[0001] タッチ・スクリーンが装備されている携帯用電子デバイスは、タッチ・スクリーン・センサーによって検知されるタッチ入力を通じて、画面上に表示されているグラフィカル・ユーザー・インターフェース・エレメントと直接対話処理することを可能にする。ユーザーは、視覚的に画面を検査し、グラフィカル・ユーザー・インターフェース・エレメントが表示されている画面の位置にタッチする。このタッチ入力は、グラフィカル・ユーザー・インターフェース・エレメントの位置において起こると、デバイスによって検知され、携帯用電子デバイスにおいてしかるべき機能を誘起する。
[0009] 図1は、計算機を示し、この計算機とは、例えば、携帯用メディア・プレーヤまたはウェブ対応(web-enabled)移動体電話機のような、携帯用電子デバイス100とすることができる。携帯用電子デバイス100は、プロセッサー104を含む。プロセッサー104は、メモリー108および大容量ストレージ106と通信バス102を通じて電子的に通信し、メモリー108の一部を用いて1つ以上のアプリケーション・プログラム110を実行するように構成されている。更に、携帯用電子デバイスは、タッチ・スクリーン・センサー162を有するディスプレイ160も含む。ディスプレイ160は、1つ以上のグラフィカル・ユーザー・インターフェース・エレメント165を有するグラフィカル・ユーザー・インターフェース164を表すことができる。
[0010] グラフィカル・ユーザー・インターフェース164は、直接入力モードに設定することができ、このモードでは、グラフィカル・ユーザーインターフェースの1つ以上のグラフィカル・ユーザー・インターフェース・エレメント165は、選択可能なグラフィカル・ユーザー・インターフェース・エレメント166となっており、ディスプレイ160上における選択可能なグラフィカル・ユーザー・インターフェース・エレメント166の位置においてタッチ・スクリーン・センサー162によって検知されるユーザーのタッチ入力によって選択可能である。選択可能なグラフィカル・ユーザー・インターフェース・エレメント166の例には、ボタン、スライダ、スクロール・バー、ハイパーリンク、プル・ダウン・メニュー、アイコン等が含まれる。これらの種々の選択可能グラフィカル・ユーザー・インターフェース・エレメント166の挙動は、例えば、コンピューター・プログラム130によってプログラミングすることができる。コンピューター・プログラム130は、アプリケーション・プログラミング・インターフェースとすることができる。つまり、選択可能なグラフィカル・ユーザー・インターフェース・エレメント166を選択したユーザータッチ入力に応答して、携帯用電子デバイスは、選択可能なグラフィカル・ユーザー・インターフェース・エレメント166と関連のある、プル・ダウン・メニューの選択肢を選択する、ウィンドウをスクロールする等のような、プログラミングされた挙動を呈することができる。
[0011] ユーザーが入力モードを切り換えることを可能にするために、携帯用電子デバイス100は、アプリケーション・プログラミング・インターフェースのような、コンピューター・プログラム130を含むことができる。このコンピューター・プログラム130は、モード切換ユーザー入力152を受けて、モード切換ユーザー入力152に応答して直接入力モードと相対的ジェスチャー認識モードとの間で切り換えるように構成されている入力モード切換モジュール135を含む。相対的ジェスチャー認識モードでは、グラフィカル・ユーザー・インターフェース164の少なくとも所定領域170における1つ以上のグラフィカル・ユーザー・インターフェース・エレメント165が、選択不可能なグラフィカル・ユーザー・インターフェース・エレメント168とされる。言い換えると、相対的ジェスチャー認識モードにおける特定の選択不可能なグラフィカル・ユーザー・インターフェース・エレメント168に隣接する位置において受けられる入力が、携帯用電子デバイス100に、直接入力モードにおけるそのユーザー・インターフェース・エレメントと関連付けられてプログラミングされた機能を実行させることはない。むしろ、相対的ジェスチャー認識モードにおけるタッチ入力156は、基礎となるグラフィカル・ユーザー・インターフェース・エレメント165とは関係なく、相対的ジェスチャー入力として処理される。これについては、以下で説明する。
[0012] 相対的ジェスチャー認識モードでは、コンピューター・プログラム130の中にあるジェスチャー・ベース制御モジュール140は、グラフィカル・ユーザー・インターフェース・エレメント168が選択不可能となる所定領域170におけるユーザーの指とタッチ・スクリーン・センサー162の表面との間において、タッチ・スクリーン・センサー162上において接触点174を認識し、更に、所定領域170において、接触点174に隣接してジェスチャー制御部172を提示するように構成されている。ジェスチャー・ベース制御モジュール140は、更に、接触点174から始まるユーザータッチ入力156に基づいて、検出されたジェスチャー158を識別し、この検出されたジェスチャー158に基づいて携帯用電子デバイス100の動作を調節するために、アプリケーション・プログラム110にメッセージを送るように構成されている。
[0013] また、コンピューター・プログラム130は、ジェスチャー・ベース制御モジュール140が開発者指定制御パラメーター149にアクセスすることを可能にするように構成することができる。ジェスチャー制御部172は、開発者指定制御パラメーター149にしたがって動作するように構成されている。開発者指定制御パラメーター149は、開発者指定制御パラメーター・インターフェース180からジェスチャー・ベース制御モジュール140によって受けることができる。開発者指定制御パラメーター149は、例えば、ソフトウェア開発キット(SDK)を通じてアプリケーション・プログラム開発者によって指定することができ、ジェスチャー制御部172の機構(feature)および機能(functionality)をカスタム化するためのパラメーターを含むことができる。例えば、開発者指定制御パラメーター149は、音量パラメーター、再生速度パラメーター、再生方向パラメーター、制御部外周設定パラメーター、および所定領域定めパラメーター(defined region definition parameter)を含むことができる。このように、開発者は、ジェスチャー制御部172を音量制御部または再生制御部となるように定めることができ、この制御部の制御部外周または他の幾何学的特性、およびジェスチャー入力を受けるように構成されるディスプレイの所定領域を指定することができる。
[0014] これらの開発者指定制御パラメーターにしたがって、または代わりにコンピューター・プログラム130によって指定される他の予め定められたパラメーターにしたがって、相対的ジェスチャー認識モードにおいて、ジェスチャー・ベース制御モジュール140は、所定領域170内にジェスチャー制御部172を提示するように構成され、ジェスチャー制御部172はタッチ入力156を受けるように構成されている。所定領域170内において検出されたジェスチャー158を識別することによって、ジェスチャー・ベース制御モジュール140は、相対的ジェスチャー認識モードにおいてフロント・エンド・プロセッサーとして機能して、直接入力モードではグラフィカル・ユーザー・インターフェース164に向けられるはずの入力を受ける。フロント・エンド・プロセッサーとして動作すると、ジェスチャー・ベース制御モジュール140は、携帯用電子デバイス100のグラフィカル・ユーザー・インターフェース164上に表示される種々のエレメントとは独立して、所定領域170を位置付けて、この所定領域170がグラフィカル・ユーザー・インターフェース164の一部または全体にわたって浮遊するように構成することができることは認められよう。
[0015] 相対的ジェスチャー認識モードは、コンピューター・プログラム130の入力モード切換モジュール135によるモード切換ユーザー入力152の受信によって開始させることができる。図1では、モード切換ユーザー入力152をタッチ入力であるとして示されている。このタッチ入力は、携帯用電子デバイス100と関連のあるクラッチ・キー154によって受けることができる。クラッチ・キー154は、スイッチまたはボタンのような、キーとすることができ、このキーは携帯用電子デバイス100の筐体上に物理的に配置され、あるいは携帯用電子デバイス100と通信する1対のヘッドフォンのような、アクセサリ上に配置することもできる。クラッチ・キー154は、例えば、ボタンまたは容量性スイッチとすることができる。あるいは、モード切換ユーザー入力152は、ユーザーの指とタッチ・スクリーン・センサー162との間におけるタッチによって受けることができる。このタッチが、例えば、画面上のボタン、タッピング(tapping)、またはジェスチャーの選択となることができる。
[0016] モード切換ユーザー入力152を受け取った後、入力モード切換モジュール135は、相対的ジェスチャー認識モードを開始させ、メッセージをジェスチャー・ベース制御モジュール140に出力する。具体的には、入力モード切換モジュール135は、ジェスチャー・ベース制御モジュール140内にある接触点認識部142に要求メッセージを送り、相対的ジェスチャー認識モードが開始されたことを示し、グラフィカル・ユーザー・インターフェース・エレメント168が選択不可能である所定領域170における接触点174を接触点認識部142が返すことを要求する。
[0017] 要求メッセージを受信すると、接触点認識部142は、タッチ・スクリーン・センサー162の表面上で、所定領域170内において接触点174を認識する。接触点174は、ユーザーの指(図1ではタッチ入力156として表されている)と、所定領域170におけるタッチ・スクリーン・センサー162の表面との間におけるタッチによって形成される。
[0018] 接触点174を認識すると、接触点認識部142は、所定領域170において認識された接触点174に隣接して定められた外周176を有するジェスチャー制御部172を提示するように構成することができる。接触点認識部142は、制御部外周定め部(control parameter definer)144から、制御部外周176のパラメーターを指定する入力を受けることができる。接触点認識部142は、制御部外周定め部144から制御部外周定めパラメーターを受けることができる。制御部外周定めパラメーターは、例えば、制御部外周を計算するための式を指定することができる。制御部の外周は、接触点174からの距離Dに基づくことができる。一例では、制御部外周は、コンピューター・プログラム130を通じてアクセス可能な1組の標準的な制御定義(control definitions)からの、予め設定されている制御部外周であってもよい。別の例では、制御部外周定め部144は、制御部外周定めパラメーターを含む入力を受けることができる。この制御部外周定めパラメーターは、開発者指定パラメーター・モジュール148からの1組の開発者指定制御部外周149に含まれており、こうして開発者が制御部外周のサイズおよび形状を指定することを可能にする。
[0019] 尚、ジェスチャー制御部172は、関連のあるアイコンを含むことができ、このアイコンは部分的に半透明であってもよいが、他の実施形態では、ジェスチャー制御部172は視覚的に知覚可能でなくてもよいことは認められよう。アイコンが存在する場合、アイコンは制御部外周および/または接触点を視覚的に示すことができ、あるいはユーザーに他のアイコン状情報(iconographic information)を提供することができる。この他のアイコン状情報は、例えば、仮想制御スティック制御部(virtual control stick control)の場合には撓みの角度および度数を含み、線形スライダ制御部の場合撓みの度合いを含むことができる。実施形態によっては、本明細書において記載するようにジェスチャーを受け入れることに加えて、タッピング入力に応答することもできる。
[0020] ジェスチャー制御部172を提示した後、接触点認識部142は、検出されたジェスチャー158の識別を要求するメッセージを識別部146に送るように構成されている。このメッセージは、図1では接触点174から始まるように示されている。識別部146は、ジェスチャー・ベース制御モジュール140内にあり、接触点認識部142からのメッセージや、ライブラリー190および開発者指定パラメーター・モジュール148からの入力を受ける。
[0021] これらの入力に基づいて、識別部146は、タッチ・センサーを通じて受けられたタッチ入力を、接触点174から発して検出されたジェスチャー158として識別するように構成されている。例えば、図1では、識別部146は、ライブラリー190から入力を受けるように示されている。ライブラリー190は、予め定められたジェスチャー192についての定義を含むように示されている。つまり、識別子146は、少なくとも部分的に、検出されたジェスチャーの解釈に基づいて、検出されたジェスチャー158を識別することができる。この解釈は、グラフィカル・ユーザー・インターフェース・エレメント168が選択不可能な所定領域170においてタッチ・スクリーン・センサー162を通じてジェスチャー制御部172が受けた、検出ジェスチャー158と、ライブラリー190内にある1組の1つ以上の予め定められたジェスチャー192の内の1つに対応する定義との比較を含む。
[0022] 尚、検出されたジェスチャー158の解釈は、1つ以上の開発者指定制御パラメーター149に基づいてもよいことは認められよう。開発者指定制御パラメーター149は、開発者指定パラメーター・モジュール148に含まれ、開発者指定制御パラメーター・インターフェース180から受けられる。このように、アプリケーション・プログラム110の開発者が、検出されたジェスチャー158の解釈を指定することもできる。例えば、開発者は、所定領域170内において検出されたジェスチャー158を無視してもよいドメイン(例えば、「デッド・ゾーン」)、開発者指定規則にしたがって検出されたジェスチャー158を解釈する判別パラメーター、実際の検出ジェスチャーと偽りの検出ジェスチャーとの間で判別を行うロジック等を示すことができる。このように、開発者は、個々のアプリケーション・プログラム110にしたがって識別部146の動作を個別に決定することができる。
[0023] 検出されたジェスチャー158を解釈した後、識別部146は、ジェスチャー・ベース制御モジュールの通信モジュール150を通じて、メッセージをアプリケーション・プログラム110に送る。このメッセージは、検出されたジェスチャー158をアプリケーション・プログラム110に伝え、このアプリケーション・プログラムに、検出されたジェスチャー158に基づいて携帯用電子デバイス100の動作を調節させるように機能することができる。
[0024] 例えば、識別部146は、接触点174から識別された検出ジェスチャー158までの相対的距離に基づいて、携帯用電子デバイス100の動作を調節するように、アプリケーション・プログラム110に命令するように構成することができる。これの一例を図2に示す。図2では、ジェスチャー・ベース制御モジュール140によって識別された、検出ジェスチャー158にしたがって携帯用電子デバイス100の動作を調節するために、コンピューター・プログラム130のジェスチャー・ベース制御モジュール140がメッセージをメディア再生アプリケーション・プログラムに送るように構成されている。V軸は、H軸に対して直交する垂直方向を表し、H軸は水平方向を表す。
[0025] 引き続き図2を参照すると、ジェスチャー制御部172(図1)が、携帯用電子デバイス100のタッチ・スクリーン・センサー162内にある所定領域170におけるトランスポート制御部(transport control)200として提示されている。クラッチ・キー154が図2では携帯用電子デバイス100のエッジ上に示されており、これを作動させると、相対的ジェスチャー認識モードを開始させることができる。所定領域170内における指のタッチを受けると、接触点認識部142はトランスポート制御部200を提示する。トランスポート制御部200は、所定領域170内における接触点174に、トランスポート制御部200のための基準フレーム210を素早く動かす(snap)ように構成されている。この例は、トランスポート制御部200の再生制御モードを表し、検出されたジェスチャー158は、基準フレーム210に対するユーザーの指の実質的に垂直な方向の検出に基づいて、識別部146によって識別され、それに応答して、通信モジュール150がメッセージを識別部146からアプリケーション・プログラム110に送り、メディア再生の音量を調節する。
[0026] 検出されたジェスチャー158の実施的に正の垂直方向は、メディア再生の音量を増大させるために、ライブラリー190内における予め定められたジェスチャー192に対応するものとして解釈することができる。更に、メディア再生の音量強度は、図示の距離Bにしたがって判定することができる。距離Bは、接触点174と検出されたジェスチャー158の終点との間の距離を示す。例えば、音量強度は、距離Bの絶対量(measure)にしたがって決定することができる。つまり、Bが5測定距離単位であると判定された場合、音量強度を、例えば、5音量単位だけ変化させることができる。別の例では、音量強度は、特定の音量レベルに対する距離Bによって判定することができる。この特定の音量レベルは、アプリケーション・プログラム110について開発者によって指定された1組の開発者指定制御パラメーター149(図1)の中で指定することができる。つまり、Bが5測定距離単位であると判定された場合、音量強度を、例えば、予め定められた音量レベルの5パーセントだけ変化させることができる。代替例では、距離Bが制御部外周定めパラメータ(図示せず)に対応する距離の5パーセントであると判定された場合、対応する5パーセントだけ音量強度を変化させることができる。
[0027] 一時停止制御部を実装するには、例えば、検出されたジェスチャー158は、基準フレーム210に対するユーザーの指の叩く動き(tapping movement)の検出に基づいて識別することができる。これに応答して、ジェスチャー・ベース制御モジュールは、タッピング入力をアプリケーション・プログラムに送ることができ、アプリケーション・プログラムは、メディア再生の一時停止状態を変化させるように、このタッピング入力を解釈することができる。早送りおよび/または巻き戻し制御部を実装するには、基準フレーム210に対するユーザーの指の動きの実質的に水平方向の検出に基づいて、検出されたジェスチャー158を識別すればよく、これに応答して、ジェスチャー・ベース制御モジュールは、検出されたジェスチャー158をアプリケーション・プログラムに送ることができ、一方アプリケーション・プログラムはメディア再生の時間的位置を調節することができる。尚、メディア再生は、携帯用電子デバイス100に格納されているオーディオ・メディアまたはビジュアル・メディアであってもよく、あるいはネットワークから携帯用電子デバイス100が受信したメディアであってもよいことは認められよう。更に、トランスポート制御部200は、再生されるメディアのタイプにしたがって構成することもできる。例えば、メディア再生が無線局からのブロードキャスト・ストリームである場合、前述の早送りおよび/または巻き戻し制御部は、代わりに、無線周波数の順方向および逆方向の走査を制御することができ、前述のタッピング入力が局の事前設定(station preset)を作動させることができる等となる。
[0028] 更に、トランスポート制御部200は、ジェスチャー・ベーストランスポート制御部に加えて、アプリケーション・プログラムのコンテキストにしたがって、ジェスチャー・ベースであってもジェスチャー・ベースでなくてもよい制御選択肢を提示することもできることも、更に認められよう。例えば、トランスポート制御部200は、ウェブ・ブラウザー・アプリケーション・プログラムのコンテキストで提示され、メディア再生を制御するためのトランスポート制御部に加えて、ウェブ・ブラウザに関連する制御部も提示することができる。別の例では、トランスポート制御部200がコンピューター・ゲーム・アプリケーション・プログラムのコンテキストで提示される場合、コンピューター・ゲームに関連する制御部を提示することができ、例えば、トランスポート制御部が、ゲーム音楽や、ゲームを一時停止しゲーム選択肢を選択するためのジェスチャーベース・メニューを制御する。このように、開発者はトランスポート制御部をアプリケーション・プログラムに調和させることができる。
[0029] 加えて、ジェスチャー・ベース制御モジュールは、所定制御部外周176上の所定の位置178から検出されたジェスチャー158までの相対的距離に基づいて、携帯用電子デバイス100の動作を調節するように、アプリケーション・プログラムに命令するように構成することができる。例えば、図3に示すように、コンピューター・プログラムは、コンピューター・ゲーム・アプリケーション・プログラムとすることができ、コンピューター・プログラム130のジェスチャー・ベース制御モジュール140は、制御部外周176または接触点174からの仮想制御スティック制御部302の相対的距離に基づいて、携帯用電子デバイス100の動作を調節するために、メッセージをコンピューター・ゲーム・アプリケーション・プログラムに送るように構成することができる。尚、図3において、Y軸はX軸に対して直交する垂直方向を表し、X軸は水平方向を表すことは認められよう。追加の参照符号Rは、平面XYに対して垂直な回転軸を中心とする回転方向を表し、平面XYはタッチ・スクリーン・センサー162の表面に対して並列である。この例では、回転軸は接触点174において平面XYと交差する。ことは認められよう。
[0030] 引き続き図3を参照すると、ジェスチャー制御部172(図1)は仮想ゲーム制御部300として提示されている。仮想ゲーム制御部300は、相対的ジェスチャー認識モードにおいて所定領域170内でタッチ入力を受けると、接触点174において仮想制御スティック制御部302を生成する(spawn)ように構成されている。仮想制御スティック制御部302を生成するプロセスは、接触点174において仮想制御スティック制御部302のインスタンスを作成するものとして認められよう。ジェスチャー・ベース制御モジュール140は、更に、携帯用電子デバイス100のタッチ・スクリーン・センサー162内にある所定領域170において仮想ゲーム制御スティック制御部302を取り囲む制御部外周176を定めるように構成されている。ジェスチャー・ベース制御モジュール140は、更に、制御部外周176において仮想制御スティック制御部302の最大目盛り(full-scale)のふれFを定めるように構成することもできる。更に、仮想制御スティック制御部302を通じて仮想ゲーム制御部300が受けたユーザータッチ入力156(図1)に基づいて検出されたジェスチャー158が制御部外周176の内部にあるときにコンピューター・ゲーム・アプリケーション・プログラムに送られたメッセージは、仮想制御スティック制御部302の最大目盛りのふれFに関して、仮想制御スティック制御部302の測定されたふれPに比例する。更にまた、仮想制御スティック制御部302を通じて仮想ゲーム制御部300が受けたユーザータッチ入力156に基づいて検出されたジェスチャー158が制御部外周176の外側で受けられたときにコンピューター・ゲーム・アプリケーション・プログラムに送られたメッセージは、仮想制御スティック制御部302の最大目盛りのふれFと実質的に同じである。
[0031] 図3に示す例は、仮想ゲーム制御部300のコンピューター・ゲーム制御モードを表し、制御部外周176内における接触点174からの距離Pにおいて、仮想制御スティック制御部302を図示する。このような例では、検出されたジェスチャー158は、ユーザーの指とタッチ・スクリーン・センサー162の表面との間で接触点174において検出されたタッチに基づいて、識別部146(図1)によって識別される。これに応答して、通信モジュール150は、仮想制御スティック制御部302の距離Pおよび最大目盛りのふれFの割合に基づいて、携帯用電子デバイス100の動作を調節するために、メッセージをアプリケーション・プログラム110に送る。例えば、比例応答が線形比例であり、測定された距離Pが最大目盛りのふれFの80パーセントを表す場合、通信モジュール150は、動作パラメーターの80パーセントだけ携帯用電子デバイス100の出力を調節するために、メッセージをアプリケーション・プログラム110に送る。コンピューター・ゲーム・アプリケーション・プログラムのコンテキストでは、動作パラメーターは走行(travel)の速度とするとよいが、他の動作パラメーターも同様に調節できることは認められよう。例えば、接触点174に対する所定領域170内における仮想制御スティック制御部302の相対的位置が、方向動作パラメーターを与えることができる。具体的には、検出されたジェスチャー158によって記述された仮想制御スティック制御部302の経路に沿った動きを解釈し、ゲーム・キャラクタの走行経路、回転運動の方向(キャラクタまたは視点スイベル(point-of-view swivel)のような)等として出力することができる。更に、動作パラメーターおよびこれらと関連のある出力を比例させる方法のこれらの例は、開発者がアプリケーション・プログラム110について指定した1組の開発者指定制御パラメーター149(図1)の中で指定すればよいことも認められよう。このように、ジェスチャー・ベース制御モジュール140は、携帯用電子デバイス100の動作を調節するために、メッセージをアプリケーション・プログラム110に送ることができる。
[0032] 先に説明した種々の実施形態において、ユーザーの指とタッチ・パッド・センサーとの間の接触が、例えば、所定の時間期間中に終了したことを接触点認識部が検出したとき、ジェスチャー・ベース制御モード・モジュール140は識別部146によってジェスチャーを識別するのを中止し、タッチを検出しようとし始めることが認められよう。新たな接触点174が検出されると、新たなジェスチャー制御部172がインスタンス化され、その結果、基準フレーム210が効果的に新たな接触点174の位置に素早く動く(snap)ことが認められよう。このように、ユーザーが所定領域170内部でタッチ・スクリーン・センサー162に接触することを選択したときはいつでも、ジェスチャー制御部がその位置に生成され、こうしてディスプレイ160上の種々の位置においてユーザー入力が可能になる。このような柔軟な入力により、ユーザーは、事実上ディスプレイ160を試験することなく、そして選択可能でないグラフィカル・ユーザー・インターフェース・エレメントを無意識に作動させることなく、携帯用電子デバイス100を容易に制御することができる。
[0033] 図4は、タッチ・スクリーン・センサーを有する携帯用電子デバイスを制御する方法400の一実施形態を図示するフローチャートを示す。方法400は、図1から図3の携帯用電子デバイスを含む、タッチ・スクリーン・センサーを有する任意の適した携帯用電子デバイスによって実現することができる。
[0034] 方法400は、402において、モード切換ユーザー入力に応答して、相対的ジェスチャー認識モードを開始させる。相対的ジェスチャー認識モードでは、グラフィカル・ユーザー・インターフェースの所定領域の中にある1つ以上のグラフィカル・ユーザー・インターフェース・エレメントは選択不可能とされる。モード切換ユーザー入力は、携帯用電子デバイスと関連付けられたクラッチ・キーを通じたユーザー入力、およびユーザーの指とタッチ・スクリーン・センサーの表面との間における接触を通じたユーザー入力とから成る1群から選択することができる。例の中には、402において相対的ジェスチャーを開始させることは、更に、グラフィカル・ユーザー・インターフェースの所定領域を位置付けることを含むことができる。この領域の中では、グラフィカル・ユーザー・インターフェース・エレメントは、グラフィカル・ユーザー・インターフェースとは独立して、選択不可能になる。言い換えると、一旦相対的ジェスチャー認識モードが作動させられると、タッチ・スクリーン・センサー上のどこにでも所定領域を位置付けることができ、タッチ・スクリーン・センサーの部分的領域(subregion)またはタッチ・スクリーン・センサー船体を含むことができる。
[0035] 更に、方法400は、404において、相対的ジェスチャー認識モードではグラフィカル・ユーザー・インターフェース・エレメントが選択不可能となる所定領域において、ユーザーの指とタッチ・スクリーン・センサーの表面との間において、タッチ・スクリーン・センサー上の接触点を認識することを含む。次に、方法400は、406において、相対的ジェスチャー認識モードではグラフィカル・ユーザー・インターフェース・エレメントが選択不可能となる所定領域において、接触点に近接する所定制御部外周を有するジェスチャー制御部を提示することを含む。
[0036] 尚、406においてジェスチャー制御部を提示することは、前述のような、トランスポート制御部を提示することを含むこともできることは認められよう。加えて、ジェスチャー制御部を提示することは、更に、所定領域内にある接触点に、トランスポート制御部のための基準フレームを素早く動かすことも含むことができる。更に、接触点に近接する所定制御部外周を有するジェスチャー制御部を提示することは、その接触点において仮想ゲーム制御部のための仮想制御スティック制御部を生成することを含むことができ、所定制御部外周は、所定制御部外周において、仮想制御スティック制御部の最大限のふれを有する。相対的ジェスチャー認識モードにあるデバイス、およびこのように提示されたジェスチャー制御部によって、タッチ・スクリーン・センサーの所定領域内部で、検出されたジェスチャーを受けて、識別することができる。
[0037] 更に、方法400は、408において、タッチ・スクリーン・センサーを通じて、タッチ・スクリーン・センサー内部において、グラフィカル・ユーザー・インターフェース・エレメントが選択不可能となる所定領域においてジェスチャー制御部が受けた接触点から発したユーザータッチ入力に基づいて、検出されたジェスチャーを識別することを含む。一例では、検出されたジェスチャーを識別することは、更に、タッチ・スクリーン・センサーを通じて、グラフィカル・ユーザー・インターフェース・エレメントが選択不可能となる所定領域においてジェスチャー制御部が受けた検出ジェスチャーの、予め定められたジェスチャーのライブラリの中にある1組の1つ以上の予め定められたジェスチャーの内の1つに対応する定義との比較に少なくとも部分的に基づいて、検出されたジェスチャーを解釈することを含む。
[0038] 更に、方法400は、408において、ジェスチャー・ベース制御モジュールが開発者指定制御パラメーターにアクセスすることを可能にすることも含むことができる。ジェスチャー制御部は、この開発者指定制御パラメーターにしたがって動作するように構成されている。一例では、開発者指定制御パラメーターは、音量パラメーター、再生速度パラメーター、再生方向パラメーター、制御部外周定めパラメーター、および 所定領域定めパラメーターから成る1群から選択することができる。このように、開発者は、例えば、ソフトウェア開発キットを通じて、個々のアプリケーション・プログラムに特異な制御パラメーターを携帯用電子デバイスに合わせて指定することができる。
[0039] 最後に、方法400は、更に、410において、所定制御部外周上における所定の位置から、そのように識別された検出ジェスチャーまでの相対的距離に基づいて、または接触点から、そのように識別された検出ジェスチャーまでの相対的距離に基づいて、携帯用電子デバイスの動作を調節することを含む。一例では、携帯用電子デバイスの動作を調節することは、基準フレームに対するユーザーの指の実質的に水平な方向によって識別される検出ジェスチャーに応答して、メディア再生の時間的位置を調節することを含む。他の例では、デバイスの動作を調節することは、基準フレームに対するユーザーの指の実質的に垂直な方向によって識別された検出ジェスチャーに応答して、メディア再生の音量を調節することを含む。更に別の例では、デバイスの動作を調節することは、基準フレームに対するユーザーの指の実質的に水平な方向によって識別された検出ジェスチャーに応答して、メディア再生の一時停止状態を調節することを含む。
[0040] 加えて、携帯用電子デバイスの動作を調節することは、タッチ・スクリーン・センサーが受けたジェスチャーが、所定制御部外周の中で受けられた場合、仮想制御スティック制御部の最大目盛りのふれに対する仮想制御スティック制御部の測定されたふれに比例する応答を、仮想ゲーム制御部から出力することも含むことができる。そして、携帯用電子デバイスの動作を調節することは、更に、相対的ジェスチャーが所定制御部外周の外側で受けられた場合、仮想制御スティックの最大目盛りのふれと実質的に同じである応答を、仮想ゲーム制御部から出力することも含むことができる。
[0041] 前述の方法は、本明細書において説明したシステムと同様、ユーザーがデバイスを視覚的に試験しない状況において、そして選択不可能にされているグラフィカル・ユーザー・インターフェース・エレメントの無意識の選択をすることなく、携帯用電子デバイスのユーザー制御をし易くするために用いることができる。
[0042] 尚、図4に示した方法は、この方法を実行するために計算機によって実行可能な命令を含むコンピューター読み取り可能記憶媒体上に存在できることは認められよう。更に、本明細書において記載した計算機は、本明細書において記載したプログラムを実行するように構成されている任意の適した計算機であればよいことも認められよう。例えば、計算機は、メインフレーム・コンピューター、パーソナル・コンピューター、ラップトップ・コンピューター、携帯用データ・アシスタント(PDA)、コンピューター対応ワイヤレス電話機、ネットワーク状計算機、または他の適した計算機であればよく、そしてインターネットのような、コンピューター・ネットワークを通じて互いに接続することができる。これらの計算機は、通例、プロセッサーと、関連のある揮発性メモリーおよび不揮発性メモリーとを含み、揮発性メモリーおよびプロセッサーの一部を用いて、不揮発性メモリーに格納されているプログラムを実行するように構成されている。本明細書において用いる場合、「プログラム」という用語は、本明細書において記載した1つ以上の計算機によって実行または利用することができるソフトウェアまたはハードウェア・コンポーネントを指し、実行可能なファイル、データ・ファイル、ライブラリー、ドライバ、スクリプト、データベース・レコード等の個々のものまたは集団を含むことを意味する。尚、プログラム命令が格納されているコンピューター読み取り可能媒体を供給することもでき、このプログラム命令を計算機によって実行すると、前述した方法をその計算機に実行させ、前述のシステムの動作を生じることは認められよう。
[0043] 尚、本発明の範囲は、添付した特許請求の範囲によって定められるのであって、それに先立つ説明によって定められるのではないので、本明細書における実施形態は、限定的ではなく例示的であることは言うまでもなく、したがって、特許請求の範囲の境界、あるいはそのような境界の均等物に該当する全ての変更は、特許請求の範囲によって包含されることを意図している。