JP2012252000A - マイクロ流体デバイスおよび組織化学用自動反応装置 - Google Patents

マイクロ流体デバイスおよび組織化学用自動反応装置 Download PDF

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Abstract

【課題】煩雑な操作を必要とせず、スライドガラス上の組織切片に試薬液を供給し反応させ、反応後に洗浄する工程の繰り返しである組織化学反応の主な工程を実施する装置を提供することにある。
【解決手段】上部基板とエラストマーシートと下部基板としてスライドガラスとで着脱可能なマイクロ流体デバイスを構成し、試薬液槽、試薬切替バルブ、三方バルブ、送液用ポンプと制御部を備え自動的に組織化学反応工程を実施する装置を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明はマイクロ流体デバイスを用いた組織化学用自動反応装置に関する。
最近、基板内に所定の形状の流路やポートなどの微細構造を配設し、該微細構造内で化学反応、化学合成、物質精製、抽出、生成、分析などの各種操作を行う事が提案され、また一部実用化されている。このような目的のために製作された、基板内に微細な流路およびポートなどの微細構造を有する構造物は総称して「マイクロ流体デバイス」あるいは「マイクロチップ」と呼ばれる。
マイクロ流体デバイスは、遺伝子増幅解析、臨床診断、液中の金属イオン検査など幅広い用途に使用できる。常用サイズの同目的を実行する装置や手作業による実行と比較して、マイクロ流体デバイスは制御装置とアッセンブルすることにより自動化が可能で、(1)サンプルおよび試薬の使用量が著しく少ない、(2)装置全体の小型化が可能、(3)アレイ化して複数サンプルを用いた並列処理が可能、(4)分析時間あるいは反応時間が短い、(5)感度が高い、(6)現場に携帯可能でその場で分析できる、(7)使い捨てが可能、(8)手作業による実施と比べて再現性が高いなどの利点を有する。
マイクロ流体デバイスの材質や構造および製造方法は例えば、特許文献1、特許文献2および非特許文献1などに提案されている。その中で、エラストマータイプのシリコーン樹脂であるポリジメチルシロキサン(PDMS)を用いたことを特徴とする一連のマイクロ流体デバイスが開発されている。PDMSは微細流路などの微細構造を有する鋳型に対する良好なモールド転写性や透明性、耐薬品性、生体適合性などを有し、マイクロ流体デバイスの構成部材として特に優れた特徴を有している。
シリコーン樹脂であるPDMSやシリコーンゴムは自己吸着性を有しており、PDMS基板やシリコーンゴム基板は対面する基板との貼り合わせが容易で一定の圧をかければ、液漏れを起こさない程度の密着性でもって対面する基板と接着させることができる。また、除圧しPDMS基板やシリコーンゴム基板と対面する基板を容易に剥離することが可能である。対面する基板として、ポリカーボネートは耐熱性に優れ、PDMS基板やシリコーンゴム基板との貼り合わせが容易であり、剥離も容易である。ガラスも対面基板として耐熱性および耐薬品性に優れ、PDMS基板やシリコーンゴム基板との貼り合わせが容易であり、剥離も容易である。
組織化学反応には、スライドガラス上の凍結組織切片や例えばホルマリン固定・パラフィン包埋された組織切片に対し、酵素抗体反応により組織切片中の抗原の存在を検出する免疫染色反応(非特許文献2、6)や、組織切片中のRNA(リボ核酸、ribonucleic acid)をプローブにより検出するRNA in situハイブリダイゼーション、組織切片中の細胞核の染色体DNA(デオキシリボ核酸、deoxyribonucleic acid)を検出する蛍光in situハイブリダイゼーションなどがあり(非特許文献3、4、5)、病理組織学分野における重要な検出反応である。免疫染色反応や蛍光in situハイブリダイゼーションは、癌の診断にも使われている。が、組織化学反応は種々の試薬液により組織切片を処理する工程と洗浄の繰り返しであり、試薬液処理をスライドガラス上の局所的な領域で行ったり、スライドガラスを丸ごと染色壷に浸すことにより洗浄を染色壷内で行ったりして、手作業では煩雑で長時間を要し、試薬液類の拭き取りや手作業中の試料切片の乾燥の危険性など、試技者による結果のバラつきが課題である。
染色体DNAを検出する蛍光in situハイブリダイゼーションでは、細胞をスライドガラス上に乗せ、押しつぶした後、マイクロ流体デバイスの反応室中で、蛍光in situハイブリダイゼーションの組織化学反応を実施する例が、すでに報告されている(非特許文献7)。しかし、この非特許文献7では、マイクロ流体デバイスのPDMSでできた蓋(lid)はスライドガラスにシリコンボンディング層により貼付けられ取り外せないようになっている。これが原因でin situハイブリダイゼーションの結果を高い倍率の対物レンズを用いた顕微鏡で詳細な観察ができない、という問題点がある。
特開2001−157855号公報 米国特許第5965237号明細書
David C. Duffy et al., Rapid Prototyping of Microfluidic Systems in Poly(dimethylsiloxane), Analytical Chemistry, vol. 70, No.23, December 1, 1988, pp.4974-4984 渡辺・中根酵素抗体法、改訂四版、名倉宏、長村義之、堤寛編集、学際企画株式会社、2002年 ノンRI in situハイブリダイゼーション応用マニュアル、第2版、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社、1999年 DIGアプリケーションマニュアル for in situハイブリダイゼーション 3rd、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社、2008年 Methods in Molecular Biology, VOLUME 123, In situ Hybridization Protocols, second edition, edited by Ian A. Darby, Human Press Inc., 2000 実験医学別冊 注目のバイオ実験シリーズ 野地澄晴編、免疫染色&in situハイブリダイゼーション最新プロトコル、2006年 Metaphase FISH on a Chip: Miniaturized Microfluidic Device for Fluorescence in situ Hybridization, I. Vedarethinam et al., Sensors 2010, vol. 10, 9831-9846.
従って、本発明の目的は、前述のように組織化学反応は種々の試薬液により組織切片を処理する工程と洗浄の繰り返しであり、試薬液処理をスライドガラス上の局所的な領域で行ったり、スライドガラスを丸ごと染色壷に浸すことにより洗浄を染色壷内で行ったりして、手作業では煩雑で長時間を要し試技者による結果のバラつきが課題であり、入力ポートと出力ポートを有する反応室中で組織化学反応を行えるようマイクロ流体デバイスを提供することである。
本発明の別の目的は、手作業では煩雑で長時間を要する組織化学反応を自動で行う、前述のマイクロ流体デバイスを使った組織化学反応用の自動反応装置を提供することである。
前記課題を解決するための手段として、本発明は、第1に、上部基板と下部基板と、少なくとも1枚のエラストマーシートとからなり、該エラストマーシートが前記上部基板と下部基板との間で貼り合わされてできるマイクロ流体デバイスであって、前記上部基板には流体を出し入れするための少なくとも1個以上の入力ポート及び出力ポートが該上部基板を貫通して配設されており、前記エラストマーシートには中央部に上部基板と下部基板との間で貼り合わされたときに天井が上部基板の下面、底面が下部基板の上面、壁面がエラストマーシートの断面である密閉された液体の反応室ができるよう刳り貫かれた穴があいており、該穴の一部は前記上部基板の入力ポート及び出力ポートと連通する構造となっているマイクロ流体デバイスを提供する。(図1)
前記課題を解決するための手段として、本発明は、第2に、前記上部基板、下部基板およびエラストマーシートは、エラストマーシート材料の自己吸着性を利用して貼り合わされ、前記貼り合わされた上部基板と下部基板およびエラストマーシートは、貼り合わせ面からの液漏れを防ぐために加圧して貼り合わせ面の密着性を高める部材が取り付けられ、前記貼り合わされた前記上部基板、下部基板およびエラストマーシートは、前記部材を取り外すことで分離される前記第1に記載のマイクロ流体デバイスを提供する。
(図1、図2)
前記課題を解決するための手段として、本発明は、第3に、前記上部基板がポリカーボネートからなる硬質基板であり、前記下部基板がスライドガラスからなる硬質基板であり、前記エラストマーシートが、厚さが20ミクロンから1000ミクロンのPDMS(ポリジメチルシロキサン)等のシリコーンゴム素材あるいはその他のゴム素材である前記第2に記載のマイクロ流体デバイスを提供する。
前記課題を解決するための手段として、本発明は、第4に、前記第1のマイクロ流体デバイスを用いた組織化学用自動反応装置であって、組織化学反応用試薬液を貯めておく少なくとも2個以上の試薬液槽と、反応を終了した前記試薬液を貯めておく廃液槽と、該試薬液槽と該マイクロ流体デバイスの前記入力ポートとを繋ぐ第1の送液用流路と、該マイクロ流体デバイスの前記出力ポートと該廃液槽とを繋ぐ第2の送液用流路と、前記第1の送液用流路に配置された第1の送液用ポンプおよび/または前記第2の送液用流路に配置された第2の送液用ポンプと、組織化学反応の実行を制御する制御装置とがそれぞれ備えられ、
当該マイクロ流体デバイスの反応室中を流れる試薬液の種類、順番、流速、流量、温度を制御する組織化学用自動反応装置を提供する。(図3、図4、図5、図6)
前記課題を解決するための手段として、本発明は、第5に、前記第4に記載の組織化学用自動反応装置であって、前記マイクロ流体デバイスの反応室へ前記試薬液を充填後、その液体を反応室中で停留させ、および/または前記試薬液を前記マイクロ流体デバイスの入力ポートから出力ポートへの一方向に反応室中において送液させ、および/または前記試薬液を前記マイクロ流体デバイスの入力ポートから出力ポートへの順方向および出力ポートから入力ポートへの逆方向の双方向に交互に反応室中において送液させ、および/または1時間以上の時間にわたって1種類の前記試薬液を前記マイクロ流体デバイスの反応室に循環送液させる組織化学用自動反応装置を提供する。
前記課題を解決するための手段として、本発明は、第6に、前記第5に記載の組織化学用自動反応装置であって、前記一方向への送液、双方向への交互の送液または循環送液の少なくともいずれか1つの送液として脈動流を送る組織化学用自動反応装置を提供する。
前記課題を解決するための手段として、本発明は、第7に、前記第4の組織化学用自動反応装置であって、前記第1の送液用流路に前記第1の送液用ポンプが配置された場合であって、前記第1の送液用流路には、前記試薬液槽と前記第1の送液用ポンプの間に前記マイクロ流体デバイスに送る試薬液を切り替える試薬液切替バルブが配設され、さらに該第1の送液用流路には、前記試薬液槽と試薬液切替バルブを繋ぐチューブ、該試薬液切替バルブと前記第1の送液用ポンプを繋ぐチューブ、該第1の送液用ポンプから該マイクロ流体デバイスの入力ポートに繋がれたチューブがそれぞれ備えられ、前記制御装置は、該試薬液切替バルブおよび該第1の送液用ポンプを制御して前記組織化学反応を実行する組織化学用自動反応装置を提供する。(図3、図4)
前記課題を解決するための手段として、本発明は、第8に、前記第4の組織化学用自動反応装置であって、前記第2の送液用流路に前記第2の送液用ポンプが配置された場合であって、前記第1の送液用流路において、前記試薬液槽と前記マイクロ流体デバイスの入力ポートの間にマイクロ流体デバイスに送る試薬液を切り替える試薬液切替バルブが配設され、さらに該第1の送液用流路には、試薬液槽と試薬液切替バルブを繋ぐチューブ、試薬液切替バルブと入力ポートを繋ぐチューブとがそれぞれ設けられ、該第2の送液用流路には、マイクロ流体デバイスの出力ポートから該第2の送液用ポンプに繋がれたチューブ、および該第2の送液用ポンプから廃液槽に繋がれたチューブがそれぞれ備えられ、前記制御装置は、該試薬液切替バルブおよび該第2の送液用ポンプを制御して前記組織化学反応を実行する組織化学用自動反応装置を提供する。(図5、図6)
前記課題を解決するための手段として、本発明は、第9に、前記第7の組織化学用自動反応装置であって、前記第1の送液用流路には、前記試薬液切替バルブと前記第1の送液用ポンプとの間に第1の三方バルブが配設され、前記第2の送液用流路には、前記マイクロ流体デバイスの出力ポートと廃液槽との間に第2の三方バルブが配設され、前記第2の三方バルブから第1の三方バルブに送液される試薬液を貯めておく循環送液用試薬液槽を備え、前記第2の三方バルブと前記循環送液用試薬液槽を繋ぐチューブと、該循環送液用試薬液槽と前記第1の三方バルブを繋ぐチューブとからなる循環送液用流路が備えられ、
前記制御装置は、さらに前記第1の三方バルブと前記第2の三方バルブを制御して組織化学反応を実行する組織化学用自動反応装置を提供する。(図3、図4)
前記課題を解決するための手段として、本発明は、第10に、前記第8の組織化学用自動反応装置であって、前記第1の送液用流路には、試薬液切替バルブとマイクロ流体デバイスの入力ポートとの間に前記第1の三方バルブが配設され、前記第2の送液用流路には、前記第2の送液用ポンプと廃液槽との間に前記第2の三方バルブが配設され、前記第2の三方バルブから第1の三方バルブに送液される試薬液を貯めておく循環送液用試薬液槽を備え、前記第2の三方バルブと循環送液用試薬液槽を繋ぐチューブ、該循環送液用試薬液槽と前記第1の三方バルブを繋ぐチューブからなる循環送液用流路が備えられ、前記制御装置は、さらに前記第1の三方バルブと前記第2の三方バルブを制御して組織化学反応を実行する組織化学用自動反応装置を提供する。(図5、図6)
前記課題を解決するための手段として、本発明は、第11に、前記第4の組織化学用自動反応装置であって、制御される温度が1℃から60℃である組織化学用自動反応装置を提供する。
前記課題を解決するための手段として、本発明は、第12に、前記第4の組織化学用自動反応装置であって、前記試薬液槽の温度が、前記反応室において該試薬液槽の試薬液が供される反応の温度と同じ温度以上の温度で維持されている組織化学用自動反応装置を提供する。
前記課題を解決するための手段として、本発明は、第13に、前記第4の組織化学用自動反応装置であって、前記組織化学反応がRNAを検出するin situハイブリダイゼーションである組織化学用自動反応装置を提供する。
前記課題を解決するための手段として、本発明は、第14に、前記第4の組織化学用自動反応装置であって、前記組織化学反応が抗原を検出する免疫染色である組織化学用自動反応装置を提供する。
前記課題を解決するための手段として、本発明は、第15に、前記第4の組織化学用自動反応装置であって、前記組織化学反応が細胞核を染色する工程を含む組織化学反応である組織化学用自動反応装置を提供する。
本発明のマイクロ流体デバイスおよび組織化学用自動反応装置によれば、以下のような顕著な効果が得られる。
(1)本発明のマイクロ流体デバイスを構成する上部基板、エラストマーシート、下部基板であるスライドガラスは着脱可能であるため、組織化学反応のプロセスを終了後に、マイクロ流体デバイスの構成物を剥離し、スライドガラス上の試料にカバーガラスをかけ、顕微鏡に持っていき組織化学反応後の試料の検鏡が可能となる。
(2)本発明のマイクロ流体デバイスの上部基板は材質がポリカーボネートであるため再利用が可能であり、エラストマーシートは安価に製作でき使い捨てが可能である。
(3)本発明のマイクロ流体デバイスおよび組織化学用自動反応装置により、反応室中の試料は、組織化学反応が実行されている間、空気と直接触れることが無く、手作業のときに問題となる試料の乾燥等による結果のバラツキを防ぐことができる。
(4)本発明の組織化学用自動反応装置により、組織化学反応をマイクロ流体デバイスの入力ポートと出力ポートを有する反応室中で、制御装置により自動で行え、手作業による実施と比べて再現性が高いなどの利点を有する。
本発明のマイクロ流体デバイスの一例の概要構成図である。3種の基板は張り合わせた後、剥がす事ができる。 図1の3種の基板を張り合わせ、圧力をかけている状態を示す図である。 本発明の組織化学用自動反応装置のマイクロ流体制御系(送液用ポンプを試薬液槽とマイクロ流体デバイスの間に設置した場合)である。 図3のSW、Vs、Pp、Vbを制御装置CDで制御する概略図である。 本発明の組織化学用自動反応装置のマイクロ流体制御系(送液用ポンプをマイクロ流体デバイスと廃液槽の間に設置した場合)である。 図5のSW、Vs、Ps、Vbを制御装置CDで制御する概略図である。 実施例3で作成した組織化学用自動反応装置、および実施例6に用いた組織化学用自動反応装置のマイクロ流体制御系である。 実施例3で作成した組織化学用自動反応装置、および実施例6に用いた組織化学用自動反応装置のマイクロ流体制御系で、制御装置CDにより自動制御されることを示す。 実施例5に記載の制御装置の概略図である。 実施例6に記載の制御装置の概略図である。 実施例7の組織化学用自動反応装置のマイクロ流体制御系で実施したin situハイブリダイゼーション(ヒトACTB遺伝子のmRNAを検出)の結果の顕微鏡写真である。 実施例7の組織化学用自動反応装置のマイクロ流体制御系で実施した細胞核を染色するDAPI染色の結果の顕微鏡写真である。 実施例7の組織化学用自動反応装置のマイクロ流体制御系で実施したin situハイブリダイゼーション(ヒトACTB遺伝子のmRNAを検出)の結果(図11)およびDAPI染色の結果(図12)を重ね合わせた写真である。 実施例8の組織化学用自動反応装置のマイクロ流体制御系で実施したin situハイブリダイゼーション(アルブミン遺伝子のmRNAを検出)の結果の顕微鏡写真である。
図1は本発明のマイクロ流体デバイスの一例の概要構成図である。本発明のマイクロ流体デバイスは、図1に示されるように、上部硬質基板1(上部基板とも称す)と下部硬質基板3(下部基板とも称す)と少なくとも1枚のエラストマーシート2からなり、上部硬質基板1と下部硬質基板3との間にエラストマーシート2が貼り合わされてできる。上部硬質基板1には流体を出し入れするための少なくとも2個の入出力ポート4、5が、該上部硬質基板1を貫通して配設されている。エラストマーシート2は、厚さが20ミクロンから1000ミクロンが望ましい。
入出力ポート4、5は、いずれを入力ポートまたは出力ポートに割り当てるようにしてもよく、入力ポート及び出力ポートは少なくとも1個以上ある。なお、以下の説明では4を入力ポート、5を出力ポートとする。入力ポートを入力ポートIP、出力ポートを出力ポートOPとも称す。
エラストマーシート2の中央部は上部硬質基板1と下部硬質基板3との間で貼り合わされたときに、天井が上部硬質基板1の下面、底面が下部硬質基板3の上面、壁面がエラストマーシート2の断面である密閉された液体の反応室ができるよう刳り貫かれた穴6が開いており、穴6の両端は前記上部硬質基板2の入出力ポート4、5と連通する構造となっている。7は、下部硬質基板3に乗せられた組織切片である。
上部硬質基板1として例えば透明なポリカーボネート、エラストマーシート2として例えばPDMSシートやシリコーンゴムシート、下部硬質基板3としてスライドガラスが選ばれる。上部硬質基板2の入出力ポート4、5の位置およびエラストマーシート2の中央部の穴6の形状は言うまでもなく、試料の形状・サイズに依存して変更される。
図示されていないが、入出力ポート4、5にはフィッティングが取り付けられ、フィッティングの上端には送液用流路を形成するためのチューブが接続される。
上部硬質基板1と下部硬質基板3とエラストマーシート2は、エラストマーシートの持つ自己粘着性により貼り合わされるが、反応室から貼り合わせ面による液漏れを防ぐために、図2のように、上部硬質基板1の上側面および下部硬質基板3の下側面から挟むように圧をかけ、密着性を高めて実施する。
密着させる手段としては、例えば、後述するネジ式のホルダーのような適当な圧力を発生させる加圧部材を用い、上部硬質基板1と下部硬質基板3を挟み込むようにこの加圧部材を取り付ければよい。加圧部材を取り外せば、上部硬質基板1と下部硬質基板3とエラストマーシート2を、剥がして分離することができる。
図3から図6は、図1のマイクロ流体デバイスを用いた組織化学用自動反応装置の概略構成図である。図3から図6に示すように、本発明の組織化学用自動反応装置は、組織化学反応用試薬液を貯めておく少なくとも2個以上の試薬液槽T1、T2、T3、・・・、Tnおよび反応を終了した試薬液を貯めておく廃液槽Td、該試薬液槽とマイクロ流体デバイスMFDの入力ポートIPとを繋ぐ送液用流路Ca(第1の送液用流路とも称す)、送液用流路Caに配設された試薬液を切り替える試薬液切替バルブSW、該マイクロ流体デバイスの出力ポートOPと該廃液槽Tdとを繋ぐ送液用流路Cb(第2の送液用流路とも称す)から構成される。
送液用流路Caには流量と流速を制御可能な送液用ポンプPp(第1の送液用ポンプとも称す)(図3、図4)および/または送液用流路Cbには流量と流速を制御可能な送液用ポンプPs(第2の送液用ポンプとも称す)が配置される(図5、図6)。
また、図3および図4に示すように、試薬液切替バルブSWと送液用ポンプPpとの間に三方バルブVa(第1の三方バルブとも称す)を配置し、マイクロ流体デバイスMFDの出力ポートOPと廃液槽との間にもう一個の三方バルブVb(第2の三方バルブとも称す)を配置し、三方バルブVbから三方バルブVaに試薬液が送液されるように循環送液用流路Ccが構成されており、循環送液用流路Ccには、循環送液される試薬を貯めておく循環送液用試薬液槽Tcが配設される。
あるいは、図5および図6に示すように、試薬液切替バルブSWとマイクロ流体デバイスMFDの入力ポートIPとの間に三方バルブVaを配置し、送液用ポンプPsと廃液槽との間にもう一個の三方バルブVbを配置し、三方バルブVbから三方バルブVaに試薬液が送液されるように循環送液用流路Ccが構成されており、循環送液用流路Ccには、循環送液される試薬を貯めておく循環送液用試薬液槽Tcが配設される。
これらの試薬液切替バルブSW、三方バルブVaおよびVb、送液用ポンプPpおよびPsは制御装置CDにより制御され、組織化学反応の実行が自動制御されている(図4および図6)。
〔実施例1〕
PDMSシート(厚み1mm)の作製:
Silpot184(東レ・ダウコーニング株式会社)を用いて厚みが1mmのPDMSシートを作製した。Silpot184は主材と硬化剤(どちらも液状)がセットになった型取り用キットであり、主材と硬化剤を重量比10:1で混合して加熱すると、硬化して柔軟性のあるゴム状のPDMS材になる。
まず、Silpot184の主材20gを量り取り、そこへSilpot184の硬化剤2gを添加し、ミキサー(株式会社シンキー、ARE-310)で混合した。その混合液を、CHF3コーティング処理を施した4インチ片面ミラーシリコンウェハ(菱光産業株式会社、NM-160A-3R)の表面に9g流し込み、混合液がシリコンウェハ全体に広がって厚みが均一になるように、水平な台の上で24時間静置した。その後、高温チャンバー(エスペック株式会社、ST-110)に入れ、75℃で90分間加熱して硬化させた。硬化したPDMSをシリコンウェハから剥がし、直径100mm、厚み1mmのPDMSシートを得た。
〔実施例2〕
シリコーンゴムシート(厚み0.8mm)の作製:
大きさ500mm×500mm、厚み0.2mmの市販のシリコーンゴムシート(アズワン株式会社、6-9085-13)から、大きさ50mm×100mmのシリコーンゴムシートを4枚カッターナイフで切り出した。その4枚のシートの片面にRIE装置(サムコ株式会社、RIE-10NR)を使って酸素プラズマを照射し、プラズマ照射面同士を重ね合わせて接着すると、大きさ50mm×100mm、厚み0.4mmのシリコーンゴムシートが2枚出来上がる。
同様に、その2枚のシートの片面にRIE装置を使って酸素プラズマを照射し、プラズマ照射面同士を重ね合わせて接着することにより、大きさ50mm×100mm、厚み0.8mmのシリコーンゴムシートを作製した。
〔実施例3〕
13種類の試薬を使った組織化学反応の自動反応装置を作成した。まず、エラストマーシートとして、PDMSシート(厚み1mm)を実施例1の方法で作成した。このPDMSシートをカッターナイフで切断あるいは穴開けし、反応室部分、入力ポート部分、出力ポート部分を作成した。
一方、上部硬質基板にポリカーボネート基板を使用し、市販のポリカーボネート板(白銅株式会社、ポリカーボネート切板(透明))を機械加工で幅31mm×長さ80mm×厚み8mmの大きさに切り出し、送液用入口および送液用出口となる箇所に直径1mmの貫通孔を開け、そこに1/4インチ-28UNFのネジを切ることで、入力ポートIPと出力ポートOPとした。次に、スライドグラスの組織切片をのせる面に、上記の反応室部分と入力ポート部分および出力ポート部分が刳り抜かれたPDMSシート(厚み1mm)を貼り付け、その上からさらにポリカーボネート基板を貼り付けてマイクロ流体デバイスを構成した(図1)。
軟質素材のPDMSシートと硬質素材のポリカーボネート基板およびスライドグラスとの密着性を高め、液漏れを防ぐために、ネジ式のホルダーを使って3層から構成されるマイクロ流体デバイスに圧力を負荷した(図2)。
入力ポートと出力ポートにはフランジレスフィッティング(アップチャーチ社)を介して内径0.5mm、外径1.5mmのテフロンチューブ(アズワン株式会社)に接続した。以下、試薬液槽やバルブなどの各要素間を繋ぐ流路には同じチューブを用いた。入力ポートIPは送液用ポンプPp(株式会社アクアテック マイクロリングポンプ(商標)RP-Q1、該マイクロリングポンプは脈動流を発生する)を介して切替バルブSW(高砂電気工業株式会社 KTV-2-13MFG-1)に接続し、13種類の異なる試薬液を貯めた試薬液槽T1〜T13に繋げた。切替バルブを動作させることで13種類の試薬液の中から選択的に1種類の試薬液をマイクロ流体デバイスへ導入することができる。
一方、マイクロ流体デバイスMFDの出力ポートOPは廃液槽Tdに繋げた。さらに、送液用ポンプPpと切替バルブSWの間、およびマイクロ流体デバイスの入力ポートIPと廃液槽Tdの間にそれぞれ三方バルブVaおよびVb(高砂電気工業株式会社 KV-3K-MFG-2)を配設した。これらのバルブを切り替えることでマイクロ流体デバイス、送液用ポンプ、循環送液用試薬液槽Tcが連結された閉鎖流路系を構成することができ、限られた少量の試薬液を循環送液することができる(図7および図8)。
なおマイクロ流体デバイスや試薬液槽等を含めた送液系はインキュベータ内(三洋電機、MIR554、温度制御範囲-10℃から60℃)に設置し、日本薬局方で定義する室温の下限である1℃から60℃の間で温度環境を制御しながら実験を行うことができる。組織化学反応を自動的に実施するのに必要なポンプ・バルブ動作について、制御装置CDとして、実施例5に記載の制御装置(図9)を作成し、組織化学反応の実行を自動制御できるようにした(図8)。
〔実施例4〕
12種類の試薬を使った組織化学反応の自動反応装置を作成した。まず、エラストマーシートとして、厚さ0.8mmのシリコーンゴムシートを実施例2の方法で作成した。このシリコーンゴムシートをカッターナイフで切断あるいは穴開けし、反応室部分、入力ポート部分、出力ポート部分を作成した。一方、上部硬質基板として、市販のポリカーボネート板(白銅株式会社、ポリカーボネート切板(透明))を機械加工で幅31mm×長さ80mm×厚み8mmの大きさに切り出し、送液用入口および送液用出口となる箇所に直径1mmの貫通孔を開け、そこに1/4インチ-28UNFのネジを切ることで、入力ポートIOと出力ポートOPとした。
次に、スライドガラスの組織切片をのせる面に、上記の反応室部分と入力ポート部分および出力ポート部分が刳り抜かれたシリコーンゴムシート(厚み0.8mm)を貼り付け、その上からさらにポリカーボネート基板を貼り付けてマイクロ流体デバイスを構成した(図1)。
さらに、軟質素材のシリコーンゴムシートと硬質素材のポリカーボネート基板およびスライドグラスとの密着性を高め、液漏れを防ぐために、ネジ式のホルダーを使って3層から構成されるマイクロ流体デバイスに圧力を負荷した(図2)。
入力ポートと出力ポートにはフランジレスフィッティング(アップチャーチ社)を介して内径0.5mm、外径1.5mmのテフロンチューブ(アズワン株式会社)に接続した。以下、試薬液槽やバルブなどの各要素間を繋ぐ流路には同じチューブを用いた。入力ポートIPは送液用ポンプPp(株式会社アクアテック マイクロリングポンプRP-Q1、該マイクロリングポンプは脈動流を発生する)を介して切替バルブSW(高砂電気工業株式会社 KTV-2-12MFG-1)に接続し、12種類の異なる試薬液を貯めた試薬液槽T1〜T12に繋げた。
切替バルブを動作させることで12種類の試薬液の中から選択的に1種類の試薬液をマイクロ流体デバイスへ導入することができる。一方、マイクロ流体デバイスMFDの出力ポートOPは廃液槽Tdに繋げた。さらに、送液用ポンプPpと切替バルブSWの間、およびマイクロ流体デバイスの入力ポートIPと廃液槽Tdの間にそれぞれ三方バルブVaおよびVb(高砂電気工業株式会社 KV-3K-MFG-2)を配設した。これらのバルブを切り替えることでマイクロ流体デバイス、送液用ポンプ、循環送液用試薬液槽Tcが連結された閉鎖流路系を構成することができ、限られた少量の試薬液を循環送液することができる(図7および図8を参照)。
なおマイクロ流体デバイスや試薬液槽等を含めた送液系はインキュベータ内(三洋電機、MIR554、温度制御範囲-10℃から60℃)に設置し、日本薬局方で定義する室温の下限である1℃から60℃の間で温度環境を制御しながら実験を行うことができる。組織化学反応を自動的に実施するのに必要なポンプ・バルブ動作について、制御装置CDとして、実施例5に記載の制御装置(図9)を製作し、組織化学反応の実行を自動制御できるようにした(図8を参照)。
〔実施例5〕
マイクロ流体デバイスの反応室に送液する試薬液の種類および順番、流速、流量を制御し組織化学反応を自動的に実施するのに必要なポンプ・バルブ動作について、制御装置CDを製作し、組織化学反応の実行を自動制御できるようにした(図9)。制御装置CDは送液のシーケンスプログラムを実行し、バルブVa,Vb,SWを制御するパーソナルコンピュータPCおよび、送液用ポンプPpを制御するマイコンボードPCDから構成される。
パーソナルコンピュータPCのマイクロプロセッサMPUはメモリーMEMに保存されたシーケンスプログラムに従い、USB通信インターフェースで接続されたソリッドステートリレーSSR内蔵デジタルI/OインターフェースDIO(National Instruments NI-USB6525)にバルブ開閉信号を送信し、DIOはその信号に応じて内蔵ソリッドステートリレーSSRと直流電源PWの接続をON/OFFすることで、ソリッドステートリレーに接続されたバルブSW, Va, Vbを開閉する。
また、シーケンスプログラムに従い、DIOに接続されたマイコンボードPCDにポンプPpのON/OFF信号を送信し、ポンプを制御する。PCDのマイクロプロセッサ(株式会社ルネサスエレクトロニクス H8SX/1655)MPUはメモリーMEMに保存された流量設定プログラムに従いPCD上のデジタルI/OインターフェースDIOに接続されたモータードライバMDにPWM信号を送信し、MDに接続された送液用ポンプPpの流量を制御する。
〔実施例6〕
マイクロ流体デバイスの反応室に送液する試薬液の種類および順番、流速、流量を制御し組織化学反応を自動的に実施するのに必要なポンプ・バルブ動作について、制御装置CDを製作し、組織化学反応の実行を自動制御できるようにした(図10)。制御装置CDは送液のシーケンスプログラムを実行し、バルブVa,Vb,SWを制御するパーソナルコンピュータPCおよび、送液用ポンプPsを制御するマイコンボードPCDから構成される。
パーソナルコンピュータPCのマイクロプロセッサMPUはメモリーMEMに保存されたシーケンスプログラムに従い、USB通信インターフェースで接続されたソリッドステートリレーSSR内蔵デジタルI/OインターフェースDIO(National Instruments NI-USB6525)にバルブ開閉信号を送信し、DIOはその信号に応じて内蔵ソリッドステートリレーSSRと直流電源PWの接続をON/OFFすることで、ソリッドステートリレーに接続されたバルブSW, Va, Vbを開閉する。
また、シーケンスプログラムに従い、DIOに接続されたマイコンボードPCDにポンプPsのON/OFF信号を送信し、ポンプを制御する。PCDのマイクロプロセッサ(株式会社ルネサスエレクトロニクス H8SX/1655)MPUはメモリーMEMに保存された流量設定プログラムに従いPCD上のデジタルI/OインターフェースDIOに接続されたモータードライバMDにPWM信号を送信し、MDに接続された送液用ポンプPsの流量を制御する。
〔実施例7〕
本発明の方法による担癌マウスのゼノグラフト組織切片(細胞株AZ521、厚さ5μm)を使ったヒトACTB遺伝子のmRNAを検出する in situハイブリダイゼーション:
パラフィン包埋されたゼノグラフト細胞組織のスライス切片を貼り付けたスライドグラス(幅26mm×長さ76mm、松浪硝子工業株式会社)をサンプルとして用いた。(組織切片を貼付けたスライドグラスをサンプルスライドグラスとも称す。)まず前処理としてそのサンプルスライドグラスを、キシレンを満たした染色壺に浸し、パラフィンを除去した後、エタノールを満たした染色壺に浸して洗浄し、脱パラフィン工程を実施した。
次に、そのサンプルスライドグラスの組織切片のある面に、実施例3に記載の反応室部分と入力ポート部分および出力ポート部分が刳り抜かれたPDMSシート(厚み1mm)を貼り付け、その上からさらにポリカーボネート基板(白銅株式会社、ポリカーボネート切板(透明))を貼り付けてマイクロ流体デバイスを構成した(図1)。
軟質素材のPDMSシートと硬質素材のポリカーボネート基板およびスライドグラスとの密着性を高め、液漏れを防ぐために、ネジ式のホルダーを使って3層から構成されるマイクロ流体デバイスに圧力を負荷した(図2)。
実施例3に記載のポリカーボネート基板に配設された入力ポートIPと出力ポートOPは、フィッティング(アップチャーチ社)を介して内径0.5mm、外径1.5mmのテフロンチューブ(アズワン株式会社)に接続される。以下、試薬液槽やバルブなどの各要素間を繋ぐ流路には同じチューブを用いている。
入力ポートIPは送液用ポンプPp(株式会社アクアテック マイクロリングポンプRP-Q1)を介して切替バルブSW(高砂電気工業株式会社 KTV-2-13MFG-1)に接続され、13種類の異なる試薬液を貯めた試薬液槽T1〜T13に繋がっており、切替バルブを動作させることで13種類の試薬液の中から選択的に1種類の試薬液をマイクロ流体デバイスへ導入することができる。
一方、マイクロ流体デバイスMFDの出力ポートOPは廃液槽Tdに繋がっている。さらに、送液用ポンプPpと切替バルブSWの間、およびマイクロ流体デバイスの入力ポートIPと廃液槽Tdの間にそれぞれ三方バルブVaおよびVb(高砂電気工業株式会社 KV-3K-MFG-2)が配設されている。これらのバルブを切り替えることでマイクロ流体デバイス、送液用ポンプ、循環送液用試薬液槽Tcが連結された閉鎖流路系を構成することができ、限られた少量の試薬液を循環送液することができる(図7および図8)。なおマイクロ流体デバイスや試薬液槽等を含めた送液系はインキュベータ内に設置し、温度環境を制御しながら実験を行った。
脱パラフィン済みの前記サンプルスライドグラスをマイクロ流体デバイスに組み込んだ後、この送液系を利用して13種類の試薬液を以下のシーケンス(16工程)に従って順番に送液した。なお、実施例5に記載の制御装置を用いる事により、下記の16工程を実施するのに必要な送液用ポンプ・バルブ動作についてはすべて自動制御となっている(図8、該組織化学用自動反応装置は実施例3に記載のものに相当する)。
[1]メタノール10mL(和光純薬工業株式会社)に過酸化水素水25μL(和光純薬工業株式会社)を混合した溶液(試薬液1)を25℃環境下で流量200μL/minで15分間送液。
[2]PBS-DEPC(DEPC処理したPBS、試薬液2)を25℃環境下で流量200μL/minで10分間送液後、送液用ポンプを停止させ、そのまま20分間静置。
[3]インキュベータ内温度を37℃に変更し、PBS-DEPC 50mLにProk25μL(Protenase K solution, RNA Grade、インビトロジェン社、 cat. No.25530-049)を混合した溶液(試薬液3)を流量200μL/minで10分間送液後、送液用ポンプを停止させ、そのまま10分間静置。
[4]インキュベータ内温度を25℃に戻し、Diethyl Pyrocarbonate (DEPC、SIGMA社)25μLをPBS-DEPC 25mLに混合したActive DEPC(試薬液4)を流量200μL/minで40分間送液。
[5]DEPC水(DEPC処理した再蒸留水、試薬液5)を25℃環境下で流量200μL/minで20分間送液。
[6]インキュベータ温度を42℃に変更し、ハイブリダイゼーションバッファー10mL、ヒトACTB mRNA検出用probe (配列番号1に記載のオリゴDNAプローブで5’端と3’端はフルオレセインでラベルされており、作成はオペロンバイオテクノロジー株式会社に委託)100μLを混合した溶液(試薬液6)を流量200μL/minで10分間送液し、その後、三方バルブVaとVbを動作させ循環送液系に切り替えてから流量を100μL/minに変更し、960分間循環送液。
[7]三方バルブVaとVbを動作させ一方向系に切り替えてから流量を200μL/minに変更し、SSC(試薬液7、20X SSC(インビトロジェン社)を希釈して使用)を42℃環境下で40分間送液。
[8]インキュベータ内温度を25℃に戻し、TNTバッファー(0.1M Tris-HCL (pH7.5), 0.15M NaCl, 0.005% Tween 20、試薬液8)を流量200μL/minで25分間送液。
[9] ブロッキングバッファー(試薬液9)を25℃環境下で流量200μL/minで40分間送液。
[10] ブロッキングバッファー1960μLに抗フルオレセイン抗体(HRPコンジュゲート、Polyclonal Rabbit Anti-FITC/HRP, Rabbit F(ab’)、Dako社製)40μLを混合した溶液(試薬液10)を25℃環境下で流量200μL/minで10分間送液後、送液用ポンプを停止させ、90分間静置。
[11] TNTバッファー(試薬液8)を25℃環境下で流量200μL/minで40分間送液。
[12] TSA Plus Fluorescein System(株式会社パーキンエルマージャパン)の1xPlus Amplification Diluent 1960μLにチラミド-フルオレセイン40μLを混合した溶液(試薬液11)を25℃環境下で流量200μL/minで10分間送液後、送液用ポンプを停止させ10分間静置(試薬液11の調整はパーキンエルマー社の製品マニュアルに従った)。
[13] TNTバッファー(試薬液8)を25℃環境下で流量200μL/minで40分間送液。
[14] PBS 1998μLにDAPI 2μL(インビトロジェン社、Cat No.D1306)を混合した溶液(試薬液12)を25℃環境下で流量200μL/minで10分間送液後、送液用ポンプを停止させ、15分間静置(DAPI染色)。
[15] TNTバッファー(試薬液8)を25℃環境下で流量200μL/minで13分間送液。
[16] DDW(試薬液13)を25℃環境下で流量200μL/minで20分間送液。以上の16工程終了後、マイクロ流体デバイスからサンプルスライドグラスを取り外し、試料を封入剤(Vectashield H-1000、Vector Laboratories, Inc.)で封入しカバーグラスをかけ、蛍光顕微鏡(オリンパス株式会社、型式IX71)で組織切片の蛍光観察を行った。その結果を図11〜図13に示す。図11はin situハイブリダイゼーション(ヒトACTB遺伝子のmRNAを検出)の結果の顕微鏡写真である。図12は細胞核を染色するDAPI染色(工程14)の結果の顕微鏡写真である。図13は、in situハイブリダイゼーション(ヒトACTB遺伝子のmRNAを検出)の結果(図11)およびDAPI染色の結果(図12)を重ね合わせた写真である。なお、PBS-DEPC(DEPC処理したPBS)、DEPC水(DEPC処理した再蒸留水)、ハイブリダイゼーションバッファー、ブロッキングバッファーの各バッファー類は、非特許文献3、4、5に記載の方法に従って調整した。なお、本実施例での工程[5]と[6]の間に、4%パラフォルムアルデヒドを含むPBS-DEPCを4℃環境下にて5分間送液する後固定を行い、さらにDEPC水を送液する工程を挿入してもよい。また、非特許文献3、4、5に種々記載されているようにin situハイブリダイゼーションの組織化学反応のプロトコルは本実施例に限られるものではない。組織切片として凍結切片を使用してもよい。
〔実施例8〕
本発明の方法によるマウス肝臓組織切片を使ったアルブミン遺伝子のmRNAを検出する in situハイブリダイゼーション:
パラフィン包埋されたマウス肝臓組織のスライス切片(厚さ5μm)を貼り付けたスライドグラス(幅26mm×長さ76mm、松浪硝子工業株式会社)をサンプルとして用いた。まず前処理としてそのサンプルスライドグラスを、キシレンを満たした染色壺に浸し、パラフィンを除去した後、エタノールを満たした染色壺に浸して洗浄し、脱パラフィン工程を実施した。
次に、そのサンプルスライドグラスの組織切片のある面に、実施例4に記載の反応室部分と入力ポート部分および出力ポート部分をカッターナイフで刳り抜いたシリコーンゴムシート(厚み0.8mm)を貼り付け、その上からさらにポリカーボネート基板(白銅株式会社、ポリカーボネート切板(透明))を貼り付けてマイクロ流体デバイスを構成した(図1)。
軟質素材のシリコーンゴムシートと硬質素材のポリカーボネート基板およびスライドグラスとの密着性を高め、液漏れを防ぐために、ネジ式のホルダーを使って3層から構成されるマイクロ流体デバイスに圧力を負荷した(図2)。
実施例4に記載の方法で作成した、ポリカーボネート基板の入力ポートIPと出力ポートOPの各ポートは、フィッティング(アップチャーチ社)を介して内径0.5mm、外径1.5mmのテフロンチューブ(アズワン株式会社)に接続した。以下、試薬液槽やバルブなどの各要素間を繋ぐ流路には同じチューブを用いた。
入力ポートIPは送液用ポンプPp(株式会社アクアテック マイクロリングポンプRP-Q1)を介して切替バルブSW(高砂電気工業株式会社 KTV-2-12MFG-1)に接続し、12種類の異なる試薬液を貯めた試薬液槽T1〜T12(実施例2の装置のT1からT12)に繋げ、切替バルブを動作させることで12種類の試薬液の中から選択的に1種類の試薬液をマイクロ流体デバイスへ導入することができるようにした。
一方、マイクロ流体デバイスMFDの出力ポートOPは廃液槽Tdに繋げた。さらに、送液用ポンプPpと切替バルブSWの間、およびマイクロ流体デバイスの入力ポートIPと廃液槽Tdの間にそれぞれ三方バルブVaおよびVb(高砂電気工業株式会社 KV-3K-MFG-2)を配設した。これらのバルブを切り替えることでマイクロ流体デバイス、送液用ポンプ、循環送液用試薬液槽Tcが連結された閉鎖流路系を構成することができ、限られた少量の試薬液を循環送液することができる。なおマイクロ流体デバイスや試薬液槽等を含めた送液系はインキュベータ内に設置し、温度環境を制御しながら実験を行った。
脱パラフィン済みの前記サンプルスライドグラスをマイクロ流体デバイスに組み込んだ後、この送液系を利用して12種類の試薬液を以下のシーケンス(14工程)に従って順番に送液した。なお、制御装置として、実施例5に記載の制御装置を用いることにより、下記の14工程を実施するのに必要な送液用ポンプ・バルブ動作についてはすべて自動制御となっている(該組織化学用自動反応装置は実施例4に記載のものに相当する)。
[1]メタノール10mL(和光純薬工業株式会社)に過酸化水素水25μL(和光純薬工業株式会社)を混合した溶液(試薬液1)を25℃環境下で流量200μL/minで15分間送液。
[2]PBS-DEPC(DEPC処理したPBS、試薬液2)を25℃環境下で流量200μL/minで10分間送液後、送液用ポンプを停止させ、そのまま20分間静置。
[3]インキュベータ内温度を37℃に変更し、PBS-DEPC 50mLにProk25μL(Protenase K solution, RNA Grade、インビトロジェン社、 cat. No.25530-049)を混合した溶液(試薬液3)を流量200μL/minで10分間送液後、送液用ポンプを停止させ、そのまま10分間静置。
[4]インキュベータ内温度を25℃に戻し、Diethyl Pyrocarbonate (DEPC、SIGMA社)25μLをPBS-DEPC 25mLに混合したActive DEPC(試薬液4)を流量200μL/minで40分間送液。
[5]DEPC水(DEPC処理した再蒸留水、試薬液5)を25℃環境下で流量200μL/minで20分間送液。
[6]インキュベータ温度を42℃に変更し、ハイブリダイゼーションバッファー10mL、アルブミン mRNA検出用probe (配列番号2に記載のオリゴRNAプローブ、作成にはCUGA in vitro Transcription Kit(株式会社ニッポンジーンテク)を使用し、ユーザーズマニュアルに従った。なお、RNAプローブをフルオレセインでラベルするためにFluorescein-12-UTP(ロッシュアプライドサイエンス社)を使用した。)100uLを混合した溶液(試薬液6、probe濃度が20nM程度)を流量200μL/minで10分間送液し、その後、三方バルブVaとVbを動作させ循環送液系に切り替えてから流量を100μL/minに変更し、960分間循環送液。
[7]三方バルブVaとVbを動作させ一方向系に切り替えてから流量を200μL/minに変更し、SSC(試薬液7、20X SSC(インビトロジェン社)を希釈して使用)を42℃環境下で40分間送液。
[8]インキュベータ内温度を25℃に戻し、TNTバッファー(0.1M Tris-HCL (pH7.5), 0.15M NaCl, 0.05% Tween 20、試薬液8)を流量200μL/minで25分間送液。
[9] ブロッキングバッファー(試薬液9)を25℃環境下で流量200μL/minで40分間送液。
[10]ブロッキングバッファー1960μLに抗フルオレセイン抗体(HRPコンジュゲート、Polyclonal Rabbit Anti-FITC/HRP, Rabbit F(ab’)、Dako社製)40μLを混合した溶液(試薬液10)を25℃環境下で流量200μL/minで10分間送液後、送液用ポンプを停止させ、90分間静置。
[11] TNTバッファー(試薬液8)を25℃環境下で流量200μL/minで40分間送液。
[12] TSA Plus Fluorescein System(株式会社パーキンエルマージャパン)の1xPlus Amplification Diluent 1960μLにチラミド-フルオレセイン40μLを混合した溶液(試薬液11)を25℃環境下で流量200μL/minで10分間送液後、送液用ポンプを停止させ10分間静置(試薬液11の調整はパーキンエルマー社の製品マニュアルに従った)。
[13] TNTバッファー(試薬液8)を25℃環境下で流量200μL/minで40分間送液。
[14] DDW(試薬液12)を25℃環境下で流量200μL/minで20分間送液。以上の14工程終了後、マイクロ流体デバイスからサンプルスライドグラスを取り外し、試料を封入剤(Vectashield H-1000、Vector Laboratories, Inc.)で封入しカバーグラスをかけ、蛍光顕微鏡(Axiovert、カールツアイス株式会社)で組織切片の蛍光観察を行った。その結果を図14に示す。なお、PBS-DEPC(DEPC処理したPBS)、DEPC水(DEPC処理した再蒸留水)、ハイブリダイゼーションバッファー、ブロッキングバッファーの各バッファー類は、非特許文献3、4、5に記載の方法に従って調整した。なお、本実施例での工程[5]と[6]の間に、4%パラフォルムアルデヒドを含むPBS-DEPCを4℃環境下にて5分間送液する後固定を行い、さらにDEPC水を送液する工程を挿入してもよい。また、非特許文献3、4、5に種々記載されているようにin situハイブリダイゼーションの組織化学反応のプロトコルは本実施例に限られるものではない。組織切片として凍結切片を使用してもよい。
〔実施例9〕
本発明の装置により免疫染色を行うも可能である。
パラフィン包埋された試料組織のスライス切片を貼り付けたスライドグラス(幅26mm×長さ76mm、松浪硝子工業株式会社)をサンプルとして用い、まず前処理としてそのサンプルスライドグラスを、キシレンを満たした染色壺に浸し、パラフィンを除去した後、エタノールを満たした染色壺に浸して洗浄し、脱パラフィン工程を実施する。
次に、抗原性を回復させるための前処理を行う。前処理は免疫染色で通常行われるクエン酸緩衝液(pH6.0)による加熱処理を行う。前処理済みのサンプルスライドグラスの組織切片のある面に、実施例3または4に記載の反応室部分と入力ポート部分および出力ポート部分をカッターナイフで刳り抜いたエラストマーシートを貼り付け、その上からさらにポリカーボネート基板(白銅株式会社、ポリカーボネート切板(透明))を貼り付けてマイクロ流体デバイスを構成する(図1)。
軟質素材のシリコーンゴムシートと硬質素材のポリカーボネート基板およびスライドグラスとの密着性を高め、液漏れを防ぐために、ネジ式のホルダーを使って3層から構成されるマイクロ流体デバイスに圧力を負荷する(図2)。
実施例3または4に記載の方法で作成した、ポリカーボネート基板の入力ポートIPと出力ポートOPの各ポートは、フィッティング(アップチャーチ社)を介して内径0.5mm、外径1.5mmのテフロンチューブ(アズワン株式会社)に接続した。以下、試薬液槽やバルブなどの各要素間を繋ぐ流路には同じチューブを用いる。
入力ポートIPは送液用ポンプPp(株式会社アクアテック マイクロリングポンプRP-Q1)を介して切替バルブSW(高砂電気工業株式会社)に接続し、免疫染色に使用する試薬液類を貯めた試薬液槽T1〜T8に繋げ、切替バルブを動作させることで8種類の試薬液の中から選択的に1種類の試薬液をマイクロ流体デバイスへ導入することができるようにする。
一方、マイクロ流体デバイスMFDの出力ポートOPは廃液槽Tdに繋げ、さらに、送液用ポンプPpと切替バルブSWの間、およびマイクロ流体デバイスの入力ポートIPと廃液槽Tdの間にそれぞれ三方バルブVaおよびVb(高砂電気工業株式会社 KV-3K-MFG-2)を配設する。これらのバルブを切り替えることでマイクロ流体デバイス、送液用ポンプ、循環送液用試薬液槽Tcが連結された閉鎖流路系を構成することができ、限られた少量の試薬液を循環送液することができる。なおマイクロ流体デバイスや試薬液槽等を含めた送液系はインキュベータ内に設置し、温度環境を制御しながら実験を行う。
前述のように前処理済みのサンプルスライドグラスをマイクロ流体デバイスに組み込んだ後、この送液系を利用して8種類の試薬液を以下のシーケンス(10工程)に従って順番に送液する。
[1]メタノール10mL(和光純薬工業株式会社)に過酸化水素水25μL(和光純薬工業株式会社)を混合した溶液(試薬液1)を25℃環境下で流量200μL/minで15分間送液。
[2]PBS(リン酸緩衝液、試薬液2)を25℃環境下で流量200μL/minで10分間送液。
[3]ブロッキングバッファー(BSA(bovine serum albumin)を加えたPBS、試薬液3)を25℃環境下で流量200μL/minで40分間送液。
[4]BSA(bovine serum albumin)を加えたPBS 1960μLに抗原を検出するための抗体(一次抗体)40μLを混合した溶液(試薬液4)を25℃環境下で流量200μL/minで10分間送液後、送液用ポンプを停止させ、60分間静置。
[5] PBS(リン酸緩衝液、試薬液2)を25℃環境下で流量200μL/minで10分間送液。
[6] BSA(bovine serum albumin)を加えたPBS 1960μLに一次抗体を検出するための抗体(HRPコンジュゲート、二次抗体)40μLを混合した溶液(試薬液5)を25℃環境下で流量200μL/minで10分間送液後、送液用ポンプを停止させ、60分間静置。
[7] TNTバッファー(0.1M Tris-HCL (pH7.5), 0.15M NaCl, 0.005% Tween 20、試薬液6)を25℃環境下で流量200μL/minで40分間送液。
[8] TSA Plus Fluorescein System(株式会社パーキンエルマージャパン)の1xPlus Amplification Diluent 1960μLにチラミド-フルオレセイン40μLを混合した溶液(試薬液6)を25℃環境下で流量200μL/minで10分間送液後、送液用ポンプを停止させ10分間静置(試薬液7の調整はパーキンエルマー社の製品マニュアルに従う)。
[9] TNTバッファー(試薬液6)を25℃環境下で流量200μL/minで40分間送液。
[10] DDW(試薬液8)を25℃環境下で流量200μL/minで20分間送液。以上の10工程終了後、マイクロ流体デバイスからサンプルスライドグラスを取り外し、試料を封入剤(Vectashield H-1000、Vector Laboratories, Inc.)で封入しカバーグラスをかけ、蛍光顕微鏡(Axiovert、カールツアイス株式会社)で組織切片の蛍光観察を行う。非特許文献6にあるように免疫染色には種々のプロトコルがあり、プロトコルに従って、実施例5または6の制御装置CDのシーケンスプログラムを変更することにより、これらのプロトコルを実施可能である。
以上、本発明の組織化学用自動反応装置の好ましい実施態様について具体的に説明してきたが、本発明は開示された実施態様のみに限定されず、様々な改変を行うことができる。例えば、マイクロ流体デバイスの上部硬質基板の上面および下部硬質基板の下面から圧をかける態様としてバネ式の圧力負荷装置を用いることができる。In situハイブリダイゼーションや免疫染色の反応工程は、非特許文献3および4、5、6にあるように、種々のプロトコルがあり、試薬液槽の数や廃液槽の数は使用する試薬類の数や有機溶媒あるいは廃液種類によりそれぞれのプロトコルに合わせて適宜変更でき、また、試薬液切替バルブ、送液用ポンプ、三方バルブなどの仕様および制御装置をそれぞれのプロトコルに合わせて適宜変更することにより、実施可能である。
本発明によれば、組織化学反応の場としてマイクロ流体デバイスに設けられた反応室が提供され、試薬液の送液や切替がマイコン基板や制御用パーソナルコンピュータPCなどの制御装置で自動制御されるため、煩雑な組織化学反応を小さい空間で、試技者間の差を生じる事無く、高精度で実施でき、その実用性および経済性が飛躍的に向上される。その結果、本発明の組織化学用自動反応装置は、遺伝子発現の組織化学的な研究の現場だけでなく、抗癌剤の有効性の遺伝子レベルからの診断や、癌の確定診断、細胞診断など医療の広範な領域で安価に使用できる。
1:上部硬質基板(ポリカーボネート基板)
2:エラストマーシート(PDMSシートあるいはシリコーンゴムシート)
3:下部硬質基板(スライドグラス)
4:入力ポート
5:出力ポート
6:反応室
7:組織切片
8:負荷する圧力
T1、T2、T3、・・・、Tn:試薬液槽
SW:試薬液切替バルブ
Va:三方バルブ
Vb:三方バルブ
Pp:送液用ポンプ
Ps:送液用ポンプ
IP:入力ポート
MFD:マイクロ流体デバイス
OP:出力ポート
Td:廃液槽
Tc:循環送液用試薬液槽
Ca、Cb、Cc:送液用流路
CD:制御装置
PC:パーソナルコンピュータ
PCD:マイコンボード
MPU:マイクロプロセッサ
MEM:メモリー
SSR:ソリッドステートリレー
DIO:デジタルIOインターフェース
PW:直流電源
MD:モータードライバ
USB:USB通信インターフェース

Claims (15)

  1. 上部基板と下部基板と、少なくとも1枚のエラストマーシートとからなり、該エラストマーシートが前記上部基板と下部基板との間で貼り合わされてできるマイクロ流体デバイスであって、
    前記上部基板には流体を出し入れするための少なくとも1個以上の入力ポート及び出力ポートが該上部基板を貫通して配設されており、前記エラストマーシートには中央部に上部基板と下部基板との間で貼り合わされたときに天井が上部基板の下面、底面が下部基板の上面、壁面がエラストマーシートの断面である密閉された液体の反応室ができるよう刳り貫かれた穴があいており、該穴の一部は前記上部基板の入力ポート及び出力ポートと連通する構造となっている
    ことを特徴とするマイクロ流体デバイス。
  2. 前記上部基板、下部基板およびエラストマーシートは、エラストマーシート材料の自己吸着性を利用して貼り合わされ、
    前記貼り合わされた上部基板と下部基板およびエラストマーシートは、貼り合わせ面からの液漏れを防ぐために加圧して貼り合わせ面の密着性を高める部材が取り付けられ、
    前記貼り合わされた前記上部基板、下部基板およびエラストマーシートは、前記部材を取り外すことで分離される
    ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
  3. 前記上部基板がポリカーボネートからなる硬質基板であり、前記下部基板がスライドガラスからなる硬質基板であり、前記エラストマーシートが、厚さが20ミクロンから1000ミクロンのPDMS(ポリジメチルシロキサン)等のシリコーンゴム素材あるいはその他のゴム素材である
    ことを特徴とする請求項2に記載のマイクロ流体デバイス。
  4. 請求項1に記載のマイクロ流体デバイスを用いた組織化学用自動反応装置であって、
    組織化学反応用試薬液を貯めておく少なくとも2個以上の試薬液槽と、
    反応を終了した前記試薬液を貯めておく廃液槽と、
    該試薬液槽と該マイクロ流体デバイスの前記入力ポートとを繋ぐ第1の送液用流路と、
    該マイクロ流体デバイスの前記出力ポートと該廃液槽とを繋ぐ第2の送液用流路と、
    前記第1の送液用流路に配置された第1の送液用ポンプおよび/または前記第2の送液用流路に配置された第2の送液用ポンプと、
    組織化学反応を実行する制御装置とがそれぞれ備えられ、
    当該マイクロ流体デバイスの反応室中を流れる試薬液の種類、順番、流速、流量、温度を制御する
    ことを特徴とする組織化学用自動反応装置。
  5. 前記マイクロ流体デバイスの反応室へ前記試薬液を充填後、その液体を反応室中で停留させ、
    および/または前記試薬液を前記マイクロ流体デバイスの入力ポートから出力ポートへの一方向に反応室中において送液させ、
    および/または前記試薬液を前記マイクロ流体デバイスの入力ポートから出力ポートへの順方向および出力ポートから入力ポートへの逆方向の双方向に交互に反応室中において送液させ、
    および/または1時間以上の時間にわたって1種類の前記試薬液を前記マイクロ流体デバイスの反応室に循環送液させる
    ことを特徴とする請求項4に記載の組織化学用自動反応装置。
  6. 前記一方向への送液、双方向への交互の送液または循環送液の少なくともいずれか1つの送液として脈動流を送る
    ことを特徴とする請求項5に記載の組織化学用自動反応装置。
  7. 前記第1の送液用流路に前記第1の送液用ポンプが配置された場合であって、
    前記第1の送液用流路には、前記試薬液槽と前記第1の送液用ポンプの間に前記マイクロ流体デバイスに送る試薬液を切り替える試薬液切替バルブが配設され、
    さらに該第1の送液用流路には、前記試薬液槽と試薬液切替バルブを繋ぐチューブ、該試薬液切替バルブと前記第1の送液用ポンプを繋ぐチューブ、該第1の送液用ポンプから該マイクロ流体デバイスの入力ポートに繋がれたチューブがそれぞれ備えられ、
    前記制御装置は、該試薬液切替バルブおよび該第1の送液用ポンプを制御して前記組織化学反応を実行する
    ことを特徴とする請求項4に記載の組織化学用自動反応装置。
  8. 前記第2の送液用流路に前記第2の送液用ポンプが配置された場合であって、
    前記第1の送液用流路において、前記試薬液槽と前記マイクロ流体デバイスの入力ポートの間にマイクロ流体デバイスに送る試薬液を切り替える試薬液切替バルブが配設され、
    さらに該第1の送液用流路には、試薬液槽と試薬液切替バルブを繋ぐチューブ、試薬液切替バルブと入力ポートを繋ぐチューブとがそれぞれ設けられ、
    該第2の送液用流路には、マイクロ流体デバイスの出力ポートから該第2の送液用ポンプに繋がれたチューブ、および該第2の送液用ポンプから廃液槽に繋がれたチューブがそれぞれ備えられ、
    前記制御装置は、該試薬液切替バルブおよび該第2の送液用ポンプを制御して前記組織化学反応を実行する
    ことを特徴とする請求項4に記載の組織化学用自動反応装置。
  9. 前記第1の送液用流路には、前記試薬液切替バルブと前記第1の送液用ポンプとの間に第1の三方バルブが配設され、
    前記第2の送液用流路には、前記マイクロ流体デバイスの出力ポートと廃液槽との間に第2の三方バルブが配設され、
    前記第2の三方バルブから前記第1の三方バルブに送液される試薬液を貯めておく循環送液用試薬液槽と、前記第2の三方バルブと前記循環送液用試薬液槽を繋ぐチューブと、該循環送液用試薬液槽と前記第1の三方バルブを繋ぐチューブとからなる循環送液用流路が備えられ、
    前記制御装置は、さらに前記第1の三方バルブと前記第2の三方バルブを制御して組織化学反応を実行する
    ことを特徴とする請求項7に記載の組織化学用自動反応装置。
  10. 前記第1の送液用流路には、試薬液切替バルブとマイクロ流体デバイスの入力ポートとの間に前記第1の三方バルブが配設され、
    前記第2の送液用流路には、前記第2の送液用ポンプと廃液槽との間に前記第2の三方バルブが配設され、
    前記第2の三方バルブから前記第1の三方バルブに送液される試薬液を貯めておく循環送液用試薬液槽と、前記第2の三方バルブと循環送液用試薬液槽を繋ぐチューブ、該循環送液用試薬液槽と前記第1の三方バルブを繋ぐチューブからなる循環送液用流路が備えられ、
    前記制御装置は、さらに前記第1の三方バルブと前記第2の三方バルブを制御して組織化学反応を実行する
    ことを特徴とする請求項8に記載の組織化学用自動反応装置。
  11. 前記制御される温度が1℃から60℃の間である
    ことを特徴とする請求項4に記載の組織化学用自動反応装置。
  12. 前記試薬液槽の温度が、前記反応室において該試薬液槽の試薬液が供される反応の温度と同じ温度以上の温度で維持されている
    ことを特徴とする請求項4に記載の組織化学用自動反応装置。
  13. 前記組織化学反応がRNAを検出するin situハイブリダイゼーションである
    ことを特徴とする請求項4に記載の組織化学用自動反応装置。
  14. 前記組織化学反応が抗原を検出する免疫染色である
    ことを特徴とする請求項4に記載の組織化学用自動反応装置。
  15. 前記組織化学反応が細胞核を染色する工程を含む組織化学反応である
    ことを特徴とする請求項4に記載の組織化学用自動反応装置。
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