JP2012232428A - 積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持フィルム上に、シロキサンオリゴマーを含む溶液を塗布する第1の工程、支持フィルム上に塗布した溶液から溶媒を除去して転写層を形成し、転写フィルムとする第2の工程、前記第2の工程で作製した転写フィルムの転写層表面を、活性化処理する第3の工程、前記第3の工程で活性化処理した転写層表面と被転写体を対向および接触させて転写層を被転写体に転写する第4の工程、被転写体/転写層/支持フィルムからなる積層体から、転写層と支持フィルムの界面で支持フィルムを剥離する第5の工程を含む転写フィルムを用いた積層体の製造方法。
【選択図】なし
Description
支持フィルム上に、シロキサンオリゴマーを含む溶液を塗布する第1の工程、
支持フィルム上に塗布した溶液から溶媒を除去して転写層を形成し、転写フィルムとする第2の工程、
前記第2の工程で作製した転写フィルムの転写層表面を、活性化処理する第3の工程、
前記第3の工程で活性化処理した転写層表面と被転写体を対向および接触させて転写層を被転写体に転写する第4の工程、
被転写体/転写層/支持フィルムからなる積層体から、転写層と支持フィルムの界面で支持フィルムを剥離する第5の工程
を含むことを特徴とするものである。
<転写フィルムの支持体>
本発明で用いられる転写フィルムの支持体としてのフィルム(以下、支持フィルムという)は、厚さが5〜500μmのフィルムが好ましく、40〜300μmがより好ましい。厚さが5μmより薄い場合、転写層を転写する際によれてしまい、被転写体を正確に被覆できない場合がある。一方、厚さが500μmを超える場合は、支持フィルムが剛直になり、被覆体に追従できなくなる場合がある。該支持フィルムは転写層の溶媒除去や、被覆体への転写の際の加熱に耐えうるものであれば特に材質は限定されるものはなく、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、ポリエーテルエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、あるいはポリ塩化ビニル系樹脂等を用いることができるが、転写層であるシロキサンゾルの塗工性と、転写層と支持フィルムの離型性を両立できる観点からポリオレフィン系樹脂やアクリル系樹脂が好ましい。
<支持フィルムの転写層と接する側の表面の形態>
本発明における支持フィルムが転写層と接する側の表面は平坦でも凹凸形状であっても良い。すなわち図1(a)に示すように、転写フィルム1と転写層2の境界が平坦であっても、図1(b)に示すように転写フィルム1と転写層2の境界に凹凸形状3があっても良い。凹凸形状である場合は、転写して形成した被転写体/転写層の積層体における転写層の最表面が凹凸形状を有する被覆体を提供することができる。支持フィルムの凹凸形状の形成方法は特に限定されず、熱インプリント法、UVインプリント法、塗工、エッチングなどの既知の製法を適用することが可能である。
<転写フィルムの転写層>
本発明で用いられる転写フィルムにおいて、支持フィルム上に積層された転写層にはシロキサンオリゴマーが含まれる。転写層の成分は、ケイ素原子のX線光電子分光(XPS)測定による炭素、酸素、ケイ素の各原子数の合計に対するケイ素原子数の含有率(以降単にケイ素原子の含有率と記すこともある)は5〜33%であることが好ましく、8〜30%であることがより好ましい。ケイ素原子の含有率が5%未満の場合、転写層に含まれるシロキサンオリゴマー中のシロキサン結合が少なく、有機物の割合が高い構造となるため高温での分解や紫外線による黄変が発生する。ケイ素原子の含有率が33%を超えると転写層に含まれるシロキサンオリゴマーの構造がガラスに非常に近くなり、被転写体との密着性が低下するおそれがある。また、転写層中のシロキサンオリゴマーは、50〜99質量%であることが好ましい。転写層としてかかる特定の構成を有することにより、紫外線硬化樹脂とは異なり、高温での分解や黄変が起こらない転写層を有する転写フィルムが得られるものである。また、転写層中にはシロキサンオリゴマーの他に、支持フィルムとの離型性や、濡れ性の向上を目的とした離型剤やレベリング剤、樹脂系の被転写体との密着性や耐クラック性を向上させるためのアクリル樹脂等を含んでいても良い。
式中、R1は水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR1はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R2は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR2はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。nは0から3の整数を表す。
<第1の工程 転写層の塗工>
転写層を形成するための塗工において、シロキサンゾルの希釈に用いる溶媒は適切な濃度のシロキサンゾルの溶液が得られる溶解性を有するものであれば特に限定されないが、フィルム上でハジキが発生しにくいという点から有機溶媒であることが好ましく、例えば、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールなどの高沸点アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノンなどのケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテート、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールアセテートなどのエステル類、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、メシチレン、ジイソプロピルベンゼンなどの芳香族あるいは脂肪族炭化水素のほか、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどを挙げることができるが、シロキサンオリゴマーの溶解性と塗布性の点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、酢酸ブチルが好ましい。
<転写フィルムの転写層の厚み>
本発明で用いられる転写フィルムの転写層の厚みは0.01〜10μmであることが好ましく、0.1〜5μmであることがより好ましい。0.01μmより薄い場合、シロキサンゾルの塗工においてハジキが発生しやすく欠点が生じる場合がある。一方、10μmより厚い場合、転写層が硬化する際の膜応力によってクラックが発生する場合がある。なお、転写層の厚みとは、転写フィルムにおける厚みであって、下記の転写層の乾燥後の厚みである。転写層の厚みは、転写フィルムをミクロトームで切削し、その断面を走査型電子顕微鏡(以下SEMと略記することもある)で撮像し、厚みと直行する方向に5等分した場合に境界となる4点を観察して測定した4点の平均を転写層の厚みとする。転写層の表面および/または支持フィルムとの境界の面が凹凸形状を有する場合は、撮像した画像中で最も転写層が厚くなる部分である。すなわち図2を用いて説明すると、支持フィルムの転写層と反対の面を下にして水平に置いた場合に、支持フィルム1上の転写層2との境界の面の凹みの最も下の位置と、転写層の支持フィルムに接していない表面の間の距離を転写層の厚み4とする(図2)。観察および測定の倍率は、転写層の厚みが2μm未満の場合は20000倍、2μm以上5μm未満の場合は5000倍、5μm以上の場合は2500倍とする。
<第2の工程 転写層の溶媒の除去>
塗工後、加熱や減圧状態におくことによって溶媒を除去する。溶媒除去のための加熱温度は20℃以上180℃以下が好ましい。加熱温度が20℃より低い場合は多大な時間が必要となる。一方180℃より高い温度に加熱すると、加熱によるシロキサンの架橋により転写フィルムの柔軟性が失われてクラックが発生したり、被転写体への転写性が低下したりするおそれがある。溶媒除去のための減圧条件は、転写フィルムの形状が崩れない範囲で適宜設定すればよく、10kPaまで減圧することが好ましく、さらには減圧と同時に加熱して溶媒を除去してもよい。この様にして、転写フィルムを80℃で1時間加熱した後も転写層の膜厚に変化が見られないところまで乾燥させる。具体的には例えば、10kPaの減圧状態で5分間静置し、その後5分間80℃に加熱する方法が挙げられる。
<第3の工程 転写層表面の活性化処理>
本発明における被転写体に接触する表面の活性化処理とは、具体的には転写層表面に酸素原子を導入することである。転写フィルムから被転写体に転写層を転写するにあたり、被転写体と転写層の接着には被転写体上の水酸基が関係すると考えられる。そのため、転写層の表面に酸素原子を導入することによって、被転写体上の水酸基と、転写層の反応性が高くなり、転写性が向上するものと考えられる。
<第4の工程 転写方法>
本発明で用いられる転写フィルムの活性化処理した転写層面を被転写体に接触させて被転写体/転写層/支持フィルムを含む積層体とし、加圧または加圧および加熱することにより、転写層を被転写体に転写することができる。転写の際の加圧は、例えば、ニップロールや、プレス機によるものなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。被転写体/転写層/支持フィルムの積層体に加圧する圧力は1kPa〜50MPaが好ましい。1kPa未満であると、転写欠点が生じる場合があり、50MPaを超えると、転写フィルムの凹凸形状が崩れたり、ガラス基板を破損したりする場合がある。また、加圧する際には、該積層体の支持フィルムと加圧プレートや加圧ロール等との間に緩衝材を用いることもできる。緩衝材を使用することによって空気等を噛み込むことなく精度よく転写層を転写できる。緩衝材としては、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム、イソブチレンイソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴムなどが使用できる。また、被転写体に転写層を十分に密着させるために、加圧とともに加熱することもできる。
<第5の工程 支持フィルムの除去>
被転写体に転写層を転写して被転写体/転写層の積層体とするために、転写フィルムの支持フィルムを除去する。支持フィルムの剥離は、後述する転写後の熱処理前でも、熱処理後でもよい。熱処理前に支持フィルムを前もって剥離する場合は、転写後、プレス温度以下で剥離する。剥離する際の温度が、プレス温度以上の場合、転写層の形状が崩れたり、支持フィルムからの剥離性が低下したりするおそれがある。一方、熱処理後に支持フィルムを除去する場合は、支持フィルムが熱処理中に焼散したり、粉上に焼き上げられたりする場合があるが、そのような場合には表面を洗浄したり、エアーブローによって除去することができる。また、熱処理後も支持フィルムとして被転写体/転写層/支持フィルムの積層体で存在している場合は、熱処理温度以下で支持フィルム剥離する。剥離温度が熱処理温度を超える場合、転写層の形状が崩れるおそれがある。
<転写後の熱処理>
転写後、転写層に含まれるシロキサンオリゴマーの架橋反応をさらに進行させてガラス化するために熱処理することもできる。ガラス化のための熱処理温度は積層体に必要な耐熱性、耐薬品性、信頼性に応じて適宜設定することができる。
30mm×30mmの支持フィルムにミカサ株式会社製スピンコーター型番1H−DX2を使用してシロキサンゾルを塗工した。その後、20℃、10kPaの環境で溶媒を除去して転写フィルムを得た。
株式会社ミクロトーム研究所製ロータリーミクロトーム型番RMSで転写フィルムを切削し、その断面をTOPCON社製miniSEM型番ABT−32で観察および測定した。倍率とその測定方法は本文中に記載の条件とした。
架橋反応の進行度を、耐溶剤性によって評価した。
ガラスシャーレに入れた3.5gのメチルエチルケトンに10mm×10mmの転写フィルムを、転写層がシャーレ底面と対向する方向で浸漬させた。1分間の浸漬の後、転写フィルムを取り出して、浸漬させたメチルエチルケトンおよび転写フィルムを観察、評価した。なお、架橋反応の進行度の評価基準は以下のように定め、表記した。
3:転写層は剥離することなく支持フィルムに密着していた。
2:転写層は支持フィルムから剥離し、メチルエチルケトン中に膜として存在した。
1:転写層は溶解し、メチルエチルケトン中でも確認することができなかった。
(4−1)被転写体の準備
被転写体であるコーニング社製低アルカリガラス型番1737(50mm×50mm、厚さ1.1mm)表面に付着したゴミをブロワーで除去した後、純水に浸漬した状態でアズワン株式会社製3周波超音波洗浄機型番VS−100IIIを使用して45kHzで10分間の洗浄を2回繰り返した。その後、株式会社魁半導体製卓上真空プラズマ装置を用いて、15000VACで5分間プラズマ処理した。
30mm×30mmサイズの転写フィルムの転写層表面を、(4−1)で準備した被転写体としてのガラス基板に接触させ、さらに転写フィルムの支持フィルム面に緩衝材として金陽社製“キンヨーボード(登録商標)”型番F200を積層し、プレス温度20℃、プレス圧力1.38MPaで10秒間加圧した後に、室温で支持フィルムを剥離した。
(4−2)の条件で3回同じ実験を繰り返して作製された3枚の積層体のうち、最も大きな面積で転写された積層体の面積を、転写フィルムのサイズ30mm×30mmを100%として転写面積率を算出した。転写面積率の評価基準は以下のように定め、表記した。
5:転写面積率100%。転写性良好
4:転写面積率90%以上100%未満
3:転写面積率50%以上90%未満
2:転写面積率10%以上50%未満
1:転写面積率0%以上10%未満
また、転写安定性の評価基準は以下のように定め、表記した。なお、同等とは、上記転写面積率の5段階評価において同じランクに分類されることを指す。
3:3枚の積層体の転写面積率がすべて同等
2:3枚の積層体のうち、2枚の転写面積率が同等
1:3枚の積層体の転写面積率が全て異なる
(4−4)転写層外観評価
転写層外観評価基準を以下のように定め、評価した。
◎:積層体に幅2.0μm以上かつ長さ3mm以上のクラックなし
○:積層体に幅2.0μm以上かつ長さ3mm以上のクラックが1〜3本あり
×:積層体に幅2.0μm以上かつ長さ3mm以上のクラックが4本以上あり
[実施例1]環状ポリオレフィン系樹脂である日本ゼオン株式会社製“ゼオノアフィルム(登録商標)”型番ZF14の厚さ60μmのフィルムに、東京応化工業株式会社製OCNL505シロキサンゾルを塗工後、溶媒を除去して転写層の厚みが4.76μmである転写フィルムを得た。得られた転写フィルムを室温20℃湿度40%の環境で30日間エージングした後、転写層表面に株式会社魁半導体製卓上真空プラズマ装置型番YHS−Rを用いて、15000VACで20秒間プラズマ処理した。プラズマ処理後5分以内に、転写層を転写することで積層体を得た。
2:転写層
3:支持フィルム上の凹凸形状
4:転写層の厚み
5:上部電極
6:下部電極
7:チャンバー
8:排気ポンプ
Claims (6)
- 支持フィルム上に、シロキサンオリゴマーを含む溶液を塗布する第1の工程、
支持フィルム上に塗布した溶液から溶媒を除去して転写層を形成し、転写フィルムとする第2の工程、
前記第2の工程で作製した転写フィルムの転写層表面を、活性化処理する第3の工程、
前記第3の工程で活性化処理した転写層表面と被転写体を対向および接触させて転写層を被転写体に転写する第4の工程、
被転写体/転写層/支持フィルムからなる積層体から、転写層と支持フィルムの界面で支持フィルムを剥離する第5の工程
を含むことを特徴とする、転写フィルムを用いた積層体の製造方法。 - 転写フィルム上の転写層を活性化処理する第3の工程の実施後48時間以内に第4の工程を実施する、請求項1に記載の積層体の製造方法。
- 前記第3の工程で転写層表面の活性化処理が、プラズマ処理である請求項1または2に記載の積層体の製造方法。
- 前記第2の工程で作製した転写フィルムの転写層の架橋反応を進行させた後に第3の工程を実施する請求項1〜3のいずれかに記載の積層体の製造方法。
- 転写層の厚みが0.01〜10μmである請求項1〜4のいずれかに記載の積層体の製造方法。
- 転写層の最表面に凹凸表面形状を有する請求項1〜5のいずれかに記載の積層体の製造方法。
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