル)−1,2,3,3a−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−1,8b(1H)−ジオール(FL15)。
氷酢酸(90μL、1.55mmol)を、CHCN(8mL)中のMeNBH(OAc)(245mg、0.93mmol)の溶液に加えた。5分間室温で撹拌した後、CHCN(2mL)中の前回の化合物(70mg、1.55mmol)の溶液を滴下した。得られた混合物を3時間室温で撹拌し、続けて飽和NHCl水溶液(15mL)及び酒石酸ナトリウム/カリウムの3M 水溶液(3mL)でクエンチし、30分間撹拌した。水溶液をAcOEt(2x30mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl/EtO 95:5)により精製して、ジオールFL15(35mg、50%)を白色の固体として得た。NMRデータ:下記を参照されたい。
FL19、FL20及びFL21の合成
3a−(4−ブロモフェニル)−6,8−ジメトキシ−3−フェニル−1,2,3,3a−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−1,8b(1H)−ジオール 1−ホルマート(FL19、図5の8a)。
無水CHCl(1mL)中のFL3(50mg、0.10mmol)の溶液に、DCC(24mg、0.11mmol)及びDMAP(1mg、0.01mmol)を続けて加えた。5分間撹拌した後、ギ酸(4μL、0.11mmol)を0℃でゆっくりと加えた。溶液を36時間室温で撹拌した。次に、反応物をペンタンで希釈して濾過した。固体をペンタン(2x5mL)で洗浄し、濾液を減圧下で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl)により精製して、図5のギ酸エステル8a(FL19)15mgを得た。NMRデータ:下記を参照されたい。
3a−(4−ブロモフェニル)−6,8−ジメトキシ−3−フェニル−1,2,3,3a−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−1,8b(1H)−ジオール 1−アセタート(FL20、図5の8b)。
無水ピリジン(1mL)中のFL3(50mg、0.10mmol)の溶液に、DMAP(3mg、0.03mmol)及び無水酢酸(67μL、0.50mmol)を加えた。溶液を完全に溶解するまで超音波処理し、室温で6時間撹拌した。混合物を次に減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(CHCl)により精製して、図5のエステル8b(FL20)42mg(84%)を得た。NMRデータ:下記を参照されたい。
3a−(4−ブロモフェニル)−6,8−ジメトキシ−3−フェニル−1,2,3,3a−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−1,8b(1H)−ジオール 1−プロピオナート(FL21、図5の8c)。
無水ピリジン(1mL)中のFL3(50mg、0.10mmol)の溶液に、DMAP(3mg、0.03mmol)及び無水プロピオン酸(67μL、0.50mmol)を加えた。溶液を完全に溶解するまで超音波処理し、室温で6時間撹拌した。混合物を次に減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(CHCl)により精製して、図5のエステル8c(FL21)49mg(98%)を得た。NMRデータ:下記を参照されたい。
FL22及びFL23(図5の12a及び12b)の合成
3a−(4−ブロモフェニル)−6,8−ジメトキシ−8b−ヒドロキシ−3−フェニル−2,3−3a,8b−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−1−オンオキシム(図5の10)。
ピリジン−EtOH(1:1)10mL中の、図5のケトン9(375mg、0.78mmol)及び塩化ヒドロキシルアンモニウム(270mg、3.89mmol)の溶液を、70℃で4時間撹拌した。減圧下で濃縮した後、残留物を酢酸エチルに溶解した。有機相を続けて1N HCl、飽和NaCO溶液及びブラインで洗浄し、次に硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲル60(エーテル)上で精製して、図5のケトン10 330mgを、白色の固体として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6): 11.15 (s, 1H), 7.34 (d, J=8.5Hz, 2H), 7.12-7.06 (m, 3H), 6.99-6.97 (m, 4H), 6.39 (d, J=2Hz, 1H), 6.18 (d, J=2Hz, 1H), 5.35 (s, 1H), 3.80 (s, 3H), 3.75 (s, 3H), 3.54 (dd, J=12.4Hz 及び J=9.8Hz, 1H), 3.07-2.90 (m, 2H)。13C NMR (100MHz, DMSO-d6): 163.2, 159.5, 158.4 (X2), 137.9, 134.8, 130.0, 128.8, 127.7, 127.6, 126.5, 120.0, 109.2, 101.3, 92.7, 89.6, 86.8, 55.5, 55.4, 48.8, 29.0。LC−MS(ESI):精密質量(C2522BrNO)=495.07;実測値:496.0[M+H]。
3a−(4−ブロモフェニル)−6,8−ジメトキシ−8b−ヒドロキシ−3−フェニル−1,2,3,3a−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−1,8b(1H)−ホルムアミド(FL22及びFL23、12a及び12b)
THF(3mL)中の、図5のオキシム10(280mg、0.564mmol)の溶液を、THF(5mL)中のLiAlH(65mg、1.69mmol)の溶液に加えた。混合物を3時間45℃で撹拌し、0℃に冷却し、EtOAc(10mL)で希釈し、1M NaOH(10mL)の滴下によってクエンチし、10分間撹拌し、EtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濃縮乾燥した。シリカゲル60(EtO/MeOH 95:5〜0:100)上のクロマトグラフィーによる精製で、所望の第一級100mgを白色の固体として得た。酢酸1滴を、ギ酸エチル(1.1mL)及びTHF(2mL)中の、このアミン(40mg、0.083mmol)の溶液に加えた。混合物を2時間撹拌し、一晩還流して、濃縮し、クロマトグラフィー(EtO)により精製して、ホルムアミド、図5の12a(FL22、10mg)及び12b(FL23、23mg)を得た。これらの化合物は、さらにHPLC(Symetry shield RP18、7μm、19×300mm、流速10mL/min、水(0.1% TFA)からCHCN(0.1% TFA)への50分間の勾配を用いる)で精製し、純粋なホルムアミド、図5の12a(Rt=25.5分)及び図5の12b(Rt=28分)のサンプルを得た。
FL22及びFL23(図6の12a及び12b)の代替的合成及びFL24及びFL25(図6の12c及び12d)の合成
3a−(4−ブロモフェニル)−6,8−ジメトキシ−8b−ヒドロキシ−3−フェニル−2,3−3a,8b−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−1−(O−メチルオキシム)(図6の10)。
ピリジン/EtOH(1:1)40mL中の、図6のケトン9(500mg、1.04mmol)及びO−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩(430mg、5.2mmol)の溶液を、3時間70℃で撹拌した。減圧下で濃縮した後、残留物をEtOAcに溶解した。有機相を続いて1N HCl、NaCO水溶液及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、図6のオキシム10 538mgを僅かに黄色の固体として定量的に得た。
3a−(4−ブロモフェニル)−6,8−ジメトキシ−8b−ヒドロキシ−3−フェニル−1,2,3,3a−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−1,8b(1H)−ホルムアミド(FL22及びFL23、図6の12a及び12b)
図6のオキシム10(538mg、1.04mmol)を、THF中のBHの溶液(1M、20mL)に0℃で溶解した。混合物を還流下で4時間撹拌し、室温で一晩撹拌した。反応物を3M NaOH(30mL)の滴下によってクエンチした。水相をCHClで2回抽出し、有機相を続けて水及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮乾燥した。シリカゲル(EtO/MeOH 70:30)上のクロマトグラフィーにより精製して、アミン、図6の11a及び11bの混合物221mgを、白色の固体として得た(44%)。酢酸1滴を、ギ酸エチル(0.35mL、4.31mmol)及びTHF(6mL)中の、このアミン、図6の11a及び11bの混合物(130mg、0.269mmol)の溶液に加えた。混合物を一晩還流、撹拌し、濃縮し、シリカゲル(EtO/EtOAc、60:40)上のクロマトグラフィーにより数回精製して、ホルムアミド、図6の12a(FL22、11mg)及び図6の12b(FL23、60mg)を得た。
3a−(4−ブロモフェニル)−6,8−ジメトキシ−8b−ヒドロキシ−3−フェニル−1,2,3,3a−テトラヒドロ−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−1,8b(1H)−メタンスルホンアミド(FL24及びFL25、12c及び12d)
N−メチルモルホリン(114μL、10.4mmol)を、CHCl(2mL)中のアミン、図6の11a及び11b(100mg)の溶液に0℃で加えた。0℃で10分間の後、塩化メシル(64μL、0.82mmol)を滴下し、溶液を次に4時間室温で撹拌した。混合物を1N HCl 5mLでクエンチし、EtOAc(2x10mL)で抽出した。有機層をNaCOの溶液(10mL)、ブライン(10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(CHCl/EtO、95:5)で精製し、図6の12c(FL24、5mg、4%)及び図6の12d(FL25、70mg、60%)を得た。




実施例4:ロカグラオール及びその誘導体の、ヒト癌細胞の生存能力及びドキソルビシンの心毒性への効果
ラセミのロカグラオール及びその誘導体の合成
ラセミのロカグラオール(FL1)及びその誘導体(FL2−4)は、Dobler及び共同研究者(Dobler et al., 2001)(図2及び3)により開発された手法により合成した。FL3及びFL5の合成は、実施例1及び2に詳述している。FL6〜FL23の合成は、実施例3に詳述している。ロカグラオール誘導体FL5〜11は、Porco及び共同研究者の方略(Gerard et al., 2004)(図3)に従って合成した。ロカグラオール誘導体FL5〜FL10及びFL12〜FL18は、図4の方略に従って合成した。ロカグラオール誘導体FL19〜FL25は、図5及び6の方略に従って合成した。
物質
KRIBB3及びドキソルビシンは、Sigma-Aldrich(Sigma-Aldrich, Saint-Quentin Fallavier, France)から購入した。ウサギ多クローン性抗ホスホ−HSP27(ser82)抗体、ウサギ多クローン性抗−HSP27抗体及びセイヨウワサビペルオキシダーゼ共役二次ヤギ抗ウサギIgGは、Santa Cruz(Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA, USA)から購入した。酵素−結合化学発光は、Amersham(Amersham Biosciences, Indianapolis, IN, USA)から購入した。他の全ての化学物質は、Becton Dickinson(Becton Dickinson Biosciences, Le Pont De Claix, France)から購入した。
細胞株
ヒト細胞株KB(類表皮癌)及びHepG2(肝癌)は、ECACC(Salisbury, UK)から得て、10%ウシ胎仔血清を添加したD−MEM培地中で、ペニシリン、ストレプトマイシン及びファンギゾン存在下で、5%CO2下の75cmフラスコ中で培養した。
ヒト細胞株HCT116(大腸腺癌)、PC3(前立腺癌)及びHCT15(大腸腺癌)は、ECACC(Wiltshire, UK)から得た。
ヒト細胞株HL60(前骨髄球性白血病)、MDA435(乳管癌腫;ATCC reference HBT129)及びMDA231(乳腺癌;ATCC reference HBT26)は、ATCCより得た。MCF7(乳腺癌)は、University of Bonn in GermanyのDr Kassackより得た。SK−OV3細胞(又はOV3、ATCC reference HTB77)は、NCI(Frederick, MD)より善意で提供された。
細胞株HCT116、HCT15、MCF7、MDA435、MDA231、PC3、OV3、HL60R及びHL60は、RPMI培地、特に10%ウシ胎仔血清を添加して、ペニシリン、ストレプトマイシン及びファンギゾン存在下で、5%CO2下、75cmフラスコ中で培養した。抵抗性HL60細胞は、ドキソルビシン(50μg/L培地)を用いた長期処理によって得た。
抵抗性MCF7(MCF7R)細胞は、ドキソルビシンを用いた長期処理によって得た。
H9c2細胞(ラット心臓筋芽細胞)は、ATCCより得て、10%ウシ胎仔血清を添加した、D−MEM培地中で37℃、5%CO下で培養した。培地は、2〜3日ごとに取り替えた。
細胞増殖の阻害の測定方法:MTSアッセイ
細胞は200μl培地の96−ウェル組織培養プレートに置き、24時間の間培養して、Biomek 2000又は3000(Beckman)を用いてDMSOに溶解した化合物(0.5nM〜10μMの範囲の化合物濃度)で処理した。対照は同じ体積のDMSO(最終体積の1%)を入れた。72時間の曝露後、MTS試薬(Promega)を加え、37℃で3時間インキュベートした。次に吸収を490nmにおいて観測し、結果は、細胞増殖の阻害の割合に対応する値[1−(OD490処理/OD490対照)×100]で表現した。IC50の決定(細胞増殖の50%阻害)について、実験は分離して二重に実施した。
心毒性の測定方法
H9c2細胞は、0.7×10細胞/cm2で100mmペトリ皿中に24時間置いた。次に、細胞を洗浄し、1%ウシ胎仔血清のみを補充した、グルコースが含まれていない培地(Gibco、DMEM w− L−グルタミン、w/o D−グルコース、ピルビン酸ナトリウム)中で12時間培養した。細胞を次にフラバグリン誘導体又はそのビヒクルで12時間処理し、次にドキソルビシンでさらに14時間処理した。Kribb3(1μM)を1時間プレインキュベートし、心筋細胞中でフラバグリン及びドキソルビシンで処理した。細胞を洗浄し、続いてFACS解析を実施した。
アポトーシスは、蛍光活性化細胞分類解析(FACS-Calibur, Becton-Dickinson Biosciences)により解析した。0.5×10個の細胞を収穫し、アネキシン結合緩衝液(0.01M HEPES、0.14M NaCl、2.5mM CaCl)で洗浄し、アネキシンV(1:50希釈)及びヨウ化プロピジウム(6.7μg/ml)で標識した。全てのアッセイは少なくとも三重に実施し、結果はBD Cell Quest Proソフトウェア(Becton-Dickinson Biosciences, Le Pont De Claix, France)によって解析した。
ウエスタンブロッティング − H9C2細胞を、1.5×10cells/cm2で60mmペトリ皿に24時間置いた。次に、細胞を洗浄し、1%ウシ胎仔血清のみを補充した、グルコースが含まれていない培地(Gibco、DMEM w− L−グルタミン、w/o D−グルコース、ピルビン酸ナトリウム)中で12時間培養した。細胞を次にFL3又はビヒクルを用いて1時間又は4時間インキュベートし、適切な処理の後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄した。細胞を溶解緩衝液(50mM トリス−Hcl、1mM EDTA、100mM NaCl、0.1% SDS、1% NP−40、1mM NaVO、1μg/mL アプロチニン、1μg/mL ペプスタチン、1μg/mL ロイペプチン、pH=7)を用いて収穫した。全細胞溶解物は、12000×gで15分間、4℃で遠心分離した。上澄み(20μg)は、ローディングバッファーと混合し、100℃で3分間変性させ、変性条件下、12% SDS−PAGEで電気泳動し、ポリビニリデンジフルオリド膜に移した。ブロットは次にTweenを加えたPBS(0.5%Tween 20)(PBS−T)中、5%無脂肪乳粉末を含む遮断溶液を用いて室温で1時間インキュベートした。10分間隔でPBS−Tを用いて3回洗浄した後、ブロットを一晩、4℃で、0.5%無脂肪乳粉末を含むPBS−Tで希釈した各々の一次抗体(ウサギ多クローン性抗ホスホ−HSP27(1:500);ウサギ多クローン性抗−HSP27(1:500))と一緒に、穏に揺らしながらインキュベートした。PBS−Tで3回洗浄した後、膜を1時間、室温で、0.5%無脂肪乳粉末を含むPBS−T中のセイヨウワサビペルオキシダーゼ共役二次ヤギ抗ウサギIgG(1:1,000希釈)と一緒に、穏に揺らしながらインキュベートした。予測されたバンドは、インキュベーションの後に5分間の酵素結合化学発光で視覚化し、対応するタンパク質の総量へ正規化する走査レーザー濃度測定によって定量化した。
ヒト癌細胞の生存能力に対するロカグラオール(FL1)及びその誘導体(FL2、FL3及びFL4)の効果
ロカグラオール及びその誘導体の効果は、ヒト癌細胞株についてMTSアッセイにより72時間の処理の後で決定した。表1に示すように、FL1(ラセミのロカグラオール)はヒト癌細胞株のパネル上で、細胞増殖及び生存能力を、抗癌剤ドキソルビシンより効果的に減少させた。効果は低ナノモル範囲で観察された。環A上に存在するメトキシ基の除去は、有効性を1000倍以上も減少させた(化合物FL2)。反対に、環A上のメトキシ基を臭素原子に置換すると、これら全ての癌細胞株への細胞毒性が向上した(化合物FL3)。活性のランク(H<<MeO<Br)は、環Aのパラ位にある疎水性置換基についての好ましさを示唆している。それに対して、環Bのパラ位にメトキシを導入することは、細胞毒性に不利である(FL4)。
FL3化合物に加えて、新しく合成したフラバグリン、FL5〜16及びFL18のインビトロの細胞毒性も、鼻咽頭(KB)、好中球(HL60及びHL60R)、大腸(HCT116)、胸部(MDA435及びMDA231)、卵巣(OV3)及び前立腺(PC3)−誘導腫瘍からの様々なヒト癌細胞株で、MTSアッセイにより評価した。結果は比較のために示したタキソテール、ドキソルビシン及びビンブラスチンの値とともに表2にまとめている。
本発明者らは、FL3はHL60及びMCF7細胞株へのその細胞毒性を、これらがドキソルビシンに対して抵抗性になったときでさえ保ったことを観察した。
本発明者らは、それらの構造−活性の関係の研究を、エステル又はアミド部位をFL3の2−位に導入することで開始した。メチルエステルFL10は、化合物FL3がするより僅かな細胞毒性の減少を示した。反対に、第三級アミドの導入(FL12)は、細胞毒性を有意に強化した。この効果は、第二級アミドFL13及び第一級アミドFL14で、大抵の細胞株においてより表された。しかしながら、FL13及びFL14の両方は、多剤耐性(MDR1)遺伝子によりエンコードされた原形質膜タンパク質であるP−糖タンパク質(P−gp)の過剰発現による、化学療法に対して耐性を有するHL60R細胞において、参照化合物FL3より低活性であった。
次に、本発明者らは癌細胞への細胞毒性についての8−メトキシ基の必要性を検討した。8−デメトキシ化合物、FL6、FL5、FL8及びFL9は、同族の化合物、FL3、FL10、FL12及びFL13より有意に低活性であり(ED50、4〜20倍高い)、細胞毒性に対しての8−位にあるメトキシ基の必要性は好ましいが絶対ではないことを示している。この8−デメトキシ系列では、C−2でのアミドの導入は、また、HL60Rへの細胞毒性を減少させた。
FL10の4’位にある臭素のメトキシ(FL7)による置換は、以前にFL3及びロカグラオールで観察されたとおり、細胞毒性活性には不利である。
ロカグラオール(FL1)及びロカグラオール誘導体(FL2、FL3及びFL4)はドキソルビシンの心毒性へいかなる有害な効果も有さない
FL1又はFL3のドキソルビシンとの組み合わせの細胞毒性効果を試験するために、本発明者らは、臨床的に用いられる抗癌剤に対して低い感度を示す、肝細胞癌のHepG2細胞を選択した。
FL1、FL3又はドキソルビシン単独による、及びFL1又はFL3を併用したドキソルビシンによるHepG2細胞増殖の阻害は、図7に示している。これらの結果は、ロカグラオール又はロカグラオール誘導体が、ドキソルビシンの細胞毒性へのいかなる有害な効果も有さず、反対に、これらが癌細胞に対しての活性を強めたことを示した。
ドキソルビシンの心毒性へのロカグラオール及びその誘導体の効果
アポトーシスは、H9c2心筋細胞中でドキソルビシンによって誘導され、アネキシン及びPIで細胞を標識した後FACS解析によって検出した。これらのラット心臓から誘導された心筋新生細胞は、インビトロでのドキソルビシンの心毒性の確立されたモデルを表している。1μMドキソルビシンを用いての、14時間の細胞のインキュベーションは、32%のアポトーシス(総アポトーシスを起こした細胞)を誘導した。異なる濃度のロカグラオール及びその誘導体を用いた、H9c2細胞のプレインキュベーションはドキソルビシンによって誘導されたアポトーシスの有意に減少させたことが観察された(図8及び9)。
最も活性な化合物、FL3は、濃度の最大が1nMに到達する濃度依存様式においてドキソルビシン−誘導アポトーシスを阻害した(図8B)。この濃度で、FL3は、1μMドキソルビシンにより誘導されるアポトーシスを70%減少させた(図10A)。図13は、ロカグラオール誘導体の10又は100nMの異なる濃度での、H9c2細胞中ドキソルビシンによって誘導されるアポトーシスにおける、FL1〜10及びFL12〜18の心臓保護効果を示す。
カスパーゼ3(Chemicon International, ref AB3623)の活性形態に対して特異的な抗体を用いたウエスタンブロット解析は、FL3がドキソルビシン−媒介カスパーゼ−3活性を減少させたことを明らかにした。実際に、1μM ドキソルビシンに加えて1nM FL3で14時間インキュベートしたH9c2心筋細胞はカスパーゼ3中のプロカスパーゼ3の開裂を活性化することに失敗した(図10B)。FL3は、AIF及びカスパーゼ−12経路の活性化を介して、癌細胞の死を誘導しうる(Thuaud et al, 2009, J. Med. Chem, 52, 5176-5187)。従って、カスパーゼ−3、−7、−8及び−9とは独立にアントラサイクリンと相乗的に作用するため、抗腫瘍剤として重要な有用性を示し、これらのカスパーゼの活性化では効果がない細胞内でその活性を保つであろうことを示唆している。薬剤耐性及び副作用が癌化学療法の有効性を制限する2つの主要な障害であることを考慮すると、本発明のロカグラオール誘導体は、癌の処置に対する相当な可能性を保持している。
FL3は血清飢餓に対して心筋細胞を保護する
フラバグリンの心臓保護の範囲をさらに調査するために、本発明者らは、FL3がH9c2心筋細胞を血清飢餓(1%血清)に起因するストレスから保護することができるかを研究した。FL3(20nM)は、72時間の血清飢餓処置により誘導されるアポトーシスを強く減少した(図11)。
FL3はマウスにおけるドキソルビシン心毒性を軽減する
本発明者らは、FL3がいくつかの心臓保護を示すかをインビボで調査した。FL3の投与(0.1mg/kg 腹腔内、2x/day 4日間)は、ドキソルビシン(20mg/kg 腹腔内)により誘導される心毒性からマウスを保護した:FL3を投与されたマウスに対して70%の生存率を観察した。ビヒクルを投与されたマウスの生存率は、僅か30%であった(表3を参照されたい)。このデータは、また、FL3が確かな生物学的利用能を示すことを意味している。
FL3心臓保護はHSP27リン酸化を通して媒介される
小熱ショックタンパク質HSP27(又はそのマウス同族体HSP25)のリン酸化は、ドキソルビシン心毒性を含む多数のストレスからの心筋細胞を保護する、イベントのカスケードを誘導する。このタンパク質がFL3心臓保護に関与するかを研究するために、本発明者らは、この効果が、HSP25/27リン酸化を阻害する合成分子KRIBB3によって遮断されるかを試験した。興味深いことに、H9c2心筋細胞のKRIBB3(1μM)による1時間の処理は、FL3(100nM)を用いた共処理(co-treatment)によって有意に軽減された細胞毒性を誘導し、FL3の効果がKRIBB3の効果と反対であることを示した。予想通り、KRIBB3はドキソルビシンの細胞毒性を悪化させたが、しかし再び、この効果はFL3によって逆転された:ドキソルビシン、KRIBB3及びFL3で処理した細胞は全て一緒にドキソルビシン単独で処理した細胞と同じレベルのアポトーシスを示した。これらの結果は、本発明者らに、FL3がHSP27リン酸化を誘導するか研究することを促した(図12B)。ウエスタンブロット解析は、実際に、1時間の処理後高いレベルのリン酸化を示し、これは4時間後有意に減少した。
結論
これらの実験は、本発明に従うロカグラオール及びその誘導体が、心筋細胞のアポトーシス、特にドキソルビシンによって誘導されるアポトーシスを阻害又は制限することを示した。
実際に、本発明者らは、ロカグラオール及びその誘導体が、H9c2心筋細胞をドキソルビシン及び血清飢餓により誘導されるアポトーシスから保護することを示した。興味深いことに、これらの2つのストレスは、性質が異なっている:ドキソルビシンは酸化的ストレスを誘導し、一方で血清飢餓は細胞の生存に必須である成長因子シグナリングを妨害する。
ドキソルビシン、エピルビシン及びダウノルビシンのようなアントラサイクリンは、用量依存性であり、蓄積し、且つ不可逆であるそれらの急性及び慢性の心毒性にもかかわらず、化学療法において最もよく用いられる抗癌剤である。最終的には、これらの心筋機能障害はうっ血性心不全につながりうる。幸いなことに、抗癌効果及び心毒性は、同じ機構によって仲介されていない。前者はトポアイソメラーゼIIの阻害に起因する一方、後者はNADPHによるアントラサイクリンの可逆的還元及び酸素による再酸化を含む酸化還元サイクルによって生成する反応性酸素種(ROS)により引き起こされる。鉄のキレート化剤であるデキソラゾクサンは、アントラサイクリン化学療法を受けている癌患者において、証明された有効性を有する唯一の心臓保護剤である。しかしながら、この有用性は限定されており、生存上の効果は確立することに失敗していた。
興味深いことに、心臓保護に対する活性の相対的順序(FL2〜FL4<<FL1<FL3)は、癌細胞に対する細胞毒性についてのそれと類似しており、これらの化合物は恐らく同じ標的分子を通して作用していることが示唆される。驚くべきことに、50nMのFL3は、20倍多いドキソルビシンの濃度により誘導されるアポトーシスを61%軽減した。この効果は、同時に起こるドキソルビシンによるカスパーゼ−3の誘導の抑制に付随して起こる。同じ傾向が、他のロカグラオール誘導体についても観察された。実際に、FL5、FL8〜10及びFL12〜18は、細胞毒性及び心臓保護の活性を示し、FL6、FL7及びFL11は、そのような活性は弱いか又は見られなかった(図13)。
本発明者らは、この心臓保護がHSP27リン酸化反応によって媒介されることを示した。アントラサイクリンの心毒性を軽減する心臓保護剤についてのここ30年間の研究は、あったとしても、臨床上の有効性が限定された薬剤を導いてきた。アントラサイクリンは最も広範に用いられている抗癌剤であることを考慮すると、新しいクラスの心臓保護剤の発見は、臨床上傑出して重要である。ロカグラオール誘導体とアントラサイクリンの会合の利益は三重でありうる:フラバグリンはアントラサイクリンの殺腫瘍剤効果を強化することができ、化学耐性の発展を遅らせ、そしてアントラサイクリンの主要な副作用、心毒性を軽減する。これら全ての属性を有する薬剤は、現在の処置を大きく発展させるであろう。

Claims (34)

  1. 抗腫瘍剤、好ましくはアントラサイクリン、より好ましくはドキソルビシンの心毒性を予防するか又は制限するための使用のための、式(II):

    [式中、
    11は、場合により置換されているアルコキシであり;
    12は、水素であるか;
    又はR11及びR12は、一緒になって−O−CH−O−単位を形成し;
    13は、水素及び(C−C)−アルコキシより選択され;
    14は、ヒドロキシル、オキソ基、−OCOR20(ここで、R20は、水素及び(C−C)−アルキルより選択される)、=N−OR26(R26は、H又はメチルである)、−NH−(CH−R27(ここで、mは、0又は1であり、R27は、H、−OH、−SOMeより選択される)、−COR28(R28は、H又は(C−C)−アルキルである)より選択され;
    15は、水素、−COOR21、−CONR2223及び−CONH(CHOH(ここで、nは、2、3又は4であり、ここで、
    21及びR23は、水素及び(C−C)−アルキルより独立して選択され、R22は、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキル及び水素からなる群より選択されるか、又は
    22及びR23は、一緒になって、場合により基NHCO−(C−C)−アルキルにより置換されている5原子ヘテロ環を形成する)より選択されるか;
    又はR14、R15ならびにR14及びR15を有する炭素(α)及び(β)は、一緒になって、下記:

    (式中、R24及びR25は、(C−C)−アルキル及び水素からなる群より、好ましくは水素及びメチルより独立して選択される)を形成し;
    16は、水素、(C−C)−アルコキシ及びハロゲンより選択され;
    17は、R16のオルト位にあり、水素、(C−C)−アルコキシ及びヒドロキシルより選択されるか、又はR17と一緒になって−O−CH−O−単位を形成し;
    18及びR19は、水素及びハロゲンからなる群より、好ましくはH、F、Br及びCl、より好ましくはH又はFより独立して選択される]で示されるロカグラオール誘導体、又はその任意の薬学的に許容される塩。
  2. 式(II)のロカグラオール誘導体が、以下の特徴:
    a)R12が、Hであり、R11が、メトキシ及びエトキシより選択され、より好ましくは、R11が、メトキシである;
    b)R13が、水素、メトキシ及びエトキシより選択され、より好ましくは、R13が、水素又はメトキシである;
    c)R14が、ヒドロキシル、−OCOR20(R20は、水素、メチル及びエチルより選択される)、−NH−(CH−R27(ここで、mは、0であり、R27は、−SOMe又は−COR28(R28は、H又は(C−C)−アルキル、好ましくはH又はメチルである)である)より選択される;
    d)R15が、水素、−COOR21及び−CONR2223(ここで、R21及びR23は、水素及びメチルより独立して選択され、R22は、水素、メチル及びメトキシからなる群より選択される)より選択され;より好ましくは、R15は、水素、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択される;
    e)R16が、水素、(C−C)−アルコキシ及びハロゲンより、より好ましくは水素、塩素、臭素、フッ素及びメトキシより、さらに好ましくは臭素及びメトキシより選択される;
    f)R17が、水素である;
    g)R18が、パラ位にあり、H又はフッ素であり、R19が、水素である;
    の一つ又はいくつかを有する、請求項1記載のロカグラオール誘導体。
  3. ロカグラオール誘導体が、式(IIa)又は(IIb):

    [式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19の定義は、請求項1又は2と同様である]を呈する、請求項1又は2記載のロカグラオール誘導体。
  4. ロカグラオール誘導体が、式(IIa)を有し、R14が、ヒドロキシル、−OCOR20(R20は、水素及び水素、メチル及びエチルより選択される)及び=N−OR26(R26は、H又はメチルである)より選択される、請求項1〜3のいずれか一項記載のロカグラオール誘導体。
  5. 11が、アルコキシ、特にメトキシ又はエトキシ、より好ましくはメトキシであり;R12が、水素であり;R13が、水素、メトキシ及びエトキシより選択され、より好ましくは、R13が、水素又はメトキシであり;R15が、水素、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択され;R16が、水素、塩素、臭素、フッ素及びメトキシから、より好ましくは臭素及びメトキシなる群より選択され;R18が、パラ位にあり、H又はフッ素であり;そして、R17及びR19が、水素である、請求項4記載のロカグラオール誘導体。
  6. ロカグラオール誘導体が、式(IIb)を有し、R14が、−NH−(CH−R27(ここで、mは、0であり、R27は、−SOMe又は−COR28(R28は、H又は(C−C)−アルキル、好ましくはH又はメチルである)である)である、請求項1〜3のいずれか一項記載のロカグラオール誘導体。
  7. 11が、アルコキシ、特にメトキシ又はエトキシ、より好ましくはメトキシであり;R12が、水素であり;R13が、水素、メトキシ及びエトキシより選択され、より好ましくは、R13が、水素又はメトキシであり、さらに好ましくは、R13が、メトキシであり;R15が、水素、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択され、より好ましくは、水素であり;R16が、水素、塩素、臭素、フッ素及びメトキシからなる群より選択され、より好ましくは、塩素、臭素又はフッ素であり、さらに好ましくは臭素であり;そして、R17、R18及びR19が、水素である、請求項6記載のロカグラオール誘導体。
  8. ロカグラオール誘導体が、FL1、FL3、FL5、FL6、FL7、FL8、FL9、FL10、FL12、FL13、FL14、FL15、FL16、FL17、FL18、FL19、FL20、FL21、FL22、FL23、FL24及びFL25からなる群より、より好ましくはFL1、FL3、FL5、FL8、FL9、FL10、FL12、FL13、FL14、FL15、FL16、FL17、FL18、FL19、FL20、FL21、FL22、FL23及びFL25からなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか一項記載のロカグラオール誘導体。
  9. 式(I):

    [式中、
    は、−CONHであり;
    そして、式中、
    は、場合により置換されているアルコキシであり、好ましくは、メトキシ及び基−O−(CH−R10(ここで、nは、1、2、3又は4であり、R10は、ヒドロキシル、−NMe、−OCONMe、−OCONH及びモルホリンからなる群より選択される)からなる群より選択され;
    は、水素及び(C−C)−アルコキシからなる群より、好ましくは水素及びメトキシより選択され;そして、
    は、ハロゲン、好ましくは、臭素、クロリド、ヨーダイド、より好ましくは、臭素であるか、
    あるいは、
    は、場合により置換されているアルコキシであり、好ましくは、メトキシ及び基−O−(CH−R10(ここで、nは、1、2、3又は4であり、R10は、ヒドロキシル、−NMe、−OCONMe、−OCONH及びモルホリンからなる群より選択される)からなる群より選択され;
    は、水素であり;そして、
    は、水素及びアルコキシからなる群より選択されるか、
    あるいは、
    は、置換アルコキシ、好ましくは基−O−(CH−R10(ここで、nは、1、2、3又は4であり、R10は、ヒドロキシル、−NMe、−OCONMe、−OCONH及びモルホリンからなる群より選択される)であり;
    は、(C−C)−アルコキシ、好ましくはメトキシであり;そして
    は、水素及びアルコキシからなる群より選択されるか、
    あるいは、式中、
    は、−COOR(ここで、Rは、(C−C)−アルキル、好ましくはメチルである)であり;
    は、場合により置換されているアルコキシであり、好ましくは、メトキシ及び基−O−(CH−R10(ここで、nは、1、2、3又は4であり、R10は、ヒドロキシル、−NMe、−OCONMe、−OCONH及びモルホリンからなる群より選択される)からなる群より選択され;
    は、水素であり;そして
    は、水素、メトキシ及びハロゲンからなる群より選択されるか;
    あるいは、式中、
    は、メトキシであり、Rは、臭素であり、
    そして式中、
    は、(C−C)−アルコキシ、好ましくはメトキシであり、そして、
    は、水素であるか、
    あるいは、
    は、水素であり、そして、
    は、水素、−COOR及び−CONR(ここで、Rは、(C−C)−アルキル、好ましくはメチルであり、R及びRは、水素及び(C−C)−アルキルからなる群より、好ましくは水素及びメチルより独立して選択される)からなる群より選択される]で示されるロカグラオール誘導体、又はその任意の薬学的に許容される塩。
  10. が、メトキシであり;
    が、水素であり;
    が、−COOR及び−CONH(ここで、Rは、メチルである)からなる群より選択され;そして
    が、ハロゲン又はメトキシ、好ましくは臭素又はメトキシである、請求項9記載のロカグラオール誘導体。
  11. が、メトキシであり;
    が、メトキシ又は水素からなる群より選択され;
    が、−CONHであり;そして
    が、ハロゲン、好ましくは臭素である、請求項9記載のロカグラオール誘導体。
  12. 及びRが、メトキシであり、Rが、水素であり、Rが、臭素である、請求項9記載のロカグラオール誘導体。
  13. が、メトキシであり;Rが、水素であり;Rが、水素、−COO(CH)及び−CON(CHからなる群より選択され;Rが、臭素である、請求項9記載のロカグラオール誘導体。
  14. が、COOMeであり、Rが、メトキシであり、Rが、水素であり、Rが、水素、メトキシ及び臭素からなる群より選択され、好ましくはメトキシ又は臭素である、請求項9記載のロカグラオール誘導体。
  15. が、メトキシであり、Rが、臭素であり、ここで、Rが、メトキシであり、Rが、水素であるか、又はRが、水素であり、Rが、水素、−COO(CH)、−CONH、−CONH(CH)及び−CON(CHからなる群より選択されるかのいずれかである、請求項9記載のロカグラオール誘導体。
  16. ロカグラオール誘導体が、FL3、FL5、FL6、FL7、FL8、FL9及びFL14からなる群より選択される、請求項9記載のロカグラオール誘導体。
  17. 式(II):

    [式中、
    11は、場合により置換されているアルコキシであり;
    12は、水素であるか;
    又はR11及びR12は、一緒になって−O−CH−O−単位を形成し;
    13は、水素及び(C−C)−アルコキシより選択され;
    14は、−NH−R27(ここで、R27は、−SOMe、−COR28(R28は、H又は(C−C)−アルキルである)より選択される)であり;
    15は、水素、−COOR21、−CONR2223及び−CONH(CHOH(ここで、nは、2、3又は4であり、ここで
    21及びR23は、水素及び(C−C)−アルキルより独立して選択され、R22は、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキル及び水素からなる群より選択されるか、又は
    22及びR23は、一緒になって、場合により基NHCO−(C−C)−アルキルで置換されている、5原子ヘテロ環を形成する)より選択され;
    16は、水素、(C−C)−アルコキシ及びハロゲンより選択され;
    17は、R16のオルト位にあり、水素、(C−C)−アルコキシ及びヒドロキシルより選択されるか、又はR17と一緒になって−O−CH−O−単位を形成し;
    18及びR19は、水素及びハロゲンからなる群より、好ましくはH、F、Br及びCl、より好ましくはH又はFより独立して選択される]で示されるロカグラオール誘導体、又はその任意の薬学的に許容される塩。
  18. 式(II)のロカグラオール誘導体が、以下の特徴:
    a)R11が、アルコキシであり、R12が、水素である;
    b)R13が、水素及びメトキシより選択される;
    c)R14が、−NH−R27(ここで、R27は、−SOMe、−COR28(R28は、H、メチル又はエチルである)より選択される)である;
    d)R15が、水素、−COOR21及び−CONR2223(ここで、R21及びR23は、水素及びメチルより独立して選択され、R22は、水素、メチル及びメトキシからなる群より選択される)より選択され;より好ましくは、R15は、水素、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択される;
    e)R16が、水素、(C−C)−アルコキシ及びハロゲンより、より好ましくは水素、塩素、臭素、フッ素及びメトキシより、さらに好ましくは臭素及びメトキシより選択される;
    f)R17が、水素である;
    g)R18が、パラ位にあり、H又はフッ素であり、R19が、水素である;
    の一つ又はいくつかを有する、請求項17記載のロカグラオール誘導体。
  19. ロカグラオール誘導体が、式(IIa)又は(IIb):

    [式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19の定義は、請求項15又は16と同様である]を呈する、請求項17又は18記載のロカグラオール誘導体。
  20. ロカグラオール誘導体が、式(IIb)を有し、R14が、−NH−R27(ここで、R27は、−SOMe又は−COR28(R28は、H又は(C−C)−アルキル、好ましくはH又はメチルである)である)である、請求項17〜19のいずれか一項記載のロカグラオール誘導体。
  21. 11が、アルコキシ、特にメトキシ又はエトキシ、より好ましくはメトキシであり;R12が、水素であり;R13が、水素、メトキシ及びエトキシより選択され、より好ましくは、R13が、水素又はメトキシであり、さらに好ましくは、R13が、メトキシであり;R15が、水素、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択され、より好ましくは、水素であり;R16が、水素、塩素、臭素、フッ素及びメトキシからなる群より選択され、より好ましくは、塩素、臭素又はフッ素であり、さらに好ましくは、臭素であり;そして、R17、R18及びR19が、水素である、請求項17〜20のいずれか一項記載のロカグラオール誘導体。
  22. ロカグラオール誘導体が、FL22、FL23、FL24及びFL25からなる群より選択され、好ましくはFL23又はFL25である、請求項17記載のロカグラオール誘導体。
  23. 式(IIa):

    [式中、
    12は、Hであり、R11は、メトキシ及びエトキシより選択され、より好ましくは、R11は、メトキシであり;
    13は、水素、メトキシ及びエトキシより選択され、より好ましくは、R13は、水素又はメトキシであり;
    14は、−OCOR20(R20は、水素、メチル及びエチルより選択される)であり;
    15は、水素、−COOR21及び−CONR2223(ここで、R21及びR23は、水素及びメチルより独立して選択され、R22は、水素、メチル及びメトキシからなる群より選択される)より選択され;より好ましくは、R15は、水素、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択され;さらに好ましくは、R15は、水素であり;
    R16は、塩素、臭素又はフッ素、好ましくは臭素であり;
    17は、水素であり;
    18は、パラ位にあり、H又はフッ素であり、R19は、水素である]で示されるロカグラオール誘導体、又はその任意の薬学的に許容される塩。
  24. 11及びR13が、メトキシであり、R12、R15、R18及びR19が、水素であり、R16が、臭素である、請求項23記載のロカグラオール誘導体。
  25. ロカグラオール誘導体が、FL19、FL20及びFL21からなる群より選択される、請求項23記載のロカグラオール誘導体。
  26. 式(IIa):

    [式中、
    12は、Hであり、R11は、メトキシ及びエトキシより選択され、より好ましくは、R11は、メトキシであり;
    13は、水素、メトキシ及びエトキシより選択され、より好ましくは、R13は、水素又はメトキシであり;
    14は、ヒドロキシルであり;
    18は、パラ位にあり、フッ素であり、R19は、水素であり、
    そして式中、
    15は、水素、−COOR21及び−CONR2223(ここで、R21及びR23は、水素及びメチルより独立して選択され、R22は、水素、メチル及びメトキシからなる群より選択される)より選択され;より好ましくは、R15は、水素、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択され;そして、
    16は、臭素であり、R17は、水素であるか;
    あるいは、
    15は、−COOR21及び−CONR2223(ここで、R21及びR23は、水素及びメチルより独立して選択され、R22は、水素、メチル及びメトキシからなる群より選択される)より選択され;より好ましくは、R15は、水素、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択され;そして、
    16は、メトキシであり、R17は、水素である]で示されるロカグラオール誘導体、又はその任意の薬学的に許容される塩。
  27. 11及びR13が、メトキシであり、R12が、水素であり、R16が、臭素であり、R15が、水素、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択される、請求項26記載のロカグラオール誘導体。
  28. 11及びR13が、メトキシであり、R12が、水素であり、R16が、メトキシであり、R15が、COOMe、CONH、CONHMe及びCONMeより選択される、請求項26記載のロカグラオール誘導体。
  29. ロカグラオール誘導体が、FL16、FL17又はFL18である、請求項28記載のロカグラオール誘導体。
  30. 医薬としての、請求項9〜29のいずれか一項記載のロカグラオール誘導体。
  31. 請求項9〜29のいずれか一項記載のロカグラオール誘導体ならびに薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤を含む、医薬組成物。
  32. 請求項9〜29のいずれか一項記載のロカグラオール誘導体及び抗腫瘍剤、好ましくはアントラサイクリンを含む、医薬組成物。
  33. 癌の処置における、同時、分離、又は逐次使用のための、複合製剤としての、請求項9〜29のいずれか一項記載のロカグラオール誘導体及び抗腫瘍剤、好ましくはアントラサイクリンを含む、生成物。
  34. ロカグラオール誘導体が、請求項9〜29のいずれか一項記載のロカグラオール誘導体である、請求項1記載のロカグラオール誘導体。
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