JP2012245678A - 積層シート並びに成形体及びその使用方法 - Google Patents

積層シート並びに成形体及びその使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】緩衝材やクッション材を用いることなく、表面が傷付き易い樹脂被膜で被覆された機器や部材と接触した状態で、前記機器や部材を搬送するのに有用であり、振動や衝撃が作用しても、表面に傷や摩耗が発生しない積層シートを提供する。
【解決手段】ポリプロピレン系樹脂を含む基材層(A)の少なくとも一方の面に、前記樹脂被膜と接触可能であり、ポリエチレン系樹脂を含む表層(B)を形成する。この積層シートは、表面が樹脂被膜で被覆された被搬送体を接触状態で搬送するために用いられる。前記基材層(A)は、さらに低密度ポリエチレン系樹脂を含んでいてもよい。前記表層(B)のポリエチレン系樹脂は高密度ポリエチレン系樹脂であってもよい。前記表層(B)は、さらに高分子型帯電防止剤を含んでいてもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、表面が傷付き易い合成樹脂被膜で被覆された機器や部材を搬送するための成形体(包装容器)に有用な積層シート、並びにこの積層シートで形成された成形体及びその使用方法に関する。
携帯電話やパソコンなどの電気・電子機器、自動車内装及び外装部材などの部材のための包装形態としては、トレー(インジェクショントレー、真空成形トレーなど)、マガジン、キャリアテープ(エンボスキャリアテープなど)などの包装・収容容器などが使用されている。これらの成形品では、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂やポリスチレンなどのスチレン系樹脂などで構成された樹脂シートを熱成形や打ち抜き成形によって所定形状に成形加工することにより得られる。前記電気・電子機器や部材の中でも、携帯電話などでは、高い意匠性を付与するために表面に高性能塗料で被覆されていることが多いが、高性能塗料で形成された被膜は、傷付き易いため、前記包装・収容容器には、搬送時に機器や部材の表面を傷付けないための防傷性も要求される。特に、このような被膜が形成された機器や部材を搬送する場合には、発泡ポリエチレンシートなどの緩衝材又はクッション材で包んで搬送されている。
なお、電子部品の包装・収容容器に関して、例えば、特開2004−90609号公報(特許文献1)には、基材層の少なくとも一方の面に、オレフィン系樹脂及び高分子型帯電防止剤で構成された表層が形成された帯電防止性樹脂積層シートが開示されている。この文献には、オレフィン系樹脂として、ポリプロピレンを主成分とするポリプロピレン系樹脂を用いるのが好ましく、耐摩耗性の点から、ポリエチレン系樹脂(例えば、低密度ポリエチレンなど)と組み合わせてもよいことが記載されている。また、基材層や表層において、さらに相溶化剤を含んでいてもよく、基材層に含有させる相溶化剤としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体が記載され、表層に含有させる相溶化剤としては、エポキシ基などの官能基を有する変性オレフィン系樹脂が記載されている。さらに、この積層シートは帯電防止性に優れるため、搬送用成形品(例えば、電子部品搬送用トレーなど)に有用であることが記載されている。
しかし、この積層シートの表層は、主成分としてポリプロピレンを含むため、防傷性が低く、高性能塗料で被覆された筐体で形成された携帯電話を収容して搬送する場合、使用の形態によっては、積層シートと前記筐体とが自重又は所定の荷重が作用した状態で繰り返し擦れると、前記筐体の表面が摩耗したり、擦過痕が発生する。また、この積層シートは、層間接着強度も充分でない。
また、特開2007−253523号公報(特許文献2)には、表面層の間に少なくとも1層の支持層を有する積層体であって、前記支持層がガラス転移点50℃以上である熱可塑性樹脂からなり、かつ前記表面層が、いずれもガラス転移点0℃以下、融点110℃以上である熱可塑性樹脂と高分子型帯電防止剤を含む樹脂組成物からなる積層体が開示されています。この文献には、表面層としては、エチレン系樹脂又はプロピレン系樹脂が好ましいと記載され、実施例では、高密度ポリエチレンが使用されている。支持層としては、エステル系樹脂、スチレン系樹脂、アミド樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、塩化ビニル樹脂、カーボネート樹脂、ABS樹脂が記載され、実施例では、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)が使用されている。また、この積層体は、支持層と表面層との密着力が低いためか、両層の間に、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体及び/又はエチレン・酢酸ビニル共重合体を含む中間層を形成することが記載され、実施例では、前記中間層と接着剤とを介して、表面層と支持層とが積層されている。さらに、この積層体が電子部品搬送用トレイに利用され、振動により搬送トレイ表面が削れ、樹脂粉により電子部品を汚染しないことが記載されている。
しかし、この積層体では、積層構造が複雑であり、生産性が低い。さらに、非搬送体自体の傷については記載されておらず、表面が傷付き易い機器や部材に用いたとしても、防傷性は充分でない。
特開2004−90609号公報(特許請求の範囲、段落[0042][0054][0069]) 特開2007−253523号公報(特許請求の範囲、段落[0002][0008][0012]、実施例)
従って、本発明の目的は、緩衝材やクッション材を用いることなく、表面が傷付き易い樹脂被膜(薄膜)で被覆された機器や部材と接触した状態で、前記機器や部材を搬送するのに有用であり、振動や衝撃が作用しても、表面に傷(擦過痕)や摩耗が発生しない積層シート並びに成形体及びその使用方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、剛性、耐衝撃性などの機械的特性、押出加工性などの成形性に優れた積層シート並びに成形体及びその使用方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、導電性を有するとともに、耐摩耗性も向上できる積層シート並びに成形体及びその使用方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、接着層を介在させることなく、層間接着強度を向上できる積層シート並びに成形体及びその使用方法を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、簡便に搬送でき、かつ生産性も高い積層シート並びに成形体及びその使用方法を提供することにある。
本発明者は、まず、発泡ポリエチレンシートなどの柔軟な緩衝材又はクッション材の代替物として、軟質のエラストマー成分を含む表層を有する積層シートを検討したが、表面が傷付き易い樹脂被膜(薄膜)で被覆された機器や部材の表面の傷や摩耗を抑制することはできなかった。次に、ポリエチレン系樹脂を含む表層を有する積層シートについて検討したところ、思いがけないことに、低密度ポリエチレンより硬質な高密度ポリエチレンの方が前記機器や部材の表面に対する傷や摩耗の抑制効果が大きいことが判明した。
さらに、本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ポリプロピレン系樹脂を含む基材層(A)の少なくとも一方の面に、前記樹脂被膜と接触可能であり、高密度ポリエチレンを含む表層(B)を形成することにより、緩衝材やクッション材を用いることなく、表面が傷付き易い樹脂被膜で被覆された機器や部材と接触した状態で、前記機器や部材を搬送するのに有用であること、具体的には、搬送過程において、振動や衝撃が作用することにより、前記積層シート(表層)と前記機器又は部材とが、自重又は所定の荷重が作用した状態で繰り返し擦れても、前記機器又は部材の表面に傷や摩耗が発生しないことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の積層シートは、表面が樹脂被膜で被覆された被搬送体を接触状態で搬送するための積層シートであって、ポリプロピレン系樹脂を含む基材層(A)の少なくとも一方の面に、前記樹脂被膜と接触可能であり、高密度ポリエチレンを含む表層(B)が形成されている。前記樹脂被膜は合成樹脂塗料の塗装膜であってもよい。前記樹脂被膜の厚みは1〜100μm程度であってもよく、前記被搬送体は合成樹脂で形成されていてもよい。前記樹脂被膜は、携帯電話の筐体の表面を被覆したアクリル樹脂塗料の塗装膜であってもよい。また、塗装膜は、最上層として硬度の高い塗膜が得られるUV塗料を用いてクリアコートされていてもよい。
前記基材層(A)は、さらに低密度ポリエチレンを含んでいてもよい。前記低密度ポリエチレンの割合は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して10〜50重量部程度であってもよい。
前記表層(B)は、さらに高分子型帯電防止剤を含んでいてもよい。前記高分子型帯電防止剤の割合は、高密度ポリエチレン100重量部に対して10〜30重量部程度であってもよい。
本発明の積層シートは、前記基材層(A)と前記表層(B)との間に接着層が介在しないシートであってもよい。本発明の積層シートは、前記基材層(A)及び前記表層(B)がスチレン系樹脂及びスチレン系エラストマーを実質的に含有しないシートであってもよい。
本発明には、前記積層シートで形成された成形体も含まれる。この成形体は、表面が樹脂被膜で被覆された被搬送体と接触可能であってもよい。
本発明には、表面が樹脂被膜で被覆された被搬送体と接触した状態で、前記被搬送体を搬送用成形体に収容して搬送する方法において、この搬送用成形体として、前記成形体を使用する方法も含まれる。
本発明では、ポリプロピレン系樹脂を含む基材層(A)の少なくとも一方の面に、前記樹脂被膜と接触可能であり、高密度ポリエチレンを含む表層(B)が形成されているため、緩衝材やクッション材を用いることなく、表面が傷付き易い樹脂被膜で被覆された機器や部材と接触した状態で、前記機器や部材を搬送する用途に適している。具体的には、搬送過程において、振動や衝撃が作用して、積層シートの表層と前記機器又は部材とが自重又は所定の荷重で作用した状態で繰り返し擦れても、前記樹脂又は部材の表面に傷や摩耗が発生しない。特に、基材層(A)がさらに低密度ポリエチレン系樹脂を含むことにより、剛性や耐衝撃性などの機械的特性、押出加工性などの成形性のバランスに優れる。また、表層(B)がさらに高分子型帯電防止剤を含むことにより、導電性を有するとともに、耐摩耗性も向上できる。また、基材層(A)及び表層(B)がいずれもオレフィン系樹脂を含むため、接着層を介在させることなく、層間接着強度を向上できる。さらに、緩衝材やクッション材で包む必要がなく、簡便に搬送できるとともに、接着層が不要で、積層構造が単純であり、共押出などにより簡便に製造できるため、生産性も高い。
本発明の積層シートは、少なくとも表面が樹脂被膜で被覆された機器又は部材(被搬送体)を接触状態で搬送するための成形体を形成するのに有用なシートである。
[被搬送体]
被搬送体は、表面が樹脂被膜(薄膜)で被覆された機器又は部材である。樹脂被膜は、被搬送体の保護、装飾、劣化防止などを目的として形成される樹脂被膜であればよいが、通常、合成樹脂塗料の塗装膜である。
合成樹脂塗料の成膜成分である合成樹脂としては、塗料に使用される慣用の合成樹脂、例えば、アルキド樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。これらの合成樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの合成樹脂塗料のうち、被搬送体の装飾に汎用され、傷付き易い点から、アクリル樹脂塗料に対して本発明の積層シートは有効である。アクリル樹脂塗料としては、慣用のアクリル樹脂塗料、例えば、有機溶剤型塗料(例えば、熱可塑性アクリル樹脂を含むアクリルラッカー、熱硬化性アクリル樹脂を含む塗料、2液型アクリル樹脂を含む塗料など)、水性塗料(例えば、アクリルエマルジョン塗料など)、無溶剤型塗料(例えば、光硬化性アクリル樹脂を含む塗料、熱可塑性アクリル粉体塗料、熱硬化性アクリル粉体塗料など)などが挙げられる。
アクリル樹脂の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、などのC1−24アルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC2−10アルキル(メタ)アクリレートグリシジル(メタ)アクリレートなどが例示できる。
アクリル樹脂のオリゴマーとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート(ポリエステル型ウレタンジ(メタ)アクリレート、ポリエーテル型ウレタンジ(メタ)アクリレートなど)、エポキシ(メタ)アクリレート(ビスフェノールA型エポキシジ(メタ)アクリレート、ノボラック型エポキシジ(メタ)アクリレートなど)、ポリエステルジ(メタ)アクリレート(例えば、脂肪族ポリエステル型ジ(メタ)アクリレート、芳香族ポリエステル型ジ(メタ)アクリレートなど)、(ポリ)ウレタンジ(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
硬化性アクリル樹脂において、これらの単量体及びオリゴマーは、プレポリマーであってもよい。
アクリル樹脂の共重合性単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、マレイン酸、イタコン酸、酢酸ビニルなどが挙げられる。
これらのアクリル樹脂塗料のうち、本発明の積層シートは、樹脂被膜の膜強度が低い非焼付け塗料、例えば、常温硬化型塗料や乾燥により塗膜を形成する乾燥型塗料、例えば、アクリルラッカー、2液型アクリル樹脂を含む塗料、光硬化性アクリル樹脂を含む塗料に対して効果的である。
合成樹脂塗料には、慣用の塗膜成分、例えば、可塑剤、硬化剤、顔料などの着色剤、顔料分散剤、金属粉などの光沢剤などが含まれていてもよい。これらの塗膜成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
合成樹脂塗料の塗装膜は、複数の層が積層されていてもよく、例えば、顔料などの着色剤を含む塗料の塗装膜の上に、さらに透明な塗料の塗装膜(クリアコート膜)が形成されていてもよい。
樹脂被膜の厚みは、例えば、1〜100μm、好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは10〜30μm程度である。本発明では、このような薄膜の樹脂被膜に対して効果的である。
被搬送体(又は樹脂被膜を塗装するためのベース基材)の材質としては、特に限定されず、有機材料(熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などのプラスチックなど)、無機材料(金属、セラミック、ガラスなど)のいずれであってもよいが、焼付け塗料による被膜が困難であり、傷付き易い樹脂被膜が形成され易いプラスチック、特に、合成樹脂であってもよい。
被搬送体としては、樹脂被膜が形成されていれば特に限定されず、各種の電気・電子機器や光学機器、自動車内装及び外装部材などの部材などが挙げられる。これらの機器や部材のうち、高い装飾性が要求され、傷付き易い樹脂被膜が形成される用途、携帯電話、パソコンなどのOA機器、電子遊戯具(特に、携帯電話の筐体)に対して本発明の積層シートは効果的である。
[積層シート]
本発明の積層シートは、ポリプロピレン系樹脂を含む基材層(A)の少なくとも一方の面(特に、両面)に、表面が樹脂被膜で被覆された被搬送体と接触可能であり、高密度ポリエチレンを含む表層(B)が形成されている積層シートである。
(A)基材層
(ポリプロピレン系樹脂)
ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体の他、プロピレン系共重合体であってもよい。共重合性単量体としては、プロピレン以外のα−オレフィン類[例えば、エチレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチルペンテン、4−メチルペンテン、4−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンなどのα−C2−16オレフィン(特にエチレンやブテンなどのα−C2−6オレフィン)など]、酢酸ビニルなどの有機酸ビニルエステル、(メタ)アクリル酸などの(メタ)アクリル酸系単量体などが例示できる。これらの共重合性単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
プロピレン系共重合体において、プロピレンと共重合性単量体(例えば、エチレンなどのα−オレフィン)との割合(モル比)は、前者/後者=70/30〜99.9/0.1、好ましくは80/20〜99.5/0.5、さらに好ましくは90/10〜99/1程度であってもよい。
さらに、ポリプロピレン系樹脂は、結晶性ポリプロピレン系樹脂であってもよく、非結晶性ポリプロピレン系樹脂であってもよい。
ポリプロピレン系樹脂は、例えば、プロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテンランダム三元共重合体などが挙げられる。
これらのポリプロピレン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、剛性や耐熱性などの点から、結晶性ポリプロピレン系樹脂、特に、ポリプロピレンホモポリマー(結晶性ポリプロピレンホモポリマー)が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂は、アタクチック重合体であってもよく、アイソタクチック、シンジオタクチック、メタロセン触媒を用いて得られるポリプロピレン系樹脂などの立体規則性を有する構造であってもよい。これらのうち、結晶性や簡便性などの点から、アイソタクチック構造を有するポリプロピレン系樹脂が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、0.01〜10g/10分、好ましくは0.05〜5g/10分、さらに好ましくは0.1〜1g/10分(特に0.15〜0.5g/10分)程度である。MFRが高すぎると、熱成形時にドローダウンし易くなり、二次成形が困難となる。また、成形品の厚みが不均一になるだけでなく、しわの原因になる。一方、MFRが低すぎると、押出成形が困難となる。なお、MFRは、JIS K 7210に準じて、温度230℃、荷重2.16kgf(21.2N)で測定できる。
(ポリエチレン系樹脂)
基材層(A)は、成形性を向上させるために、さらにポリエチレン系樹脂を含んでいてもよい。
ポリエチレン系樹脂は、エチレン単独重合体の他、エチレン系共重合体であってもよい。共重合性単量体としては、プロピレンの他、前記ポリプロピレン系樹脂の項で例示されたα−C4−16オレフィン、有機酸ビニルエステル、(メタ)アクリル酸系単量体との共重合体などが例示できる。α−オレフィンは、例えば、1−ヘキサンや1−オクテンなどの直鎖状α−C5−8オレフィンなどであってもよい。
エチレン系共重合体において、エチレンと共重合性単量体(例えば、エチレン以外のα−オレフィン)との割合(モル比)は、前者/後者=70/30〜99.9/0.1、好ましくは80/20〜99.5/0.5、さらに好ましくは90/10〜99/1程度であってもよい。
ポリエチレン系樹脂は、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン(例えば、直鎖状低密度ポリエチレンなど)、分岐鎖状ポリエチレン、低分子量ポリエチレン、アイオノマー、塩素化ポリエチレンなどであってもよい。これらのポリエチレン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのポリエチレン系樹脂のうち、エチレン単独重合体が好ましく、シート成形におけるドローダウンを抑制する点から、低密度ポリエチレンが特に好ましい。低密度ポリエチレンには、いわゆる低密度ポリエチレン(LDPE)の他、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)も含まれる。低密度ポリエチレンの密度は、JIS K7112に準拠して、例えば、900kg/m以上940kg/m未満、好ましくは905〜930kg/m、さらに好ましくは910〜925kg/m程度である。
ポリエチレン系樹脂のMFRも、ポリプロピレン系樹脂と同様の理由から、例えば、0.01〜10g/10分、好ましくは0.05〜5g/10分、さらに好ましくは0.1〜1g/10分(特に0.15〜0.5g/10分)程度である。なお、MFRは、JIS K 7210に準じて、試験温度190℃、荷重2.16kgf(21.2N)で測定できる。
ポリエチレン系樹脂(特に、低密度ポリエチレン)の割合は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して100重量部以下(例えば、0〜100重量部)であってもよく、例えば、1〜80重量部、好ましくは10〜50重量部、さらに好ましくは15〜40重量部(特に20〜30重量部)程度である。特に、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、低密度ポリエチレン10〜50重量部を含むと、ドローダウンを効果的に抑制できる。
(他の添加剤)
基材層(A)は、必要に応じて、種々の添加剤、例えば、安定剤(例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤など)、難燃剤、防曇剤、分散剤、離型剤、可塑剤(フタル酸エステル、脂肪酸系可塑剤、リン酸系可塑剤など)、帯電防止剤、抗菌剤、着色剤、充填剤、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維などの繊維充填剤など)、流動性改良剤、増粘剤、レベリング剤、消泡剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
基材層(A)は、ゴムや熱可塑性エラストマーなどの軟質成分、特に、スチレン系熱可塑性エラストマーを実質的に含んでいないのが好ましく、軟質成分を含んでいなくても、防傷性を向上できる。さらに、基材層(A)は、スチレン系樹脂を実質的に含んでいないのが好ましい。
本明細書において、「実質的に含まない」とは、例えば、表層(A)全体に対して、スチレン系熱可塑性エラストマーの含有量が、例えば、10重量%以下、好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下(例えば、0.01〜0.1重量%程度)であってもよいことを意味する。
基材層(A)の厚みは、用途に応じて適当に選択でき、例えば、0.1〜1.5mm、好ましくは0.2〜1.4mm、さらに好ましくは0.4〜1.2mm(例えば、0.6〜1.0mm)程度であってもよい。
(B)表層
(高密度ポリエチレン)
表層(B)は、高密度ポリエチレンを含む。高密度ポリエチレンの密度は、JIS K7112に準拠して、例えば、940〜970kg/m、好ましくは945〜965kg/m、さらに好ましくは950〜970kg/m(特に950〜965kg/m)程度である。本発明では、表層(B)の主成分として、高密度ポリエチレンを用いることにより、防傷性を向上できる。すなわち、本発明では、被搬送体と接触する表層(B)として、当業者の予想に反して、低密度又は中密度ポリエチレンよりも剛性が大きく、硬質の高密度ポリエチレンを用いることにより、発泡体などの軟質の緩衝材を用いることなく、被搬送体に対する防傷性を向上できる。
高密度ポリエチレンのMFRは、例えば、0.01〜50g/10分、好ましくは0.1〜30g/10分、さらに好ましくは1〜20g/10分(特に2〜10g/10分)程度である。なお、MFRは、JIS K 7210に準じて、温度190℃、荷重2.16kgf(21.2N)で測定できる。
(高分子型帯電防止剤)
表層(B)は、高密度ポリエチレンのみで形成されていてもよいが、高分子型帯電防止剤を含んでいてもよい。本発明では、高分子型帯電防止剤を含むことにより、導電性を付与できるだけでなく、防傷性も向上できる。すなわち、高密度ポリエチレンに高分子型帯電防止剤を配合することにより、積層シートの帯電を防止できるだけでなく、滑り性や柔軟性が向上するためか、被搬送体に対する防傷性も向上できる。
高分子型帯電防止剤としては、高分子量(例えば、数平均分子量1000以上)である限り、特に制限されず、例えば、オレフィン系ブロック及び/又はポリアミド系ブロックと、親水性ブロックとのブロック共重合体などが例示できるが、ポリエチレン系樹脂(b1)との親和性や分散性などの点から、オレフィン系ブロックと親水性ブロックとのブロック共重合体が好ましい。
前記オレフィン系ブロックを構成するオレフィン系単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどのC2−6オレフィンが例示できる。これらのオレフィンのうち、エチレン及びプロピレンから選択された少なくとも一種が好ましく、特に、少なくともプロピレンを含むのが好ましい。オレフィン系単量体のうち、プロピレンの割合は80モル%以上(特に90モル%以上)が好ましい。ポリオレフィンブロックにおいて、オレフィン系単量体(C2−6オレフィン、特にエチレン及び/又はプロピレン)の含有量は、80モル%以上(特に90モル%以上)程度であってもよい。ポリオレフィンブロックの数平均分子量は、2000〜50000、好ましくは3000〜40000、さらに好ましくは5000〜30000程度であってもよい。
親水性ブロックとしては、例えば、ポリエーテル系ポリマー(又はノニオン性ポリマー)、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマーなどが例示できる。親水性ブロックを構成する親水性単量体としては、アルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどのC2−6アルキレンオキシド)、特にエチレンオキシドやプロピレンオキシドなどのC2−4アルキレンオキシドなどが好ましい。好ましい親水性ブロックとしては、ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドなどのポリC2−4アルキレンオキシド)が好ましい。ポリアルキレンオキシドの平均重合度は2〜300(例えば、5〜200)、好ましくは10〜150、さらに好ましくは10〜100程度であってもよい。
前記オレフィン系ブロックと、親水性ブロックとは、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、イミド結合などを介して結合されていてもよい。これらの結合は、例えば、ポリオレフィンを変性剤で変性した後、親水性ブロックを導入することにより形成できる。例えば、ポリオレフィンを変性剤で変性して活性水素原子を導入した後、アルキレンオキシドなどの親水性単量体を付加重合することによって導入される。このような変性剤としては、例えば、不飽和カルボン酸又はその無水物((無水)マレイン酸など)、ラクタム又はアミノカルボン酸(カプロラクタムなど)、酸素又はオゾン、ヒドロキシルアミン(2−アミノエタノールなど)、ジアミン(エチレンジアミンなど)又はこれらの組み合わせなどが例示できる。
高分子型帯電防止剤中のナトリウムイオン(Na)及び硫酸イオン(SO 2−)の含有量は、それぞれ、例えば、1〜150ppm、好ましくは1.5〜130ppm、さらに好ましくは2〜120ppm程度であってもよい。
高分子型帯電防止剤のMFRは、1〜20g/10分、好ましくは5〜18g/10分、さらに好ましくは7〜15g/10分程度であってもよい。なお、MFRは、ASTM D 1238に準拠して、試験温度190℃、公称荷重2.16kgf(21.2N)の条件で測定できる。
高分子型帯電防止剤の割合は、高密度ポリエチレン100重量部に対して、5〜35重量部、好ましくは10〜30重量部、さらに好ましくは15〜25重量部程度であってもよい。
高分子型帯電防止剤を含む表層(B)の表面固有抵抗率は、JIS K 7194に準拠した方法(成形後温度20℃、湿度20%RHで2日間経過したとき)において、例えば、1013Ω/□以下、好ましくは10〜1013Ω/□程度)、さらに好ましくは10〜1012Ω/□程度である。
表層(B)も、必要に応じて、基材層(A)と同様の添加剤を含んでいてもよい。
表層(B)は、ゴムや熱可塑性エラストマーなどの軟質成分、特に、スチレン系熱可塑性エラストマーを実質的に含んでいないのが好ましく、軟質成分を含んでいなくても、防傷性を向上できる。さらに、表層(B)は、スチレン系樹脂を実質的に含んでいないのが好ましい。
表層(B)(又は積層シート)の耐摩耗性は、例えば、0〜2.0mg程度であり、例えば、0〜1.8mg、好ましくは0〜1.5mg、さらに好ましくは0〜1.3mg(特に0〜1.2mg)程度である。特に、本発明では、1mg前後(例えば、0.8〜1.2mg程度)の耐摩耗性を容易に実現できる。なお、耐摩耗性は、JIS K7204に準拠して、摩耗輪CS−17、加重4.9N×2、測定回数1000回転、回転速度72rpmの条件でテーバー摩耗試験を行い、試験前後の質量差として算出できる。
表層(B)の厚み(表層(B)が基材層(A)の両面に形成されている場合は、その和)は、用途に応じて適当に選択でき、例えば、0.005〜0.6mm、好ましくは0.01〜0.5mm、さらに好ましくは0.05〜0.45mm程度であってもよい。
表層(B)(基材層(A)の両面に表層(B)が形成されている場合は、その和)の厚みを1とすると、基材層(A)の厚みは、例えば、1〜20、好ましくは1.5〜15、さらに好ましくは3〜10程度であってもよい。このような範囲にあると、均一な厚みのシートを形成できるとともに、剛性にも優れる。
基材層(A)と表層(B)との厚みの総和は、例えば、0.5〜1.5mm、好ましくは0.6〜1.4mm、さらに好ましくは0.8〜1.2mm程度であってもよい。
表層(B)は、基材層(A)の少なくとも一方の面に形成されていればよく、両面に形成されていてもよい。
本発明の積層シートは、被搬送体(傷付き易い樹脂被膜で被覆された機器又は部材)と接触して、所定の荷重が作用した状態で、振動や衝撃が加えられて、両者が繰り返し擦れても、前記被搬送体に傷や摩耗が生成することを有効に抑制できる。例えば、本発明の積層シートは、適度な滑り性及び柔らかさを有しているため、前記被搬送体を傷付けず、積層シート自体の摩耗による粉の発生も少ない。
本発明の積層シートは、適度な剛性を有しており、引張弾性率が、例えば、500〜2500MPa、好ましくは1000〜2000MPa、さらに好ましくは1200〜1500MPa程度であってもよい。なお、引張弾性率は、テンシロン((株)エー・アンド・デイ製、商品名「RTA500」)により、試験速度200mm/分で測定でき、シート流れ方向(MD方向)及び幅方向(TD方向)の平均値として算出できる。
本発明の積層シートは、層間の密着性に優れており、例えば、テンシロン((株)エー・アンド・デイ製、商品名「RTA500」)により、試験速度200mm/分でキャストロール側の表層を180°でMD方向に剥離せて強度を測定する方法では、剥離せず、強度の測定ができない。
[積層シートの製造方法]
積層シートの製造方法は、特に制限されず、各層の各成分を混合して樹脂組成物を調製した後、慣用の方法によりシート状に成形する方法であってもよい。樹脂組成物は、各成分の粉粒体の混合物であってもよく、各成分を混練して調製してもよい。混練には、慣用の方法を用いることができ、例えば、各成分をヘンシェルミキサーやリボンミキサーで乾式混合し、単軸又は二軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどの慣用の溶融混合機に供給して溶融混練することができる。樹脂組成物は、ペレットの形態であってもよい。また、混練の配合順序は限定されない。
シート状に成形する方法としては、例えば、エキストルージョン法[ダイ(フラット状、T状(T−ダイ)、円筒状(サーキュラダイ)等)法、インフレーション法など]などの押出成形法などが挙げられる。これらの成形方法のうち、特に、T−ダイを用いた押出成形法が好ましい。樹脂シートは、得られた各シートをヒートラミネーションやドライラミネーションなどの方法により調製してもよいが、各構成層用の樹脂組成物を、汎用のフィードブロック付きダイやマルチマニホールドダイ等を使用して共押出する方法により調製するのが好ましい。
[二次成形方法、二次成形品]
このようにして得られた積層シートは、用途に応じて、吹込成形、真空成形、折り曲げ加工、圧空成形(圧縮空気圧成形)、マッチモールド成形、熱板成形などの慣用の熱成形などで二次成形することができる。
熱成形工程においては、ヒーター又は熱板で加熱したシートを加圧や減圧により成形し、例えば、圧空成形の場合は、加熱したシートを圧空により金型に押し当てて容器を成形する。真空成形の場合は、金型と加熱したシートとの間を真空にすることにより、加熱シートを金型側に引き込んで容器を成形する。前記金型には、空気を引き込むための小孔やスリット設けられている。
二次成形品としては、前記被搬送体を接触状態で搬送可能な成形体であれば、特に限定されないが、例えば、トレー、キャリアテープ、エンボステープ、マガジンなどの容器や包装材料などが汎用される。これらの二次成形品のうち、被搬送体(例えば、携帯電話などの電子・電気機器)を接触状態で搬送するための成形体(搬送用成形体)、特に、前記被搬送体を収容可能な凹部を有する搬送用成形体が好ましい。凹部の形態は、特に限定されず、被搬送体の形状に対応した断面コ字状やU字状の長尺状溝部や、三次元状凹部などであってもよい。また、容器は、容器を共有化するために、容器サイズに余裕を持たせ、被搬送体が動き易い形状(すなわち、被搬送体のサイズよりも大きい収容部又は凹部を有する容器)であってもよく、このような形状では、搬送により動く被搬送体が容器により傷付き易いため、効果的である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、文中、特に断わりのない限り、「部」は重量基準である。実施例における各評価項目の評価方法、及び用いた各成分の内容は以下の通りである。
[耐摩耗性]
各シートについて、JIS K7204に準拠して、摩耗輪CS−17、加重4.9N×2、測定回数1000回転、回転速度72rpmの条件でテーバー摩耗試験を行った。試験前後のサンプル質量差を摩耗輪とした。測定は3回行い、平均値で示した。
[防傷性]
厚み1mmのABS製プレートを100mm×50mmに切断し、切断したABS製プレートの片面を水性塗装スプレー EXE(ニッペホームプロダクツ(株)製 05ブラック)でムラができないように塗装し、塗装面の4つの角及び4つの稜線を紙やすりで丸めて、ダミー搬送物を作製した。実施例及び比較例で得られた積層シートを30mm×30mmに切断し、評価する面の4つの角及び4つの稜線を紙やすりで丸めて試験片とした。ダミー搬送物塗装面に試験片を10往復擦りつけ、ダミー搬送物塗装面についた傷の程度を目視確認し、以下の基準で防傷性を評価した。
1……見てすぐにわかる傷が10個以上ある
2……見てすぐにわかる傷が4〜9個ある
3……見てすぐにわかる傷が1〜3個ある
4……凝視するとわずかに傷が確認できる
5……全く傷がない。
[引張弾性率]
各シートからJIS K7133に準じた2号ダンベルを打ち抜き、サンプルを得た。このサンプルを用いて、テンシロン((株)エー・アンド・デイ製、商品名「RTA500」)により、試験速度50mm/分で測定した。測定した値は、シート流れ方向(MD方向)及び幅方向(TD方向)について測定した。
[表面固有抵抗]
各シートについて、温度20℃、湿度60%RHの条件下で2日間調湿した後、超絶縁計[日置電機(株)製、SM−8220]を用いて、JIS K6911に準じて、印加電圧100Vで、シートのキャスト側及びタッチ側について表面抵抗値を測定した。電極は、[日置電機(株)製、SM−8311]を使用した。
[層間接着強度]
各シート中央部で長手がMD方向となるように、100mm×15mmのサンプルを作成した。テンシロン((株)エー・アンド・デイ製、商品名「RTA500」)により、試験速度15mm/分でキャストロール側の表層を180°でMD方向に剥離させ、その強度を測定した。
[ドローダウン(DD)量]
各シートを、480mm角の正方形に任意で切り取り、真空単発成形機[(株)浅野研究所製、FK−0431−10]50mm幅側の両端を水平に固定し、両面からセラミックヒーターを用いて等加熱速度で昇温した。融点以上に加熱されると、シートは一旦膨張し、次いで張り戻り現象を示し、その後自重で垂れはじめる。シート中央部分の170℃における垂れ量(mm)を測定し、ドローダウン(DD)量とした。
[各成分の内容]
PP1:プロピレンホモポリマー((株)プライムポリマー製、商品名「プライムポリプロ E−105GM」、MFR(JIS K7210、230℃、21.2N):0.5g/10分)
LDPE1:低密度ポリエチレン(旭化成ケミカルズ(株)製、サンテック M1703、MFR(JIS K7210、190℃、21.2N)0.3g/10分、密度(JIS K7122)918kg/cm
HDPE:高密度ポリエチレン(日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック HJ362」、MFR(JIS K7210、190℃、21.2N):5g/10分、密度(JIS K7122)953kg/m
LDPE2:低密度ポリエチレン(日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック LF640MA」、MFR(JIS K7210、190℃、21.2N):5.0g/10分、密度(JIS K7122)924kg/m
PP2:ポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテックPP FY6C」、MFR(JIS K7210、230℃、21.2N):2.4g/10分)
GPPS:ポリスチレン系樹脂(東洋スチレン(株)製、トーヨースチロールGP HRM40、MFR(JIS K7210、200℃、49.1N)1.1g/10分)
HIPS:ゴム変性スチレン系樹脂(東洋スチレン(株)製、トーヨースチロールHI E640、MFR(JIS K7210、200℃、49.1N)2.7g/10分)
SBS:スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(旭化成ケミカルズ(株)製、タフプレン 126S、MFR(ISO1133、190℃、21.2N)4.5g/10分)
SEBS:完全水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(旭化成ケミカルズ(株)製、タフテックH1043、MFR(JIS K7210、200℃、41.9N)5g/10分)
POエラストマー:オレフィン系エラストマー(三菱化学(株)製「サーモラン 3655N」)
高分子型帯電防止剤(三洋化成工業(株)製、ペレスタット212、MFR(ASTM D1238、190℃、21.2N)12g/10分)。
実施例1〜3及び比較例1〜4
フィードブロック方式の多層押出機(二種三層押出機)の第1の単軸押出機(スクリュー径65mm、L/D=32)に、表1に示す基材層を構成する成分の混合物をシリンダー温度230℃で供給し、第2の単軸押出機(スクリュー径50mm、L/D=28)に、表1に示す表層を構成する成分の混合物をシリンダー温度220℃で供給し、フィードブロック内で、基材層の両面に表層を合流させて積層し、T−ダイキャスト法によりシート状に押出した。クロームメッキした金属製のキャストロールに金属製のタッチロールで押し当てるいわゆるタッチロール法で60℃まで冷却し、引き取り速度を調整することにより、総厚みが0.8mmで、層構成が表層/基材層/表層の積層シートを得た。
実施例及び比較例で得られた積層シートの評価結果を表1に示す。
Figure 2012245678
なお、表1中、積層シートにおいて、各表層の構成成分及び処方は同一であり、一方の表層の構成成分及び処方を示す。
表1の結果ら明らかなように、実施例の積層シートは、耐摩耗性及び防傷性に優れ、適度な合成を有する。さらに、実施例1及び2の積層シートは、導電性に優れ、実施例1及び3の積層シートはドローダウンも小さい。これに対して、比較例の積層シートは、耐摩耗性及び防傷性が低い。
本発明の積層シートは、トレー、キャリアテープ、エンボステープ、マガジンなどの容器や包装材料として有用であり、表面が傷付き易い合成樹脂被膜で被覆された機器や部材(例えば、携帯電話やパソコンなどの電気・電子機器、自動車内装及び外装部材などの部材など)を接触状態で搬送するのに有用である。特に、高い意匠性が付与され、傷付き易い樹脂被膜を有する携帯電話の筐体に対して有用であるため、携帯電話の包装材料として特に適している。また、長時間に亘り、積層シートと前記機器や部材とが擦れあう事態が想定される船舶輸送の用途に有効である。

Claims (13)

  1. 表面が樹脂被膜で被覆された被搬送体を接触状態で搬送するための積層シートであって、ポリプロピレン系樹脂を含む基材層(A)の少なくとも一方の面に、前記樹脂被膜と接触可能であり、高密度ポリエチレンを含む表層(B)が形成されている積層シート。
  2. 樹脂被膜が合成樹脂塗料の塗装膜である請求項1記載の積層シート。
  3. 樹脂被膜の厚みが1〜100μmであり、被搬送体が合成樹脂で形成されている請求項1又は2記載の積層シート。
  4. 樹脂被膜が、携帯電話の筐体の表面を被覆したアクリル樹脂塗料の塗装膜である請求項1〜3のいずれかに記載の積層シート。
  5. 基材層(A)が、さらに低密度ポリエチレンを含む請求項1〜4のいずれかに記載の積層シート。
  6. 低密度ポリエチレン系樹脂の割合が、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して10〜50重量部である請求項5記載の積層シート。
  7. 表層(B)が、さらに高分子型帯電防止剤を含む請求項1〜6のいずれかに記載の積層シート。
  8. 高分子型帯電防止剤の割合が、高密度ポリエチレン100重量部に対して10〜30重量部である請求項7記載の積層シート。
  9. 基材層(A)と表層(B)との間に接着層が介在しない請求項1〜8のいずれかに記載の積層シート。
  10. 基材層(A)及び表層(B)がスチレン系樹脂及びスチレン系エラストマーを実質的に含有しない請求項1〜9のいずれかに記載の積層シート。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の積層シートで形成された成形体。
  12. 表面が樹脂被膜で被覆された被搬送体と接触可能である請求項11記載の成形体。
  13. 表面が樹脂被膜で被覆された被搬送体と接触した状態で、前記被搬送体を搬送用成形体に収容して搬送する方法において、前記搬送用成形体として、請求項11又は12記載の成形体を使用する方法。
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