JP2012246165A - 炭化ケイ素微粉末の製造方法及びその製造装置 - Google Patents

炭化ケイ素微粉末の製造方法及びその製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
電磁波照射を用いた炭化ケイ素合成における上記の問題を解決するためになされたものであり、投入原料全体にわたり均一に反応を生じさせ、反応温度の制御や管理も容易であり、しかも、省エネルギー、高効率かつ短時間で高純度・高品質の炭化ケイ素微粉末を製造する方法と、そのための製造装置を提供する。
【解決手段】
電磁波照射を利用するシリカの炭素熱還元による炭化ケイ素粉末の製造方法において、副生ガス通気孔14を有するとともに外周部に自己発熱材料13が、さらに、該自己発熱材料13の周囲に耐熱性多孔質断熱材料6が配置された耐熱性反応器5内に、シリカ源と炭素源を含む原料4を充填した後、電磁波を照射することにより、自己発熱材料13を介して原料4を非酸化雰囲気中で加熱して炭化ケイ素微粉末を得ることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、炭化ケイ素微粉末の製造方法及びその製造方法に用いる製造装置に関するものであり、詳しくは、短時間かつ省エネルギーで高純度で高品質な炭化ケイ素微粉末の製造方法及びその製造装置に関するものである。
炭化ケイ素は、優れた強度、高い硬度、耐熱性、耐食性、高い熱伝導率、シリコンに近い熱膨張係数、さらには半導性を併せ持ち、古くは、研磨材や発熱体として使用されてきた。最近では、高純度で微粉末の原料粉末を用いて製造された焼結体が、半導体製造装置やLED製造装置等のチャンバー内部品、エッチング装置用基板トレー等半導体産業を中心に各種の製造業を支える中核的構造部材として使用されるようになってきた。また、SiC半導体ウェハ製造用の原料としても、高純度炭化ケイ素の重要性が増している。
炭化ケイ素の合成方法としては、1)アチソン(Acheson)法、2)シリカの炭素による熱還元法、3)原料として前駆体等液状物質を用いる方法、4)気相法等がある。
これらの方法の中で、最も一般的な工業的生方法は19世紀末に開発された、1)のアチソン法である。ケイ砂等の二酸化ケイ素と炭素を機械的に混合し、これをアチソン型の直接通電抵抗炉により、2000℃を超える高温下で次式の反応を行い、炭化ケイ素を得るものである。
SiO+3C → SiC+2CO (1)
この方法においては、通電抵抗体の周囲の高温部で、α型炭化ケイ素が、その周囲のやや温度の低い部分で所望とするβ型炭化ケイ素が生成する(特許文献1参照)。
この方法では、一度に大量の炭化ケイ素を安価に製造することが可能である。しかし、製造した炭化ケイ素は粗大であり、ファインセラミック用途の炭化ケイ素焼結体用の原料とするためには、極めて微細に粉砕する必要があり、多くのエネルギーと大規模な設備が必要となる。また、原料自身の純度が低いことや、粉砕工程で不純物が混入する。このような理由から、焼結用原料や炭化ケイ素ウェハ製造用に必ずしも適した方法ではない。
このため、β型炭化ケイ素を効率的に製造する方法として、2)のシリカの炭素による熱還元法、すなわちケイ素源と炭素源の混合物を焼成炉で高温に加熱して、より制御された条件下で炭化ケイ素を製造する方法が開発されてきた。
この方法は、基本的には(1)式に基づくものであり、炭素を用いたシリカの熱還元法である。例えば、本法による効率的な炭化ケイ素粉末の製造方法として、シリカ粉末等のシリカ源と木炭、コークス等の炭素源をほぼ化学量論的比率で混合した原料を、縦型式の電気抵抗式間接加熱炉の上部より投入し、炉内の反応域で1600〜2100℃の温度範囲で保持し、炉下部から生成物を取り出すことにより、連続的にβ型炭化ケイ素を製造する方法が開示されている(特許文献2参照)。
この方法では、90%程度の品位を持ち、かつ結晶粒が10μm以下のβ型炭化ケイ素が製造される。
さらに、シリカの炭素還元によるβ型炭化ケイ素の合成において、粒子径の揃った合成粉末を製造するために、出発原料としてのシリカ粒子粉末の粒子表面に炭素粉末を付着させる機能を有する表面改質剤で被覆する方法(特許文献3参照)や、原料粉末混合物に平均粒子径0.5μm以下の微細なβ型炭化ケイ素粒子を種結晶として添加する方法(特許文献4参照)等が開発され、それぞれ、0.5〜1.6μm(特許文献3)、0.3〜0.5μm(特許文献4)の、β型炭化ケイ素粉末を得ている。
しかしながら、2)のシリカの熱還元法は、サブミクロン程度の粒径を持つβ型炭化ケイ素を得るために適した方法であるが、アルゴン中で1600℃程度以上の高温に加熱する必要があり、製造プロセスにおいて多大なエネルギーを必要とし原料の価格が高価となり、また反応温度の管理や制御が難しいという問題点を有している。
一方、より高純度でかつ微細な炭化ケイ素粉末を合成する方法として、3)のシリカ源あるいは炭素源として液状前駆体原料を用いる方法が開発されている。例えば、シリカ源としてのエチルシリケートと炭素源としてのレゾール型フェノール樹脂との混合液に触媒を添加して樹脂状固形物を作製し、900℃で1時間炭化した後、アルゴン中で1900℃、45分間加熱することにより不純物量1ppm以下のβ型炭化ケイ素粉末が合成されている(特許文献5参照)。
また、ケイ素源としてテトラエトキシシラン、炭素源としてレゾール型フェノール樹脂を用い、重合触媒を添加してゾルとした後、1000℃2時間の加熱により炭化を行った後、アルゴン中1600℃2時間熱処理を行い、さらに残留炭素の除去のため空気中800℃2時間の加熱を行い、平均粒子径20nmのβ型炭化ケイ素粉末を得ている(特許文献6参照)。
さらに、4)気相法で炭化ケイ素を合成する方法も提案されている。これは、原料にシラン系ガスと炭素源として、炭化水素ガスを用い、これらの混合ガスを熱分解又はプラズマ中で分解することにより炭化ケイ素を得るものである(非特許文献7参照)。
しかし、この3)の前駆体等の液状原料を用いる方法及び4)の気相法は、高純度かつナノメートルオーダーの炭化ケイ素微粉末を合成することが可能であるが、高価な原料を必要とし、また多段階の加熱や特殊な装置(気相法)を必要とするため、合成された炭化ケイ素は極めて高価なものとなる。
このように、従来の合成方法にはそれぞれ一長一短があるが、いずれの場合も、電気炉を用いた加熱方式により原料粉末を1600〜2300℃程度の高温に加熱するものであった。このような外熱式の加熱炉では、投入したエネルギーの多くが、断熱材、炉材、ルツボの昇温に費やされ、このことがエネルギー効率を悪いものとしていた。
このような問題点を解消するために、近年、電磁波照射を用いた加熱による炭化ケイ素の省エネルギー合成方法が提案されている。例えば、超微粒シリカ粉末にフェノール樹脂等の熱分解により得られた超微粉炭素粉末を(1)式の化学量論組成より幾分炭素過剰に混合した後に950℃で仮焼し、得られた出発原料をアルミナ多孔質断熱材で囲んだBNルツボ中に投入し、発振周波数2.45GHzの電磁波照射により原料粉末を1180〜1350℃の温度で20分加熱することにより、粒子径50nm以下の炭化ケイ素微粉末が合成されている(非特許文献8)。
この非特許文献8には、同じ出発原料を用い、通常の電気炉による加熱による炭化ケイ素の合成法では、1500℃2時間以上の加熱が必要であるとの報告がなされており、電磁波照射が短時間で炭化ケイ素合成を可能とする省エネルギープロセスであることを示唆している。これは、原料粉末の一つの成分である炭素及び合成生成物である炭化ケイ素が極めて電磁波を吸収しやすいことに起因するものと思われる。
本発明者らも電磁波照射による炭化ケイ素の省エネルギー合成に注目し、検討を行った。例えば、平均粒径0.8μmのシリカとカーボンブラックをモル比で1:3の割合で混合した原料粉末をBN製ルツボに投入しアルミナ製多孔質断熱材で周囲を囲い、発振周波数2.45GHzの電磁波照射を行い、窒素雰囲気中1400℃30分の加熱を行った。
粉末試料の温度は、放射温度計を用いて試料の上部より測定した。この結果、ルツボの中央部で粒子サブミクロンの微細な炭化ケイ素単一相からなる生成物を得ることができた。一方、従来の加熱では1600℃で30分の加熱においても微量の炭化ケイ素しか合成されなかった(非特許文献9)。
このように、シリカの熱還元法において、電磁波照射を利用すると、炭化ケイ素が短時間で合成できることは確認されている。
しかしながら、原料粉末をBN容器等の耐熱性反応容器に充填し、該容器を断熱材で保温して電磁波照射を行う加熱方法では、投入原料の中心部の極一部で炭化ケイ素が合成されるものの、容器内全体においては、原料粉末に由来するアモルファス状の副生成物が多量に合成され、β型炭化ケイ素に富む、単一相の炭化ケイ素粉末を得ることが困難であり、加えて、原料を加熱する際の温度制御が難しく、反応とともに容器内の物質の形態と種類が変化し、多種多様の化合物が生成してしまうといった多くの難点があった。
特開昭57−156315号公報 特公昭55−42927号公報 特開2006−256941号公報 特公平3−13166号公報 特許第3442803号公報 特開2008−50201号公報
小西幹郎、「セラミックス原料産業への展開を実現したナノ粒子技術」、セラミックス、vol.42、No.6、2007 D. Changhong, Z. Xianpeng, Z. Jinsong, Y. Yongjin, C. Lihua, and X. Fei, "The synthesis of ultrafine SiC powder by the microwave heating technique", J. Mater. Sci., vol. 32 pp. 2469-2472 (1997). 大橋秀峰、平尾喜代司、日向秀樹、橋本忍、本多沢雄、岩本雄二、「電磁波を用いた熱炭素還元によるSiCの合成とその熱力学的考察」、平成22年度日本セラミックス協会東海支部学術研究発表会、講演要旨集D-18
本発明は、電磁波照射を用いた炭化ケイ素合成における上記の問題を解決するためになされたものであり、投入原料全体にわたり均一に反応を生じさせ、反応温度の制御や管理も容易であり、しかも、省エネルギー、高効率かつ短時間で高純度・高品質の炭化ケイ素微粉末を製造する方法と、そのための製造装置を提供することを課題としている。
本発明者らは、上記問題点を解消するために、まず、非特許文献8や9等これまで報告されている電磁波照射による合成方法、即ち、原料粉末を窒化ホウ素等の耐熱性容器に充填し、該容器を断熱材で保温して電磁波照射を行う加熱方法について詳細に検討を行った。
その結果、このような従来の部材構成では、容器内の一部で炭化ケイ素が合成されるものの、容器内の大部分では、原料粉末に由来するアモルファス状の副生成物が容器壁面を中心に多量に合成される等の理由で原料全体を均質に炭化ケイ素に転化させることが困難であること、放射温度計を用いて試料表面の温度を測定する従来の測温法では、試料内部と外部で大きな温度差があり、信頼性のある温度測定が難しいこと、電磁波照射による加熱法は原料粉末自身の発熱を利用しており、原料粉末の充填の粗密等に起因した温度むらが生じ、このことも均質な合成を難しくしていること、が明らかとなり、従来の単純な電磁波波加熱方法では工業的な生産に向けて大きな問題点を有していることが判明した。
これらの問題を克服するためには、副生成物の生成を抑えるために粉末充填物を保持する容器にガスの透過性を高めるための孔を設けること必要があること、原料の均質な加熱と粉末加熱時の精密な温度制御には容器の周囲に電磁波照射により自己発熱可能な材料を均一に配置することが有効であること見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
第1に、電磁波照射を利用するシリカの炭素熱還元による炭化ケイ素粉末の製造方法において、副生ガス通気孔を有するとともに外周部に自己発熱材料が、さらに、該自己発熱材料の周囲に耐熱性多孔質断熱材料が配置された耐熱性反応器内に、シリカ源と炭素源を含む原料を充填した後、電磁波を照射することにより、自己発熱材料を介して原料を非酸化雰囲気中で加熱することを特徴とする炭化ケイ素微粉末の製造方法である。
第2に、上記第1の発明の炭化ケイ素微粉末の製造方法において、自己発熱材料の表面が観察できる位置に、耐熱性多孔質断熱材料に測温用の貫通孔を設け、放射温度計により該測温穴を通して測定される自己発熱材料の温度を基準として、加熱温度の制御を行う。
第3に、電磁波照射を利用するシリカの炭素熱還元による炭化ケイ素粉末の製造方法において、副生ガス通気孔を有するとともにその周囲に耐熱性多孔質断熱材料が配置され、かつ自己発熱材料で形成された耐熱性反応容器に、シリカ源と炭素源を含む原料を充填した後、電磁波を照射することにより、該耐熱性容器を介して原料を非酸化雰囲気中で加熱することを特徴とする炭化ケイ素微粉末の製造方法である。
第4に、上記第3の発明の炭化ケイ素微粉末の製造方法において、耐熱性反応容器の表面が観察できる位置に、耐熱性多孔質断熱材に測温用の貫通孔を設け、放射温度計により該測温穴を通して測定される自己発熱材料の温度を基準として、加熱温度の制御を行う。
第5に、上記第1から第4の発明の炭化ケイ素微粉末の製造方法において、自己発熱材料が炭化ケイ素を含む材料である。
第6に、上記第3又は第4の発明の炭化ケイ素微粉末の製造方法において、耐熱性反応容器が炭化ケイ素を含む材料で形成されている。
第7に、上記第1から第6の発明の炭化ケイ素微粉末の製造方法において、シリカ源と炭素源を混合した原料が粉末状あるいは顆粒状であり流動性を有し、耐熱性容器に充填された該原料粉体を撹拌する。
第8に、上記第1から第8の発明の炭化ケイ素微粉末の製造方法において、照射する電磁波の周波数が0.5〜30GHzである。
第9に、上記第1から第8の発明の炭化ケイ素微粉末の製造方法において、非酸化雰囲気が、窒素の単体ガス、または、窒素に、水素、一酸化炭素、アルゴンの群から選ばれる少なくとも一種類のガスを添加した混合ガスである。
第10に、上記第1から第9の発明の炭化ケイ素微粉末の製造方法により製造された炭化ケイ素微粉末である。
第11に、電磁波照射を利用するシリカの炭素熱還元による炭化ケイ素粉末の製造装置において、シリカ源と炭素源を含む原料を充填する副生ガス通気孔を有する耐熱性反応容器と、該耐熱性反応容器の外周部に配置された電磁波吸収特性の大きな自己発熱材料と、該自己発熱材料の周囲に配置された耐熱性多孔質断熱材料と、非酸化雰囲気ガスの導入口と排出口を有する耐熱性容器と、電磁波発振器を有する電磁波チャンバーとを備えたことを特徴とする炭化ケイ素微粉末の製造装置である。
第12に、電磁波照射を利用するシリカの炭素熱還元による炭化ケイ素粉末の製造装置において、シリカ源と炭素源を含む原料を充填する、副生ガス通気孔を有し且つ電磁波吸収特性の大きな自己発熱材料で形成された耐熱性反応容器と、その周囲に配置された耐熱性多孔質断熱材料と、非酸化雰囲気ガスの導入口と排出口を有する耐熱性容器と、電磁波発振器を有する電磁波チャンバーとを備えたことを特徴とする炭化ケイ素微粉末の製造装置である。
第13に、電磁波照射を利用するシリカの炭素熱還元による炭化ケイ素粉末の製造装置において、シリカ源と炭素源を含む原料を充填する副生ガス通気孔を有する耐熱性反応容器と、該耐熱性反応容器の外周部に配置された電磁波吸収特性の大きな自己発熱材料と、該自己発熱材料の周囲に配置された耐熱性多孔質断熱材料と、電磁波発振器と非酸化雰囲気ガスの導入口と排出口を有する電磁波チャンバーとを備えたことを特徴とする炭化ケイ素微粉末の製造装置である。
第14に、電磁波照射を利用するシリカの炭素熱還元による炭化ケイ素粉末の製造装置において、シリカ源と炭素源を含む原料を充填する、副生ガス通気孔を有し且つ電磁波吸収特性の大きな自己発熱材料で形成された耐熱性反応容器と、その周囲に配置された耐熱性多孔質断熱材料と、電磁波発振器と非酸化雰囲気ガスの導入口と排出口を有する電磁波チャンバーとを備えたことを特徴とする炭化ケイ素微粉末の製造装置である。
第15に、上記第11から第14の発明の炭化ケイ素微粉末の製造装置において、加熱時の温度制御を電磁波吸収特性の大きな自己発熱材料または該自己発熱材料で形成された耐熱性反応容器の温度測定を介して行う。
本発明は、上記構成としたことから、投入原料全体を均一に反応させることができ、また反応温度の制御や管理も容易であり、しかも、省エネルギー、高効率かつ短時間で高純度・高品質の炭化ケイ素微粉末を簡便に得ることができる。
ガス排気孔付き耐熱容器と自己発熱体を組み合わせた本発明の炭化ケイ素微粉末製造装置の構成例である。 実施例1により合成された粉末のX線回折パターンである。 実施例1により合成された炭化ケイ素微粉末の電子顕微鏡写真である。 ガス排気孔付き容器、自己発熱体並びに撹拌機構を組み合わせた本発明の炭化ケイ素製造装置の構成例である。 ガス排気孔付きの自己発熱製容器を用いた本発明の炭化ケイ素微粉末製造装置の構成例である。 密閉性電磁波チャンバーを用いた本発明の炭化ケイ素微粉末の製造装置の構成例である。 比較例1で用いた装置構成である。 比較例1の合成物のX線回折パターン:(a)合成物の中心部、(b)合成物の外周部である。 外熱炉で得られた合成部のX回折パターンである。 放射温度計及び熱電対を用いた電磁波照射時の原料粉末温度の変化を測定するための装置の概略図である。 図10に示す装置で原料粉末を加熱したときの試料内部と表面の温度測定の変化を示すグラフである。 測温穴に析出した生成物のX線回折パターンである。 放射温度計及び熱電対を用いた電磁波照射時の原料粉末温度の変化を測定するための装置の概略図である。 図13に示す装置で原料粉末を加熱したときの試料内部と表面の温度測定の変化を示すグラフである。
本発明の炭化ケイ素微粉末の製造方法は、電磁波照射を利用するシリカの炭素熱還元による炭化ケイ素粉末の製造方法において、副生ガス通気孔を有するとともに外周部に電磁波吸収特性の大きな自己発熱材料が、さらに、該自己発熱材料の周囲に耐熱性多孔質断熱材料が配置された耐熱性反応器内に、シリカ源と炭素源を含む原料を充填した後、電磁波を照射することにより、自己発熱材料を介して原料を非酸化雰囲気中で加熱することを特徴としている。
本発明者らは、まず、従来技術で報告されている電磁波照射による製造方法、即ち、原料を窒化ホウ素等の耐熱性容器に充填し、該容器を断熱材で保温して電磁波照射を行う加熱方法について、以下に述べるような予備実験1及び2を行った。
<予備実験1>
まず、電磁波加熱時の温度特性について、図10に示す装置を用いて予備実験1を行った。平均粒径0.8μmのシリカと、カーボンブラックをモル比で1:3の割合で混合した原料粉末4、10gを、耐熱性反応容器5としてのBN製容器に投入し、アルミナ製の耐熱性多孔質断熱材6で周囲を囲い、発振周波数2.45GHz、最大出力6kW(1.5kW×4台)の電磁波発振器1を用いて窒素雰囲気中で電磁波照射を行った。
なお、窒素雰囲気を維持するために、これらの構成物一式は耐熱性容器(以下、石英製反応管ともいう)7の中に設置し、下部非酸化雰囲気ガス導入口11から5L/minで窒素を流入させた。原料粉末4の温度は、次の二種類の方法で行った。耐熱性反応容器5の側面10−1及び耐熱性多孔質断熱材料の側面10−2に直径5mmの穴を空け、電磁波チャンバー3の外部から放射温度計8を用いて原料粉末4表面の温度を測定した。
同時に、より直接的に原料粉末4の温度を測定するために、耐熱金属シース熱電対9としての直径3.2mmの白金シースB型熱電対を、直接原料粉末4内部に挿入して温度測定を行った。なお、耐熱性反応容器5内部の位置においては、原料粉末4と耐熱金属シース熱電対9の反応を防ぐために、高純度アルミナ管でシース部を保護した。
最大出力6kWの電磁波発振器1を用いて、出力5%から順次出力を上げ、最終的な出力を18%として、耐熱金属シース熱電対9で測定した原料粉末4の温度が約1600℃になるまで加熱し、10分間の保持を行った。図11に電磁波照射の時間と二種類の方法で測定した温度の変化を示す。
耐熱金属シース熱電対9を用いて測定した温度は、電磁波出力を上げるにつれ単純に温度が上昇した。一方、耐熱性反応容器5の測温穴を通して測定した温度は、不規則な変化を示し、放射温度計8で測定した原料粉末4の表面温度と、原料粉末4の内部温度の変化の対応が著しく悪い。実験終了後に、測温穴には白色の綿状の物質が一部通路を塞ぐ形で堆積したものが観察され、これが試料表面の温度測定を阻害したものと考えられる。
この堆積物をX線粉末解析で同定した結果、アモルファス状の物質と炭化ケイ素の混合物であることが判明した(図12参照)。
シリカの熱炭素還元反応は次式に示す気相反応を介して進行することが知られている。
SiO + C → SiO + CO (2)
SiO + 2C → SiC + CO (3)
即ち、測温穴に堆積したアモルファス相は、気相のSiOが低温域(測温穴)に析出したことによるものと推察される。また、BN容器内部の中心部では、SiCと残留カーボンが、その周囲では図12と同様に、アモルファス相、SiC、残留カーボンが同定された。さらに、図10の構成で1600℃、30分加熱した場合にも内部に多量の未反応物が残留し、SiC単一相は合成されなかった。
また、ここでは図示していないが、10−1及び10−2の測温穴を通し原料粉末4の内部に耐熱金属シース熱電対9を挿入して測定した温度と、非酸化雰囲気ガス排出口12原料粉末4の表面の温度を放射温度計8で測定した温度を比べた結果、試料内部の温度が1600℃に達した時点でも、放射温度計8の温度は1150℃程度と低く、両者で著しい差が見られた。
これは、上で述べたように試料表面にはシリカを主体とするアモルファス状の堆積物が覆っており、本副生成物が電磁波を吸収し難いこと、さらに試料の内部に比べて試料の表面は輻射による熱損失が大きいこと、試料が粉末状で熱伝達が低く高温に保持された内部からの熱の移動が小さいことによるものと推察される。
本予備実験1では、耐熱性反応容器5の内壁にガラス状の固形物が堆積し、さらに、測温穴10や耐熱金属シース熱電対を挿入するために耐熱性反応容器5の蓋に開けた孔にも固形物が堆積しているのが観察された。(1)式の反応によりSiCを合成されるためには、生成するCOガスを系外に逃がすことが必要である。しかし、単に容器内に原料を充填した従来の構成では、ガラス状の固形物が原料を充填した容器を覆うように堆積するために、COガスの系外への流れが妨げられ、このことがSiCの合成を阻害していると考えられる。
上記の予備実験1から、電磁波加熱技術を用いたシリカの熱炭素還元による炭化ケイ素の合成についての問題点は、次のようにまとめることができる。
(1)加熱時の原料の温度測定には、熱電対による直接測定と、放射温度計を用いる間接的な方法がある。前者は直接試料内部の温度測定ができ信頼性のあるデータが得られる。しかし、熱電対への電磁波の影響を遮るために金属管で保護した熱電対(金属シース熱電対)を用いる必要があり、炭化ケイ素の合成のように1500℃以上に加熱する場合、シース用の金属として、高価な白金やモリブデンを使用する必要があり現実的でない。一方、放射温度計を用いた原料表面の温度測定では、副生成物により原料表面が覆われる等の理由により、原料内部の温度変化と表面で測定した温度変化が対応せず、いずれの方法も工業的な展開を考えた場合に信頼性のある温度測定ではない。
(2)断熱材と原料粉末との反応を防ぐために、BN等の耐熱性反応容器に原料を充填することが必要であるが、耐熱性反応容器の内壁にガラス状の固形物が析出し、COガスの系外への流れが妨げられ、耐熱性反応容器内での均一な炭化ケイ素の合成を阻害する。
ここで、(1)の問題を解決するために、耐熱性反応容器の外周部を炭化ケイ素粉末で覆うことが考えられる。炭化ケイ素粉末で耐熱性反応容器を覆うことの利点は次の3点にある。
1)炭化ケイ素自体も電磁波を吸収して発熱するので、耐熱性反応容器及び耐熱性反応容器内の原料を含めて全体の温度の均質性を高めることが可能である。
2)最終生成物と同じ材質で耐熱性反応容器を覆うことにより、高温域では試料内部と耐熱性反応容器外周部で電磁波波吸収特性に大きな差異がなく、測定温度が内部温度に近い値を示すことが期待される。
3)耐熱性反応容器に測温穴を設けた場合に生じた副生成物による温度の揺籃を防ぐことが可能である。
<予備実験2>
これらのことを検証するために図13に示す装置を用いて、さらに以下の予備実験2を行った。
平均粒径0.8μmのシリカと、カーボンブラックをモル比で1:3の割合で混合した原料粉末4、10gを、耐熱性反応容器5としてのBN製容器に投入し、その周囲を自己発熱材料13としての炭化ケイ素粉末で覆い、さらにアルミナ製の耐熱性多孔質断熱材料6で周囲を囲い、発振周波数2.45GHz、最大出力6kWの電磁波発振器1を用いて窒素雰囲気中で電磁波照射を行った。
なお、窒素雰囲気を維持するために、これらの構成物一式は石英管からなる耐熱容器7の中に設置し、下部非酸化雰囲気ガス導入口11から5L/minで窒素を流入させた。原料粉末4の温度は、次の二種類の方法で行った。
多孔質断熱材料の側面に直径5mmの測温穴10を空け、電磁波チャンバー3の外部から放射温度計8を用いて自己発熱材料13の温度を測定した。同時に、直接原料粉末5の温度を測定するために、耐熱金属シース熱電対9としての直径3.2mmの白金シースB型熱電対を直接原料粉末5内部に挿入して温度測定を行った。
なお、耐熱性反応容器5内の位置においては、原料粉末4と耐熱金属シース熱電対9の反応を防ぐために、高純度アルミナ管でシース部を保護した。最大出力6kWの電磁波発振器1を用いて、出力5%から順次出力を上げ、最終的な出力を15%として、耐熱金属シース熱電対9で測定した原料粉末5の温度が約1600℃になるまで加熱し、10分間の保持を行った。
図14に電磁波照射時の時間と二種類の方法で測定した温度の変化を示す。耐熱金属シース熱電対9を用いて測定した温度は、電磁波出力を上げるにつれ単調に温度の上昇が見られた。自己発熱材料の温度は、試料内部の温度に比べて、200〜300℃程度低いものの、試料内部の温度の変化と良く対応し、原料粉末内部を1600℃に保持した領域では、自己発熱材料の温度も1500℃付近でほぼ一定となり、自己発熱材料を介した温度測定は、原料粉末4自体の温度変化を示す目安として極めて有効であることが確認された。
また、(2)の問題を解決するために、シリカの還元反応により生成するCOガスを系外に効果的に放出するための副生ガス通気孔の設置が有効であることが確認された。
本発明の炭化ケイ素微粉末の製造方法及びその製造装置は、上記予備実験2の結果から導き出された結果をより効果的に実現するための構成としたものである。以下に本発明の炭化ケイ素微粉末の製造方法及びその製造装置について詳細に説明する。
<原料シリカ源>
本発明で用いられる原料のシリカ源としては、シリカを主成分とする物質であれば、特に制限なく用いることができ、例えば、無水ケイ酸(シリカ)、含水ケイ酸、並びに無水ケイ酸塩、コロイダルシリカ、シリカゾル等を挙げることができる。
これらの中でも、合成される炭化ケイ素の純度を考慮した場合、無水ケイ酸、含水ケイ酸を好適に用いることができる。
これらのシリカ源を粉末粒子として使用する場合の平均粒子径は0.001〜20μm、好ましくは0.002〜10μmの範囲である。平均粒子径が20μmを超えると、炭素と接触しないシリカが多くなり、反応の効率が悪くなる場合がある。一方、平均粒子径0.001μmより小さくなると、原料粉末の嵩密度が極めて高くなり、扱い難くなることに加えて原料が高価なものとなる。
<原料炭素源>
本発明で用いられる原料の固体状の炭素源としては、カーボンブラック、グラファイト等を挙げることができる。
これらの炭素源を粉末粒子として使用する場合の平均粒子径は0.005〜50μm、好ましくは0.01〜20μmの範囲である。平均粒子径が50μmを超えると、SiOとの反応の効率が悪くなり、未反応物が残量する場合がある。一方、平均粒子径が0.005μmより小さくなると、カーボン粒子の凝集が著しくなりシリカ原料との均質な混合が困難となる。
また、高温で炭素粉末を生成する化合物として、例えばフェノール樹脂、フラン樹脂等、各種の樹脂系物質を用いることができる。
<原料シリカ源と原料炭素源の調製>
原料のシリカ源と炭素源は、上記したように、粉末状のシリカ源と、粉末状の炭素源を混合した混合粉末を用いることが簡便であるが、他の態様、例えば、含水ケイ酸、無水ケイ酸塩、コロイダルシリカ分散液等の液状のシリカ源をセルロース材料中に含浸させ仮焼したもの、又は常温で液状のケイ素化合物と、官能基を有し加熱により炭素を生成する常温で液状の有機化合物を、重合または架橋反応により分子的に均一に混合して得られた前駆体物質を仮焼して固形物としたもの等、一般的に知られている前駆体物質を出発原料とした仮焼物を用いることも可能である。
これらシリカ源と炭素源を混合する際の混合割合は、炭素とシリカのモル比(C/SiO)は2〜4が望ましい。シリカの炭素熱還元反応の化学量論組成はC/SiO比が3であるが、充填量、充填方法、断熱方法、加熱プロファイル等の熱処理時の条件により一方の成分が選択的に揮散する場合が多く、単一相のSiCが合成されるように、バッチ条件ごとに出発組成を本組成域内で最適化することが望ましい。
微量に残留するシリカはフッ酸処理により、一方、炭素は800℃程度の空気中熱処理により除去することができるが、原料の組成がモル比2〜4の範囲を超えると、このような後処理を行っても合成される炭化ケイ素の品質が著しく低下するため、本組成範囲が望ましい。
また、シリカ源の残留は、除去に有害なフッ酸を用いた処理が必要となるので、原料として化学量論組成に対して幾分炭素源過剰とし、空気中での熱処理で残留炭素を除くようにすることが好ましい。
<耐熱性反応容器>
本発明において、原料を充填する耐熱性反応容器としては、窒化ホウ素、窒化ケイ素等を用いることができる。なお、耐熱性反応容器の上部は容器内の均熱性を保持するため、耐熱性材料より構成される蓋を設置することが望ましい。
耐熱性反応容器には、SiO+3C→SiC+2COの炭化ケイ素合成反応で副生成するCOを系外へ効果的に放出させるための副生ガス通気孔を設けることが必要である。副生ガス通気孔を設けることにより、耐熱性反応容器内での高純度で高品質な炭化ケイ素の合成が促進される。
このような副生ガス通気孔がなく、単に容器内に原料を充填した従来の装置構成では、後記比較例1にみられるように、ガラス状の固形物が原料を充填した容器を覆うように堆積するために、COガスの系外への流れが妨げられ、所望の高純度で高品質な炭化ケイ素を得ることができない。
副生ガス通気孔の大きさは、特に制限はなく、耐熱性反応容器の大きさ、形状、充填する原料量等処理するバッチごとに大きさや配置する個数を最適化することが望ましい。
ただし、副生ガス通気孔が小さいと、SiO+C→SiO+COの反応で生成するSiOガスが固相のアモルファス相として副生ガス通気孔を塞ぐ形で析出するため、一方、通気孔が大きいと高温での熱放射が著しくなり均熱性が損なわれるため、0.5mm〜40mmの大きさ、好ましくは1〜20mmの大きさであることが望ましい。
充填する原料の量が多く、原料全体の保温性が確保される場合には、耐熱性反応容器上部の蓋を設置せず、耐熱性反応容器と多孔質断熱材の間に空間を設けることにより、副生ガス通気孔の役割を代用させることも可能である。
<自己発熱材料>
本発明で用いる自己発熱材料とは、室温で電磁波の吸収効率が高く、かつ耐熱性に優れるものであり、電磁波の照射により発熱する材料を意味する。
耐熱性反応容器の周囲に配置する自己発熱材料としては、室温で電磁波の吸収効率が高く、かつ耐熱性に優れるものであれば特に制限なく用いることができ、これらのものとしては、例えば、炭化ケイ素、炭化ケイ素を含む材料、酸化ジルコニウム、炭素等を挙げることができる。これらの中でも合成物と同じ電磁波吸収特性を持つ炭化ケイ素、炭化ケイ素を含む材料を好適に用いることができる。
自己発熱材料は、耐熱性反応容器全体を覆うように設置することが耐熱性反応容器内の原料の温度を均質にする点から好ましい。このような自己発熱材料の配置では、流動性を有する固相の粉粒体を耐熱性反応容器と断熱材の間に流し込むようにすることにより容易に行うことができる。
また、耐熱性反応容器を覆うように加工されたバルク状の自己発熱材料を耐熱性反応容器と断熱材の間に挿入することも可能である。自己発熱材料を粉粒体の形態で用いる場合に、その大きさは、扱いの容易性から考えて、0.1〜50mmの範囲の大きさであることが望ましい。
また、耐熱性反応容器そのものを上記の自己発熱材料で作製することも可能であるが、この場合においても図5に示すように耐熱性反応容器に副生ガス通孔20を設けることが必要である。
このように、原料を入れた耐熱性反応容器の周囲に配置した自己発熱材料、又は自己発熱可能な耐熱性反応容器が電磁波を吸収し、効率的に容器を含む反応系が加熱される。さらに、シリカ源と炭素源の混合物である原料は、シリカは誘電損失が小さくほとんど電磁波を吸収しないが、炭素は極めて電磁波を吸収しやすいため、炭素の発熱により混合粉末それ自体も電磁波照射により容易に加熱される。
また、シリカ源の炭素熱還元で合成される炭化ケイ素も電磁波を吸収しやすく、一旦反応が開始されると、さらにその周囲が加熱され、このことが電磁波照射による炭化ケイ素の高効率合成に大きく寄与している。しかし、この現象は一方では、局所的な熱暴走をもたらし、ホットスポットと呼ばれる局所的な高温域を生じ、均一な反応の進行を阻害する要因となっている。耐熱性反応容器の外周部に自己発熱材料を均等に設置するのは、このような原料の熱暴走を防ぐ役割も果たす。
また、被熱処理物である原料の加熱時の均熱性を高めるため、誘電損失の小さな、すなわち電磁波吸収特性の小さな部材で構成される撹拌冶具を用いて、原料を撹拌することも合成反応を効率的かつ均質に行わせるための有効な方法である。撹拌治具を構成する誘電損失の小さい部材としては、例えば、窒化ホウ素、高純度アルミナ、高純度ムライト、アルミナ−シリカ系材料、窒化ケイ素からなるものが考慮される。
<耐熱性多孔質断熱材料>
自己発熱材料の周囲に配置する耐熱性多孔質断熱材は、誘電損失の小さな、すなわち電磁波吸収特性の小さな物質からなるものであれば特に制限なく用いることができ、これらのものとしては、例えば高純度アルミナ、高純度ムライト、アルミナ−シリカ系材料、窒化ケイ素等を挙げることができる。
このような、磁波吸収特性の小さな物質からなる耐熱性多孔質断熱材料は、電磁波を殆ど吸収することがない。従って、電磁波の照射により、耐熱性多孔質断熱材の内部の原料及び自己発熱材料のみを効率的に加熱することができる。
<電磁波照射条件>
本発明の炭化ケイ素微粉末の製造方法において、電磁波照射は非酸化雰囲気中で行われる。この際、非酸化雰囲気ガスとして、窒素の単体ガス、あるいは窒素に、水素、一酸化炭素、アルゴンの群から選ばれる少なくとも一種類のガスを添加した混合ガス用いることができるが、費用、安全性の観点から窒素が好適に用いられる。
また、加熱時の雰囲気を制御するための方法としては、原料を充填した耐熱性反応容器、該容器の周囲に設置された自己発熱材料、さらに該容器と該自己発熱材料を保温するための耐熱性多孔質断熱材料より構成される構成物一式を、非酸化雰囲気ガスを流すための流入口及び流出口を有する石英等で形成される耐熱性容器内部に保持し、該耐熱性容器反応管を電磁波チャンバー内に設置することにより達成される。
電磁波は石英を透過するため、本構成では自己発熱材料と被熱処理物へ効率的に加熱することが可能である。また、窒化ケイ素焼結体も電磁波透過性に優れているため、本目的のための耐熱性容器として用いることが好ましい。また、電磁波チャンバー自体に気密性を持たせ、チャンバーに非酸化雰囲気ガス流入口及び非酸化雰囲気ガス流出口を取り付ける方法も有効である。
照射する電磁波の周波数は、0.5GHz以上、好ましくは0.5〜30GHzの範囲である。周波数が高い程、自己発熱体に与えることができるエネルギーが大きく、昇温特性に優れる。ただし、一般に入手が容易な電磁波発振器の周波数は30GHz以下である。また、一般に広く流布している周波数2.45GHzのマグネトロン発振器を用いることが最も簡便である。周波数が小さいと、電磁波漏洩が小さくなり扱いは容易となるが、エネルギー密度が小さくなり効率的な昇温を行うことが困難となる。
<製造装置>
以下に、本発明の炭化ケイ素微粉末の製造装置について模式図を用いて詳細に説明する。
本発明の製造装置では、図1に示すように、シリカ源と炭素源の混合物である原料粉末4が、耐熱性反応容器5内に配置される。
耐熱性反応容器5には、副生成物であるCOガスを効率的に系外に排出するための副生ガス通気孔14が設置され、耐熱性反応容器5の周囲には、耐熱性反応容器5内の原料粉末4を均質に加熱するために自己発熱材料13が設置されている。
なお、図5に示すように耐熱性反応容器19そのものを自己発熱材料で作製することも可能である。この場合には耐熱性反応容器に副生ガス通気孔20が設けられている。
原料粉末4を内部に配置した耐熱性反応容器5及びその周囲に配置した自己発熱材料13は、電磁波照射により加熱されたこれら構成物からの熱の逃げを抑えるために、その外側は耐熱性多孔質断熱材料6で保持される。
上記のような構成とした原料粉末4、耐熱性反応容器5、自己発熱材料13、及び耐熱性多孔質断熱材料6は、石英管からなる耐熱性容器7内に載置される。耐熱性容器7の上下には、非酸化雰囲気ガスを導入、排出させるための開口部が設けられている。
図1の製造装置では、下が非酸化雰囲気ガス導入口11、上が非酸化雰囲気ガス排出口12となっている。なお、図6に示すように、電磁波チャンバー3が気密性を持ち、且つ非酸化雰囲気ガス導入口21と非酸化雰囲気ガス排出口22を有する場合は、耐熱性容器7は必ずしも必要ない。
耐熱性多孔質断熱材料6には、連通する測温穴10が設けられており、放射温度計8により自己発熱材料13の温度を測定し、原料粉末4の加熱を制御する。図13に示すように、予め原料粉末4内部に挿入した耐熱金属シース熱電対9で原料粉末4内部の温度と放射温度計8を用いて測温穴10から測定される温度の相関性を示す温度校正曲線を作成しておけば、より精密に被加熱物の温度制御を行うことができる。
前記、耐熱性多孔質断熱材料6、耐熱性容器7はいずれも誘電率が極めて小さい材質のものであるため電磁波を殆ど吸収しない。一方、原料粉末4及び自己発熱材料13は電磁波を吸収して容易に発熱する。従って、電磁波照射により、耐熱性多孔質断熱材料6の内部の構成物のみを効率的に加熱することができる。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。もちろん本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
シリカ源として、純度99.9%、平均粒子径0.8μmのシリカ粉末に、炭素源として、純度99.9%、平均粒子径24nmのカーボンブラックを添加し、遊星ミルを用いて乾式混合を行った。
なお、シリカ源と炭素源はモル比で1:3.0になるように配合を行った。得られた混合物10gを、図1の構成例に示すように、耐熱性反応容器5として、内径40mm、高さ40mmの窒化ホウ素製容器に充填し、多孔質断熱材料6(電気化学工業株式会社製アルセンボードBD1700LN)に設置した。
耐熱性反応容器5と耐熱性多孔質断熱材料6の間には約5mmの隙間が設けてあり、この間隙に自己発熱材料13として平均粒子径1mmの炭化ケイ素砥粒を充填した。また、耐熱性反応容器5の上部の蓋には、蓋を貫通する内径3mmの窒化ホウ素製のパイプからなる副生ガス通気孔14を差し込み、副生ガス通気孔14の先端が、自己発熱材料13と耐熱性多孔質断熱材料6の間に設けた空間15に達するようにした。
非酸化雰囲気ガス雰囲気中での加熱を行うため、上記の、原料粉末4を充填した耐熱性反応容器5及び自己発熱材料13を内部に設置した耐熱性多孔質断熱材料6をさらに内径120mmの耐熱性容器(石英管)7の内部に設置した。
なお、耐熱性多孔質断熱材料6の側面には、温度測定用にφ5mmの測温穴10を設けて、放射温度計8を用いて自己発熱材料の温度を測定した。
上記の構成の装置を、電磁波チャンバー3内に設置した。耐熱性容器(石英管)7の下部非酸化雰囲気ガス導入口11より窒素を4L/分の流量で5分以上流して、石英からなる耐熱容器7内部を窒素で満たした。なお、窒素は電磁波照射による加熱中も流し続けた。
電磁波チャンバー3には、図示しない電磁波が漏洩しない小さな孔を設けて、そこから耐熱容器7を通して放射温度計8により自己発熱材料の温度を測定した。
電磁波発振器1(最大周波数2.45GHz、最大出力1.5kW×4台=6kW)により、電磁波チャンバー3内に電磁波を照射し、自己発熱材料13、耐熱性反応容器5、及び原料粉末4から構成される領域の加熱を行った。
電磁波出力を徐々に上げて、最終的には1200Wまで出力を増加させ、60分で自己発熱材料13の温度を1500℃まで加熱した。1500℃で30分間保持した後、電磁波出力を0にして原料粉末4全体を室温まで冷却した。なお、図13に示す装置構成により予め測定した図14の自己発熱体の温度と原料粉末内部の温度の校正曲線より推定される原料粉末4内部の温度は1650℃であった。
このようにして得られた合成粉末は、ややうす緑色を呈し、X線粉末回折の結果、図2に示すように炭化ケイ素以外の回折ピークは認められず、β型SiCと微量のα型SiCから構成される炭化ケイ素であった。また、図3に示すように合成粉末の粒子径は数百nm程度であり、微細かつ大きさの揃った粒子から構成される。さらに、グロー放電質量分析(GD−MS)を用いて合成物中の陽イオンの不純物量を測定した。その結果を表1に示す。
表1から、ほぼ全ての元素がppm以下のオーダーであり、極めて高純度の粉末であることが分かる。Alのみが、190ppmと比較的高い不純物量であるが、これは原料のシリカに起因するものであり、より高純度の原料粉末を用いることにより、さらに純度を高くすることが可能である。
(実施例2)
実施例1と同様の手順で配合を行い、得られた原料粉末10gを、図4に示すように、耐熱性反応容器5としての、内径40mm、高さ40mmの窒化ホウ素製容器に充填し、耐熱性多孔質断熱材料6(電気化学工業株式会社製アルセンボードBD1700LN)に設置した。耐熱性反応容器5と耐熱性多孔質断熱材料の間には約5mmの隙間が設けてあり、この間隙に自己発熱材料13として平均粒子径1mmの炭化ケイ素砥粒を充填した。
また、耐熱性反応容器5の上部の蓋には、蓋を貫通する内径3mmの窒化ホウ素製のパイプからなる副生ガス通気孔14を差し込み、副生ガス通気孔14の先端が、自己発熱材料13と耐熱性多孔質断熱材料6の間に設けた空間15に達するようにした。
さらに、耐熱性反応容器5には先端に窒化ホウ素製の撹拌羽根16を取り付けた撹拌棒17を挿入し、電磁波チャンバー3の外部に設置したモーター18を用いて3rpmの速度で原料粉末4を緩やかに撹拌した。非酸化雰囲気中での加熱を行うため、上記の、原料粉末4を充填した耐熱性反応容器5及び自己発熱材料13を内部に設置した耐熱性多孔質断熱材料6をさらに内径120mmの石英管からなる耐熱性容器7の内部に設置した。
なお、耐熱性多孔質断熱材料6の側面には、温度測定用にφ5mmの測温穴10を設けて、放射温度計8を用いて自己発熱材料13の温度を測定した。
上記の構成の装置を、電磁波チャンバー3内に設置した。耐熱性容器7の下部非酸化雰囲気ガス導入口11より窒素を4L/分の流量で5分以上流して、耐熱性容器7内部を窒素で満たした。なお、窒素は電磁波照射による加熱中も流し続けた。
電磁波チャンバー3には、図示しない電磁波が漏洩しない小さな孔を設けて、そこから耐熱性容器7を通して放射温度計8により自己発熱材料13の温度を測定した。
電磁波発振器1(最大周波数2.45GHz、最大出力1.5kW×4台=6kW)により、電磁波チャンバー3内に電磁波を照射し、自己発熱材料13、耐熱性反応容器5、及び原料粉末4から構成される領域の加熱を行った。電磁波出力を徐々に上げて、最終的には1250Wまで出力を増加させ、60分で自己発熱材料13の温度を1500℃まで加熱した。1500℃で20分間保持した後、電磁波出力を0にして原料粉末4全体を室温まで冷却した。
なお、図13に示す装置構成により予め測定した図14の自己発熱材料の温度と原料粉末内部の温度の校正曲線より推定される原料粉末4内部の温度は1650℃である。
このようにして得られた合成粉末は、ややうす緑色を呈し、X線粉末回折の結果、β型SiCと微量のα型SiCから構成される炭化ケイ素であった。
(実施例3)
シリカ源と炭素源が、モル比で1:3.2になるように実施例1と同様の原料粉末を用いて配合を行い、実施例1と同様の装置構成で原料粉末混合物を電磁波照射により加熱した。
電磁波出力を徐々に上げて、最終的には1100Wまで出力を増加させ、60分で自己発熱材料13の温度を1500℃まで加熱した。1500℃で20分間保持した後、電磁波出力を0にして原料粉末4全体を室温まで冷却した。
なお、図13に示す装置構成により予め測定した図14の自己発熱材料の温度と原料粉末内部の温度の校正曲線より推定される原料粉末4内部の温度は1680℃であった。
このようにして得られた合成粉末は、黒色を有しており、X線粉末回折の結果、β型SiC、微量のα型SiCさらに微量の残留カーボンが確認された。また、該合成粉末をアルミナ容器に入れ、空気中800℃で2時間熱処理を行った結果、薄い緑色の粉末が得られ、X線回折の結果、β型SiCと極微量のα型SiCから構成される炭化ケイ素となり、空気中での熱処理により残留炭素が簡単に除去できることが確認された。
また、このようにして得られた粉末の粒子径は数百nm程度であり、微細かつ大きさの揃った粒子から構成されることが確認された。
(比較例1)
シリカ源として、純度99.9%、平均粒子径0.8μmのシリカ粉末に、炭素源として、純度99.9%、平均粒子径24nmのカーボンブラックを添加し、遊星ミルを用いて乾式混合を行った。なお、シリカ源と炭素源はモル比で1:3.0になるように配合を行った。
得られた混合物10gを、図7の構成例に示すように、耐熱性反応容器5としての内径40mm、高さ40mmの窒化ホウ素製容器に充填し、耐熱性多孔質断熱材料6(電気化学工業株式会社製アルセンボードBD1700LN)に設置した。耐熱性反応容器5と耐熱性多孔質断熱材料6の間には約5mmの隙間が設けてあり、この間隙に自己発熱材料13として平均粒子径1mmの炭化ケイ素砥粒を充填した。
非酸化雰囲気中での加熱を行うため、上記の、原料粉末4を充填した耐熱性反応容器5及び自己発熱材料13を内部に設置した耐熱性多孔質断熱材料6をさらに内径120mmの石英管からなる耐熱性容器7の内部に設置した。
なお、耐熱性多孔質断熱材料6の側面には、温度測定用にφ5mmの測温穴10を設けて、放射温度計8を用いて自己発熱材料13の温度を測定した。
上記の構成の装置を、電磁波チャンバー3内に設置した。耐熱性容器7の下部非酸化雰囲気ガス導入口11より窒素を4L/分の流量で5分以上流して、耐熱性容器7内部を窒素で満たした。なお、窒素は電磁波照射による加熱中も流し続けた。
電磁波チャンバー3には、図示しない電磁波が漏洩しない小さな孔を設けて、そこから耐熱性容器7を通して放射温度計8により自己発熱材料13の温度を測定した。
電磁波発振器1(最大周波数2.45GHz、最大出力1.5kW×4台=6kW)により、電磁波チャンバー3内に電磁波を照射し、自己発熱材料13、耐熱性反応容器5、及び原料粉末4から構成される領域の加熱を行った。電磁波出力を徐々に上げて、最終的には1200Wまで出力を増加させ、60分で自己発熱材料13の温度を1500℃まで加熱した。
1500℃で30分間保持した後、電磁波出力を0にして原料粉末4全体を室温まで冷却した。なお、図13に示す装置構成により予め測定した図14の自己発熱材料の温度と原料粉末内部の温度の校正曲線より推定される原料粉末4内部の温度は1650℃であった。
このようにして得られた合成粉末は、耐熱性反応容器5内部の位置で合成物の特性は大きく異なった。合成粉末内部は、うす緑色を呈し、一方、その外周部は灰色の粉末であった。X線粉末回折の結果、合成粉末内部はほぼSiCの単一相であったが、大部分の外周部は、20度付近のブロードなピークを持つアモルファス相、β型SiC微量、微量のα型SiCから構成される混合物であった(図8参照)。
なお、外周部の粉末は、空気中800度での熱処理を行ってもこのアモルファス相に起因するブロードなピークは消失しなかった。
(比較例2)
電磁波照射による炭化ケイ素合成と比較するために,通常の外熱炉による合成実験を行った。実施例1と同様の手順で配合を行い、得られた原料粉末10gを、耐熱性反応容器としての窒化ホウ素製容器に充填し、さらに該耐熱性反応容器を炭素製の容器内に設置し、カーボンヒーター炉を用いて加熱した。加熱条件は昇温速度を20℃/min、保持温度を1700℃、保持時間を30分とした。
なお、雰囲気ガスは窒素とし、加熱を通して1L/minの流量で窒素を流した。保持終了後は加熱電源を切り、自然冷却を行った。得られた粉末は黒色を有し、図9のX線回折パターンに示すように未反応のSiOとSiCから構成され、完全に反応が完結していなかった。
なお、比較例2と実施例1について、加熱時の総電力を電力計を用いて測定した。その結果、比較例2の外熱では18500Wh、一方、電磁波加熱で炭化ケイ素が合成された実施例1では、2000Whであり、電磁波加熱は外熱に比べて消費電力は約1/9と極めて効率の良い省エネルギープロセスであることが確認された。
1 電磁波発振器(マグネトロン)
2 アイソレータ
3 電磁波チャンバー
4 原料粉末
5 耐熱性反応容器
6 耐熱性多孔質断熱材料
7 耐熱性容器(石英製反応管)
8 放射温度計
9 耐熱金属シース熱電対
10 測温穴
11 非酸化雰囲気ガス導入口
12 非酸化雰囲気ガス排出口
13 自己発熱材料
14 副生ガス通気孔
15 空間
16 撹拌羽
17 撹拌棒
18 撹拌用モーター
19 自己発熱性耐熱性反応容器
20 自己発熱性耐熱性反応容器の副生ガス通気孔
21 気密性電磁波チャンバーの非酸化雰囲気ガス導入口
22 気密性電磁波チャンバーの非酸化雰囲気ガス排出口

Claims (15)

  1. 電磁波照射を利用するシリカの炭素熱還元による炭化ケイ素粉末の製造方法において、副生ガス通気孔を有するとともに外周部に自己発熱材料が、さらに、該自己発熱材料の周囲に耐熱性多孔質断熱材料が配置された耐熱性反応器内に、シリカ源と炭素源を含む原料を充填した後、電磁波を照射することにより、自己発熱材料を介して原料を非酸化雰囲気中で加熱することを特徴とする炭化ケイ素微粉末の製造方法。
  2. 自己発熱材料の表面が観察できる位置に、耐熱性多孔質断熱材料に測温用の貫通孔を設け、放射温度計により該測温穴を通して測定される自己発熱材料の温度を基準として、加熱温度の制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の炭化ケイ素微粉末の製造方法。
  3. 電磁波照射を利用するシリカの炭素熱還元による炭化ケイ素粉末の製造方法において、副生ガス通気孔を有するとともにその周囲に耐熱性多孔質断熱材料が配置され、かつ自己発熱材料で形成された耐熱性反応容器に、シリカ源と炭素源を含む原料を充填した後、電磁波を照射することにより、該耐熱性容器を介して原料を非酸化雰囲気中で加熱することを特徴とする炭化ケイ素微粉末の製造方法。
  4. 耐熱性反応容器の表面が観察できる位置に、耐熱性多孔質断熱材に測温用の貫通孔を設け、放射温度計により該測温穴を通して測定される自己発熱材料の温度を基準として、加熱温度の制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の炭化ケイ素微粉末の製造方法。
  5. 自己発熱材料が炭化ケイ素を含む材料であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の炭化ケイ素微粉末の製造方法。
  6. 耐熱性反応容器が炭化ケイ素を含む材料で形成されていることを特徴とする請求項3または4に記載の炭化ケイ素微粉末の製造方法。
  7. シリカ源と炭素源を混合した原料が粉末状あるいは顆粒状であり流動性を有し、耐熱性容器に充填された該原料粉体を撹拌することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の炭化ケイ素微粉末の製造方法。
  8. 照射する電磁波の周波数が0.5〜30GHzであることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の炭化ケイ素微粉末の製造方法。
  9. 非酸化雰囲気が、窒素の単体ガス、または、窒素に、水素、一酸化炭素、アルゴンの群から選ばれる少なくとも一種類のガスを添加した混合ガスであることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の炭化ケイ素微粉末の製造方法。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載の方法により製造されたことを特徴とする炭化ケイ素微粉末。
  11. 電磁波照射を利用するシリカの炭素熱還元による炭化ケイ素粉末の製造装置において、シリカ源と炭素源を含む原料を充填する副生ガス通気孔を有する耐熱性反応容器と、該耐熱性反応容器の外周部に配置された電磁波吸収特性の大きな自己発熱材料と、該自己発熱材料の周囲に配置された耐熱性多孔質断熱材料と、非酸化雰囲気ガスの導入口と排出口を有する耐熱性容器と、電磁波発振器を有する電磁波チャンバーとを備えたことを特徴とする炭化ケイ素微粉末の製造装置。
  12. 電磁波照射を利用するシリカの炭素熱還元による炭化ケイ素粉末の製造装置において、シリカ源と炭素源を含む原料を充填する、副生ガス通気孔を有し且つ電磁波吸収特性の大きな自己発熱材料で形成された耐熱性反応容器と、その周囲に配置された耐熱性多孔質断熱材料と、非酸化雰囲気ガスの導入口と排出口を有する耐熱性容器と、電磁波発振器を有する電磁波チャンバーとを備えたことを特徴とする炭化ケイ素微粉末の製造装置。
  13. 電磁波照射を利用するシリカの炭素熱還元による炭化ケイ素粉末の製造装置において、シリカ源と炭素源を含む原料を充填する副生ガス通気孔を有する耐熱性反応容器と、該耐熱性反応容器の外周部に配置された電磁波吸収特性の大きな自己発熱材料と、該自己発熱材料の周囲に配置された耐熱性多孔質断熱材料と、電磁波発振器と非酸化雰囲気ガスの導入口と排出口を有する電磁波チャンバーとを備えたことを特徴とする炭化ケイ素微粉末の製造装置。
  14. 電磁波照射を利用するシリカの炭素熱還元による炭化ケイ素粉末の製造装置において、シリカ源と炭素源を含む原料を充填する、副生ガス通気孔を有し且つ電磁波吸収特性の大きな自己発熱材料で形成された耐熱性反応容器と、その周囲に配置された耐熱性多孔質断熱材料と、電磁波発振器と非酸化雰囲気ガスの導入口と排出口を有する電磁波チャンバーとを備えたことを特徴とする炭化ケイ素微粉末の製造装置。
  15. 加熱時の温度制御を電磁波吸収特性の大きな自己発熱材料または該自己発熱材料で形成された耐熱性反応容器の温度測定を介して行うことを特徴とする請求項11から14のいずれか一項に記載の炭化ケイ素微粉末の製造装置。
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