JP2012251287A - ポリイミド繊維、ポリイミド不織布、断熱材、電磁波シールドシート及び電池用セパレーター - Google Patents

ポリイミド繊維、ポリイミド不織布、断熱材、電磁波シールドシート及び電池用セパレーター Download PDF

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Abstract

【目的】機械強度・耐熱性に優れ、難燃性及び低誘電率を有し、めっき可能なポリイミド繊維、及びその繊維から得られる不織布、並びに、これらを用いた断熱材、電磁波シールドシート及び電池用セパレーターを提供すること。
【解決手段】ポリアミック酸(1)とエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2)とを反応させてなるアルコキシ基含有シラン変性ポリアミック酸(a)及び極性溶剤(b)を含有するシラン変性ポリアミック酸樹脂組成物(A)を紡糸し、硬化させて得られるポリイミド繊維である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミド繊維及びその繊維で構成される不織布、並びに、これらを用いた断熱材、電磁波シールドシート及び電池用セパレーターに関する。
ポリイミド樹脂は、一般に芳香族テトラカルボン酸無水物と芳香族ジアミンを原料とし、これらを縮合反応して合成されるポリアミック酸を閉環反応して得られる。このようなポリイミド樹脂は、耐熱性や電気的性質が優れ、しかも柔軟性があるため、従来より耐熱性材料や絶縁性材料として、フィルム、コーティング剤等の各種形態で、電子材料、液晶、接着剤、塗料などの分野で幅広く用いられている。
また、ポリイミド樹脂を紡糸し、繊維にしたものをさらに不織布にしたものが耐熱性の高さを特徴として多方面で検討されている(特許文献1〜4参照)。その用途としては、電気絶縁用プレスボード、断熱材、吸音材、バグフィルター、濾布等、様々な可能性が考えられている。その中でもポリイミド不織布を用いた断熱材は、耐熱性、難燃性が厳しく求められる電子材料分野において大いに注目を集めている。
しかしながら、電子材料分野など各分野における近年の発展に伴い、用いられる材料全般に対して、より高水準の機械的強度、低熱膨張性、絶縁性などが要求されるようになっている。
特許文献1においては紡糸方法、硬化方法の最適化により、ポリイミド繊維の高強度化を達成しているが、その検討はポリイミド自体の組成には触れておらず、改良の余地を多く含んでいる。また、耐熱性の向上を目指すうえではポリイミドの組成から検討する必要がある。
特開昭59−163416号公報 特開平4−257315号公報 特開平6−257045号公報 特開2009−167571号公報
本発明は、機械強度、耐熱性に優れ、難燃性及び低誘電率を有し、めっき可能なポリイミド繊維、及びその繊維から得られる不織布、並びに、これらを用いた断熱材、電磁波シールドシート及び電池用セパレーターを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリアミック酸を化学的に変性したものを紡糸し、イミド閉環反応することで得られるポリイミド繊維、さらにこれを不織布にしたものは、上記課題に合致するものであることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明1は、ポリアミック酸(1)とエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2)とを反応させてなるアルコキシ基含有シラン変性ポリアミック酸(a)及び極性溶剤(b)を含有するシラン変性ポリアミック酸樹脂組成物(A)を紡糸し、硬化させて得られるポリイミド繊維である。
本発明2は、本発明1において、平均繊維径が0.1〜10μmであるポリイミド繊維である。
本発明3は、本発明1又は2において、線膨脹係数が0〜20ppm/℃であるポリイミド繊維である。
本発明4は、本発明1〜3のいずれかにおいて、熱伝導率が0.08W/m・K以下であるポリイミド繊維である。
本発明5は、本発明1〜4のいずれかのポリイミド繊維で構成されるポリイミド不織布である。
本発明6は、本発明5において、線膨脹係数が0〜20ppm/℃であるポリイミド不織布である。
本発明7は、本発明5又は6において、熱伝導率が0.08W/m・K以下であるポリイミド不織布である。
本発明8は、本発明5〜7のいずれかのポリイミド不織布を無電解めっきして得られる金属被覆ポリイミド不織布である。
本発明9は、本発明1〜4のいずれかのポリイミド繊維及び/又は本発明5〜7のいずれかのポリイミド不織布を用いて得られる断熱材である。
本発明10は、本発明9の金属被覆ポリイミド不織布を使用する電磁波シールドシートである。
本発明11は、本発明1〜4のいずれかのポリイミド繊維及び/又は本発明5〜7のいずれかのポリイミド不織布を用いて得られる電池用セパレーターである。
本発明のポリイミド繊維を使用すると、耐熱性、機械強度などに優れ、難燃性及び低誘電率を有し、めっき可能なポリイミド繊維及び不織布を提供できるという特有の効果を奏する。
本発明において使用されるポリアミック酸(1)(以下、(1)成分という)は、テトラカルボン酸二無水物(c1)(以下、(c1)成分という)、及びジアミン類(c2)(以下、(c2)成分という)を同時に又は逐次に添加して反応させることにより得られる。
上記(c1)成分としては、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,3’,4,4’−テトラカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシフェニル)スルホン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸無水物、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸無水物などが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
上記(c2)成分としては、各種公知のジアミン類を併用できる。例えば2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、m−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,αージメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)3,3,3,’3,’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)3,3,3,’3,’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンなどが挙げられ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて併用できる。
上記(1)成分は、上記(c1)成分と(c2)成分を、((c1)成分のモル数/(c2)成分のモル数)=0.6〜1.0の範囲において、極性溶剤中で反応させたポリアミック酸溶液を経て得られる。
上記極性溶剤としては、生成する(1)成分を溶解するものであれば、種類及び使用量は特に限定されないが、N−メチル―2―ピロリドンやジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、クレゾール、ジメチルスルホキシド、N―メチルカプロラクタム、メチルトリグライム、メチルジグライム、ベンジルアルコールなどの極性溶剤をポリイミド換算固形残分5〜40%となるようにすることが好ましい。ここでポリイミド換算固形残分とは、(1)成分が完全にポリイミドに硬化した時の、溶液に対するポリイミドの重量%を表す。ポリイミド換算固形残分が5%未満では、(1)成分溶液の製造コストが高くなる。一方、40%を超えると、(1)成分溶液が室温で高粘度となるためハンドリングが悪くなる傾向がある。(1)成分の反応温度は、特に限定されないが、−20〜80℃に調整するのが好ましい。
上記(c1)成分と(c2)成分の反応は以下のように行う。(c2)成分を極性溶剤に溶解または分散させた状態で(c1)成分を固体のまま、あるいは極性溶剤に溶解させて、あるいは任意の溶剤に分散させて添加して行う。添加すると瞬時に反応は進行する。
本発明で使用されるアルコキシ基含有シラン変性ポリアミック酸(a)はシラン変性されていることを特徴とする。シラン変性することでめっき密着性を付与することができる。
シラン変性には、エポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(2)を用いる(以下、(2)成分ともいう)。(2)成分は、エポキシアルコール(d1)(以下、(d1)成分という)と、メトキシシラン部分縮合物(d2)(以下、(d2)成分という)との脱メタノール反応によって得られる。
上記(d1)成分としては、分子中にエポキシ基及び水酸基を有するものであれば、特に限定されず公知のものを使用することができる。
(d1)成分として、一般式(1):
(式中、mは1〜10の整数を示す)で表される化合物を用いると、得られる硬化膜の柔軟性が向上するため好ましい。なお、一般式(1)においてmが3以上のものを用いた場合には毒性が低くなり、かつ硬化膜の柔軟性の向上が著しいため特に好ましい。具体例としては、2,3−エポキシ−2−プロパノール、7,8−エポキシ−1−オクタノールなどが挙げられる。
上記(d2)成分としては、一般式(2):CHSi(OCH及び/又はCHSi(OCHで表されるテトラメトキシシラン及び/又はメチルトリメトキシシランを、酸又は塩基触媒、及び水の存在下で加水分解し、部分的に縮合させて得られるものが用いられる。
上記(d2)成分を部分的に縮合させて得られるものとは、一般式(2)の縮合物が2〜100程度含まれているものを意味する。すなわち、上記(d2)成分の1分子中のSiの平均個数は2〜100程度であることが好ましく、さらに好ましくは、3〜8である。Siが2未満であると、(d1)成分との脱メタノール反応の際、反応せずメタノールと一緒に系外に流出するメトキシラン類の量が増える傾向がある。また、100を超えると、(d1)成分との反応性が悪くなりやすく、目的とする(2)成分が得られにくくなる。(d1)成分と(d2)成分との仕込み比率は、特に限定されないが、通常は、(d2)成分中のメトキシ基の当量)/((d1)成分中の水酸基の当量)=1/0.3〜1/0.01程度となる仕込み比率で脱メタノール反応させることが好ましい。
上記仕込み比率において、比率が大きくなると、未反応の(d2)成分の割合が増加し、また仕込み比率が小さくなると、残存する未反応の(d1)成分によって硬化物の耐熱性が悪くなる傾向があるため、仕込み比率は、1/0.25〜1/0.05とするのがより好ましい。
(d1)成分と(d2)成分との反応は、例えば、これら各成分を仕込み、加熱して副生するメタノールを留去しながら行う。反応温度は50〜150℃程度、好ましくは70〜110℃である。なお、110℃を超える温度で脱メタノール反応させると、反応系中に(d2)成分の縮合に伴って、反応生成物の分子量が上がりすぎ高粘度化やゲル化する傾向がある。このような場合には、脱メタノール反応を反応途中で、停止させる等の方法により高粘度化、ゲル化を防止できる。
また、上記(d1)成分と(d2)成分との脱メタノール反応に際しては、反応促進のために従来公知の触媒の内、オキシラン環を開環しないものを使用することができる。この触媒としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、砒素、セリウム、カドミウム、マンガン等の金属;これら金属の酸化物、有機酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド等が挙げられる。これらの中でも、特に、有機錫、有機酸錫が好ましく、具体的には、ジブチル錫ラウレート、オクチル酸錫等が有効である。
また、上記反応は溶剤中で行うこともできる。溶剤としては、(d1)成分と(d2)成分を溶解するものであれば特に制限はない。このような有機溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、キシレン等の非プロトン性極性溶媒を用いるのが好ましい。
なお、(2)成分を構成するすべての分子がエポキシ基を含有する必要はなく、上記割合となるエポキシ基を含有していればよい。即ち、(2)成分は、未反応の(d2)成分を(d1)の仕込み比率に対して上限20重量%程度まで含んでいてもよい。
上記アルコキシ基含有シラン変性ポリアミック酸(a)(以下、(a)成分ともいう)は、(1)成分と(2)成分とを反応させて得られる。(1)成分と(2)成分の使用割合は、特に制限されないが、((2)成分のエポキシ基の当量)/(1)成分に使用したジアミン類のアミノ基の当量)が0.005〜0.3の範囲とするのが好ましい。上記数値が0.005未満であると無機材料との密着性が得られにくく、0.3を超えるとポリイミド繊維が脆くなり好ましくない。
上記(a)成分の製造は、たとえば、上記各成分を仕込み、実質的に無水状態で加熱して反応を行なう。反応は(1)成分のカルボン酸基、或いは分子末端の無水カルボン酸基又はアミノ基と、(2)成分のエポキシ基の反応を主目的にしており、本反応中に(2)成分のアルコキシシリル部位のゾル−ゲル反応によるシリカの生成、(1)成分のイミド基への閉環反応を抑える必要がある。そこで、反応温度は50〜120℃程度、好ましくは60〜100℃であり、全反応時間は1〜30時間程度で行うのが好ましい。
また、上記反応に際しては、反応促進のために従来公知のエポキシ基とカルボン酸とを反応させる際に使用する触媒を使用することができる。触媒の具体例としては、1,8−ジアザ−ビシクロ[5,4,0]―7―ウンデセン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの三級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、ベンズイミダゾールなどのイミダゾール類;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボーレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボーレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボーレートなどのテトラフェニルボロン塩などをあげることができる。反応触媒は(1)成分のポリイミド換算固形残分100重量部に対し、0.01〜5重量部の割合で使用するのが好ましい。
なお、上記反応は、極性溶剤中で行うことが好ましい。極性溶剤としては、(1)成分及び(2)成分を溶解する溶剤であれば特に制限はない。このような溶剤としては、例えば、(1)成分製造時に使用したものを例示できる。
上記シラン変性ポリアミック酸樹脂組成物(A)(以下、(A)成分ともいう)は、(a)成分を極性溶剤(b)(以下、(b)成分ともいう)に溶解したものである。(b)成分としては、(a)成分を溶解する溶剤であれば特に制限はない。このような溶剤としては、例えば、(a)成分製造時に使用したものを例示できる。
また、(A)成分の製造に、(1)成分として、(テトラカルボン酸類のモル数/ジアミン類のモル数)=0.6〜0.9の範囲で反応させたポリアミック酸オリゴマーを用いた場合、ポリイミド−シリカハイブリッド繊維の強度が不十分となる。このような場合には(1)成分及び(2)成分の反応後、さらに、(1)成分の製造で用いた(c1)成分を投入し、(テトラカルボン酸類のモル数/ジアミン類のモル数)=0.9〜1.0になるように調整することが好ましい。
本発明のポリイミド繊維の前駆体となるポリアミック酸繊維は、(A)成分の溶液流を高速気流にて引き取りながら紡糸する方法、水系凝固浴を通過させることで紡糸する方法等、溶剤系凝固浴を通過させることで紡糸する方法等、従来既知の紡糸法により作製することができる。中でも、(A)成分の溶液流を高速気流で引き取りながら紡糸する方法は、製造の際に必要となる設備が少なく、繊維の捕集、繊維の嵩密度の制御が容易であることから好ましい。
本発明のポリアミック酸繊維の製造方法としては、50℃〜350℃に加温された気流により、紡糸口金から吐出された(A)成分を引き取ることにより、有機溶剤を一部除去、ポリアミック酸の部分イミド化、及びアルコキシシリル部位のゾル−ゲル反応によるシリカの生成をしながら紡糸する方法が好適である。部分イミド化とはポリアミック酸の98重量%以下がイミド化することをいう。
つまり、気流にて引き取るとは、紡糸口金から吐出された紡糸原液(A)成分を外力(気流)にて繊維状に引き伸ばしながら短繊維状又は長繊維状に成型することを意図している。
本発明のポリイミド繊維の平均繊維径は、(A)成分の吐出量により制御することができる。(A)成分の吐出量が少ない程、ポリイミド繊維の繊維径を小さくすることができる。上記紡糸口金のオリフィスに流す(A)成分の流量(吐出量)は、紡糸口金のオリフィス径と固形分濃度から適宜選定される。
上記オリフィス径としては、直径0.05mm〜1.0mmの物を用いることが繊維を紡糸する際に安定的に紡糸できると共に、最終的に得られるポリイミド繊維の平均繊維径を0.1〜10μmの範囲に制御し易くなるので好ましい。平均繊維径をこの範囲とすることで、ポリイミド不織布の強度を優れたものとし、ポリイミド繊維の線膨脹係数を低く抑えることが可能となる。また好ましいオリフィス径は、直径0.1mm〜0.7mmである。これによれば、ポリイミド繊維の平均繊維径0.1〜10μmとすることができる。また、紡糸口金の吐出口のオリフィス形状は、円形、楕円形、星型、アレイ型等、どのような形状でも使用することができる。特に、円形のオリフィスを用いることが紡糸繊維表面の溶剤量をコントロールし易くなるので好ましい。
上記平均繊維径は、走査型電子顕微鏡によりポリイミド繊維を観察し、100本の平均値より求めることができる。
上記ポリアミック酸繊維を引き取るための気流は、10m/秒以上300m/秒以下の風速を有し、50〜350℃であることが紡糸繊維の表面にタックを生じないので好ましい。気流により引き取られたポリアミック酸繊維は、捕集装置により嵩密度の小さい状態で捕集される。
本発明のポリイミド繊維は、ポリアミック酸繊維を熱硬化(イミド化)して得られる。硬化条件は、ポリアミック酸を構成する上記(c1)成分と(c2)成分の種類によって適宜選択されるが、一例として、乾燥炉の雰囲気は大気あるいは不活性ガス雰囲気で、5分間以上かけて300℃〜500℃まで昇温、その後5〜120分間保持し冷却する工程を挙げることができる。
本発明のポリイミド繊維の形状としては、不織布、織布、ウールなどが挙げられる。織布、ウールの製造方法は特に限定されず、従来公知の製造方法を用いればよい。
得られたポリアミック酸繊維は、熱プレス後に熱硬化(イミド化)することでポリイミド不織布に加工することが出来る。このポリイミド不織布もまた本発明の一つである。熱プレスの温度は100〜250℃程度、圧力は0.03〜1.0MPa程度であれば、特に限定されず、布状・レザー状・綿状などさまざまな形状にすることができる。また、繊維同士が部分的に融着し良好な不織布ができる。熱プレスの温度、圧力が低すぎると、繊維は変形せず、不織布にならない。また、熱プレスの温度、圧力が高すぎるとプレス機にこびりつき易く、作業性に難がある。熱プレスの圧力は、小さければ嵩密度は小さく、厚みは大きくなり、熱プレスの圧力が大きければ、嵩密度は大きく、厚みは小さくなり、目標とする嵩密度、厚みに合わせて適宜設定することができる。
上記イミド化を行うためにポリアミック酸繊維を熱プレスしたポリアミック酸不織布をロールに巻き取り固定して乾燥炉に入れて行うことにより、収縮による変形が生じないため好ましい。
本発明のポリイミド不織布は、シリコンやSUS、セラミックといった無機基材と積層され、また高温〜低温での寸法変化を嫌うため、繊維の線膨張係数は低い程、好ましいとされる。本発明のポリイミド繊維及びポリイミド繊維で構成されるポリイミド不織布の線膨張係数は、断熱材や電池用セパレーターでの使用方法を鑑み、線膨張係数は0〜20ppm/℃であることが好ましい。
本発明のポリイミド繊維及びポリイミド繊維で構成されるポリイミド不織布の熱伝導率は、電子部品等を熱から保護するためには0.08W/m・K以下であることが好ましい。
上記熱伝導率の測定方法は、レーザーフラッシュ法、定常法、非定常法等あるが、特に測定方法には限定されない。
本発明のポリイミド繊維は高機械強度でかつ、高耐熱性であるため半導体デバイス周辺材料等の電子材料として有用である。また誘電率が低いため、二次電池周辺材料等の電気絶縁材料、断熱材及び低誘電率材料としても有用である。
また本発明のポリイミド不織布は、各種金属のめっき加工することが可能である。無電解めっきして得られる金属被覆ポリイミド不織布もまた本発明の一つである。また、これにより得られる金属被覆ポリイミド不織布は電磁波シールドシートとしても有用である。
上記めっき加工は、ポリイミド不織布を無電解めっきすることで得られることが好ましい。無電解めっきの方法としては、特に限定されない。無電解めっきの金属としては、ニッケル、銅等が挙げられるが、特に限定されない。
更に、本発明のポリイミド繊維又はポリイミド不織布は、熱可塑性繊維と組み合わせて、耐熱性、寸法安定性に優れる電池用セパレーターを製造することができる。このような熱可塑性繊維としては、融点が80〜400℃に存在するポリマー材料であれば特に限定されないが、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリアミドイミド系、ポリイミド系の繊維を例示できる。ポリイミド繊維と熱可塑性繊維の複合化方法は特に限定されないが、本発明のポリイミド不織布を製造後、その両面或いは片面に熱可塑性繊維を紡糸する方法が挙げられる。熱可塑性繊維の繊維径についても特に限定されるものではないが、上記ポリイミド繊維と同等かそれ以下とすることがイオン透過性に優れるため好ましい。
以下、実施例及び比較例をあげて本発明を具体的に説明する。なお、各例中、「部」及び「%」は特記しない限り重量基準である。
合成例1(エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2)の製造)
攪拌機、分水器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応装置に、グリシドール(日油(株)製、商品名「エピオールOH」)1400g及びテトラメトキシシラン部分縮合物(多摩化学(株)製、商品名「メチルシリケート51L」、Siの平均個数が4)8957.9gを仕込み、窒素気流下、攪拌しながら、90℃に昇温した後、触媒としてジオクチル錫ジラウレート2.0gを加え、反応させた。反応中、分水器を使って生成したメタノールを留去し、その量が約630gに達した時点で冷却した。昇温後冷却までに要した時間は5時間であった。ついで、13kPaで約10分間、系内に残存するメタノール約80gを減圧除去した。このようにして、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2)を得た。なお、仕込み時のエポキシ化合物の水酸基の当量/アルコキシシラン縮合物のアルコキシル基の当量(当量比)=0.10、エポキシ当量は512g/eqである。
合成例2(ポリアミック酸(1)の製造)
合成例1と同様の装置に、N,N−ジメチルアセトアミドを加え、さらに、p−フェニレンジアミン 83.62g、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル 8.15g(ジアミン中のp−フェニレンジアミンは95モル%)と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物 225.47g ピロメリット酸無水物 6.83gを加え1時間反応させ、硬化残分18%のポリアミック酸を得た。
合成例3(シラン変性ポリアミック酸樹脂組成物(A)の製造)
合成例2で得たポリアミック酸(1)溶液を80℃に加熱し、合成例1で得たエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2)を、(エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2)のエポキシ基の当量)/(ポリアミック酸(1)に使用したジアミン類のアミノ基の当量)=0.015になる様に加え、80℃で2.5時間、反応した。室温まで冷却し、硬化残分18%のシラン変性ポリアミック酸樹脂組成物溶液を得た。
実施例1(ポリイミド繊維及びポリイミド不織布の製造)
○紡糸口金
オリフィス径 0.2mm
オリフィス長さ 2.0mm
オリフィス数 1H
○吐出量 0.2g/min
○引き取り気流条件
温度 200℃
流量 250L/min
速度 100m/sec
上記の条件で、合成例3で得られたシラン変性ポリアミック酸樹脂組成物溶液を紡糸してポリアミック酸繊維を得た。得られた溶剤を含むポリアミック酸繊維5gを200mm×300mmに均一に拡げ、同じく200mm×300mmのブリキ板ではさむ。これを熱プレス機を使用して150℃で3秒、圧力0.4MPaで熱プレスする。ブリキ板の間から取り出して一部溶剤を含むポリアミック酸不織布を得た。得られたポリアミック酸不織布をロールに巻き取り固定した。ロールを100℃に設定した乾燥器に入れ、大気下350℃まで30分間かけて昇温した。1時間温度を保持してイミド化反応を行った後、冷却してポリイミド繊維集合体であるポリイミド不織布を得た。ポリイミド不織布の厚みはおよそ300μm、嵩密度は0.3g/cm、ポリイミド繊維の平均繊維径は1.1μmであった。
(ポリイミド不織布の製造)
実施例2(ポリイミド繊維及びポリイミド不織布の製造)
○紡糸口金
オリフィス径 0.2mm
オリフィス長さ 2.0mm
オリフィス数 35H
○吐出量 500g/hr
○引き取り気流条件
温度 200℃
流量 3.5Nm/min
速度 100m/sec
上記の条件で、合成例3で得られたシラン変性ポリアミック酸樹脂組成物溶液を紡糸してポリアミック酸繊維を得た。得られた溶剤を含むポリアミック酸繊維5gを200mm×300mmに均一に拡げ、同じく200mm×300mmのブリキ板ではさむ。これを熱プレス機を使用して150℃で3秒、圧力0.4MPaで熱プレスした。ブリキ板の間から取り出して一部溶剤を含むポリアミック酸不織布を得た。得られたポリアミック酸不織布をロールに巻き取り固定した。ロールを100℃に設定した乾燥器に入れ、大気下350℃まで30分間かけて昇温した。1時間温度を保持してイミド化反応を行った後、冷却してポリイミド繊維集合体であるポリイミド不織布を得た。ポリイミド不織布の厚みはおよそ350μm、嵩密度は0.3g/cm、ポリイミド繊維の平均繊維径は2.0μmであった。
比較例1(ポリイミド繊維及び不織布の製造)
ポリアミック酸溶液を、合成例3から合成例2に変えた以外は実施例1と同様にポリアミック酸繊維を得て、その後ポリイミド不織布を得た。ポリイミド不織布の厚みはおよそ300μm、嵩密度は0.3g/cmポリイミド繊維の平均繊維径は1.0μmであった。
比較例2(ポリイミドフィルムの製造)
合成例3で得たシラン変性ポリアミック酸溶液をPETフィルムに塗布して80℃で10分間乾燥させた。乾燥させたフィルムを金属枠に固定して乾燥炉に入れ、100〜350℃まで1時間かけて昇温して350℃で1時間保温した。冷却後、金属枠から取り外してポリイミドフィルムを得た。
(貯蔵弾性率、ガラス転移温度)
実施例1、2及び比較例1で得た試料をそれぞれ、10mm×30mmにカットし、粘弾性測定器(セイコーインスツル(株)製、商品名「DMS6100」、測定条件:振動数10Hz、スロープ3℃/分、測定温度20℃〜370℃)を用いて貯蔵弾性率、損失弾性率を測定して、機械強度と耐熱性を評価した。機械強度として25℃での貯蔵弾性率を、耐熱性としてガラス転移温度を評価した。ガラス転移温度は、貯蔵弾性率と損失弾性率の比である損失正接tanδの変曲点から求めた。
(線膨脹係数)
実施例1、2及び比較例1で得た試料を、熱機械分析TMA120C(セイコー電子工業株式会社製)を使用して100〜200℃までの線膨脹係数を測定した。
(熱伝導率)
実施例1、2及び比較例1で得た試料を定常法熱伝導率測定装置GH−1(アルバック理工株式会社製)を使用して熱伝導率を測定した。(試験温度30℃、圧力0.1MPa)
(難燃性)
実施例1、2及び比較例1で得た試料の難燃性をUL(Underwriter´s LaboratoriesInc.)94の規格に則って測定した。
(めっき)
実施例1、2及び比較例1で得た試料を、50mm×100mmにカットし、SLPプロセス(奥野製薬工業(株)製)を使用し、ニッケル層が形成されるか評価した(想定されるニッケル厚0.1μm)。ニッケル層の形成が見られ、手で擦ってもはがれないものは○、ニッケル層の形成が見られないもの、ニッケル層の形成が見られても手で擦って剥がれるものは×とした。
(誘電率)
実施例1および比較例1で得た試料をベクトルネットワークアナライザAnritsu37225C(アンリツ社製)を使用して比誘電率、誘電正接を測定した。(測定周波数1GHz付近)
(表1)
(表2)
本結果より、実施例のポリイミド不織布は、比較例のポリイミド不織布に比べ機械強度、耐熱性に優れている。また、線膨張係数が小さく、熱伝導率及び誘電率も小さいことから、断熱材、電池用セパレーターに好適である。また電磁波シールド用シート、低誘電率シートとしても有用である。

Claims (11)

  1. ポリアミック酸(1)とエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2)とを反応させてなるアルコキシ基含有シラン変性ポリアミック酸(a)及び極性溶剤(b)を含有するシラン変性ポリアミック酸樹脂組成物(A)を紡糸し、硬化させて得られることを特徴とするポリイミド繊維。
  2. ポリイミド繊維の平均繊維径が0.1〜10μmであることを特徴とする請求項1記載のポリイミド繊維。
  3. 線膨脹係数が0〜20ppm/℃であることを特徴とする請求項1又は2記載のポリイミド繊維。
  4. 熱伝導率が0.08W/m・K以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリイミド繊維。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリイミド繊維で構成されることを特徴とするポリイミド不織布。
  6. 線膨脹係数が0〜20ppm/℃であることを特徴とする請求項5記載のポリイミド不織布。
  7. 熱伝導率が0.08W/m・K以下であることを特徴とする請求項5又は6記載のポリイミド不織布。
  8. 請求項5〜7のいずれかに記載のポリイミド不織布を無電解めっきして得られることを特徴とする金属被覆ポリイミド不織布。
  9. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリイミド繊維及び/又は請求項5〜7のいずれかに記載のポリイミド不織布を用いて得られることを特徴とする断熱材。
  10. 請求項9に記載の金属被覆ポリイミド不織布を使用することを特徴とする電磁波シールドシート。
  11. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリイミド繊維及び/又は請求項5〜7のいずれかに記載のポリイミド不織布を用いて得られることを特徴とする電池用セパレーター。
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