JP2012248661A - フィルムコンデンサおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フィルムコンデンサとして、充填樹脂の封止しやすい構造にすることにより、信頼性、特に耐湿性を維持できる構造を目的にしている。
【解決手段】誘電体にフィルムを使用したコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を収納する上端面に開口部のある有底筒状の金属ケースと、この金属ケースの開口部を封口する樹脂キャップと、前記金属ケース内を充填する充填樹脂とを備えたフィルムコンデンサにあって、前記金属ケースの側面方向に沿って、前記樹脂キャップの周辺部から一体的に張り出した筒状の張り出し部を設け、この張り出し部には前記金属ケースの開口部にはめ込まれるはめ込み部分を有し、このはめ込み部分かまたは、このはめ込み部分と接する前記金属ケースの開口部付近のどちらかの対向面には、前記はめ込み部分と前記金属ケースの開口部付近とのすき間を押し広げる突出部を有することを特徴とするフィルムコンデンサを提供する。
【選択図】図1
【解決手段】誘電体にフィルムを使用したコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を収納する上端面に開口部のある有底筒状の金属ケースと、この金属ケースの開口部を封口する樹脂キャップと、前記金属ケース内を充填する充填樹脂とを備えたフィルムコンデンサにあって、前記金属ケースの側面方向に沿って、前記樹脂キャップの周辺部から一体的に張り出した筒状の張り出し部を設け、この張り出し部には前記金属ケースの開口部にはめ込まれるはめ込み部分を有し、このはめ込み部分かまたは、このはめ込み部分と接する前記金属ケースの開口部付近のどちらかの対向面には、前記はめ込み部分と前記金属ケースの開口部付近とのすき間を押し広げる突出部を有することを特徴とするフィルムコンデンサを提供する。
【選択図】図1
Description
本発明は、フィルムコンデンサおよびその製造方法に関するものである。
フィルムコンデンサは、従来、図4に示すように、ポリプロピレン(PP)やポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリスチレン(PS)等のフィルムに、アルミニウム(Al)や亜鉛(Zn)を蒸着して電極を形成し、これを積層または捲回してコンデンサ素子1を構成するか、Al箔電極をフィルムとともに積層または捲回してコンデンサ素子1を構成していた。蒸着金属の場合、こうしてできたコンデンサ素子1にメタリコンの端面電極8を施し、この端面電極8に引き出しタブ10を溶接又はハンダ付し、ケース12に収納し、引き出しタブ10はケース12外に引き出し、ケース12内には充填樹脂4を注入し、コンデンサ素子1や引き出しタブ10部分に充填樹脂4を充填硬化していた。
ところで、上記の引き出しタブは、充填樹脂だけで固定されているので、固定が不安定になりやすい。そのため、特許文献1には、金属ケースの開放端部に設けた封口用の樹脂キャップの外部端子に、この引き出しタブを接続固定し、金属ケース内を樹脂充填する方法が開示されている。
ところで、上記の引き出しタブは、充填樹脂だけで固定されているので、固定が不安定になりやすい。そのため、特許文献1には、金属ケースの開放端部に設けた封口用の樹脂キャップの外部端子に、この引き出しタブを接続固定し、金属ケース内を樹脂充填する方法が開示されている。
特許文献1では、封口用の樹脂キャップを金属ケースの開放端部に設け、金属ケース内を樹脂充填する方法では、金属ケースの金属と充填する樹脂との密着力が弱く、そのため、金属ケースの開放端部に設けた封口用の樹脂キャップと金属ケースとの封口部分から、水分がコンデンサ内部に侵入しやすい。
そのため、本発明では、封口用の樹脂キャップと金属ケースとの封口部分のすき間からの水分のコンデンサ内部への侵入を抑制し、耐湿性を向上させたフィルムコンデンサを提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するために、下記のフィルムコンデンサおよびその製造方法を提供するものである。
(1)誘電体にフィルムを使用したコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を収納する上端面に開口部のある有底筒状の金属ケースと、この金属ケースの開口部を封口する樹脂キャップと、前記金属ケース内を充填する充填樹脂とを備えたフィルムコンデンサにあって、前記金属ケースの側面方向に沿って、前記樹脂キャップの周辺部から一体的に張り出した筒状の張り出し部を設け、この張り出し部には前記金属ケースの開口部にはめ込まれるはめ込み部分を有し、このはめ込み部分かまたは、このはめ込み部分と接する前記金属ケースの開口部付近のどちらかの対向面には、前記はめ込み部分と前記金属ケースの開口部付近とのすき間を押し広げる突出部を有することを特徴とするフィルムコンデンサ。
(2)前記突出部は、ケース底面と平行になる方向で金属ケース側面に環状に形成した上記(1)に記載のフィルムコンデンサ。
(3)誘電体にフィルムを使用したコンデンサ素子を上端面に開口部のある有底筒状の金属ケースに収納し、この金属ケースの側面方向に沿って前記樹脂キャップの周辺部から一体的に張り出して設けた筒状の張り出し部とこの張り出し部に前記金属ケースの開口部にはめ込まれるはめ込み部分とを有する樹脂キャップで前記金属ケースの開口部を封口後、前記金属ケース内を充填樹脂で充填するフィルムコンデンサの製造方法にあって、前記金属ケースの開口部を封口後、前記はめ込み部分に接する前記金属ケース側面から回転ごまにより、前記はめ込み部分と前記金属ケースの開口部付近とのすき間を押し広げる突出部を設け、次に樹脂充填することを特徴とするフィルムコンデンサの製造方法。
(1)誘電体にフィルムを使用したコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を収納する上端面に開口部のある有底筒状の金属ケースと、この金属ケースの開口部を封口する樹脂キャップと、前記金属ケース内を充填する充填樹脂とを備えたフィルムコンデンサにあって、前記金属ケースの側面方向に沿って、前記樹脂キャップの周辺部から一体的に張り出した筒状の張り出し部を設け、この張り出し部には前記金属ケースの開口部にはめ込まれるはめ込み部分を有し、このはめ込み部分かまたは、このはめ込み部分と接する前記金属ケースの開口部付近のどちらかの対向面には、前記はめ込み部分と前記金属ケースの開口部付近とのすき間を押し広げる突出部を有することを特徴とするフィルムコンデンサ。
(2)前記突出部は、ケース底面と平行になる方向で金属ケース側面に環状に形成した上記(1)に記載のフィルムコンデンサ。
(3)誘電体にフィルムを使用したコンデンサ素子を上端面に開口部のある有底筒状の金属ケースに収納し、この金属ケースの側面方向に沿って前記樹脂キャップの周辺部から一体的に張り出して設けた筒状の張り出し部とこの張り出し部に前記金属ケースの開口部にはめ込まれるはめ込み部分とを有する樹脂キャップで前記金属ケースの開口部を封口後、前記金属ケース内を充填樹脂で充填するフィルムコンデンサの製造方法にあって、前記金属ケースの開口部を封口後、前記はめ込み部分に接する前記金属ケース側面から回転ごまにより、前記はめ込み部分と前記金属ケースの開口部付近とのすき間を押し広げる突出部を設け、次に樹脂充填することを特徴とするフィルムコンデンサの製造方法。
本願発明の構成により、封口用の樹脂キャップと金属ケースとの封口部分からの水分のコンデンサ内部への侵入を抑制し、耐湿性を向上させたフィルムコンデンサを提供することができる。
本発明に述べる金属ケースは、上端面に開口部のある有底筒状の金属容器で、アルミニウム、マグネシウム、鉄、ステンレス、銅またはそれらの合金などが使用できる。
特に、アルミニウムは軽量、加工性、コスト的にも優れているため好ましく使用できる。アルミニウム材質は、純アルミ系(A1000系)と、アルミ合金系としてAl−Zn、Al−Mgも使用(A3000系、A5000系)できる。
金属ケースの作成方法は、インパクト成形法等が利用でき、ケース厚みは0.3〜2mmで使用する。好ましくは、ケース厚み0.5〜1.5mmとなる。
特に、アルミニウムは軽量、加工性、コスト的にも優れているため好ましく使用できる。アルミニウム材質は、純アルミ系(A1000系)と、アルミ合金系としてAl−Zn、Al−Mgも使用(A3000系、A5000系)できる。
金属ケースの作成方法は、インパクト成形法等が利用でき、ケース厚みは0.3〜2mmで使用する。好ましくは、ケース厚み0.5〜1.5mmとなる。
本発明における樹脂キャップは、金属ケースの開口部を封口するもので、その周辺部から金属ケースの側面方向に、一体的に張り出した筒状の張り出し部を設け、この張り出し部には前記金属ケースの開口部にはめ込まれるはめ込み部分を設ける。
樹脂キャップの材質は、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、POM(ポリオキシメチレン)、PPO(ポリフェニレンオキサイド)等の成形品、またはポリ塩化ビニル、ポリカーボネートなどの真空成形品が使用できる。ガラス繊維で強化されてもよい。好ましくは、充填樹脂の硬化温度でも塑性変形しないPPS、PBT、PPEなどの耐熱性の結晶性の樹脂が好ましい。
樹脂キャップの材質は、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、POM(ポリオキシメチレン)、PPO(ポリフェニレンオキサイド)等の成形品、またはポリ塩化ビニル、ポリカーボネートなどの真空成形品が使用できる。ガラス繊維で強化されてもよい。好ましくは、充填樹脂の硬化温度でも塑性変形しないPPS、PBT、PPEなどの耐熱性の結晶性の樹脂が好ましい。
本発明における充填樹脂は、コンデンサ用の絶縁性の充填材で、一般的にフィルムコンデンサの充填用に使用しているものが使用でき、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂にフィラー等を混ぜたものである。フィラーとしては、珪素、チタン、アルミニウム、カルシウム、ジルコニウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭化物、窒化物、これらの複合物などが使用できる。必要があれば、難燃剤、酸化防止剤を添加してもよい。
この充填樹脂は、樹脂キャップに設けた貫通孔等から金属ケース内に液体状で注入され、充填後加熱や硬化剤による重合化等により固化される。金属ケース内からはみ出した充填樹脂は、封口体の外表面に設けた、ダム形状の周回体やせき止め溝によりせき止める。封口体と一体化したものが好ましいが別部品でもよい。たとえば、粘着テープをダム形状に周回しておくとか、熱収縮チューブを金属ケース側面外周に設ける場合、外部端子側にはみ出させたりして、はみ出した充填樹脂をせき止めてもよい。
充填樹脂は、単層の材料でもよいし、同じ材料でも物性値を変えた複数層ものでもよいし、樹脂またはフィラー等の種類や量を別々に選択することができる。別々に選択することにより、充填樹脂周辺部分の樹脂の堅さ、熱膨張係数、構成材料との密着性等を最適なものとすることができる。
たとえば、コンデンサ素子側には比較的柔軟性のあるウレタン系の樹脂、封口体側には比較的強度があり外部端子と密着性のあるエポキシ系の樹脂などが選択できる。また、フィラーの量をコンデンサ素子側には少なく、封口体側には多くするなども選択できる。
この充填樹脂は、樹脂キャップに設けた貫通孔等から金属ケース内に液体状で注入され、充填後加熱や硬化剤による重合化等により固化される。金属ケース内からはみ出した充填樹脂は、封口体の外表面に設けた、ダム形状の周回体やせき止め溝によりせき止める。封口体と一体化したものが好ましいが別部品でもよい。たとえば、粘着テープをダム形状に周回しておくとか、熱収縮チューブを金属ケース側面外周に設ける場合、外部端子側にはみ出させたりして、はみ出した充填樹脂をせき止めてもよい。
充填樹脂は、単層の材料でもよいし、同じ材料でも物性値を変えた複数層ものでもよいし、樹脂またはフィラー等の種類や量を別々に選択することができる。別々に選択することにより、充填樹脂周辺部分の樹脂の堅さ、熱膨張係数、構成材料との密着性等を最適なものとすることができる。
たとえば、コンデンサ素子側には比較的柔軟性のあるウレタン系の樹脂、封口体側には比較的強度があり外部端子と密着性のあるエポキシ系の樹脂などが選択できる。また、フィラーの量をコンデンサ素子側には少なく、封口体側には多くするなども選択できる。
本発明における突出部は、樹脂キャップの筒状の張り出し部が金属ケースにはめ込まれた部分と、このはめ込み部分と接する金属ケースの開口部付近のどちらかの対向面に設けるもので、このはめ込み箇所のすき間を押し広げる程度の大きさが必要となる。押し広げられるのは、はめ込み部分の金属ケース、樹脂キャップまたはその両方となる。押し広げる大きさは、金属ケースまたは樹脂キャップの弾性限度内であることが好ましく、両方とも塑性変形するのは好ましくない。押し広げる大きさの程度は、コンデンサの外形に合わせて大きくなるが、0.5mmから2mm程度、好ましくは0.7mmから1.5mm程度で、小さいと耐湿性の効果が得にくく、大きいと樹脂キャップまたは金属ケースの弾性限界を超えてしまいやすい。
突出部の形状は、肉厚にするかまたは、背面から回転ごま等により凸状にそれ自体が変形ささせたものでもよい。
また、前記突出部は、ケース底面と平行になる方向で金属ケース側面に環状に形成するほうが押し広げる具合が平均化され好ましいが、間欠的に環状に形成してもよい。
また、突出部における金属ケースと樹脂キャップとの接触は面接触のほうが耐湿性の点で好ましく、接触幅は0.5mmから3mm程度、好ましくは0.7mmから2.5mm程度とする。小さいと耐湿性の効果が得にくく、大きいと加工が難しくなる場合がある。
突出部の形状としては、半だ円形状より台形に近い形状のほうが接触幅がとりやすく好ましい。
突出部の形状は、肉厚にするかまたは、背面から回転ごま等により凸状にそれ自体が変形ささせたものでもよい。
また、前記突出部は、ケース底面と平行になる方向で金属ケース側面に環状に形成するほうが押し広げる具合が平均化され好ましいが、間欠的に環状に形成してもよい。
また、突出部における金属ケースと樹脂キャップとの接触は面接触のほうが耐湿性の点で好ましく、接触幅は0.5mmから3mm程度、好ましくは0.7mmから2.5mm程度とする。小さいと耐湿性の効果が得にくく、大きいと加工が難しくなる場合がある。
突出部の形状としては、半だ円形状より台形に近い形状のほうが接触幅がとりやすく好ましい。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態を示すフィルムコンデンサの断面図を示している。
図1では、誘電体にフィルムを使用したコンデンサ素子1と、このコンデンサ素子1を収納する上端面に開口部のある有底筒状の金属ケース2と、この金属ケース2の開口部を封口する樹脂キャップ3と、金属ケース2内を充填する充填樹脂4とを備えたフィルムコンデンサにあって、金属ケース2の内側面方向に、樹脂キャップ3の周辺部から一体的に張り出した筒状の張り出し部5を設け、この張り出し部5には金属ケース2の開口部にはめ込まれるはめ込み部分6を有し、このはめ込み部分6と接する金属ケース2の開口部付近の対向面に、はめ込み部分6と金属ケース2の開口部付近とのすき間を押し広げる突出部7を設けていることを示している。
図1は、本発明の一実施の形態を示すフィルムコンデンサの断面図を示している。
図1では、誘電体にフィルムを使用したコンデンサ素子1と、このコンデンサ素子1を収納する上端面に開口部のある有底筒状の金属ケース2と、この金属ケース2の開口部を封口する樹脂キャップ3と、金属ケース2内を充填する充填樹脂4とを備えたフィルムコンデンサにあって、金属ケース2の内側面方向に、樹脂キャップ3の周辺部から一体的に張り出した筒状の張り出し部5を設け、この張り出し部5には金属ケース2の開口部にはめ込まれるはめ込み部分6を有し、このはめ込み部分6と接する金属ケース2の開口部付近の対向面に、はめ込み部分6と金属ケース2の開口部付近とのすき間を押し広げる突出部7を設けていることを示している。
特に図1の場合、樹脂キャップ3を封口後、はめ込み部分6に接する前記金属ケース2の側面から回転ごま等により、はめ込み部分6と金属ケース2の開口部付近とのすき間を押し広げる突出部7を設けていることを示している。突出部7は、樹脂キャップ3を封口する前、または後、充填樹脂4を充填する前に設ける。
また、コンデンサ素子1の両端面には、亜鉛金属などの金属の溶射などの方法により端面電極8を形成し、これと樹脂キャップ3に設けた外部との接続用の外部端子9とは、引き出しタブ10により接続する。
外部端子9本体の材質としては、たとえば、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、ステンレス、燐青銅等の金属または合金からなるもの、表面に錫、半田等をメッキする場合もある。形状は、直径が1mmから30mm程度の円錐形で、その大きさは流れる電気量により決定する。外部とは、ボルト等により接続できるような、ネジ等の加工部を設け接続される。
外部端子9本体の材質としては、たとえば、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、ステンレス、燐青銅等の金属または合金からなるもの、表面に錫、半田等をメッキする場合もある。形状は、直径が1mmから30mm程度の円錐形で、その大きさは流れる電気量により決定する。外部とは、ボルト等により接続できるような、ネジ等の加工部を設け接続される。
引き出しタブ10は、金属の箔、薄板、または線など変形可能で、はんだ接続、溶接、圧接可能なものが限定なく使用できる。特に電気的良導体として銅または銅合金が好ましい。また接続部分以外の部分を絶縁物で被覆することもある。引き出しタブ10を外部端子9と一体化させる場合もある。
なお、本実施の形態では金属化ポリプロピレンフィルムを用いた例を示したが、これに限定されるものではなく、金属化ポリエステルフィルムや、金属化フェニレンサルファイドフィルム等の他の金属化フィルムを用いてもよい。
また、誘電体の片面に金属化蒸着電極を形成した金属化フィルムを2枚重ねて捲回したコンデンサ素子の例を示したが、これに限定されるものではなく、両面に金属蒸着電極を形成した金属化フィルムと、金属蒸着電極を形成していない誘電体フィルムとを重ねて捲回して作製したコンデンサ素子でもよい。
図2は、本発明の別の実施の形態を示すフィルムコンデンサの一部拡大した断面図を示している。拡大部分は、樹脂キャップ3と金属ケース2の開口部付近との封口部分で、図2(a)では、金属ケース2側にこのはめ込み部分6のすき間を押し広げる盛り上がった突出部7を設けていて、図2(b)では、樹脂キャップ3のはめ込み部分6に凸変形した突出部7を、図2(c)では、樹脂キャップ3のはめ込み部分6に盛り上がった突出部7を設けている。
図3は、本発明の一実施の形態を示すフィルムコンデンサの製造方法を示している。
図3(a)は、突出部を設ける前、図3(b)は、突出部を設けた後、図3(c)は、その後、充填樹脂4の充填後を示している。
図3(a)は、突出部を設ける前、図3(b)は、突出部を設けた後、図3(c)は、その後、充填樹脂4の充填後を示している。
まず、図3(a)に示すように、コンデンサ素子1を上端面に開口部のある有底筒状の金属ケース2に収納し、この金属ケース2の側面方向に樹脂キャップ3の周辺部から一体的に張り出して設けた筒状の張り出し部5とこの張り出し部5に金属ケース2の開口部にはめ込まれるはめ込み部分6とを有する樹脂キャップ3で金属ケース2の開口部を封口する。
次に、図3(b)に示すように、はめ込み部分6と接する金属ケース2側面から回転ごま等により、はめ込み部分6と金属ケース2の開口部付近とのすき間を押し広げる突出部7を金属ケース2に設ける。
金属ケース2に設ける突出部7を封口後に設けることにより、コンデンサ素子1を金属ケース2に収納する時に、金属ケース2の開口部の開口面積を減少させることがないので、素子容量を大きくとれて好ましい。また、金属ケース2の突出部7加工部分の内側に樹脂キャップ3のはめ込み部分6があるので、回転ごまによる突出部7の環状加工が精度良くでき好ましい。
次に、図3(c)に示すように、充填樹脂4を樹脂キャップの貫通孔11から金属ケース2内に真空注入する。
次に、図3(b)に示すように、はめ込み部分6と接する金属ケース2側面から回転ごま等により、はめ込み部分6と金属ケース2の開口部付近とのすき間を押し広げる突出部7を金属ケース2に設ける。
金属ケース2に設ける突出部7を封口後に設けることにより、コンデンサ素子1を金属ケース2に収納する時に、金属ケース2の開口部の開口面積を減少させることがないので、素子容量を大きくとれて好ましい。また、金属ケース2の突出部7加工部分の内側に樹脂キャップ3のはめ込み部分6があるので、回転ごまによる突出部7の環状加工が精度良くでき好ましい。
次に、図3(c)に示すように、充填樹脂4を樹脂キャップの貫通孔11から金属ケース2内に真空注入する。
特に、樹脂キャップ3と金属ケース2のはめ込み部分6に充填樹脂4が回り込むようにする。金属ケース2の内側に凸加工部の両側は、突出部7を設けていない金属ケース2よりも充填樹脂4溜りが生じやすくなり、金属ケース2と樹脂キャップ3の封止は強固になる。
(実施例1)
コンデンサ素子は、誘電体フィルムとして厚さ5μmのポリプロピレンフィルムの表面に金属蒸着電極としてセグメントパターンを設けた片面金属化フィルムと、これと同様な金属化フィルムを金属面が重ならないよう互い違いに2枚重ねて捲回し、捲回した両端部に亜鉛金属の溶射の方法により端面電極を形成した。
次に、コンデンサ素子の端面電極と樹脂キャップに設けた外部端子とを厚さ200μmの箔状の引き出しタブによりおのおのはんだ付けで接続した。
次に、樹脂キャップ付きのコンデンサ素子を厚さ0.8mmの金属ケース内に収納した。
次に、金属ケースの開口部付近側面の内側に、回転ごま加工により、樹脂キャップのはめ込み部と金属ケースの開口部付近とのすき間より平均0.7mmすき間が広いリング状の突出変形した突出部を設けた。突出部の樹脂キャップへの密着側の先端形状は、台形に近い形状で、その台形部の先端の短形寸法は1.5mmとした。
次に、樹脂キャップに設けた貫通孔から、ウレタン系の充填樹脂を注入し、熱硬化させた。
コンデンサ素子は、誘電体フィルムとして厚さ5μmのポリプロピレンフィルムの表面に金属蒸着電極としてセグメントパターンを設けた片面金属化フィルムと、これと同様な金属化フィルムを金属面が重ならないよう互い違いに2枚重ねて捲回し、捲回した両端部に亜鉛金属の溶射の方法により端面電極を形成した。
次に、コンデンサ素子の端面電極と樹脂キャップに設けた外部端子とを厚さ200μmの箔状の引き出しタブによりおのおのはんだ付けで接続した。
次に、樹脂キャップ付きのコンデンサ素子を厚さ0.8mmの金属ケース内に収納した。
次に、金属ケースの開口部付近側面の内側に、回転ごま加工により、樹脂キャップのはめ込み部と金属ケースの開口部付近とのすき間より平均0.7mmすき間が広いリング状の突出変形した突出部を設けた。突出部の樹脂キャップへの密着側の先端形状は、台形に近い形状で、その台形部の先端の短形寸法は1.5mmとした。
次に、樹脂キャップに設けた貫通孔から、ウレタン系の充填樹脂を注入し、熱硬化させた。
(実施例2)
樹脂キャップ付きのコンデンサ素子を金属ケース内に収納する前に金属ケースに突出部加工する以外は、実施例1と同じく作製した。
樹脂キャップ付きのコンデンサ素子を金属ケース内に収納する前に金属ケースに突出部加工する以外は、実施例1と同じく作製した。
(実施例3)
盛り上がった突出部を樹脂キャップ側に設ける以外は、実施例1と同じく作製した。
盛り上がった突出部を樹脂キャップ側に設ける以外は、実施例1と同じく作製した。
(比較例1)
突出部のない金属ケース、突出部のない樹脂キャップを使用していること以外は、実施例1と同じく作製した。
突出部のない金属ケース、突出部のない樹脂キャップを使用していること以外は、実施例1と同じく作製した。
次に、これらの試料各3個について、周囲温度85℃、相対湿度85%RHで定格電圧1100V印加した。中間測定として250h毎に試験を停止し、コンデンサの温度を室温に戻してから、容量変化率、tanδ変化率を測定し1000hで評価した。これらの試料の測定結果を表1に合わせて示した。
表1に示したように、金属ケースに突出部を設けた実施例1、2や、樹脂キャップに突出部を設けた実施例3では容量変化率、tanδ変化率ともに比較例1より著しく特性が良化している。これに対して、比較例1は、容量変化率、tanδ変化率ともに大きい。
1…コンデンサ素子、2…金属ケース、3…樹脂キャップ、4…充填樹脂、5…張り出し部、6…はめ込み部分、7…突出部、8…端面電極、9…外部端子、10…引き出しタブ、11…樹脂キャップの貫通孔、12…ケース
Claims (3)
- 誘電体にフィルムを使用したコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を収納する上端面に開口部のある有底筒状の金属ケースと、この金属ケースの開口部を封口する樹脂キャップと、前記金属ケース内を充填する充填樹脂とを備えたフィルムコンデンサにあって、前記金属ケースの側面方向に沿って、前記樹脂キャップの周辺部から一体的に張り出した筒状の張り出し部を設け、この張り出し部には前記金属ケースの開口部にはめ込まれるはめ込み部分を有し、このはめ込み部分かまたは、このはめ込み部分と接する前記金属ケースの開口部付近のどちらかの対向面には、前記はめ込み部分と前記金属ケースの開口部付近とのすき間を押し広げる突出部を有することを特徴とするフィルムコンデンサ。
- 前記突出部は、ケース底面と平行になる方向で金属ケース側面に環状に形成した請求項1に記載のフィルムコンデンサ。
- 誘電体にフィルムを使用したコンデンサ素子を上端面に開口部のある有底筒状の金属ケースに収納し、この金属ケースの側面方向に沿って前記樹脂キャップの周辺部から一体的に張り出して設けた筒状の張り出し部とこの張り出し部に前記金属ケースの開口部にはめ込まれるはめ込み部分とを有する樹脂キャップで前記金属ケースの開口部を封口後、前記金属ケース内を充填樹脂で充填するフィルムコンデンサの製造方法にあって、前記金属ケースの開口部を封口後、前記はめ込み部分に接する前記金属ケース側面から回転ごまにより、前記はめ込み部分と前記金属ケースの開口部付近とのすき間を押し広げる突出部を設け、次に樹脂充填することを特徴とするフィルムコンデンサの製造方法。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20140805 |