JP2012238813A - ミリ波通信装置筐体構造およびシールド状態検知方法 - Google Patents

ミリ波通信装置筐体構造およびシールド状態検知方法 Download PDF

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Abstract

【課題】要求RF特性に影響を及ぼす筐体シールド構造の欠陥を外部から把握可能なミリ波通信装置筐体構造を提供する。
【解決手段】表裏両面に回路基板GNDプレーン7を形成した回路基板6を区分けしてシールドするためのシールド壁2が形成された筐体カバー1を、回路基板6を搭載したシャーシ5に固定ネジ4で固定した際に、シールド壁2の底面およびシャーシ5の内面に接地部としてそれぞれ形成されているカバー接地面15およびシャーシ面接地部8が回路基板6の回路基板GNDプレーン7に接触することにより回路基板6のシールド状態を実現するという筐体構造にし、シールド壁2のカバー接地面15が当接する回路基板6上の領域内にあり、かつ、回路基板6上の回路基板GNDプレーン7の面内にある任意の場所に、回路基板6とシールド壁2およびシャーシ5との接触状態の変化を検知して、電気的な信号の変化量に変換して出力する検知部9を配設する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ミリ波装置筐体構造およびシールド状態検知方法に関する。
機能複合化が進むミリ波通信装置筐体においては、例えば特許文献1の特開2009−290600号公報「アンテナ素子および無線通信装置」に記載のように、電波干渉防止の目的から、内部構造として、機能ブロック分けが施されている。機能ブロック分けされた該内部構造は、図8に示すように、シールド壁2を形成した筐体カバー1が、キャビティ25を介して、回路基板6上のSMDデバイス20(Surface Mount Device:表面実装部品)をはんだ21により配線した各回路を覆うとともに、シールド壁2によって区分けしている。また、筐体カバー1は、ネジ固定箇所3に穿設されたネジ穴に固定ネジ4をねじ込むことによって、シールド壁2の底面が回路基板6の表面に当接した状態でシャーシ5に固定され、回路基板6上の各機能ブロックごとにシールドされている。図8は、現状のミリ波通信装置の筐体構造の一例を示す断面図である。
しかし、図8の筐体構造においては、一般的に、ネジ固定箇所3の個数削減等により、筐体カバー1に形成されたシールド壁2の部位は長尺化・異形化されており、完全なシールド状態を維持することが困難な状態になっている。また、かかるシールド壁2の部位のみならず、回路基板6の裏面側に形成した接地GND面も、シャーシ5の内面(図8の上面)に形成されたシャーシ面接地部8に密着させることによって、回路基板6のシールド性を確保しようとしている。しかし、ネジ固定箇所3の配置位置の中間に位置して、SMDデバイス20をはんだ付け搭載している回路基板6の中央域は、回路基板6の表裏の応力差によって、反ってしまい、上側に浮き上がった状態になって、シャーシ5との間に隙間13が生じてしまう可能性がある。
この結果、固定ネジ4によって固定したネジ固定箇所3のみがシャーシ5のシャーシ面接地部8に接触し、回路基板6の中央域はシャーシ5に密着させることが不十分になり、振動等の装置環境の変化による外乱要素が、シャーシ5のシャーシ面接地部8との間で、接触、非接触状況を誘発させ、RF(Radio Frequency:高周波)特性に影響を及ぼす要因となっている。
また、回路基板6に搭載したSMDデバイス20が特に高発熱の場合、回路基板6の中央域に生じる隙間13は、放熱経路の熱伝導性を低減し、益々回路基板6の膨らみ(反り)を増加させる結果を招き、放熱性の悪化をさらに加速させることになる。このため、回路基板6の裏面側に形成している回路基板GNDプレーンが接地GND面として十分に機能しないだけでなく、振動等の外乱による影響や隙間13部へのフラックス(はんだの溶剤)等の異物流入等による問題の発生要因となり、ミリ波通信装置としてのRF特性を十分に確保することができない状態になる可能性もある。
また、図9は、現状のミリ波通信装置の回路基板の実装形態の図8とは異なる例を示す断面図であり、回路基板を主回路基板22および副回路基板23の2層構造として形成している例を示している。図9においては、SMDデバイス20は、はんだ21によって副回路基板23の回路パターン上に固定搭載され、各副回路基板23は、はんだ21によって主回路基板22の回路パターン上に固定搭載される。主回路基板22は、固定ネジ4によってシャーシ5に固定され、その表裏両面に形成された接地面(回路基板GNDプレーン)がシールド壁底面のカバー接地面およびシャーシ5のシャーシ面接地部8に密着するようにしている。
しかし、図9のように回路基板が階層化されている場合においては、主回路基板22と副回路基板23との基板材質の物性の違いによる応力差によって、副回路基板23の中央部が浮き上がった状態になり、主回路基板22との間にはんだ接続欠陥域24が生じてしまう。つまり、副回路基板23の中央部には、はんだ接合ができていないはんだ接続欠陥域24が発生してしまう。この要因は、主回路基板22との間の応力に耐えられなかった結果である。この結果、図8の場合と同様、ミリ波通信装置としてのRF特性を十分に確保することができない状態が発生してしまう。
かくのごときミリ波通信装置におけるRF特性の異常を検出する場合、機械的勘合状態を維持することによってシールド筐体を形成しているミリ波通信装置筐体においては、振動や温度変化等のストレスを外的に加える環境試験を行わないと、RF特性の異常が発覚しない場合は多い。
このため、従来のミリ波通信装置においては、不測のRF特性の異常状態を取り逃さないように、外乱要素の環境変化状態として、評価装置から温度や湿度、振動やショックを外的に印加させ、RF特性変化そのものを常時観測しようとしていた。
特開2009−290600号公報(第3−5頁)
しかしながら、従来の測定技術においては、測定行為が煩雑となるだけでなく、RF異常時の取りこぼしが発生し、さらには、RF異常の発生を検出することができたとしても、その防止対策に結び付けるための問題発生部位の特定や異常部位の状態の確認を行うことも不可能であった。
また、ミリ波通信装置の筐体カバーのシールド状態が環境変化等の外的影響によって変化し、回路基板の筐体カバーのシールド壁との接触状態やシャーシとの接触状態において、回路基板の変形や接触面間の間隔の変動や接触面の変質が発生したり、接触面間への異物の噛み込み等が発生したりして、RF特性の異常を誘発させていたとしても、かくのごときRF特性の異常の原因が、筐体カバーのシールド壁やシャーシ面との接触状態つまり回路基板の不安定なシールド状態によるものであることを特定することも、さらには、その問題発生箇所がどこにあるかということを確認することも、技術的に困難な状況にある。
なお、静的な状態であれば、筐体の一部を加工することにより、筐体カバーのシールド壁やシャーシ面との接触状態つまり回路基板のシールド状態を観測あるいは計測することは不可能ではない。しかし、本来のミリ波通信装置の動作時とは異なる状態で観測したとしても、その調査・検証の有効性は低く、本来の動作状態において、シールド状態が安定しているか否かを正確に捉えることができないという根本的な課題を解決することができない。
(本発明の目的)
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、要求RF特性に影響を及ぼす筐体シールド構造の欠陥を外部から確実に把握することを可能とするミリ波通信装置筐体構造およびシールド状態検知方法を提供することを、その目的としている。
前述の課題を解決するため、本発明によるミリ波通信装置筐体構造およびシールド状態検知方法は、主に、次のような特徴的な構成を採用している。
(1)本発明によるミリ波通信装置筐体構造は、表裏両面に接地面部が形成された回路基板を、機能ブロックごとに区分けしてシールドするためのシールド壁が形成されている筐体カバーを備え、該筐体カバーを、前記回路基板を搭載したシャーシまたはベース・プレートに取り付けられた状態の前記回路基板を搭載したシャーシに固定ネジで固定した際に、前記シールド壁の底面および前記シャーシの内面にそれぞれ形成されている接地部が前記回路基板の表裏両面に形成された前記接地面部に接触することによって、前記回路基板のシールド状態を実現するミリ波通信装置実装構造であって、前記シールド壁の底面に形成された前記接地部が当接する前記回路基板上の領域内にあり、かつ、前記回路基板上に形成された前記接地面部の面内にある任意の場所に、前記回路基板の前記接地面部と前記シールド壁および前記シャーシそれぞれに形成された前記接地部との接触状態の変化を検知して、電気的な信号の変化量に変換して出力する検知部が配設されていることを特徴とする。
(2)本発明によるシールド状態検知方法は、表裏両面に接地面部が形成された回路基板を、機能ブロックごとに区分けしてシールドするためのシールド壁が形成されている筐体カバーを備え、該筐体カバーを、前記回路基板を搭載したシャーシまたはベース・プレートに取り付けられた状態の前記回路基板を搭載したシャーシに固定ネジで固定した際に、前記シールド壁の底面および前記シャーシの内面にそれぞれ形成されている接地部が前記回路基板の表裏両面に形成された前記接地面部に接触することによって、前記回路基板のシールド状態を実現するミリ波通信装置実装構造におけるシールド状態を検知するためのシールド状態検知方法であって、前記シールド壁の底面に形成された前記接地部が当接する前記回路基板上の領域内にあり、かつ、前記回路基板上に形成された前記接地面部の面内にある任意の場所に、前記回路基板の前記接地面部と前記シールド壁および前記シャーシそれぞれに形成された前記接地部との接触状態の変化を検知して、電気的な信号の変化量に変換して出力する検知部が配設されており、該検知部が出力する電気的な信号の変化量を用いて、前記回路基板のシールド状態の変化を判別することを特徴とする。
本発明のミリ波通信装置筐体構造およびシールド状態検知方法によれば、以下のような効果を奏することができる。
第1の効果は、実運用状態であっても、実運用のRF特性に影響を与えることなく、環境等の外乱によりRF特性(高周波特性)に影響を及ぼすシールド状態の変化を、回路基板の接地面部と筐体カバーやシャーシの接地部との接触状態の変化として捉えるとともに、筐体カバーやシャーシの接地部との接触状態の変化を、取り扱いが簡便な電気的な変化量に置換することにより、より正確に把握することを可能としていることにある。
第2の効果は、機能ブロックごとのシールドを行うために筐体カバーに形成されたシールド壁が当接する領域内にあり、かつ、回路基板上の接地面部の面内にある任意の箇所に配置した検知部を、回路基板の接地面部と筐体カバーやシャーシの接地部との接触状態の変化を電気的な変化量(例えば静電容量の変化量や導電量の変化)として検知する検知素子を用いて構成することによって、小型化が可能で、かつ、簡便な回路により、隙間の検出、接触・接合欠陥等のRF特性に影響を及ぼすシールド状態の異常を確実に抽出することを可能にしていることにある。
第3の効果は、第1の効果および第2の効果の相乗効果により、ミリ波通信装置の運用状態においても、回路基板のシールド状態を、機能ブロックごとに区分けした任意の局所ごとにまたは総合的に把握することを可能にしていることにある。
本発明によるミリ波通信装置筐体構造の一例を説明するための斜視図である。 図1に示したミリ波通信装置のシールド不安定域を拡大した拡大斜視図である。 図2のミリ波通信装置のシールド不安定域の断面構造を示す断面図である。 図2のミリ波通信装置のシールド不安定域ごとに配置した検知部の電気的な接続ブロックからなるシールド状態検出回路の一例を示すブロック構成図である。 図1に示したミリ波通信装置のシールド不安定域を拡大した他の例を示す拡大斜視図である。 図5のミリ波通信装置のシールド不安定域の断面構造を示す断面図である。 (a),(b)は図5のミリ波通信装置の筐体カバーに形成されたシールド壁が回路基板に対して移動する様子を説明するための断面図である。 (c),(d)は図5のミリ波通信装置の筐体カバーに形成されたシールド壁が回路基板に対して移動する様子を説明するための断面図である。 現状のミリ波通信装置の筐体構造の一例を示す断面図である。 現状のミリ波通信装置の回路基板の実装形態の図8とは異なる例を示す断面図である。
以下、本発明によるミリ波通信装置筐体構造およびシールド状態検知方法の好適な実施形態について添付図を参照して説明する。
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、回路基板の表裏両面にシールド用の接地面(GNDプレーン)を形成したミリ波通信装置を実装する筐体構造として、該ミリ波通信装置の実運用状態において、運用中のRF(Radio Frequency:高周波)特性に影響を与えることなく、該ミリ波通信装置のRF特性に影響を及ぼす回路基板のシールド状態の変化を、回路基板の接地面と筐体(筐体カバーやシャーシ)の接地部との接触状態の変化として確実に把握するとともに、シールド状態の変化を示す該接触状態の変化を、より取扱いが容易な電気的な変化量に変換して抽出することを主要な特徴としている。
(本発明のミリ波通信装置筐体構造の構成例)
次に、本発明によるミリ波通信装置の筐体構造の実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明によるミリ波通信装置筐体構造の一例を説明するための斜視図であり、筐体の一部を削り取ってその内部構造の一例も示している。
図1に示すミリ波通信装置は、図8に示した従来のミリ波通信装置と略同様の構造からなっており、シャーシ5上に搭載した回路基板6を、シールド壁2を有する筐体カバー1で覆った状態で固定ネジ4によって固定し、回路基板6の表面に当接するシールド壁2によって機能ブロックごとに区分けしたシールド構造としている。また、図1には、固定ネジ4を挿入するネジ固定箇所4が配置される位置の中間に位置していて、回路基板6の接地面である回路基板GNDプレーン7とシールド壁2底面のカバー接地面15やシャーシ5内面のシャーシ面接地部8との接触が不安定となるシールド不安定域10について、筐体カバー1およびシールド壁2の一部を削り取って示している。
また、図2は、図1に示したミリ波通信装置のシールド不安定域10を拡大した拡大斜視図であり、ミリ波通信装置の運用状況において回路基板6のシールド状態を把握するために、本発明に特有の検知部9を当該シールド不安定域10に配置している例を示している。
つまり、図2に示すように、回路基板6の表裏両面にシールド用として形成した回路基板GNDプレーン7とシールド壁2底面のカバー接地面15およびシャーシ5内面のシャーシ面接地部8との間の接触状態を検知することができる検知部9を、当該ミリ波通信装置が実運用状態中であっても、当該ミリ波通信装置に要求されるRF特性に影響を与えない状態にして、回路基板6上に配設している。つまり、筐体カバー1に形成されたシールド壁2やシャーシ5との接触が不安定になる可能性があると想定されるシールド不安定域10にあって、かつ、シールド壁2の底面が当接する回路基板6上の領域内にあって、かつ、回路基板6の表面に形成された回路基板GNDプレーン7の面内にある任意の箇所に、検知部9として、シールド壁2やシャーシ5との接触状態を電気的な信号として検知することが可能なセンジング・パッドを配設することによって、対シールド壁2やシャーシ5との接触状態の変化を電気的な変化量(例えば静電容量または導通量の変化量)として観測するようにしている。
図3は、図2のミリ波通信装置のシールド不安定域10の断面構造を示す断面図であり、図2の線III−IIIを通り、回路基板6の表面に垂直な断面を矢印方向から視た場合の断面構造を示している。図3の断面図に示すように、シールド不安定域10における回路基板6の裏面側(図3における下側の面)の回路基板GNDプレーン7は、シャーシ5内面上に形成されているシャーシ面接地部8に接しており、一方、回路基板6の表面側(図3における上側の面)には、回路基板GNDプレーン7または回路基板6のシールド状態を把握するための検知部9が配置されていて、回路基板GNDプレーン7や検知部9に対向する位置には、筐体カバー1のシールド壁2に形成されているカバー接地面15が配置されていて、固定ネジによって固定した状態においては、互いに密着した状態になっている。
なお、検知部9は、ミリ波通信装置の機能ごとに区分けされている領域内において生じる可能性があるシールド不安定域10ごとに、それぞれ、配置されており、図3に示すように、回路基板6の接地面(回路基板GNDプレーン)とシールド壁2底面やシャーシ5の接地部との接触状態をより詳細に把握することを可能にするために、局所センジング・パッドa11と局所センジング・パッドb12とが対になって構成されている。また、回路基板6には、適宜、層間を電気的に接続するためのVia Hole14(ビア・ホール:メッキ穴)が穿設されており、層内の各面には電気的な接続を行うための内層配線16が配設されている。検知部9によって電気的な信号に変換されて検知されたシールド状態の変化は、内層配線16を介して、回路基板6のシールド状態の判定を行う回路部に出力される。
次に、検知部9の電気的な接続経路の一例を、図4を用いて説明する。図4は、図2のミリ波通信装置のシールド不安定域10ごとに配置した検知部9の電気的な接続ブロックからなるシールド状態検出回路の一例を示すブロック構成図である。検知部9は、前述したように、固定ネジ4を挿入するネジ固定箇所4の中間に位置している複数のシールド不安定域10ごとに、第1検知部91、第2検知部92、第3検知部93、…、第n検知部9nとして配置されており、第1検知部91、第2検知部92、第3検知部93、…、第n検知部9nそれぞれにおいて電気的な変化量(例えば静電容量や導電量の変化量)として検知された検知結果は、それぞれ、信号増幅・変換回路17に出力される。
信号増幅・変換回路17は、各検知部9ごとに対応して、第1増幅・変換回路171、第2増幅・変換回路172、第3増幅・変換回路173、…、第n増幅・変換回路17nが設けられており、対応する検知部9のそれぞれとは回路基板6内の内層配線によって接続されている。したがって、第1検知部91、第2検知部92、第3検知部93、…、第n検知部9nそれぞれから出力されてくる検知結果は、第1増幅・変換回路171、第2増幅・変換回路172、第3増幅・変換回路173、…、第n増幅・変換回路17nそれぞれにおいて増幅され、かつ、デジタル信号に変換される。
各信号増幅・変換回路17から出力された検知結果に関する変換信号は、AND/OR選択回路18において検出対象範囲に応じて適宜纏められる。しかる後、判定・運転制御・状態記録回路19において、回路基板6のシールド状態が判定されて、必要に応じて、当該ミリ波通信装置の運転状態を制御するための制御信号を出力するとともに、判定された回路基板6のシールド状態は記録保存され、異常状況を検知した場合には、その旨を保守者に対して通報する。
而して、異常RF特性要因となるシールド部位として筐体カバー1を固定する固定ネジ4の中間位置にあるシールド不安定域10内の任意の位置に、回路基板6のシールド状態を検知するための検知部9として局所センジング・パッドa11、局所センジング・パッドb12を配置することによって、回路基板6の場所別に、つまり、回路基板6の機能ブロックごとに、回路基板6の回路基板GNDプレーン7の形成面とシールド壁2底面やシャーシ5の接地部との間の接触状態または非接触状態を含む接触・接合状態を正確に把握することができる。なお、図4に示すAND/OR選択回路18において適宜切り替えて選択することによって、検知部9の検知結果を、それぞれの場所ごとの局所的なシールド状態を検知するように構成することもできるし、複数の検知部9の検知結果を連結させて、複数の場所を纏めてシールド状態を検知するように構成することもできるし、さらには、互いの検知部9の検知結果をすべて連結させて、回路基板6の全面的なシールド状態を検知するように構成することも可能である。
また、検知部9の各検知部それぞれの検知結果は、回路基板6内の配線によってそれぞれに対応する信号増幅・変換回路17の各回路部に入力されて、最終的には、判定・運転制御・状態記録回路19において、筐体シールド部の状態を当該ミリ波通信装置のRF特性とは異なる電気量の変化として捉えることになるので、かくのごときシールド状態検出回路は、ミリ波通信装置の本来のRF特性に影響を及ぼすことなく、シールド状態を検知することが可能になるという効果を齎すことができる。
なお、図3に示す検知部9を構成する局所センジング・パッドとしては、対向面の被検出体であるシールド壁2や筐体カバー1等を非導電性の物質で構成している場合には、少なくとも局所センジング・パッドa11、局所センジング・パッドb12からなる双極センジング・パッド構成とすることが必須であるが、対向面の被検出体であるシールド壁2や筐体カバー1を導電性の物質によって構成した場合には、双極センジング・パッド構成とする場合のみに限るものではなく、場合によっては、局所センジング・パッドa11、局所センジング・パッドb12のいずれか1つのみからなる単極センジング・パッド構成であっても構わない。
また、検知部9の各検知部における検知結果を、静電容量の変化量を示す数値として表現することによって、回路基板6とシールド壁2底面やシャーシ5との間の距離(間隔)や隙間に介在する異物の物性等を示す値として数値変換を行うことも可能である。また、回路基板6の接地面(回路基板GNDプレーン7)とシールド壁2底面やシャーシ5との接触の有無の検出動作のみに限定した場合には、静電容量の変化量を示す数値を用いる代わりに、直流電流の導通性の有無を示す'0'、'1'の2値のみの数値として表現することも可能であり、シールド状態を検知するシールド状態検出回路の回路構成を簡便な構成とすることが可能になる。
また、かくのごときシールド状態検出回路により得られた結果は、前述したように、回路基板6の機能ブロックごとの異常状況の発生の有無を把握することも可能であり、保守者に対してシールド不良アラームを発動する機能やミリ波通信装置としての動作を制限する機能等を追加する際に、有効に利用することができる。
なお、筐体カバー1を構成するシールド壁2と回路基板GNDプレーン7の形成面とは、材質が異なる場合がほとんどであり、両者の接触部においては、隙間腐食が発生し易い環境になっている。したがって、シールド状態検出回路にて、両者の接触部の隙間を観測することによって、隙間の発生を検知して、保守者に通報することにより、隙間腐食の発生を事前に防止し、シールド品質を効果的に維持することも可能である。
また、シールド状態検出回路の検知部9を除く各回路は、常時、回路基板内に設置して動作させておく必要性はなく、必要時のみに接続するような構成にして、シールド状態の測定が必要になった時点で、外付けによって一次的な運用を行うようにしても良い。かくのごとき外付け構成を採用することによって、ミリ波通信装置としての回路規模の削減を図ることが可能になる。
以上のように、図2に例示したような本発明におけるミリ波通信装置の筐体構造を採用することによって、従来の技術として図8や図9に示した場合とは異なり、ミリ波通信装置としての本来の動作状態において、異常RF特性を誘発させる要因となる回路基板6のシールド状態の変化を検知することを可能にするとともに、回路基板6の接地面(回路基板GNDプレーン7)とシールド壁2底面やシャーシ5内面の接地部(カバー接地面15やシャーシ面接地部8)との間の隙間の発生部位を確実に検出したり、接触・接合欠陥の発生部位を確実に抽出したりすることができる。
なお、本実施形態においては、シールド状況を把握すべき回路基板6は表裏両面に接地面を形成した1枚の多層基板として形成した例を示した。しかし、従来技術として図9に示したように、回路基板として、主回路基板と副回路基板との階層構成によって構成することももちろん可能である。つまり、図2に示した検知部9として静電容量の変化を検知する回路素子を用いることよって、主回路基板上に実装された副回路基板との貼合わせ面における接触・接合状況の検出のみならず、対絶縁材貼合わせ面の部位における接触・接合状況の検出等においても、全く同様に構成することが可能である。さらに、電気的な回路機能として、図4に示すシールド状態検出回路のような回路構成を用いて、静電容量の変化という電気的な検出結果を、判定・運転制御・状態記憶回路19において判定することによって、接触・接合状況の異常時には、ミリ波通信装置の運用停止等の制御を行うことも可能である。
(本発明のミリ波通信装置の動作例)
次に、図1ないし図4に一例として示した本発明のミリ波通信装置の動作例について、さらに詳細に説明する。
本実施形態におけるミリ波通信装置においては、図3の断面図に示したように、要求RF特性(要求高周波特性)に影響を及ぼす回路機能について、各機能ブロックごとに、筐体カバー1やシャーシ5との接触部位となる回路基板6の回路基板GNDプレーン7の面内の任意の箇所に、本来の動作上における接地効果に影響を与えない形式で、回路基板6のシールド状態を検知するための検知部9として、局所センジング・パッドa11および局所センジング・パッドb12を配置している。
すなわち、回路基板6との間に隙間13が生じて要求RF特性に影響を及ぼす可能性があるシールド不安定域10であって、かつ、シールド壁2の底面が当接する回路基板6上の領域内であって、かつ、回路基板6上の回路基板GNDプレーン7の形成面と同じ面内にある任意の場所に、検知部9として、局所センジング・パッドa11および局所センジング・パッドb12を配置している。
而して、局所センジング・パッドa11および局所センジング・パッドb12からなる検知部9を備えたシールド状態検出回路において、回路基板6とシールド壁2やシャーシ5との間の隙間の有無の検出、隙間がある場合には隙間量(間隔)の変化の検出、さらには、発生した隙間への異物の侵入、腐食変質の発生等による状態の変化の検出も含め、回路基板6のシールド状態の変化を検出した結果として、図4に示したように、静電容量の変化や導電・絶縁量の変化等の、取扱いがより容易な電気的な変化量に置き換えて検出することを可能にしている。
なお、外的要因により筐体カバー1およびシャーシ5に発生する接触不良の発生周期は、一般に、ミリ波通信装置にて送受信する信号の周波数帯域(RF帯)における周期に比して、極めて長い(つまり周波数が極めて低い)ことから、図4のシールド状態検出回路による回路基板6のシールド状態の検出機能としては、十分の性能が得られているものと看做すことができる。したがって、ミリ波通信装置の実運用状態であっても、実運用中の信号特性に何ら影響を与えることなく、回路基板6のシールド状態、すなわち、筐体カバー1のシールド壁2やシャーシ5との間の接触状態を、回路基板6の各機能ブロックの局所ごとに、または、複数の箇所を纏めた状態で観測することができ、シールド異常の発生箇所の場所ごとのミリ波通信装置の挙動や対外乱耐性やRF特性への影響、さらには、その関連性等をより正確に掌握することができる。
なお、シールド状況を局部的に捉える検知部9について、局所検知部として回路基板6の接地面がシールド壁2やシャーシ5の接地部と接触していない状態が発生しているか否かを検知すれば十分である場合には、シールド状態の検知用として回路基板6に配線する本数を1本の配線のみで構成することができ、内層配線数を、図8のような従来の仕様から大きく変更する必要はなく、より簡便かつ小型化が可能な状態で、本来の回路基板6に対するシールド性能を確実に確保することも可能になる。
また、図4にて説明したように、局所センジング・パッドa11および局所センジング・パッドb12からなる検知部9を任意の箇所に複数配置することによって、場所毎の挙動も捉えることもでき、さらには、総合的に、全ての検知部9の検知結果を纏めて判定を行うことも可能である。また、回路基板6のシールド状態の変化を電気的な変化量として捉えた結果は、評価・検証時に活用するのみならず、フェイル・セーフ機能等や、あるいは、筐体カバー1の固定ネジ4の固定異常によるシールド異常検出等にも応用することができ、シールド欠陥状態に陥る初期段階である隙間腐食現象についても、逸早く検出することを可能にしている。
(実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本実施形態においては、次のような効果が得られる。
第1の効果は、実運用状態であっても、実運用のRF特性に影響を与えることなく、環境等の外乱により、RF特性(高周波特性)に影響を及ぼすシールド状態の変化を、回路基板6の接地面部(回路基板GNDプレーン7)と筐体カバー1やシャーシ5の接地部(カバー接地面15やシャーシ面接地部8)との接触状態の変化として捉えるとともに、筐体カバー1やシャーシ5の接地部との接触状態の変化を、取り扱いが簡便な電気的な変化量に置換することにより、より正確に把握することを可能としていることにある。
第2の効果は、機能ブロック毎のシールドを行うために筐体カバー1に形成されたシールド壁2の底面が当接する領域内にあり、かつ、回路基板6上の接地面部(回路基板GNDプレーン7)の面内にある任意の箇所に配置した検知部9(局所センジング・パッドa11、局所センジング・パッドb12)を、回路基板6の接地面部(回路基板GNDプレーン7)と筐体カバー1やシャーシ5の接地部(カバー接地面15やシャーシ面接地部8)との接触状態の変化を電気的な変化量(例えば静電容量の変化量や導電量の変化)として検知する検知素子を用いて構成することによって、小型化が可能で、かつ、簡便な回路により、隙間の検出、接触・接合欠陥等のRF特性に影響を及ぼすシールド状態の異常を確実に抽出することを可能にしていることにある。
第3の効果は、第1の効果および第2の効果の相乗効果により、ミリ波通信装置の運用状態においても、回路基板6のシールド状態を、機能ブロックごとに区分けした任意の局所ごとにまたは総合的に把握することを可能にしていることにある。
なお、一般に、静電容量計測は、市販ICにより容易に実現することができるが、本発明においては、さらに、シールド面の接触状態の良否の検出のみに限定する場合には、'0'、'1'の2値のみを示す直流分の導電性の有無を指標とすることにより、より簡便な回路として構成することも可能である。
(本発明の他の実施形態)
次に、本発明の他の実施形態として図1、図2とは異なるミリ波通信装置筐体構造の例について説明する。図5は、図1に示したミリ波通信装置のシールド不安定域10を拡大した他の例を示す拡大斜視図であり、ミリ波通信装置の運用状況において、回路基板6のシールド状態を把握するために、当該シールド不安定域10に配置している検知部9の図2とは異なる配置例を示している。また、図6は、図5のミリ波通信装置のシールド不安定域10の断面構造を示す断面図であり、図5の線IV−IVを通り、回路基板6の表面に垂直な断面を矢印方向から視た場合の断面構造を示している。
本実施形態においては、図6の断面図に示すように、回路基板6は、図3の場合とは異なり、熱拡散および組立性のためにシャーシ5上にベース・プレート29が取り付けられており、回路基板6は、該ベース・プレート29に基板固定ネジ30により組み付けられている。回路基板6の表面側(図6の上面側)は、キャビティ25を介して、シールド壁2を有する筐体カバー1によって覆われている。ここで、回路基板6の表面側(図3における上側の面)には、図示していないが、図3の場合と同様、回路基板GNDプレーン7または回路基板6のシールド状態を把握するための検知部9が配置されていて、対向する位置には、筐体カバー1のシールド壁2に形成されているカバー接地面15が配置されて、固定ネジによりネジ留めして固定した状態では、回路基板GNDプレーン7とカバー接地面15とは互いに密着した状態になっている。その結果、回路基板6の回路基板GNDプレーン7とシールド壁2のカバー接地面15とが接触して、回路基板6の表面側(図6の上面側)の回路基板GNDプレーン7を接地した状態にしている。
一方、回路基板6の裏面側(図6の下面側)については、回路基板6の裏面側(図6の下面側)に形成しているベース・プレート接触面31とベース・プレート29とを密着させ、さらに、該ベース・プレート29をシャーシ5に形成されているシャーシ面接地部8に密着させるようにして、回路基板6の裏面側(図6の下面側)のベース・プレート接触面31を接地するという構造としている。
ここで、図6に示すように、ベース・プレート29上に、はんだ付け部品26をはんだ21によって取り付けた場合、はんだ21の溶融時に、キャピラリ(capillary:毛管現象)効果によって、はんだ21のフラックス28が回路基板6の裏面側とベース・プレート29との僅かな隙間13の中にまで浸透してしまって、該隙間13に意図していなかったフラックス充填域が形成されてしまう可能性がある。
この結果、筐体カバー1を固定ネジ4によってシャーシ5側へ押さえ付けて、シールド構造を形成しようとしているものの、図8において説明したようなSMDデバイスをはんだ付けした際の熱応力によって生じる回路基板6とベース・プレート29との間の隙間13や回路基板6とシールド壁2との間の隙間13等の他にも、フラックス充填域を形成した隙間13等も含め、回路基板6の接地面(ベース・プレート接地面31、回路基板GNDプレーン7)として完璧に機能することができず、固定的な欠陥のみならず、シールドが不安定な箇所も多数発生してしまう可能性がある。
したがって、図5に示すように、シールド不完全域10の任意の場所に、シールド状態を検知するための検知部9を配置することによって、図1や図2の場合と同様、かくのごとき回路基板6の接地面における固定的な欠陥の有無を検知するのみならず、時間的なシールド状態の変動・挙動の監視結果を電気的な変化量に置換した結果に基づいて、回路基板6の接地面が安定して完全に接地されているか否かを示す安定性・不安定性に関しても検知することを可能にしている。なお、電気的な変化量に基づいてミリ波通信装置のシールド状態を判定することにより、たとえ、物理的な接地が不完全な状態にあったとしても、ミリ波通信装置の電気的な回路動作として接地状態が安定しているという判定結果が得られてさえいれば、ミリ波通信装置が送受信する信号のRF特性としても、実用可能な安定性が得られているものと看做すことができるという効果も合わせて得られる。
また、図2や図5に示すように、検知部9を、接地用のVia Holeの配置状態を他の領域における配置状態と全く同様に行うことを可能にしつつ、カバー接地面15を備えたシールド壁2が配置されている領域内に収まるように形成しているので、回路基板6のシールド状態(接地状態)を脆弱化させることなく、ミリ波通信装置のRF特性には影響を及ぼすことはない。
仮に、検知部9を構成する局所センジング・パッドa11や局所センジング・パッドb12が、シールド壁2からはみ出した領域に形成されていると、検知部9が本来は接地面部であるにもかかわらず、ミリ波通信装置においては、検知部9の局所センジング・パッドa11や局所センジング・パッドb12の回路パターンがスタブ化、アンテナ化した状態になり、本来の運用におけるRF特性に意図せぬ影響を与える可能性が高くなってしまう。図2や図5に示す検知部9においては、接地面の構造を崩すことなく形成しているので、かくのごとき悪影響の発生を完全に防止することができる。
なお、前述までの説明においては、シールド状態が不安定になる隙間13が、回路基板6の表面、裏面と垂直な方向(図8や図9の上下方向:ここではz軸方向と称することにする)に回路基板6が浮き上がることによって発生する場合について説明してきた。しかし、本発明においては、かかるz軸方向への回路基板6の浮き上がりによる隙間13の発生に限るものではなく、如何なる方向への移動によって発生した隙間13についても、図2や図5に示したような検知部9を配置することによって検知することが可能であり、隙間13の存在に基づいて発生するシールド状態の不安定を検知することを可能にすることができる。
例えば、図7A(b)に示すように、回路基板6の表面側(図の上面側)に配置されているシールド壁2が回路基板6に対してz軸方向に上下に移動した場合であっても、図7B(c)に示すように、シールド壁2が回路基板6に対してx軸方向またはy軸方向に横に移動した場合であっても、あるいは、図7B(d)に示すように、シールド壁2が回路基板6に対して倒れるようにx、y、z軸の複合した方向に傾いた場合であっても、検知部9によってシールド状態の不安定を検知することが可能である。
ここに、図7A(a),(b)及び図7B(c),(d)は、図5のミリ波通信装置の筐体カバー1に形成されたシールド壁2が回路基板6に対して移動する様子を説明するための断面図であり、図5の線IV−IVを通り、回路基板6の表面に垂直な断面を矢印方向から視た場合の断面構造を示している。なお、図7A(a)は、図5のミリ波通信装置のシールド壁2が回路基板6に対して移動していない正常な状態にあった場合を示しており、検知部9を構成する局所センジング・パッドa11および局所センジング・パッドb12は、いずれも、シールド壁2の領域内に収まっている。図7A(b)は、図5のミリ波通信装置のシールド壁2が回路基板6に対してz軸方向に移動した場合を示しており、シールド壁2との間に隙間が生じていることを局所センジング・パッドa11および局所センジング・パッドb12の双方で検知することが可能である。
また、図7B(c)は、前述のように、図5のミリ波通信装置のシールド壁2が回路基板6に対してx軸方向またはy軸方向またはx、y軸の両方向に移動した場合を示しており、検知部9を構成する局所センジング・パッドa11および局所センジング・パッドb12のうち、局所センジング・パッドb12は、シールド壁2の領域内からはみ出すものの、局所センジング・パッドa11は、シールド壁2の領域内に収まっており、シールド壁2との位置関係にずれが発生していることを検知することが可能である。なお、x軸、y軸のいずれの方向にずれた場合であっても、その移動を検知することを可能とするために、図5に示すように、局所センジング・パッドa11と局所センジング・パッドb12との位置関係を、図2の場合のように互いに平行な位置に配置するのではなく、対角線方向にずらして配置するようにしている。
また、図7B(d)は、前述のように、図5のミリ波通信装置のシールド壁2が回路基板6に対して傾いた場合を示しており、検知部9を構成する局所センジング・パッドa11および局所センジング・パッドb12のうち、局所センジング・パッドa11はシールド壁2との隙間が拡大したことを検知し、局所センジング・パッドb12はシールド壁2との隙間が逆に狭まったことを検知し、シールド壁2との位置関係が傾いた状態にあることを検知することが可能である。
つまり、回路基板の各シールド不安定域10の任意の場所に検知部9として配置した局所センジング・パッドa11、局所センジング・パッドb12の検出結果を電気的な変化量に変換して適宜組み合わせることによって、シールド壁2のz軸方向への浮き量(z)、xy軸方向への横ズレ(x、y)、傾き度合い(θ)、それぞれの時間的な変動量(変化・挙動)を検出することが可能であり、従来技術に比して、より正確な状態把握機能を実現することが可能になっている。
なお、以上の検知部9の検知結果を示す電気信号としては、動作説明上、DC(直流)信号としていたが、DC信号を用いた場合、GND接地面となる接合部位において、異種金属間接触におけるガルバーニ電池が形成されたり、DC印加(常時通電)による金属マイグレーションが促進されたりするという懸念も否定することができない。したがって、実際の運用においては、AC(交流)成分も併用した(AC+DC)信号を用いることが望ましい。
以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、かかる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。
1 筐体カバー
2 シールド壁
3 ネジ固定箇所
4 固定ネジ
5 シャーシ
6 回路基板
7 回路基板GNDプレーン
8 シャーシ面接地部
9 検知部
10 シールド不安定域
11 局所センジング・パッドa
12 局所センジング・パッドb
13 隙間(浮き)
14 Via Hole
15 カバー接地面
16 内層配線
17 信号増幅・変換回路
18 AND/OR・選択回路
19 判定・運転制御・状態記録回路
20 SMDデバイス
21 はんだ
22 主回路基板
23 副回路基板
24 はんだ接続欠陥域
25 キャビティ
26 はんだ付け部品
28 フラックス
29 ベース・プレート
30 基板固定ネジ
31 ベース・プレート接触面
91 第1検知部
92 第2検知部
93 第3検知部
9n 第n検知部
171 第1増幅・変換回路
172 第2増幅・変換回路
173 第3増幅・変換回路
17n 第n増幅・変換回路

Claims (10)

  1. 表裏両面に接地面部が形成された回路基板を、機能ブロックごとに区分けしてシールドするためのシールド壁が形成されている筐体カバーを備え、該筐体カバーを、前記回路基板を搭載したシャーシまたはベース・プレートに取り付けられた状態の前記回路基板を搭載したシャーシに固定ネジで固定した際に、前記シールド壁の底面および前記シャーシの内面にそれぞれ形成されている接地部が前記回路基板の表裏両面に形成された前記接地面部に接触することによって、前記回路基板のシールド状態を実現するミリ波通信装置実装構造であって、前記シールド壁の底面に形成された前記接地部が当接する前記回路基板上の領域内にあり、かつ、前記回路基板上に形成された前記接地面部の面内にある任意の場所に、前記回路基板の前記接地面部と前記シールド壁および前記シャーシそれぞれに形成された前記接地部との接触状態の変化を検知して、電気的な信号の変化量に変換して出力する検知部が配設されていることを特徴とするミリ波通信装置実装構造。
  2. 前記検知部は、前記回路基板の前記接地面部と前記シールド壁および前記シャーシそれぞれの前記接地部との接触状態が不安定になる可能性があるシールド不安定領域内の前記回路基板上に配設されていることを特徴とする請求項1に記載のミリ波通信装置実装構造。
  3. 前記検知部は、局所ごとの前記回路基板の前記接地面部と前記シールド壁および前記シャーシそれぞれの前記接地部との接触状態の変化を電気的な信号の変化量として検知する局所センジング・パッドを対にした双極構成とするか、または、前記局所センジング・パッド1個のみの単極構成として、前記回路基板上の1ないし複数の場所にそれぞれ配設されていることを特徴とする請求項1または2に記載のミリ波通信装置実装構造。
  4. 前記検知部が変換して出力する電気的な信号の変化量として、前記回路基板の前記接地面部と前記シールド壁および前記シャーシそれぞれの前記接地部との接触状態の変化を、静電容量の容量値の変化または電気的な導電量の変化のいずれかに変換して出力することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のミリ波通信装置実装構造。
  5. 前記回路基板上に前記検知部が複数配設されている場合、各前記検知部それぞれから出力される電気的な信号の変化量に基づいて、各前記検知部の配設箇所における局所的なシールド状態を判別するか、または、適宜選択した複数の前記検知部の配設場所を纏めたシールド状態を判別するか、または、複数の前記検知部すべてを統合した全面的なシールド状態を判別するかのいずれを切り替えて選択する選択手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のミリ波通信装置実装構造。
  6. 表裏両面に接地面部が形成された回路基板を、機能ブロックごとに区分けしてシールドするためのシールド壁が形成されている筐体カバーを備え、該筐体カバーを、前記回路基板を搭載したシャーシまたはベース・プレートに取り付けられた状態の前記回路基板を搭載したシャーシに固定ネジで固定した際に、前記シールド壁の底面および前記シャーシの内面にそれぞれ形成されている接地部が前記回路基板の表裏両面に形成された前記接地面部に接触することによって、前記回路基板のシールド状態を実現するミリ波通信装置実装構造におけるシールド状態を検知するためのシールド状態検知方法であって、前記シールド壁の底面に形成された前記接地部が当接する前記回路基板上の領域内にあり、かつ、前記回路基板上に形成された前記接地面部の面内にある任意の場所に、前記回路基板の前記接地面部と前記シールド壁および前記シャーシそれぞれに形成された前記接地部との接触状態の変化を検知して、電気的な信号の変化量に変換して出力する検知部が配設されており、該検知部が出力する電気的な信号の変化量を用いて、前記回路基板のシールド状態の変化を判別することを特徴とするシールド状態検知方法。
  7. 前記検知部は、前記回路基板の前記接地面部と前記シールド壁および前記シャーシそれぞれの前記接地部との接触状態が不安定になる可能性があるシールド不安定領域内の前記回路基板上に配設されていることを特徴とする請求項6に記載のシールド状態検知方法。
  8. 前記検知部は、局所ごとの前記回路基板の前記接地面部と前記シールド壁および前記シャーシそれぞれの前記接地部との接触状態の変化を電気的な信号の変化量として検知する局所センジング・パッドを対にした双極構成とするか、または、前記局所センジング・パッド1個のみの単極構成として、前記回路基板上の1ないし複数の場所にそれぞれ配設されていることを特徴とする請求項6または7に記載のシールド状態検知方法。
  9. 前記検知部が変換して出力する電気的な信号の変化量として、前記回路基板の前記接地面部と前記シールド壁および前記シャーシそれぞれの前記接地部との接触状態の変化を、静電容量の容量値の変化または電気的な導電量の変化のいずれかに変換して出力することを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載のシールド状態検知方法。
  10. 前記回路基板上に前記検知部が複数配設されている場合、各前記検知部それぞれから出力される電気的な信号の変化量に基づいて、各前記検知部の配設箇所における局所的なシールド状態を判別するか、または、適宜選択した複数の前記検知部の配設場所を纏めたシールド状態を判別するか、または、複数の前記検知部すべてを統合した全面的なシールド状態を判別するかのいずれを切り替えて選択する選択ステップを有していることを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載のシールド状態検知方法。
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