JP2012251640A - 電磁クラッチ - Google Patents
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Abstract
【課題】アーマチャの磨耗粉や異物の付着を防止できると共に、材料の歩留り及び製造コストの削減を図ることができる電磁クラッチを提供する。
【解決手段】本発明の電磁クラッチは、アーマチャ4、板ばね6、ダンパ部材7及びインナーハブ5とから構成されている従動側回転部材Bであるハブ3において、アーマチャとインナーハブとを同じ素材で製作している。即ち従来廃棄していたアーマチャの内径部43を素材として利用してインナーハブを製作したものである。このため、インナーハブの材料を低炭素鋼とし、この板材をプレス加工することでインナーハブを製作することで、必要な強度と耐磨耗性を確保している。
【選択図】図4
【解決手段】本発明の電磁クラッチは、アーマチャ4、板ばね6、ダンパ部材7及びインナーハブ5とから構成されている従動側回転部材Bであるハブ3において、アーマチャとインナーハブとを同じ素材で製作している。即ち従来廃棄していたアーマチャの内径部43を素材として利用してインナーハブを製作したものである。このため、インナーハブの材料を低炭素鋼とし、この板材をプレス加工することでインナーハブを製作することで、必要な強度と耐磨耗性を確保している。
【選択図】図4
Description
本発明は、回転動力の伝達及び遮断を行う電磁クラッチの関するものであり、特に、電磁クラッチのインナーハブの材料に関する。
従来技術として、例えば特許文献1がある。
この従来技術では、アーマチャとインナーハブは以下の理由で別材料で製作されている。
アーマチャは、磁気回路となっており、多くの磁束を流すことができる飽和磁束密度が高くなる炭素含有量が低いSPHC鋼板(熱間圧延軟鋼板)等を使用している。
これに対して、インナーハブはコンプレッサのシャフトとスプライン嵌合するため、スプライン部を有する。このスプライン部は、コンプレッサが圧縮仕事をする際、平均トルクに加えトルク変動を生じるために、強度と耐磨耗性が必要となる。このため従来、インナーハブは、スプライン部の必要強度・耐摩耗性を確保するために炭素含有率が高いS45C(機械構造用炭素鋼鋼材)等を材料としていた。
アーマチャは、磁気回路となっており、多くの磁束を流すことができる飽和磁束密度が高くなる炭素含有量が低いSPHC鋼板(熱間圧延軟鋼板)等を使用している。
これに対して、インナーハブはコンプレッサのシャフトとスプライン嵌合するため、スプライン部を有する。このスプライン部は、コンプレッサが圧縮仕事をする際、平均トルクに加えトルク変動を生じるために、強度と耐磨耗性が必要となる。このため従来、インナーハブは、スプライン部の必要強度・耐摩耗性を確保するために炭素含有率が高いS45C(機械構造用炭素鋼鋼材)等を材料としていた。
このインナーハブの加工方法としては、切削加工と冷鍛加工があるが、量産でのコスト性を考え、冷鍛加工としていた。しかし、冷鍛加工においてもバー材から製作し、途中で焼鈍工程を入れる必要があり、コストアップや形状自由度が限られるという問題があった。
また、インナーハブを炭素含有率が高い材料とした場合、磁化されて永久磁石化してしまう。そのため、クラッチ断続時に発生するアーマチャの磨耗粉や異物がインナーハブに付着してしまう。クラッチのON/OFFを繰り返すうちに、その異物が遠心力により摩擦面に入ると、噛み込みや面荒れを引き起こし、焼き付きや異音を発生するという問題がある。
また、インナーハブの表面処理については、塗装ではスプライン部に付着しないようにする必要があるため、電着塗装は不可で、吹付け塗装ではマスキングをする必要があるため、コストが上がる。また、メッキ処理では、スプライン部の膜厚を管理することが難しいという問題がある。
更に、従来では、アーマチャとインナーハブとを別材料で形成していたため、アーマチャの内径部は穴抜き後に廃棄してしまうため、歩留りが悪いという問題もあった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、インナーハブの材料を低炭素鋼とし、加工法を従来のバー材の冷鍛加工から板材のプレス加工とすることで、強度と耐摩耗性が必要なスプライン部の特性を得ることができ、アーマチャとインナーハブとが同じ素材から製作されている電磁クラッチを提供することである。
本発明は、前記課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載の電磁クラッチを提供する。
請求項1に記載の電磁クラッチは、従動側回転部材(B)であるハブ(3)が、電磁コイル(2)の発生する電磁力によって駆動側回転部材(A)であるロータ(1)に吸着されるアーマチャ(4)と、従動側機器(C)の回転軸(82)に嵌合・固定されるインナーハブ(5)と、アーマチャ(4)とインナーハブ(5)とを連結すると共に、アーマチャ(4)をロータ(1)側に変位可能に支持する板バネ手段(6)と、この板バネ手段(6)とインナーハブ(5)との間に介装されるダンパ部材(7)とから構成されていて、アーマチャ(4)とインナーハブ(5)とを同一素材としたものです。これにより従来はインナーハブは炭素含有率が高い材料を使っていたので、永久磁石化され、そのためクラッチ断続時に発生するアーマチャの磨耗粉や異物がインナーハブに付着してしまうが、本発明では、アーマチャの素材と同様の炭素含有率の低い材料とすることで、磨耗粉や異物の付着を防止することができる。
請求項1に記載の電磁クラッチは、従動側回転部材(B)であるハブ(3)が、電磁コイル(2)の発生する電磁力によって駆動側回転部材(A)であるロータ(1)に吸着されるアーマチャ(4)と、従動側機器(C)の回転軸(82)に嵌合・固定されるインナーハブ(5)と、アーマチャ(4)とインナーハブ(5)とを連結すると共に、アーマチャ(4)をロータ(1)側に変位可能に支持する板バネ手段(6)と、この板バネ手段(6)とインナーハブ(5)との間に介装されるダンパ部材(7)とから構成されていて、アーマチャ(4)とインナーハブ(5)とを同一素材としたものです。これにより従来はインナーハブは炭素含有率が高い材料を使っていたので、永久磁石化され、そのためクラッチ断続時に発生するアーマチャの磨耗粉や異物がインナーハブに付着してしまうが、本発明では、アーマチャの素材と同様の炭素含有率の低い材料とすることで、磨耗粉や異物の付着を防止することができる。
請求項2の電磁クラッチは、インナーハブ(5)をアーマチャ(4)の内径素材から製作するようにしたものである。これにより、従来はアーマチャの内径部は廃棄しており、材料の歩留りが非常に悪かったが、本発明では、インナーハブの材質をアーマチャと同じとし、アーマチャの内径部でインナーハブを製作することで、材料の歩留りを向上させることができ、インナーハブの素材費を削減できる。
請求項3の電磁クラッチは、インナーハブ(5)とアーマチャ(4)の同一素材として、表面処理鋼板を使用するようにしたものである。これにより、従来では加工後の塗装処理ではマスキングが必要になり、コストが高かったが、本発明では、表面処理鋼板を使用することで、外観から見える耐食性が必要な箇所は加工度が低く、表面処理層が存在するため塗装処理が不要となることでコストダウンを図ることができる。また、スプライン部は加工度が高いことから適度な表面処理層が残っており、また型で成形するため、後処理で表面処理を施す場合に対し、寸法のばらつきが小さい。
請求項4の電磁クラッチは、アーマチャ(4)とインナーハブ(5)とを繋いで加工し、最後にこの繋ぎ部(45)を切断することで、両者を製作するようにしたものである。これにより、従来はアーマチャとインナーハブとの材質が異なるため、異なるプレス機及びプレス型で製作していたが、本発明では、両者を同時に加工することができ、設備費やプレス型費を低減することができる。
請求項5の電磁クラッチは、インナーハブ(5)にダンパ部材(7)を受ける受け部(54)があり、この受け部が打ち出されることで形成されていることにある。
また請求項6の電磁クラッチは、インナーハブ(5)のダンパ部材(7)を受ける受け部(54)があり、リベット(31)をかしめる部分である取付孔(53)の周囲が打ち出されることで形成されることにある。
更に請求項7の電磁クラッチは、インナーハブ(5)のダンパ部材(7)を受ける受け部(54)が、ダンパ部材(7)を受ける受け部(54)とリベット(31)をかしめる部分である取付孔(53)の周囲との両方が打ち出されることで形成されることにある。
このように受け部(54)にダンパ部材(7)を設けることで、クラッチ作動音の低減を図ることができ、またアーマチャ(4)の衝突速度の低減及び衝突後のアーマチャ(4)の制振を図ることができる。
また請求項6の電磁クラッチは、インナーハブ(5)のダンパ部材(7)を受ける受け部(54)があり、リベット(31)をかしめる部分である取付孔(53)の周囲が打ち出されることで形成されることにある。
更に請求項7の電磁クラッチは、インナーハブ(5)のダンパ部材(7)を受ける受け部(54)が、ダンパ部材(7)を受ける受け部(54)とリベット(31)をかしめる部分である取付孔(53)の周囲との両方が打ち出されることで形成されることにある。
このように受け部(54)にダンパ部材(7)を設けることで、クラッチ作動音の低減を図ることができ、またアーマチャ(4)の衝突速度の低減及び衝突後のアーマチャ(4)の制振を図ることができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態の具体的手段との対応関係を示すものである。
〔第1実施例〕
以下、図1〜7に従って本発明の第1実施例の電磁クラッチについて説明する。
図1,2は、例えば車両空調用冷凍サイクルの冷媒圧縮機8に装着される電磁クラッチ100の縦断面図であり、図1は、OFF状態の電磁クラッチ100を示しており、図2は、ON状態の電磁クラッチ100を示している、また図3は、図1の左側から見た電磁クラッチ100の正面図である。
以下、図1〜7に従って本発明の第1実施例の電磁クラッチについて説明する。
図1,2は、例えば車両空調用冷凍サイクルの冷媒圧縮機8に装着される電磁クラッチ100の縦断面図であり、図1は、OFF状態の電磁クラッチ100を示しており、図2は、ON状態の電磁クラッチ100を示している、また図3は、図1の左側から見た電磁クラッチ100の正面図である。
また、図4(a)は、従動側回転部材Bであるハブ3の縦断面図であり、図5は、図4(a)の左側から見た従動側回転部材Bであるハブ3の正面図である。また図6は、本発明の要部であるインナーハブ5の3面図及び背面図である。
電磁クラッチ100は、図1,2に示すようにステータ20内に収容された電磁コイル2と、図示されない駆動源である車両エンジンによって回転駆動される駆動側回転部材Aであるロータ1と、電磁コイル2の発生する磁力によってロータ1に吸引されるアーマチャ4と、このアーマチャ4に連結され、アーマチャ4と一体となって回転する従動側回転部材Bであるハブ3とを備えている。このハブ3は、従動側機器Cである冷媒圧縮機8に回転動力を伝える。
電磁コイル2は、樹脂製の巻枠21に巻回されて、鉄等の磁性体で形成された断面コ字形のステータ20内に収容され、エポキシ等の絶縁樹脂部材によってステータ20内に電気絶縁してモールド固定されている。このステータ20は、環状の支持部材22を介して冷媒圧縮機8のハウジング81に固定される。
駆動側回転部材Aであるロータ1は、その外周部に図示しない多段式のVベルトが掛け渡されるプーリ11を有し、Vベルトを介して伝達されたエンジンの回転動力によって回転する。ロータ1は、鉄などの磁性体で形成されていて、ステータ20を収容するための、冷媒圧縮機8側が開口された、リング状の凹部12を有している。この凹部12は、断面コ字形をしていて、ステータ20を微小間隙を残して収容している。ロータ1の凹部12の閉鎖側である端面部13には、その表裏を貫通するスリット孔13a,13bが回転軸82を中心とする円弧状に形成されている。スリット孔13a,13bは、軸方向から見たときに径方向に2列に並んで、周方向に複数個形成されている。端面部13のアーマチャ4と当接する側は、摩擦面14として機能し、摩擦部材15が埋め込まれている。また、ロータ1は、その内周にベアリング9を備え、このベアリング9によってロータ1は、冷媒圧縮機8のハウジング81の円筒ボス部81aの外周面に回転自在に支持されている。
一方、従動側回転部材Bであるハブ3は、アーマチャ4、板ばね手段6、ダンパ部材7及びインナーハブ5とから構成されていて、後述するように従動側機器Cである冷媒圧縮機8の回転軸82に嵌合結合、例えばスプライン結合されているか、又はボルト30により締結されている。
アーマチャ4は、図1に示すように電磁クラッチ100がOFF時において、ロータ1の摩擦面14に所定の微小間隙g(例えば、0.5mm程度)を隔てて対向配置されるものであり、本発明では、炭素含有量の低い鋼、例えばSPHC鋼等の磁性体で環状(図4(b)を参照)に形成されている。また、この鋼材は、表面処理が施された表面処理鋼であることが好ましい。本実施例のアーマチャ4は、半径方向の幅の略中間位置に3ヶ所の所定幅の円弧状のスリット孔41と、後述する板バネ手段6と結合するための径方向に2つ並んで配置された3ヶ所のリベット42とを円周方向に設けて一体形成している。リベット42の先端部を押し潰すことでアーマチャ4と板バネ手段6とが結合され、これにより、アーマチャ4の、ロータ1への吸引および開離による軸方向の変位量を均等に板バネ手段6に伝達している。
次に、インナーハブ5の詳細を図6に基づいて説明する。図4(b)に示されるように従来においては、インナーハブ5とアーマチャ4とは別素材を冷鍛加工で製作しており、そのため、アーマチャ4の内径部43は切り抜かれてそのまま廃棄されていた。本発明の特徴は、この廃棄の対象となっていたアーマチャ4の内径部位43を使用してインナーハブ5を製作している。したがって、アーマチャ4とインナーハブ5とは同一素材、例えばSPHC鋼の表面処理鋼板等である。
インナーハブ5は、回転軸方向に延びる円筒部51と、円筒部51の回転軸方向の一端部(図1,2において左端部)から径方向外側に向かって延在するフランジ部52とを有している。円筒部51は、回転軸82に対して同軸上に配置され、フランジ部52は、環状のアーマチャ4の内周側に配置されている。
インナーハブ5は、圧縮機8の回転軸82の先端に設けられたボルト穴(図示せず)とボルト30とを用いて、回転軸82に締結固定されている。なお、インナーハブ5と回転軸82との固定には、スプライン(セレーション)又はキー溝などの締結手段を用いてもよく、更には、両者の締結手段を併用してもよい。インナーハブ5を回転軸82とスプライン嵌合する場合には、インナーハブ5の円筒部51の内面には、スプライン部51aが形成される。
図6に示されるように、インナーハブ5のフランジ部52には、周方向に120°の間隔をあけて3ヶ所にリベット用の取付孔53が形成されている。またフランジ部52の取付孔53の間には、後述するダンパ部材を受ける略D形状の受け部54が、フランジ部52を円筒部51の反対側から打ち出すことによって窪んで周方向に3ヶ所形成されている。この受け部54の円筒部51に近い部分54aは、せん段加工とし、切断してもよい。略D形状の受け部54の周方向の両端部54bは、曲げ加工により形成されている。また、フランジ部52の円筒部51側の外周には、その全周に渡って段差部55が形成されている。この段差部55は、アーマチャ4からインナーハブ5への漏れ磁束を低減するために設けられるものである。
図7は、インナーハブ5の具体的な工程を示している。本発明では、アーマチャ4の切り抜かれた内径部43を素材として使用している。この内径部43である円板上の板材からプレス加工により、インナーハブ5の形状を作るため、インナーハブ5のスプライン部分51aは、素材そのままの部分から曲げ加工(b)及び絞り加工(c)〜(e)を施され、非常に加工度が大きくなっている。このため材料が加工硬化し、スプライン部51aの必要な強度と耐磨耗性を確保することができる。そのため、インナーハブ5をアーマチャ4と同じ炭素含有量が低い材料で製作が可能になる。
板ばね手段6は、アーマチャ4とインナーハブ5とを連結するものであり、インナーハブ5のフランジ部52及びアーマチャ4に対して軸方向一端側(図1,2,4では左方側)から被さるように配置されており、アーマチャ4とインナーハブ5の両方に結合している。
図3,5に示すように、板ばね手段6は全体として円板形状をしていて、弾性金属材にて一体成形されている板ばね6である。具体的には、板ばね6は、中心孔61と、インナーハブ5のフランジ部52に重なる内周部62と、アーマチャ4に重なる外周部63と、内周部62と外周部63とを径方向に繋ぐ複数個(図3,5では3個)の周方向に等角度間隔で設けられた放射状の連結部64とを有している。
さらに、板ばね6には、外周部63のうち複数個の連結部64同士の中間の部位から径方向内側に向かって舌状に延びる舌状部65が形成されている。舌状部65は、径方向内側および周方向両側の3方向に枝分かれした形状をしており、径方向側に延びる部位が圧縮部65aを構成して、ダンパ部材7をインナーハブ5側に圧縮しており、また周方向両側に延びる部位が押圧部65bを構成して、ダンパ部材7をアーマチャ4側に押し付けている。板ばね6は、圧縮部65a及び押圧部65bを除いて平らな平板状に形成されている。
次に、ダンパ部材7について説明する。ダンパ部材7は板ばね手段6を一体成形されている。これにより、板ばね手段6の必要な寸法精度を緩和できると共に、一体化に組付け費を削減できる。ダンパ部材7は、クラッチ作動音の低減のため、ダンパ部材7を板ばね手段6で押え込む構造とし、アーマチャ4の衝突速度の低減及び衝突後のアーマチャ4の制振をしている。
即ち、ダンパ部材7は、撓み付与部71と衝撃緩和部72と振動低減部73とを有し、これら各部71,72,73を環状に配置して繋ぎ部74で繋いだ形状になっている。この繋ぎ部74は、省略してもよい。
撓み付与部71は、板ばね6とアーマチャ4との間に挟まれており、板ばね6に初期撓みを与える役割を果たす。
衝撃緩和部72は、インナーハブ5のフランジ部52と板ばね6との間で圧縮されており、アーマチャ4の摩擦面がプーリ1の摩擦面に衝突する際の衝撃を緩和する役割を果たす。衝撃緩和部72の厚みは、撓み付与部71及び振動低減部73の厚みより大きくなっており、撓み付与部71及び振動低減部73よりも回転軸方向両側(図1,2,4の左右方向両側)に突出している。インナーハブ5のフランジ部52には、前記したように衝撃緩和部72を受け入れるための、略D字形状に窪んだ受け部54が形成されており、これにより、衝撃緩和部72の厚みが十分に確保される。
振動低減部73は、アーマチャ4の一部に対して回転軸方向に当接する当接部を構成している。即ち、振動低減部73は、板ばね6によって、アーマチャ4に対して回転軸方向に押え付けられており、アーマチャ4とプーリ1とが衝突した後のアーマチャ4の振動を低減する役割を果たす。
衝撃緩和部72は、インナーハブ5のフランジ部52と板ばね6との間で圧縮されており、アーマチャ4の摩擦面がプーリ1の摩擦面に衝突する際の衝撃を緩和する役割を果たす。衝撃緩和部72の厚みは、撓み付与部71及び振動低減部73の厚みより大きくなっており、撓み付与部71及び振動低減部73よりも回転軸方向両側(図1,2,4の左右方向両側)に突出している。インナーハブ5のフランジ部52には、前記したように衝撃緩和部72を受け入れるための、略D字形状に窪んだ受け部54が形成されており、これにより、衝撃緩和部72の厚みが十分に確保される。
振動低減部73は、アーマチャ4の一部に対して回転軸方向に当接する当接部を構成している。即ち、振動低減部73は、板ばね6によって、アーマチャ4に対して回転軸方向に押え付けられており、アーマチャ4とプーリ1とが衝突した後のアーマチャ4の振動を低減する役割を果たす。
前記したようにダンパ部材7は板ばね6に一体成形されている。この一体成形する方法としては、例えばインサート成形が挙げられる。ダンパ部材7の成形を容易にするために、ダンパ部材7の衝撃緩和部72及び振動低減部73が楕円状の一体的な形状となっており、板ばね6の圧縮部65a及び押圧部65bも一体的な形状になっている。ダンパ部材7と板ばね6との重なり部分には、ダンパ部材7の成形時のゲートを用いた抜け止め構造74が形成されている。即ち、ダンパ部材7を成形する際には、板ばね6のうちダンパ部材7と重なる部位に形成された孔を通じてダンパ部材7のゴム材料を注入し、さらに、この孔よりも大きい径の抜け止め頭部が形成されるようにゴム材料を注入する、これにより、ダンパ部材7と板ばね6とを接着することなく確実に固定することができる。
アーマチャ4と板ばね6との結合は、アーマチャ4に一体形成された、径方向に2つ並んで形成された3ヶ所のリベット42を、該リベット42に対応する個所に形成された板ばね6のリベット用孔66に挿入し、リベット42の先端部を押し潰すことで、板ばね6をアーマチャ4に結合している。
また、インナーハブ5と板ばね6との結合はリベット10より固定される。即ち、インナーハブ5には、前述したように周方向に等間隔で3ヶ所のリベット用の取付孔53が形成されており、板ばね6にも、同じくインナーハブ5の取付孔53に対応する位置にリベット用の取付孔66が形成されている。インナーハブ5と板ばね6とを取付孔53,66が一致するように重ね合わせ、この取付孔53,66にリベット31を挿入して、リベット31の先端部を押し潰すことにより、インナーハブ5と板ばね6とは結合される。
このようにして、アーマチャ4、板ばね手段6、ダンパ部材7及びインナーハブ5とより構成される従動側回転部材であるハブ3が形成され、このハブ3が冷媒圧縮機8の回転軸82にボルト30により固定される。ハブ3と回転軸82とをスプライン結合してもよい。
上記構成における本発明の実施例の電磁クラッチ100の作動を説明する。電磁コイル2の通電が停止時(図1のクラッチOFF時)には、板ばね手段6の弾性力によって、アーマチャ4がロータ1から離れる方向に付勢されて変位する。即ち、アーマチャ4とロータ1との間に所定の間隙gが形成されて、ロータ1からアーマチャ4が切り離されている。その結果、駆動源である車両エンジンからの回転動力は、Vベルトを介してロータ1に伝達されるだけで、従動側回転部材3には伝達されず、ロータ1のみがベアリング9上で空転している。従って、冷媒圧縮機8は停止している。
次に、電磁コイル2が通電されると、電磁コイル2によって発生した磁束が、図2に太い点線で示すような磁気回路を流れる。この電磁力(磁束)によってアーマチャ4が板ばね手段6のバネ力に抗してロータ1に吸引され、アーマチャ4がロータ1の摩擦面14に吸引される。(図2を参照)すると、ロータ1の回転がアーマチャ4、板ばね手段6及びインナーハブ5を介して冷媒圧縮機8の回転軸82に伝達され、冷媒圧縮機8が作動する。
次いで、電磁コイル2への通電が遮断されると、電磁力の削減によりアーマチャ4が板ばね手段6のバネ力により元の開離位置(図1を参照)に復帰し、冷媒圧縮機8が停止状態に戻る。
〔第2実施例〕
図8に示すように、本発明の第2実施例では、アーマチャ4とインナーハブ5とを繋いで成形している。即ち、第1実施例では、アーマチャ4の内径部43は、切り離され、この切り離された内径部43に、曲げ及び絞り加工を施すことにより、インナーハブ5を製作していたが、第2実施例では、インナーハブ5をアーマチャ4に繋いだままの状態で成形加工している。
図8に示すように、本発明の第2実施例では、アーマチャ4とインナーハブ5とを繋いで成形している。即ち、第1実施例では、アーマチャ4の内径部43は、切り離され、この切り離された内径部43に、曲げ及び絞り加工を施すことにより、インナーハブ5を製作していたが、第2実施例では、インナーハブ5をアーマチャ4に繋いだままの状態で成形加工している。
アーマチャ4の構造は、前記したと同様の構造をしており、3ヶ所の円弧状のスリット孔41と、径方向に2つ並んで配置された、一体形成されたリベット42とを有している。インナーハブ5が形成されるアーマチャ4の内径部43は、スリット孔41よりも径方向の内側に形成された3つの円弧状の内部スリット44によってアーマチャ4と分離され、内部スリット44間の3つの繋ぎ部45によってアーマチャ4とインナーハブ5とが繋がっている。この繋がっている状態で、アーマチャ4とインナーハブ5とが同時に成形加工される。このインナーハブ5もまた前記したと同時に、同筒部51、フランジ部52、取付孔53及び受け部54とを有している。
このようにして、同時に一体加工されたアーマチャ4とインナーハブ5とは、繋ぎ部45が切断され、切断後、インナーハブ5を60度回転させて、アーマチャ4に組付けする。(図8(b)を参照)即ち、切断された繋ぎ部45は、アーマチャ4の円弧状のスリット孔41の間の角度位置に対応する。
この第2実施例のようにアーマチャ4とインナーハブ5とを繋いで成形するものにおいては、両者を同時に成形加工することができるから、型費を削減することができる。また、インナーハブ5のボリュームが不足する際、アーマチャ4から肉を持っていくことができる。更には、切断後の除去加工が不要である等の効果がある。
〔第3実施例〕
図9に示される本発明の第3実施例では、第1及び第2実施例におけるインナーハブ5に形成された受け部54の形成位置を変えている。即ち、第1及び第2実施例では、インナーハブ5に形成された3つのリベットの取付孔53の間のフランジ部53に受け部54が形成されているが、第3実施例では、これら取付孔53の周囲を円筒部51側から打ち出すことにより、窪んだ逆U字形状の受け部54をフランジ部53に形成している。その他のインナーハブ5の形状に関しは、第1,2実施例と同様である。当然、この受け部54はダンパ部材7を受け入れるためのものである。
図9に示される本発明の第3実施例では、第1及び第2実施例におけるインナーハブ5に形成された受け部54の形成位置を変えている。即ち、第1及び第2実施例では、インナーハブ5に形成された3つのリベットの取付孔53の間のフランジ部53に受け部54が形成されているが、第3実施例では、これら取付孔53の周囲を円筒部51側から打ち出すことにより、窪んだ逆U字形状の受け部54をフランジ部53に形成している。その他のインナーハブ5の形状に関しは、第1,2実施例と同様である。当然、この受け部54はダンパ部材7を受け入れるためのものである。
〔第4実施例〕
図10に本発明の第4実施例では、第1、第2実施例の受け部54と第3実施例の受け部54とを合わせた形で、受け部54を形成している。即ち、第4実施例では、3つの取付孔53間のフランジ部52に形成された略D字形状の受け部54と、取付孔53の周囲のフランジ部52に形成された逆U字形状の受け部54とが、インナーハブ5のフランジ部52に形成されている。その他のインナーハブ5の形状に関しては、第1〜第3実施例と同様である。
図10に本発明の第4実施例では、第1、第2実施例の受け部54と第3実施例の受け部54とを合わせた形で、受け部54を形成している。即ち、第4実施例では、3つの取付孔53間のフランジ部52に形成された略D字形状の受け部54と、取付孔53の周囲のフランジ部52に形成された逆U字形状の受け部54とが、インナーハブ5のフランジ部52に形成されている。その他のインナーハブ5の形状に関しては、第1〜第3実施例と同様である。
以上説明したように、従来、インナーハブは炭素含有率が高い材料を使っていたので、永久磁石化され、そのため電磁クラッチ断続時に発生するアーマチャの磨耗粉や異物がインナーハブに付着してしまうが、本発明では、炭素含有率が低い材料(炭素量:0.15%以下)とすることで、磨耗粉や異物の付着を防ぐことができる。
また従来は、アーマチャの内径部は廃棄しており、非常に歩留りが悪かったが、本発明では、インナーハブの材質をアーマチャと同じとし、アーマチャの内径部でインナーハブを製作することで歩留りを向上させることができ、インナーハブの素材費を削減することができる。
更に従来は、アーマチャとインナーハブとの材質が異なるため、異なるプレス機及びプレス型で製作していたが、本発明では、アーマチャとインナーハブとを同時に加工することができ、設備費や型費を削減することができる。
更に従来は、アーマチャとインナーハブとの材質が異なるため、異なるプレス機及びプレス型で製作していたが、本発明では、アーマチャとインナーハブとを同時に加工することができ、設備費や型費を削減することができる。
更にまた従来は、加工後の塗装処理ではマスキングが必要になり、コストが高かったが、本発明では、表面処理鋼板を使用することで、外観から見える耐食性が必要な箇所は加工度が低く、表面処理層が存在するため塗装処理が不要となることでコストダウンとなる。またインナーハブのスプライン部は加工度が高いことから適度な表面処理層が残っており、また型で成形するため、後処理で表面処理を施す場合に対し、寸法のバラツキが小さい。
100 電磁クラッチ
1 ロータ(駆動側回転部材A)
11 プーリ
12 凹部
14 摩擦面
2 電磁コイル
20 ステータ
3 ハブ(従動側回転部材B)
4 アーマチャ
41 スリット孔
42 リベット
43 内径部
5 インナーハブ
51 円筒部
52 フランジ部
53 取付孔
54 受け部
55 段差部
6 板ばね手段(板ばね)
61 中心孔
62 内周部
63 外周部
64 連結部
65 舌状部
7 ダンパ部材
71 撓み付与部
72 衝撃緩和部
73 振動低減部
8 冷媒圧縮機(従動側機器C)
82 回転軸
9 ベアリング
1 ロータ(駆動側回転部材A)
11 プーリ
12 凹部
14 摩擦面
2 電磁コイル
20 ステータ
3 ハブ(従動側回転部材B)
4 アーマチャ
41 スリット孔
42 リベット
43 内径部
5 インナーハブ
51 円筒部
52 フランジ部
53 取付孔
54 受け部
55 段差部
6 板ばね手段(板ばね)
61 中心孔
62 内周部
63 外周部
64 連結部
65 舌状部
7 ダンパ部材
71 撓み付与部
72 衝撃緩和部
73 振動低減部
8 冷媒圧縮機(従動側機器C)
82 回転軸
9 ベアリング
Claims (7)
- 駆動源により回転駆動される駆動側回転部材(A)と、従動側機器(C)に連結される従動側回転部材(B)と、通電によって電磁力を発生する電磁コイル(2)とを備えていて、前記電磁コイルへの通電のON/OFFによって、前記駆動側回転部材と前記従動側回転部材との間の回転動力の伝達及び遮断を行う電磁クラッチにおいて、
前記従動側回転部材(B)であるハブ(3)が、
前記電磁コイル(2)の発生する電磁力によって、前記駆動側回転部材(A)であるロータ(1)に吸着されるアーマチャ(4)と、
前記従動側機器(C)の回転軸(82)に嵌合して固定されるインナーハブ(5)と、
前記アーマチャ(4)と前記インナーハブ(5)とを連結すると共に、前記アーマチャ(4)を前記ロータ(1)側へ変位可能に支持する板バネ手段(6)と、
前記板バネ手段(6)と前記インナーハブ(5)との間に介装されるダンパ部材(7)と、から構成されていて、
前記アーマチャ(4)と前記インナーハブ(5)とが、同一素材からなることを特徴とする電磁クラッチ。 - 前記インナーハブ(5)が、前記アーマチャ(4)の内径素材から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁クラッチ。
- 前記インナーハブ(5)及び前記アーマチャ(4)の同一素材として、表面処理鋼板を使用することを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁クラッチ。
- 前記アーマチャ(4)と前記インナーハブ(5)とを繋いで加工し、最後にこの繋ぎ部(45)を切断することによって、この両者を形成することを特徴とする請求項1,2又は3に記載の電磁クラッチ。
- 前記インナーハブ(5)に前記ダンパ部材(7)を受ける受け部(54)があり、前記受け部が打ち出されることで形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電磁クラッチ。
- 前記インナーハブ(5)に前記ダンパ部材(7)を受ける受け部(54)があり、前記受け部が、リベット(31)をかしめる部分である取付孔(53)の周囲が打ち出されることで形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電磁クラッチ。
- 前記インナーハブ(5)に前記ダンパ部材(7)を受ける受け部(54)があり、前記受け部が、前記ダンパ部材(7)を受ける受け部(54)とリベット(31)をかしめる部分である取付孔(53)の周囲の両方が打ち出されることで形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電磁クラッチ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011126456A JP2012251640A (ja) | 2011-06-06 | 2011-06-06 | 電磁クラッチ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011126456A JP2012251640A (ja) | 2011-06-06 | 2011-06-06 | 電磁クラッチ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012251640A true JP2012251640A (ja) | 2012-12-20 |
Family
ID=47524633
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011126456A Withdrawn JP2012251640A (ja) | 2011-06-06 | 2011-06-06 | 電磁クラッチ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2012251640A (ja) |
-
2011
- 2011-06-06 JP JP2011126456A patent/JP2012251640A/ja not_active Withdrawn
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