JP2012232428A - 積層体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】大面積でもキズ少なく、連続的に均一な膜を形成したり、曲面に均一な層を形成したりすることができる積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】支持フィルム上に、シロキサンオリゴマーを含む溶液を塗布する第1の工程、支持フィルム上に塗布した溶液から溶媒を除去して転写層を形成し、転写フィルムとする第2の工程、前記第2の工程で作製した転写フィルムの転写層表面を、活性化処理する第3の工程、前記第3の工程で活性化処理した転写層表面と被転写体を対向および接触させて転写層を被転写体に転写する第4の工程、被転写体/転写層/支持フィルムからなる積層体から、転写層と支持フィルムの界面で支持フィルムを剥離する第5の工程を含む転写フィルムを用いた積層体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、支持フィルム上にシロキサンオリゴマーを含む転写層を積層した転写フィルムを用いて、被転写体に転写層を転写して、被転写体/転写層の積層体を製造する方法に関する。
近年、液晶表示装置や太陽電池基板及びLED等の半導体基板で、ガラスや金属及び結晶基板等様々な基板が使用されているが、これらの基板表面には、各用途に必要とされる帯電防止、反射防止、防汚、光散乱、ELOG(epitaxial lateral overgrowth)等の機能層を形成することが求められている。機能層を形成するためには、従来、光硬化性樹脂を基材上に塗布することが知られているが、光硬化性樹脂で形成された層は250℃を超える高温で分解したり、紫外線によって黄変したりするため、高温での加工ができない点、使用上の耐熱性や耐光性が得られない点が課題であった。
これに対し、シロキサンからなる層は、紫外線硬化樹脂と比較して高温での分解や黄変が起こらないため高温での使用や加工が可能である。シロキサンからなる層は、シリコンアルコキシドを含む溶液を基材に塗布し、加熱することで得られるゾルゲル法で形成する方法が知られている(特許文献1)。
一方で機能層を形成する際、基材に溶液を塗布する方法では、ガラス等の剛直な材料に対して連続的に均一な膜を形成することや、曲面に均一な層を形成することが困難であるため、あらかじめフィルム等の柔軟な支持体に機能層を形成した転写フィルムとし、その機能層を被転写体に転写する方式が提案されている(特許文献2、3)。
特許第4079383号公報 特許第3750393号公報 特開2004−122701号公報
しかしながら、被転写体の大きさが3cm□以上といった大きな面積の場合、フィルム等の柔軟な支持体にシロキサンゲルを機能層として形成して転写しようとしても、転写ができなかったり、また出来ても非常に小さい一部の面積でしか転写ができなかったり、傷が入りやすかったりするため、実用性がない問題があった。
本発明の目的は上述した課題に鑑み、大きな面積に連続的に均一な膜を形成することや、曲面に均一な層を形成することができる積層体の製造方法を提供することにある。
上述した目的を達成するための本発明の積層体の製造方法は、
支持フィルム上に、シロキサンオリゴマーを含む溶液を塗布する第1の工程、
支持フィルム上に塗布した溶液から溶媒を除去して転写層を形成し、転写フィルムとする第2の工程、
前記第2の工程で作製した転写フィルムの転写層表面を、活性化処理する第3の工程、
前記第3の工程で活性化処理した転写層表面と被転写体を対向および接触させて転写層を被転写体に転写する第4の工程、
被転写体/転写層/支持フィルムからなる積層体から、転写層と支持フィルムの界面で支持フィルムを剥離する第5の工程
を含むことを特徴とするものである。
本発明によれば、大面積でも傷が少ない均一な積層体を、簡便に製造することができる。
(a)支持フィルムが平坦である転写フィルムの断面概略図である。(b)支持フィルムの転写層と接する表面を、あらかじめ凹凸形状とすることで凹凸形状を有する転写層を形成するための転写フィルムの断面概略図である。 凹凸形状がある支持フィルムの、転写層の厚みを示す概略図である。 減圧プラズマ装置の断面概略図である。
以下、図面等を参照しながら、本発明の積層体の製造方法についてさらに詳しく説明する。
本発明における被転写体と転写層は、連続するシロキサン結合を主骨格とする結晶構造を持たない膜であり、シロキサンモノマーまたはシロキサンオリゴマーの架橋反応により得られるものである。フィルム等の支持体上にシロキサンオリゴマーからなる層を形成し、その転写層を被転写体に転写することで、簡便に、連続するシロキサン結合をもつ膜を得ることができる。
まず、本発明において用いられる転写フィルムについて説明する。
<転写フィルムの支持体>
本発明で用いられる転写フィルムの支持体としてのフィルム(以下、支持フィルムという)は、厚さが5〜500μmのフィルムが好ましく、40〜300μmがより好ましい。厚さが5μmより薄い場合、転写層を転写する際によれてしまい、被転写体を正確に被覆できない場合がある。一方、厚さが500μmを超える場合は、支持フィルムが剛直になり、被覆体に追従できなくなる場合がある。該支持フィルムは転写層の溶媒除去や、被覆体への転写の際の加熱に耐えうるものであれば特に材質は限定されるものはなく、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、ポリエーテルエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、あるいはポリ塩化ビニル系樹脂等を用いることができるが、転写層であるシロキサンゾルの塗工性と、転写層と支持フィルムの離型性を両立できる観点からポリオレフィン系樹脂やアクリル系樹脂が好ましい。
また、支持フィルムの表面を適切な状態にするために、該フィルムとは異なる樹脂層を積層することもできる。さらにはこれらの支持フィルムの転写層と接する面には、塗工性や離型性を付与するために、下地調整剤や下塗り剤、シリコーン系やフッ素系の離型コート剤などを塗布する処理を施したり、金やプラチナといった貴金属をその表面にスパッタリング処理したりしても良い。
<支持フィルムの転写層と接する側の表面の形態>
本発明における支持フィルムが転写層と接する側の表面は平坦でも凹凸形状であっても良い。すなわち図1(a)に示すように、転写フィルム1と転写層2の境界が平坦であっても、図1(b)に示すように転写フィルム1と転写層2の境界に凹凸形状3があっても良い。凹凸形状である場合は、転写して形成した被転写体/転写層の積層体における転写層の最表面が凹凸形状を有する被覆体を提供することができる。支持フィルムの凹凸形状の形成方法は特に限定されず、熱インプリント法、UVインプリント法、塗工、エッチングなどの既知の製法を適用することが可能である。
<転写フィルムの転写層>
本発明で用いられる転写フィルムにおいて、支持フィルム上に積層された転写層にはシロキサンオリゴマーが含まれる。転写層の成分は、ケイ素原子のX線光電子分光(XPS)測定による炭素、酸素、ケイ素の各原子数の合計に対するケイ素原子数の含有率(以降単にケイ素原子の含有率と記すこともある)は5〜33%であることが好ましく、8〜30%であることがより好ましい。ケイ素原子の含有率が5%未満の場合、転写層に含まれるシロキサンオリゴマー中のシロキサン結合が少なく、有機物の割合が高い構造となるため高温での分解や紫外線による黄変が発生する。ケイ素原子の含有率が33%を超えると転写層に含まれるシロキサンオリゴマーの構造がガラスに非常に近くなり、被転写体との密着性が低下するおそれがある。また、転写層中のシロキサンオリゴマーは、50〜99質量%であることが好ましい。転写層としてかかる特定の構成を有することにより、紫外線硬化樹脂とは異なり、高温での分解や黄変が起こらない転写層を有する転写フィルムが得られるものである。また、転写層中にはシロキサンオリゴマーの他に、支持フィルムとの離型性や、濡れ性の向上を目的とした離型剤やレベリング剤、樹脂系の被転写体との密着性や耐クラック性を向上させるためのアクリル樹脂等を含んでいても良い。
ここで、シロキサンオリゴマーとは、2つ以上の連続したシロキサン結合をもち、ポリオルガノシロキサン骨格を構造内に含むシロキサン化合物を指すものとする。また、該シロキサンオリゴマーには、部分構造としてケイ素原子に直接結合する有機官能基をもたないシリカ構造を一部含んでいても良い。該シロキサンオリゴマーの質量平均分子量は特に制限されないが、GPCで測定されるポリスチレン換算で500〜100000であることが好ましい。シロキサンオリゴマーは下記一般式(1)でn=0〜3で表されるオルガノシランの1種類以上を加水分解・重縮合反応させることによって合成されるポリシロキサンゾルを、加熱加圧によって固化して合成される。なお、転写フィルムの保管期間中のクラック発生や、転写物品の加熱処理におけるクラック防止の観点から、本発明で用いられる転写層のシロキサンオリゴマーはn=1〜3のオルガノシランを5〜100モル%含むモノマーを重合して得られるものであることが好ましい。
(R1)−Si−(OR2)4−n (1)
式中、R1は水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR1はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R2は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR2はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。nは0から3の整数を表す。
一般式(1)で表されるオルガノシランにおいて、R1のアルキル基、アルケニル基、アリール基はいずれも無置換体、置換体のどちらでもよく、組成物の特性に応じて選択できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基、トリフルオロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、[(3−エチル3−オキセタニル)メトキシ]プロピル基、3−アミノプロピル基、3−メルカプトプロピル基、3−イソシアネートプロピル基が挙げられる。アルケニル基の具体例としては、ビニル基、3−アクリロキシプロピル基、3−メタクリロキシプロピル基が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、p−ヒドロキシフェニル基、1−(p−ヒドロキシフェニル)エチル基、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル基、4−ヒドロキシ−5−(p−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチル基、ナフチル基が挙げられる。
一般式(1)で表されるオルガノシランにおいてR2のアルキル基、アシル基、アリール基はいずれも無置換体、置換体のどちらでもよく、組成物の特性に応じて選択できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基が挙げられる。アシル基の具体例としては、アセチル基、プロピノイル基、ブチロイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基が挙げられる。アリール基の具体例としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
一般式(1)のnは0から3の整数を表す。n=0の場合は4官能性シラン、n=1の場合は3官能性シラン、n=2の場合は2官能性シラン、n=3の場合は1官能性シランである。
一般式(1)で表されるオルガノシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラフェノキシシランなどの4官能性シラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリn−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリn−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどの3官能性シラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジn−ブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランなどの2官能性シラン、トリメチルメトキシシラン、トリn−ブチルエトキシシランなどの1官能性シランが挙げられる。
これらのオルガノシランは単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用してもよいが、硬化した凹凸層のクラック防止と、転写フィルムの柔軟性の観点から3官能性シランと2官能性シランを組み合わせることが好ましい。また、これらのシロキサンゾルには、擦過性や硬度向上のために、シリカ粒子を添加してもよい。
<第1の工程 転写層の塗工>
転写層を形成するための塗工において、シロキサンゾルの希釈に用いる溶媒は適切な濃度のシロキサンゾルの溶液が得られる溶解性を有するものであれば特に限定されないが、フィルム上でハジキが発生しにくいという点から有機溶媒であることが好ましく、例えば、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールなどの高沸点アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノンなどのケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテート、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールアセテートなどのエステル類、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、メシチレン、ジイソプロピルベンゼンなどの芳香族あるいは脂肪族炭化水素のほか、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどを挙げることができるが、シロキサンオリゴマーの溶解性と塗布性の点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、酢酸ブチルが好ましい。
シロキサンゾルを塗工する方法としては、例えばグラビアコート、ロールコート、スピンコート、リバースコート、バーコート、スクリーンコート、ブレードコート、エアーナイフコート、ディップコートなど適宜選択して適用すればよい。
<転写フィルムの転写層の厚み>
本発明で用いられる転写フィルムの転写層の厚みは0.01〜10μmであることが好ましく、0.1〜5μmであることがより好ましい。0.01μmより薄い場合、シロキサンゾルの塗工においてハジキが発生しやすく欠点が生じる場合がある。一方、10μmより厚い場合、転写層が硬化する際の膜応力によってクラックが発生する場合がある。なお、転写層の厚みとは、転写フィルムにおける厚みであって、下記の転写層の乾燥後の厚みである。転写層の厚みは、転写フィルムをミクロトームで切削し、その断面を走査型電子顕微鏡(以下SEMと略記することもある)で撮像し、厚みと直行する方向に5等分した場合に境界となる4点を観察して測定した4点の平均を転写層の厚みとする。転写層の表面および/または支持フィルムとの境界の面が凹凸形状を有する場合は、撮像した画像中で最も転写層が厚くなる部分である。すなわち図2を用いて説明すると、支持フィルムの転写層と反対の面を下にして水平に置いた場合に、支持フィルム1上の転写層2との境界の面の凹みの最も下の位置と、転写層の支持フィルムに接していない表面の間の距離を転写層の厚み4とする(図2)。観察および測定の倍率は、転写層の厚みが2μm未満の場合は20000倍、2μm以上5μm未満の場合は5000倍、5μm以上の場合は2500倍とする。
<第2の工程 転写層の溶媒の除去>
塗工後、加熱や減圧状態におくことによって溶媒を除去する。溶媒除去のための加熱温度は20℃以上180℃以下が好ましい。加熱温度が20℃より低い場合は多大な時間が必要となる。一方180℃より高い温度に加熱すると、加熱によるシロキサンの架橋により転写フィルムの柔軟性が失われてクラックが発生したり、被転写体への転写性が低下したりするおそれがある。溶媒除去のための減圧条件は、転写フィルムの形状が崩れない範囲で適宜設定すればよく、10kPaまで減圧することが好ましく、さらには減圧と同時に加熱して溶媒を除去してもよい。この様にして、転写フィルムを80℃で1時間加熱した後も転写層の膜厚に変化が見られないところまで乾燥させる。具体的には例えば、10kPaの減圧状態で5分間静置し、その後5分間80℃に加熱する方法が挙げられる。
支持フィルムに転写層を形成した後、架橋反応を進行させることで、硬度が上昇し、転写層の形状崩れや転写前の傷つきを防止したり、耐溶剤性を向上させたりすることができる。また、膜面内方向での架橋反応が進行することで、転写の際の転写層のちぎれや抜けを抑制することができる。
なお、シロキサンの架橋反応は加水分解および脱水縮合を経て進行するため、加熱によって脱水縮合で生成した水分を除去して架橋反応を進行させたり、エージングによって架橋反応が十分に進行する時間を与えたりすることで転写層中の架橋反応を促進することができる。
<第3の工程 転写層表面の活性化処理>
本発明における被転写体に接触する表面の活性化処理とは、具体的には転写層表面に酸素原子を導入することである。転写フィルムから被転写体に転写層を転写するにあたり、被転写体と転写層の接着には被転写体上の水酸基が関係すると考えられる。そのため、転写層の表面に酸素原子を導入することによって、被転写体上の水酸基と、転写層の反応性が高くなり、転写性が向上するものと考えられる。
転写層の被転写体に接触する表面を活性化処理する方法としては、プラズマ処理、紫外線処理、コロナ処理、オゾン処理等各種活性化処理する方法が挙げられるが、中でも短時間で容易に活性化処理に適したエネルギーが得られる点からプラズマ処理が好ましい。
プラズマ処理とは、2枚の対向する電極間に高電圧を印加して電界を発生させ、電界の作用により電極間に存在するガスをプラズマ化し、プラズマ化されたガスによって対象物を処理するものである。電極間に添加するガス、すなわち処理ガスは、転写層表面に導入すべき酸素が存在していればよく、酸素を5〜100%含む雰囲気であれば特に規定はない。処理する際の圧力状態は大気圧下であっても減圧、または真空状態下であってもよいが、プラズマ化されたガスの失活を抑制できるため、減圧または真空状態で処理することが好ましい。
以下、一例として減圧プラズマ装置の断面模式図を図3に示す。
減圧プラズマ装置は、上部電極5とそれと対向する下部電極6、チャンバー7、排気ポンプ8とを備えている。チャンバー7は、内部の気密を保持しうる容器であり、その内部は減圧(真空)状態となるため、内部と外部との圧力差に耐えうる耐圧性能を有する必要がある。図3に示すチャンバーは、チャンバー上部に上部電極5が接続されており、チャンバー内に下部電極6が収まる形状である。
チャンバー7は排気ポンプ8と接続されており、排気ポンプ8によってチャンバー内は減圧(真空)状態にされる。排気ポンプ8は例えばロータリーオイルポンプ、ターボ分子ポンプ等であり、これによってチャンバー内を減圧にすることで、ガスを容易にプラズマ化することができたり、プラズマ処理による反応生成物を系外に排出したりすることができる。また、プラズマ処理ガスを調整する場合は、チャンバー7に処理ガス供給部を接続して導入することで、処理雰囲気を変更することができる。
上部電極5と下部電極6は対向しており、両電極間に高電圧を印加することでプラズマを発生することができる。これら両電極間にプラズマ処理対象物を配置して、高電圧を印加することで、その表面を処理することができる。
プラズマ処理の方法としては、まず、常圧の状態でチャンバー7を開放し、下部電極6上に、処理面を上部電極5と対向する向きで転写フィルムを投入する。その後、チャンバー7で上部電極5、下部電極6および転写フィルムを密閉し、減圧状態にする。圧力が安定した状態で、上部電極5と下部電極6に高電圧を印加し、プラズマを発生させて所定の時間、表面を処理する。
転写層表面の処理時間は、5〜300秒が好ましく、10〜120秒がより好ましい。処理時間が5秒未満の場合は、表面が十分に処理されず、転写性が回復しない場合がある。一方、処理時間が300秒を超える場合は、転写層表面がプラズマエッチングされて、転写層が損傷を受けて微細な凹凸となり密着性低下によって転写性が回復できないおそれがある。
<第4の工程 転写方法>
本発明で用いられる転写フィルムの活性化処理した転写層面を被転写体に接触させて被転写体/転写層/支持フィルムを含む積層体とし、加圧または加圧および加熱することにより、転写層を被転写体に転写することができる。転写の際の加圧は、例えば、ニップロールや、プレス機によるものなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。被転写体/転写層/支持フィルムの積層体に加圧する圧力は1kPa〜50MPaが好ましい。1kPa未満であると、転写欠点が生じる場合があり、50MPaを超えると、転写フィルムの凹凸形状が崩れたり、ガラス基板を破損したりする場合がある。また、加圧する際には、該積層体の支持フィルムと加圧プレートや加圧ロール等との間に緩衝材を用いることもできる。緩衝材を使用することによって空気等を噛み込むことなく精度よく転写層を転写できる。緩衝材としては、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム、イソブチレンイソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴムなどが使用できる。また、被転写体に転写層を十分に密着させるために、加圧とともに加熱することもできる。
転写フィルムから被転写体に転写層を転写する第4の工程は、転写層表面を活性化処理させる第3の工程の直後、すなわち各種活性化処理完了後48時間以内に実施することが好ましい。第3の工程で転写層表面を活性化処理させた後、再び時間が経過すると、活性化処理した転写層表面が失活し、転写層活性化処理の効果が得られないおそれがある。
<第5の工程 支持フィルムの除去>
被転写体に転写層を転写して被転写体/転写層の積層体とするために、転写フィルムの支持フィルムを除去する。支持フィルムの剥離は、後述する転写後の熱処理前でも、熱処理後でもよい。熱処理前に支持フィルムを前もって剥離する場合は、転写後、プレス温度以下で剥離する。剥離する際の温度が、プレス温度以上の場合、転写層の形状が崩れたり、支持フィルムからの剥離性が低下したりするおそれがある。一方、熱処理後に支持フィルムを除去する場合は、支持フィルムが熱処理中に焼散したり、粉上に焼き上げられたりする場合があるが、そのような場合には表面を洗浄したり、エアーブローによって除去することができる。また、熱処理後も支持フィルムとして被転写体/転写層/支持フィルムの積層体で存在している場合は、熱処理温度以下で支持フィルム剥離する。剥離温度が熱処理温度を超える場合、転写層の形状が崩れるおそれがある。
<転写後の熱処理>
転写後、転写層に含まれるシロキサンオリゴマーの架橋反応をさらに進行させてガラス化するために熱処理することもできる。ガラス化のための熱処理温度は積層体に必要な耐熱性、耐薬品性、信頼性に応じて適宜設定することができる。
例えば、ガラス板等の無機系材料に転写することで保護膜としたり、ガラス板表面の凹凸形状付与に使用したりする場合の熱処理温度は、150〜1200℃が好ましく、180〜800℃がより好ましく、200〜400℃がもっとも好ましい。150℃未満で熱処理した場合、十分に架橋反応が進行せず、十分にガラス化できなかったり耐熱性が悪くなったりする場合がある。一方、1200℃より高い温度で熱処理した場合、クラックが発生したり、凹凸形状が崩れてしまったりする場合がある。
一方、エッチングレートの低い無機材料、結晶材料からなる被転写体に転写した転写層をエッチングレジスト膜として使用する場合は、被転写体よりも転写層のエッチングレートを低くする必要がある。そのためには、転写層中の有機成分を焼散させて緻密な二酸化ケイ素膜にすることが有効であるため、熱処理温度は700〜1200℃であることが好ましい。熱処理温度が700℃未満の場合、転写層が十分に緻密化されず、エッチングレジスト膜として使用できない場合があり、1200℃より高い温度では転写層にクラックが発生するおそれがある。熱処理前に熱処理温度よりも低い温度でプレベークすることで熱による凹凸表面形状の崩れを防止することもできる。
本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
(1)転写フィルムの作製
30mm×30mmの支持フィルムにミカサ株式会社製スピンコーター型番1H−DX2を使用してシロキサンゾルを塗工した。その後、20℃、10kPaの環境で溶媒を除去して転写フィルムを得た。
(2)転写層の厚みの測定
株式会社ミクロトーム研究所製ロータリーミクロトーム型番RMSで転写フィルムを切削し、その断面をTOPCON社製miniSEM型番ABT−32で観察および測定した。倍率とその測定方法は本文中に記載の条件とした。
(3)プラズマ処理前の架橋反応の進行度の評価
架橋反応の進行度を、耐溶剤性によって評価した。
ガラスシャーレに入れた3.5gのメチルエチルケトンに10mm×10mmの転写フィルムを、転写層がシャーレ底面と対向する方向で浸漬させた。1分間の浸漬の後、転写フィルムを取り出して、浸漬させたメチルエチルケトンおよび転写フィルムを観察、評価した。なお、架橋反応の進行度の評価基準は以下のように定め、表記した。
3:転写層は剥離することなく支持フィルムに密着していた。
2:転写層は支持フィルムから剥離し、メチルエチルケトン中に膜として存在した。
1:転写層は溶解し、メチルエチルケトン中でも確認することができなかった。
(4)転写性の評価
(4−1)被転写体の準備
被転写体であるコーニング社製低アルカリガラス型番1737(50mm×50mm、厚さ1.1mm)表面に付着したゴミをブロワーで除去した後、純水に浸漬した状態でアズワン株式会社製3周波超音波洗浄機型番VS−100IIIを使用して45kHzで10分間の洗浄を2回繰り返した。その後、株式会社魁半導体製卓上真空プラズマ装置を用いて、15000VACで5分間プラズマ処理した。
(4−2)転写方法
30mm×30mmサイズの転写フィルムの転写層表面を、(4−1)で準備した被転写体としてのガラス基板に接触させ、さらに転写フィルムの支持フィルム面に緩衝材として金陽社製“キンヨーボード(登録商標)”型番F200を積層し、プレス温度20℃、プレス圧力1.38MPaで10秒間加圧した後に、室温で支持フィルムを剥離した。
(4−3)転写面積率と転写安定性評価
(4−2)の条件で3回同じ実験を繰り返して作製された3枚の積層体のうち、最も大きな面積で転写された積層体の面積を、転写フィルムのサイズ30mm×30mmを100%として転写面積率を算出した。転写面積率の評価基準は以下のように定め、表記した。
5:転写面積率100%。転写性良好
4:転写面積率90%以上100%未満
3:転写面積率50%以上90%未満
2:転写面積率10%以上50%未満
1:転写面積率0%以上10%未満
また、転写安定性の評価基準は以下のように定め、表記した。なお、同等とは、上記転写面積率の5段階評価において同じランクに分類されることを指す。
3:3枚の積層体の転写面積率がすべて同等
2:3枚の積層体のうち、2枚の転写面積率が同等
1:3枚の積層体の転写面積率が全て異なる
(4−4)転写層外観評価
転写層外観評価基準を以下のように定め、評価した。
◎:積層体に幅2.0μm以上かつ長さ3mm以上のクラックなし
○:積層体に幅2.0μm以上かつ長さ3mm以上のクラックが1〜3本あり
×:積層体に幅2.0μm以上かつ長さ3mm以上のクラックが4本以上あり
[実施例1]環状ポリオレフィン系樹脂である日本ゼオン株式会社製“ゼオノアフィルム(登録商標)”型番ZF14の厚さ60μmのフィルムに、東京応化工業株式会社製OCNL505シロキサンゾルを塗工後、溶媒を除去して転写層の厚みが4.76μmである転写フィルムを得た。得られた転写フィルムを室温20℃湿度40%の環境で30日間エージングした後、転写層表面に株式会社魁半導体製卓上真空プラズマ装置型番YHS−Rを用いて、15000VACで20秒間プラズマ処理した。プラズマ処理後5分以内に、転写層を転写することで積層体を得た。
[実施例2]プラズマ処理45時間後に転写層を転写した以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
[実施例3]プラズマ処理60時間後に転写層を転写した以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
[実施例4]転写層の活性化処理が、株式会社魁半導体製大気圧プラズマ装置型番S5000を用いた30秒間の大気圧プラズマ処理であること以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
[実施例5]プラズマ処理45時間後に転写層を転写した以外は、実施例4と同様にして積層体を得た。
[実施例6]プラズマ処理60時間後に転写層を転写した以外は、実施例4と同様にして積層体を得た。
[実施例7]環状ポリオレフィン系樹脂である日本ゼオン株式会社製“ゼオノアフィルム(登録商標)”型番ZF14の厚さ60μmのフィルムに、東京応化工業株式会社製OCNL505シロキサンゾルを塗工後、溶媒を除去して転写層の厚みが4.91μmである転写フィルムを得た。得られた転写フィルムを120℃のホットプレートで1時間加熱した後、転写層表面に株式会社魁半導体製卓上真空プラズマ装置型番YHS−Rを用いて、15000VACで20秒間プラズマ処理した。プラズマ処理後5分以内に、転写層を転写することで積層体を得た。
[実施例8]プラズマ処理45時間後に転写層を転写した以外は、実施例7と同様にして積層体を得た。
[実施例9]プラズマ処理60時間後に転写層を転写した以外は、実施例7と同様にして積層体を得た。
[実施例10]環状ポリオレフィン系樹脂である日本ゼオン株式会社製“ゼオノアフィルム(登録商標)”型番ZF14の厚さ60μmのフィルムに、東京応化工業株式会社製OCNL505シロキサンゾルを塗工後、溶媒を除去して転写層の厚みが4.85μmである転写フィルムを得た。転写フィルムを得た直後、転写層表面に株式会社魁半導体製卓上真空プラズマ装置型番YHS−Rを用いて、15000VACで20秒間プラズマ処理した。プラズマ処理後5分以内に、転写層を転写することで積層体を得た。
[実施例11]プラズマ処理45時間後に転写層を転写した以外は、実施例10と同様にして積層体を得た。
[実施例12]プラズマ処理60時間後に転写層を転写した以外は、実施例10と同様にして積層体を得た。
[実施例13]転写層の厚みを変更した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。
[実施例14]転写層の厚みを変更した以外は、実施例3と同様にして積層体を得た。
[実施例15]転写層の厚みを変更した以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。
[実施例16]転写層の厚みを変更した以外は実施例11と同様にして積層体を得た。
[実施例17]転写層の厚みを変更した以外は実施例2と同様にして積層体を得た。
[実施例18]転写層の厚みを変更した以外は実施例8と同様にして積層体を得た。
[実施例19]転写層の厚みを変更した以外は実施例11と同様にして積層体を得た。
[実施例20]転写層の厚みを変更した以外は実施例2と同様にして積層体を得た。
[実施例21]転写層の厚みを変更した以外は実施例8と同様にして積層体を得た。
[実施例22]転写層の厚みを変更した以外は実施例2と同様にして積層体を得た。
[実施例23]厚さ60μmの環状ポリオレフィン系樹脂である日本ゼオン株式会社製“ゼオノアフィルム(登録商標)”型番ZF14表面を556nmピッチのブレーズド回折格子形状としたものを支持フィルムとした以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。転写層の厚みは1.24μmであった。
[比較例1]環状ポリオレフィン系樹脂である日本ゼオン株式会社製“ゼオノアフィルム(登録商標)”型番ZF14の厚さ60μmのフィルムに、東京応化工業株式会社製OCNL505シロキサンゾルを塗工し、溶媒を含んだままの転写層を被転写体へと転写しようとしたが、転写層が膜とならず転写することができなかった。
[比較例2]環状ポリオレフィン系樹脂である日本ゼオン株式会社製“ゼオノアフィルム(登録商標)”型番ZF14の厚さ60μmのフィルムに、東京応化工業株式会社製OCNL505シロキサンゾルを塗工後、溶媒を除去して転写層の厚みが2.68μmである転写フィルムを得た。転写フィルムを得た直後、転写層表面を活性化処理することなく転写層の被転写体への転写を試みたが、支持フィルムに転写層が残り、十分な転写面積が得られなかった。
[比較例3]環状ポリオレフィン系樹脂である日本ゼオン株式会社製“ゼオノアフィルム(登録商標)”型番ZF14の厚さ60μmのフィルムに、東京応化工業株式会社製OCNL505シロキサンゾルを塗工後、溶媒を除去して転写層の厚みが3.25μmである転写フィルムを得た。得られた転写フィルムを室温20℃湿度40%の環境で30日間エージングした後、転写層表面を活性化処理することなく転写層の被転写体への転写を試みたが、支持フィルムに転写層が残り、十分な転写面積が得られなかった。
[比較例4]環状ポリオレフィン系樹脂である日本ゼオン株式会社製“ゼオノアフィルム(登録商標)”型番ZF14の厚さ60μmのフィルムに、東京応化工業株式会社製OCNL505シロキサンゾルを塗工後、溶媒を除去して転写層の厚みが4.56μmである転写フィルムを得た。得られた転写フィルムを120℃のホットプレートで1時間加熱した後、転写層表面を活性化処理することなく転写層の被転写体への転写を試みたが、支持フィルムに転写層が残り、十分な転写面積が得られなかった。
[比較例5]厚さ60μmの環状ポリオレフィン系樹脂である日本ゼオン株式会社製“ゼオノアフィルム(登録商標)”型番ZF14表面を556nmピッチのブレーズド回折格子形状としたものを支持フィルムとした以外は、比較例4と同様にして、積層体を得た。転写層の厚みは0.35μmであった。
実施例1〜25および比較例1〜5のプラズマ処理後の転写性を表1に示す。実施例1、2、4、5、13、23は転写面積率、安定性、外観とも非常に良好であった。実施例3、6、10、11、14、15は転写面積率、安定性とも良好で、外観は非常に良好であった。実施例7、8は、転写面積率、外観は非常に良好であり、安定性良好であった。実施例9は転写性良好、外観は非常に良好であったが、安定した転写性が得られなかった。実施例12は、転写性は概ね良好、外観は非常に良好であったが、安定した転写性が得られなかった。実施例16転写性は概ね良好、外観は非常に良好であったが、安定した転写性が得られなかった。実施例17は、転写性は非常に良好、安定性と外観は良好であった。実施例18、19、21は、転写性は概ね良好、外観、と安定性は良好であった。実施例22は、転写性は概ね良好であったが安定した転写性が得られず、また外観もクラックが確認された。比較例1は溶媒の存在により転写層を膜として転写することができなかった。比較例2〜4はほとんど転写することができず、転写層が支持フィルム上に残る結果となった。
Figure 2012232428
1:支持フィルム
2:転写層
3:支持フィルム上の凹凸形状
4:転写層の厚み
5:上部電極
6:下部電極
7:チャンバー
8:排気ポンプ

Claims (6)

  1. 支持フィルム上に、シロキサンオリゴマーを含む溶液を塗布する第1の工程、
    支持フィルム上に塗布した溶液から溶媒を除去して転写層を形成し、転写フィルムとする第2の工程、
    前記第2の工程で作製した転写フィルムの転写層表面を、活性化処理する第3の工程、
    前記第3の工程で活性化処理した転写層表面と被転写体を対向および接触させて転写層を被転写体に転写する第4の工程、
    被転写体/転写層/支持フィルムからなる積層体から、転写層と支持フィルムの界面で支持フィルムを剥離する第5の工程
    を含むことを特徴とする、転写フィルムを用いた積層体の製造方法。
  2. 転写フィルム上の転写層を活性化処理する第3の工程の実施後48時間以内に第4の工程を実施する、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 前記第3の工程で転写層表面の活性化処理が、プラズマ処理である請求項1または2に記載の積層体の製造方法。
  4. 前記第2の工程で作製した転写フィルムの転写層の架橋反応を進行させた後に第3の工程を実施する請求項1〜3のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  5. 転写層の厚みが0.01〜10μmである請求項1〜4のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  6. 転写層の最表面に凹凸表面形状を有する請求項1〜5のいずれかに記載の積層体の製造方法。
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