JP2012502697A - レール調節機能を備えた可動引出部 - Google Patents

Abstract

【課題】
本発明は、従来と比較して改善され、単純化された引出部の前部パネルの傾斜に対する調節機構を提供する。
【解決手段】
可動家具部、特に引出部であって、後壁部と前部パネルとの間に設置されるレール体を有しており、レール体は回転可能な調節部材によって前部パネルに取り付けられ、前部パネルは調節部材によって傾斜するものであり、調節部材（５）の回転によって前部パネル（３）との調節部材（５）の間隙（Ｘ）と、レール体（４）との調節部材（５）の間隙（Ｘ）とは変更される。

Description

本発明は、後壁部と前部パネルとの間に配置されているレール体を有した可動家具部、特に可動引出部に関する。このレール体は回転可能な調節部材によって前部パネルに取り付けられており、前部パネルはこの調節部材の回転によって傾斜する。

この種の可動家具部または引出部は既に知られており、特に、１以上の家具枠体（本体）内で積み重ねられている、あるいは併置されている複数の引出部の前部パネルに採用されて調節する機能を提供する。これらの調節機能は特に、家具の前面側の各部配列面を可能な限り均等あるいは一致させ、美的要求を満たすように家具を設置する際に活用される。

従来技術であるＤＥ９００１４８６Ｕ１、ＤＥ１９５０７３２２Ｕ１並びにＤＥ１９８３０７４０Ａ１は、レール体に回転可能な（ネジ山付き）調節部材（ＤＥ９００１４８６Ｕ１では連結スリーブ１６、ＤＥ２９５０７３２２Ｕ１では調節ナット４、ＤＥ１９８３０７４０Ａ１では調節ナット１６）により連結されており、ネジ山によって調節部材の回転でその傾斜が調節できる前部パネルを備えた家具引出延伸部材に関する。ＡＴ３８７８９４Ｂは右ネジ山及び左ネジ山の回転による前部パネルの傾斜の調節を開示し、図示する。ＤＥ３８１９５１２Ｃ１は図９で示す実施例において、棚構造物との関係における右ネジ山と左ネジ山による調節部材（４７）の回転による傾斜の調節を開示する。

この目的でドイツ実用新案明細書（ＤＥ８９１２３４９）は引出レールを開示する。ここではネジ要素が前方パネルから吊下げられており、ネジ山によってレールに接続されている。このネジ要素の回転は後壁部と前部パネルとの間の空間に変化をもたらし、前部パネルは引出部の残り部分に対して傾斜する。ここでの不利な点はネジ要素が前部パネルから吊下げられているだけであり、押し戻されるスリーブによってのみ前部パネルに相対的に固定された状態で接続が可能になることである。

本発明の目的は従来と比較して改善され、単純化された引出部の前部パネルの傾斜に対する調節機構を提供することである。

本発明の可動家具部において、調節部材を回転させて前部パネルに対する調節部材の間隙とレール体に対するに調節部材の間隙の両方を変化させることでこの目的は達成される。すなわち調節部材が回転されると前部パネルとレール体の両方が調節部材に対して移動する。これでさらに改善された調節が可能である。なぜならこの調節部材の半回転によって従来構造ではネジ要素の全回転を必要とした長さの調節が提供されるからである。

１好適実施態様では調節部材はそれぞれのネジ山によって前部パネルとレール体とに接続される。一方のネジ山は右ネジ山であり、他方は左ネジ山である。従って調節部材の回転（回転軸はレールに平行）によってレールの全長は対応して変化する。さらにネジ接続によって吊下げ係合よりも改善された取付状態が提供される。

前部パネル自体及びレール体は確かに調節部材のための対応ネジ山を有するが、前部パネルのネジ山が、好適には拡開式接続によって前部パネルに接続される前部パネル固定要素上に提供され、好適には押圧式接続（プレスフィット接続）によってレール体に接続される接続要素にレール体のネジ山が提供されていることが有利である。この場合には拡開式接続は前部パネルに固定される平行ピンによる接続でもよい。

さらに好適には調節部材が雄ネジ山と雌ネジ山を有することである。この場合には調節部材の雄ネジ山はレール体の対応ネジ山に係合し、あるいはその接続要素に係合し、調節部材の雌ネジ山は前部パネル固定要素の対応ネジ山に係合する。

別例では調節部材は２つのガイドスロットを有する。これらガイドスロットには前部パネル固定要素と接続要素のガイド突起部がそれぞれに係合し、調節部材が回転すると、前部パネルとレール体とに対するその間隙が変化する。

このような構造デザインのさらなる別例は、例えば調節部材に楔形表面を設けることである。これを回転するとレール体と前部パネルの両方が引き離され、または引き付けられる。あるいはテーパ状の楔形表面を調節部材の内部に設け、その回転によってレール体と前部パネルを押し戻すことができる。内部に導かれたケーブル等を設けることも可能である。これで調節部材の回転によりケーブルは緊張し、あるいはケーブルに作用する突起部の作用によって負荷が除去され、両側で調節が提供される。あるいは回転によって捩られ、両側の間隔を狭めるようにバンドを利用することも可能である。さらに弾性部を利用し、両側で回転によって互い方向に押圧したり、変位させたりして調節作用を提供することもできる。

さらに別な実施態様では調節部材は調節シリンダー（adjusting cylinder）の形態であり、好適にはその周面に凹凸を有する。この場合には凹凸は調整の点で特に取り扱いやすい。

さらに別実施態様ではレール体はスナップフィット接続要素（snap connection element）により後壁部に接続され、調節部材は変位式カバーキャップで覆われる。この場合にはカバーキャップは美観の向上に貢献し、完成した調節機構を保護する。

さらなる別実施態様ではレール体の下側にてフレームを利用して前部パネルと後壁部とが接続される。この接続構造においては、前部パネルとフレームとの間の接続要素にはバネが用いられているので、調節部材の回転によって、前部パネルを傾斜させることができる。このように、バネを用いることで、傾斜が過剰である場合に発生する応力を抑えることができる。もし、抑えなければ、この応力は特にフレームと前部パネルとの間の接続部分に損傷を及ぼすであろう。この配置構造は傾斜程度に応じて前部パネルとフレームとの間に楔形の間隙を提供する。

本明細書の請求項１から請求項１０にかけて記載した可動家具部を有した家具自体も本発明の対象である。

本発明のさらなる詳細と利点は添付の図面を利用して以下において提供されている。

家具の側面図である。 家具の斜視図である。 可動家具部の斜視図である レールの斜視図である。 レールの部品の分解図である。 レール調節機能を備えた引出部の側面図である。 レール調節機能を備えた引出部の側面図である。 レール調節機能を備えた引出部の側面図である。 レール調節機能を備えた引出部の側面図である。 ２本のレール体を備えた引出部の斜視図である。 調節部材の別例を図示する概略図である。 調節部材の別例を図示する概略図である。 調節部材の別例を図示する概略図である。 調節部材の別例を図示する概略図である。

図１と図２は３体の引出部１が押し込まれている家具枠体１６を有した家具１５を図示する。拡大部Ｅはフレーム１２と家具枠体１６の配向方向に対して傾斜する２枚の前部パネルの傾斜を示す。この傾斜によって家具１の前部パネル３は段差を有した鱗状の外観が与えられる。この傾斜は本発明による調節機構によって補正される。

図３は少なくとも後壁部２、前部パネル３、引出底部を備えた引出フレーム１２及びカバーキャップ１１を備えた２本のレール体４を含む可動家具部すなわち引出部１を図示する。

図４はレール１９を図示しており、レール体４、カバーキャップ１１、前部パネル固定要素７及びスナップフィット接続要素１０を図示する。

図５はレール１９の分解図である。ここには接続要素８と前部パネル固定要素７に関連する調節部材５の形態の調節機構が図示されている。この場合には調節部材５の雄ネジ山６ａは接続要素８の対応ネジ山６ｂに係合し、雌ネジ山６ｃは前部パネル固定要素７の対応ネジ山６ｄとの関連で提供される。接続要素８がレール体４に挿入された後、それらは好適にはプレス式に接続される。レール体４は角部が湾曲加工されている四角形の筒状のスチール部材を含むことができる。接続要素８とスナップフィット接続要素１０は押圧式接続によってレール体４と組み合わせられる。スナップフィット接続要素１０は好適には横方向で後壁部２に係合する。調節部材５は取り扱いを容易にするために凹凸９を有する。さらに調節部材５にはレンチサイズ部２０が提供され、適した工具（例えばオープン型レンチ）による調節部材５の調節または回転のために利用される。

図６と図７は引出部１の比較用の側面図である。カバーキャップ１１は押し戻されているので、それぞれの図における調節機構を見ることができる。調節部材５と前部パネル固定要素７との間及びレール体４との間の間隙Ｘは詳細図Ａにて明確に図示されている。回転が実行された後には（詳細図Ｄ参照）間隙Ｘは両側で変化する。対応するネジ山ピッチが与えられていれば調節部材５の半回転によって、従来の１回転分で変化する長さに相当する量（間隔）が提供される。

図８には不適正なセッティング、短過ぎるレール１９または他の不規則性による前部パネルの大きな傾斜が図示されている。このことで大きな応力が引出部１の個別部材の接続領域に発生する。このような大きな負荷または過剰な延伸を防止するため、前部パネル３とフレーム１２の間の接続要素１３にはスプリング１４が提供されており、前部パネル３に取り付けられた前部装具（ここでは図示せず）に対してフレーム１２を傾斜させる。これで前部パネル３とフレーム１２との間に間隙１７が発生する。

図９は、図８とは異なり矯正された引出部１の前部パネル３の傾斜を図示する。

図１０は引出部１の各側壁に重ねられて設置されている２本の調節式レール１９を備えた２本レールの別例を図示する。

図１１は好適には取付嵌込用間隙が提供された別例の調節部材５であって、調節部材５に提供された２つのガイドスロット２０を有した調節部材５を図示する概略図である。前部パネル固定要素７のガイド突起部２１と、接続要素８のガイド突起部２１はこれらガイドスロット２０内に導き入れられる。図１２はその概略断面図である。調節部材５が時計回りに回転されるとガイド突起部２１は傾斜ガイドスロット２０内で移動し、調節部材５と前部パネル固定要素７との間隙または接続要素８との間隙が変更される。同様に図１３は調節部材と前部パネルとの間または引出箱との間で両側において変化する間隙Ｘを図示する。図１４は回転後の調節部材５の位置を示す概略断面図である。

以上述べたように本発明は、引出部に関するパネルの配向性、家具枠体の前面に対する引出部の配向性、あるいは複数の引出部の前部パネルの配向性が互いに平行ではなく整合していない場合に美観を向上させるために（段差を有して鱗形状に配列された状態の前部パネルを回避するため）前部パネルの傾斜を調節できる引出用レールであって、コンパクトで安定た、構造が簡素な長さ調節機構を提供する。

Claims (11)

1. 可動家具部、特に引出部であって、後壁部と前部パネルとの間に設置されるレール体を有しており、
   該レール体は回転可能な調節部材によって前記前部パネルに取り付けられ、
   該前部パネルは前記調節部材によって傾斜するものであり、
   前記調節部材（５）の回転によって、前記前部パネル（３）との前記調節部材（５）の間隙（Ｘ）と、前記レール体（４）との前記調節部材（５）の間隙（Ｘ）とが変更されることを特徴とする可動家具部。
2. 調節部材（５）はそれぞれのネジ山（６ａ，６ｃ）によって前部パネル（３）とレール体（４）に接続され、一方のネジ山（６）は右ネジ山であり、他方のネジ山は左ネジ山であることを特徴とする請求項１記載の可動家具部。
3. 前部パネル（３）のネジ山（６ｄ）は、好適には拡開式接続によって該前部パネル（３）に接続される前部パネル固定要素（７）において使用されることを特徴とする請求項１または２に記載の可動家具部。
4. レール体（４）のネジ山（６ｂ）は、好適には押圧式接続によってレール体（４）に接続される接続要素（８）において利用されることを特徴とする請求項１から３のいずれかに記載の可動家具部。
5. 調節部材（５）は雄ネジ山（６ａ）と雌ネジ山（６ｃ）とを有していることを特徴とする請求項１から４のいずれかに記載の可動家具部。
6. 調節部材（５）は調節シリンダーの形態であり、好適には周面上に凹凸（９）を有していることを特徴とする請求項１から５のいずれかに記載の可動家具部。
7. 調節部材（５）は工具によって該調節部材（５）を調節するためのレンチサイズ部（２０）を有していることを特徴とする請求項１から６のいずれかに記載の可動家具部。
8. レール体（４）はスナップフィット接続要素（１０）によって後壁部（２）に接続されることを特徴とする請求項１から７のいずれかに記載の可動家具部。
9. 調節部材（５）は変位可能なカバーキャップ（１１）によってカバーされることを特徴とする請求項１から８のいずれかに記載の可動家具部。
10. レール体（４）の下側で前部パネル（３）と後壁部（２）とはフレーム（１２）によって連結され、調節部材（５）の回転によって前記前部パネル（３）は傾斜し、該傾斜は該前部パネル（３）と前記フレーム（１２）との間で接続要素（１３）に設置されるスプリング（１４）によって提供されることを特徴とする請求項１から９のいずれかに記載の可動家具部。
11. 請求項１から１０のいずれかに記載の可動家具部を有する家具（１５）。

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