JP2012255449A - 排気ダクト - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の排気ダクトは、ガスタービンに直結される排気ダクト1であって、ダクトプレート2と、ダクトプレート2の外周部から径方向外方に突出し、周方向に環状をなす補強リブ3と、ダクトプレート2の内周面2cのうち前記径方向において補強リブ3と重なる部分を、内周面2cと間隔を置いて覆ってダクトプレート2との間に断熱層を形成する遮熱板10と、ダクトプレート2の内周面2cから前記径方向内方に向けて突出する突出壁と、を備え、遮熱板10は、前記突出壁の下流側に隣接して設けられ、かつ、上流側の端部にダクトプレート2側に延出する延出部が形成されていることを特徴とする。
【選択図】図2
Description
(1)ガスタービンの始動時及び停止時に発生する熱応力の発生を抑制すると共に低サイクル疲労を抑制する。
(2)長期的な使用が可能で、メンテナンスの労力を低減する。
すなわち、本願発明に係る排気ダクトは、ガスタービンに直結される排気ダクトであって、筒状体を構成するダクトプレートと、該ダクトプレートの外周部から径方向外方に突出すると共に周方向に環状に設けられた補強リブと、前記ダクトプレートの内周部に設けられ、前記ダクトプレートの内周面のうち前記径方向において前記補強リブと重なる部分を、前記内周面と間隔を置いて覆って前記ダクトプレートとの間に断熱層を形成する遮熱板と、前記ダクトプレートの内周面から前記径方向内方に向けて突出する突出壁とを備え、前記遮熱板は、前記突出壁の下流側に隣接して設けられ、上流側の端部に前記ダクトプレート側に延出する延出部が形成されていることを特徴とする。
一方、補強リブは、主にダクトプレートと熱の授受が行われ、ダクトプレートの温度変化に従って緩やかに温度が変化する。
すなわち、ガスタービンの起動時及び停止時において、ダクトプレートと補強リブとの温度変化の速度の差分が小さいものとなり、ダクトプレートと補強リブとで大きな温度差が生じない。
従って、ダクトプレートと補強リブとに熱応力が発生することを抑制することができると共に、低サイクル疲労が発生することを抑制することができる。
よって、長期的な使用が可能で、メンテナンスの労力を低減することが可能となる。
さらに、上流側端部に前記ダクトプレート側に延出する延出部が形成されているので、排気ガスが断熱層に流れ込むことを抑制する。
すなわち、断熱効果が高められ、ダクトプレートと補強リブとの温度差をさらに縮小することができる。
この構成によれば、前記遮熱板は、複数の遮熱板片が熱変形可能に周方向に連設してなるので、遮熱板片が熱変形しても周方向に拘束を受けず、自らの熱変形によって熱応力が生じない。
そして、既存の排気ダクトの内径の大きさに関わらず、容易に遮熱板を取り付けることが可能となる。
この構成によれば、スライド係止体を備えるので、簡易な構成で遮熱板を径方向に係止すると共に周方向に熱変形させることが可能となる。
この構成によれば、互いに隣接する二つの遮熱板片が間隙を置いて連設され、この間隙を被覆する被覆板片を備えるので、隣接する遮熱板片の相互干渉を避けて遮熱板片を熱変形させることができる。これにより、隣接する二つの遮熱板片間が相互に拘束を受けず、熱応力が生じない。
この構成によれば、断熱層には繊維材料からなる断熱材が設けられているので、断熱効果が高められ、ダクトプレートと補強リブとの温度差をさらに縮小することができる。
一方、補強リブは、主にダクトプレートと熱の授受が行われ、ダクトプレートの温度変化に従って緩やかに温度が変化する。
すなわち、ガスタービンの起動時及び停止時において、ダクトプレートと補強リブとの温度変化の速度の差分が小さいものとなり、ダクトプレートと補強リブとで大きな温度差が生じない。
従って、ダクトプレートと補強リブとに熱応力が発生することを抑制することができると共に、低サイクル疲労が発生することを抑制することができる。
よって、長期的な使用が可能で、メンテナンスの労力を低減することが可能となる。
図1は、本実施形態に係るガスタービンシステムSの下流側の一部を示した概略構成図である。図1に示すように、このガスタービンシステムSは、ガスタービンTの最下流側に位置する後部排気室Rに直結される排気ダクト1と、この排気ダクト1に第一エキスパンションE1を介して接続されたスクウェアダクトDと、このスクウェアダクトDに第二エキスパンションE2を介して接続された排ガスボイラ接続口Bを備えている。
このダクトプレート2は、後部排気室Rと同一の材料が用いられており、具体的には、マルテンサイト系ステンレス鋼(SUS410)が用いられている。すなわち、補強リブ3とダクトプレート2の熱膨張率が等しくされて、後部排気室Rの接合部r1と、ダクトプレート2の接合部2aとの間で径方向の熱変形量が略等しくなるようにされている。
この補強リブ3は、図1から図3に示すように、ダクトプレート2の外周面2bから径方向外方に突出しており、径方向の断面形状が略矩形とされたものである。このような補強リブは、図3に示すように、外周面2bに沿ってダクトプレート2の周方向に環状に設けられている。
この補強リブ3は、ダクトプレート2と同一のステンレス鋼(SUS410)が用いられている。すなわち、補強リブ3とダクトプレート2との熱膨張率が等しくされている。
遮熱板片11は、図5に示すように、厚さ方向に湾曲した板状の部材であり、長手方向に直交する厚さ断面が円弧状となっている(図5(b)参照)。
この遮熱板片11は、凹面11aと凸面11bとを法線方向に貫通する複数の貫通孔を有している。この貫通孔は、遮熱板片11の長手方向両側に6つずつ(2行3列)形成されている。この複数の貫通孔は、十一個の大径孔11cと、一つの基準孔11dとからなり、1行目2列目(長手方向における一端11e,他端11fのうち、一端11eの端縁に沿って形成された三つの貫通孔のうち二番目の貫通孔)に基準孔11dが形成されている。
なお、大径孔11cは、孔径がd1となっており、基準孔11dは、孔径d2となっている。
なお、図7においては、理解容易のため、遮熱板10、遮熱板片11及び被覆板片12を直線で表示しているが、本来は湾曲している。
この被覆板片12は、凸面12aを隣接する二つの遮熱板片11の双方の凹面11aに対向させた状態で、これら隣接する二つの遮熱板片11に亘って重ねられ、間隙Cを被覆している。この状態において、これら隣接する二つの遮熱板片11の一方に溶接接合されている。
なお、遮熱板片11及び被覆板片12は、ダクトプレート2と同一のステンレス鋼(SUS410)が用いられ、補強リブ3及びダクトプレート2と熱膨張率が等しくされている。
各スライド係止体20は、図7に示すように、二つのスライド板21と、スライドピン22と、二つの六角ナット23とから構成されている。
二つのスライド板21は、図6及び図7に示すように、それぞれ中空円盤状の部材であり、内孔21aにスライドピン22が嵌挿されている。
スライドピン22は、図7に示すように、孔径d2(実際にはd2よりも僅かに小さい)のものであり、外周に雄ネジ部が形成されて六角ナット23と螺合している。このスライドピン22は、一端がダクトプレート2の内周面2cに溶接接合されている。
六角ナット23は、ナット外径が大径孔11cよりも小さいものである。
一方、大径孔11cに取り付けられたスライド係止体20は、六角ナット23によって固定された二つのスライド板21が、遮熱板片11の径方向の移動を係止すると共に、遮熱板片11が、孔径d3と孔径d2の差分d4だけ周方向及び軸方向に、二つのスライド板21の間をスライド可能とする。
なお、基端側の一方の六角ナット23は、予め定められた位置で廻り止め溶接され、他方の六角ナット23は、図6に示すように、遮熱板片11の長手方向に隣接する六角ナット23とロックワイヤ25で締結されて廻り止めがされている。
突出壁40は、ダクトプレート2の内周面2cから径方向内方に向けて環状に突出しており、上流側において遮熱板10の一端延出部11gに隣接している。
まず、図1に示すように、ガスタービンTを起動すると、ガスタービンTが後部排気室Rから排気ダクト1に排気ガスを排出する。この排気ガスは、約600℃であり、比較的に高温のものである。
この排気ダクト1に排出された排気ガスは、第一エキスパンションE1を介してスクウェアダクトD、第二エキスパンションE2を介して排ガスボイラ接続口Bに順に流れていく。このように、排気ガスが排気ダクト1の内部を連続的に通過していき、排気ダクト1の温度を上昇させる。
なお、各下流側の端部(他端11f側)から回り込むようにして、遮熱板片11と内周面2cとの間に流入しようとする排気ガスは、他端延出部11hによって流入が阻止される。
このようにして、遮熱板10の表面を流れた排気ガスは、第二エキスパンションE2へと流出していく。
具体的には、遮熱板片11が基準孔11d(図5参照)に位置決めされた状態で周方向に熱膨張する。ここで、各大径孔11cにおけるスライド係止体20に着目すると、図9に示すように、スライドピン22を基準にして、遮熱板片11がスライド板21間において周方向両側にスライドし、孔径d3が孔径d3´に広がる。隣接する二つの遮熱板片11においては、二つの遮熱板片11の周方向の熱膨張によって間隙Cが間隙C´に狭まると共に、一方の遮熱板片11(11A)に溶接された被覆板片12が他方の遮熱板片11(11B)側に変位する。この被覆板片12は、変位しても間隙C´(間隙C)を継続して被覆する。
また、複数の遮熱板片11の周方向の熱膨張が、間隙Cに吸収されて、遮熱板片11同士が相互に拘束を受けずに独立して熱膨張するため、隣接する二つの遮熱板片11間が相互に拘束を受けず、熱応力が生じない。
一方、図10(b)に示すように、遮熱板10を備えない排気ダクトにおいては、起動後と停止時にダクトプレートと補強リブとに激しい温度差が生じ、この温度差の範囲が347.1℃となった。
一方、補強リブ3は、ダクトプレート2と断熱材30に挟まれているので、主にダクトプレート2と熱の授受が行われ、ダクトプレート2の温度変化に従って緩やかに温度が変化する。
すなわち、ガスタービンTの起動時及び停止時において、ダクトプレート2と補強リブ3との温度変化の速度の差分が小さいものとなり、ダクトプレート2と補強リブ3とで大きな温度差が生じない。
従って、ダクトプレート2と補強リブ3とに熱応力が発生することを抑制することができると共に、低サイクル疲労が発生することを抑制することができる。
よって、長期的な使用が可能で、メンテナンスの労力を低減することが可能となる。
また、既存の排気ダクト1の内径の大きさに関わらず、容易に遮熱板10を取り付けることが可能となる。
また、上流側端部にダクトプレート2側に延出する一端延出部11gが形成されているので、排気ガスが断熱層に流れ込むことを抑制する。
すなわち、断熱効果が高められ、ダクトプレート2と補強リブ3との温度差をさらに縮小することができる。
例えば、上述した実施の形態では、遮熱板片11の間に間隙を形成し、この間隙Cを被覆板片12で被覆する構成としたが、間隙を設けずに遮熱板片の縁部を重ねる構成としてもよい。この構成においては、遮熱板片の縁部の薄さを調整して、縁部が互い違いに重なるようにしてもよい。
Claims (7)
- ガスタービンに直結される排気ダクトであって、
筒状体を構成するダクトプレートと、
該ダクトプレートの外周部から径方向外方に突出すると共に周方向に環状に設けられた補強リブと、
前記ダクトプレートの内周部に設けられ、前記ダクトプレートの内周面のうち前記径方向において前記補強リブと重なる部分を、前記内周面と間隔を置いて覆って前記ダクトプレートとの間に断熱層を形成する遮熱板と、
前記ダクトプレートの内周面から前記径方向内方に向けて突出する突出壁と、を備え、
前記遮熱板は、前記突出壁の下流側に隣接して設けられ、上流側の端部に前記ダクトプレート側に延出する延出部が形成されていることを特徴とする排気ダクト。 - 前記遮熱板は、複数の遮熱板片が周方向に熱変形可能に連設してなることを特徴とする請求項1に記載の排気ダクト。
- 前記遮熱板片を前記径方向に係止すると共に、前記周方向にスライドさせて熱変形可能なスライド係止体を備えることを特徴とする請求項2に記載の排気ダクト。
- 前記スライド係止体のスライドピンには、二つの六角ナットが前記遮熱板片を介して一方は前記ダクトプレート側に、他方は前記遮熱板片の内周部側に螺着され、
前記遮熱板片の内周部側の前記六角ナットはロックワイヤで締結され廻り止めされたことを特徴とする請求項3に記載の排気ダクト。 - 前記遮熱板は、互いに隣接する二つの遮熱板片が間隙を置いて連設され、
これら隣接する二つの遮熱板片のうちの一方に設けられ、これら隣接する二つの遮熱板片の双方に重なって前記間隙を被覆する被覆板片を備えることを特徴とする請求項4に記載の排気ダクト。 - 前記スライド係止体の前記スライドピンは、前記ダクトプレートに複数立設され、
隣接する一対の前記スライドピンに前記遮熱板片及びスライド板を介して内周部側に前記六角ナットがそれぞれ螺着され、
前記スライド板上の隣接する一対の前記六角ナットに対し、一方を前記六角ナットが締まる回転方向に、他方を前記回転方向と逆方向に前記ロックワイヤがそれぞれ締結されることを特徴とする請求項4又は5に記載の排気ダクト。 - 前記断熱層には繊維材料からなる断熱材が設けられていることを特徴とする請求項1から6のうちいずれか一項に記載の排気ダクト。
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