JP2012241133A - ゴム組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】特定のジエン系モノマーが共重合してなる共重合体と充填剤とを含むゴム組成物の低発熱性及び耐摩耗性を向上する。
【解決手段】式(1)で表される共役ジエン系モノマー(a)と、共役ジエン系炭化水素(b)とを共重合して得られる共重合体(A)と、充填剤(B)と、が配合されたゴム組成物である。式(1)において、Aは、−R1−Xで表され、R1は、炭素数2〜12の2価の炭化水素基であり、Xは、窒素原子を含み、窒素原子が直接R1に接続する官能基であり、Bは、水素原子、炭素数1〜12の1価の炭化水素基、又は−R2−Yで表され、R2は、炭素数2〜12の2価の炭化水素基であり、Yは、窒素原子を含み、窒素原子が直接R2に接続する官能基である。
Figure 2012241133

【選択図】なし

Description

本発明は、特定のジエン系モノマーが共重合してなる共重合体と充填剤とを含み、前記共重合体の主鎖末端、及び/又は主鎖中に充填材と相互作用する官能基が導入されたゴム組成物に関する。
近年、省エネルギーの社会的な要請及び環境問題への関心の高まりに伴う世界的な二酸化炭素排出規制の動きに関連して、自動車の低燃費化が要求されている。このような要求に対応するため、タイヤには、転がり抵抗の減少が求められてきている。タイヤの転がり抵抗を下げる手法として、タイヤの構造を最適化する手法と、従来のタイヤよりも発熱性の低い材料をゴム組成物として用いる手法とが検討されている。
後者のうち有効なものとして、特に、有機リチウムを用いたアニオン重合で得られる共役ジエン系重合体の重合活性末端を、シリカやカーボンブラック等の無機充填材と相互作用する官能基を含有するアルコキシシラン誘導体で変性する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2、3及び4参照)。また、ポリマー主鎖の分岐度が小さく線状性が高い、いわゆるハイシス構造を有するポリブタジエンの架橋物に、充填剤と相互作用する官能基を導入した変性ハイシスポリブタジエンゴムをゴム組成物に配合することも検討されている(例えば、特許文献5参照)。
このように、ゴム組成物を構成する重合体と充填材との相互作用を向上させて、充填材の分散性をコントロールすることは、ゴム組成物をタイヤに適用したときのタイヤの転がり抵抗、耐摩耗性、亀裂成長に対する耐性(耐亀裂成長性という)等を向上させることにつながる。
しかしながら、重合活性末端と、重合活性末端を変性する変性剤との反応性の観点から、要求に合致した転がり抵抗が得られるように、重合活性末端を変性させることは難しい。また、近年における自動車の低燃費化の要求はより過酷なものとなっており、タイヤの転がり抵抗には、さらなる改良が求められていた。
特開2001−158837号公報 特開2005−232364号公報 特開2005−290355号公報 特開2006−307095号公報 国際公開第2006/112450号のパンフレット
そこで、本発明は、特定の共役ジエン系モノマーが共重合してなる共重合体と充填剤との相互作用を改善することによって、充填材の分散性を更に向上させ、低発熱性及び耐摩耗性を向上することができるゴム組成物、及びこのゴム組成物を用いたタイヤを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、窒素原子を含む官能基を有するブタジエン誘導体と共役ジエン系炭化水素との共重合体は、ゴム組成物の低発熱性及び耐摩耗性を向上させることができることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、以下の内容を含む。
[1] 式(1)で表される共役ジエン系モノマー(a)と、少なくとも共役ジエン系炭化水素(b)とを共重合して得られる共重合体(A)と、
充填剤(B)と、
が配合されたゴム組成物。
Figure 2012241133
式(1)において、
Aは、−R1−Xで表され、
R1は、炭素数2〜12の2価の炭化水素基であり、
Xは、窒素原子を含み、窒素原子が直接R1に接続する官能基であり、
Bは、水素原子、炭素数1〜12の1価の炭化水素基、又は−R2−Yで表され、
R2は、炭素数2〜12の2価の炭化水素基であり、
Yは、窒素原子を含み、窒素原子が直接R2に接続する官能基である。
本発明によれば、特定のジエン系モノマーが共重合してなる共重合体と充填剤との相互作用を改善することによって、充填材の分散性を更に向上させ、低発熱性及び耐摩耗性を向上することができるゴム組成物、及びこのゴム組成物を用いたタイヤを提供できる。
[ゴム組成物]
以下、本発明に係るゴム組成物について詳細に説明する。
本発明に係るゴム組成物は、式(1)で表される共役ジエン系モノマー(a)と、少なくとも共役ジエン系炭化水素(b)とを共重合して得られる共重合体(A)と、充填剤(B)と、が配合されたゴム組成物である。
[共重合体(A)]
<共役ジエン系モノマー(a)>
本発明に係るゴム組成物に配合される共重合体(A)を構成する共役ジエン系モノマー(a)としては、式(1)で表される共役ジエン系モノマーを用いることができる。
Figure 2012241133
式(1)において、Aは、−R1−Xで表され、R1は、炭素数2〜12の2価の炭化水素基であり、Xは、窒素原子を含み、窒素原子が直接R1に接続する官能基である。また、Bは、水素原子、炭素数1〜12の1価の炭化水素基、又は−R2−Yで表され、R2は、炭素数2〜12の2価の炭化水素基であり、Yは、窒素原子を含み、窒素原子が直接R2に接続する官能基である。
また、共重合体(A)は、式(1)で表される共役ジエン系モノマー(a)と、共役ジエン系炭化水素(b)と、芳香族ビニル化合物(c)との共重合であってもよい。
式(1)において、前記X、前記Yは、それぞれ保護された第一アミノ基、保護された第二アミノ基、第三アミノ基、及びイミノ基から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、Xを保護する保護基又はYを保護する保護基のいずれか一方は、トリヒドロカルビルシリル基であることが好ましく、トリヒドロカルビルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基などのシリル基が挙げられる。なかでも、Xを保護する保護基又はYを保護する保護基のいずれか一方は、トリメチルシリル基であることが好ましい。
共重合体(A)は、主鎖中に、共役ジエン系モノマー(a)に由来する下記の構成単位を形成している。すなわち、式(1)で表される共役ジエン系モノマーのシス体、トランス体、又はシス体とトランス体とが混在したもの。また、式(1)で表される共役ジエン系モノマーの2位の炭素において連結されたもの。
Figure 2012241133
Figure 2012241133
Aは、−R1−Xで表され、R1は、炭素数2〜12の2価の炭化水素基であり、Xは、窒素原子を含み、窒素原子が直接R1に接続する官能基である。また、Bは、水素原子、炭素数1〜12の1価の炭化水素基、又は−R2−Yで表され、R2は、炭素数2〜12の2価の炭化水素基であり、Yは、窒素原子を含み、窒素原子が直接R2に接続する官能基であるである。X、Yは、それぞれ保護された第一アミノ基、第二アミノ基、第三アミノ基、及びイミノ基から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、p,q,r,sは、任意の整数であり、少なくともいずれか一つを除き、0であってもよい。また、上記の構成単位は、共重合体(A)の主鎖中に存在していてもよいし、共重合体(A)の末端に存在していてもよい。
<共役ジエン系炭化水素(b)>
共役ジエン系炭化水素(b)としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソブチレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、特に、1,3−ブタジエン、イソプレン、及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンが好ましい。
<芳香族ビニル化合物(c)>
また、共役ジエン系モノマー(a)と共役ジエン系炭化水素(b)との共重合に用いられる芳香族ビニル化合物(c)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でもスチレンが特に好ましい。共役ジエン系モノマー(a)、共役ジエン系炭化水素(b)、芳香族ビニル化合物(c)とを共重合する場合には、入手容易性、アニオン重合特性がリビング性である等の優位性から、1,3−ブタジエン及びスチレンを使用することが好ましい。
<共重合体(A)の重量平均分子量、分子量分布>
共役ジエン系モノマー(a)と、共役ジエン系炭化水素(b)とを共重合してなる共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、5×103〜1,000×103であることが好ましく、50×103〜1,000×103であることが更に好ましく、100×103〜800×103であることがより好ましい。また、分子量分布(Mw/Mn)が5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。共重合体(A)の重量平均分子量を前記範囲内にすることによって加硫後の弾性率の低下、ヒステリシスロスの上昇を抑えることができ、優れた耐破壊特性を得るとともに、共重合体(A)を含むゴム組成物の優れた混練作業性が得られる。
また、共重合体(A)の分子量分布を前記範囲内にすることで、共重合体(A)をゴム組成物に配合しても、ゴム組成物の作業性を低下させることがなく、混練りが容易で、ゴム組成物の物性を十分に向上させることができる。
なお、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(商品名「HLC−8120GPC」,東ソー社製)を使用し、検知器として、示差屈折計を用いて、以下の条件で測定し、標準ポリスチレン換算値として算出される値である。
カラム:商品名「GMH−XL」(東ソー社製) 2本 カラム温度:40℃移動相:テトラヒドロフラン流速:1.0ml/minサンプル濃度:10mg/20ml
<共重合体(A)のガラス転移温度(Tg)>
共重合体(A)の示差熱分析法により求めたガラス転移温度(Tg)は、−105℃〜−15℃であることが好ましい。ガラス転移温度が前記範囲であると、取り扱いが容易な粘度に保つことができる。
[充填材(B)]
本発明に係るゴム組成物に適用可能な充填材(B)としては、シリカ及びカーボンブラックから選ばれる少なくとも1種である。本発明に係るゴム組成物をタイヤのトレッド部に用いる場合には、ゴム成分100質量部に対して、充填材(B)を20〜120質量部含むことが好ましい。充填材(B)が20質量部以上であればゴム組成物の補強性を好適に得ることができ、充填材(B)が120質量部以下であればゴム組成物を製造する上での作業性が向上するため、好ましい。
<カーボンブラック>
カ−ボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、20〜160m2/gであることが好ましい。20m2/g以上であればゴム組成物の補強性を好適に確保でき、160m2/g以下であれば転がり抵抗の低減効果を高めることができるからである。
<無機充填剤>
充填材(B)は、カ−ボンブラックに代えて、無機充填材であってもよい。
無機充填材としては、転がり抵抗の低減という観点から、シリカを用いることが好ましい。シリカを用いる場合には、充填材全量中のシリカ分率を20〜90質量%とすることが好ましい。20質量%以上であれば転がり抵抗の低減効果を更に享受することができ、90質量%以下であれば、共重合体(A)との相互作用を改善でき、転がり抵抗を低減する効果を高めることができる。なお、充填材(B)は、カ−ボンブラックと無機充填材との両方を含んでいてもよい。
シリカとしては、特に制限はなく、従来ゴムの補強用充填材として慣用されているものの中から任意に選択して用いることができる。例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらをそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中でも破壊特性の改良効果並びにウェットグリップ性の両立効果が顕著に得られる湿式シリカが好ましい。
<シランカップリング剤>
無機充填材としてシリカを用いる場合には、その補強性及び低発熱性を更に向上させる目的でシランカップリッグ剤を配合することが好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−卜リエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド等が挙げられるが、これらの中で補強性改善効果等の点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド及び3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドが好適である。これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤の配合量は、シランカップリング剤の種類等により異なるが、シリカに対して、好ましくは1〜20質量%の範囲で選定される。カップリング剤としての効果及びゲル化防止等の点から、シランカップリング剤の好ましい配合量は、5〜15質量%の範囲である。シランカップリング剤の配合量が1質量%未満では、カップリング剤としての効果が充分に発揮されにくく、また、20質量%を超えると、共重合体(A)がゲル化するおそれがある。
本発明に係るゴム組成物は、共重合体(A)の主鎖末端、及び/又は主鎖中に充填材(B)との親和性の高い官能基が導入されているため、シランカップリング剤の配合量を通常の場合よりも低減することができる。
[その他の成分]
<ゴム成分>
本発明に係るゴム組成物には、上述した共重合体(A)と充填剤(B)に加えて、これら以外の成分が配合されていてもよい。本発明に係るゴム組成物に配合可能なゴム成分としては、ジエン系ゴム及び非ジエン系ゴムから選ばれる少なくとも1種であってもよい。ジエン系ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴムなどが挙げられる。また、非ジエン系ゴムとしては、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、アクリルゴムなどが挙げられる。
[共役ジエン系モノマー(a)の合成方法]
共重合体(A)を構成する共役ジエン系モノマー(a)は、以下の合成方法によって合成される。
(合成方法)
2−メチル−1,3−ブタジエン、または2、3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどのアルキル置換基を有する共役ジエン系化合物のアリル位炭素を周知の方法を用いてハロゲン化し、ハロゲン化した共役ジエン系化合物と、4−(N,N−ビストリメチルシリルアミノプロピル)−1−マグネシウムブロミドなどの所望の変性官能基を有する求核反応試薬と反応させることで、N,N−ビストリメチルシリルアミノアルキル基を有する共役ジエン系モノマーを得ることができる。
[共重合体(A)の重合方法1 アニオン重合]
<重合方法の説明>
共重合体(A)は、共役ジエン系モノマー(a)と、共役ジエン系炭化水素(b)との共重合により得られる(芳香族ビニル化合物(c)を含む場合もある)。共重合体(A)の重合方法は、特に制限はなく、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法を用いることができる。また、重合形式は、回分式及び連続式のいずれも適用できる。
共重合体(A)の重合方法の一例として、有機アルカリ金属化合物、特に有機リチウム化合物を重合開始剤とするアニオン重合を用いることができる。具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物等の炭化水素系溶剤中に、2種以上の共役ジエン系モノマー(a)、共役ジエン系炭化水素(b)、芳香族ビニル化合物(c)を混合し、有機リチウム化合物を重合開始剤として重合する。
溶液重合法の場合、溶媒中の共役ジエン系モノマー(a)と、共役ジエン系炭化水素(b)の濃度は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは、10〜30質量%である。なお、芳香族ビニル化合物(c)を用いる場合、仕込みモノマー混合物中の芳香族ビニル化合物(c)の含量を0〜55質量%とすることが好ましい。
溶液重合法における温度は、好ましくは0〜150℃、より好ましくは20〜130℃の範囲である。この共重合反応は、発生圧力下で行うことができるが、通常は、モノマーを実質的に液相に保つに十分な圧力で操作することが望ましい。すなわち、反応系の圧力は、重合されるモノマー種類、重合媒体、重合温度等によって適宜設定することができるが、高い程好ましい。このような高圧環境は、重合反応に対して不活性なガスで反応系を加圧する等の方法で実現できる。
重合開始剤、溶剤、モノマー等、重合反応に関与する全ての原材料は、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物等の反応阻害物質を除去する処理が施されていることが望ましい。また、反応系に、必要に応じてランダマイザーを配合してもよい。ランダマイザーを配合することによって、共重合体(A)のミクロ構造、又は共重合体(A)を構成するモノマーの組成分布を制御することができる。
共役ジエン系炭化水素(b)と芳香族ビニル化合物(c)との共重合が進行した後、反応系に共役ジエン系モノマー(a)を添加することによって、共重合体(A)の主鎖末端に、共役ジエン系モノマー(a)を導入することができる。
また、重合開始時に、反応系に共役ジエン系モノマー(a)と共役ジエン系炭化水素(b)と芳香族ビニル化合物(c)とを添加することによって、共役ジエン系モノマー(a)が主鎖中に組み込まれた共重合体(A)を得ることができる。
また、重合反応の進行中に共役ジエン系モノマー(a)を添加することができる。
また、主鎖末端に共役ジエン系モノマー(a)を導入した後、更に、共役ジエン系炭化水素(b)と芳香族ビニル化合物(c)とを添加することができる。
アニオン重合によって共重合体(A)の主鎖を形成した後、加水分解反応及び脱保護反応を行ってもよい。加水分解反応は、酸加水分解とすることが好ましい。酸加水分解に使用する酸化合物としては、塩酸、硫酸などの無機酸、カルボン酸、フェノールなどの有機酸のいずれか1種と、水、アルコールなどのプロトン供与化合物とを組み合わせることが好適である。
このようにして、加水分解反応及び脱保護反応を終了後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液等を重合反応系に加えて、重合反応を停止する。その後、水蒸気を吹き込んで溶剤の分圧を下げるスチームストリッピング等の脱溶媒処理や真空乾燥処理を施す。これにより、主鎖末端及び/又は主鎖中にアミノ基が導入された共重合体(A)が得られる。
<溶剤>
炭化水素系溶剤としては、炭素数3〜8のものが好ましい。例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−へキセン、2−へキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等を挙げることができる。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
<重合開始剤>
共重合反応の重合開始剤としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属化合物から選ばれる1種が使用されることが好ましく、特に、アルカリ金属が好ましい。具体的には、リチウム金属が使用されることが好ましい。上記リチウム系の開始剤のほか、アニオン重合において重合開始剤として使用される一般的な触媒は使用可能である。
また、ハロゲン含有モノマーを混在させて、ポリマー中のハロゲン原子を有機金属化合物によって活性化することも有効である。例えば、イソブチレン単位、パラメチルスチレン単位を含む共重合体の臭素部分をリチオ化して活性部位とすることも有効である。
有機リチウム化合物は、特に制限されないが、ヒドロカルビルリチウム及びリチウムアミド化合物が好ましい。ヒドロカルビルリチウムを用いる場合には、重合開始末端にヒドロカルビル基を有し、かつ他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。また、後者のリチウムアミド化合物を用いる場合には、重合開始末端には、窒素含有基を有し、他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。
ヒドロカルビルリチウムとしては、炭素数2〜20のヒドロカルビル基を有するものが好ましく、例えば、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチル−フェニルリチウム、4−フェニル−ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、シクロベンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物等が挙げられる。これらの中でも、特に、n−ブチルリチウムが好適である。
一方、リチウムアミド化合物としては、例えばリチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジへキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ−2−エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム−N−メチルピベラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミド等が挙げられる。これらの中で、カーボンブラックに対する相互作用効果及び重合開始能の点から、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド等の環状リチウムアミドが好ましく、特にリチウムヘキサメチレンイミド及びリチウムピロリジドが好適である。
これらのリチウムアミド化合物は、一般に、第二アミノ基と有機リチウム化合物とから、予め調製したものを重合に使用することができるが、重合系中(in−situ)で調製することもできる。また、この重合開始剤の使用量は、好ましくは単量体100g当たり、0.2〜20ミリモルの範囲で選定される。
<ランダマイザー>
ランダマイザーとは、共重合体(A)のミクロ構造の制御、又は共重合体(A)を構成するモノマーの組成分布の制御などに寄与する化合物である。ミクロ構造の制御としては、例えば、ブタジエン−スチレン共重合体におけるブタジエン部分の1,2結合、イソプレン重合体における3,4結合の増加が挙げられる。モノマーの組成分布の制御としては、共役ジエン系炭化水素−芳香族ビニル化合物共重合体、ブタジエンースチレン共重合体などにおいて、共役ジエン系モノマー単位、芳香族ビニルモノマー単位、ブタジエン単位、スチレン単位を分散させるランダム化等が挙げられる。
ランダマイザーは、従来、ランダマイサーとして一般に使用されている公知の化合物の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。具体的には、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2,2−ビス(2−テトラヒドロフリル)−プロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピぺリジノエタン等のエーテル類及び第三アミノ基類等を挙げることができる。また、カリウム−tert−アミレート、カリウム−tert−ブトキシド等のカリウム塩類、ナトリウム−tert−アミレート等のナトリウム塩類も用いることができる。
これらのランダマイザーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量は、有機リチウム化合物1モル当たり、好ましくは0.01〜1000モル当量の範囲で選択される。
[共重合体(A)の重合方法2 配位重合]
<重合方法の説明>
共重合体(A)は、配位重合によって重合することもできる。重合形式は、特に限定されず、回分式でも連続式でもよい。配位重合の場合には、高い破壊特性及び低発熱性を有するシス−1,4結合含量が80%以上の共重合体(A)を生成することができる。具体的には、反応に不活性な有機溶剤中に、2種以上の共役ジエン系モノマー(a)、共役ジエン系炭化水素(b)、芳香族ビニル化合物(c)を混合し、希土類金属を触媒として重合する。
配位重合反応において、共重合反応の温度は、−30℃〜200℃の範囲が好ましく、0℃〜150℃の範囲が更に好ましい。なお、重合開始剤、溶剤、モノマー等、重合反応に関与する全ての原材料は、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物等の反応阻害物質を除去する処理が施されていることが望ましい。
<溶剤>
溶剤は、重合反応に対して不活性であれば良く、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、1−ブテン、2−ブテン、ベンゼン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロムベンゼン、クロロトルエン等が挙げられる。
<重合開始剤>
共重合体(A)の重合方法2では、重合開始剤として、
成分(x):ランタノイド元素(周期律表の原子番号57〜71にあたる希土類元素)の少なくともいずれかを含有するランタノイド元素含有化合物、又はランタノイド元素含有化合物とルイス塩基との反応により得られる反応生成物、
成分(y):アルモキサン、及び/又はAlRabcで表される有機アルミニウム化合物(ただし、Ra及びRbは、同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子であり、Rcは、Ra及びRbと同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜10の炭化水素基である)、
成分(z):その分子構造中に少なくとも一つのハロゲン元素を含有するハロゲン含有化合物、
を有する触媒組成物が使用される。
成分(x)〜成分(z)を含む触媒(触媒組成物という)を用いて、2種以上の共役ジエン系モノマー(a)、共役ジエン系炭化水素(b)、芳香族ビニル化合物(c)を共重合することにより、分子量分布が狭く、シス−1,4結合含量の高い(80%以上)共重合体(A)を得ることができる。また、これらの触媒組成物は、従来用いられているメタロセン触媒に比して安価であるとともに、極低温で重合反応を行う必要がない。このため、操作が簡便であり、工業的生産工程として有用である。
成分(x)は、ランタノイド元素(周期律表の原子番号57〜71にあたる希土類元素)の少なくともいずれかを含有するランタノイド元素含有化合物、又はこのランタノイド元素含有化合物とルイス塩基との反応により得られる反応生成物である。ランタノイド元素の具体例としては、ネオジム、プラセオジウム、セリウム、ランタン、ガドリニウム、サマリウム等を挙げることができる。これらのうち、ネオジムが好ましい。なお、これらのランタノイド元素は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。ランタノイド元素含有化合物の具体例としては、ランタノイド元素のカルボン酸塩、アルコキサイド、β−ジケトン錯体、リン酸塩、亜リン酸塩等を挙げることができる。このうち、カルボン酸塩、又はリン酸塩が好ましく、カルボン酸塩が更に好ましい。
ランタノイド元素のカルボン酸塩としては、2−ヘキシルへキサン、ナフテン酸、バーサチック酸[商品名,シェル化学社製,カルボキシル基が三級の炭素原子に結合しているカルボン酸]等の塩が好適に挙げられる。ランタノイド元素のアルコキサイドの具体例としては、(RdO)3M(ただし、Mは、ランタノイド元素であり、Rdは、炭素数1〜20の炭化水素基である)で表される化合物を挙げることができる。「RdO」で表されるアルコキシ基としては、2−エチル−ヘキシルアルコキシ基、ベンジルアルコキシ基等が好適に挙げられる。
ランタノイド元素のβ−ジケトン錯体としては、アセチルアセトン錯体、エチルアセチルアセトン錯体等が好適に挙げられる。ランタノイド元素のリン酸塩又は亜リン酸塩としては、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸等の塩が好適に挙げられる。
これまで例示したもののうち、ランタノイド元素含有化合物としては、ネオジムのリン酸塩、又はネオジムのカルボン酸塩が更に好ましく、ネオジムの2−エチルヘキサン酸塩、ネオジムのバーサチック酸塩等のカルボン酸塩が特に好ましい。
成分(y)は、アルモキサン、及び/又はAlRabcで表される有機アルミニウム化合物である。アルモキサン(アルミノオキサンともいう)は、下記一般式(2)又は一般式(3)で表される構造を有する。成分(y)は、ファインケミカル,23,(9),5(1994)、J.Am.Chem.Soc.,115,4971(1993)及びJ.Am.Chem.Soc.,117,6465(1995)において開示された、アルモキサンの会合体であってもよい。
Figure 2012241133
Figure 2012241133
一般式(2)及び一般式(3)中、Reは、炭素数1〜20の炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基が特に好ましい。複数のReは、同一でもよいし異なっていてもよい。mは、2以上の整数であり、4〜100の整数であることが好ましい。
アルモキサンの具体例としては、メチルアルモキサン(MAO)、エチルアルモキサン、n−プロピルアルモキサン、n−ブチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、t−ブチルアルモキサン、ヘキシルアルモキサン、イソヘキシルアルモキサン等を挙げることができる。アルモキサンは、公知の方法によって製造することができる。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の有機溶媒中に、トリアルキルアルミニウム、又はジアルキルアルミニウムモノクロライドを加え、更に水、水蒸気、水蒸気含有窒素ガス、又は硫酸銅5水塩や硫酸アルミニウム16水塩等の、結晶水を有する塩を加えて反応させることにより製造することができる。なお、アルモキサンは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、(RdO)3Mで表される有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム等を挙げることができる。なお、有機アルミニウム化合物は、一種を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
成分(z)は、その分子構造中に少なくとも一個のハロゲン原子を含有するハロゲン含有化合物であり、例えば、金属ハロゲン化物とルイス塩基との反応物や、ジエチルアルミニウムクロリド、四塩化ケイ素、トリメチルクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、四塩化スズ、三塩化スズ、三塩化リン、ベンゾイルクロリド、t−ブチルクロリド、トリメチルシリルアイオダイド、トリエチルシリルアイオダイド、ジメチルシリルジヨード、ジエチルアルミニウムアイオダイド、メチルアイオダイド、ブチルアイオダイド、ヘキシルアイオダイド、オクチルアイオダイド、ヨードホルム、ジヨードメタン、ヨウ素、ベンジリデンアイオダイド等を好適に挙げることができる。
金属ハロゲン化物とルイス塩基との反応物に用いることができる金属ハロゲン化物としては、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化マンガン、ヨウ化亜鉛、ヨウ化銅等が好適に挙げられる。一方、ルイス塩基としては、リン化合物、カルボニル化合物、窒素化合物、エーテル化合物、アルコール等を好適に用いることができ、具体的には、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、アセチルアセトン、2−エチルヘキサン酸、バーサチック酸、2−エチルヘキシルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコール等が好適に挙げられる。前記ルイス塩基は、前記金属ハロゲン化物1モル(mol)あたり、0.01mol〜30molの割合で反応させることが好ましく、0.5mol〜10molの割合で反応させることが更に好ましい。このルイス塩基との反応物を使用すると、重合体中に残存する金属を低減することができる。
なお、このような触媒組成物の主成分となる成分(x)〜(z)の配合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。成分(x)の使用量は、単量体100gに対して、0.00001mmol〜1.0mmolが好ましく、0.0001mmol〜0.5mmolが更に好ましい。
成分(y)がアルモキサンである場合、触媒組成物に含有されるアルモキサンの好ましい量は、成分(x)と、アルモキサンに含まれるアルミニウム(Al)とのモル比で表すことができる。即ち、「成分(x)」:「アルモキサンに含まれるアルミニウム(Al)」(モル比)=1:1〜1:500であることが好ましく、1:3〜1:250であることが更に好ましく、1:5〜1:200であることが特に好ましい。一方、成分(y)が有機アルミニウム化合物である場合、触媒組成物に含有される有機アルミニウム化合物の好ましい量は、成分(x)と、有機アルミニウム化合物とのモル比で表すことができる。即ち、「成分(x)」:「有機アルミニウム化合物」(モル比)=1:1〜1:700であることが好ましく、1:3〜1:500であることが更に好ましい。
また、触媒組成物に含有される成分(z)の好ましい量は、成分(z)に含有されるハロゲン原子と、成分(x)とのモル比で表すことができる。即ち、(ハロゲン原子)/(成分(x))(モル比)=20〜0.1であることが好ましく、15〜0.2であることが更に好ましく、8〜0.5であることが特に好ましい。
触媒組成物として、成分(x)〜成分(z)以外に、共役ジエン系モノマー(a)又は共役ジエン系炭化水素(b)を用いて調製された触媒組成物を必要に応じて用いることもできる。例えば、溶媒に溶解した成分(x)〜成分(z)と、他の共役ジエン系炭化水素及び/又は非共役ジエン系炭化水素とを反応させることにより調製することができる。調整の際に各成分の添加順序は任意でよいが、重合活性の向上及び重合開始誘導期間の短縮の点からは、各成分を予め反応させて熟成させておくことが好ましい。
熟成温度は、0℃〜100℃とすることが好ましく、20℃〜80℃とすることが更に好ましい。なお、熟成時間に特に制限はない。触媒組成物を重合反応系に添加する前に、各成分同士を接触させる程度でもよい。熟成時間は、0.5分以上であれば十分である。調製した触媒組成物は、数日間は安定である。
上述した触媒組成物を用いた配位重合においても、アニオン重合の場合と同様に、共役ジエン系炭化水素(b)と芳香族ビニル化合物(c)との共重合が進行した後、反応系に共役ジエン系モノマー(a)を添加することによって、共重合体(A)の主鎖末端に、共役ジエン系モノマー(a)を導入することができる。
また、重合開始時に、反応系に共役ジエン系モノマー(a)と共役ジエン系炭化水素(b)と芳香族ビニル化合物(c)とを添加することによって、共役ジエン系モノマー(a)が主鎖中に組み込まれた共重合体(A)を得ることができる。
また、重合反応の進行中に共役ジエン系モノマー(a)を添加することができる。
また、主鎖末端に共役ジエン系モノマー(a)を導入した後、更に、共役ジエン系炭化水素(b)と芳香族ビニル化合物(c)とを添加することができる。
また、配位重合によって共重合体(A)の主鎖を形成した後、アニオン重合の場合と同様に、加水分解反応及び脱保護反応を行ってもよい。
[ゴム製品]
<ゴム製品の調製及び用途>
本発明に係るゴム組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、通常、ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば加硫剤、加硫促進剤、プロセス油、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸等を含有させることができる。
本発明に係るゴム組成物は、ロール等の開放式混練機、バンバリーミキサー等の密閉式混練機等の混練り機を用いて混練りすることによって得られる。更に、混練り後のゴム組成物を成形加工し、加硫を行なうことによって各種ゴム製品に適用可能である。
例えば、タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、サイド補強ゴム、ビード部(特にビードフィラー)等のタイヤ用途を始め、防振ゴム、防舷材,ベルト、ホースその他の工業品等の用途に用いることができる。
本発明に係るゴム組成物は、特に、低発熱性、耐摩耗性、破壊強度のバランスに優れた、低燃費用タイヤ、大型タイヤ、高性能タイヤのトレッド用ゴム、サイドウォール用ゴムとして好適に使用される。
(トレッド用ゴム)
本発明に係るゴム組成物をトレッド用ゴムに使用する場合には、共重合体(A)として、スチレンブタジエンゴムを主骨格とする共重合体Aを使用するとともに、充填材(B)としてシリカを使用することが好ましい。また、共重合体(A)と充填材(B)以外に、他のゴム成分として、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロブレンゴム、ハロゲン化ブチルゴム及びハロゲン化メチル基をもつスチレンとイソブチレンとの共重合体の中から選ばれる少なくとも1種を80〜0質量%を含むことが好ましく、70〜0質量%を含むことがより好ましく、60〜0質量%を含むことが特に好ましい。
トレッド用ゴムは、押出し加工されてトレッド用部材として成形される。トレッド用部材は、タイヤ成形機上で常法によって台タイヤに貼り付けられ、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加硫することにより本発明のタイヤが得られる。
(サイドウォール用ゴム)
また、本発明に係るゴム組成物をサイドウォール用ゴムとして使用する場合には、共重合体(A)として、ブタジエンを主骨格とする共重合体(A)を使用するとともに、充填材(B)としてカーボンブラックを使用することが好ましい。また、共重合体(A)と充填材(B)以外に、他のゴム成分として、トレッド用ゴムと同様のものを含むこともできる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。本発明は、下記の実施例に限定されない。まず、実施例に係るゴム組成物の評価方法について説明し、続いてゴム組成物の製造例について説明する。
[評価方法]
タイヤトレッドのゴム組成物の低発熱性、耐摩耗性を下記の方法により評価した。
<耐摩耗性>
JIS K6264に準拠して、ランボーン摩耗試験機により室温で摩耗量を測定し、該摩耗量の逆数を算出した。結果は、比較例を100とする指数により表示した。指数値が大きい程、摩耗量が少なく、耐摩耗性が良好であることを示す。
<低発熱性(tanδ)>
粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を使用し、温度50℃、歪み5%、周波数15Hzで損失正接(tanδ)を測定した。結果は、比較例を100とする指数により表示した。指数値が小さい程、低発熱性であることを示す。
[共役ジエン系モノマー(a)の合成]
共重合体(A)を構成する共役ジエン系モノマー(a)として、2−(N,N−ビストリメチルシリルアミノメチル)−1,3−ブタジエン(モノマーM1という)と、2−[4−(N,N−ビストリメチルシリルアミノブチル)]−1,3−ブタジエン(モノマーM2という)を、下記のスキームに従って合成した。以下、スキームの各ステップS1〜S5について説明する。
Figure 2012241133
<S1:3−メチル−3−スルホレンの合成>
外径40mmのガラス試験管にイソプレン31.34g(0.4601mol)、乾燥メタノール22mL、ヒドロキノン1.0g(0.01mol)、撹拌子を入れ、ドライアイス/アセトン浴で冷却しながら、窒素置換を行った。
窒素置換後、窒素ガスを二酸化硫黄(SO2)ガスに切り替えて、ガラス試験管に液体SO230g(0.46mol)を採取し、即座にオートクレーブに入れて密閉した。これをオイルバスに浸けて、ゆっくり85℃まで加熱し、4時間加熱した。
その後、オートクレーブを室温まで冷却し、10%NaOH水溶液の入ったバブラーを通して未反応のSO2ガスを放出させた。得られた反応溶液を蒸留水150mLに注いでから熱時濾過を行い、アスピレーターで減圧して溶液中に溶け込んでいるSO2を除いたところ白色結晶が析出した。この白色結晶を蒸留水に溶解して再結晶を行い、白色板状結晶を得た。
白色板状結晶の1H−NMRスペクトル、及び13C−NMRスペクトルを測定し解析したところ、得られた白色板状結晶は、3−メチルスルホレンであった。なお、収率は、78.6%、融点63.5−65℃であった(文献値:収率78−82%、融点63.5−64℃)。
1H−NMR(30℃,CDCl3,CHCl3基準:7.24)
d=5.65(s,1H,CH2−CH=C),3.75(s,2H,CH2−S),3.63(s,2H,CH−CH2−S),1.85(s,3H,CH3
13C−NMR(30℃,CDCl3,CDCl3基準:77.0)
d=134.0(CH=C),117.9(CH=C),58.9(CH=C−CH2),57.3(CH2−CH=C),18.8(CH3
<S2:3−ブロモメチル−3−スルホレンの合成>
アリーン冷却管を取り付けた1Lの二口フラスコに、3−メチルスルホレン66.09g(0.50mol)、N−ブロモコハク酸イミド(NBS)88.99g(0.50mol)、過酸化ベンゾイル(BPO)6.06g(0.025mol)、乾燥クロロホルム600mL、及び撹拌子を入れ、オイルバスに浸けて、合計20時間還流した。
開始当初、濃い赤色の反応溶液は、還流開始から約1時間で黄色に変化し、時間経過とともに薄くなっていった。
室温まで冷却した後、析出したコハク酸イミドを濾過により取り除いた。大部分のクロロホルムを減圧留去し、冷蔵庫で冷却して残存しているコハク酸イミドを析出させた。これを再度濾過し、残りのクロロホルムを減圧留去し濃縮した。濃縮した反応溶液にエタノールを約1L加え、冷凍庫で静置した。析出した結晶をエタノールに溶解して2回再結晶した。
得られた結晶の1H−NMRスペクトル、及び13C−NMRスペクトルを測定し解析したところ、得られた結晶は、3−ブロモメチルスルホレンであった。なお、収率は、20%、融点75−81℃であった(文献値:38%、融点78−84℃)。
1H−NMR(30℃,CDCl3,CHCl3基準:7.24)
d=6.07(s,1H,CH2−CH=C),4.01(s,2H,C−CH2−S),3.85(s,4H,CH−CH2−S and C−CH2−Br)
13C−NMR(30℃,CDCl3,CDCl3基準:77.0)
d=134.4(CH=C),122.2(CH=C),57.3(CH=CCH2),56.6(CH2CH=C),29.6(CH2Br)
<S3:2−ブロモメチル−1,3−ブタジエンの合成>
200mLのナスフラスコに、3−ブロモメチル−3−スルホレン22.15g(0.1049mol)、ヒドロキノン1.0g(0.01mol)、及び撹拌子を入れ、予め170℃に加熱しておいたオイルバスに浸けた。
ナスフラスコ内で3−ブロモメチル−3−スルホレンが完全に溶けたら減圧し、粗生成物を氷水浴で冷やしたトラップに集めた。撹拌子が回転しなくなった時点で反応終了と判断した。粗生成物は、重炭酸ナトリウム水溶液及び蒸留水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで一晩乾燥させた。その後、粗生成物を濾過し、減圧蒸留して生成物を得た。
得られた生成物の1H−NMRスペクトル、及び13C−NMRスペクトルを測定し解析したところ、得られた生成物は、2−ブロモメチル−1,3−ブタジエンであった。なお、収率は、33.9%(文献値:30%)、融点49℃/40mmHgであった。
1H−NMR(30℃,CDCl3,CHCl3基準:7.24)
d=6.41(dd,1H,J=17.7,11.1Hz,CH2=CHC),5.41(d,1H,J=17.7Hz,CH=CH2),5.38(s,1H,C=CH2),5.25(d,1H,CH=CH2,J=11.1Hz),5.23(s,1H,C=CH2),4.09(s,2H,CH2−Br)
13C−NMR(30℃,CDCl3,CDCl3基準:77.0)
d=142.4(CH2=CH),135.0(C=CH2),120.1(CH2=CH),115.9(C=CH2),30.5(CH2Br)
<S4:2−(N,N−ビストリメチルシリルアミノメチル)−1,3−ブタジエンの合成>
窒素雰囲気下で、100mLの二口ナスフラスコに水素化カリウム2.2g(0.0550mol)をとり、ヘキサンで数回洗浄してオイル分を取り除いてから真空乾燥させた。この二口ナスフラスコに冷却管、滴下漏斗を取り付け、乾燥THF7mLを加え、氷水浴で冷却した。1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(HMDS)8.94g(0.0554mol)を滴下し、30分間撹拌し、室温で1時間撹拌した。次いで、2−ブロモメチル−1,3−ブタジエン5.47g(0.0372mol)を0℃で滴下し、1時間撹拌した。室温に戻してから更に1時間撹拌した。反応溶液にヘキサンを加えて希釈し、窒素雰囲気下で吸引濾過し、溶媒を減圧留去し濃縮した。これを蒸留して生成物を得た。
得られた生成物の1H−NMRスペクトル、及び13C−NMRスペクトルを測定し解析したところ、得られた生成物は、2−(N,N−ビストリメチルシリルアミノメチル)−1,3−ブタジエン(モノマーM1)であった。なお、収率は、32.6%、融点39.5℃/3mmHgであった。
1H−NMR(30℃,CDCl3,CHCl3基準:7.24)
d=6.41(dd,1H,J=17.8,11.2Hz,CH2=CHC),5.16(s,1H,C=CH2),5.14(d,1H,J=17.8Hz,CH=CH2),5.10(s,1H,C=CH2),4.98(d,1H,J=11.2Hz,CH=CH2),3.57(s,2H,CCH2−N),0.07(s,18H,Si−CH3
13C−NMR(30℃,CDCl3,CDCl3基準:77.0)
d=147.2(C=CH2),137.9(CH2=CH),115.8(CH2=CH),111.8(C=CH2),45.2(CH2N),1.6(SiCH3
<S5:2−[4−(N,N−ビストリメチルシリルアミノブチル)]−1,3−ブタジエンの合成>
(1)N,N−ビストリメチルシリル−3−ブロモプロピルアミンの合成
窒素雰囲気下にて、300mLの二口フラスコに、3−ブロモプロピルアミン臭化水素塩10g(0.046mol)、トリエチルアミン15.28g(0.151mol)、ジクロロメタン150mLを加えた。ここにクロロトリメチルシラン10.97g(0.101mol)のジクロロメタン溶液(25mL)を約1時間かけて滴下した。滴下終了後、終夜で撹拌した。ハイフロスーパーセルを用いて精製するアミンのトリエチルアミンの塩酸塩を濾過した後、減圧濃縮ならびに乾燥し、淡黄色液体の粗生成物を得た。これを減圧蒸留して精製物を得た。
得られた精製物の1H−NMRスペクトル、及び13C−NMRスペクトルを測定し解析したところ、精製物は、N,N−ビストリメチルシリル−3−ブロモプロピルアミンであった。なお、収率は、66.0%、融点48℃/2mmHgであった。
1H−NMR(25℃,CDCl3,CHCl3基準:7.24)
d=3.30(t,2H,CH2Br),2.89(m,2H,CH2N),1.88(m,2H,CH2CH2CH2),0.08(SiCH3
13C−NMR(25℃,CDCl3,CDCl3基準:77.0)
d=44.3(CH2N),37.7(CH2CH2CH2),31.0(CH2Br),2.1(SiCH3
(2)(2−[4−(N,N−ビストリメチルシリルアミノブチル)]−1,3−ブタジエンの合成)
窒素雰囲気下で、三ツ口フラスコに、Mg1.38g(0.057mol)を加え、ドライヤーで10分程フラスコ全体を温めた。これにアリーン冷却管、滴下ロートを取り付け、THF55mLを加えた。強く撹拌しながら、活性化剤としてヨウ化メチルを2〜3滴加え、エタノール/ドライアイスバスでフラスコを冷却しながらN,N−ビストリメチルシリル−3−ブロモプロピルアミン8.0g(0.028mol)のTHF溶液(10mL)を滴下した。
滴下後、GCにて反応を追跡し、N,N−ビストリメチルシリル−3−ブロモプロピルアミンのピークが消失したところで、撹拌をやめた。固体を沈降させてからデカンテーションで上澄み液を滴下ロートに移し、あらかじめ氷水浴で冷やしておいた2−ブロモメチル−1,3−ブタジエン4.16g(0.028)のTHF溶液(50mL)とLi−3−ブロモプロピルアミン8.0g(0.028mol)のTHF溶液(10mL)を滴下した。滴下後、GCにて反応を追跡し、N,N−ビストリメチルシリル−3−ブロモプロピルアミンのピークが消失したところで撹拌をやめた。固体を沈降させてからデカンテーションで上澄み液を滴下ロートに移し、あらかじめ氷水浴で冷やしておいた2−ブロモメチル−1,3−ブタジエン4.16g(0.028)のTHF溶液(50mL)とLiCuCl4のTHF溶液(0.15M,20mL)の混合溶液に滴下した。滴下後、GCにて反応を追跡し、フラスコ内の成分比が変化しなくなったところで反応を終了し、吸引濾過を行った。濾過は、エバポレーターで濃縮後、数回蒸留精製を行い、最後にLiAlH4存在下で撹拌して、臭化物を還元した後、減圧蒸留を行って生成物を得た。
得られた生成物の1H−NMRスペクトル、及び13C−NMRスペクトルを測定し解析したところ、生成物は、2−[4−(N,N−ビストリメチルシリルアミノブチル)]−1,3−ブタジエン(モノマーM2)であった。なお、収率は、52%、融点56〜58℃/2mmHgであった。
1H−NMR(25℃,CDCl3,CHCl3基準:7.24)
d=6.35(dd,1H,J=10.7,17.5Hz,CH2=CH),5.19(d,1H,J=17.5Hz,CH2=CH),5.03(d,1H,J=10.7Hz,CH2=C),4.98(s,1H,C=CH2),4.95(s,1H,C=CH2),2.73(t,2H,CH2N),2.17(t,2H,CCH2CH2),1.37(m,4H,CH2CH2CH2N and CH2CH2CH2N),0.06(s,18H,SiCH3
[共重合体の製造]
<アニオン重合による共重合体の製造例>
《製造例1:主鎖末端にモノマーM2を導入したスチレンブタジエンゴム(共重合体A1)》
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン60グラム及びスチレン15グラムになるように加え、ランダマイザーとして2,2−ビス(2−テトラヒドロフリル)−プロパン0.29ミリモルを加え、更に0.57ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。引き続き、重合反応系に、モノマーM2を0.51ミリモル含むシクロヘキサン溶液を加え、50℃で0.5時間反応させた。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5mLを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して共重合体A1を得た。
《製造例2:主鎖中にモノマーM2を導入したスチレンブタジエンゴム(共重合体A2)》
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン60グラム及びスチレン15グラムになるように加え、モノマーM2を1.71ミリモル、2,2−ビス(2−テトラヒドロフリル)−プロパン0.29ミリモルを加え、更に0.57ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5mLを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して共重合体A2を得た。
《製造例3:主鎖中及び末端にモノマーM2を導入したスチレンブタジエンゴム(共重合体A3)》
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン60グラム及びスチレン15グラムになるように加え、モノマーM2を1.20ミリモル、2,2−ビス(2−テトラヒドロフリル)−プロパン0.29ミリモルを加え、更に0.57ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。引き続き、重合反応系に、モノマーM2を0.51ミリモル含むシクロヘキサン溶液を加え、50℃で0.5時間反応させた。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5mLを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して共重合体A3を得た。
《製造例4:主鎖中又は末端にモノマーM1を導入したスチレンブタジエンゴム(共重合体R1)》
重合反応系に、モノマーM1を0.51ミリモル含むシクロヘキサン溶液を加えた以外は、製造例1に従って共重合体R1の重合を試みた。
しかし、モノマーM1を主鎖中又は主鎖末端に導入したスチレンブタジエンゴム(共重合体R1)を得ることはできなかった。モノマーM1のビストリメチルシリルアミノ基が脱離していることが考えられる。
《製造例5:主鎖中及び末端にモノマーM2を含まないスチレンブタジエンゴム(共重合体P1)》
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン60グラム及びスチレン15グラムになるように加え、2,2−ビス(2−テトラヒドロフリル)−プロパン0.29ミリモルを加え、更に0.57ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5mLを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して共重合体P1を得た。
<配位重合による共重合体の製造>
《製造例6:末端にモノマーM2を導入したブタジエンゴム(共重合体A4)》
(触媒組成物の調整)
乾燥し、窒素置換した100mLの耐圧ガラス容器に、ブタジエンのシクロヘキサン溶液(15.2重量%)7.11g、ネオジムネオデカノエートのシクロヘキサン溶液(0.56M)0.59mL、メチルアルミノキサンMAO(東ソ−アクゾ製PMAO)のトルエン溶液(アルミニウム濃度として3.23M)10.32mL、水素化ジイソブチルアルミ(関東化学製)のヘキサン溶液(0.90M)7.77mLを順次投入し、室温で2分間熟成した後、塩素化ジエチルアルミ(関東化学製)のヘキサン溶液(0.95M)1.45mLを加え室温で、時折撹拌しながら15分間熟成した。こうして得られた触媒組成物の溶液中のネオジムの濃度は、0.011M(モル/リットル)であった。
(共重合体の重合)
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、ブタジエンのシクロヘキサン溶液及びシクロヘキサンを各々投入し、ブタジエン12.5wt%のシクロヘキサン溶液が400g投入された状態とした。次に、調製した触媒組成物の溶液1.70mL(ネオジム換算0.020mmol)を投入し、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。引き続き、重合反応系に、モノマーM2を0.50ミリモルを含むシクロヘキサン溶液を加え、50℃で0.5時間反応させた。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5mLを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して共重合体A4を得た。
《製造例7:主鎖中にモノマーM2を導入したブタジエンゴム(共重合体A5)》
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、ブタジエンのシクロヘキサン溶液及びシクロヘキサンを各々投入し、ブタジエン12.5wt%のシクロヘキサン溶液が400g投入された状態とした。次に、モノマーM2を1.50ミリモル含むシクロヘキサン溶液を加え、製造例6と同様にして調製した触媒溶液1.70mL(ネオジム換算0.020mmol)を投入し、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5mLを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して共重合体A5を得た。
《製造例8:主鎖中又は末端にモノマーM1を導入したブタジエンゴム(共重合体R2)》
重合反応系に、モノマーM1を0.50ミリモルを含むシクロヘキサン溶液を加えた以外は、製造例6に従って共重合体R2の重合を試みた。
しかし、モノマーM1を主鎖中又は主鎖末端に導入したブタジエンゴム(共重合体R2)を得ることはできなかった。モノマーM1のビストリメチルシリルアミノ基が脱離していることが考えられる。
《製造例9:主鎖中及び末端にモノマーM2を含まないブタジエンゴム(共重合体P2)》
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、ブタジエンのシクロヘキサン溶液及びシクロヘキサンを各々投入し、ブタジエン12.5wt%のシクロヘキサン溶液が400g投入された状態とした。次に、製造実施例4と同様にして調製した触媒溶液1.70mL(ネオジム換算0.020mmol)を投入し、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5mLを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して共重合体P2を得た。
[実施例1〜8、比較例1〜3]
上記製造例に従って製造された共重合体A1〜A5、共重合体P1,P2を、表1に示す配合処方に従って配合し、実施例1〜8,比較例1〜3のゴム組成物を製造した。
実施例1〜3は、スチレンブタジエンゴムを主骨格とする共重合体を使用し、充填材としてカーボンブラックを使用していることから、トレッド用ゴムとして好適なゴム組成物である。また、実施例4〜5は、スチレンブタジエンゴムを主骨格とする共重合体を使用し、充填材としてシリカを使用していることから、トレッド用ゴムとして好適なゴム組成物である。一方、実施例7,8は、ブタジエンゴムを主骨格とする共重合体を使用し、充填材としてカーボンブラックを使用していることから、サイドウォール用ゴムとして好適なゴム組成物である。
Figure 2012241133
[注]
*1 HAF、旭カーボン株式会社製、商品名「旭♯70」
*2 東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニプシルAQ」
*3 N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興科学株式会社製、商品名「ノクラック6C」
*4 ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、デグサ社製、商品名「Si69」
*5 N,N’−ジフェニルグアニジン、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーD−G」
*6 ジベンゾチアジルスルフィド、大内新興科学株式会社製、商品名「ノクセラーDM−P」
*7 N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興科学株式会社製、商品名「ノクセラーNS−P」
実施例1〜8、比較例1〜3のゴム組成物を160℃で15分間加硫処理してサンプル片を調製し、上述した評価方法に基づいて、該ゴム組成物の低発熱性及び耐摩耗性を評価した。結果を表2〜4に示す。
実施例1〜3については、比較例1のtanδの逆数を100とする指数により表示した。実施例4〜6については、比較例2のtanδの逆数を100とする指数により表示した。実施例7,8については、比較例3のtanδの逆数を100とする指数により表示した。指数値が小さい程、タイヤの低発熱性が優れていることを示す。また、実施例1〜3については、比較例1の摩耗量の逆数を100とする指数により表示した。実施例4〜6については、比較例2の摩耗量の逆数を100とする指数により表示した。実施例7,8については、比較例3の摩耗量の逆数を100とする指数により表示した。指数値が大きい程、摩耗量が少なく、耐摩耗性が良好であることを示す。
Figure 2012241133
実施例1〜3のゴム組成物は、モノマーM2のアニオン重合によって重合された共重合体A1〜A3を含んでおり、比較例1のゴム組成物は、末端及び主鎖に変性基を持たない共重合体P1を含んでいる。
表2の結果に示されるように、実施例1〜3のゴム組成物は、比較例1のゴム組成物よりも低発熱性及び耐摩耗性に優れることが判った。モノマーM2のアニオン重合によって重合された共重合体A1〜A3は、カーボンブラック(HAF)と良好に相互作用し、カーボンブラック(HAF)の分散性を向上できるものと考えられる。
Figure 2012241133
実施例4〜6のゴム組成物は、モノマーM2のアニオン重合によって重合された共重合体A1〜A3を含んでおり、比較例2のゴム組成物は、共重合体P1を含んでいる。
表3の結果に示されるように、実施例4〜6のゴム組成物は、比較例2のゴム組成物よりも低発熱性及び耐摩耗性に優れることが判った。モノマーM2のアニオン重合によって作製された共重合体A1〜A3は、シリカ(AQ)とも良好に相互作用し、シリカ(AQ)の分散性を向上できるものと考えられる。
Figure 2012241133
実施例7,8のゴム組成物は、モノマーM2の配位重合によって作製された共重合体A4,A5を含んでおり、比較例3のゴム組成物は、共重合体P2を含んでいる。
表4の結果に示されるように、実施例7,8のゴム組成物は、比較例3のゴム組成物よりも低発熱性及び耐摩耗性に優れることが判った。モノマーM2の配位重合によって作製された共重合体A4,A5は、カーボンブラック(HAF)と良好に相互作用し、カーボンブラック(HAF)の分散性を向上できるものと考えられる。
なお、製造例4,8で説明したように、モノマーM1(2−(N,N−ビストリメチルシリルアミノメチル)−1,3−ブタジエン)を主鎖中又は主鎖末端に導入したスチレンブタジエンゴム(共重合体R1,R2)は、生成できなかった。これには、以下の理由が考えられる。すなわち、モノマーM1(2−(N,N−ビストリメチルシリルアミノメチル)−1,3−ブタジエン)は、1,3−ブタジエンの2位の炭素に連結される基、すなわち、化学式(1)のR1の炭素数が1(または、BのR2の炭素数が1)である。このように、1,3−ブタジエンの2位の炭素に連結される基の炭素数が2よりも小さい場合には、X基が主鎖から脱離する脱離反応が促進されるものと考えられる。1,3−ブタジエンの2位の炭素に連結される基の炭素数は2以上であって、数が多いほど、脱離反応を起こりにくくできるため、好ましい。
従って、下記式(1)におけるAが−R1−Xのとき、R1は、炭素数2〜12の2価の炭化水素基であることが好ましく、Bが−R2−Xのとき、R2は、炭素数2〜12の2価の炭化水素基であることが好ましい。
Figure 2012241133

Claims (12)

  1. 式(1)で表される共役ジエン系モノマー(a)と、少なくとも共役ジエン系炭化水素(b)とを共重合して得られる共重合体(A)と、
    充填剤(B)と、
    が配合されたゴム組成物。
    Figure 2012241133
    式(1)において、
    Aは、−R1−Xで表され、
    R1は、炭素数2〜12の2価の炭化水素基であり、
    Xは、窒素原子を含み、窒素原子が直接R1に接続する官能基であり、
    Bは、水素原子、炭素数1〜12の1価の炭化水素基、又は−R2−Yで表され、
    R2は、炭素数2〜12の2価の炭化水素基であり、
    Yは、窒素原子を含み、窒素原子が直接R2に接続する官能基である。
  2. 前記共重合体(A)が式(1)で表される共役ジエン系モノマーと、前記共役ジエン系炭化水素(b)と、芳香族ビニル化合物(c)との共重合である請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 共役ジエン系炭化水素が1,3−ブタジエンである請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. 前記X、前記Yは、それぞれ保護された第一アミノ基、保護された第二アミノ基、第三アミノ基、及びイミノ基から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  5. 前記Xを保護する保護基又は前記Yを保護する保護基のいずれか一方がトリヒドロカルビルシリル基である請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  6. 前記Xを保護する保護基又は前記Yを保護する保護基のいずれか一方がトリメチルシリル基である請求項5に記載のゴム組成物。
  7. 前記共重合体(A)を得る共重合反応の重合開始剤として、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物が使用される請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  8. 前記共重合体(A)を得る共重合反応の重合開始剤として、
    成分(x):ランタノイド元素(周期律表の原子番号57〜71にあたる希土類元素)の少なくともいずれかを含有するランタノイド元素含有化合物、又はランタノイド元素含有化合物とルイス塩基との反応により得られる反応生成物、
    成分(y):アルモキサン、及び/又はAlRabcで表される有機アルミニウム化合物(ただし、Ra及びRbは、同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子であり、Rcは、Ra及びRbと同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜10の炭化水素基である)、
    成分(z):その分子構造中に少なくとも一つのハロゲン元素を含有するハロゲン含有化合物、
    を有する触媒組成物が使用される請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  9. 前記充填材(B)がシリカ及びカーボンブラックから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜8のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  10. 天然ゴム、イソプレンゴムを含むジエン系ゴム、及びブチルゴムを含む非ジエン系ゴムから選ばれる少なくとも1種がさらに配合された請求項1〜9のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  11. 請求項1〜10に記載のゴム組成物をトレッドに用いたタイヤ。
  12. 請求項1〜10に記載のゴム組成物をサイドウォールに用いたタイヤ。
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