JP2012254680A - 車両の送風部構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】第1ルーバーと第2ルーバーに共通の単一の送風ダクトを備えて部品点数を削減できる構造でありながら、組み付け性を向上させることができる車両の送風部構造を提供する。
【解決手段】インストルメントパネルに取り付けられた第1ルーバー10と第2ルーバー20が、車体に搭載された空気調整機に空気流通路を介して連通接続し、空気流通路は単一の送風ダクト30により形成されて、送風ダクト30に、第1ルーバー10の第1被接続開口端部11Aに連通接続する第1接続開口端部36Bと、第2ルーバー20の第2被接続開口端部21Aに連通接続する第2接続開口端部32Bと、空気調整機の第3被接続開口端部に連通接続する第3接続開口端部35Aとが形成され、第1ルーバー10の第1被接続開口端部11Aの開口面11A1と第2ルーバー20の第2被接続開口端部21Aの開口面21A1との仮想延長面11C1,21C1同士がほぼ直交している。
【選択図】図3

Description

本発明は、
インストルメントパネルに取り付けられた第1ルーバーと第2ルーバーが、車体に搭載された空気調整機に空気流通路を介して連通接続し、
前記空気流通路は単一の送風ダクトにより形成されて、前記送風ダクトに、前記第1ルーバーの第1被接続開口端部に連通接続する第1接続開口端部と、前記第2ルーバーの第2被接続開口端部に連通接続する第2接続開口端部と、前記空気調整機の第3被接続開口端部に連通接続する第3接続開口端部とが形成されている車両の送風部構造に関する。
自動車のインストルメントパネルには、車室内に空気を吹き出して車室内の温度を調整するセンタールーバーやアッパールーバー等のルーバーが取り付けられる。前記センタールーバーは、前席(運転席・助手席)の乗員に送風し、前記アッパールーバーは、後席を含む車室内全域に送風することを主な目的としている。以下、インストルメントパネルにセンタールーバーとアッパールーバーが設けられた構造を例に挙げて説明する。
両ルーバーはそれぞれの狙い位置(送風方向)に向けた角度に形成される。また、両ルーバーの空気の吹き出し口とは反対側の被接続開口端部は、送風元である空気調整機としてのHVAC(Heating
Ventilating Air−Conditioning)の被接続開口端部との間に介在する送風ダクトの接続開口端部に接続され、送風ダクトは、冒頭に記載したように、両ルーバーに共通の構造に構成されて1個だけ設けられ、部品点数の削減が図られている。
両ルーバーと送風ダクトを組み付ける場合、両ルーバーの形状の向きの違い(両ルーバーの送風方向の違いに起因する形状の違い)から両ルーバーの送風ダクトとの接続構造(接続部の角度)が両ルーバーの間で異なり、そのために、片方のルーバーが送風ダクトに組み付いても、もう一方のルーバーが送風ダクトに組み付かないなど組み付け性の悪化を招きやすい。
そこで、従来、ルーバーの組み付け性を改善するために、ルーバーの組み付け順序を変更する手段が採用されていた。この手段について説明する前に、送風ダクトと各ルーバーの組み付け作業について説明する。
送風ダクトとインストルメントパネルの組み付け作業は、車体への部品組み付け工程(ライン)とは別のインストルメントパネルの内部部品をインストルメントパネル本体に取り付けるための組み付け工程(ライン)で行われることがある。
このインストルメントパネル組み付け工程(ライン)では、図2に示すように、インストルメントパネル1にステアリングサポートメンバー2が組み付けられた状態で、インストルメントパネル1とステアリングサポートメンバー2が、ステアリングサポートメンバー2の軸芯付近を中心に回転自在にジグ50に両持ち支持される。
ジグ50は車幅方向に沿う横フレーム51と、横フレーム51の長手方向の両端部から立ち上がる縦フレーム52と、縦フレーム52の上端部に連結された連結プレート53とから成るものが多く、天井より吊るされる形のものもある。横フレーム51はインストルメントパネル1よりも車幅方向に長く設定され、連結プレート53にステアリングサポートメンバー2の連結ブラケット2Cが取り外し自在に連結される。
そして、インストルメントパネル1とステアリングサポートメンバー2が前記ジグ50に支持された状態でライン上を流れるので、作業者は、
(1) センタールーバー10とアッパールーバー20とこれらが取り付けられるガーニッシュ4とをインストルメントパネル1の意匠面側からインストルメントパネル1の取付け部3に取り付ける。
次に、
(2) インストルメントパネル1とステアリングサポートメンバー2を、ステアリングサポートメンバー2の軸芯付近を中心に180度回転(意匠裏面が作業者に向くように回転)させた後、インストルメントパネル1の裏側から送風ダクト30をセンタールーバー10とアッパールーバー20に接続して組み付ける。
しかし、インストルメントパネル中央上部の同じような位置に配置される狙い方向(送風方向)の異なるセンタールーバー10とアッパールーバー20に送風ダクトを接続する場合、一方のルーバーに合わせて送風ダクト30を両ルーバー10,20に接続すると、送風ダクト30がもう一方のルーバーに当たってしまい、接続できないことがある。このような時には、送風ダクト30が当たっている箇所に手を伸ばして送風ダクト30を外し、再度送風ダクト30をルーバーに組み付ける。
この余分な動作は組み付け性の不具合、悪化として問題となっている。そこで、従来、次の(1)〜(3)から成る手段などで対応を試みていた。
(1) センタールーバー10だけをインストルメントパネル1の意匠面側からインストルメントパネル1の取付け部3に取り付ける。
(2) インストルメントパネル1及びステアリングサポートメンバー2をステアリングサポートメンバー2の軸芯付近を中心に180度回転させ、送風ダクト30をセンタールーバー10にインストルメントパネル1の裏側から接続する。
(3) インストルメントパネル1及びステアリングサポートメンバー2をステアリングサポートメンバー2の軸芯付近を中心にさらに180度回転させ、アッパールーバー20をインストルメントパネル1の意匠面側からインストルメントパネル1の取付け部3に取り付けるとともに、アッパールーバー20を送風ダクト30に組み付ける。
上記(1)〜(3)の手段によれば、回転作業が余分に1工程(上記(3)の工程)追加され、大量生産されるラインで作業する作業者の負担が大きかった。
ルーバーの組み付け性を改善する手段として、上記の手段とは別に、送風ダクトとルーバーの間をつなぐ別体の中間送風ダクトを設ける手段(特許文献1参照)では部品点数の削減を図ることができない。
特許第4117764号公報
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、第1ルーバーと第2ルーバーに共通の単一の送風ダクトを備えて部品点数を削減できる構造でありながら、組み付け性を向上させることができる車両の送風部構造を提供する点にある。
本発明の特徴は、
インストルメントパネルに取り付けられた第1ルーバーと第2ルーバーが、車体に搭載された空気調整機に空気流通路を介して連通接続し、
前記空気流通路は単一の送風ダクトにより形成されて、前記送風ダクトに、前記第1ルーバーの第1被接続開口端部に連通接続する第1接続開口端部と、前記第2ルーバーの第2被接続開口端部に連通接続する第2接続開口端部と、前記空気調整機の第3被接続開口端部に連通接続する第3接続開口端部とが形成されている車両の送風部構造であって、
前記第1ルーバーの第1被接続開口端部の開口面と前記第2ルーバーの第2被接続開口端部の開口面との仮想延長面同士がほぼ直交している点にある。(請求項1)
前記送風ダクトには、空気の流れに勢いをつけるための助走区間となるストレート部が形成される。これは、第1ルーバーや第2ルーバーから吹き出される空気を車室内に満遍なく行き渡らせるためである。しかしながら、送風ダクトにストレート部を設けても、送風ダクトと両ルーバーの接続部に屈曲部があると空気の流れの勢いが衰えてしまい、空調性能を満足できなくなることがある。そのため、送風ダクトから第1ルーバーや第2ルーバーの吹き出し口までストレートに設定されている。
つまり、第1ルーバーの第1被接続開口端部の開口面や第2ルーバーの第2被接続開口端部の開口面に対して直交する方向(第1ルーバーの第1被接続開口端部の軸芯方向や第2ルーバーの第2被接続開口端部の軸芯方向)に延びている送風ダクトを、第1ルーバーの第1被接続開口端部や第2ルーバーの第2被接続開口端部に真っ直ぐ差し込むことで、送風のためのストレート部を確保している。
本発明の上記の構成によれば、一方の第1ルーバーに送風ダクトを組み付ける際、もう一方の第2ルーバーの第2被接続開口端部の開口面は送風ダクトの組み付け方向に沿った形状をしているので、第1ルーバーの空気の吹き出し方向と第2ルーバーの空気の吹き出し方向とが互いに異なる構造であっても、第2被接続開口端部の開口面が組み付けの邪魔になること(前記第2被接続開口端部の開口面が送風ダクトの第2接続開口端部に干渉して組み付けの邪魔になること)がない。
このように組み付け方向に沿った形状にもう一方の第2ルーバーの第2被接続開口端部の開口面を設定できるので、従来起きていたような組み付け不良を解消できる。
また、前記第1ルーバーの第1被接続開口端部の開口面と前記第2ルーバーの第2被接続開口端部の開口面との仮想延長面同士がほぼ直交していることで、第2ルーバーの第2被接続開口端部の開口面が組み付け方向に沿った形状となり、第2ルーバーの第2被接続開口端部を鋭角な形状に設定できる。その結果、前記第2ルーバーの第2被接続開口端部を送風ダクトに円滑に差し込むことができ、第2ルーバーの第2被接続開口端部を組み付けガイドとしても使用することができる。
従って、本発明の上記の構成によれば、部品点数を削減できる構造でありながら、組み付け性を向上させることができる。(請求項1)
本発明において、
前記送風ダクトは、前記第1接続開口端部と前記第3接続開口端部を両端部に各別に備えた本体ダクトと、前記本体ダクトから分岐し、先端部に前記第2接続開口端部を備えた分岐ダクトとから成り、
前記分岐ダクトの第2接続開口端部は、前記分岐ダクトの分岐点の近傍に形成されていると、次の作用を奏することができる。(請求項2)
第1ルーバーと第2ルーバーから車室内に吹き出される風量はダクトの開口面積に依存することが多い。[従来の技術]の(1)〜(3)で説明したように、第2ルーバー(アッパールーバー)を最後に接続する方法の場合、第2ルーバーが接続される分岐ダクトは強度が必要となる。これは、第2ルーバーを組み付けた時に、分岐ダクトが逃げてしまうと組み付かないため、分岐ダクトは第2ルーバーの組み付け時に支えになっていなければならないためである。
しかし、送風ダクトは板厚の薄い樹脂で出来ているため強度が低く、この分岐ダクトに強度を持たせるためには、ダクト開口を狭くしなければならない。ダクト開口が広いと、ダクト開口の端部が変形してしまう。分岐ダクトに強度を持たせるためにダクト開口を狭くすると、例えば、第2ルーバーが車両後方側まで風を送ることも目的としていた場合に、第2ルーバーに多くの風量を送ることが出来なくなり、送風性能が低下することがある。
これに対して、本発明の上記の構成のように、前記分岐ダクトの第2接続開口端部は、前記分岐ダクトの分岐点の近傍に形成されていると、接続部の開口面積は広げながらも、分岐ダクトの第2接続開口端部に強度を持たせることができ、分岐ダクトの強度を確保することができ、しかも、空調性能を満足することの出来る風量を確保することができる。(請求項2)
本発明において、
前記第1ルーバーは自動車の前席の乗員に送風するセンタールーバーであり、
前記第2ルーバーは、前記第1ルーバーよりも上方に位置し、空気を前記前席の乗員の上方を通過させて後席の乗員に送風するアッパールーバーであると、次の作用を奏することができる。(請求項3)
センタールーバーは自動車の前席の乗員に送風し、アッパールーバーは、第1ルーバーよりも上方に位置し、空気を前記前席の乗員の上方を通過させて後席の乗員に送風する。そのために、空気の吹き出し方向が異なる。このような空気の吹き出し方向が異なるセンタールーバーとアッパールーバーを備えた構造において、上記請求項1又は2の構成による作用と同一の作用を奏することができる。(請求項3)
本発明によれば、
第1ルーバーと第2ルーバーに共通の単一の送風ダクトを備えて部品点数を削減できる構造でありながら、組み付け性を向上させることができる車両の送風部構造を提供することができた。
インストルメントパネルの平面図 インストルメントパネルの分解斜視図(インストルメントパネルの組み立て用の治具も示す) 組み付け中の送風ダクトとセンタールーバーとアッパールーバーの縦断面図 センタールーバーとアッパールーバーからの空気の送風方向を示す自動車の模式図 比較例を示す側面図 比較例を示す正面図 別実施形態の縦断面図
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1,図2に示すように、自動車のインストルメントパネル1の車幅方向中央上部に取り付けられたガーニッシュ4に、車室内に空気を吹き出すセンタールーバー10(第1ルーバーに相当)とアッパールーバー20(第2ルーバーに相当)が取り付けられている(取り付け部は図示せず)。ガーニッシュ4は車両後方側Rrほど下方に位置するように緩やかな円弧状に傾斜している。
図4にも示すように、アッパールーバー20はセンタールーバー10よりも上方に位置し、両ルーバー10,20が、車体に搭載されたHVAC5(空気調整機に相当)に空気流通路Rを介して連通接続している。空気流通路Rは単一の送風ダクト30により形成され、両ルーバー10,20に共通の構造に構成されて1個だけ設けられている。
前記センタールーバー10は自動車の前席6(運転席・助手席)の乗員8に向かって空気を送風し、アッパールーバー20は空気を前席6の乗員の上方を通過させて後席7の乗員に送風する。図4の符号Aはセンタールーバー10から吹き出された空気の流れを示し、符号Bはアッパールーバー20から吹き出された空気の流れを示す。
[センタールーバー10の構造]
図2,図3に示すように(図3は組み付け作業を示す図であり、組み付け完了後の状態に対して両ルーバー10,20等は上下反転している)、センタールーバー10は、左右一対の角筒状のセンタールーバー本体11と、センタールーバー本体11内に格子状に架け渡された縦横のフィン12とから成る。
前記左右一対のセンタールーバー本体11の下流側の開口は空気吹き出し口11Bを構成し、ガーニッシュ4に対応して車両後方側Rrほど下方に位置するように傾斜している。左右一対のセンタールーバー本体11の上流側の開口端部は、送風ダクト30に対する長方形状の第1被接続開口端部11Aに構成されている。
[アッパールーバー20の構造]
アッパールーバー20は、車幅方向に長いアッパールーバー本体21と、アッパールーバー本体21内に格子状に架け渡された縦横のフィン22とから成る。符号23は内部フィンである。アッパールーバー本体21の下流側の開口は空気吹き出し口21Bを構成している。アッパールーバー本体21の上流側の開口端部は、送風ダクト30に対する長方形状の第2被接続開口端部21Aに構成されている。
[送風ダクト30の構造]
前述のように、前記空気流通路Rは単一の送風ダクト30により形成され、両ルーバー10,20に共通の構造に構成されて1個だけ設けられ、部品点数の削減が図られている。
すなわち、インストルメントパネル1の車幅方向中央上部の裏側は、オーディオなどの電装部品やインストルメントパネル1内に設定される収納部・ハーネス類などさまざまな部品が密集している部位であり、ダクトを2つ通すレイアウトスペースを確保することが困難である。
その限られたスペースの中で2つのダクトレイアウトを成立させようとすると、各送風ダクト30を細くしなければならない。しかしながら、送風ダクト30の大きさはルーバーから吹き出される風量(性能)につながっており、送風ダクト30を細くすると風量が少なくなって、ルーバーの送風性能を満足させることができなくなる。
そこで、インストルメントパネル1の車幅方向中央上部に近接して配置されるセンタールーバー10とアッパールーバー20に風の狙い方向(送風方向)に違いはあるものの、センタールーバー10とアッパールーバー20に接続する送風ダクト30を共通利用している。
前記送風ダクト30は、本体ダクト31と、本体ダクト31から分岐する分岐ダクト32とから成る。
[本体ダクト31の構造]
本体ダクト31は、角形の縦筒状の下側ダクト部35と、下側ダクト部35の車両後方側Rrの縦壁35Tの上端部から車両後方側Rrほど送風ダクト30の幅方向外側上方に位置するように延びる左右一対の上側ダクト部36とから成る。左右一対の上側ダクト部36は前上方(車両前方側Frの上方)から見てV字形を成している。
左右一対の上側ダクト部36の下流側の開口端部は、センタールーバー10の左右一対の第1被接続開口端部11Aに各別に連通接続する左右一対の第1接続開口端部36Bに構成されている。左右一対の第1接続開口端部36Bは残部に対して拡径しており、センタールーバー本体11の第1被接続開口端部11Aに外嵌する。下側ダクト部35の上流側の開口は、HVAC5の第3被接続開口端部5Bに連通接続する第3接続開口端部35Aに構成されている。
[分岐ダクト32の構造]
分岐ダクト32は、本体ダクト31の下側ダクト部35の上壁35Jから車両後方側Rrほど上方に位置するように延びている。縦断面における分岐ダクト32の上壁32Jの上面から下壁32Kの下面までの長さは、縦断面における前記上側ダクト部36の上壁36Jの上面から上側ダクト部36の下壁36Kの下面までの長さよりも短く設定されている。また、分岐ダクト32の下流側の開口端部は、アッパールーバー20の第2被接続開口端部21Aに連通接続する第2接続開口端部32Bに構成されている。
アッパールーバー20の第2被接続開口端部21Aは第2接続開口端部32Bに分岐ダクト32の第2接続開口端部32Bに挿入される。第2接続開口端部32Bには第2被接続開口端部21Aを挿入ガイドするフランジ38が形成されている(図3参照)。
上記のように、前記送風ダクト30に、センタールーバー10の左右一対の第1被接続開口端部11Aに各別に連通接続する左右一対の第1接続開口端部36Bと、アッパールーバー20の第2被接続開口端部21Aに連通接続する第2接続開口端部32Bと、HVAC5の第3被接続開口端部5Bに連通接続する第3接続開口端部35Aとが形成されている。
図3に示すように、センタールーバー10の第1被接続開口端部11Aの開口面11A1とアッパールーバー20の第2被接続開口端部21Aの開口面21A1との仮想延長面11C1,21C1同士はほぼ直交している。
送風ダクト30とインストルメントパネル1の組み付け作業は、車体への部品組み付け工程(ライン)とは別のインストルメントパネル1の内部部品をインストルメントパネル本体に取り付けるための組み付け工程(ライン)で行われる。
このインストルメントパネル組み付け工程(ライン)では、図2に示すように、インストルメントパネル1にステアリングサポートメンバー2が組み付けられた状態で、インストルメントパネル1とステアリングサポートメンバー2が、ステアリングサポートメンバー2の軸芯付近を中心に回転自在にジグ50に両持ち支持される。
ジグ50は車幅方向に沿う横フレーム51と、横フレーム51の長手方向の両端部から立ち上がる縦フレーム52と、縦フレーム52の上端部に連結された連結プレート53とから成る。横フレーム51はインストルメントパネル1よりも車幅方向に長く設定され、連結プレート53にステアリングサポートメンバー2の連結ブラケット2Cが取り外し自在に連結される。
そして、インストルメントパネル1とステアリングサポートメンバー2が前記ジグ50に両持ち支持された状態でライン上を流れるので、作業者は、
(1) センタールーバー10とアッパールーバー20とこれらが取り付けられるガーニッシュ4とをインストルメントパネル1の意匠面側からインストルメントパネル1の取付け部3に取り付ける。
次に、
(2) インストルメントパネル1とステアリングサポートメンバー2を、ステアリングサポートメンバー2の軸芯付近を中心に180度回転させた後、インストルメントパネル1の裏側から送風ダクト30をセンタールーバー10とアッパールーバー20に接続して組み付ける。
上記の構成によれば、図3に示すように、アッパールーバー20の第2被接続開口端部21Aの開口面21A1は送風ダクト30の組み付け方向Cに沿った形状をしているので、センタールーバー10の空気の吹き出し方向とアッパールーバー20の空気の吹き出し方向とが互いに異なる構造であっても、第2被接続開口端部21Aの開口面21A1が組み付けの邪魔になること(第2被接続開口端部21Aの開口面21A1が分岐ダクト32の第2接続開口端部32Bに干渉して組み付けの邪魔になること)がない。
このように組み付け方向に沿った形状にアッパールーバー20の第2被接続開口端部21Aの開口面21A1を設定できるので、従来起きていたような組み付け不良を解消できる。
また、センタールーバー10の第1被接続開口端部11Aの開口面11A1とアッパールーバー20の第2被接続開口端部21Aの開口面21A1との仮想延長面11C1,21C1同士がほぼ直交していることで、アッパールーバー20の第2被接続開口端部21Aの開口面21A1が組み付け方向に沿った形状となり、アッパールーバー20の第2被接続開口端部21Aを鋭角な形状に設定できる。その結果、アッパールーバー20の第2被接続開口端部21Aを送風ダクト30の分岐ダクト32に円滑に差し込むことができ、第2被接続開口端部21Aを組み付けガイドとしても使用することができる。
従って、本発明の上記の構成によれば、部品点数を削減できる構造でありながら、組み付け性を向上させることができる。
[別実施形態]
(1) センタールーバーとアッパールーバーから車室内に吹き出される風量はダクトの開口面積に依存することが多い。[従来の技術]の(1)〜(3)で説明したように、アッパールーバー20(第2ルーバー)を最後に接続する方法の場合、アッパールーバー20が接続される分岐ダクト32は強度が必要となる。これは、アッパールーバー20を組み付けた時に、分岐ダクト32が逃げてしまうとアッパールーバー20が組み付かないため、分岐ダクト32はアッパールーバー20の組み付け時に支えになっていなければならないためである。
しかし、送風ダクト30は板厚の薄い樹脂で出来ているため強度が低く、この分岐ダクト32に強度を持たせるには、ダクト開口を狭くしなければならない。ダクト開口が広いとダクト開口の端部が変形してしまうからである。分岐ダクト32に強度を持たせるためにダクト開口を狭くすると、後席7側まで風を送ることを目的とするアッパールーバー20に多くの風量を送ることができなくなり送風性能が低下する。
そこで、図7に示すように、前記分岐ダクト32の第2接続開口端部32Bは、前記分岐ダクト32の分岐点Eの近傍に形成されている。これにより、接続部の開口面積は広げながらも、分岐ダクト32の第2接続開口端部32Bに強度を持たせることができ、分岐ダクト32の強度を確保することができ、しかも、空調性能を満足することができる風量を確保することができる。
[比較例の送風ダクト30の構造]
図5,図6に比較例の送風ダクト30を示してある。この送風ダクト30は、本体ダクト31と、本体ダクト31から分岐する分岐ダクト32とから成り、本体ダクト31は、角形の縦筒状の下側ダクト部35と、下側ダクト部35の上端部から車両後方側Rrに延びる上側ダクト部36とから成る。そして、下側ダクト部35の上端部から分岐ダクト32が突出している。このような送風ダクト30は、成形時に車両の斜め前上方D1に対応する方向D1と斜め後ろ下方に対応する方向D2とに型抜きされる。
ところが、上記の比較例の構造によれば、下側ダクト部35の上端部から分岐ダクト32が突出しているために、成形型の抜き方向D1,D2で分岐ダクト32と本体ダクト31の上側ダクト部36とが重なり、成形不成立部39が出来てしまう。従って、比較例の送風ダクト30を成形するには、図6に示すように、分岐ダクト32と上側ダクト部36とを車幅方向Wで離してレイアウトすることが必須となる。
このようなレイアウトになると、センタールーバー10を車幅方向Wに複数設けた場合、センタールーバー10同士を車幅方向Wで大きく離すようなデザインにしなければならず、デザイン性に制約を与える。
これに対して、本発明の上記構成(別実施形態の構成)によれば、前記分岐ダクト32の第2接続開口端部32Bは、前記分岐ダクト32の分岐点Eの近傍に形成されているから、アッパール一バー20とセンタールーバー10を車幅方向Wで同一の位置にレイアウトすることができ、周辺のレイアウトの自由度が増して、デザインの幅も広げることができる。
図5,図6において、符号35AはHVAC5の第3被接続開口端部5Bに連通接続する第3接続開口端部を示している。
(2) 本発明は、前記センタールーバー10やアッパールーバー20以外のルーバーにも適用することができる。
1 インストルメントパネル
5 空気調整機(HVAC)
5B 第3被接続開口端部
6 前席
7 後席
8 乗員
10 第1ルーバー(センタールーバー)
11A 第1被接続開口端部
11A1 第1被接続開口端部の開口面
11C1 第1被接続開口端部の開口面の仮想延長面
20 第2ルーバー(アッパールーバー)
21A 第2被接続開口端部
21A1 第2被接続開口端部の開口面
21C1 第2被接続開口端部の開口面の仮想延長面
30 送風ダクト
31 本体ダクト
32 分岐ダクト
32B 第2接続開口端部
35A 第3接続開口端部
36B 第1接続開口端部
E 分岐点
R 空気流通路

Claims (3)

  1. インストルメントパネルに取り付けられた第1ルーバーと第2ルーバーが、車体に搭載された空気調整機に空気流通路を介して連通接続し、
    前記空気流通路は単一の送風ダクトにより形成されて、前記送風ダクトに、前記第1ルーバーの第1被接続開口端部に連通接続する第1接続開口端部と、前記第2ルーバーの第2被接続開口端部に連通接続する第2接続開口端部と、前記空気調整機の第3被接続開口端部に連通接続する第3接続開口端部とが形成されている車両の送風部構造であって、
    前記第1ルーバーの第1被接続開口端部の開口面と前記第2ルーバーの第2被接続開口端部の開口面との仮想延長面同士がほぼ直交している車両の送風部構造。
  2. 前記送風ダクトは、前記第1接続開口端部と前記第3接続開口端部を両端部に各別に備えた本体ダクトと、前記本体ダクトから分岐し、先端部に前記第2接続開口端部を備えた分岐ダクトとから成り、
    前記分岐ダクトの第2接続開口端部は、前記分岐ダクトの分岐点の近傍に形成されている請求項1記載の車両の送風部構造。
  3. 前記第1ルーバーは自動車の前席の乗員に送風するセンタールーバーであり、
    前記第2ルーバーは、前記第1ルーバーよりも上方に位置し、空気を前記前席の乗員の上方を通過させて後席の乗員に送風するアッパールーバーである請求項1又は2記載の車両の送風部構造。
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