JP2012240907A - 光学ガラス、プリフォーム及び光学素子 - Google Patents

光学ガラス、プリフォーム及び光学素子 Download PDF

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Abstract

【課題】屈折率及びアッベ数が所望の範囲内にありながら、部分分散比(θg,F)が小さく、且つガラスの洗浄時及び研磨時に曇りが生じ難い光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を提供する。
【解決手段】光学ガラスは、酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%でSiO成分を10.0〜60.0%、及びTa成分を0%より多く含有し、粉末法による化学的耐久性(耐水性)がクラス1〜3である。
【選択図】図2

Description

本発明は、光学ガラス、プリフォーム及び光学素子に関する。
デジタルカメラやビデオカメラ等の光学系は、その大小はあるが、収差と呼ばれるにじみを含んでいる。この収差は単色収差と色収差に分類されるが、特に色収差は、光学系に使用されるレンズの材料特性に強く依存している。
一般に色収差は、低分散の凸レンズと高分散の凹レンズとを組み合わせて補正されるが、この組み合わせでは赤色領域と緑色領域の収差の補正しかできず、青色領域の収差が残る。この除去しきれない青色領域の収差を二次スペクトルと呼ぶ。二次スペクトルを補正するには、青色領域のg線(435.835nm)の動向を加味した光学設計を行う必要がある。このとき、光学設計で着目される光学特性の指標として、部分分散比(θg,F)が用いられている。上述の低分散のレンズと高分散のレンズとを組み合わせた光学系では、低分散側のレンズに部分分散比(θg,F)の大きい光学材料を用い、高分散側のレンズに部分分散比(θg,F)の小さい光学材料を用いることで、二次スペクトルが良好に補正される。
部分分散比(θg,F)は、下式(1)により示される。
θg,F=(n−n)/(n−n)・・・・・・(1)
光学ガラスには、短波長域の部分分散性を表す部分分散比(θg,F)とアッベ数(ν)との間に、およそ直線的な関係がある。この関係を表す直線は、部分分散比(θg,F)を縦軸に、アッベ数(ν)を横軸に採用した直交座標上で、NSL7とPBM2の部分分散比及びアッベ数をプロットした2点を結ぶ直線で表され、ノーマルラインと呼ばれている(図1参照)。ノーマルラインの基準となるノーマルガラスは光学ガラスメーカー毎によっても異なるが、各社ともほぼ同等の傾きと切片で定義している。(NSL7とPBM2は株式会社オハラ社製の光学ガラスであり、PBM2のアッベ数(ν)は36.3,部分分散比(θg,F)は0.5828、NSL7のアッベ数(ν)は60.5、部分分散比(θg,F)は0.5436である。)
ここで、部分分散比の小さなガラスとしては、例えば特許文献1〜3に示されるような光学ガラスが知られている。
特開2008−297198号公報 国際公開第2001/072650号パンフレット 特開平10−265238号公報
しかし、特許文献1〜3で開示されたガラスは、屈折率(n)が低く、且つアッベ数(ν)が高いために低分散であるため、上述の二次スペクトルを補正するレンズとして使用するには好適でなかった。すなわち、部分分散比(θg,F)の小ささと、高屈折率及び高分散の光学特性と、を併せ持った光学ガラスが求められている。
また、特許文献1〜3で開示されたガラスは、リヒートプレスによりプレス成形されたガラスを研磨加工する際や、ガラスを研磨加工してプリフォーム材を作製する際や、成形されたプリフォーム材や光学素子を洗浄する際に、曇りが生じ易い問題点があった。ひとたび曇りが生じたガラスからは、上述の二次スペクトルを補正するような光学素子を作製することが困難であった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、屈折率及びアッベ数が所望の範囲内にありながら、部分分散比(θg,F)が小さく、且つガラスの洗浄時及び研磨時に曇りが生じ難い光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を得ることにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意試験研究を重ねた結果、SiO成分及びTa成分を併用し、これらの含有量を調整することによって、ガラスの高屈折率及び高分散化が図られながらも、ガラスの部分分散比(θg,F)がアッベ数(ν)との間で所望の関係を有し、且つガラスの化学的耐久性が高められることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%でSiO成分を10.0〜60.0%、及びTa成分を0%より多く含有し、粉末法による化学的耐久性(耐水性)がクラス1〜3である光学ガラス。
(2) 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%でTa成分の含有量が25.0%以下である(1)記載の光学ガラス。
(3) 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%で
LiO成分 0〜30.0%及び/又は
NaO成分 0〜30.0%及び/又は
O成分 0〜15.0%及び/又は
CsO成分 0〜10.0%
をさらに含有する(1)又は(2)記載の光学ガラス。
(4) 酸化物換算組成のガラス全物質量に対するRnO成分(式中、RnはLi、Na、K及びCsからなる群より選択される1種以上)の含有量の和が5.0%以上50.0%以下である(3)記載の光学ガラス。
(5) 酸化物換算組成のガラス全物質量に対するモル比Ta/(LiO+NaO)が0.010以上である(3)又は(4)記載の光学ガラス。
(6) 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%で
Nb成分 0〜30.0%及び/又は
TiO成分 0〜20.0%
である(1)から(5)のいずれか記載の光学ガラス。
(7) 酸化物換算組成のガラス全物質量に対するモル比(Ta+Nb)/(LiO+NaO+KO)が0.600以上である(6)記載の光学ガラス。
(8) 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%でBaO成分の含有量が15.0%以下である(1)から(7)のいずれか記載の光学ガラス。
(9) 酸化物換算組成のガラス全物質量に対する、Ta成分、Nb成分、NaO成分及びBaO成分からなる群から選択される1種以上の含有量の和が5.0%以上50.0%以下である(1)から(8)のいずれか記載の光学ガラス。
(10) 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%で
成分 0〜10.0%及び/又は
成分 0〜10.0%及び/又は
GeO成分 0〜10.0%
である(1)から(9)のいずれか記載の光学ガラス。
(11) 酸化物換算組成のガラス全物質量に対する和(SiO+P+B+GeO)が20.0%以上60.0%以下である(10)記載の光学ガラス。
(12) 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%で
MgO成分 0〜10.0%及び/又は
CaO成分 0〜10.0%及び/又は
SrO成分 0〜10.0%及び/又は
ZnO成分 0〜15.0%
である(1)から(11)のいずれか記載の光学ガラス。
(13) 酸化物換算組成のガラス全物質量に対するRO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Ba、Znからなる群より選択される1種以上)の含有量の和が40.0%以下である(12)記載の光学ガラス。
(14) 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%で
成分 0〜10.0%及び/又は
La成分 0〜10.0%及び/又は
Gd成分 0〜10.0%及び/又は
Yb成分 0〜10.0%
である(1)から(13)のいずれか記載の光学ガラス。
(15) 酸化物換算組成のガラス全物質量に対するLn成分(式中、LnはY、La、Gd及びYbからなる群より選択される1種以上)の含有量の和が30.0%以下である(14)記載の光学ガラス。
(16) 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%で
Bi成分 0〜10.0%及び/又は
TeO成分 0〜10.0%及び/又は
WO成分 0〜15.0%及び/又は
Al成分 0〜10.0%及び/又は
Ga成分 0〜10.0%及び/又は
In成分 0〜10.0%及び/又は
ZrO成分 0〜20.0%及び/又は
Sb成分 0〜5.0%及び/又は
CeO成分 0〜5.0%
である(1)から(15)のいずれか記載の光学ガラス。
(17) 1.75以上2.00以下の屈折率(nd)を有し、20以上40以下のアッベ数(νd)を有する(1)から(16)のいずれか記載の光学ガラス。
(18) 部分分散比(θg,F)がアッベ数(ν)との間で、ν≦25の範囲において(−0.00160×ν+0.63460)≦(θg,F)≦(−0.00563×ν+0.75573)の関係を満たし、ν>25の範囲において(−0.00250×ν+0.65710)≦(θg,F)≦(−0.00340×ν+0.70000)の関係を満たす(1)から(17)のいずれか記載の光学ガラス。
(19) 粉末法による化学的耐久性(耐酸性)がクラス1〜3である(1)から(18)のいずれか記載の光学ガラス。
(20) 分光透過率が70%を示す波長(λ70)が500nm以下である(1)から(19)のいずれか記載の光学ガラス。
(21) (1)から(20)のいずれか記載の光学ガラスからなる研磨加工用及び/又は精密プレス成形用のプリフォーム。
(22) (1)から(20)のいずれか記載の光学ガラスを研削及び/又は研磨してなる光学素子。
(23) (1)から(20)のいずれか記載の光学ガラスを精密プレス成形してなる光学素子。
本発明によれば、屈折率及びアッベ数が所望の範囲内にありながら、部分分散比(θg,F)が小さく、且つガラスの洗浄時及び研磨時に曇りが生じ難い光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を得ることができる。
部分分散比(θg,F)が縦軸でアッベ数(ν)が横軸の直交座標に表されるノーマルラインを示す図である。 本願の実施例のガラスについての部分分散比(θg,F)とアッベ数(ν)の関係を示す図である。
本発明の光学ガラスは、酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%でSiO成分を10.0〜60.0%、及びTa成分を0%より多く含有し、粉末法による化学的耐久性(耐水性)がクラス1〜3である。SiO成分及びTa成分を併用し、これらの含有量を調整することによって、ガラスの高屈折率及び高分散化が図られながらも、ガラスの部分分散比(θg,F)が低くなることでアッベ数(ν)との間で所望の関係を有し、且つガラスの化学的耐久性、特に耐水性及び耐酸性が高められる。このため、高屈折率及び高分散の光学特性を有しながらも、部分分散比(θg,F)が小さく、且つガラスの作製時及び洗浄時に曇りが生じ難い光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を得られる。
以下、本発明の光学ガラスの実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の趣旨を限定するものではない。
[ガラス成分]
本発明の光学ガラスを構成する各成分の組成範囲を以下に述べる。本明細書中において、各成分の含有率は特に断りがない場合は、全て酸化物換算組成のガラス全物質量に対するモル%で表示されるものとする。ここで、「酸化物換算組成」とは、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が溶融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総質量を100モル%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
<必須成分、任意成分について>
SiO成分は、ガラス形成酸化物であり、ガラスの骨格を形成する為に有用な成分である。特に、SiO成分の含有量を60.0%以下にすることで、ガラスの屈折率が低下し難くなり、所望の屈折率を有する光学ガラスを得易くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するSiO成分の含有量は、好ましくは60.0%、より好ましくは55.0%、最も好ましくは50.0%を上限とする。一方、SiO成分の含有量を10.0%以上にすることで、安定なガラスが得られる程度にガラスの網目構造が増加するため、ガラスの耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するSiO成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは20.0%、さらに好ましくは30.0%、最も好ましくは35.0%を下限とする。SiO成分は、原料として例えばSiO、KSiF、NaSiF等を用いてガラス内に含有できる。
Ta成分は、ガラスの屈折率を高め、ガラスの液相温度を下げる成分である。また、Ta成分は、ガラスに所望の低い部分分散比(θg,F)を与え、且つガラスに着色を生じ難くする成分である。特に、Ta成分を0%超含有することで、高屈折率を有し、耐失透性が高く、且つ部分分散比(θg,F)の低い光学ガラスを得られる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するTa成分の含有量は、好ましくは0%より多くし、より好ましくは1.4%、さらに好ましくは2.2%、最も好ましくは2.5%を下限とする。一方で、Ta成分の含有量を25.0%以下にすることで、Ta成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するTa成分の含有量は、好ましくは25.0%、より好ましくは20.0%、最も好ましくは15.0%を上限とする。Ta成分は、原料として例えばTa等を用いてガラス内に含有できる。
LiO成分は、ガラスの部分分散比(θg,F)を低くし、ガラスの液相温度を下げ、ガラス転移点を低くする成分である。特に、LiO成分の含有量を30.0%以下にすることで、LiO成分の過剰な含有によるガラスの失透を低減できる。また、再加熱時における耐失透性が高められるため、ガラスのプレス成形性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するLiO成分の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは25.0%、最も好ましくは23.0%を上限とする。なお、LiO成分は含有しなくてもよいが、低いガラス転移点を確保しつつ、ガラスの部分分散比(θg,F)を所望の低い値に調整し易くするために、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するLiO成分の含有量は、好ましくは0.1%、より好ましくは1.0%、さらに好ましくは5.0%、最も好ましくは8.0%を下限としてもよい。LiO成分は、原料として例えばLiCO、LiNO、LiF等を用いてガラス内に含有できる。
NaO成分は、ガラスの部分分散比(θg,F)を低くし、ガラスの化学的耐久性、特に耐水性を高め、且つガラス転移点を低くする成分である。特に、NaO成分の含有量を30.0%以下にすることで、NaO成分の過剰な含有によるガラスの失透を低減できる。また、再加熱時における耐失透性も高められるため、ガラスのプレス成形性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するNaO成分の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは25.0%、最も好ましくは20.0%を上限とする。なお、本発明において、NaO成分は含有しなくてもよいが、部分分散比(θg,F)が低く、化学的耐久性の高いガラスを得る観点で、NaO成分を含有してもよい。この場合、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するNaO成分の含有量は、好ましくは0.1%、より好ましくは1.0%、最も好ましくは5.0%を下限とする。NaO成分は、原料として例えばNaCO、NaNO、NaF、NaSiF等を用いてガラス内に含有できる。
O成分は、ガラス転移点を低くする成分である。特に、KO成分の含有量を15.0%以下にすることで、KO成分の過剰な含有によるガラスの失透を低減できる。また、再加熱時における耐失透性が高められるため、ガラスのプレス成形性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するKO成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは5.0%を上限とする。特に、ガラスの耐失透性やプレス成形性をより一層高められる観点で、このKO成分の含有量は、1.4%を上限としてもよい。KO成分は、原料として例えばKCO、KNO、KF、KHF、KSiF等を用いてガラス内に含有できる。
CsO成分は、ガラス転移点を低くする成分である。特に、CsO成分の含有量を10.0%以下にすることで、CsO成分の過剰な含有によるガラスの失透を低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するCsO成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。CsO成分は、原料として例えばCsCO、CsNO等を用いてガラス内に含有できる。
本発明の光学ガラスでは、RnO成分(式中、RnはLi、Na、K及びCsからなる群より選択される1種以上)の含有量の和が、5.0%以上50.0%以下であることが好ましい。特に、この和を5.0%以上にすることで、再加熱時における耐失透性が高められるため、プレス成形を行い易いガラスを得られる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するRnO成分の合計含有量は、好ましくは5.0%、より好ましくは10.0%、最も好ましくは20.0%を下限とする。一方、この和を50.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高めることができ、且つ化学的耐久性が高められることで高湿度での曇りを低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するRnO成分の合計含有量は、好ましくは50.0%、より好ましくは40.0%、最も好ましくは35.0%を上限とする。また、特に屈折率の低下を抑える観点では、RnO成分の合計含有量を、酸化物換算組成のガラス全質量に対して、20.0%を上限とすることが好ましく、15.0%を上限とすることがより好ましく、13.0%を上限とすることが最も好ましい。
また、本発明の光学ガラスでは、LiO成分及びNaO成分の含有量の和に対する、Ta成分の含有量の比率が0.010以上であることが好ましい。これにより、ガラスの作製時及び再加熱時における耐失透性が高められるため、プレス成形を行い易いガラスを得ることができる。従って、酸化物換算組成におけるモル比Ta/(LiO+NaO)は、好ましくは0.010、より好ましくは0.060、最も好ましくは0.100を下限とする。一方で、このモル比の上限は、概ね2.50以下、より詳細には1.50以下、さらに詳細には1.00以下であることが多い。
Nb成分は、ガラスの屈折率及び分散を高めながらも、ガラスの部分分散比(θg,F)を低くする成分である。特に、Nb成分の含有量を30.0%以下にすることで、ガラスの液相温度が低くなるため、耐失透性の高い光学ガラスを得られる。また、Nb成分の含有量を30.0%以下にすることで、Nb成分による着色が低減されるため、可視光に対する透明性の高いガラスを得られる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するNb成分の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは25.0%、最も好ましくは20.0%を上限とする。なお、Nb成分は含有しなくてもよいが、高屈折率及び高分散を有する光学ガラスを得る観点で、Nb成分を含有してもよい。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するNb成分の含有量は、好ましくは0.1%、より好ましくは1.0%、さらに好ましくは5.0%、最も好ましくは8.0%を下限とする。Nb成分は、原料として例えばNb等を用いてガラス内に含有できる。
TiO成分は、ガラスの屈折率を高め、アッベ数を低くする成分である。特に、TiO成分の含有量を20.0%以下にすることで、ガラスへの着色が低減されることで、可視光の透過率を悪化し難くできる。また、これにより部分分散比(θg,F)の上昇を抑えることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するTiO成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、最も好ましくは10.0%を上限とする。なお、本発明ではTiO成分を含有しなくてもよいが、高屈折率及び高分散を有し、耐失透性の高いガラスを得るために、TiO成分を含有してもよい。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するTiO成分の含有量は、好ましくは0.1%、より好ましくは0.5%、最も好ましくは0.7%を下限とする。TiO成分は、原料として例えばTiO等を用いてガラス内に含有できる。
本発明の光学ガラスは、LiO成分、NaO成分及びKO成分の含有量の和に対する、Ta成分及びNb成分の含有量の和の比率が0.600以上であることが好ましい。これにより、ガラスの化学的耐久性、すなわち耐酸性及び耐水性が高められるため、ガラスの作製時及び洗浄時に曇りが生じ難い光学ガラスを得ることができる。従って、酸化物換算組成におけるモル比(Ta+Nb)/(LiO+NaO+KO)は、好ましくは0.600、より好ましくは0.620、最も好ましくは0.640を下限とする。一方、このモル比の上限は、概ね5.000以下、より詳細には3.000以下、さらに詳細には2.000以下であることが多い。
BaO成分は、ガラスの部分分散比(θg,F)を低くし、ガラスの耐失透性を高める成分である。特に、BaO成分の含有量を15.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するBaO成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。BaO成分は、原料として例えばBaCO、Ba(NO等を用いてガラス内に含有できる。
本発明の光学ガラスは、Ta成分、Nb成分、NaO成分及びBaO成分からなる群から選択される1種以上の含有量の和が5.0%以上50.0%以下であることが好ましい。これにより、ガラスの部分分散比(θg,F)を低くする成分が含まれるため、所望の低い部分分散比を得易くできる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、この含有量の和は、好ましくは5.0%、より好ましくは15.0%、最も好ましくは24.2%を下限とする。一方、この和を50.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高めることができる。また、これによりガラス形成成分の含有量を増やせるため、光学ガラスの粘性を高めて脈理等を低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、この含有量の和は、好ましくは50.0%、より好ましくは45.0%、最も好ましくは43.0%を上限とする。
成分は、ガラスの安定性を高める成分である。特に、P成分の含有量を10.0%以下にすることで、P成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するP成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、最も好ましくは3.0%を上限とする。P成分は、原料として例えばAl(PO、Ca(PO、Ba(PO、BPO、HPO等を用いてガラス内に含有できる。
成分は、ガラスの骨格を形成する為に有用な成分である。特に、B成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの屈折率の低下を抑え、可視光の透過率の悪化を抑えられる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するB成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、さらに好ましくは5.0%、最も好ましくは3.5%を上限とする。B成分は、原料として例えばHBO、Na、Na・10HO、BPO等を用いてガラス内に含有できる。
GeO成分は、ガラスの屈折率を高め、成形時の失透を低減する成分である。特に、GeO成分の含有量を10.0%以下にすることで、高価なGeO成分の使用量が低減されるため、ガラスの材料コストを低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するGeO成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは6.0%を上限とする。GeO成分は、原料として例えばGeO等を用いてガラス内に含有できる。
また、本発明の光学ガラスは、SiO成分、P成分、B成分及びGeO成分の含有量の和が20.0%以上60.0%以下であることが好ましい。これらの含有量の和が20.0%以上であることにより、部分分散比(θg,F)の上昇が抑えられるため、低い部分分散比(θg,F)を有するガラスを得易くできる。また、ガラスの安定性が高められるため、ガラスの耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対する和(SiO+P+B+GeO)は、好ましくは20.0%、より好ましくは30.0%、最も好ましくは35.0%を下限とする。一方、これらの含有量の和が60.0%以下であることにより、屈折率及びアッベ数を低下し難くでき、且つ、ガラスの耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対する和(SiO+P+B+GeO)は、好ましくは60.0%、より好ましくは56.7%、さらに好ましくは55.0%、最も好ましくは50.0%を上限とする。
MgO成分は、ガラスの溶融温度を低下する成分である。特に、MgO成分の含有量を10.0%以下にすることで、所望の高屈折率を得つつ、ガラスの化学的耐久性を高め、且つガラスの耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するMgO成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、最も好ましくは3.0%を上限とする。MgO成分は、原料として例えばMgO、MgCO、MgF等を用いてガラス内に含有できる。
CaO成分は、ガラスの液相温度を下げる成分である。特に、CaO成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの屈折率の低下を抑え、ガラスの化学的耐久性を高め、且つガラスの耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するCaO成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、さらに好ましくは5.0%、最も好ましくは2.7%を上限とする。CaO成分は、原料として例えばCaCO、CaF等を用いてガラス内に含有できる。
SrO成分は、ガラスの液相温度を下げ、ガラスの屈折率を調整する成分である。特に、SrO成分の含有量を10.0%以下にすることで、所望の高屈折率を得つつ、ガラスの耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するSrO成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。SrO成分は、原料として例えばSr(NO、SrF等を用いてガラス内に含有できる。
ZnO成分は、ガラスの液相温度を下げ、ガラス転移点を下げる成分である。特に、ZnO成分の含有量を15.0%以下にすることで、所望の高屈折率を得つつ、ガラスの化学的耐久性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するZnO成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、最も好ましくは8.0%を上限とする。ZnO成分は、原料として例えばZnO、ZnF等を用いてガラス内に含有できる。
本発明の光学ガラスでは、RO成分(式中、RはZn、Mg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)は、上述のようにガラスの耐失透性を高めるために有用な成分であるが、これらRO成分の合計含有量が多すぎると、かえってガラスの耐失透性が悪化し易くなり、ガラスの屈折率も低下しやすくなる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するRO成分の合計含有量は、好ましくは40.0%、より好ましくは25.0%、最も好ましくは10.0%を上限とする。
成分、La成分、Gd成分及びYb成分は、ガラスの屈折率を高めつつ、ガラスの耐失透性を高める成分である。特に、Y成分、La成分、Gd成分及びYb成分の各々の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高め、且つガラスの分散を低下し難くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するY成分、La成分、Gd成分及びYb成分の各々の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、最も好ましくは3.0%を上限とする。Y成分、La成分、Gd成分及びYb成分は、原料として例えばY、YF、La、La(NO・XHO(Xは任意の整数)、Gd、GdF、Yb等を用いることができる。
本発明の光学ガラスは、Ln成分(式中、LnはLa、Gd、Y及びYbからなる群より選択される1種以上)の含有量の和が、30.0%以下であることが好ましい。これにより、ガラスの分散の低下を抑制しつつ、ガラスの耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するLn成分の含有量の和は、好ましくは30.0%、より好ましくは20.0%、最も好ましくは10.0%を上限とする。
Bi成分及びTeO成分は、ガラスの屈折率を上げ、ガラス転移点を低くする成分である。ここで、Bi成分及びTeO成分の各々の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの着色を低減することで、ガラスの可視光の透過率の悪化を抑えることができる。特に、Bi成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの部分分散比(θg,F)を上昇し難くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するBi成分及びTeO成分の各々の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、最も好ましくは3.0%を上限とする。Bi成分及びTeO成分は、原料として例えばBi、TeO等を用いてガラス内に含有できる。
WO成分は、ガラスの屈折率及びを高め、ガラスの液相温度を下げる成分である。特に、WO成分の含有量を15.0%以下にすることで、ガラスの着色を低減し、ガラスの可視光の透過率を高めることができる。また、これによりガラスの部分分散比(θg,F)を上昇し難くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するWO成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。WO成分は、原料として例えばWO等を用いてガラス内に含有できる。
Al成分、Ga成分及びIn成分は、ガラスの化学的耐久性を改善する成分である。特に、これら成分の含有量を各々10.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するAl成分、Ga成分及びIn成分の含有量は、それぞれ好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、最も好ましくは3.0%を上限とする。Al成分、Ga成分及びIn成分は、原料として例えばAl、Al(OH)、AlF、Ga、Ga(OH)、In、In(OH)等を用いてガラス内に含有できる。
ZrO成分は、ガラスの屈折率を高めつつ、ガラスの部分分散比(θg,F)を低くする成分である。特に、ZrO成分の含有量を20.0%以下にすることで、ガラスの液相温度を下げて耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するZrO成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、最も好ましくは10.0%を上限とする。なお、ZrO成分は含有しなくてもよいが、高屈折率と低い部分分散比を有するガラスを得易くするために、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するZrO成分の含有量は、好ましくは0.1%、より好ましくは0.2%、最も好ましくは0.3%を下限とする。ZrO成分は、原料として例えばZrO、ZrF等を用いてガラス内に含有できる。
Sb成分は、ガラスの脱泡を促進し、ガラスを清澄する成分である。Sb成分は、ガラス全物質量に対する含有量を5.0%以下にすることで、ガラス溶融時における過度の発泡を生じ難くすることができ、Sb成分と溶解設備(特にPt等の貴金属)との合金化を抑えることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するSb成分の含有率は、好ましくは5.0%、より好ましくは3.0%、さらに好ましくは1.0%を上限とする。但し、光学ガラスの環境上の影響を重視する場合には、Sb成分を含有しないことが好ましい。Sb成分は、原料として例えばSb、Sb、NaSb・5HO等を用いてガラス内に含有できる。
CeO成分は、ガラスを清澄する成分であるとともに、ガラスの光学定数を調整する成分である。特に、CeO成分の含有量を5.0%以下にすることで、CeO成分による着色を低減することができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するCeO成分の含有量は、好ましくは5.0%、より好ましくは3.0%、さらに好ましくは1.0%を上限とする。但し、CeO成分を含有すると可視域の特定の波長に吸収が生じ易くなるため、可視光の透過率が特に高いガラスを得る場合、CeO成分を実質的に含まないことが好ましい。CeO成分は、原料として例えばCeO等を用いてガラス内に含有できる。
なお、ガラスを清澄し脱泡する成分は、上記のSb成分及びCeO成分に限定されるものではなく、ガラス製造の分野における公知の清澄剤や脱泡剤、或いはそれらの組み合わせを用いることができる。
<含有すべきでない成分について>
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない成分について説明する。
本発明の光学ガラスには、他の成分をガラスの特性を損なわない範囲で必要に応じ、添加することができる。
ただし、Ta、Nb、Ti、Zr、Wを除く、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Ag及びMo等の各遷移金属成分は、それぞれを単独又は複合して少量含有した場合でもガラスが着色し、可視域の特定の波長に吸収を生じる性質があるため、特に可視領域の波長を使用する光学ガラスにおいては、実質的に含まないことが好ましい。
さらに、PbO等の鉛化合物及びAs等のヒ素化合物、並びに、Th、Cd、Tl、Os、Be、Seの各成分は、近年有害な化学物資として使用を控える傾向にあり、ガラスの製造工程のみならず、加工工程、及び製品化後の処分に至るまで環境対策上の措置が必要とされる。従って、環境上の影響を重視する場合には、不可避な混入を除き、これらを実質的に含有しないことが好ましい。これにより、光学ガラスに環境を汚染する物質が実質的に含まれなくなる。そのため、特別な環境対策上の措置を講じなくとも、この光学ガラスを製造し、加工し、及び廃棄することができる。
本発明の光学ガラスとして好ましく用いられるガラスは、その組成が酸化物換算組成のガラス全物質量に対するモル%で表されているため直接的に質量%の記載に表せるものではないが、本発明において要求される諸特性を満たすガラス組成物中に存在する各成分の質量%表示による組成は、酸化物換算組成で概ね以下の値をとる。
SiO成分 5.0〜40.0質量%及び
Ta成分 0%超〜60.0質量%
並びに
LiO成分 0〜20.0質量%及び/又は
NaO成分 0〜20.0質量%及び/又は
O成分 0〜15.0質量%及び/又は
CsO成分 0〜20.0質量%及び/又は
Nb成分 0〜55.0質量%及び/又は
TiO成分 0〜18.0質量%及び/又は
BaO成分 0〜25.0質量%及び/又は
成分 0〜15.0質量%及び/又は
成分 0〜10.0質量%及び/又は
GeO成分 0〜10.0質量%及び/又は
MgO成分 0〜10.0質量%及び/又は
CaO成分 0〜10.0質量%及び/又は
SrO成分 0〜10.0質量%及び/又は
ZnO成分 0〜15.0質量%及び/又は
成分 0〜10.0質量%及び/又は
La成分 0〜15.0質量%及び/又は
Gd成分 0〜15.0質量%及び/又は
Yb成分 0〜15.0質量%及び/又は
Bi成分 0〜40.0質量%及び/又は
TeO成分 0〜15.0質量%及び/又は
WO成分 0〜35.0質量%及び/又は
Al成分 0〜10.0質量%及び/又は
Ga成分 0〜15.0質量%及び/又は
In成分 0〜15.0質量%及び/又は
ZrO成分 0〜25.0質量%及び/又は
Sb成分 0〜15.0質量%及び/又は
CeO成分 0〜15.0質量%
[製造方法]
本発明の光学ガラスは、例えば以下のように作製される。すなわち、上記原料を各成分が所定の含有率の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を白金坩堝、石英坩堝又はアルミナ坩堝に投入して粗溶融した後、金坩堝、白金坩堝、白金合金坩堝又はイリジウム坩堝に入れて1100〜1400℃の温度範囲で3〜5時間溶融し、攪拌均質化して泡切れ等を行った後、1000〜1300℃の温度に下げてから仕上げ攪拌を行って脈理を除去し、金型に鋳込んで徐冷することにより作製される。
<物性>
本発明の光学ガラスは、所定の屈折率及び分散(アッベ数)を有することが好ましい。より具体的には、本発明の光学ガラスの屈折率(n)は、好ましくは1.75、より好ましくは1.78、最も好ましくは1.80を下限とする。一方、本発明の光学ガラスの屈折率(n)の上限は、概ね2.00以下、より具体的には1.98以下、さらに具体的には1.95以下であることが多い。また、本発明の光学ガラスのアッベ数(ν)は、好ましくは40、より好ましくは35、さらに好ましくは30、最も好ましくは29.2を上限とする。一方、本発明の光学ガラスのアッベ数(ν)の下限は特に限定されないが、概ね20以上、より具体的には21以上、さらに具体的には22以上であることが多い。これらにより、光学設計の自由度が広がり、さらに素子の薄型化を図っても大きな光の屈折量を得られる。
また、本発明の光学ガラスは、低い部分分散比(θg,F)を有する。より具体的には、本発明の光学ガラスの部分分散比(θg,F)は、アッベ数(ν)との間で、ν≦25の範囲において(−0.00160×ν+0.63460)≦(θg,F)≦(−0.00563×ν+0.75573)の関係を満たし、且つ、ν>25の範囲において(−0.00250×ν+0.65710)≦(θg,F)≦(−0.00340×ν+0.70000)の関係を満たす。これにより、高分散を有しながらも低い部分分散比(θg,F)を有する光学ガラスが得られるため、この光学ガラスから形成される光学素子の色収差を低減できる。ここで、ν≦25における光学ガラスの部分分散比(θg,F)の下限は、好ましくは(−0.00160×ν+0.63460)、より好ましくは(−0.00160×ν+0.63660)、最も好ましくは(−0.00160×ν+0.63860)である。一方で、ν≦25における光学ガラスの部分分散比(θg,F)の上限は、好ましくは(−0.00563×ν+0.75573)、より好ましくは(−0.00563×ν+0.75473)、最も好ましくは(−0.00563×ν+0.75373)である。また、ν>25における光学ガラスの部分分散比(θg,F)の下限は、好ましくは(−0.00250×ν+0.65710)、より好ましくは(−0.00250×ν+0.65910)、最も好ましくは(−0.00250×ν+0.66110)である。一方で、ν>25における光学ガラスの部分分散比(θg,F)の上限は、好ましくは(−0.00340×ν+0.70000)、より好ましくは(−0.00340×ν+0.69900)、最も好ましくは(−0.00340×ν+0.69800)である。なお、特にアッベ数(ν)が小さい領域では、一般的なガラスの部分分散比(θg,F)はノーマルラインよりも高い値にあり、一般的なガラスの部分分散比(θg,F)とアッベ数(ν)の関係は曲線で表される。しかしながら、この曲線の近似が困難であるため、本発明では、一般的なガラスよりも部分分散比(θg,F)が低いことを、ν=25を境に異なった傾きを有する直線を用いて表した。
また、本発明の光学ガラスは、高い耐水性を有する。特に、JOGIS06−1999に準じたガラスの粉末法による化学的耐久性(耐水性)は、好ましくはクラス1〜3、より好ましくはクラス1〜2、最も好ましくはクラス1である。これにより、光学ガラスを研磨加工する際に、水性の研磨液や洗浄液によるガラスの曇りが低減されるため、ガラスからの光学素子の作製を行い易くできる。ここで「耐水性」とは、水によるガラスの侵食に対する耐久性であり、この耐水性は、日本光学硝子工業会規格「光学ガラスの化学的耐久性の測定方法」JOGIS06−1999により測定することができる。また、「粉末法による化学的耐久性(耐水性)がクラス1〜3である」とは、JOGIS06−1999に準じて行った化学的耐久性(耐水性)が、測定前後の試料の質量の減量率で、0.25質量%未満であることを意味する。なお、化学的耐久性(耐水性)の「クラス1」は、測定前後の試料の質量の減量率が0.05質量%未満であり、「クラス2」は、測定前後の試料の質量の減量率が0.05質量%以上0.10質量%未満であり、「クラス3は」、測定前後の試料の質量の減量率が0.10質量%以上0.25質量%未満であり、「クラス4」は、測定前後の試料の質量の減量率が0.25質量%以上0.60質量%未満であり、「クラス5」は、測定前後の試料の質量の減量率が0.60質量%以上1.10質量%未満であり、「クラス6」は、測定前後の試料の質量の減量率が1.10質量%以上である。
また、本発明の光学ガラスは、高い耐酸性を有することが好ましい。特に、JOGIS06−1999に準じたガラスの粉末法による化学的耐久性(耐酸性)は、好ましくはクラス1〜3、より好ましくはクラス1〜2、最も好ましくはクラス1である。これにより、光学ガラスを研磨加工する際に、酸性の研磨液や洗浄液によるガラスの曇りが低減されるため、ガラスからの光学素子の作製をより行い易くできる。ここで「耐酸性」とは、酸によるガラスの侵食に対する耐久性であり、この耐酸性は、日本光学硝子工業会規格「光学ガラスの化学的耐久性の測定方法」JOGIS06−1999により測定することができる。また、「粉末法による化学的耐久性(耐酸性)がクラス1〜3である」とは、JOGIS06−1999に準じて行った化学的耐久性(耐酸性)が、測定前後の試料の質量の減量率で、0.65質量%未満であることを意味する。なお、化学的耐久性(耐酸性)の「クラス1」は、測定前後の試料の質量の減量率が0.20質量%未満であり、「クラス2」は、測定前後の試料の質量の減量率が0.20質量%以上0.35質量%未満であり、「クラス3」は、測定前後の試料の質量の減量率が0.35質量%以上0.65質量%未満であり、「クラス4」は、測定前後の試料の質量の減量率が0.65質量%以上1.20質量%未満であり、「クラス5」は、測定前後の試料の質量の減量率が1.20質量%以上2.20質量%未満であり、「クラス6」は、測定前後の試料の質量の減量率が2.20質量%以上である。
また、本発明の光学ガラスは、ソラリゼーションが5.0%以下であることが好ましい。これにより、光学ガラスを組み込んだ機器は、長期間の使用によってもカラーバランスが悪くなり難くなるため、より長期間にわたって高精度な二次スペクトルの補正を行うことができる。特に、使用温度が高いほどソラリゼーションはより大きくなるため、車載用等、高温下で用いられる場合に、本発明の光学ガラスは特に有効である。従って、本発明の光学ガラスのソラリゼーションは、好ましくは5.0%、より好ましくは4.5%、最も好ましくは4.0%を上限とする。なお、本明細書中において「ソラリゼーション」とはガラスに紫外線を照射した場合の450nmにおける分光透過率の劣化量を表すものであり、具体的には、日本光学硝子工業会規格JOGIS04−1994「光学ガラスのソラリゼーションの測定方法」に従い、高圧水銀灯の光を照射した前後の分光透過率をそれぞれ測定することにより求められる。
また、本発明の光学ガラスは、着色が少なく可視光の透過性が高いことが好ましい。特に、本発明の光学ガラスは、ガラスの透過率で表すと、厚み10mmのサンプルで分光透過率70%を示す波長(λ70)が500nm以下であり、より好ましくは460nm以下であり、最も好ましくは420nm以下である。また、本発明の光学ガラスは、ガラスの透過率で表すと、厚み10mmのサンプルで分光透過率80%を示す波長(λ80)が600nm以下であり、より好ましくは560nm以下であり、最も好ましくは520nm以下である。また、本発明の光学ガラスは、厚み10mmのサンプルで分光透過率5%を示す波長(λ)が440nm以下であり、より好ましくは400nm以下であり、最も好ましくは380nm以下である。これにより、ガラスの吸収端が紫外領域の近傍に位置するようになり、可視域のより幅広い波長の光に対してガラスの透過率が高められることで着色が低減されるため、可視光を透過させて二次スペクトルを補正する光学素子の材料として、この光学ガラスを好ましく用いることができる。
また、本発明の光学ガラスは、プレス成形性が良好であることが好ましい。すなわち、本発明の光学ガラスは、再加熱試験(イ)の前後においても失透及び乳白が生じないことが好ましい。これにより、リヒートプレス加工を想定した再加熱試験によっても失透及び着色が起こり難くなることで、ガラスの光線透過率が失われ難くなるため、ガラスに対してリヒートプレス加工に代表される再加熱処理を行い易くできる。すなわち、複雑な形状の光学素子をプレス成形で作製できるため、製造コストが安く、且つ生産性の良い光学素子製造を実現することができる。
ここで、再加熱試験(イ)は、15mm×15mm×30mmの試験片を、凹型耐火物上に載せて電気炉に入れて再加熱し、常温から150分で各試料の転移温度(Tg)より80℃〜150℃高い温度(耐火物に落ち込む温度)まで昇温し、その温度で30分保温した後、常温まで冷却して炉外に取り出し、内部で観察できるように対向する2面を厚さ10mmに研磨した後、研磨したガラス試料を目視観察する方法で行うことができる。
なお、再加熱試験(イ)の前後における失透及び乳白の有無は、例えば目視で確認することが可能であり、「失透及び乳白が生じない」ことは、例えば再加熱試験(イ)後の試験片の波長587.56nmの光線(d線)の透過率を、再加熱試験前の試験片のd線の透過率で除した値が、概ね0.80以上であることを指す。
[プリフォーム及び光学素子]
作製された光学ガラスから、例えばリヒートプレス成形や精密プレス成形等のモールドプレス成形の手段を用いて、ガラス成形体を作製することができる。すなわち、光学ガラスからモールドプレス成形用のプリフォームを作製し、このプリフォームに対してリヒートプレス成形を行った後で研磨加工を行ってガラス成形体を作製したり、例えば研磨加工を行って作製したプリフォームに対して精密プレス成形を行ってガラス成形体を作製したりすることができる。なお、ガラス成形体を作製する手段は、これらの手段に限定されない。
このようにして作製されるガラス成形体は、様々な光学素子に有用であるが、その中でも特に、レンズやプリズム等の光学素子の用途に用いることが好ましい。これにより、光学素子が設けられる光学系の透過光における、色収差による色のにじみが低減される。そのため、この光学素子をカメラに用いた場合は撮影対象物をより正確に表現でき、この光学素子をプロジェクタに用いた場合は所望の映像をより高精彩に投影できる。
本発明の実施例(No.1〜No.112)及び比較例(No.A)の組成、並びに、屈折率(n)、アッベ数(ν)、部分分散比(θg,F)、耐水性、耐酸性、ソラリゼーション、再加熱試験の結果、並びに分光透過率が5%、70%及び80%を示す波長(λ、λ70、λ80)を表1〜表15に示す。なお、以下の実施例はあくまで例示の目的であり、これらの実施例のみ限定されるものではない。
本発明の実施例(No.1〜No.112)及び比較例(No.A)のガラスは、いずれも各成分の原料として各々相当する酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物、水酸化物、メタ燐酸化合物等の通常の光学ガラスに使用される高純度の原料を選定し、表1〜表15に示した各実施例及び比較例の組成の割合になるように秤量して均一に混合した後、白金坩堝に投入し、ガラス組成の熔融難易度に応じて電気炉で1100〜1400℃の温度範囲で3〜5時間溶解し、攪拌均質化して泡切れ等を行った後、1000〜1300℃に温度を下げて攪拌均質化してから金型に鋳込み、徐冷してガラスを作製した。
ここで、実施例(No.1〜No.112)及び比較例(No.A)のガラスの屈折率(n)、アッベ数(ν)及び部分分散比(θg,F)は、日本光学硝子工業会規格JOGIS01―2003に基づいて測定した。そして、求められたアッベ数(ν)及び部分分散比(θg,F)の値について、関係式(θg,F)=−a×ν+bにおける、傾きaが0.00160、0.00250、0.00340及び0.00563のときの切片bを求めた。なお、本測定に用いたガラスは、徐冷降温速度を−25℃/hrとして、徐冷炉にて処理を行ったものを用いた。
また、実施例(No.1〜No.112)及び比較例(No.A)のガラスの耐酸性は、日本光学硝子工業会規格「光学ガラスの化学的耐久性の測定方法」JOGIS06−1999に準じて測定した。すなわち、粒度425〜600μmに破砕したガラス試料を比重ビンにとり、白金かごの中に入れた。白金かごを0.01N硝酸水溶液の入った石英ガラス製丸底フラスコに入れて、沸騰水浴中で60分間処理した。処理後のガラス試料の減量率(質量%)を算出して、この減量率(質量%)が0.20未満の場合をクラス1、減量率が0.20〜0.35未満の場合をクラス2、減量率が0.35〜0.65未満の場合をクラス3、減量率が0.65〜1.20未満の場合をクラス4、減量率が1.20〜2.20未満の場合をクラス5、減量率が2.20以上の場合をクラス6とした。このとき、クラスの数が小さいほど、ガラスの耐酸性が優れていることを意味する。
また、実施例(No.1〜No.112)及び比較例(No.A)のガラスの耐水性は、日本光学硝子工業会規格「光学ガラスの化学的耐久性の測定方法」JOGIS06−1999に準じて測定した。すなわち、粒度425〜600μmに破砕したガラス試料を比重ビンにとり、白金かごの中に入れた。白金かごを純水(pH6.5〜7.5)の入った石英ガラス製丸底フラスコに入れて、沸騰水浴中で60分間処理した。処理後のガラス試料の減量率(質量%)を算出して、この減量率が0.05未満の場合をクラス1、減量率が0.05〜0.10未満の場合をクラス2、減量率が0.10〜0.25未満の場合をクラス3、減量率が0.25〜0.60未満の場合をクラス4、減量率が0.60〜1.10未満の場合をクラス5、減量率が1.10以上の場合をクラス6とした。このとき、クラスの数が小さいほど、ガラスの耐水性が優れていることを意味する。
また、実施例(No.1〜No.112)及び比較例(No.A)のガラスのソラリゼーションは、日本光学硝子工業会規格JOGIS04−1994「光学ガラスのソラリゼーションの測定方法」に準じて、光照射前後における波長450nmの光透過率の変化(%)を測定した。ここで、光の照射は、光学ガラス試料を100℃に加熱し、超高圧水銀灯を用いて波長450nmの光を4時間照射することにより行った。
また、実施例(No.1〜No.112)及び比較例(No.A)のガラスの透過率は、日本光学硝子工業会規格JOGIS02に準じて測定した。なお、本発明においては、ガラスの透過率を測定することで、ガラスの着色の有無と程度を求めた。具体的には、厚さ10±0.1mmの対面平行研磨品をJISZ8722に準じ、200〜800nmの分光透過率を測定し、λ(透過率5%時の波長)、λ70(透過率70%時の波長)及びλ80(透過率80%時の波長)を求めた。
また、実施例(No.1〜No.112)及び比較例(No.A)のガラスについて、再加熱試験の前後における失透及び乳白の有無を目視で確認した。ここで、再加熱試験後の前後における失透及び乳白の確認は、15mm×15mm×30mmの試験片を、凹型耐火物上に載せて電気炉に入れて再加熱温度まで再加熱し、その温度で30分保温した後、常温まで冷却して炉外に取り出し、内部で観察できるように対向する2面を厚さ10mmに研磨した後、研磨したガラス試料における失透及び乳白の有無を目視で観察することで行った。このとき、再加熱温度を(Tg+80℃〜150℃)にしたときに失透及び乳白が生じず、且つ、再加熱温度を(Tg+80℃〜150℃)より高い温度にしたときにも失透及び乳白が生じなかったガラスは、「再加熱試験の結果」を「○」にした。また、再加熱温度を(Tg+80℃〜150℃)の範囲内で特定の温度にしたときに失透及び乳白が生じなかったものの、再加熱温度を(Tg+80℃〜150℃)の範囲内でより高い温度にしたときに失透又は乳白が生じたガラスは、「再加熱試験の結果」を「△」にした。
Figure 2012240907
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表1〜表15に表されるように、本発明の実施例の光学ガラスは、ν≦25のものは部分分散比(θg,F)が(−0.00563×ν+0.75573)以下、より詳細には(−0.00563×ν+0.75001)以下であった。また、ν>25のものは、部分分散比(θg,F)が(−0.00340×ν+0.70000)以下、より詳細には(−0.00340×ν+0.69540)以下であった。その反面で、本発明の実施例で得られる光学ガラスの部分分散比(θg,F)は、ν≦25のものは(−0.00160×ν+0.63460)以上であり、ν>25のものは(−0.00250×ν+0.65710)以上であった。そのため、本発明の実施例の光学ガラスは、部分分散比(θg,F)が所望の範囲内にあることがわかった。一方、本発明の比較例(No.A)のガラスは、ν>25であるものの、部分分散比(θg,F)が(−0.00340×ν+0.70000)を超えていた。従って、本発明の実施例の光学ガラスは、比較例のガラスに比べ、アッベ数(ν)との関係において部分分散比(θg,F)が小さいことが明らかになった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれも粉末法による化学的耐久性(耐水性)がクラス1〜3、より詳細にはクラス1であった。このため、本発明の実施例の光学ガラスは、耐酸性に優れていることが明らかになった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれも粉末法による化学的耐久性(耐酸性)がクラス1〜3、より詳細にはクラス1であった。このため、本発明の実施例の光学ガラスは、耐酸性に優れていることが明らかになった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれも屈折率(n)が1.75以上、より詳細には1.83以上であるとともに、この屈折率(n)は2.00以下、より詳細には1.92以下であり、所望の範囲内であった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもアッベ数(ν)が20以上、より詳細には23以上であるとともに、このアッベ数(ν)は40以下、より詳細には27以下であり、所望の範囲内であった。
従って、本発明の実施例の光学ガラスは、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にありながら、化学的耐久性が高く、可視光に対する透過率が高く、且つ色収差が小さいことが明らかになった。
さらに、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもソラリゼーションが5.0%以下、より詳細には4.5%以下であり、紫外線の長時間照射による光学ガラスのソラリゼーションが低減されていることも明らかになった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、λ70(透過率70%時の波長)がいずれも500nm以下、より詳細には420nm以下であった。また、本発明の実施例の光学ガラスは、λ80(透過率80%時の波長)がいずれも600nm以下、より詳細には520nm以下であった。また、本発明の実施例の光学ガラスは、λ(透過率5%時の波長)がいずれも440nm以下、より詳細には370nm以下であった。このため、本発明の実施例の光学ガラスは、着色し難く可視光の透過性が高いことも明らかになった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、再加熱試験(イ)を行う前後の両方で、失透及び乳白が生じなかった。従って、本発明の実施例の光学ガラスは、再加熱による失透や乳白が起こり難いことも明らかになった。
以上、本発明を例示の目的で詳細に説明したが、本実施例はあくまで例示の目的のみであって、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく多くの改変を当業者により成し得ることが理解されよう。

Claims (23)

  1. 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%でSiO成分を10.0〜60.0%、及びTa成分を0%より多く含有し、粉末法による化学的耐久性(耐水性)がクラス1〜3である光学ガラス。
  2. 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%でTa成分の含有量が25.0%以下である請求項1記載の光学ガラス。
  3. 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%で
    LiO成分 0〜30.0%及び/又は
    NaO成分 0〜30.0%及び/又は
    O成分 0〜15.0%及び/又は
    CsO成分 0〜10.0%
    をさらに含有する請求項1又は2記載の光学ガラス。
  4. 酸化物換算組成のガラス全物質量に対するRnO成分(式中、RnはLi、Na、K及びCsからなる群より選択される1種以上)の含有量の和が5.0%以上50.0%以下である請求項3記載の光学ガラス。
  5. 酸化物換算組成におけるモル比Ta/(LiO+NaO)が0.010以上である請求項3又は4記載の光学ガラス。
  6. 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%で
    Nb成分 0〜30.0%及び/又は
    TiO成分 0〜20.0%
    である請求項1から5のいずれか記載の光学ガラス。
  7. 酸化物換算組成におけるモル比(Ta+Nb)/(LiO+NaO+KO)が0.600以上である請求項6記載の光学ガラス。
  8. 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%でBaO成分の含有量が15.0%以下である請求項1から7のいずれか記載の光学ガラス。
  9. 酸化物換算組成のガラス全物質量に対する、Ta成分、Nb成分、NaO成分及びBaO成分からなる群から選択される1種以上の含有量の和が5.0%以上50.0%以下である請求項1から8のいずれか記載の光学ガラス。
  10. 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%で
    成分 0〜10.0%及び/又は
    成分 0〜10.0%及び/又は
    GeO成分 0〜10.0%
    である請求項1から9のいずれか記載の光学ガラス。
  11. 酸化物換算組成のガラス全物質量に対する和(SiO+P+B+GeO)が20.0%以上60.0%以下である請求項10記載の光学ガラス。
  12. 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%で
    MgO成分 0〜10.0%及び/又は
    CaO成分 0〜10.0%及び/又は
    SrO成分 0〜10.0%及び/又は
    ZnO成分 0〜15.0%
    である請求項1から11のいずれか記載の光学ガラス。
  13. 酸化物換算組成のガラス全物質量に対するRO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Ba、Znからなる群より選択される1種以上)の含有量の和が40.0%以下である請求項12記載の光学ガラス。
  14. 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%で
    成分 0〜10.0%及び/又は
    La成分 0〜10.0%及び/又は
    Gd成分 0〜10.0%及び/又は
    Yb成分 0〜10.0%
    である請求項1から13のいずれか記載の光学ガラス。
  15. 酸化物換算組成のガラス全物質量に対するLn成分(式中、LnはY、La、Gd及びYbからなる群より選択される1種以上)の含有量の和が30.0%以下である請求項14記載の光学ガラス。
  16. 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%で
    Bi成分 0〜10.0%及び/又は
    TeO成分 0〜10.0%及び/又は
    WO成分 0〜15.0%及び/又は
    Al成分 0〜10.0%及び/又は
    Ga成分 0〜10.0%及び/又は
    In成分 0〜10.0%及び/又は
    ZrO成分 0〜20.0%及び/又は
    Sb成分 0〜5.0%及び/又は
    CeO成分 0〜5.0%
    である請求項1から15のいずれか記載の光学ガラス。
  17. 1.75以上2.00以下の屈折率(nd)を有し、20以上40以下のアッベ数(νd)を有する請求項1から16のいずれか記載の光学ガラス。
  18. 部分分散比(θg,F)がアッベ数(ν)との間で、ν≦25の範囲において(−0.00160×ν+0.63460)≦(θg,F)≦(−0.00563×ν+0.75573)の関係を満たし、ν>25の範囲において(−0.00250×ν+0.65710)≦(θg,F)≦(−0.00340×ν+0.70000)の関係を満たす請求項1から17のいずれか記載の光学ガラス。
  19. 粉末法による化学的耐久性(耐酸性)がクラス1〜3である請求項1から18のいずれか記載の光学ガラス。
  20. 分光透過率が70%を示す波長(λ70)が500nm以下である請求項1から19のいずれか記載の光学ガラス。
  21. 請求項1から20のいずれか記載の光学ガラスからなる研磨加工用及び/又は精密プレス成形用のプリフォーム。
  22. 請求項1から20のいずれか記載の光学ガラスを研削及び/又は研磨してなる光学素子。
  23. 請求項1から20のいずれか記載の光学ガラスを精密プレス成形してなる光学素子。
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