JP2012233064A - ブレーキ摩擦材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも繊維材、結合材、潤滑材、摩擦調整材、充填材、及びpH調整材を含有してなるブレーキ摩擦材の全体量を100質量%としたとき、結合材として速硬化性フェノール樹脂を4質量%以上かつ5質量%以下、かつ変性フェノール樹脂を2質量%以上かつ3質量%以下、含有している。
【選択図】なし
Description
このブレーキ摩擦材は、上記の繊維材の他、フェノール樹脂等の結合材、黒鉛、二硫化モリブデン等の潤滑材、カシューダスト、セラミック粉、金属粉等の摩擦調整材、硫酸バリウム等の充填材、及び水酸化カルシウム等のpH調整材等を数種混合することにより、強度、接着性、摩擦特性、摩耗特性、鳴き性能等のブレーキ性能を満足するように調整されている。
このようなブレーキ摩擦材としては、既に、結合材として速硬化性結合材を用いたブレーキ摩擦材が提案されている(特許文献1参照)。
このブレーキ摩擦材では、加熱加圧成形時間を従来の2/3程度に短縮することができるとされている。
従来のブレーキ摩擦材では、無機繊維を減量したり、あるいは三硫化アンチモンを増量することにより、摩耗特性を向上させることができ、また、結合材として速硬化性結合材を用いることにより、生産性を向上させることができるが、接着性に劣るという問題点があった。
また、フェノール樹脂として速硬化性フェノール樹脂の他に変性フェノール樹脂を用いたので、摩擦特性、摩耗特性を損なうことなく、接着性を向上させることができる。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
ここで、この無機繊維材の含有率が8質量%未満では、無機繊維材が少なすぎるために摩耗特性の向上効果が得られず、一方、含有率が20質量%を超えると、無機繊維材が多すぎてしまい、やはり摩耗特性の向上効果が得られないので好ましくない。
また、銅繊維を用いれば、銅の柔らかさ及び延性という特徴を生かすことで、低温での摩擦係数の向上を図ることができる。
また、アラミド繊維を用いれば、本実施形態のブレーキ摩擦材の機械的強度の強化を図ることができる。
速硬化性フェノール樹脂は、本実施形態のブレーキ摩擦材の全体量を100質量%としたとき、4質量%以上かつ5質量%以下含有していることが必要である。
速硬化性フェノール樹脂が4質量%未満では、接着性を向上させることができず、さらには、成形時間の短縮を図ることができず、生産性の向上に繋がらないので好ましくない。一方、速硬化性フェノール樹脂が5質量%を超えると、やはり接着性を向上させることができず、さらには、成形時間が大幅に短縮される結果、成型工程の管理が難しくなり、生産性の向上に繋がらないので好ましくない。
特に、三硫化アンチモンは、本実施形態のブレーキ摩擦材の全体量を100質量%としたとき、5質量%以上かつ10質量%以下含有することにより、摩耗特性を向上させることができる。
充填材としては、硫酸バリウム等が好適に用いられる。
pH調整材としては、水酸化カルシウム等が用いられる。
さらに、繊維材として無機繊維材を8〜20質量%含有するとともに、三硫化アンチモンを5〜10質量%含有したことにより、摩耗特性が向上する。
「実施例1〜4」
実施例1〜4のプレーキパッド(ブレーキ摩擦材)を作製した。
まず、溶剤を用いて裏金を充分に洗浄し、この裏金にショットブラストまたはリン酸処理等の化成処理を施した後、摩擦材と接する面に接着剤を塗布し乾燥した。
実施例1〜4それぞれの配合量(質量%)を表1に示す。
次いで、この冷間圧縮成形品と上記の接着剤を塗布した裏金を、150℃に加熱した金型内にセットし、この温度にて所定の圧力及び時間で加熱圧縮成形した。
次いで、この成型品を220℃にて6時間熱処理し、さらに、研磨加工、溝加工を施し、実施例1〜4のプレーキパッドとした。
速硬化性フェノール樹脂の含有量が本発明の下限値より少ないプレーキパッドを比較例1、速硬化性フェノール樹脂の含有量が本発明の上限値より多いプレーキパッドを比較例2、無機繊維材の含有量が本発明の下限値より少ないプレーキパッドを比較例3、無機繊維材の含有量が本発明の上限値より多いプレーキパッドを比較例4、三硫化アンチモンの含有量が本発明の下限値より少ないプレーキパッドを比較例5、三硫化アンチモンの含有量が本発明の上限値より多いプレーキパッドを比較例6、変性フェノール樹脂の含有量が本発明の下限値より少ないプレーキパッドを比較例7、変性フェノール樹脂の含有量が本発明の上限値より多いプレーキパッドを比較例8とし、上記実施例1〜4と全く同様にして比較例1〜8のプレーキパッド(ブレーキ摩擦材)を作製した。
比較例1〜8それぞれの配合量(質量%)を表1に示す。
日本工業規格JIS D4422「自動車部品−ブレーキシューアッセンブリ及びディスクブレーキパッド−せん断試験方法」に基づき、接着性の評価を行った。
せん断試験方法では、母材強度については、製造条件にて管理が可能であるが、接着面における接着強度は、接着剤と摩擦材に用いているフェノール樹脂との相性、接着剤の厚み、乾燥及び硬化状態、不純物の付着等により変化し、信頼性をえることが難しい。そこで、この接着性の評価では、試験後に母材破断した状態を良としている。
パッド摩耗量を、自動車技術会規格JASO C 407「トラック・バス−ブレーキ装置−ダイナモメータ試験方法」に基づき実車試験による摩耗量評価を行った。
「寿命」
自動車技術会規格JASO C 407「トラック・バス−ブレーキ装置−ダイナモメータ試験方法」に基づき評価を行った。
自動車メーカーでは、ブレーキパッドの保証を1年、または走行距離換算で20000kmとしており、これより摩耗が多くなると商品価値が下落する。ここでは、走行距離20000kmを評価の基準とした。
自動車技術会規格JASO C 407「トラック・バス−ブレーキ装置−ダイナモメータ試験方法」に基づき最低μを測定した。
ブレーキメーカーにおいては、フェード時のμが0.2以下程度で耐フェード性に優れないとの判断を行っている。そこで、本実施例及び比較例においても、同様の判断基準を用いて摩擦特性を判断した。
実施例1〜4及び比較例1〜8それぞれの評価結果を表2に示す。
一方、比較例1は、速硬化性フェノール樹脂の含有量が少ないために、成形時間が長くなり、生産性の低下が認められた。
比較例2は、速硬化性フェノール樹脂の含有量が多すぎるために、接着性の低下が認められた。
比較例3は、無機繊維材の含有量が少ないために、接着性が悪化していることが認められた。
比較例4は、無機繊維材の含有量が多すぎるために、摩耗特性を満足させることができなかった。
比較例6は、三硫化アンチモンの含有量が多すぎるために、耐フェード性を満足させることができなかった。
比較例7は、変性フェノール樹脂の含有量が少ないために、接着性を満足させることができなかった。
比較例8は、変性フェノール樹脂の含有量が多すぎるために、摩耗特性を満足させることができなかった。
Claims (2)
- 少なくとも繊維材、結合材、潤滑材、摩擦調整材、充填材、及びpH調整材を含有してなるブレーキ摩擦材において、
このブレーキ摩擦材の全体量を100質量%としたとき、
前記結合材として速硬化性フェノール樹脂を4質量%以上かつ5質量%以下、かつ変性フェノール樹脂を2質量%以上かつ3質量%以下、含有してなることを特徴とするブレーキ摩擦材。 - 前記繊維材として無機繊維材を8質量%以上かつ20質量%以下含有し、かつ三硫化アンチモンを5質量%以上かつ10質量%以下含有してなることを特徴とする請求項1記載のブレーキ摩擦材。
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