JP2012502378A - 多段階回帰ベースpcr解析システム - Google Patents

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Abstract

PCRプロセス又は他の増幅若しくは増殖を呈するプロセスの特性を決定するためのデータ解析システム及び方法が提供される。増幅を表現するデータは、ジャンプ又は他のエラーを表現するデータから区別され得る。ドリフト項を含む変形シグモイド関数が、当該特性を決定するのに使用され得る。増幅データの多段階の関数の適合は、1つ以上の前記特性の正確性及び整合性を増大させ得る。前記増幅データのベースラインは、当該データの第一の導関数の積分面積を解析することにより決定され得る。当該増幅データの異なる複数の導関数が最大となる場所から、基準定量値も決定され、例えば、第二及び第三の微分が最大となる場所の加重平均が使用され得る。

Description

優先権主張
本願は、2008年9月9日に出願された(Attorney Docket No. 002558− 083200US)、米国仮出願第61/095,410号、表題「MULTI−STAGE, REGRESSION− BASED PCR ANALYSIS SYSTEM」の本出願(non−provisional application)に基づく優先権を主張し、その全ての内容は、本明細書中、全ての目的で、参照により援用される。
本発明は、全体的には、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)等の、増幅を呈する生物学的及び/又は化学的反応で得られたデータを解析する、データ処理システム及び方法に関する。
多くの実験プロセスは、量の増幅を呈するものである。例えば、PCRにおいて、量は、複製されたDNA鎖の部分の数に対応し、この量は、PCRデータプロットの増幅領域において現れる増幅段階の間に、劇的に増大する。PCRデータは、典型的には、線形にドリフトするベースラインを示す領域、続いて増幅領域における指数増殖により描写される。消耗材料(consumable)が枯渇すると、曲線は漸近線に変化する。増幅を呈する他の実験プロセスとして、細菌の増殖プロセスが挙げられる。
実験プロセスの量は、データシグナルを介して、実験装置から検出される。例えば、データは、各ウェル又はチューブ内で起こる1つ以上の反応に由来する、励起波長及び放出波長の変化をイメージングすることにより、回収され得る。当該データシグナルは、増幅の情報を決定するために解析されるデータポイントを含む。回収されたデータは、その後、典型的には、後で使用するために保存される。
PCRデータを使用して実施され得る解析の一例として、ベースライニングが知られている。ベースラインは、データにおけるノイズ又は設備に特異的なレベルを表すもので、増幅段階と区別される。より良好にデータの増幅領域を解析するために、しばしば、データシグナルからベースラインをドリフトする線を除去するのが望ましい。そのようなベースライニングは、ベースラインに対する実際の増幅のレベルを決定するのに好都合である。ベースラインは曲線の基礎により異なる場合があるので、幾つかの種類の解析において、この方法は、異なる曲線間で増幅レベルを比較することを可能とする。本願に全ての目的で参照により援用される米国特許公報第2006/0269947号に、ベースライニングの一例が記載されている。
PCRデータを使用してしばしば行われる他の解析は、反応中の特定の標的分子の、絶対的又は相対的な、定量化を算出することである。これは、基準閾値に対応する標的シグナル閾値を設定することにより達成され得る。そして、この標的閾値に達するのに必要なサイクル数を、Ct値と称する。反応のCt値を決定するための従来の方法は、しばしば、例えば原データ又は原データ中のノイズのモデリングの正確性等により限定される。
これらの及び他の種類の解析のための方法は存在するが、増幅システムから取得したデータは、しばしば顕著なノイズ及び他の変化する性質(variable aspect)を含み、これらは、反応の特徴の決定の効率及び正確性を妨げる。故に、増幅曲線を解析する新しい方法が必要となる。
概要
本発明の態様は、PCRプロセス又は他の増幅を呈するプロセスの特性を決定するためのデータ解析システム、方法、及び機材を提供する。一つの態様において、多段階の関数の適合(functional fit)を使用して、決定された特性の正確性を増大することが出来る。一つの側面において、当該特性として、ベースライン、増幅プロセスの基準定量値(例えばCt値)、増幅の存否、及び増幅プロセスの効率等が挙げられる。
一つの態様において、生物学的及び/又は化学的反応の1つ以上の特性を、当該反応の増幅プロセスを表現するデータセットから決定する方法が提供される。ベースライン部分及び増殖部分を有する曲線を形成するデータポイントのセットが得られる。各データポイントは、増幅プロセスの間の物質の物理量を表現する。プロセッサーは、前記データポイントのセットを近似する第一の関数を演算する。当該第一の関数から、1つ以上のパラメーターが抽出される。前記プロセッサーは、1つ以上のパラメーターを使用して、データポイントのセットを近似する第二の関数を演算する。前記生物学的及び/又は化学的反応の1つ以上の特性は、当該第二の関数を使用して決定される。
他の態様において、生物学的及び/又は化学的反応の増幅プロセスから得られた増幅曲線のベースライン領域を決定する方法が提供される。プロセッサーは、前記データポイントのセットを近似する関数を演算する。第一の導関数(derivative function)を得るために、前記関数の第一の微分(derivative)が演算される。プロセッサーは、ベースライン領域の終点を、プロセッサーを使用して、前記第一の導関数を、各点から前記第一の導関数の所定の場所まで積分して、各積分面積を取得することにより決定する。積分面積が特定の範囲内にある点が、ベースライン領域の終点として選択される。ベースライン領域の始点(beginning)も決定される。
更なる他の態様において、生物学的及び/又は化学的反応の基準値を、当該反応の増幅プロセスを表現するデータセットから決定する方法が提供される。ベースライン部分及び増殖部分を有する曲線を形成するデータポイントのセットが得られる。プロセッサーは、前記データポイントのセットを近似する関数を決定する。プロセッサーは、前記データポイントのセットを近似する関数を決定する。前記プロセッサーは、前記関数の2つ以上の微分を演算する。前記増幅プロセスにおいて、各微分が最大値をとる各時間が同定される。前記生物学的及び/又は化学的反応の基準値は、前記各時間の加重平均として算出される。
一つの態様において、回収されたデータの勾配又は当該データを近似する関数が閾値を越える勾配を有するか否かをチェックすることにより、当該データ中の増幅を表現するデータが、ジャンプ又は他のエラーを表現するデータから区別され得る。他の態様において、ドリフト項を含む変形シグモイド関数が、前記増幅プロセスを表すデータを近似するのに使用され得る。
本発明の他の態様は、本明細書中に記載される方法に関連する、システム及びコンピューターで読取り可能な媒体に関する。
本発明の本質及び長所は、以下の詳細な記載及び付属の図面を参照にして、より良く理解を得ることが出来る。
PCR増幅曲線の例を示す。
増幅プロセスから測定された原データの例を示す。
本発明の態様に係る、増幅反応から得たデータポイントを解析する方法を描写するフロー図を示す。
実際の増幅に対してジャンプしているデータ曲線の例を示す。
本発明の態様に係る、データ曲線のセグメントが増幅を示すか否かを決定する方法を描写するフロー図を示す。
本発明の態様に係る、増幅曲線のベースライン領域を決定する方法を描写するフロー図を示す。
本発明の態様に係るベースライニングの方法から得られた増幅データ及び曲線のプロットを示す。
本発明の態様を使用してベースライニングした多くのPCR曲線の例を示す。
本発明の方法に係る、増幅反応の特性を決定するために、多段階の関数の適合を実施することにより、増幅曲線を解析する方法を描写するフロー図を示す。
本発明の態様に係る、変形シグモイド関数とPCRデータとの間の適合を示す。
本発明の態様に係る、PCR曲線の様々な最大の微分の演算を例示する。
本発明の態様に係る、Ct値を決定するために、複数回の関数の適合を実施することにより、増幅曲線を解析する方法を描写するフロー図を示す。
本発明の態様に係る、リアルタイムPCRデータを処理するシステムを図示する。
詳細な説明
本発明は、例えば増幅反応の異なる特性の数を決定するために、増幅反応の結果を処理及び解析する技術を提供する。PCR増幅プロセスで得たデータを解析するのに様々な態様が特に有用であって、当該データとして、ベースライン、定量値(例えばCt値)、及び異なる領域の当該データの関数形式に由来する挙動等が挙げられる。しかしながら、本発明の教示は、ノイズを含み得るデータセット又は曲線、そして特に細菌の増殖プロセス等の、増殖(増幅)を呈すると推定される他の特定の曲線の処理に適用することも当然に可能である。
I. 増幅曲線
増幅(増殖)曲線は、一定時間中でいずれの時に量が増大したかを示す。そのような曲線は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)から得られる。典型的なPCR増殖曲線のデータは、二次元的なプロットで表現でき、例えば、x軸にサイクル数をとり、y軸に累積の増殖の指標をとる。典型的には、前記累積の増殖の指標は、蛍光マーカーに由来する蛍光強度の数値である。使用される具体的なラベル及び/又は検出スキームに依存して、他の指標も使用され得る。例として、発光強度、生物発光強度、燐光強度、電荷移動、電圧、電流、力、エネルギー、温度、粘性、光散乱、放射線強度、反射率、透過率及び吸光度が挙げられる。サイクルの例として、時間、プロセスサイクル、単位操作サイクル(unit operation cycle)及び生殖サイクル等が挙げられる。
図1は、PCR曲線100を示し、ここでは、典型的なPCRプロセスについて、サイクル数120に対する強度の数値110がプロットされている。数値110は関心のある任意の物理量であってもよく、そしてサイクル数は、プロセス中の時間又は工程の数に関連する任意の単位であり得る。そのような増幅曲線は、典型的には、線形部分(領域)130、これに増殖(増幅)部分140、更に漸近部分150が続く。図1を参照されたい。また、下方にカーブするデータ等の追加の種類の挙動も存在し得る。増殖部分は指数的、シグモイド的、高次多項式的、又は他の種類のロジスティック関数、又は増殖を表現するロジスティック曲線を有する。
関与する実験プロセスを理解するために、増殖部分140の位置及び形状を同定することが重要である。例えば、PCRプロセスにおいて、増幅の開始を同定するのが望ましく、それは、ベースライン部分(線形部分130)の終点160に起こる。加えて、増殖部分140の形状の解析は、しばしば、「ベースライニング」、あるいはPCR曲線100から線形部分130を差し引く工程を含む。
図2は、増幅を表すリアルタイムPCR曲線200を図示する。まず、当該データは、領域230で線形の挙動を示す。そして、その後のサイクルで、領域240において、増幅が認められる。図2を図1と比較すると、リアルタイムPCR曲線中にしばしば存在するノイズ及び他の変動性が、本来の反応の重要な特性を決定するための任意のデータ解析を、図1に示すより理想的なモデルよりも一層困難にする可能性があることは明白である。
前記曲線は、多くの異なる目的で解析され得る。幾つかの目的は、本明細書中に記載される。
II. 増幅曲線の解析の概要
図3は、本発明の態様に係る増幅反応から得たデータポイントを解析する方法を描写するフロー図を示す。図3の工程の多くは、一つの態様の具体的な要請に依存して任意である。加えて、図3に示されている様々な工程の多くは、他の工程から独立して実施され得る。例えば、図12に記載のベースライン解析は、いずれかのCtの決定から独立して実施される。図3の工程の幾つかを実施する具体的な方法は、他の図に関連して後述する。
工程310において、増幅を引き起こす生物学的又は化学的反応の原データを、解析のために取得する。態様によっては、前記原データは、前記反応から取得した光の様々な波長を表す。一つの態様において、前記データは、前記反応の各サイクルの後に測定される光の強度である。例えばサイクルあたりの蛍光値のセットの形の前記原データは、解析されるために、メモリーに書き込まれ得る。
工程320において、これらの光の波長は、更なる解析を実施する前のそれらの色に従って分離され得る。一つの態様において、ウェル毎に補正された色分離マトリックスが生産され、これは機器較正データから得ることができる。当該マトリックスは、ウェルに充填される色素に特異的に依存し得る。一つの側面において、逆マトリックス又は特異値分解等のマトリックス演算が使用されて、前記原データから色分離データが算出される。色分離データは、色素、工程番号及びウェルインデックスによりそれぞれ同定される、曲線のセットとしてアウトプットされ得る。色分離データは、曲線のセットとしてアウトプットされ、それぞれが、色素、工程番号及びウェルインデックスにより同定される。増幅曲線は、各色、並びに各ウェル試料及び工程に対して存在する。これらのアウトプット曲線は、使用者に提示される前にベースラインが差し引かれる場合もある。
工程330において、色分離原データは、当該データが本来の反応において増幅が起こったことを示すものであるか否かを判定するために解析される。増幅が起こったか否かを判定するのに、様々な解析が実施され得る。曲線が短すぎる場合、曲線中のデータの値の標準偏差が十分に小さい場合、曲線中のデータポイントの関数の適合が負の勾配を有する場合、及びデータとその線形の適合との間の差が、点の数と比較して充分な回数のサインを切り替える場合等が、非増幅と判定されるものの例として挙げられる。全ての目的で参照により援用される米国特許出願第2006/0271308号は、増幅を表すデータから線形データを区別するために、データが統計的に線形の挙動を表すか否かを判定する方法を開示している。態様によっては、データが増幅の発生を示すか否かを判定するために、最大増幅勾配結合解析(maximum amplitude slope bound analysis)が実施され、これは下記で詳述する。
増幅が起こらなかった場合、態様によっては、データの更なる解析を行わない場合もある。増幅が起こった場合は、態様によっては、方法300が続いて行われ得る。
工程340において、ベースライン解析が行われる。ベースラインは、一般に、増幅プロセスに関係しない作用に関連するものである。例えば、オフセット、ドリフト、ノイズ、又は他のアーティファクトが強度シグナル中に存在する場合があり、それらは、本来の増幅プロセスの結果ではない。前記ベースライン解析は、様々な方法で実行され得る。態様によっては、前記ベースライン解析は、特定の信頼レベル内のベースラインの終点を決定するための原データの関数の近似(適合)から、確率分布関数を作成することにより実施される。このベースライン解析は、本開示の中でより詳しく検討される。一つの態様において、前記原データの関数の近似として、シグモイド関数が使用され得る。
工程350において、前記原データに密接に合致する関数の近似を作成することにより、関数の適合が実施される。態様によっては、工程340で得られる関数の適合が、工程350の適合として使用される場合もある。他の態様において、新しい関数の適合が実施され、これは、過去の関数の適合に基づくものの場合もある。そのような多段階の適合は、下記で詳述する。態様によっては、前記関数の近似として、変形シグモイド関数が使用される。
工程360で、態様によっては、Ct値の決定のために、工程350で得た関数の近似を使用する。上記で議論したように、増幅曲線において、Ct値は、前記反応における特定の標的分子の、絶対的な、又は相対的な意味での定量を計算するために使用され得る。態様によっては、前記Ct値は、前記関数の近似の2つの微分の加重平均を使用して決定される。
態様によっては、工程330の結果が非増幅を示す場合、方法300において、ベースライン領域の終点が最終サイクルとなり、及び/又はCt値が前記曲線とその平均値が交差する角度となる。
III. 増幅の存否の判定
上記工程330において記載したように、データが増幅反応を表すか否かに関して、解析が行われ得る。一つの態様において、最大増幅勾配結合解析が実施される。
多くの場合、測定の間に機械に接触し、又は動作不良が生じることにより、データのジャンプが生じる。この場合、前記データは、増幅を表すように見えるが実際はエラーのアーティファクトである鮮明なジャンプを炙り出すことが出来る。このような挙動を炙り出す曲線の極端な例を、図4に挙げる。図4において、RFUは相対蛍光強度を意味し、そしてサイクルは、PCR反応又は増幅型の挙動を示すいずれかのプロセスの増幅のサイクルを意味する。態様によっては、実際の増幅と、エラーに起因するデータのジャンプ等のいずれかのアーティファクトとを峻別するために、実際の増幅の最大許容勾配(maximum allowed slope)を使用する。
図5は、本発明の一つの態様に係る、データ曲線のセグメントが増幅を示すか否かを決定する方法500を描写するフロー図である。様々な態様において、方法500は、ベースライニングの前に、ベースライニングの後に、又はベースライニング手順の部分として実施され得る。例えば、前記曲線のベースラインの始点から終点までの部分が、増幅挙動を同定するために;そして、増幅挙動が存在するか否かを同定するために解析され、その後に方法500が実行される場合もある。
工程510において、増幅を呈する生物学的又は化学的反応から抽出されたデータが、解析の為に取得される。態様によっては、前記データは、色分離され得る。取得されたデータは、典型的には、ベースライン部分及び増殖部分を有する。
工程520において、前記データの関数の近似を取得するために、前記データを使用しての関数の適合が実施される。この関数の近似は、態様によっては、本来の反応の様々な特徴を決定するために使用され得る。態様によっては、シグモイド関数が、関数の近似のために使用される。他の態様において、関数の適合は、前記データの一部分のためだけに実施され得る。
工程530において、関数の近似の解析は、関数の適合の勾配が最大増幅勾配結合(maximum amplification slope bound;MASB)を超えるか否かを判定するために実施される。当該関数の適合の勾配の解析は、データ曲線のあらゆる点において実施される場合もある。
工程540において、勾配が最大増幅勾配を超える場所(セグメント等)において、前記データは、非増幅とみなされ得る。一つの態様において、方法500の解析が全ての可能な増幅領域を抜き取った場合、当該データ曲線は、非増幅と分類され得る。他の態様において、増幅領域が前記ジャンプの後に存在する場合、ベースライン領域の始点は、当該ジャンプの直後に設定され得る。
前記最大勾配の導出における一つの態様を、以下に記載する。一つの側面において、下記等式は、実際の増幅曲線の勾配が、理想的な、純粋に指数関数的な、定常的な最大効率の増幅曲線の勾配により、上方が境界される(bounded above)ことを示す。
増幅を検討する。ここで、yはベースライニングされたデータを表し、そしてはEはNサイクルでの増幅効率を表す。
Figure 2012502378
前記挙動は指数関数的であるから、微分は、ln空間(lnは自然対数)における差により近似され得る。結果として、当該微分は、以下のように記載される。
Figure 2012502378
平均値の定理を使用して、以下のように表すこともできる。
Figure 2012502378
ここで、Nは、N=N、及びN<N<N+1のいずれかの数値と評価される。
前記ベースライニングされたデータの自然対数と前記平均値の定理との差から導き出された等式を組み合わせて:
Figure 2012502378
が得られ、ここで、y及びEは、連続関数としてどこに定めてもよい。当該等式の右辺及び左辺は、異なる数値、N及びN*と評価されると留意されたい。E(N)<1であるため、当該等式の右辺は、ln(2)により厳密に上方が境界される。
右辺はNとは独立しているため、*は無くともよい。その結果、以下のようになる。
Figure 2012502378
その結果、次の式が得られる。
Figure 2012502378
この式は、前記データに対する関数の適合(例えば回帰関数の適合)について、この不等式が満たされるか否かを判定する試験として評価され得る。当該不等式が満たされる場合、そのデータは増幅を表すものと推定される。当該不等式が満たされない場合、そのデータはアーティファクトを含むものであって、相応に処理され得る。例えば、この試験は、収集したPCRデータが増幅を含む反応を表すか否かを判定するために使用される、最初の試験の一部分として使用され得る。他の態様において、他の目的でもこの解析が使用され得る。
IV. ベースライニング
図6は、本発明の一つの態様に係る増幅曲線のベースライン領域を決定する方法を描写するフロー図である。方法600のグラフは、図7に示される。
工程610において、前記データに対する関数の近似(適合)が取得される。態様によっては、当該関数の適合において、純粋なシグモイド関数が使用され得る。シグモイドは、回収されたデータにより定められる曲線に対する関数の近似を提供する。原データ701及びその関数の近似702を、図7に示す。
工程620において、前記関数の適合の第一の微分F’が決定される。第一の微分は、様々な方法で決定され得て、実施された関数の適合の種類に依存し得る。
工程630において、前記曲線の始点の微分値であるF’(0)は、当該導関数がベースライニングされるように、前記曲線自体から差し引かれ得る。ベースライニングされた第一の導関数の一例を、703に示す。
工程640において、例えば、点が増幅(増殖)領域の中にある確率を定める分布等の、確率分布関数が作成される。このようにして、増幅領域の始点が決定されることにより、ベースライン領域の終点が計算され得る。
一つの態様において、前記確率分布関数は、非斜交平行領域(non−crosshatched area)708中の、第一の導関数の下の面積に関する。前記導関数のピーク以後の領域は、領域705に図示されるように、切り離される。故に、領域705は、ベースライン解析の一つの態様において、使用されない。前記導関数の始点から前記導関数のピーク704(変曲点で生じる)までの領域が、更なる解析に使用される。ベースライニングされた導関数は、その後、(例えば正規化(normalization)として)その曲線の下に規定される領域により分割されて、所定の点が増幅領域内にあるか否かの確率分布として解釈され得る新しい関数が得られる。当該確率分布関数は、本来の曲線の変曲点で最大値(100%)をとり、そして当該曲線の始点で、0%に向かって単調に減少する。
工程650において、増幅領域の始点において、信頼レベルが選択される。態様によっては、前記信頼レベルは、ベースライニングされた導関数の下の面積の大きさ(パーセンテージ等)に関連する。例えば、ベースライン領域の始点は、積分面積が相対的に小さい位置に発生するものとして解釈され得る。そのような点は、増幅領域中に存在する確率が低い(例えば3〜0%)ことにより、その点がもはやベースライン領域中に無いと考えられるときに発生する。
一つの態様において、ある点が増幅領域の中にある確率は、増幅領域の始点の信頼レベルが100%付近となるように、逆に(例えば100%から差し引く)記述される場合もある。一つの態様において、実際の問題として、信頼レベルの数値は、90%〜97%となるのが望ましい。100%の数値は、実際は、その点が曲線全体の始まりに近くなり得るため、増幅領域の始点としてサイクル数が低すぎる。90%未満の数値は、その点が増幅領域の中にある可能性が極めて高くなり得るため、数値が高すぎる。
工程660において、ベースラインの終点は、信頼レベルが到達する点により決定される。一つの態様において、所望の信頼レベル内で増幅領域の始点(ベースライン領域の終点)を決定するために、確率分布関数を、706に示すように、ピーク704から当該関数の始まりに向かい、当該面積が選択された信頼レベル(例えば分数サイクル値(fractional cycle value)x)と合致するまで積分する。図7において、この点は、707と記される。ピーク704から点707までの確率分布関数の下の面積は、選択された信頼レベルと等しい。
他の態様において、前記曲線は、始点から、信頼レベルが例えば3%〜10%と解釈され得るところに達するまで積分され得る。この数値を100%から差し引いたものが、信頼レベルが選択された(例えば100%付近)方法に合わせるために使用される。
この点707は、増幅が発生したことが予想される領域の信頼できる境界として使用される。このサイクル値は、ベースラインの終点として解釈され得る。
工程670において、ベースラインの終点が決定された後、ベースラインの始点が決定され得る。一つの態様において、前記曲線の始点からベースラインの終点までの部分(抽出された部分)が解析されて、ベースラインの始点が決定される。当該抽出された部分が十分に線形である場合、ベースラインの始点が、前記曲線の始点に設定される。
一つの側面において、十分な線形性(sufficient linearity)は、データポイントが線に適合し得る尺度として測定される。例えば、最小二乗適合(least squares fit)において、適合した線からのデータポイントの標準偏差は、線形性の尺度として使用され得る。線形挙動からのエラーは、線形性が存在するか否かを決定するために、閾値と比較され得る。
十分に線形な領域は、非増幅的な領域として扱われ得る。一つの態様において、第一のサイクルがベースライン領域から除かれることにより、装置の安定性のようなPCRプロセスの開始に共通する問題が排除される。
前記曲線の抽出された部分が十分に線形でない場合、ベースラインの始点を決定するために、追加の解析が実行され得る。一つの態様において、当該追加の解析は、一つの態様において、当該追加の解析は、前記曲線の抽出された部分の末端(leading point)を、末端の領域が非増幅領域に達するまで、又は所定の繰り返しの最大回数に達するまで、繰り返し除去又は切り取ることからなる。ベースラインの始点がジャンプの位置の直後に設定されるように、ベースライン領域内にジャンプが存在するか否かを決定するために、上記で開示した最大勾配解析が、追加で繰り返し使用され得る。
以下は、このベースライニング方法の態様のより詳細な数学的記載である。
第一の工程は、前記原データに、関数の適合を行うことである。当該関数の適合の関する第一の工程は、前記データをモデル化するのに使用されるべき関数の近似を選択することである。一つの態様において、シグモイド関数が、この目的に使用される。
次に、選択された前記データの関数の近似に使用される初期回帰(適合)パラメーターのセットを定める必要がある。下で使用される回帰パラメーターは:a、a、a、aある。下記パラメーターのセットは、様々なデータセットにおいて良好に動作することが実験的に判定された1組のパラメーターの例である。ここで、y=RFU、x=サイクルであって、これらのパラメーターは、以下のように利用され得る:a=y[1];a=y.Max−y.Min;a=x.Length/2;a=1.0
これらの回帰パラメーターを使用するシグモイド回帰関数の例として、以下のものが挙げられる。
Figure 2012502378
この回帰関数を使用して、前記関数の第一の微分が、以下のように計算され:
Figure 2012502378
そして、第二の微分が、以下のように計算される。
Figure 2012502378
第一の微分は、第二の微分の方程式が0となるxの値で最大となる。
ある点が増幅領域中にある確率は、以下のように計算される。
Figure 2012502378
非斜交平行領域において、出願人らは、変曲点Iから左に積分することにより、増幅領域の開始部にある信頼度95%の境界μを探す。
Figure 2012502378
Pに上記式を代入すると、以下のようになる。
Figure 2012502378
この式に前記純粋なシグモイドを代入して、以下の式が得られる。
Figure 2012502378
次に、以下の式を反復する(iterate)ことにより、ベースラインの始点を決定する。
Figure 2012502378
これらの関数は、それがベースライン領域の所望の終点に収束するまで反復される。
図8は、上記ベースライニング方法の有効性を示す。図8において、多くのノイズを含むデータセット等の多くの異なるデータセットが、上記方法を使用して、効率的にベースライニングされる。明らかに認められるように、増幅の前の線形領域は、曲線を差し引いた場合、線形の領域が、グラフのx軸(サイクル)に対して平行となるものとして同定されていた。
V. 多段階の関数の適合
上記に述べたように、増幅反応から得られるデータ値の関数の近似は、ベースライニング及びCt値の同定等の、複数のプロセスにおいて使用され得る。使用されていた一つの関数の式は、式1/(1+e)のシグモイド関数である。しかしながら、そのような関数の式は、増幅反応の物理的特性を誤認する可能性がある。故に、態様によっては、ドリフト項を使用する変形シグモイド関数(下記)が使用され、これは、様々な浮動するベースラインや、シグモイド関数が誤認する可能性がある他の特性を考慮している。
しかしながら、既定のパラメーターと共に使用される場合、当該高分解能(higher resolution)の関数は、良好な関数の適合を提供するのに安定性を欠く可能性がある。例えば、上記で議論した変形シグモイド関数のような高分解能の関数は、しばしば、関数を形成するための最初の開始パラメーターに対し、低分解能の関数よりも大幅に敏感である。その結果、これらの高分解能の関数への既定のパラメーターの使用は、良好な結果を生じない場合がある。言い換えると、前記高分解能の関数は、既定の開始パラメーターが使用される場合、前記データの関数の近似と前記データ自体との間のエラーを効率的に減少させられない場合がある。
いずれかの回帰関数に存在するエラーは、例えば、Levenberg−Marquardtアルゴリズム等の、アルゴリズムを使用して最小化することが出来る。このアルゴリズムは、エラー、即ち適合する関数と実際のデータとの間の差を最小化する。当該差は、下記等式により測定され:
Figure 2012502378
ここでPは、適切な適合が達成されるまで変化させられるべき回帰パラメーターのベクトルである。伝統的に、Gauss−Newton法及びGradient Descent法の組合せであって、これにより、前記アルゴリズムは、エラーの性質に依存して、計算の過程でいずれの方法を使用するべきかを調節する。
前記変形シグモイド関数形式が使用される場合、最小化アルゴリズムを用いて収束を行うのは困難な場合がある。よって、一つの態様において、前記変形シグモイド関数形式用のパラメーター(シード値(seed value))を得るために、第一のシグモイド関数の適合が行われる。他の態様において、前記変形シグモイド関数の適合は、他の関数の適合からシード値を得ずに計算され得る。
図9は、本発明の態様に係る、増幅反応の特性を決定するために、多段階の関数の適合を実施することによる、増幅曲線を解析する方法を描写するフロー図である。示されているように、方法900は、3つの関数の適合の段階を使用するが、他の態様において、より多く、又はより少ない解析の段階が使用され得る。シグモイド及び変形シグモイド関数を使用する実施例が提供されるが、多段階の関数の適合は、他の関数形式を使用する場合もある。
下記の記載において、「低分解能」及び「高分解能」という用語は、関数の適合の順番を意味し、高分解能の適合は、低分解能の適合の後に行われる。これらの用語は、前記データの関数の近似が本来の原データを描写(map)する正確性の度合に対応し得るものでもある。故に、前記解析の各段階は、それ以前の解析の段階を積み重ねて、前記データの正確な近似を形成する。
工程910において、前記増幅反応から、データを取得する。このデータを、本明細書中に記載されるような、任意の適切な形式であり得る。
工程920において、前記増幅データの第一の関数の適合が決定される。当該第一の関数の適合は、低分解能である。例えば、前記データ曲線は、純粋なシグモイド関数により適合され得る。シグモイドモデル等の低分解能の関数は、典型的には、変形シグモイド回帰関数等のより高分解能の関数よりも、初期のシードパラメーターに対して感受性が低い。その結果、純粋なシグモイド関数は、既定の初期パラメーターを使用して、良好に動作する。
一つの態様において、この関数は、高分解能の関数が有効でないいずれかの解析を実施するのに使用され得る。この第一の関数の適合を使用して行われ得る解析は、例えばベースライン解析である。
工程930において、前記多段階解析の次の段階のためのシードパラメーターを作り出すために、低分解能解析が使用され得る。一つの態様において、前記シードパラメーターは、高分解能関数のパラメーターの初期値である。
工程940において、第二の関数の適合は、より高分解能の適合(例えば回帰関数)を得るために、前記シードパラメーターを使用する。一つの側面において、低分解能の関数から得たシードパラメーターを使用することにより、より高分解能の適合における良好な初期値を得ることが出来る。初期値が良好であれば、適合の方法(例えば上記のもの)の収束は、より容易かつより確実に達成できる。
多段階の関数の適合の実施は、取得された最後の関数の適合にロバスト性をもたらす場合もある。ロバスト性の重要な尺度は、本来の反応の特性の決定の反復可能性である。高分解能の関数は、本来の反応のCt値等のパラメーターを計算するのに使用され得る。前記反復可能性は、反復におけるCtの標準偏差を使用して測定され得る。ロバスト回帰エンジン(robust regression engine)も、より確実に収束して、より小さいCt標準偏差を提供する。ここで、収束は、実際のデータへの適合のエラーが十分に小さいか否かにより測定される。
工程950において、第二の関数の適合を使用して、前記増幅反応のCt値が決定される。一つの態様において、Ct値は、前記第二の関数の適合(例えば変形シグモイド関数)が閾値と交差する位置のサイクル数として決定される。他の態様において、前記関数の近似(適合)の微分の加重平均が、Ct値として使用される。
工程960において、工程950で得られたCt値により定められる領域内で、第三の関数の適合が実施される。例えば、前記第二の関数の近似から計算されるCt値が、前記増幅反応を包含する領域の重心(centroid)を定めるのに使用され得る。そして、前記第三の関数の適合が、この領域内のデータポイントの近似として形成される。一つの態様において、前記重心により定められる領域の幅は、当該重心と増殖(増幅)領域の始点との間のサイクル幅の2倍である。
一つの態様において、この第三の関数の適合は、増幅領域に対してのみ行われる。増幅曲線の大域的挙動(global behavior)における変動性のためである。この変動性は、空間的整合の問題(spatial alignment issue)等の要素による、装置のバイアスの可能性を反映するものである。前記第二の関数の適合は大域的であってもよく、かつ増幅曲線全体の全体的な挙動を反映するものであるから、このバイアスは、第二の回帰から算出されたCt値に反映され得る。この効果を減少させるために、非常に高分解能の回帰が、増幅領域のみを包含する帯(window)において実行され得る。これは、曲線の先端、及び曲線の末端等の、化学においてしばしば劣化及び整合の問題が生じる部分に反映される変動性を排除する。
態様によっては、前記第三の関数の適合は、多項式回帰であってもよい。一つの態様において、6次多項式関数の適合が、増幅領域に適用される。多項式の次数は、当該多項式の最高次の項の指数の値と同じである。
工程970において、更に、より高度な正確性でCt値等の特性を決定するために、第三の関数の適合が使用される。このような、高分解能の回帰関数の開始パラメーターを得るために低分解能の回帰を使用するプロセスは、必要に応じて、多くの回数繰り返されても良い。各繰り返しにおいて、その前の回帰関数を使用して、更に高分解能の回帰関数のシード値が決定される。もし、何らかの理由で、第一の回帰関数から得られたシードパラメーターを使用して、高分解能の関数を形成できない場合、先験的に(a priori)、開始パラメーターの事前予測(a priori estimate)が代わりに使用され得る。
一つの態様において、第二の関数の適合に使用される高分解能の関数の近似は、以下の変形シグモイド関数である。
Figure 2012502378
この等式において、
Figure 2012502378
は、標準的なシグモイド関数からの改変である、様々に変動するベースラインを表す、内的線形ドリフト項(internal linear drift term)である。この項は、前記データの関数の近似とデータ自体との間の適合を、増幅データに見られる実際の挙動をより良好に表現することによる、多数の標準偏差により、改善する。
インプットベクトル(x、y)における既定の初期回帰パラメーターシード値は、以下のものであり得る:
aO=パラメーター[0]=y[1];a=パラメーター[1]=y.Max−y.Min;a=パラメーター[2]=x.Length/2;a=パラメーター[3]=1.0;a=パラメーター[4]=y.Mean−y[1]
しかしながら、上記のように、これらの既定値は、正確な増幅データモデルを形成し得ない。この場合、これらの変数に使用される値は、純粋なシグモイド関数の適合から得られたものである場合があり、工程920で取得され得る。例えば、a〜aの値は、シグモイド関数の適合の最後の値から直接取られ得る。一つの側面において、前記シードは、関数形式が類似するため、この方法で決定される場合がある。
xに関する第一及び第二の微分は、以下のようになる:
Figure 2012502378
第一の微分は、第二の微分が0となるxの値で最大となる。
xに関する第三の微分は、以下のようになる:
Figure 2012502378
第二の微分は、第三の微分が0となる適切なxの値の位置で最大となる。
xに関する第四の微分は、以下のようになる:
Figure 2012502378
第三の微分は、第四の微分が0となる適切なxの値の位置で最大となる。当該微分が最大となる位置を同定することにより、一つの態様において、この情報は、Ct値を決定するのに使用され得る。
図10は、原データに対して適合する、高分解能変形シグモイド回帰関数の例を示す。2つの線が互いに殆ど見分けがつかないほどに接近しているので、この適合は、この例において、大域的に優れている。
VI. Ct値の計算__加重最大微分(WEIGHTED MAXIMUM DERIVATIVE)法
増幅を行う反応のCt値を選択することが可能な方法は、数多く存在する。それぞれの方法は、何がしかの長所及び短所を有する。Ct値は、関数の適合を行う、各単一の段階の後に、又は複数の段階の後に、決定され得る。
Ct値は、曲線上の点を表し、他の曲線上の点と幾つかの特性において類似する端数を含み得る(fractional)サイクル数である。様々な態様において、Ct値は、強度シグナルがある目標の閾値に到達したときの、ある増幅数値が達成されたときの、ある濃度数値が達成されたときの、ある微分値又は微分の組合せの値の最大値が達成されたときの、又は曲線のある数値又は当該曲線の形状を表現する他の特性が達成されたときの、端数を含み得るサイクル数であり得る。
Ct値は、異なる未知の開始量(starting quantity)を表現する異なる曲線の間の増幅の相対レベルを比較し、又は既知の絶対的又は相対的な量の標準と比較することが出来る。前者は相対定量として知られ、一方後者は絶対定量として知られる。
本発明の一つの態様において、Ct値は、前記増幅曲線に対する関数の近似の第二の誘導体の最大値におけるサイクル数(端数を含んでもよい)として選択される。この数値は、Ct値の優れた評価法をもたらすが、Ct値が過剰に高くなる可能性がある。また、効率の値が過剰に高くなる可能性もある。
他の態様において、Ct値は、前記増幅曲線に対する関数の近似の第三の微分が最大となる位置におけるサイクル数(端数を含んでもよい)として選択される。この方法は、第二の微分が最大となる位置の約2サイクル前の優れたCt値を得られる。また、この方法は、優れていないが良好な効率の値を得られる。しかしながら、第三の微分の位置におけるCt値の評価法は、許容されるものではあるが、第二の微分の位置におけるCt値の評価法程良好ではない。
図11は、変形シグモイド関数によりモデル化された増幅曲線を示すための、最大の第一、第二及び第三の微分の例を示す。微分が最大となる値は、次に次数の高い微分の0の点に位置する。0点1101及び1103は、第一の微分が最大となる位置を見出すのに使用され;0点1102は、第二の微分が最大となる位置を見出すのに使用され;そして0点1104は、第三の微分が最大となる位置を見出すのに使用され得る。
一つの目標は、いずれの場合も最良となる前記2つの間の妥協点を見つけることである。これは、当該2つの微分の加重平均としてCt値を計算することにより達成され得る。一つの態様において、加重平均において、第n及び第n+1の微分値が使用される。微分が最大となる値は、反復又はNewton−Raphsonアルゴリズム等の技術を使用して計算され得る。
前記加重平均で使用される加重パラメーターは、基準の数を満たすように調製され得る。一つの態様において、前記加重パラメーターは、既知の良好な、効率加重パラメーター校正ファイルにおいて、標準曲線の効率が100%となるように設定される。この場合、参照ファイルとしてSYBR Greenの線形性が使用されるが、充分な適合度(goodness)を有するとみなされる任意のデータでも足りる。他の態様において、前記曲線の末尾に変動への感受性を最小にする加重パラメーターが設定される場合もあるが、その部分では増幅が蛍光又は装置の変動のいずれによるものであるかを正確に表現しない点が問題となり得る。
態様によっては、前記第二の微分が最大となる位置及び第三の微分が最大となる位置の加重平均が、Ct値を決定するのに使用され、この加重因子は、SYBR Green線形性参照ファイルに応じて選択される。式は以下のようになる。
CtSelectionValue = (1.0 − p) * Max2ndDerivativeXLocation + p * Max3rdDerivativeXLocation
一つの態様において、前記加重値pは、典型的には、0.3〜0.7の範囲内である。例えば、一つの態様では、加重値として0.65を使用する。
何らかの理由により第n及び第n+1の微分の加重平均が計算できない場合、Ct値は、他の方法を使用して決定されてもよい。例えば、前記曲線は、帯の内側で解析され得る。また、前記曲線は、一つの結果が得られるまで切り詰められる場合もある。増幅が早期に生じる場合、この解析は、開始後を推定すること(extrapolating past the beginning)により実施され得る。前記データが後期に増幅を示す場合、この解析は、前記曲線の終端の後の曲線を推定することにより実施され得て、そして再計算が試みられ得る。
上記のいずれも妥当なCt値をもたらさない場合、前記システムは、単一の閾値の解析方法に使用されるアプローチに戻され得る。米国特許出願US2006/0269947及びUS2006/0271308を参照されたい。これらの参照のいずれも、全ての目的で本明細書中に参照により援用される。上記のいずれも妥当なCt値をもたらさない場合、低分解能の方法で、信頼性に劣るCt値が計算され得る。
上記方法900に記載したように、微分の平均の使用等により、最初のCt値が決定された後、当該Ct値を使用して、高分解能の関数の適合のための領域を定める。この高分解能の関数の適合(例えば高次多項式回帰関数)を使用して、微分の平均を用いたCt値の更なる改善を行い得る。このプロセスは、上記のように、増幅領域の周囲の帯を定める。Ctの決定をこの増幅帯に制限することにより、当該曲線の始部及び終部で見られる変動性の解析への影響を低減させられる。その結果、より正確なCt値を決定できる。この場合の加重値は、装置のバイアスによる変動を最小にするように調整される。
Ct値を使用して増幅曲線を比較するとき、既知の標準が存在するのであれば、それらのCt値に対する公知の標準的な開始値に関して、標準曲線として知られるグラフが作成される場合がある。標準がなくとも、多数倍希釈セットを使用して標準曲線を定める場合もある。そして、対数線形グラフを使用して、未知の試料のCt値を推定することにより、前記曲線を定めるのに、絶対的な標準と多数倍の未知の物のいずれが使用されたかに依存して、それらの絶対的又は相対的な開始量を決定する。この対数線形グラフの勾配は、効率を計算するのに使用され得る。この効率は、PCT増幅の間に、解離、アニーリング、及び伸長からなるフルサイクルが、DNA粒子の数を倍にする平均の確率を意味し得る。各サイクルで完全な倍増が起こらないため一般に、この効率は1未満であるのが望ましいが、あるいは望ましくない追加の産物が生産されることにより、効率は1を超える場合もある。
VII. 組み合わせた方法
図12は、本発明の態様に係る、複数の関数の適合を実施することにより増幅曲線を解析してCt値を決定する方法を示すフロー図である。図12の各工程は、本開示で既にかなり詳細に記載したものである。図12の多くの工程は、一つの態様の具体的な要求に依存して選択的である。加えて、工程12に概観される様々な工程の多くは、他の工程から独立して実施され得る。例えば、図12に記載のベースライン解析は、Ct決定工程がいずれのものであるかに依存せずに実施され得る。
工程1210において、増幅を呈する生物学的又は化学的反応から原データを、解析のために取得する。態様によっては、前記原データは、色分離データであってもよい。態様によっては、当該色分離データは、当該データが増幅を表すか否かを決定するために解析され得る。本発明の態様によっては、この決定を行うために、前記最大増幅勾配結合解析が実施される。
工程1220において、前記原データを使用して第一の関数の適合が実施されることにより、当該データの第一の関数の近似が得られる。この関数の近似は、態様によっては、本来の反応の様々な特性を判定するのに使用され得る。態様によっては、第一の関数の適合として、シグモイド関数が使用され得る。
工程1230において、ベースライン解析が実施される。本発明の態様によっては、前記本来のデータの関数の近似として、シグモイド関数が使用され得る。一つの態様において、当該ベースライン解析は、工程600の態様を使用する。
工程1240において、第二の関数の適合が行われ、前記データの第二の関数の近似が作成される。前記第一の関数の近似は、当該第二の関数の近似のパラメーターの幾つかを作成するのに使用され得る。態様によっては、当該第二の関数の近似は、上記のように、変形シグモイド関数を使用する。
工程1250において、前記第二の関数の近似を使用して、Ct値を決定する。態様によっては、当該Ct値は、前記第二の関数の近似の2つ以上の微分が最大値となるサイクル数の加重平均を使用して決定される。例えば、第二の微分が最大となる値及び第三の微分が最大となる値におけるサイクル数の加重平均が使用されてもよい。
工程1260において、第三の関数の適合を使用して、前記データの第三の関数の近似を作成する。一つの態様において、前記工程1250において決定されたCt値を使用して、工程1260の関数の適合を行う数値の範囲を定める。
工程1270において、前記第三の関数の近似は、新しいCt値を決定するために使用され得る。態様によっては、この新しいCt値は、前記第三の関数の近似の2つ異常の微分が最大値をとるサイクル数の加重平均を使用して決定される場合もある。
工程1220、1240及び1260の如き多段階の関数の適合は、必要に応じて、多くの回数反復されてもよい。
VIII. システムの例
図13は、本発明の一つの態様に係るシステム1300を示す。このシステムは、見ての通り、サンプルホルダー1310に、最近又はDNA等のサンプル1305を含む。前記サンプルからの蛍光強度の数値等の物理特性1315は、デテクター1320により検出される。ノイズ成分を含むシグナル1325が、デテクター1320から論理システム1330に送られる。シグナル1325からのデータは、ローカルメモリー1335又は外部メモリー1340又は保存装置1345に保存され得る。一つの態様において、アナログ/デジタルコンバーターは、アナログシグナルをデジタル形態に変換する。
論理システム1330は、コンピューターシステムの、ASIC、マイクロプロセッサー等であって、又はそれらを備える。また、当該システムは、ディスプレイ(モニター、LEDディスプレイ等)、及び使用者入力装置(例えば、マウス、キーボード、ボタン等)を備え、又はそれらと組み合わされる。論理システム1330及び他の構成は、単独のシステム、又はネットワーク接続されたコンピューターシステムの部分であってもよく、又は、それらは、サーマルサイクラー装置に直接取り付けられ、又は組み込まれてもよい。また、論理システム1330は、プロセッサー1350中で実行される最適化ソフトウエアを備えてもよい。
本発明の特定の側面の特定の詳細は、本発明の態様の精神及び範囲から逸脱することなく、任意の適切な方法で組み合わされてもよい。しかしながら、本発明の他の態様は、それぞれ個別の側面に関する特定の態様に、又はこれらの個別の側面の特定の組合せに関する場合もある。
上記本発明は、モジュラーとして、あるいは統合された方法で、ハードウエア及び/又はコンピューターソフトウエアを使用して、制御論理の形態で実施され得る。本明細書中に提供される開示及び教示に基づき、当業者は、ハードウエア、並びにハードウエア及びソフトウエアの組合せを使用して、本発明を実施する他の手段及び/又は方法を知得及び認識し得る。
本願に記載のソフトウエアコンポーネント及び関数のいずれかは、例えば公知の又はオブジェクト指向の技術を使用し、例えばJava(登録商標)、C++又はPerl等の適切ないずれかのコンピューター言語で表される、プロセッサーにより実行されるソフトウエアコードとして実現され得る。当該ソフトウエアコードは、保存及び/又は伝達用のコンピューターで読取り可能な媒体上に、一連の指令又はコマンドとして保存され得て、適切な媒体として、ランダムアクセスメモリー(RAM)リードオンリーメモリー(ROM)、ハードドライブ若しくはフロッピー(登録商標)ディスク等の磁気媒体、又はコンパクトディスク(CD)若しくはDVD(デジタルバーサタイルディスク)等の光学媒体、フラッシュメモリー等が挙げられる。前記コンピューターで読取り可能な媒体は、そのような保存又は伝達装置の任意の組合せであってもよい。
また、そのようなプログラムは、インターネット等の、様々なプロトコルに従う、有線、光学、及び/又は無線ネットワークを介して伝達されるように適応させたキャリア信号を使用してエンコード及び伝達されてもよい。本発明の態様に係るコンピューターで読取り可能な媒体は、そのようなプログラムを用いてエンコードされたデータ信号を使用して形成され得る。前記プログラムコードでエンコードされたコンピューターで読取り可能な媒体は、取り付け可能な装置に搭載される場合があり、他の装置から個別に提供(例えばインターネットダウンロード)される場合もある。コンピューター読取り可能な媒体は、単一のコンピュータープログラム製品(例えばハードドライブ又はコンピューターシステム全体)上又は内部に設置されてもよく、一つのシステム又はネットワーク内の異なるコンピュータープログラム製品上又は内部に存在してもよい。コンピューターシステムとして、使用者に本明細書中に記載の結果のいずれかを提供するための、モニター、プリンター、又は他の適切なディスプレイが挙げられる。
上記本発明の例示的態様の記載は、例示及び記述を目的として提供したものである。これは、包括的である(exhaustive)ことを意図するものではなく、又は本発明を、記載されているままの形式に限定することを意図するものでもなく、そして、上記教示を参照して、多くの改変及び変更が可能である。上記態様は、本発明の原理及びその実際の応用を最も良く説明し、それにより、他の当業者が、具体的な使用の意図に適合するように、様々な改変を加えて、様々な態様において本発明を最適に使用することができるように、選択及び記載されたものである。

Claims (24)

  1. 生物学的及び/又は化学的反応の1つ以上の特性を、当該反応の増幅プロセスを表現するデータセットから決定する方法であって:
    ベースライン部分及び増殖部分を有する曲線を形成するデータポイントのセットを取得する工程、ここで各データポイントが増幅プロセスの間の物質の物理量を表現する;
    プロセッサーを使用して、前記データポイントのセットを近似する(approximate)第一の関数を演算する工程;
    前記第一の関数から1つ以上のパラメーターを抽出する工程;
    前記プロセッサーで、前記1つ以上のパラメーターを使用して前記データポイントのセットを近似する第二の関数を演算する工程;及び
    前記第二の関数を使用して前記生物学的及び/又は化学的反応の1つ以上の特性を決定する工程;
    を有する、前記方法。
  2. 前記1つ以上の特性が、前記増幅プロセスと関連する定量値を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記1つ以上のパラメーターが前記第二の関数の初期値として使用され、且つ前記第二の関数の演算が1つ以上の前記初期値を変化させることにより、前記第二の関数と前記データポイントのセットとの間のエラーを減少させることを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記第二の関数が、ドリフト項を含む変形シグモイド関数である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記変形シグモイド関数が:
    Figure 2012502378
    で表され、ここでa、a、a、a及びaは、前記変形シグモイド関数を前記データポイントのセットに適合させる手順の過程で決定される数字で、且つxは、前記増幅プロセスのサイクル数である、前記方法。
  6. 前記1つ以上のパラメーターが、a、a、a及びaを含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記1つ以上のパラメーターが、前記増幅プロセス中に、その時点で前記第一の関数が特定の数値を有する時間Ctを含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記データポイントのセットを近似する第二の関数を演算するための前記時間Ctの使用が:中心にCtが来る時間帯(window of time)を定める工程;
    当該時間帯の中のデータポイントを使用して、前記第二の関数が当該時間帯の中のデータポイントを近似するように前記第二の関数を決定する工程;
    を含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記第二の関数が六次以上の多項式である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記時間Ctが、前記第一の関数の第二の微分(derivative)が最大値をとる第一の時間と、前記第一の関数の第三の微分が最大値をとる第二の時間との加重平均として決定される、請求項7に記載の方法。
  11. 更に:前記ベースライン部分の終点(end)を前記増幅プロセスの第一の時間として選択する工程を含み、ここで、前記第一の関数の第一の導関数(derivative function)の、当該第一の時間からピークまでの積分面積が、特定の数値の範囲内である、請求項1に記載の方法。
  12. 更に:
    前記第一の関数を解析して、当該第一の関数の勾配が最大増幅勾配(maximum amplitude slope)を超えるか否かを決定する工程;及び
    当該第一の関数に当該最大増幅勾配を超える場所がある場合、その後当該場所を含むセグメント(segment)を増幅曲線の非増幅セグメントとして扱う工程;
    を含む、請求項1に記載の方法。
  13. 前記最大増幅勾配が、ln(2.0)に当該勾配が算出される場所のデータポイントの数値を乗じたものである、請求項12に記載の方法。
  14. 生物学的及び/又は化学的反応の増幅プロセスで得られた増幅曲線のベースライン領域を決定する方法であって:
    ベースライン部分及び増殖部分を有する曲線を形成するデータポイントのセットを取得する工程、ここで各データポイントが増幅プロセスの間の物質の物理量を表現する;
    プロセッサーを使用して、前記データポイントのセットを近似する関数を決定する工程;
    前記関数の第一の微分を演算して第一の導関数を取得する工程;
    ベースライン領域の終点を:
    複数の点において:
    プロセッサーを使用して、前記第一の導関数を、各点から前記第一の導関数の所定の場所まで積分して、各積分面積を取得することにより;及び
    積分面積が前記ベースライン領域の終点として特定される範囲内にある点を選択することにより;
    決定する工程;並びに
    前記ベースライン領域の始点(beginning)を決定する工程;
    を含む、前記方法。
  15. 前記第一の導関数が、前記関数の第一の微分から最初のデータポイントでの第一の微分を引いたものを含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記選択された点の積分面積が、前記最初の点から所定の場所までの前記第一の導関数の既定のパーセントの面積である、請求項15に記載の方法。
  17. 更に:
    前記第一の導関数のピークを同定する工程を含み、ここで当該第一の導関数上の所定の場所が当該第一の導関数のピークである;
    請求項14に記載の方法。
  18. 前記積分が、前記第一の導関数上のピークから、前記第一の導関数の始点まで実施されることにより、前記各積分面積が得られる、請求項17に記載の方法。
  19. ベースライン領域の始点を決定する工程が:
    1つのデータポイントが次のデータポイントに至るまでの数値の増大が所定の量を超えているか否かを判定すること;及び
    所定の量を超えている場合に、当該1つのデータポイントの後にあるベースラインの始点を選択すること;
    を含む、請求項14に記載の方法。
  20. 前記ベースライン領域の始点の決定が、当該ベースライン領域のデータポイントが閾値の中で線形の挙動を近似しない場合、当該ベースライン領域からの1つ以上のデータポイントを切り捨てる(truncating)ことを含み、ここで、当該ベースライン領域からの1つ以上のデータポイントの切り捨てが:
    i)当該ベースライン領域を、データポイントのセットの始点から当該ベースライン領域の決定された終点までの複数のデータポイントとして定める工程;
    ii)当該ベースライン領域を解析して、当該ベースライン領域が、当該ベースライン領域の中のデータポイントの線形の挙動に基づいて非増幅的な挙動を呈するか否かを判定する工程;
    iii)当該ベースライン領域が前記閾値中で線形の挙動を近似しない場合、当該ベースライン領域から1つ以上の主要なデータポイントを除去する工程;
    iv)工程ii〜iiiを、a)当該ベースライン非増幅的な挙動を示すまで、又はb)工程ii〜iiiが所定の回数反復されるまで反復する工程;
    を含む、請求項14に記載の方法。
  21. 生物学的及び/又は化学的反応の基準値を、当該反応の増幅プロセスを表現するデータセットから決定する方法であって:
    ベースライン部分及び増殖部分を有する曲線を形成するデータポイントのセットを取得する工程、ここで各データポイントが増幅プロセスの間の物質の物理量を表現する;
    プロセッサーを使用して、前記データポイントのセットを近似する関数を演算する工程;
    前記プロセッサーを使用して、前記関数の2つ以上の微分を演算する工程;
    前記増幅プロセス中で各微分が最大値をとる時間を同定する工程;
    前記生物学的及び/又は化学的反応の基準値を、前記各時間の加重平均として算出する工程;
    を有する、前記方法。
  22. 前記2つ以上の微分が、第二の微分及び第三の微分を含む、請求項21に記載の方法。
  23. 前記第二の微分が(1−p)により加重され、且つ前記第三の微分がpにより加重され、そしてpが0.3〜0.7の範囲の数値をとる、請求項22に記載の方法。
  24. 更に;
    基準曲線の効率が100%となるように加重平均の加重を設定する工程;
    を含む、請求項21に記載の方法。
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