ある技術範疇を形成する多層アンテナは、特許文献1から公知である。
特許文献1に示される平面(プレーナ)構造の多層アンテナは、導電性の接地面と、導電性の放射面(接地面に対して平行にかつ一定距離離間して配置される)と、接地面と放射面との間に挟持される誘電性の担体とを有する。放射面上に支持装置が配置され、支持装置上に導電性の貼着片が位置決めされる。貼着片の支持装置は、貼着片の厚み又は高さよりも小さい厚み又は高さを有する。
静電容量体、即ち中実材料として貼着片自体を形成することができる。金属板又は金属薄板により貼着片を構成することもでき、例えば、切断又は打抜きにより、一周しかつ誘電担体から離間する方向に延伸するウェブ、端縁等を貼着片に設けることもできる。
この種のパッチアンテナ(マイクロストリップアンテナ)は、特に自動車アンテナ、特に、例えば衛星ディジタルオーディオ無線サービス(SDARS)に適する。そのため、他のサービス用の他のアンテナ放射器の他にこの種のパッチアンテナを共通の基板配置上に配置することができる。
共通のハウジングの下方に配置される複数のアンテナを有するこの種のアンテナ装置は、例えば特許文献2から公知である。
特許文献2に開示される多機能アンテナは、台座と、長手方向の互いに異なる位置で台座上に配置される4つの異なるアンテナと、全てのアンテナを覆うハウジングとを備える。特許文献2は、異なる4つのアンテナを使用するアンテナ装置の1例にすぎない。しかしながら、特許文献2とは異なるアンテナ装置が必要な場合も多く、使用する通信原理及び/又は通信システムを提供する企業には無関係に、衛星ディジタルオーディオ無線サービス(SDARS)用のアンテナ装置と、例えば、地球位置を求める他のパッチアンテナ、即ち、GPSアンテナと略称するアンテナ(所謂衛星利用測位システム、GPS、ガリレオシステム等が公知である)のみを必要とする場合もある。
特許文献1は、特に、衛星ディジタルオーディオ無線サービス又は人工衛星を介してかつ/又はそれらから同時に地球上に放射して同様の無線放送を受信できる早期アンテナを凌駕して基本的に改良されたパッチアンテナを開示する。
積層配置される複数の放射面を有するパッチアンテナ装置も、同様に公知である。このパッチアンテナ装置では、通常、基板を介して他のパッチアンテナ上に単一のパッチアンテナが配置される。この積層構造により、様々の周波数帯域内で作動するアンテナを実現できる。この種のアンテナ装置は、例えば特許文献3、4、5又は非特許文献1から、既知であり、例えば、前記「積層パッチアンテナ」では、複数の板状の基板平面は、その上に形成される導電性の貼着(パッチ)面と共に互いに重ねて配置される。
特許文献6は、例えば、基板と、基板の上側に配置される寄生貼着(パッチ)片と、基板及び寄生貼着片を内部に収容する導電性の外側ハウジングとを備えるハウジング形状のアンテナ装置を示す。寄生貼着片の下方で基板内に埋設されるパッチ面は、電気により付勢され、電気付勢されるパッチ面と基板の上側に設けられる寄生貼着片との間の中間位置に更に他のパッチ面を形成することができる。
電気付勢されるパッチ面とその上方に配置される寄生貼着片(パッチ)とを有するアンテナ装置の基本原理が公知であることは、所謂「電磁ラッパ(ホーン)」と組み合わせる構造でも、例えば、非特許文献2から明らかである。
しかしながら、公知の前記形態とは関係なく、早い時期のアンテナを凌駕して基本的に改良されてある技術範疇を形成する特許文献1の前記パッチアンテナは、特に衛星ディジタルオーディオ無線サービス又は人工衛星を介してかつ/又はそれらから同時に地球上に放射して同様の無線放送を受信できる点に注目すべきである。
例えば、他のパッチアンテナと共にこの種のパッチアンテナを衛星利用測位システム(GPS)サービスに使用するアンテナ装置は、図1の垂直断面に示す基本構造を有する。
図1は、下部に配置されて図式的にのみ示す通常導電性の支持体Sと、支持体S上に配置されるアンテナと、支持体Sとアンテナとを包囲して内部のアンテナを保護する電磁放射を透過する被覆体Hとを有するアンテナ装置を示す。
例えば、特許文献1(国際特許公開第2007/144104号公報に相当する)により公知の改良された多層(マルチレイヤ)アンテナAを図1に図式的に表示する。
また、図1に水平の垂直断面で簡略化して示すアンテナ装置は、底部に配置される接地面Mと、接地面M上に垂直に離間して配置される導電性のパッチ面Rと、接地面Mとパッチ面Rとの間に配置されて通常のパッチアンテナとして走行方向に延伸して車両に取り付けられる誘電性の基板Dとを通常有する第2のアンテナBを備える。公知のように、下方から支持体S、接地面M及び基板Dを貫通する孔内を通り、パッチ面Rに化学電気的に接続される供給線Lを介して第2のアンテナBに給電される。基板Dは、セラミック等の高誘電率を有する物質により形成することが好ましい。
本発明の課題は、他のサービス(例えば種々の周波数領域内のモバイル無線サービス等)用の他のアンテナを必要に応じて使用できる基本型となるこの種のアンテナ装置を改良することにある。
本発明では、請求項1に記載する特徴により前記課題を解決する。本発明の好ましい形態を下位請求項に記載する。
図1に示すアンテナ装置に比較して、本発明の技術的範囲内で極めて小形に構成されかつ驚くべき解決手段を提供するアンテナ装置が形成される。
本発明に基づく解決手段の枠内で、第1又は一次のパッチアンテナの放射面の上方に一定距離離間して(電気付勢され又は寄生の)導電性の貼着片(少なくとも部分的に、周縁部を一周しかつアンテナAの放射面から離間する方向に延伸する端縁又は壁を貼着片に設ける)を配置し、貼着片内に図1に示す付加的なパッチアンテナBを配置するアンテナを提案する。
換言すれば、例えば、前記アンテナAに対して付属の放射面の上方に配置する寄生の貼着片を箱形又は箱類似形状に形成し、衛星利用測位システム(GPS)サービス用に設けられる付加的な、第2又は二次のパッチアンテナを寄生の貼着片内に取り付ける。
箱形又は箱類似形状に形成される貼着片内に付加的なパッチアンテナを必要な高さだけ配置することができる。第1のアンテナの箱形又は箱類似形状の貼着片の一周する端縁を越えて、付加的なパッチアンテナの上側は、貼着片から突出する。
しかしながら、第1のパッチアンテナの寄生の貼着片の少なくとも部分的に一周する端縁を他のパッチアンテナの上面の上方に延伸させて、貼着片の一周する端縁又は端縁部分から付加的なパッチアンテナを突出させずに、付加的なパッチアンテナを貼着片の収容空間内に完全に配置することができる。
その場合に、第1のパッチアンテナの寄生の箱形又は箱類似形状の貼着片上に、絶縁層を介在させて、他の−特に衛星利用測位システムサービス用に設けられる−パッチアンテナを配置しかつ/又は固定することができる。
また、第1のパッチアンテナの寄生の貼着片により他のパッチアンテナの接地面も同時に形成すれば、第1のパッチアンテナの箱形又は箱類似形状を有する寄生の貼着片上に専用の接地面のない他の特に衛星利用測位システムサービス用に設けられるパッチアンテナの基板を直接支持することができる。
また、本発明の技術的範囲内では、他のパッチアンテナの下側及び/又は一周する端縁に対向して、寄生の貼着片の少なくとも部分的に一周する端縁又は一周する壁を形成できることは、明らかである。従って、所謂箱形又は箱類似形状の貼着片の対応する導電性部分を、全部又は部分的に、他のパッチアンテナの対応する部分上に金属化層として形成すると、本来別体の構成部品、即ち全部又は一部を別体の構成部品として前記箱形又は箱類似形状の貼着片を設ける必要がない。
この場合に、一次アンテナの寄生の貼着片を全部又は部分的に金属化層により構成し、他のパッチアンテナの下側及び/又は一周する側壁上に寄生の貼着片を形成することができる。他のパッチアンテナを形成する際に、特に、他のパッチアンテナの基板上に送信方向に導電性のパッチ面(放射面)を配置し、パッチアンテナの基板の上側と下側の金属化部の形式の導電性の接地面をパッチ面の反対側に設けるとき、パッチアンテナ自体を形成する場合と同様に、寄生の貼着片を形成する工程を実現することができる。従って、この場合に、従来パッチアンテナの放射面の上方に設けられていた物理的に自立する要素となる箱形又は箱類似形状を有する追加の寄生の貼着片を作成する必要がない。
他のパッチアンテナの下側及び/又は一周する側面のうち1つ又は複数の側面上に金属化部を完全に一周して形成する必要はなく、例えば、周方向の角部で金属化部に切欠部を設け、異なる高さに金属化部を形成し、特に、下方に配置される接地面又は寄生の貼着片から側面上の金属化部を化学電気的に分離することができる。他のパッチアンテナの上側に到達して側面の金属化部を形成できるが、他のパッチアンテナの上側では、電気付勢により給電される他のパッチアンテナの放射面(アンテナパッチ)から金属化部を化学電気的に分離しなければならない。
他のパッチアンテナの特に基板、第1のパッチアンテナの寄生の貼着片の面でもある他のパッチアンテナの接地面及び送信側/受信側に設けられて電気付勢される他のパッチアンテナの放射面(パッチ面)を必ずしも正方形又は矩形の形状に形成する必要はない。接地面及び放射面をn角形で形成でき、特に、規則的な矩形形状とは異なる他の形状に形成することができる。また、少なくとも部分的に第1のパッチアンテナから離間する方向に延伸する付加的なパッチアンテナの基板の側壁又は側面をパッチアンテナの軸方向に対して必ずしも平行(種々の接地面及び/又はパッチ面に対して垂直)に形成する必要はなく、面取りした縁部、屈曲された縁部等を他のパッチアンテナの側壁又は側面に設けることができる。その限りでも、接地面及び放射面の形状に制限は与えられない。
図1に示す従来技術の課題を解決するため、本発明の技術的範囲内で、本発明では、組み合わせアンテナ構造に対する専用空間需要を著しく削減できる。特に、アンテナの外側包装の形態に対し車両メーカーが設定する設計データの下で通常僅かな専用空間需要しか与えられない厳しい設計条件が要求される車載用屋根アンテナシステムにとって、減少する全体の大きさは、重要である。
その場合に、特許文献1に記載される自動車アンテナの電気的特性自体を更に良好に維持できるのみならず、必要な取付空間を削減し、その上でアンテナ装置の構成を改良できることは、極めて驚くべき点である。既存の貼着片内に他のアンテナを挿入し配置する構成は、当業者でも容易に想到できない着想である。アンテナシステムは、衛星利用測位システム(SDARS)サービス無線の受信に適するものでなければならないが、対応する所望の良好な受信特性が従来のアンテナから得られず、衛星利用測位システムサービス無線を受信するアンテナ構造を極めて厳密に評価しなければならないので、本発明の作用効果は、それだけ驚くべきものである。
本発明の技術的範囲内では、衛星利用測位システムとなる上方の他のアンテナの特性にも、不利な影響を受けない。これも、驚くべき効果である。また、本発明の枠内において、衛星利用測位システムとなる上方の他のアンテナを比較的大きく形成でき、下方に配置される衛星ディジタルオーディオ無線サービスパッチ面と同一の大きさに他のアンテナを形成する場合もある。これは、従来技術に対する他の重要な差異である。本来、上方の第2のパッチアンテナを下方の第1のアンテナよりも常に小さく形成しなければならなかった。衛星利用測位システムサービス用のパッチアンテナを拡大できるので、このサービス無線を受信する著しい改良も行うことができる。本発明の技術的範囲内では、特に、下方の衛星ディジタルオーディオ無線サービスパッチよりも大きく上方のパッチアンテナ及び上方の誘電担体を形成できる好適な実施の形態が可能である。これにより、衛星ディジタルオーディオ無線サービスパッチの特性を最終的に改良できる。
更に、本発明の技術的範囲内では、2つのパッチ放射器を有する全アンテナ装置を実現でき、それは、生産工程の枠内で先行する工程で完全に全アンテナ装置を組み立てて、その後、アンテナ台座又はアンテナ基板上にユニットとして全アンテナ装置を取り付けることができる。これは、従来技術(図1に示す)により従来のアンテナ装置を形成する場合の製造工程に対して著しい利点である。
本発明の実施の形態を図面について以下詳細に説明する。
図2〜図5に示すように、軸Z方向に沿って互いに重ねて積層配置される面と層とを有するパッチアンテナの実施の形態をまず説明する。この種の貼着片は、基本的に特許文献1により公知であり、特許文献1の開示内容の全範囲を本明細書の一部とする。特許文献1から公知の貼着片は、勿論付加的なパッチアンテナを有しない。
図2に図式で示す断面図から明らかなように、パッチアンテナAは、底部側又は取付け側1に設けられる導電性の接地面3を有する。接地面3上に直接又は接地面3から垂直方向に一定距離離間して誘電担体5が配置され、誘電担体5の外側輪郭5’は、平面図上接地面3の外側輪郭3’に通常相当する。しかしながら、接地面3の外側輪郭3’より大きく又はより小さく誘電担体5の寸法を設計しかつ/又は接地面3の外側輪郭3’とは異なる外側輪郭5’を誘電担体5に付与することもできる。接地面3の外側輪郭3’をほぼn角形に形成できかつ/又は特に湾曲部を設け、別法として一般的ではないが、湾曲面で形成することができる。
接地面3の厚みの通常数倍に相当する十分な高さ又は厚みが誘電担体5の上面5aと下面5bと間に設けられるので、近似的に2次元面で構成される接地面3とは異なり、十分な高さと厚みを有する3次元立体として誘電担体5が形成される。
空気を使用し又は他の誘電体に隣接する空気層を介在させて誘電担体5とは異なる他の種類の誘電体又は他の種類の誘電体構造を設けることもできる。誘電体として空気層を使用するとき、勿論、後述する例えば脚柱、ボルト、支柱等を有する対応する支持体装置を設けて、パッチアンテナの他の部分を空気層上に支持しかつ保持しなければならない。
誘電担体5の下面5bに対向する上面5a上に形成される導電性の放射面7も同様に、近似的に2次元面とみなすことができる。放射面7は、供給線9を通じて給電されかつ励起され、放射面7に対し横方向、特に垂直下方から支持体(台座、シャーシ)S、接地面3及び誘電担体5を貫通する孔又は通路5c内に供給線9を配置するとよい。
誘電担体5の下方に通常配置される接続箇所11に詳細には図示しない同軸ケーブルを接続して、同軸ケーブルの内側導体となる供給線9を放射面7に電気−化学電気的に接続し、同軸ケーブルの外側導体を接地面3に電気−化学電気的に接続することができる。接続する同軸線の代わりに、複数のマイクロストリップ線を使用し、それらを放射面7及び接地面3に接続することもできる。
図2以降に示す実施の形態では、誘電体5と平面図上矩形形状のパッチアンテナAを説明する。しかしながら、誘電体5の形状又はその形状に対応する輪郭又は輪郭線5’を矩形形状とは異なるほぼn角形の形状に形成することもできる。一般的ではないが、特に湾曲する外側輪郭を付与することができる。
誘電体5上に取り付けられる放射面7の下方に配置される誘電体5と同一の輪郭又は輪郭線7’で放射面7を形成することができる。図示の実施の形態では、誘電体5の輪郭線5’に適合して、同様に矩形の基本形状に放射面7を形成するが、ほぼ等辺直角三角形断面を切り取る扁平部(面取り)7” (図3の平面図のみに示す)を対向する2つの端部に形成することができる。このように、ほぼn角形の輪郭を有する輪郭線7’又は特に湾曲する外側境界7’を設けることもできる。
「三次元立体」とは言えない極めて薄い厚みをそれぞれ有する接地面3と放射面7も、「2次元」面とも言えよう。接地面3と放射面7の厚みは、通常、1mm未満、即ち通常0.5mm未満、特に0.25mm未満、0.20mm、0.10mmである。
例えば、通常市販されるパッチアンテナ又は好適なセラミック材料製の誘電性の担体層5を備える所謂セラミックパッチアンテナによりパッチアンテナAを構成することができる。パッチアンテナAは、積層パッチアンテナとして形成され、上方の放射面7の上方に(好ましくは放射面7対して垂直方向に離間しかつ平行に)、寄生の貼着片13を付加的に設ける点でパッチアンテナAは異なる。寄生の貼着片13は、接地面3又は放射面7とは異なり、接地面3と放射面7に比較してより大きい高さ又は厚みを備える3次元構造を有する。
厚み又は高さ17を有する支持装置19(特に、誘電性の支持装置)を介して寄生の貼着片13を保持しかつ支持することが好ましい。例えば、所謂両面接着可能な付着取付け層19’として形成できる付着層又は取付け層19’を誘電性の支持装置19に設けることが好ましい。両面接着の目的で、通常市販されかつ支持に必要な厚みを有する両面接着可能な接着テープ又は発泡バンド、接着パッド等を使用することができる。この方法により、通常市販されるパッチアンテナ、特にセラミックパッチアンテナの上側に貼着片13を固定して取り付ける簡単な取付可能性が得られる。
図2に線のみで示す支持体S、即ち補足的に示す基体20上に積層パッチアンテナAが位置決めされる。基体20は、本発明による積層パッチアンテナ及び必要に応じて他のサービス用の他のアンテナを並置して支持する例えば自動車アンテナを支持する基体、即ち、台座20を表す。例えば、特に、衛星ディジタルオーディオ無線サービス用の人工衛星信号又は地球上信号を受信するアンテナとして本発明による積層パッチアンテナAを使用することができる。しかも他のサービスへの使用は、制限されない。
例えば、必要な長手方向及び横方向の寸法と十分な高さとを有しかつ上方に開放する箱形の導電性金属体により貼着片13を構成することができる。
図4と図5の斜視図に示すように、支持装置19に対応する矩形又は正方形の輪郭形状53’を有する貼着片13は、矩形又は正方形の形状に限定されない。平面図として観察すると、図4に示す上方の貼着片13は、一周する端縁又は壁を含めて、矩形又は正方形に形成されるが、その点は、後に詳述する。図3の平面図に示すように、矩形又は正方形とは異なる形状、例えばn角形の形状に寄生の貼着片13を形成することもできる。例えば、パッチアンテナA上に配置されて電気付勢される放射面7の扁平部7”に隣接する2つの対向角部に扁平部(面取り)13’を設ける貼着片13を図3に示す。
図示の実施の形態では、放射面7の縦方向寸法と横方向寸法よりも大きい縦方向寸法と横方向寸法とを貼着片13に付与する一方でかつ/又は他方で誘電担体5及び/又は誘電担体5の下方に配置される接地面3の縦方向寸法と横方向寸法よりも大きい縦方向寸法と横方向寸法とを貼着片13に付与する。
図示の実施の形態では、支持装置19上に取り付けられ又は固定される図示の寄生の貼着片13は、基板面又は中央面53”と、基板面又は中央面53”の周囲に一周する端縁又は折曲部53d(対応する起立部53d)とを有しかつ上方に開放する箱形に形成され、折曲部53dは、接地面3に対し平行な基板面53”の平面から横方向、特に垂直に隆起する。例えば、導電性の金属薄板を切断し周縁部を折り曲げて箱形に貼着片13を形成でき、その場合に、電気的/化学電気的に接続可能に一周する角部領域53dを例えば半田付けにより互いに結合することができる(更に、中央部分53”内に更に開口部又は切欠部を設けるが、更なる説明を省略する)。
図示のように、第2のパッチアンテナBが寄生の貼着片13の上方に配置される。例えば、寄生の貼着片13の一周する起立部53d間に形成される内側空間の縦方向寸法と横方向寸法より少なくとも僅かに小さい縦方向寸法と横方向寸法で第2のパッチアンテナBが設計される。この構造により、貼着片13の内部空間53a内に様々な寸法のパッチアンテナBを配置できる可能性が生ずる。換言すれば、第2のパッチアンテナBの最下部に配置される下境界平面101は、寄生の貼着片13の内部空間53a内に配置され、寄生の貼着片13のウェブ、端縁又は外壁53dの一周する上縁により形成される上境界平面53cの下方に境界平面101が配置される。
また、第2のパッチアンテナBは、上側105aと下側105bを備える基板(誘電担体)105を有し、第2又は二次のパッチアンテナBは、送信方向/受信方向に(従ってパッチアンテナAから逸らせて)配置するように、基板105の上側に設けられる導電面として電気付勢される放射面107と、パッチアンテナAに向いて基板105の下側105bに設けられる付属の第2の接地面103とを有する。
図面から明らかなように、第2のパッチアンテナBの放射面107に対して横方向、特に垂直(従ってアンテナ装置全体のZ軸方向)に、他の通路又は他の孔105cが設けられる。台座20、第1又は一次のパッチアンテナA(従って接地面3、誘電性の担体層5及び放射面7)、支持装置19、寄生の貼着片13を通り、第2のパッチアンテナBと支持装置19との間に必要に応じて配置される支持層、パッチアンテナBの第2の接地面103及び基板(誘電担体)105を通り、基板105の上部に配置される第2のパッチアンテナBの第2の放射面107まで、通路105cは延伸する。
台座20の下側に取り付けられる同軸ケーブルの内側導体の端子に接続される供給線109は、通路105c内を延伸して放射面107に接続され、放射面107は、給電される。同軸ケーブルの接続線を構成する外側導体の端子は、接地面3に化学電気的に接続される。図6に示す実施の形態でも、同軸ケーブルの接続線の代わりに、マイクロストリップ接続線を勿論設けることができる。
前記実施の形態では、第2のパッチアンテナBの高さ115(接地面103の下側で寄生の貼着片13の上側に隣接して設けられる支持層及び/又は固定層及び/又は接着層111を含むこともある)は、高さ117よりも大きく、即ち寄生の貼着片13の一周する端縁53dよりも大きい。しかしながら、寄生の貼着片13の一周する端縁53dと同一の高さに第2のパッチアンテナBの高さ115を構成してもよい。
第2のパッチアンテナBの高さよりも寄生の貼着片13の一周する端縁53dの方が高いので、寄生の貼着片13の内部空間53a内に第2のパッチアンテナBを突出させずに完全に配置する状態を図6に示す。更に、図2とは異なり、図6は、他のパッチアンテナBの縦方向寸法と横方向寸法をより大きく寸法決めして、寄生の貼着片13のZ軸方向に延伸する内部空間を少なくともほぼ完全に満たす他のパッチアンテナBを示す。
図7の断面図は、第2のパッチアンテナBに直接接続される寄生の貼着片13(パッチアンテナAのビーム成形に用いる)を示す。例えば、第2のパッチアンテナBの上面に直接形成される金属化層253により第1又は一次のパッチアンテナAに属する上方の貼着片13を構成できる。パッチ面又は接地面103又は第2のパッチアンテナBの上側又は下側の金属化層を形成する間に対応する金属化層253を設けることができるので、第2のパッチアンテナBを形成する際に、金属化層253、即ち貼着片13を同時に形成することができる。従って、物理的に自立する構成要素としての寄生の貼着片13は、もはや存在せず、第2のパッチアンテナBの固定構成要素である。
その場合、図7と図8に明示するように、第2のパッチアンテナBの別体の下側の接地面103を省略できるので、誘電担体105の下側105b上に形成される層253dとしての金属化層253は、第1のパッチアンテナBの接地面103に代わりかつ/又は接地面103を形成し、同時に金属化層253は、寄生の貼着片13も形成する。その場合に、この実施の形態では、金属化層253は、誘電担体105の一周する端縁105d上の少なくとも高さの一部を覆い、第2のパッチアンテナBの外側面105d上にも形成される。第2のパッチアンテナBの誘電担体105の下側105bに形成される底層253bは、少なくとも高さの一部で外周面に設けられる金属化層253dに全体的に又は少なくとも部分的に化学電気的に接続される。
図9に示すように、第2のパッチアンテナBの第2の誘電担体105の外側105dに常に同一の高さで周方向に金属化部253を形成する必要はない。例えば、一周する端縁105dの1つに形成される金属化層253dに凹部253’を設けると、より小さい高さの金属化層が残るのに対して、図9の右方に配置される誘電担体105の外側105d上には、基板105の上側105aに達する金属化層253dが形成される。
図10に示す変形実施の形態では、誘電担体105を完全に一周して金属化層253dを形成する必要はなく、誘電担体105の一周する端縁105dに各金属化層253dを設け、誘電担体105の下側105bの水準まで形成される中断部又は凹部253”を各金属化層253dに設けることができる。図10に示す変形実施の形態では、基板の角部領域内に中断部又は凹部253”が設けられる。
図11の更に別の変形実施の形態に示すように、誘電担体105を一周して形成される金属化層253dは、分離部分253eを介して誘電担体105の下側105aに形成される金属化層253bから化学電気的に分離される。この実施の形態では、基板の角部領域を含み金属化層253dが一周して化学電気的に接続される。
図12に示す実施の形態では、金属化層253は、下側105bと一周する端面又は外側面105とに延伸するのみならず、外側の端縁105dから始まって誘電担体105の上側105a上に所定の寸法にわたって延伸し、更に金属化層253は、第2のパッチアンテナBの上方の放射面107の前で一定距離を空けて終了するので、ここでは基板105の上側105aに設けられる放射面107と金属化部253との間は、化学電気的に分離される。図示の実施の形態では、基板105の上側105a上に形成される導電性層253aは、基板105の外周面に形成される導電性層105dに化学電気的に接続される。
図13の断面図は、垂直断面上(各放射面に対して直角)必ずしも矩形の形状を第2のパッチアンテナBの誘電担体105に付与する必要はなく、基板105の上側又は下側に形成できる面取り305又は湾曲する形状を示す。適切に取り付けられる金属化層253は、基板105の対応する外側輪郭に追従して形成される。
完全を期して更に説明すると、第1のパッチアンテナAの誘電担体5、誘電担体5の底面に配置される接地面3及び接地面3に対向して誘電担体5の頂面に配置される放射面7、第2のパッチアンテナBの誘電担体105、必要に応じて設けられる接地面103及び誘電担体105の放射面107を必ずしも正方形又は矩形に形成する必要はなく、極めて通常のn角形又は特に湾曲する端面を設けることもできる。図示の実施の形態、特に図3に示すように、例えば、放射面7の対角線上に対向する2つの角部領域(第1のパッチアンテナA)に扁平部7”を形成し、第2のパッチアンテナBに設けられる放射面107にも同様に、対角線上に対向する2つの角部領域に扁平部107”を形成することができる。第2のパッチアンテナBの2つの扁平部107”は、第1のパッチアンテナAに設けられる扁平部107”に対して角度90°だけずれて形成される。また、特に図2及び図4とは異なり、例えば対向する扁平部13”(図3)を寄生の貼着片に設けることができる。同様に、不規則な外側輪郭、特に対応する角部領域を省略して、誘電担体5又は105にも対向する扁平部を形成することができる。
図4と図11とに示す実施の形態の組合せとして図14に最終的に示す更に他の実施の形態を次に説明する。
図4と他の実施の形態と同様に、上方に寄生のパッチ装置13を設ける実施の形態を図14に示すことが理解されよう。しかしながら、図14に示す実施の形態では、一周する側壁、即ち外周面105dの高さの一部にのみ延伸する金属化部253d(しかし、他のパッチアンテナBの高さ全体にわたり金属化部253dを形成できる)を有する他のパッチアンテナBを示す。図示の実施の形態では、金属化部253dを正確に側面から観察するとき、金属化部253dは、上方のパッチ装置13の一周する端縁13’を越える少なくとも部分高さを有するが、その下方で終了する高さで延伸する。異なる高さ、中断部、部分的に他のパッチアンテナBの下側に形成される金属化部への接続等を備える周面を越える部分を金属化部253dに設けることができる。従って、金属化部253dの形状と構造は、広範囲に制限されない。
図15は、図3の平面図と同様に、例えば、寄生のパッチ装置13の例えば対向する2つの角部領域に形成される垂直の扁平部、凹部又は所謂切欠部13”を三次元表示で示す。換言すると、この実施の形態では、一周する端縁、壁又はウェブ53dは、角部領域で扁平部13”により中断され、箱形又は箱形類似形状の寄生の貼着片13内に配置される他のパッチアンテナBの角部領域は、隣接する2つの端縁部分53d間に形成される開放領域(切欠部)13aから外側に突出するので、他のパッチアンテナBの一周する端縁105dを目視観察することができる。