JP2012233550A - ボール型等速ジョイント - Google Patents
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Abstract
【課題】ボール型等速ジョイントを車両に組み付ける際のボールの飛び出し等を防止でき、軽量化を実現することができるボール型等速ジョイントを提供する。
【解決手段】本発明のボール型等速ジョイントは、外輪20が、各外輪ボール溝23の一部が形成された第一外輪部材201と、各外輪ボール溝23の残りが形成された第二外輪部材202と、を備え、第一外輪部材201の外輪ボール溝23aは、ジョイント角が0°から最大作動角θ1まで変化した際のボール40の転動範囲を含み、第二外輪部材202の外輪ボール溝23bは、ジョイント角が最大作動角θ1を超えた角度から最大組付角θ2まで変化した際に、ボール40が転動可能となるように形成され、第二外輪部材202の単位体積当りの質量は、第一外輪部材201の単位体積当りの質量よりも小さいことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、車両の駆動力伝達軸部に使用されるボール型等速ジョイントに関する。
従来のボール型等速ジョイントとしては、例えば特開平3−113124号公報(特許文献1)などに記載されているものが知られている。外輪の軸線と内輪の軸線の交差角度をジョイント角とすると、トルク伝達時に必要となるジョイント角の最大値(最大作動角)は、例えばボール型等速ジョイントが設置される箇所によって異なる。例えば、フロント側に設置されるボール型等速ジョイントは、前輪の操舵に対応して大きな最大作動角(45°〜50°程度)が必要になるのに対して、リヤ側に設置されるボール型等速ジョイントは、後輪の操舵が全く無いか有っても非常に小さいことから、最大作動角はおよそ20°程度である。リヤ側の最大作動角はフロント側の最大作動角よりも小さいため、フロント側のボール型等速ジョイントと同一仕様のものをリヤ側に転用することが可能となる。
また、ボール型等速ジョイントを車両に組み付ける際には、ジョイント角をフロント側の最大作動角程度(50°程度)とることとなる。つまり、フロント側のボール型等速ジョイントは、組み付ける際に必要なジョイント角の最大値(最大組付角)と最大作動角とがほぼ等しい。フロント用として製造されたボール型等速ジョイントは、最大作動角でトルク伝達可能に設計されており、最大組付角をとった際でもボールの飛び出し等は防止される。
しかしながら、フロント側と最大作動角が異なる例えばリヤ側のボール型等速ジョイントに、フロント側と同一仕様のものを用いるだけでは、車両の軽量化を図ることは困難である。
また一方で、ボール型等速ジョイントを車両に組み付ける際に、ブーツ内において、ボールが外輪または保持器から飛び出したり、ボールが外輪に対してロックしたりすることを防止することが求められている。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、最大作動角と最大組付角が異なるボール型等速ジョイントにおいて、ボール型等速ジョイントを車両に組み付ける際のボールの飛び出し等を防止できるとともに、軽量化を実現することができるボール型等速ジョイントを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、軸方向一方に開口部を備える筒状に形成され、内周面に外輪ボール溝が複数形成された外輪と、前記外輪の内側に配置され、外周面に内輪ボール溝が複数形成された内輪と、それぞれの前記外輪ボール溝および前記内輪ボール溝を転動し、前記外輪と前記内輪との間でトルクを伝達する複数のボールと、環状に形成され、前記外輪と前記内輪との間に配置され、周方向に前記ボールをそれぞれ収容する複数の窓部が形成された保持器と、前記外輪の開口部を覆ってシールするブーツと、を備えるボール型等速ジョイントにおいて、前記ボール型等速ジョイントは、前記外輪の軸線と前記内輪の軸線との交差角度をジョイント角とし、トルク伝達時に必要となる前記ジョイント角の最大値を最大作動角とし、前記ボール型等速ジョイントを車両に組み付ける際に必要となる前記ジョイント角の最大値を最大組付角とすると、前記最大組付角が前記最大作動角よりも大きいボール型等速ジョイントであって、前記外輪は、各前記外輪ボール溝の一部が形成された第一外輪部材と、前記第一外輪部材から軸方向一方に延び、各前記外輪ボール溝の残りが形成された第二外輪部材と、を備え、前記第一外輪部材の外輪ボール溝は、前記ジョイント角が0°から前記最大作動角まで変化した際の前記ボールの転動範囲を含み、前記第二外輪部材の外輪ボール溝は、前記ジョイント角が前記最大作動角を超えた角度から前記最大組付角まで変化した際に、前記ボールが転動可能となるように形成され、前記第二外輪部材の単位体積当りの質量は、前記第一外輪部材の単位体積当りの質量よりも小さいことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記ブーツは、前記第一外輪部材に固定され、前記第二外輪部材は、前記ブーツと一体的に形成されていることを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、組み付け作業時に、ジョイント角を最大組付角とした場合でも、第二外輪部材の外輪ボール溝がボールを転動可能に形成されているため、ボールの外輪外への飛び出し等を防止することができる。そして、第二外輪部材の単位体積当りの質量が第一外輪部材の単位体積当りの質量よりも小さいことから、軽量化が可能となる。すなわち、請求項1に係る発明によれば、組み付け時のボールの飛び出し等を防止しつつ、軽量化を実現することができる。
請求項2に係る発明によれば、組み付け時の部品点数を減らすことが可能となる。
本実施形態のボール型等速ジョイント10(以下、単に「等速ジョイント」と称す)の構成について、図1〜図3を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る等速ジョイント10の所定角度のジョイント角θをとった状態の軸方向断面図である。図2は、外輪20内を省略して表した等速ジョイント10の軸方向断面図である。図3は、第二外輪部材202を軸方向から見た模式図である。なお、説明上、一部図面の上下左右の寸法を適宜拡大・縮小して表現する。
以下の説明において、外輪20の開口側とは、図1の左側を意味し、外輪20の奥側とは、図1の右側を意味する。また、図1において、ブーツ70は一部省略して表されている。また、ジョイント角θとは、外輪20の軸線L1と内輪30の軸線L2との交差角度を意味する。そして、トルク伝達時に必要となるジョイント角θの最大値を最大作動角θ1と称し、等速ジョイント10を車両に組み付ける際に必要となるジョイント角θの最大値を最大組付角θ2と称する。
本実施形態の等速ジョイント10は、図1に示すように、ジョイント中心固定式ボール型等速ジョイント(「ツェッパ形等速ジョイント」とも称す)であって、車両のリヤ用ドライブシャフトのアウタボードジョイントとして好適に使用されるものである。そのため、等速ジョイント10のトルク伝達可能なジョイント角θは、0〜20°前後の小さい角度範囲となるように設定されている。つまり、等速ジョイント10の最大作動角θ1は、およそ20°である。また、リヤ用の等速ジョイントであっても、車両への組み付け時には、ジョイント角θを50°程度にする必要がある。つまり、等速ジョイント10の最大組付角θ2は、およそ50°である。
等速ジョイント10は、複数の外輪ボール溝23を有する外輪20と、複数の内輪ボール溝32を有する内輪30と、複数のボール40と、保持器50と、シャフト60と、ブーツ70と、から構成されている。以下、各構成部品について詳細に説明する。
外輪20は、図1の左側(本発明の「軸方向一方側」に相当)に開口部を備えるカップ状(有底筒状)に形成されている。この外輪20のカップ底部の外方(図1の右側)には、連結軸21が外輪軸方向に延びるように一体形成されている。この連結軸21は、他の動力伝達軸に連結される。外輪20の内周面は、凹球面状に形成されている。具体的には、外輪20の凹球面状内周面22は、外輪軸線L1と内輪軸線L2との交点Oを曲率中心として描かれる球面の一部により形成されており、外輪軸方向に切断した断面で見た場合に凹円弧状に形成されている。
さらに、外輪20の内周面には、外輪軸直交方向断面が凹円弧状の複数の外輪ボール溝23が、ほぼ外輪軸方向に延びるように形成されている。これら複数(本実施形態では6本)の外輪ボール溝23は、径方向に切断した断面で見た場合(図3参照)に、周方向に等間隔(本実施形態においては60度間隔)に形成されている。ここで、外輪軸方向とは、外輪20の中心軸を通る方向、すなわち、外輪20の回転軸方向を意味する。外輪20の詳細については後述する。
内輪30は、環状に形成され、外輪20の内側に配置されている。この内輪30の外周面31は、凸球面状に形成されている。具体的には、内輪30の凸球面状外周面31は、外輪軸線L1と内輪軸線L2との交点Oを曲率中心として描かれる球面の一部により形成されており、内輪軸方向に切断した断面で見た場合に凸円弧状に形成されている。
また、内輪30の外周面には、内輪軸直交方向断面がほぼ円弧凹状の複数の内輪ボール溝32が、ほぼ内輪軸方向に延びるように形成されている。これら複数(本実施形態では6本)の内輪ボール溝32は、径方向に切断した断面で見た場合に、周方向に等間隔(本実施形態では60度間隔)に、且つ、外輪20に形成される外輪ボール溝23と同数形成されている。つまり、それぞれの内輪ボール溝32が、外輪20のそれぞれの外輪ボール溝23に対向するように位置する。また、内輪30の内周面には、内輪軸方向に延びる内歯スプライン35が形成されている。この内歯スプライン35は、シャフト60の外歯スプラインに嵌合(噛合)されている。ここで、内輪軸方向とは、内輪30の中心軸を通る方向、すなわち、内輪30の回転軸方向を意味する。
複数のボール40は、それぞれ、外輪20の外輪ボール溝23と、当該外輪ボール溝23に対向する内輪30の内輪ボール溝32に挟まれるように配置されている。そして、それぞれのボール40は、それぞれの外輪ボール溝23およびそれぞれの内輪ボール溝32に対して、転動自在で周方向(外輪軸回りまたは内輪軸回り)に係合している。従って、ボール40は、外輪20と内輪30との間でトルクを伝達する。
保持器50は、環状に形成されている。この保持器50の外周面51は、外輪20の凹球面状内周面22にほぼ対応する部分球面状、すなわち凸球面状に形成されている。一方、保持器50の内周面52は、内輪30の凸球面状外周面31にほぼ対応する部分球面状、すなわち凹球面状に形成されている。この保持器50は、外輪20の凹球面状内周面22と内輪30の凸球面状外周面31との間に配置されている。この保持器50は、周方向(保持器軸心の周方向)に等間隔に配置された、ほぼ矩形の貫通孔である複数の窓部53を有する。保持器50の窓部53は、ボール40と同数形成されている。そして、それぞれの窓部53に、ボール40が1つずつ収容されている。
ブーツ70は、外輪20の開口部を覆ってシールする部材である。ブーツ70は、図2に示すように、蛇腹筒状に一体形成されている。ブーツ70は、合成樹脂やゴムなどを用いて、ブロー成形、射出成形などの公知の成形方法により成形される。なお、合成樹脂としては、例えば、TPE(ポリエステル系熱可塑性エラストマー)、TPO(ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー)などの熱可塑性樹脂が用いられる。
ブーツ70の右端部(軸方向他方側)は、クランプ部材71により、外輪20開口端部側の外周面に締め付け固定されている。ブーツ70の左端部(軸方向一方側)は、クランプ部材72により、シャフト60の外周面に締め付け固定されている。つまり、ブーツ70は、外輪20の開口部とシャフト60との間を覆蓋して、外輪20の内部を密封している。そして、この外輪20の内部には、グリースなどの潤滑剤が充填されている。
(外輪20の詳細)
ここで、外輪20の詳細について説明する。外輪20は、第一外輪部材201と、第二外輪部材202と、から構成されている。第一外輪部材201は、カップ状であって、外輪20の右側(軸方向他方)部位を構成している。第一外輪部材201の内周面には、各外輪ボール溝23の一部(右側部分)23aが形成されている。第一外輪部材202は、鉄鋼で形成されている。
ここで、外輪20の詳細について説明する。外輪20は、第一外輪部材201と、第二外輪部材202と、から構成されている。第一外輪部材201は、カップ状であって、外輪20の右側(軸方向他方)部位を構成している。第一外輪部材201の内周面には、各外輪ボール溝23の一部(右側部分)23aが形成されている。第一外輪部材202は、鉄鋼で形成されている。
第二外輪部材202は、外輪20の左側部位を構成している。第二外輪部材202は、筒状であって、第一外輪部材201左端面から左側(軸方向一方)に延びている。第二外輪部材202の内周面には、図1〜図3に示すように、各外輪ボール溝23の残り(左側部分)23bが形成されている。
つまり、第二外輪部材202の外輪ボール溝23b(以下、「第二外輪ボール溝23b」と称する)は、外輪ボール溝23全体から第一外輪部材201の外輪ボール溝23a(以下、「第一外輪ボール溝23a」と称する)を除いた残りの部分を構成している。第二外輪ボール溝23bは、第一外輪ボール溝23aから連続的に延びている。このように、外輪ボール溝23は、第一外輪ボール溝23aと第二外輪ボール溝23bにより構成されている。
第二外輪部材202は、樹脂で形成されている。樹脂の比重は、鉄鋼の比重よりも小さい。つまり、第二外輪部材202の単位体積当りの質量は、第一外輪部材201の単位体積当りの質量よりも小さい。なお、第二外輪部材202の軸方向他端面には、軸方向他方に突出する複数の凸部202a(図4参照)を周方向(軸線L1の周方向)に均等に設けられている。凸部202aは、第一外輪部材201の軸方向一端面に凸部202aに対応して形成された凹部(図示せず)に圧入されている。第一外輪部材201と第二外輪部材202は、凸部202aと凹部が嵌合して組み付けられている。
ここで、第一外輪ボール溝23aは、ジョイント角θが0°から最大作動角θ1まで変化した際のボール40の転動範囲(以下、「作動転動範囲」と称する)を含むよう形成されている。「外輪ボール溝23がボール40の転動範囲を含む」とは、当該転動範囲において、各ボール40と各外輪ボール溝23が周方向(トルク伝達方向)に係合することを意味する。作動転動範囲は、トルク伝達可能な範囲である。
ここで、軸線L1と軸線L2の交点Oおよびボール40の中心Pを通る直線OPが、外輪20の上側内周面と交わる点を交点Qとする。また、交点Oを含み軸線L1に直交する平面を平面Fとする。外輪ボール溝23上における作動転動範囲の左端(軸方向他端)は、図1に示すように、直線OPと平面Fとの為す角がθ1/2(およそ10°)となるように、直線OPを交点O中心に(交点Oを通り紙面に直交する軸を中心に)反時計回りに傾けた際の交点Qの位置(以下、「交点Q1」と称する)となる。
本実施形態において、第一外輪ボール溝23aの左端は、作動転動範囲の左端、すなわち交点Q1の位置に設定されている。第一外輪部材201の左端面は、平面Fに平行で且つ交点Q1を含む平面状に形成されている。第一外輪部材201の右端は、外輪20の右端に相当する。
第二外輪ボール溝23bは、ジョイント角θが最大作動角θ1を超えた角度から最大組付角θ2まで変化した際に、ボール40が転動可能となるように形成されている。ボールが転動可能とは、転動範囲同様、各ボール40と各外輪ボール溝23とが周方向に係合することを意味する。
第二外輪ボール溝23bの左端は、おおよそ、直線OPと平面Fとの為す角がθ2/2(およそ25°)となるように、直線OPを交点O中心に(交点Oを通り紙面に直交する軸を中心に)反時計回りに傾けた際の交点Qの位置(以下、「交点Q2」と称する)となる。この第二外輪ボール溝23bは、第一外輪ボール溝23aの左端から連続的に延びている。
このように、第二外輪ボール溝23bは、外輪20の左側における、ジョイント角θが最大作動角θ1を超えた角度から最大組付角θ2まで変化した際のボール40の転動範囲を含んでいる。第二外輪部材202は、軸方向において、交点Q1位置から交点Q2位置の若干左側位置まで延在している。
なお、ブーツ70の一端部は、クランプ部材71により、第一外輪部材201の開口側端部の外周面に固定されている。また、第二外輪部材202は、ブーツ70における平面Fと略平行な内周面70aにより、右側(軸方向他方)に押し付けられている。
(作用効果)
本実施形態によれば、第一外輪ボール溝23aが作動転動範囲を含んでいるため、ボール40は、トルク伝達時に、通常の強度を有する当該外輪ボール溝23aと周方向に係合する。ボール40と第一外輪部材201とが係合することにより、トルク伝達は確実に実行される。
本実施形態によれば、第一外輪ボール溝23aが作動転動範囲を含んでいるため、ボール40は、トルク伝達時に、通常の強度を有する当該外輪ボール溝23aと周方向に係合する。ボール40と第一外輪部材201とが係合することにより、トルク伝達は確実に実行される。
一方、組み付け作業時には、ジョイント角θを最大組付角θ2とした場合でも、第二外輪ボール溝23bがあるため、ボール40の外輪20外への飛び出し等を防止することができる。組み付け時にはブーツ70が外輪20に取り付けられた後であり、ボール40が外輪20から飛び出すと元に戻すのが困難となる。本実施形態では、このような組み付け時の不具合も防止することができる。
そして、第二外輪部材202(樹脂製)の単位体積当りの質量は、第一外輪部材201(鉄鋼製)の単位体積当りの質量よりも小さくなっている。これにより、等速ジョイント10の軽量化が可能となる。
このように、第二外輪ボール溝23bをもつ第二外輪部材202を第一外輪部材201よりも軽量部材とすることで、トルク伝達時に必要な強度を維持し且つ組み付け時の不具合を防止しつつ、等速ジョイント10の軽量化が可能となる。
(変形態様)
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、図4に示すように、第二外輪部材202は、ブーツ70と一体的に形成されていてもよい。例えば、ブーツ70に対して第二外輪部材202をインサート成型してもよい。これにより、組み付け時の部品点数を減らすことが可能となる。ブーツ70と第二外輪部材202とは、互いに異なる材料であってもよい。
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、図4に示すように、第二外輪部材202は、ブーツ70と一体的に形成されていてもよい。例えば、ブーツ70に対して第二外輪部材202をインサート成型してもよい。これにより、組み付け時の部品点数を減らすことが可能となる。ブーツ70と第二外輪部材202とは、互いに異なる材料であってもよい。
また、第二外輪部材202は、中空形状に形成されていてもよい。第二外輪部材202の内部を空洞とすることで、第二外輪部材202の材料に第一外輪部材201と同材料を用いた場合でも、第二外輪部材202の単位体積当りの質量を小さくすることができる。また、第二外輪部材202の材料は、ゴムであってもよい。
また、第一外輪部材201と第二外輪部材202とは、組み付けの他、接着、溶着、または一体成形等によって接続されていてもよい。また、外輪ボール溝23のうち作動転動範囲の左端は、直線OQ1上の点P(θ1/2傾けた際の点P)を通る「軸線L1の垂線」と、外輪23の内周面との交点位置であってもよい。同様に、外輪ボール溝23のうち最大組付角の際の転動範囲は、θ2/2傾けた際の点Pを通る「軸線L1の垂線」と、外輪23の内周面との交点位置であってもよい。
(参考例)
図5に示すように、第二外輪部材202は、板状部材によって板状に形成されたものでもよい。すなわち、第二外輪部材202は、板状部材により形成され、第二外輪部材202の単位体積当りの質量は、第一外輪部材201の単位体積当りの質量以下であり、第二外輪部材202の板厚は、第一外輪部材201の軸方向一方端部(左端部)の厚さ(径方向の長さ)よりも小さい。また、第二外輪部材202の第二外輪ボール溝23bを含む軸方向断面における厚さ(右端部を除く)は、第一外輪部材201の軸方向一方端部の厚さよりも小さい。
図5に示すように、第二外輪部材202は、板状部材によって板状に形成されたものでもよい。すなわち、第二外輪部材202は、板状部材により形成され、第二外輪部材202の単位体積当りの質量は、第一外輪部材201の単位体積当りの質量以下であり、第二外輪部材202の板厚は、第一外輪部材201の軸方向一方端部(左端部)の厚さ(径方向の長さ)よりも小さい。また、第二外輪部材202の第二外輪ボール溝23bを含む軸方向断面における厚さ(右端部を除く)は、第一外輪部材201の軸方向一方端部の厚さよりも小さい。
図5では、板状部材が、第二外輪部材202の内周面(第二外輪ボール溝23bを含む)とフランジ状の軸方向他端面(右端面)を形成している。第二外輪部材202の軸方向他端面と第一外輪部材201の軸方向一端面とが嵌合・接着等されている。
このような第二外輪部材202は、例えば具体的に、図5に示すような軸方向断面形状がL字型のもの、あるいは、U字型(開口が径方向外側となるコの字型)のものであってもよい。換言すると、第二外輪部材202は、中空形状において、外周面部分を無くしたもの(断面U字型)、あるいは外周面部分および軸方向一方側端部分を無くしたもの(断面L字型)であってもよい。また、第二外輪部材202は、軸方向両端部にフランジ部分を有さない断面一字型であってもよい。
これらの構成により、第二外輪部材202の材料に第一外輪部材201と同材料を用いた場合(ここでは鉄鋼)でも、第二外輪部材202の質量を小さくすることができる。つまり、本実施形態と同様の効果が発揮される。また、このような板状部材からなる第二外輪部材202は、ブーツ70と一体的に形成されていてもよい。
10:ボール型等速ジョイント、
20:外輪、 201:第一外輪部材、 202:第二外輪部材、
23:外輪ボール溝、 23a:第一外輪ボール溝、 23b:第二外輪ボール溝、
30:内輪、 31:凸球面状外周面、 32:内輪ボール溝、
40:ボール、 50:保持器、 53:窓部、 60:シャフト、
70:ブーツ、 L1:外輪軸線、 L2:内輪軸線
20:外輪、 201:第一外輪部材、 202:第二外輪部材、
23:外輪ボール溝、 23a:第一外輪ボール溝、 23b:第二外輪ボール溝、
30:内輪、 31:凸球面状外周面、 32:内輪ボール溝、
40:ボール、 50:保持器、 53:窓部、 60:シャフト、
70:ブーツ、 L1:外輪軸線、 L2:内輪軸線
Claims (2)
- 軸方向一方に開口部を備える筒状に形成され、内周面に外輪ボール溝が複数形成された外輪と、
前記外輪の内側に配置され、外周面に内輪ボール溝が複数形成された内輪と、
それぞれの前記外輪ボール溝および前記内輪ボール溝を転動し、前記外輪と前記内輪との間でトルクを伝達する複数のボールと、
環状に形成され、前記外輪と前記内輪との間に配置され、周方向に前記ボールをそれぞれ収容する複数の窓部が形成された保持器と、
前記外輪の開口部を覆ってシールするブーツと、
を備えるボール型等速ジョイントにおいて、
前記ボール型等速ジョイントは、前記外輪の軸線と前記内輪の軸線との交差角度をジョイント角とし、トルク伝達時に必要となる前記ジョイント角の最大値を最大作動角とし、前記ボール型等速ジョイントを車両に組み付ける際に必要となる前記ジョイント角の最大値を最大組付角とすると、前記最大組付角が前記最大作動角よりも大きいボール型等速ジョイントであって、
前記外輪は、各前記外輪ボール溝の一部が形成された第一外輪部材と、前記第一外輪部材から軸方向一方に延び、各前記外輪ボール溝の残りが形成された第二外輪部材と、を備え、
前記第一外輪部材の外輪ボール溝は、前記ジョイント角が0°から前記最大作動角まで変化した際の前記ボールの転動範囲を含み、
前記第二外輪部材の外輪ボール溝は、前記ジョイント角が前記最大作動角を超えた角度から前記最大組付角まで変化した際に、前記ボールが転動可能となるように形成され、
前記第二外輪部材の単位体積当りの質量は、前記第一外輪部材の単位体積当りの質量よりも小さいことを特徴とするボール型等速ジョイント。 - 請求項1において、
前記ブーツは、前記第一外輪部材に固定され、
前記第二外輪部材は、前記ブーツと一体的に形成されているボール型等速ジョイント。
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Cited By (3)
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- 2011-05-09 JP JP2011104308A patent/JP2012233550A/ja not_active Withdrawn
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