JP2012241805A - 円すいころ軸受及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】初期トルクが小さく初期摩耗が生じにくい円すいころ軸受及びその製造方法を提供する。
【解決手段】円すいころ軸受は、外周面に軌道面1aを有する内輪1と、内輪1の軌道面1aに対向する軌道面2aを内周面に有する外輪2と、両軌道面1a,2aの間に転動自在に配された複数の円すいころ3と、内輪1及び外輪2の間に複数の円すいころ3を保持する保持器4と、で構成されており、内輪1の外周面及び外輪2の内周面の間に形成された軸受内部空間には、潤滑剤Lが配されている。内輪1の外周面の軸方向一端部に設けらた大つば6のつば面6aには、室温よりも高温に加熱された投射材を投射するショットピーニング処理により形成された凹部が複数形成されている。これら凹部のうち深さ1μm以上のものは、200μm以下の間隔で均一に配置されている。
【選択図】図1

Description

本発明は円すいころ軸受及びその製造方法に関する。
円すいころ軸受においては、内輪に設けられたつばところの端面とが回転時に摺接するため、低速回転域ではトルクが大きく、高速回転域では焼付きが生じやすいという問題があった。なお、以降においては、つばのうち、ころの端面と摺接(滑り接触)する面を「つば面」と記す。前記のような問題があることから、ころの端面やつば面に油溜まりを形成して潤滑性を高め、トルクを低減し耐焼付き性を向上する技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、内輪のつば面にショットブラストを施し、凹凸を設ける技術が開示されている。また、特許文献2には、投射粒子の投射により、摺動部材の摺動面に凹面で構成された微細くぼみを多数形成する技術が開示されている。さらに、特許文献3には、砥石を使用してころの端面やつば面を仕上げ、滑らかな平滑部と、この平滑部にランダムに形成した谷部とからなる仕上げ面とする技術が開示されている。
さらに、特許文献4〜6には、転動体の転動面及び端面並びに内外輪の軌道面及び内輪の大つば面に、無数の微小凹形状のくぼみをランダムに形成する技術が開示されている。そして、くぼみを設けた面の面粗さパラメータRyniを0.4〜1.0μm、Rymaxを0.4〜1.0μm、且つ、粗さ曲線の歪み度を表すSk値を−1.6以下とし、さらに、くぼみの面積率を5〜20%、平均面積を30〜100μm2 とすると、ころ軸受の寿命を延長できるとされている。
さらに、特許文献7には、ころ端面に無数の谷をランダムに散在させ、三次元表面粗さのパラメータのうち算術平均粗さSaを0.1μm以下、減衰谷粗さSvkを0.15〜0.30μmとして、耐焼付き性を向上させる技術が開示されている。
特開平6−241235号公報 特表2009−526126号公報 特開平7−42746号公報 特開2006−9962号公報 特開2006−9963号公報 特開2006−9964号公報 特開2003−269468号公報
しかしながら、特許文献1,2に記載のものは、ショット加工により凹部を形成する際に、凹部の形成により生じた余肉で凸部が形成されるため、内輪のつば面や摺動部材の摺動面と摺接する相手部材の面が該凸部により攻撃されて表面粗さが悪化するおそれがあった。その結果、軸受の回転初期においては、トルク(以降は初期トルクと記す)が大きくなるとともに摩耗(以降は初期摩耗と記す)が生じやすかった。
また、特許文献3〜7に記載のものは、ころの端面やつば面にバレル加工や研磨を施すものであるため、くぼみや谷の形状や大きさ,深さなどを制御できないという問題点があった。また、バレル加工は、サイズが大きいものや複雑形状のものには適用が難しいという問題点があった。特に、相手部材との接触面積が小さい場合に、くぼみや谷の形状が線状や楕円状であると、油溜まりとして十分に機能せず、逆に相手部材との接触領域から潤滑油が排除されやすくなるため、油膜厚さが小さくなって焼付きが生じやすくなるという問題点があった。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、初期トルクが小さく初期摩耗が生じにくい円すいころ軸受及びその製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明の一態様に係る円すいころ軸受は、軌道面を有する内輪と、前記内輪の軌道面に対向する軌道面を有する外輪と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の円すいころと、を備え、前記内輪が軸方向一端部に大つばを有するとともに、前記大つばの表面のうち前記円すいころの大端面と摺接するつば面に、室温よりも高温に加熱された投射材を投射するショットピーニング処理により形成された凹部を有し、その凹部のうち深さ1μm以上のものは200μm以下の間隔で均一に配置していることを特徴とする。
このような本発明の一態様に係る円すいころ軸受においては、前記凹部内に固体潤滑剤が配されていることが好ましい。
また、本発明の他の態様に係る円すいころ軸受の製造方法は、軌道面を有する内輪と、前記内輪の軌道面に対向する軌道面を有する外輪と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の円すいころと、を備え、前記内輪が軸方向一端部に大つばを有する円すいころ軸受を製造する方法であって、前記大つばの表面のうち前記円すいころの大端面と摺接するつば面に、室温よりも高温に加熱された投射材を投射するショットピーニング処理を施して、前記つば面に凹部を形成することを特徴とする。
このような本発明の他の態様に係る円すいころ軸受の製造方法においては、前記投射材に固体潤滑剤粉末を混合し、その混合物を投射することが好ましい。
本発明の円すいころ軸受は、内輪の大つばの表面のうちころの大端面と摺接するつば面に、室温よりも高温に加熱された投射材を投射するショットピーニング処理により形成された凹部を有し、その凹部のうち深さ1μm以上のものは200μm以下の間隔で均一に配置しているとともに、凹部の形成時に生じた凸部が少ない。よって、初期トルクが小さく初期摩耗が生じにくい。
また、本発明の円すいころ軸受の製造方法は、内輪の大つばの表面のうちころの大端面と摺接するつば面に、室温よりも高温に加熱された投射材を投射するショットピーニング処理を施して、凹部を形成するので、凹部の形成時に凸部が生じにくい。その結果、初期トルクが小さく初期摩耗が生じにくい円すいころ軸受を製造することができる。
本発明に係る円すいころ軸受の一実施形態を示す部分縦断面図である。 内輪の大つばのつば面に形成された凹部を説明する図である。 カバー部材を用いて大つばのつば面のみにショットピーニング処理を施す方法を説明する図である。 ショットピーニング処理に用いる投射装置の断面図である。 実施例の円すいころ軸受の構造を示す縦断面図である。 縦型内輪回転式試験機の断面図である。
本発明に係る円すいころ軸受及びその製造方法の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る円すいころ軸受の一実施形態の構造を示す部分縦断面図である。
図1の円すいころ軸受は、外周面に軌道面1aを有する内輪1と、内輪1の軌道面1aに対向する軌道面2aを内周面に有する外輪2と、両軌道面1a,2aの間に転動自在に配された複数の円すいころ3と、内輪1及び外輪2の間に複数の円すいころ3を保持する保持器4と、で構成されており、内輪1の外周面及び外輪2の内周面の間に形成された軸受内部空間には、潤滑剤L(例えば潤滑油,グリース)が配されている。なお、保持器4は備えていなくてもよい。
また、内輪1には、円すいころ3の大端面31と摺接する大つば6が形成されている。図1には、内輪1の外周面の軸方向一端部(図1においては右側端部)に、大つば6が径方向外方に突出して設けられ、軸方向他端部(図1においては左側端部)に、円すいころ3の小端面32と摺接する小つば7が径方向外方に突出して設けられている例が図示されている。図1の例においては、外輪2には両つばは設けられていない。ただし、図1の例のように、内輪1に大つば及び小つばを設ける構成としてもよいが、大つばのみを設けて小つばは設けない構成としてもよい。
大つば6の表面のうち円すいころ3の大端面31に対向する内側面、すなわちつば面6aは、円すいころ3を案内し保持する面として機能しており、円すいころ3の大端面31と摺接する。
そして、大つば6のつば面6aには、室温よりも高温(例えば80℃以上)に加熱された投射材を投射するショットピーニング処理により、例えば円形の凹部(図2を参照)が複数形成されている。これら凹部の直径は、50μm以下であることが好ましい。また、これら凹部は、それぞれ種々の深さを有しているが、その多く(例えば半数以上)は深さ1μm以上であり、深さ1μm以上の凹部は、200μm以下の間隔で均一に配置されている。
これらの凹部は油溜まりとして機能し、円すいころ軸受の摺動部であるつば面6aと大端面31との間の潤滑性を高める作用を有している。所定深さの凹部が均一に配置されていることにより、優れた油溜まりとして機能し、高い油膜形成能力を発揮する。よって、円すいころ3の大端面31とつば面6aとの間の潤滑性が優れているので、本実施形態の円すいころ軸受は長寿命である。
なお、小つば7にも同様のショットピーニング処理を施してもよいが、小つば7と円すいころ3が接触することはほとんど無く、軸方向荷重のほとんどを大つば6が受けるので、小つば7にショットピーニング処理を施しても効果はほとんど得られない。
複数の凹部のうち多くのものの深さが1μm未満であると、凹部がすぐに摩滅してしまうという不都合が生じるおそれがある。また、深さ1μm以上の凹部の間隔が200μm超過であると、初期トルクが小さいという効果が減少するという不都合が生じるおそれがある。
さらに、室温よりも高温に加熱された投射材を投射するショットピーニング処理により凹部が形成されているので、凹部の形成により生じた余肉で形成される凸部の数が少ない。通常、投射材の粒子は凝集しているため、複数の粒子が凝集してなる凝集物が被処理面(つば面6a)に投射される。すると、つば面6aに衝突した各粒子(凝集物を構成する粒子)により凹部が形成されるため、複数の凹部が重なった形で形成され、凹部の寸法が大きくなる。その結果、凹部の形成と同時に、前述の凸部も形成されやすくなる。また、凹部の寸法が大きくなると、つば面6aの形状の変化が大きくなる。
投射材を室温よりも高温に加熱すると、粒子の凝集に大きく寄与する湿度が低下するため、粒子の凝集が抑制され分散される。凝集物を構成する粒子が分散すると、粒径150μm以下の極微小な粒子となるため、複数の凹部が重なった形で形成されることはほとんどなく、凹部の寸法は小さくなる。その結果、前述の凸部は形成されにくいので、被処理面の凸部の数が少ない。
よって、つば面6aに前記ショットピーニング処理が施された場合は、つば面6aが有する凸部の数は少ないので、摺接の相手面である大端面31が凸部により攻撃されて表面粗さが大きく悪化することはない。その結果、円すいころ軸受は、初期トルクが小さく初期摩耗が生じにくいので、長寿命である。また、凹部の寸法が小さいので、被処理面の形状の変化は小さい。さらに、ショットピーニング処理による表面硬さの上昇も抑制されるので、やはり初期トルクが小さくなる。
なお、凝集物を分散させる方法は、室温よりも高温に加熱することに限定されるものではなく、投射材を乾燥状態とすれば凝集物を分散させることが可能である。投射材を乾燥状態とする方法としては、加熱の他には、投射材を乾燥ガス(例えば乾燥空気,乾燥窒素)に接触させる方法や乾燥剤で処理する方法などがあげられる。
なお、凹部の内面には、化成処理を施してもよいし、固体潤滑剤の被膜や硬質膜などを形成してもよい。また、凹部内に固体潤滑剤を充填してもよい。そうすれば、凹部が形成された摺動面が摩耗した場合でも、摺動面に固体潤滑剤が供給されるので、円すいころ軸受の耐焼付き性が向上する。また、円すいころ軸受の長寿命化や初期トルクのさらなる低減を図ることができる。
投射材に固体潤滑剤粉末を混合し、その混合物を投射することにより、凹部の内面に固体潤滑剤の被膜を形成したり、凹部内に固体潤滑剤を充填したりすることができるが、このような方法に限定されるものではない。また、固体潤滑剤の種類は特に限定されるものではないが、二硫化モリブデンが好適である。
このような本実施形態の円すいころ軸受の用途は特に限定されるものではないが、自動車のデファレンシャルギア用の円すいころ軸受(低速回転域で使用されることが多い)として特に好適である。
以下に、上記のような本実施形態の円すいころ軸受の製造方法の一例について、詳細に説明する。
まず、内輪1の大つば6のつば面6aに、室温よりも高温に加熱された投射材を投射するショットピーニング処理を施す(第一工程)。このようなショットピーニング処理により、投射材の衝突による例えば円形の凹部がつば面6aに形成される。加熱された投射材は凝集しておらず、各粒子が分散しているので、前述したように、凹部の余肉からなる凸部が凹部の周囲に形成されることは少ない。
なお、内輪1の表面のうち大つば6のつば面6aのみに凹部を形成したいので、凹部を形成しない面にテープなどでマスクをして、凹部を形成したい面のみを露出させるとよい。例えば軌道面1aは、円すいころ3と繰り返し転がり接触するので、凹部が形成されていると、早期に表面剥離が引き起こされるおそれがある。よって、円すいころ軸受の寿命低下を防止するため、軌道面1aへのショットピーニング処理は避ける必要がある。そこで、図3に示すように、内輪1の外周面のうち軌道面1aや小つば7を、有底の円筒状のカバー部材で覆って、大つば6のつば面6aのみに前記ショットピーニング処理を施すとよい。
投射材の種類は特に限定されるものではないが、硬質材料が好ましく(ビッカース硬さが500以上のものがより好ましい)、炭化ケイ素,窒化ケイ素,アルミナ,シリカ等のセラミックや金属が好ましい。また、投射材の形状は球状が好ましく、その寸法については、直径150μm以下が好ましい。投射材の粒子の直径が150μm超過であると、粒子の循環性が不十分となるという不都合が生じるおそれがある。このような投射材を投射することにより、深さが1μm以上で、直径が50μm以下の凹部が、200μm以下の間隔で均一に配置される。
このようにして凹部を形成すれば、凹部の余肉からなる凸部が凹部の周囲に形成されにくいので、大つば6のつば面6aにはこれ以上の処理を施さなくても差し支えないが、若干の凸部が形成されるおそれがある。そこで、前記ショットピーニング処理が施された大つば6のつば面6aに、前記凸部の一部分を除去して各凸部を小さくする処理を施すことが好ましい(第二工程)。
この処理は、凸部を小さくすることができれば特に限定されるものではないが、以下のような鏡面加工が好ましい。すなわち、複数の硬質粒子が表面に備えられた弾性体粒子をショットして、前記凸部が形成された表面に衝突させる処理である。なお、上記のような鏡面加工の代わりに研磨加工などを用いても凸部を小さくすることができるが、その場合には、凸部の塑性流動によって凹部が埋没しないように注意する必要がある。
この弾性体粒子は、粒状弾性体の表面に複数の硬質粒子が接着剤等により固着しているものでもよいし、弾性体と硬質粒子との混合物からなり、表面に硬質粒子が突出しているものでもよい。弾性体の種類は特に限定されるものではないが、ゴムや熱可塑性エラストマ等があげられる。また、硬質粒子の種類は特に限定されるものではないが、アルミナ,ダイヤモンド,炭化ケイ素等があげられる。
硬質粒子が表面に備えられた弾性体粒子全体における硬質粒子の割合は、10質量%以上90質量%以下とすることが好ましい。
また、弾性体粒子の直径は5mm以下が好ましく、また、硬質粒子の直径は50μm以下が好ましい。弾性体粒子の直径が5mm超過であると、粒子の循環性が不十分となるという不都合が生じるおそれがある。一方、硬質粒子の直径が50μm超過であると、凸部を除去するだけでなく、表面を粗くしてしまうという不都合が生じるおそれがある。
このような硬質粒子が表面に備えられた弾性体粒子を衝突させることにより、第一工程により形成された各凸部の一部分が除去されて小さな凸部となるので、凸部よりも凹部の方が大きな割合を占める表面となる。
凸部の大きさが、第一工程で形成された状態のままであると、摺接する相手部材の面が該凸部により攻撃されて表面粗さが悪化し、円すいころ軸受の初期トルクが若干大きくなるとともに初期摩耗が若干生じやすくなるおそれがある。すなわち、つば面6aに大きな凸部が形成されていると、これと摺接する円すいころ3の大端面31が凸部により攻撃されて表面粗さが悪化し、上記のような不都合が生じるおそれがある。しかしながら、第二工程により凸部が小さくされていれば、相手部材の面に対する攻撃性が低減されるので、上記のような不都合が生じにくい。したがって、第二工程の処理が施された円すいころ軸受は、初期トルクがより小さく初期摩耗がより生じにくい。
さらに、内輪1の軌道面1a、外輪2の軌道面2a、及び円すいころ3の転動面3aに第一工程のショットピーニング処理を施した場合には、その面を、砥石による研磨等のような慣用の方法により研磨して、第二工程で小さくされた凸部を完全に除去して平滑化し、前記凹部のみ残す処理を施してもよい(第三工程)。このような処理により、軌道面1a,軌道面2a,転動面3aは、平滑面に前記凹部のみが形成された面となる。軌道面1a,軌道面2a,転動面3aは、平滑に研磨されている上、油溜まりとして機能する複数の凹部を備えることとなるので、円すいころ軸受の潤滑性は向上する。
そして、内輪1の表面のうち軌道面1a以外の面、外輪2の表面のうち軌道面2a以外の面、円すいころ3の表面のうち転動面3a以外の面については、第二工程が終了した状態のままであるので、第二工程で小さくされた凸部がそのまま残っており、平滑面に前記凹部と前記小さくされた凸部とが形成された面となる。
ここで、第一工程のショットピーニング処理と第二工程の鏡面加工について、さらに具体的に説明する。ショットピーニング処理の条件は特に限定されるものではないが、投射材のショット圧力を1470kPa以下、ショット時間を20分以下とすることが好ましい。ショットピーニング処理は、投射材を投射するノズルを加工対象物に向けてショットすればいいため、加工対象物のサイズにかかわらず容易に凹部を形成できるという利点がある。また、マスクやカバー部材についても、加工対象物である内輪に合わせてサイズを変更すれば、軌道面の保護を行うことができる。
つば面へのショットピーニング処理は、ころの端面へのショットピーニング処理に比べて、加工対象物の個数を少なくすることができるという利点がある。すなわち、つば面にショットピーニング処理を施す場合には、1個の軌道輪に対して処理を行えばいいが、ころの端面にショットピーニング処理を施す場合には、多数のころ(例えば22個)に対して処理を行う必要がある。
また、軌道輪はころと比べてサイズが大きいため、ショットピーニング処理時に固定しやすいという利点がある。さらに、軌道面をマスクで保護した軌道輪を数個から数十個、かご等の容器に入れてショットピーニング処理を施せば、容易に加工することができるので、量産性もある加工法である。ただし、かご等の容器に入れてショットピーニング処理を施す際には、凹部の形状の制御が困難である上、かご等の容器内で軌道輪同士が衝突し互いに傷を付けてしまうおそれがあるため、工夫が必要となる。軌道輪に傷が付くと、軸受の音響性能や振動特性が悪化するおそれがある。
第一工程のショットピーニング処理について、具体例を一つ示す。大きな開口部が設けてあるかご状部材の中に複数個の内輪を入れて、炭化ケイ素製の投射材を噴射するノズルを開口部付近に設置する。かご状部材を数rpmの回転速度で回転させながら、直径30μmの炭化ケイ素製の投射材を、ノズルからショット圧力600kPaで10分間噴射する。
第一工程のショットピーニング処理を施すことによって、算術平均粗さRaを0.2μm以下、粗さ曲線の歪み度を表すSkを−0.1以下、最大高さ粗さRyを0.4μm以上4.0μm以下にすることができる。
ただし、加工対象物をかご等の容器に入れてショットピーニング処理を施す方法では、加工対象物の表面全体に凹部が形成される。例えば内輪の場合であれば、大つばのつば面に限らず軌道面にも凹部が形成される。その結果、円すいころ軸受の寿命低下を引き起こすおそれがある。よって、加工対象物の表面の一部分に凹部を形成したい場合には、前述したように、凹部を形成しない面にテープなどでマスクをして、凹部を形成したい面のみを露出させてショットピーニング処理を施してもよい。
一方、第二工程の鏡面加工の条件は特に限定されるものではなく、通常のショット条件で行うことができる。第二工程の鏡面加工について、具体例を一つ示す。ショットピーニング処理を施した内輪をザル状の容器に入れ、複数のダイヤモンド粒子を接着剤によって表面に固着したゴム粒子を、斜め方向から5分間ショットする。ダイヤモンド粒子の直径は10μmであり、ゴム粒子の直径は1mmである。
第二工程の鏡面加工を施すことによって、凸部が小さくなるので、最大高さ粗さRzを小さくすることができ、0.4μm以上2.0μm以下にすることができる。また、鏡面加工を施した表面を非接触表面形状測定機(Zygo株式会社製)にて測定し3次元表面粗さパラメータで表すと、算術平均粗さSaは0.2μm以下、表面高さ分布の偏り度(スキューネス)Sskは−0.1以下、表面高さ分布のとがり度(クルトシス)Skuは5以上となる。ここで、Sa,Ssk,Skuは、ISO25178に規格されているパラメータである。
なお、第一工程のショットピーニング処理及び第二工程の鏡面加工の条件は、上記のものに限定されるものではなく、条件を適宜変更することにより、摺動面の接触域の大きさに応じて凹部の大きさも変化させることが好ましい。
ただし、凹部の面積を接触域の面積の5%以上20%以下にし、凹部の大きさも接触域の大きさの5%以上50%以下にすることが好ましい。さらに、凹部の深さも、1μm以上5μm以下とすることが好ましい。
前記凹部の面積率(接触域の面積に対する凹部の面積)の比率が5%未満又は20%超過であると、油膜形成能力が不十分となるおそれがある。特に、20%超過では、荷重を支える平滑面が少なくなるため、油膜厚さが薄くなって摩耗が生じるおそれがある。
また、凹部の大きさが接触域の大きさの5%未満又は50%超過であると、油膜形成能力が不十分となるおそれがある。特に、50%超過では、凹部の淵の部分で圧力が小さくなり、接触が生じやすくなってしまう。
さらに、凹部の深さが1μm未満であると、初期摩耗によって凹部が摩滅してしまうおそれがある。一方、5μm超過であると、油が凹部内に流入した場合に、動圧効果が得られにくくなり、油膜形成能力が小さくなるおそれがある。
第一工程及び第二工程の後に、軌道面1a,軌道面2a,転動面3aについては、第三工程の研磨により凸部が完全に除去されるので、Ra(Sa)を0.07μm以下にすることができる。例えば、転動体であるころの転動面であれば、センタレス研磨などにより研磨することができる。
このような処理により、加工条件を適宜選択することによって、直径が10μm以上50μm以下、深さが1μm以上の凹部を、200μm以下の間隔で均一に形成することができる。
次に、上記のようなショットピーニング処理に好適に使用可能な投射装置について、図4を参照しながら説明する。
図4の投射装置は、投射材S(例えば、平均粒径が30μmの鋼球)が収容される投射材タンク10と、投射材Sを噴射する噴射ノズル12と、投射材タンク10と噴射ノズル12とを連通する搬送管14と、投射材タンク10内に圧縮ガス(例えば圧縮空気)を導入するガス導入管16と、室温よりも高温に投射材Sを加熱する加熱部(図示せず)と、を備える。
投射材Sに埋没させたガス導入管16の先端16aから投射材タンク10内に圧縮ガスを導入すると、投射材Sは圧縮ガスとともに投射材タンク10から排出される。そして、搬送管14を通って噴射ノズル12に送られ、噴射ノズル12の先端口からガスとともに噴射される。噴射ノズル12の先端口を図示しない加工対象物の被処理面に向ければ、投射材Sが被処理面に噴射され、ショットピーニング処理が施される。
このとき、投射材Sは加熱部により加熱されているので、投射材Sは凝集しておらず、各粒子が分散している。よって、凝集しておらず分散している投射材Sが、加工対象物の被処理面に投射される。加熱部は、投射材タンク10,噴射ノズル12,搬送管14,及びガス導入管16のうちの1つに備えられていてもよいし、複数に備えられていてもよいが、全てに備えられていることが好ましいことはもちろんである。また、室温よりも高温の圧縮ガスを用いてもよい。
また、投射材Sの凝集を防ぎ、より分散させるために、以下のようにしてもよい。すなわち、投射材タンク10内に、投射材Sとともに混合粒子を収容する。この混合粒子は、例えばゴム,スチール,セラミックからなり、投射材Sよりも大きい粒径(例えば5mm)を有するものである。そして、金網等のフィルターが投射装置に(例えば、投射材タンク10と搬送管14の接続部分に)備えられていて、投射材Sはフィルターを通って噴射ノズル12に送られるようになっている。このとき、このフィルターは、混合粒子を通さないようになっているので、混合粒子はフィルターにより除去されて投射材タンク10に戻され、投射材Sのみが噴射ノズル12に送られる。なお、このフィルターに加熱部を設けてもよい。
このような投射装置を用いれば、低流量のガスでショットピーニング処理を施すことができる。そうすれば、凹部形成による被処理面の形状の変化を小さく抑えることができる。また、凹部形成に伴う凸部の形成も抑えることができる。ただし、噴射ノズル12の先端口近傍に、別途ガス噴出口(図示せず)を設け、噴射ノズル12の先端口から噴射される投射材Sに、ガス噴出口から噴射されるガスを合流させて、投射材Sの投射圧力を高めてもよい。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては円すいころ軸受を例にして説明したが、本発明は、他の種類の様々なころ軸受に対して適用することが可能である。例えば、円筒ころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等である。また、ラジアルころ軸受に限らず、スラストころ軸受にも適用することができる。
さらに、本発明は、ころ軸受に限らず玉軸受にも適用することができる。しかしながら、玉軸受は滑り摩擦の部分が少なく、ほとんどが転がり摩擦に支配されているため、元々軸受トルクが低い。よって、凹部を形成しても、トルクに関しては大幅に低減されることはない。
さらに、本発明は、転がり軸受に限らず、リニアガイドやボールねじ等の直動装置にも適用することができる。特に、転動体としてころを用いるリニアガイドに好適である。
さらに、本発明は、一般的な軸受鋼(SUJ2)のみならず、セラミックや非鉄金属などで構成されている転がり軸受にも適用することができる。その場合は、ショットピーニング処理のショット圧力,ショット時間などの条件設定を変更する必要性が生じる場合がある。
以下に、本実施形態の円すいころ軸受の製造工程と性能試験について、図面を参照しながら説明する。図5に示す円すいころ軸受310は、日本精工株式会社製の呼び番号HR30307C(内径:35mm,外径:80mm,最大幅:22.75mm)の円すいころ軸受である。
この円すいころ軸受310は、内輪軌道面(転がり面)301aを有する内輪301と、外輪軌道面(転がり面)302aを有する外輪302と、内輪軌道面301a及び外輪軌道面302a間に転動自在に配設され、転動面(転がり面)303aを有する円すい状の複数のころ303と、ころ303を転動自在に保持する保持器304と、からなる。
また、この円すいころ軸受310では、内輪301の軸方向両端部につば301A,301Bが形成されており、このつば301A,301Bに対してころ303の軸方向端面が転がり接触した状態で案内されるように構成されている。
内輪301、外輪302、及びころ303は、以下に示すようにして作製した。まず、高炭素クロム軸受鋼二種(SUJ2)からなる素材を内輪301、外輪302、及びころ303の各形状に加工し、840℃の混合ガス雰囲気(RXガス+エンリッチガス+アンモニアガス)で3時間浸炭窒化した後、油焼入れ及び焼戻しを行った。そして、内輪301、外輪302、及びころ303の各表層部(表面から250μmの深さまでの部分)の残留オーステナイト量を15〜40体積%とし、前記表層部の硬さをHRC62〜67(Hv746〜900)に調整した。
次に、このようにして得られた内輪301の大つば301Bのつば面に、投射材である鋼球を噴射するノズルから、80℃に加熱された直径30μm,50μm,100μm,又は200μmの鋼球を噴射した(ショットピーニング処理)。そして、噴射圧力や噴射時間を適宜設定することにより、直径や面積率が異なる凹部がつば面に形成された種々の内輪301を製造した。なお、噴射圧力を0.5MPaとすることにより、凹部の直径が1μm以下になるようにした。また、ショットピーニング処理の際には、内輪軌道面301aに凹部が形成されないように、マスク又はカバー部材(例えばステンレス製)で内輪軌道面301aを保護した。
また、鋼球に固体潤滑剤粉末(二硫化モリブデン粉末)を混合した混合物を噴射することにより、凹部の内面に固体潤滑剤の被膜が形成された内輪301も併せて製造した。
その後、転動体であるころ303の転動面をセンタレス研磨などで研磨することで、転動面の表面粗さをRaで0.07μm以下とした。
続いて、このようにして得られた内輪301、外輪302、及びころ303と、SPCC製の保持器304とを用いて、円すいころ軸受310を組み立てて、以下に示す条件で回転試験を行った。
この回転試験は、図6に示す縦型内輪回転式試験機を用いて行った。この試験機は、図6に示すように、主軸321と、この主軸321の軸方向一端部321aに設けられた支持軸受322と、本体部323と、この本体部323の軸方向上端面に設けられた静圧軸受324と、からなり、試験軸受である円すいころ軸受310の内輪301を主軸321に外嵌させ、外輪302を本体部323に内嵌させた状態で使用されるように構成されている。
また、静圧軸受324の上方からはアキシャル荷重Faを付与できるように構成されている。さらに、本体部323の側面には、棒材325を介してロードセル326が接続されており、本体部323に加わる動摩擦トルクを検出できるように構成されている。さらに、本体部323の側面には、試験軸受である円すいころ軸受310の転がり面に潤滑油Jを供給するための通路327と、転がり面の温度を検出するための熱電対328とが設けられている。
また、この回転試験は、通常量(300ml/min)よりも少ない量の潤滑油Jを供給しつつ、以下に示す条件で内輪301を回転させることで行い、円すいころ軸受310のならし運転時(初期なじみ)におけるトルク値(初期トルク)を測定した。この結果は、比較例であるNo.9の内輪301を用いた円すいころ軸受310の初期トルクを1とした時の比として、表1に併せて示した。
なお、表1中に示された前処理「バレル加工」とは、種々のメディアや添加剤を配合して表面に大きなディンプルを形成する粗加工を大気中で行った後、プラトー部(平滑部)の粗さを整える仕上げ加工を大気中で行い、ころの各表面にディンプルを形成する処理を指す。
〔回転試験条件〕
荷重 :9.8kN
回転速度 :100min-1
潤滑油 :ISO粘度グレードがISO VG32であるタービン油
軸受油量 :200ml/min
潤滑油温度:30±3℃
Figure 2012241805
表1に示すように、ショットピーニング処理を施した実施例である試験No.1〜6は、ショットピーニング処理を施していない比較例である試験No.9と比べて、初期トルクの低減が見られた。また、直径100μmの鋼球を用いて、大つばのつば面に1分間ショットピーニング処理を施した実施例である試験No.6が、初期トルクが最も低く、試験No.9と比べて約50%の初期トルクであった。さらに、試験No.5,6と試験No.7,8との比較から、凹部の内面に固体潤滑剤の被膜を形成することは、初期トルクの低減に有効であることが分かる。
さらに、上記試験軸受を用いて耐焼付き性の試験を行なった。使用した軸受は、初期トルクが最も低かった試験No.6と、その試験No.6の凹部の内面に二硫化モリブデンの被膜が形成されたものである試験No.8と、試験No.9である。これらの軸受を用いて、試験前に数滴潤滑油を供給するのみで、無給油で軸受を回転させて、外輪温度が100℃を超えるまでの試験時間を焼付き時間とした。
ショットピーニング処理が施されていない試験No.9は、回転20分程度で外輪温度が急上昇し、回転21分後に焼付いた。これに対して、試験No.6の焼付き時間は118分であり、試験No.9の約6倍であった。また、凹部の内面に二硫化モリブデンの被膜が形成された試験No.8の焼付き時間は183分であり、試験No.9の約9倍であった。このように、凹部の内面に二硫化モリブデンの被膜を形成すると、耐焼付き性が向上することが分かる。
さらに、試験No.1〜9の軸受について寿命試験を行なったところ、ショットピーニング処理が施された試験No.1〜8と、未処理品である試験No.9との間に、大きな寿命の差はなかった。転動体の転動面の表面粗さは通常は軸受の寿命に大きく影響するが、本発明は、転動体であるころの転動面の表面粗さにはほとんど影響を与えないため、寿命に悪影響を及ばさないことが分かった。
なお、本実施例では、本発明の円すいころ軸受の一例として単列円すいころ軸受をあげて説明したが、これに限らず、本発明は、潤滑状態が良好ではない環境下で使用されるその他の円すいころ軸受にも好適に用いることができる。例えば、本発明は、背面組合せ型円すいころ軸受や正面組合せ型円すいころ軸受に適用してもよい。また、各種円筒ころ軸受に適用してもよいし、公知の自動調心ころ軸受に適用してもよい。また、スラスト形ころ軸受や針状ころ軸受に関しても同等の効果が得られる。
また、本実施例では、鋼球,ガラスビーズ等の球状の粒子を母材に衝突させているが、粒子の形状は球状に限定されるものではなく、非球状、具体的には、多角形状,不定形状,針状,グリッド状,砂状などの粒子を用いてもよい。
さらに、本実施例では、内輪301、外輪302、及びころ303の材料として軸受鋼(SUJ2)を一例としてあげて説明したが、セラミック,ステンレス,非鉄金属を用いてもよい。また、保持器についても、金属のみならず高分子材料の樹脂などを用いてもよい。
さらに、本実施例では、ショットピーニング処理により形成した凹部の中に、固体潤滑剤である二硫化モリブデンを埋設したが、固体潤滑剤の種類は二硫化モリブデンに限定されるものではなく、カーボン材料や高分子材料を用いてもよい。また、ショットピーニング処理により形成した凹部の内面に、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)などをスパッタなどにより成膜することで、より一層の低トルク、低摩耗が期待できる。
さらに、本実施例では、円すいころ軸受を一例として説明したが、本発明はこれに限らず、玉軸受やリニアガイド、ボールねじなどの直動装置にも適用可能である。また、タペットローラでも効果が得られる。
1 内輪
1a 軌道面
2 外輪
2a 軌道面
3 円すいころ
3a 転動面
6 大つば
6a つば面
31 大端面
301 内輪
301a 内輪軌道面
301A,301B つば
302 外輪
302a 外輪軌道面
303 ころ
303a 転動面
310 円すいころ軸受

Claims (4)

  1. 軌道面を有する内輪と、前記内輪の軌道面に対向する軌道面を有する外輪と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の円すいころと、を備え、前記内輪が軸方向一端部に大つばを有するとともに、前記大つばの表面のうち前記円すいころの大端面と摺接するつば面に、室温よりも高温に加熱された投射材を投射するショットピーニング処理により形成された凹部を有し、その凹部のうち深さ1μm以上のものは200μm以下の間隔で均一に配置していることを特徴とする円すいころ軸受。
  2. 前記凹部内に固体潤滑剤が配されていることを特徴とする請求項1に記載の円すいころ軸受。
  3. 軌道面を有する内輪と、前記内輪の軌道面に対向する軌道面を有する外輪と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の円すいころと、を備え、前記内輪が軸方向一端部に大つばを有する円すいころ軸受を製造する方法であって、前記大つばの表面のうち前記円すいころの大端面と摺接するつば面に、室温よりも高温に加熱された投射材を投射するショットピーニング処理を施して、前記つば面に凹部を形成することを特徴とする円すいころ軸受の製造方法。
  4. 前記投射材に固体潤滑剤粉末を混合し、その混合物を投射することを特徴とする請求項3に記載の円すいころ軸受の製造方法。
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