JP2012509432A - ターボ分子ポンプ - Google Patents

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Abstract

【解決手段】ターボ分子ポンプは、ポンプハウジング(18)に配置されたロータ要素(12)を備えている。ロータ要素(12)は、ステータ要素(24)に囲まれている。ステータ要素(24)とポンプハウジング(18)との間に、隙間(36)が設けられている。ロータ要素(12)が破裂した場合にエネルギーを吸収するために、エネルギー吸収要素(44)が隙間(36)に配置されている。

Description

本発明は、ポンプハウジングに配置されてステータ要素によって囲まれているロータ要素を備えたターボ分子ポンプに関する。
ターボ分子ポンプは、ロータ軸に接続されたロータ要素を備えている。通常、ロータ軸は両端部の内の一方で支持されており、ロータ要素は釣鐘状であり自由な軸端部分に取り付けられている。ロータ要素は、ロータ翼板を有して略径方向に向いたロータディスクを備えている。ロータディスク間には、ステータ要素のステータディスクが配置されている。ステータディスクは、ロータ要素の全周に亘って延びるステータリングによって所定の位置に固定されている。ステータリングは、ポンプハウジング内の静止位置に保持されている。ターボ分子ポンプは、数万回転数/分程度の回転速度で作動される。従って、作動中、ロータの運動エネルギーは非常に高い。ロータの衝突又はロータの破裂の場合には、この運動エネルギーにより相当な破壊力が生じる。生じた力は、ステータ要素を介してポンプハウジングに伝えられる。このため、ポンプハウジングが破壊される場合があり、その結果、ポンプハウジングの破片がポンプから振り飛ばされ得る。このようなポンプハウジングの破壊の発生は、相当な怪我の危険性を伴う。
ポンプハウジングが破壊された場合に、ロータの運動エネルギーの少なくとも一部を受け入れて除去することができるように、特殊なフランジ接続部を設けることが知られている。前記フランジ接続部は、ターボ分子ポンプが破壊された場合にねじられ得るように、特別に設計された接続孔を有している。このようにして、フランジ及びフランジボルトを変形させることにより、運動エネルギーの一部は変形エネルギーに略変換される。このタイプの様々なフランジ接続部は、例えば、欧州特許出願公開第1413761 号明細書に述べられている。
欧州特許出願公開第1413761 号明細書
しかしながら、ポンプの突然のねじれ変形は、例えばバルブ又は供給導管のようなポンプハウジングの外部に設けられた個々の構成要素がポンプから外れるという危険性を伴う。大きなエネルギーが入力されることにより、このような構成要素はポンプから振り飛ばされて、相当な怪我の危険を引き起こす場合がある。
更に、欧州特許出願公開第1030062 号明細書から、ポンプハウジングの内側から距離を置いてステータ要素のステータリングを配置することが知られており、それにより、ステータ要素とポンプハウジングとの間に隙間が設けられている。ステータ要素は、転がり軸受によりポンプハウジング内に回転すべく更に支持されている。それにより、破壊の場合には、ロータ要素によって生成された力及びモーメントは、ポンプハウジングではなくステータ要素に更に伝えられるか、又は少なくともほんのわずかのみポンプハウジングに伝えられるだけである。このような構造は、破壊されたロータ要素及びステータ要素の一種の停止を達成するように意図されている。エネルギー吸収のための更なるオプションは、ステータ要素を変形させることである。しかしながら、ロータ要素及びステータ要素の前記停止は、破壊の場合に転がり軸受が破壊されないときにのみ可能である。しかしながら、特にはステータ要素の非常に急な強い加速と、その結果として転がり軸受に生じる非常に高い力とにより、転がり軸受の破壊は確実には回避され得ない。転がり軸受が破壊又は破損されると、エネルギーは転がり軸受を介してポンプハウジングに再度伝えられ、そのため、もう一度ポンプハウジングが破壊されて、従って上述したような危険が引き起こされる。
本発明は、ターボ分子ポンプにおいて、特には高速回転式のターボ分子ポンプにおいて、ポンプの破壊の場合に安全性を高めて、特にはこのような場合にポンプハウジングへの損傷を回避することを目的とする。
本発明によれば、上記の目的は、請求項1の特徴によって達成される。
本発明のターボ分子ポンプは、ポンプハウジングに配置されてステータ要素に囲まれたロータ要素を備えている。ステータ要素とポンプハウジングとの間に、隙間が設けられている。該隙間内には、破壊又は損傷の場合にエネルギーを吸収すべく、エネルギー吸収要素が設けられている。破壊の場合に、例えば、ロータの破裂が発生した際に、ロータ要素の運動エネルギーは、まずステータ要素に伝えられる。ステータ要素がポンプハウジングに固定して結合されるのではなく、結合が前記エネルギー吸収要素によってのみ行われるので、エネルギーは、ポンプハウジングに少なくとも完全には伝えられない。更に、運動エネルギーの少なくとも一部が、ステータ要素とポンプハウジングとの間に配置されたエネルギー吸収要素に吸収される。従って、ポンプハウジングによって吸収される必要がある力及びモーメントは、ステータ要素がポンプハウジングに固定して結合されているターボ分子ポンプより少なくともかなり小さくなる。その結果、ポンプハウジングが著しく損傷するという危険性、特には、ポンプハウジングが破壊され、ロータ要素又はステータ要素のためのポンプハウジングの破片が振り飛ばされてオペレータを危険な状態にさらすという危険性が十分に低減されて、好ましくは排除も可能である。
ステータ要素とポンプハウジングとの間の隙間が、エネルギー吸収要素によって部分的にのみ占められていることが好ましい。このため、その結果生じる自由な空間内で、ステータ要素に加えてエネルギー吸収要素も変形させ得るという利点がある。
エネルギー吸収要素は、少なくとも部分的にブリッジ状であることが特に好ましい。ここで、ブリッジ(web )は、ステータ要素、特にはステータ要素の外側面から、ポンプハウジング、特にはポンプハウジングの内側面に延びていることが好ましい。この点に関して、前記ブリッジは、特にはポンプハウジングをステータリング上で滑らせるときの組立工程を容易にするために、螺旋状であることが特に好ましい。
ステータ要素とポンプハウジングとの間の隙間はステータ要素の全長に沿って延びていることが好ましい。螺旋状のブリッジは、軸方向に見たとき、隙間の全長に沿って延びていることが更に好ましい。ここで、複数のステータリングを備えたステータ要素の場合には、各ステータリングは螺旋状のブリッジの全てのねじ部と協働する。螺旋状のブリッジの数が多いほど、ステータリングを中心に置く効果は高められる。例えば環状のブリッジ要素が設けられるとき、1つ又は好ましくは2つのブリッジ要素が、1つのステータリング毎に設けられている。
特に好ましい実施形態によれば、前記隙間に設けられた発明性のあるエネルギー吸収要素は摩擦面を有している。該摩擦面は、ポンプハウジングの内側面に接して設けられていることが好ましく、この実施形態では、エネルギー吸収要素は、ステータ要素に好ましくは密接されている。更に、摩擦面はステータ要素の外面に接して設けられることが可能であり、このような場合には、エネルギー吸収要素は、ポンプハウジングの内側面に密接されている。
更に、エネルギー吸収要素がステータ要素ともポンプハウジングとも全く固定して結合されていないことが可能であり、そのため、摩擦面が2面、つまり、エネルギー吸収要素とステータ要素の外側面との間に加えてエネルギー吸収要素とポンプハウジングの内側面との間に存在する。このようにして、特に摩擦により生じるエネルギー吸収が、更に高められ得る。エネルギーの更なる吸収が、エネルギー吸収要素の変形によって行われる。
本発明のターボ分子ポンプの特異な利点は、前記隙間が前記エネルギー吸収要素によって部分的にのみ占められていることにより得られる。このため、高回転モーメントがポンプハウジングに導入されることなく、且つ許容し得ないストレスにフランジ接続部をさらすことなく、ステータ要素、特にはステータリングの変形が可能になる。
好ましい実施形態によれば、ステータ要素は、保持要素によってポンプハウジングに保持されている。前記保持要素は、弾性タイプの保持要素であることが好ましく、従って、ステータ要素に付勢力が加えられる。好ましくはOリングとして設計されている保持要素の弾性変形性は、保持要素が変形することによってもエネルギーが低下するという利点を有する。前記Oリングによって生成された好ましくは低い付勢力により、ステータ要素がポンプハウジングに対して偏移され得る。
本発明を、添付図面を参照して好ましい実施形態により以下に詳細に説明する。
ロータ要素が配置されているターボ分子ポンプの一部を示す略断面図である。 第2実施形態に係る、ロータ要素が配置されているターボ分子ポンプの一部を示す略断面図である。
ターボ分子ポンプは、電動機(不図示)によって駆動されるロータ軸10を備えている。ロータ軸10は、図面に図示されていない端部で支持されており、それにより、ロータ要素12がロータ軸10の片持ち支持されていない端部に取り付けられて、ロータ軸10の端面に接続されたボルト14によってロータ軸10に密に固定され得る。ロータ要素12は釣鐘状であり、個々のロータ翼板を有する複数の径方向に延びるロータディスク16を備えている。ロータ要素12は、ポンプハウジング18内に配置されており、ロータ要素12は、矢印22によって示され、図1の下方に延びる方向にポンプハウジング18の吸込開口20を通って送られるべきガスを運ぶべく機能する。
ポンプハウジング18内に、ロータ要素12を囲むステータ要素24が配置されている。ステータ要素24は、ロータディスク16間に夫々配置された複数のステータディスク26を備えている。ここに図示された実施形態では、各ステータディスク26はステータリング28に接続されており、ステータリング28は、ロータディスク16の外側に径方向に配置されており、ロータディスク16を環状に囲んでいる。
ターボ分子ポンプは、ポンプハウジング18に接続されたフランジ30によって所定の位置に固定されている。現状の技術から公知であるターボ分子ポンプでは、ステータ要素24は、ポンプハウジング18に固定して結合されている。このために、ロータ要素12が万一破裂した場合、その結果として生じる力及びモーメントの略全てがポンプハウジング18に導入されて前記フランジ30を介して分散されなければならなくなる。しかしながら、回転速度が高い場合にはこの要件を満たすことができないため、ポンプハウジングが破損されて、高い運動エネルギーによりポンプの破片が周囲から振り飛ばされる可能性がある。
上記の危険を回避するために、本発明では、ステータ要素24がポンプハウジング18に固定して結合されていない。代わりに、ステータ要素24、特には個々のステータリング28の外側面32と、ポンプハウジング18、特にはポンプハウジング18の内側面34との間に隙間が設けられている。このような構造では、ポンプハウジング18の内側面34は、ステータ要素24が配置されている略筒状の空間を画定している。図示された実施形態では、軸方向35に互いに接続されたステータリング28は、突出しているハウジング部分38に軸方向に支持されている。更に、保持要素40が、図1では最上のステータリング28とポンプハウジング18との間に軸方向に設けられている。前記保持要素40は、弾性の保持要素であり、図示された実施形態では、保持要素40はOリングとして設計されている。ポンプハウジング18は、ステータリング28の位置を固定するための突起部42を径方向に有している。ステータリング28は、好ましくはポンプハウジング18のみによって中心に置かれている。
第1実施形態(図1)によれば、エネルギー吸収要素が、ステータリング28毎に1つの円環状のブリッジ44(web )の形態で隙間36に設けられている。図示された実施形態では、ブリッジ44は、ステータリング28と一体に形成されているか、又はステータリング28に密接されている。ブリッジ44は、摩擦面46を有するように、ポンプハウジング18の内側面34に接して配置されている。通常の作動では、ステータ要素24は静止しており、ポンプハウジング18に対して移動しない。例えば、ロータ要素12の破裂のような損傷の場合には、ステータ要素24が、ポンプハウジング18に連動する。本発明によれば、ステータ要素24がポンプハウジング18に固定して結合されていないので、ステータ要素24の回転が可能である。隙間36に配置されたエネルギー吸収要素44により、エネルギーの少なくとも大部分が、ポンプハウジング18自体により吸収される。従って、ポンプハウジング18の破片が外れてポンプハウジング18の外へ出るといった種類のポンプハウジング18への損傷が排除される。説明された原理は、ブリッジ44がポンプハウジング18の構成要素であり、ステータリング28を径方向に固定させるべく機能するという作用に反転され得る。
第2実施形態(図2)は、エネルギー吸収要素を除いて第1実施形態と同一である。従って、2つの実施形態で互いに対応する構成要素は、同一の参照番号により示されている。この実施形態では、隙間36に配置されたエネルギー吸収要素は、螺旋状のブリッジ48として形成されている。特に、ここでは、ステータ要素24の全長に沿って、つまり隙間36全体に沿って延びる螺旋状のエネルギー吸収要素48が提案されている。該螺旋状のエネルギー吸収要素48も、(図示されているように)ポンプハウジング18の内面に固定して結合され得る。

Claims (8)

  1. ポンプハウジング(18)に配置されたロータ要素(12)と、
    該ロータ要素(12)を囲むステータ要素(24)と、
    該ステータ要素(24)と前記ポンプハウジング(18)との間に設けられた隙間と
    を備えたターボ分子ポンプにおいて、
    エネルギー吸収要素(44,48) が、損傷の場合にエネルギーを吸収すべく前記隙間(36)に設けられていることを特徴とするターボ分子ポンプ。
  2. 前記エネルギー吸収要素(44,48) は、前記隙間(36)を部分的にのみ占めていることを特徴とする請求項1に記載のターボ分子ポンプ。
  3. 前記エネルギー吸収要素(44,48) は、少なくとも部分的にブリッジ状であり、該ブリッジは、前記ステータ要素(24)から前記ポンプハウジング(18)に延びていることを特徴とする請求項1又は2に記載のターボ分子ポンプ。
  4. 前記ブリッジ(48)は螺旋状であり、螺旋状のブリッジは、軸方向(35)に、好ましくは前記隙間(36)の全長に沿って延びていることを特徴とする請求項3に記載のターボ分子ポンプ。
  5. 前記エネルギー吸収要素(44,48) 、特に前記ブリッジは、前記ポンプハウジング(18)の内側面(34)に接した摩擦面(46)を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のターボ分子ポンプ。
  6. 前記エネルギー吸収要素(44,48) 、特に前記ブリッジは、前記ステータ要素(24)の外側面(32)に接した摩擦面を有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のターボ分子ポンプ。
  7. 前記エネルギー吸収要素(44,48) は、前記ステータ要素(24)又は前記ポンプハウジング(18)に固定して結合されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のターボ分子ポンプ。
  8. 前記ステータ要素(24)は、好ましくは弾性の保持要素(40)によって前記ポンプハウジング(18)に保持されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のターボ分子ポンプ。
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