JP2012242150A - 円盤型マイクロ流体チップ及びそれを用いた測定システム - Google Patents

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Abstract

【課題】効率的な溶液置換や洗浄ができる円盤型マイクロ流体チップを提供する。
【解決手段】遠心力を利用して送液する円盤型マイクロ流体チップであって、前記チップが反応槽1、少なくとも1つの供給槽2,3、第1排液槽6、第2排液槽9、少なくとも1つの前記供給槽から前記反応槽に送液するための少なくとも1つの供給流路4,5、反応槽から第1排液槽に排液するための第1排液流路7、反応槽から第2排液槽に排液するための第2排液流路8を備え、第2排液流路は供給流路よりも大きな遠心力で排液を流すことができ、反応槽から第1排液槽への排液は前記供給槽からの液の供給に伴って行われる、円盤型マイクロ流体チップ。
【選択図】図1

Description

本発明は,円盤型マイクロ流体チップ及びそれを用いた測定システムに関する。
免疫アッセイキットや酵素反応キットでは,分析時間(特に免疫アッセイキットの免疫反応時間)がかかる。ピペット操作などを手作業で行えば人的な分析誤差が発生しやすく,分析工程の時間管理も必要であり、分析の全自動化や高精度化には複雑な大型装置を必要とするなど課題が多い。
マイクロ流体チップ(ラボオンチップ)は,分析工程をチップ上に集積化して,分析の迅速化,自動化,分析装置の小型化,試薬や検体の少量化などが期待できる(特許文献1〜4)。
チップ(マイクロ流路)上へ検体や試薬などの液体を送液するには,ポンプ式,シリンジ式,遠心送液式などがあり,遠心送液式を除けば,流路や液体投入口などにチューブを接続する必要がある。そこで,複数の試薬を送液する場合やマルチ分析を行う場合,多数のチューブや送液機構が必要となり,チップが小型化されてもそれを駆動させるシステムが大きいという課題がある。
遠心送液を利用する円盤型マイクロ流体チップは,液体投入口(供給槽)に検体や試薬などを滴下すれば,その後は遠心力で送液制御が行え,ポンプやシリンジ,チューブ等の送液機構を必要とせず,マルチ分析や装置の小型化を達成できる。
特開2011-080769 特開2011-007778 特開2008-197097 特開2003-185671
円盤型マイクロ流体チップで免疫アッセイや酵素アッセイを行う場合,反応槽の洗浄・溶液置換,抗体/抗原、酵素などのタンパク質を担持させた表面の洗浄などを行う必要がある。しかしながら,流路の断面積に比べて反応槽の体積は大きく,流路からの溶液投入時に溶液が拡散・希釈され,効率的な溶液置換や洗浄が困難であった。流入や排出の流路断面積を大きくすると溶液置換や洗浄の効率は向上するが,低い遠心回転数で溶液が流れ出るため,遠心回転時の溶液保持ができないなどの問題があった。
本発明は、これらの問題点を解決した円盤型マイクロ流体チップ及びそれを用いた測定システムを提供することを目的とする。
本発明は、以下の円盤型マイクロ流体チップ及びそれを用いた測定システムを提供するものである。
項1. 遠心力を利用して送液する円盤型マイクロ流体チップであって、前記チップが反応槽、少なくとも1つの供給槽、第1排液槽、第2排液槽、少なくとも1つの前記供給槽から前記反応槽に送液するための少なくとも1つの供給流路、反応槽から第1排液槽に排液するための第1排液流路、反応槽から第2排液槽に排液するための第2排液流路を備え、第2排液流路は供給流路よりも大きな遠心力で排液を流すことができ、反応槽から第1排液槽への排液は前記供給槽からの液の供給に伴って行われる、円盤型マイクロ流体チップ。
項2. 前記供給槽が第1供給槽と第2供給槽を備え、前記供給流路が第1供給槽から前記反応槽に送液するための第1供給流路と第2供給槽から前記反応槽に送液するための第2供給流路を備え、かつ、第1供給槽から反応槽に送液するのに必要な遠心力が、第2供給槽から前記反応槽に送液するため遠心力よりも小さい、項1に記載の円盤型マイクロ流体チップ。
項3. 前記第2排液流路の表面は疎水性である、項1または2に記載の円盤型マイクロ流体チップ。
項4. 前記第2排液流路が複数本形成されている項1〜3のいずれかに記載の円盤型マイクロ流体チップ。
項5. 項1〜4のいずれかに記載の円盤型マイクロ流体チップを用いる測定システムであって、前記供給槽から反応槽に供給される液体の比重は前記反応槽中の液体の比重よりも重く、前記供給槽から反応槽に液体を供給したときに比重の重い液体は反応槽の底部に流れ込み、反応槽の液体は溢れて第1排液槽に排出される、測定システム。
項6. 前記チップが第1供給槽と第2供給槽を備え、第1供給槽から反応槽に液体を供給した後、第2供給槽から反応槽に液体を供給し、かつ、第1供給槽の液体は反応槽の液体よりも比重が重く、第2供給槽の液体は第1供給槽の液体よりも比重が重いことを特徴とする、項5に記載の測定システム。
本発明によれば、以下の効果を達成できる。
(i)比重が重たい液体を溶液置換や洗浄用に用いることで,遠心力により反応槽の底部から溶液が置換され,流路からの溶液投入時に溶液が拡散・希釈されず,反応槽内部の溶液は上部流路から効率よく排出され,効率的な溶液置換や洗浄を達成できる。また,段階的に比重の異なる液体を用いることで,連続的にその工程を達成できる。
さらに,事前に比重の重たい液体を反応槽下部に満たすことで,タンパク質や界面活性剤などを含む溶液で,遠心操作時における排液流路への漏れ出しを未然に防げる。
残液を第2排液流路から排出する際に,タンパク質や界面活性剤などを予め洗浄除去した後にこれらを含まない溶液として排液することで,第2排液流路へのタンパク質や界面活性剤などの吸着を排除し,流路表面の親水化を阻止できる。このことにより,反応槽の溶液を第2排液槽に排液した後に反応槽への新たな溶液投入時において,毛管力と遠心力とのバランスが保たれ,反応槽から第2排液流路からの供給液の漏れ出しを防いで遠心送液制御を達成できる。
(ii)低・中回転遠心時の溶液保持を保ちつつ,高回転遠心時の残液の第2排液槽への排出において,第2排液流路本数にほぼ比例した排出速度の向上(排出時間の短縮)を達成した。これにより,円盤型マイクロ流体チップの分析工程で,溶液置換や洗浄時間の大幅な短縮を達成できる。
(iii)ごく浅い反応液層で免疫反応を行い,免疫反応の迅速化を達成できる。また,平坦な表面を利用するため,洗い残しも少なく,洗浄の効率化を容易に達成できる。
以上,溶液置換や洗浄工程,免疫反応時間を短縮化することで,迅速分析が可能となる。
また,比重が異なる溶液を利用することで,連続的かつ段階的な洗浄工程を可能とし,かつ遠心送液制御の条件設定を容易にする。
本発明の測定システムにおける送液/排液の概要を示す模式図である。1枚の円盤型マイクロ流体チップAには、複数の分析ユニットBが搭載され、マルチ同時分析が可能である。6つの図は、反応槽1の溶液が第1供給槽の溶液、第2供給槽の溶液に順次置換され、反応槽の溶液を第2排液槽に排液して空にし、そこに最後の反応液を第1供給槽から反応槽に供給して測定する。 第2排液流路が3本からなる実施形態を示す。 第2排液流路が5本からなる実施形態を示す。 本発明の円盤型分析チップの概略図を示す。 本発明の円盤型分析チップに形成される測定ユニットの供給槽、反応槽、第2排液槽を示す。 図5のa−b断面図を示す。下側が円盤型分析チップAであり、上側が蓋10である。中心部には、反応槽1における抗体を固定化したプレートの装着部11と免疫反応部(液体部)12が示されている。 本発明の円盤型分析チップに形成される測定ユニットの1つの実施形態を示す。 本発明の円盤型分析チップに形成される測定ユニットの他の実施形態を示す。反応槽に比重の重い液体を供給するための第3の供給流路13が示されている。 実施例1の排液所要時間と流路本数の関係を示すグラフである。 実施例2のレゾルフィン残存率と洗浄回数の関係を示すグラフである。
本発明の円盤型マイクロ流体チップは、遠心装置上に配置されて使用される。該チップは、図1に示すように、反応槽1、少なくとも1つの供給槽2,3、第1排液槽6、第2排液槽9、少なくとも1つの前記供給槽から前記反応槽に送液するための少なくとも1つの供給流路4,5、反応槽1から第1排液槽6に排出するための第1排液流路7、反応槽1から第2排液槽9に排出するための第2排液流路8を備えている。9aは空気孔流路、7aは空気孔であり、これらは溶液を遠心力で送液または排出する際に、反応槽や排液槽に存在する空気を追い出すためのものである。
供給槽から供給される液は1種のみでもよく、この場合供給槽は第1供給槽のみからなる。2種以上の溶液を遠心力により供給槽から反応槽に供給する場合、供給槽は溶液の種類と同じかそれより少ない数だけ備えられる。同じ供給槽に対し、溶液をピペットなどで順次供給すれば、供給槽は1つでもよい。
反応槽1に供給される溶液は、少なくとも1種、例えば2種、3種或いはそれ以上である。例えば最初に試料をピペットなどを用いて反応槽1に直接供給して抗原抗体反応を行い、その後反応槽を界面活性剤を含む第1洗浄液、さらにリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む第2洗浄液で順次洗浄することができる。この場合、界面活性剤を含む洗浄液を次のPBS溶液で第1排液槽に排液し、その後PBSを含む洗浄液にはタンパク質、界面活性剤などの流路表面を親水性にする親水性物質は実質的に存在しないので、PBS排液を第2排液槽に排液したときにも第2排液流路表面は親水性にはならず、次の溶液を反応槽1に供給したとき溶液の漏出は起こらない。
円盤型マイクロ流体チップで免疫アッセイや酵素アッセイを行う場合,反応槽の洗浄・溶液置換,抗体・酵素を担時させた表面の洗浄などを行う必要がある。この場合、流路の断面積に比べて反応槽の体積は大きく,流路からの溶液投入時に溶液が反応槽内で拡散・希釈されることがある。流入や排出の流路断面積を大きくすると溶液置換や洗浄の効率は向上するが,低い遠心回転数で溶液が供給槽から流出しやすくなる。このような場合、供給槽の溶液(例えば洗浄液)の比重を反応槽内の試料(例えば血清、血漿、などの血液試料、尿、唾液、涙液、髄液、リンパ液など)の比重よりも大きくし、順次供給される供給液の比重を直前の供給液よりも大きくすれば、反応槽内に供給された供給液は反応槽内の壁を伝って底部に流れ込み、上部から溢れ出た溶液が第1排液槽に導かれる。このような測定システムを用いると、供給液による反応槽内の溶液の置換、洗浄などの効率を格段に高めることができる。このような比重の高い溶液としては、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、単糖(グルコース、フルクトースなど)、二糖(ショ糖、マルトース)などの多価アルコール溶液などが挙げられ、グリセロールの溶液が好ましい。これらの溶液は濃厚溶液ほど比重が高くなるので、徐々に比重を高めた溶液を洗浄液などに利用することができる。なお、反応槽内の全ての溶液を第2排液槽に排出した後の二次抗体の溶液などは、反応槽が実質的に空の状態で供給されるので、比重の高い溶液を用いる必要はない。
円盤型マイクロ流体チップ上の遠心力による送液制御は,遠心力とマイクロ流路の毛管力とのバランスで決定される。遠心力は遠心回転数と中心からの距離で定まり,マイクロ流路の毛管力は流路壁面のぬれ性と密接に関係する。このとき,毛管力と遠心力とが逆方向に働くためには,流路表面は疎水性(90°<接触角<180°)の必要がある。タンパク質や界面活性剤などを含む検体・試薬を反応槽に投入した後に排液すると,排液された流路表面にタンパク質や界面活性剤などが吸着し,親水化されやすい。その場合,反応槽への2回目以降の溶液投入において,毛管力と遠心力とのバランスが崩れ,マイクロ流路(第2排液流路)から漏れ出して遠心送液制御が十分にできなくなる場合がある。このようなことを避けるために、タンパク質、界面活性剤などを含む排液は第1排液槽に流出させるようにすればよい。
本発明において、反応槽において,特に高回転遠心時の溶液保持を得るには,第2排液流路の断面積を小さくするのが望ましい。その場合,残液の排出に時間を要し,分析時間の短縮化が阻害される。このため、図2,3に示すように第2排液流路8は複数本(2本以上であって、例えば20本、50本又は100本或いはそれ以上でも原理的には可能)形成することで、排液時間の短縮化を図ることができる。
本発明のチップは、免疫アッセイに用いるのが好ましい。免疫アッセイ用のチップでは,チップの流路や反応槽の表面やガラス・ポリマービーズなどに,抗体、抗原などを担持した上で免疫アッセイを行うことができる。マイクロビーズを多数充填する方法はあるが,ビーズの充填量を高精度に制御することが難しいことから、抗体/抗原などを担持したガラスプレートを反応槽に配置するのが好ましい。ガラスプレートは洗浄が容易であり、抗体量の制御も容易である。
以下のおいては、供給槽が2つの場合を例に取り説明するが、供給槽が1つ或いは3つ以上であってもよいことはいうまでもない。
図1において、第1供給槽3、第2供給槽2は、反応槽1に対し中心側に備えられ、遠心力の作用により溶液が第1供給槽3、第2供給槽2から反応槽1に供給されるようになっている。第1供給槽3、第2供給槽2から前記反応槽1に送液するための第1供給流路5、第2供給流路4は、異なる遠心力で反応槽に送液されるようにしてある。図1では、第1供給流路を太くし、より小さい遠心力で送液できるようにしている。ここで、送液に必要な遠心力は流路の断面積と毛管力の和で表されるため、2つの供給流路の親水性/疎水性のバランスを変えて毛管力を制御し、それにより送液に必要とされる遠心力を制御してもよい。
図1において、第1供給槽、第2供給槽を有する場合、遠心力を徐々に上げていくと、先ず、第1供給槽の溶液が反応槽に供給され、さらに遠心力を上げていくとある一定以上の遠心力(回転数)で、第2供給槽の溶液が反応槽に供給されるようにしてある。このような第1/第2供給槽2,3から反応槽1への供給に必要な遠心力の差は、第1供給流路5を太く(断面積を大きく)し、第2供給流路4を細く(断面積を小きく)することにより達成できるが、溶液として水、含水溶媒などの極性溶媒を使用する場合には、第1供給流路をより疎水性にし、第2供給流路をより親水性にした場合には、流路の太さ(断面積)は同じでも第1供給流路に対しより小さい遠心力で溶液を反応槽に供給することができる。
例えば好ましい実施形態において、第1供給槽3にはタンパク質、界面活性剤などの流路に付着してその表面を親水性にする物質を含む溶液を加えることができ、第2供給槽2には流路を親水性にする物質を実質的に含まない溶液(例えばPBS溶液)を加えることができる。これは単なる1例であり、種々の供給液を第1供給槽3、第2供給槽2に加えることができる。
第1排液流路5は反応槽1よりもチップの中心側に位置し、第1供給槽3、第2供給槽2から反応槽1に溶液が供給されると、それにより溢れた反応液が第1排液槽6に流出するようにしてある。第2排液流路8は、反応槽1よりも円周側(外側)に位置し、反応槽1の溶液が遠心力により第2排液槽9に排出されるようにしてある。そして、第2排液槽9への排液は、第1供給槽3、第2供給槽2から反応槽へ送液されるよりもさらに大きな遠心力(回転速度)によって生じるように構成してある。第2排液槽9には反応液を全て流出させることが好ましい。これは、例えば洗浄液を全て排出させた後、蛍光物質、酵素などで標識された二次抗体を用いて蛍光量もしくは酵素反応生成物を測定する場合、溶液量が一定でないと測定誤差を生じることになるからである。図1に示すように第2排液流路8は大きな遠心力により始めて排液されるように断面積が小さく、かつ、表面が疎水性にしてある。
免疫反応の洗浄液、緩衝液、二次抗体の流れのフローを図1に示す。
反応槽1は、溶液中の物質同士を反応させてもよいが、抗原抗体反応の場合、抗原/抗体の一方をプレート、ビーズなどに固定化しておき、試料中の抗原/抗体の他方と反応させる構成としてもよい。免疫反応、酵素反応、受容体とリガンドの反応、遺伝子の転写、翻訳などのタンパク質、核酸に関係する反応、菌体の数、種類を検出する反応などの生物学的な反応を行った後、反応に関与しなかった物質は洗浄除去される。本発明のチップはこれらの生物学的反応の検出に有用である。反応槽にプレート装着部11と免疫反応部(液体部)12を備える実施形態を概略的に図5,6に示す。プレート装着部11に装着されるプレートとしては、抗原、抗体、酵素などの反応に関与するタンパク質を固定化したプレートが挙げられる。
洗浄液が1種のみでよい場合には、供給槽は1つのみでよく、遠心力の作用により洗浄液は第2排液槽に全て排出され、測定用の物質(例えば二次抗体)が供給される。反応液中に固定化されていない抗体、抗原、酵素、リガンド、受容体などのタンパク質性の成分がある場合、界面活性剤などの洗浄成分を必要とすることが多く、排液中に含まれるタンパク質、界面活性剤などの親水性成分が排液流路に付着して流路を親水化する。流路の親水化により、小さい遠心力で反応溶液が流出することになり、供給槽から反応槽に溶液を供給するための小さい遠心力をかけた場合に、反応槽内の溶液が第2排液槽に流出することになる。このような事態を回避するために、本発明では少なくとも2つ(好ましくは2つ)の排液槽が必須であり、一方は、供給槽から供給される溶液に押し出されて受動的に流出する第1排液槽であり、他方は、供給槽からの溶液の供給がない状態で大きな遠心力により反応槽内の溶液を全て排出して反応槽の溶液を全て放出するための第2排液槽である。
本発明の具体的な実施形態を図7,図8に例示する。
図7に示されるチップのユニットの寸法の一例を表1に示す。
Figure 2012242150
また、比重の異なる洗浄溶液の例を以下に示す。
a)検体として1 mg/mL BSA溶液を遠心充填(比重:0.9962)
b)第一洗浄液として0.3%Tween20と1%ブロックエースを含む10%Glycerol溶液で
遠心洗浄(比重:1.0237)
c)第二洗浄液として25%Glycerol溶液で遠心洗浄(比重:1.0612)
図8は、さらに別のチップの測定ユニットを示す。図8では、反応槽底部に液体の溜部を形成し、そこに比重の大きな液体を第3供給流路13を介して供給する。比重の大きい液体を供給した後は、この液体の上部(反応槽の表面)で液の交換(洗浄)が行われる。従って、洗浄の範囲を限定し、効率的に洗浄を行うために比重の大きい液体を利用することができる。洗浄以外の目的でも比重の異なる液体を利用できる。
図5,図6には、抗体をプレートに装着させる実施形態が示されている。
プレート装着部には,例えば抗体を固定化した顕微鏡用カバーガラス(カット品:直径5.0 mm,厚さ150μm)を装着することができる。免疫反応部は、例えば直径5.6mm、深さ100μmのものが例示される。
本発明のチップは、流路面を下にしたチップを上側に置き、下側に蓋を設けてもよい。ただし、図6に示されるように下側のチップの上に蓋を設けるのが好ましい。遠心操作時にプレートが落下することがなく、プレート装着部11に設置するプレートを強固に固定する必要がないからである。
なお、本発明のチップは、ガラス、樹脂、金属などの任意の素材でよいが、成形性、コストの観点から樹脂が好ましく、特にポリジメチルシロキサン(PDMS)、環状オレフィンポリマーなどが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説明する。
実施例1
図2および図3に示すように、第2排液流路の本数を1本から3本、5本、さらに9本、15本(図示せず)に増加させて、排液の所要時間を調べた。反応槽の液体は水を用いた。結果を図9に示す。
実施例2
レゾルフィン水溶液を反応槽に加え、PBS溶液(×)またはグリセリン10%水溶液(●)で洗浄した。グリセリン水溶液は、1回の洗浄でほぼ全てのレゾルフィンが洗浄除去されたが、PBS溶液では全てのレゾルフィンを洗浄除去するのに3回の洗浄が必要であった。この結果から、洗浄液に比重の大きい溶液を使用するのは非常に有効であることが分かった。
本発明の円盤型マイクロ流体チップは、臨床検査,環境分析,食品分析などで実施されている各種分析(免疫アッセイ,酵素アッセイ,遺伝子・タンパク質アッセイなど)。迅速分析や分析装置の小型化が見込まれ,ポイントオブケア分析(開業医,ベットサイド,福祉施設など),環境現場でのオンサイト計測,生産工場などでのプロセスコントロールやモニタリング計測などに利用可能である。
A 円盤型マイクロ流体チップ
B 分析ユニット
1 反応槽
2 第2供給槽
3 第1供給槽
4 第2供給流路
5 第1供給流路
6 第1排液槽
7 第1排液流路
7a 空気孔
8 第2排液流路
9 第2排液槽
9a 空気孔流路
10 蓋
11 プレートの装着部
12 免疫反応部(液体部)
13 第3の供給流路

Claims (6)

  1. 遠心力を利用して送液する円盤型マイクロ流体チップであって、前記チップが反応槽、少なくとも1つの供給槽、第1排液槽、第2排液槽、少なくとも1つの前記供給槽から前記反応槽に送液するための少なくとも1つの供給流路、反応槽から第1排液槽に排液するための第1排液流路、反応槽から第2排液槽に排液するための第2排液流路を備え、第2排液流路は供給流路よりも大きな遠心力で排液を流すことができ、反応槽から第1排液槽への排液は前記供給槽からの液の供給に伴って行われる、円盤型マイクロ流体チップ。
  2. 前記供給槽が第1供給槽と第2供給槽を備え、前記供給流路が第1供給槽から前記反応槽に送液するための第1供給流路と第2供給槽から前記反応槽に送液するための第2供給流路を備え、かつ、第1供給槽から反応槽に送液するのに必要な遠心力が、第2供給槽から前記反応槽に送液するため遠心力よりも小さい、請求項1に記載の円盤型マイクロ流体チップ。
  3. 前記第2排液流路の表面は疎水性である、請求項1または2に記載の円盤型マイクロ流体チップ。
  4. 前記第2排液流路が複数本形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の円盤型マイクロ流体チップ。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の円盤型マイクロ流体チップを用いる測定システムであって、前記供給槽から反応槽に供給される液体の比重は前記反応槽中の液体の比重よりも重く、前記供給槽から反応槽に液体を供給したときに比重の重い液体は反応槽の底部に流れ込み、反応槽の液体は溢れて第1排液槽に排出される、測定システム。
  6. 前記チップが第1供給槽と第2供給槽を備え、第1供給槽から反応槽に液体を供給した後、第2供給槽から反応槽に液体を供給し、かつ、第1供給槽の液体は反応槽の液体よりも比重が重く、第2供給槽の液体は第1供給槽の液体よりも比重が重いことを特徴とする、請求項5に記載の測定システム。
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