JP2012232333A - 垂直曲げ型連続鋳造機、連続鋳造方法、及び連続鋳造機の冷却部延長方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ダミーバーを下側から挿入する方式の連続鋳造機であり、且つ複数の冷却セグメントを配列した垂直部で冷却を実施する垂直曲げ型連続鋳造機である。上記各冷却セグメントはそれぞれ、鋳片冷却機構と鋳片12を案内する複数対のガイドロール5とを備えると共に、上記複数の冷却セグメントよりも下流位置に対し、鋳片12に下向きの力を付与するための複数対のピンチロール6を配置する。上記複数の冷却セグメントのうち最下部に配置される冷却セグメント10内に、複数対のガイドロール5と共に複数対のピンチロール11を配置し、そのピンチロール11の径は、上記複数の冷却セグメントよりも下流に位置するピンチロール6の径よりも小さい。
【選択図】 図3
Description
そして、垂直曲げ型の連続鋳造においては、溶鋼を垂直に引き抜きながら、複数列の冷却セグメントで冷却されることで凝固し、凝固が完了したら、鋳片を水平方向に曲げるようにして連続鋳造が実施される。
また、連続鋳造を開始する際には、連鋳機内にダミーバーを挿入する。ダミーバーの挿入方法としては、モールド側から挿入する方式と下側から挿入する方式とがある。
ピンチロールがセグメント帯よりも下流に配置されるのは、次のことを考慮したものである。すなわち、ピンチロールによる鋳片を引き抜く力(下向きの力)は、従来、鋳片が完全に凝固した後に加えることが望ましいと考えられていたこと、および、冷却セグメントが配置されたチャンバー中に大径のピンチロールがあると、下方からのダミーバー挿入の際にダミーバーをセグメント帯に挿入することが困難と思われていたためである。
また、ピンチロール等の偏磨耗によって鋳片が蛇行し、ひどい場合は設備に鋳片が突き当たり鋳造不能の設備トラブルに至ってしまうケースもあった。さらに、ピンチロールの径が大きいものは、交換にも多大な時間を要していた。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、蛇行を抑えつつ鋳片の品質向上を図ることを目的としている。
また、鋳造速度を上げるにあたっては鋳片の品質を確保し、操業トラブルも起こらないようにすることが必須である。
すなわち、上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、 ダミーバーを下側から挿入する方式の連続鋳造機であり、且つ複数の冷却セグメントを配列した垂直部を垂直下方に移動しながら鋳片を凝固し、続けて凝固が完了した鋳片を水平方向に曲げる垂直曲げ型連続鋳造機であって、上記各冷却セグメントはそれぞれ、鋳片冷却機構と鋳片を案内する複数対のガイドロールとを備えると共に、上記複数の冷却セグメントよりも下流位置に対し、鋳片に下向きの力を付与するための複数対のピンチロールを配置した垂直曲げ型連続鋳造機において、
上記複数の冷却セグメントのうち最下部に配置される冷却セグメント内に、複数対のガイドロールと共に複数対のピンチロールを配置し、そのピンチロールの径は、上記複数の冷却セグメントよりも下流に位置するピンチロールの径よりも小さいことを特徴とするものである。
次に、請求項3に記載した発明は、請求項1又は請求項2に記載した垂直曲げ型連続鋳造機を用いて連続鋳造を行うことを特徴とする連続鋳造方法を提供するものである。
上記複数の冷却セグメントの下部に新たな冷却セグメントを配置すると共に、その新たな冷却セグメントに配置される複数対のガイドロールの一部を、ピンチロールに置き換えると共に、複数の冷却セグメントよりも下流位置に配置される複数対のピンチロールの一部を省略することを特徴とする。
さらに、上記構成を採用すると、鋳片の蛇行をより抑制することができ、操業トラブルの低減も達成できた。
(構成)
連続鋳造機は、図1に示すように、取鍋1からタンディッシュ2、タンディッシュ2から鋳型3に順次、溶鋼の移送が行われる。本実施形態が対象とする連続鋳造機は、溶鋼を連続鋳造して鋳片12を製造するにあたり、ダミーバー(不図示)を下方から鋳型3まで挿入する。そして、上記連続鋳造機は、鋳型3から溶鋼を垂直下方に引き出しながら鋳片12を冷却し、鋳片12内部まで凝固が完了した後に水平方向に曲げる垂直曲げ型の連続鋳造機である。
なお、上記垂直部を通過した鋳片12は、ベンディングロール7で水平方向に向けて曲げられ、さらに、鋳片切断装置としてのトーチカッタによって目的の長さで切断される。
上記各冷却セグメント4にはそれぞれ、図2に示すように、鋳片12の移動方向である垂直方向に沿って複数対のガイドロール5が配置されると共に、鋳片冷却機構を構成する複数の冷却スプレー(不図示)が配置されている。
ここで、冷却部延長前の垂直曲げ型の連続鋳造機は、上記図1に示すように、セグメント帯Sが複数の冷却セグメントから構成され、その下方に3対のピンチロール6が配置された構成になっているとする。
すなわち、本実施形態の連続鋳造機では、図3に示すように、最上段の一対のピンチロール6a(図1参照)を、ピンチロール11とガイドロール5を備えた新たな冷却セグメント10に置き換える。これによって、セグメント帯Sを構成する冷却セグメントの数が増える結果、垂直部全体の長さを変更することなく、冷却部を構成するセグメント帯Sの長さ(冷却部長さ)を長くして、機長延長と同等の効果をもたらす。
ここで、新たな冷却セグメント10内に配置する複数対のピンチロール11の配置は、ピンチロール11間にガイドロール5が配置、つまりピンチロール11同士が連続しないように設置することが好ましい。また、新たな冷却セグメント10内のピンチロール11は、出来るだけ下流側に配置することが好ましい。
なお、上記の構成によって、セグメント帯Sよりも下流位置に配置するピンチロール6は二対となる。
本実施形態が対象とする垂直曲げ型の連続鋳造機では、鋳片12はセグメント帯Sの下流位置に設置された複数対のピンチロール6で引っ張られることで、セグメント帯S内部を下方に移動し、下方へ移動する間に冷却されて、内部まで凝固が完了した状態でセグメント帯Sを出る。そして、従来にあっては、冷却セグメントに配置されるロールは、鋳片12を下方に案内するめのガイドロール5が設置されるだけであり、冷却セグメント内には、通常鋳片12に下向きの力を加えるロールは設置されない。
これにより、従来最上段のピンチロール6aが設置されていた部分において、ピンチロール11で凝固末期の鋳片12を引き抜きつつ、その部分を鋳片12の冷却帯として利用できるようになる。この結果、垂直部の全長を変更することなく冷却帯を長くしたことによって、鋳片12の引き抜き速度を上げても冷却を十分に行うことが可能になり、鋳造速度向上が達成される。
このように、本実施形態にあっては、垂直部に配置される冷却部の長さを延長して、生産性向上、鋳片品質改善、トラブル低減、補修の簡易化を可能にする技術を提供することが可能となる。
以上のことから、本実施形態では次のような効果を奏する。
(1)複数の冷却セグメントのうち最下部に配置される冷却セグメント10内に、複数対のガイドロール5と共に複数対のピンチロール11を配置する。
これによって、複数の冷却セグメント(セグメント帯S)よりも下流に位置するピンチロール6の設置数を、その分減らすことが可能となると共に、垂直部の長さが同じでも、冷却部を構成するセグメント帯Sの全長を長くすることが可能となる。この結果、鋳造速度向上など生産性向上を図ることが可能となる。
これによって、最下部の冷却セグメント内において、鋳片12を案内するロールピッチを小さく出来る結果、冷却セグメント内にピンチロール11を配置しても、鋳片12の膨らみを有効に抑えることが出来る。
また、ピンチロール11の径を小さくすることで、冷却セグメント内にピンチロール11を配置し易くなると共に、交換も容易となる。
また、冷却セグメント内にピンチロール11を配置することで、後述の実施例で説明するように、鋳片12の蛇行を抑える効果も発生した。
これによって、出来るだけ鋳片12の表面が硬い位置で引き抜き力を付与可能となる。
比較例では、図1のように、鋳型3の下方に複数のセグメントが垂直方向に配置されて、長さ16.9mのセグメント帯Sを形成する。そのセグメント帯Sの下流位置にピンチロール6を3対設置した。上記ピンチロール6の直径は700mmとした。
一方実施例では、図3に示すように、図1における最上部のピンチロール6a位置に、ピンチロール11とガイドロール5を備える、長さ1.65mの新たな冷却セグメントを最下流の冷却セグメントとして設置して、冷却帯(セグメント帯S)の長さを延長した。新たな冷却セグメント10内には、直径約300mmの二対のピンチロール11と直径約300mmの3対のガイドロール5が設置され、また他のセグメントと同じように、水を鋳片12に噴霧するための鋳片冷却機構を設けた。このとき、新たな冷却セグメント10においては、上下に並ぶロール列において、ピンチロール11は最下部と、下から3番目の位置に設置した。
このとき、比較例の連続鋳造機では、鋳造速度は0.88m/分であった。一方、本発明に基づき実施例にあっては、鋳造速度を0.96m/分まで増速することがでた。すなわち、約9%の生産性向上が達成された。なお、鋳片12の厚さを変更して実施した場合でも、同様に増速が可能であった。
また、鋳片12の内部品質について、比較例で製造した鋳片12と実施例で製造した鋳片12とについて、超音波による内部欠陥検査によってUT不良率を測定してみた。このとき、比較例では、UT不良率が0.056%であったが、実施例では、UT不良率が0.027%にまで低減できた。これは、新たな冷却セグメント10内に配置したピンチロール11による効果と考えられる。すなわち、比較例では、最終凝固位置でのセグメントによるサポートがガイドロール5によるもののみであったため、ブリッジングを押さえるほどのサポートにはなっていなかったものを、最終セグメントにピンチロール11を組み込むことで、ブリッジングを抑えることができ、それにより、特に最終ヒートトップ部における内部欠陥が、低減したためと考えられる。
この図5に示すように、比較例では、蛇行量のばらつきが比較的に大きく、その蛇行量の平均値は24.9mmであった。これに対し、実施例では、蛇行量のばらつきが小さく、その蛇行量の平均値も7.1mmであった。このように、本発明を採用することで、蛇行を抑えることが可能となり、蛇行に伴う操業トラブルが低減に寄与した。この理由は、比較例の一対の大径ピンチロール6に代えて、二対の小径ピンチロール11を設置したことにより、ロール偏磨耗による鋳片12蛇行が発生しにくくなったものと推定される。
また、小径ピンチロール11をセグメント内に設置したことにより、ピンチロール11の交換がセグメント一体交換によってできるようになり、ロール交換所要時間が従来の90時間から10時間と大幅に低減された。
4 冷却セグメント
5 ガイドロール
6、6a ピンチロール(大径)
7 ベンディングロール
10 新たな冷却セグメント
11 ピンチロール(小径)
12 鋳片
S セグメント帯
Claims (4)
- ダミーバーを下側から挿入する方式の連続鋳造機であり、且つ複数の冷却セグメントを配列した垂直部を垂直下方に移動しながら鋳片を凝固し、続けて凝固が完了した鋳片を水平方向に曲げる垂直曲げ型連続鋳造機であって、上記各冷却セグメントはそれぞれ、鋳片冷却機構と鋳片を案内する複数対のガイドロールとを備えると共に、上記複数の冷却セグメントよりも下流位置に対し、鋳片に下向きの力を付与するための複数対のピンチロールを配置した垂直曲げ型連続鋳造機において、
上記複数の冷却セグメントのうち最下部に配置される冷却セグメント内に、複数対のガイドロールと共に複数対のピンチロールを配置し、そのピンチロールの径は、上記複数の冷却セグメントよりも下流に位置するピンチロールの径よりも小さいことを特徴とする垂直曲げ型連続鋳造機。 - 上記複数対のピンチロールのうちの一対のピンチロールは、上記最下部の冷却セグメントに配置される複数対のガイドロールよりも下流側に位置することを特徴とする請求項1に記載した垂直曲げ型連続鋳造機。
- 請求項1又は請求項2に記載した垂直曲げ型連続鋳造機を用いて連続鋳造を行うことを特徴とする連続鋳造方法。
- 垂直に配列された複数の冷却セグメントと、その複数の冷却セグメントよりも下流位置に鋳片に下向きの力を付与するための複数対のピンチロールが設置されている垂直曲げ型連続鋳造機における冷却部延長方法であって、
上記複数の冷却セグメントの下部に新たな冷却セグメントを配置すると共に、その新たな冷却セグメントに配置される複数対のガイドロールの一部を、ピンチロールに置き換えると共に、複数の冷却セグメントよりも下流位置に配置される複数対のピンチロールの一部を省略することを特徴とする連続鋳造機の冷却部延長方法。
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