JP2012241726A - 圧力制御弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】検出圧力に応じて開度を制御する圧力制御弁において、圧力を検出するダイヤフラムの受圧径を小さくする。
【解決手段】ダイヤフラム22は、円形の中央部41を有し、その外周に、第1連結部42、環状部43、第2連結部44および固定部45が順次同心配置され、第1連結部42および第2連結部44によって同心円の段が形成された構成を有している。中央部41および環状部43が圧力を受けて軸線方向にストロークするとき、その軸線方向に延出された円筒形状の第1連結部42および第2連結部44は変形しない。そのため、中央部41が第1連結部42との接続部を支点として変形し、環状部43が第2連結部44との接続部を支点として変形し、ダイヤフラム22は、全体として大きくストロークすることができる。したがって、必要なストロークを得るだけなら、ダイヤフラム22の受圧径は、小さくできる。
【選択図】図3

Description

本発明は圧力制御弁に関し、特に自動車用空調装置の可変容量圧縮機に装着されて冷媒の吐出容量を制御する圧力制御弁に関する。
自動車用空調装置の冷凍サイクルに用いられる圧縮機は、走行状態によって回転数が変化するエンジンを駆動源としているので回転数制御を行うことができない。そこで、一般的には、エンジンの回転数に制約されることなく適切な冷房能力を得るために、圧縮機には、冷媒の吐出容量を可変することのできる可変容量圧縮機が用いられている。
可変容量圧縮機は、一般的に、エンジンによって回転駆動される回転軸の周囲に複数のシリンダが配置され、その回転軸には、気密に形成されたクランク室内で傾斜角可変に揺動板が設けられている。揺動板が回転軸の回転運動により駆動されて揺動運動をすると、これに連動して、回転軸と平行な方向にシリンダ内のピストンが往復運動をし、吸入室の冷媒をシリンダ内に吸入し、圧縮して吐出室に吐出する。このとき、クランク室内の圧力を変化させることにより、ピストンの両端にかかる圧力の差により揺動板の傾斜角度を変化させることができ、これによってピストンのストロークが変化され、冷媒の吐出量が変化させられる。このクランク室内の圧力を変化させるよう制御するのが、圧力制御弁である。
このような圧力制御弁は、一般に、吐出室から吐出された吐出圧力Pdの冷媒の一部をクランク室に導入し、その導入量またはクランク室から導出する冷媒の量を制御することによってクランク室内の圧力Pcを制御している。その導入量または導出量の制御は、吸入室の吸入圧力Psに基づいて行われている。つまり、圧力制御弁は、吸入圧力Psを検出し、その吸入圧力Psが所定の設定値を維持するように、吐出室からクランク室に導入またはクランク室から吸入室に導出される冷媒の流量を制御している。
このため、可変容量圧縮機用の圧力制御弁は、吸入圧力Psを検出する感圧部と、その感圧部が検出した吸入圧力Psに応じて吐出室からクランク室へ通じる通路またはクランク室から吸入室へ通じる通路を開閉制御する弁部とを備えている。さらに、可変容量動作に入るときの吸入圧力Psの値を外部から自由に設定することができるようにした電子式圧力制御弁では、吸入圧力Psの設定値を外部電流によって可変することができるソレノイドを備えている。
感圧部は、ダイヤフラムを用いて吸入圧力Psを検出するタイプのものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。ダイヤフラムは、円板状の金属薄膜からなり、その外周縁部が固定された状態で、一方の面に吸入圧力Psを受圧させたときのダイヤフラムに当接したディスクの変位量(ストローク量)で圧力の大きさを検出している。圧力制御弁は、そのダイヤフラムの変位量に応じて弁部の開度を制御し、これによって可変容量圧縮機のクランク室内の圧力を制御している。
吸入圧力Psを受圧している面と反対側のダイヤフラムの面には、ソレノイドが配置されていて、吸入圧力Psに対向するソレノイド力を付与している。このソレノイドのソレノイド力が吸入圧力Psの設定値に相当し、ソレノイドコイルに供給する電流の大きさによって設定される。
ところで、ダイヤフラムを使用した圧力検出装置においては、ダイヤフラムの変位量であるストロークを大きくすることが難しく、しかも、全ストロークに亘って所定の直線性および感度を得ることが難しいという性質を有している。これに対し、ダイヤフラムの直線性および感度を改善する目的で構成された圧力検出装置が知られている(たとえば、特許文献2参照)。この圧力検出装置では、ダイヤフラムに同心円状の複数の環状段部を設けてストロークに対する直線性および傾きの特性を改善することが行われている。
特開2005−291190号公報 特許第3272654号公報
圧力制御弁は、大きさの制約を受けない上述の圧力検出装置と違って、可変容量圧縮機内に装着される関係から小型軽量化が望まれており、これに応じてダイヤフラムも小径化することが望まれている。しかしながら、ダイヤフラムは、小径化するほど撓みにくくなるので、弁部を駆動するのに必要なストロークを得ることが難しく、弁部を制御するのに必要な直線性および傾きの特性を得ることが難しい。このため、ダイヤフラムをさらに小型化することが難しく、それによって圧力制御弁を小型軽量化することも難しいという問題点があった。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、ダイヤフラムの受圧径を小さくしつつ、必要な特性を得ることができる小型軽量化した圧力制御弁を提供することを目的とする。
本発明では上記の課題を解決するために、感圧部にダイヤフラムを使用した圧力制御弁において、前記ダイヤフラムは、円形の中央部と、前記中央部と平行平面上に配置されていて外周縁部がハウジングに固定されている環状の固定部と、前記中央部の平面と前記固定部の平面との間にて前記中央部および前記固定部と同心配置された環状部と、前記中央部の平面に対して垂直方向に延出して前記中央部の外周縁部と前記環状部の内周縁部とを接続する円筒状の第1連結部と、前記環状部の前記第1連結部が接続されている側とは反対の方向に延出して前記環状部の外周縁部と前記固定部の内周縁部とを接続する円筒状の第2連結部と、を有していることを特徴とする圧力制御弁が提供される。
このような圧力制御弁によれば、ダイヤフラムは、圧力を受けて軸線方向に変位する中央部および環状部が軸線方向に変形しない第1連結部および第2連結部によって接続した構成を有している。これにより、中央部が第1連結部との接続部を支点として変形し、環状部が第2連結部との接続部を支点として変形するので、ストロークの大きなダイヤフラムになり、これが受圧径を小さくすることに寄与する。
上記構成の圧力制御弁は、ストロークを大きくできる構造のダイヤフラムを採用してその受圧径を小さくしたので、受圧する圧力に対向するソレノイド力を小さくでき、ソレノイドおよびこれを収納する圧力制御弁を小型軽量化できるという利点がある。
第1の実施の形態に係る圧力制御弁の構成を示す中央縦断面図である。 圧力制御弁の要部を拡大して示した部分拡大断面図である。 ダイヤフラムの構成を示す中央断面図である。 第2の実施の形態に係る圧力制御弁のパワーエレメントの要部を拡大して示した部分拡大断面図である。 ダイヤフラムの変位状態を示す説明図であって、(A)は変位なしの状態を示し、(B)は0.1mm変位した状態を示し、(C)は0.2mm変位した状態を示し、(D)は0.3mm変位した状態を示し、(E)は0.4mm変位した状態を示し、(F)は最大変位した状態を示している。 ダイヤフラムの圧力−ストローク特性を示す図である。 ダイヤフラムのストローク量に対する受圧径の変化を示す図である。 ダイヤフラムのストローク量に対する傾きの変化を示す図である。 ダイヤフラムのストローク量に対する直線性の変化を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、斜板式の可変容量圧縮機の吸入圧力を検出して吐出容量を制御するものであって、吸入圧力の設定値を電子的に設定することができる圧力制御弁に適用した場合を例に図面を参照して詳細に説明する。
図1は第1の実施の形態に係る圧力制御弁の構成を示す中央縦断面図、図2は圧力制御弁の要部を拡大して示した部分拡大断面図、図3はダイヤフラムの構成を示す中央断面図である。
この圧力制御弁は、ボディ11の図の上方側部に可変容量圧縮機の吐出室から吐出圧力Pdを受けるポート12が設けられ、図の上端部には、可変容量圧縮機のクランク室に制御されたクランク室圧力Pcを供給するポート13が設けられている。このクランク室圧力Pcのポート13は、ボディ11の軸周りに複数の通路を設けることによって形成され、内部で吐出圧力Pdのポート12と連通している。吐出圧力Pdのポート12の周りには、ストレーナ14が周着されている。ポート12とポート13とがボディ11の内部で連通する冷媒通路には、弁座15がボディ11と一体に形成され、筒状の弁体16がボディ11によって弁座15に対し軸線方向に進退自在に支持されている。この弁座15および筒状の弁体16が、この圧力制御弁の弁部の主弁を構成している。
ボディ11が圧入により結合されたボディ17の図の中間側部には、可変容量圧縮機の吸入室に連通するポート18が設けられ、そのポート18が連通するボディ17の内部空間には、パワーエレメント19が収容されている。
このパワーエレメント19は、上部ハウジング20と、下部ハウジング21と、これらの間に配置されたダイヤフラム22とを有し、これらの外周縁部が気密に接合されている。下部ハウジング21とダイヤフラム22とによって囲まれた空間は真空室を構成し、その真空室には、ディスク23を介して真空により内側に撓むダイヤフラム22を外側に付勢するスプリング24が収容されている。上部ハウジング20は、中央部に開口部を有し、その開口部の周囲に筒状のハブ部が一体に形成されている。そのハブ部は、筒状の弁体16に圧入により結合され、弁体16とパワーエレメント19の上部ハウジング20および下部ハウジング21とが一体に動作するようにしている。上部ハウジング20は、また、パワーエレメント19が収容されている空間と連通する通気口25が設けられ、ダイヤフラム22がその通気口25を介して可変容量圧縮機の吸入室の吸入圧力Psを検出できるようになっている。
上部ハウジング20のハブ部には、ダイヤフラム22を主弁側から保持する有底スリーブ形状のホルダ26が配置されている。このホルダ26の底部は、ダイヤフラム22に当接され、ホルダ26の筒状部は、筒状の弁体16の内壁によって軸線方向に進退自在に支持されている。このホルダ26の筒状部の側面には、通気口27が設けられており、クランク室圧力Pcのポート13からブリード弁を介して吸入圧力Psのポート18へ冷媒を逃す冷媒通路を構成している。
ブリード弁は、弁体16の内壁に形成されて弁座を構成する段部28と、この段部28とホルダ26との間で軸線方向に進退自在に配置されてフランジ部29aが弁体を構成するホルダ29とを備えている。ブリード弁は、また、ホルダ29のフランジ部29aとホルダ26の底部との間に配置されたスプリング30を備えている。このスプリング30は、ホルダ29のフランジ部29aを段部28に当接する方向、すなわち、ブリード弁の閉弁方向に付勢するとともに、ホルダ26をダイヤフラム22に当接する方向に付勢している。
ホルダ29は、ボディ11の先端中央部に圧入により固定されてホルダ26の中まで軸線方向に延出されたシャフト31の先端部によって軸線方向に進退自在にガイドされている。このホルダ29およびシャフト31は、主弁が全開位置にあるとき、ブリード弁が全閉する位置関係にあり、主弁が全開位置から絞り方向に動作すると、ホルダ29がシャフト31により主弁側への移動が規制されて、ブリード弁が開弁する。また、ホルダ26がスプリング30の付勢力に抗して主弁側へ移動され、ホルダ26の筒状部の先端とホルダ29のフランジ部29aとが当接すると、ポート13からポート18への冷媒通路が閉鎖されるので、この部分もブリード弁の一部を成していることになる。
ボディ17の下端部には、ソレノイドが配置されている。このソレノイドは、一端がボディ17に圧入により結合されたコア32と、このコア32の他端に接離自在に配置されたプランジャ33と、これらコア32およびプランジャ33に周設されたコイル34とを備えている。プランジャ33は、コア32によって軸線方向に進退自在に支持されたシャフト35の一端に結合され、シャフト35の他端は、パワーエレメント19の下部ハウジング21に形成された凹部に圧入により結合されている。
ここで、ダイヤフラム22の詳細について図3に示した断面図を参照して説明する。ダイヤフラム22は、円形の中央部41を有し、その外周に、第1連結部42、環状部43、第2連結部44および固定部45が順次同心配置されている。中央部41、第1連結部42、環状部43、第2連結部44および固定部45は、ディスク23およびホルダ26をダイヤフラム22の中心に位置決めするよう中央部41に設けられる突起部46とともに金属薄膜をプレス加工することにより一体に形成されている。金属薄膜としては、ステンレス鋼、ベリリウム銅合金などの材料が用いられる。
中央部41、環状の環状部43および固定部45は、互いに平行平面上にあるよう形成されている。第1連結部42は、中央部41の外周縁部から中央部41の平面に対して垂直方向に延出した円筒形状を有しており、中央部41が接続されている側とは反対側に環状部43の内周縁部が接続されている。第2連結部44は、環状部43の外周縁部から環状部43の平面に対して垂直方向に延出した円筒形状を有しており、環状部43が接続されている側とは反対側に固定部45が接続されている。第1連結部42および第2連結部44は、いずれも、ダイヤフラム22の変位方向に変形しない円筒形状とすることが重要であり、これによってダイヤフラム22の圧力−ストローク特性に不連続変化のないものにすることができる。たとえば、第1連結部42および第2連結部44の少なくとも一方を中央部41に設けられた突起部46のように截頭円錐形状とした場合、圧力−ストローク特性の途中に変化の極めて急峻な特性が発生してしまうことがある。
ダイヤフラム22は、さらに、中央部41と第1連結部42との接続部、第1連結部42と環状部43との接続部、環状部43と第2連結部44との接続部および第2連結部44と固定部45との接続部を円弧状断面にしている。これらの接続部は、できるだけ曲率半径の小さな円弧で形成するのがよく、耐久性が確保できる範囲で直角に近い曲率で曲げられている。
なお、パワーエレメント19において、ダイヤフラム22の固定部45は、上部ハウジング20および下部ハウジング21の外周部に挟持されて溶接により互いに溶着されている。ディスク23は、その外周縁部が下部ハウジング21に形成された段部36と軸線方向にオーバラップしており、ダイヤフラム22が真空室側へストロークしたときに下部ハウジング21の段部36に当接するようにしている。この下部ハウジング21の段部36は、ダイヤフラム22がディスク23とともに真空室側へストロークするときの最大許容変位位置を規定するストッパ部として機能する。ここで、ダイヤフラム22とディスク23と下部ハウジング21の段部36との位置関係は、ディスク23が段部36に当接したとき、その当接面と反対側のディスク23の外周縁部の面に環状部43の内周縁部が当接するようにしている。この環状部43の内周縁部がディスク23の外周縁部に当接する部分は、下部ハウジング21に対して相対移動することのないストッパ部となっている。一方、ダイヤフラム22が主弁側へストロークするときのストッパ部は、上部ハウジング20の内壁となっている。
以上の構成の圧力制御弁において、自動車用空調装置が停止していてソレノイドへの通電がないとき、スプリング30がホルダ29を閉弁位置に付勢していると共に、パワーエレメント19をソレノイドの方向に付勢している。これにより、パワーエレメント19に連結されたシャフト35を介してプランジャ33がコア32から離間する方向に付勢されるとともに、パワーエレメント19に連結された主弁の弁体16が弁座15からリフトしている。この結果、主弁が全開となり、かつ、ブリード弁が全閉となっているので、可変容量圧縮機のクランク室には、吐出圧力Pdがそのままクランク室圧力Pcとして供給されることになり、可変容量圧縮機は、最小容量運転していることになる。
自動車用空調装置が起動してソレノイドへの通電が開始されると、ソレノイドは、そのプランジャ33がコア32に吸引されることで、シャフト35を介してパワーエレメント19を主弁の方向に付勢する。これにより、パワーエレメント19に連結された弁体16が弁座15に着座し、主弁を全閉にする。一方、ブリード弁は、その弁座となっている主弁の弁体16の段部28が弁体となっているホルダ29のフランジ部29aから離れるので、開弁することになる。なぜなら、ホルダ29は、ボディ11に固定されたシャフト31により主弁側への移動が規制されていて、それ以上、弁体16の移動に連れて主弁の方向に移動することができないからである。
この自動車用空調装置の起動時に、吸入室の吸入圧力Psが低く維持されていた場合には、ダイヤフラム22の中央部41が主弁側に撓むように変位しているので、ホルダ26は、主弁側に押されて主弁側先端部がホルダ29のフランジ部29aへ当接されている。これにより、ブリード弁は、開弁しているが、その下流側の冷媒通路は、閉鎖されているので、クランク室から吸入室へ冷媒が流れることはない。この場合、可変容量圧縮機は、すぐに起動状態になる。
長時間停止していた自動車用空調装置を起動したときのように、吸入圧力Psが高い場合、ダイヤフラム22の中央部41が真空室側に撓むように変位しているので、ホルダ26も、その変位に追従してホルダ29のフランジ部29aから離間する方向に移動する。これにより、クランク室と吸入室とは連通し、クランク室から吸入室へ冷媒が流れることになる。このとき、クランク室に冷媒が液の状態で多量に溜まっていた場合には、その液の冷媒がクランク室から吸入室へ速やかに移動し、可変容量圧縮機の起動時間を短縮させることが可能になる。クランク室から液がなくなり、可変容量圧縮機が起動して、吸入圧力Psが低下してくると、ダイヤフラム22の中央部41が主弁側に変位し、ホルダ26がホルダ29のフランジ部29aへ当接されて、クランク室と吸入室との間の冷媒通路が閉鎖される。
以上のようにして、可変容量圧縮機が起動すると、次に、ソレノイドへの通電電流が調整され、通常の可変容量圧縮機の容量制御が開始されることになる。すなわち、通電電流が自動車用空調装置の設定温度に応じた値に変更されると、主弁は、その通電電流に応じた開度に設定される。
ここで、冷凍サイクルの冷房負荷が大きくなって吸入圧力Psが高くなると、ダイヤフラム22の中央部41が真空室側に撓むように変位する。このとき、ホルダ29は、ボディ11との相対移動はないのでボディ11と一体とみなすことができ、そのホルダ29のフランジ部29aにはホルダ26が当接され、さらにそのホルダ26には、ダイヤフラム22の中央部41が当接されている。つまり、ダイヤフラム22の中央部41は、ボディ11に固定されていることになるので、中央部41が真空室側に撓むように変位するということは、相対的に、パワーエレメント19の上部ハウジング20および下部ハウジング21が主弁側に移動することになる。その結果、主弁の弁体16が閉弁方向に移動し、クランク室圧力Pcを下げて可変容量圧縮機を吐出容量が大きくなる方向へ制御する。
逆に、冷房負荷が小さくなって吸入圧力Psが低くなると、ダイヤフラム22は真空室から膨出する方向へ変位する。これにより、パワーエレメント19としては、主弁から離れる方向に変位するので、主弁の弁体16は開弁方向に移動し、クランク室圧力Pcを上げて可変容量圧縮機を吐出容量が小さくなる方向へ制御する。このようにして、この圧力制御弁は、吸入圧力Psを検出してその吸入圧力Psが所定の値になるよう吐出室からクランク室へ供給する冷媒流量を制御する。その制御しようとする吸入圧力Psの所定の値は、ソレノイドのコイル34に外部から供給される電流値によって設定される。電流値を増やすことにより、プランジャ33がコア32に吸引される力が増して、スプリング24の力を増す方向へ作用し、電流値を減らすと、スプリング24の力を減らす方向へ作用するので、電流値の値によってこの圧力制御弁のセット値を可変することになる。
図4は第2の実施の形態に係る圧力制御弁のパワーエレメントの要部を拡大して示した部分拡大断面図、図5はダイヤフラムの変位状態を示す説明図であって、(A)は変位なしの状態を示し、(B)は0.1mm変位した状態を示し、(C)は0.2mm変位した状態を示し、(D)は0.3mm変位した状態を示し、(E)は0.4mm変位した状態を示し、(F)は最大変位した状態を示している。なお、図4において、図2に示したパワーエレメント19の構成要素と同じまたは均等の構成要素については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。また、この第2の実施の形態に係る圧力制御弁は、図4に示すパワーエレメント19以外は、第1の実施の形態に係る圧力制御弁と同じ構成を有しているので、その図示および説明は省略する。
この圧力制御弁は、ダイヤフラム22が真空室側に変位してディスク23の外周縁部が下部ハウジング21の内壁に形成された段部36に当接したときに、下部ハウジング21によってダイヤフラム22がそれ以上変位しないようにしている。すなわち、下部ハウジング21は、ダイヤフラム22の第1連結部42の延長線上にストッパ部47を有しており、そのストッパ部47の表面のレベルは、ディスク23が段部36に当接したときに同時に環状部43の内周縁部が当接する位置関係に設定されている。なお、ダイヤフラム22が真空室と反対側に変位したときのストッパ部は、第1の実施の形態の圧力制御弁と同様、上部ハウジング20の内壁になるようにしている。
以上の構成の圧力制御弁が動作するときのダイヤフラム22の変位状態を、図5を参照して説明する。ここで、図5において、変位しているときのダイヤフラム22を実線で示し、比較のために、変位していないときのダイヤフラム22を破線で示してある。また、図5の(B)〜(F)については、(A)の右半分だけを示している。
まず、図5の(A)に示したように、真空室の吸引力、スプリング24のばね力および吸入圧力Psのバランスにより、ダイヤフラム22が変位していないとき、ダイヤフラム22の中央部41、環状部43および固定部45は、互いに平行平面上にある。
その後、ダイヤフラム22が真空室側に変位していくと、図5の(B)、(C)、(D)および(E)に示される順に、ダイヤフラム22の中央部41、第1連結部42、環状部43および第2連結部44が真空室側に変位していく。このとき、変位方向に円筒形状の形で延出された第1連結部42および第2連結部44は、変位方向に変形しないので、中央部41および環状部43が第1連結部42および第2連結部44を支点に撓むように変形する。
そして、図5の(F)に示したように、ディスク23が下部ハウジング21の内壁に形成された段部36に当接したとき、ダイヤフラム22は、その環状部43の内周縁部がストッパ部47に当接し、吸入圧力Psが高くなってもそれ以上変位することがない。
次に、第2の実施の形態に係る圧力制御弁に使用されるダイヤフラム22の特性について説明する。
図6はダイヤフラムの圧力−ストローク特性を示す図、図7はダイヤフラムのストローク量に対する受圧径の変化を示す図、図8はダイヤフラムのストローク量に対する傾きの変化を示す図、図9はダイヤフラムのストローク量に対する直線性の変化を示す図である。
図6に示すダイヤフラム22の圧力−ストローク特性においては、横軸が圧力、縦軸がストロークを示している。この圧力−ストローク特性によれば、圧力が高くなってディスク23が段部36に当接するまでの間、ダイヤフラム22は、圧力に対するストロークがほぼ直線的に変化している。参考のため、従来の平板によるダイヤフラムのストローク特性を破線で示している。この従来のストローク特性において、圧力が低い領域で平坦な特性になっているが、これは、ダイヤフラムがストローク可能範囲を超えてストロークすることで破損してしまう前に強制的にストロークできないよう物理的に制限していることによる。この図6の特性から、同心円の段を設けたダイヤフラム22は、平板のダイヤフラムと比較して、ストローク量を大きく取ることができ、そのストローク可能範囲では、直線性があり、傾きが立っていることが分かる。このように、ストローク量を大きく取ることができるということは、径を大きくすることでしかストローク量を大きくできなかった平板のダイヤフラムと比較して、径を小さくしても同じストローク量を得ることができることを意味している。事実、0.5mmのストローク量を必要とするのに、平板のダイヤフラムでは、外径が17.9mm必要であったのに対し、同心円の段を設けたダイヤフラム22では、図5の(A)に示したように、外径を16.4mmまで小さくすることが可能である。
図7に示す受圧径特性においては、横軸がフルストロークからのストローク量、縦軸が受圧径を示している。この図7においても、参考のために、従来の平板によるダイヤフラムの受圧径特性を破線で示している。
感圧部材としては、ストローク量によって受圧径が変化しないことが理想であるが、ダイヤフラムは、ストローク量によって受圧径が不可避的に変化するという性質を有している。すなわち、従来の平板によるダイヤフラムでは、フルストロークからのストローク量が大きくなるに連れて受圧径が小さく推移する傾向を有している。これに対し、同心円の段を有するダイヤフラム22は、受圧径の変化幅が小さく、制御に使用する領域では、受圧径がほとんど変化しておらず、しかも、受圧径が従来の平板によるダイヤフラムよりも小さくなっている。
ここで、従来の平板によるダイヤフラムと同じストローク量で比較した場合、同心円の段を設けたダイヤフラム22では、受圧径は、6.5mm〜6.8mmになっている。この受圧径は、ダイヤフラム22が圧力を受けてストロークするときに実際に作用する面積から有効受圧径として求められる。
ダイヤフラム22の受圧径は、受圧径特性から分かるとおり、従来の平板によるダイヤフラムと比較して、小さくなっている。このことは、吸入圧力Psに対向するように付勢するソレノイドのソレノイド力を小さくできることを意味する。ソレノイドは、圧力制御弁の中でも、特に重量のある部材で構成されているので、小さくすることによって大幅に小型軽量化されることになる。このソレノイドの小型軽量化は、圧力制御弁の小型軽量化に大きく寄与することを可能にする。
図8に示す傾き特性においては、横軸がフルストロークからのストローク量、縦軸が傾きを示している。この図8においても、参考のために、従来の平板によるダイヤフラムの傾き特性を破線で示している。
図8の傾き特性によれば、従来の平板によるダイヤフラムでは、小さい傾きで推移しているのに対し、同心円の段を有するダイヤフラム22では、従来のものに比較して傾きが大きいところで変化している。ここで、重要なのは、同心円の段を有するダイヤフラム22の傾きの絶対値が、従来のものよりも上がっていることである。
図9に示す直線性特性においては、横軸がフルストロークからのストローク量、縦軸が直線性を示している。この図9においても、参考のために、従来の平板によるダイヤフラムの直線性特性を破線で示している。
この直線性特性は、フルストロークからのストローク量に対して直線性の変化を示しており、「1」に近いほど傾きの変化が小さく直線性がよいことを示している。この直線性特性によれば、ダイヤフラム22は、従来の平板によるダイヤフラムに比較して、特にフルストローク側での直線性が良く、全体として「1」に近いところで変化していることから、直線性が改善されている。
なお、上記の実施の形態では、2段構成のダイヤフラム22について説明したが、ダイヤフラムを1段構成にしたり3段以上の構成にしたりすることも可能である。3段以上の構成にする場合、ダイヤフラムがフルストロークしたときに、さらなる変位を防ぐための複数のストッパ部が必要になる。
本発明は、特殊形状を有するダイヤフラムを備えた圧力制御弁について詳述したが.感圧部にダイヤフラムを使用した他の装置、たとえば圧力検出装置や自動車用空調装置の冷凍サイクルに用いられる膨張弁にも適用できる。
11 ボディ
12,13 ポート
14 ストレーナ
15 弁座
16 弁体
17 ボディ
18 ポート
19 パワーエレメント
20 上部ハウジング
21 下部ハウジング
22 ダイヤフラム
23 ディスク
24 スプリング
25 通気口
26 ホルダ
27 通気口
28 段部
29 ホルダ
29a フランジ部
30 スプリング
31 シャフト
32 コア
33 プランジャ
34 コイル
35 シャフト
36 段部
41 中央部
42 第1連結部
43 環状部
44 第2連結部
45 固定部
46 突起部
47 ストッパ部

Claims (8)

  1. 感圧部にダイヤフラムを使用した圧力制御弁において、
    前記ダイヤフラムは、
    円形の中央部と、
    前記中央部と平行平面上に配置されていて外周縁部がハウジングに固定されている環状の固定部と、
    前記中央部の平面と前記固定部の平面との間にて前記中央部および前記固定部と同心配置された環状部と、
    前記中央部の平面に対して垂直方向に延出して前記中央部の外周縁部と前記環状部の内周縁部とを接続する円筒状の第1連結部と、
    前記環状部の前記第1連結部が接続されている側とは反対の方向に延出して前記環状部の外周縁部と前記固定部の内周縁部とを接続する円筒状の第2連結部と、
    を有していることを特徴とする圧力制御弁。
  2. 前記ダイヤフラムの前記環状部は、前記第2連結部が接続されている方向に前記中央部が最大許容変位位置までストロークしたとき、内周縁部が前記ハウジングに対して相対移動することのないストッパ部に当接するようにしたことを特徴とする請求項1記載の圧力制御弁。
  3. 前記ダイヤフラムの前記中央部、前記固定部、前記環状部、前記第1連結部および前記第2連結部は、薄膜により一体に形成されていることを特徴とする請求項1記載の圧力制御弁。
  4. 前記ダイヤフラムの前記第1連結部が接続されている側の前記中央部の面に当接されたディスクを有し、前記ディスクの外周縁部が前記ハウジングに形成された段部に当接することによって、前記中央部がストロークしたときの前記最大許容変位位置を規定していることを特徴とする請求項2記載の圧力制御弁。
  5. 前記ダイヤフラムの前記環状部の内周縁部が当接するストッパ部は、前記ディスクの前記段部に当接する側と反対側の面であることを特徴とする請求項4記載の圧力制御弁。
  6. 前記ダイヤフラムの前記環状部の内周縁部が当接するストッパ部は、前記固定部を固定している前記ハウジングの内壁であることを特徴とする請求項2記載の圧力制御弁。
  7. 前記ディスクは、前記中央部の中心に形成された突起部の裏側凹部と嵌合することによって前記ダイヤフラムの中心に位置決めされていることを特徴とする請求項4記載の圧力制御弁。
  8. 円形の中央部と、
    前記中央部と平行平面上に配置されていて外周縁部がハウジングに固定されている環状の固定部と、
    前記中央部の平面と前記固定部の平面との間にて前記中央部および前記固定部と同心配置された環状部と、
    前記中央部の平面に対して垂直方向に延出して前記中央部の外周縁部と前記環状部の内周縁部とを接続する円筒状の第1連結部と、
    前記環状部の前記第1連結部が接続されている側とは反対の方向に延出して前記環状部の外周縁部と前記固定部の内周縁部とを接続する円筒状の第2連結部と、
    を有することを特徴とするダイヤフラム。
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