JP2012509222A - 車両用シート - Google Patents

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Abstract

車両の衝突に対応する予め定められた条件に遭遇した場合に、シートの一部を、シートの他の部分及び/または前記シートが取り付けられた車両に対して、積極的に変位させるように配置された手段(24)を備えていることを特徴とする車両用シートを提供する。シートは、車両の1以上の衝突検知センサによって検知された状態に基づいて、電子制御ユニットによって起動するアクチュエータによって変位する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、車両用シート(vehicle seat)に関するものであり、特に限定されるものではないが、自動車用シート(automotive vehicle seat)に関するものである。
自動車用シートは、乗員の快適性及び安全性を高めるために、あらゆる調節が可能である。ここで、調節には、調節対象の自動車の長手方向軸線(longitudinal axis)に対するシートの位置を調節する前後方向移動、調節対象の自動車の垂直軸方向に対するシートの位置を調節する上下方向移動、調節対象のシートに対して傾斜するようにクッション部分に対する背もたれ部分(squab part)のピボット移動を含む。
これらの調節を可能にするために備わっているメカニズムによって、シートにはある程度の遊び(play or compliance)が与えられている。これが車両の衝突時において問題を生じさせる。すなわち、調節メカニズム内の遊びによる車両に対するシートの動きが、衝突中にシートに座っている乗員が、車両に対して動いてしまう一因となる。この動きによって衝突時に車両の乗員の動きを拘束し、制御するためのシートベルトやエアバッグなどの安全装置(safety devices)の意図した効果をほとんど無効にしてしまい、乗員が負傷する危険性が増してしまう。
車両用シートが複雑化したため、質量が増加し、この問題を更に悪化させている。なぜなら、質量が増加すると、車両が衝突に巻き込まれた場合に、シートによって発生する力も増加するためである。直接車両に取り付けられているのではなく、シートに取り付けられた一体型シートベルトが車両用シートに備えられている場合に、問題は更に悪化する。この配置の場合、車両の衝突時に乗員によってシートベルトに対して加わる力は、車両に対して直接伝達されるのではなく、車両用シートに伝達される。これによって、シートに対する負荷を更に増加させ、車両に対するシートの遊びを生じさせ、車両に対するシートの動きを生じさせる。
本発明は、これら課題を考慮してなされたものである。
本発明の一態様によれば、車両用シートであって、車両の衝突に対応する予め定められた条件に遭遇した(encountered)場合に、シートの一部を、シートの他の部分及び/またはシートが取り付けられた車両に対して、積極的に変位させる(positively displace)ように配置された手段を備えていることを特徴とする車両用シートが提供される。
本発明の他の態様によれば、車両用シート上における車両の衝突の影響(effects)を弱める(counteracting)方法であって、車両の衝突に対応する予め定められた条件に遭遇した場合に、シートの一部を、シートの他の部分及び/またはシートが取り付けられた車両に対して、積極的に変位させることを特徴とする方法が提供される。
少なくともシートの一部に積極的な変位を導入することによって、シートが取り付けられた車両に対するシートの一部またはシートの他の部分の正味の動き(net movement)を、低減または除去することができる。結果として、車両の構造によって、シートに座っている乗員の動きも低減し、同様に、乗員の衝突の結果による怪我のリスクを低減することに役立つ。
積極的に変位することにより、車両の衝突時に発生する力によるシートの動きを少なくとも一部オフセットするように設計されていることが望ましい。
積極的に変位させるように配置された手段は、アクチュエータを備えていてもよい。アクチュエータは、例えば、炸薬(explosive charge)またはその他の適切なガス発生器(gas generator)によって駆動可能なガス作動式ピストン及びシリンダ配置からなる。アクチュエータは、シートの構成部品の間、及び/またはシート及びシートが取り付けられた車両の間に取り付けてもよい。アクチュエータは、シートが取り付けられた車両に対するシートの部品及び/またはシートの相対的な位置を調節するように設計された、調節機構を作動させるように設計されていてもよい。調節機構は、枢動可能に接続された2つの部材(pivotally connected members)を備えており、アクチュエータは、2つの部材を互いに対して枢動するように配置されていてもよい。シート及び/またはシートの構成部品を、通常の位置及び/または変位した状態でロックできるように作動可能なロック手段を更に備えていてもよい。ロック手段は協働する構成部品(cooperating components)を備えていてもよく、また、ラチェット(ratchet)を含んでいてもよい。
アクチュエータは、車両の1以上の衝突検知センサによって検知された、車両が衝突した状態に基づいて、積極的にシートの一部を変位させる手段を起動させるように設計された電子制御ユニットによって起動するようにしてもよい。この場合には、衝突が発生してから少なくとも10ms(ミリ秒)以内にアクチュエータが起動されることが望ましい。
一実施の形態では、シートは、クッション部及び背もたれ部を備えており、前述の手段は、シートが取り付けられた車両に対して、クッション部の前方部を上方向に変位するように設計されている。これにより、正面衝突時に、シート構造の遊びにより、クッション部の後ろあたりでシートが枢動し、車両に対してシートの背もたれ部が(正面を向いているシートに対して)後ろ方向に動き、前方向へと動こうとする傾向を弱める。
本発明をはっきりと理解するために、本発明の実施の態様を、例として、添付の図を参照して示す:
本発明による車両用シートを示す斜視図である。 標準位置にある図1に示したシートの一部断面の左側面図である。 シートのクッション部分の正面を起こすために、図2に続くアクチュエータの展開を示す図である。 図2の四角枠15でおおまかに囲まれたアクチュエータ及び関連する部品を拡大及び簡略化した図である。 図4において、アクチュエータを取り除いた状態を示す図である。 図4において、アクチュエータが展開し始めた状態を示す図である。 図6において、アクチュエータを取り除いた状態を示す図である。 図4において、アクチュエータが部分的に展開した状態を示す図である。 図8において、アクチュエータを取り除いた状態を示す図である。 図4において、図3に示すように、アクチュエータが完全に展開した状態を示す図である。 図10において、アクチュエータを取り除いた状態を示す図である。
図に示すように、自動車用シートは、クッション部分1及び背もたれ部分2から構成されており、各部分は、それぞれの金属フレーム3,4、支持用張り物(supporting upholstery)5を有している。
クッション部1及び背もたれ部2は、ピボット(pivot)6によって枢動可能につながっており、クッション部1に対する背もたれ部2の傾斜角度(rake)を調節することが可能である。背もたれ部2の傾斜角度調節機構はシートの一方の側面に備えられている。
クッションフレーム3は、おおまかに7の符号が付された高さ調節機構を介して可動スライド8に取り付けられている。可動スライド8は、スライド可能な状態で固定スライド9に取り付けられており、また、固定スライド9は、車両の床に固定されている。可動スライド及び固定スライドの配置によって、車両に対してシートを前後方向に移動することができる。高さ調節機構によって、車両の床及び屋根に対してシートを高さ方向に移動することが可能である。
シートは、ウエビング・ストラップ(webbing strap)11からなるシートベルトを含んでいる。図1では、シートに乗員は示されていないが、シートベルトを締結した状態で示されている。ウエビングは、シートの背もたれ部2に内蔵された従来型のリールにしまわれており、シートの背もたれ部2の頂部にある開口部12から繰り出すことができる。また、ウエビング11にスライド可能に取り付けられた取付金具(fitting)13が、背もたれ部の底部にあり且つ背もたれ部のウエビング・ストラップ11を繰り出す開口部12がある側の反対側にあるアンカーポイント(anchor point)に固定されたラッチ(latch)に係合されるように、シートに座った乗員を横切って、対角方向(diagonal fashion)に引っ張ることができる。ウエビング・ストラップ11は、クッションフレーム3上で、固定部(fastening)からアンカーポイント14に向かって連続している。リールは、‘イナーシャ’タイプであり、衝突時にロックするように設計されており、リールからシートベルトがさらに引っ張り出されることを防止し、シートに座っている乗員の動きを制限する。
可動レール8に対するクッションフレーム3の前方取付部(front mounting)は、下部ストラット部材(lower strut member)17及び上部ストラット部材(upper strut member)とから構成されている。下部ストラット部材17の一端は、ピボット16によって可動スライド8に枢動可能に取り付けられており、他端はピボット19によって上部ストラット部材に枢動可能に取り付けられている。同様に、上部ストラット部材は、ピボット20によってクッションフレーム3に接続され、ピボット22によってロック部材21に接続されている。ピボット19,20及び22は、略等辺三角形の角部を構成している。
ロック部材21上の第2のピボット23には、アクチュエータ24の一端が取り付けられている。アクチュエータ24の他端は、ピボット16に取り付けられている。アクチュエータは、シリンダ25とピストン配置(piston arrangement)とから構成されている。なお、ピストン(図示せず)は、ロッド26に接続されている。
シリンダには、炸薬が入っており、爆発することによってピストンをシリンダ25に沿って動かし、シリンダ25からロッド26を駆り立てる(urge)ようになっている。
上部ストラット部材18上のピボット22には、第2のロック部材が取り付けられている。第2のロック部材は、細長く、全体的に湾曲している。第2のロック部材は、ピボット22の両側に延びている。上部ストラット部材に取り付けられた伸縮バネ(return spring)28は、ピボット22からシートフレーム3へ向かう方向に第2のロック部材27を押さえつけ、歯のある輪郭を有する(toothed profile)第2のロック部材27の他端を上方向に持ち上げる。
第1のロック部材30及び第2のロック部材31は、下部ストラット部材17にも取り付けられている。第1のロック部材30の下縁部は上方向に延びるスロット(slot)を画定し(define)、第2のロック部材31の下縁部は歯のある輪郭を画定している。
上部ストラット18のロック部材21及び下部ストラット17の第1のロック部材30は、互いに係合するように配置されている。
シートの正常な位置は、図2,図4及び図5に図示されている。この位置において、上方向に向けられた突起物を画定するロック部材21は、下部ストラット部材17の第1のロック部材21と係合しており、矢印30aで示されているように、一方のロック部材のタブ(tab)が他方のスロットに受け入れられている。
2つのロック部材が係合することにより、上部ストラット部材18と下部ストラット部材17の相対的な動きが制限され、実質的に妨げられる。
車両には普通にあることであるが、シートが備えられる車両には、車両が衝突に巻き込まれたか否かを判断することが可能な1以上のセンサが備えられている。特有のタイプの衝突を検知したことを示す状況の場合、制御ユニットが1以上の安全機能(safety features)を展開させる(deploy)ように動作させることが可能である。本事例では、正面衝突(frontal impact)の始まり(onset)を検知すると、点火(fire)するようにアクチュエータ24をチャージ(charge)し、シリンダ25からロッド26が駆り立てられるようになっている。アクチュエータは、衝突事故が発生してから10μs以内で作動することが好ましい。
アクチュエータが展開されると、アクチュエータは2つのポイント(ピボット16及びピボット23)が離れて取り付けられた状態になるように作動する。このことによって、図6及び図7に図示したように、まず、ロック部材21が上部ストラット部材18に対して回転し、下部ストラット17の第1のロック部材のスロットからロック部材のタブが係合を離脱し(disengage)、2つのストラットが相対的に動けるようになる。
ロック部材21は、ピボット22が、ピボット16からピボット23へ延びる仮想直線(straight line)上に位置するまで回転する。アクチュエータ24が継続して動き、ピボット16とピボット23とが離れることによって、図2,図4及び図5に図示した位置から図6及び図7に図示した位置を通って、図8及び図9に図示した位置まで、上部ストラット部材18及び下部ストラット17が互いに対して相対的に動く。このように動かすことにより、シートのクッション部1の前方部(front part)を可動レール9から離れて上方向に変位させ(displacing)、シートをその後方取付部(rear mounting)のあたりに対して枢動させ、シートの背もたれ部2を車両の床に対して相対的に後ろ方向に移動させる効果がある。この様子は図2及び図3を比較することで理解することができ、図3では、シートの背もたれ部は、仮想線32から変位している。
アクチュエータ24が、上部ストラット部材18及び下部ストラット17の第2のロック部材27及び31の歯がある輪郭を広げて(extends)互いに係合させるにつれて、伸縮バネ28が、2つを互いに押しつけるように付勢する(urge)。2つのロック手段は、シートが元の位置に戻ろうとすることを妨げるラチェットとして機能する。
上部ストラット部材18は、2つのストラット部材が、ピボット16及び20が互いに対して実質的に最大の変位位置にある相対位置になった場合に、下部ストラット17が接触する(abut)ストッパ(stop)33を含んでおり、2つの部材が相対的に前方向に動くことを妨げる。2つの部材は、図3,図10及び図11に図示される位置にある場合にロックされ、一方の方向への動きはストッパ33によって妨げられ、他方の方向への動きは第2のロック部材27及び31によって妨げられる。
このようにして、本発明は、衝突の開始によってアクチュエータが作動するまで、正常な位置にロックされた車両用シートのために提供されるものである。1つのアクチュエータが作動すると、まず正常な作動位置のシートのロックが解除され、次に車両の床に対して上方向にシートの前方部が変位して、第2の位置に取り付けられ、その位置でシートはロックされる。シートの前方部が上方向に変位すると、シートをその後方取付部のあたりに対して枢動させ、シートの背もたれ部を、取り付けられている車両の床に対して相対的に後ろ方向に移動させる。このことにより、衝突時(collision conditions)において、シート構造において遊び(compliance)がある結果として、シートが前方向に動くことを少なくとも一部調整(compensate)することができ、そのため、衝突の結果として、シートに座っている乗員の動きと乗員が怪我をする可能性を低減することができる。
上記実施の態様は、例示としてのみ説明されている。本発明の範囲を逸脱することなく、多くの変形例が可能である。

Claims (12)

  1. 車両用シートであって、
    車両の衝突に対応する予め定められた条件に遭遇した場合に、前記シートの一部を、前記シートの他の部分及び/または前記シートが取り付けられた車両に対して、積極的に変位させるように配置された手段を備えていることを特徴とする車両用シート。
  2. 前記積極的に変位させるように配置された手段は、アクチュエータを備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。
  3. 前記アクチュエータは、ガス作動式のピストン及びシリンダ配置からなることを特徴とする請求項2に記載の車両用シート。
  4. 前記アクチュエータは、前記シートの構成部品の間、及び/または前記シート及び前記シートが取り付けられた車両の間に取り付けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の車両用シート。
  5. 前記アクチュエータは、前記シートが取り付けられた車両に対する前記シートの部品及び/または前記シートの相対的な位置を調節するように設計された、調節機構を作動させるように設計されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の車両用シート。
  6. 前記調節機構は、枢動可能に接続された2つの部材を備えており、
    前記アクチュエータは、前記2つの部材を互いに対して枢動するように動かすように配置されていることを特徴とする請求項5に記載の車両用シート。
  7. シート及び/またはシートの構成部品を、通常の位置及び/または変位した状態でロックできるように作動可能なロック手段を更に備えていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車両用シート。
  8. 前記シートは、クッション部及び背もたれ部を備えており、
    前記手段は、前記シートが取り付けられた車両に対して、前記クッション部の前方部を上方向に変位するように設計されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の車両用シート。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の車両用シートを備えていることを特徴とする車両。
  10. 車両の1以上の衝突検知センサによって検知された、車両が衝突した状態に基づいて、積極的にシートの一部を変位させる手段を起動させるように設計された電子制御ユニットを更に備えていることを特徴とする請求項9に記載の車両用シート。
  11. 車両用シート上における車両の衝突の影響を弱める方法であって、
    車両の衝突に対応する予め定められた条件に遭遇した場合に、前記シートの一部を、前記シートの他の部分及び/または前記シートが取り付けられた車両に対して、積極的に変位させることを特徴とする方法。
  12. 積極的に変位することにより、前記車両の衝突時に発生する力による前記シートの動きを少なくとも一部オフセットするように設計されていることを特徴とする請求項11に記載の方法。
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