JP2012250465A - サーマルヘッド、および該サーマルヘッドを具備したプリンタ、ならびにサーマルヘッドの製造方法 - Google Patents

サーマルヘッド、および該サーマルヘッドを具備したプリンタ、ならびにサーマルヘッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】発熱効率が高く、安定した品質のサーマルヘッドを、廉価なコストで製造することができる方法を提供する。
【解決手段】ガラス材料からなる蓄熱層10と、蓄熱層10を支持する該蓄熱層10と同一のガラス材料からなる絶縁基板9と、蓄熱層10および絶縁基板9の少なくとも一方に形成された凹部16と、蓄熱層10と絶縁基板とを接合することにより形成された空洞部17と、空洞部17に対向する位置に配設された発熱抵抗体層13とを備えたサーマルヘッド1において、蓄熱層10と絶縁基板9とが、それぞれを密着させた状態で蓄熱層10の上面からフェムト秒レーザを照射することによって接合されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、サーマルヘッド、および該サーマルヘッドを具備したプリンタ、ならびにサーマルヘッドの製造方法に関するものである。
一般的に、サーマルプリンタは、複数の発熱素子を受容紙の搬送方向と直交する方向(主走査方向)に配列することにより構成されたサーマルヘッドを備え、該サーマルヘッドの複数の発熱素子を印刷データに基づいて選択的に駆動することにより、感熱記録媒体に印刷を行うようになっている。
この種のサーマルプリンタに備えられているサーマルヘッドでは、発熱抵抗体の発熱効率を向上して消費電力の低減を図るために、該発熱抵抗体に対向する領域に空洞部が形成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。同特許文献1に開示されているサーマルヘッドは、上述した空洞部を熱伝導率の低い断熱層として機能することにより、発熱抵抗体から絶縁基板側に流れる熱量を制限し、これにより、熱効率の向上および消費電力の低減化を図っている。
上述した空洞部の形成方法としては、絶縁基板にエッチングやレーザ加工を施すことにより凹部を形成し、その上に蓄熱層であるガラスを数百℃に加熱して接合することで凹部を密閉して空洞部を形成する方法が採用されている。この場合、100μm以下の薄板ガラスのハンドリングが困難であるため、比較的扱いやすい厚さのガラスを絶縁基板の表面に接合した後に、表面をエッチングや研磨等によって削り取ることで所望の厚さ寸法を得ていた。
特開2009−119850号公報
シリコン基板に低温で陽極接合できる蓄熱層ガラスは、一般に、アルカリイオン成分を含むソーダガラスやパイレックス(登録商標)ガラスであり、これらのガラスを用いた場合には、シリコン基板と蓄熱層ガラスとの熱膨張率が全く同じでないため、接合工程終了後や、サーマルヘッドとしての使用時に、発熱抵抗素子にソリや歪みが発生し、感熱紙との当たりが変化して印字品質が損なわれてしまうという問題があった。また、ガラスに含まれるアルカリイオン成分が、発熱抵抗体や電極を腐食させるという問題もあった。
これに対して、特許文献1のように、絶縁基板および蓄熱層ガラスを、同じ無アルカリガラスにすることにより、上述したような問題は生じ難くなるが、両者を接合するためには、少なくとも絶縁基板および蓄熱層ガラスの接合表面を化学洗浄することにより表面状態を分子レベルで改質した後、数百℃の高温にて加熱しないと接着しないという問題がある。このような処理を100μ以下の蓄熱層ガラスに対して直接ハンドリングして行うことは困難であり、比較的扱いやすい厚さの蓄熱層ガラスを絶縁基板の表面に接合した後に、エッチングや研磨等によって所望の厚さ寸法まで加工しなければならないという課題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エッチングや研磨工程などを要することなく廉価な工程で製造可能であり、かつ、熱膨張率差による変形を抑えて印字品質を向上することができるサーマルヘッド、および該サーマルヘッドを具備したプリンタ、ならびにサーマルヘッドの製造方法を提供することである。
本発明の上記目的は、ガラス材料からなる蓄熱層と、前記蓄熱層を支持する該蓄熱層と同一のガラス材料からなる絶縁基板と、前記蓄熱層および前記絶縁基板の少なくとも一方に形成された凹部と、前記蓄熱層と前記絶縁基板とを接合することにより形成された空洞部と、前記空洞部に対向する位置に配設された発熱抵抗体層とを備えたサーマルヘッドにおいて、前記蓄熱層と前記絶縁基板とが、それぞれを密着させた状態で前記蓄熱層の上面からフェムト秒レーザを照射することによって接合されていることを特徴とするサーマルヘッドにより、達成される。
本発明によれば、接合面の少なくとも一方に凹部が形成された絶縁基板と蓄熱層とを相互に接合することにより、発熱抵抗体層に対向する領域に空洞部が形成されるようになっている。この空洞部は、発熱抵抗体層から発せられた熱が絶縁基板側に拡散伝導するのを制限し、これにより、発熱抵抗体層の熱をより効果的に利用できる。
また、上記発明においては、蓄熱層および絶縁基板がいずれも同一のガラス材料により構成されているので、熱膨張率差がなく、蓄熱層の上面に配設された発熱抵抗体層の発熱による蓄熱層および絶縁基板にソリや歪みが発生せず、高い印字品質を維持することができる。
さらに、上記発明においては、フェムト秒レーザを照射することによって、絶縁基板と蓄熱層とを相互に接合するため、従来のサーマルヘッドよりも容易に製造することが可能となり、製造コストの低減化を図ることができる。フェムト秒レーザによる加工は、光電離による加工であり、レーザ光線によって加工部が直接的に分解されるので、加工部周辺を熱やプラズマなどで損傷することなく、絶縁基板と蓄熱層とを接合することができる。
また、本発明の上記目的は、前記空洞部の深さが、1μm以上100μm以下であるサーマルヘッドにより、効果的に達成される。このようにすることで、空洞部内の空気層の厚さが1μm以上と十分に確保されていて断熱効果が高く、発熱抵抗素子の消費電力を低く抑えることができる。また、上述した断熱効果は、空洞部の深さを必要以上に大きくしても然程上がらないので、100μm以下とすることが適切である。
また、本発明の上記目的は、前記蓄熱層の厚みが、10μm以上100μm以下であるサーマルヘッドにより、効果的に達成される。このようにすることで、蓄熱層が10μm以上と十分な厚みが確保され、これにより機械強度が高くなり、十分な機械的信頼性を得ることができる。また、蓄熱層の厚みを100μm以下とすることにより、蓄熱層から絶縁基板への熱の拡散を防ぐことができ、断熱効果を十分に保つことができる。
また、本発明の上記目的は、前記蓄熱層と前記絶縁基板とが、無アルカリガラスからなるサーマルヘッドにより、効果的に達成される。このようにすることで、長時間使用してもアルカリイオン成分が溶出することを防止することができ、その結果、発熱抵抗体層や電極に対してアルカリイオン成分による腐食などの悪影響が及ぶのを防止することができる。無アルカリガラスは、フュージョン法と呼ばれる製法により、100μ以下の極薄板厚のものが製造可能である。100μm以下のガラスは、ハンドリングが困難であるため、溶剤等による洗浄は困難であるが、本発明によれば、化学洗浄することなく異物等の除去のみを行った後にフェムト秒レーザを照射することにより、前記蓄熱層と前記絶縁基板との密着部を微細的に容易に溶融接合することができる。
一方で、本発明の上記目的は、上記いずれかのサーマルヘッドを備えるプリンタによっても、達成される。本発明によれば、サーマルヘッドの発熱効率を向上し、かつ、製造コストを低減することができる上に、長期使用によっても絶縁基板や蓄熱層のソリや歪みが少なく、また、発熱抵抗体層や電極あるいはその近傍に設置されるドライバIC等を健全な状態に維持して、高い印字性能を維持することができる。さらに、本発明によれば、上記サーマルヘッドを使用することにより、低消費電力かつ低コストで、鮮明な印字を長時間継続的に行うことができる。
また、本発明の上記目的は、同一のガラス材料からなる蓄熱層と絶縁基板との接合面の少なくとも一方に凹部を形成する凹部形成ステップと、前記蓄熱層および前記絶縁基板の前記接合面を相互に密着させた状態で、前記蓄熱層および前記絶縁基板とをそれぞれを密着させた状態で、前記蓄熱層の上面からフェムト秒レーザを照射することにより前記蓄熱層と前記絶縁基板とを接合する接合ステップと、前記蓄熱層上の前記凹部に対向する位置に発熱抵抗体層を形成する抵抗体形成ステップとを含んでいることを特徴とするサーマルヘッドの製造方法により、達成される。
本発明によれば、接合ステップにおいて、絶縁基板および蓄熱層を相互に密着させた状態で、フェムト秒レーザを照射することにより接合するので、接着剤を使用することなく、同一のガラス材料同士を簡易かつ確実に接合することができる。これにより、発熱抵抗体層から発生する熱を効率よく利用して消費電力を低減し、かつ、発熱によるソリや歪みの発生を防止して高い印字性能を維持することができるサーマルヘッドを製造することができる。
本発明によれば、発熱効率が高く、安定した品質のサーマルヘッドを、廉価なコストで製造することができる。
本発明の一実施形態に係るサーマルプリンタを示す概略構成図である。 図1のプリンタに搭載されたサーマルヘッドを保護膜側から見た平面図である。 図2のサーマルヘッドのα−α矢視断面図である。 図2のサーマルヘッドの製造過程における積層基板を示す平面図(チップ配列図)、およびその一部を示す要部断面図(断面拡大図)である。 図2のサーマルヘッドの製造過程における別の実施形態の積層基板を示す平面図(チップ配列図)、およびその一部を示す要部断面図(断面拡大図)である。
本発明の一実施形態に係るサーマルヘッド、および該サーマルヘッドを備えたサーマルプリンタ、ならびにサーマルヘッドの製造方法について、図1〜図4を参照して以下に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るサーマルヘッド1を備えたサーマルプリンタ2の概略構成図である。同図において、サーマルプリンタ2は、本体フレーム3と、水平配置されるプラテンローラ4と、該プラテンローラ4の外周面に対向配置されるサーマルヘッド1と、プラテンローラ4とサーマルヘッド1との間に感熱紙5を送り出す紙送り機構6と、サーマルヘッド1を感熱紙5に対して所定の押圧力で弾性的に押圧する加圧機構7とを備えている。
サーマルヘッド1は、図2の平面図に示されるように平板状に構成され、間隔を空けて複数の発熱抵抗素子8を備えている。各発熱抵抗素子8は、図3の断面図に示されるように、絶縁基板9と、蓄熱層10と、発熱抵抗体11と、保護膜層12とを積層して構成されている。なお、図示しないが、絶縁基板9は、放熱板に接着されている。なお、本実施形態における蓄熱層10は、厚さ10μm以上100μm以下に構成されている。
絶縁基板9および蓄熱層10は、いずれも無アルカリガラス(例えば、日本電気硝子製OA−10G等)により構成されており、それら互いの表面を密着させた状態で、絶縁基板9および蓄熱層10の界面の任意の点に、スポット状にフェムト秒レーザが照射される。これにより、絶縁基板9および蓄熱層10の密着面の境界部が微細的に溶融接合され、その結果、これらの部材を強固に接合することが可能である。
ここで、フェムト秒レーザとは、パルス周期が1×10-14secから1×10-12secの超高強度の超極短波長パルスレーザを指し、微細領域に熱反応を発生させることが可能である。長波長レーザの場合、反応部に蓄熱層10の盛り上がりなどの不具合が発生することが起こり得るが、フェムト秒レーザの場合は、そのような問題は発生しない。
発熱抵抗体11は、蓄熱層10の上面に所定のパターンで形成される発熱抵抗体層13と、蓄熱層10上に発熱抵抗体層13と接して設けられる個別電極14および共通電極15とを有している。
絶縁基板9と蓄熱層10との少なくともいずれかの接合面(本実施形態においては絶縁基板9の接合面9a)には、発熱抵抗体層13との対向領域に凹部16が形成されている。具体的に、この凹部16は、全発熱抵抗体層13に対向する連通した溝として形成されている。そして、この絶縁基板9と蓄熱層10とが密着状態に接合されることにより、凹部16の開口部が蓄熱層10によって閉塞され、これにより、絶縁基板9と蓄熱層10との間に発熱抵抗体層13に対向した空洞部17が形成される。ここで、凹部16の形状は任意であって、その大きさは、発熱抵抗体層13の寸法に近ければ、発熱抵抗体層13よりも大きくても、小さくてもよい。
また、凹部16を発熱抵抗体層13側から積層方向に見たときに、発熱抵抗体層13の発熱有効面積よりも大きくした場合には、発熱抵抗体層13と絶縁基板9との間の断熱性能をより一層向上することができる。一方、凹部16の大きさを発熱抵抗体層13の発熱有効面積よりも小さくした場合には、積層方向への押圧力に対するサーマルヘッド1の機械的強度をより一層向上することができる。
本実施形態においては、凹部16は、絶縁基板9側に設けられており、発熱抵抗体11側から積層方向に見たときに発熱抵抗体層13より若干大きな幅を有する連通溝に形成されている。また、凹部16の深さDは、1μm以上100μm以下に設定されている。すなわち、このサーマルヘッド1では、空洞部17内の空気層の厚さが1μm以上と十分に確保されていて、この空気層により高い断熱効果を得ることができる。また、凹部16の深さDが100μm以下に設定されることにより、サーマルヘッド1の厚さ寸法を十分に薄く抑えることができる。
次に、本実施形態に係るサーマルヘッド1の製造方法について説明する。
まず、絶縁基板9の一面の発熱抵抗体層13が形成される領域に所定深さの凹部16を形成する(凹部形成ステップ)。具体的には、絶縁基板9を構成する無アルカリガラス基板の一面に、フォトレジスト材を塗布し、このフォトレジスト材を所定のパターンのフォトマスクを用いて露光し、空洞部17を形成する領域を除去することにより窓部を形成し、この状態で、エッチング加工を行うことにより、絶縁基板9の表面上に各窓部に対応する凹部16を形成する。なお、凹部16の形成は、レーザ加工やドリル加工などの機械加工により、直接形成してもよい。
続いて、蓄熱層10となる10μm〜100μmの無アルカリガラス基板を用意し、凹部16を形成した絶縁基板9の表面9aに密着させて凹部16を閉塞する。この状態で、蓄熱層9の上方から凹部16の周辺の任意の箇所(レーザ照射領域18)にフェムト秒レーザを照射することにより絶縁基板9と蓄熱層10とを接合する(接合ステップ)。なお、ガラスが薄くなるにつれてハンドリングが困難になるため、100μm程度のガラスを接合し、その後、エッチングや研磨等によって蓄熱層10の接合面とは反対側の表面を除去し、蓄熱層10を所望の100μm以下の厚さに加工するようにしてもよい。
レーザ照射領域18は、空洞部17以外であれば任意でよいが、図4に示すように、少なくとも空洞部17の周辺にスポット状に照射して接合することが好ましい。また、後の工程で、図4のチップ配列図に示される積層基板をサーマルヘッド1用の絶縁基板9として小片化するので、この小片化する際の切断部領域にスポット状に照射して接合することが好ましい。
そして、発熱抵抗体層13、個別電極14、共通電極15および保護膜層12を順次形成する(抵抗体形成ステップ)。なお、発熱抵抗体層13、個別電極14、共通電極15および保護膜層12を形成する順序は任意でよい。これら、発熱抵抗体層13、個別電極14、共通電極15および保護膜層12は、従来の発熱抵抗素子におけるこれら部材の製造方法を用いて形成することができる。具体的には、スパッタリングやCVD(化学気相成長法)、蒸着等の薄膜形成法を用いて蓄熱層10上にTa系やシリサイド系等の発熱抵抗体層13材料の薄膜を成膜し、この発熱抵抗体層13の材料の薄膜をリフトオフ法やエッチング法等を用いて成形することにより所望の形状の発熱抵抗体層13を形成する。
同様に、蓄熱層10上にAl、Al−Si、Au、Ag、Cu、Pg等の配線材料をスパッタリングや蒸着法等により成膜し、この膜をリフトオフ法やエッチング法等を用いて成形したり、配線材料をスクリーン印刷した後に焼成する等したりして、所望の形状の個別電極14および共通電極15を形成する。
本実施形態では、1つの発熱抵抗体層13に対して2つの独立した個別電極14を設け、共通電極15を一方の個別電極14上に被せて設けることで、共通電極15の配線抵抗値の低減を図っている。そして、発熱抵抗体層13、個別電極14および共通電極15を形成した後に、SiO2、Ta2O5、SiAlON、Si3N4、ダイヤモンドライクカーボン等の保護膜層12の材料をスパッタリング、イオンプレーティング、CVD法等により成膜して保護膜層12を形成する。これにより、本実施形態に係る発熱抵抗素子11を複数備えたサーマルヘッド1が製造される。
このように構成された本実施形態に係るサーマルヘッド1によれば、絶縁基板9と蓄熱層10との間の発熱抵抗体層13に対向する領域に空洞部17が形成されていて、この空洞部17内の気体層は、蓄熱層10を介して絶縁基板9へ流入する熱の経路を規制する断熱層として機能する。本実施形態では、凹部16の深さDが1μm以上であるので、十分な断熱効果を有する空気層が形成される。さらに、蓄熱層10の厚さが100μm以下に設定されているので、蓄熱層10自体の熱容量が小さく、発熱抵抗体層13で発生した熱が蓄熱層10に奪われることが抑制される。この結果、本実施形態に係るサーマルヘッド1では、発熱抵抗体層13から発生された熱を絶縁基板8側に逃がすことなく有効に利用することができる。
したがって、発熱抵抗体層13の発熱効率を向上し、消費電力を低減することができる。
また、発熱抵抗体層13から発生した熱が絶縁基板9に伝わり難いので、連続して使用してもサーマルヘッド1全体の温度が上昇し難いという利点がある。さらに、本実施形態に係るサーマルヘッド1は、蓄熱層10と絶縁基板9とが同一のガラス材料により構成されているので、熱膨張率差がなく、発熱抵抗体層13から発生する熱によって、ソリや歪みが発生する不都合がない。
さらに、本実施形態に係るサーマルヘッド1は、蓄熱層10と絶縁基板9とが無アルカリガラスにより構成されているので、長時間使用してもアルカリイオン成分が溶出することがない。したがって、周囲の発熱抵抗体11や電極14,15あるいはその近傍に設置されるドライバIC(図示せず)に対して、アルカリイオン成分による悪影響が及ぼすことを防止することができる。
一方、本実施形態に係るサーマルヘッド1を備えるサーマルプリンタ2によれば、長時間使用されても、発熱抵抗体層13からの熱が蓄熱層10や空洞部17に蓄熱され難いので、熱を効率よく使用することができる。その結果、尾引等による印字品質の低下を防止することができる。また、サーマルヘッド1に熱膨張率差によるソリや歪みが発生しないので、サーマルヘッド1と感熱紙6との当たりの変化が発生せず、印字品質の低下を防止することができる。
さらに、蓄熱層10の厚さが10μm以上100μm以下に設定されているので、サーマルヘッド1の機械的強度が高く、長時間にわたって繰り返し押圧力が作用してもサーマルヘッド1を良好な状態に維持することができる。したがって、長期信頼性を確保した高効率のサーマルヘッド1およびサーマルプリンタ2を提供することができる。なお、蓄熱層10側に凹部16を設ける場合には、蓄熱層10の最も薄い部分の厚さが10μm以上100μm以下であることが好ましい。
また、本実施形態に係るサーマルヘッド1の製造方法によれば、同一の無アルカリガラスからなる蓄熱層10と絶縁基板9とをフェムト秒レーザの照射により相互接合しているので、これらを接合するための接着剤を必要としない。したがって、これら接着剤等からなる層を形成する工程が不要となり、低コストかつ短時間で、簡易にサーマルヘッド1を製造することができる。
本発明の別の実施形態について、以下に説明する。
図5は、図2のサーマルヘッドの製造過程における別の実施形態の積層基板を示す平面図(チップ配列図)、およびその一部を示す要部断面図(断面拡大図)である。同図において、絶縁基板9と蓄熱層10とは、空洞部17を囲繞するようにフェムト秒レーザをレーザ照射領域18に連続照射することにより、相互接合されている。本実施形態では、このような連続照射による接合を行うことによって、接合面積を十分確保でき、その結果、接合強度の信頼性を増すことが可能となる。
また、ソリがある基板に対しては、フェムト秒レーザの照射前もしくは照射時に、蓄熱層10の表面状態を検知し、その検知結果に基づく蓄熱層10の厚み量分の深さ方向の位置に焦点を合わせてフェムト秒レーザを集光照射することにより、絶縁基板9と蓄熱層10とを接合する。この方法によれば、ソリによって、表面の高さがばらついた基板に対しても、精度良く蓄熱層10と絶縁基板9の界面にレーザを照射することが可能である。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
1 サーマルヘッド
2 サーマルプリンタ
9 絶縁基板
10 蓄熱層
11 発熱抵抗体
13 発熱抵抗体層
16 凹部
17 空洞部
18 レーザ照射領域

Claims (9)

  1. ガラス材料からなる蓄熱層と、
    前記蓄熱層を支持する該蓄熱層と同一のガラス材料からなる絶縁基板と、
    前記蓄熱層および前記絶縁基板の少なくとも一方に形成された凹部と、
    前記蓄熱層と前記絶縁基板とを接合することにより形成された空洞部と、
    前記空洞部に対向する位置に配設された発熱抵抗体層と
    を備えたサーマルヘッドにおいて、
    前記蓄熱層と前記絶縁基板とは、それぞれを密着させた状態で前記蓄熱層の上面からフェムト秒レーザを照射することによって接合されていることを特徴とするサーマルヘッド。
  2. 前記空洞部の深さは、1μm以上100μm以下である請求項1に記載のサーマルヘッド。
  3. 前記蓄熱層の厚みは、10μm以上100μm以下である請求項1または請求項2に記載のサーマルヘッド。
  4. 前記蓄熱層と前記絶縁基板とが、無アルカリガラスからなる請求項1から請求項3のいずれかに記載のサーマルヘッド。
  5. 前記フェムト秒レーザが前記蓄熱層の上面から任意の領域にスポット状に照射されることによって、前記蓄熱層と前記絶縁基板とが接合されている請求項1ないし4のいずれかに記載のサーマルヘッド。
  6. 前記フェムト秒レーザが前記空洞部を囲繞するように連続照射されることによって、前記蓄熱層と前記絶縁基板とが接合されている請求項1ないし4のいずれかに記載のサーマルヘッド。
  7. 前記フェムト秒レーザの照射前もしくは照射時に前記蓄熱層の表面状態を検知し、該検知結果に基づく前記蓄熱層の厚み量分の深さ方向の位置に焦点を合わせて前記フェムト秒レーザが集光照射されることにより、前記蓄熱層と前記絶縁基板とが接合されている請求項1ないし4のいずれかに記載のサーマルヘッド。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載のサーマルヘッドを備えるプリンタ。
  9. 同一のガラス材料からなる蓄熱層と絶縁基板との接合面の少なくとも一方に凹部を形成する凹部形成ステップと、
    前記蓄熱層および前記絶縁基板の前記接合面を相互に密着させた状態で、前記蓄熱層の上面からフェムト秒レーザを照射することにより前記蓄熱層と前記絶縁基板とを接合する接合ステップと、
    前記蓄熱層上の前記凹部に対向する位置に発熱抵抗体層を形成する抵抗体形成ステップと
    を含んでいることを特徴とするサーマルヘッドの製造方法。
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