JP2012500389A - 多発性脊髄腫の診断、予後および治療のためのマイクロrnaに基づく組成物および方法 - Google Patents

多発性脊髄腫の診断、予後および治療のためのマイクロrnaに基づく組成物および方法 Download PDF

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Abstract

対象において病理学的状態を評価するための方法には、1以上のマーカーの発現プロフィールを測定する工程が含まれ、ここで、相違は、多発性骨髄腫(MM)またはMMに対する素因の指標となる。本発明は、MMの診断、予後および治療のための新規方法および組成物を提供する。本発明はまた、抗MM癌剤を同定する方法も提供する。

Description

関連出願に対するクロスリファレンス
[0001]本出願は、その全開示が本明細書に明確に援用される、2008年8月12日出願の米国仮出願第61/088,036号の優先権を請求する。
連邦が支援する研究に関する言及
[0002]本発明は、米国癌研究所助成金番号−−−−−−−−の元で政府の援助を受けて行われた。米国政府は本発明に特定の権利を有する。
本発明の技術分野および産業適用性
[0003]本発明は、一般的に、分子生物学の分野に関する。より詳細には、本発明は、多発性骨髄腫に関するバイオマーカーに関与する方法および組成物に関する。本発明の特定の側面には、多発性骨髄腫関連疾患の診断、療法、および予後における適用が含まれる。
[0004]本セクションに開示される背景技術が法的に先行技術を構成することは承認されない。
[0005]多発性骨髄腫(MM)は、骨髄におけるクローン性悪性形質細胞の集積によって特徴付けられるB細胞新生物である(1)。この癌は、年間およそ1%の率で、新規に生じるか、または意義不明の単クローン性γグロブリン血症(MGUS)と称される良性状態から発展しうる(2〜3)。MM細胞は、多数の抗アポトーシスシグナル伝達機構を与えられ、これが現行の化学療法措置に対する耐性の主な原因となっている(4)。MMにおいて有効な療法様式は、タンパク質のアポトーシス促進性および抗アポトーシス性Bcl−2ファミリー、ならびに主にp53(MMにおいて低頻度で突然変異している)によって制御されるアポトーシス阻害剤のレベルを調節する(4)。骨髄(BM)微小環境がMMの生物学において、顕著な役割を果たすことが周知であり;MM細胞がBM間質に付着すると、サイトカイン産生が誘発され、核因子系統の活性化によって細胞増殖および化学療法に対する耐性が増進され(7)、そしてより重要なことに、これがMMおよびMGUS間の主要な遺伝子相違であるようである(3〜7)。
[0006]癌ゲノミクスおよびMM細胞−間質相互作用における最近の進歩にもかかわらず、このなお不治である疾患の転帰を改善するため、薬理学的介入によってターゲティング可能な、MM病因形成における主要な要因を同定する緊急の必要性がある。ノンコーディングRNAを含むマイクロアレイ遺伝子発現などの新規技術の出現は、慢性リンパ球性および急性骨髄性白血病に関して本発明者らが示すような、遺伝子発現変化と、MM分子および臨床的特徴との間の関連を確立することによって、MM生物学の理解の改善を導きうる(8〜9)。
[0007]マイクロRNA(miRNA)は、長さ19〜25ヌクレオチドのノンコーディングRNAであり、部分的にまたは完全に相補的な部位への塩基対形成を通じて、そのターゲットmRNAの翻訳阻害および分解を誘導することによって、遺伝子発現を制御する(10)。miRNAは、発生、細胞分化、ストレス応答、アポトーシス、および増殖を含む、決定的な生物学的プロセスに関与する(10)。最近、特異的miRNA発現パターンが、造血および癌に結びつけられてきている(11〜13)。
[0008]しかし、MMにおけるmiRNA発現に関してはほとんど知られていない。最近の研究によって、IL−6依存性MM細胞株において、miR−21転写が、STAT−3機構を通じてIL−6によって制御されていることが示されてきている。さらに、異所性miR−21発現は、IL−6の非存在下で、IL−6依存性細胞株の増殖を維持するのに十分である(14)。
[0009]こうしたことを考慮して、多発性骨髄腫(MM)に対する素因に関して、個体を信頼性を持ってそして正確に診断しそして/またはスクリーニングするための方法に関する必要性がある。
[00010]それに関連する多発性骨髄腫(MM)関連癌を治療する方法もまた非常に望ましい。
[00011]多発性骨髄腫(MM)のための療法に関して、かなりの研究がなされているにも関わらず、MMは有効に診断および治療するのが困難なままであり、そして患者において観察される死亡率は、該疾患の診断、治療および予防において改善が必要であることを示す。
[00012]第一の広い側面において、本明細書において、対象において病理学的状態を評価するための方法を提供し、該方法には、1以上のマーカーの発現プロフィールを測定する工程が含まれ、ここで、相違は、多発性骨髄腫(MM)またはMMに対する素因の指標となる。
[00013]別の広い側面において、本明細書において、MMの診断、予後および治療のための新規方法および組成物を提供する。本発明はまた、抗MM癌剤を同定する方法も提供する。
[00014]本発明の多様な目的および利点は、付随する図を踏まえて読むと、好ましい態様の以下の詳細な説明から、当業者には明らかとなるであろう。
[00015]特許または出願ファイルは、カラーおよび/または1以上の写真で作成される1以上の図を含有する。カラーの図(単数または複数)および/または写真(単数または複数)を含む本特許または特許出願刊行物のコピーは、要望があり、そして必要な料金の支払いがあれば、特許局によって提供されるであろう。
[00016]図1A〜1D。MMおよびMGUSは、正常CD138+PCと比較して、miRNAの別個のスペクトルを発現する:[00017]図1A: PC形質転換の多段階分子プロセスを示す模式図。[00018]図1B: 分析した正常PCに対してMGUSで有意に制御解除されているmiRNAの代表的リスト。アステリスクは、特異的に関連するクラスターを指す。[00019]図1C: 分析した比較クラス、MM患者対正常PCおよびPC MM対正常PCにおける、共通の制御解除されているmiRNAの代表的リスト。アステリスクは、特異的に関連するクラスターを示す。[00020]図1D: miR−17マイクロRNAクラスター。マイクロRNA前駆体の3つのパラログファミリーが同定可能である: miR−17/18/18X120/93/106a/106b/93(黄)、miR−19a/19b−1/19b−2(青)およびmiR−92−1/92−2/25(緑)。 [00021]図2A〜2D: miR−181、106b−25クラスター、32はPCAFをターゲティングする。[00022]図2A: 「インシリコ」ターゲットスキャン予測ソフトウェアにしたがって、3’−UTRで、いくつかのコンセンサス結合部位において、PCAF遺伝子と相互作用すると予測されるmiRNA。[00023]図2B、2C、2D: pGL3−PCAF−3で同時トランスフェクションした細胞におけるルシフェラーゼ活性減少を示すルシフェラーゼアッセイ、活性±SD。各レポータープラスミドを少なくとも2回(異なる日に)トランスフェクションし、そして各試料を3つ組でアッセイした。[00024]図2D: スクランブル化オリゴヌクレオチド、あるいはmiR−19a、miR−19b、または両方のASOでトランスフェクションした48時間後、U266およびJJN3細胞由来の全細胞溶解物におけるSOCS−1タンパク質を示すウェスタンブロット。GADPHを装填対照として用いた。GADPHレベルに基づく濃度測定によって、U266およびJJN3細胞にmiR−19aまたはmiR−19bまたはアンチセンスオリゴ(ASO)が一緒に存在していると、SOCS−1レベルが増加することが示される。 [00025]図2E: miR−19がin vitroでU266細胞における活性化STAT−3の発現を調節することを示すウェスタンブロット。細胞を、in vitroで抗miR−19または陰性対照(Scr)miRNA阻害剤でトランスフェクションし、そして72時間後に細胞溶解物を得た。STAT−3レベルに基づく濃度測定によって、miR−19が存在すると、P−STAT−3レベルが減少することが示される。[00026]図2F: U266細胞トランスフェクション72時間後、内因性miR−19aおよびmiR−19bの発現を検証するためのステムループqRT−PCR(図2G〜3H)。[00027]図2I: トランスフェクション48時間後およびUV処理4時間後、miR−181a/bで、またはmiR−181a/bおよびmiR−106b/25の一緒のASO(プール)で、またはスクランブル化オリゴヌクレオチドで、トランスフェクションしたMM.1s細胞におけるp53およびPCAF発現に関するリアルタイムRT−PCR分析。両遺伝子に関するPCR産物をGADPHおよびアクチン発現に対して標準化した。棒グラフは、4つの別個の研究で観察された平均値±SEを示す。[00028]図2L: 10μMニュートリン(nutlin)−3aと9時間および一晩インキュベーションした後、MM1細胞において、miR−181a、miR−181b、miR−92およびスクランブル化ASOでトランスフェクションした48時間後のp53タンパク質発現を示すイムノブロット分析; GADPHは内部装填対照である。GADPHレベルに基づく濃度測定によって、MM.1s細胞にmiR−181aおよびmiR−181b ASOが存在していると、p53レベルが増加することが示される。 [00029]図3A〜3F: miR−19は、MM細胞株において、SOCS−1をターゲティングする:[00030]図3A: 15のMM細胞株および健康なドナー由来の2つのCD138+PC(対照)における、SOCS−1およびGADPHに対する抗血清でのイムノブロットアッセイ。[00031]図3B: SOCS−1の3’UTR上の、miR−19に関するヒト、マウス、ラットおよびイヌにおける予測される非常に保存されたコンセンサス結合部位。[00032]図3C: SOCS−1の3’UTRを含有するルシフェラーゼレポーターベクターおよびmiR−19またはスクランブル化オリゴヌクレオチドで一過性に同時トランスフェクションされたMEG01細胞における相対ルシフェラーゼ活性。miRNAシード領域に相補的な推定上のmiR−19結合部位の6塩基が欠失すると、この効果が無効になった(MUT)。バーは、ウミシイタケ(renilla)ルシフェラーゼ活性に対して標準化したホタル(firefly)ルシフェラーゼ活性±SDを示す。各レポータープラスミドを少なくとも2回(異なる日に)トランスフェクションし、そして各試料を3つ組でアッセイした。[00033]図3D: スクランブル化オリゴヌクレオチドまたはmiR−19a、miR−19b、または両方のASOでトランスフェクションした48時間後、U266およびJJN3細胞由来の全細胞溶解物におけるSOCS−1タンパク質を示すウェスタンブロット。GADPHを装填対照として用いた。GADPHレベルに基づく濃度測定によって、U266およびJJN3細胞にmiR−19aまたはmiR−19bまたはASOが一緒に存在していると、SOCS−1レベルが増加することが示される。 [00029]図3A〜3F: miR−19は、MM細胞株において、SOCS−1をターゲティングする:[00034]図3E: miR−19がin vitroでのU266細胞における活性化STAT−3の発現を調節することを示すウェスタンブロット。細胞を、抗miR−19または陰性対照(Scr)miRNA阻害剤で、in vitroでトランスフェクションし、そして72時間後に細胞溶解物を得た。STAT−3レベルに基づく濃度測定によって、miR−19が存在すると、P−STAT−3レベルが減少することが示される。[00035]図3F: 拮抗オリゴヌクレオチドでのU266細胞トランスフェクション72時間後、内因性miR−19aおよびmiR−19bの発現を検証するためのステムループqRT−PCR、RNU6Bでの標準化後。 [00036]図4A〜4B: MM細胞株において拮抗miR−19およびmiR−181を発現させると、ヌードマウスにおいて、有意な腫瘍抑制が生じた。miR−181 ASOまたはスクランブル化オリゴで処理したU266およびJJN3細胞(30x106細胞)を皮下注射した。マウスを第35日に屠殺し、そして腫瘍体積を計算した。[00037]図4A: U266細胞株の腫瘍増殖の時間経過。[00038]図4B: JJN3細胞株の腫瘍増殖の時間経過; miR−19およびmiR−181 ASOで処理した腫瘍は、両方の細胞株に関するスクランブル化群の腫瘍より有意に小さかった(スケールバー; 10mm)。 [00039]図5A〜5C: 共通のmiRNA発現。比較の2クラス、MM PC対健康PC(図5A)およびMM患者由来PC対健康PC(図5B)間で共通のmiRNAを示すベン図(図5C)。 [00040]図6A〜6F。qRT−PCRによるMM患者、MGUSおよびMM細胞株対CD138+PC健康におけるマイクロアレイデータの検証。qRT−PCRによって測定した、健康なドナー由来のCD138+PC(n=3)、MGUS(n=3)、MM患者(n=6)およびMM細胞株(n=15)におけるmiR−93、miR−25およびmiR−106b(図6A)、miR−181aおよびmiR−181b(図6B)、miR−32(図6C)、miR−17−5およびmiR−20a(図6D)、miR−92およびmiR−106a(図6E)ならびにmiR−19aおよびmiR−19b(図6F)平均発現。バーはMM PC、MGUSおよび健康PC間の相対倍変化±SEを示す。RNU6Bで標準化した後、異なる群間のmiRNA発現を比較した。 [00040]図6A〜6F。qRT−PCRによるMM患者、MGUSおよびMM細胞株対CD138+PC健康におけるマイクロアレイデータの検証。qRT−PCRによって測定した、健康なドナー由来のCD138+PC(n=3)、MGUS(n=3)、MM患者(n=6)およびMM細胞株(n=15)におけるmiR−93、miR−25およびmiR−106b(図6A)、miR−181aおよびmiR−181b(図6B)、miR−32(図6C)、miR−17−5およびmiR−20a(図6D)、miR−92およびmiR−106a(図6E)ならびにmiR−19aおよびmiR−19b(図6F)平均発現。バーはMM PC、MGUSおよび健康PC間の相対倍変化±SEを示す。RNU6Bで標準化した後、異なる群間のmiRNA発現を比較した。 [00041]図7A〜7B: MM細胞株におけるPCAF発現:[00042]図7A: 15のMM細胞株および1つの健康なCD138+PC試料におけるPCAF発現に関するリアルタイムRT−PCR分析。GADPHおよびアクチン発現に対してPCR産物を標準化し、そして各点4つ組で反復し;相違は有意であった(p<0.001)。[00043]図7B: アクチン発現に対して標準化したPCAFの発現を示す15のMM細胞株のイムノブロット分析。 [00044]ASOトランスフェクションの検証:[00045]図8A: MM1細胞においてmiR−181a/b、miR−106b−25クラスター、miR−32(プール)またはmiR−181a/bまたはスクランブル化ASOでトランスフェクションした48時間後、MM.1s細胞におけるPCAFタンパク質発現を示すイムノブロット分析; GADPHは内部装填対照であった。[00046]図8B: 拮抗オリゴヌクレオチドでのMM.1s細胞トランスフェクション48時間後、内因性miR−181a/b、miR−106b−25クラスター、miR−32の発現を検証するためのステムループq−RT−PCR、U6での標準化後。 [00047]miR−17−92クラスターはBimをターゲティングする。U266細胞において、miR−19aまたはmiR−19bまたはASOで一緒にトランスフェクションした48時間後、BIM−EL、BIM−LおよびGADPH発現を示すイムノブロット分析。GADPHレベルに基づく濃度測定によって、U266細胞にmiR−19b、ならびにmiR−19aおよびbのASOが一緒に存在していると、BIM−ELおよびBIM−Lレベルが増加することが示される。 [00048]表1−患者試料臨床データ。 [00049]表2−MGUS対健康PC間で示差的に発現されるmiRNA。 [00050]表3−マイクロアレイ分析およびステムループのためのMM細胞株使用。 [00051]表4−MM患者および細胞株(MM PC)対健康PC間で示差的に発現されるmiRNA。 [00051]表4−MM患者および細胞株(MM PC)対健康PC間で示差的に発現されるmiRNA。 [00052]表5−MM患者由来PC対健康PC間で示差的に発現されるmiRNA。 [00052]表5−MM患者由来PC対健康PC間で示差的に発現されるmiRNA。 [00053]表6−MM PCおよびMM患者間で共通に発現されるmiRNA。
[00054]本開示全体で、同定する引用によって、多様な刊行物、特許および公開特許明細書に言及する。これらの刊行物、特許および公開特許明細書の開示は、本発明が属する技術分野の到達水準をより詳細に記載するため、本開示内に援用される。
[00055]広い側面において、本明細書において、対象が多発性骨髄腫(MM)および/または意義不明の単クローン性γグロブリン血症(MGUS)を有するかまたは該疾患にかかるリスクを有するかどうかを診断する方法であって:対象由来の試験試料において、少なくとも1つのmiR遺伝子産物のレベルを測定する工程を含む、ここで、対照試料における対応するmiR遺伝子産物のレベルに比較して、試験試料におけるmiR遺伝子産物のレベルにおける改変が、対象がMMおよび/またはMGUSを有するかまたは該疾患にかかるリスクを有するかいずれかである指標となる、前記方法を提供する。
[00056]特定の態様において、少なくとも1つのmiR遺伝子産物は:miR−21、miR−25、miR−106b〜25クラスター、miR−181a、miR−181b、miR−106a、miR−17〜92クラスター、miR−19a、miR−19bおよびmiR−32の1以上である。特定の態様において、少なくとも1つのmiR遺伝子産物は:miR−21、miR−19a、miR−19b、miR−181a、miR−181bおよびmiR−32の1以上である。特定の態様において、少なくとも1つのmiR遺伝子産物はmiR−19aおよびmiR−19bの1以上である。
[00057]特定の態様において、少なくとも1つのmiR遺伝子産物は、対象がMGUSから区別されるようなMMを有する指標となる。
[00058]別の広い側面において、本明細書において、腫瘍増殖を抑制する必要がある対象において、腫瘍増殖を抑制するための方法であって:miR−21、miR−25、miR−106b〜25クラスター、miR−181a、miR−181b、miR−106a、miR−17〜92クラスター、miR−19a、miR−19bおよびmiR−32の1以上である少なくとも1つの遺伝子産物を投与する工程を含む、前記方法を提供する。特定の態様において、少なくとも1つのmiR遺伝子産物は:miR−19a、miR−19b、miR−181aおよびmiR−181bの1以上である。miR遺伝子産物は:miR−191aおよびmiR−191bの1以上である。
[00059]特定の態様において、少なくとも1つのmiR遺伝子産物はp53タンパク質制御に関連する。
[00060]別の広い側面において、本明細書において、対象が多発性骨髄腫(MM)を有するかまたは該疾患にかかるリスクを有するかどうかを診断する方法であって:1)対象から得た試験試料由来のRNAを逆転写して、ターゲットオリゴデオキシヌクレオチドセットを提供し;2)該ターゲットオリゴデオキシヌクレオチドを、miRNA特異的プローブオリゴヌクレオチドを含むマイクロアレイにハイブリダイズさせて、試験試料に関するハイブリダイゼーションプロフィールを提供し;そして3)該試験試料ハイブリダイゼーションプロフィールを、対照試料から生成したハイブリダイゼーションプロフィールに比較する工程を含む、ここで、少なくとも1つのmiRNAのシグナルにおける改変が、対象がMM疾患を有するかまたは該疾患にかかるリスクを有するかいずれかである指標となる、前記方法を提供する。
[00061]別の広い側面において、本明細書において、対象が、対象における1以上の不都合な予後マーカーと関連する多発性骨髄腫(MM)関連疾患を有するかまたは該疾患にかかるリスクを有するかどうかを診断する方法であって:1)対象から得た試験試料由来のRNAを逆転写して、ターゲットオリゴデオキシヌクレオチドセットを提供し;2)該ターゲットオリゴデオキシヌクレオチドを、miRNA特異的プローブオリゴヌクレオチドを含むマイクロアレイにハイブリダイズさせて、試験試料に関するハイブリダイゼーションプロフィールを提供し;そして3)該試験試料ハイブリダイゼーションプロフィールを、対照試料から生成したハイブリダイゼーションプロフィールに比較する工程を含む、ここで、シグナルにおける改変が、対象がMM関連疾患を有するかまたは該疾患にかかるリスクを有するかいずれかである指標となる、前記方法を提供する。
[00062]別の広い側面において、本明細書において、多発性骨髄腫(MM)関連疾患を患う対象であって、対照細胞に比較して、対象のMM細胞において少なくとも1つのmiR遺伝子産物が下方制御されているかまたは上方制御されている対象において、該疾患を治療する方法であって:1)MM細胞において、少なくとも1つのmiR遺伝子産物が下方制御されている場合、対象におけるMM細胞の増殖が阻害されるように、少なくとも1つの単離miR遺伝子産物の有効量を対象に投与するか;または2)MM細胞において、少なくとも1つのmiR遺伝子産物が上方制御されている場合、対象におけるMM細胞の増殖が阻害されるように、少なくとも1つのmiR遺伝子産物の発現を阻害するための少なくとも1つの化合物の有効量を対象に投与する工程を含む、前記方法を提供する。
[00063]別の広い側面において、本明細書において、対象において、多発性骨髄腫(MM)関連疾患を治療する方法であって:1)対照細胞に比較して、MM細胞において少なくとも1つのmiR遺伝子産物の量を決定し;そして2)対象におけるMM細胞の増殖が阻害されるように:i)MM細胞において発現されるmiR遺伝子産物の量が対照細胞において発現される該miR遺伝子産物の量より少ない場合、少なくとも1つの該単離miR遺伝子産物の有効量を対象に投与するか;またはii)MM細胞において発現されるmiR遺伝子産物の量が対照細胞において発現される該miR遺伝子産物の量より多い場合、少なくとも1つの該miR遺伝子産物の発現を阻害するための少なくとも1つの化合物の有効量を対象に投与することによって、MM細胞において発現されるmiR遺伝子産物の量を改変する工程を含む、前記方法を提供する。特定の態様において、少なくとも1つのmiR遺伝子産物は、対象がMGUSから区別されるようなMMを有する指標となる。
[00064]別の広い側面において、本明細書において、少なくとも1つの単離miR遺伝子産物および薬学的に許容されうるキャリアーを含む、多発性骨髄腫(MM)関連疾患を治療するための薬学的組成物を提供する。特定の態様において、miR遺伝子産物は:miR発現阻害剤およびアンチセンスオリゴ(ASO)の少なくとも1以上を含む。特定の態様において、少なくとも1つのmiR発現阻害剤化合物は、適切な対照細胞に比較してMM細胞において上方制御されているmiR遺伝子産物に特異的である。
[00065]別の広い側面において、本明細書において、抗多発性骨髄腫(MM)関連疾患剤を同定する方法であって:試験剤を細胞に提供し、そしてMM細胞において改変される発現レベルと関連する少なくとも1つのmiR遺伝子産物のレベルを測定する工程を含む、ここで、適切な対照細胞に比較した、細胞におけるmiR遺伝子産物のレベルにおける改変が、試験剤が抗癌剤である指標となる、前記方法を提供する。
[00066]別の広い側面において、本明細書において、多発性骨髄腫(MM)関連疾患の開始、進行、重症度、病理学、攻撃性、病期、活性、能力障害、死亡率、罹患率、疾患細分類、あるいは他の根底にある病原性または病理学的特徴の少なくとも1つに寄与する1以上の代謝経路を評価するためのマーカーであって、miR−21、miR−25、miR−106b〜25クラスター、miR−181a、miR−181b、miR−106a、miR−17〜92クラスター、miR−19a、miR−19bおよびmiR−32の少なくとも1つの単離miR遺伝子産物をコードする1以上の遺伝子産物を含む、前記マーカーを提供する。特定の態様において、少なくとも1つのmiR遺伝子産物は:miR−21、miR−19a、miR−19b、miR−181a、miR−181bおよびmiR−32の1以上である。特定の態様において、少なくとも1つのmiR遺伝子産物はmiR−19aおよびmiR−19bの1以上である。
[00067]別の広い側面において、本明細書において、本明細書に記載するようなマーカーの少なくとも1つから選択される多発性骨髄腫関連疾患のマーカーに結合する少なくとも1つの捕捉試薬を含む、製品を提供する。
[00068]別の広い側面において、本明細書において、本明細書に記載するような少なくとも1つのマーカーによってコードされるタンパク質を認識する抗体を含む、多発性骨髄腫(MM)関連疾患に関して試験するための試薬を提供する。
[00069]別の広い側面において、本明細書において、療法が、多発性骨髄腫(MM)を防止し、診断し、そして/または治療する有効性を評価する方法であって:1)有効性を評価しようとする療法に対象を供し、そして2)本明細書に記載するような少なくとも1つのマーカーを評価することによって、多発性骨髄腫(MM)を治療するかまたは防止する際の、試験中の治療の有効性レベルを決定する工程を含む、前記方法を提供する。特定の態様において、候補療法剤は:薬学的組成物、栄養補助組成物、およびホメオパシー組成物の1以上を含む。特定の態様において、評価される療法はヒト対象で使用するためのものである。
[00070]別の広い側面において、本明細書において、多発性骨髄腫(MM)関連疾患を治療する療法剤に関して候補化合物をスクリーニングするためのキットであって:本明細書に記載するような少なくとも1つのマーカーの1以上の試薬、および少なくとも1つのマーカーを発現している細胞を含む、前記キットを提供する。特定の態様において、少なくとも1つのマーカーに特異的に結合する抗体または抗体断片を含む試薬を用いて、マーカーの存在を検出する。
[00071]別の広い側面において、本明細書において、多発性骨髄腫(MM)に関するスクリーニング試験であって:本明細書に記載する1以上のマーカーと、こうしたマーカーの基質および試験剤を接触させ;そして試験剤がマーカー活性を調節するかどうかを決定する工程を含む、前記試験を提供する。特定の態様において、すべての方法工程はin vitroで行われる。
[00072]別の広い側面において、本明細書において、多発性骨髄腫(MM)合併症を治療するか、防止するか、逆転させるかまたはその重症度を制限する必要がある個体において、これを行うための方法であって:個体に、多発性骨髄腫(MM)反応シグナル伝達経路に干渉する剤を、こうしたシグナル伝達に干渉するのに十分な量で投与する工程を含む、ここで、剤は、SOCS−1発現に干渉する少なくとも1つのmiR遺伝子産物を含む、前記方法を提供する。
[00073]別の広い側面において、本明細書において、個体において、多発性骨髄腫(MM)合併症を治療するか、防止するか、逆転させるかまたはその重症度を制限するための薬剤製造のための、多発性骨髄腫(MM)反応シグナル伝達経路に干渉する剤の使用であって、剤が、miR−21、miR−106b〜25クラスター、miR−181a、miR−181b、miR−17〜92クラスター、miR−19a、miR−19b、およびmiR−32の少なくとも1つのmiR遺伝子産物、ならびにその組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子産物を含む、前記使用を提供する。
[00074]別の広い側面において、本明細書において、少なくとも1つのp300−CBP関連因子発現阻害化合物、および薬学的に許容されうるキャリアーを含む、多発性骨髄腫(MM)癌を治療するための薬学的組成物を提供する。
[00075]別の広い側面において、本明細書において、p53活性を制御する必要がある細胞において、p53活性を制御するための方法であって、該細胞を、こうした活性を制御するのに十分な量の少なくとも1つのmiR遺伝子産物と接触させる工程を含み、該miR遺伝子産物が:miR−106b−25クラスター、miR−32、miR−181aおよびmiR−181bの1以上である、前記方法を提供する。特定の態様において、miR遺伝子産物はp300−CBP関連因子(PCAF)遺伝子をターゲティングする。特定の態様において、細胞は多発性骨髄腫(MM)細胞である。
[00076]別の広い側面において、本明細書において、正常からMGUSを介して臨床的に明白なMMに向かうMM多段階形質転換プロセスと関連するmiRNAシグネチャーであって:miR−21、miR−25、miR−106b〜25クラスター、miR−181a、miR−181b、miR−106a、miR−17〜92クラスター、miR−19a、miR−19b、およびmiR−32の少なくとも1以上を含む、前記シグネチャーを提供する。特定の態様において、少なくとも1つのmiR遺伝子産物は:miR−21、miR−19a、miR−19b、miR−181a、miR−181bおよびmiR−32の1以上である。特定の態様において、少なくとも1つのmiR遺伝子産物はmiR−19aおよびmiR−19bの1以上である。
[00077]別の広い側面において、本明細書において、アポトーシスをブロッキングし、そして/または細胞生存を促進する必要がある対象において、アポトーシスをブロッキングし、そして/または細胞生存を促進するための方法であって、1以上のmiR遺伝子産物の有効量を投与する工程を含み、該遺伝子産物が:miR−17〜92、miR−19a、miR−19bおよびmiR−21の1以上である、前記方法を提供する。
[00078]別の広い側面において、本明細書において、p53の正の制御因子であるPCAFをターゲティングする必要がある対象において、PCAFをターゲティングするための方法であって、1以上のmiR遺伝子産物の有効量を投与する工程を含み、該miR遺伝子産物が:miR−106b〜25、miR−181aおよびmiR−32の1以上である、前記方法を提供する。
[00079]別の広い側面において、本明細書において、細胞におけるMM病因形成中のより後期の段階において、SOCS−1を下方制御し、そして/またはIL−6を活性化するための方法であって、細胞において、miR−19を上方制御する工程を含む、前記方法を提供する。
[00080]別の広い側面において、本明細書において、MM由来細胞株、ならびにMM患者、MGUSおよび正常ドナー由来のCD138+骨髄形質細胞(PC)におけるmiRNA発現を評価するための、miRNAマイクロアレイおよび定量的RT−PCR両方の使用を提供する。
[00081]本明細書において、PCの悪性形質転換と関連するタンパク質の発現および制御に関連するmiRNAシグネチャーもまた提供する。
[00082]本発明は、以下の実施例においてさらに定義され、ここで、別に言及しない限り、すべての部分および割合は重量であり、そして度は摂氏である。これらの実施例は、本発明の好ましい態様を示すが、例示目的のためのみに提供されることを理解しなければならない。上記議論およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特徴を確認可能であり、そして本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の多様な変化および修飾を作製して、多様な使用および条件に適応させることが可能である。本明細書において言及される特許および非特許文献を含むすべての刊行物は、本明細書に完全に援用される。
[00083]
[00084]特徴的なmiRNAシグネチャーが、健康PCからMGUSを区別する
[00085]現在のモデルは、MMが多段階形質転換プロセスを通じて発展すると仮定する(図1A)(15)。MMの初期病原性事象に関連する特定の改変を同定するため、本発明者らは、本明細書に記載するmiRNAマイクロアレイ・プラットフォームを用いることによって、MGUS対象由来の5つのCD138+ PCおよび4つの健康PCをプロファイリングした[患者特性に関しては、図10−表1を参照されたい]。
[00086]本発明者らは、まず、BRBツール内の単変量t検定を用いることによって、MGUSを健康な対応PCに比較した(クラス比較)(図11−表2、図1B)。本発明者らは、48のmiRNAが有意に制御解除され(p値≦0.05);正常CD138+ PCに比較して、MGUSにおいて、41のmiRNAが上方制御され、そして7つが下方制御されることを見出した(図11−表2、代表的なリストを図1Bに示す)。
[00087]MGUSにおいて最も上方制御されているmiRNAは、MMにおいてもまた上方制御されていると記載されるmiR−21(14)、BおよびT細胞分化において役割を果たすことが知られるmiR−181a(16)、ならびに発癌性クラスターmiR−106b〜25、特にmiR−93、miR−106bおよびmiR−25であった(図11−表2、図1B)。
[00088]MM患者および細胞株におけるmiRNAシグネチャー
[00089]miRNAがMMにおいて制御解除されているかどうかを決定するため、本発明者らは、本発明者らのmiRNAマイクロアレイ(17)を用いて、41のMM由来細胞株(図12−表3)、10のMM由来のCD138+未処置骨髄PC、および4つの正常CD138+ PCにおける網羅的なmiRNA発現を分析した。AutoMACs自動化分離系(Miltenyi−Biotec、カリフォルニア州オーバーン)後のCD138+ PC純度の度合い、ならびにMM症例および正常PCの臨床的特徴を図10−表1に列挙する。
[00090]第一に、本発明者らは、BRB内の単変量t検定を用いて、CD138+健康対照に比較して、原発性腫瘍および細胞株におけるmiRNA発現を比較した(図13−表4)。本発明者らの分析によって、CD138+健康対照に比較して、MM患者および細胞株において、60のmiRNAの上方制御および36のmiRNAの下方制御が明らかになった(図13−表4、図1C)。
[00091]すべてのmiRNAは、2を超える倍変化および0.01以下のp値を有する。細胞株におけるmiRNA発現はまた、長期のin vitro培養のために制御解除される可能性もあるため、本発明者らは、健康PCに対するMM患者におけるmiRNA発現のみを分析した(図14−表5)。
[00092]本発明者らは、2を超える倍変化および0.01以下のp値を伴う、正常PCに比較したMM患者における37のmiRNAの上方制御および37のmiRNAの下方制御を見出した(図14−表5)。上方制御されたmiRNAの約90%(37のうち34)および下方制御されたmiRNAの約30%(37のうち10)がMM患者および細胞株を合わせた群に共通であり、それによって、細胞株およびMM患者試料を合わせた本発明者らのアプローチは、少なくとも上方制御されたmiRNAの分析に関しては検証された(図1C)(図15−表6)。
[00093]図5のベン図は、これらの2つの比較群間に共通のmiRNAを示す。MGUSで観察されるシグネチャー同様、miR−21およびmiR−106a〜92クラスターは、MM患者および細胞株において、上方制御されることが見出された(図1C、図12−表3)。しかし、本発明者らは、miR−32およびクラスターmiR−17〜92、特にmiR−19aおよびmiR−19bは、MM試料においてのみ有意に上方制御され、MGUSまたは健康PCでは有意には上方制御されないことを同定し(図1C)、MGUSからMMへの悪性形質転換における役割を果たす可能性があることが示された。
[00094]q−RT−PCRによるmiRNAシグネチャーの検証
[00095]マイクロアレイ結果を検証するため、本発明者らは、すべて異なるドナー由来である健康な対象(n=3)、MM患者試料(n=6)およびMGUS(n=3)由来のランダムに選択したCD138+PCの独立のセット(図10−表1)に加えて、MM細胞株のセット(n=15)(図10−表1)を用いて、miR−32、miR−17−5、miR−19a、miR−19b、miR−20a、miR−92、miR−106a(miR−17〜92クラスター)、miR−106b、miR−93およびmiR−25(miR−106b〜25クラスター)、miR−328およびmiR−181aおよびmiR−181bに関して、q−RT−PCRを行った。
[00096]本発明者らは、CD138+健康PCに比較して、MGUSおよびMM試料において、miR−106b〜25クラスターの過剰発現を確認した(図6A)。miR−106b〜25クラスターは、miR−17〜92クラスターと高い度合いの相同性を共有し(図1D)、そして両方に関して発癌における役割が報告されたが(18〜20)、本発明者らは非常に類似のmiRNAの分析に関するステムループq−RT−PCRの特異性に確信を持っており;本発明者らの実験室の先の報告は、miR−106b、miR−93およびmiR−25プライマーの優れた特異性を示した(20)。成熟miR−181aは、2/3のMGUS、6/6のMM、および9/15の細胞株で過剰発現され、示差発現の平均を図6Bに示す。
[00097]さらに、miR−181aよりも低い度合いではあるが、miR−181bもまた、MMおよびMGUSにおいて過剰発現された(図6B)。本発明者らは、MM患者および細胞株におけるmiR−32およびmiR−17〜92クラスターの過剰発現をさらに検証した(図6C〜F)。アレイデータと一致して、2つのmiR−17〜92クラスターメンバー、miR−19aおよびmiR−19b、ならびにmiR−32は、6/6のMM PC試料および15/15の細胞株において非常に過剰発現された(図6C、6F)。主に、本発明者らは、miR−19aおよびmiR−19bが100倍を超える倍変化を有する(図6F)が、これらが、1/3のMGUSで非常に低い発現を示し、そして2/3のMGUSおよび3/3の健康PC試料においてほぼ発現がないことを見出し、本発明者らの最初のアレイ結果が検証され、そしてこれらのmiRNAがMM特異的であることが示唆された。
[00098]MMにおいて上方制御されるいくつかのmiRNAは、p53の正の制御因子であるPCAFをターゲティングする
[00099]MGUSおよびMM患者および細胞株において最も上方制御されているmiRNAの1つは、miR−181aおよびmiR−181b、ならびにmiR−106b〜25であり、一方、miR−32は、MMにおいて優先的に上方制御されていた。「インシリコ」ターゲット予測ソフトウェア[Target Scan(21)、Pictar(22)]を用いて、本発明者らは、これらのmiRNAがp300−CBP関連因子(PCAF)をターゲティングすると予測されることを見出した(図2A)。PCAFは、腫瘍抑制因子タンパク質p53を含む多様な転写制御因子の可逆的アセチル化に関与する、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)である(23)。最近、Linaresらは、PCAFが内因性ユビキチン化活性を所持することを示してきており、該活性は、Hdm2発現レベル、およびしたがってMMにおいては診断時にまれにしか突然変異していない(症例の5〜10%)し、また欠失されていない(25〜26)、p53(24)を制御するのに非常に重要である。
[000100]これらのmiRNAがPCAFを制御可能であるかどうかを調べるため、まず、本発明者らは、15のMM細胞株において、q−RT−PCR(図7A)およびウェスタンブロッティング(図7B)によってPCAF発現を分析した。対照として、本発明者らは、健康なドナーから単離された2つのCD138+ PCを用いた。本発明者らは、PCAF発現が10/15の細胞株においてほとんど欠けており(対照より10倍少ない)、一方、残りの5つの細胞株は非常に低い発現を示すことを見出した。この遺伝子がゲノムレベルで欠失しているかどうかを調べるため、本発明者らは、Affymetrix SNP 6.0アレイを用いて、15のMM細胞株すべての全ゲノムCGH分析を行った。しかし、本発明者らは、PCAF遺伝子の欠失を観察しなかった(データ未提示)。
[000101]第二に、本発明者らは、PCAF 3’UTR5をルシフェラーゼレポーターベクター内にクローニングし、そして候補miRNA模倣体またはスクランブル化オリゴヌクレオチドと同時トランスフェクションし、そして方法に記載するようにルシフェラーゼアッセイを行った。本発明者らは、miR−181a/b(図2B)、miR−106b〜25クラスターおよびmiR−32(図2D、2B)が、in vitroでPCAF 3’UTRと相互作用することを見出した。しかし、この相互作用は、miR−92ではより有意ではなく(図2C)、そしてmiR−19aおよびmiR−19bでは相互作用はまったく観察されなかった(データ未提示)。レポーターベクター中の予測されるmiRNA結合部位を突然変異させると、この効果は無効になり、これらのmiRNAが、PCAF 3’UTRと直接相互作用することが示された。
[000102]MM細胞中のPCAF制御におけるこれらのmiRNAの生物学的役割を確認するため、本発明者らは、U266およびJJN3 MM細胞株において、アンチセンスオリゴ(ASO)を用いて、内因性miR−181a、miR−181b、miR−25、miR−93、miR−106bおよびmiR−92と拮抗させることによって、in vitro研究を検証した。両細胞株において、拮抗miRは、トランスフェクション72時間後、PCAFタンパク質発現の集積を誘導した(図2E、2F)。対照的に、K562細胞株において、オリゴヌクレオチドトランスフェクションによって、同じmiRNAを過剰発現させると、PCAF発現が減少した(図2G、2H)。miR−19aおよびmiR−19bはPCAF発現に影響を及ぼさず(図2H)、そしてmiR−92はその発現にほとんど影響せず(図2F)、ルシフェラーゼ発現データ(図2C)が確認された。
[000103]PCAFのmiRNA制御因子が、p53発現に間接的に影響を及ぼすことが可能であるかどうかを決定するため、本発明者らは、MM1細胞を、抗miR−181a/bでまたはすべての拮抗miRで同時に(抗miR−181、抗miR−93、抗miR−106b、抗miR−25、抗miR−32)トランスフェクションし、細胞を紫外(UV)照射に曝露し(図2I)、そしてqRT−PCRによってp53およびPCAFの発現を測定した(図2I)。
[000104]図8Aは、拮抗miR処理48時間後のPCAFタンパク質の再発現を示す。トランスフェクタントオリゴの拮抗活性を図8Bに示す。UV処理後、p53 mRNA発現は、アンチセンスmiR−181a/bでトランスフェクションした細胞でほぼ2倍となり、一方、すべての拮抗miRを同時にヌクレオポレーション(nucleoporation)した後、6倍増加した(図2I)。さらに、アンチセンスmiR−181a/bオリゴをMM.1sにトランスフェクションした後、本発明者らは、小分子MDM2アンタゴニスト、ニュートリン−3a(10μM)で細胞を処理し、そしてウェスタンブロッティングによってp53を測定した。本発明者らは、miR−181アンチセンスオリゴ(ASO)でトランスフェクションした細胞が、9時間および12時間の時点で、スクランブル化およびmiR−29 AOSと比較して、より高いレベルのp3タンパク質を示すことを見出した(図2L)。これらのデータを総合すると、miR−106b−25クラスター、miR−32、miR−181aおよびmiR−181bがPCAFをターゲティングし、そしてこの遺伝子を通じて、骨髄腫において、p53活性を間接的に制御することが示される。
[000105]miR−19aおよびmiR−19bは、IL−6R/STAT3経路の負の制御因子であるSOCS−1をターゲティングする
[000106]本発明者らの発見によって、miR−19aおよびmiR−19bは、患者試料において>100倍、細胞株において>2000倍上方制御され(図6F)、そしてどちらも正常PCおよびMGUSにおいてほぼ欠けていることが示される。どちらのmiRNAもMMの発展に寄与する。したがって、本発明者らは、入手可能なターゲット予測ソフトウェア[Target Scan(21)、Pictar(22)]を用いて、骨髄腫病因形成に関与する、miR−19aおよびb mRNAターゲットに関して検索した。100を超える予測されるターゲットの中で、SOCS−1は、IL−6を含むいくつかのサイトカイン経路、特にJak/STAT経路の負の制御に関連づけられてきており(27)、そしてMMにおいて、メチル化によって頻繁にサイレンシングされる(28)。本発明者らは現在、MM試料において、高レベルのmiR−19レベルは、負の制御因子SOCS−1の下方制御を通じて、Jak/STAT−3シグナル伝達の恒常的な活性化に重要な役割を果たしうると考えている。本発明者らはまず、15のMM細胞株および2つの健康なCD138+ PCにおいてその発現を評価し、そして対照に比較して、13/15の細胞株でほぼまったくタンパク質が発現されないことを見出した(図3A)。
[000107]SOCS−1の発現レベル減少が、MM細胞において、miR−19a/bの上方制御の結果でありうるかどうかを調べるため、本発明者らは、SOCS−1発現減少を示すU266(活性IL−6自己分泌ループを有する)(29)およびJJN3 MM細胞株において、候補拮抗miRNAまたはスクランブル化オリゴヌクレオチドをトランスフェクションした後、SOCS−1抗体を用いたウェスタンブロット分析を行った(図3D)。
[000108]さらに、miR−19aおよびmiR−19b模倣体は、SOCS−1 3’UTRを含有するレポーターベクターの発現を阻害し、一方、予測されるmiRNA結合部位を突然変異させると、抗miR−19でトランスフェクションした後のこの効果(図3B、3C)が無効になったが、スクランブル化オリゴによるトランスフェクションではそうはならなかった(図3E)。
[000109]72時間の時点でのASO活性をq−RT−PCRによって検出した(図3F)。これらの研究によって、MMの病因形成および悪性増殖中のIL−6抗アポトーシスシグナルにおけるmiR−19の役割が示される。
[000110]miR−17〜92クラスターは、MM細胞において、Bimをターゲティングする
[000111]miR−17〜92クラスターは、アポトーシス促進性遺伝子、Bimをターゲティングすることが示されてきている(19〜20)ため、本発明者らは、MM細胞において、miR−17−92によってBim発現が調節されるかどうかを調べた。U266細胞をmiR−19 ASOでトランスフェクションし、そしてイムノブロットを用いてBim発現を評価した。本発明者らは、スクランブル化オリゴヌクレオチドに比較して、抗miR−19で48時間処理した後のBimタンパク質レベルの有意な増加を見出した(図9)。総合すると、これらの結果は、BimがmiR−17〜92の直接のターゲットであることを示す、先の公表されたデータ(19〜20)を支持し、そしてmiR−17〜92の過剰発現がMMにおいて抗アポトーシスシグナルに寄与するありうる機構を示唆する。
[000112]MM細胞株におけるmiR−19およびmiR−181a/bの異所抑制は、ヌードマウスにおいて、腫瘍増殖の有意な抑制につながる
[000113]本発明者らの観察のin vivo関連を探求するため、本発明者らは、内因性miR−19およびmiR−181a/bをサイレンシングした後、無胸腺nu/nuマウスにおけるU266およびJJN3細胞の腫瘍形成能を調べた。各細胞株に関して、各々16匹のマウスを用いる、2つの独立の実験を行った。U266またはJJN3細胞を、in vitroで、ASOまたはスクランブル化オリゴヌクレオチドでトランスフェクションした。本発明者らは、BLOCK−IT蛍光オリゴ(Invitrogen)を用いて、トランスフェクション効率(U266およびJJN3に関して80%)を確認した。24時間後、100μlのBDマトリゲルマトリックス中に再懸濁された、各群に関して3x10生存細胞は、オリゴヌクレオチドが発展させる測定可能な腫瘍であった。対照的に、拮抗miRを発現している細胞を移植されたマウスは、対照に比較して、腫瘍増殖の有意な阻害を示した(P<0.01)(図4A、4B)。
[000114]抗miR−19で処理したどちらの細胞株も、10倍を超えて減少した腫瘍体積を示し、そして拮抗miR−181で処理した腫瘍は、JJN3細胞において3倍小さく、そしてU266細胞において10倍小さかった、それぞれ、P=0.02およびP=0.01。
[000115]重要なことに、抗miR−19で処理したU266細胞を注射した2匹のマウスにおいて、完全腫瘍抑制が観察された。U266細胞に関する、4週間後の平均腫瘍体積は、308.5mmであり、そしてJJN3細胞に関しては225mmであった。拮抗miR−19およびmiR−181でトランスフェクションしたMM細胞を注射したマウスの50%のみが、4週間の時点で測定可能な腫瘍を発展させた。U266/抗miR−19に関する平均腫瘍体積は19.5mmであり、そしてU266/抗miR−181に関しては14mmであった。JJN3 MM細胞で類似の結果が観察され、抗miR−19および抗miR−181に関しては、平均腫瘍体積は、それぞれ、25mmおよび80mmであった(図4A、4B)。総合すると、これらの結果は、MMにおけるこれらのマイクロRNAの発癌における役割を示し、そして本発明者らは、本明細書において、現在、抗miR−19の効果がより強いのは、U266がIL−6に依存していることに関連すると考えている。
[000116]考察
[000117]過去数年間に渡って、いくつかの研究によって、正常な造血細胞の分化に関するmiRNAの生物学的関連性、および悪性対応物における制御解除miRNA発現の寄与が例示されてきている(11、30、31)。
[000118]本発明者らは、本明細書において、ここで、MM、MGUSの最初の包括的な網羅的マイクロRNA発現プロファイリングを示し、そしてこれらの発現パターンを正常PCのものと対比させた。MM細胞株および初代の新規に診断されたMMで観察されるmiRNA発現パターンが類似であることは、本明細書に記載するような研究設計を支持する。さらに、以前のMMマイクロアレイ研究は、MM細胞株と初代患者試料を組み合わせており、本発明者らの戦略を認証する(32)。
[000119]さらに、本発明者らは、現在、正常PCからMGUSを介して臨床的に明白な骨髄腫に向かうMM多段階形質転換プロセスと関連しうるmiRNAシグネチャーを同定する一方、MGUSおよび初代腫瘍試料が少数であるための限界もなお認識している。
[000120]MGUS患者において、本発明者らは、miR−21およびmiR−106b〜25クラスターなどの、発癌機能を持つ上方制御されたmiRNAを同定した。miR−21は、多くの固形および血液学的腫瘍において上方制御されている(11、25)。神経膠芽腫細胞において、miR−21を異所発現させるとアポトーシスがブロックされる(33)一方、いくつかの癌細胞においてその発現をサイレンシングすると、そのターゲット;ホスファターゼおよびテンシン相同体(PTEN)およびタンパク質プログラム細胞死4(PDCD4)のような腫瘍抑制因子遺伝子(34)の発現がブロック解除されることによって、細胞増殖が阻害され、そしてアポトーシス細胞死の増加が導かれる。Petroccaら(20)は、miR−106b〜25クラスターが、アポトーシス促進性Bimおよびp21をターゲティングすることによって、胃癌腫瘍形成において役割を果たすことを示してきている。したがって、これらの2つのmiRNAは、アポトーシスをブロッキングし、PC生存を促進し、そして最終的に本格的な悪性腫瘍を生じる二次的遺伝子異常に対する素因を与えることによって、形質細胞形質転換におけるより初期の段階に寄与しうる。
[000121]MM(正常PCに対してMM細胞株および初代腫瘍を含む)において、本発明者らは、とりわけ;miR−32、miR−21、miR−17〜92、miR−106〜25、ならびにmiR−181aおよびmiR−181bを含む、複数の上方制御されたmiRNAで構成されるシグネチャーを同定した。
[000122]miR−106〜25、miR−181aおよびb、ならびにmiR−21もまた、正常PCに比較して、MGUS患者で上方制御されている一方、miR−32およびmiR−17〜92クラスターは、MM患者においてのみ高発現されており、これらのmiRNAがMM特異的であることが示唆される。
[000123]RAS突然変異以外には、MMからMGUSを区別する他の遺伝子異常は見出されていない(3)。したがって、miR−32およびmiR−17〜92クラスターは、MM特異的遺伝子変化を代表しうる。
[000124]miR−106〜25クラスター同様、B細胞リンパ腫におけるmiR−17〜92クラスターの発癌における役割が周知であり、そしてPTEN、E2F1、およびBcl2l11/Bimを含むいくつかの既知のアポトーシス促進性遺伝子が、miR−17〜92のターゲットとして確認されている(35〜36)。最近、Venturaら(19)は、miR−17〜92クラスターがまた、B細胞発生にも必須であり、そしてmiR−17〜92が欠けていると、アポトーシス促進性タンパク質Bimのレベル増加につながり、そしてプロBからプレB遷移の時点で、B細胞発生が阻害されることを示した。しかし、ほぼ同一の配列であることを考慮すると、miR−106b〜25およびmiR−17〜92クラスターは、Bimターゲティングにおけるものと同一でないとしても類似の機能を発揮する際に協調する可能性が非常に高い(19〜20)。
[000125]本明細書において、ここで、MMで制御解除されているmiRNAに関する重要な機能的洞察を示す。本発明者らは、アポトーシス促進性Bimが、MM細胞においてmiR−17〜92クラスターのターゲットであることを確認している。したがって、miR−21とともにmiR−17〜92は、アポトーシスをブロックし、そして細胞生存を促進する。一方、miR106b〜25、miR−181aおよびmiR−32は、p53の正の制御因子であるPCAFをターゲティングする[が、miR17〜92クラスター(特にmiR−19およびmiR−92)はPCAFをターゲティングしない]。
[000126]理論によって束縛されることは望ましくないが、本発明者らは、本明細書において、現在、MMにおけるp53突然変異が低頻度であることと一致して、miR−106b〜25クラスター、miR−181およびmiR−32によるPCAFの下方制御は、Hdm2(24)を通じてp53の安定性を制御し、そしてヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)(23)として働くことによって、p53を低レベルに維持するか、または部分的に不活性化すると考えている。
[000127]やはり、本明細書で初めて記載するのは、STAT3/IL6Rの負の制御因子であるSOCS−1に対するmiR−19の特異的役割である。実際、MMにおけるIL−6経路は、Bcl−2ファミリーメンバーなどのアポトーシス制御因子に影響を及ぼす、STAT3を通じたPC形質転換および発癌に関与する最もよく性質決定された生存経路の1つである(1、16)。これらの発見によって、MMにおけるmiR−19上方制御が、MM病因形成において、SOCS−1下方制御およびより遅い段階でのIL−6活性化に寄与しうることが立証される。
[000128]in vivo研究によって、発癌miRNAとしてのMM細胞におけるmiR−19およびmiR−181の役割が確認された。データは、miR−19および181拮抗miRでの処理後、移植される腫瘍の有意な腫瘍退縮を立証する。これらのデータはここで、miRNAが、形質転換PCの増殖に拮抗する際、療法的潜在能力を有しうることを示す。
[000129]結論として、既知の発癌活性を持つmiRNAの過剰発現によって性質決定されるMMおよびMGUSにおいて、別個のmiRNAシグネチャーを本明細書に記載する。データは、アポトーシス、生存および増殖を含めて、miRNAによるMMにおける非常に重要な経路の制御との関連を確立することによって、MMにおけるmiRNA機能への洞察を提供する。これらの結果は、PCの悪性形質転換と関連する多段階プロセスにおける、この制御分子クラスによるさらなるレベルの制御を示す。
[000130]材料および方法
[000131]RNA抽出およびmiRNAマイクロアレイ実験 別の箇所に詳細に記載されるように(37)、RNA抽出およびmiRNAマイクロチップ実験を行った。miRNAマイクロアレイは、1チャネル系に基づく(35)。二つ組でスポッティングされる、345のヒトおよび249のマウスmiRNA遺伝子を含む、1,100のmiRNAプローブを含有する、OSUカスタムmiRNAマイクロアレイチップ(OSU_CCCバージョン3.0)上のハイブリダイゼーションのため、5マイクログラムの総RNAを用いた。
[000132]RT−PCR 一試験管TaqMan miRNAアッセイを用いて、ABI Prism 7900HT配列検出系(Applied Biosystems)を用い、先に記載されるように(10)、成熟miRNAを検出し、そして定量化した。RNU6Bで標準化を行った。テンプレート不含対照を含めて、3つ組で、比較リアルタイムPCRを行った。比較Ct法を用いて、相対発現を計算した。
[000133]ASOおよび模倣体トランスフェクション実験 ヌクレオポレーション(Amaxa)キットV(JJN3およびMM1s細胞株に関して)およびキットC(U266細胞株に関して)を用い、100nM miRNA前駆体(Ambion)、または100nM LNA miRNAアンチセンスオリゴヌクレオチド(Ambion)を用いることによって、細胞をトランスフェクションした。タンパク質溶解物および総RNAを、示す時点で収集した。ノーザンブロットおよびステムループqRT−PCRによって、miRNAプロセシングおよび発現を検証した。本発明者らは、すべての細胞株に関して、BLOCK−IT蛍光オリゴ(Invitrogen)を用いて、トランスフェクション効率(U266およびJJN3に関して≒80%、そしてMM1sに関して50%)を確認した。陰性対照オリゴヌクレオチドでトランスフェクションした未処理細胞を、標準物質として用いた。
[000134]細胞収集および総RNA精製 試料には、MMと新規に診断された症例16例、意義不明の単クローン性γグロブリン血症(MGUS)患者6人、および6人の健康なドナー(正常PC)由来のPCが含まれた。施設の方針との調和を保ちながら、書面のインフォームドコンセントを得た。AutoMACs自動化分離系(Miltenyi−Biotec、カリフォルニア州オーバーン)を用いて、モノクローナルマウス抗ヒトCD138抗体を用いた免疫磁気ビーズ選択によって、単核細胞分画からのPC単離を行った。PC純度を図11−表2に示し、細胞質軽鎖免疫グロブリン(Ig)に関する免疫細胞化学、およびWright−Giemsa染色による形態も示す。6つの健康PCのうち3つを、ALLCELLS、LLCから得て、そしてFACScan分析によってPCの純度を評価し、そしてこれは80%より高かった。MM細胞株(図12−表3)[M. Kuehl博士(米国癌研究所、メリーランド州)、Joshua Epstein博士(アーカンソー州リトルロック)、S. Rosen博士(イリノイ州シカゴ)、M. Gramatzki博士(ドイツ・キール)の厚意]、およびEpstein−Barrウイルス(EBV)形質転換Bリンパ芽球細胞株(ARH−77、ARK、UCLA−1)は、推奨されるように増殖させた(American Type Culture Collection、バージニア州チャンティリー)。Trizol抽出試薬(Invitrogen)を用いて、総RNAを単離した。
[000135]ルシフェラーゼレポーターベクター 予測されるマイクロRNA結合部位を含有するPCAFおよびSOCS1 3’UTRを、ゲノムDNA(293T/17細胞)からのPCRによって増幅し、そしてホタル(firefly)ルシフェラーゼの停止コドンのすぐ下流のXba1部位を用いることによって、pGL3対照ベクター(Promega)内に挿入した。製造者のプロトコルにしたがって、QuickChange部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene)を用いて、突然変異体構築物中に、各相補的シード領域相補的部位の最初の6ヌクレオチドの欠失を挿入した。
[000136]ルシフェラーゼアッセイ 6ウェルプレート中、Lipofectamine 2000(Invitrogen)を用いて、1μgのpGL3ホタルルシフェラーゼレポーターベクター(ルシフェラーゼレポーターベクター法を参照されたい)、0.1μgのphRL−SV40対照ベクター(Promega)、および100nM miRNA前駆体(Ambion)で、QBI293およびMeg01細胞を同時トランスフェクションした。トランスフェクション24時間後、二重ルシフェラーゼアッセイ(Promega)を用いることによって、ホタルおよびウミシイタケルシフェラーゼ活性を継続的に測定した。各レポータープラスミドを少なくとも2回(異なる日に)トランスフェクションし、そして各試料を3つ組でアッセイした。
[000137]異種移植片モデル 施設動物飼育および使用委員会(IACUC)が認可したプロトコルのもとで、研究を行った。8週齢の雄無胸腺nu/nuマウス(Charles River Laboratories、マサチューセッツ州ウィルミントン)をIACUC処置および指針にしたがって維持した。30x10 U266細胞またはJJN3トランスフェクション細胞を0.10mlの細胞外マトリックスゲル(BD Biosciences)中に懸濁し、そして混合物を右および左脇腹内に皮下注射した。異種移植片増殖の連続測定を行い、そして式4/3π(LH/8)を用いて、腫瘍体積を概算した。
[000138]ウェスタンブロッティング ウサギ・ポリクローナル抗SOCS−1(Abcam); Gadph、Bim、Stat−3、P−Stat−3(Tyr705)に対するウサギ・ポリクローナル抗血清(Cell Signaling);ウサギ・ポリクローナルPCAFおよびモノクローナルp53(Santa Cruz)を用いて、記載されるように(10)、イムノブロット分析を行った。適切な抗血清(Santa Cruz Biotechnology)で検出されるタンパク質レベルを、βアクチンまたは/およびGapdhレベルに比較して標準化した。
[000139]UVおよびニュートリン3a処理 MM.1sおよびU266 MM細胞株を本明細書に記載するように、miR−181、miR−106b−25、miR−32およびmiR−19 ASOでトランスフェクションし、そしてトランスフェクション24時間後、U266細胞を10μM ニュートリン3a(Cayman Chemical Company)で処理し、そしてMM.1Sを6J/m UV(Ultra LUM. Inc.,カリフォルニア州パラマウント)で処理し、そして本明細書に記載する時点で採取した。
[000140]データ分析 GenePix Pro 6.0を用いることによって、マイクロアレイ画像を分析した。各miRNAの複製点の平均値からバックグラウンドを減じ、そしてさらなる分析に供した。miRNAが試料の少なくとも50%に存在し、そして該miRNAの少なくとも50%が遺伝子中央値より1.5より大きい倍変化を有する場合、miRNAを保持した。非存在(absent)コールは、標準化および統計分析前、log2スケールでは4.5までが閾値であった(thresholded)。このレベルは、miRNAチップ実験において、バックグラウンドを越えて検出される平均最小強度レベルである。Bioconductorパッケージ/関数を用いて、変位値標準化を実行した。BRBツール、バージョン3.5.0内の単変量t検定を用いることによって、示差的に発現されるマイクロRNAを同定した。0.01に等しいアルファレベルで一変量的に有意であると設定した。このツールは、パラメトリック検定t/F検定、および確率差異(random variance)t/F検定を用いて、データを分析するように設計される。遺伝子リスト中の遺伝子の包含基準は、明記する閾値よりも小さいp値、または偽発見の数および偽発見の比率に対する明記する限界のいずれかである。後者は、多変量並べ替え検定の使用によって調節される。
[000141]使用例
[000142]1つの側面において、本発明は、癌対象の生存を予測するための方法を提供する。予測法は、癌細胞における複数のバイオマーカーの示差発現に基づく。短期癌生存者において、いくつかのバイオマーカーが過剰発現される傾向がある一方、他のバイオマーカーは、長期癌生存者において過剰発現される傾向があることが発見された。癌対象由来の細胞試料におけるこれらのバイオマーカーの発現のユニークなパターンを用いて、その対象に関する相対生存時間、そして最終的には予後を予測してもよい。
[000143]癌対象の生存を予測するための方法
[000144]本発明の1つの側面は、癌生存を予測するための方法を提供する。該方法は、癌対象由来の細胞試料における複数のバイオマーカー(すなわちmiR)の示差発現を決定する工程を含む。癌のバイオマーカー発現シグネチャーを用いて、その癌からの生存を予測するリスクスコアを得てもよい。スコアは、対象が長期間(すなわち5年より長く)生存可能であるというように低リスクを示してもよいし、またはスコアは、対象が長期間は生存しない(すなわち2年未満)というように高リスクを示してもよい。
[000145]生存関連バイオマーカー
[000146]いくつかのバイオマーカーは、長期生存者において過剰発現され、そしていくつかのバイオマーカーは、短期生存者において過剰発現される。バイオマーカーは、細胞接着、細胞運動性、または炎症および免疫応答に影響を及ぼすことによって、癌転移に役割を果たしうる。バイオマーカーはまた、アポトーシスに関与しうる。バイオマーカーは輸送機構に役割を果たしうる。バイオマーカーはまた、他のタイプの癌における生存とも関連しうる。
[000147]複数のバイオマーカーの発現の測定
[000148]1つの方法は、癌対象由来の細胞試料における複数の生存関連バイオマーカーの示差発現を測定する工程を含む。次いで、各癌または遺伝子発現シグネチャーにおける示差発現パターンを用いて、癌生存の予測となるリスクスコアを生成してもよい。バイオマーカーの発現レベルは、癌の他の対象に比較して、対象において、増加してもまたは減少してもよい。バイオマーカーの発現は、短期生存者におけるより長期生存者においてより高い可能性もある。あるいは、バイオマーカーの発現は、長期生存者におけるより短期生存者においてより高い可能性もある。
[000149]当該技術分野に周知の多様な技術によって、複数のバイオマーカーの示差発現を測定してもよい。バイオマーカーのメッセンジャーRNA(mRNA)のレベルの定量化を用いて、バイオマーカーの発現を測定してもよい。あるいは、バイオマーカーのタンパク質産物レベルの定量化を用いて、バイオマーカーの発現を測定してもよい。以下に論じる方法に関するさらなる情報は、Ausubelら, (2003) Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, ニューヨーク州ニューヨーク、またはSambrookら(1989) .Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバーに見られうる。当業者は、どのパラメーターを操作して、関心対象のmRNAまたはタンパク質の検出を最適にしうるかを知っているであろう。
[000150]核酸マイクロアレイを用いて、複数のバイオマーカーの示差発現を定量化してもよい。Affymetrix GeneChip(登録商標)技術(カリフォルニア州サンタクララ)またはIncyte(カリフォルニア州フレモント)のマイクロアレイ系を用いることによるなど、製造者のプロトコルにしたがって、商業的に入手可能な装置を用いて、マイクロアレイ分析を行ってもよい。典型的には、マイクロチップ支持体上に、一本鎖核酸(例えばcDNAまたはオリゴヌクレオチド)をプレーティングするかまたはアレイ化する。次いで、アレイ化配列を、関心対象の細胞由来の特異的核酸プローブとハイブリダイズさせる。関心対象の細胞から抽出したRNAを逆転写することによって、蛍光標識デオキシヌクレオチドの取り込みを通じて、蛍光標識cDNAプローブを生成してもよい。あるいは、in vitro転写によってRNAを増幅し、そしてビオチンなどのマーカーで標識してもよい。次いで、標識プローブを、非常にストリンジェントな条件下で、マイクロチップ上の固定核酸にハイブリダイズさせる。ストリンジェントに洗浄して、非特異的に結合したプローブを取り除いた後、共焦点レーザー顕微鏡によって、またはCCDカメラなどの別の検出法によって、チップをスキャンする。ハイブリダイゼーションファイルにおける生の蛍光強度データを、一般的に、ロバストマルチチップ平均(RMA)アルゴリズムでプレプロセシングして、発現値を生じる。
[000151]また、定量的リアルタイムPCR(QRT−PCR)を用いて、複数のバイオマーカーの示差発現を測定してもよい。QRT−PCRにおいて、一般的に、RNAテンプレートをcDNAに逆転写し、これを次いで、PCR反応を介して増幅する。PCR産物の量をリアルタイムで周期ごとに追跡し、これによって、mRNAの最初の濃度を決定することが可能になる。PCR産物量を測定するため、二本鎖DNAに結合するSYBRグリーンなどの蛍光色素の存在下で、反応を行ってもよい。また、増幅しようとするDNAに特異的な蛍光レポータープローブを用いて、反応を行ってもよい。蛍光レポータープローブの限定されない例は、TagMan(登録商標)プローブ(Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティ)である。蛍光レポータープローブは、PCR伸長サイクル中に消光剤が取り除かれると蛍光を発する。各々、異なるフルオロフォアを含有する多数の遺伝子特異的レポータープローブを用いることによって、多重QRT−PCRを行ってもよい。各サイクル中の蛍光値を記録し、そしてこの値は、増幅反応において、その時点までに増幅した産物の量に相当する。エラーを最小限にし、そしていかなる試料間変動も減少させるため、QRT−PCRは、典型的には、参照標準を用いて実行される。理想的な参照標準は、異なる組織間で一定レベルで発現され、そして実験処理によって影響を受けない。適切な参照標準には、限定されるわけではないが、ハウスキーピング遺伝子、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)およびベータ−アクチンに関するmRNAが含まれる。当該技術分野に周知の計算を用いて、元来の試料中のmRNAレベルまたは各バイオマーカーの発現の倍変化を決定してもよい。
[000152]また、免疫組織化学染色を用いて、複数のバイオマーカーの示差発現を測定してもよい。この方法は、特異的抗体とタンパク質の相互作用によって、組織切片の細胞において、タンパク質の位置決定を可能にする。このため、ホルムアルデヒドまたは別の適切な固定液中で、組織を固定し、ワックスまたはプラスチック中に包埋し、そしてマイクロトームを用いて、薄い切片(約0.1mmから数mm厚)を切り取る。あるいは、組織を凍結して、そしてクリオスタットを用いて、薄い切片を切り取ってもよい。組織切片を固体支持体上でアレイ化し、そして固定してもよい(すなわち組織マイクロアレイ)。組織切片を、関心対象の抗原に対する一次抗体とインキュベーションし、その後、洗浄して未結合抗体を取り除く。一次抗体を検出系にカップリングさせてもよいし、または一次抗体を、検出系にカップリングしている二次抗体で検出してもよい。検出系はフルオロフォアであってもよいし、あるいは基質を比色、蛍光、または化学発光産物に変換させうる、西洋ワサビ(horseradish)ペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼなどの酵素であってもよい。一般的に、染色組織切片を、顕微鏡下でスキャンする。癌対象由来の組織試料は異種性でありうるため、すなわちいくつかの細胞は正常であり、そして他の細胞が癌性でありうるため、組織中の陽性染色細胞の割合を決定してもよい。この測定を、染色強度の定量化とともに用いて、バイオマーカーの発現値を生じてもよい。
[000153]酵素連結免疫吸着アッセイ、またはELISAを用いて、複数のバイオマーカーの示差発現を測定してもよい。ELISAアッセイには多くの変形がある。すべては、固体表面、一般的にはマイクロタイタープレート上に、抗原または抗体を固定することに基づく。元来のELISA法は、関心対象のバイオマーカータンパク質を含有する試料を調製し、マイクロタイタープレートのウェルを試料でコーティングし、各ウェルを、特定の抗原を認識する一次抗体とインキュベーションし、未結合抗体を洗い流し、そして次いで、抗体−抗原複合体を検出する工程を含む。抗体−抗体複合体を直接検出してもよい。このためには、一次抗体を検出系、例えば検出可能産物を生じる酵素にコンジュゲート化させる。抗体−抗体複合体を間接的に検出してもよい。このためには、上記のように、検出系にコンジュゲート化された二次抗体によって、一次抗体を検出する。次いで、マイクロタイタープレートをスキャンして、そして当該技術分野に知られる手段を用いて、生強度データを発現値に変換してもよい。
[000154]また、抗体マイクロアレイを用いて、複数のバイオマーカーの示差発現を測定してもよい。このためには、複数の抗体をアレイ化し、そしてマイクロアレイまたはバイオチップの表面に共有結合させる。一般的に、関心対象のバイオマーカータンパク質を含有するタンパク質抽出物を蛍光色素で標識する。標識バイオマーカータンパク質を抗体マイクロアレイとインキュベーションする。洗浄して未結合タンパク質を取り除いた後、マイクロアレイをスキャンする。当該技術分野に知られる手段を用いて、生蛍光強度データを発現値に変換してもよい。
[000155]また、Luminex多重化微小球体を用いて、複数のバイオマーカーの示差発現を測定してもよい。これらの顕微鏡ポリスチレンビーズは、蛍光色素で内部色コード化され、各ビーズはユニークなスペクトルのシグネチャーを有する(100まである)。同じシグネチャーを持つビーズは、関心対象のターゲットに結合する特異的オリゴヌクレオチドまたは特異的抗体でタグ化されている(すなわち、それぞれバイオマーカーmRNAまたはタンパク質)。ターゲットもまた、次に、蛍光レポーターでタグ化される。したがって、色の2つの供給源があり、一方はビーズ由来であり、そしてもう一方はターゲット上のレポーター分子由来である。次いで、100までが1つのウェル中で検出可能なターゲットを含有する試料と、ビーズをインキュベーションする。ビーズの大きさ/表面積が小さく、そしてビーズがターゲットに三次元曝露されるため、結合反応中、ほぼ溶液相動力学が可能になる。レーザーが、各ビーズを同定する内部色素を励起するフローサイトメトリーに基づいて、先端技術流体工学によって、捕捉されたターゲットを検出し、そしてまた、アッセイ中に任意のレポーター色素を捕捉する。当該技術分野に知られる手段を用いて、獲得ファイル由来のデータを発現値に変換してもよい。
[000156]また、in situハイブリダイゼーションを用いて、複数のバイオマーカーの示差的発現を測定してもよい。この方法は、組織切片の細胞における関心対象のmRNAの位置決定を可能にする。この方法のため、組織を凍結するか、または固定してそして包埋し、そして次いで薄い切片を切り取って、これをアレイ化し、そして固体表面上に固定してもよい。組織切片を、関心対象のmRNAとハイブリダイズするであろう標識アンチセンスプローブとインキュベーションする。ハイブリダイゼーションおよび洗浄工程は、一般的に、非常にストリンジェントな条件下で行われる。プローブをフルオロフォアまたは小さいタグ(ビオチンまたはジゴキシゲニンなど)で標識して、標識ハイブリッドを検出しそして顕微鏡下で視覚化することが可能であるように、該ハイブリッドを別のタンパク質または抗体によって検出してもよい。各アンチセンスプローブが識別可能な標識を有するならば、多数のmRNAを同時に検出することも可能である。一般的に、ハイブリダイズした組織アレイを、顕微鏡下でスキャンする。癌対象由来の組織試料は異種性でありうるため、すなわちいくつかの細胞は正常であり、そして他の細胞が癌性でありうるため、組織中の陽性染色細胞の割合を決定してもよい。この測定を、染色強度の定量化とともに用いて、バイオマーカーの発現値を生じてもよい。
[000157]癌対象由来の細胞試料において発現を測定するバイオマーカーの数は多様であってもよい。生存の予測されるスコアは、バイオマーカーの示差発現に基づくため、より多くのバイオマーカー発現を測定すると、より高い度合いの正確さが達成されるはずである。
[000158]癌対象由来の細胞試料の獲得
[000159]複数のバイオマーカーの発現を癌対象由来の細胞試料において測定する。癌のタイプおよび分類は多様でありうるし、そして多様であろう。癌は、早期癌、すなわち第I期または第II期であってもよいし、あるいは後期癌、すなわち第III期または第IV期であってもよい。
[000160]一般的に、生検または外科的切除によって、癌対象から細胞試料または組織試料が得られるであろう。生検のタイプは、癌の位置および性質に応じて多様でありうるし、そして多様であろう。針吸引生検によって、細胞試料、組織、または体液を取り出してもよい。これに関して、シリンジに取り付けた細い針を、皮膚を通じて、そして関心対象の臓器または組織内に挿入する。針は、典型的には、超音波またはコンピュータ断層撮影(CT)画像を用いて、関心対象の領域に導かれる。針が組織内に挿入されたならば、細胞または体液が針を通じて吸い込まれ、そしてシリンジ中に収集されるように、シリンジで真空を生成する。また、切開性またはコア生検によって、細胞または組織の試料を取り出してもよい。これに関して、関心対象の領域から、円錐形、筒型、またはごく少量の組織を取り出す。一般的に、CT画像、超音波、または内視鏡を用いて、このタイプの生検を導く。最後に、切除性生検または外科的切除によって、全癌病変を取り除いてもよい。
[000161]細胞試料または組織試料を癌対象から取り出したら、当業者に周知であり、そして標準的な分子生物学参考書、例えばAusubelら, (2003) Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, ニューヨーク州ニューヨークに開示される技術を用いて、RNAまたはタンパク質の単離のため、プロセシングしてもよい。また、組織試料を保存するかまたは迅速凍結して、そして後に使用するため、−80℃で保存してもよい。また、生検組織試料を、固定液、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、または酢酸/エタノールで固定してもよい。固定組織試料をワックス(パラフィン)またはプラスチック樹脂中に包埋してもよい。包埋組織試料(または凍結組織試料)を薄い切片に切り出してもよい。また、固定されたかまたはワックスに包埋された組織試料から、RNAまたはタンパク質を抽出してもよい。
[000162]癌対象は、一般的に哺乳動物対象であろう。哺乳動物には、霊長類、家畜動物、およびコンパニオン動物が含まれる。限定されない例には以下が含まれる:霊長類にはヒト、類人猿(apes)、サル(monkeys)、およびテナガザル(gibbons)が含まれてもよく;家畜動物には、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、シカおよびブタが含まれてもよく;コンパニオン動物には、イヌ、ネコ、ウサギ、およびげっ歯類(マウス、ラット、およびモルモットを含む)が含まれてもよい。例示的な態様において、対象はヒトである。
[000163]リスクスコアの生成
[000164]本発明のバイオマーカーは、癌生存に関連する。複数のこれらのバイオマーカーの発現の示差パターンを用いて、癌対象の生存転帰を予測してもよい。特定のバイオマーカーは、長期生存者において過剰発現される傾向があり、一方、他のバイオマーカーは、短期生存者において過剰発現される傾向がある。対象における複数のバイオマーカーの発現のユニークなパターン(すなわち発現シグネチャー)を用いて、生存リスクスコアを生成してもよい。高いリスクスコアを持つ対象は、外科的切除後、短い生存時間(<2年間)を有しうる。低いリスクスコアの対象は、切除後、より長い生存時間(>5年間)を有しうる。
[000165]複数のバイオマーカーの示差発現を測定するのに用いる技術に関わらず、各バイオマーカーの発現は、典型的には、発現値に変換されるであろう。次いで、これらの発現値を用いて、当該技術分野に周知の統計法を用い、癌対象に関して生存のリスクスコアを計算するであろう。主成分分析を用いて、リスクスコアを計算してもよい。また、単変量Cox回帰分析を用いて、リスクスコアを計算してもよい。1つの好ましい態様において、部分的Cox回帰分析を用いて、リスクスコアを計算してもよい。
[000166]部分的Cox回帰分析によって生じるスコアは2つの群に属する:1)正の値を有するもの;および2)負の値を有するもの。正の値を有するリスクスコアは、短期生存時間と関連し、そして負の値を有するリスクスコアは、長期生存時間と関連する。
[000167]本発明の方法の1つの態様において、早期癌対象から、外科的切除によって、組織試料を取り出してもよい。組織試料をRNAlater中に保存してもよいし、またはRNAを後日単離可能であるように、瞬間凍結してもよい。RNAをQRT−PCRのテンプレートとして用いてもよく、この中で、複数のバイオマーカーの発現を分析し、そして発現データを用い、部分的Cox回帰分類法を用いてリスクスコアを得る。リスクスコアを用いて、対象が短期または長期癌生存者であるかどうかを予測してもよい。
[000168]この方法の特に好ましい態様において、早期癌対象から組織試料を収集してもよい。組織からRNAを単離して、そしてこれを用いて、核酸マイクロアレイ分析用の標識プローブを生成してもよい。マイクロアレイ分析から生成した発現値を用い、部分的Cox回帰分類法を用いて、リスクスコアを得てもよい。リスクスコアを用いて、対象が短期または長期癌生存者であるかどうかを予測してもよい。
[000169]癌対象の予後を決定するための方法
[000170]本発明の別の側面は、癌対象の予後を決定するための方法を提供する。該方法は、対象からの細胞試料における1以上のバイオマーカーの示差発現を測定する工程を含む。各バイオマーカーの示差発現を発現値に変換し、そして発現値を用いて、上記に詳述するような統計法を用い、その対象に関するスコアを得る。正の値を有するスコアは、劣った予後または劣った転帰の指標となり、一方、負の値を有するスコアは、優れた予後または優れた転帰の指標となる。
[000171]本発明の方法の1つの態様において、核酸マイクロアレイ分析によって、早期癌対象のための発現シグネチャーを生成し、そして発現値を用いて、スコアを計算する。計算されたスコアを用いて、対象が、癌転帰の優れた予後または劣った予後を有するかどうかを予測してもよい。
[000172]癌対象のための治療を選択するための方法
[000173]本発明のさらなる側面は、癌対象のための有効な治療を選択するための方法を提供する。対象に関するリスクスコアが計算されたら、この情報を用いて、対象のための治療の適切なコースに関して決定してもよい。正のリスクスコア(すなわち短期生存時間または劣った予後)を有する対象は、積極的療法措置から利益を得ることも可能である。積極的療法措置は、単数または複数の適切な化学療法剤を含んでもよい。積極的療法措置はまた、放射線療法を含んでもよい。治療措置は、癌のタイプおよび病期に応じて、多様でありうるし、そして多様であろう。負のリスクスコア(すなわち長期生存時間または優れた予後)を有する対象は、再発性癌にかかる可能性が低いため、さらなる治療は必要でない可能性もある。
[000174]1以上の剤がマイクロRNAの発現または活性を阻害するか、マイクロRNAの1以上のターゲット遺伝子の発現を阻害するか、またはその組み合わせを阻害し、それによって細胞の増殖を阻害する条件下で、細胞を維持する。
[000175]癌細胞の増殖を阻害するのに使用可能な剤を同定する方法もまた提供する。該方法は、1以上のマイクロRNAを、評価しようとする剤と接触させるか;1以上のターゲット遺伝子を、評価しようとする剤と接触させるか;またはその組み合わせを接触させる工程を含む。マイクロRNAの発現が剤の存在下で阻害されるか;またはターゲット遺伝子の発現が剤の存在下で増進されるか、または剤の存在下でその組み合わせが起こる場合、該剤を用いて、濾胞性甲状腺癌細胞の増殖を阻害することも可能である。
[000176]療法剤を同定する方法
[000177]CRCを治療するのに使用可能な剤を同定する方法もまた本明細書に提供する。該方法は、1以上のマイクロRNAを、評価しようとする剤と接触させるか;1以上のマイクロRNAの1以上のターゲット遺伝子を接触させるか;またはその組み合わせを接触させる工程を含む。マイクロRNAの発現が剤の存在下で阻害されるか;またはターゲット遺伝子の発現が剤の存在下で増進されるか、または剤の存在下でその組み合わせが起こる場合、該剤を用いて、濾胞性甲状腺癌細胞の増殖を阻害することも可能である。
[000178]本明細書に提供する方法で評価可能な剤には、miRNA阻害剤が含まれる。こうした剤の他の例には、薬学的剤、薬剤、化学的化合物、イオン性化合物、有機化合物、補因子を含む有機リガンド、糖類、組換えおよび合成ペプチド、タンパク質、ペプトイド、遺伝子を含む核酸配列、核酸産物、ならびに抗体およびその抗原結合性断片が含まれる。本明細書の方法にしたがって、こうした剤を個々にスクリーニングしてもよいし、または1以上の化合物(単数または複数)を同時に試験してもよい。コンビナトリアル化学合成または他の方法によって産生された化合物(例えば有機化合物、組換えまたは合成ペプチド、ペプトイド、核酸)の巨大コンビナトリアルライブラリーを試験してもよい。コンビナトリアルライブラリーから選択される化合物がユニークなタグを所持する場合、クロマトグラフィー法による個々の化合物の同定が可能である。本明細書の方法にしたがって、化学的ライブラリー、微生物ブロスおよびファージディスプレイライブラリーもまた試験して(スクリーニングして)もよい。
[000179]癌対象の生存または予後を予測するためのキット
[000180]本発明のさらなる側面は、癌対象の生存または予後を予測するためのキットを提供する。キットは、1以上のバイオマーカーの示差発現を測定するための複数の剤、発現データを発現値に変換するための手段、および発現値を分析して生存または予後を予測するスコアを生成するための手段を含む。バイオマーカー発現を測定するためのキットにおける剤は、バイオマーカーのmRNAに相補的なポリヌクレオチドアレイを含んでもよい。別の態様において、バイオマーカー発現を測定するためのキット中の剤は、複数のPCRプローブおよび/またはQRT−PCRのためのプライマーを含んでもよい。
[000181]本発明はまた、1)1以上のマイクロRNA;2)1以上のマイクロRNAの1以上のターゲット遺伝子;3)ターゲット遺伝子によって発現される1以上のポリペプチドまたは4)その組み合わせを検出するための1以上の試薬を含む、個体のCRCを検出するためのキットにも関する。例えば、キットは、ハイブリダイゼーションプローブ、制限酵素(例えばRFLP分析用)、アレル特異的オリゴヌクレオチド、およびターゲット遺伝子によって発現されるポリペプチドに結合する抗体を含んでもよい。
[000182]特定の態様において、1以上のマイクロRNAの領域に実質的にまたは完全に相補的である隣接ヌクレオチド配列を少なくとも含む。1つの態様において、キット中の1以上の試薬は標識され、そしてしたがって、キットは、標識を検出可能な剤をさらに含んでもよい。キットは、キットの構成要素を用いてCRCを検出するための説明書をさらに含んでもよい。
[000183]核酸アレイ
[000184]本発明の別の側面は、本発明のバイオマーカーのmRNAにハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む核酸アレイを提供する。一般的に、核酸アレイは、少なくとも1つのアドレスを有する支持体で構成される。核酸アレイは、当該技術分野に一般的に知られ、そしてさらに、核酸アレイを含む支持体もまた、当該技術分野に周知である。支持体材料の限定されない例には、ガラスおよびプラスチックが含まれる。支持体は、スライドまたはチップ(すなわち四辺形型)のような形状であってもよいし、あるいは支持体はウェルのような形状であってもよい。
[000185]本発明のアレイは、その上に、本発明のバイオマーカーのmRNAにハイブリダイズ可能な核酸を配置する、少なくとも1つのアドレスで構成される。1つの態様において、アレイは、各アドレスが、その上に、肺癌対象の生存を予測するためのバイオマーカーのmRNAにハイブリダイズ可能な核酸を配置する、多数のアドレスで構成される。アレイはまた、その上に、対照核酸を配置する1以上のアドレスも含んでもよい。対照は、内部対照(すなわちアレイ自体に関する対照)、および/または外部対照(すなわちアレイに適用される試料に関する対照)であってもよい。アレイは、典型的には、約1〜約10,000アドレスの間で構成される。1つの態様において、アレイは、約10〜約8,000アドレスで構成される。別の態様において、アレイは、500を超えないアドレスで構成される。別の態様において、アレイは500より少なくないアドレスで構成される。核酸アレイを用いる方法が当該技術分野で周知である。
[000186]使用法
[000187]1つの側面において、本明細書において、対象がMMおよび/またはMGUSを有するかまたは該疾患にかかるリスクを有するかどうかを診断する方法であって、対象由来の試験試料において、少なくとも1つの遺伝子産物のレベルを測定し、そして対照試料中の対応する遺伝子産物のレベルに、試験試料中の遺伝子産物のレベルを比較する工程を含む、前記方法を提供する。本明細書において、「対象」は、MMおよび/またはMGUSを有するかまたは有すると推測されるいかなる哺乳動物であってもよい。特定の態様において、対象は、MMおよび/またはMGUSを有するかまたは有すると推測されるヒトである。
[000188]対象から得た生物学的試料の細胞において、少なくとも1つの遺伝子産物のレベルを測定してもよい。例えば、慣用的な試料採取技術によって、関連するMMおよび/またはMGUSを有すると推測される対象から、組織試料を取り出してもよい。別の例において、血液試料を対象から取り出してもよく、そして標準技術によって、DNA抽出のため白血球を単離してもよい。好ましくは、放射療法、化学療法または他の療法的治療の開始前に、血液または組織試料を対象から得る。影響を受けていない対象組織から、正常ヒト個体または正常個体集団から、あるいは対象試料中の大部分の細胞に対応する培養細胞から、対応する対照組織または血液試料を得てもよい。次いで、対象試料由来の細胞において所定の遺伝子から産生される遺伝子産物のレベルを、対照試料の細胞由来の対応する遺伝子産物レベルに比較可能であるように、対照組織または血液試料を、対象由来の試料とともにプロセシングしてもよい。
[000189]対照試料中の対応する遺伝子産物レベルに比較した、対象から得た試料中の遺伝子産物レベルにおける改変(すなわち増加または減少)は、対象におけるMMおよび/またはMGUSの存在の指標となる。1つの態様において、試験試料中の少なくとも1つの遺伝子産物のレベルは、対照試料中の対応する遺伝子産物のレベルより大きい(すなわち遺伝子産物の発現が「上方制御されている」)。本明細書において、対象由来の細胞または組織試料中の遺伝子産物量が、対照細胞または組織試料中の同じ遺伝子産物の量よりも多い場合、遺伝子産物の発現は「上方制御されている」。別の態様において、試験試料中の少なくとも1つの遺伝子産物のレベルは、対照試料中の対応する遺伝子産物のレベルより小さい(すなわち遺伝子産物の発現が「下方制御されている」)。本明細書において、対象由来の細胞または組織試料中の遺伝子から産生される遺伝子産物量が、対照細胞または組織試料中の同じ遺伝子から産生される量よりも少ない場合、遺伝子発現は「下方制御されている」。1以上のRNA発現標準に関して、対照および正常試料中の相対遺伝子発現を決定してもよい。標準は、例えば、0遺伝子発現レベル、標準細胞株における遺伝子発現レベル、または正常ヒト対照集団に関して先に得られた遺伝子発現の平均レベルを含んでもよい。
[000190]生物学的試料中のRNA発現レベルを検出するのに適した任意の技術を用いて、試料中の遺伝子産物レベルを測定してもよい。生物学的試料由来の細胞中のRNA発現レベルを決定するのに適した技術(例えばノーザンブロット分析、RT−PCR、in situハイブリダイゼーション)が当業者に周知である。特定の態様において、ノーザンブロット分析を用いて、少なくとも1つの遺伝子産物レベルを検出する。例えば、核酸抽出緩衝液の存在下でのホモジナイズ後、遠心分離によって、細胞から総細胞RNAを精製してもよい。核酸を沈殿させ、そしてDNアーゼでの処理および沈殿によって、DNAを取り除く。次いで、標準技術にしたがって、アガロースゲル上のゲル電気泳動によって、RNA分子を分離し、そしてニトロセルロースフィルターにトランスファーする。次いで、加熱によってフィルター上にRNAを固定する。問題のRNAに相補的な、適切に標識されたDNAまたはRNAプローブを用いて、特定のRNAの検出および定量化を達成する。例えば、その全開示が本明細書に援用される、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, J. Sambrookら監修, 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989, 第7章を参照されたい。
[000191]所定の遺伝子産物の核酸配列から、所定の遺伝子産物のノーザンブロットハイブリダイゼーションに適したプローブを産生してもよい。標識DNAおよびRNAプローブの調製のための方法、ならびにターゲットヌクレオチド配列に対するそのハイブリダイゼーションのための条件は、その開示が本明細書に援用される、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, J. Sambrookら監修, 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989, 第10章および第11章に記載される。
[000192]例えば、核酸プローブを、例えば放射性核種、例えばH、32P、33P、14C、または35S;重金属;あるいは標識リガンドの特異的結合対メンバーとして機能可能なリガンド(例えばビオチン、アビジンまたは抗体)、蛍光分子、化学発光分子、酵素等で標識してもよい。
[000193]その全開示が本明細書に援用される、Rigbyら(1977), J. Mol. Biol. 113:237−251のニックトランスレーション法によるか、またはFienbergら(1983), Anal. Biochem. 132:6−13のランダムプライミング法によるか、いずれかで、プローブを高い比活性に標識することも可能である。後者の方法は、一本鎖DNAからまたはRNAテンプレートから、高い比活性の32P標識プローブを合成するために選択される方法である。例えば、ニックトランスレーション法にしたがって、あらかじめ存在するヌクレオチドを非常に放射性であるヌクレオチドで置換することによって、10cpm/マイクログラムをはるかに超える比活性を持つ32P標識核酸プローブを調製することも可能である。次いで、写真フィルムに、ハイブリダイズしたフィルターを曝露することによって、ハイブリダイゼーションのオートラジオグラフィー検出を行ってもよい。ハイブリダイズしたフィルターに曝露された写真フィルムの濃度測定スキャンは、遺伝子転写物レベルの正確な測定を提供する。別のアプローチを用いて、Amersham Biosciences、ニュージャージー州ピスカタウェイから入手可能なMolecular Dynamics 400−B 2D Phosphorimagerなどのコンピュータ画像化系によって、遺伝子転写物レベルを定量化してもよい。
[000194]DNAまたはRNAプローブの放射性核種標識が現実的ではない場合、ランダムプライマー法を用いて、類似体、例えばdTTP類似体、5−(N−(N−ビオチニル−イプシロン−アミノカプロイル)−3−アミノアリル)デオキシウリジン三リン酸をプローブ分子内に取り込んでもよい。蛍光色素または色反応を生じる酵素にカップリングされた、ビオチン結合タンパク質、例えばアビジン、ストレプトアビジン、ならびに抗体(例えば抗ビオチン抗体)と反応させることによって、ビオチニル化プローブオリゴヌクレオチドを検出してもよい。
[000195]ノーザンおよび他のRNAハイブリダイゼーション技術に加えて、in situハイブリダイゼーション技術を用いて、RNA転写物レベルの決定を達成してもよい。この技術は、ノーザンブロッティング技術よりも少ない細胞しか必要とせず、そして全細胞を顕微鏡カバースリップ上に沈着させ、そして放射能または別の方式で標識した核酸(例えばcDNAまたはRNA)プローブを含有する溶液で、細胞の核酸内容物を探査する工程を含む。この技術は、対象由来の組織生検試料を分析するのに特によく適している。in situハイブリダイゼーション技術の実施は、その全開示が本明細書に援用される米国特許第5,427,916号により詳細に記載される。所定の遺伝子産物のin situハイブリダイゼーションに適したプローブを核酸配列から産生してもよい。
[000196]また、遺伝子転写物を逆転写し、その後、ポリメラーゼ連鎖反応によって逆転写された転写物を増幅することによって(RT−PCR)、細胞中の遺伝子転写物の相対数を決定してもよい。内部標準、例えば同じ試料中に存在する「ハウスキーピング」遺伝子由来のmRNAレベルと比較して、遺伝子転写物レベルを定量化してもよい。内部標準として使用するのに適した「ハウスキーピング」遺伝子には、例えば、ミオシンまたはグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(G3PDH)が含まれる。定量的RT−PCRのための方法およびその変形が、当該技術分野の技術範囲内である。
[000197]いくつかの例において、試料中の複数の異なる遺伝子産物の発現レベルを同時に決定することが望ましい可能性もある。他の例において、癌と相関するすべての既知の遺伝子の転写物発現レベルを決定することが望ましい可能性もある。数百の遺伝子の癌特異的発現レベルの評価は、時間が掛かり、そして多量の総RNA(各ノーザンブロットのため、少なくとも20μg)および放射性同位体を必要とするオートラジオグラフィー技術を必要とする。
[000198]これらの制限を克服するため、遺伝子または遺伝子産物セットに特異的なプローブオリゴデオキシヌクレオチドセットを含有する、マイクロチップ形式のオリゴライブラリー(すなわちマイクロアレイ)を構築してもよい。こうしたマイクロアレイを用いると、RNAを逆転写して、ターゲットオリゴデオキシヌクレオチドセットを生成して、そしてこれらをマイクロアレイ上のプローブオリゴデオキシヌクレオチドにハイブリダイズさせて、ハイブリダイゼーションプロフィールまたは発現プロフィールを生成することによって、生物学的試料中の多数のマイクロRNAの発現レベルを決定可能である。次いで、試験試料のハイブリダイゼーションプロフィールを、対照試料のものに比較して、どのマイクロRNAが改変された発現レベルを有するかを決定してもよい。本明細書において、「プローブオリゴヌクレオチド」または「プローブオリゴデオキシヌクレオチド」は、ターゲットオリゴヌクレオチドにハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドを指す。「ターゲットオリゴヌクレオチド」または「ターゲットオリゴデオキシヌクレオチド」は、(例えばハイブリダイゼーションを介して)検出されるはずの分子を指す。「特異的プローブオリゴヌクレオチド」または「遺伝子産物に特異的なプローブオリゴヌクレオチド」によって、特定の遺伝子産物に、または特定の遺伝子産物の逆転写物にハイブリダイズするように選択された配列を有するプローブオリゴヌクレオチドを意味する。
[000199]特定の試料の「発現プロフィール」または「ハイブリダイゼーションプロフィール」は、本質的に、試料の状態のフィンガープリントであり;2つの状態が、同様に発現される何らかの特定の遺伝子を有する可能性もある一方、いくつかの遺伝子を同時に評価すると、細胞状態にユニークな遺伝子発現プロフィールの生成が可能になる。すなわち、正常細胞をMMおよび/またはMGUS細胞から区別することも可能であり、そしてMMおよび/またはMGUS細胞内で、異なる予後状態(例えば、優れたまたは劣った長期生存見込み)を決定してもよい。異なる状態のMMおよび/またはMGUS細胞の発現プロフィールを比較することによって、これらの状態各々において、どの遺伝子が重要かに関する情報(遺伝子の上方制御および下方制御両方を含む)を得る。MMおよび/またはMGUS細胞または正常細胞において示差的に発現される配列、ならびに異なる予後転帰を生じる示差発現の同定によって、いくつかの方法でのこの情報の使用が可能になる。例えば、特定の治療措置を評価してもよい(例えば化学療法薬剤が作用して、特定の患者において長期予後が改善するかどうかを決定するため)。同様に、患者試料と既知の発現プロフィールを比較することによって、診断を行うかまたは確認してもよい。さらに、これらの遺伝子発現プロフィール(または個々の遺伝子)は、MMおよび/またはMGUS発現プロフィールを抑制するか、または劣った予後プロフィールをよりよい予後プロフィールに変換する薬剤候補のスクリーニングを可能にする。
[000200]したがって、本発明は、対象がMMおよび/またはMGUSを有するかまたは該疾患にかかるリスクを有するかどうかを診断する方法であって、対象から得た試験試料由来のRNAを逆転写して、ターゲットオリゴデオキシヌクレオチドセットを提供し、該ターゲットオリゴデオキシヌクレオチドを、miRNA特異的プローブオリゴヌクレオチドを含むマイクロアレイにハイブリダイズさせて、試験試料に関するハイブリダイゼーションプロフィールを提供し、そして対照試料から生成したハイブリダイゼーションプロフィールに、試験試料のハイブリダイゼーションプロフィールを比較する工程を含む、ここで、少なくとも1つのmiRNAシグナルにおける改変は、対象がMMおよび/またはMGUSを有するかまたは該疾患にかかるリスクを有するかいずれかである指標となる、前記方法を提供する。
[000201]本発明はまた、1以上の予後マーカーと関連するMMおよび/またはMGUSを診断する方法であって、対象由来のMMおよび/またはMGUS試験試料において、少なくとも1つの遺伝子産物レベルを測定し、そしてMMおよび/またはMGUS試験試料における少なくとも1つの遺伝子産物のレベルを、対照試料中の対応する遺伝子産物のレベルに比較する工程を含む、前記方法も提供する。対照試料に比較した試験試料中の少なくとも1つの遺伝子産物のシグナルにおける改変(例えば増加、減少)は、対象が1以上の予後マーカーと関連するMMおよび/またはMGUSを有するかまたは該疾患にかかるリスクを有するかいずれかである指標となる。
[000202]MMおよび/またはMGUSは、不都合な(すなわち負の)予後に関連するマーカーまたは優れた(すなわち正の)予後に関連するマーカーを含む、1以上の予後マーカーまたは特徴と関連しうる。特定の態様において、本明細書記載の方法を用いて診断されるMMおよび/またはMGUSは、1以上の不都合な予後特徴と関連する。
[000203]その発現が、これらの予後マーカー各々と関連するMMおよび/またはMGUS細胞において改変されている、特定のマイクロRNAを本明細書に記載する。1つの態様において、対象から得た試験試料由来のRNAを逆転写して、ターゲットオリゴデオキシヌクレオチドセットを提供し、該ターゲットオリゴデオキシヌクレオチドを、miRNA特異的プローブオリゴヌクレオチドを含むマイクロアレイにハイブリダイズさせて、試験試料に関するハイブリダイゼーションプロフィールを提供し、そして対照試料から生成したハイブリダイゼーションプロフィールに、試験試料のハイブリダイゼーションプロフィールを比較することによって、少なくとも1つの遺伝子産物レベルを測定する。
[000204]いかなる1つの理論によって束縛されることも望ましくないが、細胞における1以上の遺伝子産物レベルにおける改変は、MMおよび/またはMGUSの形成につながりうる、これらの遺伝子産物に対する1以上の意図されるターゲットの制御解除を生じうると考えられる。したがって、(例えばMMおよび/またはMGUS細胞において上方制御される遺伝子産物レベルを減少させることによって、癌細胞において下方制御される遺伝子産物レベルを増加させることによって)遺伝子産物レベルを改変すると、MMおよび/またはMGUS治療に成功する可能性もある。MMおよび/またはMGUS細胞において制御解除される遺伝子産物に関する推定上の遺伝子ターゲットの例を本明細書に記載する。
[000205]したがって、本発明は、対象においてMMおよび/またはMGUSを治療する方法であって、少なくとも1つの遺伝子産物を、対象の癌細胞中で制御解除する(例えば下方制御する、上方制御する)、前記方法を含む。MMおよび/またはMGUS細胞において、少なくとも1つの単離遺伝子産物が下方制御されている場合、方法は、対象において癌細胞の増殖が阻害されるように、少なくとも1つの単離遺伝子産物の有効量を投与する工程を含む。癌細胞において、少なくとも1つの単離遺伝子産物が上方制御されている場合、方法は、MMおよび/またはMGUS細胞の増殖が阻害されるように、本明細書において、遺伝子発現阻害化合物と称される、少なくとも1つの遺伝子の発現を阻害するための少なくとも1つの化合物の有効量を投与する工程を含む。
[000206]用語「治療する」、「治療すること」および「治療」は、本明細書において、疾患症状の開始を防止するかまたは遅延し、そして/または疾患または状態の症状の重症度または頻度を減少させることを含めて、疾患または状態、例えばMMおよび/またはMGUSと関連する症状を軽減させることを指す。用語「対象」および「個体」は、本明細書において、動物、例えば哺乳動物を含むと定義され、限定されるわけではないが、霊長類、ウシ(cows)、ヒツジ(sheep)、ヤギ(goats)、ウマ(horses)、イヌ(dogs)、ネコ(cats)、ウサギ(rabbits)、モルモット(guinea pigs)、ラット(rats)、マウス(mice)、あるいは他のウシ亜科(bovine)、ヒツジ(ovine)、ウマ科(equine)、イヌ科(canine)、ネコ科(feline)、げっ歯類(rodent)、またはネズミ科(murine)種を含む動物が含まれる。好ましい態様において、動物はヒトである。
[000207]本明細書において、単離遺伝子産物の「有効量」は、MMおよび/またはMGUS Lを患う対象において、癌細胞の増殖を阻害するのに十分な量である。当業者は、対象の大きさおよび体重;疾患浸透の度合い;対象の年齢、健康状態および性別;投与経路;ならびに投与が局所的であるかまたは全身性であるかなどの要因を考慮することによって、所定の対象に投与すべき遺伝子産物の有効量を容易に決定可能である。
[000208]例えば、単離遺伝子産物の有効量は、治療しようとする対象のおよそのまたは概算される体重に基づいてもよい。好ましくは、本明細書に記載するように、こうした有効量を非経口的にまたは経腸的に投与する。例えば、対象に投与される単離遺伝子産物の有効量は、約5〜3000マイクログラム/kg体重、約700〜1000マイクログラム/kg体重の範囲であってもよいし、または約1000マイクログラム/kg体重を超えてもよい。
[000209]当業者はまた、所定の対象に単離遺伝子産物を投与するための適切な投薬措置を容易に決定可能である。例えば、遺伝子産物を対象に1回投与してもよい(例えば単回注射または沈着として)。あるいは、約3〜約28日間、より詳細には約7〜約10日間の期間、遺伝子産物を対象に毎日1回または2回投与してもよい。特定の投薬措置において、遺伝子産物を1日1回、7日間投与する。投薬措置が多数の投与を含む場合、対象に投与される遺伝子産物の有効量は、全投薬措置に渡って投与される遺伝子産物総量を含みうると理解される。
[000210]本明細書において、「単離」遺伝子産物は、合成されたか、あるいは人間の介入を通じて、天然状態から改変されたかまたは取り除かれたものである。例えば、合成遺伝子産物、あるいは天然状態で同時に存在する物質から部分的にまたは完全に分離された遺伝子産物は、「単離された」と見なされる。単離された遺伝子産物は、実質的に精製された形で存在してもよいし、あるいは遺伝子産物が送達された細胞中に存在してもよい。したがって、細胞に意図的に送達されたか、または細胞中で意図的に発現されている遺伝子産物は、「単離」遺伝子産物と見なされる。前駆体分子から細胞内で産生される遺伝子産物もまた、「単離」分子と見なされる。
[000211]いくつかの標準技術を用いて、単離遺伝子産物を得てもよい。例えば、当該技術分野で知られる方法を用いて、遺伝子産物を化学的に合成するか、または組換え的に産生してもよい。1つの態様において、適切に保護されたリボヌクレオシドホスホロアミダイトおよび慣用的なDNA/RNA合成装置を用いて、遺伝子産物を化学的に合成する。合成RNA分子または合成試薬の商業的供給者には、例えば、Proligo(ドイツ・ハンブルグ)、Dharmacon Research(米国コロラド州ラファイエット)、Pierce Chemical(Perbio Scienceの一部、米国イリノイ州ロックフォード)、Glen Research(米国バージニア州スターリング)、ChemGenes(米国マサチューセッツ州アッシュランド)およびCruachem(英国グラスゴー)が含まれる。
[000212]あるいは、任意の適切なプロモーターを用いて、組換え環状または直鎖DNAプラスミドから、遺伝子産物を発現してもよい。プラスミドからRNAを発現するのに適したプロモーターには、例えばU6またはH1 RNA pol IIIプロモーター配列、またはサイトメガロウイルスプロモーターが含まれる。他の適切なプロモーターの選択は、当該技術分野の技術範囲内である。本発明の組換えプラスミドはまた、癌細胞において、遺伝子産物の発現のための誘導性または制御可能プロモーターも含んでもよい。
[000213]標準技術によって、培養細胞発現系より、組換えプラスミドから発現される遺伝子産物を単離してもよい。また、組換えプラスミドから発現される遺伝子産物を癌細胞に送達してもよく、そして癌細胞で直接発現させてもよい。遺伝子産物を癌細胞に送達するための組換えプラスミドの使用を以下により詳細に論じる。
[000214]遺伝子産物は、別個の組換えプラスミドから発現されてもよいし、または同じ組換えプラスミドから発現されてもよい。1つの態様において、遺伝子産物は、単一プラスミドからRNA前駆体分子として発現され、そして前駆体分子は、限定されるわけではないが、癌細胞内に現存するプロセシング系を含む、適切なプロセシング系によって、機能する遺伝子産物にプロセシングされる。他の適切なプロセシング系には、例えば、in vitroショウジョウバエ(Drosophila)細胞溶解物系(例えば、その全開示が本明細書に援用される、Tuschlらに対する米国公開特許出願第2002/0086356号に記載されるようなもの)および大腸菌(E. coli)RNアーゼIII系(例えば、その全開示が本明細書に援用される、Yangらに対する米国公開特許出願第2004/0014113号に記載されるようなもの)が含まれる。
[000215]遺伝子産物を発現するのに適したプラスミドの選択、プラスミド内に核酸配列を挿入して遺伝子産物を発現させるための方法、および関心対象の細胞に組換えプラスミドを送達する方法が、当該技術分野の技術範囲内である。例えば、その全開示が本明細書に援用される、Zengら(2002), Molecular Cell 9:1327−1333; Tuschl(2002), Nat. Biotechnol, 20:446−448; Brummelkampら(2002), Science 296:550−553; Miyagishiら(2002), Nat. Biotechnol. 20:497−500; Paddisonら(2002), Genes Dev. 16:948−958; Leeら(2002), Nat. Biotechnol. 20:500−505;およびPaulら(2002), Nat. Biotechnol. 20:505−508を参照されたい。
[000216]1つの態様において、遺伝子産物を発現するプラスミドは、CMV極初期プロモーターの調節下で、前駆体RNAをコードする配列を含む。本明細書において、プロモーターの「調節下にある」は、プロモーターが、遺伝子産物コード配列の転写を開始可能であるように、遺伝子産物をコードする核酸配列が、プロモーターの3’に位置することを意味する。
[000217]遺伝子産物はまた、組換えウイルスベクターから発現されてもよい。遺伝子産物を2つの別個の組換えウイルスベクターから、または同じウイルスベクターから発現させてもよい。組換えウイルスベクターから発現されるRNAを、標準技術によって、培養細胞発現系から単離しても、または癌細胞において直接発現させても、いずれでもよい。癌細胞に遺伝子産物を送達するための組換えウイルスベクターの使用を以下により詳細に論じる。
[000218]本発明の組換えウイルスベクターは、遺伝子産物をコードする配列およびRNA配列を発現するのに適した任意のプロモーターを含む。適切なプロモーターには、例えば、U6またはH1 RNA pol IIIプロモーター配列、またはサイトメガロウイルスプロモーターが含まれる。他の適切なプロモーターの選択は、当該技術分野の技術範囲内である。本発明の組換えウイルスベクターはまた、癌細胞において、遺伝子産物の発現のための誘導性または制御可能プロモーターも含んでもよい。
[000219]遺伝子産物のコード配列を受入可能な任意のウイルスベクターを用いてもよく;例えば、アデノウイルス(AV);アデノ随伴ウイルス(AAV);レトロウイルス(例えばレンチウイルス(LV)、ラブドウイルス、ネズミ白血病ウイルス);ヘルペスウイルス等由来のベクターがある。他のウイルス由来のエンベロープタンパク質または他の表面抗原で、ベクターを偽型化することによって、あるいは適切なように、異なるウイルスカプシドタンパク質を置換することによって、ウイルスベクターの指向性を修飾してもよい。
[000220]例えば、本発明のレンチウイルスベクターを、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、狂犬病、エボラ、モコラ(Mokola)等由来の表面タンパク質で偽型化してもよい。ベクターが、異なるカプシドタンパク質血清型を発現するように操作することによって、本発明のAAVベクターを作製して、異なる細胞をターゲティングしてもよい。例えば、血清型2ゲノム上に血清型2カプシドを発現するAAVベクターは、AAV 2/2と称される。AAV 2/2ベクター中のこの血清型2カプシド遺伝子を血清型5カプシド遺伝子で置換して、AAV 2/5ベクターを産生してもよい。異なるカプシドタンパク質血清型を発現するAAVベクターを構築するための技術は、当該技術分野の技術内である;例えば、その全開示が本明細書に援用される、Rabinowitz, J.E.ら(2002), J. Virol. 76:791−801を参照されたい。
[000221]本発明で使用するのに適した組換えウイルスベクターの選択、RNAを発現するための核酸配列をベクター内に挿入する方法、ウイルスベクターを関心対象の細胞に送達する方法、および発現されたRNA産物の回収は、当該技術分野の技術内である。例えば、その全開示が本明細書に援用される、Dornburg(1995), Gene Therap. 2:301−310; Eglitis(1988), Biotechniques 6:608−614; Miller(1990), Hum. Gene Therap. 1:5−14;およびAnderson(1998), Nature 392:25−30を参照されたい。
[000222]特定の態様において、適切なウイルスベクターは、AVおよびAAVに由来するものである。遺伝子産物を発現するのに適したAVベクター、組換えAVベクターを構築するための方法、およびベクターをターゲット細胞内に送達するための方法は、その全開示が本明細書に援用される、Xiaら(2002), Nat. Biotech. 20:1006−1010に記載される。遺伝子産物を発現するのに適したAAVベクター、組換えAAVベクターを構築するための方法、およびターゲット細胞内にベクターを送達するための方法は、その全開示が本明細書に援用される、Samulskiら(1987), J. Virol. 61:3096−3101; Fisherら(1996), J. Virol., 70:520−532; Samulskiら(1989), J. Virol. 63:3822−3826;米国特許第5,252,479号;米国特許第5,139,941号;国際特許出願第WO 94/13788号;および国際特許出願第WO 93/24641号に記載される。
[000223]特定の態様において、本発明の組換えAAVウイルスベクターは、ヒトU6 RNAプロモーターの調節下、ポリT終結配列と機能可能であるように連結された前駆体RNAをコードする核酸配列を含む。本明細書において、「ポリT終結配列と機能可能であるように連結された」は、センス鎖またはアンチセンス鎖をコードする核酸配列が、ポリT終結シグナルの5’方向にすぐ隣接することを意味する。ベクターからの配列の転写中、ポリT終結シグナルは、転写を終結させるよう働く。
[000224]また、本発明の治療法の他の態様において、発現を阻害する少なくとも1つの化合物の有効量を対象に投与してもよい。本明細書において、「遺伝子発現を阻害する」は、治療後の遺伝子産物の活性成熟型の産生が、治療前に産生される量より少ないことを意味する。当業者は、例えば、診断法に関して上に論じる、転写レベルを決定するための技術を用いて、発現が癌細胞において阻害されているかどうかを容易に決定可能である。阻害は遺伝子発現のレベルで(すなわち遺伝子産物をコードする遺伝子の転写を阻害することによって)またはプロセシングのレベルで(例えば、前駆体の成熟活性遺伝子産物へのプロセシングを阻害することによって)起こりうる。
[000225]本明細書において、発現を阻害する化合物の「有効量」は、癌関連染色体特徴と関連する癌を患う対象において、癌細胞の増殖を阻害するのに十分な量である。当業者は、対象の大きさおよび体重;疾患浸透の度合い;対象の年齢、健康状態および性別;投与経路;ならびに投与が局所的であるかまたは全身性であるかなどの要因を考慮することによって、所定の対象に投与すべき発現阻害化合物の有効量を容易に決定可能である。
[000226]例えば、発現阻害化合物の有効量は、治療しようとする対象のおよそのまたは概算される体重に基づいてもよい。本明細書に記載するように、こうした有効量を、とりわけ、非経口的にまたは経腸的に投与する。例えば、対象に投与される発現阻害化合物の有効量は、約5〜3000マイクログラム/kg体重、約700〜1000マイクログラム/kg体重の範囲であってもよいし、または約1000マイクログラム/kg体重を超えてもよい。
[000227]当業者はまた、所定の対象に発現を阻害する化合物を投与するための適切な投薬措置を容易に決定可能である。例えば、発現阻害化合物を対象に1回投与してもよい(例えば単回注射または沈着として)。あるいは、約3〜約28日間、より好ましくは約7〜約10日間の期間、発現阻害化合物を対象に毎日1回または2回投与してもよい。特定の投薬措置において、発現阻害化合物を1日1回、7日間投与する。投薬措置が多数の投与を含む場合、対象に投与される発現阻害化合物の有効量は、全投薬措置に渡って投与される化合物総量を含みうると理解される。
[000228]発現を阻害するのに適した化合物には、二本鎖RNA(短分子または小分子干渉RNAまたは「siRNA」)、アンチセンス核酸、および酵素的RNA分子、例えばリボザイムが含まれる。これらの化合物は各々、所定の遺伝子産物をターゲティングし、そしてターゲット遺伝子産物を破壊するかまたはその破壊を誘導する。
[000229]例えば、遺伝子産物の少なくとも部分と、少なくとも90%、例えば少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の配列相同性を有する単離二本鎖RNA(「dsRNA」)分子を用いて遺伝子のRNA干渉を誘導することによって、所定の遺伝子の発現を阻害してもよい。特定の態様において、dsRNA分子は、「短分子または小分子干渉RNA」または「siRNA」である。
[000230]本発明の方法で有用なsiRNAは、長さ約17ヌクレオチド〜約29ヌクレオチド、好ましくは長さ約19〜約25ヌクレオチドの短い二本鎖RNAを含む。siRNAは、標準的ワトソンクリック塩基対形成相互作用(本明細書において、以後「塩基対形成」)によってともにアニーリングされる、センスRNA鎖および相補的アンチセンスRNA鎖を含む。センス鎖は、ターゲット遺伝子産物内に含有される核酸配列と実質的に同一な核酸配列を含む。
[000231]本明細書において、ターゲットmRNA内に含有されるターゲット配列に「実質的に同一である」siRNA中の核酸配列は、ターゲット配列に同一であるか、または1つまたは2つのヌクレオチドがターゲット配列とは異なる核酸配列である。siRNAのセンス鎖およびアンチセンス鎖は、2つの相補的一本鎖RNA分子を含んでもよく、または2つの相補的部分が塩基対形成されており、そして一本鎖「ヘアピン」領域によって共有結合されている、単一分子を含んでもよい。
[000232]siRNAはまた、1以上のヌクレオチドの付加、欠失、置換および/または改変によって、天然存在RNAと異なる、改変RNAであってもよい。こうした改変には、非ヌクレオチド物質の、例えばsiRNA末端(単数または複数)への、またはsiRNAの1以上の内部ヌクレオチドへの付加、あるいはsiRNAをヌクレアーゼ消化に対して耐性にする修飾、あるいはsiRNA中の1以上のヌクレオチドのデオキシリボヌクレオチドでの置換が含まれうる。
[000233]siRNAの一方または両方の鎖はまた、3’オーバーハングも含んでもよい。本明細書において、「3’オーバーハング」は、二重鎖RNA鎖の3’端から伸長する少なくとも1つの非対ヌクレオチドを指す。したがって、特定の態様において、siRNAは、長さ1〜約6ヌクレオチド(リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドを含む)、長さ1〜約5ヌクレオチド、長さ1〜約4ヌクレオチド、または長さ約2〜約4ヌクレオチドの少なくとも1つの3’オーバーハングを含む。特定の態様において、3’オーバーハングは、siRNAの両方の鎖上に存在し、そして長さ2ヌクレオチドである。例えば、siRNAの各鎖は、ジチミジル酸(「TT」)またはジウリジル酸(「uu」)の3’オーバーハングを含んでもよい。
[000234]siRNAを化学的または生物学的に産生してもよいし、あるいは単離に関して記載するような、組換えプラスミドまたはウイルスベクターから発現してもよい。
[000235]dsRNAまたはsiRNA分子を産生しそして試験するための例示的な方法は、その全開示が本明細書に援用される、Gewirtzに対する米国公開特許出願第2002/0173478号、およびReichらに対する米国公開特許出願第2004/0018176号に記載される。
[000236]所定の遺伝子の発現はまた、アンチセンス核酸によって阻害されうる。本明細書において、「アンチセンス核酸」は、RNA−RNAまたはRNA−DNAまたはRNA−ペプチド核酸相互作用によって、ターゲットRNAに結合して、ターゲットRNAの活性を改変する核酸分子を指す。本発明の方法で使用するのに適したアンチセンス核酸は、一般的に、遺伝子産物中の隣接核酸配列に相補的な核酸配列を含む、一本鎖核酸(例えば、RNA、DNA、RNA−DNAキメラ、PNA)である。アンチセンス核酸は、遺伝子産物中の隣接核酸配列に50〜100%相補的、75〜100%相補的、または95〜100%相補的である核酸配列を含んでもよい。遺伝子産物のための核酸配列を本明細書に提供する。いかなる理論に束縛されることも望ましくないが、アンチセンス核酸は、RNアーゼHまたは遺伝子産物/アンチセンス核酸二重鎖を消化する別の細胞ヌクレアーゼを活性化すると考えられる。
[000237]アンチセンス核酸はまた、核酸主鎖への、または糖および塩基部分(またはその同等物)への修飾を含有して、ターゲット特異性、ヌクレアーゼ耐性、送達または分子の有効性に関連する他の特性も含有してもよい。こうした修飾には、コレステロール部分、二重鎖挿入剤、例えばアクリジン、または1以上のヌクレアーゼ耐性基が含まれる。
[000238]アンチセンス核酸を化学的または生物学的に産生してもよいし、あるいは単離遺伝子産物に関して上述するような、組換えプラスミドまたはウイルスベクターから発現してもよい。産生し、そして試験するための例示的な方法は、当該技術分野の技術内であり;例えば、その全開示が本明細書に援用される、SteinおよびCheng(1993), Science 261:1004、ならびにWoolfらに対する米国特許第5,849,902号を参照されたい。
[000239]所定の遺伝子の発現を酵素的核酸によって阻害することもまた可能である。本明細書において、「酵素的核酸」は、遺伝子産物の隣接核酸配列に相補性を有し、そして遺伝子産物を特異的に切断可能な、基質結合領域を含む、核酸を指す。酵素的核酸基質結合領域は、遺伝子産物中の隣接核酸配列に、例えば50〜100%相補的、75〜100%相補的、または95〜100%相補的であってもよい。酵素的核酸はまた、塩基、糖、および/またはリン酸基に修飾を含んでもよい。本発明の方法で使用するための例示的な酵素的核酸は、リボザイムである。
[000240]酵素的核酸を化学的または生物学的に産生してもよいし、あるいは単離遺伝子産物に関して上述するような、組換えプラスミドまたはウイルスベクターから発現してもよい。dsRNAまたはsiRNA分子を産生し、そして試験するための例示的な方法は、その全開示が本明細書に援用される、WernerおよびUhlenbeck(1995), Nucl. Acids Res. 23:2092−96; Hammannら(1999), Antisense and Nucleic Acid Drug Dev. 9:25−31;ならびにCechらに対する米国特許第4,987,071号に記載される。
[000241]少なくとも1つの遺伝子産物または発現を阻害するための少なくとも1つの化合物を投与すると、癌関連染色体特徴と関連する癌を有する対象において、癌細胞の増殖が阻害されるであろう。本明細書において、「癌細胞の増殖を阻害する」は、細胞を殺すか、あるいは細胞の増殖を永続的にまたは一時的に抑止するかまたは遅延させることを意味する。癌細胞増殖の阻害は、対象におけるこうした細胞数が、遺伝子産物または遺伝子発現阻害化合物の投与後に一定のままであるかまたは減少する場合に推測されうる。癌細胞増殖の阻害はまた、こうした細胞の絶対数が増加するが、腫瘍増殖率が減少する場合にも推測されうる。
[000242]直接測定によって、あるいは原発性または転移性腫瘍塊の大きさからの概算によって、対象の体内の癌細胞数を決定することも可能である。例えば、対象における癌細胞数を、免疫組織学法、フローサイトメトリー、または癌細胞の特徴的な表面マーカーを検出するよう設計された他の技術によって、測定してもよい。
[000243]遺伝子産物または遺伝子発現阻害化合物を対象の癌細胞に送達するのに適した任意の手段によって、これらの化合物を対象に投与してもよい。例えば、遺伝子産物または発現阻害化合物を、これらの化合物で、またはこれらの化合物をコードする配列を含む核酸で対象細胞をトランスフェクションするのに適した方法によって、投与してもよい。1つの態様において、少なくとも1つの遺伝子産物または遺伝子発現阻害化合物をコードする配列を含むプラスミドまたはウイルスベクターで細胞をトランスフェクションする。
[000244]真核細胞のためのトランスフェクション法が当該技術分野に周知であり、そしてこれには、例えば、細胞の核または前核内への核酸の直接注射;エレクトロポレーション;リポソームトランスファーまたは親油性物質によって仲介されるトランスファー;受容体仲介性核酸送達、生体弾(bioballistic)または粒子加速;リン酸カルシウム沈殿、およびウイルスベクターによって仲介されるトランスフェクションが含まれる。
[000245]例えば、細胞をリポソームトランスファー化合物、例えばDOTAP(N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチル−アンモニウムメチルサルフェート、Boehringer−Mannheim)またはその同等物、例えばLIPOFECTINでトランスフェクションしてもよい。用いる核酸の量は、本発明の実施には重要ではなく;0.1〜100マイクログラムの核酸/10細胞で、許容されうる結果が達成可能である。例えば、10細胞あたり、3マイクログラムのDOTAP中、約0.5マイクログラムのプラスミドベクターの比が使用可能である。
[000246]また、遺伝子産物または遺伝子発現阻害化合物を、適切な経腸性または非経口投与経路によって、対象に投与してもよい。本発明の方法に適した経腸投与経路には、例えば、経口、直腸、または鼻内送達が含まれる。適切な非経口投与経路には、例えば血管内投与(例えば静脈内ボーラス注射、静脈内注入、動脈内ボーラス注射、動脈内注入、および血管系内へのカテーテル滴下);組織周囲および組織内注射(例えば腫瘍周囲および腫瘍内注射、網膜内注射、または網膜下注射);皮下注入(例えば浸透圧ポンプによる)を含む皮下注射または沈着;カテーテルまたは他の留置デバイス(例えば網膜ペレットまたは座薬あるいは多孔、無孔、またはゼラチン性物質を含む移植物)による関心対象の組織への直接適用;および吸入が含まれる。特に適した投与経路は、患者への注射、注入および静脈内投与である。
[000247]本発明の方法において、遺伝子産物または遺伝子産物発現阻害化合物を、裸のRNAとして、送達試薬と組み合わせて、あるいは遺伝子産物または発現阻害化合物を発現する配列を含む核酸(例えば組換えプラスミドまたはウイルスベクター)としてのいずれかで、対象に投与してもよい。適切な送達試薬には、例えば、Mirus Transit TKO親油性試薬;リポフェクチン;リポフェクタミン;セルフェクチン;ポリカチオン(例えばポリリジン)、およびリポソームが含まれる。
[000248]遺伝子産物または遺伝子発現阻害化合物を発現する配列を含む組換えプラスミドおよびウイルスベクター、ならびにこうしたプラスミドおよびベクターを癌細胞に送達するための技術を本明細書に論じる。
[000249]特定の態様において、リポソームを用いて、遺伝子産物または遺伝子発現阻害化合物(またはこれらをコードする配列を含む核酸)を対象に送達する。リポソームはまた、遺伝子産物または核酸の血液半減期を増加させうる。本発明で使用するのに適したリポソームは、一般的に中性または負に荷電したリン脂質およびコレステロールなどのステロールを含む、標準的小胞形成脂質から形成されうる。脂質の選択は、一般的に、所望のリポソームの大きさおよび血流におけるリポソームの半減期などの要因を考慮することによって導かれる。例えば、その全開示が本明細書に援用される、Szokaら(1980), Ann. Rev. Biophys. Bioeng. 9:467;ならびに米国特許第4,235,871号、第4,501,728号、第4,837,028号、および第5,019,369号に記載されるように、リポソームを調製するための多様な方法が知られる。
[000250]本発明の方法で使用するためのリポソームは、癌細胞にリポソームをターゲティングするリガンド分子を含んでもよい。癌細胞で蔓延している受容体に結合するリガンド、例えば腫瘍細胞抗原に結合するモノクローナル抗体が好ましい。
[000251]また、本発明の方法で使用するためのリポソームを修飾して、単核マクロファージ系(「MMS」)および細網内皮系(「RES」)によるクリアランスを回避してもよい。こうした修飾リポソームは、表面上に、またはリポソーム構造内に取り込まれた、オプソニン化阻害部分を有する。特に好ましい態様において、本発明のリポソームは、オプソニン化阻害部分およびリガンドの両方を含んでもよい。
[000252]本発明のリポソームを調製する際に使用するためのオプソニン化阻害部分は、典型的には、リポソーム膜に結合する巨大親水性ポリマーである。本明細書において、オプソニン化阻害部分は、例えば脂溶性アンカーの膜自体への挿入によって、または膜脂質の活性基に直接結合することによって、化学的または物理的に膜に付着する場合、リポソーム膜に「結合」している。これらのオプソニン化阻害親水性ポリマーは、例えばその全開示が本明細書に援用される米国特許第4,920,016号に記載されるように、MMSおよびRESによってリポソームの取り込みを有意に減少させる防御性表面層を形成する。
[000253]リポソームを修飾するのに適したオプソニン化阻害部分は、好ましくは、約500〜約40,000ダルトン、そしてより好ましくは約2,000〜約20,000ダルトンの数平均分子量を持つ水溶性ポリマーである。こうしたポリマーには、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコール(PPG)誘導体;例えばメトキシPEGまたはPPG、およびステアリン酸PEGまたはPPG;合成ポリマー、例えばポリアクリルアミドまたはポリN−ビニルピロリドン;直鎖、分枝鎖、またはデンドリマー性ポリアミドアミン;ポリアクリル酸;多価アルコール、例えばカルボキシル基またはアミノ基が化学的に連結されているポリビニルアルコールおよびポリキシリトール、ならびにガングリオシド、例えばガングリオシドGM1が含まれる。PEG、メトキシPEG、またはメトキシPPG、あるいはその誘導体のコポリマーもまた適切である。さらに、オプソニン化阻害性ポリマーは、PEGおよびポリアミノ酸、多糖、ポリアミドアミン、ポリエチレンアミン、またはポリヌクレオチドいずれかのブロックコポリマーであってもよい。オプソニン化阻害性ポリマーはまた、アミノ酸またはカルボン酸を含有する天然多糖、例えばガラクツロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、ヒアルロン酸、ペクチン酸、ノイラミン酸、アルギン酸、カラギーナン;アミン化多糖またはオリゴ糖(直鎖または分枝鎖);あるいはカルボキシル化多糖またはオリゴ糖、例えば生じたカルボキシル基の連結を伴う、炭酸誘導体と反応したものであってもよい。好ましくは、オプソニン化阻害部分は、PEG、PPG、またはその誘導体である。PEGまたはPEG誘導体で修飾したリポソームは、時に、「PEG化リポソーム」と称される。
[000254]多くの周知の技術のいずれか1つによって、オプソニン化阻害部分をリポソーム膜に結合させてもよい。例えば、PEGのN−ヒドロキシスクシンイミドエステルを、ホスファチジル−エタノールアミン脂溶性アンカーに結合させて、そして次いで膜に結合させてもよい。同様に、Na(CN)BH、ならびに溶媒混合物、例えば30:12比のテトラヒドロフランおよび水を用いて、60℃で、還元性アミン化を介して、デキストランポリマーをステアリルアミン脂溶性アンカーで誘導体化してもよい。
[000255]オプソニン化阻害部分で修飾されたリポソームは、非修飾リポソームよりもはるかに長く循環中に留まる。このため、こうしたリポソームは時に、「ステルス」リポソームと呼ばれる。ステルスリポソームは、多孔または「漏出性」微小血管系によって供給される組織中に集積することが知られる。したがって、こうした微小血管系欠損によって特徴付けられる組織、例えば固形腫瘍は、これらのリポソームを効率的に集積させるであろう; Gabizonら(1988), Proc. Natl. Acad. Sci., U.S.A., 18:6949−53を参照されたい。さらに、RESによる取り込みが減少することで、肝臓および脾臓におけるリポソームの有意な集積が防止されることによって、ステルスリポソームの毒性が低下する。したがって、オプソニン化阻害部分で修飾されたリポソームは、遺伝子産物または遺伝子発現阻害化合物(またはこれらをコードする配列を含む核酸)を腫瘍細胞に送達するのに特に適している。
[000256]当該技術分野に知られる技術にしたがって、対象に遺伝子産物または遺伝子発現阻害化合物を投与する前に、時に「薬剤」と呼ばれる薬学的組成物として、これらを配合してもよい。したがって、本発明は、MMおよび/またはMGUSを治療するための薬学的組成物を含む。1つの態様において、薬学的組成物は、少なくとも1つの単離遺伝子産物および薬学的に許容されうるキャリアーを含む。特定の態様において、少なくとも1つの遺伝子産物が、適切な対照細胞に比較して、MMおよび/またはMGUS細胞における発現レベルが減少した遺伝子産物に対応する。
[000257]他の態様において、本発明の薬学的組成物は、少なくとも1つの発現阻害化合物を含む。特定の態様において、少なくとも1つの遺伝子発現阻害化合物は、その発現が対照細胞よりMMおよび/またはMGUS細胞において高い遺伝子に特異的である。
[000258]本発明の薬学的組成物は、少なくとも無菌でありそして発熱物質不含であると特徴付けられる。本明細書において、「薬学的配合物」には、ヒトおよび獣医学的使用のための配合物が含まれる。本発明の薬学的組成物を調製するための方法は、当該技術分野の技術範囲内であり、例えば、その全開示が本明細書に援用される、Remington’s Pharmaceutical Science, 第17版, Mack Publishing Company, ペンシルバニア州イーストン(1985)に記載される。
[000259]本発明の薬学的配合物は、薬学的に許容されうるキャリアーと混合された、少なくとも1つの遺伝子産物または遺伝子発現阻害化合物(またはこれらをコードする配列を含む少なくとも1つの核酸)(例えば0.1〜90重量%)、またはその生理学的に許容されうる塩を含む。本発明の薬学的配合物はまた、リポソームおよび薬学的に許容されうるキャリアーによって被包された、少なくとも1つの遺伝子産物または遺伝子発現阻害化合物(またはこれらをコードする配列を含む少なくとも1つの核酸)も含みうる。
[000260]特に適切な薬学的に許容されうるキャリアーは、水、緩衝水、正常生理食塩水、0.4%生理食塩水、0.3%グリシン、ヒアルロン酸等である。
[000261]特定の態様において、本発明の薬学的組成物は、ヌクレアーゼによる分解に耐性である、少なくとも1つの遺伝子産物または遺伝子発現阻害化合物(またはこれらをコードする配列を含む少なくとも1つの核酸)を含む。当業者は、例えば、遺伝子産物の2’位で修飾された1以上のリボヌクレオチドを取り込むことによって、ヌクレアーゼ耐性である核酸を容易に合成可能である。適切な2’修飾リボヌクレオチドには、フルオロ、アミノ、アルキル、アルコキシ、およびO−アリルで、2’位で修飾されたものが含まれる。
[000262]本発明の薬学的組成物はまた、慣用的な薬学的賦形剤および/または添加剤も含んでもよい。適切な薬学的賦形剤には、安定化剤、酸化防止剤、浸透圧調節剤、緩衝剤、およびpH調節剤が含まれる。適切な添加剤には、例えば生理学的に生物適合性である緩衝剤(例えばトロメタミン塩酸)、キレート剤(chelants)(例えばDTPAまたはDTPA−ビスアミドなど)またはカルシウムキレート錯体(例えばカルシウムDTPA、CaNaDTPA−ビスアミド)添加、あるいは場合によってカルシウムまたはナトリウム塩(例えば塩化カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、グルコン酸カルシウムまたは乳酸カルシウム)添加が含まれる。本発明の薬学的組成物を液体型で使用するためにパッケージングしてもよいし、または凍結乾燥してもよい。
[000263]本発明の固形薬学的組成物のため、慣用的な非毒性で固形の薬学的に許容されうるキャリアー;例えば、薬学的等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウム等を用いてもよい。
[000264]例えば、経口投与のため固形薬学的組成物は、任意のキャリアーおよび上に列挙する賦形剤、ならびに10〜95%、好ましくは25%〜75%の少なくとも1つの遺伝子産物または遺伝子発現阻害化合物(またはこれらをコードする配列を含む少なくとも1つの核酸)を含んでもよい。エアロゾル(吸入性)投与のための薬学的組成物は、上述のようなリポソーム中に被包された重量0.01〜20%、好ましくは重量1%〜10%の少なくとも1つの遺伝子産物または遺伝子発現阻害化合物(またはこれらをコードする配列を含む少なくとも1つの核酸)、および噴霧剤を含んでもよい。また、望ましいようにキャリアーも含んでもよく、例えば鼻内送達のためにレシチンを含んでもよい。
[000265]本発明はまた、抗ALL剤を同定する方法であって、細胞に試験剤を提供し、そして細胞において少なくとも1つの遺伝子産物のレベルを測定する工程を含む、前記方法も含む。1つの態様において、該方法は、試験剤を細胞に提供し、そしてMMおよび/またはMGUS細胞における発現レベル減少と関連する少なくとも1つの遺伝子産物レベルを測定する工程を含む。適切な対照細胞に比較した細胞中の遺伝子産物レベルにおける増加は、試験剤が抗ALL剤である指標となる。特定の態様において、MMおよび/またはMGUS細胞における発現レベル減少と関連する少なくとも1つの遺伝子産物は、本明細書に記載する群およびその組み合わせより選択される。
[000266]他の態様において、該方法は、細胞に試験剤を提供し、そしてMMおよび/またはMGUS細胞における発現レベル増加と関連する少なくとも1つの遺伝子産物レベルを測定する工程を含む。適切な対照細胞に比較した細胞中の遺伝子産物レベルの減少は、試験剤が抗MMおよび/またはMGUS剤である指標となる。特定の態様において、MMおよび/またはMGUS細胞における発現レベル増加と関連する少なくとも1つの遺伝子産物は、本明細書に記載する群およびその組み合わせより選択される。
適切な剤には、限定されるわけではないが、薬剤(例えば小分子、ペプチド)、および生物学的巨大分子(例えばタンパク質、核酸)が含まれる。組換え的、合成的に剤を産生してもよいし、あるいは天然供給源から単離(すなわち精製)してもよい。こうした剤を細胞に提供するための多様な方法(例えばトランスフェクション)が当該技術分野で周知であり、そしてこうした方法のいくつかを上記に記載する。少なくとも1つの遺伝子産物の発現を検出するための方法(例えばノーザンブロッティング、in situハイブリダイゼーション、RT−PCR、発現プロファイリング)もまた当該技術分野に知られる。
[000267]定義
[000268]用語「アレイ」は、本明細書において、用語「マイクロアレイ」と交換可能に用いられる。
[000269]用語「癌」は、本明細書において、典型的には、制御されていない細胞増殖、およびこれらの細胞が他の組織に侵入する能力によって特徴付けられる、哺乳動物における生理学的状態を指す。
[000270]用語「発現」は、本明細書において、DNA配列情報のメッセンジャーRNA(mRNA)またはタンパク質への変換を指す。全長mRNA、mRNA断片、全長タンパク質、またはタンパク質断片のレベルを測定することによって、発現を監視してもよい。
[000271]句「遺伝子発現シグネチャー」は、本明細書において、細胞、そして特に癌細胞における遺伝子発現のユニークなパターンを指す。
[000272]用語「ハイブリダイゼーション」は、本明細書において、2つの一本鎖核酸間の結合、アニーリング、または塩基対形成のプロセスを指す。「ハイブリダイゼーションのストリンジェンシー」は、温度およびイオン強度の状態によって決定される。核酸ハイブリッド安定性は、融点またはTmとして表され、これは、定義される条件下でハイブリッドが50%変性する温度である。所定のハイブリッドのTmを概算するための等式が得られており;等式は核酸のG+C含量、ハイブリダイゼーションプローブの長さ等を考慮する(例えばSambrookら、1989)。ターゲットとプローブのアニーリング率を最大限にするため、ハイブリダイゼーションは、一般的に、高イオン強度(6xSSCまたは6xSSPE)の溶液中、Tmより約2025℃低い温度で行われる。ハイブリダイズさせようとする配列が同一でない場合、ハイブリダイゼーション温度は、ミスマッチ1%ごとに1〜1.5℃減少する。一般的に、洗浄条件は、出来る限りストリンジェントでなければならない(すなわち計算されるTmより約12〜20℃低い温度での低イオン強度)。例として、非常にストリンジェントな条件は、典型的には、6xSSC/5xデンハルト溶液/1.0%SDS中、68℃でのハイブリダイズ、および0.2xSSC/0.1%SDS中、65℃での洗浄を伴う。最適なハイブリダイゼーション条件は、一般的に、溶液中で行われるハイブリダイゼーションおよび固定された核酸を用いたハイブリダイゼーション間では異なる。当業者は、ハイブリダイゼーションを最適化するために、どのパラメーターを操作すべきかを認識するであろう。
[000273]用語「核酸」は、本明細書において、連結ヌクレオチドの配列を指す。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであってもよく、標準的または非標準的ヌクレオチドであってもよく;修飾または誘導体化ヌクレオチドであってもよく;合成類似体であってもよい。ヌクレオチドは、ホスホジエステル結合または加水分解不能結合によって連結されていてもよい。核酸は、いくつかのヌクレオチドを含んでもよく(すなわちオリゴヌクレオチド)、または多くのヌクレオチドを含んでもよい(すなわちポリヌクレオチド)。核酸は一本鎖または二本鎖であってもよい。
[000274]用語「予後」は、本明細書において、癌のありうる経過および転帰、そして特に、回復の可能性を指す。
[000275]本発明は、多様なそして好ましい態様に言及して記載されてきているが、本発明の本質的な範囲を逸脱することなく、多様な変化を行ってもよく、そしてその要素を同等物で置換してもよいことが、当業者には理解されなければならない。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、本発明の解説に対して、特定の状況または物質を適応させるよう、多くの修飾を行ってもよい。
[000276]したがって、本発明は、本発明を実施するために意図される、本明細書に開示する特定の態様に限定されず、本発明には、請求項の範囲内に属するすべての態様が含まれると意図される。
[000277]参考文献
[000278]本発明を明らかにするかまたは本発明の実施に関するさらなる詳細を提供する、本明細書で用いる刊行物および他の資料は、本明細書に援用され、そして便宜上、以下の文献目録中に提供される。
[000279]本明細書に列挙するいかなる文書の引用も、前述のいずれもが適切な先行技術であることの承認であるとは意図されない。日付に関するすべての言及、またはこれらの文書の内容に関する表明は、出願者が入手可能な情報に基づき、そしてこれらの文書の日付または内容の正確さに関するいかなる承認も構成しない。

Claims (51)

  1. 対象が多発性骨髄腫(MM)および/または意義不明の単クローン性γグロブリン血症(MGUS)を有するかまたは該疾患にかかるリスクを有するかどうかを診断する方法であって:
    対象由来の試験試料において、少なくとも1つのmiR遺伝子産物のレベルを測定する
    工程を含む、
    ここで、対照試料における対応するmiR遺伝子産物のレベルに比較して、試験試料におけるmiR遺伝子産物のレベルにおける改変が、対象がMMおよび/またはMGUSを有するかまたは該疾患にかかるリスクを有するかいずれかである指標となる
    前記方法。
  2. 少なくとも1つのmiR遺伝子産物が:miR−21、miR−25、miR−106b〜25クラスター、miR−181a、miR−181b、miR−106a、miR−17〜92クラスター、miR−19a、miR−19bおよびmiR−32の1以上である、請求項1の方法。
  3. 少なくとも1つのmiR遺伝子産物が:miR−21、miR−19a、miR−19b、miR−181a、miR−181bおよびmiR−32の1以上である、請求項1の方法。
  4. 少なくとも1つのmiR遺伝子産物がmiR−19aおよびmiR−19bの1以上である、請求項1の方法。
  5. 少なくとも1つのmiR遺伝子産物が、対象がMGUSから区別されるようなMMを有する指標となる、請求項3または4の方法。
  6. 腫瘍増殖を抑制する必要がある対象において、腫瘍増殖を抑制するための方法であって:miR−21、miR−25、miR−106b〜25クラスター、miR−181a、miR−181b、miR−106a、miR−17〜92クラスター、miR−19a、miR−19bおよびmiR−32の1以上である少なくとも1つの遺伝子産物を投与する工程を含む、前記方法。
  7. 少なくとも1つのmiR遺伝子産物が:miR−19a、miR−19b、miR−181aおよびmiR−181bの1以上である、請求項6の方法。
  8. miR遺伝子産物が:miR−191aおよびmiR−191bの1以上である、請求項6の方法。
  9. 少なくとも1つのmiR遺伝子産物がp53タンパク質制御に関連する、請求項1または6の方法。
  10. 対象が多発性骨髄腫(MM)を有するかまたは該疾患にかかるリスクを有するかどうかを診断する方法であって:
    (1)対象から得た試験試料由来のRNAを逆転写して、ターゲットオリゴデオキシヌクレオチドセットを提供し;
    (2)該ターゲットオリゴデオキシヌクレオチドを、miRNA特異的プローブオリゴヌクレオチドを含むマイクロアレイにハイブリダイズさせて、試験試料に関するハイブリダイゼーションプロフィールを提供し;そして
    (3)該試験試料ハイブリダイゼーションプロフィールを、対照試料から生成したハイブリダイゼーションプロフィールに比較する
    工程を含む、
    ここで、少なくとも1つのmiRNAのシグナルにおける改変が、対象がMM疾患を有するかまたは該疾患にかかるリスクを有するかいずれかである指標となる
    前記方法。
  11. 対象が、対象における1以上の不都合な予後マーカーと関連する多発性骨髄腫(MM)関連疾患を有するかまたは該疾患にかかるリスクを有するかどうかを診断する方法であって:
    (1)対象から得た試験試料由来のRNAを逆転写して、ターゲットオリゴデオキシヌクレオチドセットを提供し;
    (2)該ターゲットオリゴデオキシヌクレオチドを、miRNA特異的プローブオリゴヌクレオチドを含むマイクロアレイにハイブリダイズさせて、試験試料に関するハイブリダイゼーションプロフィールを提供し;そして
    (3)該試験試料ハイブリダイゼーションプロフィールを、対照試料から生成したハイブリダイゼーションプロフィールに比較する
    工程を含む、
    ここで、シグナルにおける改変が、対象がMM関連疾患を有するかまたは該疾患にかかるリスクを有するかいずれかである指標となる
    前記方法。
  12. 多発性骨髄腫(MM)関連疾患を患う対象であって、対照細胞に比較して、対象のMM細胞において少なくとも1つのmiR遺伝子産物が下方制御されているかまたは上方制御されている対象において、該疾患を治療する方法であって:
    (1)MM細胞において、少なくとも1つのmiR遺伝子産物が下方制御されている場合、対象におけるMM細胞の増殖が阻害されるように、少なくとも1つの単離miR遺伝子産物の有効量を対象に投与するか;または
    (2)MM細胞において、少なくとも1つのmiR遺伝子産物が上方制御されている場合、対象におけるMM細胞の増殖が阻害されるように、少なくとも1つのmiR遺伝子産物の発現を阻害するための少なくとも1つの化合物の有効量を対象に投与する
    工程を含む、前記方法。
  13. 対象において、多発性骨髄腫(MM)関連疾患を治療する方法であって:
    (1)対照細胞に比較して、MM細胞において少なくとも1つのmiR遺伝子産物の量を決定し;そして
    (2)対象におけるMM細胞の増殖が阻害されるように:
    (i)MM細胞において発現されるmiR遺伝子産物の量が対照細胞において発現される該miR遺伝子産物の量より少ない場合、少なくとも1つの該単離miR遺伝子産物の有効量を対象に投与するか;または
    (ii)MM細胞において発現されるmiR遺伝子産物の量が対照細胞において発現される該miR遺伝子産物の量より多い場合、少なくとも1つの該miR遺伝子産物の発現を阻害するための少なくとも1つの化合物の有効量を対象に投与する
    ことによって、MM細胞において発現されるmiR遺伝子産物の量を改変する
    工程を含む、前記方法。
  14. 少なくとも1つのmiR遺伝子産物が:miR−21、miR−25、miR−106b〜25クラスター、miR−181a、miR−181b、miR−106a、miR−17〜92クラスター、miR−19a、miR−19bおよびmiR−32の1以上である、請求項10、11、12または13の方法。
  15. 少なくとも1つのmiR遺伝子産物が:miR−21、miR−19a、miR−19b、miR−181a、miR−181bおよびmiR−32の1以上である、請求項10、11、12または13の方法。
  16. 少なくとも1つのmiR遺伝子産物がmiR−19aおよびmiR−19bの1以上である、請求項10、11、12または13の方法。
  17. 少なくとも1つのmiR遺伝子産物が、対象がMGUSから区別されるようなMMを有する指標となる、請求項10、11、12または13の方法。
  18. 少なくとも1つの単離miR遺伝子産物および薬学的に許容されうるキャリアーを含む、多発性骨髄腫(MM)関連疾患を治療するための薬学的組成物。
  19. 少なくとも1つのmiR遺伝子産物が:miR−21、miR−25、miR−106b〜25クラスター、miR−181a、miR−181b、miR−106a、miR−17〜92クラスター、miR−19a、miR−19bおよびmiR−32の1以上である、請求項18の薬学的組成物。
  20. 少なくとも1つのmiR遺伝子産物が:miR−21、miR−19a、miR−19b、miR−181a、miR−181bおよびmiR−32の1以上である、請求項18の薬学的組成物。
  21. 少なくとも1つのmiR遺伝子産物がmiR−19aおよびmiR−19bの1以上である、請求項18の薬学的組成物。
  22. miR遺伝子産物が:miR発現阻害剤およびアンチセンスオリゴ(ASO)の少なくとも1以上を含む、請求項18の薬学的組成物。
  23. 少なくとも1つのmiR発現阻害剤化合物が、適切な対照細胞に比較してMM細胞において上方制御されているmiR遺伝子産物に特異的である、請求項18の薬学的組成物。
  24. 抗多発性骨髄腫(MM)関連疾患剤を同定する方法であって:
    試験剤を細胞に提供し、そして
    MM細胞において改変される発現レベルと関連する少なくとも1つのmiR遺伝子産物のレベルを測定する
    工程を含む、
    ここで、適切な対照細胞に比較した、細胞におけるmiR遺伝子産物のレベルにおける改変が、試験剤が抗癌剤である指標となる
    前記方法。
  25. 少なくとも1つのmiR遺伝子産物が:miR−21、miR−25、miR−106b〜25クラスター、miR−181a、miR−181b、miR−106a、miR−17〜92クラスター、miR−19a、miR−19bおよびmiR−32の1以上である、請求項24の方法。
  26. 少なくとも1つのmiR遺伝子産物が:miR−21、miR−19a、miR−19b、miR−181a、miR−181bおよびmiR−32の1以上である、請求項24の方法。
  27. 少なくとも1つのmiR遺伝子産物がmiR−19aおよびmiR−19bの1以上である、請求項24の方法。
  28. 多発性骨髄腫(MM)関連疾患の開始、進行、重症度、病理学、攻撃性、病期、活性、能力障害、死亡率、罹患率、疾患細分類、あるいは他の根底にある病原性または病理学的特徴の少なくとも1つに寄与する1以上の代謝経路を評価するためのマーカーであって、
    miR−21、miR−25、miR−106b〜25クラスター、miR−181a、miR−181b、miR−106a、miR−17〜92クラスター、miR−19a、miR−19bおよびmiR−32の少なくとも1つの単離miR遺伝子産物をコードする1以上の遺伝子産物を含む、
    前記マーカー。
  29. 少なくとも1つのmiR遺伝子産物が:miR−21、miR−19a、miR−19b、miR−181a、miR−181bおよびmiR−32の1以上である、請求項28のマーカー。
  30. 少なくとも1つのmiR遺伝子産物がmiR−19aおよびmiR−19bの1以上である、請求項28のマーカー。
  31. 請求項28、29または30のマーカーの少なくとも1つから選択される多発性骨髄腫関連疾患のマーカーに結合する少なくとも1つの捕捉試薬を含む、製品。
  32. 請求項28の少なくとも1つのマーカーによってコードされるタンパク質を認識する抗体を含む、多発性骨髄腫(MM)関連疾患に関して試験するための試薬。
  33. 療法が、多発性骨髄腫(MM)を防止し、診断し、そして/または治療する有効性を評価する方法であって:
    (1)有効性を評価しようとする療法に対象を供し、そして
    (2)請求項28の少なくとも1つのマーカーを評価することによって、多発性骨髄腫(MM)を治療するかまたは防止する際の、試験中の治療の有効性レベルを決定する
    工程を含む、前記方法。
  34. 候補療法剤が:薬学的組成物、栄養補助組成物、およびホメオパシー組成物の1以上を含む、請求項33の方法。
  35. 評価される療法がヒト対象で使用するためのものである、請求項33の方法。
  36. 多発性骨髄腫(MM)関連疾患を治療する療法剤に関して候補化合物をスクリーニングするためのキットであって:請求項28、29または30の少なくとも1つのマーカーの1以上の試薬、および少なくとも1つのマーカーを発現している細胞を含む、前記キット。
  37. 少なくとも1つのマーカーに特異的に結合する抗体または抗体断片を含む試薬を用いて、マーカーの存在が検出される、請求項36のキット。
  38. 多発性骨髄腫(MM)に関するスクリーニング試験であって:請求項28、29または30の1以上のマーカーと、こうしたマーカーの基質および試験剤を接触させ;そして試験剤がマーカー活性を調節するかどうかを決定する工程を含む、前記試験。
  39. すべての方法工程がin vitroで行われる、請求項38のスクリーニング試験。
  40. 多発性骨髄腫(MM)合併症を治療するか、防止するか、逆転させるかまたはその重症度を制限する必要がある個体において、これを行うための方法であって:
    個体に、多発性骨髄腫(MM)反応シグナル伝達経路に干渉する剤を、こうしたシグナル伝達に干渉するのに十分な量で投与する
    工程を含む、
    ここで、剤は、SOCS−1発現に干渉する少なくとも1つのmiR遺伝子産物を含む、
    前記方法。
  41. 個体において、多発性骨髄腫(MM)合併症を治療するか、防止するか、逆転させるかまたはその重症度を制限するための薬剤製造のための、多発性骨髄腫(MM)反応シグナル伝達経路に干渉する剤の使用であって、
    剤が、miR−21、miR−106b〜25クラスター、miR−181a、miR−181b、miR−17〜92クラスター、miR−19a、miR−19b、およびmiR−32の少なくとも1つのmiR遺伝子産物、ならびにその組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子産物を含む、
    前記使用。
  42. 少なくとも1つのp300−CBP関連因子発現阻害化合物、および薬学的に許容されうるキャリアーを含む、多発性骨髄腫(MM)癌を治療するための薬学的組成物。
  43. p53活性を制御する必要がある細胞において、p53活性を制御するための方法であって、該細胞を、こうした活性を制御するのに十分な量の少なくとも1つのmiR遺伝子産物と接触させる工程を含み、該miR遺伝子産物が:miR−106b−25クラスター、miR−32、miR−181aおよびmiR−181bの1以上である、前記方法。
  44. miR遺伝子産物がp300−CBP関連因子(PCAF)遺伝子をターゲティングする、請求項43の方法。
  45. 細胞が多発性骨髄腫(MM)細胞である、請求項43の方法。
  46. 正常からMGUSを介して臨床的に明白なMMに向かうMM多段階形質転換プロセスと関連するmiRNAシグネチャーであって:miR−21、miR−25、miR−106b〜25クラスター、miR−181a、miR−181b、miR−106a、miR−17〜92クラスター、miR−19a、miR−19b、およびmiR−32の少なくとも1以上を含む、前記シグネチャー。
  47. 少なくとも1つのmiR遺伝子産物が:miR−21、miR−19a、miR−19b、miR−181a、miR−181bおよびmiR−32の1以上である、請求項46のmiRNAシグネチャー。
  48. 少なくとも1つのmiR遺伝子産物がmiR−19aおよびmiR−19bの1以上である、請求項46のmiRNAシグネチャー。
  49. アポトーシスをブロッキングし、そして/または細胞生存を促進する必要がある対象において、アポトーシスをブロッキングし、そして/または細胞生存を促進するための方法であって、1以上のmiR遺伝子産物の有効量を投与する工程を含み、該遺伝子産物が:miR−17〜92、miR−19a、miR−19bおよびmiR−21の1以上である、前記方法。
  50. p53の正の制御因子であるPCAFをターゲティングする必要がある対象において、PCAFをターゲティングするための方法であって、1以上のmiR遺伝子産物の有効量を投与する工程を含み、該miR遺伝子産物が:miR106b〜25、miR−181aおよびmiR−32の1以上である、前記方法。
  51. 細胞におけるMM病因形成中のより後期の段階において、SOCS−1を下方制御し、そして/またはIL−6を活性化するための方法であって、細胞において、miR−19を上方制御する工程を含む、前記方法。
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