JP2012242728A - 温度補償機能を有するレンズユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】環境温度変化による大きな焦点位置移動を簡易・コンパクトに補正できるレンズユニットを提供する。
【解決手段】温度変化により高膨張補正部材3が光軸AXに対して垂直方向に伸縮すると低膨張補正部材4が光軸AX方向に変位するように、光軸AXに対して傾斜した状態で互いに接触する当接面3S,4Sを高膨張補正部材3及び低膨張補正部材4がそれぞれ有している。低膨張補正部材4が光軸AX方向に変位することにより補正レンズ保持枠2と補正レンズLAが光軸AX方向に移動して、撮像レンズLNにおいて温度変化により生じる焦点位置移動が補正される。
【選択図】図2
【解決手段】温度変化により高膨張補正部材3が光軸AXに対して垂直方向に伸縮すると低膨張補正部材4が光軸AX方向に変位するように、光軸AXに対して傾斜した状態で互いに接触する当接面3S,4Sを高膨張補正部材3及び低膨張補正部材4がそれぞれ有している。低膨張補正部材4が光軸AX方向に変位することにより補正レンズ保持枠2と補正レンズLAが光軸AX方向に移動して、撮像レンズLNにおいて温度変化により生じる焦点位置移動が補正される。
【選択図】図2
Description
本発明は温度補償機能を有するレンズユニットに関するものであり、例えば、投射レンズ,撮像レンズ等のレンズ系を備え、そのレンズ系における焦点位置の温度補償機能を有するレンズユニットに関するものである。
通常の分散性を有する光学ガラスから成る投射レンズや撮像レンズでは、環境温度の変化に伴って屈折率が変化するため、焦点位置が移動して結像性能が劣化する、という問題が生じてしまう。異常分散ガラスや蛍石等の光学ガラスを使用した場合には、焦点位置の移動が非常に大きくなって、性能劣化は更に顕著になる。そこで、いかに簡易かつコンパクトな構成で結像性能の劣化を防ぐかが課題となっている。
上記課題を解決するため、温度補償機能を有するレンズユニットが特許文献1や特許文献2で提案されている。特許文献1記載のレンズユニットは、線膨張係数の大きい補正ブロックを補正レンズ保持枠と筐体との間に挟み込んで、環境温度変化による焦点位置移動の補正を行う構成になっている。特許文献2記載のレンズユニットは、レンズ系を2つのレンズユニットに2分割し、2分割したレンズユニットを線膨張係数の異なる本体鏡筒で支持し、温度変化によりレンズ系で発生する焦点位置移動を、レンズユニット間隔の変化により補正する構成になっている。
特許文献1記載のレンズユニットでは、補正量が補正ブロックの光軸方向の長さに依存するため、必要な補正量が大きい場合には光軸方向に大きな空間が必要となる。しかし、レンズユニット内において補正ブロックを配置するための空間は限られているため、補正量には制限が生じてしまう。また、特許文献2記載のレンズユニットでは、レンズ系で発生する焦点位置移動を補正するために、線膨張係数の異なる光軸方向に長い本体鏡筒が必要となる。このため、レンズユニット全体を構成するにあたり空間的な自由度に大きな制約が生じてしまう。したがって、特許文献1や特許文献2に記載の温度補償の構成を採用すれば、レンズユニットが複雑化するとともに光軸方向に大型化することになる。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、環境温度変化による大きな焦点位置移動を簡易かつコンパクトな構成で補正することの可能なレンズユニットを提供することにある。
上記目的を達成するために、第1の発明のレンズユニットは、複数のレンズから成るレンズ系を有し、そのレンズ系において温度変化により生じる焦点位置移動を、前記レンズ系のうちの少なくとも1枚のレンズを補正レンズとして光軸方向に移動させることにより補正するレンズユニットであって、高膨張材料から成る高膨張補正部材と、前記高膨張材料よりも線膨張係数が低い材料から成る低膨張補正部材とを有し、温度変化により前記高膨張補正部材が光軸に対して垂直方向に伸縮すると前記低膨張補正部材が光軸方向に変位するように、光軸に対して傾斜した状態で互いに接触する当接面を前記高膨張補正部材及び低膨張補正部材がそれぞれ有し、前記低膨張補正部材が光軸方向に変位することにより前記補正レンズの光軸方向の移動が行われることを特徴とする。
第2の発明のレンズユニットは、上記第1の発明において、さらに、前記補正レンズの移動基準となる固定筒と、前記補正レンズを保持する保持部材とを有し、前記保持部材が、前記高膨張補正部材及び低膨張補正部材を介して前記固定筒に連結され、かつ、前記低膨張補正部材との接触状態を保ちながら光軸方向に移動可能に支持されていることを特徴とする。
第3の発明のレンズユニットは、上記第1の発明において、さらに、前記補正レンズの移動基準となる固定筒を有し、前記補正レンズを保持する保持部材を前記低膨張補正部材の少なくとも一部として有することを特徴とする。
第4の発明のレンズユニットは、上記第1〜第3のいずれか1つの発明において、さらに、前記低膨張補正部材を前記高膨張補正部材に対して光軸方向に付勢する付勢部材を有することを特徴とする。
第5の発明のレンズユニットは、上記第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記高膨張補正部材及び低膨張補正部材が光軸に対して同軸のリング形状を有することを特徴とする。
第6の発明のレンズユニットは、上記第1〜第5のいずれか1つの発明において、前記高膨張補正部材及び低膨張補正部材のうちの少なくとも一方を複数有することにより、前記当接面が複数形成されていることを特徴とする。
第7の発明のレンズユニットは、上記第1〜第6のいずれか1つの発明において、前記低膨張補正部材と同じ材料から成るとともに前記当接面を構成する摺動部材を、前記高膨張補正部材が光軸に対して同軸の円周状に複数有することを特徴とする。
本発明に係るレンズユニットは、温度変化により高膨張補正部材が光軸に対して垂直方向に伸縮すると低膨張補正部材が光軸方向に変位するように、光軸に対して傾斜した状態で互いに接触する当接面を高膨張補正部材及び低膨張補正部材がそれぞれ有している。光軸に対して垂直方向の伸縮が前記当接面で光軸方向の変位に変換されるため、光軸方向に大きなスペースを必要とせずに光軸方向の大きな変位を得ることができる。その大きな変位によって補正レンズを光軸方向に移動させることができるため、環境温度変化による大きな焦点位置移動を簡易かつコンパクトな構成で高精度に補正することが可能である。
低膨張補正部材との接触状態を保ちながら光軸方向に移動可能に支持された保持部材で補正レンズを保持すれば、低膨張補正部材の変位量の自由度を高くして、補正レンズの移動量の設定範囲を増大させることができる。例えば、高膨張補正部材及び低膨張補正部材のうちの少なくとも一方を複数設けることにより、当接面を複数形成すれば、低膨張補正部材の変位量の自由度を効果的に高くして、補正レンズを大きく移動させることができる。また、低膨張補正部材の少なくとも一部として保持部材を用いれば、簡単な構成で補正レンズの移動量を増加させることができ、その移動に伴う保持部材の傾きを抑える求心効果を持たせることも可能である。したがって、焦点位置移動の補正を高精度かつ安定的に行うことが可能となる。
付勢部材(例えばコイルバネ)で低膨張補正部材(例えば保持部材)を高膨張補正部材に対して光軸方向に付勢すれば、使用時の姿勢差の発生を効果的に防止することができるため、焦点位置移動の補正を高精度かつ安定的に行うことが可能となる。また、高膨張補正部材及び低膨張補正部材を光軸に対して同軸のリング形状にすれば、レンズユニットの構成を簡易化することが可能になるとともに、焦点位置移動の補正を高精度かつ安定的に行うことが可能となる。
環境温度が変化すると、前記当接面で接触している高膨張補正部材と低膨張補正部材との接触角度に微妙な角度差が生じるおそれがある。低膨張補正部材と同じ材料から成るとともに前記当接面を構成する摺動部材を、高膨張補正部材が光軸に対して同軸の円周状に複数有する構成にすれば、互いに同じ材料で構成された当接面で摺動が行われることになるため、焦点位置移動の補正効果を維持したまま、前記角度差の発生を防ぐことができる。また、当接面での接触面積を減少させることにより移動時の摩擦を軽減することができ、更に低摩擦材料を用いることにより直接摩擦を低減することもできる。したがって、焦点位置移動の補正を高精度かつ安定的に行うことが可能となる。
以下、本発明を実施した温度補償機能を有するレンズユニットを、図面を参照しつつ説明する。なお、各実施の形態等の相互で同一の部分や相当する部分には同一の符号を付して重複説明を適宜省略する。
本発明に係る温度補償機能を有するレンズユニットは、複数のレンズから成るレンズ系を有し、そのレンズ系において温度変化により生じる焦点位置移動(いわゆるフォーカスずれ)を、前記レンズ系のうちの少なくとも1枚のレンズを補正レンズとして光軸方向に移動させることにより補正するレンズユニットである。そして、以下に説明する各実施の形態では、レンズユニットに搭載されているレンズ系を撮像レンズ(例えばカメラ用の交換レンズ)としているが、レンズ系として投射レンズ(例えばシネマプロジェクタ用の交換レンズ)を搭載した場合でも同様の温度補償機能を持たせることが可能である。
〈第1の実施の形態(図1〜図3)〉
図1及び図2に、温度補償機能を有するレンズユニット9A及び焦点補正機構8Aの第1の実施の形態を示す。図1は、レンズ系として撮像レンズLNが搭載されたレンズユニット9Aの概略断面構造を示しており、図2は、レンズユニット9Aにおいて焦点補正機構8Aが搭載されている部分を拡大して示している。
図1及び図2に、温度補償機能を有するレンズユニット9A及び焦点補正機構8Aの第1の実施の形態を示す。図1は、レンズ系として撮像レンズLNが搭載されたレンズユニット9Aの概略断面構造を示しており、図2は、レンズユニット9Aにおいて焦点補正機構8Aが搭載されている部分を拡大して示している。
図1に示すレンズユニット9Aは、撮像レンズLN,焦点補正機構8A等を備えている。撮像レンズLNは、複数のレンズ群を移動群及び固定群として有するズームレンズであり、異常分散ガラスから成るレンズを複数枚有している。撮像レンズLNのうち、最も像側の4枚のレンズ(図2)がズーム位置固定の最終群GrLを構成しており、最も像側の1枚の凸レンズが補正レンズLAである。正パワーを有する補正レンズLAが光軸AX方向に移動すれば、撮像レンズLNの焦点位置も移動する。したがって、撮像レンズLNにおいて温度変化により生じる焦点位置移動は、補正レンズLAが光軸AX方向に移動することにより補正可能である。
焦点補正機構8Aは、図2に示すように、固定筒1,補正レンズ保持枠2,高膨張補正部材3,低膨張補正部材4,コイルバネ5,ネジ6等で構成されている。固定筒1の像側にはマウント7が設けられており、このマウント7を介してレンズユニット9Aがカメラボディー(不図示)に取り付けられる。焦点補正機構8Aは、その主要部がマウント7の内径側に配置されている。また、最終群GrLのうちの物体側のレンズ3枚は固定筒1に保持されており、最終群GrLのうちの最も像側の補正レンズLAは補正レンズ保持枠2に保持されている。
補正レンズ保持枠2は、高膨張補正部材3及び低膨張補正部材4を介して固定筒1に連結されており、また、低膨張補正部材4との接触状態を保ちながら光軸AX方向に移動可能に支持されている。その補正レンズ保持枠2及び補正レンズLAの移動基準となるのが固定筒1であり、固定筒1に対して補正レンズ保持枠2がコイルバネ5で付勢支持されている。コイルバネ5は、付勢部材として固定筒1内の円周6等分位置に配置されている。コイルバネ5の中心にはネジ6が挿入されており、固定筒1の穴1Hを通って補正レンズ保持枠2のネジ穴2Hに螺合している。このコイルバネ5を介したネジ締結により、低膨張補正部材4及び高膨張補正部材3は固定筒1に向けて光軸AX方向に付勢される。
高膨張補正部材3は高膨張材料から成っており、低膨張補正部材4は低膨張材料(高膨張材料よりも線膨張係数が低い材料)から成っている。また、高膨張補正部材3及び低膨張補正部材4は、光軸AXに対して同軸のリング形状を有しており、光軸AXに対して傾斜した状態(傾斜角:45°)で互いに接触する当接面3S,4Sを2面ずつそれぞれ円周状に有している。高膨張補正部材(外周側リング)3は3本設けられており、低膨張補正部材(内周側リング)4は4本設けられている。したがって、高膨張補正部材3及び低膨張補正部材4が互いに接触する当接面3S,4Sは合計6面である。最も物体側の低膨張補正部材4と固定筒1は、光軸AXに対して傾斜した状態(傾斜角:45°)で互いに接触する当接面4S,1Sをそれぞれ1面ずつ円周状に有しており、最も像側の低膨張補正部材4と補正レンズ保持枠2は、光軸AXに対して傾斜した状態(傾斜角:45°)で互いに接触する当接面4S,2Sをそれぞれ1面ずつ円周状に有している。上記当接面1S,2S,3S,4Sの傾斜角は45°に限らないが、当接面間の摩擦と光軸AX方向への変位量を考慮すると、30°〜60°の範囲が好ましい。
例えば、高膨張補正部材3を構成する高膨張材料は樹脂:POM(ポリアセタール樹脂)であり、低膨張補正部材4を構成する低膨張材料は金属:430系ステンレスであり、固定筒1及び補正レンズ保持枠2を構成するそれぞれの材料は金属:アルミニウムである。また、各材料の線膨張係数は、POM:120×10-6/℃(デュポン社製デルリン(登録商標)資料から)、アルミニウム:24.3×10-6/℃、430系ステンレス:10.4×10-6/℃であり、高膨張補正部材3には線膨張係数の高い材料が使用される。ステンレスには無電解ニッケルにフッ素樹脂を複合させた表面処理を施して、耐摩耗性・滑り性・非粘着性を向上させることが好ましい。ここでは、高膨張補正部材3及び低膨張補正部材4の当接面3S,4Sの中心までの直径Dと光軸AX方向の厚みΔとの比率は16:1として(後述する図8参照。)、光軸AX方向に対して径方向の伸縮が十分大きくなるような設計を想定している。
高膨張補正部材3及び低膨張補正部材4にそれぞれ有している当接面3S,4Sは、光軸AXに対して傾斜した状態で互いに接触しているため、温度変化により高膨張補正部材3が光軸AXに対して垂直方向に伸縮すると、低膨張補正部材4が光軸AX方向に変位する。低膨張補正部材4が光軸AX方向に変位すると、低膨張補正部材4と接触している補正レンズ保持枠2及びそれに保持されている補正レンズLAが光軸AX方向に移動するので、撮像レンズLNにおいて温度変化により生じる焦点位置移動を補正することが可能となる。
例えば、高膨張補正部材3がPOMから成り、低膨張補正部材4が430系ステンレスから成り、固定筒1及び補正レンズ保持枠2がアルミニウムから成るものとすると、環境温度が上がった場合、高膨張補正部材3は主に径方向に膨張し、POMと430系ステンレス、及びアルミニウムと430系ステンレスの線膨張係数の差により、径方向に隙間が生じる。高膨張補正部材3,低膨張補正部材4及び補正レンズ保持枠2は、光軸AX方向で固定筒1側に付勢を受けているので、この膨張によって生じる径方向の隙間を埋めるように、補正レンズ保持枠2及びそれに保持されている補正レンズLAは物体側(固定筒1側)に移動する。つまり、光軸AX上を像面から離れる方向に移動する。このときの高膨張補正部材3と低膨張補正部材4の位置関係を図3(A)に示す。環境温度が下がった場合、上記とは逆になり、高膨張補正部材3は主に径方向に収縮するため、補正レンズ保持枠2及びそれに保持されている補正レンズLAは像側に移動する。つまり、光軸AX上を像面に近づく方向に移動する。このときの高膨張補正部材3と低膨張補正部材4の位置関係を図3(B)に示す。
撮像レンズLNでは、前述したように環境温度変化によりレンズ材料の屈折率が変動するため、焦点位置の移動が生じる。ここで、この焦点位置の移動を打ち消すために必要な補正レンズLAの移動量(像面側への移動を+とする。)を、−12.5μm/℃の設計とする。なお、補正レンズLAのパワーを強くすると焦点位置の補正効果は大きくなり、温度変化に対し少ない移動量で焦点位置の補正が可能になるが、その他の光学性能の誤差感度もきつくなってしまい、補正レンズLAの移動に伴う偏心によって、逆に結像性能が低下する可能性が高くなる。
温度変化に対する補正レンズLAの移動量は、以下の式(F1),(F2)で表される。
Δl/Δt=R・(α1−α2)/tanθ …(F1)
ΔL/Δt=Σ[k=1,n]ak …(F2)
ただし、
Δl/Δt:1つの当接面による温度変化1℃あたりの光軸方向への変位量、
ΔL/Δt:温度変化1℃あたりの光軸方向への変位量の合計、
a=R・(α1−α2)/tanθ
R:光軸から当接面までの距離、
θ:当接面の光軸に対する傾斜角度、
α1:当接面で接触している高膨張側の線膨張係数、
α2:当接面で接触している低膨張側の線膨張係数、
n:当接面の数、
である。
Δl/Δt=R・(α1−α2)/tanθ …(F1)
ΔL/Δt=Σ[k=1,n]ak …(F2)
ただし、
Δl/Δt:1つの当接面による温度変化1℃あたりの光軸方向への変位量、
ΔL/Δt:温度変化1℃あたりの光軸方向への変位量の合計、
a=R・(α1−α2)/tanθ
R:光軸から当接面までの距離、
θ:当接面の光軸に対する傾斜角度、
α1:当接面で接触している高膨張側の線膨張係数、
α2:当接面で接触している低膨張側の線膨張係数、
n:当接面の数、
である。
第1の実施の形態での温度変化による補正レンズLAの移動量は、ΔL/Δt=6×19(mm)×(120×10-6−10.4×10-6)/tan45°+2×19(mm)×(24.3×10-6−10.4×10-6)/tan45=0.013mm/℃となる。像面側への移動を+とすると、移動量は−13μm/℃となり、必要移動量−12.5μm/℃に対してほぼ影響のないレベルに達しており、温度変化による結像性能の劣化を防ぐことができる。
レンズユニット9Aの焦点補正機構8Aでは、前述したように、温度変化により高膨張補正部材3が光軸AXに対して垂直方向に伸縮すると低膨張補正部材4が光軸AX方向に変位するように、光軸AXに対して傾斜した状態で互いに接触する当接面3S,4Sを高膨張補正部材3及び低膨張補正部材4がそれぞれ有している。光軸AXに対して垂直方向の伸縮が当接面3S,4Sで光軸AX方向の変位に変換されるため、光軸AX方向に大きなスペースを必要とせずに光軸AX方向の大きな変位を得ることができる。その大きな変位によって補正レンズLAを光軸AX方向に移動させることができるため、環境温度変化による大きな焦点位置移動を簡易かつコンパクトな構成で高精度に補正することが可能である。
レンズユニット9Aの焦点補正機構8Aでは、低膨張補正部材4との接触状態を保ちながら光軸AX方向に移動可能に支持された補正レンズ保持枠2で補正レンズLAを保持する構成になっているため、低膨張補正部材4の変位量の自由度を高くして、補正レンズLAの移動量の設定範囲を増大させることができる。また、高膨張補正部材3や低膨張補正部材4を複数設けることにより、当接面3S,4Sを複数形成しているため、低膨張補正部材4の変位量の自由度を効果的に高くして、補正レンズLAを大きく移動させることができる。
レンズユニット9Aの焦点補正機構8Aでは、コイルバネ5で低膨張補正部材4を高膨張補正部材3に対して光軸AX方向に付勢する構成になっているため、使用時の姿勢差の発生を効果的に防止することができる。したがって、焦点位置移動の補正を高精度かつ安定的に行うことが可能となる。また、高膨張補正部材3及び低膨張補正部材4が光軸AXに対して同軸のリング形状になっているため、レンズユニット9Aの構成が簡易化されるとともに、焦点位置移動の補正を高精度かつ安定的に行うことが可能となる。
〈第2の実施の形態(図4〜図6)〉
図4及び図5に、温度補償機能を有するレンズユニット9B及び焦点補正機構8Bの第2の実施の形態を示す。図4は、レンズ系として撮像レンズLNが搭載されたレンズユニット9Bの概略断面構造を示しており、図5は、レンズユニット9Bにおいて焦点補正機構8Bが搭載されている部分を拡大して示している。
図4及び図5に、温度補償機能を有するレンズユニット9B及び焦点補正機構8Bの第2の実施の形態を示す。図4は、レンズ系として撮像レンズLNが搭載されたレンズユニット9Bの概略断面構造を示しており、図5は、レンズユニット9Bにおいて焦点補正機構8Bが搭載されている部分を拡大して示している。
図4に示すレンズユニット9Bは、撮像レンズLN,焦点補正機構8B等を備えている。撮像レンズLNは、焦点距離28mmの単焦点レンズであり、通常の分散性を有する光学ガラスから成るレンズで構成されている。撮像レンズLNのうち、最も像側の3枚のレンズ(図5)がレンズタイプにおける最終群GrLを構成しており、最も像側の1枚の凸レンズが補正レンズLAである。正パワーを有する補正レンズLAが光軸AX方向に移動すれば、撮像レンズLNの焦点位置も移動する。したがって、撮像レンズLNにおいて温度変化により生じる焦点位置移動は、補正レンズLAが光軸AX方向に移動することにより補正可能である。
焦点補正機構8Bは、図5に示すように、固定筒1,補正レンズ保持枠2,高膨張補正部材3,コイルバネ5,ネジ6等で構成されている。固定筒1の像側にはマウント7が設けられており、このマウント7を介してレンズユニット9Bがカメラボディー(不図示)に取り付けられる。焦点補正機構8Bは、その主要部がマウント7の内径側に配置されている。また、最終群GrLのうちの物体側のレンズ2枚は固定筒1に保持されており、最終群GrLのうちの最も像側の補正レンズLAは補正レンズ保持枠2に保持されている。
補正レンズ保持枠2は、高膨張補正部材3を介して固定筒1に連結されており、また、高膨張補正部材3との接触状態を保ちながら光軸AX方向に移動可能に支持されている。その補正レンズ保持枠2及び補正レンズLAの移動基準となるのが固定筒1であり、固定筒1に対して補正レンズ保持枠2がコイルバネ5で付勢支持されている。コイルバネ5は、付勢部材として固定筒1内の円周6等分位置に配置されている。コイルバネ5の中心にはネジ6が挿入されており、固定筒1の穴1Hを通って補正レンズ保持枠2のネジ穴2Hに螺合している。このコイルバネ5を介したネジ締結により、高膨張補正部材3は固定筒1に向けて光軸AX方向に付勢される。
高膨張補正部材3は高膨張材料から成っており、補正レンズ保持枠2は低膨張材料(高膨張材料よりも線膨張係数が低い材料)から成っている。高膨張補正部材3は、光軸AXに対して同軸のリング形状を有しており、光軸AXに対して傾斜した(傾斜角:45°)当接面3Sを円周状に2面有している。固定筒1は光軸AXに対して傾斜した(傾斜角:45°)当接面1Sを円周状に1面有しており、補正レンズ保持枠2は光軸AXに対して傾斜した(傾斜角:45°)当接面2Sを円周状に1面有している。そして、高膨張補正部材3の当接面3Sと固定筒1の当接面1Sとが接触しており、高膨張補正部材3の当接面3Sと補正レンズ保持枠2の当接面2Sとが接触している。上記当接面1S,2S,3Sの傾斜角は45°に限らないが、当接面間の摩擦と光軸AX方向への変位量を考慮すると、30°〜60°の範囲が好ましい。
例えば、高膨張補正部材3を構成する高膨張材料は樹脂:POM(ポリアセタール樹脂)であり、固定筒1及び補正レンズ保持枠2を構成するそれぞれの材料は金属:アルミニウムである。また、各材料の線膨張係数は、POM:120×10-6/℃(デュポン社製デルリン(登録商標)資料から)、アルミニウム:24.3×10-6/℃であり、線膨張係数の高い高膨張補正部材3(POMリング)が当接面1S,2Sの外側に配置される。ここでは、高膨張補正部材3及び補正レンズ保持枠2の当接面3S,2Sの中心までの直径Dと光軸AX方向の厚みΔとの比率は15:1として(後述する図8参照。)、光軸AX方向に対して径方向の伸縮が十分大きくなるような設計を想定している。
高膨張補正部材3及び補正レンズ保持枠2にそれぞれ有している当接面3S,2Sは、光軸AXに対して傾斜した状態で互いに接触しているため、温度変化により高膨張補正部材3が光軸AXに対して垂直方向に伸縮すると、補正レンズ保持枠2が光軸AX方向に変位する。結果として、補正レンズ保持枠2及びそれに保持されている補正レンズLAが光軸AX方向に移動するので、撮像レンズLNにおいて温度変化により生じる焦点位置移動を補正することが可能となる。
例えば、高膨張補正部材3がPOMから成り、固定筒1及び補正レンズ保持枠2がアルミニウムから成るものとすると、環境温度が上がった場合、高膨張補正部材3は主に径方向に膨張し、POMとアルミニウムの線膨張係数の差により、径方向に隙間が生じる。高膨張補正部材3及び補正レンズ保持枠2は、光軸AX方向で固定筒1側に付勢を受けているので、この膨張によって生じる径方向の隙間を埋めるように、補正レンズ保持枠2及びそれに保持されている補正レンズLAは物体側(固定筒1側)に移動する。つまり、光軸AX上を像面から離れる方向に移動する。このときの固定筒1と高膨張補正部材3と補正レンズ保持枠2の位置関係を図6(A)に示す。環境温度が下がった場合、上記とは逆になり、高膨張補正部材3は主に径方向に収縮するため、補正レンズ保持枠2及びそれに保持されている補正レンズLAは像側に移動する。つまり、光軸AX上を像面に近づく方向に移動する。このときの固定筒1と高膨張補正部材3と補正レンズ保持枠2の位置関係を図6(B)に示す。
撮像レンズLNでは、前述したように環境温度変化によりレンズ材料の屈折率が変動するため、焦点位置の移動が生じる。その移動量は、異常分散ガラスを含む第1の実施の形態の撮像レンズLN(図1)に比べて1/4程度になるので、この焦点位置の移動を打ち消すために必要な補正レンズLAの移動量(像面側への移動を+とする。)は、−3.4μm/℃と比較的小さい値になる。それに対して、第2の実施の形態での温度変化による補正レンズLAの移動量は、ΔL/Δt=2×19(mm)×(120×10-6−24.3×10-6)/tan45°=0.0036mm/℃となる。像面側への移動を+とすると、移動量は−3.6μm/℃となり、必要移動量−3.4μm/℃に対してほぼ影響のないレベルに達しており、温度変化による結像性能の劣化を防ぐことができる。
レンズユニット9Bの焦点補正機構8Bでは、前述したように、温度変化により高膨張補正部材3が光軸AXに対して垂直方向に伸縮すると補正レンズ保持枠2が光軸AX方向に変位するように、光軸AXに対して傾斜した状態で互いに接触する当接面3S,2Sを高膨張補正部材3及び補正レンズ保持枠2がそれぞれ有している。光軸AXに対して垂直方向の伸縮が当接面3S,2Sで光軸AX方向の変位に変換されるため、光軸AX方向に大きなスペースを必要とせずに光軸AX方向の大きな変位を得ることができる。その大きな変位によって補正レンズLAを光軸AX方向に移動させることができるため、環境温度変化による大きな焦点位置移動を簡易かつコンパクトな構成で高精度に補正することが可能である。
レンズユニット9Bの焦点補正機構8Bでは、低膨張補正部材として補正レンズ保持枠2を用いた構成になっているため、簡単な構成で補正レンズLAの移動量を増加させることができ、その移動に伴う補正レンズ保持枠2の傾きを抑える求心効果を得ることも可能である。したがって、焦点位置移動の補正を高精度かつ安定的に行うことが可能となる。
レンズユニット9Bの焦点補正機構8Bでは、コイルバネ5で補正レンズ保持枠2を高膨張補正部材3に対して光軸AX方向に付勢する構成になっているため、使用時の姿勢差の発生を効果的に防止することができる。したがって、焦点位置移動の補正を高精度かつ安定的に行うことが可能となる。また、高膨張補正部材3が光軸AXに対して同軸のリング形状になっているため、レンズユニット9Bの構成が簡易化されるとともに、焦点位置移動の補正を高精度かつ安定的に行うことが可能となる。
〈第3の実施の形態(図7〜図10)〉
図7及び図8に、温度補償機能を有するレンズユニット9C及び焦点補正機構8Cの第3の実施の形態を示す。図7は、レンズ系として撮像レンズLNが搭載されたレンズユニット9Cの概略断面構造を示しており、図8は、レンズユニット9Cにおいて焦点補正機構8Cが搭載されている部分を拡大して示している。
図7及び図8に、温度補償機能を有するレンズユニット9C及び焦点補正機構8Cの第3の実施の形態を示す。図7は、レンズ系として撮像レンズLNが搭載されたレンズユニット9Cの概略断面構造を示しており、図8は、レンズユニット9Cにおいて焦点補正機構8Cが搭載されている部分を拡大して示している。
図7に示すレンズユニット9Cは、撮像レンズLN,焦点補正機構8C等を備えている。撮像レンズLNは、焦点距離28mmの単焦点レンズであり、通常の分散性を有する光学ガラスから成るレンズで構成されている。撮像レンズLNのうち、最も像側の3枚のレンズ(図8)がレンズタイプにおける最終群GrLを構成しており、最も像側の1枚の凸レンズが補正レンズLAである。正パワーを有する補正レンズLAが光軸AX方向に移動すれば、撮像レンズLNの焦点位置も移動する。したがって、撮像レンズLNにおいて温度変化により生じる焦点位置移動は、補正レンズLAが光軸AX方向に移動することにより補正可能である。
焦点補正機構8Cは、図8に示すように、固定筒1,補正レンズ保持枠2,高膨張補正部材3,コイルバネ5,ネジ6等で構成されている。固定筒1の像側にはマウント7が設けられており、このマウント7を介してレンズユニット9Cがカメラボディー(不図示)に取り付けられる。焦点補正機構8Cは、その主要部がマウント7の内径側に配置されている。また、最終群GrLのうちの物体側のレンズ2枚は固定筒1に保持されており、最終群GrLのうちの最も像側の補正レンズLAは補正レンズ保持枠2に保持されている。
補正レンズ保持枠2は、高膨張補正部材3を介して固定筒1に連結されており、また、高膨張補正部材3との接触状態を保ちながら光軸AX方向に移動可能に支持されている。その補正レンズ保持枠2及び補正レンズLAの移動基準となるのが固定筒1であり、固定筒1に対して補正レンズ保持枠2がコイルバネ5で付勢支持されている。コイルバネ5は、付勢部材として固定筒1内の円周6等分位置に配置されている。コイルバネ5の中心にはネジ6が挿入されており、固定筒1の穴1Hを通って補正レンズ保持枠2のネジ穴2Hに螺合している。このコイルバネ5を介したネジ締結により、高膨張補正部材3は固定筒1に向けて光軸AX方向に付勢される。
高膨張補正部材3は、補正部本体3Aと摺動部材3Bから成っている。補正部本体3Aは高膨張材料から成っており、摺動部材3B及び補正レンズ保持枠2は低膨張材料(高膨張材料よりも線膨張係数が低い材料)から成っている。補正部本体3Aは、光軸AXに対して同軸のリング形状を有しており、リングの表裏面となる内周側の円周6等分位置にそれぞれ切欠き溝3Vが形成されている。補正部本体3Aに形成されている各切欠き溝3Vには、図10に示すように、チップ状の摺動部材3Bが接着により固着されている。摺動部材3Bは、補正レンズ保持枠2と同じ材料から成るとともに、光軸AXに対して傾斜した(傾斜角:45°)当接面3Sを有している。なお、摺動部材3Bにはタフラム(登録商標)表面処理を施して、耐摩耗性向上・摺動性向上・かじり防止の効果を持たせることが好ましい。
固定筒1(図8)は光軸AXに対して傾斜した(傾斜角:45°)当接面1Sを円周状に1面有しており、補正レンズ保持枠2は光軸AXに対して傾斜した(傾斜角:45°)当接面2Sを円周状に1面有している。そして、摺動部材3Bの当接面3Sと固定筒1の当接面1Sとが接触しており、摺動部材3Bの当接面3Sと補正レンズ保持枠2の当接面2Sとが接触している。上記当接面1S,2S,3Sの傾斜角は45°に限らないが、当接面間の摩擦と光軸AX方向への変位量を考慮すると、30°〜60°の範囲が好ましい。
例えば、補正部本体3Aを構成する高膨張材料は樹脂:POM(ポリアセタール樹脂)であり、摺動部材3B,固定筒1及び補正レンズ保持枠2を構成するそれぞれの材料は金属:アルミニウムである。また、各材料の線膨張係数は、POM:120×10-6/℃(デュポン社製デルリン(登録商標)資料から)、アルミニウム:24.3×10-6/℃であり、線膨張係数の高い高膨張補正部材3(POMリング)が当接面1S,2Sの外側に配置される。ここでは、高膨張補正部材3及び補正レンズ保持枠2の当接面3S,2Sの中心までの直径Dと光軸AX方向の厚みΔとの比率は15:1として、光軸AX方向に対して径方向の伸縮が十分大きくなるような設計を想定している。
高膨張補正部材3及び補正レンズ保持枠2にそれぞれ有している当接面3S,2Sは、光軸AXに対して傾斜した状態で互いに接触しているため、温度変化により高膨張補正部材3の補正部本体3Aが光軸AXに対して垂直方向に伸縮すると、補正レンズ保持枠2が光軸AX方向に変位する。結果として、補正レンズ保持枠2及びそれに保持されている補正レンズLAが光軸AX方向に移動するので、撮像レンズLNにおいて温度変化により生じる焦点位置移動を補正することが可能となる。
例えば、高膨張補正部材3がPOMから成り、摺動部材3B,固定筒1及び補正レンズ保持枠2がアルミニウムから成るものとすると、環境温度が上がった場合、高膨張補正部材3の補正部本体3Aは主に径方向に膨張し、POMとアルミニウムの線膨張係数の差により、摺動部材3Bと固定筒1及び補正レンズ保持枠2との間に径方向の隙間が生じる。高膨張補正部材3及び補正レンズ保持枠2は、光軸AX方向で固定筒1側に付勢を受けているので、この膨張によって生じる径方向の隙間を埋めるように、補正レンズ保持枠2及びそれに保持されている補正レンズLAは物体側(固定筒1側)に移動する。つまり、光軸AX上を像面から離れる方向に移動する。このときの固定筒1と高膨張補正部材3と補正レンズ保持枠2の位置関係を図9(A)に示す。環境温度が下がった場合、上記とは逆になり、高膨張補正部材3の補正部本体3Aは主に径方向に収縮するため、補正レンズ保持枠2及びそれに保持されている補正レンズLAは像側に移動する。つまり、光軸AX上を像面に近づく方向に移動する。このときの固定筒1と高膨張補正部材3と補正レンズ保持枠2の位置関係を図9(B)に示す。
各当接面1S,2S,3Sは同じ材料で構成されているので、温度変化によって材料が伸縮することによって発生する当接面1S,2S,3Sの光軸AXからの角度変化量は全て同じになる。樹脂と金属では線膨張係数が大きく異なるので、温度変化量が極端に大きくなったときに、各当接面1S,2S,3Sの接触角度に違いから生じて、摺動性の低下を招くこともあるが、同じ材料を用いればそれを防ぐことができる。また、同じ材料でなくとも、金属同士ならば線膨張係数の違いによる摺動性低下の影響を抑えることができる。
撮像レンズLNでは、前述したように環境温度変化によりレンズ材料の屈折率が変動するため、焦点位置の移動が生じる。その移動量は、異常分散ガラスを含む第1の実施の形態の撮像レンズLN(図1)に比べて1/4程度になるので、この焦点位置の移動を打ち消すために必要な補正レンズLAの移動量(像面側への移動を+とする。)は、−3.4μm/℃と比較的小さい値になる。それに対して、第3の実施の形態での温度変化による補正レンズLAの移動量は、ΔL/Δt=2×19(mm)×(120×10-6−24.3×10-6)/tan45°=0.0036mm/℃となる。像面側への移動を+とすると、移動量は−3.6μm/℃となり、必要移動量−3.4μm/℃に対してほぼ影響のないレベルに達しており、温度変化による結像性能の劣化を防ぐことができる。
レンズユニット9Cの焦点補正機構8Cでは、前述したように、温度変化により高膨張補正部材3が光軸AXに対して垂直方向に伸縮すると補正レンズ保持枠2が光軸AX方向に変位するように、光軸AXに対して傾斜した状態で互いに接触する当接面3S,2Sを高膨張補正部材3及び補正レンズ保持枠2がそれぞれ有している。光軸AXに対して垂直方向の伸縮が当接面3S,2Sで光軸AX方向の変位に変換されるため、光軸AX方向に大きなスペースを必要とせずに光軸AX方向の大きな変位を得ることができる。その大きな変位によって補正レンズLAを光軸AX方向に移動させることができるため、環境温度変化による大きな焦点位置移動を簡易かつコンパクトな構成で高精度に補正することが可能である。
レンズユニット9Cの焦点補正機構8Cでは、低膨張補正部材として補正レンズ保持枠2を用いた構成になっているため、簡単な構成で補正レンズLAの移動量を増加させることができ、その移動に伴う補正レンズ保持枠2の傾きを抑える求心効果を得ることも可能である。したがって、焦点位置移動の補正を高精度かつ安定的に行うことが可能となる。
レンズユニット9Cの焦点補正機構8Cでは、コイルバネ5で補正レンズ保持枠2を高膨張補正部材3に対して光軸AX方向に付勢する構成になっているため、使用時の姿勢差の発生を効果的に防止することができる。したがって、焦点位置移動の補正を高精度かつ安定的に行うことが可能となる。また、高膨張補正部材3が光軸AXに対して同軸のリング形状になっているため、レンズユニット9Cの構成が簡易化されるとともに、焦点位置移動の補正を高精度かつ安定的に行うことが可能となる。
前記第2の実施の形態では、環境温度が変化すると、当接面3S,2Sで接触している高膨張補正部材3と補正レンズ保持枠2との接触角度に微妙な角度差が生じるおそれがある。前述したように、補正レンズ保持枠2と同じ材料から成るとともに当接面3Sを構成する摺動部材3Bを、高膨張補正部材3が光軸AXに対して同軸の円周状に複数有する構成にすれば、互いに同じ材料で構成された当接面3Sで摺動が行われることになるため、焦点位置移動の補正効果を維持したまま、前記角度差の発生を防ぐことができる。また、当接面3Sでの接触面積を減少させることにより移動時の摩擦を軽減することができ、更に低摩擦材料を用いることにより直接摩擦を低減することもできる。したがって、焦点位置移動の補正を高精度かつ安定的に行うことが可能となる。
1 固定筒
2 補正レンズ保持枠(保持部材,低膨張補正部材)
3 高膨張補正部材
4 低膨張補正部材
3A 補正部本体
3B 摺動部材
3V 切欠き溝
1S,2S,3S,4S 当接面
1H 穴
2H ネジ穴
5 コイルバネ(付勢部材)
6 ネジ
7 マウント
8A,8B,8C 焦点補正機構
9A,9B,9C レンズユニット
LN 撮像レンズ(レンズ系)
GrL 最終群
LA 補正レンズ
AX 光軸
2 補正レンズ保持枠(保持部材,低膨張補正部材)
3 高膨張補正部材
4 低膨張補正部材
3A 補正部本体
3B 摺動部材
3V 切欠き溝
1S,2S,3S,4S 当接面
1H 穴
2H ネジ穴
5 コイルバネ(付勢部材)
6 ネジ
7 マウント
8A,8B,8C 焦点補正機構
9A,9B,9C レンズユニット
LN 撮像レンズ(レンズ系)
GrL 最終群
LA 補正レンズ
AX 光軸
Claims (7)
- 複数のレンズから成るレンズ系を有し、そのレンズ系において温度変化により生じる焦点位置移動を、前記レンズ系のうちの少なくとも1枚のレンズを補正レンズとして光軸方向に移動させることにより補正するレンズユニットであって、
高膨張材料から成る高膨張補正部材と、前記高膨張材料よりも線膨張係数が低い材料から成る低膨張補正部材とを有し、
温度変化により前記高膨張補正部材が光軸に対して垂直方向に伸縮すると前記低膨張補正部材が光軸方向に変位するように、光軸に対して傾斜した状態で互いに接触する当接面を前記高膨張補正部材及び低膨張補正部材がそれぞれ有し、前記低膨張補正部材が光軸方向に変位することにより前記補正レンズの光軸方向の移動が行われることを特徴とするレンズユニット。 - さらに、前記補正レンズの移動基準となる固定筒と、前記補正レンズを保持する保持部材とを有し、前記保持部材が、前記高膨張補正部材及び低膨張補正部材を介して前記固定筒に連結され、かつ、前記低膨張補正部材との接触状態を保ちながら光軸方向に移動可能に支持されていることを特徴とする請求項1記載のレンズユニット。
- さらに、前記補正レンズの移動基準となる固定筒を有し、前記補正レンズを保持する保持部材を前記低膨張補正部材の少なくとも一部として有することを特徴とする請求項1記載のレンズユニット。
- さらに、前記低膨張補正部材を前記高膨張補正部材に対して光軸方向に付勢する付勢部材を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレンズユニット。
- 前記高膨張補正部材及び低膨張補正部材が光軸に対して同軸のリング形状を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のレンズユニット。
- 前記高膨張補正部材及び低膨張補正部材のうちの少なくとも一方を複数有することにより、前記当接面が複数形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のレンズユニット。
- 前記低膨張補正部材と同じ材料から成るとともに前記当接面を構成する摺動部材を、前記高膨張補正部材が光軸に対して同軸の円周状に複数有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のレンズユニット。
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