JP2006188027A - 液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置 - Google Patents

液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】製造コストを低減しつつ、接合の信頼性、液滴吐出の信頼性を向上することができる液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置を提供すること。
【解決手段】接合装置400は、平行光としてのレーザ光を照射するレーザ発生装置401と、前記レーザ光が略垂直に入射するように配され、回折光学素子を備えた回折装置(回折手段)402と、回折装置402のレーザ光入射面と反対側の面に対向して配された集光レンズ403とを備え、電極部(第1の端子群)310、端子群(第2の端子群)113の端部付近に配された積層構造405に照射されるレーザ光の強度が、電極部310、端子群113の中央部付近に配された積層構造405に照射されるレーザ光の強度よりも大きい強度分布を呈する回折レーザ光を照射して、リード電極90および端子1111の間に介在する接続用金属120を溶融して、電極部310と端子群113とを接合する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置に関するものである。
従来、インクジェット式記録ヘッドにおける圧電素子の個別電極から引き出し配線として引き出された複数の端子を備えた端子群を、フレキシブルプリントケーブル(FPC)等からなる外部配線ケーブルとを接合する場合、外部配線ケーブルが備える複数の端子と、圧電素子から引き出された複数の端子とが、各々対応する配置となった状態で、外部配線ケーブル側に当接させたヒータ等の加熱手段を用いて半田により接合していた。しかしながら、このような方法を用いた場合、接合時の加熱により、圧電素子を備えた基板等に変形や割れが発生し易いという問題があった。
そこで、近年、上記のような変形および割れを防止する目的で、外部配線ケーブル側からレーザ光を照射して、外部配線ケーブルが備える端子と、圧電素子から引き出された端子との間に保持されている半田を加熱溶融させることにより、これらを電気的に接続する方法が開発された(例えば、特許文献1参照。)。この方法においては、接続すべき領域毎にレーザ光を照射する方法、レーザ光を移動させることにより連続的に照射する方法が採用されている。
しかしながら、上記の接続すべき領域毎にレーザ光を照射する方法では、接続すべき部材と、レーザ光源とを相対的に移動させ、さらに、レーザ光の点灯、消灯を繰り返す等の操作が必要となり、生産性に劣り、結果として、製品のコストが高くなるという問題がある。
また、レーザ光を移動させることにより連続的に照射する方法では、各部位への照射エネルギが均一となるように、一定の速度でレーザを移動させている。しかしながら、各部位への照射エネルギが十分に均一となるようにレーザ光を照射しても、各部位での接合状態にばらつきが生じ、接合の信頼性、インクジェット式記録ヘッドの液滴吐出の信頼性(液滴吐出タイミング、液滴吐出量の信頼性)を十分に高めるのが困難であった。
特開2003−63006号公報(第6頁右欄第29〜37行目)
本発明の目的は、製造コストを低減しつつ、接合の信頼性、液滴吐出の信頼性を向上することができる液滴吐出ヘッドの製造方法を提供すること、当該方法により製造される液滴吐出ヘッドを提供すること、また、当該液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法は、互いに並列に配された複数の第1の端子を備えた第1の端子群と、前記第1の端子の各々に対応して配された複数の第2の端子を備えた第2の端子群とを有し、複数の前記第1の端子とそれらに対応する複数の第2の端子とがそれぞれ電気的に接続された液滴吐出ヘッドの製造方法であって、
複数の前記第1の端子とそれらに対応する複数の第2の端子とが対向するように、前記第1の端子群および前記第2の端子群を配置する工程と、
入射したレーザ光を回折させて、所定の強度分布を呈する回折レーザ光を出射する機能を有する回折手段から出射した前記回折レーザ光により、複数の前記第1の端子とそれらに対応する複数の第2の端子とがそれぞれ電気的に接続するように、前記第1の端子群と前記第2の端子群とを接合する工程とを有することを特徴とする。
これにより、製造コストを低減しつつ、接合の信頼性、液滴吐出の信頼性を向上することができる液滴吐出ヘッドの製造方法を提供することができる。
本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法では、前記回折レーザ光の幅方向の長さは、前記第1の端子群における前記複数の第1の端子の配列方向に関する長さ以上であることが好ましい。
これにより、接合すべき複数の端子を効率良く接合することができ、液滴吐出ヘッドの生産性を向上させることができ、接合のコストを低減することができる。
本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法では、前記第1の端子群の端部付近に配された前記第1の端子に対応する部位に照射されるレーザ光の強度は、前記第1の端子群の中央部付近に配された前記第1の端子に対応する部位に照射されるレーザ光の強度よりも大きいことが好ましい。
これにより、端子群を構成する各端子が受け取る熱エネルギのばらつき、端子群を構成する各端子の温度のばらつきをより小さくすることができ、結果として、第1の端子群と第2の端子群との接合の信頼性をさらに高めることができる。
本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法では、前記回折レーザ光は、その幅方向に関して連続的に強度が変化する分布を有するものであることが好ましい。
これにより、回折レーザ光と、接合すべき端子群(第1の端子群、第2の端子群)との位置合わせの精度が比較的低い場合であっても、接合の信頼性を十分に高いものとすることができる。
本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法では、前記回折レーザ光は、その幅方向に関して非連続的に強度が変化する分布を有するものであることが好ましい。
これにより、レーザ光のエネルギを、接合すべき部位により効率良く与えることができ、接合の信頼性をさらに高めることができる。また、液滴吐出ヘッドの生産性をさらに高めることができるとともに、液滴吐出ヘッドの製造コストのさらなる低減を図ることができる。
本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法では、前記回折手段に入射する前記レーザ光は半導体レーザによるものであることが好ましい。
これにより、回折手段へ向けて出射するレーザ光の出射条件の制御を容易かつ確実に行うことができる。また、回折レーザ光の強度分布、照射パターン等を容易かつ確実に制御することができる。
本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法では、前記第1の端子群および/または前記第2の端子群の温度を計測するとともに、前記計測された温度に応じて前記レーザ光の強度を制御することが好ましい。
これにより、接合時における、端子群を構成する各端子の温度のばらつきをより小さくすることができ、結果として、第1の端子群と第2の端子群との接合の信頼性をさらに高めることができる。
本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法では、前記レーザ光の波長が800〜900nmであることが好ましい。
これにより、レーザ光のエネルギの利用効率を特に優れたものとすることができるとともに、端子群の各部位における温度をより確実に制御することができる。
本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法では、前記第1の端子と前記第2の端子との間に、ろう材が配された状態で、前記回折レーザ光を照射することが好ましい。
これにより、比較的低いエネルギ量で、第1の端子群と第2の端子群とを接合することができるとともに、形成される接合部の接合の信頼性を十分に高いものとすることができる。
本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法では、前記ろう材の融点をT[℃]としたとき、前記回折レーザ光を照射する際における、前記第1の端子群および前記第2の端子群の温度は、(T+50)℃以下であることが好ましい。
これにより、高温による悪影響の発生を十分に防止し、形成される接合部の接合の信頼性を高いものとすることができる。
本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法では、ろう材を介さないで、前記第1の端子と前記第2の端子とを直接接合することが好ましい。
これにより、ろう材の厚さおよびそのばらつきによる影響を排除することができ、接合時における第1の端子と第2の端子との距離のばらつきを、端子群(第1の端子群、第2の端子群)の全体にわたってより小さくすることができる。その結果、形成される接合部の接合の信頼性をさらに向上させることができる。
本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法では、前記第1の端子群において、複数の前記第1の端子は、互いに略等間隔に配列されていることが好ましい。
これにより、第1の端子群付近における熱伝導、および、その結果としての温度プロファイルを容易かつ適切に予測することができ、端子群の各部位における温度をより確実に制御することができる。また、第1の端子群と、第2の端子群との位置合わせも容易かつ確実に行うことができる。
本発明の液滴吐出ヘッドは、本発明の方法により製造されたことを特徴とする。
これにより、液滴吐出ヘッドの製造コストを低減しつつ、接合の信頼性、液滴吐出の信頼性の高い液滴吐出ヘッドを提供することができる。
本発明の液滴吐出装置は、本発明の液滴吐出ヘッドを備えたことを特徴とする。
これにより、液滴吐出の信頼性の高い液滴吐出装置を提供することができる。
以下、本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置の好適な実施形態について説明する。
まず、本発明の液滴吐出ヘッドの一例としてのインクジェット式記録ヘッドについて説明する。
図1は、本発明が適用されるインクジェット式記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)を示す分解斜視図であり、図2は、図1のインクジェット式記録ヘッドを示す平面図であり、図3は、図1のインクジェット式記録ヘッドにおける圧力発生室の断面図であり、図3(a)は圧力発生室の長手方向の断面図であり、図3(b)は図3(a)における線A−A′に沿う断面図である。
図1に示すように、インクジェット式記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)1000は、流路形成基板10と、ノズルプレート20と、下電極膜60と、圧電体層70と、上電極膜80と、リザーバ形成基板30と、コンプライアンス基板40とを備えている。
流路形成基板(基板)10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板で構成されている。流路形成基板10としては、通常、150〜300μm程度の厚さのものが用いられ、望ましくは180〜280μm程度、より望ましくは220μm程度の厚さのものが用いられる。これにより、隣接する後述の圧力発生室間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くすることができる。
流路形成基板10の一方の面(主面)は開口面となり、他方の面側には、流路形成基板10と一体的に形成された弾性膜50が設けられている。弾性膜50は、シリコンに対し熱酸化を施すことにより形成されたものであり、二酸化シリコンで構成されている。弾性膜50の厚さは、特に限定されないが、1〜2μm程度であるのが好ましい。
一方、流路形成基板10の開口面側には、複数の隔壁11により区画された圧力発生室12が幅方向に並設され、その長手方向外側には、後述するリザーバ形成基板のリザーバ部に連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100の一部を構成する連通部13が形成され、この連通部13は、各圧力発生室12の長手方向一端部とそれぞれインク供給路14を介して連通されている。圧力発生室12、連通部13、インク供給路14は、シリコン単結晶基板に異方性エッチングを施すことにより、形成されたものである。
ここで、異方性エッチングは、シリコン単結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし、かつ上記(110)面と約35度の角度をなす第2の(111)面とが出現し、(110)面のエッチングレートと比較して(111)面のエッチングレートが約1/180であるという性質を利用して行われるものである。かかる異方性エッチングにより、2つの第1の(111)面と、該第1の(111)面に対して斜めである2つの第2の(111)面とで形成される平行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行うことができ、圧力発生室12を高密度に配列することができる。
本実施形態では、各圧力発生室12の長辺を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板10をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングすることにより形成されている。ここで、弾性膜50は、シリコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵される量がきわめて小さい。また各圧力発生室12の一端に連通する各インク供給路14は、圧力発生室12より浅く形成されており、圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。すなわち、インク供給路14は、シリコン単結晶基板を厚さ方向に途中までエッチング(ハーフエッチング)することにより形成されている。なお、ハーフエッチングは、エッチング時間の調整等により行うことができる。
また、流路形成基板10の開口面側(弾性膜50が設けられている面とは反対の面側)には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部付近で連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.1〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5×10−6/℃であるガラスセラミックス、不錆鋼(ステンレス鋼)等で構成されている。ノズルプレート20は、一方の面で流路形成基板10の一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果たす。また、ノズルプレート20は、流路形成基板10と熱膨張係数が略同一の材料で形成するようにしてもよい。この場合には、流路形成基板10とノズルプレート20との熱による変形が略同一となるため、熱硬化性の接着剤等を用いて容易に接合することができる。
ここで、インク滴吐出圧力をインクに与える圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズル開口21の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出スピード、吐出周波数等に応じて最適化される。例えば、1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノズル開口21は数μmから数十μm(より具体的には、約20μm)の直径で精度よく形成されたものであるのが好ましい。
一方、弾性膜50の流路形成基板10と対向する面とは反対側の面上には、厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80とが成膜およびリソグラフィ法により積層形成されて圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70、および上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極および圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極および圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、下電極膜60を圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称する。なお、上述した例では、弾性膜50および下電極膜60が振動板として作用するが、下電極膜が弾性膜を兼ねるようにしてもよい。
また、流路形成基板10の圧電素子300が設けられている面側には、リザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部31を有するリザーバ形成基板30が接合されている。このリザーバ部31は、本実施形態では、リザーバ形成基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。
このリザーバ形成基板30は、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等で構成されているのが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板で構成されている。これにより、上述のノズルプレート20の場合と同様に、両者を熱硬化性の接着剤を用いた高温での接着であっても両者を確実に接着することができる。したがって、製造工程を簡略化することができる。
なお、リザーバ形成基板30は、図示の構成では、下電極膜60に接合されているが、弾性膜50に接合されたものであってもよいし、流路形成基板10に直接接合されたものであってもよい。
さらに、リザーバ形成基板30には、封止膜41と固定板42とを備えたコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μm程度のポリフェニレンスルフィド(PPS)フィルム)で構成され、この封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μm程度のステンレス鋼(SUS)等)で構成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止され、この封止膜41の開口部43に対応する領域は、内部圧力の変化によって変形可能な可撓部25となっている。
また、このリザーバ100の長手方向略中央部外側のコンプライアンス基板40上には、リザーバ100にインクを供給するためのインク導入口44が形成されている。さらに、リザーバ形成基板30には、インク導入口44とリザーバ100の側壁とを連通するインク導入路36が設けられている。なお、本実施形態では、1つのインク導入口44およびインク導入路36によって、リザーバ100にインクを供給するようにしているが、これに限定されず、例えば、所望のインク供給量に応じて、複数のインク導入口およびインク導入路を設けるようにしてもよいし、あるいはインク導入口の開口面積を大きくしてインク流路を拡大するようにようにしてもよい。
通常、インク導入口44からリザーバ100にインクが供給されると、例えば、圧電素子300の駆動時のインクの流れ、あるいは、周囲の熱などによってリザーバ100内に圧力変化が生じる。しかしながら、上述のように、リザーバ100の一方面が封止膜41のみによって封止されて可撓部25となっているため、この可撓部25が撓み変形してその圧力変化を吸収する。したがって、リザーバ100内は常にほぼ一定の圧力に保持される。なお、その他の部分は固定板42によって十分な強度に保持されている。また、本実施形態では、リザーバ100等を構成する基板の枚数を低減することができるため、材料コストおよび組立コスト等を削減することができる。
一方、リザーバ形成基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を確保した状態で、その空間を密封可能な圧電素子保持部32が設けられ、圧電素子300はこの圧電素子保持部32内に密封されている。
このように、リザーバ形成基板30は、リザーバ100を構成するとともに、圧電素子300を外部環境と遮断するためのキャップ部材を兼ねており、水分等の外部環境による圧電素子300の劣化、故障、破損等を防止することができる。また、ここでは、圧電素子保持部32の内部を密封状態にしただけであるが、例えば、圧電素子保持部32内の空間を真空にしたり、あるいは窒素またはアルゴン雰囲気等とすることにより、圧電素子保持部32内を低湿度に保持することができ、圧電素子300の劣化、故障、破損等をさらに確実に防止することができる。
また、このように圧電素子保持部32によって密封されている圧電素子300からは引き出し配線が延設され、その端部付近で、フレキシブルプリントケーブル(FPC)等の外部配線ケーブル110と接続される。例えば、本実施形態では、圧電素子300の上電極膜80から流路形成基板10の端部付近まで引き出し配線であるリード電極(第1の端子)90が延設されている。リード電極90は、各圧電素子300に対応して設けられるため、流路形成基板10上において複数配設され、これら複数のリード電極90は互いに並列に配されて電極部(第1の端子群)310を形成する。一方、外部配線ケーブル110は、複数の端部を有する外部配線(配線パターン)111と該外部配線111を覆う被覆膜112とを有している。そして、外部配線111は、その複数の端部付近にそれぞれ、各リード電極90と接続される端子(第2の端子)1111を有している。そして、これら複数の端子1111は、電極部310を構成するリード電極90の各々に対応するように、互いに並列に配されて端子群(第2の端子群)113を形成する。そして、前述した電極部310を構成する各リード電極90は、それぞれに対応する各端子1111に電気的に接続されている。すなわち、本実施形態では、リード電極90の端部付近が圧電素子300を駆動するための接続端子(第1の端子)となっており、この接続端子に端子(第2の端子)1111が接続されている。
また、被覆膜112は、通常、ポリイミド(PI)等のレーザ光(回折レーザ光)の透過性に優れた材料で構成されている。これにより、後述するような製造方法において、レーザ光のエネルギを、より効率良く、リード電極90と端子1111との接合に利用することができ、接合の信頼性に優れた接合構造404を、より短時間で確実に形成することができる。
上記のようなリード電極90と端子1111との接続(接合)は、後に詳述するような方法により行うことができる。より具体的には、レーザ光により溶融された接続用金属120を介して接合されている。この接続用金属120としては、圧電素子300を高速駆動した場合等に印加される高電流に耐えられる材料であればよく、その材料は、特に限定されないが、ろう材を主とするものであるのが好ましい。ろう材は、比較的低温で溶融するとともに、導電性に優れ、また、入手も容易である。ろう材としては、例えば、Pb−Sn系半田等のPb含有半田や、Sn−Ag−Cu系半田、Sn−Zn系半田、Sn−Cu系半田、Sn−Bi系半田等のような、実質的にPbを含まない鉛フリー半田(Pb不含半田)、銀ろう、銅ろう、リン銅ろう、黄銅ろう、アルミろう、ニッケルろう等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、中でも、Pb含有半田、鉛フリー半田(Pb不含半田)等の半田が好ましい。鉛フリー半田(Pb不含半田)は、接合強度と環境に対する影響との両立の観点から、特に有利である。また、上記のような接続用金属120を用いた接合、異方性導電接着剤(ACF)を用いた接合に比べ、耐久電流が大きいため高速駆動による大電流にも耐えることができる。また、リード電極90と端子1111との間に、上記のような接続用金属120が配されることにより、後述するような方法において、比較的低いエネルギ量で、リード電極90と端子1111とを接合することができるとともに、形成される接合構造(接合部)404の接合の信頼性を特に高いものとすることができる。
次に、本発明の第1実施形態に係る液滴吐出ヘッドの製造方法および当該方法で用いられる接合装置について説明する。
図4は、本実施形態で用いる接合装置および形成される接合構造の概略構成を示す図である。
図4に示すように、接合装置400は、平行光としてのレーザ光を照射するレーザ光源としてのレーザ発生装置(レーザ発生手段)401と、前記レーザ光(平行光としてのレーザ光)が略垂直に入射するように配された回折装置(回折手段)402と、該回折装置402のレーザ光入射面と反対側の面に対向して配された集光レンズ(レンズ部)403とを備えている。
レーザ発生装置401は、例えば、ガリウム砒素等のレーザダイオード等を備えた半導体レーザ照射装置(半導体レーザ照射手段)であり、照射するレーザ光の波長は800〜900nmである。レーザ発生装置401から出射されるレーザ光が半導体レーザであると、回折装置(回折手段)402へ向けて出射するレーザ光の出射条件の制御を容易かつ確実に行うことができる。また、後述する回折装置(回折手段)402からの出射光(回折レーザ光)の強度分布、照射パターン等を容易かつ確実に制御することができる。また、レーザ発生装置401から出射されるレーザ光の波長が800〜900nmであると、レーザ光のエネルギの利用効率を特に優れたものとすることができるとともに、電極部(第1の端子群)310および端子群(第2の端子群)310の各部位における温度をより確実に制御することができる。なお、レーザ発生装置401が照射するレーザ光としては、上記のようなものに限定されず、例えば、赤外光領域のレーザ、気体レーザ、金属蒸気レーザ等を用いてもよい。
回折装置402は、例えば、回折光学素子(Diffractive Optical Element)を備えており、レーザ発生装置401から入射されたレーザ光を回折させて、所定の強度分布を呈するレーザ光(回折レーザ光)を入射面と反対の面(出射面)側から照射する。回折光学素子とは、周期的に形成された微細な穴、隔壁、突起物等によって構成された格子構造(回折格子)を有する基板状物であり、格子構造に光が照射された際に発生する回折を利用して、入射された光の進行方向を変化させる。具体的には、各格子構造の隙間等から発生した回折光を相互に干渉させ、干渉が強め合う所定の方向に強い回折光を発生させる。この回折光が発生する方向および強度は格子の周期と透過率(反射率)等に依存するため、これらを適切に設計することにより、入射された光から所望方向の波面を呈する光を得ることができ、例えば、入射された光を幾つかの方向に分岐させて照射することも可能である。回折装置402も後述するレーザ光の強度分布を得るため、入射されたレーザ光が所望の複数方向に分岐されるように最適設計がなされている。
回折装置402の光の出射側には、集光レンズ403が配されている。このような集光レンズ403が配されることにより、集光機能を回折光学素子に盛り込むことが不要となり、より簡便な回折素子を用いることができる。
集光レンズ403は、両凸レンズであり、回折装置402が照射する所望の複数方向に分岐されたレーザ光のそれぞれを集光し、その焦点においてレーザ光のビームスポットを形成することにより、所定の強度分布を呈するレーザ光(回折レーザ光)を、接合部を形成すべき領域に照射する。なお、斜方向に入射されるレーザ光を集光する際、非点収差(Astigmatism)等が発生することがないように、集光レンズ403は非球面レンズ(Aspheric Lens)によって形成されていてもよい。
接合装置400を用いて、リード電極90と、対応する端子1111とを接合することにより、接合構造404が形成される。接合装置400を用いた液滴吐出ヘッドの製造方法については、後に詳述する。
接合構造404は、接続用金属120を介して、リード電極90と、対応する端子1111とが接合された構成を有している。これにより、接合構造404における接合の信頼性は、特に優れたものとなる。その結果、このような接合構造404を有するインクジェット式記録ヘッド1000の信頼性(液滴吐出の信頼性)は特に優れたものとなる。
本発明の液滴吐出ヘッド(インクジェット式記録ヘッド1000)の製造方法については後に詳述するが、電極部310と端子群113との接合(複数のリード電極90と、これらに対応する端子1111との接合)は、リード電極90上に接続用金属120および端子1111が、この順に積層されてなる積層構造405とした状態で、この積層構造405に、接合装置400を用いて、所定の強度分布を呈するレーザ光(回折レーザ光)を照射することにより行う。このとき、積層構造405は複数存在している。すなわち、複数のリード電極90と、これらに対応する端子1111とが、それぞれ、対向するように配置されている。また、本実施形態では、複数の積層構造405は互いに平行をなし、隣接する積層構造405の間隔(第1の端子群における隣接する第1の端子間の距離、第2の端子群における隣接する第2の端子間の距離)は略等間隔である。これにより、電極部310、端子群113付近における熱伝導、および、その結果としての温度プロファイルを容易かつ確実に適切なものとする(適切化する)ことができ、接合領域の各部位における温度をより確実に制御することができる。また、電極部310と、端子群113との位置合わせも容易かつ確実に行うことができる。隣接する積層構造405の間隔の具体的な大きさは、特に限定されないが、100μm程度であるのが好ましい。
積層構造405へのレーザ光(回折レーザ光)の照射により、リード電極90と端子1111との間に介在する接続用金属120が溶融して、リード電極90と端子1111とが接合され、接合構造404が得られる。
ここで、積層構造405に照射するレーザ光(回折レーザ光)の所定の強度分布は、複数の積層構造405の配列方向に沿って延在する。そして、回折レーザ光の所定の強度分布の延在方向(幅方向)に関する長さは、複数の積層構造405の配列方向に関する長さ以上(電極部(第1の端子群)310における複数のリード電極(第1の端子)90の配列方向に関する長さ以上)である。これにより、接合すべき複数の積層構造405を効率良く接合することができ、接合構造404の生産性を向上させることができ、接合のコスト(インクジェット式記録ヘッド1000の製造コスト)を低減することができる。
図5は、本実施形態に係る接合装置が並設された複数の積層構造に照射するレーザ光(回折レーザ光)の強度分布を示す図である。
前述したように、接合すべき部位に照射される回折レーザ光は、所定の強度分布を呈する(照射強度が各部位で均一でない)ものである。特に、本実施形態では、電極部310、端子群113の端部付近に配された積層構造405に照射されるレーザ光の強度が、電極部310、端子群113の中央部付近に配された積層構造405に照射されるレーザ光の強度よりも大きい強度分布を有している。このような強度分布を有する回折レーザ光を用いることにより、各積層構造405が受け取る熱エネルギのばらつき、各積層構造405の温度のばらつきをより小さくすることができ、結果として、形成される各接合構造404の接合の信頼性をさらに高めることができる。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。すなわち、一般に、レーザ光の照射により発熱させる場合、発生した熱は、伝熱により周囲に拡散する。特に、所定の幅(長さ)の領域にレーザ光を照射する場合、その領域の端部付近では、領域の中心方向および領域外の方向に向かって熱が拡散する。このため、均一な強度のレーザ光を所定の幅(長さ)の領域に照射した場合、該領域の中心部付近は、その端部付近に比べて、受け取る熱量が大きくなる。その結果、前記領域の各部位で、温度のばらつきが発生する。したがって、電極部310、端子群113に、均一な強度のレーザ光を照射した場合、各積層構造405が受け取る熱量にばらつきを生じ、形成される各接合構造404において、十分な接合の信頼性を得るのが困難になる。これに対し、所定の強度分布を呈する(照射強度が各部位で均一でない)回折レーザ光を照射した場合には、各積層構造405が受け取る熱量を均一にし、接合の信頼性に優れた接合構造404を形成することができる。
また、本実施形態においては、接合装置400が積層構造405に照射するレーザ光(回折レーザ光)の強度分布は、その延在方向に関して連続する分布である。これにより、回折レーザ光と、接合すべき接合構造404との位置合わせの精度が比較的低い場合であっても、接合の信頼性を十分に高いものとすることができる。
なお、上記のような強度分布は、上述した回折装置402、集光レンズ403の種類、構成等を適宜選択することにより実現することができる。また、接合装置400が照射するレーザ光(回折レーザ光)の強度分布における強度の値は、積層構造405を構成する各構成要素の材質や寸法等に応じて適宜選択される。
次に、本実施形態に係る液滴吐出装置の製造方法について、より詳細に説明する。
図6は、本実施形態に係る液滴吐出装置の製造方法を示す工程断面図である。
まず、流路形成基板10上に設けられたリード電極90と端子1111とを接続用金属120を介して密着させる(図6(a))。このとき、複数のリード電極90と、これらに対応する端子1111とが、それぞれ、対向するように配置する。
また、本実施形態では、リード電極90と端子1111とを確実に密着させるために、例えば、端子1111の上部にレーザ光を透過可能な材料で形成した押圧板130を配置し、この押圧板130を所定の圧力で押圧することにより密着させる。この所定の圧力は、例えば、バネ等で一定の静的荷重を付与することにより発生させてもよく、また、アクチュエータ等で変動荷重を付与することにより発生させてもよい。また、押圧板130としては、例えば、石英ガラス板やアクリル板等で構成されたものを用いることができる。また、押圧板130は、例えば、被膜形成、撥液処理等の各種表面処理が施されたものであってもよい。これにより、接合構造404の形成時等において、被覆膜112や接続用金属120が押圧板130に付着することを効果的に防止することができる。その結果、押圧板130を除去する際等に、形成された接合構造404等にダメージを与えるのを効果的に防止することができる。
また、接続用金属120は、リード電極90と端子1111との間に挟むように配してもよいが、例えば、予め各種メッキ法等により、外部配線111の表面に被覆したものであってもよい。これにより、接続用金属120の位置合わせを省略または簡略化することができる。
次に、上述した接合装置400により、外部配線ケーブル110の被覆膜112がされている側から(押圧板130を介して)、図5に示すような強度分布を呈するレーザ光(回折レーザ光)を照射して、端子1111とリード電極90との間に介在する接続用金属120を加熱溶融させることにより、リード電極90と端子1111とを接合する(図6(b))。
ここで、接合装置400が照射するレーザ光は、適度な強度のものであるのが好ましい。接合装置400が照射するレーザ光の強度が大きすぎると、流路形成基板10において熱による変形や割れ等が発生する可能性がある。そこで、照射されるレーザ光は、接続用金属120の融点をT[℃]としたとき、レーザ光(回折レーザ光)を照射する際における、積層構造405が(T+50)℃以下となるようなの強度のものであるのが好ましい。例えば、接続用金属120として融点が300℃程度の半田を用いる場合には、積層構造405の温度が300〜350℃程度となるような条件で、レーザ光を照射するのが好ましい。これにより、流路形成基板10の変形や割れを防止できるとともに、流路形成基板10における極端な熱エネルギの移動を阻止することができ、リード電極90と、対応する端子1111との接合の信頼性を特に優れたものとすることができる。
また、リード電極90と端子1111との間に、接続用金属120が配された状態でレーザ光を照射することにより、比較的低いエネルギ量で、リード電極90と端子1111とを接合することができるとともに、形成される接合構造(接合部)404の接合の信頼性を特に高いものとすることができる。
また、レーザ光の強度の調整方法は、特に限定されないが、電極部310、端子群113の温度を計測するパイロメータ(放射温度計)等の温度計測手段を設け、この温度計測手段の計測結果に応じてレーザ光の出力を制御するのが好ましい。これにより、流路形成基板10の温度変化にかかわらず、各リード電極90と対応する端子1111との適度な温度制御を容易に行うことができる。また、接合時における、各積層構造404間(各接合構造405間)での温度のばらつきをより小さくすることができ、結果として、各接合構造405の接合の信頼性をさらに高めることができる。特に、半導体レーザの場合、このようなレーザ光の出力制御を、例えば、1msec単位で行うことができるため、より適切な温度制御を容易に行うことができる。これにより、流路形成基板10の温度変化が生じても、各リード電極90と対応する端子1111とをほぼ一定の温度で接合することができ、リード電極90と対応する端子1111との接合状態のばらつきを効果的に抑制し、各接合構造405の接合の信頼性をさらに高めることができる。
また、各積層構造405は互いに等間隔に配列されているため、各電極部310、端子群113付近における熱伝導、および、その結果としての温度プロファイルを容易かつ確実に適切することができ、電極部310と端子群113との接合における温度制御をより適切に行うことができる。
以上説明したように、本実施形態の製造方法によれば、所定の強度分布を呈するレーザ光(回折レーザ光)により、端子1111とリード電極90との間に介在する接続用金属120を加熱溶融させ、リード電極90と端子1111とを接合するため、複数の積層構造405間における熱エネルギの移動(すなわち、第1の端子群、第2の端子群における熱エネルギの移動)を考慮に入れた分布を有するレーザ光を照射することができる。これにより、各積層構造405が受け取る熱エネルギのばらつき、各積層構造405間での温度のばらつきをより小さくすることができ、結果として、リード電極90と対応する端子1111との接合の信頼性を特に優れたものとすることができる。その結果、このような接合構造404を有するインクジェット式記録ヘッド1000の信頼性(液滴吐出の信頼性)は特に優れたものとなる。
なお、本実施形態では、流路形成基板10上でリード電極90と端子1111とを接合するものとして説明したが、これに限定されず、例えば、リード電極90からワイヤボンディング等によってリザーバ形成基板30上まで配線を設け、リザーバ形成基板30上の配線の一部を、圧電素子300を駆動する配線の接続端子(第1の端子)として、当該配線と端子1111とを電気的に接続するようにしてもよい。
また、上記の説明では、リード電極(第1の端子)90と、端子(第2の端子)1111とが接続用金属(ろう材)120を介して接合されるものとして説明したが、接続用金属120(リード電極90または端子1111の表面付近にメッキ法等により層状に形成されたものを含む)を介さずに、リード電極(第1の端子)90と、端子(第2の端子)1111とを直接接合してもよい。これにより、接続用金属120の厚さおよびそのばらつきによる影響を排除することができ、接合時におけるリード電極(第1の端子)90と、端子(第2の端子)1111との距離のばらつきを、端子群113(電極部310)の全体にわたってより小さくすることができる。その結果、形成される接合構造の接合の信頼性をさらに向上させることができる。特に、本発明では、照射したレーザ光のエネルギを効率良く利用することができるため、接合部となるべき部位以外の温度上昇を十分に抑制しつつ、選択的に、目的とする部位(接合部となるべき部位)の温度を上昇させることができる。したがって、接合すべきリード電極(第1の端子)90と、端子(第2の端子)1111との間に、接続用金属(ろう材)120が配されておらず、リード電極(第1の端子)90および端子(第2の端子)1111が比較的高融点の材料(例えば、Cu)で構成されたものであっても、形成される接合構造の接合の信頼性を特に優れたものとすることができる。これに対し、従来の方法では、接合用金属を介さない場合、熱による悪影響の発生を十分に防止しつつ、接合の信頼性に優れた接合構造を形成するのは極めて困難である。
次に、本発明の第2実施形態に係る液滴吐出ヘッドの製造方法および当該方法で用いられる接合装置について説明する。以下では、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図7は、本実施形態に係る接合装置が並設された複数の積層構造に照射するレーザ光(回折レーザ光)の強度分布を示す図である。
図7において、接合装置400が積層構造405に照射するレーザ光の強度分布は、その延在方向に関して非連続的に強度が変化する分布である。より詳しく説明すると、接合装置400が積層構造405に照射するレーザ光の強度分布は、その延在方向に関して、照射強度が実質的に零となる領域と、そうでない領域とが、交互に存在するもの(櫛歯状)である。これにより、レーザ光のエネルギを、接合すべき部位(積層構造404)により効率良く与えることができ、形成される各接合構造404の接合の信頼性をさらに高めることができる。また、接合構造404の生産性をさらに高めることができるとともに、接合のコストのさらなる低減を図ることができる。
また、本実施形態においても、前記第1実施形態と同様に、電極部310、端子群113の端部付近に配された積層構造405に照射されるレーザ光の強度が、電極部310、端子群113の中央部付近に配された積層構造405に照射されるレーザ光の強度よりも大きい強度分布を有している。これにより、前述したような効果が顕著に現れる。なお、このような強度分布も、回折装置402、集光レンズ403の種類、構成等を適宜選択することにより実現することができる。
また、前述した各実施形態のインクジェット式記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)は、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置(液滴吐出装置)に搭載される。以下、本発明の液滴吐出装置としてのインクジェット式記録装置の一例について説明する。
図8は、そのインクジェット式記録装置(液滴吐出装置)の一例を示す概略図である。
インクジェット式記録装置(液滴吐出装置)2000は、上述したインクジェット式記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)1000を有する記録ヘッドユニット1A、1Bを備えている。
そして、インクジェット式記録ヘッド1000を有する記録ヘッドユニット1A、1Bは、図8に示すように、インク供給手段を構成するカートリッジ2A、2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A、1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A、1Bは、例えば、それぞれ、ブラックインク組成物、カラーインク組成物を吐出するものとしている。
そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A、1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8上を搬送されるようになっている。
以上、本発明について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明が適用されるインクジェット式記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)の構造は上述したものに限られず、図9に示すように、リザーバ形成基板30上に圧電素子300を駆動するための、例えば、回路基板あるいは半導体集積回路(IC)等の駆動回路150が搭載され、この駆動回路150と各圧電素子300から引き出されたリード電極90とが、例えば、ワイヤボンディング等によって延設された配線151を介して接続されている構造であってもよい。図9に示す構成では、リザーバ形成基板30上には、この駆動回路150に信号を供給するための接続配線152が駆動回路150の付近からリザーバ形成基板30の端部付近まで延設され、接続配線152はワイヤボンディング等によって延設された配線153を介して駆動回路150に接続されている。
そして、この構造では、接続配線152の端部に、上述したインクジェット式記録ヘッド1000と同様に、接続用金属120を介して外部配線ケーブル110が接続されている。すなわち、ここでは、駆動回路150の端子に接続された接続配線152の端部が圧電素子300を駆動するための配線の接続端子(第1の端子)となる。このような、接続配線152の端部と外部配線ケーブル110との接続も、本発明を適用することにより、互いに確実に接続することができる。
このように、リザーバ形成基板30上に駆動回路150を搭載すると共に、リザーバ形成基板30上で接続配線152と外部配線ケーブル110とを接合するようにしても、もちろん、リザーバ形成基板30或いは流路形成基板10に変形、割れ等が生じるのを防止しつつ、外部配線ケーブル110を接続配線152に良好に接続することができる。
なお、駆動回路150の設置場所および外部配線ケーブル110との接合場所等は特に限定されず、例えば、駆動回路150を流路形成基板10上に設けると共に流路形成基板10上に駆動回路150の端子に接続された接続配線を設け、流路形成基板10上で接続配線と外部配線ケーブル110とを接続するようにしてもよい。
さらには、リード線90を用いず、例えば、圧電素子300の圧電体層70および上電極膜80を圧電素子保持部32の外側まで延設し、この延設した上電極膜80に外部配線ケーブル110を直接接続するようにしてもよい。
また、前述した実施形態では、リード電極(第1の端子)90と、端子(第2の端子)1111とが接続用金属120を介して接合されるものとして説明したが、接続用金属を介さず、リード電極(第1の端子)90と端子(第2の端子)1111とが直接接合するものであってもよい。また、接続用金属にかえて、異方性導電接着剤(ACF)等を用いてもよい。
また、前述した実施形態では、集光レンズ(レンズ部)403として両凸レンズを用いるものとして説明したが、集光レンズ(レンズ部)403の種類は特に限定されない。例えば、集光レンズ(レンズ部)403としては、平凸レンズ等を用いてもよい。また、レンズは、上述したような集光の機能を有するものに限らず、いかなる機能を有するものであってもよい。また、複数のレンズからなるレンズ群を適用してもよい。また、上記のようなレンズ部はなくてもよい。
また、本発明は、上述したような成膜およびリソグラフィ法により製造される薄膜型のインクジェット式記録ヘッドだけでなく、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型のインクジェット式記録ヘッドにも適用することができる。
また、前述した実施形態では、液滴吐出ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げ、また、液滴吐出装置の一例としてインクジェット式記録装置を挙げて説明したが、本発明の液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置は、液滴を吐出する機能を有するものであれば、いかなるものであってもよい。
また、前述した実施形態では、第1の端子群を備える部材は、第2の端子群を備える部材と異なる部材であるものとして説明したが、第1の端子群と第2の端子群とは、同一の部材に設けられたものであってもよい。
本発明が適用されるインクジェット式記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)を示す分解斜視図である。 図2は、図1のインクジェット式記録ヘッドを示す平面図である。 図3は、図1のインクジェット式記録ヘッドにおける圧力発生室の断面図であり、図3(a)は圧力発生室の長手方向の断面図であり、図3(b)は図3(a)における線A−A′に沿う断面図である。 本発明で用いる接合装置および形成される接合構造の概略構成を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る接合装置が並設された複数の積層構造に照射するレーザ光(回折レーザ光)の強度分布を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る液滴吐出装置の製造方法を示す工程断面図である。 本発明の第2実施形態に係る接合装置が並設された複数の積層構造に照射するレーザ光(回折レーザ光)の強度分布を示す図である。 本発明が適用されたインクジェット式記録装置(液滴吐出装置)の一例を示す概略図である。 本発明が適用された他のインクジェット式記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)を示す図であり、図9(a)は平面図であり、図9(b)は断面図である。
符号の説明
1A、1B…ヘッドユニット 2A、2B…カートリッジ 3…キャリッジ 4…装置本体 5…キャリッジ軸 6…駆動モータ 7…タイミングベルト 8…プラテン 10…流路形成基板 11…隔壁 12…圧力発生室 13…連通部 14…インク供給路 20…ノズルプレート 21…ノズル開口 25…可撓部 30…リザーバ形成基板 31…リザーバ部 32…圧電素子保持部 36…インク導入路 40…コンプライアンス基板 41…封止膜 42…固定板 44…インク導入口 50…弾性膜 60…下電極膜 70…圧電体層 80…上電極膜 90…リード電極(第1の端子) 100…リザーバ 110…外部配線ケーブル 111…外部配線 1111…端子(第2の端子) 112…被覆膜 113…端子群(第2の端子群) 120…接続用金属 130…押圧板 141…レーザ光 150…駆動回路 151…配線 152…接続配線 153…配線 300…圧電素子 310…電極部(第1の端子群) 400…接合装置 401…レーザ発生装置(レーザ発生手段) 402…回折装置(回折手段) 403…集光レンズ(レンズ部) 404…接合構造 405…積層構造 1000…インクジェット式記録ヘッド(液滴吐出ヘッド) 2000…インクジェット式記録装置(液滴吐出装置) S…記録シート

Claims (14)

  1. 互いに並列に配された複数の第1の端子を備えた第1の端子群と、前記第1の端子の各々に対応して配された複数の第2の端子を備えた第2の端子群とを有し、複数の前記第1の端子とそれらに対応する複数の第2の端子とがそれぞれ電気的に接続された液滴吐出ヘッドの製造方法であって、
    複数の前記第1の端子とそれらに対応する複数の第2の端子とが対向するように、前記第1の端子群および前記第2の端子群を配置する工程と、
    入射したレーザ光を回折させて、所定の強度分布を呈する回折レーザ光を出射する機能を有する回折手段から出射した前記回折レーザ光により、複数の前記第1の端子とそれらに対応する複数の第2の端子とがそれぞれ電気的に接続するように、前記第1の端子群と前記第2の端子群とを接合する工程とを有することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  2. 前記回折レーザ光の幅方向の長さは、前記第1の端子群における前記複数の第1の端子の配列方向に関する長さ以上である請求項1に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  3. 前記第1の端子群の端部付近に配された前記第1の端子に対応する部位に照射されるレーザ光の強度は、前記第1の端子群の中央部付近に配された前記第1の端子に対応する部位に照射されるレーザ光の強度よりも大きい請求項1または2に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  4. 前記回折レーザ光は、その幅方向に関して連続的に強度が変化する分布を有するものである請求項1ないし3のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  5. 前記回折レーザ光は、その幅方向に関して非連続的に強度が変化する分布を有するものである請求項1ないし3のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  6. 前記回折手段に入射する前記レーザ光は半導体レーザによるものである請求項1ないし5のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  7. 前記第1の端子群および/または前記第2の端子群の温度を計測するとともに、前記計測された温度に応じて前記レーザ光の強度を制御する請求項1ないし6のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  8. 前記レーザ光の波長が800〜900nmである請求項1ないし7のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  9. 前記第1の端子と前記第2の端子との間に、ろう材が配された状態で、前記回折レーザ光を照射する請求項1ないし8のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  10. 前記ろう材の融点をT[℃]としたとき、前記回折レーザ光を照射する際における、前記第1の端子群および前記第2の端子群の温度は、(T+50)℃以下である請求項1ないし9のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  11. ろう材を介さないで、前記第1の端子と前記第2の端子とを直接接合する請求項1ないし8のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  12. 前記第1の端子群において、複数の前記第1の端子は、互いに略等間隔に配列されている請求項1ないし11のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  13. 請求項1ないし12のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  14. 請求項13に記載の液滴吐出ヘッドを備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
JP2005003225A 2005-01-07 2005-01-07 液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置 Pending JP2006188027A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008218963A (ja) * 2007-02-05 2008-09-18 Ricoh Co Ltd 配線部材の接合方法および配線部材の接合装置
CN105682930A (zh) * 2013-10-30 2016-06-15 惠普发展公司,有限责任合伙企业 液滴图像传感
JP2020011498A (ja) * 2018-07-20 2020-01-23 セイコーエプソン株式会社 液体噴射装置および液体噴射ヘッド

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