以下、実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施形態)
以下、第1の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施の形態の画像形成装置1の構成を示す構成図である。図2は画像形成装置1のレジストローラ26付近の拡大図である。画像形成装置1は、プリントやコピーやスキャンなどを行うMFP(Multi Function Peripheral)である。画像形成装置1は、画像形成部1Aと、シート供給部1Bと、画像読取部1Cと、プロセッサ2と、メモリ4と、補助記憶装置6などを備える。
まず画像形成部1Aは、プリント処理やコピー処理の際にシートに画像を形成する処理を行う。画像形成部1Aは、プリントジョブやコピージョブに基づいてシート供給部1Bから供給される用紙等のシートに画像を形成する。
画像形成部1Aは、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックにそれぞれ対応する4つのプロセスユニット100と、像担持体としての中間転写ベルト8と、定着装置10などを備える。
プロセスユニット100は、対応する色のトナー像(現像剤像)を中間転写ベルト8上に形成する。各プロセスユニット100は、感光ドラム102や現像器や1次転写ローラなどを備える。
中間転写ベルト8は、各色に対応する感光ドラムに形成されたトナー像が感光ドラムから重ねて転写(一次転写)され、中間転写ベルト8に1つのトナー像が形成される。そして、中間転写ベルト8は、形成されたトナー像を、二次転写位置Tにおいて、シートに転写する。シートへの転写は、二次転写位置Tの二次転写ローラ9とベルトを挟んで対向する二次転写対向ローラとでシートをニップすることで中間転写ベルト8からシートにトナー像が転写される。
定着装置10は、二次転写位置Tにおいてシートに転写されたトナー像を熱によりシートに定着する。
以上の構成を備える画像形成部1Aによる画像形成処理の概要を説明する。まず画像形成装置1がコピージョブやプリントジョブを取得すると、各プロセスユニット100の帯電チャージャにより帯電した感光ドラム102の表面にプリントジョブの画像データに基づきレーザビームが照射され、静電潜像が形成される。そして現像器が静電潜像が形成された感光ドラム102にトナーを供給する。トナーの供給により、感光ドラム102に形成された静電潜像が顕像化される。そして感光ドラム102は、一次転写ローラが配置される一次転写位置でトナー像を中間転写ベルト8に一次転写する。中間転写ベルト8の回転によって各色の感光ドラム102により各色のトナー像が順次一次転写され、中間転写ベルト8に画像データに対応するトナー像が形成されると、二次転写位置Tにおいて給紙カセット20から搬送されたシートにトナー像が二次転写される。トナー像が転写されたシートは定着装置10に移動する。定着装置10は、加熱によりトナー像をシートに定着する。トナー像が定着されたシートは搬送路を通って排紙トレイ12に排出される。以上が画像形成装置1による画像形成処理の概要である。
シート供給部1Bは、画像形成部1Aに対してシートを供給する。シート供給部1Bは、給紙カセット20と、ピックアップローラ22と、搬送ローラ24と、レジストローラ26と、押出し部材であるカム28と、センサ30、ガイド壁32、34などを備える。なお図1においては給紙カセット20やピックアップローラ22を4つ備える画像形成装置を示している。
給紙カセット20は、画像を形成する用紙などのシートを収容する。
ピックアップローラ22は、給紙カセット20からシートを1枚ずつ取り出す。ピックアップローラ22によって取り出されたシートは、搬送路に配置されるいくつかの搬送ローラ対によって搬送され、レジストローラ26によってレジストレーションされた後、二次転写位置Tに送り出される。
搬送ローラ24は、給紙カセット20からシートをレジストローラ26に向けて搬送するローラ対である。
レジストローラ26は、レジストレーションを行って二次転写位置Tにおいてトナー像がシートの適切な位置に転写されるように最適なタイミングでシートを送り出す。具体的には、レジストローラ26の回転が停止している状態で搬送ローラ24から送り出されたシートの先端部をレジストローラ26のニップ部に当接させて一時的に停止させた後、トナー像の二次転写位置Tに移動するタイミングに合わせてシートを送り出すことでシートの適切な位置にトナー像を転写できる。また、レジストローラ26にシートを当接させて先端部が停止した際に、上流側の搬送ローラ24がシートをさらに送り出すことでシートをたわませてシートの斜行を補正することもできる。
レジストローラ26はモータと電磁クラッチを介して接続される。モータからの動力が電磁クラッチにより伝達されるとレジストローラ26は回転し動力が遮断されると回転が停止する。またレジストローラ26のローラ対は、加圧機構により少なくとも一方が他方に対して押し付けられている。このローラ対の圧力により、搬送ローラ24によって搬送されてきたシートの先端をレジストローラ26のニップ部の位置(レジスト位置)で止めることができる。
カム28は、レジストローラ26に対して搬送されてきたシートに当たって、シートをシートの搬送方向に対して外側(搬送方向に対して異なる角度の方向)に向けて押し出し、シートを屈曲させる部材である。カム28はセンサ30とプロセッサ2によって実現される制御機能とにより、シートがレジストローラ26のレジスト位置に到達する直前にシートの表面を押し出す。
このカム28はモータからの動力が電磁クラッチを介して伝達されて回転する。カム28の形状は、回転してシートに当たってシートを外側に押し出すことができれば特に限定されないが、たとえば搬送ローラ24の軸方向から見た形状が図に示すように卵形の部材であればよい。また、カム28はシートの幅方向の全体を外側に押し出すのが好ましいので、搬送ローラ24の軸方向において複数箇所にカム28が配置されることが好ましい。たとえば、シートの幅方向の中央位置とその両側というように3箇所に配置されてもよいし、中央位置を挟んで両側に2箇所ずつ計4箇所配置されてもよい。カム28が搬送されるシートの幅方向において複数箇所配置されることで、シート全体を押し出すことができる。
またカム28はシートを押し出す際にシートの搬送方向に沿った方向に回転してシートを押すことが好ましい。シートの搬送方向に逆らった方向に回転するとレジストレーションの妨げになったり、ジャムの原因になる。
レジストローラ26に対して搬送されるシートがカム28によって押されることで、シートが搬送方向に進む力がカム28によって押される方向に分散して小さくなる。また、シートが予めたわんだ状態でレジストローラ26対のニップ部に当たるので、シートが前方に進む力がたわみによって吸収され、同様に進む力が小さくなる。シートの進行する力が小さくなることで、厚紙のように坪量の大きいシートであってもレジストローラ26対の間からシートの先端が飛び出してしまうことを抑制できる。
センサ30はレジストローラ26のシート搬送方向上流側の位置に配置され、搬送されるシートの通過を検知する。搬送されるシートの先端がセンサ30に当たってセンサ30が押し上げられて回転することでシートの通過を検知する。センサ30によるシートの検知により、シートを押し出すためにカム28の回転が開始される。なおセンサ30は、センサ30によってシートの先端が検知されてからシートがレジスト位置に到達する前にカム28がシートを押し出すことができる程度に、レジストローラ26から離れた位置に配置されることが好ましい。センサ30がレジストローラ26に近すぎて、カム28によってシートが押される前にシートの先端がレジスト位置に到達してしまうと、カム28がシートを押し出すことの作用が十分得られない。
カム28とセンサ30は回転軸を中心として回転する。これらの回転軸はガイド壁32の内側にあり、センサ30は先端側が搬送路内に飛び出しており、カム28は回転して先端部側が搬送路内に出るようになっている。そのためカム28センサ30の位置にはガイド壁32にスリットが形成されている。また、ガイド壁32の対向する側にもガイド壁34が形成され、ガイド壁34はシートをレジストローラ26にガイドする。特に本実施形態ではカム28によってシートが押し出されるので、シートの先端部が確実にレジスト位置に導かれるように形成されることが好ましい。なお、手差し給紙の搬送路や両面印刷時の反転搬送路が無い場合には、ガイド壁34が搬送ローラ24からレジストローラ26までの範囲に形成されてもよい。この場合には、ガイド壁34はカム28が回転する際に接触しないように外側に退避した形状(図2において破線で示すような形状)であればよい。
ここで、図3に基づいて、カム28とセンサ30によってレジストローラ26に対して搬送されるシートを外側に押す機構について詳細に説明する。図3はカム28の動作を説明する図であり、図3(a)はセンサ30がシートを検知するタイミングでの状態を示し、図3(b)はカム28が回転してシートを押し出しているタイミングでの状態を示す。
図3(a)に示すように、まず搬送ローラ24などのローラによってシートがレジストローラ26に向けて搬送され、シートの先端がセンサ30に当たってシートの通過が検知される。センサ30がシートを検知すると、モータによってカム28が駆動されて図3(a)に示すカム28の初期位置から回転する。そしてカム28は図3(b)に示す位置(押出し位置)まで回転して、カム28がシートの面に当たってシートを外側に押し出す。回転するカム28がシートに当たってシートが押されることでシートは屈曲する。このように搬送されるシートがカム28によって押されることで、レジストローラ26に向かって搬送されているシートの勢いが弱められてからシートの先端がレジストローラ26のニップ部に当たるので、ニップ部からのシート先端部の飛び出しを抑制できる。
画像読取部1Cは、コピーやスキャンを行う際に原稿から画像を読み取る装置であり、コピー機やイメージスキャナなどが備える画像読取装置である。
プロセッサ2は、画像形成部1Aや、シート供給部1Bや、画像読取部1Cなどにおける様々な処理を制御する処理装置である。プロセッサ2は、メモリ4や補助記憶装置6が記憶するプログラムを実行することにより様々な機能を実現して処理を実行する。プロセッサ2はシート搬送制御プログラムを実行してレジストローラ26やカム28の動作を制御する。
プロセッサ2としては、CPU(Central Processing Unit)や、CPUと同等の演算処理を実行可能なMPU(Micro Processing Unit)などを用いる。また、画像形成装置1が備える機能の一部または全部をプロセッサとしてのASIC(Application Specific Integrated Circuit)が実現してもよい。
メモリ4は、画像形成部1Aでの画像形成処理やシート供給部1Bでのシート供給処理や画像読取部1Cでの画像読取処理などをプロセッサ2が実行するためのプログラムを記憶する主記憶装置である。またメモリ4はプロセッサ2に一時的な作業領域を提供する。メモリ4としては、たとえばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、VRAM(Video RAM)、フラッシュメモリ等を用いる。
補助記憶装置6は、画像形成装置1における様々な情報を記憶する。補助記憶装置6は、たとえばハードディスクドライブ等の磁気記憶装置、光学式記憶装置、半導体記憶装置(フラッシュ・メモリ等)又はこれら記憶装置を組み合わせたものを用いる。
以上が、本実施形態の画像形成装置1の構成である。
次に画像形成装置1におけるシートの搬送制御方法のうち、本実施形態にかかるカム28の動作を伴うレジストレーション処理方法を説明する。まず画像形成装置1が備えるカム28の制御に関する機能を説明する。図4は画像形成装置1のカム28の制御に関する機能を示す機能ブロック図である。
画像形成装置1は、検知信号取得部200と、カム駆動制御部202と、レジストローラ制御部204とを備える。これらの機能はプロセッサ2がシート搬送プログラムを実行することで実現される。
検知信号取得部200は、センサ30がシートを検知した場合にセンサ30から出力されるシートの検知信号を取得する。
カム駆動制御部202は、カム28の駆動を制御する。具体的には、カム28を電磁クラッチによる動力の伝達・遮断の切り替えによって回転させる場合には、カム駆動制御部202は電磁クラッチによる動力の伝達・遮断を切り替えてカムの回転を制御する(なおカム28がモータによって直接駆動される場合にはモータを制御してカム28を回転させればよい)。カム駆動制御部202は、検知信号取得部200がセンサ30からの検知信号を取得した場合にカム28をガイド壁32内に収まっている初期位置からガイド32から搬送路側に飛び出る押出し位置まで回転させる。また、カム駆動制御部202はシートに対するレジストレーション後レジストローラ制御部204によってレジストローラ26の回転が開始した場合に、カム28を回転させてガイド32内に再び収納させる。
レジストローラ制御部204はレジストローラ26の回転を制御する。レジストローラ26も電磁クラッチを介して駆動されるので、レジストローラ制御部204は電磁クラッチを制御してレジストレーション処理を行う。レジストレーション処理は上述したとおりであり、シートを一時停止させた後タイミングを合わせてシートを送り出す処理である。
以上が本実施形態の画像形成装置1が備える機能ブロックである。
次に画像形成装置1におけるレジストレーション処理の流れを説明する。図5は本実施形態の画像形成装置1におけるレジストレーション処理の流れを示すフローチャートである。
まず給紙カセット20からのシートの搬送が開始後、センサ30によるシートの検知処理を行う。(Act101)。センサ30がシートを検知すると、検出信号取得部200がその検知信号を取得する。
検出信号取得部200は検知信号を取得するまで待ち(Act101のNo)、検知信号を取得した場合には(Act101のYes)、カム駆動制御部202がカム28を押出し位置まで回転させる(Act102)。カム駆動制御部202は上述の通り電磁クラッチを制御してカムを所定位置まで回転させる。
カム28が押出し位置まで回転してシートに当たり、シートが搬送方向とは異なる方向に押されてシートの勢いが弱められた直後に、シートがレジストローラ26に当接してレジストレーション処理が行われると、レジストローラ制御部204が最適なタイミングでレジストローラ26を回転させてシートの搬送を開始する(Act103)。
そしてカム駆動制御部202はレジストローラ26によるシートの搬送開始とともに電磁クラッチを制御してカム28を初期位置に戻す(Act104)。
そしてプリントジョブが完了してプリント終了した場合には(Act105のYes)処理を終了する。一方プリントが続く場合には(Act105のNo)Act101に戻って処理を繰り返す。
以上が本実施形態のレジストレーション処理の流れである。なお、カム28を搬送路側に出した後にガイド壁32内に戻すタイミングはレジストレーション後にシートの搬送が開始されるタイミング(Act104)に限られない。シートを押し出した後であればレジストローラ26による搬送開始の前に初期位置に戻してもよい。
以上説明した本実施形態によれば、レジストレーション処理の際にレジストレローラ26にシートが当接する直前にカム28がシートに当たって外側に押しだす。そうすると、シートがレジストローラ26のニップ部に進む力が分散して勢いを弱めることができる。シートが進行する力が小さくなることで、レジストローラ26のニップ部に到達したシートの先端がニップ部から飛び出てしまうことを抑制することができる。従って厚紙のような坪量が大きく搬送時に勢いが大きくなるシートであっても正確にレジスト位置でレジストレーション処理を行うことができる。
なお、本実施形態ではシートを押し出す部材としてカム28を示したが、シートを押し出すことができればカム28のような回転する部材に限られない。例えば、ガイド壁32からシート側に飛び出してシートを押すことができる往復運動するプッシュ部材であってもよいし、ガイド壁32の一部をシート側にスライドさせてシートを押してもよい。
また、本実施形態においては、レジストローラ26は二次転写位置Tに対して搬送されるシートをレジストレーションするレジストローラであり、カム28はその手前でシートを押し出すとして説明したが、これに限られない。画像形成装置1における他のレジストレーションが行われる位置にカム28を設けて同様にシートを押し出す処理を行うことができる。例えば、スキャナにシートを搬送する際のレジストレーションにおいても、レジストローラの上流側にカムを配置し、シートをカムによって押し出すことができる。
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態を説明する。本実施形態はカム28がシートを押し出す際の押出し位置が複数設定されることを特徴とするものである。以下図面に基づいて本実施形態を説明するが既に説明した部分については説明を省略する。
図6は本実施形態の画像形成装置1の機能を示す機能ブロック図である。本実施形態の画像形成装置1は、検知信号取得部200と、カム駆動制御部202と、レジストローラ制御部204と、回転角度決定部206とを備える。
検知信号取得部200は第1の実施形態と同様である。
回転角度決定部206は、カム28がシートを押し出す際に、カム28の回転位置を決定する。そして本実施形態のカム駆動制御部202は回転角決定部206によって決定された回転角度の位置までカム28を回転させる。カム28の回転角度は、例えば初期位置などの所定の基準位置からの角度であればよい。
ここで図7に基づいて本実施形態にかかるカム28の回転角度について説明する。図7はカム28の複数の押出し位置を説明する図である。本実施形態ではカム28は複数の押出し位置に切り替えることが可能であり、図7においては一例として第1の回転角位置と第2の回転角位置の2箇所に切り替え可能であるとしている。第2の回転角位置は、第1の実施形態におけるカム28の押出し位置と同じ位置である。第1の回転角位置は、カム28が矢印の方向(シート搬送方向に沿った方向)に回転する場合、第2の回転角位置よりも初期位置からの回転角が小さい位置である。従って第1の回転角位置ではカム28のガイド壁32壁面からの飛び出し幅が第2の回転角位置での飛び出し幅よりも小さい。そのため、第1の回転角位置でカム28によってシートを押し出した場合には、第2の回転角位置でシートを押し出す場合よりも、シートの勢いを弱める力が小さくなる。
従って、シートが進む力がより大きいシート(坪量や剛性のより大きい厚紙など)については第2の回転角位置までカム28を回転させてシートを押出させ、進む力がより小さいシートについては第1の回転角位置までカム28を回転させてシートを押し出させることができる。具体的には、予め第1の回転角位置でカム28によって押し出させるシートの種類と、第2の回転角位置でカム28によって押し出させるシートの種類をシートの坪量や剛性などに基づいて予め設定しておく。そしてシートの種類を検知するシートセンサからの信号に基づき回転角度決定部206が検知されたシートに対応する回転角位置を決定すればよい。
なお、シートが紙であれば通常は坪量がより大きいシートや剛性が大きいシートのほうが進む力がより強い(厚紙は普通紙に比べて坪量も剛性も大きく、おなじ搬送速度で搬送した場合は厚紙のほうが普通紙よりも進む力が大きい。)ので、坪量が大きいシートあるいは剛性が大きいシートほどより大きくカム28によって外側に押し出されるようにカム28が回転されればよい。
カム駆動制御部202は回転角度決定部206によって決定された回転角度までカム28を回転させて、レジストレーション直前にシートを押し出す処理を行う。
以上の本実施形態によれば、搬送されるシートの種類に応じて最適な位置にカム28が回転してシートを押し出して、シートの進む力を弱めることができる。例えば坪量がより大きいシートが搬送される場合には、より押出し量が大きい位置(本実施形態では第2の回転位置)までカム28を回転させ、それよりも坪量が小さいシートが搬送される場合には、押出し量が小さい位置(本実施形態では第1の回転角位置)までカム28を回転させることができる。
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態を説明する。本実施形態はシートを押し出すカムとして、押出し量の異なる複数種類のカムを備えることを特徴とする。以下図面に基づいて本実施形態を説明するが既に説明した部分については説明を省略する。
図8は本実施形態の画像形成装置1の機能を示す機能ブロック図である。まず、本実施形態の画像形成装置1はカムとして、第1のカム28aと第2のカム28bとを備える。そして、画像形成装置1は機能として検知信号取得部200と、カム駆動制御部202と、レジストローラ制御部204と、カム決定部208とを備える。
第1のカム28aは例えば図7に示した第1の回転角位置でのカム28によって押し出される幅の分、シートを押し出すことができるカムである。第2のカム28bは図7に示した第2の回転角位置でのカム28によって押し出される幅の分、シートを押し出すことができるカムである。つまり、本実施形態ではシートの押出し量をシートの種類に応じて変えるために、第2の実施形態のようにカムの回転角を切り替える代わりに複数種類のカムを設けて押出し幅に応じて回転させるカムを切り替えるものである。
カム決定部208はシートセンサによって検出されるシートの種類に応じて回転させるカムを決定する。カム決定部208は、シートの進む力がより大きいシート(坪量や剛性のより大きい厚紙等のシート)については第2のカム28bを回転させるカムとして決定する。またカム決定部208は進む力がより小さいシートについては第1のカム28aを回転させるカムとして決定する。
カム駆動制御部202は、シートがレジストレーションされる直前のタイミングで、カム決定部208によって決定されたいずれかのカムを押出し位置まで回転させる。
以上の本実施形態によっても、シートの種類に応じた最適な押出し位置までシートを押し出してシートの前進する力を分散させることができ、レジストレーション処理をより正確に行うことができる。
なお本実施形態においては2種類のカムを備えるとして説明したが、これに限られない。押出し幅の異なるカムを3種類以上備えて、押出し幅をより細かく変化させることができるようにしてもよい。
(第4の実施形態)
次に第4の実施形態を説明する。本実施形態はレジストレーション後にレジストローラ26がシートを搬送する際の搬送ローラ24の制御方法に関するものである。以下図面に基づき本実施形態を説明するが既に説明した部分と同じ内容については説明を省略する。
図9は本実施形態のレジストローラ26の上流側周辺部分の構成を示す図である。図10は本実施形態の画像形成装置1の機能を示す機能ブロック図である。
レジストレーション処理の際にはシートの斜行を補正するためにシートの先端がレジストローラ26によって止められた後、搬送ローラ24がシートの後端側を少し送り出してシートをたわませる。本実施形態の画像形成装置1は、このシートのたわみの有無を検知するたわみ検知センサ40をさらに備える。
たわみ検知センサ40は、搬送ローラ24とレジストローラ26の間に配置されており、レジストレーション後にシートのたわみの有無を検知する。
ここで図9に基づきレジストレーションのためにシートがたわんでレジスト位置に停止している状態から、レジストレーション後シートがレジストローラ26によって搬送され、たわみが解消した状態への変化の様子を説明する。まず、搬送ローラ24によってシートが搬送されてくると、停止しているレジストローラ26のニップ部にシートが当てられて、さらに斜行補正のためにシートがたわむように搬送ローラ24がシートを送り出す。図9ではレジストローラ26によってレジストレーションされた状態のたわんだシートを破線で示している。この状態ではたわみ検知センサ40はシートがたわんでいる状態であることを検知する。
次に、搬送ローラ24がシートを保持して停止した状態でレジストローラ26が回転すると、シートの先端側が二次転写位置Tに向けて送り出され、徐々にたわみが解消される。図9では完全にたわみが解消した状態のシートを実線で示している。たわみが解消していくと、たわみ検知センサ40がシートによって押されてガイド壁30側に回転する。これによりたわみ検知センサ40がシートのたわみが解消したことを検知する。
次に、本実施形態の画像形成装置1によるレジストレーション後における搬送ローラ24によるシートの搬送処理方法を説明する。図10は本実施形態の画像形成装置1のシートの搬送処理を実行するための機能を示す機能ブロック図である。画像形成装置1は検知信号取得部200と、カム駆動制御部202と、レジストローラ制御部204と、搬送ローラ制御部210とを備える。
搬送ローラ制御部210は、レジストローラ制御部204がレジストレーション後にレジストローラ26を回転させてシートの送り出しを開始した後、たわみ検知センサ40からシートのたわみがなくなったことを検知する信号を取得した場合に、搬送ローラ24を回転させてシートの後端側の送り出しを行わせる。
なお搬送ローラ制御部210が上述のような制御を行う対象の搬送ローラ24は、レジストローラ26に対してシート搬送方向における上流側に配置される搬送ローラのうちレジストローラ26の直前に配置されるローラである。また、搬送ローラ制御部210は、搬送ローラ24を駆動する駆動部を制御して搬送ローラ24を回転させる。駆動部は電磁クラッチやモータである。
このようにレジストレーション後にシートのたわみが解消してから搬送ローラ24によってシートの後端側を送り出すことで、シートの後端にめくれが発生することを抑制することができる。
一方、たわみが解消しないまま搬送ローラ24の送り出しを始めると、たわみがある状態でシートの後端が搬送ローラ24を抜けることになる。そうすると、たわみの反力がシートの搬送方向とは逆方向に加わるため、シートの後端にめくれが発生しやすくなる。特にシートが厚紙などたわみの反力がより大きい用紙である場合には、めくれがより発生しやすくなる。後端のめくれが発生するとシートのジャムの原因となったりシートが折れ曲がったりするので好ましくない。
また、搬送ローラ24を停止させたままシートをレジストローラ26で搬送し、レジストローラ26による力のみでシートの後端を搬送ローラ24対のニップ部から引き抜く場合、たわみが解消されてから後端側が搬送ローラ24を抜けるので後端のめくれはある程度抑制できる。しかし、停止した搬送ローラ24対からシートを引き抜くため、その分レジストローラ26のトルク負荷が増える。また、搬送ローラ24とシートとの摩擦により搬送ローラ24が摩耗する。よって好ましくない。
つぎに、本実施形態の搬送ローラ24によるシートの搬送処理方法の流れを説明する。図11は本実施形態のシートの搬送処理の流れを示すフローチャートである。なお、図11におけるフローチャートにおいては、レジストレーション処理後の搬送ローラ24の制御方法の流れのみを示す。レジストレーション直前におけるカム28によるシートの押出し処理は、図11に示す処理が行われる前に第1〜第3の実施形態で説明した方法によって行われればよい。
まず、レジストレーション後に中間転写ベルト8上のトナー像をシート上に転写させるために、レジストローラ制御部204が最適なタイミングでレジストローラ26を回転させて、シートの先端側の送り出しを開始する(Act201)。
次に、搬送ローラ制御部210がたわみ検知センサ40がシートのたわみが解消した状態を検知したか否かを判定する(Act202)。
たわみの解消が検知されるまで判定を繰り返し(Act202のNo)、たわみ検知センサ40がシートのたわみが無くなった状態を検知した場合には(Act202のYes)、搬送ローラ制御部210はレジストローラ26の直前の搬送ローラ対である搬送ローラ24を回転させる(Act203)。
以上が本実施形態のレジストレーション後の搬送ローラ24の制御方法の流れである。以上の本実施形態によれば、レジストレーション後にシートのたわみが解消されてから搬送ローラ24によってシートの後端側を送り出すことができる。従ってたわみある状態でシート後端が搬送ローラ24を抜けることがないので、シート後端のめくれ発生を抑制できる。シートが厚紙である場合にたわみがある状態でシート後端が搬送ローラ24によって搬送されるとよりたわみが発生しやすくなるので、本実施形態によればシートが厚紙である場合により効果的に後端のめくれを防止することができる。
なお、本実施形態では搬送ローラ制御部210によって制御されるローラ対が給紙カセット20から搬送されるシートを搬送する搬送ローラ24であるとして説明したが、これに限られない。手差し給紙部から給紙する場合には、手差し給紙部からのシートをレジストローラ26に対して搬送する搬送ローラが本実施形態の方法で搬送ローラ制御部210によって制御されればよい。また両面印刷の際に反転搬送路からシートが搬送される場合には反転搬送路からレジストローラ26に対してシートを搬送する搬送ローラが本実施形態の方法で搬送ローラ制御部210によって制御されればよい。
以上に詳述したように本発明によれば、トナー像をシートに転写する際などに行われるレジストレーションをより正確に行う画像形成装置を提供できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。