JP2012254593A - 積層体およびその製造方法 - Google Patents

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木 泉 八
Takayuki Ueki
木 貴 之 植
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Abstract

【課題】ポリエステル樹脂フィルムとポリオレフィン樹脂フィルムとを接着剤を使用せずに接着した積層体であって、異物や残留溶剤等が滲出することがなく、かつ、強度、ガスバリア性、ヒートシール性に優れた積層体を提供する。
【解決手段】前記ポリエステル樹脂フィルムおよび前記ポリオレフィン樹脂フィルムの少なくとも一部で、前記ポリエステル樹脂フィルム中の原子と、前記ポリオレフィン樹脂フィルム中の原子との間に結合が形成されており、前記ポリエステル樹脂フィルムおよび前記ポリオレフィン樹脂フィルムとが接着剤を介さずに接着されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、積層体に関し、さらに詳細には、ポリエステル樹脂フィルムとポリオレフィン樹脂フィルムとを、接着剤を介さずに接着した積層体およびその製造方法に関する。
フィルム等を袋状に加工した包装体が使用されている。このような包装体は、充填される内容物に応じて所望される機能を発現させるために、使用するフィルムとして種々の材料を積層した多機能フィルム等が使用されている。このような多機能フィルムとして、強度が高くガスバリア性にも優れるポリエステル樹脂フィルムに、ヒートシール性を有するポリオレフィン樹脂フィルムを積層した積層フィルムが知られている。
包装体は、一般的に長尺状のフィルムを加工することより行われているが、袋状に加工するには、フィルムどうしを重ね合わせてその端部を接着することが行われている。フィルムどうしを接着する方法としては、ラミネート樹脂(接着剤)を接着しようとするフィルムの端部に塗布してフィルムどうしを押圧してシールしたり、フィルムどうしを重ね合わせて、その端部に熱を加えて融着させるいわゆるヒートシール加工が行われるのが一般的である。また、包装体の材料となる積層フィルムも、溶融押出加工により2種以上のフィルムを積層したり、ラミネート樹脂を介して2種以上のフィルムを積層することが行われている。
しかしながら、融点が比較的高いポリエステル樹脂フィルムは、ヒートシール加工によってポリオレフィン樹脂フィルムと接着するのが困難である。また、異種材料からなるフィルムどうしをラミネート樹脂を介して接着し包装体としたものは、ラミネート樹脂成分が徐々に包装体内に溶出または揮発し、内容物を変質させる場合があり、特に、安全性やクリーン性が重視される医療用分野においては、ラミネート樹脂による内容物の汚染が問題となることがあった。また、包装体の長期使用によりラミネート樹脂自体が劣化することもあり、特に屋外等で使用される外装用途においては、ラミネート加工した包装体の耐候性が問題となることもあった。また、接着剤を用いたラミネート技術においては、一般的に溶剤に希釈した樹脂成分を塗布することが行われるため、ラミネートして包装体等のような最終製品となった後にも溶剤が残留してしまうことがあった。
ところで、放射線や電子線を用いて材料の表面改質を行うことが従来から行われている。例えば、特開2003−119293号公報(特許文献1)には、フッ素系樹脂に放射線を照射することにより架橋複合フッ素系樹脂が得られることが提案されている。また、Journal of Photopolymer Science and Technology Vol.19, No. 1 (2006), pp123-127(非特許文献1)には、ポリテトラフルオロエチレンフィルムとポリイミドフィルムとを積層させて高温下で電子線(以下、EBと略す場合もある)を照射することにより、互いを接着することが提案されている。また、Material Transactions Vol.50, No.7 (2009), pp1859-1863(非特許文献2)には、ポリカーボネート樹脂の表面をナイロンフィルムで覆い、その上から電子線(以下、EBと略す場合もある)を照射することにより、ポリカーボネート樹脂表面にナイロンフィルムを接着する技術が提案されている。さらに、日本金属学会誌第72巻第7号(2008)、pp526−531(非特許文献3)には、シリコーンゴム上に置いたナイロンフィルムの上からEBを照射することにより、互いを接着できることが記載されている。
特開2003−119293号公報
Journal of Photopolymer Science and Technology Vol.19, No. 1 (2006), pp123-127 Material Transactions Vol.50, No. 7(2009), pp1859-1863 日本金属学会誌第72巻第7号(2008)、pp526−531
本発明者らは、今般、ポリエステル樹脂フィルムとポリオレフィン樹脂フィルムとを積層した積層体の製造において、ポリエステル樹脂フィルムおよび/またはポリオレフィン樹脂フィルムに電子線を照射することにより、ラミネート樹脂等を用いることなく、両フィルムを強固に接着できることを見いだした。本発明はかかる知見によるものである。
したがって、本発明の目的は、ポリエステル樹脂フィルムとポリオレフィン樹脂フィルムとを接着剤を使用せずに接着した積層体であって、異物や残留溶剤等が滲出することがなく、かつ、強度、ガスバリア性、ヒートシール性に優れる積層体を提供することである。
本発明による積層体は、ポリエステル樹脂フィルムとポリオレフィン樹脂フィルムとが積層した積層体であって、
前記ポリエステル樹脂フィルムおよび前記ポリオレフィン樹脂フィルムの少なくとも一部で、前記ポリエステル樹脂フィルム中の原子と、前記ポリオレフィン樹脂フィルム中の原子との間に結合が形成されており、前記ポリエステル樹脂フィルムおよび前記ポリオレフィン樹脂フィルムとが接着剤を介さずに接着されていることを特徴とするものである。
また、本発明の態様として、前記ポリエステル樹脂フィルムと前記ポリオレフィン樹脂フィルムとの界面の少なくとも一部で、前記ポリエステル樹脂フィルム中の原子と、前記ポリオレフィン樹脂フィルム中の原子との間で、酸素原子、窒素原子または水酸基を介して結合が形成されていることが好ましい。
また、本発明の態様として、前記ポリエステル樹脂フィルムが、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、またはポリブチレンナフタレートからなることが好ましい。
また、本発明の態様として、前記ポリオレフィン樹脂フィルムが、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリメチルペンテンからなることが好ましい。
また、本発明の別の態様としての製造方法は、ポリエステル樹脂フィルムとポリオレフィン樹脂フィルムとが積層した積層体を製造する方法であって、
ポリエステル樹脂フィルムおよび/またはポリオレフィン樹脂フィルムの少なくとも一方の面、に電子線を照射し、
前記電子線が照射された前記ポリエステル樹脂フィルム面および/またはポリオレフィン樹脂フィルム面を重ね合わせて接着する、ことを含んでなることを特徴とするものである。
また、本発明の態様として、前記ポリエステル樹脂フィルムとポリオレフィン樹脂フィルムとを重ね合わせる前および/または重ね合わせた後に電子線照射を行うことが好ましい。
また、本発明の別の態様として、前記接着を加圧して行うことが好ましく、また、前記接着を加熱して行うことが好ましい。
本発明によれば、ポリエステル樹脂フィルムとポリオレフィン樹脂フィルムとが積層した積層体において、ポリエステル樹脂フィルム中の原子と、ポリオレフィン樹脂フィルム中の原子とが、直接、または酸素原子、窒素原子もしくは水酸基を介して、結合が形成されているため、接着剤を介して接着していなくても、ポリエステル樹脂フィルムとポリオレフィン樹脂フィルムとが強固に接着した積層体が得られる。その結果、異物や残留溶剤等が滲出することがなく、かつ、強度、ガスバリア性、耐ピンホール性、ヒートシール性に優れる積層体を実現することができる。
本発明の積層体の一実施形態を示した概略断面図である。 積層体の界面(接着面)を拡大した模式断面図である。 本発明による積層体の製造方法の一実施形態を示した概略模式図である。 製造工程の一部を拡大した概略模式図である。 本発明による積層体の製造方法の別の実施形態を示した概略模式図である。 本発明による積層体の製造方法の別の実施形態を示した概略模式図である。 本発明による積層体の製造方法の別の実施形態を示した概略模式図である。
以下、本発明による積層体を、図面を参照しながら説明する。本発明による積層体は、図1に示すように、ポリエステル樹脂フィルム1がポリオレフィン樹脂フィルム2の少なくとも一方の表面に、接着剤を介さずに積層した構造を有する。
本発明による積層体は、ポリエステル樹脂フィルム1およびポリオレフィン樹脂フィルム2の接着面の少なくとも一部で、ポリエステル樹脂フィルム中の原子と、ポリオレフィン樹脂フィルム中の原子との間に結合が形成されることにより、ポリエステル樹脂フィルム1とポリオレフィン樹脂フィルム2とが強固に接着されている。通常、ポリエステル樹脂フィルムの表面にポリオレフィン樹脂フィルムを積層しても、両者の間に水素結合や共有結合が形成されないため接着剤を使用するか、ヒートシールしなければ両者を接着することはできない。本発明においては、後記するように、ポリエステル樹脂フィルム1および/またはポリオレフィン樹脂フィルム2の表面に電子線を照射してラジカルを発生させて、図2に示すように、ポリエステル樹脂フィルム1表面の原子とポリオレフィン樹脂フィルム2表面の原子との間に結合を形成する、あるいは、ポリエステル樹脂フィルム1表面の原子と、ポリオレフィン樹脂フィルム2表面の原子との間に、酸素原子、窒素原子または水酸基を介して結合を形成することにより、接着剤を介することなくポリエステル樹脂フィルム1とポリオレフィン樹脂フィルム2とを強固に接着したものである。また、電子線照射により発生したラジカルと空気中の酸素とが結合して、ポリエステル樹脂フィルム1および/またはポリオレフィン樹脂フィルム2の表面にはOH基が存在することがあり、その場合、ポリエステル樹脂フィルム1とポリオレフィン樹脂フィルム2との間に水素結合が形成される場合もある。なお、電子線照射によるラジカルの発生は、電子スピン共鳴装置(以下、ESRともいう。)を用いて、電子線照射後のフィルムに存在するフリーラジカル種を同定することにより、その発生を確認することができる。
また、電子線照射によりポリエステル樹脂フィルム1とポリオレフィン樹脂フィルム2とを接着した積層体は、図2に示すように、上記した共有結合だけでなく水素結合も形成されているため、接着剤を全く使用しなくても、剥離を生じない積層体とすることができる。水素結合の存在の確認は、積層体を水またはアルコール溶液中に浸積して剥離の有無を確認することにより行うことができる。水素結合のみによってポリエステル樹脂フィルムとポリオレフィン樹脂フィルムとが接着している場合、積層体を水またはアルコール溶液中に浸積すると、両者の間に形成されていた水素結合が破壊されて水またはアルコールの水素原子または酸素原子と水素結合が再形成されるため、接着力がなくなり両フィルムが剥離する。よって、接着が、共有結合および水素結合によるものなのか、水素結合のみによるものなのかを、確認することができる。
以下、本発明による積層体を構成するポリエステル樹脂フィルムおよびポリオレフィン樹脂フィルムについて、説明する。
<ポリエステル樹脂フィルム>
本発明の積層体を構成するポリエステル樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等からなるフィルムを用いることができるが、これらのなかでも、汎用性フィルムであるポリエチレンテレフタレートからなるフィルムを好適に使用することができる。また、後記するポリオレフィン樹脂フィルムと接着する面がポリエステルとなるような、ポリエステル積層フィルムであってもよい。フィルムの厚みは、使用用途に応じて適宜決定できるが、概ね10〜300μm程度である。
ポリエステル樹脂フィルムには、必要に応じて、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、充填剤、滑剤等、従来公知の各種添加剤を適宜添加することができる。光安定剤、紫外線吸収剤としては、従来公知のものを使用でき、例えば、フェノール系、リン系、ヒンダードアミン系の光吸収剤や、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸エステル系の紫外線吸収剤が使用できる。
<ポリオレフィン樹脂フィルム>
本発明の積層体を構成するポリオレフィン樹脂フィルムとしては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレンなどの酸変性したポリオレフィン等の単体、または、ポリプロピレンと低密度ポリエチレンとの混合物や、ポリプロピレンと高密度ポリエチレンとの混合物からなる樹脂からなるフィルムが挙げられるが、これらのなかでも、汎用性フィルムであるポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂からなるフィルムを好適に使用することができる。また、上記のポリエステル樹脂フィルムと接着する面がポリオレフィンとなるような、ポリオレフィン積層フィルムであってもよい。フィルムの厚みは、使用用途に応じて適宜決定できるが、概ね10〜300μm程度である。
ポリオレフィン樹脂フィルムには、必要に応じて、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、充填剤、滑剤等、従来公知の各種添加剤を適宜添加することができる。光安定剤、紫外線吸収剤としては、従来公知のものを使用でき、例えば、フェノール系、リン系、ヒンダードアミン系の光吸収剤や、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸エステル系の紫外線吸収剤が使用できる。
上記したようなポリエステル樹脂フィルムとポリオレフィン樹脂フィルムとを重ね合わせて接着した積層体は、積層体を使用する際にも異物や残留溶剤等が滲出することがなく、かつ、ガスバリア性、耐ピンホール性、ヒートシール性にも優れるものである。したがって、食品分野はいうまでもなく、医療分野で使用されている包装体、例えばシリンジ包装袋や粉末あるいは顆粒状の医薬品を充填包装するための包装体等に好適に使用することができる。
<積層体の製造方法>
次に、上記したような積層体を製造する方法を、図面を参照しながら説明する。先ず、上記したポリエステル樹脂フィルム1とポリオレフィン樹脂フィルム2とを準備し(図3(1))、両フィルムのいずれか一方または両方の、接着しようとする部分に電子線を照射する(図3(2))。その結果、図3(3)に示すように、電子線が照射された部分のみ、ポリエステル樹脂フィルム1とポリオレフィン樹脂フィルム2とが接着される。
本発明においては、フィルムに電子線を照射した直後に、図4に示すようにローラー6等を用いて、重ね合わせたフィルム1,2を押圧することが好ましい。フィルム1,2の表面は、図4に示すようにミクロレベルで凹凸があるため、互いのフィルムを重ね合わせても完全に密着しておらず、両フィルムの接触界面での接触面積が小さい。本発明においては、電子線を照射した直後にローラー6等でフィルム1,2を押圧することにより、両フィルムの接着面での接触面積が増加するため、密着性が向上する。
ポリエステル樹脂フィルム1とポリオレフィン樹脂フィルム2とを重ね合わせた後、両フィルム1,2を押圧する際には、加熱しながら両フィルム1,2を押圧することが好ましい。加熱しながら押圧することにより、ポリエステル樹脂フィルム1およびポリオレフィン樹脂フィルム2の柔軟性が向上し、ポリエステル樹脂フィルム1とポリオレフィン樹脂フィルム2との界面(接着面)での接触面積をより増加させることができるため、密着性がより向上する。加熱する温度は、使用するフィルムの種類にもよるが、フィルムが熱変形できる温度であればよく、例えば、フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度以上に加熱することができる。例えば、ポリオレフィン樹脂フィルムとしてポリプロピレンフィルムを用いる場合には、加熱温度は80〜180℃、好ましくは100〜150℃である。加熱温度を高くしすぎると、発生したラジカルが失活してしまい、強固な結合を実現できなくなる。なお、押圧の力(接圧)を高くしてもよく、接圧を高くすることにより、加熱温度を低くすることができる。
ポリエステル樹脂フィルム1とポリオレフィン樹脂フィルム2とを重ね合わせて押圧するには、上記したようにヒートローラ6等を好適に使用できる。また、図4に示すように、重ね合わせたフィルムがヒートローラ6と支持ローラー7との間で圧接可能となるように、ヒートローラ6と対向する位置に支持ローラー7を載置してもよい。このようにヒートローラ6と対向する位置に支持ローラー7を載置することにより、積層体(フィルム1とフィルム2の積層物)とヒートローラ6との接触を線接触に近づけて、ヒートローラ6からの熱により積層体に発生する変形を最小限に抑えることができる。
図5は、本発明による別の製造方法の実施形態を示した概略図である。ポリエステル樹脂フィルム1とポリオレフィン樹脂フィルム2とを重ね合わせて接着する工程において、両フィルム1,2をそれぞれガイドローラにより電子線照射位置3まで導き、電子線4を両フィルム1,2に照射した後にヒートローラ6により両フィルム1,2を押圧する工程を連続的に行うものである。それぞれのフィルム1,2はロール状形態として供給されてもよい。
電子線照射装置3からそれぞれのフィルム1,2に電子線4を照射する場合、厚みがより小さい方のフィルム側から電子線4を照射することが好ましい。電子線は加速電圧が増加するほどその透過力も増大する性質を有しているため、何れか一方のフィルム側から電子線を照射した場合に、フィルムの厚さによっては、他方のフィルムまで電子線が届かないことがある。その場合には、電子線の加速電圧を増加させることにより、他方のフィルムの深部まで電子線を到達させることができるが、電子線エネルギーが高くなるにしたがって、フィルム自体に不必要な照射が行われ劣化させてしまう。そのため、厚肉のフィルムと薄肉のフィルムとを重ね合わせて接着する際には、電子線エネルギーをそれほど増大させることなく、薄肉のフィルム側から電子線を照射するのが好ましい。例えば、ポリエステル樹脂フィルムの厚みが25μm以下であり、ポリオレフィン樹脂フィルムの厚みが50μm以上である場合は、ポリエステル樹脂フィルム側から電子線を照射する。このような電子線照射方法を採用することにより、フィルムの劣化を最小限に留めることができる。
重ね合わせるフィルム1,2が両方とも厚肉である場合には、図5に示すように両方のフィルム側から電子線が照射できるように、電子線照射装置3と対向する位置に、別の電子線照射装置3’を設けてもよい。この態様によれば、フィルムの厚みに応じて電子線の照射エネルギーを調整することができるため、フィルムを劣化させることなく両フィルムどうしを接着することができる。
図6は、本発明による別の製造方法の実施形態を示した概略図である。この実施態様においては、電子線の照射が、ポリエステル樹脂フィルム1とポリオレフィン樹脂フィルム2とを重ね合わせる前に行われる。先ず、供給されてきた一対のフィルム(ポリエステル樹脂フィルム1およびポリオレフィン樹脂フィルム2)は、両フィルム1,2が重ね合わされる前に、電子線照射装置3(3’)により、フィルム1(2)へ電子線4(4’)が照射される。図5に示した実施形態では、フィルム1,2の電子線照射側と反対側の面どうしが対向するように両フィルム1,2を重ね合わせたのに対し、図6に示す実施態様では、両フィルム1,2の電子線照射側の面どうしが対向するように両フィルム1,2を重ね合わせる点が相違している。このように、フィルム1へ電子線を照射した側の面に他方のフィルム2を重ね合わせることにより、フィルムの厚みによらず、電子線の照射エネルギーをより小さくすることができ、その結果、フィルムの電子線照射による劣化をより低減することができる。
また、図6に示した実施態様においても、一対の電子線照射装置3,3’を設けて、図5に示した実施態様と同様に、ポリエステル樹脂フィルム1およびポリオレフィン樹脂フィルム2のそれぞれへ電子線4,4’を照射してもよい。これらの組み合わせにより、よりフィルムの劣化を少なくして接着強度を向上させることができる。
図7は、本発明による別の製造方法の実施形態を示した概略図である。この実施形態においては、ポリエステル樹脂フィルム1およびポリオレフィン樹脂フィルム2を重ね合わせてヒートローラ6により押圧した後に電子線照射を行うものである。先ず、供給されてきた一対の材料1,2は、ガイドローラに導かれて重ね合わされる。続いて、ヒートローラ6と支持ローラー7とにより両フィルム1,2が押圧されるとともに、ヒートローラ6により加熱が行われる。その後、電子線照射装置3によりポリエステル樹脂フィルム1およびポリオレフィン樹脂フィルム2の表面に電子線4が照射されて両者1,2の接着が連続的に行われる。また、図7に示した実施形態においても、一対の電子線照射装置3,3’を設けて、図5及び6に示した実施態様と同様に両方の材料1,2へそれぞれ電子線4,4’を照射してもよい。これらの組み合わせにより、よりフィルムの劣化を少なくして接着強度を向上させることができる。
電子線の照射エネルギーは、上記したようにフィルム厚み等に応じて適宜調整する必要がある。本発明においては、20〜750kV、好ましくは25〜400kV、より好ましくは30〜300kV程度の照射エネルギー範囲で電子線を照射するが、より低い照射エネルギーとすることが好ましく、40〜200kVとすることができる。このように低い照射エネルギーとすることにより、フィルムの劣化を抑制できるだけでなく、フィルム表面のラジカル発生がより効率的におこるため、より強固な結合を実現することができる。また、電子線の吸収線量は、5〜800kGy、好ましくは25〜600kGyの範囲で行う。
このような電子線照射装置としては、従来公知のものを使用でき、例えばカーテン型電子照射装置(LB1023、株式会社アイ・エレクトロンビーム社製)やライン照射型低エネルギー電子線照射装置(EB−ENGINE、浜松ホトニクス株式会社製)等を好適に使用することができる。
電子線を照射する際には、酸素濃度を100ppm以下とすることが好ましい。酸素存在下で電子線を照射するとオゾンが発生するため環境に悪影響を及ぼす場合があるからである。酸素濃度を100ppm以下とするには、真空下または窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下において、フィルムに電子線を照射すればよく、例えば、電子線照射装置内を窒素充填することにより、酸素濃度100ppm以下を達成することができる。
上記した接着方法によって得られた、ポリエステル樹脂フィルムとポリオレフィン樹脂フィルムと積層した積層体は、従来のラミネート樹脂を用いて接着した場合と同等またはそれ以上の接着強度を実現できる。また、ラミネート樹脂等を全く用いていないため、積層体を使用する際にも異物や残留溶剤等が滲出することがなく、かつ、強度、耐ガス透過性、耐ピンホール性、柔軟性にも優れるものとなる。
<ポリエステル樹脂フィルムおよびポリオレフィン樹脂フィルムの準備>
ポリエステル樹脂フィルムとして、厚さ25μmのポリエステル樹脂フィルム(エスペット、東洋紡績株式会社製)を準備し、ポリオレフィン樹脂フィルムとして、下記の2種類のフィルムを準備した。
A:直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(エボリューSP2020、株式会社プライムポリマー製)を厚み70μmに製膜したフィルム
B:エチレン−プロピレンブロック共重合タイプポリプロピレン樹脂(PF380A、サンアロマー株式会社製)を厚み70μmとして製膜したフィルム
実施例1
<積層体の作製>
上記した2種類のフィルムを、それぞれ150mm×75mmの大きさに切り出した試料を準備し、電子線照射装置(ライン照射型低エネルギー電子線照射装置EES−L−DP01、浜松ホトニクス株式会社製)のサンプル台に並置した。この際、電子線が試料に照射されない部分を設けるために、両試料の一方の端部5〜10mm程度にマスキングしておいた。
次いで、電子照射線装置のチャンバー内の酸素濃度が100ppm以下となるように窒素ガスでパージした後、下記の電子線照射条件により、試料の表面に電子線を照射した。
電圧:40kV
吸収線量:200kGy
装置内酸素濃度:100ppm以下
電子線を照射した後、試料を装置内から取り出し、すぐに両フィルムの電子線照射面側が対向するようにして重ね合わせ、熱ラミネート法により、両フィルムを接着して積層体を得た。
実施例2〜3
実施例1において、表1に示す電子線照射条件および接着条件とした以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
実施例4
実施例2において、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂フィルムAに代えて、エチレン−プロピレンブロック共重合タイプポリプロピレン樹脂フィルムBを使用した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。
比較例1
電子照射を行わなかった以外は実施例1と同様にして積層体を得た。しかしながら、得られた積層体はポリエステル樹脂フィルムとポリオレフィン樹脂フィルムとは接着していなかった。
比較例2
電子照射を行わなかった以外は実施例4と同様にして積層体を得た。しかしながら、得られた積層体はポリエステル樹脂フィルムとポリオレフィン樹脂フィルムとは接着していなかった。
比較例3
実施例1で用いた2種の樹脂フィルムを、2液硬化型芳香族エステル系接着剤(タケラックA−3、三井化学株式会社製)を介して貼り合わせるドライラミネート法により積層体を得た。
<積層体の接着強度の評価>
得られた積層体を幅15mmの短冊状になるように切り出し、引張試験機(テンシロン万能材料試験機RTC−1310A、ORIENTEC社製)を用いて、50mm/分の速度で、90度剥離試験を行った。なお、上記したように比較例1および2の積層体は、ポリエステル樹脂フィルムとポリオレフィン樹脂フィルムとが接着しておらず、積層体の接着強度を測定することができなかった。評価結果は、下記の表1に示される通りであった。
また、実施例1〜4の積層体の接着が共有結合によるものかどうかと間接的に調べるために、得られた積層体を水中で保管し、その後、上記と同様にして積層体の接着強度を測定した。評価結果は、下記の表1に示される通りであった。
Figure 2012254593
表1の評価結果からも明らかなように、実施例1〜4の積層体は、水中保管後であっても、接着性を維持している。この結果から、実施例1〜4の積層体は、ポリエステル樹脂フィルムとポリオレフィン樹脂フィルムとが水素結合や分子間力のみによって接着しているものではないことがわかる。したがって、間接的にではあるが、ポリエステル樹脂フィルムの原子とポリオレフィン樹脂フィルム中の原子との間で共有結合が形成されていると推認でき、接着剤によりラミネート加工した従来の積層体と同程度の接着強度を有している。
1 ポリエステル樹脂フィルム
2 ポリオレフィン樹脂フィルム
3、3’ 電子線照射装置
4、4’ 電子線
5 フィルム基材接触界面
6 ヒートローラ
7 支持ローラー

Claims (8)

  1. ポリエステル樹脂フィルムとポリオレフィン樹脂フィルムとが積層した積層体であって、
    前記ポリエステル樹脂フィルムおよび前記ポリオレフィン樹脂フィルムの少なくとも一部で、前記ポリエステル樹脂フィルム中の原子と、前記ポリオレフィン樹脂フィルム中の原子との間に結合が形成されており、前記ポリエステル樹脂フィルムおよび前記ポリオレフィン樹脂フィルムとが接着剤を介さずに接着されていることを特徴とする、積層体。
  2. 前記ポリエステル樹脂フィルムとポリオレフィン樹脂フィルムとの界面の少なくとも一部で、前記ポリエステル樹脂フィルム中の原子と、前記ポリオレフィン樹脂フィルム中の原子との間で、酸素原子、窒素原子または水酸基を介して結合が形成されている、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記ポリエステル樹脂フィルムが、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、またはポリブチレンナフタレートからなる、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記ポリオレフィン樹脂フィルムが、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリメチルペンテンからなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の、ポリエステル樹脂フィルムとポリオレフィン樹脂フィルムとが積層した積層体を製造する方法であって、
    ポリエステル樹脂フィルムおよび/またはポリオレフィン樹脂フィルムの少なくとも一方の面、に電子線を照射し、
    前記電子線が照射された前記ポリエステル樹脂フィルム面および/またはポリオレフィン樹脂フィルム面を重ね合わせて接着する、ことを含んでなることを特徴とする、方法。
  6. 前記ポリエステル樹脂フィルムとポリオレフィン樹脂フィルムとを重ね合わせる前および/または重ね合わせた後に電子線照射を行う、請求項5に記載の方法。
  7. 前記接着を加圧して行う、請求項5または6に記載の方法。
  8. 前記接着を加熱して行う、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH09234845A (ja) * 1995-12-27 1997-09-09 Sumitomo Chem Co Ltd 積層体の製造法
JP2005271376A (ja) * 2004-03-24 2005-10-06 Mitsui Chemicals Inc 積層フィルムまたは積層シートの製造方法およびその方法により製造される積層フィルムまたは積層シート

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