JP2012255293A - 構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】津波が来ても押し流されず、居住者が避難場所から帰ってきたときに、津波が来る前と同じ生活に戻ることのできる構造物を提供すること。
【解決手段】耐津波性を高めるため、敷地に施工された基礎部と該基礎部に固接された居住部とを一体として備えた構造物であって、
前記居住部は、居住部内外の連通に用いられる開閉可能な開口部を備えていると共に当該開口部から前記居住部内への水の浸入を防止する水密構造を備え、
前記基礎部の重量は、水没状態の前記構造物に作用する浮力よりも、前記構造物に作用する重力が大きくなるような重量であることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、構造物の津波対策技術に関するものである。
上記技術分野において、特許文献1に示されているように、津波避難用シェルターを備えた家屋が知られている。この津波避難用シェルターは、通常時には家屋の一部として利用することができ、設備構成が簡易というものである。
特開2007−277998号公報
しかしながら、上記シェルターを備えた家屋では、津波が押し寄せたとき、シェルター内の物を守ることができても、シェルターに入れていない住宅内の物を守ることができない。特に、東日本大震災の報道をみても、被災者からは、「元の家に戻りたい」という強い要望があり、単に避難でき被災者の生命を守るだけではなく、被災者の生活空間を守ることが強く求められている。
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る構造物は、
基礎部と該基礎部に固接された居住部とを一体として備えた構造物であって、
前記居住部は、居住部内外の連通に用いられる開閉可能な開口部を備えていると共に当該開口部から前記居住部内への水の浸入を防止する水密構造を備え、
前記基礎部は、水没状態の前記構造物に作用する浮力よりも、前記構造物に作用する重力が大きくなるような重量を有することを特徴とする。
本発明によれば、津波が来ても押し流されず、居住者が避難場所から帰ってきたときに、津波が来る前と同じ生活に戻ることのできる構造物を提供できる。
本発明の第1実施形態である一戸建ての住宅を示す斜視図である。 図1の住宅を示す正面図である。 正面方向から見た断面の住宅構造を示す断面図である。 図2のB−B水平断面の住宅構造を示す断面図である。 第1実施形態の住宅のシャッターユニットを示す正面図である。 図5AのC−C鉛直断面のシャッターユニット枠構造を示す断面図である。 図5BのD−D鉛直断面におけるシャッターユニットのガイドローラ配置を示す正面図である。 図6AのE−E鉛直断面におけるシャッターユニットのガイドローラ配置を示す断面図である。 図6AのF−F鉛直断面におけるシャッターユニットのガイドローラ配置を示す断面図である。 図5のシャッターユニットで用いられているパッキンの延在方向直交断面の構造を示す断面図である。 図8Aのパッキンが昇降板に接している状態を示す断面図である。 別のパッキンの構造例を示す断面図である。 第1実施形態の住宅のシャッターユニットの動作を示す説明図である。 住宅の窓の外側に設置されたシャッターユニットの構造を示す断面図である。 住宅が津波を受けて水没した状態を示す説明図である。 住宅の居住部の形状の他の例を説明するための平面図である。 住宅の居住部の形状の他の例を説明するための正面図である。 第2実施形態の基礎部を備える住宅構造を説明するための説明図である。 第3実施形態の基礎部を備える住宅構造を説明するための説明図である。 第4実施形態の基礎部を備える住宅構造を説明するための説明図である。 第5実施形態の基礎部を備える住宅構造を説明するための説明図である。 第6実施形態の基礎部を備える住宅構造を説明するための説明図である。 第7実施形態の基礎部を備える住宅構造を説明するための説明図である。
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
(第1実施形態)
次に本発明に係る構造物の第1実施形態としての一戸建ての住宅について、図1から図10を用いて説明する。
図1は、本実施形態の住宅100を上から見た斜視図である。図1に示されるように、住宅100は、敷地に施工された基礎部101と、基礎部101に固接された居住部102とを一体として備えている。基礎部101は、地中に埋設されるように構成されている。居住部102は、津波(押し波および引き波)の圧力を受ける2つの短手外壁部121、122と、2つの短手外壁部を接続する2つの平面的な長手外壁部123、124と、屋根125とを備えた構造となっている。津波が来る方向(基本的に海岸線方向)は、あらかじめ分かっているため、このように2つの短手外壁部121、122がその津波方向に向くように住宅100を建築する。これにより、津波が押し寄せた際に住宅100に作用する抗力を最小限にして、倒壊や押し流しによる被害を回避することが可能となる。
図2は、住宅100を長手外壁部123側からみた正面図である。基礎部101は、布基礎部201と、アンカー部202と、鍔(つば)部203とを備えている。布基礎部201は、居住部102との接続のために設置された断面逆T字状の構造体であり、居住部102の外周部および内部の耐力壁・主要な間仕切り壁の下部に連続して設けられている。アンカー部202は、布基礎部201と一体として構成され、強固に地面に固定する重りとなる部分である。一方、鍔部203は、アンカー部202上面の外周に設けられ、押し波および引き波の力をうけても住宅100全体が転倒しないように、踏ん張りを効かせるために設けられている。
布基礎部201、アンカー部202および鍔部203は、いずれも鉄筋コンクリートであり、一体打設工法によって一体に形成されている。なお、本実施形態の鉄筋コンクリートは、特に説明が無い限り、一体打設工法で打設されたものである。
アンカー部202は、住宅のおもりとしての機能を有するものであり基本的に地中に設置される。鍔部203は、居住部102の専有領域よりも外側に広がった大きさである。なお、専有領域とは、平面視したときの居住部102の底面領域に対応する。
鍔部203は、住宅100の安定性を向上させるものとしての機能を有するものであり、アンカー部202の上端外周に設けられている。したがって、住宅100では、居住部102よりも外側に広がったアンカー部202および鍔部203が基礎部101の張り出し部である。
図3は、住宅100を正面方向(長手外壁部123側)からみた鉛直断面の住宅構造を示す断面図である。図3にも示されるように、布基礎部201は、アンカー部202から上方に突出した部分であり、居住部102の外壁(短手外壁部121、122と、長手外壁部123、124)の土台になる部分である。この外壁と布基礎部201は強固に接続され一体に構成されている。
居住部102は、外壁(短手外壁部121、122と、長手外壁部123、124)および屋根125の他に、中間部301を備えている。中間部301は、住宅一階の天井および住宅二階の床部を支える構造体である。外壁、屋根125および中間部301は、いずれも鉄筋コンクリートであり、一体に形成されている。
また、短手外壁部121、122は、鉛直に延びる鉛直部S1と、この鉛直部S1の上端に形成された曲面角部S2とで構成された形状を有する。短手外壁部121、122の上端部が外側に向けて丸みを帯びた曲面形状であれば、住宅全体が水没するような大きな津波が押し寄せた際に住宅100に作用する抗力を小さくすることができる。津波の際に住宅100に作用する抗力を抑制できれば、住宅の破壊や押し流しを防止することができる。
屋根125と外壁の連接部分である角部S2は、さらに、補強部材を備えていることが好ましい。補強部材としては、例えば鋼板を挙げることができる。そして、補強部材は、屋根125や外壁を構成する鉄筋コンクリートの構成材料の一つである鉄筋と接続されていることが好ましく、一体であることがより好ましい。さらに、補強部材の配置としては、角部の外面に露出した状態になる配置と、屋根125や外壁を構成する鉄筋コンクリート内に埋設された状態になる配置とを挙げることができる。屋根125と外壁の角部S2が補強部材42を有するものであれば、浮力に対する住宅100の強度が向上し、かつ津波により生じる抗力に対する住宅100の強度が向上する。
図4は、図2のB−B水平断面の住宅構造を示す断面図である。図4に改めて示されるように、外壁は、短手外壁部121、122と、これらの短手外壁部121、122を接続する2つの長手外壁部123、124とを備えている。また、居住部102は、内部に車庫410を備えている。
ここでは、例として水平断面形状が半円弧の短手外壁部121、122を図示している。つまり、円弧の中心Cと円弧両端とを結んで得られる線分の中心角αは180度である。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、中心角αは90度以上180度以下であればよい。更に、津波からの抗力を軽減する形状であれば、短手外壁部121、122の断面の外周は、楕円や他の曲線を描くような曲面であってもよい。
長手外壁部123、124は、玄関401、窓402および車庫入口403を備えている。また、玄関401、窓402および車庫入口403は、それぞれ扉体(窓ガラスやシャッターを含む)411、421、431を備えている。玄関401は、長手外壁部123、124に一体に固定された玄関枠(開口部)に取り付けられた扉体411を備えている。窓402は、長手外壁部123、124に一体に固定された窓枠(開口部)に取り付けられた扉体421を備えている。したがって、玄関401、窓402および車庫入口403は、扉体411、421、431を移動させることによって開閉可能である。玄関401、窓402および車庫入口403は、いずれも、長手外壁部123、124の最外面よりも居住部102内側に配置されている。そのため、扉体411、421、431の外側には、長手外壁部123、124の外面よりも居住部102内側に凹んだ凹部空間(隙間領域)412、422、432が形成されている。
玄関401、窓402および車庫入口403の外側には、居住部102内への水の浸入を防止するシャッターユニット(水密構造)404、405、406が設けられている。
上述した構造である本実施形態の住宅100は、津波対策住宅として優れている。例えば、住宅100は、長手方向Xの両端部に、水平断面形状が円弧形状である短手外壁部121、122を備えている(図4参照)。したがって、住宅100に向けて、どのような向きから津波の押し波や引き波が押し寄せてきたとしても、断面円弧形状である短手外壁部121、122の外面に沿って津波が流れることになる。これにより、津波を受けた住宅100に生じる抗力の大きさが抑制され、抗力を支えきれずに住宅100が破壊するようなことが防止される。
本実施形態の住宅100は、津波や風などの流体中に置かれたとき、これらの流体の流れの向きによって生じる抗力の大きさが異なる構造になっている。したがって、津波に着目した場合、津波を受けたときに生じる抗力が最小になる向きを津波の向きに向けて建設しておくことが好ましい。ところが、津波は自然災害であるので、津波の向きを予測して建設する住宅の向きを決めることは必ずしも容易でない。
そこで、津波の向きについて、種々検討したところ、引き波の向きTbの予測は、押し波の向きの予測に比べて容易であることを見出した。つまり、引き波は、押し波の後の戻る波であるので、地表の高低差に従い、高いところから低いところに向けて流れる傾向にある。そして、引き波が押し寄せる際は、その前の押し波が押し寄せる際に比べて障害物が少なくなる傾向にあるので、この点でも、引き波は、地表の高低差に従う傾向が高いと言える。したがって、住宅100の建設位置における引き波の向きは、例えば、この位置における等高線に直交する方向に合致するということができる。
また、海に隣接した平地などでは、押し波の向きのみならず、引き波の向きをも比較的容易に予測可能であると考えられる。このような地域では、押し波の向きおよび引き波の向きのいずれもが、住宅建設位置における等高線に直交する方向に合致するということができる。
したがって、本実施形態の住宅100を建設する場合は、まず、津波の押し波および引き波の向きを予測する。その上で、住宅の居住部の最長部の両端を結んで得られる最長線分LXの向きが、住宅建設地に津波が押し寄せた際の押し波および引き波の向きと合致するように住宅100を建設することが好ましい。
住宅100を、最長線分LXの向きと津波の押し波の向きとが合致する状態に建設する。そうすれば、押し寄せた津波の押し波は、一方の短手外壁部121から他方の短手外壁部122へと、住宅100の長手方向に流れることになり、生じる抗力が抑制される。また、住宅100を、最長線分Lxの向きと津波の引き波の向きとが合致する状態に建設する。そうすれば、津波の引き波は、他方の短手外壁部122側から一方の短手外壁部121側へと、住宅100の長手方向Xに流れることになり、押し波の場合と同様、生じる抗力が抑制される。このように、発生する抗力が抑制されれば、抗力に対応するために必要な居住部強度は小さくてよいこととなり、津波の押し波を受けたことによる居住部102の破壊を効果的に防止できる。
[シャッターユニットの構成]
図5A、図5Bは、シャッターユニット404の枠構造を説明するための内部構成図である。図5Aのように、シャッターユニット404は、玄関401の外側に水密に取り付けられた四角形の枠部501と、枠部501内に昇降可能な昇降板(昇降体)504と、枠部501の下側の一体に取り付けられた昇降板504収納用の収納部505とを備える。なお、昇降板504は、水密中空の四角形の板状体であり、全体として水よりも比重が軽く形成されており水の高さに応じて昇降する。
居住部102の開口部は、開口を開閉する扉体411を備えている。開口部に備えられた水密構造は、開口部の外側に配置された昇降体504を備えている。昇降体504は、扉体411を外側から覆う閉位置と、扉体411が外界に晒される開位置とに昇降可能である。閉位置の昇降体504は、昇降体504と扉体411との間の空間である隙間領域412を外界に対して水密にする。
また、収納部505は玄関下部(地中)に埋設されている。枠部501は、開口部502を形成しており、住宅100の居住部102に出入する者は、開口部502を通り抜けて玄関401に行くことができる。
なお、本実施形態の住宅100では、外界から玄関前の外壁凹部への水の流入は、開口部502を通る経路に限られる。したがって、開口部502を塞ぐと、玄関前の外壁凹部への外界からの水の流入を防止できる。
枠部501は、垂直に延びる左右の縦枠部511,512と、これらの縦枠部511,512の上端に繋がった上枠部513とを備えている。縦枠部511,512および上枠部513は、いずれも長手方向に直交する断面の形状がU形の溝形状であり、溝形状の開口が開口部502に向けられた状態になっている。つまり、上枠部513と、縦枠部511,512は、タイヤの外側ゴムのように、内側に昇降板504を取り込むための開口を有する断面U字形状の構成であり、開口部502の上側を取り囲んでいる。収納部505は、玄関外側のエントランス部の床面高さGd以下の高さになるように埋設されている。昇降板504は、収納部505内の位置504aと枠部501内の位置504b(二点鎖線で示される)との間で昇降可能である。昇降板504が退避位置に位置するとき、昇降板504の上端は、収納部505の上端の高さ位置以下の高さである。
枠部501および収納部505の上端には、開口部502の周囲をぐるりと取り囲むように連続してパッキン503が取り付けられている。パッキン503は、柔軟なゴム素材製の環状の部材である。このパッキン503と上昇位置504bにある昇降板504とが密着することにより、開口部502を水密に塞ぐことが可能となる。
図5Bに示すように、枠部501は、内側板部501aと、その外側に対向する状態で配置された外側板部501bとを備え、さらに上側板部501cを備えている。内側板部501aの内面には、保持部551が取り付けられており、この保持部551にパッキン503が取り付けられている。カバー558は、開口部502の周囲の枠部501に設けられ、枠部501と昇降板504との隙間を小さくする。津波の海水中に異物が混在している場合に、この隙間より大きな異物が内部に侵入するのを防ぐ。これにより、内部の動作の障害となるような異物の侵入を防ぐことができる。
収納部505は、玄関側に配置された内側板部505aと、その外側に対向する状態で配置された外側板部505bとを備え、上端に開口を有する袋状の構成である。そして、収納部505の中空部550に昇降板504を収納可能である。収納部505は、さらに、上端に跳ね上げ式の踏み板559を備えている。この踏み板559が閉じた状態では、収納部505の上端開口は閉口状態にあり、玄関を出入りする者が収納部505の上端に躓くことはない。
踏み板559は、昇降板504の上昇と共に、軸を中心に上向きに角度を変え(図5Bにて点線559aで図示)、昇降板504は、上昇時にスムーズに枠部501内にスライドできる構成となっている。昇降板504が下降して収納部505内に再度収まると、踏み板559は、下向きに回動して元の位置に戻り、収納部505の開口を閉鎖させる。
図5Bに示されるように、収納部505内には、昇降板504の下降限度位置を退避位置(図5Bの実線で示される位置)に位置決めする下端ストッパ553が設置されている。また、上側板部501cの下面には、昇降板504の上昇限度位置を密閉位置(図5Bの二点鎖線で示される位置)に規制する上端ストッパ555が設置されている。これらのストッパ553,555によって、昇降板504の昇降範囲が規制されている。
なお、玄関床面Gdの高さは、地面Gから高くなっていることが好ましく、200mm以上高いことがより好ましい。ここで言う地面Gとは、玄関前に設置したシャッターユニット404の外側の地面(図3の地面G)のことである。玄関床面Gdが地面より高ければ、シャッターユニット404の収納部505に取水口554を設けることができる。取水口554があれば、取水口554から玄関床面Gdと地面Gの段差部の開口を結ぶ取水路Grを形成することができる。この取水路Grがあれば、水位が玄関床面Gdの高さに達する前からシャッターユニット404の収納部505の中空部550に水を取り入れることができる。これにより、水位が上昇したとき、迅速に収納部505に水を取り入れることができるので、水位上昇に応じて迅速に昇降板504を上昇させることができる。
図6A、図6B、図7は、枠部501および収納部505間での昇降板504のスライド機構を説明するための内部構成図である。図5では、シャッターユニット404の枠構造を明確に示すため省略したが、図6A、図6B、図7には枠部501内および収納部505内に設けられた昇降板504の昇降動作を案内するガイドローラ611,612,613,614(図6参照)が開示されている。
ガイドローラ603は、昇降板504の内側面(玄関側の面)541に接する内側ガイドローラ611と、昇降板504の外側面542に接する外側ガイドローラ612と、昇降板504の左右の側面に接する横側ガイドローラ613である。これらのガイドローラ611,612,613を複数備えたことにより、昇降板504をスムーズに昇降させることができる。
図8A、図8B、図8Cは、パッキン503の詳しい構造を説明するための図である。図8Aに示されるように、環状のパッキン503は、枠部501の内側板部541に水密状態で固定された根元部801と、根元部801から突出したリップ部802とを備えている。
リップ部802は、断面形状が細長で先細い形状であり、先端が外側(開口部502とは反対側)に湾曲している。したがって、リップ部802の一方の側面である内側面821は断面凸状の面であり、他方の側面である外側面822は断面凹状の面である。
そして、リップ部802の凸状の内側面821は、図8Aのような自然状態では、全周に亘って、昇降板504の内側面541の位置よりも外側に位置するようになっている。一方、昇降板504が上昇すると、パッキン503は、図8Bに示すように、昇降板504に当接する。上述したように、パッキン503は、開口部502を取り囲むように配置されているので、パッキン503の全周に昇降板504が当接すると、開口部502が塞がれることになり、開口部502から玄関前の外壁凹部36bへの水の流入を防止できる。なお、パッキン503は、いわゆるセルフシールパッキンである。つまり、流入してきた水がパッキン503のリップ部802の凹状面である外側面822に接する状態になると、リップ部802が水圧によって昇降板504に押し付けられる(図8Bの矢印M1参照)。これにより、しっかりとリップ部802が昇降板504に密着され、リップ部802と昇降板504との当接部分の水密性能が向上する。
また、リップ部802は、その先端が枠部501の内側板部541側に向く状態になるまで湾曲している。したがって、昇降板504は、リップ部802の先端に引っかかることなく、スムーズに密閉位置(図5の二点鎖線で示される位置参照)に上昇できる。
なお、パッキンによるシール構造は、図8Cに示されるように、外側パッキン503aと、外側パッキン503aに取り囲まれるように配置された内側パッキン503bとで構成される二重構造であってもよい。このような構成にすると、水密性がより向上する。
次に、上述したシャッターユニット404の住宅に津波が押し寄せた時の位置の変化について図9を用いて詳しく説明する。
通常状態では、シャッターユニット404の昇降板504は、退避位置に位置している。そして、住宅100に津波が押し寄せると、まず、取水口554から海水が収納部505内に流入する(S901)。
この状態で、住宅100に津波が押し寄せて、その水位が退避位置に位置する昇降板504の喫水線位置の高さ位置(昇降板504の上端からHだけ下方の位置)に達し、さらに水位が上昇すると、昇降板504が水に浮いた状態になる。この状態になると、昇降板504は、水位の昇降に応じて自動的に昇降する。つまり、昇降板504は、喫水線よりも上側の浮上部(上端から長さHの部分)を常に水面上に突出させた状態で昇降する。したがって、昇降板504の上縁を乗り越えて玄関401に水が流入することはない。
津波の海面上昇に伴い、昇降板504は、浮力により、複数のガイドローラに沿って上昇する(S902)。昇降板504の上昇に伴い、踏み板559が上方に回動し、開放位置559aに移動する(S903)。
昇降板504は、津波の水位に応じてに徐々に上昇すると、水位が上側パッキン503の高さに達する前に、先に昇降板504の上部が上側パッキン503の高さに達してパッキン503のリップ部802に当接する(S904)。
そして、昇降板504がパッキン503に当接すると、パッキン503のうち昇降板504が当接している部分が水密状態になる。
このように、本実施形態で用いているシャッターユニット404では、常に水面上に出ている昇降板504の浮上部が水面より高い位置でパッキン503に当接して水密状態を確保する。つまり、水密状態が確保された領域の上端(昇降板504の上端)は常に水面より高い位置である。したがって、水位が変動しても、シャッターユニット404の開口部502から玄関401への水の流入は常に防止できる。
さらに水位が上昇すると、最終的に昇降板504は密閉位置に達し(S905)、環状のパッキン503の全周に亘って昇降板504が当接する状態になる。この状態でも、シャッターユニット404の開口部502から玄関401への水の浸入が完全に防止できる。その後、さらに水位Msが上昇して、住宅100が水没状態になっても、開口部502から住宅100内部への水の流入が防止された状態が維持される。
このように、玄関401等の出入り口の外側にシャッターユニットを設置すれば、住宅100に津波が押し寄せても、水位に応じて自動的に昇降板504が上昇して開口部から住宅100内への水の流入を確実に防止できる。
図10は、窓402の外側に設置されたシャッターユニット405の構成を示す図である。窓402の外側に設置されたシャッターユニット405は、大きさが異なる点、収容部1001が地中ではなく窓下空間にある点、収容部1001の最下部に取水口1002がある点を除けば、上述のシャッターユニット404と同様の構造および動作である。また、車庫入口403の外側に設置されたシャッターユニット406も、大きさが異なる点を除けば、玄関外側のシャッターユニット404と同様の構造および動作である。
大きな津波が押し寄せた場合、一戸建ての住宅100はその全体が水没する可能性がある。この場合、玄関401や窓402の開閉可能な開口部から居住部102内に水が浸入するおそれがある。
この点に関して、本実施形態の住宅100は、上述したシャッターユニット404、405、406を備えている。したがって、水位Msの上昇に連れて昇降板504が上昇し、昇降板504によってシャッターユニットの開口部が閉塞される。これにより、居住部102内の水密状態が維持される。なお、住宅100の基礎部101と居住部102は一体であるので、布基礎部201と外壁との境界や屋根125と外壁との境界から水が浸入することもない。この点でも、居住部102内の水密状態が確保されている。
上記実施形態では、玄関前に設置したシャッターユニット404の数は1つであるが、複数設置してもよい。この場合、上記実施形態の住宅の玄関401の扉体411とシャッターユニット404との間の凹部空間412に2つ目以降のシャッターユニットを水密に設置する。したがって、複数のシャッターユニットを設置する場合は、凹部空間412の奥行きを大きく取ることが好ましい。なお、車庫入口403の前のシャッターユニット406の数も複数が好ましい。
(耐津波原理)
住宅100の居住部102が上述のように水密性を備えている場合、津波が押し寄せた場合に、住宅100に浮力が作用する。そして、作用する浮力によって住宅100が浮いてしまうと、住宅100は簡単に流される。本実施形態の住宅100は、この点が考慮された構造であり、住宅100に作用する重力よりも水没状態の住宅に作用する浮力の方が小さくなる構造になっている。
つまり、住宅100は、おもり機能を有するアンカー部202を基礎部101の一部として備えており、このアンカー部202を具備したことで重量(住宅に作用する重力)を大きくしてる。具体的には、基礎部101は、住宅100に作用する重力Gwの方が水没状態の住宅100に作用する浮力Gfよりも大きくするようなアンカー部202を備えている。浮力は住宅全体が水没したとき最も大きくなるからである。したがって、本実施形態の住宅100は水没状態になっても浮かない。
浮力を受けた住宅100が浮くか否かについては、例えば、住宅100に作用する重力Gwから住宅100に作用する浮力Gfを差しい引いた値である余剰重量Wがプラスの値であるか否かによって判断できる。余剰重量Wの値がプラスの値である住宅100は浮力を受けても浮かない。
ところで、そして、浮力Gfは、鉛直上方向きの力であり、しかも直接的には住宅100の居住部102、特に居住部102の屋根125に作用する。ところが、通常の使用状態一戸建て住宅は、地面から遠い上部ほど、上側の構造体から受ける重量が軽くなるため、上側ほど必要な強度が小さくなる。このようなことから、通常の一戸建て住宅では、仮に水没状態での水密性が確保されたとしても、浮力Gfを受けた屋根が破壊されるおそれがある。破壊が生じれば、破壊部分から居住部内に水が流入する。
この点について、本実施形態の住宅100では、屋根125を鉄筋コンクリートで構成しており、浮力Gfによって屋根125が破壊されることが防止されている。
また、屋根125に作用した浮力は、上方への引張り力として外壁に作用し、さらには基礎部101に作用する。本実施形態の住宅100では、屋根125と外壁とが一体に構成されている。この構造であれば、浮力Gf(上方への引張り力)が屋根125と外壁との境界部に作用しても、境界部の破壊が防止される。また、布基礎部201と外壁とを一体に構成しているので、浮力Gf(上方への引張り力)が布基礎部201と外壁との境界部に作用しても、境界部の破壊を防止できる。
このように、本実施形態の住宅100では、屋根125の破壊を防止でき、屋根125と外壁との境界部の破壊を防止でき、外壁と布基礎部201の境界部の破壊が防止できる。これにより、居住部102の水密性がより確実に維持される。
また、津波を受けた場合、津波の力で住宅が転倒するおそれがある。上述したように、津波を受けて水没した住宅には浮力Gfが作用するので、住宅に作用する重力Gwの向きの力は、重力Gwから浮力Gfを相殺した力であり、重力Gwよりも小さい力になる。住宅に作用する重力Gwの向きの力が小さくなれば、住宅の重力モーメントMgも小さくなる。重力モーメントMgが小さくなれば、津波の力で転倒しやすくなる。
この点に関して、本実施形態の住宅100の基礎部101は、鍔部203を備えており、重量モーメントが大きくなっているので、耐転倒性能に優れる。
津波を受けた住宅100の転倒については、例えば、余剰重量Wと、津波を受けた住宅に作用する抗力Fと、住宅の高さBHと、住宅の基礎の長手方向の長さBLとに基づいて検討することができる。つまり、次の式(1)が成立するとき、その住宅は転倒しないと判断することができる。
W> F×BH/BL 式(1)
また、水没状態の住宅100の重力モーメントMgから住宅100を転倒させる向きに作用する転倒モーメントMpを引いた値(余剰重量モーメントWm)がプラスの値か否かによって、住宅100が転倒するか否かを判断することができる。本実施形態の住宅100は、鍔部203を備えている分、重力モーメントMgが大きくなっているので、その分、より大きさの津波を受けても余剰重量モーメントWmの値がプラスに維持されることとなり、転倒が防止される。
なお、図11に示される住宅100の重力モーメントMg(kg・m)は、次の式から算出することができる。
Mg=0.5×BL(m)×Gw(kg) 式(2)
また、転倒モーメントMpは、住宅の基礎の長手方向の長さBLと抗力Fとを乗じた値であり、次式に示されるように、住宅の基礎の長手方向の長さBL、津波の密度ρ、津波の速度V、住宅の津波対向面積S、抗力係数CDを用いて算出することができる。
Mp=0.5×BL×0.5×ρ×V×V×S×CD 式(3)
ここでは、津波の密度ρとして海水密度(1030kg/m3)を用いることができる。一般的な海水密度は1020〜1040kg/m3程度ということができるので、上記海水密度はその中間値である。ただし、津波は、通常、濁流であることから、その点を考慮した値を用いてもよい。例えば、海水密度の値に1.1〜1.5の数値を乗じた値を津波の密度として用いてもよい。また、津波の速度Vとしては、例えば5〜20m/sの値を用いることができる。さらに、住宅の津波対向面積Sとは、津波の方向に直交する向きの住宅断面のうち最大面積のことである。例えば、図11に示される直方体形状の住宅の場合、その津波対向面積Sは、住宅の高さBHと住宅の幅方向の最大の長さBWを掛けて算出される。
また、住宅の長手方向Xの長さと幅方向Yの長さの比、すなわち住宅の長短比(BL/BW、図11参照)は、1.5より大きいことがより好ましく、2以上がさらに好ましい。長短比を大きくすることで、津波に対する住宅の抗力係数CDを低下させることができるからである。抗力係数CDを低く抑えることができれば、津波を受けた住宅に作用する抗力Fが小さくなり、より勢いの強い津波にも耐えることができるようになる。また、住宅の高さBH(図11参照)は、住宅の基礎の長手方向Xの長さBLの1.2倍以下が好ましい。このような形状の住宅は、抗力に対する強度が高い。
[実施形態の変形例]
上記の住宅100では、短手外壁部121、122の水平断面形状(図4参照)は、円弧を描いているが、円弧以外の曲線形状でもよいし、曲線形状以外でもよい。図12に、外壁部121、122の水平断面形状の他の例について示す。
外壁の短手外壁部121、122の水平断面形状としては、例えば、長円形1201、楕円形1202、長六角形1203、長ひし形1205などを挙げることができる。建設の容易性を重視する場合は長六角形や長ひし形などが好ましいと考えられる。ただし、抗力を最小限に抑制するのであれば、外壁の短手外壁部121、122は、外面が曲面であることが好ましく、短手外壁部121、122の外面の水平断面形状が円弧であることがより好ましい。
そして、ここで言う円弧には、真円1204の一部である典型的な円弧の他、楕円1202の一部を構成する円弧が含まれる。したがって、外壁の短手外壁部121、122の水平断面形状になる場合とは、例えば、住宅100の居住部102の水平断面形状が長円形1201、楕円形1202、円形1204の場合である。
抗力係数CDとしては、0.8以下が好ましく、0.6以下がより好ましい。例えば、長短比が2である水平断面形状が長六角形1203の住宅の抗力係数は0.8である。そして、同様に、長短比が2である楕円形1202の住宅の抗力係数は0.6である。さらに、長短比が2である長円形の住宅の抗力係数CDは、0.4である。このように抗力係数の観点からも、上述した長六角形、楕円形、長円形の形状が住宅の水平断面形状として好ましいということができる。さらに、別言すれば、津波を受けた住宅の津波対向面に作用する単位面積当たりの抗力の値が200kgf/m2より小さくなる形状が好ましい。この観点からも、水平断面形状が長六角形、楕円形、長円形である住宅が津波対策住宅として好ましい。
なお、居住部102の水平断面形状は、適宜の高さ位置(1箇所または複数個所)における断面形状に基づいて判断される。水平断面の高さ位置としては、例えば、居住部の中間高さ位置、一階部分の中間高さ位置、二階建てであれば二階部分の中間高さ位置、地面に隣接する地面高さ位置などを挙げることができる。また、地面からの1メートルごとの高さ位置の水平断面形状に基づいて判断してもよい。
また、住宅100の短手外壁部121、122は、図13に示されるように、鉛直断面の上半分(例えば二階建ての二階部分)が円弧1301、1302であってもよい。さらに、鉛直断面全体が円弧になっている形状であってもよい(不図示)。
また、外壁の短手外壁部121、122は、鉛直部S1がその上端側ほど居住部102中心側に傾斜した形状であってもよい。この場合、外壁は、その外面が上側に向いた傾斜状態になる。
また、住宅100の居住部102や外壁は、上記実施形態では厚さが一定であるが、このような形状に限られない。外壁は、例えば、鉛直断面形状が下側ほど(基礎部101側ほど)肉厚になる形状(末広がり形状)であってもよい。
(素材について)
また、住宅100の基礎部101や居住部102の素材は、上記実施形態では鉄筋コンクリートであるが、これに限られない。これらのための素材としては、主たる構造材が鋼である鋼材、主たる構造材がコンクリートであるコンクリート材、主たる構造材が鋼材およびコンクリート材である複合材を用いることができる。
ここでいう鋼材としては、例えば、高張力鋼板などの鋼材を挙げることができる。この鋼板を用いた複合材やこの鋼板自体は、水密性にも優れているので、この点に着目すれば、例えば居住部102の屋根125用の素材として好適であるということができる。
また、ここでいう鋼材とコンクリート材の複合材としては、例えば、鉄筋コンクリート(RC)、プレストレスト・コンクリート(Prestressed Concrete、略称はPC)を挙げることができる。また、プレストレスト・コンクリートとしては、例えば、プレストレスト・レインフォース・コンクリート(Prestressed Reinforced Concrete、略称はPRC)、パーシャリー・プレストレスト・コンクリート(Partially Prestressed Concrete、略称はPPC)を挙げることができる。そして、プレストレスト・コンクリートを造る方法としては、例えば、コンクリート打設前にPC鋼材を緊張させるプレテンション方法と、コンクリート打設後にPC鋼材を緊張させるポストテンション方法を挙げることができる。プレストレスト・コンクリートは、引っ張り力に対して高強度であるので、その点に着目すれば、例えば居住部102の外壁の材料として好適であるということができる。
また、本実施形態の住宅100では、上述したように、居住部102を構成する各部材同士が一体であり、基礎部101と居住部102も一体である。この点について、本実施形態では、隣接する部材同士が一体であるか否かを、次に列挙している要件に基づいて判断する。つまり、次に列挙した2つの要件を一つ以上具備している場合、隣接する部材は相互に一体である。
第1要件とは、隣接する部材の構成要素である鋼材同士が一体ということである。隣接する部材の鋼材同士が一体である場合とは、例えば、継ぎ目のない鋼材が隣接する部材の鋼材として用いられている場合である。
第2要件とは、隣接する部材の構成要素であるコンクリート材同士が一体ということである。隣接する部材の構成要素であるコンクリート材同士が一体である場合とは、例えば、隣接する部材を構成するコンクリートが同時に打設されている場合である。
また、基礎部101は、上記実施形態では、一体打設工法によって一体的に構成されたものであるが、工法はこれに限られるものではなく、種々の方法で施工することができる。
(本実施形態の効果)
以上の通り、住宅の開口部に水密構造を備えたので、開口部から居住部内への水の浸入が防止され、居住部内の浸水が防止される。また、居住部の容積は、住宅に作用する重力よりも水没状態の住宅に作用する浮力の方が小さくなる容積になっているので、住宅が水没しても浮くことがない。浮かない状態の住宅は、津波の力を受けても転倒しにくいので、居住部内が守られる。津波から避難した被災者であっても、津波が引いた後、家でそれまで通りの生活を続けることが可能となる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態としての住宅1400について図14を用いて説明する。
住宅1400の基礎部1401は、地盤を構成する土を基礎の一部として取り込んだ構造になっている。図14に示される基礎部1401は、概略的には、次のように施工される。まず、敷地の地盤中に防錆の鉄筋又鉄骨などの構造材を用いた篭状の基礎構造1411を一体形成する。篭状の基礎構造1411の内部は多数の鉄筋または鉄骨などの構造材を柱状に一体形成した構成となっている。篭状の基礎構造1411の上端が地面の高さ位置になるように施工することが好ましい。また、基礎構造1411の下部が地中に埋設され、上部が露出された状態になるようにすることが好ましい。
基礎構造1411の形状としては、種々の形状が考えられるが、図14に示される直方体メッシュ形状が好ましい。そして、構造材は、基礎構1411の外周部だけでなく、内部にも配置されていることが好ましい。この構造にすると、施工後の基礎部1401の強度が向上し、変形がより確実に防止される。
また、篭状の基礎構造1411を形成する際、基礎構造1411の底面の内側1412と、外周面の全周内側に、剛性、通水性および通気性を有するボード1413を配置する。ここで用いるボード1413としては、例えば、プラスチック、グレーチングを挙げることができる。その後、露出している基礎構造1411の上部に生コンクリートを流し込み、一体打設工法によって基礎部1401および居住部1402を施工する。
このようにして基礎部1401を施工すれば、地盤を構成している土1421を篭状の基礎構造1411内に取り込むことができ、地盤の土を基礎の一部として利用することができる。地盤の一部を基礎として利用できれば、より重い基礎を作ることができる。また、同じ重さの基礎を、これまでよりも少ないコンクリート材料を使って作ることができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態としての住宅1500について図15を用いて説明する。図15に示される基礎部1501は、概略的には、次のように施工される。まず、敷地を取り囲む擁壁1503を造る。擁壁1503は底部1532と周壁1531とが一体に形成されたものであり、底部1532と周壁1531の下部が地中に位置し、周壁1531の上部が地上に露出した状態である。なお、底部1532には、例えば中央に、貫通穴1504を設けておくことが好ましい。また、周壁1531の上部は、外面が外側に凸の曲面であることが好ましく、水平断面形状が円弧形状であることがより好ましい。
次に、擁壁1503の中に土1421を充填すると共に、同時に、図14に示される基礎部101と同様の基礎部1501を擁壁の内側に施工する。なお、この部分の施工方法は、図14の基礎と同様であるので、ここではその詳細な説明を省略する。なお、擁壁1531の外面は、下側ほど広がる末広がり状に傾斜させたものでもよい。
このような擁壁1503を備える基礎部1501では、擁壁1503の上端面の高さが住宅の実質的な敷地の高さになるので、住宅をより高い位置に建設することができる。住宅を高い位置に建設できることは、津波対策として極めて優れている。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態としての住宅1600について図16を用いて説明する。住宅1600が建設される敷地面Ghの高さ位置は、地面Gより高い位置となっている。基礎部1601のように、篭状の基礎構造1603の外周を構成している鉄筋等の構造材とコンクリートとで複合材を構成してもよい。つまり、基礎部1601の外周を鉄筋等の構造材とコンクリートとの複合材1604で取り囲む構成にしてもよい。この場合、基礎構造1603の底面の中央部にはコンクリートを流し込まず、基礎構造内部の土と外部の土との間の通気性や通水性を確保する開口部1631を形成するようにしてもよい。
そして、基礎部1601の上部のコンクリート部分に、基礎構造内部に包含された土の領域に連通する連通穴を形成する。この連通穴、通気性および通水性を有するものである。このような構造にすると、基礎部1601をより強固にすることができる。
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態としての住宅1700について図16を用いて説明する。敷地面Ghの高さが地面Gより高い場合は、図17に示されるように、基礎の内部であって地面Gよりも上方の位置に、基礎中空部1701を形成してもよい。
基礎中空部1701は、一端に開口aを備えているものであり、例えば駐車スペースとして利用できる。そして、基礎中空部1701の一端開口には、シャッターユニット406が設置されている。シャッターユニット406を設置すれば、上述した実施形態と同様、基礎中空部1701内への水の侵入が防止され、基礎中空部1701内の物を水害から守ることができる。なお、基礎中空部1701は、両端が開口した貫通状態のものでもよい。この場合、両開口部にシャッターユニットを設置することが好ましい。
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態としての住宅1800について図18を用いて説明する。図18の基礎部1801は、いわゆる薬液注入工法によって施工されたものである。薬液注入工法とは、概略的には、地盤中に薬液を注入して地盤の透水性を低下させたり、地盤強化を図ったりする地盤改良工法の一種である。これまでに用いられている工法であるので、ここではその詳細な説明を省略する。そして、ここで用いる薬液とは、地盤を構成する土を固化させるためのものであり、例えば、主体が水ガラス系薬剤液であり、これに2種類〜3種類の硬化材や助剤が添加されたものである。なお、この薬剤による地盤固化までの所要時間は、薬液の成分を調整することで任意の時間に調整することが可能である。
図18に示される基礎部1801は、概略的には、次のように施工される。まず、敷地の地盤に、防錆の鉄筋又鉄骨で構成される構造材を多数埋め込む。この実施形態では杭1803が埋め込まれている。杭1803を埋め込む方法としては、打ち込みや差込など種々の方法を挙げることができる。杭(構造材)1803としては、外周面に凹凸を有するものが好ましい。外面に凹凸を有する材料としては、例えば、螺旋形状の杭を挙げることができる。
その後、杭1803を埋め込んだ部分の地盤に上述した成分の薬液を注入する。すると、薬液の作用で地盤が固化され、固化された地盤と螺旋形状の杭1803が強固に一体化される。別言すれば、地盤と基礎部1801の下部が一体のブロックを構成する状態になる。
そして、その後、基礎部1801の上部から居住部1802の外壁および屋根125の部分にコンクリートを流し込み、一体打設工法によって、基礎部101e、外壁および屋根125を施工する。
このようにして施工された基礎部1801は、地盤と一体化した状態になるので、津波を受けた住宅に作用する抗力や浮力に対する強度を向上させることができる。
[第7実施形態]
上述した第1実施形態の住宅の基礎部101は、鍔部203などの張り出し部を備えており、これにより地面Gとの設置面積が大きくなっている。そして、基礎部101と地面Gとの設置面積を大きくすることで、津波による住宅100の押し流しをより確実に防止している。
ところが、地盤の弱いところでは、地面Gとの間に、押し流しに対向できる十分な力が生じない虞がある。この点、住宅の基礎が複数の杭を地中に備えているものであれば、津波による住宅の押し流しがより確実に防止される。なお、杭としては、例えば、基礎のアンカー部から地中に向けて下側に延びたものを挙げることができる。杭を形成する方法としては、例えば、打ち込む方法を挙げることができる。
この方法について、図19を用いて説明する。図19に示されるように、住宅1900の基礎部1901は、地中に食い込んだ複数の杭1911を備える。基礎部1901は、下方に延びる杭1911が一体化されたものである。この杭1911は、地中の岩盤GRに打ち込まれたものである。
基礎部1901は、概略的には、次のように施工される。まず、敷地に窪みを形成し、岩盤GRに向けて複数の鉄筋コンクリート製のパイル(杭)1911を打ち込む。次に、このパイル1911の上方に直方体形状で篭状の基礎構造1912を作る。このとき、篭状の基礎構造1912とパイル1911とを連結させることが好ましい。篭状の基礎構造1912とパイル1911とを連結させる方法としては、例えば、鉄筋コンクリート製のパイル1911側の鉄筋と基礎構造1912側の鉄筋とを組むことが考えられる。このような構造にすれば、基礎部1901とパイル1911とを一体化することができる。
その後、基礎構造1912の部分に生コンクリートを流し込んで基礎部1901を施工すると共に居住部1902の外壁および屋根1925の部分にも生コンクリートを流し込み、一体打設工法によって、基礎部1901、外壁および屋根1925を施工する。
このようにして施工された基礎部1901は、地盤と一体化した状態になるので、津波を受けた住宅に作用する抗力や浮力に対する強度を向上させることができる。つまり、基礎部1901がこのような杭1911を備えていれば、津波を受けた住宅が押し流されることをより確実に防止できる。
さらに、住宅1900は、屋根1925に天窓1909を備えている。屋根1925は、水位が下がったときに最初に水面上に現れる部分である。したがって、この位置に天窓1909があれば、水位が下がったときに、いち早く換気をすることができ、天窓1909から居住部1902の外に出ることができる。
100…住宅、101…基礎、21…アンカー部、22…布基礎部、23…鍔部、
102…居住部、121,122…短手外壁部、123、124…長手外壁部、125…屋根
301…中間部、
401…玄関、402…車庫入口、403…窓、404…玄関のシャッターユニット、405…窓のシャッターユニット、406…車庫入口のシャッターユニット、
上記目的を達成するため、本発明に係る構造物は、
基礎部と該基礎部に固接された居住部とを一体として備えた構造物であって、
前記居住部は、居住部内外の連通に用いられる開閉可能な開口部を備えていると共に当該開口部から前記居住部内への水の浸入を防止する水密構造を備え、
前記基礎部は、水没状態の前記構造物に作用する浮力よりも、前記構造物に作用する重力が大きくなるような重量を有し、
前記居住部の開口部は、開口を開閉する扉体を備えており、
前記開口部に備えられた前記水密構造は、前記開口部の外側に配置された昇降体を備えており、
当該昇降体は、前記扉体を外側から覆う閉位置と、前記扉体が外界に晒される開位置とに昇降可能であり、
前記閉位置の前記昇降体は、当該昇降体と前記扉体との間の空間である隙間領域を外界に対して水密にすることを特徴とする。
前記昇降体が、水よりも比重が軽く、前記居住部外の水位に応じて昇降することは好適である。
前記基礎部の上方部分が、前記居住部の底面領域の外側に向けて広がった張り出し部を備えたことは好適である。
前記居住部の外壁が、外側に凸となる短手外壁部を、津波の寄せ波を受けるべき第1の位置と、引き波を受けるべき第2の位置の、計2つの位置に備え、2つの前記短手外壁部を2つの長手外壁部で接続した構成であることは好適である。
前記短手外壁部の水平断面の外周が、中心角が90度以上180度以下の円弧であることは好適である。
前記開口部が、前記長手外壁部にのみ形成されていることは好適である。

Claims (10)

  1. 基礎部と該基礎部に固接された居住部とを一体として備えた構造物であって、
    前記居住部は、居住部内外の連通に用いられる開閉可能な開口部を備えていると共に当該開口部から前記居住部内への水の浸入を防止する水密構造を備え、
    前記基礎部は、水没状態の前記構造物に作用する浮力よりも、前記構造物に作用する重力が大きくなるような重量を有することを特徴とする構造物。
  2. 前記基礎部が、前記居住部の底面領域の外側に向けて広がった張り出し部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の構造物。
  3. 前記居住部の外壁は、外側に凸となる短手外壁部を、津波の寄せ波を受けるべき第1の位置と、引き波を受けるべき第2の位置の、計2つの位置に備え、2つの前記短手外壁部を2つの長手外壁部で接続した構成であることを特徴とする請求項1または2に記載の構造物。
  4. 前記短手外壁部の水平断面の外周は、中心角が90度以上180度以下の円弧であることを特徴とする請求項3に記載の構造物。
  5. 前記居住部は、水平断面形状が長円形であることを特徴とする請求項4に記載の構造物。
  6. 前記開口部は、前記長手外壁部にのみ形成されている請求項3乃至5のいずれか1項に記載の構造物。
  7. 前記居住部は、前記外壁と、前記外壁の上部に配置された屋根とを備えており、
    前記外壁と前記屋根とは一体であることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の構造物。
  8. 前記外壁と前記屋根との連接部分の外面の鉛直断面は、曲線で構成されることを特徴とする請求項7に記載の構造物。
  9. 前記居住部の開口部は、開口を開閉する扉体を備えており、
    前記開口部に備えられた前記水密構造は、前記開口部の外側に配置された昇降体を備えており、
    当該昇降体は、前記扉体を外側から覆う閉位置と、前記扉体が外界に晒される開位置とに昇降可能であり、
    前記閉位置の前記昇降体は、当該昇降体と前記扉体との間の空間である隙間領域を外界に対して水密にする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の構造物。
  10. 前記昇降体は、水よりも比重が軽く、津波の水位に応じて昇降することを特徴とする請求項9に記載の構造物。
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