JP2012501790A - 放射線不透過性の補強部材 - Google Patents

Abstract

ステントグラフト（３０）の開窓のための補強部材（１０）は、少なくとも２つのタイプのワイヤ素線（１４、１６、１８）から形成された複合ワイヤ（１２）を備えている。第１のタイプのワイヤ素線は、形状記憶特性を有する合金を備え、第２のタイプのワイヤ素線は、放射線不透過特性を有する金属を備えている。第１のタイプのワイヤ素線と第２のタイプのワイヤ素線は、一体に撚られ又は編まれて複合ワイヤを形成し、複合ワイヤを少なくとも２巻きして成る円形リングへ形成されている。補強部材は、ステントグラフトの壁（３２）の開窓（４０）の中へ取り付けられるか又はステントグラフトの周りに取り付けられる円形リングとすることもできるし、スカラップ状の開窓（４４）の縁に沿った実質的にＵ字形状の縁取材とすることもできる。

Description

本発明は、医療装置に、より詳しくはステントグラフト装置で使用される補強部材に関する。

ステントグラフトは、患者の脈管構造の欠陥部を橋架けするのに使用されており、脈管内技法によって脈管構造の中へ配備することができる。これには、装置を小さな送達装置の中へ拘束することができて、装置が脈管内で解放されると拡張することができる又は拡張させることができるものである必要がある。

脈管構造に対し側枝動脈が存在する場合、配備されたステントグラフトから当該側枝動脈へのアクセスを可能にするために、開窓として知られている、ステントグラフトの孔を提供することが必要であるかもしれない。その様な開窓は、開窓の周りのグラフト材料に縫い付けられた周辺部円形リングで強化されてもよい。状況によっては、開窓を通って側枝動脈の中へ伸張する側枝ステントグラフトを提供するのが望ましいこともある。

開窓内で分枝ステントグラフトの良好なシールを獲得するために、膨らませることができるバルーンを使用して分枝ステントグラフトを開窓の中へ拡張させることができるが、この目的のためには、補強リングは、その直径の拡張に抵抗することができなくてはならない。同時に、リングには、その配備形態へと変形することができ、但し、解放されると拡張してその円形形態へ戻るように、弾性がなくてはならない。本明細書では、補強リングを製造するのに使用されるワイヤに関して弾性という用語が使用されているとき、それは、実質的に伸長させることはできないが、歪められ、そして解放されたときに元の形態へ戻るようにばね機能を有していることをいう。

一般的に、その様な補強リングは、限定するわけではないがニチノールとして知られるニッケルチタン合金などの、形状記憶金属として知られる金属から製造されている。形状記憶金属のリングを形成するには、成形機でワイヤから所望の最終形状を形成し、次いで形成機上のワイヤを、ワイヤが新しい形状になる温度より高い温度まで加熱する。冷却すると、リングはその形成された形状を保持しており、変形することができ、また形成された形状に弾性的に復帰することができる。

ステントグラフトを脈管構造内で配備するときのステントグラフト上の補強リングの位置を視覚化することができるのも望ましい。補強リングが作製されるニチノールは、放射線不透過性ではなく、従ってその位置を示すために、補強リングに隣接して放射線不透過性マーカーを使用する必要があった。

ＰＣＴ公開第ＷＯ／２００５０３４８０８号

本発明の態様は、放射線不透過性であり、且つ必要な弾性及び形状記憶特性を有する補強部材を提供しようとしている。

本発明は、開窓への補強部材の適用に関して論じられているが、その様な部材には、他の状況では代替的な用途があり、本発明は、それらの他の利用法にまで、例えばステントグラフトの端部のスカラップ状の開窓にまで、用途を拡大することができる。代替的に、それらは、ステントグラフトの周辺部全体の周りに、特にステントグラフトの端部の周りに用いられてもよい。

本発明の第１の態様によれば、ステントグラフト（３０）の開窓（４０、４４）のための補強部材（１０）であって、複合ワイヤ（１２）を備えており、該複合ワイヤ（１２）は、形状記憶性を有する合金（１４、１６）からなる第１のタイプのワイヤ素線及び放射線不透過性を有する金属からなる第２のタイプのワイヤ素線の、少なくとも２つのタイプのワイヤ素線を有し、前記第１のタイプのワイヤ素線と前記第２のタイプのワイヤ素線を一体に撚り又は編んでから、当該複合ワイヤに形成されており、当該補強部材（１０）の全体に亘って前記複合ワイヤ（１２）が少なくとも２重に重ねられている、補強部材が提供されている。

本発明の第２の態様によれば、第１の態様による補強部材を備えているステントグラフト部材が提供されている。

補強部材は、３本から６本の第１のタイプのワイヤ素線と、２本から４本の第２のタイプのワイヤ素線と、を備えているリングの形態をしているのが望ましい。

第１のタイプのワイヤ素線は、形状記憶特性を与えるニッケルチタン合金であり、第２のタイプのワイヤ素線は、放射線不透過特性を与える、金、銀、及び白金から選択された金属を備えている。

或る好適な実施形態では、複合ワイヤには７本の素線が存在し、７本のワイヤ素線は、１本のニッケルチタン合金の芯部ワイヤ素線と、４本のニッケルチタン合金の周辺部ワイヤ素線と、２本の白金の周辺部ワイヤ素線と、を備えている。

或る好適な実施形態では、複合ワイヤは、０．００９インチ（０．２３ｍｍ）の直径を有し、ニッケルチタン合金ワイヤ素線は、０．００３インチ（０．０７６ｍｍ）の直径を有し、白金ワイヤ素線は、０．００３インチ（０．０７６ｍｍ）の直径を有している。

本発明の１つの好適な実施形態は、複合ワイヤが少なくとも２回巻かれた、実質的に平面的な円形リングを備えている、ステントグラフトの開窓のための円形リング補強材において、第１のタイプのワイヤ素線は、形状記憶特性を有する合金を備え、第２のタイプのワイヤ素線は、放射線不透過特性を有する金属を備え、第１のタイプのワイヤ素線と第２のタイプのワイヤ素線は、一体に撚られ又は編まれて複合ワイヤを形成し、複合ワイヤを少なくとも２巻きして成る円形リングに形成されている、円形リング補強材が提供されている。

或る好適な実施形態では、リングは、ワイヤの各端に末端部を備え、末端部は、それぞれ、複合ワイヤからなる輪を備えている。ワイヤの各端にあるワイヤの末端部の輪は重なり合っているのが望ましい。代替的には、ワイヤは完全な円状に２回巻かれており、輪は円形リングの周りに存在している。

或る代わりの実施形態では、複合リングは、ワイヤの各端に末端部を備え、末端部は、それぞれ、輪と尾部を備え、尾部は、折り返され、円形リングの周りに延びている。

ここに記載されているタイプの補強リングの使用法は、「開窓型ステントグラフト」と題されたＰＣＴ公開第ＷＯ／２００５０３４８０８号に開示され、その中で論じられており、同ＰＣＴ公開の開示をここにそっくりそのまま援用する。

これより、本発明の好適な実施形態を、単に一例として、添付図面を参照しながら説明してゆく。

本発明による不透過性補強リングの第１の実施形態を示している。 図１に示されている不透過性補強リングの２−２’線に沿った詳細断面を示している。 図１に示されているタイプの補強リングを組み入れたステントグラフトを示している。 本発明による不透過性補強リングの別の実施形態を示している。 本発明による放射線不透過性補強リングによって補強されているステントグラフトの開窓の詳細を示している。

（該当する場合は複数の形態が可能）
図面を参照すると、図１及び図２には、円形リング補強材の形態をしている一実施形態が示されており、図３には、使用状態の円形リング補強材が示されている。本発明による不透過性補強リング１０は、複合撚り又は編みワイヤ１２の複数の巻きを備えていることが分かるであろう。ワイヤはおよそ２回巻かれれているのが望ましいが、他の巻き数が使用されていてもよい。特に図２のワイヤ断面図から理解できるように、ワイヤ１２は、ニッケルチタン合金の芯部１４、４本のニッケルチタン合金の周辺部素線１６、及び２本の金、銀、又は白金などの放射線不透過性ワイヤの素線１８を備えている。金、銀、又は白金のワイヤは、複合ワイヤに放射線不透過特性を提供し、ニッケルチタン合金は、複合ワイヤに形状記憶特性を与えている。

ワイヤ１２は、別の実施形態では、代替的にニッケルチタン合金の芯部１４、２本又は３本のニッケルチタン合金の周辺部素線１６、及び３本又は４本の金、銀、及び白金の様な放射線不透過性ワイヤの素線１８を備えることもできる。複合ワイヤのワイヤ総数を変えることもできる。

ワイヤ１２は、平面的な円形形状に形成され、ワイヤ１２の末端２０は輪２２に形成されている。この実施形態では、輪は小円を形成している。輪２２は、複合ワイヤの尖った端が有効に各輪内にしまい込むことで管腔壁への損傷の可能性を回避するように設けられている。

図３は、ステントグラフトの開窓のための補強材として使用されている、本発明による補強リングを示している。ステントグラフト３０は、管状壁３２を備えている。管状壁は、ダクロン、ソラロン（登録商標）（ポリウレタン材料）、発泡ＰＴＦＥ材料、又は細胞外基質などの自然発生的な生体材料である例えば小腸粘膜下組織又は他の適した材料などの生体適合性グラフト材料とすることができる。管状壁３２の各端部にはグラフト材料の内側にジャイアンタルコ様式（Gianturco style）ジグザグ状Ｚステント３４が提供されており、両端部の間はグラフト材料の外側にジャイアンタルコ様式ジグザグ状Ｚステント３６が提供されている。ステントグラフト３０の全体の長さによっては、管状壁には例示されているものの他に更なるジャイアンタルコ様式ジグザグ状Ｚステントを有するかもしれない。

管状壁３２において、少なくとも１つの実質的に円形の開窓又は孔４０がステントグラフトの管状壁に存在している。この実施形態では、本実施形態を大動脈の中へ配備したときに２つの腎動脈の各々に１つずつ、２つの開窓４０が設けられている。ステントグラフトの設置が、上腸間膜動脈の様な他の分枝脈管を閉塞させる可能性を伴う場合には、他の数の開窓を使用することもできる。開窓４０は実質的に円形である。

図１及び図２に示されているタイプのリング１０は、開窓４０の良好な寸法安定性を与えるために、それぞれの開窓４０の外周の周りに設けられている。開窓４０の外周の周りにリング１０を保持するために、縫い付け４２が提供されている。

更に図３には、ステントグラフトの端部３５に開口するスカラップ状の開窓４４が示されている。スカラップ状の開窓４４も、本発明の放射線不透過性形状記憶ワイヤで補強することができる。この補強部材は、実質的にＵ字形状である。補強部材を形成している複合ワイヤは、複合ワイヤを２重にした補強部材が提供されるように二つに折り返されていてもよい。

図４は、本発明による補強リングの別の実施形態を示している。この実施形態では、本発明による不透過性補強リング５０は、複合撚りワイヤ５２の複数の巻きを備えている。ワイヤはおよそ２巻きされているのが望ましいが、他の巻き数が使用されていてもよい。複合撚りワイヤ５２は、ニッケルチタン合金の芯部、３本のニッケルチタン合金の周辺部素線１６、及び３本の金、銀、又は白金の様な放射線不透過性ワイヤの素線を備えている。金、銀、又は白金のワイヤは、複合ワイヤに放射線不透過特性を提供し、ニッケルチタン合金は、複合ワイヤに形状記憶特性を与えている。

ワイヤ５２は、平面的な円形形状へ形成され、ワイヤ５２の末端５４は輪５６に形成されている。この実施形態では、輪５６は小円を形成し、次いで尾部５８を形成している。輪５６は、概ね、補強リングをグラフト材料へ縫い込む際に針を通すことのできる直径である。典型的には、輪は１ｍｍから２ｍｍの直径を有していてもよい。尾部５８は、補強リングの周辺部の周りに戻って延びている。輪５６と尾部５８は、使用中における管腔壁への損傷の可能性を回避するために設けられている。ステントグラフトに縫い込まれるとき、尾部は縫い付けにより押さえつけられ、リングが開窓の周辺部に保定される。この実施形態では、輪５６は、互いに重なり合っている。リングは、少なくとも一針の縫い目を両方の輪に通して開窓の周りに縫い付けられたら、リングを通してバルーン拡張式ステントが設置される間、リング内の拡張力に耐える。縫い付けられた輪は、周方向又は直径方向の拡張に抵抗するのに役立つ。

リング１０及び５０は、開窓のための補強リングとして使用される場合は４ｍｍから１５ｍｍの直径を有することができ、管状ステントグラフトのための端部補強材として使用される場合は１０ｍｍから４０ｍｍの直径を有することができる。１つの実施形態では、複合ワイヤは、０．００９インチ（０．２３ｍｍ）の直径を有し、ニッケルチタン合金素線は、０．００３インチ（０．０７６ｍｍ）の直径を有し、白金素線は０．００３インチ（０．０７６ｍｍ）の直径を有している。

図５は、開窓４０の周りに縫い付けられた、図１に示されているタイプの補強リングの詳細を示している。リング１０は、グラフト材料３２の開窓４０の周りへの縫い付け６０によって縫い付けられている。輪２２は、グラフト材料上に平らに横たえられ、縫い目６０ａによってグラフト材料へ縫い付けられている。

本明細書全体に亘って、本発明の範囲に関し、様々な指標が与えられているが、本発明はこれらの何れか１つに限定されるものではなく、これらのうち２つ又はそれ以上を一体に組み合わせたものに属することもあり得る。実施例は、説明のみを目的に与えられており、制限を課すためではない。

本明細書及び次に続く特許請求の範囲全体に亘って、他に文脈により求められない限り、「備える」及び「含む」という語、並びに「備えている」及び「含んでいる」の様な変型は、言及されている整数及び整数の群の包含を含意し、如何なる他の整数又は整数の群の排除を含意するものではない、と理解されるものとする。

１０ 不透過性補強リング
１２ 複合撚り又は編みワイヤ
１４ ニッケルチタン合金の芯部
１６ ニッケルチタン合金の周辺部素線
１８ 放射線不透過性ワイヤの素線
２０ ワイヤの末端
２２ 輪
３０ ステントグラフト
３２ 管状壁、グラフト材料
３４ Ｚステント
３５ ステントグラフトの端部
３６ Ｚステント
４０ 開窓
４２ 縫い付け
４４ スカラップ状の開窓
５０ 不透過性補強リング
５２ 複合撚りワイヤ
５４ ワイヤの末端
５６ 輪
５８ 尾部
６０ 縫い付け
６０ａ 縫い目

Claims (15)

1. ステントグラフト（３０）の開窓（４０、４４）のための補強部材（１０）であって、複合ワイヤ（１２）を備えており、該複合ワイヤ（１２）は、形状記憶性を有する合金（１４、１６）からなる第１のタイプのワイヤ素線及び放射線不透過性を有する金属からなる第２のタイプのワイヤ素線の、少なくとも２つのタイプのワイヤ素線を有し、前記第１のタイプのワイヤ素線と前記第２のタイプのワイヤ素線を一体に撚り又は編んでから、当該複合ワイヤに形成されており、
   当該補強部材（１０）の全体に亘って前記複合ワイヤ（１２）が少なくとも２重に重ねられている、補強部材。
2. 前記複合ワイヤは、３本から６本の前記第１のタイプのワイヤ素線と、２本から４本の前記第２のタイプのワイヤ素線と、を備えている、請求項１に記載の補強部材。
3. 前記第１のタイプのワイヤ素線は、前記形状記憶特性を与えるニッケルチタン合金であり、前記第２のタイプのワイヤ素線は、前記放射線不透過特性を与える、金、銀、及び白金から選択された金属からなる、請求項１又は２に記載の補強部材。
4. 前記複合ワイヤは７本のワイヤ素線を備え、前記７本の素線は、１本のニッケルチタン合金の芯部素線と、４本のニッケルチタン合金の周辺部素線と、２本の白金の周辺部素線と、からなる、請求項１乃至３の何れかに記載の補強部材。
5. 前記複合ワイヤは、０．２３ｍｍの直径を有し、前記ニッケルチタン合金の周辺部素線は、０．０７６ｍｍの直径を有し、前記白金の周辺部素線は０．０７６ｍｍの直径を有している、請求項４に記載の補強部材。
6. 前記複合ワイヤが少なくとも２回巻かれた、実質的に平面的な円形リングを備えている、請求項１乃至５の何れかに記載の補強部材。
7. 前記円形リング（１０）は、前記複合ワイヤの両端に、それぞれ、前記複合ワイヤからなる輪（２２）を有する末端部を備えている、請求項６に記載の補強部材。
8. 前記複合ワイヤは完全な円形に２回巻かれて前記円形リングとされ、前記輪（２２）は前記円形リングの周りに更に延在している、請求項７に記載の補強部材。
9. 前記円形リング（１０）は、前記複合ワイヤの両端に、それぞれ、輪（５６）と尾部（５８）とを有する末端部を備え、前記尾部は、折り返されて前記円形リングの周りに延びている、請求項６に記載の補強部材。
10. 前記複合ワイヤの両端の末端部の前記輪（５６）は、重なり合っている、請求項９に記載の補強部材。
11. 請求項１乃至１０の何れかに記載の補強部材（１０、５０）を備えているステントグラフト部材（３０）。
12. 当該ステントグラフト部材の端部から離間された場所のグラフト材料を貫いて開窓（４０）を有しており、前記補強部材が前記開窓の縁の周りにリング形態で配置されている、請求項１１に記載のステントグラフト部材。
13. 当該ステントグラフト部材の端部にスカラップ状の開窓（４４）を有しており、前記補強部材は、前記スカラップ状の開窓の縁に沿って設置されている、請求項１１又は１２に記載のステントグラフト部材。
14. 前記補強部材は、当該ステントグラフト部材の外周の周りに延びている、請求項１１に記載のステントグラフト部材。
15. 前記補強部材は、当該ステントグラフト部材の端部の縁の周りのリングの形態をしている、請求項１４に記載のステントグラフト部材。

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