JP2012256972A - 超音波センサ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、工業分野で使用可能であり、センサ全体として感度を低下させることなく、一素子あたりの指向性を広げることにより斜角方向の検査性能を向上させた超音波センサ及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】 超音波センサ100は、レンズ状基板10と、レンズ状基板に保持された複数の圧電素子20とから構成される。複数の圧電素子20は、平面形状が長方形状であり、長方形状の長辺同士が隣接するように短辺方向であるX方向にアレイ状に配列される。長方形状の複数の圧電素子20がX−Y平面に配列され、複数の各圧電素子は、X−Y平面に直交するX−Z平面においてのみ、その断面形状が円弧状である。円弧状の圧電素子の凸方向に超音波を送信してセクタスキャンするように用いられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、超音波センサ及びその製造方法に係り、特にアレイ式のセンサ用いるに好適な超音波センサ及びその製造方法に関する。
工業分野や医療分野における非破壊検査方法の一つに、超音波検査が用いられている。超音波検査は、超音波を対象物内部に伝搬し、その反射波を映像化し、検査する方法である。工業分野においては、この超音波を用いて欠陥を検査する方法を超音波探傷法と呼び、超音波検査方法の中でも、有効な手法の一つとしてフェーズドアレイ方式が知られている。フェーズドアレイ方式は、電子走査方式や電子スキャン方式とも呼ばれ、例えば圧電素子などの、超音波を発振可能な素子をアレイ状に配置したアレイセンサを用い、検査装置により、各素子に電気信号を所定の時間だけ遅延させて与えることで、各素子から発生した超音波が被検体中で焦点を形成し、さらに、この各素子への電気信号を遅延させるパターン(遅延パターン)を高速で変化させることにより、被検査体中への超音波の送受信角度(屈折角)、焦点位置などを制御できるようにした超音波検査方法のことである。
この方式が重要視されている理由は、被検体の内部でも特に欠陥が想定される範囲や近傍において、反射波をより強く受信できる角度や位置に焦点を形成することで、反射源である欠陥を検出しやすくできるからである。例えば、溶接部における検査では、溶接による熱影響の範囲において欠陥の発生が予測されるので、この範囲に対して斜角方向から超音波が照射されるように、また、板厚あるいはその数倍程度の伝搬距離で焦点を形成するように、遅延パターンを作成することで、効率よく検査できる。
近年、フェーズドアレイ方式で用いるアレイセンサとしては、多数の素子を1次元配列し、断面検査を可能としたリニアアレイセンサ以外に、素子を2次元配列し、体積検査を可能としたマトリクスセンサが知られている。
上述したリニアアレイセンサやマトリクスセンサは、センサ内部、あるいは外部に傾きをもった部材(シュー)をもたない場合、被検体に直接接触させると、素子の配列した面(センサ面)の法線方向、すなわち、垂直方向の検査が最も分解能や感度が高くなる。斜角方向の感度・分解能は、屈折角が大きくなるに従って著しく低下する。
一方、例えば電力プラントにおける非破壊検査において、疲労割れや応力腐食割れなどの欠陥検出およびサイジングには、斜角探傷を用いる。したがって、大きな屈折角で斜角探傷する場合、斜角方向から得られる信号強度を増幅すると同時に、垂直方向からの形状エコーや材料ノイズの強度も増幅され、検査画像上強いノイズとなる。斜角方向の分解能や感度を高めるためには、一般にシューを用いて必要な角度までセンサ面を傾けて測定する。
リニアアレイセンサやマトリクスセンサで、素子と素子の間隔(ピッチ)、センサ開口をそのままに、垂直方向に対して相対的に斜角方向に超音波を強く送受信できるようにするためには、一素子あたりの素子面積を小さくし、指向性を広げる方法が考えられるが、単純に素子を小さくすれば感度が低下し、また、感度を保持するには、素子数の増加が必要となる。検査装置で制御可能な総素子数には技術的な限界があり、また、制御可能な素子数を増やせたとしても装置が大型で高価なものとなる。
そこで、斜角方向の感度を向上し、広範囲の検査を可能とするセンサ必要となる。
ここで、医療分野において用いるリニアアレイセンサの一素子あたりの指向性を高める手法として、音響レンズを利用したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、湾曲した素子を用いて同様の効果を得たものが知られている(例えば、特許文献2,特許文献3,特許文献4参照)。
特開2006−334075号公報 特開2009−207882号公報 特開平11−51915号公報 特開2005−203976号公報
しかしながら、特許文献1記載のものでは、センサの被検体への接触部に凹凸ができる。被検体が人体である医療分野においては、センサ,接触媒体,人体の音響インピーダンスが近く、さらに人体はセンサ面形状に合わせて多少変形出来るために接触性に問題はなく、有効な手法であるが、被検体が主に金属である工業分野においては、センサ,接触媒体,被検体の音響インピ-ダンスが大きく異なり、さらに被検体は変形することができないために接触性に問題がある。
また、特許文献2記載のものでは、曲率をとることが難しく、山形に配列することにより、擬似的に曲率をとっており、さらに、特許文献1同様、被検体への接触部に凹凸ができ、工業分野への転用が難しいものである。
また、特許文献3記載のものでは、素子の湾曲方向は次のようになっている。すなわち、X−Y−Zの直交3軸空間で考えて、セクタスキャンする平面をX−Z平面とするとき、Y−Z平面で断面を取ると素子が湾曲している。このような関係とすると、セクタスキャンできる範囲が狭いという問題がある。
また、特許文献4記載のものでは、素子の配列方向と直交する2軸方向にそれれぞれ曲率を持たせている。そのため、一素子辺りの焦域が短くなり、深さ方向の探傷において、浅いところの探傷は可能であるが、深い領域の探傷が難しいという問題がある。
本発明の目的は、工業分野で使用可能であり、センサ全体として感度を低下させることなく、一素子あたりの指向性を広げることにより斜角方向の検査性能を向上させた超音波センサ及びその製造方法を提供することにある。
(1)上記目的を達成するために、本発明は、検査対象の内部に超音波を送信し、前記検査対象からのエコーを受信し、前記エコーから検査対象を評価する超音波探傷装置に用いられ、超音波を発振する平面形状が長方形状の複数の圧電素子を、前記長方形状の長辺同士が隣接するように短辺方向であるX方向にアレイ状に配列した超音波センサであって、レンズ状基板と、該レンズ状基板に保持された前記複数の圧電素子とから構成され、前記長方形状の複数の圧電素子がX−Y平面に配列され、前記前記複数の各圧電素子は、前記X−Y平面に直交するX−Z平面においてのみ、その断面形状が円弧状であり、前記円弧状の圧電素子の凸方向に超音波を送信してセクタスキャンするように用いられるものである。
かかる構成により、工業分野で使用可能であり、センサ全体として感度を低下させることなく、一素子あたりの指向性を広げることにより斜角方向の検査性能を向上させることができる。
(2)上記(1)において、好ましくは、前記圧電素子は、第1の電極と、該第1の電極の表面に形成された圧電体と、該圧電体の表面に形成された第2の電極とから構成され、前記レンズ状基板及び、前記第1の電極,前記圧電体,前記第2の電極が層構造となっているものである。
(3)上記(2)において、好ましくは、前記複数の圧電素子を構成する前記第1の電極若しくは前記第2の電極の一方は、前記複数の圧電素子に対して一層の共通電極である。
(4)上記(1)において、好ましくは、前記超音波センサは、前記レンズ状基板の側に超音波を送信するようにしたものである。
(5)上記(1)において、好ましくは、前記圧電素子の表面に設けられた保護層を備え、前記超音波センサは、前記保護層の側に超音波を送信するようにしたものである。
(6)上記(1)において、好ましくは、前記レンズ状基板は、基板側を超音波送信側とした場合、被検体への接触面を、傾斜、あるいは、曲率を持たせ、成型したものである。
(7)上記目的を達成するために、本発明は、検査対象の内部に超音波を送信し、前記検査対象からのエコーを受信し、前記エコーから検査対象を評価する超音波探傷装置に用いられ、超音波を発振する平面形状が長方形状の複数の圧電素子を、前記長方形状の長辺同士が隣接するように短辺方向であるX方向にアレイ状に配列した超音波センサの製造方法であって、前記超音波センサは、レンズ状基板と、該レンズ状基板に保持された前記複数の圧電素子とから構成され、前記長方形状の複数の圧電素子がX−Y平面に配列され、前記前記複数の各圧電素子は、前記X−Y平面に直交するX−Z平面においてのみ、その断面形状が円弧状であり、前記円弧状の圧電素子の凸方向に超音波を送信してセクタスキャンするように用いられ、前記レンズ状基板は、一方の面が平坦であり、この面に対向する面にレンズアレイ状の曲面を有するものであり、前記レンズ状基板の曲面に第1の電極を形成し、該第1の電極の表面に、圧電体を形成し、該圧電体の表面に、第2の電極を形成して、前記第1の電極,前記圧電体,前記第2の電極により前記圧電素子を構成するようにしたものである。
かかる方法により、工業分野で使用可能であり、センサ全体として感度を低下させることなく、一素子あたりの指向性を広げることにより斜角方向の検査性能を向上させることができる。
(8)上記(7)において、好ましくは、さらに、前記第2の電極の表面に保護層を形成するようにしたものである。
これを回避するために、圧電素子に高分子の圧電素子を適用することで、製造プロセスを簡略にし、接触部に凹凸ができることなく同様の効果を得ることができる。
本発明により、レンズ効果を用いて、アレイセンサを構成する各素子の指向性を広げることで、広範囲において高感度な検査画像を得ることができるセンサを実現することができる。
本発明の第1の実施形態による超音波センサの基本構成を示す断面図である。 本発明の第1の実施形態による超音波センサの製造方法を示す工程図である。 本発明の第1の実施形態による超音波センサの外観形状を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態による超音波センサの外観形状を示す正面図である。 本発明の第1の実施形態による超音波センサの他の製造方法を示す工程図である。 本発明の第1の実施形態による超音波センサのその他の製造方法を示す工程図である。 本発明の第2の実施形態による超音波センサの外観形状を示す斜視図である。 本発明の第5の実施形態による超音波センサの基本構成を示す断面図である。 本発明の第6の実施形態による超音波センサの基本構成を示す断面図である。
以下、図1〜図4を用いて、本発明の第1の実施形態による超音波センサの構成及び動作について説明する。
最初に、図1を用いて、本実施形態による超音波センサの基本構成について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による超音波センサの基本構成を示す断面図である。
本実施形態の超音波センサは、複数の単一素子がアレイ状に配列されたアレイセンサであるが、ここでは、超音波センサを構成する単一素子の構成について説明する。また、単一素子は、拡散型の単一素子のセンサを例にして説明する。
単一素子の超音波センサは、圧電素子10’と、音響レンズ20’とから構成される。音響レンズ20’は、一般には、アクリル、ポリスチレン、ポリイミドなどの樹脂製のものや、石英、ガラスなど、耐熱性のある材質からなる。音響レンズ20’は、図示の右側の面が平面であるのに対して、この平面に対向する面(図示の左側の面)は、凹面が形成されている。この凹面は、図示の曲率にて、紙面の手前から奥方向に同じ曲率を有する凹面である。要するに、音響レンズ20’の左側の面には、円弧状の溝が形成されている。なお、音響レンズ20’の右側の平面が、検査対象の被検体の表面に接触する。
圧電素子10’は、圧電高分子膜の薄膜である。圧電素子10’は、音響レンズ20’の凹面と同じ曲率で円弧状に形成される。圧電素子10’自体に凸面状の曲率を持たせることにより、音を拡散することができ、圧電素子10’自体にレンズ作用を持たせることができる。
また、音響レンズ20’の材料である石英に対して、この音響レンズが接触する工業上の検査対象である鉄鋼材料(例えば、鋼やステンレスなど)の音速が速いため、音響レンズ20’と被検体との接触面において、図示のように広がる。以上の凸面状の圧電素子10’と、凹面状の音響レンズ20’の作用により、図示の単一素子のセンサは、拡散型のセンサとなる。
すなわち、圧電素子10’は、超音波の送信方向に凸型の断面形状とする。そして、この圧電素子10’と接する凹面と、この凹面に対向する平面とを有する音響レンズ20’を備える。以上の圧電素子10’と音響レンズ20’とからなる単一素子のセンサにより、拡散型のセンサを構成できる。
このような拡散型のセンサを用いることで、一素子あたりの指向性を広げることができ、その結果、斜角方向の検査性能を向上させることができる。
超音波センサ100は、検査対象の内部に超音波を送信し、検査対象からのエコーを受信し、エコーから検査対象を評価する超音波探傷装置に用いられる。
次に、図2〜図4を用いて、本発明の第1の実施形態による超音波センサの構成及び製造方法について説明する。
最初に、図2を用いて、本実施形態による超音波センサの製造方法について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態による超音波センサの製造方法を示す工程図である。
図2(A)に示すように、レンズアレイ基板20は、石英、ガラスなど、耐熱性のある材質からなる。レンズアレイ基板20の底面20Aは、平面である。レンズアレイ基板20の上面20B,すなわち、底面20Aと対向する面には、複数の凹面20B1,20B2,20B3が等間隔で等サイズでアレイ状に形成されている。なお、凹面20B1,20B2,20B3は、紙面の手前から奥方向に、同じ曲率で延在する溝状である。隣接する凹面20B1と凹面20B2の間には、平面部が設けられている。
そして、レンズアレイ基板20の上面20Bの上には、下部電極12が形成される。下部電極12は、基板20の表面に、銅・銅合金・銀・白金・金などの導電性のある金属層を蒸着、スパッタリングなどすることにより形成され、電極となる金属膜の層として形成される。なお、下部電極12は、図2(C)に示すように、グランドに接地される。
次に、図2(B)に示すように、金属膜の層(下部電極12)の表面上に、ゾルゲル法などの圧電薄膜形成技術により、圧電体14の層を形成する。圧電体14は、圧電高分子の薄膜である。圧電体14は、レンズアレイ基板20の上面の凹面と同じ曲率で円弧状に形成される。圧電体14自体に凸面状の曲率を持たせることにより、音を拡散することができ、レンズ作用を持たせることができる。
次に、図2(C)に示すように、圧電体14の層の表面に、再度、銅・銅合金・銀・白金・金などの導電性のある金属材料を蒸着、スパッタリングなどして、金属膜の層(上部電極16)を形成する。上部電極16は、アレイ状にパターン化された金属膜16A1,16A2,16A3と、各アレイ化された金属膜に対応する配線用の金属膜16B(図2(D))とからなる。下部電極12,圧電体14,上部電極16により圧電素子10が構成される。
以上の工程により、主要な層構造を簡便に実現できる。
なお、上部電極16は、フレキシブルプリント基板に予め各圧電素子(圧電体14)に対応する電極を形成しておき、これを接着剤で圧着することで形成することもできる。
最後に、図2(D)に示すように、下部電極12,圧電体14,上部電極16の全体の表面に、保護膜30を形成する。保護膜30は、フッ素樹脂などによるコーティングや、ポリイミド膜の形成により行われる。保護膜は、上部電極などむき出しの状態となっているものを、絶縁体を被せて保護するものである。
なお、圧電体14としては、圧電高分子膜を使用する代わりに、レンズアレイ状の各曲面上に沿うように、各々圧電素子を成型した後に、基板上へ配置するような、従来の超音波センサ製造法に基づき作成する方法も採用することもできる。
次に、図3及び図4を用いて、本実施形態による超音波センサの形状について説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態による超音波センサの外観形状を示す斜視図である。図4は、本発明の第1の実施形態による超音波センサの外観形状を示す正面図である。
図3に示すように、超音波センサ100は、底面側の平面部100Aと、上面側の凹面部100Bとを備えている。平面部100Aは、図2に示したレンズアレイ基板20の底面20Aに相当する。凹面部100Bは、断面形状が円弧状の凹部が、延在して凹部形状の溝を形成している。この凹面部100Bには、図2にて説明したように、アレイ状の圧電素子10が備えられている。
図3に示すように、超音波センサ100を構成する個々の素子は、平面形状が長方形である。そして、長方形の長辺同士が隣接するように、各素子が配列される。
そして、図4に示すように、各素子の配列方向を、X方向とする。このX方向は、また、長方形の素子の短辺の方向でもある。このX方向に直交する方向で、素子の長辺方向をY方向とする。すなわち、複数の素子が一方向に配列されて構成される超音波センサ100は、X−Y平面上で配列される。このX−Y平面に直交する軸をZ軸とする。
また、各素子を構成する圧電体のX−Z平面における断面形状は、円弧状であるとともに、図示の下方向,すなわち、図2に示した構成では、レンズアレイ基板20の方向に凸形状となっている。この場合、本実施形態では、超音波センサ100を構成する圧電体14から送信される超音波UWは、凸形状の凸方向に送信されるとともに、X−Z平面内で扇状にセクタスキャンされる。
このような素子の湾曲方向とすることで、前述の特許文献3記載のものとは異なり、セクタスキャンできる範囲を広くすることができる。
また、素子の湾曲は、1軸方向のみであるので、特許文献4とは異なり、一素子辺りの焦域を長くでき、深さ方向の探傷において、深い領域の探傷が可能となる。
次に、図5を用いて、本実施形態による超音波センサの他の製造方法について説明する。
図5は、本発明の第1の実施形態による超音波センサの他の製造方法を示す工程図である。
図5(A)に示すように、図2(A)と同様に、レンズアレイ基板20の上面20Bには、複数の凹面20B1,20B2,20B3が等間隔で等サイズでアレイ状に形成されている。
次に、レンズアレイ基板20の上面の上には、下部電極12が形成される。
次に、図5(B)に示すように、下部電極12の上には、圧電体14の層が形成される。圧電体14の上には、上部電極16が形成される。
次に、図5(C)に示すように、上部電極16及び圧電体14の一部が段階的にエッチングされ、除去される。領域A1は、除去された部分である。これにより、圧電体が各凹部単位で分離され、アレイセンサの各素子に対応するサイズ、および形状に整えられ、アレイ状の圧電素子10が形成される。
最後に、図5(D)に示すように、各アレイ化された金属膜に対応する配線用の金属膜が形成され、さらに、下部電極12,圧電体14,上部電極16の全体の表面に、保護膜30が形成される。
この例の場合、図2に示した製造工程に対して、工程数が若干増加する。しかし、圧電体を分離できるため、素子の隣接部分における不要振動を回避できる。
次に、図6を用いて、本実施形態による超音波センサのその他の製造方法について説明する。
図6は、本発明の第1の実施形態による超音波センサのその他の製造方法を示す工程図である。
図6(A)に示すように、図2(A)と同様に、レンズアレイ基板20の上面20Bには、複数の凹面20B1,20B2,20B3が等間隔で等サイズでアレイ状に形成されている。
次に、図6(B)に示すように、レンズアレイ基板20の上面の上には、下部電極12が形成される。さらに、下部電極12の上には、圧電体14の層が形成される。
次に、図6(C)に示すように、下部電極12及び圧電体14の一部が段階的にエッチングされ、除去される。領域A2は、除去された部分である。これにより、圧電体が各凹部単位で分離され、アレイセンサの各素子に対応するサイズ、および形状に整えられ、アレイ状の圧電素子の要部が形成される。
次に、図6(D)に示すように、図6(C)の工程で除去された領域A2に、樹脂32を充填する。
最後に、図6(E)に示すように、アレイ化された圧電体14及び樹脂32の上に、上部電極16’が形成される。上部電極16’は、グランドに接地される。さらに、下部電極12,圧電体14,上部電極16の全体の表面に、保護膜30が形成される。
以上説明したように、本実施形態によれば、拡散型のセンサを用いることで、一素子あたりの指向性を広げることができ、その結果、斜角方向の検査性能を向上させることができる。
また、図3や図4にて説明した素子の湾曲方向とすることで、セクタスキャンできる範囲を広くすることができる。
また、素子の湾曲は、1軸方向のみであるので、一素子辺りの焦域を長くでき、深さ方向の探傷において、深い領域の探傷が可能となる。
次に、図7を用いて、本発明の第2の実施形態による超音波センサの構成及び動作について説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態による超音波センサの外観形状を示す斜視図である。
図7に示すように、超音波センサ100”は、底面側の平面部100A”と、上面側の凸面部100B”とを備えている。平面部100A”は、図2に示したレンズアレイ基板20の底面20Aに相当する。凸面部100B”は、断面形状が円弧状の凸部が、延在したかまぼこ状の形状を形成している。この凸面部100B”には、図2にて説明したように、アレイ状の圧電素子10が備えられている。
さらに、圧電素子10の表面には、保護膜30が形成されている。保護膜30は、例えば、フッ素樹脂や、ポリイミド膜からなる。その表面は、平坦となっており、この平坦な表面が、被検体に接触するようにしている。
また、各素子を構成する圧電体のX−Z平面における断面形状は、円弧状であるとともに、図示の上方向,すなわち、図2に示した構成では、レンズアレイ基板20の方向に凸形状となっている。この場合、本実施形態では、超音波センサ100を構成する圧電素子10から送信される超音波UWは、凸形状の凸方向に送信されるとともに、X−Z平面内で扇状にセクタスキャンされる。
かかる構成でも、第1の実施形態と同様に、本実施形態によれば、拡散型のセンサを用いることで、一素子あたりの指向性を広げることができ、その結果、斜角方向の検査性能を向上させることができる。
また、図3や図4にて説明した素子の湾曲方向とすることで、セクタスキャンできる範囲を広くすることができる。
また、素子の湾曲は、1軸方向のみであるので、一素子辺りの焦域を長くでき、深さ方向の探傷において、深い領域の探傷が可能となる。
次に、図8を用いて、本発明の第3の実施形態による超音波センサの構成について説明する。
図8は、本発明の第5の実施形態による超音波センサの基本構成を示す断面図である。なお、図2と同一符号は、同一部分を示している。
本実施形態の基本構成は、図2にて説明したものと同様であり、また、その製造工程も図2にて説明したものと同様である。
本例では、レンズアレイ基板20Aは、基板側を超音波発振側とした場合、上面と下面の間に傾斜をつける(上面と下面を非平行とする)ことにより、シューの役割が可能である。
次に、図9を用いて、本発明の第4の実施形態による超音波センサの構成について説明する。
図9は、本発明の第6の実施形態による超音波センサの基本構成を示す断面図である。なお、図2と同一符号は、同一部分を示している。
本実施形態の基本構成は、図2にて説明したものと同様であり、また、その製造工程も図2にて説明したものと同様である。
本例では、レンズアレイ基板20Bは、基板側を超音波発振側とした場合、上面は平面であるが、下面は、円弧状の曲率を付けることにより、配管などの円柱形状の検査対象にも応用可能である。
20…レンズアレイ基板
20A…底面
20B…上面
20B1,20B2,20B3…凹面
12…下部電極
14…圧電体
16…上部電極
30…保護膜

Claims (8)

  1. 検査対象の内部に超音波を送信し、前記検査対象からのエコーを受信し、前記エコーから検査対象を評価する超音波探傷装置に用いられ、
    超音波を発振する平面形状が長方形状の複数の圧電素子を、前記長方形状の長辺同士が隣接するように短辺方向であるX方向にアレイ状に配列した超音波センサであって、
    レンズ状基板と、該レンズ状基板に保持された前記複数の圧電素子とから構成され、
    前記長方形状の複数の圧電素子がX−Y平面に配列され、
    前記前記複数の各圧電素子は、前記X−Y平面に直交するX−Z平面においてのみ、その断面形状が円弧状であり、
    前記円弧状の圧電素子の凸方向に超音波を送信してセクタスキャンするように用いられることを特徴とする超音波センサ。
  2. 請求項1記載の超音波センサにおいて、
    前記圧電素子は、第1の電極と、該第1の電極の表面に形成された圧電体と、該圧電体の表面に形成された第2の電極とから構成され、
    前記レンズ状基板及び、前記第1の電極,前記圧電体,前記第2の電極が層構造となっていることを特徴とする超音波センサ。
  3. 請求項2記載の超音波センサにおいて、
    前記複数の圧電素子を構成する前記第1の電極若しくは前記第2の電極の一方は、前記複数の圧電素子に対して一層の共通電極であることを特徴とする超音波センサ。
  4. 請求項1記載の超音波センサにおいて、
    前記超音波センサは、前記レンズ状基板の側に超音波を送信することを特徴とする超音波センサ。
  5. 請求項1記載の超音波センサにおいて、
    前記圧電素子の表面に設けられた保護層を備え、
    前記超音波センサは、前記保護層の側に超音波を送信することを特徴とする超音波センサ。
  6. 請求項1記載の超音波センサにおいて、
    前記レンズ状基板は、基板側を超音波送信側とした場合、被検体への接触面を、傾斜、あるいは、曲率を持たせ、成型したことを特徴とする超音波アレイセンサ。
  7. 検査対象の内部に超音波を送信し、前記検査対象からのエコーを受信し、前記エコーから検査対象を評価する超音波探傷装置に用いられ、
    超音波を発振する平面形状が長方形状の複数の圧電素子を、前記長方形状の長辺同士が隣接するように短辺方向であるX方向にアレイ状に配列した超音波センサの製造方法であって、
    前記超音波センサは、レンズ状基板と、該レンズ状基板に保持された前記複数の圧電素子とから構成され、
    前記長方形状の複数の圧電素子がX−Y平面に配列され、
    前記前記複数の各圧電素子は、前記X−Y平面に直交するX−Z平面においてのみ、その断面形状が円弧状であり、
    前記円弧状の圧電素子の凸方向に超音波を送信してセクタスキャンするように用いられ、
    前記レンズ状基板は、一方の面が平坦であり、この面に対向する面にレンズアレイ状の曲面を有するものであり、
    前記レンズ状基板の曲面に第1の電極を形成し、
    該第1の電極の表面に、圧電体を形成し、
    該圧電体の表面に、第2の電極を形成して、
    前記第1の電極,前記圧電体,前記第2の電極により前記圧電素子を構成することを特徴とする超音波センサの製造方法。
  8. 請求項7記載の超音波センサの製造方法において、
    さらに、前記第2の電極の表面に保護層を形成することを特徴とする超音波センサの製造方法。
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