JP2012243500A - 発泡ケーブル - Google Patents

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Abstract

【課題】材料の変更や製造条件、発泡層押出機の設備改造を必要とせず、巣の発生位置を制御することで、偏芯を無くし、発泡度75%以上の良好な発泡層を有する発泡ケーブルを提供する。
【解決手段】中心導体11の外周に、充実体からなる内層12、発泡層13、充実体からなる外層14を順次設けた発泡ケーブル10において、内層12の外表面の長手周方向に、複数の凹部15を等間隔に形成したものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、GHz帯の通信周波数の電力を伝送する高周波ケーブルに係り、特に、高周波伝送時の損失を低減し、且つインピーダンス不整合を防止できる発泡ケーブルに関するものである。
GHz帯の通信周波数の電力を伝送する高周波ケーブルにおいて、中心導体を覆う絶縁体の電気特性として、誘電率ε及び誘電正接tanδが小さいことが求められる。
伝送損失は以下の式で表されるように、周波数fや誘電正接tanδ、誘電率εの平方根に比例する。
(伝送損失)∝√ε×f×tanδ
誘電率εや誘電正接tanδを低減させるには絶縁体の材料としてPE(ポリエチレン)を用いるが、誘電率εはPEを発泡させることで更なる低減が可能である。
このように絶縁体を発泡させた発泡ケーブルは既に多くの実例があり、特許文献1,2にあるように製造時における発泡ガスの噴出を防ぐため、発泡層(発泡させた絶縁体)を充実体である内層、外層で挟み込む構造を持った発泡ケーブルも多く存在する。なお、内層は中心導体と発泡層を接着させる役割も持つ。代表的な発泡ケーブルの横断面図を図8に示す。
図8に示すように、代表的な発泡ケーブル80は、中心導体81の外周に、充実体からなる内層82、発泡層83、充実体からなる外層84を順次設けてなる。ここでは、発泡ケーブルの一例として、外層84の外周に、外部導体85、シース86を順次設けた発泡同軸ケーブルを示している。
また、発泡度を高くするために、ベース樹脂や発泡核剤、発泡ガスといった材料面での開発やベース樹脂押出温度、注入ガス圧といった製造パラメータの改善といった研究はこれまでに多くなされており、現状では、発泡度75%程度の発泡ケーブルが製造されている。
しかしながら、今後要求される伝送損失を満たすため、更なる高発泡化を行うと、発泡度75%〜80%を境界に、多くの気泡が合一することによる大きな気泡(以下、巣と称す)が発生し、中心導体81が偏芯してしまう。巣の発生が原因で偏芯した発泡ケーブルの横断面図を図9に示す。
図9に示すように、内層82と発泡層83との境界面付近に巣90が発生し、これにより中心導体81が図示白抜き矢印方向に偏芯している。中心導体81が偏芯すると、インピーダンス不整合の問題が生じ、希望する最大出力を取り出せないだけでなく、高周波回路では伝送路に反射波を生じて進行波と重畳して定在波となって、感電や電波障害などの不都合が生じてしまう。また、端末コネクタが接続できなくなる問題も発生する。
これまで巣を抑制しつつ高発泡化を行う手法として、特許文献3にあるように材料面で気泡の微小均一化を目指したものや、特許文献4〜6にあるように発泡層自体の構造を変化させて空隙率を増すことで発泡度向上を目指したものなど数多く提案されている。
ところが、気泡の微小均一化に関しては材料の変更や製造条件の見直しが必要であり、改善に時間を要す。また、発泡層自体の構造を変化させて空隙率を増すことは、発泡層押出機のダイス形状といった設備の変更をしなければならず、費用がかかる。更にダイス形状を変更すると、ダイス内の樹脂圧分布が変化してしまい良好な発泡層を得られなくなる危険性がある。
そこで、本発明者らは鋭意検討を重ね、巣の発生を抑制するのではなく、巣の発生位置を制御することで、これまでに生じていた中心導体の偏芯やインピーダンス不整合といった問題を解決しようと考え、内層と発泡層との境界面付近に、周方向に沿って均一に巣を発生させるような内層構造を持つ発泡ケーブルを提案した(特願2010−107406)。
図10に示すように、本発明者らが提案した発泡ケーブル100は、内層82の外表面の周方向に、発泡ガスを溜め込むガスポケットとなる複数の凹部101を設けたものである。凹部101は、内層82の外表面に周方向に等間隔に設けられると共に長手方向に沿って溝状に設けられる。
この発泡ケーブル100では、凹部101内に巣90を発生させることで、内層82と発泡層83との境界面の周方向に沿って均一に巣90を発生させ、中心導体81の偏芯を低減することができる。
特開2005−294244号公報 特開2008−226772号公報 特開2006−339099号公報 特開2007−42399号公報 特開2002−109971号公報 特開2010−40200号公報
しかしながら、この発泡ケーブル100では、横断面では等間隔に巣90が分布しているものの、長手方向(縦断面)では巣90の大きさにバラツキが生じている。そのため、中心導体81に加えられる力の不釣り合いが生じ、中心導体81が偏芯する場合があった。
本発明は、これら事情に鑑みなされたものであり、材料の変更や製造条件、発泡層押出機の設備改造を必要とせず、巣の発生位置を制御することで、偏芯を無くし、発泡度75%以上の良好な発泡層を有する発泡ケーブルを提供することを目的とする。
この目的を達成するために創案された本発明は、中心導体の外周に、充実体からなる内層、発泡層、充実体からなる外層を順次設けた発泡ケーブルにおいて、前記内層の外表面の長手周方向に、複数の凹部を等間隔に形成した発泡ケーブルである。
前記複数の凹部を螺旋状に設けても良い。
前記内層の凹部に前記発泡層の平均気泡径よりも大きな気泡(巣)が形成されていると良い。
前記内層の凹部に形成された気泡(巣)径が前記発泡層の平均気泡径の3倍以上5倍以下であると良い。
前記中心導体の偏芯率が1.1以下であると良い。
本発明によれば、材料の変更や製造条件、発泡層押出機の設備改造を必要とせず、巣の発生位置を制御することで、偏芯を無くし、発泡度75%以上の良好な発泡層を有する発泡ケーブルを提供することができる。
本発明の一実施の形態に係る発泡ケーブルを示す横断面図及び縦断面図である。 図1の発泡ケーブルを示す斜視図である。 図1の発泡ケーブルにおける巣の発生位置を示す図である。 図1の発泡ケーブルを製造するための設備を示す概略図である。 凹部における巣の発生メカニズムを説明する図である。 本発明の変形例に係る発泡ケーブルを示す斜視図である。 図6の発泡ケーブルにおける巣の発生位置を示す図である。 従来の発泡ケーブルを示す横断面図である。 巣の発生により中心導体の偏芯が生じた発泡ケーブルを示す横断面図である。 本発明者らが提案した発泡ケーブルを示す横断面図及び縦断面図である。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
本発明者らは鋭意検討を重ね、巣の発生を抑制するのではなく、巣の発生位置と大きさを制御することで、これまでに生じていた中心導体の偏芯やインピーダンス不整合といった問題を解決しようと考えた。
即ち、本発明者らが提案する発明は、内層と発泡層との境界付近に、長手周方向に沿って均一な大きさの巣を等間隔に発生させるような内層構造を持つ発泡ケーブルである。この発泡ケーブルの内層構造の一例を図1に示す。
図1に示すように、本実施の形態に係る発泡ケーブル10は、中心導体11の外周に、充実体からなる内層12、発泡層13、充実体からなる外層14を順次設けてなり、内層12の外表面の長手周方向に、発泡ガスを溜め込むガスポケットとなる同じ寸法の複数の凹部15を等間隔に設けたものである。
ここで、中心導体11の偏芯率が1.1以下であることが好ましい。これは、偏芯率が1.1よりも大きくなると、背景技術で述べたようにインピーダンス不整合が生じ、希望する最大出力を取り出せないだけでなく、高周波回路では伝送路に反射波を生じ進行波と重畳して定在波となって、感電や電波障害などの不都合が生じてしまうためである。また、コネクタが接続できなくなるという問題が発生するためである。中心導体11の断面形状は特に限定されず、パイプ状の導体であっても良い。
充実体からなる内層12を構成する材料としては、LDPE(低密度ポリエチレン)や接着性のポリオレフィンエラストマーを挙げることができる。
発泡層13を構成するベース樹脂(ベース材料)としては、ポリエチレン系樹脂を用いることができる。このポリエチレン系樹脂としては、LDPE(低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、MDPE(中密度ポリエチレン)、UHMWPE(超高分子量ポリエチレン)等の各種ポリエチレンを単独又は複数種類ブレンドしたものが挙げられる。好ましくは、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとを70/30〜85/15の割合で混合したブレンド物を用いることができる。
このベース樹脂の発泡は、物理発泡或いは化学発泡により行うことができる。物理発泡を行う場合、使用する発泡核剤としては、BN(窒化ホウ素)、タルク、シリカ系微粒子に代表される無機微粒子、フッ素樹脂系微粒子のほか、ADCA(アゾジカルボンアミド)、OBSH(p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジン)のような有機系微粒子を使用しても良く、特に限定するものではない。なお、ベース樹脂に着色剤等を添加しても構わない。
発泡剤として用いる発泡ガスは、N2、Ar等いわゆる不活性ガスが好ましい。発泡ガスの注入圧力は、所望する発泡度、使用する材料の種類、発泡核剤の種類や量に応じて設定できる。
充実体からなる外層14を構成する材料としては、ポリエチレン系の樹脂を用いることができ、好ましくは、高密度ポリエチレンである。
図2に示すように、本実施の形態に係る発泡ケーブル10では、中心導体11にパイプ状の銅線を用い、その外周に形成した内層12の外表面に升目状に複数の凹部15を設けた。なお、本発明における凹部15は、特願2010−107406で提案した凹部と異なり、内層12の外表面の長手周方向に沿って等間隔に設けられれば良く、内層12の外表面の周方向において非対称に設けられても良い。
図3に示すように、この複数の凹部15は、凹部15に位置する発泡層13に大きな気泡(巣)16を形成するためのものである。ここで、巣16(内層12の凹部15の気泡)の気泡径が発泡層13の平均気泡径(通常の大きさの気泡17の平均気泡径)の3倍以上5倍以下であると良い。
気泡径は、作製した発泡ケーブル10の長手方向の任意点で長手方向に対して垂直に切断し、その断面を画像処理し気泡径を測定する。ここでいう発泡層13の平均気泡径とは、断面において内層12の凹部15を除く発泡層13の任意の範囲内に形成された気泡を測定し、その平均を発泡層13の平均気泡径とする。巣16の気泡(内層12の凹部15の気泡)径とは、1つの断面において内層12の凹部15が1つの場合には、そこに形成された気泡の径を巣16の気泡(内層12の凹部15の気泡)径とし、1つの断面において内層12の凹部15が2つ以上の場合には、それら凹部15に形成された巣の平均気泡径を巣16の気泡(内層12の凹部15の気泡)径とする。
巣16の気泡径が発泡層13の平均気泡径の3倍未満であると、内層12に凹部15などを設けず、通常通り発泡層13を形成して発泡させた発泡ケーブルと同様に偏芯してしまう。通常、発泡層13の気泡は温度の低い外周方向から樹脂が固まり、気泡径が固定され、中心導体11付近は樹脂の固化が遅いため気泡も中心導体11付近の方が比較的大きく成長する。内層12に凹部15を設けていない通常の発泡ケーブルでも、これは同様であり、内層12付近の気泡径は発泡層13の平均気泡径の2倍程度となるため、本発明の偏芯防止の効果を発揮しない。
一方、巣16の気泡径が発泡層13の平均気泡径の5倍よりも大きくなると、気泡が大きすぎるため、内層12の外表面に形成された凹部15に気泡が収まらず、不安定になる。
以上の理由から、巣16の気泡径が発泡層13の平均気泡径の3倍以上5倍以下であると良い。
このように、巣16の気泡径が発泡層13の平均気泡径の3倍以上5倍以下になるようにするためには、凹部15の寸法とその配置が重要である。
例えば、図1に示すように、内層12の最小層厚をd1(mm)、内層12の最大層厚をd2(mm)、凹部15の幅をl(mm)、凹部15間の距離をm(mm)とし、直径9mmの中心導体11の外周に最大層厚d2が0.2≦d2≦1の内層12を設けた場合、凹部15の幅lを5≦l≦10、凹部15間の距離mを5≦m≦10、凹部15の深さ(d2−d1)を0<(d2−d1)<d2の範囲とすることで、巣16の気泡径を発泡層13の平均気泡径の3倍以上5倍以下にすることができる。
次に、発泡ケーブル10の製造方法を説明する。
図4に示すように、発泡ケーブル10を製造するための設備40は、中心導体11を送り出す送出機41と、送り出された中心導体11を加熱する予熱機42と、加熱された中心導体11の外周に内層12、発泡層13、外層14となる樹脂をそれぞれ押し出す内層押出機43、発泡押出機44、外層押出機45と、内層12をコルゲート状に加工するコルゲート製造装置46と、各層で被覆された中心導体11を冷却する冷却槽47と、冷却されて完成した発泡ケーブル10を巻き取る巻取機48とを備える。
この設備40を用いて中心導体11の外周に、充実体をコルゲート加工してなる内層12、発泡層13、充実体からなる外層14を順次形成すると、本実施の形態に係る発泡ケーブル10が得られる。発泡ケーブル10は、例えば、その後別工程に送られ外部導体とシースとを被覆して発泡同軸ケーブルとされる。
このように、内層12の外表面に凹部15を設けることにより、発泡層13を形成する際に凹部15に発泡ガスが溜まり、大きな気泡、即ち巣16を発生させることができる。また、同じ寸法の凹部15を内層12の外表面の長手周方向に沿って等間隔に設けることにより、内層12と発泡層13との境界面において特定の周期で規則的に巣16を発生させることができる。
ここで、凹部15における巣16の発生メカニズムを説明する。
本発明者らの研究によっても未だ詳しい発生メカニズムの解明とまでは至っていないが、以下のような事情により巣16が発生すると考えている。
発泡層13のガスが多くなると、ガスは発泡層13の表面側に逃げていくか(ガス漏れ)、より温度が高く樹脂が変形しガスが集合しやすい箇所(中心導体11付近)に移動するか、どちらかの形態を取ると考えられる。本実施の形態では、発泡層13の表面に外層14があるためガス漏れは起きにくく、その代わり中心導体11付近にガスが集中しやすい。
物理現象から言えば、微小で多くの気泡17がある状態(不安定な状態)から大きな気泡(巣)16がある状態(安定な状態)へと移行しようとする。微小な気泡17が合一して巣16となるためには、気泡17間にある樹脂壁を変形させて破断させる必要がある。発泡層13の表面付近で冷却されて硬くなった樹脂よりも、中心導体11付近で高温・溶融状態の樹脂の方が変形・破断させやすいため、中心導体11付近に巣16が発生すると考えられる。
本発明では、この発生メカニズムを利用して巣16の発生位置と大きさを制御している。具体的には、図5に示すように、中心導体11付近に集中した気泡17が凹部15内に入り込み、気泡17間の距離が近づいて樹脂壁50が薄くなる。樹脂壁50が薄くなると、樹脂壁50をほとんど変形させなくても樹脂壁50を破断させることができるようになり、凹部15以外の部分に比べて気泡17が合一しやすくなる。そのため、凹部15を設けた位置に巣16を発生させることができる。また、凹部15の寸法を前述したような大きさとすることで巣16の大きさも制御することができる。
以上要するに、本実施の形態に係る発泡ケーブル10によれば、内層12と発泡層13との境界面において規則的に巣16を発生させることができるため、中心導体11に加えられる力の釣り合いが長手方向に亘って取れ、中心導体11の偏芯や高周波伝送時の損失を低減し、且つインピーダンス不整合を防止することが可能となる。また、この効果は、材料の改善、製造パラメータの変更をすることなく得られ、その工業的価値は大なるものがある。
よって、本発明によれば、材料の変更や製造条件、発泡層押出機の設備改造を必要とせず、巣の発生位置を制御することで、偏芯を無くし、発泡度75%以上の良好な発泡層を有する発泡ケーブルを提供することができる。
なお、本発明は、発泡ケーブルの内層構造に特徴を持つものであり、ベース樹脂や発泡核剤を変更しても適用可能である。
また、本発明は、内層12の外表面の長手周方向に沿って等間隔で凹部15が形成されていればよく、その形状は任意のものを選択することができる。例えば、図2に示した升目状以外にも、図6、7に示すように、特定の周期で凹部15が規則的に配置される螺旋状としても良い。この場合も、中心導体11に加えられる力の釣り合いが長手方向に亘って取れ、中心導体11の偏芯や高周波伝送時の損失を低減し、且つインピーダンス不整合を防止することが可能となる。
20D(中心導体径9.0mm、発泡絶縁層厚7.0mm、外部導体径25.0mm、シース径28.0mm)の高周波用の発泡同軸ケーブルを試作し、評価を行った。試作した発泡同軸ケーブルの各パラメータを表1に示す。
発泡絶縁層は、内層、発泡層、外層の3層構造とし、各層を構成する際に使用するベース樹脂、発泡核剤、発泡ガスを表2に示す。
発泡同軸ケーブルは図4で示した設備40を用いて製造した。
先ず、送出機41から中心導体を供給し、予熱機42で加熱した後、内層押出機43で内層を被覆した。実施例1〜3においてコルゲート製造装置46で内層にガスポケットとなる複数の凹部を幅l、間隔mで設けた。また、このときの内層の最小層厚をd1、最大層厚をd2とした。
続いて発泡押出機44にて発泡層を、外層押出機45で外層を被覆した。発泡層と外層は同一のクロスヘッド上で同時に被覆されるようにした。
各層の被覆が終了した後、冷却槽47にて冷却して発泡ケーブルを製造した。その後、巻取機48で回収し、別工程に送り外部導体とシースを被覆した。
評価は、巻取機48で回収した発泡ケーブルの一部を切り取り、断面を観察することで、各種評価を行った。
評価項目は以下の通りである。
(1)気泡径
2kmを製造し、任意の10箇所において、ケーブルの長手方向に対して垂直に切断し、その断面をSEM観察し、各縦断面の内層付近と発泡層中央付近の一部を撮影したSEM観察画像から、内層と発泡層との境界面の平均気泡径とそれ以外の発泡層の平均気泡径を求めた。
求め方は、SEM観察画像の気泡径をなぞり、Windows(登録商標)汎用画像処理パッケージWinROOF(登録商標)を使用して面積Sを求め、次いで気泡を面積Sの円形と仮定して、S=π×r2から半径rを求め、直径2×rを気泡径とした。
実施例及び比較例4の発泡層の平均気泡径の測定は、1断面につき発泡層断面3mm中(内層の凹部を含まない部分を選定する)に形成された気泡径を測定、それを上記のように任意点で切断した各10断面とも同様に測定し、その平均を発泡層の平均気泡径とする。比較例1〜3においては、内層に溝を形成しないため、内層界面付近をさけた発泡層の断面3mmを観察、各10断面とも同様に測定し、その範囲にある気泡径の平均を発泡層の平均気泡径とする。
内層と発泡層との界面平均気泡径については、内層に溝を形成する実施例及び比較例4については、1断面の内層の凹部に形成された巣の径を各10断面測定し、その平均を内層と発泡層との界面平均気泡径とし、内層に溝を形成しない比較例1〜3については、1断面において内層と発泡層との界面に形成された気泡のうち最大の気泡を選定し、各10断面の界面最大気泡径の平均を内層と発泡層との界面平均気泡径とする。
(2)偏芯率
偏芯率とは芯部の中心から外層までの距離の最大値と最小値との比(最大値/最小値)で計算される値である。2km製造したうちの合計10箇所の横断面観察を行い、偏芯率の平均値を求めた。
(3)発泡度
発泡度はアルコール比重法で測定した。2km製造したうちの合計10箇所の発泡層部分を切り取り測定した。
(4)総合判定
製造安定性(歩留り)とインピーダンス特性を総合的に評価した。ここで、偏芯率1.05未満且つ発泡度75%以上のものを◎、偏芯率1.05未満且つ発泡度70%〜74%のものを○、偏芯率1.05〜1.10のものを△、偏芯率が1.10より大きいものを×とし、○以上で運用可能と判断した。
実施例1〜3、比較例1〜4の各断面構造条件、評価結果を表3に示す。なお、実施例1〜3は本発明を適用した発泡同軸ケーブルであり、比較例1〜4は従来の発泡同軸ケーブルである。
比較例2に示す通り、従来の発泡同軸ケーブルでは、内層発泡層境界平均気泡径が発泡層の平均気泡径の3倍程度になると偏芯が1.1近くになり、それ以上になると比較例3に示す通り大きく偏芯してしまう。
比較例1〜3は、内層を従来の発泡ケーブルと同様に溝を設けずに作製した。比較例1〜3は同様の構成でありながらも、内層発泡層境界平均気泡径が大きく異なり、発泡層の平均気泡径との差や偏芯率もまばらである。
これは、本発明のように、巣の大きさや発生位置を制御していないために、製造するごとに巣の位置や大きさがランダムに発生してしまうためである。その都度発泡度や偏芯率が大きく異なるため、安定した発泡ケーブルが提供できないことがわかる。
これに対し、本発明を適用した発泡同軸ケーブルでは、内層発泡層境界平均気泡径が発泡層の平均気泡径の4倍以上になっても、偏芯率が1.1以下となっている。得られた発泡同軸ケーブルの横断面概略図を図3に示す。図3に示すように、内層12の凹部15に巨大な気泡(巣)16が均一に発生し、中心導体11の偏芯を防ぐことが可能であった。
10 発泡ケーブル
11 中心導体
12 内層
13 発泡層
14 外層
15 凹部
16 巣

Claims (5)

  1. 中心導体の外周に、充実体からなる内層、発泡層、充実体からなる外層を順次設けた発泡ケーブルにおいて、前記内層の外表面の長手周方向に、複数の凹部を等間隔に形成したことを特徴とする発泡ケーブル。
  2. 前記複数の凹部を螺旋状に設けた請求項1に記載の発泡ケーブル。
  3. 前記内層の凹部に前記発泡層の平均気泡径よりも大きな気泡(巣)が形成されている請求項1又は2に記載の発泡ケーブル。
  4. 前記内層の凹部に形成された気泡(巣)径が前記発泡層の平均気泡径の3倍以上5倍以下である請求項1〜3のいずれかに記載の発泡ケーブル。
  5. 前記中心導体の偏芯率が1.1以下である請求項1〜4のいずれかに記載の発泡ケーブル。
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