JP5516474B2 - 発泡同軸ケーブル及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、GHz帯の通信周波数の電力を伝送する高周波ケーブルに係り、特に、高周波伝送時の損失を低減し、且つインピーダンス不整合を防止できる発泡同軸ケーブル及びその製造方法に関するものである。
GHz帯の通信周波数の電力を伝送する高周波ケーブルにおいて、中心導体を覆う絶縁体の電気特性として、誘電率ε及び誘電正接tanδが小さいことが求められる。
伝送損失は以下の式(数1)で表されるように、周波数fや誘電正接tanδ、誘電率εの平方根に比例する。
誘電率εや誘電正接tanδを低減させるには絶縁体の材料としてポリエチレン(PE)があげられ、PEを発泡させることで更なる誘電率εの低減が可能である。
このように絶縁体を発泡させた発泡同軸ケーブルは既に多くの実例があり、特許文献1,2にあるように製造時における発泡ガスの噴出を防ぐため、発泡層(発泡させた絶縁体)を充実体である内層、外層で挟み込む構造を持った発泡同軸ケーブルも多く存在する。代表的な発泡同軸ケーブルの断面図を図5に示す。
図5に示すように、代表的な発泡同軸ケーブル50は、中心導体2の外周に、充実体からなる内層51、発泡層3、充実体からなる外層52を順次設けてなる。ここでは、発泡同軸ケーブルの一例として、外層52の外周に、外部導体53、シース54を順次設けた発泡同軸ケーブルを示している。
また、発泡度を高くするために、ベース樹脂や発泡核剤、発泡ガスといった材料面での開発やベース樹脂押出温度、注入ガス圧といった製造パラメータの改善といった研究はこれまでに多くなされており、現状では、発泡度75%程度の発泡同軸ケーブルが製造されている。
特開2005−294244号公報 特開2008−226772号公報
しかしながら、今後要求される伝送損失のレベルを満たすため、更なる高発泡化を行うと、発泡度75%〜80%を境界に、多くの気泡が合一することによる巨大な気泡(以下、巣と称す)が発生し、中心導体の偏芯やインピーダンス不整合の問題が生じている。
また、無発泡層である内層、外層を設けないことで1〜2%の発泡度向上が見込めるが、その際には表面からの発泡ガスの噴出を防ぐため、発泡層を押出した後、サイジングダイで表面を冷却しながら擦ることでガスバリア層を形成する必要がある。このとき、サイジングダイへの当たりにムラが生じると、周方向の冷却速度に分布が生じてしまい、冷却により固化された箇所と、冷却されずに気泡が周方向に成長し続ける箇所(以下、割れ面と称す)が生じてしまい、偏芯に繋がってしまう。
巣や割れ面が生じた発泡同軸ケーブルについて、外部導体及びシースを省略した発泡電線部分の断面図を図6に示す。
図6に示すように、発泡電線60では、中心導体2と発泡層3の境界面付近に巣61が生じ、また、微小な気泡4の他に、割れ面6の内部では周方向に成長し続けた気泡(引き伸ばされた気泡5)が生じる。巣61が生じたことで、あるいは割れ面6が生じたことで、あるいはその両方が生じたことで矢印A方向に中心導体2が偏芯してしまう。
これまで巣の発生を抑制する手段として、発泡核剤や発泡ガス、ベース樹脂といった材料面において、気泡を微小均一化するといった様々な検討が行われてきたが、巣の発生や割れ面による偏芯を抑制する決定的な解決策は見つかっていない。
また、押出温度や注入ガス圧といったプロセス面でも、巣の発生や割れ面による偏芯を抑制する最適製造パラメータは判明していない。
これら材料面での開発やプロセス面での最適製造パラメータの選定などにより気泡形状(大きさ、アスペクト比)を均一化するには多くの時間を費やし、ベース樹脂や発泡核剤を変更すると始めから開発をやり直さないといけないという問題がある。
本発明は、これら事情に鑑みなされたものであり、中心導体の偏芯や高周波伝送時の損失を低減し、且つインピーダンス不整合を防止できる発泡同軸ケーブル及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため創案された本発明は、中心導体の外周に発泡層を設けた発泡同軸ケーブルにおいて、前記発泡層の(内部及び)外表面の周方向及び長手方向に、引き伸ばされた気泡を等間隔に形成した発泡同軸ケーブルである。
前記引き伸ばされた気泡を前記発泡層の内部にまで存在させることで、前記発泡層の外表面に割れ面を形成してもよい。
前記引き伸ばされた気泡の最大アスペクト比が3以上であるとよい。
また、本発明は、中心導体の外周に発泡押出機で発泡層を被覆した後、これをサイジングダイに通して前記発泡層を冷却する発泡同軸ケーブルの製造方法において、前記サイジングダイの周方向に等間隔に水路を設けて前記サイジングダイの周方向に冷却速度分布を与え、前記サイジングダイを通して前記発泡層を冷却し、前記発泡層の外表面の周方向に、引き伸ばされた気泡を等間隔に形成する発泡同軸ケーブルの製造方法である。
前記サイジングダイの周方向に形成される前記水路は、断面視で扇形に形成されるとよい。
前記水路を設ける間隔をα、前記サイジングダイの軸を中心とする扇形の水路の中心角をβとしたとき、30°≦α≦45°及び10°≦β≦30°であるとよい。
また、本発明は、発泡押出機に接続されたクロスヘッドに中心導体を通すと共に、前記発泡押出機から発泡樹脂を前記クロスヘッド内の芯金の外周に形成された流路に押し出し、前記中心導体の外周に発泡樹脂を被覆する発泡同軸ケーブルの製造方法において、前記流路を円周方向に間隔を隔てて分割形成し、各分割流路から押し出される発泡樹脂同士を円周方向で合流させて接合させると共にその接合部内の発泡樹脂の気泡を円周方向に引き伸ばして、前記発泡層の外表面の周方向に、引き伸ばされた気泡を等間隔に形成する発泡同軸ケーブルの製造方法である。
本発明によれば、中心導体の偏芯や高周波伝送時の損失を低減し、且つインピーダンス不整合を防止できる。
本実施の形態に係る発泡同軸ケーブルの要部断面図である。 本実施の形態に係る発泡同軸ケーブルの製造設備の概略図である。 本実施の形態に係る発泡同軸ケーブルの製造に用いるサイジングダイを示し、(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。 本発明の変形例で使用するクロスヘッドを示し、(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。 従来の発泡同軸ケーブルの断面図である。 巣や割れ面が発生し、偏芯した発泡同軸ケーブルを説明する図である。 発泡層に割れ面が形成された発泡同軸ケーブルを示し、(a)は断面図、(b)は側面図である。
本発明の好適な一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
本発明者らは鋭意検討を重ね、割れ面の発生位置を制御することで、これまでに生じていた中心導体の偏芯やインピーダンス不整合といった問題を解決しようと考えた。
即ち、本発明者らが提案する発明は、発泡層の外表面に、周方向に沿って均一に割れ面を発生するような発泡層構造を持つ発泡同軸ケーブルである。この発泡同軸ケーブルの断面構造の一例を図1に示す。
図1に示すように、本実施の形態に係る発泡同軸ケーブルは、中心導体2の外周に、発泡層3を設けた発泡電線1に、図示しない外部導体及びシースを被覆してなり、発泡層3の外表面の周方向に、周方向に引き伸ばされた気泡5が等間隔で複数形成されたものである。
本発明の引き伸ばされた気泡5とは、発泡層3内に通常通り成長した気泡が、発泡層3が冷却される際に、ゆっくりと冷却される部分の発泡層樹脂が先に冷却される部分(後述する図3のサイジングダイ24の水路31を通る部分)に引っ張られるため、それに伴い、ゆっくりと冷却される部分に形成されていた気泡が引き伸ばされてできた気泡であり、巣のように、ガスが溜まり気泡が異常に成長したり、気泡が合一して形成されるものとは異なる。
引き伸ばされた気泡5の形成過程を図1〜3により説明する。図2は発泡同軸ケーブルに用いる発泡電線1を製造するための設備の概略図、図3はその設備で用いるサイジングダイを示したものである。なお、図中、矢印Bはライン方向を、矢印Cは冷却水の流れ方向を示す。
中心導体2上に発泡層材料が押出機23で押し出されると、発泡層3内に気泡が発生し、その後、サイジングダイ24で冷却される。この時点で、発泡層3内の気泡はある程度形作られている。このとき、サイジングダイ24の水路31が設けられている部分を通る発泡層面の発泡層樹脂は先に固まるため、この部分の気泡4は成長したそのままの大きさである。
一方、水路31が設けられていない部分を通る発泡層面では、水路31が設けられている部分を通る発泡層面よりは遅く発泡層樹脂が固まるため、この部分の樹脂は水路31が設けられている部分を通る発泡層面に向かい周方向へ引っ張られ、それに伴い、水路31が設けられていない部分を通る発泡層面の通常通り成長した気泡4も周方向へ引っ張られるため、引き伸ばされた気泡5のような気泡形状となる。
また、このように引き伸ばされた気泡5を発泡層3の内部にまで存在させることで、発泡層3の引き伸ばされた気泡5が形成されている部分の外表面には割れ面6が形成されている(図7(a),(b))。このような割れ面6が発泡層3の表面に形成されていても、この後の外部導体、シースの製造工程には影響はない。
前述したように、このような割れ面6の内部は、発泡層樹脂が周方向へ引っ張られ樹脂が少なくなっているため、抑えつける力も少なく、この部分の気泡は外周部分のみではなく、内部まで引き伸ばされた形状となる。ここで、引き伸ばされた気泡5の最大アスペクト比は3以上が望ましい。最大アスペクト比が3よりも低いと、割れ面部分の樹脂が多いため、中心導体2へかかる力が大きくなり、樹脂の少ない方向へ中心導体2が偏芯してしまうおそれがある。また、好ましくは最大アスペクト比が5以下であると良い。最大アスペクト比が5よりも高いと、逆に割れ面部分の樹脂が少なすぎて中心導体2を支える力が弱くなり、やはり中心導体2の偏芯へと繋がる。
発泡層3を構成するベース樹脂(ベース材料)としては、ポリエチレン系樹脂を用いることができる。このポリエチレン系樹脂としては、LDPE(低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、MDPE(中密度ポリエチレン)、UHMWPE(超高分子量ポリエチレン)等の各種ポリエチレンを単独又は複数種類ブレンドしたものが挙げられる。好ましくは、中密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとを70/30〜90/10の割合で混合したブレンド物を用いることができる。
このベース樹脂の発泡は、物理発泡或いは化学発泡により行うことができる。物理発泡を行う場合、使用する発泡核剤としては、BN(窒化ホウ素)、タルク、シリカ系微粒子に代表される無機微粒子、フッ素樹脂系微粒子のほか、ADCA(アゾジカルボンアミド)、OBSH(p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド)のような有機系微粒子を使用してもよく、特に限定するものではない。なお、ベース樹脂に着色剤等を添加しても構わない。
発泡剤として用いる発泡ガスは、CO2、N2、Ar等いわゆる不活性ガスが好ましい。発泡ガスの注入圧力は、所望する発泡度、使用する材料の種類、発泡核剤の種類や量に応じて設定できる。
次に、本実施の形態に係る発泡同軸ケーブルの製造方法を説明する。
図2に示したように、発泡同軸ケーブルに用いる発泡電線1を製造するための設備20は、中心導体2を送り出す送出機21と、送り出された中心導体2を加熱する予熱機22と、加熱された中心導体2の外周に発泡層材料を被覆するための発泡押出機23と、被覆した発泡層3を冷却するサイジングダイ24と、冷却水槽25と、冷却されて完成した発泡電線1を巻き取る巻取機26とを備える。
本実施の形態では、発泡層3の外表面の周方向に、引き伸ばされた気泡5を等間隔で複数形成するために、サイジングダイ24の周方向に等間隔に水路(冷却水路)31を設け、サイジングダイ24の周方向に冷却速度分布を与えられるようにした。
つまり、通常、サイジングダイは、周方向全体に水路が設けられ、均等に冷却される構造になっているが、本設備20におけるサイジングダイ24では、図3(a),(b)に示すように、断面視で、水路を等間隔α(°)で分割させ(すなわち水路をα(°)ごとに設け)、サイジングダイ24の軸を中心とする中心角β(°)の等角度の扇形状の水路(円弧状の水路)31を形成することで、冷却効果が高い箇所と冷却効果が低い箇所を設けており、冷却効果が低い箇所で割れ面6を形成することができるようになっている。
ここで、αとβとは、30°≦α≦45°及び10°≦β≦30°とすることが望ましい。
αが45°よりも大きいと、引き伸ばされた気泡5が形成されている部分、つまり、外表面の割れ面の形成部分が広くなりすぎ、その部分の樹脂量は少なくなるため、導体を支える力が弱くなり、中心導体2の偏芯へと繋がる。また、30°よりも小さいと、従来のサイジングダイと同様の冷却効果となり、割れ面の形成部分が小さくなる。割れ面の形成部分が小さいほど、割れ面が非対称に発生しやすくなるため、30°≦α≦45°が好ましい。
βが30°よりも大きいと、発泡層の冷却効果が大きくなりすぎ、発泡層の目的とする部分への温度分布を与えることができないため、割れ面を制御することができない。10°よりも小さいと、冷却効果が小さくなり、割れ面の形成部分が広くなりすぎ、中心導体2を支える力が弱いため、偏芯へと繋がる。よって、10°≦β≦30°が好ましい。
αとβとを、30°≦α≦45°及び10°≦β≦30°とすることにより、発泡層3の外表面の周方向に等間隔に複数の割れ面6を設けることができ、中心導体2の偏芯やインピーダンス不整合を防止できる。ただし、αとβが共に30°では、外周全てが水路31による冷却面となってしまい、本発明の効果が発揮されないため、βが30°のときにはαを30°より大きくする必要がある。
この設備20を用いて、本実施の形態に係る発泡同軸ケーブルを製造する際には、まず、送出機21から中心導体2を供給し、これを予熱機22で加熱する。続いて、この中心導体2の外周に発泡押出機23を用いて発泡層3を被覆した後、これを図3(a),(b)に示したサイジングダイ24に通して発泡層3を冷却する。この後、冷却水槽25を通過させて冷却し、巻取機26で巻き取る。その後、巻取機26で巻き取られた発泡電線1を別工程に送り、外部導体とシースとを被覆して発泡同軸ケーブルを製造する。こうして得られた発泡同軸ケーブルは、発泡層3の外表面の周方向に、引き伸ばされた気泡5が等間隔に形成されており、割れ面6の発生位置が制御されている。
従来であると、発泡層内に巣が発生する、もしくは、サイジングダイを通る際に発泡層の気泡が成長しようとする力、つまり外周方向への力の逃げ場が無いため、発泡樹脂の固化が不十分な部分へその力が逃げようとして、その部分の外表面にランダムに亀裂が入りそこに割れ面が形成されてしまう問題がある。
本発明では、その力の逃げ場をあらかじめ設けることで、巣や割れ面がランダムに発生しないように、気泡4が形成されている部分と、引き伸ばされた気泡5が形成されている部分を対称的に均等に制御することで、発泡層3の外表面にも均等に割れ面6を設けられる。それにより、発泡層3から中心導体2にかかる力も均一となるため、中心導体2の偏芯を抑制できるというものである。
以上要するに、本発明によれば、中心導体の外周に高発泡度の発泡層を設けた発泡同軸ケーブルにおいて、発泡層の外表面の周方向に、引き伸ばされた気泡を等間隔に形成しているので、中心導体の偏芯や高周波伝送時の損失を低減し、且つインピーダンス不整合を防止できる。
なお、上記実施の形態では、サイジングダイの周方向に冷却速度分布を与えることで割れ面を発泡層外表面の周方向に等間隔で形成するようにしたが、割れ面の形成方法はこれに限定されるものではない。
例えば、図4(a),(b)に示すように、発泡押出機(図示せず)に接続されたクロスヘッド40に中心導体(図示せず)を通すと共に、発泡押出機から発泡樹脂をクロスヘッド40内の芯金41の外周(芯金41と口金42の間)に形成された流路43に押し出し、中心導体の外周に発泡樹脂を被覆するにあたり、流路43を円周方向に間隔を隔てて分割形成し、各分割流路から押し出される発泡樹脂同士を円周方向で合流させて接合させると共にその接合部内の発泡樹脂の気泡を円周方向に引き伸ばして、発泡層の外表面の周方向に、引き伸ばされた気泡を等間隔に形成するようにしてもよい。なお、図中、矢印Dは発泡樹脂の流動方向を示す。
この流路43の分割は、例えば、芯金41あるいは口金42に突起部を設けて行うことができる。この場合、サイジングダイとしては周方向全体に水路が設けられた従来のものを用いることができる。
実施例及び比較例を説明する。
39D(中心導体径17.3mm、発泡絶縁層厚13.0mm、外部導体径46.5mm、シース径50.0mm)の高周波用の発泡同軸ケーブルを試作し、評価を行った。試作した発泡同軸ケーブルの各パラメータを表1に示す。
発泡絶縁層は、図5に示したような無発泡層である内層、外層を設けず発泡層のみとした。使用したベース樹脂、発泡核剤、発泡ガスを表2に示す。
発泡同軸ケーブルに用いる発泡電線は図2で示した設備20を用いて製造した。図3で説明したサイジングダイ24の水路31の個数を変更し、以下に示す手順で実施例1〜4、及び比較例の各発泡同軸ケーブルを試作した。本発明は中心導体に発泡層を被覆するまでの工程を検討対象とする。
まず、送出機21から中心導体2を供給し、予熱機22で加熱した後、発泡層を被覆した。
次に実施例1〜4においてはサイジングダイ24に角度α(°)おきに、中心角β(°)、幅8mmの扇形状の水路(図3(b)参照)を設けることで、冷却速度に分布ができるようにした。比較例においては従来のように周方向全体に水路を設けた。
サイジングダイを通過した後、冷却水槽25にて冷却して発泡電線を製造した。その後、巻取機26で回収し、別工程に送り外部導体とシースを被覆した。
巻取機26で回収した発泡電線の一部を切取り、断面を観察することで、各種評価を行った。
評価項目は以下の通りである。
(1)アスペクト比
100m製造し、任意の10箇所の断面をマイクロスコープで観察し、各断面の発泡層の気泡径のアスペクト比(最大気泡径/対角幅)を求め、最大アスペクト比を求めた。
求め方は、マイクロスコープ観察画像の気泡周をなぞり、Windows(登録商標)汎用画像処理パッケージWinROOF(登録商標)に搭載されている画像処理コマンドから求めた。
(2)偏芯率
偏芯率とは芯部の中心から発泡層外表面までの距離の最大値と最小値との比(最大値/最小値)で計算される値である。(1)と同様に合計10箇所の断面観察を行い、偏芯率の平均値を求めた。
(3)発泡度
発泡度はアルコール比重法で測定した。(1)と同様に合計10箇所を測定した。
(4)総合判定
製造安定性(歩留り)とインピーダンス特性を総合的に評価した。ここで、偏芯率1.05未満且つ発泡度80%以上のものを◎、偏芯率1.05未満且つ発泡度75%〜80%未満のものを○、偏芯率1.05以上1.10未満のものを△、偏芯率が1.10以上のものを×とし、○以上で運用可能と判断した。
実施例1〜4、比較例の各断面構造条件、評価結果を表3に示す。なお、実施例1〜4は本発明を適用した発泡同軸ケーブルであり、比較例は従来の発泡同軸ケーブルである。
表3から明らかなように、実施例1〜4の発泡同軸ケーブルは、比較例の発泡同軸ケーブルに比べ高発泡度でありながら、偏芯率が1.10未満と優れており、冷却を、中心角10°以上30°以下の等角度で行った実施例1〜3の発泡同軸ケーブルは、特に優れていた。
1 発泡電線
2 中心導体
3 発泡層
4 気泡
5 引き伸ばされた気泡
6 割れ面

Claims (7)

  1. 中心導体の外周に発泡層を設けた発泡同軸ケーブルにおいて、前記発泡層の内部及び外表面の周方向及び長手方向に、引き伸ばされた気泡を等間隔に形成したことを特徴とする発泡同軸ケーブル。
  2. 前記引き伸ばされた気泡を前記発泡層の内部にまで存在させることで、前記発泡層の外表面に割れ面を形成した請求項1記載の発泡同軸ケーブル。
  3. 前記引き伸ばされた気泡の最大アスペクト比が3以上である請求項1又は2記載の発泡同軸ケーブル。
  4. 中心導体の外周に発泡押出機を用いて発泡層を被覆した後、これをサイジングダイに通して前記発泡層を冷却する発泡同軸ケーブルの製造方法において、
    前記サイジングダイの周方向に等間隔に水路を設けて前記サイジングダイの周方向に冷却速度分布を与え、前記サイジングダイを通して前記発泡層を冷却し、前記発泡層の外表面の周方向に、引き伸ばされた気泡を等間隔に形成することを特徴とする発泡同軸ケーブルの製造方法。
  5. 前記サイジングダイの周方向に形成される前記水路は、断面視で扇形に形成される請求項4記載の発泡同軸ケーブルの製造方法。
  6. 前記水路を設ける間隔をα、前記サイジングダイの軸を中心とする扇形の水路の中心角をβとしたとき、30°≦α≦45°及び10°≦β≦30°である請求項5記載の発泡同軸ケーブルの製造方法。
  7. 発泡押出機に接続されたクロスヘッドに中心導体を通すと共に、前記発泡押出機から発泡樹脂を前記クロスヘッド内の芯金の外周に形成された流路に押し出し、前記中心導体の外周に発泡樹脂を被覆する発泡同軸ケーブルの製造方法において、
    前記流路を円周方向に間隔を隔てて分割形成し、各分割流路から押し出される発泡樹脂同士を円周方向で合流させて接合させると共にその接合部内の発泡樹脂の気泡を円周方向に引き伸ばして、前記発泡層の外表面の周方向に、引き伸ばされた気泡を等間隔に形成することを特徴とする発泡同軸ケーブルの製造方法。
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