JP2012246897A - 燃料噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】弁ボディ30は、テーパ状の弁座31、この弁座31の下流側で軸方向に凹む凹部34、及び弁座31を凹部側へ延長した仮想面C上に位置する凹部34の内壁から外壁へ通じる複数の噴孔32を有する。ニードル弁40は、弁座31に着座及び離座可能な弁シート41、及びこの弁シート41の下流側で凹部34側へ凸状の先端部42を有する。弁シート41の外径Ds、噴孔入口と先端部42との間の距離A、噴孔32よりも中心軸側の凹部34の内壁と先端部42との間の距離B、噴孔入口側の内径d1、および、噴孔出口側の内径d2の関係は、0.048≦A/Ds≦0.18、B/Ds≦0.18、d2>d1、である。これにより、燃料噴射装置は、燃料の運動エネルギーを維持したまま、噴孔32から噴射される燃料を薄い液膜にすることができる。
【選択図】図2
Description
特許文献1に記載の燃料噴射装置は、テーパ状に形成された弁座を延長した仮想面上に噴孔の入口が設けられている。これにより、弁座を通過した燃料は、主流が噴孔入口に直接流入し、燃料の運動エネルギーが維持されたまま噴孔出口から噴射される。
特許文献2に記載の燃料噴射装置は、弁ボディの端部に板状の噴孔プレートを備えている。噴孔プレートは、テーパ状の噴孔を有している。これにより、噴孔の内周壁に燃料が案内され、噴孔出口から燃料が液膜状に噴射される。
特許文献2の燃料噴射装置は、弁座を通過した燃料が噴孔プレートの内壁に衝突した後、噴孔に流入する。このため、燃料の運動エネルギーが損失し、噴霧の微粒化が十分にされないおそれがある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、燃料噴霧の高微粒化を可能にする燃料噴射装置を提供することを目的とする。
弁ボディの内側に往復移動可能に設けられたニードル弁は、弁座に着座及び離座可能な弁シート、及びこの弁シートの下流側で複数の噴孔と噴孔との間へ向けて凸状の先端部を有する。
弁シートの外径をDsとする。
弁シートが弁座から離座したとき、凹部の内壁側に位置する噴孔の入口と先端部との間の弁ボディにおける軸方向の距離をAとする。
弁シートが弁座から離座したとき、噴孔よりも中心側の凹部の内壁と先端部との間の弁ボディにおける軸方向の距離をBとする。
噴孔入口側の内径をd1、噴孔出口側の内径をd2とする。
このとき、Ds、A、B、d1およびd2は、
0.048≦A/Ds≦0.18、B/Ds≦0.18、d2>d1 の関係である。
A/Dsを小さくすると、噴孔の内周壁の中心軸が入口から出口に向けて弁ボディの中心軸から離れるように噴孔を設けたとき、弁座を通過した燃料の主流と、噴孔の中心軸とのなす角が小さくなる。これにより、燃料の主流が噴孔の内周壁に押し付けられる力が強くなり、燃料の速度勾配が大きくなる。したがって、噴孔から噴射された燃料の分裂が促進され、燃料の粒径が小さくなる。この臨界点としてA/Ds≦0.18 が設定される。
但し、A/Dsを非常に小さくすると、速度勾配が大きくなるとともに、燃料の噴射速度が小さくなる。このため、噴孔から噴射された燃料の粒径が大きくなる。この臨界点として0.048≦A/Ds が設定される。
また、B/Dsを小さくすると、弁座を通過した燃料が先端部の中央付近を通過し、径方向反対側に位置する噴孔に流入する量が少なくなる。これにより、燃料の主流が噴孔の内周壁に押し付けられる力が強くなり、燃料の速度勾配が大きくなる。したがって、噴孔から噴射された燃料の粒径が小さくなる。この臨界点としてB/Ds≦0.18 が設定される。
さらに上記構成に加え、d2>d1 とすることで、燃料は運動エネルギーを維持したまま噴孔の内周壁に沿って流れる。これにより、噴孔の中心軸近傍から弁ボディにおける径外方向に位置する噴孔の内周壁近傍にかけて気相が大きく形成される。したがって、燃料噴射装置は、速度勾配を大きくするとともに、液膜を薄くすることが可能になるので、燃料噴霧を高微粒化することができる。
これにより、噴霧収縮率が許容範囲内となる。 噴霧収縮率=実際に噴射された燃料の噴霧角(噴射角)/噴孔の傾き(目標噴射角) である。したがって、噴孔から噴射される燃料噴霧の噴射方向を制御することができる。
これにより、燃料通路から複数の噴孔に略同じ流量の燃料を導入することが可能になる。したがって、気筒内に燃料噴霧を均質に噴射し、混合気の均質性を高めることができる。
そこで、請求項4に記載の発明によると、複数の噴孔は、弁ボディの軸を含む第1仮想面に対し対称に設けられる。
燃料噴射装置は、燃焼室内で一方の吸気通路と排気通路が設けられた領域と、他方の吸気通路と排気通路が設けられた領域とに、燃料噴霧を略均質に噴射することができる。
複数の噴孔のうち点火プラグ側に位置する所定の噴孔は、噴孔の内周壁を燃焼室へ延長した仮想円錐面が、弁ボディの中心軸と所定の噴孔とを結ぶ仮想直線に垂直かつ所定の噴孔の出口外縁を通る第2仮想面に対し、弁ボディの中心軸側に位置するように設けられる。
これにより、燃料噴射装置は、燃焼室内でピストン側へ燃料を噴射することが可能になる。このため、噴孔から噴射された燃料の移動する距離が長くなり、燃料の高微粒化を促進することができる。
これにより、弁座を通過する燃料の主流と噴孔の中心軸とのなす角が小さくなる。したがって、燃料の主流が噴孔の内周壁に押し付けられる力が強くなり、燃料の速度勾配を大きくすることができる。
複数の噴孔は、ピストンが下死点にあるときの燃焼室内で、一の噴孔の内周壁を燃焼室へ延長した仮想円錐面と、他の噴孔の内周壁を燃焼室へ延長した仮想円錐面との間に空間が形成されるように設けられる。
これにより、燃焼室内に燃料噴霧を均質に噴射し、混合気の均質性を高めることができる。
これにより、弁座を通過した燃料の主流を噴孔に直接流入する構成の燃料噴射装置において、燃料噴霧を高微粒化することができる。
(第1実施形態)
本発明の一実施形態による燃料噴射装置を図1〜図14に示す。本実施形態の燃料噴射装置1は、直噴式のガソリンエンジンに適用される。燃料噴射装置1は、図7に示すように、内燃機関のシリンダヘッド2に設けられる。シリンダヘッド2には、吸気通路3、排気通路4および点火プラグ5が設けられている。吸気通路3を吸気バルブ6が開閉し、排気通路4を排気バルブ7が開閉する。
図1に示すように、燃料噴射装置1は筒状に形成されたハウジング10を備えている。ハウジング10は、第1磁性部11、非磁性部12及び第2磁性部13をこの順で一体に有している。非磁性部12は、第1磁性部11と第2磁性部13との磁気的な短絡を防止する。
ハウジング10の軸方向の一方の端部には入口部材14が設けられている。入口部材14に設けられた燃料入口15には図示しない高圧ポンプによって加圧された燃料が供給される。燃料入口15に供給された燃料は、燃料フィルタ16を経由してハウジング10の内側に流入する。
固定コア20の内側と可動コア21の内側に跨り、コイルスプリング22が設けられている。コイルスプリング22は、固定コア20に圧入されたアジャスティングパイプ23によって荷重が調節されている。コイルスプリング22は、可動コア21を固定コア20から離れる方向に付勢している。
コネクタ24の端子25からコイル18に通電されると、固定コア20、第1磁性部11、プレートハウジング19、第2磁性部13及び可動コア21によって形成された磁気回路に磁束が流れ、可動コア21が固定コア20に磁気吸引される。
ニードル弁40は、ハウジング10の内側、ノズルホルダ26の内側、及び弁ボディ30の内側に跨り、往復移動可能に設けられている。ニードル弁40は、可動コア21に固定されており、可動コア21と共に移動する。ニードル弁40が弁ボディ30に形成された弁座31から離座すると、噴孔32から燃料が噴射され、弁座31に着座すると噴孔32からの燃料噴射が遮断される。
弁ボディ30は、弁座31の下流側で軸方向に凹む凹部34を有している。凹部34は、縦断面が直線のテーパ状に内壁が形成され、縦断面が曲線の球面に外壁が形成されている。
弁ボディ30は、凹部34の内壁から外壁へ通じる複数の噴孔32を有している。複数の噴孔32は、その入口がテーパ状の弁座31を凹部側へ延長した仮想円錐面C上に位置する凹部34の内壁に設けられている。これにより、弁座31を通過した燃料の主流が噴孔32に直接導入される。なお、燃料の主流とは、燃料の流れのうち流量(m3/s)の最も多いところをいう。
また、弁シート41と先端部42とのなす角θ3は、18≦θ3≦27(°)である。
ニードル弁40の弁シート41と、弁ボディ30の弁座31及び凹部34との間に燃料室35が形成されている。燃料通路33から弁座31と弁シート41との間を通過した燃料は、燃料室35を通り、噴孔32に導入される。
ニードル弁40が弁座31からフルリフトした状態において、噴孔32の入口と先端部42との間の弁ボディ30における軸方向の距離をAとする。
ニードル弁40が弁座31からフルリフトした状態において、噴孔32よりも中心側の凹部34の内壁と先端部42との間の弁ボディ30における軸方向の距離をBとする。
このとき、Ds、AおよびBは、
0.048≦A/Ds≦0.18、
B/Ds≦0.18 である。
噴孔入口側内径d1および噴孔出口側内径d2は、d1<d2 である。これにより、噴孔32は、テーパ状に形成される。
噴孔長Lおよび噴孔入口側内径d1は、L/d1≧2.0 である。
また、噴孔32の内周壁を延長した仮想円錐の縦断面の母線と母線とのなす角度θ(以下「テーパ角」という)は、好ましくは、5<θ<35(°)であり、さらに好ましくは15<θ<35(°)であり、さらに好ましくは20<θ<30(°)である。
弁ボディの中心軸側に位置する噴孔の内壁と、弁ボディの中心軸Oとのなす角θ4は、
−45<θ4<45(°)であり、好ましくは、−40<θ4<40(°)である。
複数の噴孔32は、中心軸Pが弁ボディ30の中心軸Oを含む第1仮想面Eに対し、対称に設けられている。これにより、図6に示すように、燃焼室8内で一方の吸気通路3と排気通路4が設けられた領域αと、他方の吸気通路3と排気通路4が設けられた領域βとに、燃料噴霧が略均質に噴射される。なお、図6では、一方の領域αと他方の領域βとを一点鎖線Eにより概念的に分け、燃料噴霧を概念的に破線で示している。
図5に示すように、弁ボディ30の中心軸Oと所定の噴孔321とを結ぶ仮想直線Fに垂直、かつ、所定の噴孔321の出口外縁を通る仮想面を第2仮想面Gとする。所定の噴孔321が内開きとは、所定の噴孔321の内周壁を燃焼室8へ延長した仮想円錐Hが、第2仮想面Gに対して弁ボディ30の中心軸O側に位置することをいう。
これに対し、所定の噴孔321を除く複数の噴孔32は、噴孔32の内周壁の中心軸Pが入口から出口に向かい弁ボディ30の中心軸Oから離れるように設けられる。
これにより、図7に示すように、燃料噴射装置1は、燃焼室内でピストン側へ燃料が噴射される。したがって、噴孔32から噴射された燃料の移動する距離が長くなり、燃料の高微粒化が促進される。
また、複数の噴孔32は、ピストン9が下死点にあるときの燃焼室内で、一の噴孔32の内周壁を燃焼室8へ延長した仮想円錐面と、他の噴孔32の内周壁を燃焼室8へ延長した仮想円錐面との間に空間γが形成されるように設けられる。これにより、燃焼室内に燃料噴霧が均質に噴射され、混合気の均質性が高まる。
なお、図7では、説明を簡単にするため、2個の噴孔32の仮想円錐面のみを示している。また、図7の矢印Tは、タンブル流を示している。
(1)本実施形態の燃料噴射装置1の噴孔32を流れる燃料の流速分布を図8(A)に示す。図8(A)では、符号XおよびYを付した部分が液相Xおよび液相Yであり、符号Zの部分は気相Zである。液相Xが最も流量が多く、次に液相Yの流量が多い。
本実施形態では、噴孔32を入口の内径よりも出口の内径が大きいテーパ状に形成することで、図8(A)に示すように、燃料は噴孔32の内周壁に沿って流れる。このため、噴孔32を流れる燃料は、弁ボディ30における中心軸O側(径内方向)に位置する噴孔32の内周壁近傍の流量が多い。液相X,Yは、噴孔32の内周壁に沿って薄く広がる。そして、噴孔32の中心軸P近傍から弁ボディ30における径外方向に位置する噴孔32の内周壁近傍にかけて気相Zが大きく形成される。
これにより、噴孔32から燃料は薄い液膜となって噴射される。本実施形態では、噴孔32から噴射された燃料は、燃料の運動エネルギーが維持され、速度勾配が大きいので、液膜の分裂が促進される。したがって、燃料噴霧を高微粒化することができる。
これに対し、従来の燃料噴射装置1の円筒状の噴孔32を流れる燃料の流速分布を図8(B)に示す。図8(B)では、符号UおよびVを付した部分が液相Uおよび液相Vであり、符号Wの部分は気相Wである。液相Uが最も流量が多く、次に液相Vの流量が多い。
図8(B)に示すように、従来の燃料噴射装置の円筒状の噴孔32では、液相U、Vは、弁ボディ30における径内方向に位置する噴孔32の内周壁から噴孔32の中心軸P近傍を流れる。弁ボディ30における径外方向に位置する噴孔32の内周壁近傍に小さく気相Wが形成される。これにより、噴孔32から噴射される燃料の液膜が厚くなり、液膜の分裂が低減することが懸念される。
噴孔32の内周壁の中心軸Pが入口から出口に向けて弁ボディ30の中心軸Oから離れるように噴孔32を設けたとき、噴孔32の入口と先端部42との間の距離Aを大きくすると、弁座31を通過した燃料の主流と、噴孔32の中心軸Pとのなす角が大きくなる。これにより、燃料の主流が噴孔32の内周壁に押し付けられる力が弱くなる。したがって、図9(A)に示すように、0.18<A/Dsのとき、速度勾配が小さくなる。
速度勾配が小さくなると、噴孔32から噴射された燃料の分裂が促進されない。このため、図9(B)に示すように、0.18<A/Dsのとき、燃料噴霧の粒径が大きくなる。
なお、燃料噴霧の粒径は、SMD(Sauter mean diameter)によるものである。
このため、図9(A)に示すように、A/Ds<0.048のとき、噴射速度が小さくなる。噴射速度が小さくなると、噴孔32から噴射された燃料の分裂が促進されない。このため、図9(B)に示すように、A/Ds<0.048のとき、燃料噴霧の粒径が大きくなる。
よって、本実施形態では、噴孔32の入口と先端部42との間の距離Aと、弁シート41の外径Dsとの関係を0.048≦A/Ds≦0.18 としている。
噴孔32よりも中心側の凹部34の内壁と先端部42との間の距離Bを大きくすると、弁座31を通過した燃料が燃料室35の中央付近を通過し、径方向反対側に位置する噴孔32に流入する量が多くなる。これにより、燃料の主流が噴孔32の内周壁に押し付けられる力が弱くなる。
したがって、図10(A)に示すように、0.18<B/Dsのとき、速度勾配が小さくなる。このため、図10(B)に示すように、0.18<B/Dsのとき、燃料噴霧の粒径が大きくなる。なお、距離Bを変えたとき、噴射速度は略一定である。
よって、本実施形態では、噴孔32よりも中心側の凹部34の内壁と先端部42との間の距離Bと、弁シート41の外径Dsとの関係をB/Ds≦0.18 としている。
噴孔32を流れる燃料は、弁ボディ30の中心軸O側に位置する噴孔32の内周壁の流量が多い。このため、噴孔32から噴射される燃料噴霧の噴射方向は、弁ボディ30の径内方向の噴孔32の内周壁によって制御される。弁ボディ30の径内方向の噴孔32の内周壁が長ければ、噴霧収縮率が1.0に近似する。これに対し、弁ボディ30の径内方向の噴孔32の内周壁が短ければ、噴霧収縮率が小さくなる。したがって、図11(B)に示すように、L<2.0 のとき、噴霧収縮率が小さくなる。噴霧収縮率が小さくなると、気筒内に燃料噴霧を均質に噴射することが困難になる。
よって、本実施形態では、噴孔長Lと噴孔入口側内径d1との関係を、L/d1≧2.0 としている。これにより、噴孔32から噴射される燃料噴霧の噴射方向を制御することができる。
図12に示すように、噴孔32のテーパ角θが、5<θ<35(°)とき噴霧の粒径が小さく、15<θ<35(°)のとき噴霧の粒径がさらに小さく、20<θ<30(°)のとき噴霧の粒径がさらに小さい。
本実施形態では、噴孔32のテーパ角θが5〜35(°)の範囲で、燃料噴射装置1の適用されるエンジンの感度に応じ、燃料噴霧の粒径が許容範囲となるように設定される。
図13(A)に示すように、Ds/Dpの値を小さくすると、速度勾配が小さくなる。これに伴い、図13(B)に示すように、Ds/Dpの値を小さくすると、粒径が大きくなる。そして、図13(C)に示すように、Ds/Dp<1.5のときと、Ds/Dp>3.0のときは、噴孔32の角度に対する燃料噴霧の噴射角のばらつきが大きくなる。
よって、本実施形態では、噴孔入口の設けられる仮想円Dの直径Dpと弁シート41の外径Dsとの関係を、1.5≦Ds/Dp≦3 としている。
図14(A)に示すように、角θ3が18〜27(°)の範囲で、流量係数が0.6以上になる。図14(B)に示すように、角θ3が大きくなるに従い、燃料室35の断面積の減少率が小さくなる。一方、図14(C)に示すように、角θ3が大きくなるに従い、先端部42から燃料の剥離する度合いが増加する。
また、図14(D)に示すように、角θ3が大きくなるに従い、速度勾配が低下する。図14(E)に示すように、角θ3が大きくなるに従い、噴射速度が大きくなる。
本実施形態では、弁シート41と先端部42とのなす角θ3を、18≦θ3≦27(°)とすることで、燃料の主流がシート部を通過した後、噴孔入口に到達するまでの燃料の運動エネルギーの損失を抑制することができる。
本発明の第2実施形態による燃料噴射装置1の用いられる内燃機関を図15に示す。以下複数の実施形態において、上述した第1実施形態と実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態においても、複数の噴孔32のうち点火プラグ側に位置する所定の噴孔321は、いわゆる内開きに設けられている。このため、燃料噴射装置1は、燃焼室内でピストン側へ燃料が噴射される。
また、複数の噴孔32は、ピストン9が下死点にあるときの燃焼室内で、一の噴孔32の内周壁を燃焼室8へ延長した仮想円錐面と、他の噴孔32の内周壁を燃焼室8へ延長した仮想円錐面との間に空間γが形成されるように設けられる。これにより、燃焼室内に燃料噴霧が均質に噴射され、混合気の均質性が高まる。
なお、図15では、説明を簡単にするため、2個の噴孔32の仮想円錐面のみを示している。
上述した実施形態では、内燃機関の気筒の側面に燃料噴射装置を取り付けた。これに対し、本発明は、図16に示すように、気筒の中央付近に燃料噴射装置を取り付けてもよい。
また、燃料噴射装置は、吸気通路または排気通路に取り付けてもよい。
上述した実施形態では、ガソリンエンジンに適用される燃料噴射装置について説明した。これに対し、本発明は、ディーゼルエンジンに適用してもよい。
上述した実施形態では、弁ボディに6個の噴孔を設けた。これに対し、本発明は、噴孔の個数に限定されない。
上述した実施形態では、弁ボディの先端を球状に形成した。これに対し、本発明は、弁ボディの先端は平面であってもよい。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
30・・・弁ボディ
31・・・弁座
32・・・噴孔
33・・・燃料通路
34・・・凹部
40・・・ニードル弁
41・・・弁シート
42・・・先端部
Claims (8)
- 有底筒状に形成され、燃料の流れる燃料通路、この燃料通路を形成する内壁に設けられたテーパ状の弁座、この弁座の下流側で軸方向に凹む凹部、及び前記弁座を前記凹部側へ延長した仮想面上に位置する前記凹部の内壁から外壁へ通じる複数の噴孔を有する弁ボディと、
前記弁ボディの内側に往復移動可能に設けられ、前記弁座に着座及び離座可能な弁シート、及びこの弁シートの下流側で複数の前記噴孔と前記噴孔との間へ向けて凸状の先端部を有するニードル弁と、を備え、
前記弁シートの外径をDs、
前記弁シートが前記弁座から離座したとき、前記凹部の内壁側に位置する前記噴孔の入口と前記先端部との間の前記弁ボディにおける軸方向の距離をA、
前記弁シートが前記弁座から離座したとき、前記噴孔よりも中心側の前記凹部の内壁と前記先端部との間の前記弁ボディにおける軸方向の距離をB、
噴孔入口側の内径をd1、噴孔出口側の内径をd2とすると、
0.048≦A/Ds≦0.18、
B/Ds≦0.18、
d2>d1 の関係であることを特徴とする燃料噴射装置。 - 前記噴孔の入口と出口との距離をLとすると、
L/d1≧2.0 の関係であることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。 - 複数の前記噴孔の入口は、前記弁ボディの軸を中心とした仮想円上に等間隔で設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料噴射装置。
- 複数の前記噴孔は、前記弁ボディの軸を含む第1仮想面に対し対称に設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
- 前記燃料噴射装置は、内燃機関の点火プラグが設けられた気筒の燃焼室に前記弁ボディが露出するように設けられ、
複数の前記噴孔のうち前記点火プラグ側に位置する少なくとも1つの所定の噴孔は、前記噴孔の内周壁を前記燃焼室へ延長した仮想円錐面が、前記弁ボディの中心軸と前記所定の噴孔とを結ぶ仮想直線に垂直かつ前記所定の噴孔の出口外縁を通る第2仮想面に対し、前記弁ボディの中心軸側に位置するように設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。 - 前記所定の噴孔を除く複数の噴孔は、前記噴孔の内周壁の中心軸が入口から出口に向かい前記弁ボディの中心軸から離れるように設けられることを特徴とする請求項5に記載の燃料噴射装置。
- 前記燃料噴射装置は、内燃機関の気筒の内壁、及び前記気筒内に往復移動可能に設けられたピストンの端面により形成された燃焼室に前記弁ボディが露出するように設けられ、
複数の前記噴孔は、前記ピストンが下死点にあるときの前記燃焼室内で、一の噴孔の内周壁を前記燃焼室へ延長した仮想円錐面と、他の噴孔の内周壁を前記燃焼室へ延長した仮想円錐面との間に空間が形成されるように設けられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。 - 前記噴孔は入口側の内径d1よりも出口側の内径d2が大きいテーパ状に形成され、
前記噴孔は、内周壁を前記燃焼室へ延長した仮想円錐面の縦断面の母線と母線とのなす角θが、5<θ<35(°)であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
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