JP2012500718A - 改良された統合化学法 - Google Patents

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Abstract

(a)燃料の燃焼によりケイ酸マグネシウム水酸化物鉱物原料を直接的に熱活性化して、活性化原料を形成する工程;(b)該活性化原料から、少なくとも酸化マグネシウム及びケイ酸マグネシウムを実質的に含まない金属酸化物を分離して、残留活性化原料を形成する工程;(c)前記分離工程(b)の前後で、溶媒中にこれらの活性化原料を懸濁させて、スラリーを形成する工程;及び(d)該残留活性化原料のスラリーを二酸化炭素と接触させて、該二酸化炭素を炭酸マグネシウムに変える工程を含む、二酸化炭素を固体材料に変える方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、二酸化炭素ガスの永続的かつ安全な封鎖のための処理に関し、特に、二酸化炭素の固体炭酸塩への化学変換によって、大気中における二酸化炭素の蓄積を減らすための効率的かつ環境的に実行可能な統合法に関する。
大気から隔離されている保存場所における二酸化炭素ガスの封鎖は、大気への二酸化炭素放出を減らす国際的な試みにおける重要な要素として広く認識されている技術開発である。大気中の二酸化炭素濃度の急速な増加は、その温室効果ガスとしての性質及びその地球温暖化及び気候変動の現象への寄与のために、関心が持たれている。二酸化炭素の捕集及び封鎖のための実施設備の原型が、幾つかの国に見られる。様々な技術が、燃焼排ガス中の二酸化炭素の捕集及び濃縮のために存在するが、大半の既存の設備は、地中隔離として知られる地下封鎖を利用している。これは、劣化油若しくはガス貯蔵器又は大気から適切に隔離された他の地下孔形成体の中で行なわれることができる。これらの容器又は形成体は、地中又は海中に位置するであろう。二酸化炭素ガスのための別の任意の地下にある保存場所は、いわゆる塩水帯水層である。また、深海における二酸化炭素の直接貯蔵も調査されているが、まだ任意の有意な規模において首尾よく実証されていない。
研究の別の分野は、鉱物炭酸化として知られるものであり、それによって、二酸化炭素をアルカリ及びアルカリ土類金属酸化物又はケイ酸塩鉱物と化学的に反応させて、安定な固体炭酸塩を形成する。抽出され、かつ処理されている鉱物を用いる鉱物炭酸化法プラントにおけるこの経路の使用は、原位置(in−situ)炭酸化(それにより、二酸化炭素は、地下鉱物形成体中に堆積させられて、既存の地下形成体中のそのような鉱物とより長時間に亘って反応させられる)とは対照的に、移動(ex−situ)炭酸化として知られる。本発明は、鉱物炭酸化による二酸化炭素封鎖に対する移動(ex−situ)手法に関する。
鉱物炭酸化は、二酸化炭素封鎖の他の方法に対して複数の潜在的利点を有する。これらとしては、相対性能及び安定性、及び二酸化炭素ガス漏れの何らかの危険の根絶が挙げられる。さらに、地中隔離のための適切な地下部位は、それらが必要とされる全ての場所に存在するわけではない。また、鉱物炭酸化の化学反応は、炭酸塩の形成のためにエネルギーの熱放出を伴って、熱力学的に好ましい。鉱物炭酸化に必要な鉱物の多くは、世界的に見て、豊富であり、かつ広く流通している。これらの鉱物は、容易に採鉱され、既知の微粉砕及び他の技術に供されることができる。それらは一般に無害であり、その環境面及び安全面の危険は容易に管理することができる。具体的には、蛇紋石として広く知られる鉱物は、既知の化石燃料備蓄からの二酸化炭素の全ての世界的な放出を隔離するのに十分な量で入手可能であると見積もられている。
本発明は、蛇紋石又は滑石などのケイ酸マグネシウム水酸化物の鉱物炭酸化のための方法に着目する。蛇紋石のための鉱物炭酸化化学反応は:
MgSi(OH)+CO=MgCOSi0
で示される。
本発明は、二酸化炭素含有流がそのような鉱物炭酸化に利用できることを前提とする。そのような流れは、任意の燃焼プロセス(特に電機発生のための流れの製造のためのもの)、又はガス化若しくはガス改質として当技術分野で知られているようなプロセス、並びにアンモニア若しくはポルトランドセメント製造などの典型的な化学製造プロセスに由来する燃焼排ガスから生じるであろう。そのような流れ中の二酸化炭素の濃度は、本技術分野で知られている技術的経路を経て実質的に上昇するであろう。これらとしては、いわゆる炭素捕捉技術、例えば、膜分離技術を利用するもの、又は代わりにアミン類、アンモニア又はアンモニア化合物などの二酸化炭素溶媒を利用するものが挙げられる。後者の場合には、これらの溶媒は、燃焼排ガスなどの希釈流から二酸化炭素を捕捉し、次に溶媒再生を受けて、二酸化炭素の濃縮流及びさらなる捕捉で用いる再生溶媒を放出する。また、「酸素燃料燃焼(oxy−fuel combustion)」として知られる処理では、濃縮された二酸化炭素及び水蒸気の流れが、燃焼装置に供給される空気以外の酸素の使用によって、その燃焼装置において直接に形成されることができる。ガス化として知られる別の処理は、適切な処理条件下の炭化水素燃料のガス化によって、水素及び比較的純粋な二酸化炭素の流れを形成する。
本発明は、本明細書で記述されているような鉱物炭酸化のプロセスにおいて、二酸化炭素(例えば、上記ガス流中に存在する二酸化炭素)の固化に関する。本発明において二酸化炭素の著しく濃縮された流れを使用することは有利であるが、より低い純度の流れの使用も排除されるものではない。具体的には、本方法では水性スラリー(その含水量は、必要に応じて容易に調整されることができる)が使用されるので、そのような流れ中の水の存在は、必ずしも不利ではない。さらに、本発明の重要な態様は、二酸化炭素封鎖のための緩やかな、又は余り激しくない処理に適用されることができる。これらとしては、例えば、大気からの二酸化炭素の隔離を挙げることができる。
本発明は、以前の方法を上回る著しい改良を提供する。特に、本発明は、本件出願人の国際特許出願公開第2008/061305号パンフレットに記述されている以前の方法を改良する。その発明では、アルカリ又はアルカリ土類金属ケイ酸塩鉱物原料(例えば、蛇紋石など)のための統合された直接燃料燃焼活性化処理、及び実行可能な移動封鎖に必要とされる炭酸化反応ために必要な統合溶媒処理が記述されている。また、関連する先行技術は、国際公開第2008/061305号パンフレットにおいて確認されており、本発明の参考先行技術としても用いることができる。
本発明は、全体的なプロセスを、以前の予測より環境的に好ましく、かつ二酸化炭素封鎖の代替形態に対してより競合力があるものにする。それによって、本方法は、大気への二酸化炭素の放出量を減らすために、二酸化炭素を安定な炭酸マグネシウムに変える、より環境的に好ましい手段を提供する。
それ故に、本発明は:燃料の燃焼によりケイ酸マグネシウム水酸化物原料を直接的に熱活性化して、活性化原料を形成する工程;該活性化原料から、少なくとも酸化マグネシウム及びケイ酸マグネシウムを実質的に含まない金属酸化物を分離して、残留活性化原料を形成する工程;前記分離工程の前後で、溶媒中にこれらの活性化原料を懸濁させて、スラリーを形成する工程;及び該残留活性化原料のスラリーを二酸化炭素と接触させて、該二酸化炭素を炭酸マグネシウムに変える工程を含む、二酸化炭素をケイ酸マグネシウム水酸化物鉱物原料と反応させることによる二酸化炭素固化のための方法を提供する。
図1は、本発明の実施形態を示す流れ図である。 図2は、本発明の別の実施形態を示す流れ図である。 図3は、本発明の別の実施形態を示す流れ図である。 図4は、本発明の別の実施形態を示す流れ図である。
本発明の重要な態様は、原料の直接的な燃料燃焼熱活性化の後に、酸化マグネシウム及びケイ酸マグネシウム以外の金属酸化物を活性化原料から分離する工程を有する。国際公開第2008/061305号パンフレットに教示されているように、活性化は、原料に直接適用される前記燃焼により放出された熱を用いる燃料の燃焼により行われる。前記ケイ酸マグネシウム水酸化物鉱物原料の直接的熱活性化は、前記鉱物原料に元から存在する他の通常は少量の割合の構成金属酸化物に加えて、フォルステライト又はケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ及び水を形成する。
今では、有利には、酸化マグネシウム及びケイ酸マグネシウムが豊富であり、かつ二酸化炭素との反応前に他の金属酸化物の量が減少した状態である残留活性化原料流を提供するために、酸化マグネシウム及びケイ酸マグネシウム以外の金属酸化物の分離は、直接的熱活性化処理の後に行なわれることができると分かっている。そのような他の金属酸化物の除去によって、下流処理の必要が実質的に減る。この処理で除去されることができる金属酸化物としては、鉄、ケイ素、アルミニウム、マンガン、クロム、ニッケル、チタン、銅、カリウム、リン、カルシウム及びナトリウムの1種以上の酸化物が挙げられる。したがって、商業的価値の低い酸化物(例えば、ケイ素及びアルミニウムの酸化物など)、又は商業的価値として不十分な量で存在する酸化物(例えば、カリウム、リン及びナトリウムの酸化物など)が、廃棄物処理のための装置から取り出されることができる。したがって、原料に含まれる商業的価値の十分な金属酸化物は、このような直接的熱活性化の後に分離流から回収されることもできる。典型的には、それらの鉱物は、鉄、クロム、ニッケル及びマンガンの酸化物を含むであろう。
したがって、直接的熱活性化後のシリカ及び他の金属酸化物の分離は、下流処理の必要性及びコストを減らす一方で、価値のある金属酸化物の回収は、収益性の高い流れを提供する。したがって、全体的なプロセスは、二酸化炭素封鎖の他の形態に対して、より環境的に競合力のあるものになる。
本発明によれば、直接的熱活性化後に酸化マグネシウム及びケイ酸マグネシウムを実質的に含まない金属酸化物の分離は、例えば、密度又は重力分離、遠心分離、浮遊選鉱、ろ過、磁気分離、静電分離及びこれらの1つ以上の組み合わせなどの様々な分離手段により行なわれることができる。本発明の課題のために特に有利な密度分離技術としては、スパイラル式分離器、干渉沈降容器、サイクロン(登録商標)式分離器、液体遠心分離機及びこれらの組み合わせを用いる処理が挙げられる。
密度分離と磁気分離との組み合わせは、例えば、特に鉄鉱物を回収して濃縮するために、極めて効果的であろう。
当業者であれば、これらの分離プロセスは、分離効率と関連付けられているので、必ず不十分な分離になり、したがって、他の分離された流れ中へと分離されるべき成分の幾つかの部分のキャリーオーバー(持ち越し)をもたらすことを理解するあろう。例えば、残留活性化原料流から分離されるべき金属酸化物の何割かは、必ず前記残留活性化原料流中に持ち越されるであろうし、また逆の場合も同様であろう。したがって、一定割合の酸化マグネシウム及び/又はケイ酸マグネシウムが、分離された金属酸化物流中へと失われることもある。しかし、この目的は、残留活性化原料流中に最大割合の酸化マグネシウム及びケイ酸マグネシウムを実質的に保持することである。したがって、少なくとも酸化マグネシウム及びケイ酸マグネシウムを実質的に含まない金属酸化物が、直接的熱活性化後に残留活性化原料から分離される。本発明のためには、一般に、「少なくとも酸化マグネシウム及びケイ酸マグネシウムを実質的に含まない」とは、直接的熱活性化後に、活性化原料に元から存在する全ての酸化マグネシウム及びケイ酸マグネシウムの少なくとも50%を含まないことを意味する。したがって、酸化マグネシウム及びケイ酸マグネシウムの少なくとも50%は、残留活性化原料流中に保持される。好ましくは、より高い割合の酸化マグネシウム及びケイ酸マグネシウム、最も好ましくは、75質量%を超える割合の酸化マグネシウム及びケイ酸マグネシウムが、前記残留活性化原料流中に保持される。
密度分離を使用することで、経済的価値の高い金属酸化物を高密度流中に分離しながら、一般に経済的価値の低い金属酸化物を低密度流中に分離させることが可能になるので、密度分離の使用は特に有利であると分かった。当初から存在する酸化マグネシウム及びケイ酸マグネシウムの大部分を含む残留活性化原料流は、炭酸マグネシウムへ変える次の工程のための中間密度流を形成する。
この残留活性化原料は、溶媒スラリー中で懸濁させられ、次に二酸化炭素を炭酸マグネシウムに変えるために、二酸化炭素と接触させられる。好ましくは、前記残留活性化原料は、二酸化炭素を炭酸マグネシウムに実質的に変えるために、超臨界液化又は高圧ガス状二酸化炭素と接触させられる。本開示内容に関しては用語「高圧」とは、5bar(5×10Pa)を超える圧力をいい、より好ましくは50barを超える圧力をいう。
典型的には、ケイ酸マグネシウム水酸化物鉱物原料は、大部分(少なくとも50質量%)は蛇紋石又は滑石を含む。
一般に、ケイ酸マグネシウム水酸化物鉱物原料は、それの抽出後に、破砕及び/又は粉砕による微粉砕に供されるであろう。国際公開第2008/061305号パンフレットに記述されているように、炭酸化反応のための好ましい最終粒径分布への微粉砕は、直接的熱活性化工程の前後のいずれかで行なわれることができる。炭酸化反応のための好ましい最終粒径分布は、約75マイクロメートル(μm)以下である。この粒径への粉砕は直接的熱活性化の前に行なわれてよいが、初めに、直接的燃焼加熱前に約500μm以下の粒径へのより粗い微粉砕を行い、次に、前記炭酸化反応のための好ましい最終粒径へのさらなる微粉砕を行なうことが有利であろう。有利には、このような後粉砕は、金属酸化物分離工程前に、溶媒スラリーと混合された活性化原料を用いて湿式粉砕装置内で行なわれることができる。有利には、直接的熱活性化工程前の初めのより粗い微粉砕は、乾式粉砕装置内で行なわれ、それにより前記直接的熱活性化工程に必要な熱負荷を減らすことができる。
最も好ましい方法は、本方法の初めから終わりまで熱統合の最適な使用を伴う。冷却運転において回収された熱が、必要な所に熱又はエネルギーを提供するために最適に利用される。例えば、ケイ酸マグネシウム水酸化物鉱物原料の予熱が、本方法における様々な時点から回収された熱を利用する1つ以上の加熱容器を用いて行なわれることができる。これらの時点としては、発熱炭酸化反応(それは、一般に200℃(摂氏温度)を下回る、より一般には約150℃を下回る温度で保持されている複数の反応容器内で行なわれる)、二酸化炭素の圧縮、脱水酸化により放出された水蒸気を含む直接的熱活性化処理に由来する高温燃焼排ガス、及び直接的熱活性化後の高温活性化原料が挙げられる。これらの時点から回収された熱は、入熱を要する他の処理工程(例えば、ケイ酸マグネシウム水酸化物鉱物原料の予熱、及び残留活性化原料スラリー流の炭酸化反応容器温度への加熱など)に使用されることができる。また、さらなる加熱が、関連する燃焼、ガス化、改質又は電気発生プラント(その二酸化炭素放出は現在の封鎖処理の対象である)との統合により行なわれることができる。具体的には、前記関連プラント内の電気発生タービン又は他の装置において使用できない前記関連プラントから回収された任意の低級熱を利用してよい。有利には、ケイ酸マグネシウム水酸化物鉱物原料及び/又は燃焼のための空気は、燃焼加熱容器に入る前に、そのような回収熱を用いて余熱されることができる。また、前記冷却運転から回収されたエネルギーは、ポンプ又はコンプレッサーを駆動するために利用されることができる。この点では、任意の前記冷却運転からの蒸気は、特に有利には、二酸化炭素の圧縮のためのポンプ又はコンプレッサーの駆動に利用されることができる。
したがって、本発明の実施形態では、二酸化炭素の活性化原料との反応から放出された熱を用いる燃料の燃焼により放出された熱、及び/又は関連する炭素若しくは炭化水素燃料燃焼、ガス化、改質若しくは電気発生装置から引き抜かれた低級熱若しくは排熱、及び/又は燃料燃焼加熱容器からの生成物を冷却する工程から引き抜かれた熱、及び/又は圧縮後に二酸化炭素を冷却する工程から引き抜かれた熱を掛けることにより、直接的熱活性化前にケイ酸マグネシウム水酸化物鉱物原料を予熱する。
国際公開第2008/061305号パンフレットに記述されているように、最終的に、(好ましくは、本明細書で説明されるように予熱された)ケイ酸マグネシウム水酸化物鉱物原料は、炭化水素燃料の燃焼から放出された熱を利用する適切な加熱容器内で、その必要な活性化温度(少なくとも約580℃、例えば約580〜1200℃、例えば約580〜800℃など)へ加熱される。脱水酸化の処理は、これらの条件下で起こり、水蒸気を放出する。また、ケイ酸マグネシウム水酸化物は、ケイ酸マグネシウム又はフォルステライトに変えられて、シリカを出す。これらの温度は、焼成操作において典型的に利用される温度よりかなり低いので、そのような加熱容器の使用をエネルギー効率の良いものにして、かつ低コスト耐熱材料をその構成に使用できるようにして、コストを減らす。
直接的熱活性化が起こる加熱容器へ熱を供給するために使用される燃焼燃料は、任意の適切な炭化水素燃料から選択されることができる。一般に、関連する燃焼、ガス化、改質又は電気発生プラントに適した燃料は、この目的に適するであろう。国際公開第2008/061305号パンフレットにおいて教示されるように、そのような燃料は、石炭、油、天然ガス、メタン若しくはより長鎖のアルカン又はそれらの変異体若しくは混合物を含んでよい。国際公開第2008/061305号パンフレットにおいてさらに教示されるように、そのような燃料は、実質的に又は部分的に、再生可能バイオマスから得られた炭化水素材料も含む。天然ガス又は複数のアルカンの他の混合物がより効率的であるから、好ましい燃料としては、それらが挙げられる。直接的熱活性化の処理における前記燃料の燃焼は、本封鎖処理に供される追加の二酸化炭素を形成する。したがって、そのような追加の二酸化炭素を最少化することは、全体的なプロセスの意義において有利である。天然ガス、アルカン又は再生可能バイオマスなどの燃料は、そのような最少化を達成するのに役立つ。
国際公開第2008/061305号パンフレットにおいてさらに教示されるように、前記ケイ酸マグネシウム水酸化物鉱物原料の直接的熱活性化は、任意の適切な加熱容器内で行なわれることができる。通常、これは、窯、炉又は類似する燃焼室若しくは加熱容器の形態を取るであろう。この原料は、燃料由来の燃焼ガスと接触させられるか、又は燃焼ガスから隔離されて燃料燃焼室からの放射、伝導又は対流によって加熱されることができる。燃焼室と前記鉱物原料の間の中間熱伝導流体の使用は、除外されるものではないが、それは、余り効率的ではない。他の手段(例えば電気炉内など、例えば熱を提供する電気など)の使用は、直接的熱活性化を構成しないので、過剰なエネルギー必要量のために不適切である。
ケイ酸マグネシウム水酸化物鉱物原料が、燃料由来の燃焼ガスとの直接接触により加熱される場合には、燃焼室内で酸素含有率の低い燃焼混合物を使用することが好ましい。これは、炭化水素燃料の完全な燃焼のための実際の化学量論的必要量を下回る酸素含有量を必要とする。これは、前記原料に含まれる酸化鉄のさらなる酸化の進行を抑制し、そして次の段階で分離される酸化鉄の経済的価値を高めることができる。
典型的には、原料は、最終加熱容器(そこで、原料が、燃料の燃焼により放出された熱により、その最終活性化温度へ上げられる)を含む一連の熱交換器を通じて、地上固体として輸送される。国際公開第2008/061305号パンフレットにおいて教示されるように、熱活性化容器は、1つ以上の実質的に垂直なチャンバーを含む垂直軸設計でよく、その中に原料は供給され、そして燃料の燃焼により形成されたガスに対して向流的に流れる。また、固体原料は、最終加熱容器を含む一連の熱交換器を通じて、パイプ又は容器内の流体媒体中に輸送されることができ、そのような流体は気体又は液体のいずれかでよい。
熱活性化が起こる加熱容器内の鉱物原料の撹拌が、原料の活性化処理及び任意の遊離シリカ相の分離に有益であり、加熱容器内で有利に利用されることができる。加熱容器は、活性化に必須の原料の脱水酸化を達成するのに役立つために、乱流又は分散又は摩擦条件を提供するように設計されることができる。したがって、加熱容器は、脱水酸化(活性化)に役立つために、原料の加熱中に原料を回すか、及び/又は攪拌するように設計されることができる。そのような撹拌は、好ましくは、幾つかの追加の粉砕及び/又は撹拌媒体(例えば、鋼球など)の存在下で、回転窯における回転によって適用されることができる。また、さらに好ましくは、幾つかの撹拌は、幾つかの追加の粉砕及び/又は撹拌媒体の存在下で、軸若しくは塔窯、又は流動床炉内の向流的気体流によって得られることができる。
熱活性化中に放出された脱水酸化の水は、有利には、水性スラリー中の処理において使用するために、その後の圧縮器内で回収される。
好ましい実施形態では、原料は、基本的に乾燥状態にある最終加熱容器を含む一連の熱交換器内において加熱されることによって、その原料は、任意の液体を前記原料に加えることなく、複数の熱交換器及び加熱容器を通して輸送され、それにより、加熱処理のための熱必要量を減らす。この場合には、複数の熱交換器及び加熱容器を通して原料を輸送する乾燥手段の使用は、機械的動作又はガスキャリアー媒体を伴ってよい。
また、複数の熱交換器及び加熱容器内のパイプ又はチャンバーを通した鉱物原料の輸送は、二相の流体/固体の流れにより達成されることができ、前記流体は、気体又は液体のいずれかを含んでよい。気体/固体流の場合には、キャリアガスは、複数の熱交換器及び加熱容器を通した前記鉱物原料の輸送中に高いガス流速により向上させることができる撹拌及び効率的な熱伝導を提供する。
また、鉱物原料は、複数の熱交換器及び加熱容器を通して、液体キャリアー中で懸濁しているスラリーとして輸送されることができる。そのような場合には、直接的熱活性化段階における固体に対する液体の比は、低く保たれるべきであり、そして通常は、スラリー原料をその好ましい活性化温度(少なくとも約580℃、例えば約580℃〜1200℃、例えば約580℃〜800℃など)へ昇温する工程における熱エネルギー必要量を減らすために、後の炭酸化工程に利用される比より低いことが好ましい。これらの条件下、そのような液体は、一般に過熱されるであろう。そのような液体キャリアーの存在は、ケイ酸マグネシウム水酸化物鉱物原料の脱水酸化、並びに効率的な熱伝導、対流及びマグネシウムの幾つかの溶解を提供し、かつシリカ層の分解を補助することによるシリカの放出に役立つことができる。流体キャリアーによる原料の輸送のための実施形態では、前記キャリアーは気体又は液体のいずれかを含み、そして加熱容器に供給された熱エネルギーは、前記加熱容器を通したキャリアー流体の再利用により減らされることができる。固体鉱物原料は、加熱容器を出た後にキャリアー流体から実質的に分離されることができるので、前記キャリアー流体は、加熱容器を通してさらなる鉱物原料を運ぶために再利用され、それによって、加熱された流体の熱エネルギーの大半を維持できる。実質的な固体/流体の分離は、密度分離、遠心分離又はろ過などの周知の処理法により行なわれることができる。
直接的熱活性化工程後、最初の微粉砕が比較的粗かった場合には、粒径を75マイクロメートル(μm)以下へ下げるために、任意の第二の微粉砕段階を利用してよい。この微粉砕は、湿式又は乾式のいずれかで行なわれることができる。湿式微粉砕が行なわれる場合には、これは、効率的な粉砕を可能にするために十分な水性媒体の添加によって行われるであろう。
シリカ及び/又は他の有用な鉱物の分離は、炭酸化反応前に行なわれる。この分離は、密度若しくは重力分離、遠心分離若しくはろ過、浮遊選鉱、磁気若しくは静電分離又はそれらの組み合わせを含む、鉱物処理業界に知られている様々な手段によって行なわれることができる。密度分離は特に適切な経路を提供する。密度分離は、当業者にとって既知の技術(例えば、干渉沈降槽、サイクロン(登録商標)式分離器、液体遠心分離スパイラル式分離器、ジグ類など)の使用によって行なわれることができる。これらのユニットの効率的な運転を可能にするために、水を加えてよい。遊離シリカ及び他の低級金属酸化物が、低密度留分及び鉄として取り出され、他の有益な金属酸化物が高密度留分として取り出される。酸化鉄のさらなる濃縮が、磁気又は静電分離によって行なわれることができる。水をこれらの操作に加える場合、それは、本処理における再使用のために、分離された金属酸化物流から回収されることができる。次に、中間体密度の主な留分を構成している残留活性化原料が、マグネシウム含有分中でより豊富になり、それを後の炭酸化反応のためにより有効なものにする。
次に、残りの活性化及び微粉砕化原料を、炭酸化反応に必要なスラリー溶液中に懸濁させる。典型的には、溶媒は、弱酸性水溶液又は混合された水溶液及び/又は食塩水、又は二酸化炭素と混和できる他の溶媒である。溶媒は、水、弱酸(例えば、本技術分野で知られた弱酸など、例えば、酢酸、シュウ酸、アスコルビン酸、フタル酸、オルトリン酸、クエン酸、ギ酸など)若しくはそのような弱酸の塩溶液、食塩水溶液、食塩水と重炭酸ナトリウムの水溶液、重炭酸カリウム溶液、エタノール若しくはメタノール水溶液などの水とアルコールの混合溶液、水とグリコールの混合溶液、水とグリセロールの混合溶液、又はそれらの任意の組み合わせのいずれかから選択されることができる。有利には、重炭酸ナトリウムを有する食塩水溶液を含む水性溶媒製剤が利用されることができる。当業者により認識されている他の適切な溶媒としては、重炭酸カリウムの食塩水溶液が挙げられる。
次に、その溶媒に懸濁している前記残留活性化原料を二酸化炭素と接触させて、炭酸マグネシウムを形成する。好ましくは、その溶媒に懸濁している前記活性化原料は、実質的に二酸化炭素を炭酸塩に転化するための高乱流又は急速分散又は摩擦反応容器内で、超臨界液化又は高圧ガス状二酸化炭素と接触させられる。好ましくは10〜200bar、より好ましくは50〜160barの範囲の圧力、及び好ましくは10〜250℃、より好ましくは10〜175℃の範囲の温度が反応容器内で利用される。
適切な反応容器は、前記活性化原料の乱流化、急速混合及び摩擦を促進するために、高圧攪拌容器、パイプライン反応器など、又は、より好ましくは高速反応容器を含む。有利には、特に粉砕媒体が加えられた状態の流動床反応器が利用されることができる。
残留活性化原料が加圧された二酸化炭素と反応する反応器内での原料の炭酸マグネシウムへの変換は、循環している回収流(それは循環して、未反応原料、溶媒及び他の試薬を炭酸化反応容器へ戻す)の使用により改良される。有利には、フォルステライト又はケイ酸マグネシウムを炭酸マグネシウム及びシリカへ変える炭酸化反応に由来するシリカ及び炭酸マグネシウム反応生成物を取り出すために、さらなる分離工程が、この回収流において利用されることができる。したがって、この回収流は、実質的に未反応な原料からシリカ及び炭酸マグネシウムを実質的に分離して、前記実質的に未反応な原料を反応器に戻すさらなる分離段階を含む。
直接的熱活性化後の分離処理に使用されるとき、有利には、重力又は密度分離などの様々な分離手段が、回収流からの分離を行なうために再び使用されることができる。シリカ及び十分に反応した炭酸マグネシウムは、より低い密度の留分として取り出される一方で、より高い密度の留分を構成している残りの未反応ケイ酸マグネシウムは、炭酸化反応器へ実質的に回収されることができる。取り出されたシリカ及び炭酸マグネシウムは脱水され、固体炭酸塩及びシリカ残分は最終廃棄のために引き出され、通常は、蛇紋石鉱山又は採石場へ戻される。回収された溶媒及び未反応原料は、反応器へと戻される。さらなる販売用生成物を製造するために必要に応じて、シリカ及び炭酸マグネシウムの一部分をさらに処理してよい。
窯、炉若しくは他の加熱容器、微粉砕処理器、分離処理器及び本明細書で参照されている反応容器などの前記処理ユニットの使用は、任意の特定の数のそのような容器に限定されないことが、当業者にとって明らかであろう。任意の特定の鉱物炭酸化設備に必要とされる処理能力を提供するために、複数のそのようなユニットは、直列又は並列のいずれかで利用されることができる。例えば、ギガワット規模の石炭燃焼型電気発生プラントにより毎年生成される約1500万トンの二酸化炭素を固化して封鎖するために、約4000万トンの蛇紋石鉱物が毎年処理されなければならないであろう。これは、毎日100キロトン(100000トン)を超える蛇紋石、又は毎時4500トンを超える蛇紋石を処理する設備を必要とする。多数の巨大な並列処理ユニットが、そのような処理能力を満たすために必要とされる。
本発明の別の用途は、大気中の二酸化炭素濃度を減らして、地球温暖化及び気候変動の影響を軽減するために、希釈流から引き出された二酸化炭素の封鎖、又は大気からの直接的な二酸化炭素の封鎖であろう。本発明について開示された処理器などの処理器は、そのような大気からの吸収及び固化に適しており、それらに使用されてよいことが当業者にとって明らかであろう。本明細書で開示された重要な態様及び関連工程改善及び応用は、そのような処理器に利用されることができる。具体的には、本明細書で開示された燃料の燃焼を介した直接的熱活性化処理器、及びその後の金属酸化物分離器、並びに本明細書で開示された溶媒処理器及び本明細書で説明した他の様々な工程改善及び応用の使用が、そのような大気からの二酸化炭素の捕集に利用されることができる。
本明細書で説明したように、活性化原料から分離された、酸化マグネシウム及びケイ酸マグネシウムを実質的に含まない金属酸化物は、鉱山又は採石場に戻されるか、又は市販用製品としての販売のためにさらに処理されることができる。
大気中の二酸化炭素は、反応前に濃縮されるか、又は大気中の二酸化炭素との直接反応などにより、希釈形態で封鎖されることができる。前者の場合には、吸収塔では、二酸化炭素を重炭酸アンモニウムに変えることにより、その塔を通過している空気流から二酸化炭素を吸収するために、アンモニア又は炭酸アンモニウムなどの溶解したアンモニア化合物を利用することができる。次に、二酸化炭素は、濃縮流に放出され、そして炭酸アンモニウムは熱を掛けることにより再生するであろう。次に、二酸化炭素の濃縮流は、本明細書で前述した処理と同じ処理において処理される。後者の場合には、本明細書で教示されたように活性化され、かつ金属酸化物分離に供されたケイ酸マグネシウム水酸化物原料を用いたとしても、その封鎖は、高圧反応容器内よりも遅く進むであろう。経済的価値のある金属酸化物は、販売のためにさらに処理されることができるが、価値の低い金属酸化物は、ケイ酸マグネシウム水酸化物鉱山に戻されることができる。適切に選択されたスラリー溶媒と混合された残りの活性化ケイ酸マグネシウム水酸化物鉱物原料を含む開放容器、作業領域、スラリーダム、吸収塔、通気備蓄体又は堆積浸出装置の装置が、本用途において利用されることができる。そのような容器、作業領域、スラリーダム、吸収塔又は通気備蓄体若しくは堆積浸出装置は、スプレー、アトマイザー、又は流路から成る装置によって、活性化鉱物を(好ましくは、最初に水性媒体中に炭酸として溶解していた)二酸化炭素に最適に曝露するように設計されることができる。未反応活性化原料を二酸化炭素又は炭酸/水の流れへ接触させることを可能にするために、反応した活性化鉱物は、炭酸マグネシウムの形態で、定期的に除去されるべきである。備蓄体の場合には、例えば、反応した層は、前記備蓄体の露出面から定期的に削ぎ落とされることができる。次に、炭酸塩を含む除去材料は、廃棄のために輸送されることができ、有利には、そのような廃棄物は、ケイ酸マグネシウム水酸化物原料鉱山又は採石場の掘り尽された領域に戻される。
本発明による二酸化炭素の固体炭酸マグネシウム中への長期間封鎖のための方法の様々な実施形態が、添付図面を参照した単なる一例として、今では説明されることができる。図1〜4は、本発明の方法を示す流れ図である。
図1では、本発明の一般化流れ図が示される。本発明の方法論を用いて、蛇紋鉱石の活性化のためのプロセスが示される。蛇紋鉱石が抽出される鉱山又は採石場(1)、関連する燃焼、ガス化、改質又は電気発生プラント(2)(その二酸化炭素放出物は封鎖されることになる)、及び本発明の方法論に従って設計された鉱物炭酸化プラント(5)に入っていく前記二酸化炭素を含む流れ(3)が示される。蛇紋鉱石は、微粉砕回路(4)において500μm未満の粒径に破砕及び粉砕され、そして直接的熱活性化のために鉱物原料及び最終加熱容器(6)を予熱する一連の熱交換器(24)に供給される。それらの一連の任意の熱交換器(24)では、冷却工程が影響を受けるプロセス内の他の時点から引き出された熱が利用される。そのような時点としては、炭酸化反応器生成物(22)の冷却工程、圧縮された二酸化炭素ガス(21)の冷却工程、及び熱活性化(10)後の活性化原料の冷却工程が挙げられる。最終及び必須の加熱容器(6)は、炭化水素燃料(混合物の場合には、天然ガス(7)である)により燃やされる炉を含むことによって、鉱石の直接的熱活性化を提供し、その温度を少なくとも580℃付近に上昇させる。脱水酸化の水は、圧縮器(9)内の燃焼排ガスから回収され、残りの燃焼排ガス(27)から分離され、そして炭酸化反応器(8)前の最終水性スラリー(16)の形成において、例えば本明細書で示されるようなプロセスに使用される。
冷却工程後、活性化鉱石は、この図では湿式粉砕処理器(11)において、75μm未満の所望の最終粒径へさらに粉砕される。密度分離を用いて金属酸化物(14)及び(13)が残りの活性化ケイ酸マグネシウム原料(15)から実質的に分離される分離段階(12)の運転のために、水を加えてよい(25)。この実施例では、金属酸化物分離段階(12)は、液体遠心分離機とともに一連の干渉沈降槽を含む。低密度留分(13)は、経済的価値が低く、かつ(例えば、この図では(19)において)本プロセスに再利用される溶媒の回収(26)後に鉱山(1)へ戻す(18)ことができる金属酸化物(例えば、シリカなど)を含む。高密度留分(14)は、酸化鉄などの経済的価値の高い金属酸化物を含み、その金属酸化物は、本プロセスで再使用される水性溶媒の回収後に販売のためにさらに処理される。残留活性化原料(15)は、主にケイ酸マグネシウムを含み、次にそれは、所望の溶媒成分系及び他の試薬(16)による形成後、かつ所望の反応温度(この場合には155℃)へ加熱(23)した後、炭酸化反応容器(8)に入る。
有利には、炭酸化反応容器(8)は、機械的手段又は流動誘起のいずれかによって、撹拌及び摩擦を利用することができる。この実施例では、溶媒成分系(16)は、水と塩化ナトリウム及び重炭酸ナトリウムとの水性混合物である。関連する燃焼、ガス化、改質又は電気発生プラント(2)に由来する二酸化炭素含有流(3)は、前記炭酸化反応容器(8)へ入る前に、圧縮器(コンプレッサー)(20)から成る装置によって、液状形態又は115barを超える圧力へ圧縮される。熱は、複数の圧縮器から成る装置から回収され(21)、入熱を要する処理器(例えば、複数の熱交換器(24))の他の部分で利用されることができる。密度分離を含む第二の分離処理器(17)から引き出されたシリカ及び炭酸マグネシウム反応生成物(25)を実質的に含む低密度留分の分離後、回収流(19)は、実質的に未反応の材料を循環させて炭酸化反応器(8)へ戻す。より高い密度の留分は、反応器(8)へ回収される高含有量のケイ酸マグネシウム(19)を有する未反応原料を主に含む。この実施例において密度分離処理器(17)は、一連の液体遠心分離機である。低密度流(25)は沈降槽及びフィルター(26)内で実質的に脱水され、実質的に固体の炭酸塩及びシリカ残留物(18)は最終廃棄のために鉱山又は採石場(1)へ戻され、そして回収された溶媒は本プロセス(この図では(19))において再使用される。
図1に示されるプロセスは、オーストラリアにおける従来の微粉燃料電気発生プラントからの二酸化炭素放出量当たり14Mt(メガトン)の長期的な固化のために、環境的に実行可能であると分かった。パワープラントには、毎年約15500GWh(ワット時)を配電網に送り出し、かつ毎年6.4Mtの黒炭を消費する4つの660MW(メガワット)発生機がある。図1に示された方法は、蛇紋石を活性化する複数の燃料燃焼炉において毎年約32Mtの蛇紋石及び毎年0.85Mtの天然ガスを消費することによって、80%を超える長期的な二酸化炭素封鎖を達成する。電気発生プラントから送達される電力は、蛇紋石の微粉砕のための電力供給の必要性のために、封鎖しない元の供給量の98%に減少するであろう。本プロセスから回収された酸化鉄の販売を考慮したうえで、本プロセスは、二酸化炭素1トン当たり9豪ドル(A$)未満のコストで毎年11Mtを超える二酸化炭素を回避するであろう。
図2では、本発明の別の実施形態を示す第二の一般化流れ図が示される。本発明の方法論を用いて、蛇紋鉱石の活性化処理が示される。蛇紋鉱石が抽出される鉱山又は採石場(1)、関連する燃焼、ガス化、改質又は電気発生プラント(2)(その二酸化炭素放出物は封鎖されることになる)、及び本発明の方法論に従って設計された鉱物炭酸化プラント(5)に入っていく前記二酸化炭素を含む流れ(3)が示される。この実施例では、関連する燃焼、ガス化、改質又は電気発生プラント(2)は、炭化水素原料としてかなりの量(この場合には、20%を超える)の再生可能バイオマス(16)を利用する。関連する燃焼、ガス化、改質又は電気発生プラント(2)からの放出物の大部分はこの処理において封鎖され、この処理を維持するバイオマス原料(16)の再生が大気から二酸化炭素を隔離するので、これは大気からの二酸化炭素の全体的な最終分離を可能にする。
蛇紋鉱石は、微粉砕回路(4)において500μm未満の粒径に破砕及び粉砕され、そして鉱物原料及びこの実施例では直接的熱活性化のための回転窯を含む最終加熱容器(6)を予熱する一連の熱交換器(24)へ供給される。それらの一連の任意の熱交換器(24)では、冷却工程が影響を受けるプロセス内の他の時点から引き出された熱が利用される。そのような時点としては、炭酸化反応器生成物(22)の冷却工程、圧縮された二酸化炭素ガス(21)の冷却工程、及び熱活性化(10)後の活性化原料の冷却工程が挙げられる。この実施例では、関連する燃焼、ガス化、改質又は電気発生プラント(2)から引き出された低級熱又は排熱(28)が、鉱物原料の予熱(24)において利用される。最終及び必須の加熱容器(6)は、炭化水素燃料(この実施例では、再生可能バイオマス燃料(7)により補充された微粉石炭)により燃やされる回転窯又は類似の燃焼室を含むことによって、鉱石の直接的熱活性化を提供して、その温度を少なくとも580℃付近に上昇させる。この実施例では、再生可能バイオマス燃料の使用は、燃料の燃焼に由来する二酸化炭素の大気への追加量を減らし、かつ全体的なプロセスにより達成される二酸化炭素の最終封鎖を改良する。脱水酸化の水は、圧縮器(9)内の窯燃焼排ガスから回収され、残りの燃焼排ガス(27)から分離され、そして炭酸化反応器(8)前の最終水性スラリー(16)の形成において、例えば本明細書で示されるような処理に使用される。
冷却工程後、活性化鉱石は、さらなる粉砕処理器(11)において、75μm未満の所望の最終粒径へさらに粉砕される。所望により、密度分離を用いて金属酸化物(14)及び(13)が残りの活性化ケイ酸マグネシウム原料(15)から実質的に分離される分離段階(12)の運転のために、水を加えてよい(25)。この実施例では、金属酸化物分離段階(12)は、液体遠心分離機とともに、サイクロン(登録商標)式分離器又は一連のスパイラル式分離器及び干渉沈降槽を含んでよい。この実施例では、金属酸化物分離段階(12)は、液体遠心分離機とともに一連の干渉沈降槽を含む。低密度留分(13)は、経済的価値が低く、かつ(例えば、この図では(16)において)本プロセスに再利用される水の回収(26)後に鉱山(1)へ戻す(18)ことができる金属酸化物(例えば、シリカなど)を含む。高密度留分(14)は、酸化鉄などの経済的価値の高い金属酸化物を含み、その金属酸化物は、本プロセスで再使用される水性溶媒の回収後に販売のためにさらに処理される。残留活性化原料(15)は、主にケイ酸マグネシウムを含み、次にそれは、所望の溶媒成分系及び他の試薬(16)による形成後、かつ所望の反応温度(この場合には155℃)へ加熱(23)した後、炭酸化反応容器(8)に入る。
有利には、炭酸化反応容器(8)は、機械的手段又は流動誘起のいずれかによって、撹拌及び摩擦を利用することができる。この実施例では、溶媒成分系(16)は、水と塩化ナトリウム及び重炭酸ナトリウムとの水性混合物である。関連する燃焼、ガス化、改質又は電気発生プラント(2)に由来する二酸化炭素含有流(3)は、前記炭酸化反応容器(8)へ入る前に、圧縮器(20)の装置によって、液状形態又は115barを超える圧力へ圧縮される。熱は、複数の圧縮器から成る装置から回収され(21)、入熱を要する処理器(例えば、複数の熱交換器(24))の他の部分で利用されることができる。密度分離を用いて第二の分離処理器(17)から引き出されたシリカ及び炭酸マグネシウム反応生成物(25)を実質的に含む低密度留分の分離後、回収流(19)は、実質的に未反応の材料を循環させて反応器へ戻す。より高い密度の留分は、反応器(8)へ回収される高含有量のケイ酸マグネシウム(19)を有する未反応原料を主に含む。この実施例において密度分離処理器は、一連の液体遠心分離機である。低密度流(25)は沈降槽及びフィルター(26)内で実質的に脱水され、実質的に固体の炭酸塩及びシリカ残留物(18)は最終廃棄のために鉱山又は採石場(1)へ戻され、そして回収された溶媒は本プロセス(この図では(16))において再使用される。
図3では、本発明の特定の実施形態の別の流れ図が示される。この実施例では、鉱物炭酸化プラント(5)は、図1に示されたものと同様であるが、この実施例では、それは、大気から引き出された二酸化炭素を隔離するために使用される。二酸化炭素と反応して炭酸塩又は重炭酸塩を形成するアンモニア又はアンモニア化合物溶液(例えば、炭酸アンモニウムなど)などの再生された捕集媒体を使用する一般的な捕集プラント(2)内で、二酸化炭素は大気から抜き出される。次に、一般的な捕集プラント(2)は、二酸化炭素(29)を濃縮し、そして捕集媒体(28)を再生して回収し、捕集プラント(2)へ戻す。次に、二酸化炭素(3)の濃縮流は、鉱物炭酸化プラント(5)(その詳細は、図1のものと同様であり、明示しない限り、図1について表示された部品を含む)へ供給される。
図4では、本発明の特定の実施形態の別の流れ図が示される。この実施例では、鉱物炭酸化プラント(5)は、ケイ酸マグネシウム水酸化物鉱物原料の直接的熱活性化と、その次に、酸化マグネシウム及びケイ酸マグネシウムを実質的に含まない金属酸化物の分離を行なうが、炭酸化反応は、加圧された反応容器内で行なわれない。代わりに、この実施例では、炭酸化反応は、残留活性化原料を含み、かつ二酸化炭素との接触を提供するために大気へ曝される開放容器、作業領域、スラリーダム、吸収塔、通気備蓄体又は堆積浸出装置から成る装置内で起こる。
図4では、ケイ酸マグネシウム水酸化物鉱物が抽出される鉱山又は採石場(1)が示される。その鉱物は、微粉砕回路(4)内で500μm未満の粒径へ破砕及び粉砕され、そして鉱物原料及び直接的熱活性化のための最終加熱容器(6)を予熱する一連の熱交換器(20)中へ供給される。これらの一連の任意の熱交換器(20)では、冷却工程が影響されるプロセス内の他の時点から取り出された熱が利用される。そのような時点としては、熱活性化(10)後の活性化原料の冷却工程、及び熱い燃焼排ガスの冷却工程、及び直接的熱活性化容器(6)から生成した水(9)の濃縮工程が挙げられる。最終及び必須の加熱容器(6)は、炭化水素燃料(この場合には天然ガス(7))により燃やされる炉を含むことによって、鉱石の直接的熱活性化を提供して、その温度を少なくとも580℃付近へ上昇させる。脱水酸化の水は、圧縮器(9)内で燃焼排ガスから回収され、残りの燃焼排ガス(21)から分離され、そして例えば、鉱物の冷却(10)後に湿式粉砕(11)のためのスラリー(19)を75μm未満の最終粒径にする工程において、この実施例に示されるようなプロセスに使用される。
所望により、密度分離を用いて残りの活性化ケイ酸マグネシウム原料(15)から金属酸化物(14)及び(13)を実質的に分離する分離段階(12)の運転のために、さらなる水性溶媒を加えてよい(16)。この実施例では、金属酸化物分離段階(12)は、液体遠心分離機とともに、一連の干渉沈降槽を含む。低密度留分(13)は、経済的価値が低く、かつ(例えば、この図では(16)において)本プロセスに再利用される水性溶媒の回収(22)後に鉱山(1)へ戻す(18)ことができる金属酸化物(例えば、シリカなど)を主に含む。高密度留分(14)は、酸化鉄などの経済的価値の高い金属酸化物を含み、その金属酸化物は、本プロセス(例えば、(16))で再使用される水性溶媒の回収後に販売のためにさらに処理される。残留活性化原料(15)は、主にケイ酸マグネシウムを含み、次に、例えば、この図では(16)で示されるように、本プロセス内における水性溶媒の回収(3)及び前記溶媒の再使用の後に、ケイ酸マグネシウムは、通気又は開放された作業領域、ダム、容器、堆積浸出装置などから成る装置内で使用される。
図4では、通気又は開放された作業領域、ダム、容器、堆積浸出装置などから成る装置内での大気中の二酸化炭素の溶解、及び二酸化炭素の炭酸マグネシウムへの変換に役立つことができる便宜選択されたスラリー溶媒及び試薬(16)と、活性化原料とを混合する。前記通気又は開放された作業領域、ダム、容器、堆積浸出装置などから成る装置は、残りの活性化鉱物を最適に曝して、大気中の二酸化炭素と接触させるように設計されている。強化された空気流(23)及び大気中の二酸化炭素の溶解のための装置(例えば、複数の風洞及び溶媒スプレーから成る装置など)は、炭酸化処理に役立つであろう。さらに、典型的には溶媒回収の浸出操作に見られる溶媒密封層又は膜などの装置が、典型的に利用されるであろう。炭酸マグネシウムの反応した層の連続的な除去により、例えば周期的に表面を削ることにより、未使用の未反応活性化原料の二酸化炭素への曝露は改良されるであろう。そのように除去された層は、ケイ酸マグネシウム水酸化物鉱物が抽出される元の鉱山又は採石場(1)に形成された穴へ戻され、廃棄されることができる。
本発明の範囲(本明細書で説明した特定の実施形態及び実施例に限定されない)から逸脱することなく、様々な改良、省略又は追加を行えることが当業者にとって明らかであろう。本発明は、その理念及び範囲内にある全てのそのような変形及び改良を含むと理解されたい。また、本発明は、本明細書において、個別に又はまとめて、参照されるか、又は示された工程、要件、構成及び化合物の全て、並びに任意の2つ以上の前記工程又は要件の任意かつ全ての組み合わせを含む。
文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、この明細書及びそれに付随する特許請求の範囲の初めから終わりまで、用語「含む」及びその変化形(例えば、「単数を含む」又は「含んでいる」など)は、示された整数若しくは工程、又は整数若しくは工程の集まりを包含するという意味を持つが、任意の他の整数又は工程を排除するものではないと理解されたい。
本明細書では任意の先行技術の参照は、行なわれていないし、さらに先行技術は本願が出願される国の共通一般常識の一部分を形成するという確認又は示唆の形態としても、行なわれるものではない。

Claims (25)

  1. (a)燃料の燃焼によりケイ酸マグネシウム水酸化物鉱物原料を直接的に熱活性化して、活性化原料を形成する工程;
    (b)該活性化原料から、少なくとも酸化マグネシウム及びケイ酸マグネシウムを実質的に含まない金属酸化物を分離して、残留活性化原料を形成する工程;
    (c)前記分離工程(b)の前後で、溶媒中にこれらの活性化原料を懸濁させて、スラリーを形成する工程;及び
    (d)該残留活性化原料のスラリーを二酸化炭素と接触させて、該二酸化炭素を炭酸マグネシウムに変える工程
    を含む、二酸化炭素を固体材料に変える方法。
  2. 前記ケイ酸マグネシウム水酸化物鉱物原料は、大部分が蛇紋石又は滑石から構成されている、請求項1に記載の方法。
  3. 前記活性化原料から分離された金属酸化物は、鉄、ケイ素、アルミニウム、マンガン、クロム、ニッケル、チタン、銅、カリウム、リン、カルシウム及びナトリウムの1つ以上の酸化物を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記ケイ酸マグネシウム水酸化物鉱物原料の直接的熱活性化は、炉、窯、流動床炉若しくは類似の燃焼室、又は加熱容器内の炭化水素燃料の燃焼により放出された熱を掛けることにより行われる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 二酸化炭素の活性化原料との反応から放出された熱を用いる燃料の燃焼により放出された熱、及び/又は関連する炭素若しくは炭化水素燃料燃焼、ガス化、改質若しくは電気発生装置から引き抜かれた低級熱若しくは排熱、及び/又は燃料燃焼加熱容器からの生成物を冷却する工程から引き抜かれた熱、及び/又は圧縮後に二酸化炭素を冷却する工程から引き抜かれた熱を掛けることにより、直接的熱活性化前に前記ケイ酸マグネシウム水酸化物鉱物原料を予熱する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記原料の温度を少なくとも約580℃の温度へ上げて維持することにより、前記原料の直接的熱活性化を起こす、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 基本的に乾燥状態にある一連の熱交換器及び加熱容器内で前記原料を加熱して、任意の液体を前記原料に加えることなく、前記一連の熱交換器及び加熱容器を通して前記原料を輸送することにより、加熱処理のための熱必要量を減らす、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記原料の加熱中に前記原料を回すか、及び/又は攪拌するように設計された加熱容器内で前記原料を加熱して、脱水酸化及び活性化に役立てる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記原料は、前記燃料の燃焼ガスから隔離されて、適切に設計された加熱容器内の燃料燃焼室からの放射、伝導又は対流によって加熱される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 酸素含有率の低い燃焼混合物内で前記原料の直接的熱活性化を起こすことによって、燃焼ガスの酸素含有量が、炭化水素燃料の炭素含有分の二酸化炭素への完全な燃焼のための化学量論的必要量を下回る、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記直接的熱活性化工程における脱水酸化反応により放出された水が、前記直接的熱活性化工程からの生成気体流に対して設置された圧縮器内の処理における再利用のために回収される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記原料を微粉砕に供して、原料平均粒径を約500μm未満に下げる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記活性化原料を水性溶媒と混合して、前記直接的熱活性化工程の後ではあるが前記分離工程の前に、さらに微粉砕に供して、75μm未満の粒径にする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記少なくとも酸化マグネシウム及びケイ酸マグネシウムを実質的に含まない金属酸化物を分離して、残留活性化原料を形成する工程は、重力又は密度分離処理を用いて行われる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記少なくとも酸化マグネシウム及びケイ酸マグネシウムを実質的に含まない金属酸化物を分離して、残留活性化原料を形成する工程は、密度分離処理と磁気及び/又は静電分離処理との組み合わせを用いて行われる、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記活性化原料を、二酸化炭素と接触させる前に、弱酸性水溶液又は混合水溶液及び/又は食塩水、又は二酸化炭素と混和できる他の溶媒に懸濁させる、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記溶媒は、水、弱酸、弱酸の塩溶液、食塩水溶液、食塩水と重炭酸ナトリウムの水溶液、重炭酸カリウム溶液、水とアルコールの混合溶液、水とグリコールの混合溶液、水とグリセロールの混合溶液の1種以上から選択される、請求項16に記載の方法。
  18. 前記二酸化炭素は、希釈流内にあるか、又は大気から直接に引き抜かれている、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記活性化原料を含む開放領域、スラリーダム、備蓄体若しくは類似の通気構造体又は堆積浸出装置から成る装置内で、前記二酸化炭素を活性化原料と接触させる、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記活性化原料を超臨界液化又は高圧ガス状二酸化炭素と接触させて、該二酸化炭素を炭酸マグネシウムへ実質的に変える、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
  21. 高乱流又は急速分散又は摩擦条件を提供するように設計された反応容器内で前記二酸化炭素と残留活性化原料を接触させて、前記二酸化炭素を炭酸マグネシウムへ急速かつ実質的に変える、請求項20に記載の方法。
  22. 前記反応容器には、未反応原料、溶媒及び他の試薬を循環させて炭酸化反応容器へ戻す回収流が備わっている、請求項21に記載の方法。
  23. 前記回収流は、実質的に未反応の原料からシリカ及び炭酸マグネシウムを実質的に分離して、該実質的に未反応の原料を前記反応器に戻す追加の分離段階を含む、請求項22に記載の方法。
  24. 前記分離段階では重力又は密度分離を利用する、請求項23に記載の方法。
  25. 冷却運転から回収されたエネルギーが、前記二酸化炭素を圧縮するためのポンプ又は圧縮器を駆動するために利用される、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
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