JP2012509716A - 引込み可能な針を具えるガラスシリンジ - Google Patents

Abstract

【解決手段】特に好ましくはプレフィルドシリンジとして使用するシリンジであって、引込み可能な針と容量可変の液体収容チャンバーを特徴とし、液体収容チャンバーは、さらにガラス又は弾性部材で作製されるが、プラスチックでは作製されていない表面によって画定され、該シリンジは、他のガラス部品と直接接触するガラス部品を有さない。
【選択図】図５

Description

＜発明の背景＞
本発明は、化学的に非反応性のガラス又はゴム状ポリマーを用いることが一般的に必要とされる組成物用に設計されたシリンジに関するものである。本発明はまた、プレフィルドシリンジ(prefilled syringe)としての使用に適しており、シリンジ内部にあるあらゆる流体を、保管中又は使用中に、流体収容部の中に浸出又は移動する汚染物による劣化から保護する引込み可能な針を有する１回使用のシリンジ（single-use syringe）に関するものである。本発明のシリンジは、好ましくは、ガラスの針ホルダー及びバレルを有するが、シリンジに入れられた流体に接触するプラスチック部材は有さず、互いに、直接接触するガラス部品もない。

＜関連技術の記載＞
この数十年の間に、プラスチックは、ガラスに取って代わり、世界中で使用されるシリンジのほとんどの作製材料として選択されている。熱可塑性樹脂から大量生産されるシリンジ部品は比較的低コストであるため、一回の使用後に使い捨て可能であることの重要性の増加とあいまって、HIVや他の血液由来病原体のような感染の拡大を制御するための主要な方法として、ガラスからプラスチックへの移行が促進されている。ごく最近では、引込み可能な針を有するプラスチックシリンジは広く認識されてきており、針の突刺し事故の可能性及びヘルスケアワーカーや患者が危険な感染症にさらされることを低減する好ましい技術として利用されている。

ガラスバレルを具えるいくつかのシリンジは、主に、予め充填されて使用される用途において、今でも商業的に利用されているが、ガラスバレルを具えるシリンジは、一般的に、使用者が、使用後に針を引き込めることができるように設計されてはおらず、従って、そのようなシリンジの利用者は、針が突き刺さって怪我をしたり、それに関連して病原体に汚染する虞れがある。公差のきびしいガラス部材を用いることを必要とするシリンジ設計では、大量生産することは難しい。従来のシリンジは、ガラスバレルを、１又は複数の他のガラス部品と共に用いるが、もし、ガラス部品同士が、互いの接触を許容するように設計されると、使用前の取扱い中に、破損事故を起こしやすい。

プラスチックシリンジを使用することによる不利益は、シリンジの中に入れられる幾種類の薬又は他の治療薬が、時間とともに、劣化したり、汚染される傾向があることである。この傾向は、プレフィルドシリンジのように、流体が、使用前に、数ヶ月又は数年といった長期間、一般的に保管される場合に特に問題である。長期間の保管中に、プラスチックの置換された部分又は他の構成要素が、入れられた流体の中に浸出する(leach)ことがあるし、又は入れられた流体の反応成分が、プラスチックの部材に攻撃するか、若しくは反応することがあり、又は気体分子が、プラスチックの中を通って、入れられた流体の中に移動することがあり、それらが酸化又は劣化の原因となる。患者に投与する前のそのような劣化は、流体の純度、特性及び／又は治療効果に悪影響を及ぼし、場合によっては、患者に毒性の流体をもたらすことにさえなる。

それ故、引込み可能な針を具えるが、流体と接触する内表面(fluid-contacting containment surfaces)が浸出又は移動を受けるプラスチック又は他の材料で作製されたものではなく、どんなガラス部材も他のガラス部材と直接接触しない、一回使用のシリンジが必要とされる。

本明細書に開示される一回使用のシリンジは、引込み可能な針を具え、特に好ましくは、使用前の長期間の保管中に、プラスチック製シリンジ部品と相互作用する流体、又はバレルを通る気体分子の移動により劣化を受ける流体が予め充填されて使用される用途で用いられることである。本発明の一つの実施形態によれば、本発明のシリンジは、ガラス製バレルと、エラストマーで作られたプランジャーシール、プランジャープラグ及びフリクションリングと協同作用するガラス製針ホルダーを有する針引込み機構とを具え、容量が可変の非プラスチック製の液体収容チャンバーを画定し、液体収容チャンバーの容量は、主に、バレルに関するプランジャーの位置に依存する。本発明の他の実施形態によれば、引込み前に、液体が、プランジャーハンドルのプラスチック部分と接触することを防ぐためにプラスチック以外の材料（もっとも好ましくは、ステンレススチール）で作製された少なくとも一つのスリーブが配備される。

この明細書で用いられる“ガラス（glass）”の語は、ガラスを通常必要とする医薬品グレードの用途として適したものであれば、他の同様の非反応性材料も含む。

一般的に、“プラスチック（plastic）”の語は、熱可塑性ポリマーと熱硬化性ポリマーの両方を含む。熱可塑性ポリマーは、熱により、元の状態に再び軟化されることができるが、熱硬化性ポリマーは、それができない。この明細書で用いられる“プラスチック”の語は、主として、成型可能な熱可塑性ハイポリマー（例えば、ポリエチレンとポリプロピレン、又は、アクリル樹脂）のことをいうものとし、該ハイポリマーは、一般的には、硬化剤、賦形剤、補強剤、着色剤、及び/又は可塑剤等の他の成分も含み、熱及び圧力下で、成形又は成型されることができる。この明細書で用いられる“プラスチック”の語は、プラスチックと相互作用する治療用液体、又はプラスチックから液体に進入する置換された部分によって劣化されることがある治療用液体、と直接接触する用途で用いることが許容されるガラス又はゴム状エラストマーのどちらも含まない。

この明細書で用いられる“エラストマー（elastomeric）”又は“エラストマー材料（elastomeric material）”の語は、主に、架橋構造の熱硬化性ゴム状ポリマーを指しており、プラスチックよりも容易に変形可能であるが、医薬品グレードの流体で使用することが認められ、浸出又は気体移動をし難いものである。

この明細書で用いられる“流体（fluid）”の語は、主に液体を言うものとし、液体内に分散した固体の懸濁液と、シリンジの流体含有部内の流体に溶解されるか、又は共に存在する気体と、を含む。

本発明の他の重要な特徴は、ガラスとガラスとが接触する部品がないことと、使用後、針が引込まれる前にシリンジ内の液体と接触するプラスチック部品がないこと、である。

この発明の装置は、添付した図面には、針カバーが示されていないが、出荷と保管のための、パッケージする前には、取外し可能な保護針カバーが設けられるものと理解され、把握されるべきである。

本発明の装置について、以下の図面を参照して、さらに記載し説明する。
図１は、本発明のシリンジの一実施例の正面図である。 図２は、図１のシリンジの左側面図である。 図３は、図１のシリンジの右側面図である。 図４は、請求項１のシリンジの分解正面斜視図である。 図５は、図１のシリンジと同様なシリンジの拡大断面正面図であって、プランジャーの一部分がガラスバレル内に押し込まれた状態を示す図である。 図６は、図５のシリンジの拡大断面正面図であって、針が完全に引込まれた状態を示す図である。 図７は、図４のシリンジバレルの一実施例の拡大正面図である。 図８は、図４のシリンジの先端キャップの一実施例の拡大正面図である。 図９は、図４のシリンジのガラス針ホルダーの一実施例の拡大正面図である。 図１０は、図４のシリンジのプランジャーハンドルの一実施例の拡大断面正面図である。 図１１は、図４のシリンジのプランジャーシールの一実施例について、一部分を断面し、一部分を破断して示す拡大断面正面図である。 図１２は、図４のシリンジのプランジャープラグの一実施例について、一部分を断面し、一部分を破断して示す拡大正面図である。 図１３は、図１２の１３−１３線に沿う拡大断面正面図である。 図１４は、図４のシリンジのプランジャーキャップの一実施例について、一部分を断面し、一部分を破断して示す拡大正面図である。 図１５は、図４のシリンジのバレルグリップの一実施例の拡大断面正面図である。 図１６は、図４のシリンジのフリクションリングの一実施例の拡大正面図である。 図１７は、図４のシリンジのフリクションリングの一実施例について、一部分を断面し、一部分を破断して示す正面図である。 図１８は、図４のシリンジの使用に適したステンレススチールプランジャースリーブの他の実施例について、一部分を断面し、一部分を破断して示す拡大正面図である。 図１９は、図４のシリンジの使用に適したステンレススチールプランジャースリーブの他の実施例について、一部分を断面し、一部分を破断して示す拡大正面図である。 図２０は、図４のシリンジの使用に適したステンレススチールプランジャースリーブの他の実施例について、一部分を断面し、一部分を破断して示す拡大正面図である。 図２１は、図４のシリンジのステンレススチールバレルスリーブの一実施例の拡大正面図である。 図２２は、図２１の２２−２２線に沿う拡大断面正面図である。 図２３は、プランジャーを具えた本発明のシリンジの他の実施例の拡大断面正面図であって、ガラスバレル内に部分的に押し込まれた状態を示す図である。 図２４は、図２３のシリンジの拡大断面正面図であって、引込みが開始し、圧縮されていたバネの力が開放されて、針ホルダーと、針ホルダーキャップと、針と、プランジャープラグが駆動し、プランジャー内の引込み室内の後方に移動したとき、プランジャー、プランジャーリング及びフィクションリングが存在する位置の近傍を示している。 図２５は、引込み後における、図２３のシリンジの拡大断面正面図である。 図２６は、プランジャーの前端部の内に配置されたプランジャーシールの一部が、プランジャープラグと係合表面となる、本発明のシリンジの他の実施例の前端の拡大断面正面図である(引込み後を示している)。 図２７は、プランジャーの後端部は、プランジャーの側壁を通る通気孔が選択的に設けられている点を除いて閉じている、本発明のシリンジの他の実施例の後端部の拡大断面正面図である。

＜望ましい実施例の説明＞
図１-３を参照すると、本発明のシリンジ(30)は、バレル(32)、バレル先端キャップ(38)、針(48)、プランジャー(72)及びバレルグリップ(86)を具える。バレルグリップ(86)は、好ましくは、外向きに突出するフィンガーグリップ(94)(96)が、対向する位置に配置される。プランジャー端部キャップ(98)は、プランジャー(72)の後方に配置され、プランジャーの後端部の開口に、摩擦係合する。プランジャー端部キャップ(98)は、好ましくは、ベントが設けられ、シリンジ(32)の使用後、針(48)の引込み中に、プランジャー(72)内部に配置された引込み室から、空気の脱出を可能にする。バレル(32)は、好ましくは"ガラス"で作製され、図１-３で示されるプランジャー(72)の部分は、好ましくは“プラスチック"で作製される。これらの用語は、上記で定義されており、以下に詳細に説明する。プランジャーグリップ(86)とバレル先端キャップ(38)もまた、プラスチックで作製されることが好ましい。成型可能で、商業的に入手可能なプラスチックであって、目的とされた用途での使用に適したものであればどんなプラスチックでも、そのような装置に要求される監督庁の認可を全て受けていることを条件として、本発明のシリンジの作製に使用され得ることは理解されるべきである。

シリンジ(30)の構成部品について、図４-５及び、以下で言及する他の図を参照して、更に、記載し説明する。図４-６及び７に関して、バレル(32)は、望ましくはガラスで作製される。ガラスは、実質的に気体を通さず、大部分の液体と非反応性であり、更に具体的には、シリンジ(30)で用いられる治療用液体と非反応であることが知られている。バレル(32)は、両端が前方と後方に面する開口を有する段付き筒状ボア(44)を有することが好ましく、さらに、後方に面する開口端部の周りに配置され、湾曲して外向きに突出する環状フランジ(36)を具える。バレル(32)の前方に面する端部には、小径部を更に具えており、該小径部は、テーパ状の環状肩部(46)と、ほぼ筒状のカラー(34)と、カラー(34)の前端でわずかに突出する環状フランジ(35)と、を有する。

図４−６及び図８に示すように、バレル先端キャップ(38)は、バレル(32)の前方に配置されており、プラスチックで作製されることが好ましい。バレル先端キャップは、前方に面する小径の開口（40）を有する段付き円筒ボアを有しており、図５に示されるように、シリンジ(30)が組み立てられたとき、針ホルダー(54)の一部が前方開口(40)から突出する。バレル先端キャップ(38)は、後方に面する大径の開口(42)を有しており、該開口(42)は、バレル(32)の凹んだカラー(34)の外径を収容できるように設計される。バレル先端キャップ(38)は、様々な方法でバレル(32)に取り付けられる。取付方法として、例えば、摩擦、スナップ式、接着剤の使用の他、他のあらゆる既知の方法、この開示を読む当業者にとって自明な取付装置の使用など、が挙げられる。１つの好ましい取付方法は、バレル先端キャップ(38)とバレル(32)の間を摩擦係合することであり、バレル(32)の前部でわずかに突出する環状フランジ(35)の上の開口(42)端部を少しだけ引き延ばすことによって強化されることができる。図８を参照して以下に説明するように、協同作用する環状の凹部を、バレル先端キャップ(38)の部に設けることも可能である。他の好ましい取付方法は、商業的に入手可能で適当な接着材を使用し、シリンジ(30)の組立中、大径の開口(42)の内側表面を円筒状カラー(34)の外側表面に固定することである。そのような接着材は、摩擦係合の後、例えば、図５に示されるように、周方向に延びて外向きに面する溝(37)の中に施されることができる。バレル先端キャップ(38)とバレル(32)との間の取付けは、十分な強さを有するべきである。図５に示すように、組み立てられたときに、圧縮バネ(50)による力を受けるときと、シリンジ(32)の使用中に受けるあらゆる水圧力と、引込みを開始するのに必要なトリガする力又は開放する力が合成されたときに、バレル先端キャップ(38)がバレル(32)から分離するのを防ぐことができる強さを有すべきである。

所望により、バレル先端キャップ(38)は、スライドオン式のスナップダウンピースとして作製されることもできる。クラムシェル(clamshell)のように折りたたみ可能なヒンジを有するバレルの前端部の周囲でスナップ止めするツーピースでは、前部からではなく、側部からキャップをすることができるので、キャップを取り付ける時に、既に、針が針ホルダーから前方に突出しているときに有用となる。

図４−６は、さらに、引込み機構の一実施例を示しており、引込み機構は、引込み可能な針(48)、圧縮バネ(50)、スリーブ(52)、針ホルダー(54)、及びフリクションリング(60)を具えている。針(48)は、傾斜がつけられた端部と、平らな端部と、２つの端部間に内部流体通路と、を有する従来型の金属針が好ましい。バネ(50)は、望ましくは、そのサイズの圧縮バネの作製用に適したあらゆる金属で作製されることができる。針ホルダー(54)は、望ましくは、ガラスで作製され、以下で更に説明する。図２１及び２２にも示されているスリーブ(52)は、望ましくは、金属（もっとも好ましいのは、ステンレススチール）、又は商業的に入手可能な耐久性の適当なプラスチックで作製される。フリクションリング(60)は、望ましくは、針ホルダ(54)とバレル(32)のサイズ及び間隔に適合した硬度を有し、シリンジ(32)の使用中に動作圧力を受けたとき、流体密封シールを達成することができるエラストマーから作られることが望ましい。

図４において、針(48)は、バレル(32)の後方に面する開口の後ろにあるときの状態を分解して示している。針(48)の平らな端部は、バレル先端キャップがバレル(32)に取り付けられた後、且つ引込み機構の他の構成要素が、バレル(32)の後方に面する開口を通して取り付けられた後、バレル先端キャップ(38)の前方に面する端部の開口(40)を通して取り付けられることが望ましい。或いはまた、針(48)は、針ホルダー(54)の中にインサート成型されて、後方から取り付けられることができるし、適当に設計されたバレル先端キャップを用いる場合で、バレル先端キャップを取り付ける間、バネを圧縮状態に維持する保持構造又は保持ツールが設けられる場合は、フリクションリング、針ホルダー及びバネは全て、前部から取り付けられることができる。

図４−６及び９の実施例を参照すると、針ホルダー(54)は、好ましくは、ガラスで作製され、細長い円筒状前部(56)と、前部より実質的に短く、外径が前部よりも大きい後部(58)を有する。図９を参照すると、この実施例の針ホルダー(54)は、前端部にテーパ状の管路(55)をさらに具えており、該管路(55)により、針(48)(図５)の平らな端部は、前方に面する環状肩部(55)に当接する位置に案内され、筒状の管路(59)を通じて、針の内部と円筒状中空部(120)との間で、流体流通が可能となる。

図５を再び参照すると、テーパ状の管路(55)の幅は、針(48)の周りに接着材が施される部位を提供し、接着材が硬化されると、針(48)は、針ホルダー(54)の軸に固定されて、針(48)が保持される。バネ(50)の内径は、針ホルダー(54)の細長い部分(56)上をスライドするのに十分な大きさを有するが、針ホルダー(54)の大径の頭部(58)の前方に面する環状肩部(124)と当接するよう十分小さいことが好ましい。バネ(50)の外径は、図５に示されるように、好ましくは、スリーブ(52)の内部に収まり、スリーブ(52)の端部(126)(128)間のボア(130)(図２１-２２)で圧縮されることができるように十分小さい。スリーブ(52)は、バネ(50)の圧縮中、バネガイドとして作用するので、バレル先端キャップ(38)の内径が拡径する部位では、圧縮中に、バネのあらゆるよじれ傾向が減少する。

図４−６を参照すると、フリクションリング(60)は、好ましくは、針ホルダー(54)のヘッド部(58)の外径の周りに配置され、針ホルダーと摩擦係合する。フリクションリング(60)の外側に面する表面は、好ましくは、バレル(32)のガラスの内壁に当接して密封し、針ホルダー(54)に対して、バネ(50)から作用するバネ力に抗するのに十分な保持力をもたらすと共に、使用中、針(48)が人又は物体に挿入されたときに、針(48)の全部に作用する後方に向かうあらゆる圧力に抗する力をもたらす。シリンジ(30)内の容量可変の流体チャンバー内に有る全ての液体は、フリクションリング(60)の一部と接触するので、フリクションリングは、好ましくは、認可を受けているか又はそのような液体に使用するのに適したエラストマー材料であって、使用されるシリンジ、バネ、針ホルダー等の大きさや種類に適した範囲内の硬度を有するエラストマー材料で作製される。

図１６及び図１７を参照すると、この実施例のシリンジ(30)に用いるために開示されているフリクションリング(60)は、望ましくは、円筒ボア(144)と、周方向に延びて外向きに面する表面とを有する略環状の構造を更に具えている。外向きに面する表面は、向かい合うように傾斜した表面(142)(143)が、最大直径部である平らな外帯部(146)が形成する最大径と繋がる。平らな外帯部の幅は、各傾斜部の幅と略同じである。しかしながら、他の形式のフリクションリングについても、同様に利用されることが可能であり、針ホルダーとバレルの対向した内壁との間で密封係合したり、引込み前に流体収容構造をもたらすのに、フリクションリングは他の形状を同様に用いられることは理解されるであろう。

図５に示すように組み立てられたとき、バネ(50)と管状スリーブ(52)は、好ましくは、バレル先端キャップ(40)内部の環状肩部(114)(図８)と、図９に示されている針ホルダー(54)のヘッド部(58)の前側に面する環状肩部(124)との間に配置される。バネ(50)、スリーブ(52)、針ホルダー(54)及びフリクションリング(60)が、図５に示されるように組み立てられた後、針の平らな端部(48)は、好ましくは、図５及び図９に示されるように針ホルダー(54)の前方に延びる開口端の中に挿入され、適所に固定される。針ホルダー(54)の細長い部分(56)の外径は、好ましくは、バレル先端キャップ(38)の前側に面した開口(40)の内径よりもわずかに小さくすることにより、針(48)の好ましくない曲がりが防止され、バネ(50)が、針ホルダーと先端キャップの間に生じるあらゆる環状の空間へ下向きに押し込まれることが防止される。バレル先端キャップ(38)が、図５のバネガイド(52)と同じように配置及び構成された円筒状の台部(pedestal)と、一体に成型されることができ、この場合、スリーブ(52)は必要でないことは当業者であればこの開示を読めば理解されるであろう。そのような台部は、針ホルダー(54)の大径部(54)の外径と略同じ外径を有すべき上部を除いて、厚めに作られることができる。そのような台は、バネ(50)のバネガイドとして作用し、フリクションリング(60)が、前方に向けて力が加えられ、以下で説明するように、引込み中に、針ホルダー(54)との接触が解除されるので、バネを受けて、バネ(50)から離れたフリクションリング(60)を支えることができる。

図４−６、１０−１４、及び１８−２０を参照すると、プランジャー(72)は、好ましくは、細長い筒状のハンドル(74)と、ハンドル(74)の前端部に配置されるエラストマーで作られたプランジャーシール(68)と、プランジャーハンドル(74)の開口した前端部がプランジャーシール(68)の内側をスライド可能に挿入され、プランジャーシール(68)から前方に向けて延在する(図５)プランジャースリーブ(64)と、プランジャーハンドル(74)の後部開口(152)内に配備されたプランジャーエンドキャップ(98)と、を具えている。特に、図１０を参照すると、細長い筒状のプランジャーハンドル(74)は、好ましくは、プラスチックで作製され、前方及び後方に面する開口と、それら開口の間に設けられる引込み室(78)とを有し、さらに、周方向に間隔を有し、略平行に長手方向に延びる複数のリブ(76)を具え、プランジャー(72)が、バレル内に挿入されると、前記リブは、ガラスバレル(32)の内壁と接触する。プランジャーハンドル(74)は、好ましくは、さらに、前方に突出する環状フランジ(81)を具え、該環状フランジは、前方に面する内側環状肩部(77)を有し、該環状肩部は、プランジャースリーブ(64)がプランジャーハンドル(74)の前方に面する開口に挿入されたとき、プランジャースリーブ(64)(図２０)の後端(140)に当接する。環状フランジ(81)の後方に配置された環状凹部(80)は、フランジ(81)と協同作用し、プランジャーハンドル(74)と軸方向に固定された関係でエラストマープランジャーシール(68)を受けて、支える。

図１０−１１を参照すると、エラストマーで作られたプランジャーシール(68)は、好ましくは、プランジャーハンドル(74)の前方に面する開口の周りで、軸方向に固定された関係で配置され、更に、軸方向に間隔を有し、周方向に延びる複数のリブ(70)を具えており、プランジャー(72)の前方に面する端部が挿入されて、バレル(32)と滑合するときは常に、リブ(70)は、バレル(32)の内壁に当接して液密シールを形成する。プランジャーシール(68)は、好ましくは、更に、プランジャーハンドル(74)の環状フランジ(81)(図１０)に着座する内側環状凹部(162)を有する。プランジャー(68)の取付けは、プランジャー(72)の組立中、プランジャーシール(68)の後方に面する環状の表面(160)が、プランジャーハンドル(74)の前方に面する環状肩部(158)(図10)に当接するまで、プランジャーシール(68)を、プランジャーハンドル(74)の前端部の上を押すことによって行われる。プランジャーシール(68)が、プランジャーハンドル(74)に挿入されたとき、プランジャーシール(64)の環状内側表面(164)が、内側凹部(80)に着座し、プランジャーシールの環状内側表面は、プランジャースリーブ(64)を受けて、摩擦係合することができる。プランジャースリーブ(64)が挿入されて、プランジャーシール(68)の環状内側表面(166)に係合すると、スリーブ(64)は、後方に面する端部表面(140)がプランジャーハンドル(74)のフランジ(81)の内側に配置された前方に面する環状肩部(77)と当接するまで、内側に押されることが望ましい。

図５を再び参照すると、プランジャースリーブ(64)は、エラストマーで作られたプランジャーシール(68)とプランジャープラグ(62)（図１２−１３、以下で説明する）と協同作用して、製造、保管又は使用中に、プランジャー(72)の前方のシリンジ(32)内部にあるあらゆる流体が、プランジャーハンドル(74)の全てのプラスチック部分と接触することを妨ぐ。プランジャースリーブ(64)は、好ましくは、針(48)の引込みに関して、以下で説明する理由のために、段付き先端部(66)(図２０)を有し、好ましくは、プランジャーシール(68)の前方に面した開口とプランジャーハンドル(74)の内側に着座して、エラストマーで作られたプランジャープラグ(62)の設置、着座及び支持を補助し、プランジャープラグ(62)が、引込み前に引込み室(78)から外に出て行かないように、プランジャープラグ(62)が、シリンジ(30)のバレル(32)の内側にあるプランジャー(72)の前方にあるあらゆる液体又はガス状の流体を密封する。プランジャープラグ(62)はまた、エラストマーで作られたプランジャーシール(68)及び金属スリーブ(64)と協同作用し、シリンジ(32)内部にある液体が、あらゆるプラスチック表面と接触することを妨ぐ。好ましい実施形態に関連して記載されるプランジャープラグは、プランジャーハンドルの前端部の前方に延在するように示されているが、この開示を読めば、プランジャープラグを有するシリンジにおいて、プランジャープラグの前方に面する端部とプランジャーハンドルの前方が、略同一平面に配置されるものも、本発明の範囲内で機能することができる、ことは理解されるであろう。

図１２及び１３を参照すると、プランジャープラグ(62)は、最も好ましくは、対称に形成された中実のエラストマー本体を具え、該本体は、両端が面取りされ、各端部に横方向に延びる径スロット(168)を有する小径部(170)を有しており、一方の端部のプランジャーハンドル(74)の前部開口に、挿入を容易に行うことができる。プラグ(62)は、望ましくは、中央部に、大径部分(110)が形成される。この大径部分は、プラグ(62)がプランジャーハンドル(74)の内部と摩擦係合する部分の長さを減少させるが、プラグ(62)の全長を減少させないので、引込み中に、前方に面するプランジャーの開口からプラグ(62)を外すために必要とされるプラグの移動距離を少なくすることができる。

図４−６，１０及び１４を参照すると、プランジャーハンドル(74)の後方に面する開口は、収容されるプランジャーエンドキャップ(84)が、摩擦可能に着座される大きさであることが望ましい。これにより、引込み室の後部は、プランジャーエンドキャップ(84)の中か、又はその周りに形成される通気孔(156),(154),(82)を除いて、引込み室(78)の後部を密封されるので、引込み中、プランジャープラグ(62)と針ホルダー(54)が、バネ(50)によって後方に動かされて、引込み室へ入るときに液体の一部がシリンジ(32)の前部から強制的に排出される虞れはなくなるか、又は減少する。プランジャーシール(68)とプランジャープラグ(62)は、ゴム状のエラストマーで作製されており、プラスチック製ではないので、プランジャーシール(68)、金属スリーブ(64)及びプランジャープラグ(62)を、プランジャーハンドル(74)の前部で一緒に使用しても、シリンジ(30)にあるどんな液体も、引込み前にプラスチック製プランジャーハンドル(74)のどの部分とも接触することは防止される。図５及び１４を参照すると、プランジャーエンドキャップ(84)は、好ましくは、プラスチックで作製され、さらに、後方に面する表面(98)を有しており、この表面は使用者が親指で力を加えることができる面で指圧力によりフィンガーグリップ(94)(96)の前方に面する表面に力が加えられてバレル(32)を支持し制御する。これについては、後で説明する。

バレルグリップ(86)は、図４の分解図において、プランジャー(32)の背後に後方に向けられているが、図４−５、６及び１５で示されているように、バレルグリップ(86)は、好ましくは、バレル(32)にバレル先端キャップが取り付けられる前か、又は少なくとも針(48)を取り付ける前に、バレル(32)の前部からバレル(32)に挿入されることは理解されるべきである。図４及び１５を参照すると、バレルグリップ(86)が、前方に面する端部からバレル(32)に押し込まれたとき、バレル(32)の後部で周方向に延びるフランジ(36)が、バレルグリップ(86)の環状凹部(89)と協同作用して、非常に容易に着座される。バレルグリップ(86)が、バレル(32)の後方に面する端部の周りに着座されるとき、手の力が、バレルグリップ(86)の対向する位置に外方に向けて、突設されたフィンガーグリップ(94)(96)に加えられても、バレルグリップ(86)とバレル(32)の間で軸方向の滑りは起こらない。バレルグリップ(86)の前方に延びる環状カラー(88)はまた、バレルグリップ(86)とバレル(32)の間の安定性を維持することを補助する。しかしながら、この利益を得るには、カラー(88)の内径(92)は、フランジ(36)のすぐ前方にあるバレル(32)の外径よりも、少しだけ大きくするべきである。

本明細書に記載されているように、バレル(72)が組み立てられ、バレルグリップ(86)が、バレル(32)の後方に面する端部の周りに取り付けられると、プランジャー(72)の前方に面する端部は、バレルグリップ(86)の後部のカラー(90)を通って、バレル(32)の後方に面する開口に挿入されることができる。針(48)が、針ホルダー(54)の前部に取り付けられると、組み立てられたシリンジ(30)は、図５に記載された形状となるであろう。バレル先端キャップ(38)に針カバーを取り付けた後、組立ては完成し、シリンジ(30)は、パッケージされ、滅菌されることができる。しかしながら、シリンジ(30)が、予め充填されて使用される状態で使用される場合、治療用液体が、プランジャー(72)の挿入前に、バレルの後方に面する開口を通って、バレル(32)に充填されることが望ましい。予め充填されて使用される状態で使用される用途においては、使用前に、針の先端をシールするために、プラグが針キャップ内に設けられている。バレル(32)のガラスの内壁は、プランジャー(72)の前方に面する端部に配置されたエラストマー及び金属表面と、かつガラス針ホルダー(54)及びエラストマーフリクションリング(60)の後方に面する表面と協同作用することにより、液体は、容量可変の液体収容チャンバー内に存在することはなく、使用前に、プラスチックのどの表面と接触することもない。また、開示されたシリンジ(30)は、どんなガラス要素についても、組立て、保管又は使用中、他のどのガラス部分と直接接触することもない。

図５−６を参照すると、シリンジ(30)の使用中、針(48)を通じて、バレル(32)から略全ての液体を排出した後、フィンガーグリップ(94)(96)を用いて、バレル(32)を固定位置に保持した状態で、プランジャー(72)の後部へ、親指の圧力を加え続けると、プラグ(62)の前方に面する端部が、針ホルダー(54)の大径部(58)の後方に面する環状の表面に当接し、フリクションリング(60)がプランジャースリーブ(64)のリーディングエッジ(66)によって接触される位置に、プランジャープラグ(62)は後方にスライドする。プランジャー(74)の後部に圧力が加え続けられると、プランジャースリーブ(64)のリーディングエッジ(66)により、フリクションリング(60)に前向きの力が加わり、フリクションリング(60)は環状の内側表面が、スリーブ(52)の外側表面上を移動する位置に進む。その位置では、フリクションリング(60)は、圧縮バネ(50)の力に抗して、針ホルダーの大径部(58)をもはや保持していない。バレルグリップ(86)とバレル(32)に対してプランジャー(72)の背面に圧力が加え続けられると、針ホルダー(54)の後方に面する端部は、プランジャースリーブ(64)を通じて、プランジャープラグ(62)は後方へ押されて、プランジャープラグ(62)の中央に設けられた大径部(110)は、引込み室(78)の幅が広くなる位置で、プランジャーハンドル(74)の内壁から離れ始める。プランジャーハンドル(74)の内壁に接触する表面積が小さくなり、バネ(50)の力が、プラグ(62)の残りの摩擦保持力を上回る地点に到達する。プランジャープラグ(62)はプランジャーエンドキャップ(84)の下面に達する（図６参照）。この地点に達すると、バネ(50)は、針ホルダー(54)とプランジャープラグ(62)を、引込み室(78)を通って後方に移動させて、針ホルダー(54)の細長い部分(56)(図4)は、引込み室(78)を通って、後方に動かされるので、針ホルダー(54)の細長い部分(56)も、同様に、針(48)を後方に運ぶ。その結果、シリンジ(30)内の針(48)の傾斜端部は、引き込められるので、シリンジ(30)のハンドリングや処理を安全にし、針の再使用は効果的に防止される。図６で示される完全に引き込まれた位置では、フリクションリング(60)は、スリーブ(52)の外側に取り付けられたままであり、プランジャーハンドル(74)の後部の端部周辺は、バレルグリップ(86)の後方に面するカラー(90)（図５）の内部に格納される。

前述したように、プランジャースリーブ(64)が、フリクションリング(60)と接触するとき、段付きの前部又は先端部(66)(図２０参照)を使用すると、フリクションリング(60)の一方の面に、最初に力を集中することにより、引込みを開始するのに必要な親指の力を少なくするものと考えられるので、他方の面に接触する直前に、針ホルダーの(58)の部分に関するリングの一方の面の慣性及び初期移動は解消される。この目的を達成するのに必要なプランジャースリーブの他の実施例は、プランジャースリーブ(132)のリーディングエッジ(134)を傾斜させることであり、図１９に示されている。なお、引込みを開始するための必要な力は大きくなるため、あまり好ましくはないが、所望により、垂直方向横向きのリーディングエッジ(136)を有する円筒状プランジャースリーブ(138)が本発明の範囲内で用いられることができることは理解されるであろう。

本発明の他の実施形態について、図２３−２５に、開示し記載する。この実施例は、前述したように、スリーブ(52)もプランジャースリーブ(64)のどちらも用いる必要はなく、シリンジ内の部品総数を少なくし、ガラス製バレルと引込み可能な針を有するシリンジの内部で液体とプラスチック、又はガラスどうしが全く接触しないようにするのに必要な金属部品の数も、少なくすることができる。これらの利点は、図１−２２に、開示し、記載した設計構造と、非常に類似した設計構造の中で達成される。主たる相違の１つは、全長に亘って略一定の外径を有するガラス管と、シリンジ内部の容量可変チャンバーと針ホルダー及び針を通る流体経路との流体流通を可能にする開口が中央に設けられた弾性の針ヘッドキャップとの両方を具えた針ホルダーを使用することである。ガラス管を具えた針ホルダーの使用である。ガラス管は、全長に渡って、略一定の外径を有し、エラストマー針ヘッドキャップと組み合わされる。エラストマー針ヘッドキャップは、中央に配置された開口を有し、シリンジ内部の容量可変のチャンバーと、針ホルダーと針を通過する流体流路との間で、流体流通を可能にする。針ホルダーキャップ(240)は、ガラス管の後方を、径方向内側に延びる環状フランジにより、又は他の同様の有効な手段により、針ホルダーのガラス管に関して、軸方向に配置されることができる。この実施形態において、フリクションリング(244)は、別個の部品であることが好ましいが、針ホルダーキャップ及びフリクションリングは、それらの間で連続するウェブと一体に組み立てられることができ、ウェブの上又は下に、引込み中にキャップ(240)及びリング(244)を分離することを補助するカッター又は分離デバイスを提供する。この好ましい実施形態における主な差異のもう一つは、前方に延びるプランジャーシールを使用して、プランジャーハンドルの前方に延びる端部を覆い、引込み前に、液体とプラスチックとのあらゆる接触を防止することである。

図２３−２５を参照すると、シリンジ(200)は、好ましくは、既に開示したバレル(32)と、ほぼ同じように作製されるガラス製バレル(218)を具える。ガラス製バレルは、好ましくは、プラスチックで作製され、バレルの後端部に取り付けられたバレルグリップ(220)と、同じくプラスチックで作製され、バレル(218)の後部で、周方向に延びるフランジ(226)と係合する凹部(228)により、バレル(218)の前方に面する端部に取り付けられたバレル先端キャップを有する。プランジャーハンドル(202)は、バレル(218)とバレルグリップ(220)の後方に面する開口を通じて、バレル(218)に挿入され、さらに、プランジャーハンドル(202)の軸上に固定して配置されるプランジャーシール(208)を有しており、該プランジャーシールは、バレル(218)の内壁と、スライド可能な流体密封シールを提供し、使用中、プランジャーハンドル(202)の前部(212)が、シリンジ(200)内部に有るあらゆる液体との接触をブ遮断する。プランジャー(202)は、好ましくは、さらに、引込み室(246)の前部の開口内部に格納されたプランジャープラグ(204)と、引込み室(246)の後部で、フランジ(250)の後方に面する開口に係合するプランジャー端部キャップ(206)とを具える。

シリンジ(200)の引込み機構は、針(246)が取り付けられたガラス管状の針ホルダー(238)、金属製の圧縮バネ(235)、弾性の針ホルダーキャップ(240)、及び弾性のフリクションリング(244)を具える。針(246)の傾斜端部は、バレル先端カバー(230)の開口(232)を通じて、前方に延びる。開口の直径は、その背後に、針ホルダー(238)の前方に面する端部を保持するのに十分に小さい。圧縮バネ(235)は、管状の針ホルダー(238)の周りに配置され、前方に延在する部分は、バレル先端キャップ(230)と針ホルダー(238)の間の管状空間内に配置される。

引込み中、プランジャーシール(208)の前方に延在する部分(216)は、プランジャーハンドル(202)の前方に延在する管状先端部(212)によって、後方に移動させられ、フリクションリング(244)を、針ホルダーキャップ(240)と接触させ、針ホルダーキャップ(240)に関して前方に移動させて、針キャップホルダー(240)は解放され、バネ(235)は、後方に広がり始める。好ましい実施例として記載されるプランジャープラグは、プランジャーハンドルの前端の前方に延在するものである。なお、プラグは、本発明の全ての実施形態において、必ずしも最初に針ホルダーに接触する必要はないから、この開示を読めば、前方に面する端部がプランジャーハンドルの前部と略同一平面上にあるプランジャープラグを具えたシリンジについても、発明の範囲内で機能することができることは認識されるであろう。

フリクションリング(244)は前方に移動するので、プランジャープラグ(204)は、引込み室(246)の大径部に向けて後方へ移動される。フリクションリング(244)が、針ホルダーキャップ(240)から解放され、プランジャープラグ(204)がプランジャーハンドル(202)の管状先端部(212)から取り外されると、針ホルダー(238)、針(246)、針ホルダーキャップ(240)及びプランジャープラグ(204)は全て、バネ(235)の力によって後方へ押される（図２４の矢印(248)で示す）。図２５で示すように、引込み後、針(246)は、バレル(218)内部に完全に格納され、シリンジ(200)は、安全で、使用できない状態におかれる。

図２６を参照すると、本発明の他の実施例を開示しており、シリンジ(260)のプランジャーシール(262)の部分(264)が、プランジャー(272)の前端部の内部に形成されて、プランジャープラグに対する係合と着座表面を提供する。なお、図２６では、図２３及び２４に実質的に示される位置から移動している。本発明のこの実施例では、例えば、図２３−２５の実施例で示されている構造と比較して、プランジャー(272)の内壁の内径の段部の１つを省くこともできる。

図２７を参照すると、本発明の他の実施例を開示しており、シリンジ(280)のプランジャー(284)は一体成形されて端部が閉じたキャップ(282)と、端部キャップ(282)の前方のプランジャー(284)に設けられた、通気孔(288)とを有する。

当業者であれば、添付の図面を参照してこの明細書を読めば、他の改変や修正を為し得ることは明らかであろう。この明細書に開示された発明の範囲は、発明者の法的権利である添付の特許請求の範囲を最も広義に解釈されることによってのみ制限されるものである。

Claims (14)

1. 引込み可能な針と、本質的に非プラスチック材料からなり、液体を収容する内表面とを具える、シリンジ。
2. 引込み可能な針と、容量可変の流体チャンバーとを具えるシリンジであって、前記流体チャンバーは、さらに、プラスチックで作製されていない複数の表面によって画定される、シリンジ。
3. ガラス製バレルとガラス製針ホルダーとを具えるシリンジであって、ガラス製バレルとガラス製針ホルダーは、協同して流体通路を画定し、流体がプラスチック表面と接触しない、シリンジ。
4. ガラス製バレルとガラス製針ホルダーと、
   プラスチックで作られたバレルグリップ、プランジャーハンドル及び先端キャップと、
   エラストマーで作られたプランジャープラグ、プランジャーシール及びフリクションリングと、
   圧縮バネ及び金属で作られた針と、を具えるシリンジであって、
   使用後、針は引き込み可能である、シリンジ。
5. バレルと、
   バレルの内部にスライド可能に配置されたプランジャーと、
   針と、
   使用後、バレル内部に針を引き込む引込み機構と、を具えるシリンジであって、
   液体と、あらゆるプラスチック表面又は針の引込み前に浸出若しくは流体の移動を受ける他のあらゆる材料から作られた表面との間で接触が起こらないようにした液体流路を有する、シリンジ。
6. ガラス製の内壁を有するバレル、及び該バレルの前方に面する端部の周りに固定された状態で配置された先端キャップと、
   バレルの内部にスライド可能に配置されるプランジャーであって、前方に面する端部を有するプランジャーハンドル、該プランジャーハンドルの前方に面する端部の周りに配置され、バレルの内壁と接触する弾性のプランジャーシール、及び前記プランジャーハンドルの前方に面する開口に取外し可能に配置される弾性のプランジャープラグ、を有するプランジャーと、
   針と、
   後方に面する端部を有するガラス製針ホルダー、該針ホルダーの後方に面する端部を囲み、針ホルダーとの間で液体シールを形成する弾性の針ホルダーキャップ、及び該ホルダーキャップを囲み、バレルの内壁に接触し、バレルの内壁との間で液体シールを形成する弾性のフリクションリングを具える針引込み機構と、
   を具えるシリンジであって、
   針は、針ホルダー、針ホルダーキャップ、フリクションリング、バレルの内壁、プランジャープラグ及びプランジャーシールと協同作用して、容量可変の液体収容チャンバーを画定し、
   液体収容チャンバー内に有る液体が、シリンジの使用前に、どんなプラスチック表面とも直接接触しない、シリンジ。
7. 治療用量の治療用液体が入れられるように設計されたプレフィルトシリンジであって、
   引込み可能な針と、ガラス製バレルと、ガラス製針ホルダとを具え、
   使用前に、液体と接触するプラスチック表面を有さない、シリンジ。
8. 中央に配置されたガラス製の筒状部、及び前方と後方に開口端部を有するバレルと、
   バレルの後方に配置された端部に取付け可能であり、バレルと係合可能な長手方向のボア、及び対向配置された複数のフィンガーグリップを有するプラスチック製バレルグリップと、
   バレルの後方に配置される開口端を通じて挿入可能であり、バレルの内側にスライド可能に配置される前方に延在する部分を有するプランジャーと、
   バレルの前方の開口端の周りに固定された状態で取り付けられ、中央に、前方に面する開口を有し、針が前記開口を通じて突出し、シリンジの使用後、バレルの内部に引込み可能であるプラスチック製バレル先端キャップと、を具えるシリンジ。
9. 引込み可能な針を有するシリンジであって、
   医薬グレードの用途として承認されていない材料、又はシリンジの操作中に受ける流体の圧力に耐え得る構造を有しない材料で作製された表面を有しない液体流路を有する、シリンジ。
10. 液体流路は、ガラス製バレルと針ホルダーを具え、ガラスとガラスが接触する部品を有しない、請求項９のシリンジ。
11. プラスチックで作製されていない針ホルダーと組み合わされた引込み可能な針を有する、シリンジ。
12. 針ホルダーは、ガラスで作製された少なくとも幾つかの部分を有する、請求項１１のシリンジ。
13. 使用中、液体と接触する全ての内部表面は、液体と不活性な材料で作製される、シリンジ。
14. 引込み可能な針を有するシリンジであって、
    液体と接触するエストラマー部品を含んでおり、該エラストマー部品は全て医薬グレードの用途として承認されたポリマーで作製される、シリンジ。

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